JP2024033974A - 複層塗膜および塗装物品の製造方法 - Google Patents

複層塗膜および塗装物品の製造方法 Download PDF

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多麻美 上原
Tamami UEHARA
千聡 薮下
Senso Yabushita
和哲 迫山
Kazuaki Sakoyama
さくら 北川
Sakura KITAGAWA
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Abstract

【課題】どの角度から見ても、柔らかい輝きおよび煌めきが表現された複層塗膜、およびこの複層塗膜を備える塗装物品の製造方法を提供する。
【解決手段】第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有する複層塗膜であって、前記第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、前記第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、前記複層塗膜の光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下である、複層塗膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、複層塗膜および塗装物品の製造方法に関する。
自動車は、通常、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を含む複層塗膜を備える。従来、自動車の外観には高級感が求められており、メタリック調が強く、フリップフロップ性の高い複層塗膜が形成される場合が多い。例えば、特許文献1には、見る角度によってメタリック調の質感が異なり、フリップフロップ性が顕著な複層塗膜が開示されている。特許文献2には、多方面反射によるキラキラした光輝感を有する複層塗膜が開示されている。特許文献3には、ハイライトで高い光沢度を有し、ハイライトからシェードまで全体に明度が高い複層塗膜が開示されている。
特開平08-238451号公報 特開2002-275421号公報 国際公開第2017/135426号
近年、消費者の嗜好の多様化およびオリジナリティの追求により、複層塗膜に要求される意匠も多岐にわたる。本発明は、特許文献1~3とは異なる意匠であって、メタリック調およびフリップフロップ性を低く抑えて、どの角度から見ても、柔らかい輝きおよび煌めきが表現された複層塗膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有する複層塗膜であって、
前記第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
前記第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
前記複層塗膜の光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下である、複層塗膜。
[2]
前記複層塗膜の粒状性値が、2以上4.5以下である、上記[1]の複層塗膜。
[3]
前記第2塗膜において、前記鱗片状マイカ顔料の質量Wmと前記光輝性顔料の質量Wgとの比:Wm/Wgは、5以上150以下である、上記[1]または[2]の複層塗膜。
[4]
前記複層塗膜の光入射角45°および光受光角15°における明度L 15が、70以上 110以下である、上記[1]または[2]の複層塗膜。
[5]
被塗物と
前記被塗物上に設けられた、上記[1]または[2]の複層塗膜と、を有する塗装物品。
[6]
被塗物に、第1塗料組成物、第2塗料組成物およびクリヤー塗料組成物を順次塗装して、複層塗膜を形成することを含む、塗装物品の製造方法であって、
前記第1塗料組成物は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
前記第2塗料組成物は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
前記複層塗膜の光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下である、塗装物品の製造方法。
[7]
第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有する複層塗膜であって、
前記第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
前記第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
前記第2塗膜において、前記鱗片状マイカ顔料の質量Wmと前記光輝性顔料の質量Wgとの比:Wm/Wgは、5以上150以下である、複層塗膜。
本発明によれば、どの角度から見ても、柔らかい輝きおよび煌めきが表現された複層塗膜、およびこの複層塗膜を備える塗装物品の製造方法が提供される。
[複層塗膜]
第1実施形態
本開示の一態様に係る複層塗膜は、第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有する。第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含む。第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含む。
複層塗膜の光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下である。
第1塗膜および第2塗膜は、メタリックベース塗膜と称され、複層塗膜の光輝感に影響を与える。第2塗膜は、第1塗膜よりも、塗装物品のより外表面側に位置する。クリヤー塗膜は、第2塗膜よりも、塗装物品の外表面側に位置する。
本開示では、メタリックベース塗膜を2層設けて、より下層に配置される第1塗膜には小さな鱗片状メタリック顔料を配合し、その上の第2塗膜に、小さな鱗片状マイカ顔料と大きなサイズの光輝性顔料とを配合する。これにより、過度なメタリック調の質感を抑制して、柔らかい輝きを表現しながら、その中にキラッと光る煌めきを表現することができる。
第1塗膜の鱗片状メタリック顔料は小さいため、メタリック調およびギラツキの抑制された、緻密な輝きを表現できる。第2塗膜の鱗片状マイカ顔料もまた小さいため、乱反射が多くなって、複層塗膜を柔らかく光らせる。煌めきは、キラッと光る様子であって、第2塗膜に配合される大きな光輝性顔料によって表現される。この大きな光輝性顔料は、光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75の平均が5以上20以下になるように配合されている。このような構成を有する第1および第2塗膜の総合的な効果によって、複層塗膜は、柔らかい輝きの中に、キラッと光る煌めきを表現できる。
加えて、本開示に係る複層塗膜は、光輝面積Sa15,Sa45,Sa75の標準偏差が小さい。つまり、本開示に係る複層塗膜は、見る角度によって明暗が変化する、いわゆるフリップフロップ性(角度依存性ともいう。)を有するものではなく、ハイライト/フェース/シェードなどのいずれの方向から見ても、一定の適度な輝きを感じることができるものである。すなわち、本開示に係る複層塗膜によれば、どの角度から見ても、柔らかい輝きと煌めきを感じることができる。
複層塗膜は、第2塗膜とクリヤー塗膜との間に介在する着色塗膜を有していてよい。着色塗膜は、着色顔料を含み、光輝性顔料を含まなくてよい。
(光輝面積Sa)
光輝面積Saは、塗膜表面において輝いている部分の面積(Sparkle area)を反映しており、光輝性の指標である。光輝面積Saが大きいほどメタリック調の質感が強い。光輝面積Sa15、光輝面積Sa45および光輝面積Sa75の平均は、5以上20以下である。そのため、強いメタリック調ではなく、柔らかい輝きが感じられる。光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75の平均は、8以上であってよく、10以上であってよい。光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75の平均は、19以下であってよく、18以下であってよい。
光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75の標準偏差は、3以下である。これにより、複層塗膜をどの角度から見ても、バラツキのない、一定の輝きを感じることができる。光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75の標準偏差は、2.95以下であってよく、2.90以下であってよい。光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75の標準偏差は、0.1以上であってよい。
光輝面積Saは、以下のようにして算出される。複層塗膜のクリヤー塗膜側から入射角15°で光を照射し、塗膜表面を、その法線方向からCCDカメラにて撮像する。得られた画像を、明るさレベルのヒストグラムを用いた画像解析アルゴリズムで解析し、2次元分析を行う。これにより、光輝面積Sa15が得られる。入射角を45°および75°に替えたこと以外は同様にこの操作を繰り返して、光輝面積Sa45およびSa75を得る。光源には、例えば、LEDライトが用いられる。光輝面積Saは、例えば、BYK社製の分光測色計「BYK-mac i」によって取得できる。
光輝面積Saは、光輝性顔料の大きさおよび含有量などに影響される。光輝面積Saは、特に第2塗膜に含まれる光輝性顔料の大きさおよび含有量などに影響される。例えば、小粒径マイカ顔料の質量Wmと大粒径光輝性顔料の質量Wgとの質量比が、5以上150以下であると、光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75の平均が5以上20以下になり得、標準偏差が3以下になり得る。
標準偏差は、データのバラツキを表わす指標の一つである。光輝面積Saの標準偏差は、光輝面積Sa15、光輝面積Sa45および光輝面積Sa75のそれぞれと、これらの平均との差を、2乗したものを合計し、データの総数(この場合、3)で割った正の平方根から求められる。
(粒状性値)
複層塗膜の粒状性値は、2以上4.5以下であってよい。粒状性値(Graininess)は、拡散光が照射された複層塗膜における明暗領域の均一性を反映しており、塗膜の緻密さの指標である。粒状性値(以下、G値と称する。)が小さいほど緻密であって、メタリック調の質感がより強く感じられる。G値が2以上4.5以下であると、緻密な印象を与えながらも、メタリック調の質感は抑制されている。G値は、2.3以上であってよく、2.5以上であってよい。G値は、4.3以下であってよく、4.0以下であってよい。
G値は、以下のようにして算出される。複層塗膜のクリヤー塗膜に向かって、白色塗装された半球の中に設置された光源から拡散光を照射する。複層塗膜をその法線方向からCCDカメラにて撮像し、当該画像を特定の画像解析アルゴリズムで解析する。これにより、G値が得られる。G値は、例えば、BYK社製の「BYK-mac i」によって取得できる。
(明度L 15
複層塗膜の光入射角45°および光受光角15°における明度L 15は、110以下である。明度L 15は、複層塗膜に入射角45°で入射した光を、その正反射光に対して15°の角度で受光した分光反射率から計算された、Lh表色系における明度Lである。メタリックベース塗膜において、明度Lが大きいほど、メタリック調の質感が強い。
光受光角15°は、いわゆるハイライト条件であって、シェードおよびフェース条件よりも明度Lは高くなり易い。より明るさを感じ易い条件における明度L 15が110以下であることにより、メタリック調の質感が抑制され、柔らかい輝きが得られ易い。明度L 15は、105以下であってよく、100以下であってよい。明度L 15は、70以上であってよく、75以上であってよい。
明度Lは、Lh表色系におけるパラメータである。Lは明度を、Cは彩度を、hは色相角度を表わす。彩度Cが大きくなるほど鮮やかさが増し、小さくなるにつれてくすみが増加する。明度Lの数値が増加するに従い被測定物質の明るさが増し、その数値が小さくなるに従い暗さが増す。
h表色系は、CIELb表色系(CIE1976L色空間)に基づいて算出される。CIE1976L色空間は、JIS Z 8781-4に準拠して求めることができる。CIELb表色系は、国際照明委員会により定められており、Section 4.2 of CIE Publication 15.2 (1986) に記載されている。明度L 15は、例えば、BYK社製の「BYK-mac i」によって取得できる。
明度L 15は、被塗物と第1塗膜との間に、グレー系の塗膜(中塗り塗膜)が設けられた塗装物品を用いて測定される。
(第1塗膜)
第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料(以下、小粒径メタリック顔料と称する。)を含む。第1塗膜は、典型的には、小粒径メタリック顔料と第1塗膜形成樹脂とを含む、第1塗料組成物の硬化物である。
第1塗膜は、硬化後の膜厚が3μm以上13μm以下であってよい。第1塗膜の硬化膜厚は、3.5μm以上であってよい。第1塗膜の硬化膜厚は、10μm以下であってよく、8μm以下であってよい。
《小粒径メタリック顔料》
小粒径メタリック顔料は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料である。小粒径メタリック顔料によって、ギラツキが抑制されつつ、緻密な輝きが表現される。
メタリック顔料の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズおよびこれらの合金が挙げられる。なかでも、アルミニウムであってよい。
鱗片状とは、アスペクト比(顔料の平均長径/顔料の平均厚さ)が1.0超である形状をいう。鱗片状顔料のアスペクト比は、例えば、20以上300以下である。鱗片状顔料のアスペクト比は、30以上であってよい。鱗片状のアスペクト比は、200以下であってよい。
小粒径メタリック顔料の平均粒子径は、4μm以上であってよく、5μm以上であってよい。小粒径メタリック顔料の平均粒子径は、12μm以下であってよく、10μm以下であってよい。平均粒子径の異なる複数種の小粒径メタリック顔料を、組み合わせて用いてもよい。
鱗片状顔料の平均粒子径は、長径の平均値である。平均粒子径は、鱗片状顔料を形状解析レーザーマイクロスコープ(例えば、キーエンス社製 VK-X 250)を用いて観察し、任意に選択した100個の鱗片状顔料の長径(最大長さ)を平均化することによって得られる。
小粒径メタリック顔料の平均厚さは、例えば、0.01μm以上0.1μm以下である。小粒径メタリック顔料の平均厚さは、0.04μm以上であってよい。小粒径メタリック顔料の平均厚さは、0.08μm以下であってよい。これにより、複層塗膜の緻密さがより高まり得る。
鱗片状顔料の平均厚さは、鱗片状顔料を含む塗膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、任意に選択した100個の鱗片状顔料の厚さを平均化することによって得られる。
小粒径メタリック顔料は、表面処理されていてよく、されていなくてもよい。表面処理に用いられる化合物としては、例えば、金属酸化物系化合物、リン化合物、アミン化合物、シラン化合物が挙げられる。
金属酸化物系化合物としては、例えば、遷移金属元素を含む金属酸化物およびそのアルカリ金属塩、ならびにそのアンモニウム塩が挙げられる。具体的には、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸アルカリ金属塩、モリブデン酸アンモニウム塩、バナジン酸、バナジン酸アルカリ金属塩、バナジン酸アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウムが挙げられる。金属酸化物系化合物としては、モリブデン酸、モリブデン酸アルカリ金属塩、モリブデン酸アンモニウム塩、バナジン酸、バナジン酸アルカリ金属塩およびバナジン酸アンモニウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
リン化合物としては、例えば、有機リン酸エステル、有機亜リン酸エステル、有機ホスホン酸、およびこれら化合物のアミン塩が挙げられる。リン化合物は、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
アミン化合物としては、例えば、直鎖状または分枝状一級アミン、直鎖状または分枝状二級アミン、直鎖状または分枝状三級アミン、脂環式一級アミン、脂環式二級アミン、脂環式三級アミン、芳香族基含有一級アミン、芳香族基含有二級アミン、芳香族基含有三級アミンが挙げられる。アミン化合物は、置換基(例えば水酸基など)を有してもよい。アミン化合物は、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
シラン化合物としては、例えば、アルコキシシシラン化合物、ビニル基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、スチリル基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤、ウレイド基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、酸無水物基含有シランカップリング剤、およびこれらの部分縮合物が挙げられる。シラン化合物は、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
小粒径メタリック顔料への表面処理は、当業者において通常用いられる処理条件により行うことができる。上記表面処理は1種のみを行ってもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
小粒径メタリック顔料の市販品としては、例えば、東洋アルミニウム社製アルペースト46シリーズ、97シリーズ(代表的には、0519)、01シリーズ(代表的には、01-0651);旭化成社製アルミペーストFDシリーズ;エカルト社製Metallux 4860が挙げられる。
小粒径メタリック顔料の含有量、すなわち、第1塗料組成物に含まれる樹脂の固形分に対する小粒径メタリック顔料の質量割合(PWC)は、例えば、3質量%以上13質量%以下である。小粒径メタリック顔料のPWCは、4質量%以上であってよく、5質量%以上であってよい。小粒径メタリック顔料のPWCは、10質量%以下であってよく、8質量%以下であってよい。樹脂の固形分とは、後述する第1塗膜形成樹脂および硬化剤等の全樹脂成分の固形分である。
《他の光輝性顔料》
第1塗膜は、小粒径メタリック顔料以外の光輝性顔料を含んでいてよい。他の光輝性顔料としては、例えば、干渉マイカ、ホワイトマイカおよび着色マイカなどのマイカ顔料;グラファイト顔料;ガラスフレーク顔料;平均粒子径が13μm超の鱗片状メタリック顔料が挙げられる。
他の光輝性顔料(特に、後述する小粒径マイカ顔料および大粒径光輝性顔料)の含有量は、本開示に係る塗料組成物の効果が損なわれない範囲である。他の光輝性顔料の含有量(PWC)は、例えば、3質量%未満であってよく、1質量%以下であってよく、0質量%であってよい。第1塗膜および第2塗膜に配合される光輝性顔料の種類および質量は、互いに異なっていてよい。
(第1塗料組成物)
第1塗料組成物は、小粒径メタリック顔料と第1塗膜形成樹脂とを含み得る。第1塗料組成物は、さらに、第1塗膜形成樹脂と反応可能な硬化剤を含み得る。
第1塗料組成物は、水性であってよく、溶剤系であってよい。水性第1塗料組成物は、溶媒として、水、および必要に応じて水溶性または水混和性の有機溶媒を含み得る。溶剤系第1塗料組成物は、溶媒として、例えば、エステル系溶剤、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤を含み得る。第1塗料組成物は、塗装時に適した溶媒によって希釈されて使用され得る。
第1塗料組成物は、小粒径メタリック顔料、第1塗膜形成樹脂、硬化剤などを、ディスパー、ホモジナイザー、ニーダーなどを用いて混練および分散して、調製される。小粒径メタリック顔料等の顔料および顔料分散剤を用いて予め顔料ペーストを調製し、これと第1塗膜形成樹脂等とを混合してもよい。
《第1塗膜形成樹脂》
第1塗膜形成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、アクリル樹脂であってよい。
水性の塗料組成物において、これらの樹脂は、エマルションとして含まれてよく、ディスパージョンとして含まれてよく、溶媒に溶解した状態で含まれていてよい。
例えば、アクリル樹脂エマルションは、α,β-エチレン性不飽和モノマーの乳化重合によって調製することができる。α,β-エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマー、および水酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。モノマーは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルおよびメタアクリル酸エステルを表わす。
酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α-ハイドロ-ω-((1-オキソ-2-プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1-オキソ-1,6-ヘキサンジイル))、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3-ビニルサリチル酸、3-ビニルアセチルサリチル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、p-ヒドロキシスチレン、2,4-ジヒドロキシ-4’-ビニルベンゾフェノンが挙げられる。
水酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタリルアルコール、および、これらとε-カプロラクトンとの付加物が挙げられる。
その他のα,β-エチレン性不飽和モノマーが併用されてよい。その他のα,β-エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、重合性アミド化合物、重合性芳香族化合物、重合性ニトリル、重合性アルキレンオキシド化合物、多官能ビニル化合物、重合性アミン化合物、α-オレフィン、ジエン、重合性カルボニル化合物、重合性アルコキシシリル化合物、重合性のその他の化合物が挙げられる。
乳化重合の方法は、特に限定されない。例えば、水、または必要に応じてアルコール、エーテル(例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなど)などのような有機溶媒を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、α,β-エチレン性不飽和モノマーおよび重合開始剤を滴下する。α,β-エチレン性不飽和モノマーは、乳化剤によって、予め乳化させておいてよい。
重合開始剤および乳化剤は、当業者に通常使用されているものを用いることができる。必要に応じて、メルカプタン(例えば、ラウリルメルカプタン)およびα-メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤を用いて分子量を調節してもよい。反応温度、反応時間などは、当業者に通常用いられる範囲で適宜選択することができる。得られたアクリル樹脂エマルションは、必要に応じて塩基で中和される。
乳化重合により得られるアクリル樹脂(アクリル樹脂のエマルション)は、数平均分子量が3,000以上であってよい。アクリル樹脂は、水酸基価(固形分水酸基価)が20mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であってよい。アクリル樹脂は、酸価(固形分酸価)が1mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であってよい。
数平均分子量は、ポリスチレンを標準とするGPC法において決定される。酸価および水酸基価は、JISの規定に基づいて、調製に用いられるモノマー組成から算出される。
アクリル樹脂ディスパージョンは、例えば、上記α,β-エチレン性不飽和モノマーを溶液重合し、塩基性化合物を用いて分散化することにより、調製することができる。
水溶性のアクリル樹脂は、例えば、上記α,β-エチレン性不飽和モノマーを溶液重合し、塩基性化合物を用いて水溶化することにより調製することができる。
溶剤系の塗料組成物に配合されるアクリル樹脂は、例えば、α,β-エチレン性不飽和モノマーを溶液重合することにより調製することができる。上記アクリル樹脂は、数平均分子量が例えば1,000以上20,000以下である。上記アクリル樹脂は、酸価(固形分酸価)が1mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であってよい。上記アクリル樹脂は、水酸基価(固形分水酸基価)が101mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であってよい。
《硬化剤》
第1塗料組成物は、硬化剤を含んでいてよい。硬化剤は、第1塗膜形成樹脂と反応して、これとともに第1塗膜を形成する。
硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、金属イオンが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、メラミン樹脂およびブロックイソシアネート化合物の少なくとも1種を用いてよい。
メラミン樹脂は、水溶性であってよく、非水溶性であってよい。メラミン樹脂は、メラミン核(トリアジン核)の周囲に、3個の窒素原子を介して水素原子または置換基(アルキルエーテル基、メチロール基など)が結合した構造を含む。メラミン樹脂は、一般的には、複数のメラミン核が互いに結合した多核体により構成される。メラミン樹脂は、1個のメラミン核からなる単核体であってもよい。
市販のメラミン樹脂を用いてもよい。市販のメラミン樹脂としては、例えば、Allnex社製のサイメルシリーズ(商品名)、具体的には、サイメル202、サイメル204、サイメル211、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル250、サイメル251、サイメル254、サイメル266、サイメル267、サイメル272、サイメル285、サイメル301、サイメル303、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370、サイメル701、サイメル703、サイメル1141;三井化学社製のユーバン(商品名)シリーズが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
ブロックイソシアネート化合物は、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどからなるポリイソシアネートに、活性水素を有するブロック剤を付加させることによって、調製することができる。
硬化剤の含有量は、第1塗料組成物に含まれる樹脂固形分の10質量%以上80質量以下であってよい。硬化剤の上記含有量は、15質量%以上であってよい。硬化剤の上記含有量は、60質量%以下であってよい。
《他の顔料》
第1塗料組成物は、光輝性顔料以外の顔料を含んでいてよい。他の顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料、防錆顔料が挙げられる。他の顔料の含有量は、本開示に係る塗料組成物の効果が損なわれない範囲であれば、特に限定されない。
《リン酸基含有有機化合物》
第1塗料組成物は、さらにリン酸基含有有機化合物を含んでいてよい。リン酸基含有化合物によって、光輝性顔料、とくに鱗片状メタリック顔料の分散性が向上し易くなる。
リン酸基含有化合物の含有量は、第1塗料組成物の全固形分の0.1質量%以上15質量%以下であってよい。リン酸基含有化合物の上記含有量は、1質量%以上であってよい。リン酸基含有化合物の上記含有量は、12質量%以下であってよい。
リン酸基含有化合物は、リン酸基(-P(=O)(OR)(Rは、それぞれ独立して、水素または炭化水素基))を有する限り、特に限定されない。リン酸基含有化合物は、例えば、炭素数4~30のアルキル基を有するアルキルリン酸エステル、および、リン酸基価が5mgKOH/g以上300mgKOH/g以下のリン酸基含有ポリマーの少なくとも一方である。
〈アルキルリン酸エステル〉
アルキルリン酸エステルは、炭素数4~30のアルキル基を有する。アルキルリン酸エステルとしては、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル、およびこれらの混合物が挙げられる。ジアルキルリン酸エステルにおいて、2つのアルキル基は同じであってよく、異なっていてよい。ジアルキルリン酸エステルは、好ましくは、同じ2つのアルキル基を有する。
炭素数4~30のアルキル基としては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ヘキサコシル基およびオクタコシル基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状であってよく、分岐していてよい。
アルキルリン酸エステルとしては、例えば、ブチルアシッドホスフェート(モノブチルリン酸エステルとジブチルリン酸エステルとの混合物)、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート(モノ-2-エチルヘキシルリン酸エステルとジ-2-エチルヘキシルリン酸エステルとの混合物)、イソデシルアシッドホスフェート(モノイソデシルリン酸エステルとジイソデシルリン酸エステルとの混合物)、ジラウリルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート(モノラウリルリン酸エステルとジラウリルリン酸エステルとの混合物)、トリデシルアシッドホスフェート(モノトリデシルリン酸エステルとジトリデシルリン酸エステルとの混合物)、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート(モノステアリルリン酸エステルとジステアリルリン酸エステルとの混合物)、イソステアリルアシッドホスフェート(モノイソステアリルリン酸エステルとジイソステアリルリン酸エステルとの混合物)、オレイルアシッドホスフェート(モノオレイルリン酸エステルとジオレイルリン酸エステルとの混合物)、ベヘニルアシッドホスフェート(モノベヘニルリン酸エステルとジベヘニルリン酸エステルとの混合物)が挙げられる。
〈リン酸基含有ポリマー〉
リン酸基含有ポリマーは、5mgKOH/g以上300mgKOH/g以下のリン酸基価を有する。リン酸基含有ポリマーのリン酸基価は、10mgKOH/g以上であってよく、50mgKOH/g以上であってよい。リン酸基含有ポリマーのリン酸基価は、250mgKOH/g以下であってよく、150mgKOH/g以下であってよい。
リン酸基価は、JIS K5601 2-1 酸価測定方法に基づいて算出される。具体的には、酸価は、製品の不揮発物1g中の遊離酸を中和するのに要する、水酸化カリウム(KOH)のmg数である。
リン酸基含有ポリマーの数平均分子量は、例えば、1,000以上50,000以下である。リン酸基含有ポリマーの数平均分子量は、3,000以上であってよく、5,000以上であってよい。リン酸基含有ポリマーの数平均分子量は、30,000以下であってよく、20,000以下であってよい。
リン酸基含有ポリマーとしては、例えば、リン酸基価が5mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、耐水性の観点から、リン酸基含有アクリル樹脂であってよい。リン酸基含有アクリル樹脂は、例えば、リン酸基含有α,β-エチレン性不飽和モノマーを重合する、あるいは、このモノマーとリン酸基を含有しない他のα,β-エチレン性不飽和モノマーとを共重合することによって得られる。
《添加剤》
第1塗料組成物は、当業者において通常用いられる添加剤を含んでいてよい。添加剤としては、例えば、表面調整剤、粘性制御剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤が挙げられる。
(第2塗膜)
第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料(以下、小粒径マイカ顔料と称する。)と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料(以下、大粒径光輝性顔料と称する。)と、を含む。第2塗膜は、典型的には、小粒径マイカ顔料と、大粒径光輝性顔料と、第2塗膜形成樹脂とを含む、第2塗料組成物の硬化物である。
第2塗膜は、硬化後の膜厚が3μm以上15μm以下であってよい。第2塗膜の硬化膜厚は、3.5μm以上であってよい。第2塗膜の硬化膜厚は13μm以下であってよく、10μm以下であってよい。
《小粒径マイカ顔料》
小粒径マイカ顔料は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状マイカ顔料である。小粒径マイカ顔料によって、複層塗膜は柔らかく光ることができる。
小粒径マイカ顔料の平均粒子径は、4μm以上であってよく、5μm以上であってよい。小粒径マイカ顔料の平均粒子径は、12μm以下であってよく、10μm以下であってよい。平均粒子径の異なる複数種の小粒径マイカ顔料を、組み合わせて用いてもよい。
小粒径マイカ顔料の平均厚さは、例えば、0.01μm以上0.1μm以下である。小粒径マイカ顔料の平均厚さは、0.04μm以上であってよい。小粒径マイカ顔料の平均厚さは、0.08μm以下であってよい。これにより、複層塗膜の輝度が適度になり易い。
小粒径マイカ顔料は、表面コーティングされていてよく、されていなくてもよい。小粒径マイカ顔料は、例えば、干渉マイカであってよく、ホワイトマイカであってよく、着色マイカであってよい。
小粒径マイカ顔料の含有量、すなわち、第2塗料組成物に含まれる樹脂の固形分に対する小粒径マイカ顔料の質量割合(PWC)は、例えば、3質量%以上13質量%以下である。小粒径マイカ顔料のPWCは、4質量%以上であってよく、5質量%以上であってよい。小粒径マイカ顔料のPWCは、10質量%以下であってよく、8質量%以下であってよい。樹脂の固形分とは、後述する第2塗膜形成樹脂および硬化剤等の全樹脂成分の固形分である。
《大粒径光輝性顔料》
大粒径光輝性顔料は、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料である。大粒径の光輝性顔料は光を正反射し易く、これによって煌めきが表現される。光輝性顔料は、一般的に鱗片状である。
大粒径光輝性顔料の平均粒子径(長径の平均値)は、16μm以上であってよく、18μm以上であってよい。大粒径光輝性顔料の平均粒子径は、28μm以下であってよく、25μm以下であってよい。
大粒径光輝性顔料の平均厚さは、例えば、0.01μm以上0.1μm以下である。大粒径光輝性顔料の平均厚さは、0.04μm以上であってよい。大粒径光輝性顔料の平均厚さは、0.08μm以下であってよい。
大粒径光輝性顔料は、平均粒子径が15μm以上30μm以下であれば特に限定されない。大粒径光輝性顔料は、メタリック顔料であってよく、マイカ顔料であってよく、上記した他の光輝性顔料であってよい。なかでも、大粒径光輝性顔料は鱗片状メタリック顔料および/または鱗片状マイカ顔料であってよい。平均粒子径および/または種類の異なる複数種の大粒径光輝性顔料を、組み合わせて用いてもよい。
大粒径光輝性顔料の含有量、すなわち、第2塗料組成物に含まれる樹脂の固形分に対する大粒径光輝性顔料の質量割合(PWC)は、例えば、0.05質量%以上5質量%以下である。大粒径光輝性顔料のPWCは、0.1質量%以上であってよく、0.2質量%以上であってよい。大粒径光輝性顔料のPWCは、4.5質量%以下であってよく、4質量%以下であってよい。大粒径光輝性顔料が、鱗片状アルミニウム顔料およびその他の金属製光輝性顔料である場合、そのPWCは0.05質量%以上2.5質量%以下であってよい。
小粒径マイカ顔料の質量Wmと大粒径光輝性顔料の質量Wgとの質量比:Wm/Wgは、5以上150以下であってよい。大粒径光輝性顔料が、小粒径マイカ顔料よりも十分に少ないことにより、ギラツキが抑制されて、柔らかい輝きが得られ易い。その結果、光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75の平均および標準偏差が上記範囲に収まり得る。質量比:Wm/Wgは、7以上であってよく、8以上であってよい。質量比:Wm/Wgは、130以下であってよく、125以下であってよい。大粒径光輝性顔料が、鱗片状アルミニウム顔料およびその他の金属製光輝性顔料である場合、質量比:Wm/Wgは20以上150以下であってよい。
《他の光輝性顔料》
第2塗膜は、小粒径マイカ顔料および大粒径光輝性顔料以外の光輝性顔料を含んでいてよい。他の光輝性顔料としては、例えば、上記の小粒径メタリック顔料、グラファイト顔料、ガラスフレーク顔料、および平均粒子径が15μm超の鱗片状マイカ顔料が挙げられる。
他の光輝性顔料(特に、上記の小粒径メタリック顔料)の含有量は、本開示に係る塗料組成物の効果が損なわれない範囲である。他の光輝性顔料の含有量(PWC)は、例えば、3質量%未満であってよく、1質量%以下であってよく、0質量%であってよい。
(第2塗料組成物)
第2塗料組成物は、小粒径マイカ顔料と、大粒径光輝性顔料と、第2塗膜形成樹脂とを含み得る。
第2塗膜形成樹脂としては、第1塗膜形成樹脂と同様のものが挙げられる。第1塗膜形成樹脂と第2塗膜形成樹脂とは、同種であってよく、異種であってよい。その他、第2塗料組成物は、第1塗料組成物と同様の成分を含んでいてよい。
(クリヤー塗膜)
クリヤー塗膜は、第1塗膜および第2塗膜を保護する。クリヤー塗膜は、クリヤー塗料組成物の硬化物である。
クリヤー塗膜は、硬化後の膜厚が10μm以上80μm以下であってよい。クリヤー塗膜の硬化膜厚は、20μm以上であってよい。クリヤー塗膜の硬化膜厚は、60μm以下であってよい。
クリヤー塗料組成物は、溶剤系であってよく、水性であってよく、粉体型であってよい。溶剤系クリヤー塗料組成物は、透明性あるいは耐酸エッチング性などの点から、塗膜形成樹脂としてアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂と、硬化剤としてアミノ樹脂および/またはイソシアネートと、を含んでよい。溶剤系クリヤー塗料組成物は、また、カルボン酸および/またはエポキシ基を有する、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂を含んでよい。
クリヤー塗料組成物は、透明性および本開示に係る塗料組成物の効果を損なわない範囲で、上記の各種顔料を含み得る。クリヤー塗料組成物は、必要に応じて種々の添加剤を含み得る。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、表面調整剤、ピンホール防止剤が挙げられる。
第2実施形態
本開示の他の一態様に係る複層塗膜は、第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有し、第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料(上記の小粒径メタリック顔料)を含み、第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料(上記の小粒径マイカ顔料)と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料(上記の大粒径光輝性顔料)と、を含む。第2塗膜において、鱗片状マイカ顔料の質量Wmと光輝性顔料の質量Wgとの比:Wm/Wgは、5以上150以下である。これにより、上記の光輝面積Sa15、Sa45、Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下になり得る。この複層塗膜もまた、柔らかい輝きの中に、キラッと光る煌めきを表現できる。
上記の複層塗膜の光入射角45°における粒状性値は、2以上4.5以下であり得る。上記の複層塗膜の光入射角45°および光受光角15°における明度L 15は、70以上 110以下であり得る。
第1塗膜は、典型的には、小粒径メタリック顔料と第1塗膜形成樹脂とを含む、第1塗料組成物の硬化物である。第2塗膜は、典型的には、小粒径マイカ顔料と、大粒径光輝性顔料と、第2塗膜形成樹脂とを含む、第2塗料組成物の硬化物である。各成分の詳細は、上記の通りである。
[塗装物品]
本開示に係る塗装物品は、被塗物と、被塗物上に設けられた上記の複層塗膜とを備える。具体的には、塗装物品は、被塗物と、被塗物上に設けられた上記第1塗膜と、第1塗膜上に設けられた上記第2塗膜と、第2塗膜上に設けられた上記クリヤー塗膜とを備える。上記の複層塗膜を備える塗装物品は、どの角度から見ても、柔らかい輝きおよび煌めきを有する。
(被塗物)
被塗物の材質としては、例えば、金属、プラスチック、発泡体が挙げられる。なかでも、金属(特に、鋳物)であってよく、電着塗装可能な金属であってよい。このような金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛などおよびこれらの金属を含む合金が挙げられる。
被塗物の形状は特に限定されず、平板状であってよく、立体的に成形されていてよい。被塗物として、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車車体およびその部品が挙げられる。
金属製の被塗物は、リン酸系化成処理剤、ジルコニウム系化成処理剤などを用いた化成処理、および、電着塗装が施されていてよい。電着塗料組成物は、カチオン型であってよく、アニオン型であってよい。カチオン型の電着塗料組成物は、防食性に優れた塗膜を形成することができる。
金属製の被塗物は、電着塗膜と、その上に設けられた中塗り塗膜とを備えていてよい。中塗り塗膜は、通常、複層塗膜の付着性および耐久性の向上を目的として設けられる。中塗り用の塗料組成物は、例えば、塗膜形成樹脂、硬化剤、着色顔料および体質顔料を含み得る。塗膜形成樹脂および硬化剤としては、第1塗膜形成組成物に含まれるものと同様のものが挙げられる。
[塗装物品の製造方法]
本開示に係る塗装物品の製造方法は、被塗物に、第1塗料組成物、第2塗料組成物およびクリヤー塗料組成物を順次塗装して、複層塗膜を形成することを含む。
一態様において、複層塗膜は、被塗物に第1塗料組成物および第2塗料組成物を順次塗装した後、硬化させ、その後、クリヤー塗料組成物を塗装および硬化することにより製造される。
第2塗料組成物を塗装する際、第1塗料組成物は硬化していてよく、未硬化であってよい。例えば、第1塗料組成物を塗装した後、加熱して、硬化した第1塗膜を得た後、第2塗料組成物を塗装してよい。あるいは、第1塗料組成物を塗装した後、未硬化のままの第1塗膜上に第2塗料組成物を塗装してよい。後者の場合、第1塗料組成物の塗装後、第2塗料組成物の塗装前に、プレヒートを行ってもよい。
他の一態様において、複層塗膜は、被塗物に、第1塗料組成物、第2塗料組成物およびクリヤー塗料組成物をウェットオンウェットで順次塗装した後、これら塗料組成物を一度に硬化することにより製造される。第1塗料組成物の塗装後、第2塗料組成物の塗装前に、および、第2塗料組成物の塗装後、クリヤー塗料組成物の塗装前に、プレヒートを行ってもよい。
塗装方法としては、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、エアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装(好ましくは2ステージ塗装)、エアー静電スプレー塗装と回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装が挙げられる。
各塗料組成物の硬化は、例えば、加熱温度80℃~180℃(好ましくは100℃~160℃)、加熱時間5分~60分(好ましくは10分~30分)の条件で行われる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
[アクリル樹脂エマルションの製造]
反応容器に脱イオン水633部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら80℃に昇温した。別途、スチレン(ST)75.65質量部、メチルメタクリレート(MMA)178.96質量部、n-ブチルアクリレート(BA)75.94質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)64.45質量部、およびヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)105.00質量部を混合して、1段目のモノマー混合物を調製した。次いで、このモノマー混合物と、アクアロンHS-10(ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル、第一工業製薬社製)25.00部と、アデカリアソープNE-20(α-[1-[(アリルオキシ)メチル]-2-(ノニルフェノキシ)エチル]-ω-ヒドロキシオキシエチレン、旭電化社製)25.00部と、脱イオン水400部とを混合して、モノマー乳化物を調製した。別途、過硫酸アンモニウム1.2部、および脱イオン水500部からなる開始剤溶液を調製した。上記の反応容器に、モノマー乳化物と開始剤溶液とを、1.5時間かけて並行して滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
さらに、別途、スチレン(ST)53.65質量部、メチルメタクリレート(MMA)178.96質量部、n-ブチルアクリレート(BA)75.94質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)64.45質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)105.00質量部、およびアクリル酸22質量部を混合して、2段目のモノマー混合物を調製した。次いで、このモノマー混合物と、アクアロンHS-10 10部と、脱イオン水250部とを混合して、モノマーの乳化物を調製した。別途、過硫酸アンモニウム3.0部、および脱イオン水500部からなる開始剤溶液を調製した。上記の反応容器に、モノマー乳化物と開始剤溶液とを、1.5時間かけて並行して滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
次いで、反応物を40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した。最後に、この反応物に、脱イオン水100部およびジメチルアミノエタノール1.6部を加えて、pH6.5に調整した。このようにして、平均粒子径150nm、不揮発分35%、固形分酸価20mgKOH/g、水酸基価100mgKOH/gのアクリル樹脂エマルションを得た。
[リン酸基含有有機化合物の製造]
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応容器に、エトキシプロパノール40部を仕込んだ。別途、エトキシプロパノール20部に、ホスマーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶解して、溶液を調製した。この溶液40部、スチレン4部、n-ブチルアクリレート35.96部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル酸7.67部、およびアゾビスイソブチロニトリル1.7部を混合して、モノマー溶液を調製した。上記の反応容器に、モノマー溶液121.7部を120℃で3時間かけて滴下した。さらに1時間攪拌を継続して、リン酸基含有有機化合物を得た。このようにして得られたリン酸基含有有機化合物は、酸価105mgKOH/g、リン酸基価55mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/g、数平均分子量6,000、不揮発分が63%であった。
数平均分子量の測定は、GPC装置として商品名「HLC8220GPC」(東ソー(株)製)、カラムとして商品名「Shodex F-606M」、「Shodex KF-603」(いずれも昭和電工(株)製)の4本を用いて、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:0.6cc/分、検出器:RIの条件で行った。
リン酸基含有有機化合物の酸価およびリン酸基価は、JIS K5601 2-1の酸価の定義(試料(不揮発物)1g中の遊離酸を中和するのに要する、水酸化カリウム(KOH)のmg数)に基づいて算出した。水酸基価は、JIS K0070の水酸基価の定義(試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数)に基づいて算出した。
[実施例1]
(1)第1塗料組成物の調製
上記のアクリル樹脂エマルション182部、ジメチルアミノエタノール2.2部、サイメル327(混合アルキル化型メラミン樹脂、Allnex社製、固形分90%)40部、小粒径メタリック顔料(アルミニウム、平均粒子径7μm、平均厚さ0.1μm)を樹脂固形分100質量部に対して8部、上記のリン酸基含有有機化合物5部、ラウリルアシッドフォスフェート0.4部、ブチルセロソルブ50部、ノイゲンEA-207D(両親媒性化合物、第一工業製薬社製、数平均分子量4200、固形分55%)5.5部(固形分換算で3部)、リノール酸(キシダ化学社製)3部を、均一に分散させた。この分散液に、pHが8.1となるようジメチルアミノエタノールを添加し、脱イオン水で希釈して、樹脂固形分濃度12%の水性の第1塗料組成物を調製した。
(2)第2塗料組成物の調製
上記のアクリル樹脂エマルション182部、ジメチルアミノエタノール2.2部、サイメル327(混合アルキル化型メラミン樹脂、Allnex社製、固形分90%)を40部、小粒径マイカ顔料(平均粒子径7μm、平均厚さ0.18μm)を樹脂固形分100質量部に対して27.86部、大粒径光輝性顔料(鱗片状アルミニウム顔料、平均粒子径20.2μm、平均厚さ0.36μm)を樹脂固形分100質量部に対して0.96部、上記のリン酸基含有有機化合物5部、ラウリルアシッドフォスフェート0.4部、ブチルセロソルブ50部、ノイゲンEA-207D(両親媒性化合物、第一工業製薬社製、数平均分子量4200、固形分55%)5.5部(固形分換算で3部)、リノール酸(キシダ化学社製)3部を、均一に分散させた。この分散液に、pHが8.1となるようジメチルアミノエタノールを添加し、脱イオン水で希釈して、樹脂固形分濃度15%の水性の第2塗料組成物を調製した。
(3)複層塗膜の形成
リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、縦30cm、横40cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料組成物である「パワートップU-50)」(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた。得られた塗板に、中塗り塗料組成物「OP-30P ミドルグレー」(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製、ポリエステル・メラミン系塗料、25秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に予め希釈)を、アネスト岩田製エアスプレーガンW-101-132Gを用いて乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付け硬化させた。このようにして、電着塗膜と中塗り塗膜とを有する被塗物を得た。
被塗物に、上記の第1塗料組成物を、室温23℃、湿度68%の条件下で乾燥膜厚4μmになるようにエアスプレー塗装した。4分間のセッティングを行った後、80℃で5分間のプレヒートを行って、未硬化の第1塗膜を形成した。続いて、未硬化の第1塗膜に、上記の第2塗料組成物を、室温23℃、湿度68%の条件下で乾燥膜厚12μmになるように、ウェットオンウェットでエアスプレー塗装した。4分間のセッティングを行った後、80℃で5分間のプレヒートを行って、未硬化の第2塗膜を形成した。塗装板を室温まで放冷し、クリヤー塗料としてマックフロー-O-1810(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製溶剤型クリヤー塗料)を、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装した。続いて、7分間セッティングして、未硬化のクリヤー塗膜を形成した。ついで、塗装板を乾燥機で140℃、30分間焼き付けを行って、複層塗膜を有する塗装物品を得た。
[実施例2~5,比較例1~6]
光輝性顔料の量および種類を表1に示すように変更したこと以外、実施例1と同様に第1,第2塗料組成物を調製し、塗装物品を得た。ただし、比較例1~3は、メタリックベース塗膜として1層のみ形成した。比較例1は、クリヤー塗装を形成しなかった。他の光輝性顔料として使用されたアルミニウム顔料およびマイカ顔料は、いずれも鱗片状であった。
[評価]
塗装物品に対して、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)光輝面積Sa
BYK社製の分光測色計「BYK-mac i」を用いて、複層塗膜のクリヤー塗膜側から入射角15°、45°および75°で光をそれぞれ照射し、その法線方向からCCDカメラにて撮像して、光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75を求めた。
(2)G値
BYK社製の分光測色計「BYK-mac i」を用いて、複層塗膜のクリヤー塗膜側から拡散光を照射し、その法線方向からCCDカメラにて撮像して、G値(粒子感:Graininess)を求めた。
(3)明度L 15
BYK社製の分光測色計「BYK-mac i」を用いて、複層塗膜のクリヤー塗膜側から入射角45°で光を照射し、その正反射光に対して15°の角度で受光した分光反射率から、明度L 15を求めた。
Figure 2024033974000001
実施例1~5の複層塗膜は、光輝面積Sa15、Sa45、およびSa75の平均が5以上20以下、かつ標準偏差が3以下であり、どの角度から見ても、柔らかい輝きの中に、煌めきが表現されていた。さらに、実施例1~5の複層塗膜は、G値が2以上4.5以下であって、緻密でありながら、メタリック調の質感が抑制されていた。加えて、実施例1~5の複層塗膜の明度L 15が110以下であることから、メタリック調が抑制され、柔らかい輝きが得られていることがわかる。
比較例1の塗膜は、小粒径メタリック顔料が配合されたメタリックベース塗膜を1層のみ有する。そのため、光輝面積Saの標準偏差が大きく、意匠の角度依存性が高かった。比較例2および3のメタリックベース塗膜は、小粒径および大粒径の2種類のアルミニウム顔料が配合された1層のみである。そのため、光輝面積Saの平均値および標準偏差がいずれも大きく、強いメタリック調の質感を有し、かつ意匠の角度依存性が高い。さらに、G値および明度L 15が大きく、所望の柔らかい輝きを得られなかった。比較例4および5は、2層のメタリックベース塗膜を有しているが、配合されている光輝性顔料がアルミニウムのみである。そのため、光輝面積Saの標準偏差が大きく、意匠の角度依存性が高かった。さらに、G値および明度L 15が大きく、所望の柔らかい輝きを得られなかった。一方、比較例6の2層のメタリックベース塗膜は、光輝性顔料としてマイカ顔料のみが使用されている。大粒径の光輝性顔料を含まないため、ハイライトでの煌めきが弱まって、光輝面積Sa15が小さくなった。その結果、光輝面積の標準偏差が大きくなって、意匠の角度依存性がみられた。また、G値が過度に小さくなって、メタリック調が強調され、所望の柔らかい輝きを得られなかった。
本開示は以下の態様を含む。
[1]
第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有する複層塗膜であって、
前記第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
前記第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
前記複層塗膜の光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下である、複層塗膜。
[2]
前記複層塗膜の粒状性値が、2以上4.5以下である、上記[1]の複層塗膜。
[3]
前記第2塗膜において、前記鱗片状マイカ顔料の質量Wmと前記光輝性顔料の質量Wgとの比:Wm/Wgは、5以上150以下である、上記[1]または[2]の複層塗膜。
[4]
前記複層塗膜の光入射角45°および光受光角15°における明度L 15が、70以上 110以下である、上記[1]~[3]のいずれかの複層塗膜。
[5]
被塗物と
前記被塗物上に設けられた、上記[1]~[4]のいずれかの複層塗膜と、を有する塗装物品。
[6]
被塗物に、第1塗料組成物、第2塗料組成物およびクリヤー塗料組成物を順次塗装して、複層塗膜を形成することを含む、塗装物品の製造方法であって、
前記第1塗料組成物は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
前記第2塗料組成物は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
前記複層塗膜の光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下である、塗装物品の製造方法。
[7]
第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有する複層塗膜であって、
前記第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
前記第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
前記第2塗膜において、前記鱗片状マイカ顔料の質量Wmと前記光輝性顔料の質量Wgとの比:Wm/Wgは、5以上150以下である、複層塗膜。
[8]
被塗物と
前記被塗物上に設けられた、上記[7]の複層塗膜と、を有する塗装物品。
[9]
被塗物に、第1塗料組成物、第2塗料組成物およびクリヤー塗料組成物を順次塗装して、第1塗膜と第2塗膜とクリヤー塗膜とを有する複層塗膜を形成することを含む、塗装物品の製造方法であって、
前記第1塗料組成物は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
前記第2塗料組成物は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
前記第2塗膜において、前記鱗片状マイカ顔料の質量Wmと前記光輝性顔料の質量Wgとの比:Wm/Wgは、5以上150以下である、塗装物品の製造方法。
本開示の複層塗膜は、どの角度から見ても、柔らかい輝きおよび煌めきが表現されているため、種々の被塗物に新しい意匠を付与することができる。

Claims (7)

  1. 第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有する複層塗膜であって、
    前記第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
    前記第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
    前記複層塗膜の光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下である、複層塗膜。
  2. 前記複層塗膜の粒状性値が、2以上4.5以下である、請求項1に記載の複層塗膜。
  3. 前記第2塗膜において、前記鱗片状マイカ顔料の質量Wmと前記光輝性顔料の質量Wgとの比:Wm/Wgは、5以上150以下である、請求項1または2に記載の複層塗膜。
  4. 前記複層塗膜の光入射角45°および光受光角15°における明度L 15が、70以上110以下である、請求項1または2に記載の複層塗膜。
  5. 被塗物と
    前記被塗物上に設けられた、請求項1または2に記載の複層塗膜と、を有する塗装物品。
  6. 被塗物に、第1塗料組成物、第2塗料組成物およびクリヤー塗料組成物を順次塗装して、複層塗膜を形成することを含む、塗装物品の製造方法であって、
    前記第1塗料組成物は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
    前記第2塗料組成物は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
    前記複層塗膜の光入射角15°における光輝面積Sa15、光入射角45°における光輝面積Sa45、および光入射角75°における光輝面積Sa75は、平均が5以上20以下であり、標準偏差が3以下である、塗装物品の製造方法。
  7. 第1塗膜、第2塗膜およびクリヤー塗膜をこの順に有する複層塗膜であって、
    前記第1塗膜は、平均粒子径が3μm以上13μm以下の鱗片状メタリック顔料を含み、
    前記第2塗膜は、平均粒子径が3μm以上15μm未満の鱗片状マイカ顔料と、平均粒子径が15μm以上30μm以下の光輝性顔料と、を含み、
    前記第2塗膜において、前記鱗片状マイカ顔料の質量Wmと前記光輝性顔料の質量Wgとの比:Wm/Wgは、5以上150以下である、複層塗膜。
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