JP2024032495A - 飛行体および飛行体の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切なタイミングでパラシュートの射出が可能な飛行体を得る。【解決手段】飛行体は、飛行体の飛行状態を検出するセンサデバイスと、パラシュートを含み、かつ、パラシュートを射出可能な射出装置と、飛行状態について定められた基準範囲からの飛行状態の逸脱度合いと、当該逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、パラシュートの射出の要否を判断するコントローラとを備える。【選択図】図11
Description
本開示は、飛行体および飛行体の制御方法に関する。
従来、飛行体として、各種の有人航空機および各種の無人航空機が知られている。また、飛行状態について定められた基準範囲(「フライトエンベロープ」とも称される)から逸脱したときに、パラシュートでの降下シナリオを実行する無人航空機も知られている。
たとえば、米国特許出願公開第2017/0106986A1号明細書(特許文献1)は、このような下降シナリオを実行する無人航空機を開示している。特許文献1の無人航空機では、たとえば、無人航空機の傾きが閾値(25度)よりも大きく、かつ、このように傾いた状態の期間が閾値(2秒)よりも長い場合、高度が閾値(20フィート)よりも高いことを条件に、パラシュートを射出する。
特許文献1では、傾きの閾値をわずかに下回る飛行(たとえば、傾きが24度となる飛行)が、期間の閾値よりも十分に長い時間(たとえば、5秒)続いても、下降シナリオは開始されない。また、傾きの閾値を大きく超える飛行が、期間の閾値よりも短い時間(たとえば、1.5秒)続いても、下降シナリオは開始されない。それゆえ、特許文献1では、無人航空機が、その間に墜落する虞がある。このように、特許文献1では、必ずしも、適切なタイミングでパラシュートの射出を含む下降シナリオを実行しているとは言えない。
本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、適切なタイミングでパラシュートの射出が可能な飛行体および飛行体の制御方法を提供する。
本開示のある局面に従うと、飛行体は、飛行体の飛行状態を検出するセンサデバイスと、パラシュートを含み、かつ、パラシュートを射出可能な射出装置と、飛行状態について定められた基準範囲からの飛行状態の逸脱度合いと、当該逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、パラシュートの射出の要否を判断するコントローラとを備える。
本開示の他の局面に従うと、パラシュートを射出可能な飛行体の制御方法であって、飛行体の飛行状態を検出するステップと、飛行状態について定められた基準範囲からの飛行状態の逸脱度合いと、当該逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、パラシュートの射出の要否を判断するステップとを備える。
本開示によれば、適切なタイミングでパラシュートの射出が可能な可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。
以下では、飛行体の一例として、無人航空機を例に挙げて説明する。詳しくは、無人航空機として、ドローンを例に挙げて説明する。より詳しくは、回転翼を有するドローンを例に挙げて説明する。なお、本開示は、「空飛ぶ車」のような各種の有人航空機(飛行体の他の例)にも適用可能である。
[実施の形態1]
<A.ドローンの概要>
本実施の形態に係るドローンは、自動操縦と、オペレータによる手動操縦(遠隔コントローラを用いた遠隔操作)とが可能である。図1は、ドローンが飛行している状態を表した図である。図2は、パラシュートを射出した状態で、ドローンが降下している状態を示した図である。
<A.ドローンの概要>
本実施の形態に係るドローンは、自動操縦と、オペレータによる手動操縦(遠隔コントローラを用いた遠隔操作)とが可能である。図1は、ドローンが飛行している状態を表した図である。図2は、パラシュートを射出した状態で、ドローンが降下している状態を示した図である。
図1および図2に示されるように、ドローン1は、本体2と、4本のアーム3A,3B,3C,3Dと、4つの推進機構4A,4B,4C,4Dと、射出装置5と、通信ユニット6と、支持部材18とを備える。各推進機構4A,4B,4C,4Dは、プロペラ41(図2参照)と、モータ42とを含む。
なお、以下においては、説明の便宜上、アーム3A,3B,3C,3Dのうち任意の1本のアームを「アーム3」とも称する。同様に、推進機構4A,4B,4C,4Dのうち任意の1つの推進機構を「推進機構4」とも称する。
アーム3は、本体2に取り付けられている。アーム3は基端部と先端部とを有する。アーム3の基端部が本体2に取り付けられている。本例では、アーム3は、本体2の側面から延びている。
アーム3の先端部には、推進機構4が取り付けられている。アーム3の先端部には、モータ42が取り付けられている。モータ42の回転軸(図示せず)には、プロペラ41が取り付けられている。
射出装置5は、本例では、本体2の上面(天面)に取り付けられている。なお、射出装置5の取付位置は、これに限定されず、たとえば本体2の側面または本体2の底面であってもよい。
射出装置5は、パラシュート51を収容している。射出装置5は、ドローン1の飛行状態が予め定められた条件を満たすと、図2に示すように、パラシュート51を射出する。射出装置5は、ドローン1の落下等を検知し、射出装置5に内蔵されたガス発生器を作動させることにより瞬時にパラシュート51を展開する。なお、ガス発生器としては、火薬式のガス発生器(火工品)を用いてもよいし、ボンベ式などの非火薬式のガス発生器を用いてもよい。
支持部材18は、本例では、アーム3と本体2と接続箇所から上方に伸びている。支持部材18は、中空のパイプである。支持部材18の内部には、通信ユニット6用の配線が通っている。通信ユニット6は、本例では、本体2の上方に位置するように支持部材18によって支持されている。
なお、ドローン1として、4本のアーム3と、4つの推進機構4を備えた例を挙げているが、アームの数および推進機構の数は、これに限定されるものではない。
<B.ハードウェア構成および実行される処理>
図3は、ドローン1のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。なお、図3においては、主たる電力経路を実線で表し、主たる信号経路を破線で表している。
図3は、ドローン1のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。なお、図3においては、主たる電力経路を実線で表し、主たる信号経路を破線で表している。
図3に示されるように、ドローン1は、上述した推進機構4A,4B,4C,4Dと射出装置5と通信ユニット6とに加え、駆動装置(ESC:Electronic Speed Controller)7A,7B,7C,7Dと、飛行コントローラ(Autopilot)8と、バッテリ9と、電源モジュール10と、分配器12と、バッテリ13と、トリガ装置(ATS:Auto Trigger System)14と、センサ15と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機16とを備える。なお、以下においては、説明の便宜上、駆動装置7A,7B,7C,7Dのうち任意の1つの駆動装置を「駆動装置7」とも称する。
推進機構4は、上述したように、プロペラ41と、モータ42とを含む。駆動装置7は、図示しない、MCU(Micro Controller Unit)と、電流ドライバとを含む。
飛行コントローラ8は、MCU81と、慣性装置82と、気圧高度計83とを含む。MCU81は、慣性装置82と、気圧高度計83とに通信可能に接続されている。
トリガ装置14は、MCU141と、慣性装置142と、気圧高度計143とを含む。慣性装置142は、本例では、ドローン1の加速度、角速度、姿勢角、および、速度を検出する。慣性装置142の詳細については、後述する。気圧高度計143は、ドローン1の高度(地表面および海水面からの高度)を周期的に測定する。
MCU81,141は、具体的には、図示しない、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリと、I/O(Input/Output)回路とを有する。メモリには、プログラムおよびデータが記憶される。MUC81のメモリには、たとえば、ドローン1の飛行ルートを示すデータが格納される。
通信ユニット6は、地上装置と通信するための装置である。通信ユニット6は、図示しない、無線モジュールと、LTE(Long Term Evolution)モジュールとを含む。
無線モジュールは、地上装置の1つである遠隔コントローラ900と通信するための通信モジュールである。無線モジュールと遠隔コントローラ900との間の通信は、オペレータの見える範囲でドローン1を手動操縦する場合に利用される。このため、当該通信は、リアルタイム性を有する。
LTEモジュールは、基地局(図示せず)を介して、地上コントロールステーションと通信するための通信モジュールである。LTEモジュールと地上装置の1つである地上コントロールステーションとの間の通信は、自動操縦によって何キロにもわたってドローン1を飛行させるときに利用される。
バッテリ9は、蓄電池(二次電池)である。バッテリ9は、電源モジュール10に接続されている。電源モジュール10は、バッテリ9からの電力を、所定の電力経路で飛行コントローラ8と通信ユニット6とに供給する。本例では、通信ユニット6は、飛行コントローラ8を介して給電される。電源モジュール10は、バッテリ9からの電力を、所定の電力経路で分配器12に供給する。
分配器12は、4つの駆動装置7の各々に対して、供給された電力を分配する。分配器12は、電力経路R2によって供給された電力を、4つの駆動装置7の各々に供給する。詳しくは、分配器12は、4つの駆動装置7の各々の電流ドライバ(図示せず)に電力を供給する。
駆動装置7は、飛行コントローラ8と通信可能に接続されている。駆動装置7は、飛行コントローラ8からの指令に基づき、対応する推進機構4を駆動する。詳しくは、駆動装置7は、飛行コントローラ8からの指令に基づき、対応する推進機構4の推進力を調整する。具体的には、駆動装置7Aは、対応する推進機構4Aの推進力を調整する。同様に、駆動装置7B,7C,7Dは、それぞれ、推進機構4B,4C,4Dの推進力を調整する。このように、駆動装置7は、推進機構4の制御装置として機能する。
詳しくは、駆動装置7のMUC(図示せず)が飛行コントローラ8のMUC81からの指令を受信する。駆動装置7のMCUは、当該指令に基づき、駆動装置7の電流ドライバがモータ42のコイル(図示せず)に流す電流を制御する。このようにコイルに流す電流を制御することにより、モータ42の回転速度が制御される。これにより、プロペラ41の回転速度を制御することができる。
GNSS受信機16と、通信ユニット6とは、飛行コントローラ8のMCU81と通信可能に接続されている。GNSS受信機16と、通信ユニット6とは、飛行コントローラ8から電力の供給を受ける。GNSS受信機16と、通信ユニット6とは、バッテリ9からの電力で動作する。
GNSS受信機16は、複数の測位衛星(図示せず)から発信された電波を受信し、かつ、受信された電波に基づきドローン1の現在位置を取得する。GNSS受信機16は、現在位置を示す情報を、飛行コントローラ8に周期的に送る。詳しくは、GNSS受信機16は、位置情報としてのドローン1の緯度および経度の情報を、MCU81に周期的に送る。
慣性装置82は、三次元空間における、ドローン1の角速度と加速度を周期的に測定する。なお、慣性装置82として、たとえば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)、慣性航法装置(INU:Inertial Navigation Unit)、慣性基準装置(IRU:Inertial Reference Unit)、慣性誘導装置(IGU:Inertial Guidance Unit)、姿勢方位基準装置(AHRS:Attitude Heading Reference System)の何れかを用いることができる。気圧高度計83は、気圧高度計143と同様に、地表面および海水面からの高度を周期的に測定する。
飛行コントローラ8は、ドローン1の飛行を制御する。飛行コントローラ8は、自動操縦と、オペレータの遠隔コントローラ操作による手動操縦とを実現する。
自動操縦の場合、飛行コントローラ8は、予め定められた飛行ルートに基づき、ドローン1の飛行を制御する。詳しくは、飛行コントローラ8のMCU81は、GNSS受信機16等によって取得された現在位置と、慣性装置82による検出結果と、気圧高度計83による検出結果(高度)とに基づき、ドローン1の自律飛行を実現する。飛行コントローラ8は、上述したLTEモジュールを用いて、ドローン1の現在位置の情報を送信可能である。
飛行コントローラ8は、ドローン1において予め定められた異常が発生したことに基づき、LTEモジュールを用いて、ドローン1の現在位置の情報を地上コントロールステーションに送信する。
射出装置5は、パラシュート51を含む。射出装置5は、自動操縦および手動操縦のいずれであっても、パラシュート51を射出可能である。
トリガ装置14は、バッテリ13から給電される。トリガ装置14は、飛行状態が予め定められた条件を満たすと、射出装置5を動作させる。詳しくは、MCU141が射出装置5に上述した指令を送ることにより、射出装置5は、パラシュート51を外部に射出する。
より詳しくは、トリガ装置14は、飛行状態が予め定められた条件を満たすと、飛行コントローラ8に所定の信号を送る。飛行コントローラ8は、所定の信号を受信すると、プロペラ41の回転を停止させる。すなわち、飛行コントローラ8は、強制的に飛行を停止する。トリガ装置14は、所定の信号を送った後、所定の時間が経過すると、射出装置5にパラシュート51を射出する指令を送る。このように、プロペラ41が停止した後に、パラシュート51が射出される。これにより、パラシュート51がプロペラ41に絡まることを防止できる。
センサ15は、射出装置5の動作の有無を検出する。センサ15は、飛行コントローラ8と通信可能に接続されている。飛行コントローラ8は、LTEモジュールを用いて、強制的に飛行を停止したことと、センサ15により検出された結果とを、地上コントロールステーションに送信する。
なお、MCU81は、ドローン1が飛行ルートから外れたと判断した場合、射出装置5を動作させるための指令をトリガ装置14に送ってもよい。この場合、トリガ装置14のMCU141が、当該指令に基づき射出装置5を動作させる。
図4は、トリガ装置14の構成例を示した図である。図4に示されるように、慣性装置142は、ジャイロ1421と、加速度計1422と、プロセッサ1423とを含む。詳細には、慣性装置142は、3次元直交座標系の各軸(X軸、Y軸、Z軸)用の3個のジャイロと3個の加速度計とを含む。なお、プロセッサ1423は、MCU141内にあってもよい。プロセッサ1423は、トリガ装置14内にあればよい。
具体的には、慣性装置142として、慣性装置82と同様、たとえば、慣性計測装置(IMU)、慣性航法装置(INU)、慣性基準装置(IRU)、慣性誘導装置(IGU)、姿勢方位基準装置(AHRS)の何れかを用いることができる。
なお、本例では、ドローン1の前進方向をX軸の正方向とし、ドローン1の後退方向をX軸の負方向とする。ドローン1の左移動方向をY軸の正方向とし、ドローン1の右移動方向をY軸の負方向とする。
ジャイロ1421により、ドローン1の回転運動を検出する。加速度計1422により、各軸方向のドローン1の並進運動を検出する。具体的には、本例では、ジャイロ1421が、3軸周りの角速度をプロセッサ1423に出力する。加速度計1422が、3軸方向の加速度をプロセッサ1423に出力する。
プロセッサ1423は、少なくとも、3軸周りの角速度と、3軸方向の加速度と、姿勢角(ロール角、ピッチ角、ヨー角(方位角))と、速度、位置とを算出する。なお、以下では、3軸周りの角速度のうち、X軸周りの角速度を「ロール角速度」とも称する。3軸周りの角速度のうち、Y軸周りの角速度を「ピッチ角速度」とも称する。
MCU141は、メモリ1411と、判定部1412とを有する。メモリ1411には、関数Va(x)と、関数Vb(t)とが格納されている。関数Va(x)と、関数Vb(t)との詳細については後述する。MCU141の判定部1412は、メモリ1411に格納された関数Va(x)と関数Vb(t)とに基づき、パラシュート51の射出動作が必要であるか否かを判定する。このような判定処理の詳細についても後述する。
なお、上記においては2つの関数Va(x),関数Vb(t)からなる1組の関数を示しているが、詳しくは、メモリ1411には、後述するフライトエンベロープの種類に応じた数だけ、関数の組が記憶されている。
<C.遠隔コントローラ>
図5は、ドローン1をオペレータが操縦するための遠隔コントローラ900の正面図である。図5に示すように、遠隔コントローラ900は、操作レバー910,920を備える。なお、ドローン1の操作方法は、「モード1」と、「モード2」との2種類ある。以下では、「モード1」の場合について説明する。
図5は、ドローン1をオペレータが操縦するための遠隔コントローラ900の正面図である。図5に示すように、遠隔コントローラ900は、操作レバー910,920を備える。なお、ドローン1の操作方法は、「モード1」と、「モード2」との2種類ある。以下では、「モード1」の場合について説明する。
オペレータが操作レバー910を矢印951の方向に倒すことにより、ドローン1は上昇する。オペレータが操作レバー910を矢印952の方向に倒すことにより、ドローン1はオペレータから視て右へ移動する。オペレータが操作レバー910を矢印953の方向に倒すことにより、ドローン1は降下する。オペレータが操作レバー910を矢印954の方向に倒すことにより、ドローン1はオペレータから視て左へ移動する。
オペレータが操作レバー920を矢印961の方向に倒すことにより、ドローン1は前進する。オペレータが操作レバー920を矢印962の方向に倒すことにより、ドローン1は右旋回する。オペレータが操作レバー920を矢印963の方向に倒すことにより、ドローン1は後退する。オペレータが操作レバー920を矢印964の方向に倒すことにより、ドローン1は左旋回する。
<D.フライトエンベロープの設定>
次に、フライトエンベロープを設定するための手法を説明する。すなわち、飛行状態について定められた基準範囲(閾値で示される範囲)を設定する手法を説明する。以下では、3軸方向の合成加速度の閾値の設定と、角速度の閾値の設定と、姿勢角の閾値の設定とを例に挙げて説明する。なお、3軸の加速度を、それぞれ、X、Y、Zとすると、合成加速度は、以下の式(1)で計算される。
次に、フライトエンベロープを設定するための手法を説明する。すなわち、飛行状態について定められた基準範囲(閾値で示される範囲)を設定する手法を説明する。以下では、3軸方向の合成加速度の閾値の設定と、角速度の閾値の設定と、姿勢角の閾値の設定とを例に挙げて説明する。なお、3軸の加速度を、それぞれ、X、Y、Zとすると、合成加速度は、以下の式(1)で計算される。
図6は、合成加速度の閾値の設定を説明するための図である。オペレータは、遠隔コントローラ900の操作レバー910を操作して、ドローン1を鉛直方向(上下方向)に繰り返し移動させる。具体的には、オペレータは、操作レバー910を矢印951の方向に倒す操作と、矢印953の方向に倒す操作とを交互に繰り返し行う。本例では、オペレータは、矢印951,953の方向への最大操作量の所定の割合(たとえば7割程)の操作量で、操作レバー910を操作する。
この場合、慣性装置142によって、図6に示すような合成加速度の波形W1が得られる。波形W1は、横軸が時間で、縦軸が合成加速度である。波形W1は、合成加速度が9.8m/s2となる箇所を中心として上下に振れている。鉛直方向(Z軸方向)のみを考えた場合、合成加速度が9.8m/s2の状態は、鉛直上向き方向の加速度と、鉛直下向き方向の加速度(重力)とが釣り合った状態を表している。合成加速度が9.8m/s2の状態は、ドローン1を上昇させる力と下降させる力とが釣り合っている状態を表している。
波形W1の縦軸の値である“5.75m/s2”は、合成加速度の下限値(最小値)を示している。詳しくは、“5.75m/s2”は、通常の操作において慣性装置142によって測定される合成加速度の下限値を示している。合成加速度が5.75m/s2の状態では、9.8m/s2との差分である4.05m/s2で、ドローン1が降下する。
波形W1の下限値を、合成加速度のフライトエンベロープの下限値とする。すなわち、当該下限値は、フライトエンベロープを満たした飛行状態と、フライトエンベロープを満たしていない飛行状態とを区分する閾値となる。合成加速度が5.75m/s2を下回ると、合成加速度についてのフライトエンベロープを逸脱したことになる。
図7は、角速度(本例では、ロール角速度)の閾値の設定を説明するための図である。図8は、姿勢角(本例では、ロール角)の閾値の設定を説明するための図である。
オペレータは、遠隔コントローラ900の操作レバー910を操作して、ドローン1を左右方向に繰り返し移動させる。具体的には、オペレータは、操作レバー910を矢印952の方向に倒す操作と、矢印954の方向に倒す操作とを交互に繰り返し行う。本例では、オペレータは、矢印952,954の方向への最大操作量の所定の割合(7割程)の操作量で、操作レバー910を操作する。
この場合、慣性装置142によって、図7に示すような角速度に関する波形W2と、図8に示すような姿勢角に関する波形W3とが得られる。
図7に示されるように、波形W2の縦軸の値である“60deg/s”は、角速度の上限値(最大値)を示している。詳しくは、通常の操作において、慣性装置142によって測定される角速度の上限値を示している。波形W2の上限値を、角速度(本例では、X軸周りの角速度)のフライトエンベロープの上限値とする。すなわち、当該上限値は、フライトエンベロープを満たした飛行状態と、フライトエンベロープを満たしていない飛行状態とを区分する閾値となる。角速度が60deg/sを上回ると、角速度についてのフライトエンベロープを逸脱したことになる。
同様に、波形W2の縦軸の値である“-60deg/s”は、角速度の下限値(最小値)を示している。詳しくは、通常の操作において、慣性装置142によって測定される角速度の下限値を示している。波形W2の下限値を、角速度(本例では、ロール角速度)のフライトエンベロープの下限値とする。すなわち、当該下限値は、フライトエンベロープを満たした飛行状態と、フライトエンベロープを満たしていない飛行状態とを区分する閾値となる。角速度が-60deg/sを下回ると、角速度についてのフライトエンベロープを逸脱したことになる。
このように、ロール角速度のフライトエンベロープの範囲は、-60deg/s以上、かつ、60deg/s以下の範囲となる。なお、同様な手法にて、ピッチ角速度のフライトエンベロープの範囲も設定される。これに限らず、ドローン1の形状を考慮し、ピッチ角速度のフライトエンベロープの範囲を、ロール角速度のフライトエンベロープの範囲と同じにしてもよい。
図8に示されるように、波形W3の縦軸の値である“20.4deg”は、姿勢角の上限値(最大値)を示している。詳しくは、“20.4deg”は、通常の操作において慣性装置142によって測定される姿勢角の上限値を示している。波形W3の上限値を、角速度(本例では、ロール角)のフライトエンベロープの上限値とする。すなわち、当該上限値は、フライトエンベロープを満たした飛行状態と、フライトエンベロープを満たしていない飛行状態とを区分する閾値となる。姿勢角が20.4degを上回ると、姿勢角についてのフライトエンベロープを逸脱したことになる。
同様に、波形W3の縦軸の値である“-15.0deg”は、姿勢角の下限値(最小値)を示している。詳しくは、“-15.0deg”は、通常の操作において慣性装置142によって測定される姿勢角(本例では、ロール角)の下限値を示している。しかしながら、ドローン1の形状の対称性に基づき、本例では、姿勢角の下限値を、姿勢角の上限値に“-1”を掛けた値(すなわち、“-20.4deg”)とする。当該下限値は、フライトエンベロープを満たした飛行状態と、フライトエンベロープを満たしていない飛行状態とを区分する閾値となる。姿勢角が-20.4degを下回ると、姿勢角についてのフライトエンベロープを逸脱したことになる。
このように、姿勢角(本例では、ロール角)のフライトエンベロープの範囲は、-20.4deg以上、かつ、20.4deg以下の範囲となる。なお、同様な手法にて、ピッチ角のフライトエンベロープの範囲も設定される。これに限らず、ドローン1の形状を考慮し、ピッチ角のフライトエンベロープの範囲を、ロール角のフライトエンベロープの範囲と同じにしてもよい。
さらに、上記のようなドローン1操作と、当該操作によって得られた波形の解析とによって、ドローン1の時間当たりの高度変化についてのフライトエンベロープの範囲とが設定される。詳しくは、MCU141が、気圧高度計143による検出結果(高度)に基づき、高度変化についてのフライトエンベロープの範囲を設定する。なお、加速度計1422による検出結果に基づき、高度変化についてのフライトエンベロープの範囲を設定するように、MCU141を構成してもよい。
以下では、説明の便宜上、上述した複数のフライトエンベロープのうち、図6に基づいて説明した合成加速度のフライトエンベロープに着目して説明する。
<E.関数を用いた判定処理>
メモリ1411に記憶された関数Va(x)と関数Vb(t)とは、本例では、合成加速度に関する関数である。以下では、関数Va(x)と関数Vb(t)とについて説明し、その後、関数Va(x)と関数Vb(t)とを用いた制御について説明する。
メモリ1411に記憶された関数Va(x)と関数Vb(t)とは、本例では、合成加速度に関する関数である。以下では、関数Va(x)と関数Vb(t)とについて説明し、その後、関数Va(x)と関数Vb(t)とを用いた制御について説明する。
図9は、関数Va(x)を示した図である。図9に示すように、関数Va(x)は、ドローン1の飛行状態(詳しくは、合成加速度)を独立変数(すなわち、x)とする関数であって、かつ、従属変数(すなわち、y)の値が、飛行状態について定められた基準範囲(フライトエンベロープ)からの飛行状態の逸脱度合いに比例している。関数Va(x)の従属変数の値の範囲は、0以上、かつ1未満である。すなわち、関数Va(x)の従属変数の値は、1以上とはならない。
詳しくは、関数Va(x)は、メンバーシップ関数である。メンバーシップ関数は、特徴関数の概念をファジィ集合に拡張したものである。関数Va(x)では、xの範囲が、3.75m/s2以上、かつ5.75m/s2以下の範囲において、yの値が、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合いに比例している。なお、値“3.75m/s2”は、5.75m/s2から、9.8m/s2と5.75m/s2との差の半分の値(約2.0)を引いた値である。
値“5.75m/s2”は、図6で説明した、合成加速度の下限値である。関数Va(x)では、合成加速度が5.75m/s2のときの関数の値を0.1としている。合成加速度が3.75m/s2のときの関数の値を0.9としている。
具体的には、関数Va(x)は、以下の式(2)および式(3)で表される。
Va(x)=-0.4x+2.4 (3.75≦x≦5.75) … (2)
Va(x)=0 (x<3.75,5.75<x) … (3)
xの範囲が3.75m/s2以上かつ5.75m/s2以下の範囲において、yの値が、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合い(xと5.75との差)に大きくなっている。たとえば、x=P1(ただし、P1≦5.75)のときのyの値よりも、x=P2(ただし、3.75≦P2<P1)のときのyの値の方が大きくなっている。
Va(x)=-0.4x+2.4 (3.75≦x≦5.75) … (2)
Va(x)=0 (x<3.75,5.75<x) … (3)
xの範囲が3.75m/s2以上かつ5.75m/s2以下の範囲において、yの値が、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合い(xと5.75との差)に大きくなっている。たとえば、x=P1(ただし、P1≦5.75)のときのyの値よりも、x=P2(ただし、3.75≦P2<P1)のときのyの値の方が大きくなっている。
図10は、関数Vb(t)を示した図である。図10に示すように、関数Vb(t)は、フライトエンベロープからの逸脱の継続時間を独立変数(x)とする関数であって、かつ、従属変数(y)の値が継続時間に比例している。関数Vb(t)の従属変数の値の範囲は、0以上、かつ1未満である。すなわち、関数Vb(t)の従属変数の値は、1以上とはならない。
詳しくは、関数Vb(t)は、メンバーシップ関数である。xの範囲が、0.1s以上、かつ0.5s以下の範囲において、yの値が、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合いに比例している。関数Vb(t)では、継続時間が0.1sのときの関数の値を0.1としている。継続時間が0.5sのときの関数の値を0.9としている。
具体的には、関数Vb(t)は、以下の式(4)および式(5)で表される。
Vb(t)=2t-0.1 (0.1≦t≦0.5) … (4)
Vb(t)=0 (t<0.1,0.5<t) … (5)
tの範囲が0.1s以上かつ0.5s以下の範囲において、yの値が、継続時間の値に比例してに大きくなっている。
Vb(t)=2t-0.1 (0.1≦t≦0.5) … (4)
Vb(t)=0 (t<0.1,0.5<t) … (5)
tの範囲が0.1s以上かつ0.5s以下の範囲において、yの値が、継続時間の値に比例してに大きくなっている。
次に、関数Va(x)と関数Vb(t)とを用いた制御について説明する。図11は、ある局面において実行される処理の流れを説明するためのフロー図である。なお、図11における各ステップS1~S7は、所定の制御周期毎(たとえば、0.01秒毎)に繰り返し実行される。
ステップS1において、トリガ装置14のMCU141は、慣性装置142から、合成加速度Pを取得する。ステップS2において、MCU141は、合成加速度Pをxの値として関数Va(x)に代入し、関数の値(Va(P))を取得する。
たとえば、MCU141は、ステップS1にて合成加速度P1を取得した場合、ステップS2により、関数の値(Va(P1))を取得する。なお、Va(P1)は、0.1以上、かつ0.9未満の値である。MCU141は、ステップS1にて合成加速度P2を取得した場合、ステップS2により、関数の値(Va(P2))を取得する。なお、Va(P1)は、0.1よりも大きく、かつ0.9以下の値である。
ステップS3において、MCU141は、合成加速度P以下の状態の継続時間Tpを取得する。たとえば、異なる制御周期のステップS1で、複数の互いに異なる合成加速度(たとえば、合成加速度P1および合成加速度P2)が取得された場合、MCU141は、合成加速度P1以下の状態の継続時間Tp1と、合成加速度P2以下の状態の継続時間Tp2とを個別に取得する。このように、MCU141は、複数のタイマ機能を有する。
たとえば、合成加速度P1の状態の期間がT1であり、途中で合成加速度がP1からP2に低下した場合には、合成加速度P2の状態の期間をT2とすると、継続時間Tp1は、少なくとも期間T1と期間T2との和(積算値)になる。
ステップS4において、MCU141は、継続時間Tpをtの値として関数Vb(t)に代入し、関数の値(Vb(Tp))を取得する。上記のように、異なる制御周期のステップS1で、合成加速度P1と合成加速度P2とが取得された場合、MCU141は、継続時間Tp1を関数Vb(t)に代入したときの関数の値(Vb(Tp1))と、継続時間Tp2を関数Vb(t)に代入したときの関数の値(Vb(Tp2))とを個別に取得する。
ステップS5において、MCU141は、関数Va(P)と、関数Vb(Tp)との和を算出する。上記の例では、MCU141は、関数Va(P1)と関数Vb(Tp1)との和と、関数Va(P2)と関数Vb(Tp2)との和を算出する。
ステップS6において、MCU141は、関数Va(P)と関数Vb(Tp)との和が閾値である1を超えたか否かを判断する。上記の例では、MCU141は、関数Va(P1)と関数Vb(Tp1)との和が1を超えたかと、関数Va(P2)と関数Vb(Tp2)との和が1を超えたかとを個別に判断する。
関数Va(P)と関数Vb(Tp)との和が閾値である1を超えた場合(ステップS6においてYES)、MCU141は、射出装置5にパラシュート51を射出させる。MCU141は、関数Va(P)と関数Vb(Tp)との和が閾値である1を超えていない場合(ステップS6においてNO)、次の制御周期に移行し、ステップS1を再度実行する。
<F.小括>
ドローン1を小括すると、以下のとおりである。
ドローン1を小括すると、以下のとおりである。
〔1〕ドローン1は、ドローン1の飛行状態を検出する慣性装置142と、パラシュート51を含み、かつ、パラシュート51を射出可能な射出装置5と、飛行状態について定められた基準範囲(すなわち、フライトエンベロープ)からの飛行状態の逸脱度合いと、当該逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、パラシュート51の射出の要否を判断するMCU(コントローラ)141とを備える。
このような構成によれば、ドローン1は、逸脱度合いと、当該逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間との両方を考慮して、パラシュート51の射出の要否を判断する。それゆえ、ドローン1によれば、適切なタイミングでパラシュートの射出が可能となる。
〔2〕MCU141は、関数Va(x)と関数Vb(t)とを記憶している。関数Va(x)は、飛行状態を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合いに比例している。関数Vb(t)は、逸脱の継続時間を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が継続時間に比例している。
MCU141は、ドローン1の飛行時における関数Va(x)の従属変数の値と関数Vb(t)の従属変数の値との合計値が予め定められた閾値(本例では、1)を超えたと判断すると、射出装置5にパラシュート51を射出させる。
このような構成によれば、フライトエンベロープからの逸脱度と、当該逸脱度以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、パラシュート51の射出の要否を判断し、かつ、判断結果に基づきパラシュート51を射出することができる。これにより、具体的には、以下のような制御が可能となる。
・フライトエンベロープからの逸脱度合いはわずかであるが、このような度合いの逸脱の継続時間が長いために、パラシュート51を射出する。
・フライトエンベロープからの逸脱度合いは、それ程大きくないが、このような度合いの逸脱の継続時間がある程度長いために、パラシュート51を射出する。
・逸脱の継続時間が短いものの、フライトエンベロープからの逸脱度合が大きいために、パラシュート51を射出する。
〔3〕MCU141は、ある局面において、慣性装置142による検出結果に基づき、飛行状態がフライトエンベロープ(基準範囲)内の安定飛行状態からフライトエンベロープを逸脱した第1の逸脱飛行状態(たとえば、図9に示す合成加速度P1の状態)に遷移したと判断すると、第1の逸脱飛行状態に基づいた関数Va(x)の従属変数の値(Va(P1))と、第1の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間Tpに基づいた関数Vb(t)の従属変数の値(Vb(Tp1))との第1の合計値を算出する。MCU141は、第1の合計値が閾値(本例では、1)を超えると、射出装置5にパラシュート51を射出させる。
〔4〕MCU141は、別のある局面において、慣性装置142による検出結果に基づき、飛行状態が上記第1の逸脱飛行状態から上記第1の逸脱飛行状態よりもフライトエンベロープを大きく逸脱した第2の逸脱飛行状態(たとえば、図9に示す合成加速度P2の状態)にさらに遷移したと判断すると、以下の処理を実行する。
MCU141は、上述した第1の合計値を再度算出する。さらに、MCU141は、第2の逸脱飛行状態に基づいた関数Va(x)の従属変数の値(Va(P2))と、第2の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間(Tp2)に基づいた関数Vb(t)の従属変数の値(Vb(Tp2))との第2の合計値とを算出する。
MCU141は、第1の合計値と第2の合計値との少なくとも一方が閾値(本例では、1)を超えると、射出装置5にパラシュート51を射出させる。
〔5〕上記においては、飛行状態が安定飛行状態から第1の逸脱飛行状態に遷移した局面と、飛行状態が安定飛行状態から第1の逸脱飛行状態を介して第2の逸脱飛行状態へと遷移した局面とを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
飛行状態が、第1の逸脱飛行状態、第2の逸脱飛行状態、…、第nの逸脱飛行状態(nは、3以上の自然数)といったように逸脱度合いが順次大きくなっていったときには、MCU141は、以下の処理を実行する。なお、以下では、kを3以上かつn以下の任意の自然数とする。
MCU141は、飛行状態が第k-1の逸脱飛行状態から第k―1の逸脱飛行状態よりもフライトエンベロープを大きく逸脱した第kの逸脱飛行状態にさらに遷移したと判断すると、第kの逸脱飛行状態に基づいた関数Va(x)の従属変数の値と、第kの逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間に基づいた関数Vb(t)の従属変数の値との第kの合計値を算出する。さらに、MCU141は、飛行状態が第1の逸脱飛行状態から第nの逸脱飛行状態へと逸脱度合いが順次大きくなるように遷移した場合、第1の合計値から第nの合計値までのn個の合計値の少なくとも一つが閾値を超えると、射出装置5にパラシュート51を射出させる。
〔6〕関数Va(x)と関数Vb(t)とは、メンバーシップ関数である。上記閾値は、1である。関数Va(x)の従属変数の値の範囲は、0以上、かつ1未満である。関数Vb(t)の従属変数の値の範囲は、0以上、かつ1未満である。このような構成によれば、関数Va(x)の値と、関数Va(x)の値とが、それぞれ単独で1を超えることはない。このため、ドローン1では、フライトエンベロープからの逸脱度だけでパラシュート51が射出されてしまうことと、逸脱の継続時間だけでパラシュート51が射出されてしまうこととを防止できる。
<G.変形例>
(1)上記においては、飛行状態の一例として、ドローン1の合成加速度を挙げて説明した。しかしながら、これに限定されない。飛行状態は、ドローン1の時間当たりの高度変化、ドローン1のロール角、ドローン1のロール角速度、ドローン1のピッチ角、および、ドローン1のピッチ角速度のうちのいずれであってもよい。
(1)上記においては、飛行状態の一例として、ドローン1の合成加速度を挙げて説明した。しかしながら、これに限定されない。飛行状態は、ドローン1の時間当たりの高度変化、ドローン1のロール角、ドローン1のロール角速度、ドローン1のピッチ角、および、ドローン1のピッチ角速度のうちのいずれであってもよい。
各飛行状態について、(i)飛行状態を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が、飛行状態について定められた基準範囲(フライトエンベロープ)からの飛行状態の逸脱度合いに比例している第1の関数と、(ii)逸脱の継続時間を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が継続時間に比例している第2の関数との組(関数のペアー)を用いて、パラシュート51を射出するか否かを判断することが好ましい。
(2)上記においては、トリガ装置14のMCU141が関数Va(x)と関数Vb(t)とを用いて射出装置5からパラシュート51を射出させるか否かを判定した。しかしながら、これに限定されない。飛行コントローラ8のMCU81が、関数Va(x)と関数Vb(t)とを記憶しており、飛行コントローラ8が、トリガ装置14の代わりに、関数Va(x)と関数Vb(t)とを用いて射出装置5からパラシュート51を射出させるか否かを判定してもよい。
(3)トリガ装置14のMCU141は、合成加速度および速度を、気圧高度計143による検出値に基づき算出してもよい。
なお、これらの3つの変形例(1)~(3)は、後述する実施の形態2におけるドローンにおいても適用される。
[実施の形態2]
本実施の形態では、実施の形態1に比べてMCU141の演算量を低減可能な構成について説明する。本実施の形態では、実施の形態1と異なる点を説明し、同じ点については繰り返し説明しない。
本実施の形態では、実施の形態1に比べてMCU141の演算量を低減可能な構成について説明する。本実施の形態では、実施の形態1と異なる点を説明し、同じ点については繰り返し説明しない。
本実施の形態では、関数Va(x)の代わりに関数Va’(x)を記憶している。関数Vb(t)の代わりに関数Vb’(t)を記憶している。詳しくは、メモリ1411は、データテーブルDT(図14)を記憶している。データテーブルDT内に、関数Va’(x)と、関数Vb’(t)とが含まれている。
以下では、先ず、関数Va’(x),Vb’(t)と、データテーブルDTとについて説明する。次いで、関数Va’(x),Vb’(t)とデータテーブルDTとを用いた判定処理を説明する。
図12は、関数Va’(x)を示した図である。図12に示すように、関数Va’(x)は、実施の形態1の関数Va(x)と同様に、ドローン1の飛行状態(詳しくは、合成加速度)を独立変数(すなわち、x)とする関数であって、かつ、従属変数(すなわち、y)の値が、飛行状態について定められた基準範囲(フライトエンベロープ)からの飛行状態の逸脱度合いに比例している。本実施の形態においても、関数Va’(x)の従属変数の値の範囲は、0以上、かつ1未満である。すなわち、関数Va’(x)の従属変数の値は、1以上とはならない。
詳しくは、関数Va’(x)は、階段関数である。関数Va’(x)では、xの範囲が、3.75m/s2以上、かつ5.75m/s2以下の範囲で、yの値が、階段状に、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合いに比例している。関数Va’(x)は、3.75m/s2以上、かつ5.75m/s2以下の範囲が、階段状になっている。
関数Va’(x)では、実施の形態1の関数Va(x)と同様に、合成加速度が5.75m/s2のときの関数の値を0.1として、合成加速度が3.75m/s2のときの関数の値を0.9としている。なお、上述したように、値“5.75m/s2”は、図6で説明した、合成加速度の下限値である。
xの範囲が3.75m/s2以上かつ5.75m/s2以下の範囲において、yの値が、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合い(xと5.75との差)に大きくなっている。なお、3.75m/s2以上、かつ5.75m/s2以下の範囲での関数の値の具体例については、データテーブルDTに示す。
図13は、関数Vb’(t)を示した図である。図13に示すように、関数Vb’(t)は、実施の形態1の関数Vb(t)と同様に、フライトエンベロープからの逸脱の継続時間を独立変数(x)とする関数であって、かつ、従属変数(y)の値が継続時間に比例している。関数Vb’(t)の従属変数の値の範囲は、0以上、かつ1未満である。すなわち、関数Vb’(t)の従属変数の値は、1以上とはならない。
詳しくは、関数Vb’(t)は、階段関数である。xの範囲が、0.1s以上、かつ0.5s以下の範囲で、yの値が、階段状に、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合いに比例している。関数Vb’(t)は、0.1s以上、かつ0.5s以下の範囲が、階段状になっている。
関数Vb’(t)では、実施の形態1の関数Vb(t)と同様に、継続時間が0.1sのときの関数の値を0.1とし、かつ、継続時間が0.5sのときの関数の値を0.9としている。なお、0.1s以上、かつ0.5s以下の範囲での関数の値の具体例については、データテーブルDTに示す。
図14は、データテーブルDTを示した図である。図14に示されるように、データテーブルDTは、関数Va’(x)と、関数Vb’(t)とを含む。
詳しくは、データテーブルDTは、関数Va’(x)については、3.75m/s2以上かつ5.75m/s2以下の範囲における各合成加速度(x)の閾値と、各合成加速度(x)に対応する関数の値(Va’(x))とを含んでいる。本例では、合成加速度(x)の刻み幅は、0.05m/s2としている。
データテーブルDTは、関数Vb’(t)については、0.1s以上かつ0.5s以下の範囲における継続時間(t)の閾値と、各継続時間(t)に対応する関数の値(Vb’(t))とを含んでいる。本例では、継続時間(t)の刻み幅は、0.01sとしている。
データテーブルDTにおいては、パターン#1~#41に示すように、(Va’(x))と関数の値(Vb’(t))との和が1となる、合成加速度(x)の閾値と継続時間(t)の閾値との組み合わせを複数記憶している。
MCU141は、データテーブルDTを参照して、パラシュート51を射出すべきか否かを判断する。詳しくは、MCU141は、パターン#1~#41に示す、合成加速度(x)の閾値と継続時間(t)の閾値との複数の組み合わせを参照して、パラシュート51を射出すべきか否かを判断する。
図15は、ある局面において実行される処理の流れを説明するためのフロー図である。なお、図15における各ステップS11~S14は、所定の制御周期毎(たとえば、0.01秒毎)に繰り返し実行される。
ステップS11において、トリガ装置14のMCU141は、慣性装置142から、合成加速度Pを取得する。ステップS12において、MCU141は、データテーブルDTを参照して、合成加速度Pと複数の合成加速度(x)の閾値とを比較し、合成加速度Pより小さく、かつ、合成加速度Pに最も近い継続時間(t)の閾値を取得する。
たとえば、MCU141は、ステップS1にて合成加速度(x)として5.75m/s2(以下、「合成加速度P3」とも称する)を取得した場合、パターン#1に示すように、ステップS2により、継続時間(t)の閾値として0.5s(以下、「閾値Tp3」とも称する)を取得する。同様に、MCU141は、ステップS1にて合成加速度(x)として5.73m/s2を取得した場合、パターン#1に示すように、ステップS2により、継続時間(t)の閾値として0.5s(閾値Tp3)を取得する。
MCU141は、ステップS1にて合成加速度(x)として5.7m/s2(以下、「合成加速度P4」とも称する)を取得した場合、パターン#2に示すように、ステップS2により、継続時間(t)の閾値として0.49s(以下、「閾値Tp4」とも称する)を取得する。同様に、MCU141は、ステップS1にて合成加速度(x)として5.68m/s2を取得した場合、パターン#2に示すように、ステップS2により、継続時間(t)の閾値として0.46s(閾値Tp4)を取得する。
ステップS13において、MCU141は、合成加速度P以下の状態の継続時間が、合成加速度Pに対応付けられた継続時間tの閾値以上になったか否かを判断する。たとえば、MCU141は、ステップS11にて合成加速度P3を取得した場合、合成加速度P3以下の状態の継続時間が、合成加速度P3に対応付けられた継続時間tの閾値Tp3以上になったか否かを判断する。
また、MCU141は、少なくとも1以上の制御周期にわたり連続して、ステップS11にて合成加速度P3を取得したのち、少なくとも1以上の制御周期にわたり連続して、ステップS11にて合成加速度P4を取得した場合には、以下の処理を実行する。すなわち、MCU141は、合成加速度P3以下の状態の継続時間が、合成加速度P3に対応付けられた継続時間tの閾値Tp3以上になったか否かと、合成加速度P4以下の状態の継続時間が、合成加速度P4に対応付けられた継続時間tの閾値Tp4以上になったか否かとを判断する。
ステップS13において肯定的な判断がなされると(ステップS13においてYES)、MCU141は、ステップS14において、トリガ装置14に指令を送ることにより、射出装置5にパラシュート51を射出させる。ステップS13において否定的な判断がなされると(ステップS13においてNO)、MCU141は、次の制御周期に移行し、ステップS11を再度実行する。
なお、上記においては、説明を簡略化するため、合成加速度P3から合成加速度P4への遷移のみを示した。たとえば、合成加速度P4へ遷移した後、合成加速度P4より小さく、かつパターン#3以降となる合成加速度P5に遷移すると、3つの合成加速度P3,P4,P5の各々について継続時間を用いた判定処理がなされる。このように、図15に示したパターン毎(区分毎)に継続時間を用いた判定がなされる。
<小括>
本実施の形態に係るドローン1を小括すると、以下のとおりである。
本実施の形態に係るドローン1を小括すると、以下のとおりである。
〔1〕ドローン1は、実施の形態1と同様に、ドローン1の飛行状態を検出する慣性装置142と、パラシュート51を含み、かつ、パラシュート51を射出可能な射出装置5と、飛行状態について定められた基準範囲(すなわち、フライトエンベロープ)からの飛行状態の逸脱度合いと、当該逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、パラシュート51の射出の要否を判断するMCU(コントローラ)141とを備える。
〔2〕MCU141は、関数Va’(x)と関数Vb’(t)とを記憶している。関数Va’(x)は、飛行状態を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が、フライトエンベロープからの飛行状態の逸脱度合いに比例している。関数Vb’(t)は、逸脱の継続時間を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が継続時間に比例している。
MCU141は、ドローン1の飛行時における関数Va’(x)の従属変数の値と関数Vb’(t)の従属変数の値との合計値が予め定められた閾値(本例では、1)を超えたと判断すると、射出装置5にパラシュート51を射出させる。
このような構成によれば、フライトエンベロープからの逸脱度と、当該逸脱度以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、パラシュート51の射出の要否を判断し、かつ、判断結果に基づきパラシュート51を射出することができる。
〔3〕関数Va’(x)と関数Vb’(t)とは、階段関数である。MCU141は、データテーブルDTに示すように、複数の飛行状態のうちフライトエンベロープ(基準範囲)を逸脱した第1の逸脱飛行状態(たとえば、合成加速度5.75m/s2)に基づく関数Va’(x)の従属変数の値(たとえば、0.1)と、関数Vb’(t)の従属変数の値との合計値が閾値(本例では、1)に達する逸脱の第1の継続時間(たとえば、閾値0.5秒)を、第1の逸脱飛行状態に関連付けて予め記憶している。
MCU141は、ある局面において、飛行状態がフライトエンベロープ内の安定飛行状態から第1の逸脱飛行状態(たとえば、合成加速度5.75m/s2)に遷移した場合、第1の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が第1の継続時間(たとえば、0.5秒)を超えると、射出装置5にパラシュート51を射出させる。
〔4〕MCU141は、複数の飛行状態のうち上記第1の逸脱飛行状態よりもフライトエンベロープを大きく逸脱した第2の逸脱飛行状態(たとえば、合成加速度5.7m/s2)に基づく関数Va’(x)の従属変数の値(たとえば、0.12)と、関数Vb’(t)の従属変数の値との合計値が閾値(本例では、1)に達する逸脱の第2の継続時間(たとえば、閾値0.49秒)を、第2の逸脱飛行状態に関連付けて記憶している。
MCU141は、ある局面において、飛行状態が第1の逸脱飛行状態から第2の逸脱飛行状態に遷移した場合、以下の第1の条件と第2の条件との何れか一方が成立したときに、射出装置5にパラシュート51を射出させる。第1の条件は、第1の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が第1の継続時間(閾値0.5秒)を超えたことである。第2の条件は、第2の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が第2の継続時間(閾値0.49秒)を超えたことである。
このよな構成によっても、実施の形態1と同様に、フライトエンベロープからの逸脱度と、当該逸脱度以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、パラシュート51の射出の要否を判断し、かつ、判断結果に基づきパラシュート51を射出することができる。
さらに、合成加速度(x)の各閾値に対して、継続時間(t)の閾値が対応付けられている。したがって、逐次、関数Va’(x)の従属変数の値(関数の値)と、関数Vb’(t)の従属変数の値(関数の値)との和を計算する必要がなくなる。それゆえ、MCU141における演算処理量を、実施の形態1に比べて低減することができる。
〔5〕上記においては、飛行状態が安定飛行状態から第1の逸脱飛行状態に遷移した局面と、飛行状態が安定飛行状態から第1の逸脱飛行状態を介して第2の逸脱飛行状態へと遷移した局面とを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。なお、以下では、nを3以上の自然数とし、かつ、kを3以上かつn以下の任意の自然数とする。
MCU141は、複数の飛行状態のうち第k-1の逸脱飛行状態よりもフライトエンベロープを大きく逸脱した第kの逸脱飛行状態に基づく関数Va’(x)の従属変数の値と、関数Vb’(t)の従属変数の値との合計値が閾値に達する逸脱の第kの継続時間を第kの逸脱飛行状態に関連付けて記憶している。MCU141は、飛行状態が第1の逸脱飛行状態から第nの逸脱飛行状態へと逸脱度合いが順次大きくなるように遷移した場合、第1の条件から第nの条件との何れか一つが成立したときに、射出装置5にパラシュート51を射出させる。
第1の条件は、上述したように、第1の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が第1の継続時間を超えたことである。第2の条件は、上述したように、第2の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が第2の継続時間を超えたことである。第kの条件(第3の条件~第nの条件)は、第kの逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が第kの継続時間を超えたことである。
<付記>
(1)飛行体であって、
前記飛行体の飛行状態を検出するセンサデバイスと、
第1の関数と第2の関数とを記憶したコントローラと、
パラシュートを含み、かつ、前記パラシュートを射出可能な射出装置とを備え、
前記第1の関数は、前記飛行状態を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が、前記飛行状態について定められた基準範囲からの前記飛行状態の逸脱度合いに比例しており、
前記第2の関数は、前記逸脱の継続時間を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が前記継続時間に比例しており、
前記コントローラは、前記飛行体の飛行時における前記第1の関数の従属変数の値と前記第2の関数の従属変数の値との合計値が予め定められた閾値を超えたと判断すると、前記射出装置に前記パラシュートを射出させる、飛行体。
(1)飛行体であって、
前記飛行体の飛行状態を検出するセンサデバイスと、
第1の関数と第2の関数とを記憶したコントローラと、
パラシュートを含み、かつ、前記パラシュートを射出可能な射出装置とを備え、
前記第1の関数は、前記飛行状態を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が、前記飛行状態について定められた基準範囲からの前記飛行状態の逸脱度合いに比例しており、
前記第2の関数は、前記逸脱の継続時間を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が前記継続時間に比例しており、
前記コントローラは、前記飛行体の飛行時における前記第1の関数の従属変数の値と前記第2の関数の従属変数の値との合計値が予め定められた閾値を超えたと判断すると、前記射出装置に前記パラシュートを射出させる、飛行体。
(2)パラシュートを射出可能な飛行体の制御方法であって、
前記飛行体は、第1の関数と第2の関数とを記憶しており、前記第1の関数は、前記飛行体の飛行状態を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が、前記飛行状態について定められた基準範囲からの前記飛行状態の逸脱度合いに比例しており、前記第2の関数は、前記逸脱の継続時間を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が前記継続時間に比例しており、
前記飛行体の制御方法は、
前記飛行体の飛行状態を検出するステップと、
前記飛行体の飛行時における前記第1の関数の従属変数の値と前記第2の関数の従属変数の値との合計値が予め定められた閾値を超えたと判断すると、前記パラシュートを射出するステップとを備える、飛行体の制御方法。
前記飛行体は、第1の関数と第2の関数とを記憶しており、前記第1の関数は、前記飛行体の飛行状態を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が、前記飛行状態について定められた基準範囲からの前記飛行状態の逸脱度合いに比例しており、前記第2の関数は、前記逸脱の継続時間を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が前記継続時間に比例しており、
前記飛行体の制御方法は、
前記飛行体の飛行状態を検出するステップと、
前記飛行体の飛行時における前記第1の関数の従属変数の値と前記第2の関数の従属変数の値との合計値が予め定められた閾値を超えたと判断すると、前記パラシュートを射出するステップとを備える、飛行体の制御方法。
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ドローン、2 本体、3A,3B,3C,3D アーム、4A,4B,4C,4D 推進機構、5 射出装置、6 通信ユニット、7A,7B,7C,7D 駆動装置、8 飛行コントローラ、9,13 バッテリ、10 電源モジュール、12 分配器、14 トリガ装置、15 センサ、16 GNSS受信機、18 支持部材、41 プロペラ、42 モータ、51 パラシュート、82,142 慣性装置、83,143 気圧高度計、900 遠隔コントローラ、910,920 操作レバー、1411 メモリ、1412 判定部、1421 ジャイロ、1422 加速度計、1423 プロセッサ、DT データテーブル、W1,W2,W3 波形。
Claims (11)
- 飛行体であって、
前記飛行体の飛行状態を検出するセンサデバイスと、
パラシュートを含み、かつ、前記パラシュートを射出可能な射出装置と、
前記飛行状態について定められた基準範囲からの前記飛行状態の逸脱度合いと、前記逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、前記パラシュートの射出の要否を判断するコントローラとを備える、飛行体。 - 前記コントローラは、第1の関数と第2の関数とを記憶しており、
前記第1の関数は、前記飛行状態を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が、前記基準範囲からの前記飛行状態の逸脱度合いに比例しており、
前記第2の関数は、前記逸脱の継続時間を独立変数とする関数であって、かつ、従属変数の値が前記継続時間に比例しており、
前記コントローラは、前記飛行体の飛行時における前記第1の関数の従属変数の値と前記第2の関数の従属変数の値との合計値が予め定められた閾値を超えたと判断すると、前記射出装置に前記パラシュートを射出させる、請求項1に記載の飛行体。 - 前記コントローラは、
前記センサデバイスによる検出結果に基づき、前記飛行状態が前記基準範囲内の安定飛行状態から前記基準範囲を逸脱した第1の逸脱飛行状態に遷移したと判断すると、前記第1の逸脱飛行状態に基づいた前記第1の関数の従属変数の値と、前記第1の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間に基づいた前記第2の関数の従属変数の値との第1の合計値を算出し、
前記第1の合計値が前記閾値を超えると、前記射出装置に前記パラシュートを射出させる、請求項2に記載の飛行体。 - 前記コントローラは、
前記センサデバイスによる検出結果に基づき、前記飛行状態が前記第1の逸脱飛行状態から前記第1の逸脱飛行状態よりも前記基準範囲を大きく逸脱した第2の逸脱飛行状態にさらに遷移したと判断すると、前記第1の合計値を再度算出するともに、前記第2の逸脱飛行状態に基づいた前記第1の関数の従属変数の値と、前記第2の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間に基づいた前記第2の関数の従属変数の値との第2の合計値を算出し、
前記第1の合計値と、前記第2の合計値との少なくとも一方が前記閾値を超えると、前記射出装置に前記パラシュートを射出させる、請求項3に記載の飛行体。 - nを3以上の自然数、kを3以上かつn以下の任意の自然数とすると、
前記コントローラは、
前記飛行状態が前記第k-1の逸脱飛行状態から前記第k―1の逸脱飛行状態よりも前記基準範囲を大きく逸脱した第kの逸脱飛行状態にさらに遷移したと判断すると、前記第kの逸脱飛行状態に基づいた前記第1の関数の従属変数の値と、前記第kの逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間に基づいた前記第2の関数の従属変数の値との第kの合計値を算出し、
前記飛行状態が前記第1の逸脱飛行状態から第nの逸脱飛行状態へと逸脱度合いが順次大きくなるように遷移した場合、前記第1の合計値から第nの合計値までのn個の合計値の少なくとも一つが前記閾値を超えると、前記射出装置に前記パラシュートを射出させる、請求項4に記載の飛行体。 - 前記第1の関数と前記第2の関数とは、メンバーシップ関数であり、
前記閾値は、1であり、
前記第1の関数の従属変数の値の範囲は、0以上、かつ1未満であり、
前記第2の関数の従属変数の値の範囲は、0以上、かつ1未満である、請求項2から5のいずれか1項に記載の飛行体。 - 前記第1の関数と前記第2の関数とは、階段関数であり、
前記コントローラは、
複数の前記飛行状態のうち前記基準範囲を逸脱した第1の逸脱飛行状態に基づく前記第1の関数の従属変数の値と、前記第2の関数の従属変数の値との合計値が前記閾値に達する前記逸脱の第1の継続時間を、前記第1の逸脱飛行状態に関連付けて予め記憶しており、
前記飛行状態が前記基準範囲内の安定飛行状態から前記第1の逸脱飛行状態に遷移した場合、前記第1の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が前記第1の継続時間を超えると、前記射出装置に前記パラシュートを射出させる、請求項2に記載の飛行体。 - 前記コントローラは、
複数の前記飛行状態のうち前記第1の逸脱飛行状態よりも前記基準範囲を大きく逸脱した第2の逸脱飛行状態に基づく前記第1の関数の従属変数の値と、前記第2の関数の従属変数の値との合計値が前記閾値に達する前記逸脱の第2の継続時間を、前記第2の逸脱飛行状態に関連付けて記憶しており、
前記飛行状態が前記第1の逸脱飛行状態から前記第2の逸脱飛行状態に遷移した場合、第1の条件と第2の条件との何れか一方が成立したときに、前記射出装置に前記パラシュートを射出させ、
前記第1の条件は、前記第1の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が前記第1の継続時間を超えたことであり、
前記第2の条件は、前記第2の逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が前記第2の継続時間を超えたことである、請求項7に記載の飛行体。 - nを3以上の自然数、kを3以上かつn以下の任意の自然数とすると、
前記コントローラは、
複数の前記飛行状態のうち前記第k-1の逸脱飛行状態よりも前記基準範囲を大きく逸脱した第kの逸脱飛行状態に基づく前記第1の関数の従属変数の値と、前記第2の関数の従属変数の値との合計値が前記閾値に達する前記逸脱の第kの継続時間を、前記第kの逸脱飛行状態に関連付けて記憶しており、
前記飛行状態が前記第1の逸脱飛行状態から第nの逸脱飛行状態へと逸脱度合いが順次大きくなるように遷移した場合、前記第1の条件から第nの条件との何れか一つが成立したときに、前記射出装置に前記パラシュートを射出させ、
第kの条件は、前記第kの逸脱飛行状態の逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間が前記第kの継続時間を超えたことである、請求項8に記載の飛行体。 - 前記基準範囲は、前記飛行体のフライトエンベロープであり、
前記飛行状態は、前記飛行体の加速度、前記飛行体の時間当たりの高度変化、前記飛行体のロール角、前記飛行体のロール角速度、前記飛行体のピッチ角、および、前記飛行体のピッチ角速度の何れかである、請求項1に記載の飛行体。 - パラシュートを射出可能な飛行体の制御方法であって、
前記飛行体の飛行状態を検出するステップと、
前記飛行状態について定められた基準範囲からの前記飛行状態の逸脱度合いと、前記逸脱度合い以上の逸脱状態が継続している継続時間とに基づき、前記パラシュートの射出の要否を判断するステップとを備える、飛行体の制御方法。
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