JP2024033923A - 粘着剤組成物、粘着剤及び粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物、粘着剤及び粘着シート Download PDF

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一樹 野原
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Abstract

【課題】一次硬化後の低架橋状態において優れた粘着物性が得られ、完全硬化後においても優れた粘着物性及び信頼性が得られる粘着剤組成物を提供すること。【解決手段】アクリル系樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有し、前記アクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位、及び、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が0℃未満であり、かつ分岐構造を含むアルキル基を有する分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)由来の構造単位を含有し、前記アクリル系樹脂(A)の動的粘弾性に基づくガラス転移温度が、-10℃以上であり、前記アクリル系樹脂(A)のGPCで測定される重量平均分子量をM、130℃溶融粘度(Pa・s)をVとしたとき、V/M≦0.0035を満たすことを特徴とする粘着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物、粘着剤及び粘着シートに関する。
近年、テレビやパソコン用モニター、ノートパソコンや携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル機器において、ディスプレイと位置入力装置を組み合わせたタッチパネルが広く用いられている。なかでも、静電容量式タッチパネルが一般的に普及している。
タッチパネルは、通常、有機EL又は液晶からなるディスプレイ、透明電導膜基板(ITO基板)、保護フィルム(保護ガラス)から構成される。これらのタッチパネルの部材の貼り合せには透明粘着シートが用いられている。
有機EL等のフレキシブルデバイスからなるディスプレイは、その特徴から平面、曲面さらには折り畳み式や巻き取り式まで様々な形状のディスプレイに使用することが可能である。曲面などの複雑な形状のディスプレイから構成される積層体を貼り合わせる透明粘着シートにおいては様々な形状の部材を貼り合わせる必要があるため、透明粘着シート用の粘着剤は完全硬化する前の低架橋状態において貼り合わせられる。そのため、低架橋状態の粘着層を完全硬化させるまでの工程において、十分な粘着物性が要求される。
例えば、複雑形状の部材に貼り合わせる場合においては、目的とする箇所以外への透明粘着シートの貼りつき等による貼り合わせ不良が発生しやすい。そのため、タック性が低い透明粘着シートの要求がある。
また、複雑形状の部材同士を固定するためには、応力がかかった状態で部材から透明粘着シートの剥がれを抑制することが求められる。そのため、低架橋状態においても定荷重保持力が高い透明粘着シートの要求もある。
加えて、完全硬化後の粘着層においては、通常の粘着力等の粘着物性のみならず、偏光板やガラス等様々な部材を貼合した際の信頼性においても優れた性能が求められる。例えば、完全硬化後の優れた耐久性を得るためには、被着体に貼合するまでは低架橋度であることが求められ、また、完全硬化時に効率的に架橋度を上げることが求められる。
そこで、低架橋状態で被着体に貼合することで十分に被着体に密着することが可能となると期待される。さらに、低架橋状態で被着体に貼合した状態で完全硬化することで粘着シートが高架橋度になり、耐久性が向上すると期待される。
一般的に一次硬化では熱架橋又は活性エネルギー線の照射により架橋して硬化し、完全硬化では活性エネルギー線の照射により架橋して硬化する。かかる多段硬化性の粘着剤を用いた粘着シートとして、例えば特許文献1~3に記載の粘着シートが挙げられる。
特許文献1には、アクリル系樹脂からなる溶剤系の粘着剤に、一般の乾燥条件において揮発しやすい有機溶剤をさらに用いると共に、揮発しにくいエチレン性不飽和モノマーを特定割合で配合することにより、厚塗り塗工が可能であり、綺麗な塗膜表面の粘着剤層が得られることが開示されている。
また、特許文献2には、架橋剤を使用せず溶剤型アクリル酸エステル系粘着剤の3次元網目構造を形成するために、水素引抜型光重合開始剤を用い、塗工乾燥工程の後に光照射することでエージング工程を省略することが開示されている。
さらに特許文献3には、ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂を用いることで、段差追従性と耐ブリスター性の高い粘着剤が得られることが開示されている。
特開2012-111939号公報 特開2017-210542号公報 国際公開第2017/022770号
しかしながら特許文献1~3のいずれにおいても、一次硬化時の低架橋状態における粘着物性について考慮されていない。そのため、一次硬化時の低架橋状態における粘着物性が不十分となることがあるため、改良の余地がある。
本発明は、多段硬化させるために用いることができる粘着剤組成物であって、一次硬化後の低架橋状態において優れた粘着物性が得られ、完全硬化後においても優れた粘着物性及び信頼性が得られる粘着剤組成物;前記粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤;及び前記粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着シートを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、特定組成の共重合成分を用いて得られるアクリル系樹脂と光重合開始剤を含有する粘着剤組成物を用いることで、一次硬化後の低架橋状態においてもタック性が低く、定荷重保持力が高いといった優れた粘着物性を実現でき、しかも完全硬化後の優れた粘着物性及び信頼性も実現できることを見出した。
すなわち、本発明は、アクリル系樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有し、
前記アクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位、及び、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が0℃未満であり、かつ分岐構造を含むアルキル基を有する分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)由来の構造単位を含有し、
前記アクリル系樹脂(A)の動的粘弾性に基づくガラス転移温度が、-10℃以上であり、
前記アクリル系樹脂(A)のGPCで測定される重量平均分子量をM、130℃溶融粘度(Pa・s)をVとしたとき、V/M≦0.0035を満たすことを特徴とする粘着剤組成物に関する。
本発明によれば、多段硬化させるために用いることができる粘着剤組成物であって、一次硬化後の低架橋状態において優れた粘着物性が得られ、完全硬化後においても優れた粘着物性及び信頼性が得られる粘着剤組成物;前記粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤;及び前記粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着シートが提供される。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
また、本明細書における下記の用語の意味を以下に示す。
「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。
「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
「アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも1種含有するモノマー成分を重合して得られる樹脂である。
「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含する用語である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<粘着剤組成物>
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)と光重合開始剤(B)とを含有する。本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、光重合開始剤(B)に加えて、架橋剤(C)、シランカップリング剤(D)、カルボジイミド系化合物(E)、その他の任意成分を必要に応じてさらに含有してもよい。
以下、各成分について順に説明する。
(アクリル系樹脂(A))
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位、及び、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が0℃未満であり、かつ分岐構造を含むアルキル基を有する分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)由来の構造単位を含有し、必要に応じてほかの共重合成分由来の構造単位を有してもよい。
また、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)と、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が0℃未満であり、かつ分岐構造を含むアルキル基を有する分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)と、必要に応じて用いるその他の共重合成分の重合生成物である。
共重合成分は、重合性二重結合を有するモノマー成分の総称である。共重合成分には、重合開始剤、重合溶媒を含めないものとする。
〔水酸基含有モノマー(a1)〕
本発明で用いられる水酸基含有モノマー(a1)は、1又は2以上の水酸基、及びエチレン性不飽和基を含有する。水酸基含有モノマー(a1)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー;その他、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
なかでも、完全硬化時に効率よく硬化可能な点で、1級水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましい。
〔ガラス転移温度が0℃未満の分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)〕
分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、水酸基を有しない。
本発明で用いられる分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)のホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(以下「Tg」と表記する。)は、0℃未満であり、好ましくは-80~-20℃であり、より好ましくは-75~-30℃、さらに好ましくは-70~-40℃である。
かかるTgが範囲内であると、本願発明の効果がさらに高まる。
なお、分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)のホモポリマーを形成した際のTgは、Wiley出版「POLYMER HANDBOOK」等に記載されている標準的な分析値を採用することができる。
本発明で用いられる分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、分岐構造として3級炭素を2つ以上含むアルキル基を有する多分岐構造含有アルキル(メタ)アクリレート(a2-1)を含むことが好ましい。
かかる多分岐構造含有アルキル(メタ)アクリレート(a2-1)としては、例えば、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なかでも完全硬化時における活性エネルギー線硬化性が優れる点から、イソデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
これらから選ばれる1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、多分岐構造含有アルキル(メタ)アクリレート(a2-1)以外の分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2-2)を含んでもよい。
分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2-2)としては、例えば、イソブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニルアクリレート等を挙げることができる。なかでも粘着物性の点から、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
これらから選ばれる1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
〔ガラス転移温度が0℃以上のアルキル(メタ)アクリレート(a3)〕
本発明で用いるアクリル系樹脂(A)は、ホモポリマーを形成した際のTgが0℃以上のアルキル(メタ)アクリレート(a3)(ただし、水酸基含有モノマー(a1)を除く。)由来の構成単位を含有してもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(a3)としては、例えば、メチルアクリレート(Tg=8℃)、メチルメタクリレート(Tg=105℃)、エチルメタクリレート(Tg=65℃)、n-ブチルメタクリレート(Tg=20℃)、イソブチルメタクリレート(Tg=48℃)、t-ブチルアクリレート(Tg=14℃)、t-ブチルメタクリレート(Tg=107℃)、シクロヘキシルアクリレート(Tg=15℃)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg=65℃)、イソボルニルアクリレート(Tg=97℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg=180℃)等を挙げることができる。これらから選ばれる1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
完全硬化時に活性エネルギー線で効率よく硬化可能であり、かつタック性を低くすることが可能な点で、アルキル(メタ)アクリレート(a3)として分岐アルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。なかでも、イソブチルメタクリレートが好ましい。
〔多官能(メタ)アクリレート(a4)〕
本発明で用いるアクリル系樹脂(A)は、1分子内に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能(メタ)アクリレート(a4)由来の構成単位を含有してもよい。
多官能(メタ)アクリレート(a4)としては、例えば、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートや、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物を用いることができる。
上記2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
上記3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらから選ばれる1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
なかでも、重合中のポリマー間架橋によるゲル化を制御が容易な点で、2官能(メタ)アクリレートが好ましい。
2官能(メタ)アクリレートのなかでも、ポリマー主鎖の分岐による溶融粘度低下が顕著に得られる点や重合時の反応安定性の点で、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
〔エチレン性不飽和モノマー(a5)〕
本発明で用いるアクリル系樹脂(A)は、必要に応じて、水酸基含有モノマー(a1)、分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)、アルキル(メタ)アクリレート(a3)及び多官能(メタ)アクリレート(a4)を除くその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a5)由来の構成単位をさらに含有してもよい。
その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a5)としては、例えば、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー;シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)アクリレート等の脂環含有モノマー;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有モノマー;(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート等のアクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、N-グリコール酸、ケイ皮酸等のカルボキシ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン含有モノマー;その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマー(a5)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔アクリル系樹脂(A)の組成〕
アクリル系樹脂(A)の水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)全体(100重量%)に対し、好ましくは5~25重量%であり、特に10~23重量%が好ましく、15~20重量%がさらに好ましい。水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位の含有量が少なすぎると、完全硬化後の耐湿熱性や高温での信頼性が低下する傾向がある。水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位の含有量が多すぎると、水素結合が強くなる影響により粘度が上昇し加工適正が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)の分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)全体(100重量%)に対し、好ましくは20~70重量%であり、より好ましくは30~65重量%、さらに好ましくは40~60重量%である。かかる含有量が少なすぎると、完全硬化時における活性エネルギー線硬化性が低下する傾向があり、含有量が多すぎると、一次硬化時のタック性等の粘着物性が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)の多分岐構造含有アルキル(メタ)アクリレート(a2-1)由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)全体(100重量%)に対し、好ましくは5~50重量%であり、より好ましくは7.5~45重量%、さらに好ましくは10~40重量%である。かかる含有量が少なすぎると、応力がかかる状態で部材から剥がれやすくなる傾向があり、含有量が多すぎると、完全硬化後の粘着物性が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)の分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2-2)由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)全体(100重量%)に対し、好ましくは5~50重量%であり、より好ましくは7.5~45重量%、さらに好ましくは10~40重量%である。かかる含有量が少なすぎると、活性エネルギー線による硬化不足により完全硬化後の粘着物性が低下する傾向があり、含有量が多すぎると、一次硬化時のタック性等の粘着物性が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)中の多分岐構造含有アルキル(メタ)アクリレート(a2-1)由来の構造単位と分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2-2)由来の構造単位との含有割合(a2-1:a2-2)は、重量比で、好ましくは100:125~100:700であり、より好ましくは100:150~100:500、さらに好ましくは100:175~100:400である。含有割合がかかる範囲内であれば、完全硬化時の活性エネルギー線硬化性と粘着物性のバランスに優れる傾向があり、範囲外であれば、活性エネルギー線硬化性の低下や粘着物性が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)がアルキル(メタ)アクリレート(a3)由来の構造単位を含む場合、アルキル(メタ)アクリレート(a3)由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)全体(100重量%)に対し、好ましくは5~50重量%であり、より好ましくは20~45重量%、さらに好ましくは25~40重量%である。かかる含有量が少なすぎると、一次硬化時のタック性等の粘着物性が低下する傾向があり、含有量が多すぎると、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が過度に上がるため、一次硬化時において被着体への密着性が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)が多官能(メタ)アクリレート(a4)由来の構造単位を含む場合、多官能(メタ)アクリレート(a4)由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)全体(100重量%)に対し、好ましくは0.0001~1.0重量%であり、より好ましくは0.001~0.5重量%、さらに好ましくは0.01~0.1重量%である。かかる含有量が少なすぎると、溶融粘度が上昇したり、一次硬化時のリワーク性が悪化する傾向があり、含有量が多すぎると、重合中のポリマー間の架橋によるゲル化により溶融粘度が上昇したり、アクリル系樹脂(A)の製造が困難になる傾向がある。
アクリル系樹脂(A)がエチレン性不飽和モノマー(a5)由来の構造単位を含む場合、エチレン性不飽和モノマー(a5)由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)全体(100重量%)に対し、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。エチレン性不飽和モノマー(a5)の含有量が多すぎると粘着物性のバランスが悪化する傾向がある。
〔アクリル系樹脂(A)の物性〕
アクリル系樹脂(A)の動的粘弾性に基づくTg、すなわち動的粘弾性の損失正接が最大となる温度は、-10℃以上であり、-5~20℃が好ましく、より好ましくは-2~15℃、特に好ましくは0~13℃である。
アクリル系樹脂(A)の動的粘弾性の損失正接が最大となる温度が高すぎると、粘着剤層の段差追従性の低下や密着性の低下に伴って粘着力が低下する傾向がある。アクリル系樹脂(A)の動的粘弾性の損失正接が最大となる温度が低すぎると、一次硬化時の低架橋状態において粘着物性が低下する傾向がある。
動的粘弾性に基づくTgは、下記の測定法により求められる。
適当な有機溶媒を添加することにより本発明のアクリル系樹脂(A)と有機溶媒のみを含有するアクリル系樹脂溶液を作成する。アクリル系樹脂溶液の濃度を調整した後、離型シート上に乾燥後の厚みが50μmになるように塗工する。その後、90~105℃、5~10分間加熱処理等により乾燥させることで、有機溶媒を除去した後、これを離型シートに貼付し、アクリル系樹脂(A)を99重量%以上含有するアクリル系樹脂シートを作成する。その後、複数のアクリル系樹脂シートを積層して、厚さ約800μmのアクリル系樹脂シートを作成する。
作製したシートの動的粘弾性を以下の条件にて測定し、損失正接(損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’=tanδ)が最大となった温度を読み取り、動的粘弾性に基づくアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度とする。
(動的粘弾性の測定条件)
測定機器:動的粘弾性測定装置(商品名:DVA-225、アイティー計測制御社製)
変形モード:せん断
歪み:0.1%
測定温度:-100~60℃
測定周波数:1Hz
これに対し、計算ガラス転移温度(計算Tg)は下記のFoxの式より算出されるものである。本発明における「アクリル系樹脂(A)の動的粘弾性に基づくTg」は計算Tgとは異なる。
Figure 2024033923000001
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:共重合体中のモノマーA由来の構成単位の重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:共重合体中のモノマーB由来の構成単位の重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:共重合体中のモノマーN由来の構成単位の重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、50,000~500,000が好ましく、100,000~400,000がより好ましく、150,000~350,000がさらに好ましい。アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が大きすぎると粘度が高くなりすぎて、塗工性やハンドリングが低下する傾向がある。アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が小さすぎると凝集力が低下し、粘着物性が低下したり、完全硬化後の耐久性が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、製造完了時の重量平均分子量である。重量平均分子量は、製造後に加熱等がされていないアクリル系樹脂(A)について測定される。
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量である。重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters2695(本体)」と「Waters2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100~2×10、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本を直列にして用いることにより測定される。
数平均分子量も同様の方法を用いて測定することができる。また、分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、15以下が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは7以下、特に好ましくは5以下である。アクリル系樹脂(A)の分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向がある。アクリル系樹脂(A)の分散度が低すぎると取り扱い性が低下する傾向がある。分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
本発明のアクリル系樹脂(A)は、実質的に溶剤を含有しない無溶剤型アクリル系樹脂であることが好ましく、より好ましくはアクリル系樹脂(A)の溶剤含有量が2重量%以下であり、更に好ましくは0.00001~2重量%、殊に好ましくは0.0001~1重量%、最も好ましくは0.001~0.1重量%である。溶剤含有量が多すぎると、気泡が発生し、完全硬化後の耐久性が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)の130℃溶融粘度は、50~1500Pa・sが好ましく、75~850Pa・sがより好ましく、100~600Pa・sがさらに好ましい。アクリル系樹脂(A)の130℃溶融粘度が大きすぎると粘度が高すぎるため、加工適正が低下する傾向がある。アクリル系樹脂(A)の130℃溶融粘度が小さすぎると分子量の低下に伴い完全硬化後の信頼性が低下する傾向がある。
アクリル系樹脂(A)の130℃溶融粘度は、無溶剤化したアクリル系樹脂(A)を用い、回転レオメータにより、以下条件で測定される。
・測定機器:MCR301(Anton Paar社製)
・コーンプレート直径:25mm
・測定距離:0.5mm
・測定せん断速度:0.002(1/S)
・測定温度:130℃
アクリル系樹脂(A)において、重量平均分子量(Mw)をM、アクリル系樹脂(A)の130℃溶融粘度(Pa・s)をVとしたとき、V/Mは、同じ分子サイズ(慣性半径)を有するポリマー同士のゼロ剪断粘度を比較することが可能な値である。
また絡み合い点間分子量からその10倍の分子量を有するポリマーは、ポリマー鎖の分岐数が多いほどゼロ剪断粘度が低いことが知られている。そのため一定範囲内の組成・ガラス転移温度を有するアクリル系樹脂(A)のV/Mが低い値であることはポリマー鎖の分岐数が多いことを示す。
V/Mは、0.0035以下であり、好ましくは0.0025以下、より好ましくは0.002以下、さらに好ましくは0.0015以下である。
V/Mが高すぎると、一次硬化後のリワーク性悪化や、加工適正の低下、完全硬化後に耐久性が低下する傾向がある。
〔アクリル系樹脂(A)の製造方法〕
アクリル系樹脂(A)は、上述した水酸基含有モノマー(a1)、分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)、及び必要に応じて用いるアルキル(メタ)アクリレート(a3)、多官能(メタ)アクリレート(a4)、エチレン性不飽和モノマー(a5)(以下、これらをまとめて共重合成分(a)ともいう。)を重合させることで製造できる。
アクリル系樹脂(A)の重合方法としては、例えば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の重合方法が挙げられる。反応の安全性及び安定性、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂(A)を製造できる点で溶液重合が好ましい。
以下、アクリル系樹脂(A)の好ましい製造方法の一例を示す。
まず、有機溶媒中に、共重合成分(a)、重合開始剤を混合又は滴下し、溶液重合を行う。
重合反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類;塩化メチレン、塩化エチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が挙げられる。
これらの有機溶媒のなかでも、エステル類、ケトン類が好ましく、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンが特に好ましい。
有機溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合反応に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤等を用いることができる。
アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、(1-フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ヘキシルペルオキシピバレート、tert-ヘキシルペルオキシネオデカノエート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド等が挙げられる。
なかでもアゾ系重合開始剤が好ましく、より好ましくは2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)である。
重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は共重合成分(a)100重量部に対して、通常0.001~10重量部であり、好ましくは0.1~8重量部、より好ましくは0.5~6重量部、特に好ましくは1~4重量部、さらに好ましくは1.5~3重量部、最も好ましくは2~2.5重量部である。重合開始剤の使用量が少なすぎると、アクリル系樹脂(A)の重合率が低下し、残存モノマーが増加する傾向がある。また、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が高くなる傾向がある。重合開始剤の使用量が多すぎると、アクリル系樹脂(A)がゲル化する傾向がある。
溶液重合の重合条件については特に限定されず、従来公知の重合条件にしたがって重合することができる。例えば、有機溶媒中に、共重合成分(a)、重合開始剤を混合又は滴下して重合することができる。
重合反応における重合温度は、通常40~120℃であるが、本発明においては、安定的に反応できる点から50~90℃が好ましい。重合温度が高すぎるとアクリル系樹脂(A)がゲル化しやすくなる傾向があり、低すぎると重合開始剤の活性が低下するため、重合率が低下し、残存モノマーが増加する傾向がある。
重合反応における重合時間は特に制限はないが、最後の重合開始剤の添加から0.5時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、特に好ましくは5時間以上である。
重合反応は、除熱しやすい点で溶媒を還流しながら行うことが好ましい。
本発明で用いるアクリル系樹脂(A)は、溶剤を含まない無溶剤型のアクリル系樹脂であることが好ましいことから、ついでアクリル系樹脂溶液から溶剤の留去を行ってもよい。
アクリル系樹脂溶液から溶剤を留去する工程は、公知一般の方法で行うことができる。溶剤を留去する方法としては、例えば、加熱することにより溶剤を留去する方法や、減圧することにより溶剤を留去する方法等があるが、溶剤の留去を効率的に行う点から、減圧下で加熱することにより留去する方法が好ましい。
加熱して溶剤を留去する場合の温度としては、60~200℃で行うことが好ましく、特には、アクリル系樹脂を重合した後の反応溶液を60~80℃で保持して溶剤を留出させ、次いで、80~170℃で溶剤を留出させることが、残存溶剤量を極めて少なくする点で好ましい。なお、アクリル系樹脂のゲル化を抑制する点から、溶剤留去の際は170℃を超える温度で行わないことが好ましい。
減圧して溶剤を留去する場合の圧力としては、20~101.3kPaで行うことが好ましく、特には、50~101.3kPaの範囲で保持して反応溶液中の溶剤を留出させた後、0~50kPaで残存溶剤を留出させることが、残存溶剤量を極めて少なくする点で好ましい。
かくして本発明に用いるアクリル系樹脂(A)を製造することができる。
(光重合開始剤(B))
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)のほかに光重合開始剤(B)を含有する。
光重合開始剤(B)は、分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)と分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)を含有することが好ましい。
光重合開始剤(B)は、発明の効果を損なわない範囲内であれば、分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)及び分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)以外の他の光重合開始剤(b3)をさらに含有してもよい。
〔分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)〕
分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)は光重合開始剤自身の水素を引き抜くことでラジカルを発生させることが可能な構造を有しており、具体的にはフェニルグリオキシレート構造等である。
分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)としては、例えば、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、フェニルグリオキシル酸メチル等が挙げられる。
これらの中でも完全硬化時の架橋効率の点で、分子内に架橋点が複数存在するオキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルが好ましい。
また、市販品としては、IGM RESINS B.V.社製の「Omnirad MBF」、「Omnirad 754」が挙げられる。
分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)〕
分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)は、光重合開始剤自身以外から水素を引き抜くことでラジカルを発生させることが可能な構造を有しており、具体的にはベンゾフェノン構造等である。
例えば、ベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、カルボキシメトキシメトキシベンゾフェノン-ポリエチレングリコール250ジエステル、2-ベンゾイル安息香酸メチル、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
これらのなかでも低粘度の液体であり、取り扱いが容易である点で、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンが好ましい。また高架橋が可能な点で、分子内に架橋点が複数存在する4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、カルボキシメトキシメトキシベンゾフェノン-ポリエチレングリコール250ジエステルが好ましい。
また、市販品としては、新菱社製の「MBP」、IGM RESINS B.V.社製の「OmniradBP」、「Omnirad 4MBZ」、「Esacure TZT」、「Omnipol BP」が挙げられる。
分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔他の光重合開始剤(b3)〕
他の光重合開始剤(b3)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類が挙げられる。
他の光重合開始剤(b3)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(B)の助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
光重合開始剤(B)の助剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(架橋剤(C))
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)及び光重合開始剤(B)に加えて、架橋剤(C)をさらに含有することが好ましい。
架橋剤(C)としては、活性エネルギー線架橋剤(c1)、熱架橋剤(c2)が挙げられる。活性エネルギー線架橋剤(c1)、熱架橋剤(c2)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤(C)として活性エネルギー線架橋剤(c1)のみを含有する場合は、活性エネルギー線量を制御することのみで多段硬化が可能となる。また架橋剤(C)として活性エネルギー線架橋剤(c1)と熱架橋剤(c2)とを含有する場合は、熱硬化と活性エネルギー線硬化を併用することでも多段硬化が可能となる。
このように架橋反応を制御することで、粘着剤層全体の凝集力を調整し、一次硬化後や完全硬化後において安定した粘着物性を得ることができる。
〔活性エネルギー線架橋剤(c1)〕
活性エネルギー線架橋剤(c1)としては、1分子内に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能性架橋剤が挙げられる。
例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)ペンタメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、硬化後の粘着物性のバランスの点で、2つのエチレン性不飽和基を含有する(メタ)アクリレートが好ましく、特には、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能性架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔熱架橋剤(c2)〕
熱架橋剤(c2)は、主としてアクリル系樹脂(A)の構成モノマーである官能基含有モノマー由来の官能基と反応することで、優れた粘着力を発揮できる。例えば、イソシアネート系架橋剤(c2-1)、エポキシ系架橋剤(c2-2)、アジリジン系架橋剤(c2-3)、メラミン系架橋剤(c2-4)、アルデヒド系架橋剤(c2-5)、アミン系架橋剤(c2-6)、金属キレート系架橋剤(c2-7)が挙げられる。これらのなかでも、基材との密着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性の点で、イソシアネート系架橋剤(c2-1)が好適に用いられる。
熱架橋剤(c2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート系架橋剤(c2-1)としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート系化合物、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート系化合物、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族イソシアネート系化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のヘキサメチレンジイソシアネート系化合物やリジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート系化合物;イソホロンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート系化合物;及びこれらのイソシアネート系化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体;これらイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体;等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤(c2-1)のなかでも、反応性に優れる点からは芳香族イソシアネート系化合物を用いることが好ましく、特に好ましくはトリレンジイソシアネート系化合物である。また、黄変を抑制する点からは脂肪族イソシアネート系化合物を用いることが好ましく、特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート系化合物である。
エポキシ系架橋剤(c2-2)としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤(c2-3)としては、例えば、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
メラミン系架橋剤(c2-4)としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
アルデヒド系架橋剤(c2-5)としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
アミン系架橋剤(c2-6)としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤(c2-7)としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
(シランカップリング剤(D))
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、光重合開始剤(B)及び架橋剤(C)以外の化合物としてシランカップリング剤(D)をさらに含有することが耐久性を向上させる点で好ましい。
シランカップリング剤(D)は、その構造中に、反応性官能基と、ケイ素原子に結合したアルコキシ基とをそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物である。シランカップリング剤(D)としては、モノマー型とオリゴマー型が挙げられる。
シランカップリング剤(D)中の反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基等が挙げられる。これらのなかでも、耐久性、リワーク性に優れる点からエポキシ基、メルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤(D)中の反応性官能基の含有割合としては、3,000g/mol以下が好ましく、1,500g/mol以下がより好ましく、1000g/mol以下がさらに好ましい。反応性官能基が前記数値範囲内であると、耐久性及びリワーク性のバランスが向上する。シランカップリング剤(D)中の反応性官能基の含有割合の下限値は、200g/molである。
シランカップリング剤(D)中のケイ素原子に結合したアルコキシ基としては、耐久性と保存安定性の点から、炭素数1~8のアルコキシ基が好ましい。なかでもメトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
シランカップリング剤(D)は、反応性官能基及びケイ素原子と結合したアルコキシ基以外の有機官能基、例えば、アルキル基、フェニル基等を有していてもよい。
シランカップリング剤(D)としては例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(グリシジル)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、耐熱性の点からγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤(D)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(カルボジイミド系化合物(E))
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、光重合開始剤(B)、架橋剤(C)及びシランカップリング剤(D)以外の化合物としてカルボジイミド系化合物(E)をさらに含有することが耐熱性の点から好ましい。
カルボジイミド系化合物(E)としては、例えば、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t-ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ-t-ブチルカルボジイミド、ジドデシルカルボジイミド等のモノカルボジイミド、カルボジイミドが複数存在するポリカルボジイミドや環状カルボジイミド等が挙げられる。なかでも、耐熱性の点から、モノカルボジイミド系化合物が好ましく、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドがより好ましい。
カルボジイミド系化合物(E)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(任意成分)
本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、その他の任意成分としての粘着剤を含有してもよい。本発明の粘着剤組成物は、架橋促進剤、帯電防止剤、粘着付与剤、機能性色素等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
(粘着剤組成物の組成)
アクリル系樹脂(A)の含有量は、粘着剤組成物全体に対して80重量%以上が好ましく、90~99.9重量%がより好ましく、92~99.9重量%がさらに好ましい。アクリル系樹脂(A)の含有量が前記数値範囲内であると、一次硬化後の低架橋状態において優れた粘着物性が得られやすい。
光重合開始剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1~5.0重量部が好ましく、0.5~4.0重量部がより好ましく、1.0~3.0重量部がさらに好ましい。光重合開始剤(B)の含有量が前記数値範囲内であると、完全硬化を行う際に十分な硬化性を得ることができる。
分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1~5.0重量部が好ましく、0.5~3.0重量部がより好ましい。
分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)の含有量が多すぎると湿熱耐久後に変色しやすい傾向がある。分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)の含有量が少なすぎると架橋度が上がらないことに起因して一次硬化時の粘着物性や、完全硬化後の耐久性が悪化する傾向がある。
分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.1~3.0重量部が好ましく、0.5~2.0重量部がより好ましい。
分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)の含有量が多すぎるとブリードアウトにより耐久性が悪化する傾向がある。分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)の含有量が少なすぎると架橋度が上がらないことに起因して一次硬化時の粘着物性や、完全硬化後の耐久性が悪化する傾向がある。
光重合開始剤(B)が他の光重合開始剤(b3)を含有する場合、光重合開始剤(b3)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して2.0重量部以下が好ましく、1.0重量部以下がより好ましい。
粘着剤組成物が架橋剤(C)を含有する場合、架橋剤(C)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常20重量部以下が好ましく、0.001~10重量部がより好ましく、0.1~7.5重量部がさらに好ましい。架橋剤(C)の含有量が多すぎると、粘着力が低下する傾向がある。架橋剤(C)の含有量が少なすぎると、耐久性が低下する傾向がある。
粘着剤組成物が活性エネルギー線架橋剤(c1)を含有する場合、活性エネルギー線架橋剤(c1)の含有量は、通常は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~20重量部が好ましく、0.1~10重量部がより好ましく、0.5~7.5重量部がさらに好ましい。
活性エネルギー線架橋剤(c1)の含有量が少なすぎると、凝集力が不足し、充分な耐久性が得られない傾向がある。活性エネルギー線架橋剤(c1)の含有量が多すぎると一次硬化時における粘着物性が低下する傾向がある。
粘着剤組成物が熱架橋剤(c2)を含む場合、熱架橋剤(c2)の含有量は、通常は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.001~5重量部が好ましく、0.02~1重量部がより好ましく、0.05~0.5重量部がさらに好ましい。
熱架橋剤(c2)の含有量が少なすぎると、凝集力が不足し、一次硬化時において粘着物性が低下する傾向がある。熱架橋剤(c2)の含有量が多すぎると完全硬化時において粘着力が低下する傾向がある。
粘着剤組成物がシランカップリング剤(D)を含有する場合、シランカップリング剤(D)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.001~3重量部が好ましく、0.005~1重量部がより好ましく、0.01~0.5重量部がさらに好ましく、0.015~0.3重量部が特に好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量が少なすぎると耐久性を向上させる効果が得られにくい傾向がある。シランカップリング剤(D)の含有量が多すぎるとブリードアウト等の影響で粘着力が低下する傾向がある。
粘着剤組成物がカルボジイミド系化合物(E)を含有する場合、カルボジイミド系化合物(E)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.01~10重量部が好ましく、0.1~5重量部がより好ましく、0.2~2重量部がさらに好ましく、0.3~1重量部が特に好ましい。
カルボジイミド系化合物(E)の含有量が少なすぎるとアクリル系樹脂(A)の熱安定性が低下する傾向がある。カルボジイミド系化合物(E)の含有量が多すぎるとブリードアウト等の影響で耐久性が低下する傾向がある。
粘着剤組成物が他の粘着剤や添加剤を含有する場合、他の粘着剤や添加剤の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。
(粘着剤組成物の調製)
アクリル系樹脂(A)、光重合開始剤(B)、必要に応じて、架橋剤(C)、シランカップリング剤(D)、カルボジイミド系化合物(E)、その他の任意成分を混合することにより本発明の粘着剤組成物を得ることができる。混合方法については、特に限定されるものではなく、各成分を一括で混合する方法や、任意の成分を混合した後、残りの成分を一括又は順次混合する方法等、種々の方法を採用することができる。
(用途)
本発明の粘着剤組成物は、複数の段階で硬化する多段硬化性粘着シートの粘着剤に好適に用いることができる。一次硬化後の低架橋状態においても優れた粘着物性が得られ、さらに完全硬化後には、通常の粘着力等の粘着物性のみならず、偏光板やガラスなど様々な種類、形状の部材を貼合した際において優れた耐久性が発現する。
本発明の粘着剤組成物は、一次硬化後の低架橋状態においてもタック性が低く、定荷重保持力が高いといった粘着物性に優れるため、作業性や信頼性が向上する。そのため、特にタッチパネル及び画像表示装置等に用いられる粘着剤や粘着シートの用途に好適に適用できる。
<粘着剤>
本発明の粘着剤は、上述した本発明の粘着剤組成物が架橋されてなるものである。本発明の粘着剤組成物が架橋(硬化)することにより、粘着剤組成物中に含まれるアクリル系樹脂(A)が分子内及び分子間の少なくとも一方で架橋構造を形成する。その結果、本発明の粘着剤組成物が架橋されて本発明に係る粘着剤となる。
アクリル系樹脂(A)が活性エネルギー線架橋性構造部位を有する場合は活性エネルギー線の照射により、架橋構造を形成できる。
本発明の粘着剤は、複数の段階で硬化させることができる多段硬化性を示す。本発明の粘着剤は、完全硬化前の一次硬化により低架橋状態となる。完全硬化と一次硬化は、必ずしも明確に区別できるものではないが、ゲル分率や動的粘弾性の相違により区別することができる。
一次硬化工程及び完全硬化工程のいずれの工程においても硬化手段は特に限定されず、加熱や活性エネルギー線の照射のいずれでもよい。また一次硬化工程を複数回に分けて行ってもよく、また完全硬化状態とするために多段硬化を行ってもよい。
本発明の粘着剤は、一次硬化後の粘着物性に優れるため、タッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せに好適に用いられる。
本発明の粘着剤は、本発明のアクリル系樹脂(A)の架橋物を少なくとも含むとも言える。架橋物は、アクリル系樹脂(A)の少なくとも一部が部分的に架橋した部分架橋物であってもよく、アクリル系樹脂(A)の全てが全体的に架橋した完全架橋物であってもよい。また、本発明の粘着剤は、アクリル系樹脂(A)の部分架橋物及び完全架橋物の両方を含んでもよい。
<粘着シート>
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤からなる粘着剤層を有する。本発明の粘着シートは、粘着剤層が複数の段階で硬化する多段硬化性を示し得る。
本発明の粘着剤からなる粘着剤層を基材シート上に設けることにより粘着シートとすることができる。また、粘着剤層を離型シート上に設けることにより両面粘着シートとすることができる。さらに、基材シートに替えて離型シート上に粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レスの両面粘着シートを作製することもできる。形成された粘着剤層上に、粘着剤層をさらに形成して、厚膜の粘着剤層をさらに形成してもよい。
得られた粘着シートや両面粘着シートは、使用時には離型シートを粘着剤層から剥離して使用に供される。
粘着シートの作製方法として、例えば、以下の(i)、(ii)等の方法が挙げられる。
(i)本発明の粘着剤組成物を溶媒に溶解して塗工し粘着シートとする方法。
(ii)本発明の粘着剤組成物を加熱により溶融し粘着シートとする方法。
(i)の方法について説明する。
本発明の粘着剤組成物を溶媒に溶解して塗工し粘着シートとする際には、適当な有機溶剤により本発明の粘着剤組成物を含有する塗工液の濃度を調整し、基材シート上に直接塗工する。その後、例えば80~105℃、0.5~10分間加熱処理等により乾燥させ、これを基材シート又は離型シートに貼付する。その後、活性エネルギー線照射又はエージングすることによって粘着剤組成物を架橋(硬化)させ、粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着シートを作製することができる。
濃度調整に用いられる有機溶剤としては、アクリル系樹脂(A)の重合反応に用いられる有機溶媒として挙げられたものを使用することができる。粘着剤組成物の濃度は、固形分として通常、20~60重量%であり、好ましくは30~50重量%である。
(ii)の方法について説明する。
本発明の粘着剤組成物を加熱により溶融し粘着シートとする場合、溶融した状態で基材シートの片面又は両面に塗工し、その後に冷却する方法や、Tダイ等により基材シート上に押出しラミネートする方法等によって、基材シート上の片面又は両面に所望の厚みとなるように粘着剤層を形成する。次いで、必要に応じて粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより粘着シートを作製することができる。
また、基材シート上に粘着剤層を形成した後、必要に応じて活性エネルギー線照射処理を行ない、さらにエージングすることで粘着剤組成物が硬化(架橋)してなる粘着剤層を有する粘着シートを作製することができる。
さらに、離型シート上に粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レスの両面粘着シートを作製することもできる。
得られた粘着シートや両面粘着シートは、使用時には離型シートを粘着剤層から剥離して使用に供される。
基材シートとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂シート,アルミニウム、銅、鉄等の金属箔,上質紙、グラシン紙等の紙,硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材シートは、単層体として又は2種以上が積層された複層体として用いることができる。これらのなかでも軽量化等の点から、合成樹脂シートが好ましい。
離型シートとしては、例えば、基材シートで例示した各種の合成樹脂シート、紙、織物、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、例えば、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
粘着剤組成物の塗工方法は特に限定されない。例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スロットコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線;X線、γ線等の電磁波の他;電子線;プロトン線;中性子線等が利用できる。硬化速度、照射装置の入手のしやすさ、価格等から紫外線による硬化が好ましい。
粘着シートの粘着剤層の完全硬化前のゲル分率については、被着体の形状に依らず、容易に貼り合わせることが可能な点と、貼り合わせた後に粘着層が被着体を保持できる点から、0.1~60重量%が好ましく、より好ましくは1~50重量%、特に好ましくは5~45重量%である。
粘着シートの粘着剤層の完全硬化後のゲル分率については、耐久性能と粘着力の点から、55~90重量%であることが好ましく、より好ましくは60~87重量%、特に好ましくは65~85重量%である。ゲル分率が低すぎると凝集力が低下することにより耐久性が低下する傾向がある。なお、ゲル分率が高すぎると凝集力の上昇により粘着力が低下する傾向がある。
ゲル分率は、例えば、以下の手法で適宜調整できる。
・活性エネルギー線照射量を調整すること。
・アクリル系樹脂(A)中の活性エネルギー線架橋性構造部位の含有量を調整すること。
・光重合開始剤(B)、架橋剤(C)の種類や量を調整すること。
ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(離型シートを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、23℃に保持したトルエン中に24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、トルエン溶解の前後における重量から基材の重量は差し引いて算出する。
粘着シートの粘着剤層の厚みは、通常、50~3000μmが好ましく、より好ましくは75~1000μm、特に好ましくは100~350μmである。粘着剤層の厚みが薄すぎると衝撃吸収性が低下する傾向がある。粘着剤層の厚みが厚すぎると、例えば光学部材に貼り付けた際に全体の厚みが増して実用性が低下する傾向がある。
本発明における粘着剤層の厚みは、ミツトヨ社製「ID-C112B」を用いて、粘着剤層含有積層体の全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求めた値である。
本発明の粘着シートの粘着剤層は、粘着剤層の厚みが100μmの場合のヘイズ値が2%以下が好ましく、より好ましくは0~1.5%、特に好ましくは0~1%である。ヘイズ値が高すぎると粘着剤層が白化して透明性が低下する傾向がある。
ヘイズ値は、拡散透過率及び全光線透過率を、HAZE MATER NDH4000(日本電色工業社製)を用いて測定し、得られた拡散透過率(DT)と全光線透過率(TT)の値を下記[式1]に代入して算出する。本機はJIS K7361-1に準拠している。
ヘイズ値(%)=(DT/TT)×100 ・・・[式1]
本発明においては、粘着剤層を光学部材上に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。例えば、離型シート上に粘着剤層が形成された本発明の粘着シートの粘着剤層面を光学部材に貼り付けた後、離型シートを剥離することによって、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。また、上記の両面粘着シートを用いて光学部材同士を貼合することもできる。
光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置を構成する部材が挙げられる。例えば、ディスプレイ(有機EL、液晶)、透明電導膜基板(ITO基板)、保護フィルム(ガラス)、透明アンテナ(フィルム)、透明配線等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載に限定されない。例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。また、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、動的粘弾性に基づくガラス転移温度、130℃溶融粘度、粘着剤層の厚み、ヘイズ値(%)に関しては、上述の実施形態に記載の方法に従って測定した。
<略語、原料>
(水酸基含有モノマー(a1))
・HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
(分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2))
・IDMA:イソデシルメタクリレート
・IDA:イソデシルアクリレート
・2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
(アルキル(メタ)アクリレート(a3))
・MA:メチルアクリレート(ホモポリマーのTg:8℃)
・MMA:メチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:105℃)
・EMA:エチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:65℃)
・IBMA:イソブチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:48℃)
(多官能(メタ)アクリレート(a4))
・1.9-NDA:1,9-ノナンジオールジアクリレート
・1.6-HXA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
・ADVN:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期
温度52℃)
(光重合開始剤(B))
〔分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)〕
・Omnirad 754:IGM Resins B.V.社製の製品
〔分子間水素引抜型光重合開始剤(b2)〕
・Esacure TZT:IGM Resins B.V.社製の製品
(架橋剤(C))
・ポリプロピレングリコール♯400ジアクリレート(NKエステルAPG400、新中村化学工業社製の製品)
(シランカップリング剤(D))
・KBM403(信越化学工業社製の製品)
(カルボジイミド系化合物(E))
・DIPC:ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド
<製造例1:アクリル系樹脂(A-1)の製造>
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒として酢酸エチル:25部(沸点77℃)、メチルエチルケトン:16.7部(沸点80℃)、重合開始剤としてADVN:0.01部、モノマーとして2EHA:15部、IBMA:4部、HEA:3部、IDMA:1.5部、1.9-NDA:0.05部を入れ、フラスコ内で加熱還流させた後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.13部、2EHA:22.5部、EMA:12.5部、IBMA:16部、HEA:12部、IDMA:13.5部を3時間かけて滴下した。さらに、滴下30分後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.16部の混合物を1時間かけ滴下し、反応させ、その後、150分後に、酢酸エチル:3.3部、DIPC:0.3部の混合物を追加して、アクリル系樹脂(A-1)の溶液を得た。アクリル系樹脂(A-1)のポリマー組成を表1、アクリル系樹脂(A-1)の重量平均分子量(Mw)、分散度(PDI)、動的粘弾性に基づくガラス転移温度、130℃溶融粘度、V/Mの測定結果を表2に示す。
<製造例2:アクリル系樹脂(A-2)の製造>
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒として酢酸エチル:25部(沸点77℃)、メチルエチルケトン:8.3部(沸点80℃)、重合開始剤としてADVN:0.01部、モノマーとして2EHA:3.5部、EMA:3部、HEA:1.5部、IDMA:2部、1.6-HXA:0.04部を入れ、フラスコ内で加熱還流させた後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.17部、2EHA:31.5部、EMA:27部、HEA:13.5部、IDMA:18部を3時間かけて滴下した。さらに、滴下30分後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.13部の混合物を1時間かけ滴下し、反応させ、その後、150分後に、酢酸エチル:3.3部、DIPC:0.3部の混合物を追加して、アクリル系樹脂(A-2)の溶液を得た。アクリル系樹脂(A-2)のポリマー組成を表1、アクリル系樹脂(A-2)の重量平均分子量(Mw)、分散度(PDI)、動的粘弾性に基づくガラス転移温度、130℃溶融粘度、V/Mの測定結果を表2に示す。
<製造例3:アクリル系樹脂(A-3)の製造>
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒として酢酸エチル:25部(沸点77℃)、メチルエチルケトン:8.3部(沸点80℃)、重合開始剤としてADVN:0.01部、モノマーとして2EHA:4部、EMA:1.25部、IBMA:1.75部、HEA:1.5部、IDMA:1.5部、1.9-NDA:0.05部を入れ、フラスコ内で加熱還流させた後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.15部、2EHA:36部、EMA:8.75部、IBMA:15.75部、HEA:13.5部、IDMA:13.5部を3時間かけて滴下した。滴下30分後、酢酸エチル:3.3部、ADVN:0.05部、EMA:0.83部の混合物を追加し、その30分後に酢酸エチル:3.3部、ADVN:0.05部、EMA:0.83部の混合物を追加し、さらにその30分後に酢酸エチル:3.3部、ADVN:0.05部、EMA:0.83部の混合物を追加して反応させ、その後、150分後に、酢酸エチル:3.3部、DIPC:0.3部の混合物を追加して、アクリル系樹脂(A-3)の溶液を得た。アクリル系樹脂(A-3)のポリマー組成を表1、アクリル系樹脂(A-3)の重量平均分子量(Mw)、分散度(PDI)、動的粘弾性に基づくガラス転移温度、130℃溶融粘度、V/Mの測定結果を表2に示す。
<製造例4:アクリル系樹脂(A-4)の製造>
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒として酢酸エチル:25部(沸点77℃)、メチルエチルケトン:16.7部(沸点80℃)、重合開始剤としてADVN:0.01部、モノマーとして2EHA:19部、MA:0.5部、IBMA:5.4部、HEA:3部、IDMA:1.5部、1.6-HXA:0.05部を入れ、フラスコ内で加熱還流させた後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.13部、2EHA:19部、MA:4.5部、IBMA:21.6部、HEA:12部、IDMA:13.5部を3時間かけて滴下した。さらに、滴下30分後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.17部の混合物を1時間かけ滴下し、反応させ、その後、150分後に、酢酸エチル:3.3部、DIPC:0.3部の混合物を追加して、アクリル系樹脂(A-4)の溶液を得た。アクリル系樹脂(A-4)のポリマー組成を表1、アクリル系樹脂(A-4)の重量平均分子量(Mw)、分散度(PDI)、動的粘弾性に基づくガラス転移温度、130℃溶融粘度、V/Mの測定結果を表2に示す。
<製造例5:アクリル系樹脂(A-5)の製造>
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒として酢酸エチル:28.3部(沸点77℃)、メチルエチルケトン:8.3部(沸点80℃)、重合開始剤としてADVN:0.01部、モノマーとして2EHA:3.0部、MA:0.5部、IBMA:3.5部、HEA:1.5部、IDA:1.5部、1.9-NDA:0.05部を入れ、フラスコ内で加熱還流させた後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.17部、2EHA:27部、MA:4.5部、IBMA:31.5部、HEA:13.5部、IDA:13.5部を3時間かけて滴下した。さらに、滴下30分後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.13部の混合物を1時間かけ滴下し、反応させ、その後、150分後に、酢酸エチル:3.3部、DIPC:0.3部の混合物を追加して、アクリル系樹脂(A-5)の溶液を得た。アクリル系樹脂(A-5)のポリマー組成を表1、アクリル系樹脂(A-5)の重量平均分子量(Mw)、分散度(PDI)、動的粘弾性に基づくガラス転移温度、130℃溶融粘度、V/Mの測定結果を表2に示す。
<製造例6:アクリル系樹脂(A-6)の製造>
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒として酢酸エチル:25部(沸点77℃)、メチルエチルケトン:16.7部(沸点80℃)、重合開始剤としてADVN:0.01部、モノマーとして2EHA:21部、IBMA:3.2部、HEA:3部、IDMA:1.5部、1.6-HXA:0.08部を入れ、フラスコ内で加熱還流させた後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.13部、2EHA:21部、MMA:12部、IBMA:12.8部、HEA:12部、IDMA:13.5部を3時間かけて滴下した。さらに、滴下30分後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.17部の混合物を1時間かけ滴下し、反応させ、その後、150分後に、酢酸エチル:3.3部、DIPC:0.3部の混合物を追加して、アクリル系樹脂(A-6)の溶液を得た。アクリル系樹脂(A-6)のポリマー組成を表1、アクリル系樹脂(A-6)の重量平均分子量(Mw)、分散度(PDI)、動的粘弾性に基づくガラス転移温度、130℃溶融粘度、V/Mの測定結果を表2に示す。
<比較製造例1:アクリル系樹脂(A’-1)の製造>
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒として酢酸エチル:30部(沸点77℃)、アセトン:3.3部(沸点56℃)、重合開始剤としてADVN:0.01部、モノマーとして2EHA:3.5部、EMA:3部、HEA:1.5部、IDMA:2部を入れ、フラスコ内で加熱還流させた後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.1部、2EHA:31.5部、EMA:27部、HEA:13.5部、IDMA:18部を3時間かけて滴下した。さらに、滴下30分後、酢酸エチル:10部、ADVN:0.17部の混合物を1時間かけ滴下し、反応させ、その後、150分後に、酢酸エチル:3.3部、DIPC:0.3部の混合物を追加して、アクリル系樹脂(A’-1)の溶液を得た。アクリル系樹脂(A’-1)のポリマー組成を表1、アクリル系樹脂(A’-1)の重量平均分子量(Mw)、分散度(PDI)、動的粘弾性に基づくガラス転移温度、130℃溶融粘度、V/Mの測定結果を表2に示す。
Figure 2024033923000002
Figure 2024033923000003
<実施例1>
アクリル系樹脂(A-1)の溶液100部(固形分換算)に対して、Omnirad 754:2.0部(固形分換算)、Esacure TZT:1.0部(固形分換算)、ポリプロピレングリコール♯400ジアクリレート:3.0部(固形分換算)、KBM403:0.1部(固形分換算)を混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物をトルエンにて固形分濃度45%に調整し、ポリエステル系離型シートに、乾燥後の厚みが約50μmとなるように塗布し、100℃で5分間乾燥し、粘着剤組成物層を形成した。
このようにして粘着剤組成物層が形成されたポリエステル系離型シートを2枚用意し、両粘着剤組成物層を対向させて積層した。積層した粘着剤組成物層の両側をポリエステル系離型シートで挟んだ状態で、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm、積算露光量:1000mJ/cm(1000mJ/cm×1パス)で紫外線照射を行うことで粘着剤層を形成し(一次硬化)、粘着剤層の厚みが100μmの基材レス両面粘着シートを得た。
次いで、得られた基材レス両面粘着シートの粘着剤層から一方の面の離型シートを剥がし、露出した粘着剤層側を易接着処理ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(厚み125μm)に押圧し、粘着剤層の厚みが100μmの粘着剤層付きPETシートを得た。
<実施例2~6、比較例1>
表3に示す通りに、アクリル系樹脂(A-1)を変更した以外は実施例1と同様にして各例の粘着剤組成物を調製した。次いで、実施例1と同様にして粘着剤層の厚みが100μmの基材レス両面粘着シート、粘着剤層付きPETシートを順次作製した。各例の粘着剤組成物の組成を表3に示す。
Figure 2024033923000004
<測定方法、評価方法>
実施例、比較例の粘着組成物の測定方法、評価方法を以下に示す。結果を表4~6に示す。
(ゲル分率:完全硬化前(一次硬化後))
各例の基材レス両面粘着シートを40mm×40mmに裁断し、23℃×50%RHの条件下で30分静置した後、一方の離型シートを剥がし、露出した粘着剤層側を50mm×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合した。残りの離型シートを剥離し、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返して粘着剤層をSUSメッシュシートで包み込んだ。これを23℃に保持したトルエン250gの入った密封容器にて24時間浸漬したときの重量変化からゲル分率(%)を算出した。
(定荷重保持力(40℃):完全硬化前(一次硬化後))
各例の粘着剤層付きPETシートについて、幅25mm×長さ75mm(粘着剤層部の幅25mm×長さ50mm+非粘着層部の幅25mm×長さ25mm)の大きさに裁断し、離型シートを剥離した。露出した粘着剤層側をステンレス鋼板(SUS304)に2kgローラーを往復させ加圧して貼付(貼り付け面積25mm×50mm)して、40℃雰囲気下で20分間静置した。その後、非貼付部(面積25mm×25mm)の長さ方向端部に50gのおもりを吊るし、ステンレス鋼板の平面に対して90°の方向に50gの荷重を加え、その状態で60分間静置し、PETシートが剥離した距離を測定した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・剥離距離が5mm未満である。
〇・・・剥離距離が5mm以上、10mm未満である。
×・・・剥離距離が10mm以上、もしくはPETシートが完全に剥離して落下した。
(プローブタック:完全硬化前(一次硬化後))
各例の粘着剤層付きPETシートについて、幅12mm×長さ12mmの大きさに裁断し、離型シートを剥離し、プローブタックテスター(テスター産業社製、プローブタックテスターTE-6001)を用いて、加圧時間1秒、貼り付け圧力500gf、押し込み速度120mm/min、引き上げ速度600mm/min、プローブ径5.1mm(直径)の条件にてプローブタック(単位:N)を測定した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・プローブタック(単位:N)が5未満である。
〇・・・プローブタック(単位:N)が5以上、7.5未満である。
△・・・プローブタック(単位:N)が7.5以上、10未満である。
×・・・プローブタック(単位:N)が10以上である。
(リワーク性:完全硬化前(一次硬化後))
各例の粘着剤層付きPETシートについて、幅25mm×長さ100mmの大きさに裁断し、離型シートを剥離した。露出した粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に、23℃、50%RHの雰囲気下、2kgゴムローラーで貼り合わせた。その後、50℃、0.5MPa、20分間の条件でオートクレーブ処理を行い同雰囲気下で30分間静置し、「無アルカリガラス/粘着剤層/PET」の層構成を有する試験片を作製した。
得られた試験片を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で1日間静置した試験片と7日間静置した試験片を作成し、それぞれ23℃、50%RHの雰囲気下で剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、剥離強度の上昇率を算出した。180度剥離強度上昇率(%)は下記式にて算出される。
180度剥離強度上昇率(%)=7日後の180度剥離強度(N/25mm)/1日後の180度剥離強度(N/25mm)×100
評価基準は下記の通りである。
〇・・・180度剥離強度上昇率が140%未満である。
×・・・180度剥離強度上昇率が140%以上である。
(ゲル分率:完全硬化後)
各例の基材レス両面粘着シートを高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm、積算露光量:4000mJ/cm(1000mJ/cm×4パス)で紫外線照射を行った後、40mm×40mmに裁断し、23℃×50%RHの条件下で30分静置した。その後、一方の離型シートを剥がし、露出した粘着剤層側を50mm×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合した。残りの離型シートを剥離し、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返して粘着剤層をSUSメッシュシートで包み込んだ。これを23℃に保持したトルエン250gの入った密封容器にて24時間浸漬したときの重量変化からゲル分率(%)を算出した。
(180度剥離強度(23℃):完全硬化後)
各例の粘着剤層付きPETシートについて、幅25mm×長さ100mmの大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm、積算露光量:4000mJ/cm(1000mJ/cm×4パス)で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離した。露出した粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に、23℃、50%RHの雰囲気下、2kgゴムローラー2往復で加圧して貼付し、同雰囲気下で30分間静置した。この後、常温(23℃)下、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
180度剥離強度の評価基準は下記の通りである。
○・・・剥離強度が15(N/25mm)以上である。
×・・・剥離強度が15(N/25mm)未満である。
(定荷重保持力(80℃):完全硬化後)
各例の粘着剤層付きPETシートについて、幅25mm×長さ75mm(粘着剤層部の幅25mm×長さ50mm+非粘着層部の幅25mm×長さ25mm)の大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm、積算露光量:4000mJ/cm(1000mJ/cm×4パス)の条件で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離した。露出した粘着剤層側をステンレス鋼板(SUS304)に2kgローラーを往復させ加圧して貼付(貼り付け面積25mm×50mm)し、80℃雰囲気下で20分間静置した。その後、非貼付部(面積25mm×25mm)の長さ方向端部に50gのおもりを吊るし、ステンレス鋼板の平面に対して90°の方向に50gの荷重を加え、その状態で60分間静置し、PETシートが剥離した距離を測定した。評価基準は下記の通りである。
○・・・剥離距離が5mm未満である。
△・・・剥離距離が5mm以上10mm未満である。
×・・・剥離距離が10mm以上、もしくはPETシートが完全に剥離して落下した。
(保持力(80℃):完全硬化後)
各例の粘着剤層付きPETシートについて、25mm×50mmの大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm、積算露光量:4000mJ/cm(1000mJ/cm×4パス)で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離した。露出した粘着剤層側にステンレス鋼板(SUS304)を静置し、2kgローラーを往復させて加圧して貼付(貼り付け面積25mm×25mm)し、クリープテスター(テスター産業社製、恒湿槽付保持力試験機BE-501)を用いて、80℃雰囲気下で24時間、荷重1kgを加えて保持力を測定した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・ズレなし(N.C)。
〇・・・ズレが0.5mm未満である。
×・・・ズレが0.5mm以上であるか、PETシートが落下した。
(耐湿熱性試験:完全硬化後)
各例の粘着剤層付きPETシートについて、30mm×50mmの大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm、積算露光量:4000mJ/cm(1000mJ/cm×4パス)で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離した。露出した粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に貼り合わせた。その後、50℃、0.5MPa、20分間の条件でオートクレーブ処理を行い、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間静置し、「無アルカリガラス/粘着剤層/PET」の層構成を有する試験片を作製した。
得られた試験片を用いて85℃、85%RHの雰囲気下で7日間(168時間)の耐湿熱性試験を行い、耐湿熱性試験前と、耐湿熱性試験後のヘイズ値を測定した。
なお、耐湿熱試験後のヘイズ値は、耐湿熱試験後23℃、50%RHの雰囲気下で2時間放置した後に測定した。
ヘイズ値は、拡散透過率及び全光線透過率を、HAZE MATER NDH4000(日本電色工業社製)を用いて測定し、得られた拡散透過率(DT)と全光線透過率(TT)の値を下記式1に代入して算出した。さらに、下記式2からヘイズ値の上昇率(%)を算出した。本機はJIS K7361-1に準拠している。
ヘイズ値(%)=(DT/TT)×100 ・・・[式1]
ヘイズ値差(%)=耐湿熱性試験後のヘイズ値-耐湿熱性試験開始前のヘイズ値 ・・・[式2]
耐湿熱性試験の評価基準は下記の通りである。
◎・・・ヘイズ値差が2.0%未満である。
○・・・ヘイズ値差が2.0%以上、3.5%未満である。
×・・・ヘイズ値差が3.5%以上である。
(プローブタック:完全硬化後)
各例の粘着剤層付きPETシートについて、幅12mm×長さ12mmの大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm、積算露光量:4000mJ/cm(1000mJ/cm×4パス)で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離し、プローブタックテスター(テスター産業社製、プローブタックテスターTE-6001)を用いて、加圧時間5秒、貼り付け圧力1000gf、押し込み速度120mm/min、引き上げ速度600mm/min、プローブ径5.1mm(直径)の条件にてプローブタック(単位:N)を測定した。
(曲面耐久性:完全硬化後)
各例の粘着剤層付きPETシートについて、40mm×120mmの大きさに裁断し、離型シートを剥離した。露出した粘着剤層側を、偏光子の両面にTAC系フィルムが積層された偏光板の一方のTAC系フィルム表面偏光板に加圧貼合し「PETシート/粘着剤層/偏光板」の層構成の積層体を得た。
その後、アルミニウム板(幅70mm、長さ150mm、厚さ0.3mm)にPET面が表面になるようにテープで積層体を貼り付けて固定し、アルミニウム板固定サンプルを作製した。作製したサンプルをマンドレル試験機にて5mmφとなるように屈曲させ、その状態で固定したのち、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm、積算露光量:4000mJ/cm(1000mJ/cm×4パス)で屈曲させた状態のサンプルに紫外線照射を行い、曲面耐久評価用サンプルを作製した。曲面耐久評価用サンプルは、外側から順に、PET/粘着層/偏光板/アルミニウム板の層構成を有する。最も内側にアルミニウム板がある。
得られた曲面耐久評価用サンプルを用いて、80℃、Dry、7日間の条件下、及び60℃、90%RH、7日間の条件下でそれぞれ暴露した後に、屈曲部及び屈曲部を除いた偏光板端部を観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準:屈曲部)
A・・・浮き、発泡、糊のはみ出しのいずれもが見られない。
B・・・糊のはみ出しはみられないが、0.5mm未満の浮き又は極僅かな気泡が見られる。
C・・・0.5mm以上の浮き、発泡(極僅かな気泡除く)、又は糊のはみ出しが見られる。
(評価基準:偏光板端部)
A・・・端部に浮き、気泡がいずれも見られない。
B・・・端部に0.5mm未満の浮き又は極僅かな気泡が見られる。
C・・・端部に0.5mm以上の浮き又は端部の一部に気泡が見られる。
D・・・端部全体に浮き、気泡が発生した。
(評価基準:総合評価)
◎・・・屈曲部の評価がAかつ偏光板端部の評価がAである。
〇・・・屈曲部の評価がAかつ偏光板端部の評価がBもしくはCであるか、又は、屈曲部の評価がBかつ偏光板端部の評価がAもしくはBである。
×・・・屈曲部の評価がAかつ偏光板端部の評価がDであるか、屈曲部の評価がBかつ偏光板端部の評価がCもしくはDであるか、又は、屈曲部の評価がCかつ偏光板端部の評価がA~Dのいずれかである。
(偏光板耐久性:完全硬化後)
各例の基材レス両面粘着シートについて、60mm×100mmの大きさに裁断し、一方の離型シートを剥離した。露出した粘着剤層側を、偏光子の両面にTAC系フィルムが積層された偏光板の一方のTAC系フィルム表面偏光板に加圧貼合した。次にもう一方の離型シートを剥離し、露出した粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に貼り合わせ、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分間)を行った。その後、高圧水銀UV照射装置にて、無アルカリガラス側よりピーク照度:150mW/cm、積算露光量:4000mJ/cm(1000mJ/cm×4パス)で紫外線照射を行い、偏光板耐久性評価用サンプルを作製した。
偏光板耐久性評価用サンプルを23℃、50%RHの雰囲気下で1日間静置した後、80℃雰囲気下と60℃、90%RHの雰囲気下でそれぞれ7日間(168時間)の耐久試験を行い、以下の基準にて評価を行った。
〇・・・偏光板端部の浮きが見られない。
△・・・偏光板端部の浮きが0.5mm未満である。
×・・・偏光板端部の浮きが0.5mm以上である。
Figure 2024033923000005
Figure 2024033923000006
Figure 2024033923000007
実施例の粘着剤組成物を用いてなる粘着シートは、完全硬化前(一次硬化後)の低架橋状態においても定荷重保持力が高く、タック性が低いといった優れた粘着物性を示した。また、完全硬化後においても優れた粘着物性、耐久性を示した。
一方、アクリル系樹脂(A)のV/Mが0.0035を超える比較例1では、加工時の取り扱い性、一次硬化後の低架橋状態におけるリワーク性に劣るものであった。
本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、一次硬化後の低架橋状態における粘着物性に優れるものである。本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、特にタッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せや有機ELディスプレイ封止用途等に用いられる粘着剤として有用である。

Claims (10)

  1. アクリル系樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有し、
    前記アクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)由来の構造単位、及び、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が0℃未満であり、かつ分岐構造を含むアルキル基を有する分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)由来の構造単位を含有し、
    前記アクリル系樹脂(A)の動的粘弾性に基づくガラス転移温度が、-10℃以上であり、
    前記アクリル系樹脂(A)のGPCで測定される重量平均分子量をM、130℃溶融粘度(Pa・s)をVとしたとき、V/M≦0.0035を満たすことを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 前記分岐アルキル(メタ)アクリレート(a2)由来の構造単位は、3級炭素を2つ以上含むアルキル基を有する多分岐構造含有アルキル(メタ)アクリレート(a2-1)由来の構造単位を含む、請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 前記アクリル系樹脂(A)が、多官能(メタ)アクリレート(a4)由来の構造単位をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記アクリル系樹脂(A)が、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が0℃以上のアルキル(メタ)アクリレート(a3)由来の構造単位を有する、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が、50,000~500,000である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  6. 前記光重合開始剤(B)が、分子内水素引抜型光重合開始剤(b1)と分子間内水素引抜型光重合開始剤(b2)を含有する、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  7. 架橋剤(C)をさらに含有する、請求項6に記載の粘着剤組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の粘着剤組成物が架橋されてなる、粘着剤。
  9. 請求項8に記載の粘着剤からなる粘着剤層を有する、粘着シート。
  10. 前記粘着剤層が、複数の段階で硬化する多段硬化性である、請求項9に記載の粘着シート。
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