JP2024031818A - 内燃機関の燃焼状態検出装置 - Google Patents

内燃機関の燃焼状態検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる内燃機関の燃焼状態検出装置を提供する。【解決手段】内燃機関の燃焼状態検出装置は、放電特徴量取得部55と、判定部56とを備える。放電特徴量取得部55は、点火プラグ40に接続された点火コイル52の電圧値または電流値に基づいて放電特徴量を取得する。点火プラグ40は、混合気を着火するための着火用火花放電と、着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに検知用火花放電を実施する。そして、判定部56は、検知用火花放電の放電特徴量と所定の判定閾値との比較結果に基づいて、内燃機関が失火状態か、非失火状態かを判別する。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の燃焼状態検出装置に関する。
特許文献1には、混合気に正常に着火したか否かを判定する点火装置が開示されている。特許文献1に開示された点火装置は、点火コイルと、イグナイタ部と、通常放電制御部と、再放電制御部と、失火判定部とを備える。通常放電制御部は、混合気を着火させるための通常放電を実施させる。再放電制御部は、通常放電より後に、通常放電よりも小さな1次電流による再点火を実施させる。そして、失火判定部は、再点火より後の2次電流に係る2次電流情報、または1次電圧情報によって再放電の有無を検出し、放電の有無に基づいて混合気に正常に着火したか否かを判定する。
混合気が正常に燃焼した場合には、燃焼室内に多くのイオンが発生する。燃焼によって発生したイオンは、点火ギャップ部における絶縁破壊電圧を下げる効果があるため、正常に燃焼した場合は、再点火によって容易に放電が行われる。一方、失火した場合は、イオンが発生しないため、再点火による放電が行われない。特許文献1に記載された点火装置は、このようにイオンによる放電の違いを検知することで、正常に着火したか否かを判定している。
特許文献2には、イオンによるブレークダウン(絶縁破壊)補助が無い期間における追加点火により、点火プラグにブレークダウンが発生したか否かに基づいて失火を検知する失火検出装置が開示されている。
特許文献2に開示された失火検出装置では、追加点火時の印加電圧(第2印加電圧)を、通常点火時の印加電圧(第1印加電圧)よりも低い適正値に設定する。印加電圧(第2印加電圧)の適正値は、通常点火により混合気が正常燃焼していればブレークダウンしないが、通常点火が失火していればブレークダウンする値とする。追加点火のブレークダウンの有無は、点火コイルの電圧、または電流によって判定する。
特開2015-200258号公報 特開2021-162011号公報
ところで、近年、再生可能エネルギーから生成された水素やアンモニアなどのカーボンニュートラル燃料を、内燃機関の燃料として利用する事が検討されている。燃焼室内のイオンは、炭化水素(CH)と酸素との反応によって発生する。ガソリンやエタノールなどの燃料であれば、燃焼ガス中に多くの炭化水素が含まれる。そのため、燃焼室内には、燃焼状態の判定に必要な量のイオンが発生する。一方、水素やアンモニアの燃焼ガスには、炭化水素がほとんど含まれない。そのため、水素やアンモニアなどの燃料を燃焼した場合は、イオンの発生量が極めて少ない。
特許文献1に記載された点火装置では、イオンによる放電の違いを検知する。したがって、イオンの発生量が極めて少ない水素やアンモニアなどの燃料に正常に着火したか否かを判定することが困難である。
特許文献2に記載された失火検出装置では、燃焼によってイオンが発生しない燃料であっても失火検知が可能である。しかし、点火コイルの点火ギャップ部の絶縁破壊電圧には、燃焼室内の圧力のみならず、温度、ガス組成、ガス流動、点火プラグの摩耗や汚損状態など、様々な要因が影響する。したがって、エンジンの多様な運転状態や環境状態において、追加点火時の印加電圧の適正値を定めることは困難である。すなわち、特許文献2に記載された失火検出装置は、エンジンの運転状態や環境状態の変化に対して、ロバスト性が低い。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる内燃機関の燃焼状態検出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、本目的を達成するため、本発明の一側面を反映した内燃機関の燃焼状態検出装置は、内燃機関の点火プラグに接続された点火コイルの電圧値または電流値に基づいて放電特徴量を取得する放電特徴量取得部と、放電特徴量取得部によって取得された放電特徴量と所定の判定閾値との比較を行う判定部とを備える。点火プラグは、混合気を着火するための着火用火花放電と、前記着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに検知用火花放電を実施する。放電特徴量取得部は、検知用火花放電における点火コイルの電圧値または電流値に基づいた放電特徴量を取得する。判定部は、放電特徴量と所定の判定閾値との比較に基づいて内燃機関の失火状態と非失火状態を判定する。
本発明によれば、燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる。
第1実施形態に係る内燃機関の構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る燃焼検知部の一部をECUの内部に配置した例を示す図である。 第1実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す図である。 第1実施形態に係る燃焼検知部の一部をECUの内部に配置した例を示す図である。 第1実施形態に係る点火部と電圧検出部の回路構成例を示す図である。 第1実施形態に係る点火信号のタイミングとコイル電圧、電流、筒内圧の挙動の例を示す説明図である。 第1実施形態に係る検知用火花放電の1次電圧と2次電流の挙動の一例を示す説明図である。 一般的な放電路の伸長の例を示す説明図である。 第1実施形態に係る筒内圧と放電路の伸長量、放電終期ピーク電圧、放電期間との関係の例を示す説明図である。 第1実施形態に係るピーク電圧取得部と判定部の構成例を示す図である。 第1実施形態に係るピーク電圧取得部と判定部の動作例を示す説明図である。 第1実施形態に係るピーク電圧に基づいた失火検知処理の手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す図である。 第2実施形態に係る燃焼検知部の一部をECUの内部に配置した例を示す図である。 第2実施形態に係る点火部と電流検出部の回路構成例を示す図である。 第2実施形態に係る放電期間取得部と判定部の構成例を示す図である。 第2実施形態に係る放電期間取得部と判定部の動作例を示す説明図である。 第2実施形態に係る放電期間に基づいた失火検知処理の手順を示すフローチャートである。 第3実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す図である。 第3実施形態に係る燃焼検知部の一部をECUの内部に配置した例を示す図である。 第3実施形態に係る放電期間取得部と判定部の構成例を示す図である。 第3実施形態に係る放電期間取得部と判定部の動作例を示す説明図である。 第3実施形態に係る放電期間に基づいた失火検知処理の手順を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す図である。 第4実施形態に係る燃焼検知部の一部をECUの内部に配置した例を示す図である。 第4実施形態に係る検知用火花放電の1次電圧の平均化期間と平均電圧を示す説明図である。 第4実施形態に係る筒内圧と平均電圧の関係の例を示す説明図である。 第4実施形態に係る平均電圧に基づいた失火検知処理の手順を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る平均電圧を算出する手順を示すフローチャートである。 第5実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す説明図である。 第5実施形態に係る平均電圧とピーク電圧に基づいた失火検知処理の手順を示すフローチャートである。 第5実施形態に係る検知用火花放電タイミングが異なる場合の検知用火花放電における1次電圧の挙動の一例を示す説明図である。 第5実施形態に係る検知用火花放電タイミングの変化に対して、ピーク電圧に基づいた失火検知を行った場合と、平均電圧に基づいた失火検知を行った場合の失火検知精度の例を示す説明図である。 第6実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す図である。 第6実施形態に係る検知用火花放電の1次電圧の挙動と1次電圧の時間微分挙動と1次電圧の時間微分の平均化期間の例を示す説明図である。 第6実施形態に係る筒内圧と電圧変化率の関係の例を示す説明図である。 第6実施形態に係る電圧変化率に基づいた失火検知処理の手順を示すフローチャートである。 第6実施形態に係る電圧変化率を算出する手順を示すフローチャートである。 本発明に係る平均エンジントルク、平均エンジン回転速度、平均吸気圧の変化に対する、ピーク電圧比較値と放電期間比較値の変更方法を示す説明図である。 本発明に係る平均エンジントルク、平均エンジン回転速度、平均吸気圧の変化に対する、平均電圧比較値と電圧変化率比較値の変更方法を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
[内燃機関の構成]
まず、第1実施形態に係る内燃機関の構成について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る内燃機関の構成例を示す全体構成図である。
図1に示すように、内燃機関13は、シリンダ38と、シリンダ38内を摺動するピストン35と、吸気バルブ32と、排気バルブ34と、点火プラグ40とを備える。シリンダ38内には、ピストン35に面する燃焼室37が形成される。燃焼室37は、吸気マニホールド31及び排気マニホールド33と連通している。
吸気バルブ32は、吸気マニホールド31と燃焼室37との連通を開閉する。排気バルブ34は、排気マニホールド33と燃焼室37との連通を開閉する。吸気マニホールド31には、燃料を噴射するインジェクタ36が設けられている。インジェクタ36が噴射する燃料と、吸気マニホールド31から吸気される空気とが混合された混合気は、燃焼室37に供給される。
インジェクタ36によって内燃機関13に供給される燃料は、ガソリンやエタノールなどに加え、メタンガス、プロパンガス、水素、アンモニア、合成炭化水素燃料(eFuel)など、燃焼性の液体燃料、またはガス燃料である。なお、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーから生成された水素、アンモニア、eFuelなどを燃料とすることで、内燃機関における二酸化炭素の排出を極めて少なくすることが可能である。
また、内燃機関13は、点火装置3を備える。点火装置3は、点火プラグ40に高電圧を印加する点火部51と、内燃機関13の燃焼状態を検知する燃焼検知部1を有する。燃焼検知部1は、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。
点火プラグ40は、点火部51から高電圧を印加されると、火花放電を発生させて、燃焼室37内の混合気に点火する。点火部51は、ECU(Engine Control Unit)2に電気的に接続されている。点火部51は、ECU2から送信される点火信号に基づいて、ハイテンションコード48を通じて点火プラグ40に高電圧を印加する。燃焼検知部1は、点火部51より電圧情報または電流情報を受け取り、その電圧情報または電流情報に基づいて内燃機関13の燃焼状態を検知し、検知結果をECU2に送出する。
点火プラグ40が火花放電を発生すると、燃焼室37内の混合気が着火し燃焼する。燃焼室37内で燃焼した混合気は、ピストン35を押し下げて、不図示のクランクシャフトを回転させる。その結果、内燃機関13により発生させた動力が外部に取り出される。
[点火部と燃焼検知部の構成]
次に、本発明の実施形態に係る点火装置の点火部と燃焼検知部の構成について、図2及び図3を用いて説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る点火装置3における点火部51と燃焼検知部1の構成例を示す説明図である。図3は、本発明の実施形態に係る燃焼検知部の構成要素の一部をECU2の内部に配置した例を示す説明図である。
図2に示すように、点火部51は、イグナイタ54と、点火コイル52を有する。イグナイタ54は、ECU2から送出された点火信号を受け取る。点火コイル52は、点火プラグ40に高電圧を印加する。
燃焼検知部1は、放電情報検出部53と、放電特徴量取得部55と、判定部56を有する。放電情報検出部53は、点火コイル52の電圧(1次電圧または2次電圧)、または電流(2次電流)を検出し、これを放電情報として放電特徴量取得部55に送出する。放電特徴量取得部55は、入力された放電情報に基づいて放電特徴量を取得し、判定部56に送出する。判定部56は、入力された放電特徴量と、ECU2より受け取った比較値に基づいて内燃機関13の失火判定を行い、判定結果をECU2に送出する。
図2では、燃焼検知部1の構成要素の全てが点火装置3の内部に配置された例を示した。しかし、燃焼検知部の構成要素の一部をECU2の内部に配置してもよい。図3に示すように、点火装置3’は、点火部51と、放電情報検出部53を有する。
燃焼検知部1’は、点火装置3’の内部に配置された放電情報検出部53と、ECU2の内部に配置された放電特徴量取得部55’及び判定部56’から構成されている。燃焼検知部1’は、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。放電情報検出部53から出力される放電情報は、放電情報出力部4を介してECU2に送出される。
燃焼検知部1’のように、放電特徴量取得部55’と判定部56’をECU2の内部に配置すると、放電特徴量取得部55’と判定部56’の処理を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、内燃機関13の運転状態に合わせて失火判定の条件を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知(失火判定)を最適化することができる。
<第1実施形態>
[点火部と燃焼検知部の構成]
次に、第1実施形態に係る点火装置の点火部と燃焼検知部の構成について、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、第1実施形態に係る点火装置3Aにおける点火部51と燃焼検知部1aの構成例を示す説明図である。図5は、第1実施形態に係る燃焼検知部の構成要素の一部をECU2の内部に配置した例を示す説明図である。
図4に示すように、点火部51は、イグナイタ54と、点火コイル52を有する。イグナイタ54は、ECU2から送出された点火信号を受け取る。点火コイル52は、点火プラグ40に高電圧を印加する。
燃焼検知部1aは、電圧検出部53aと、ピーク電圧取得部55aと、判定部56aを有する。電圧検出部53aは、点火コイル52の電圧(1次電圧または極性反転された2次電圧)を検出し、電圧信号62をピーク電圧取得部55aに送出する。なお、電圧検出部53aは、点火コイル52の2次電圧を検出するよりも、点火コイル52の1次電圧を検出するほうがより望ましい。点火コイル52の2次電圧は、通常数万ボルトに達する。一方、点火コイル52の1次電圧は、通常数百ボルトである。したがって、電圧検出部53aが点火コイル52の1次電圧を検出する場合には、電圧検出部53aが点火コイル52の2次電圧を検出する場合に比べて、ハードウェアの耐圧性を下げることができ、ハードウェアのコストを低減できる。また、電圧検出部53aが点火コイル52の1次電圧を検出する場合には、電圧検出部53aが点火コイル52の2次電圧を検出する場合に比べて、安全性及び信頼性を高めることができる。
ピーク電圧取得部55aは、入力された電圧信号62に基づいてピーク電圧値を取得し、判定部56aに送出する。判定部56aは、入力されたピーク電圧値と、ECU2より受け取ったピーク電圧比較値に基づいて内燃機関13の失火判定を行い、判定結果をECU2に送出する。
図4では、燃焼検知部1aの構成要素の全てが点火装置3Aの内部に配置された例を示した。しかし、燃焼検知部の構成要素の一部をECU2の内部に配置してもよい。図5に示すように、点火装置3Bは、点火部51と、電圧検出部53aを有する。
燃焼検知部1bは、点火装置3Bの内部に配置された電圧検出部53aと、ECU2の内部に配置されたピーク電圧取得部55b及び判定部56bから構成されている。燃焼検知部1bは、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。電圧検出部53aは、点火コイル52の電圧(1次電圧または極性反転された2次電圧)を検出する。電圧検出部53aから出力される電圧信号62は、電圧出力部4bを介してECU2に送出される。なお、電圧検出部53aは、ECU2において電圧信号62の取り扱いが容易となるように、電圧信号62を適切な電圧範囲(例えば0~5ボルトの範囲)に降圧することが望ましい。
点火コイル52の低圧側である1次側の電圧の電圧値は、通常、最大数百ボルトに達する。この電圧値を直接、電圧信号62としてECU2に送出すると、ECU2に高い耐圧性や電圧の降圧回路が必要となり、ECU2のハードウェアコストが高くなる。そこで、電圧検出部53aは、検出した点火コイル52の電圧を、ECU2の内部で通常取り扱われる電圧範囲(0~5ボルトの範囲)に降圧する。これにより、ECU2のハードウェアコストの上昇を抑えることができる。
燃焼検知部1bのように、ピーク電圧取得部55bと判定部56bをECU2の内部に配置すると、ピーク電圧取得部55bと判定部56bの処理を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、内燃機関13の運転状態に合わせて失火判定の条件を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知(失火判定)を最適化することができる。
[点火部と電圧検出部の回路構成]
次に点火部51と電圧検出部53aの回路構成について、図6を用いて説明する。
図6は、点火部51と電圧検出部53aの回路構成例を示した説明図である。
図6に示すように、点火部51は、点火コイル52と、イグナイタ54とを有する。また、電圧検出部53aは、直列に接続された分圧抵抗R1及び分圧抵抗R2を有する。
点火部51において、点火コイル52の1次コイル52aの一端は、不図示のバッテリ(直流電源)に接続されている。これにより、1次コイル52aには、所定の電圧(例えば12V)が印加され、1次電流が流れる。1次コイル52aの他端は、イグナイタ54のコレクタ端子と、電圧検出部53aの分圧抵抗R1の一端に接続されている。1次コイル52aの他端は、イグナイタ54のエミッタ端子を介して接地されている。イグナイタ54には、トランジスタや電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)などが用いられる。イグナイタ54のベース端子は、ECU2に接続されている。
点火コイル52の2次コイル52bは、1次コイル52aと磁気回路及び磁束を共有する。1次コイル52aに対する2次コイル52bの巻き数比は、例えば100程度に設定される。2次コイル52bの一端は、ハイテンションコード48を通じて点火プラグ40の電極に接続されている。2次コイル52bの他端は、ダイオードD0のアノードに接続されている。ダイオードD0のカソードは接地されている。
ECU2からイグナイタ54のベース端子に点火信号が送出されている間、すなわち、点火信号がオンされている間、イグナイタ54のコレクタ端子とエミッタ端子間が通電状態となる。これにより、1次電流は、1次コイル52aを経て、イグナイタ54のコレクタ端子からエミッタ端子に出力される。
ECU2からイグナイタ54のベース端子への点火信号の送出が停止すると、すなわち、点火信号がオフされると、イグナイタ54を流れる1次電流が遮断される。このとき、1次コイル52aには磁界変化が発生し、自己誘導により1次電圧が発生する。そして、2次コイル52bには、相互誘導により、巻き数比に応じた高い2次電圧が発生する。これにより、2次電圧が点火プラグ40に印加され、点火プラグ40の点火ギャップ41(図9参照)で火花放電が発生する。また、2次コイル52bに2次電圧が誘起されて発生した2次電流は、ダイオードD0を介して接地へ流れる。
また、点火信号がオンからオフになり2次電圧が発生すると、点火コイル52の相互誘導によって、1次電圧が誘起される。1次コイル52aに1次電圧が誘起されることによって発生した1次電流は、電圧検出部53aの分圧抵抗R1と分圧抵抗R2を介して接地へ流れる。
電圧検出部53aは、分圧抵抗R1と分圧抵抗R2の間の電圧を電圧信号62として送出する。1次コイル52aの電圧をV1とすると、電圧信号62の電圧Vsは、数式(1)により算出される。
[数1]
Vs=V1×R2/(R1+R2)…(1)
火花放電時に相互誘導によって生じる1次コイル52aの電圧V1(1次コイル電圧V1)は、一般に最大数百ボルトに達する。そのため、電圧検出部53aは、分圧抵抗R1とR2により、1次コイル電圧V1を取り扱いの容易な低電圧(例えば最大5ボルト程度)に降圧して、電圧信号62として送出する。
[点火信号のタイミングとコイル電圧、電流、筒内圧の挙動]
次に、本実施形態における点火信号のタイミングとコイル電圧、電流、筒内圧の挙動の例を、図7を用いて説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る、点火信号のタイミングとコイル電圧、電流、筒内圧の挙動の例を示す説明図である。
図7に示すグラフの横軸は、クランク角度を示し、グラフの左端が圧縮開始タイミング(圧縮下死点)、グラフ右端が膨張終了タイミング(膨張下死点)を示す。図7に示すグラフは、上段から、ECU2により点火部51に送出される点火信号、コイルの一次電流、コイルの2次電流、コイルの2次電圧、コイルの1次電圧、筒内圧の時間変化を示している。また、筒内圧に関しては、正常に燃焼した場合(実線)と失火した場合(破線)を示している。
図7に示すように、本実施形態では、まず、圧縮行程の後期から膨張行程の初期(例えば、圧縮上死点前40°~圧縮上死点後20°)に、ECU2が、混合気を着火するための点火信号(着火用点火信号)を点火部51に送出する。着火用点火信号がLow(OFF)からHigh(ON)になると、イグナイタ54が通電状態となり、1次コイル52aに1次電流が流れる。1次コイル52aに1次電流が流れると、点火コイル52に磁気エネルギーが蓄えられる。
次に、着火用点火信号がHighからLowに切り替わると、イグナイタ54を流れる1次電流が遮断され、相互誘導によって2次コイル52bに高い電圧が誘起される。この高い電圧によって、点火プラグ40の点火ギャップ41(図9参照)で絶縁破壊(ブレークダウン)が起こり、着火用の火花放電(着火用火花放電)が発生する。着火用火花放電が発生すると、2次電流が流れ、更にコイルの相互誘導によって1次電圧が誘起される。このとき、1次電圧の変化は、2次電圧の変化と対応した挙動となる。すなわち、2次電圧が高くなると、1次電圧もそれに対応して高くなる。
着火用火花放電が発生し、2次電流が流れることで、点火コイル52に蓄えられていた磁気エネルギーが減少する。磁気エネルギーの減少に伴い、2次電圧が点火ギャップ41の絶縁破壊電圧よりも低くなると、着火用火花放電が終了する。その結果、2次電流及び1次電圧は、ほぼ0となる。
その後、膨張行程に、ECU2が、失火を検知するための点火信号(検知用点火信号)を点火部51に送出する。検知用点火信号がLow(OFF)からHigh(ON)になると、イグナイタ54が通電状態となり、1次コイル52aに1次電流が流れる。1次コイル52aに1次電流が流れると、点火コイル52に磁気エネルギーが蓄えられる。
次に、検知用点火信号がHighからLowに切り替わると、イグナイタ54を流れる1次電流が遮断され、相互誘導によって2次コイル52bに高い電圧が印加される。この高い電圧によって点火プラグ40の点火ギャップ41で絶縁破壊(ブレークダウン)が起こり、検知用の火花放電(検知用火花放電)が発生する。検知用火花放電が発生すると、2次電流が流れ、更にコイルの相互誘導によって1次電圧が誘起される。このとき、1次電圧の変化は、2次電圧の変化と対応した挙動となる。すなわち、2次電圧が高くなると、1次電圧もそれに対応して高くなる。
検知用火花放電が発生し、2次電流が流れることで、点火コイル52に蓄えられていた磁気エネルギーが減少する。磁気エネルギーの減少に伴い、2次電圧が、点火ギャップ41の絶縁破壊よりも低くなると、検知用火花放電が終了する。その結果、2次電流及び1次電圧は、ほぼ0となる。
検知用点火信号を送出するタイミングは、正常燃焼において、燃焼室内の火炎伝播がほぼ完了したタイミング以降であり、かつ点火信号を送出するタイミングにおける正常燃焼時と失火時の筒内圧との差異が所定以上(例えば0.1MPa以上)となるタイミングであることが望ましい。
検知用点火信号を送出するタイミングが過度に早い場合は、検知用の放電タイミングにおける筒内の温度や、イオンを含むガス組成の分布が不均一となったり、ガス流れの乱れが強くなったりする。これらは、検知用火花放電の電圧や放電期間に影響を与える。したがって、検知のための点火信号を送出するタイミングが過度に早い場合は、失火検知の信頼性が低下する虞がある。
また、検知用点火信号を送出するタイミングが過度に遅い場合は、検知用の放電タイミングにおける正常燃焼時と失火時の筒内圧の差異が小さくなる。これは、失火検知におけるSN比の低下となる。そのため、検知用点火信号を送出するタイミングが過度に遅い場合は、失火検知の信頼性が低下する虞がある。
発明者の実験結果によると、検知用点火信号の送出タイミングは、燃焼質量割合90%(MFB(Mass Fraction Burnt)90)の時期に対して20°進角タイミングから、MFB90の時期に対して40°遅角タイミングまでの範囲内に設定することが望ましい。
検知用点火信号を送出するタイミングがMFB90の時期に対して20°進角タイミングより早い場合は、検知用の放電タイミングにおける筒内の温度や、イオンを含むガス組成の分布が不均一となったり、ガス流れの乱れが強くなったりする。その結果、失火検知の信頼性が低下する虞がある。一方、検知用点火信号を送出するタイミングがMFB90の時期に対して40°遅角タイミングより遅い場合は、正常燃焼時と失火時の筒内圧の差異が小さくなる。これにより、失火検知におけるSN比が低下し、失火検知の信頼性が低下する虞がある。
また、検知用点火信号のON時間(コイルへの磁気エネルギチャージ時間)は、失火、正常燃焼に関わらず、火花放電(ブレークダウン)が発生する範囲で、過度に長くならないように設定する。発明者の実験結果によると、検知用点火信号の望ましいON時間は、概ね0.2msから1msである。
検知用点火信号のON時間を過度に短くした場合(例えば、0.1ms)は、相互誘導によって発生する二次電圧が絶縁破壊電圧より低くなり、火花放電(ブレークダウン)が発生しない虞がある。一方、検知用点火信号のON時間を過度に長くした場合(例えば2ms)は、放電期間が長くなることに伴う、再放電(リストライク)や放電路の架け換え(短絡)の発生確率が増大し、失火検知の信頼性が低下する虞がある。また、検知用点火信号のON時間を過度に長くした場合は、検知用の火花放電による電力消費量が増加し、燃費が悪化する虞がある。さらに、放電に伴う点火プラグの電極摩耗が大きくなり、内燃機関のメンテナンスに要する費用が高くなる虞がある。
また、検知用点火信号のON時間は、検知用点火信号を送出するタイミングもしくは内燃機関の負荷に基づいて変更することが望ましい。より具体的には、検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の進角側である場合は、検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の遅角側である場合に比べて、検知用点火信号のON時間を長くすることが望ましい。また、内燃機関の負荷(トルク)が高い場合は、内燃機関の負荷が低い場合に比べて、検知用点火信号のON時間を長くすることが望ましい。
検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の進角側である場合は、検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の遅角側である場合に比べて、検知用点火信号を送出するタイミングにおける筒内圧は高くなる。その結果、検知用火花放電を発生させるための絶縁破壊電圧が高くなる。そこで、検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の進角側である場合は、検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の遅角側である場合に比べて、検知用点火信号のON時間を長くする。これにより、火花放電(ブレークダウン)が発生しないリスクを低減できる。
内燃機関の負荷(トルク)が高い場合は、内燃機関の負荷が低い場合に比べて、検知用点火信号を送出するタイミングにおける筒内圧は高くなる。その結果、検知用火花放電を発生させるための絶縁破壊電圧が高くなる。そこで、内燃機関の負荷が高い場合は、内燃機関の負荷が低い場合に比べて、検知用点火信号のON時間を長くする。これにより、火花放電(ブレークダウン)が発生しないリスクを低減できる。
[検知用火花放電の1次電圧と2次電流の挙動]
次に、本実施形態における検知用火花放電の1次電圧と2次電流の挙動について、図8を用いて説明する。
図8は、第1実施形態に係る検知用火花放電の1次電圧と2次電流の挙動の一例を示す説明図である。
図8に示すグラフの横軸は、経過時間を表している。図8Aは、電圧検出部53aにより検出した検知用火花放電における1次電圧(電圧信号62)を示す。図8Bは、検知用火花放電の2次電流の時間変化を示す。ここで、t0は、検知用火花放電の開始タイミングを示し、t1は、検知用火花放電の放電終了タイミングを示す。検知用火花放電の開始タイミングt0は、2次電流の絶対値が所定値以上となるタイミング、もしくは、検知用点火信号がONからOFFになるタイミングとして定義される。検知用火花放電の放電終了タイミングt1は、2次電流の絶対値が所定値以下となるタイミングとして定義される。また、検知用火花放電の放電期間Tdは、t1とt0の差分として定義される。
図8Aに示すように、検知用火花放電の開始タイミングt0の直後では、1次電圧(電圧信号62)は大きく振動する挙動を示す。これは、点火部51や電圧検出部53aなどに含まれる浮遊容量とインダクタンスの共振によって発生するリンギングノイズである。このリンギングノイズは、放電期間の中期において減少する。1次電圧は、検知用火花放電の終期において上昇し、放電終了タイミングt1でほぼ0となる。即ち、検知用火花放電の終期において、1次電圧のピーク値(以下、放電終期ピーク電圧Vpと称す)が現れる。なお、検知用火花放電の終期とは、放電期間Tdに対して概ね60%から100%(検知用火花放電の放電開始タイミングが0%、検知用火花放電の放電終了タイミングが100%)の間を示す。
このように、放電終期において電圧が上昇するのは、放電路の伸長効果によるものである。本実施形態では、検知用火花放電における放電終期ピーク電圧Vpを基に燃焼状態を検知する。すなわち、ピーク電圧取得部55a,55b(図4又は図5参照)は、検知用火花放電における放電終期ピーク電圧Vpを取得する。
なお、ピーク電圧取得部55a,55bによって取得される検知用火花放電における放電終期ピーク電圧Vpは、点火コイル52の2次電圧の放電終期ピーク電圧から取得してもよい。但し、点火コイル52の2次電圧は、最大数万ボルトに達するため、低圧側であって取扱いの容易な1次電圧から放電終期ピーク電圧Vpを取得する方が、回路を製造するコストを低減する観点から望ましい。
[放電路の伸長]
次に放電路の伸長について、図9を用いて説明する。
図9は、一般的な放電路の伸長の例を示した説明図である。
図9に示すように、点火プラグ40の点火ギャップ41で火花放電が発生すると、点火ギャップ41のガス流れによって、放電路が引き伸ばされる。図9では、ガスが左から右に流れている例を示している。したがって、放電路は、ガス流れの方向である右方向に伸びる。
点火プラグ40の電極中心から放電路の最遠部までの距離を伸長量とすると、伸長量は、放電の時間経過と共に増大し、放電終了直前に最も大きくなる。また、点火ギャップ41の電気抵抗は、放電路の伸長量にほぼ比例し、伸長量が大きいほど点火ギャップ41の電気抵抗は高くなる。
点火コイル52の2次電圧は、点火ギャップ41の電気抵抗と2次電流との積で決まる。放電終期では、2次電流の減少に対して、放電路の伸長による点火ギャップ41の電気抵抗の増大が顕著になるため、2次電圧にピークが生じる。そして、相互誘導によって励起される1次電圧(電圧信号62)は、2次電圧にほぼ比例する。そのため、放電終期において、1次電圧(電圧信号62)にもピークが生じ、これが放電終期ピーク電圧Vp(図8A参照)となる。すなわち、放電路の伸長量と放電終期ピーク電圧Vpとの間には、正の相関があり、放電路の伸長量が大きいほど放電終期ピーク電圧Vpは高くなる。
[筒内圧と伸長量、放電終期ピーク電圧Vp、放電期間Tdとの関係]
次に、筒内圧と伸長量、放電終期ピーク電圧Vp、放電期間Tdとの関係について、図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態に係る、筒内圧と伸長量、放電終期ピーク電圧Vp、放電期間Tdとの関係の例を示す説明図である。
図10Aは、筒内圧と検知用火花放電における放電路の伸長量との関係の例を示す。図10Bは、筒内圧と検知用火花放電における放電終期ピーク電圧Vpとの関係の例を示す。図10Cは、筒内圧と検知用火花放電における放電期間Tdとの関係の例を示す。
図10Aに示すように、筒内圧と放電路の伸長量には高い相関があり、筒内圧が低くなるほど放電路の伸長量は小さくなる。これは、放電路の伸長がガスの流れによる移流効果と、電子の拡散効果とのバランスで決まるためである。より詳しく説明すると、移流効果は、放電路の伸長を増やす方向に作用する。これに対して、電子の拡散効果は、放電路の伸長を減らす方向に作用する。電子の拡散効果は、筒内圧が低いほど大きくなるため、移流効果が一定(ガス流速が一定)であれば、筒内圧が下がるほど伸長量が小さくなる。
前述したように、放電路の伸長量と放電終期ピーク電圧Vpには正の相関がある。したがって、図10Bに示すように、筒内圧と放電終期のピーク電圧Vpの間にも正の相関が得られる。
図10Cに示すように、筒内圧と放電期間Tdには、負の相関が得られる。すなわち、放電期間Tdは、筒内圧が低いほど長くなる。放電出力(単位時間当たりの放電エネルギー)は、2次電圧と2次電流の積で決まる。筒内圧が下がって放電路の伸長量が小さくなると、2次電圧が下がるため、放電出力が低下する。このため、筒内圧が下がると、点火コイル52に蓄えられた電磁エネルギーの消費速度が小さくなり、放電期間Tdが長くなる。
失火時は、正常燃焼時に比べて、検知用火花放電のタイミングにおける筒内圧が低くなる。したがって、失火時は、正常燃焼時に比べて、検知用火花放電の放電終期ピーク電圧Vpは低くなる。また、失火時は、正常燃焼時に比べて、検知用火花放電の放電期間Tdが長くなる。
そこで、予めキャリブレーションによって、失火時の放電終期ピーク電圧Vpの上限値(失火判定をするためのピーク電圧比較値Vpc)を決定しておく。そして、検知用火花放電の放電終期ピーク電圧Vpがピーク電圧比較値Vpcより小さければ、失火であると判別する。一方、検知用火花放電の放電終期ピーク電圧Vpがピーク電圧比較値Vpc以上であれば、正常燃焼であると判別する。
また、予めキャリブレーションによって、失火時の放電期間Tdの下限値(失火判定をするための放電期間比較値Tdc)を決定しておく。そして、検知用火花放電の放電期間Tdが放電期間比較値Tdcより大きければ、失火であると判別する。一方、検知用火花放電の放電期間Tdが放電期間比較値Tdc以下であれば、正常燃焼であると判別する。なお、放電期間Tdから失火を検知する構成は、後述する第2実施形態において説明する。
[ピーク電圧取得部と判定部の構成]
次にピーク電圧取得部55aと判定部56aの構成について、図11を用いて説明する。
図11は、第1実施形態に係るピーク電圧取得部55aと判定部56aの構成例を示した説明図である。
図11に示すように、ピーク電圧取得部55aは、トリガー生成回路66と、ピークホールド回路67を有する。トリガー生成回路66には、ECU2から送出された点火信号(リセット信号)が入力される。また、ピークホールド回路67には、トリガー生成回路66で生成されたトリガー信号と、電圧検出部53aから送出された電圧信号62と、ECU2から送出された点火信号(リセット信号)とが入力される。
また、判定部56aは、比較回路68を有する。比較回路68には、ピークホールド回路67から出力された放電終期ピーク電圧Vpと、ECU2から送出されたピーク電圧比較値Vpcが入力される。比較回路68から出力された判定結果(High/Low)は、ECU2へ送出される。
[ピーク電圧取得部と判定部の動作]
次に、ピーク電圧取得部55aと判定部56aの動作例について、図12を用いて説明する。
図12は、第1実施形態に係るピーク電圧取得部55aと、判定部56aの動作例を示した説明図である。
図12のグラフにおける横軸は、時間経過を示す。また、図12におけるグラフは、上段から、ECU2から送出された点火信号(リセット信号)、トリガー生成回路66で生成されたトリガー信号、電圧検出部53aから送出された電圧信号62(1次電圧)、ピークホールド回路67の出力値、ECU2から送出されたピーク電圧比較値Vpc、比較回路68によって出力された判定結果を示す。
図12に示すように、トリガー生成回路66は、点火信号(リセット信号)のONからOFFの立下りからTdelay時間経過後に、トリガー信号をLowからHighに立ち上げて、Highの状態をTsample期間が経過するまで維持する。ピークホールド回路67は、トリガー信号がHighの期間、入力された電圧信号62の最大値を保持し、その最大値を比較回路68に出力する。
Tdelay時間は、検知用火花放電の放電期間Tdの概ね2/3程度に予め決定される。また、Tsample期間は、検知用火花放電の放電期間Tdと概ね同等に予め決定される。このように、Tdelay時間及びTsample期間を定めることによって、ピークホールド回路67では、電圧信号62のリンギングノイズの影響を回避しつつ、検知用火花放電の放電終期ピーク電圧Vpを取得することができる。
比較回路68は、ピークホールド回路67で取得された放電終期ピーク電圧Vpと、ピーク電圧比較値Vpcを比較する。そして、放電終期ピーク電圧Vpがピーク電圧比較値Vpcより小さい場合は、High(失火を示す)を出力する。一方、放電終期ピーク電圧Vpがピーク電圧比較値Vpc以上の場合は、Low(正常燃焼を示す)を出力する。比較回路68の出力は、判定部56aにおける判定結果としてECU2に送出される。
[ECUのソフトウェアによるピーク電圧に基づいた失火検知の手順]
次に、ECU2のソフトウェアによる放電周期ピーク電圧Vpに基づいた失火検知の手順について、図13を用いて説明する。
図13は、第1実施形態に係る、ECU2のソフトウェアによる放電周期ピーク電圧Vpに基づいた失火検知処理を示すフローチャートである。
図5に示した燃焼検知部1bでは、ピーク電圧取得部55b、判定部56bをECU2の内部に配置した。したがって、ピーク電圧の取得、及び、失火判定は、ECU2において動作するソフトウェアによって実行する。
図13に示すように、ECU2は、圧縮行程の後期から膨張行程の初期において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、着火用火花放電を実行する(S1)。次に、ECU2は、膨張行程において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、検知用火花放電を実行する(S2)。次に、ECU2は、燃焼検知部1bの電圧検出部53aによって検出された検知用火花放電における電圧信号62を取り込む(S3)。
次に、ECU2のピーク電圧取得部55bが、電圧信号62から放電終期ピーク電圧Vpを取得する(S4)。次に、ECU2の判定部56bが、放電終期ピーク電圧Vpが予め決定されたピーク電圧比較値Vpcよりも小さいか否かを判定する(S5)。ステップS5において、放電終期ピーク電圧Vpがピーク電圧比較値Vpcよりも小さくないと判定したとき(S5がNO判定の場合)、ECU2の判定部56bは、正常燃焼と判定する(S6)。ステップS6の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
一方、ステップS5において、放電終期ピーク電圧Vpがピーク電圧比較値Vpcよりも小さいと判定したとき(S5がYES判定の場合)、ECU2の判定部56bは、失火ありと判定する(S7)。ステップS7の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
<第2実施形態>
[点火部と燃焼検知部の構成]
次に、第2実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成について、図14を用いて説明する。
図14は、第2実施形態に係る点火装置の点火部と燃焼検知部の構成例を示す説明図である。
第2実施形態では、検知用火花放電における放電期間Tdを基に燃焼状態を検知する。図14に示すように、第2実施形態に係る点火装置3Cは、点火部51と、燃焼検知部1cとを有する。燃焼検知部1cは、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。
点火部51は、イグナイタ54と、点火コイル52を有する。イグナイタ54は、ECU2から送出された点火信号を受け取る。点火コイル52は、点火プラグ40に高電圧を印加する。
燃焼検知部1cは、点火部51より電流情報を受け取り、その電流情報に基づいて内燃機関13の燃焼状態を判定する。そして、燃焼検知部1cは、判定結果をECU2に送出する。燃焼検知部1cは、電流検出部53cと、放電期間取得部55cと、判定部56cを有する。
電流検出部53cは、点火コイル52の2次電流を検出し、電流信号65(2次電流値)を放電期間取得部55cに送出する。放電期間取得部55cは、検知用火花放電の放電期間Tdを取得する。すなわち、放電期間取得部55cは、入力された電流信号65に基づいて点火コイル52の放電期間を取得し、判定部56cに送出する。判定部56cは、入力された放電期間と、ECU2から受け取った放電期間比較値に基づいて内燃機関13の失火判定を行い、判定結果をECU2に送出する。
図14では、燃焼検知部1cの構成要素の全てが点火装置3Cの内部に配置された例を示した。しかし、燃焼検知部の構成要素の一部をECU2の内部に配置してもよい。図15に示すように、点火装置3Dは、点火部51と、電流検出部53cを有する。
燃焼検知部1dは、点火装置3Dの内部に配置された電流検出部53cと、ECU2の内部に配置された放電期間取得部55dと、判定部56dから構成されている。燃焼検知部1dは、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。
電流検出部53cから出力される電流信号65は、電流出力部4dを介してECU2に送出される。電流検出部53cから出力される電流信号65は、検出したコイル電流値に比例した電圧値である。電流検出部58は、ECU2において電流信号65の取り扱いが容易となるように、電流信号65を所定の電圧範囲(例えば、0~5ボルト)となるように調圧することが望ましい。
燃焼検知部1dのように、放電期間取得部55dと判定部56dをECU2の内部に配置すると、放電期間取得部55dと判定部56dの処理を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、エンジンの運転状態に合わせて失火判定の条件を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知(失火判定)を最適化することができる。
[点火部と電流検出部の回路構成]
次に点火部51と電流検出部53cの回路構成について、図16を用いて説明する。
図16は、点火部51と電流検出部53cの回路構成例を示した説明図である。
図16に示すように、点火部51は、点火コイル52と、イグナイタ54とを有する。また、電流検出部53cは、電流検出抵抗R3を有する。
点火部51において、点火コイル52の1次コイル52aの一端は、不図示のバッテリ(直流電源)に接続されている。これにより、1次コイル52aには、所定の電圧(例えば12V)が印加され、一次電流が流れる。1次コイル52aの他端は、イグナイタ54のコレクタ端子に接続されている。1次コイル52aの他端は、イグナイタ54のエミッタ端子を介して接地されている。イグナイタ54には、トランジスタや電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)などが用いられる。イグナイタ54のベース端子は、ECU2に接続されている。
点火コイル52の2次コイル52bは、1次コイル52aと磁気回路及び磁束を共有する。1次コイル52aに対する2次コイル52bの巻き数比は、例えば100程度に設定される。2次コイル52bの一端は、ハイテンションコード48を通じて点火プラグ40の電極に接続されている。2次コイル52bの他端は、ダイオードD0のアノードに接続されている。ダイオードD0のカソードは、電流検出部58の電流検出抵抗R3の一端、及びツェナーダイオードTD0のカソードに接続されている。ツェナーダイオードTD0のアノードは接地されている。
ECU2からイグナイタ54のベース端子に点火信号が送出されている間、すなわち、点火信号がオンされている間、イグナイタ54のコレクタ端子とエミッタ端子間が通電状態となる。これにより、1次電流は、1次コイル52aを経て、イグナイタ54のコレクタ端子からエミッタ端子に出力される。
ECU2からイグナイタ54のベース端子への点火信号の送出が停止すると、すなわち、点火信号がオフされると、イグナイタ54を流れる1次電流が遮断される。このとき、1次コイル52aには磁界変化が発生し、自己誘導により1次電圧が発生する。そして、2次コイル52bには、相互誘導により、巻き数比に応じた高い2次電圧が発生する。これにより、2次電圧が点火プラグ40に印加され、点火プラグ40の点火ギャップ41で火花放電が発生する。また、2次コイル52bに2次電圧が誘起されて発生した2次電流は、ダイオードD0、電流検出抵抗R3を介して接地へ流れる。
電流検出部53cは、電流検出抵抗R3の両端の電位差を電流信号65として送出する。2次コイル52bを流れる2次電流の大きさをI2とすると、電流信号65の電圧Vtは、数式(2)により算出される。
[数2]
Vt=I2×R3…(2)
すなわち、電流検出部53cは、2次電流の大きさに比例した電圧値を電流信号65として放電期間取得部55c,55dに送出する。なお、電流信号65の取り扱いを容易とするため、電流信号65が最大5ボルト程度となるように、電流検出抵抗R3の抵抗値が決められる。
また、点火部51のツェナーダイオードTD0によって、電流検出部53cにおいて2次電流の経路が断線したときの時の安全回路が形成されている。より詳しく説明すると、電流検出部53cの電流検出抵抗R3を通って接地に至る経路が、何らかの理由で断線すると、ツェナーダイオードTD0印加電圧が上昇する。そして、ツェナーダイオードTD0の印加電圧がツェナーダイオードTD0の降伏電圧以上になると、2次電流は、ツェナーダイオードTD0を通じて接地へ流れる。これによって、電流検出部53cにおいて2次電流の経路が断線した場合であっても、点火コイル52の放電が確保される。
[放電期間取得部と判定部の構成]
次に、放電期間取得部55cと判定部56cの構成について、図17を用いて説明する。
図17は、第2実施形態に係る放電期間取得部55cと判定部56cの構成例を示した説明図である。
図17に示すように、放電期間取得部55cは、絶対値回路69と、比較回路68aと、クロック発生回路70と、積分回路71を有する。また、判定部56cは、比較回路68bを有する。
絶対値回路69には、電流検出部55cから送出された電流信号65が入力される。比較回路68aには、絶対値回路69から送出された電流信号65の絶対値と、閾値72が入力される。積分回路71には、比較回路68aから送出された積分ON信号と、クロック発生回路70から送出されたクロック信号(例えば100kHzのクロック信号)と、ECU2から送出された点火信号とが入力される。
判定部56cの比較回路68bには、積分回路71から送出された放電期間Tdと、ECU2から送出された放電期間比較値Tdcが入力される。比較回路68bは、判定結果(High/Low)を出力する。比較回路68bから出力された判定結果(High/Low)は、ECU2へ送出される。
[放電期間取得部と判定部の動作]
次に、放電期間取得部55cと判定部56cの動作例について、図18を用いて説明する。
図18は、第2実施形態に係る放電期間取得部55cと、判定部56cの動作例を示した説明図である。
図18におけるグラフの横軸は、時間経過を示す。また、図18におけるグラフは、上段から、ECU2から送出された点火信号、電流検出部53cから送出された電流信号65(2次電流)、絶対値回路69から送出された電流信号の絶対値、比較回路68aから送出された積分ON信号、クロック発生回路70から送出されたクロック信号、積分回路71の積分出力値、ECU2から送出された放電期間比較値Tdc、比較回路68bによって出力された判定結果を示す。
図18に示すように、積分回路71は、点火信号がLowからHighに立ち上がるタイミングで出力値をゼロにリセットする。絶対値回路69は、入力された電流信号65を絶対値に変換し、電流信号の絶対値として比較回路68aに入力する。
比較回路68aは、入力された電流信号の絶対値と閾値72(図17参照)との比較を行い、電流信号の絶対値が閾値72より大きい場合に、High(通電状態を示す)の積分ON信号を出力する。また、比較回路68aは、電流信号の絶対値が閾値72以下の場合に、Low(非通電状態を示す)の積分ON信号を出力する。
閾値72は、2次電流の通電期間を判定するための値である。閾値72は、通電時の電流信号65の平均値に対して充分小さい値であり、かつ、非通電時におけるノイズによる電流信号65の変動幅よりも大きな値として予め定められる。閾値72は、例えば、通電時の電流信号65の平均値×0.01である。
積分回路71は、比較回路68aから入力された積分ON信号がHighの期間、クロック発生回路70から入力されたクロック信号数をカウントする。そして、クロック数/クロック周波数により算出される積分出力値を出力する。積分ON信号がHighの期間は、電流の通電時間、即ち放電期間Tdであるので、積分ON信号がHighからLowに下がった以降の積分出力値は、放電期間Tdと等しい。
比較回路68bは、積分回路71で取得された放電期間Tdと、放電期間比較値Tdcを比較する。そして、放電期間Tdが放電期間比較値Tdcより大きい場合は、High(失火を示す)を出力する。一方、放電期間Tdが放電期間比較値Tdc以下の場合はLow(正常燃焼を示す)を出力する。比較回路68bの出力は、判定部56cにおける判定結果としてECU2に送出される。
[ECUのソフトウェアによる放電期間に基づいた失火検知の手順]
次に、ECU2のソフトウェアによる放電期間Tdに基づいた失火検知の手順について、図19を用いて説明する。
図19は、第2実施形態に係る、ECU2のソフトウェアによる放電期間Tdに基づいた失火検知の手順を示すフローチャートである。
図15に示した燃焼検知部1dでは、放電期間取得部55d、判定部56dをECU2の内部に配置した。したがって、放電期間Tdの取得、及び、失火判定は、ECU2で動作するソフトウェアによって実行する。
図19に示すように、ECU2は、圧縮行程の後期から膨張行程の初期において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、着火用火花放電を実行する(S11)。次に、ECU2は、膨張行程において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、検知用火花放電を実行する(S12)。次に、ECU2は、燃焼検知部1dの電流検出部53cによって検出された検知用火花放電における電流信号65を取り込む(S13)。
次に、ECU2の放電期間取得部55dが、電流信号65から放電期間Tdを取得する(S14)。具体的には、点火信号がHighからLowに立ち下がるタイミング以降において、電流信号65の絶対値が予め定めた閾値よりも大きくなる時間を放電期間Tdとして取得する。次に、ECU2の判定部56dが、放電期間Tdが予め決定された放電期間比較値Tdcよりも大きいか否かを判定する(S15)。ステップS15において、放電期間Tdが放電期間比較値Tdcよりも大きくないと判定したとき(S15がNO判定の場合)、ECU2の判定部56dは、正常燃焼と判定する(S16)。ステップS16の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
一方、ステップS15において、放電期間Tdが放電期間比較値Tdcよりも大きいと判定したとき(S15がYES判定の場合)、ECU2の判定部56dは、失火ありと判定する(S17)。ステップS17の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
<第3実施形態>
[点火部と燃焼検知部の構成]
次に、第3実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成について、図20を用いて説明する。
図20は、第3実施形態に係る点火装置の点火部と燃焼検知部の構成例を示す説明図である。
第3実施形態では、検知用火花放電における放電期間Tdを基に燃焼状態を検知する。図20に示すように、第3実施形態に係る点火装置3Eは、点火部51と、燃焼検知部1eとを有する。燃焼検知部1eは、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。
点火部51は、イグナイタ54と、点火コイル52を有する。イグナイタ54は、ECU2から送出された点火信号を受け取る。点火コイル52は、点火プラグ40に高電圧を印加する。
燃焼検知部1eは、点火部51より電圧情報を受け取り、その電圧情報に基づいて内燃機関13の燃焼状態を判定する。そして、燃焼検知部1eは、判定結果をECU2に送出する。燃焼検知部1eは、電圧検出部53eと、放電期間取得部55eと、判定部56cを有する。
電圧検出部53eは、点火コイル52の1次電圧を検出し、電圧信号62eを放電期間取得部55eに送出する。放電期間取得部55eは、検知用火花放電の放電期間Tdを取得する。すなわち、放電期間取得部55eは、入力された電圧信号62eに基づいて点火コイル52の放電期間を取得し、判定部56cに送出する。判定部56cは、入力された放電期間と、ECU2から受け取った放電期間比較値に基づいて内燃機関13の失火判定を行い、判定結果をECU2に送出する。
なお、電圧検出部53eが点火コイル52の1次電圧を検出する理由は、点火コイル52の放電期間を容易に検出するためである。点火コイル52の2次電圧は、点火コイル52の放電終了後に開放電圧値となり、比較的高い負電圧値(例えば―500V)が維持される。したがって、点火コイル52の2次電圧の大きさから点火コイル52の放電終了タイミングを検出することは困難である。一方、点火コイル52の1次電圧は、点火コイル52の放電終了後に基準電圧(ほぼ0V)となる。したがって、点火コイル52の1次電圧の大きさから容易に点火コイル52の放電終了タイミングを検出することができる。
図20では、燃焼検知部1eの構成要素の全てが点火装置3Eの内部に配置された例を示した。しかし、燃焼検知部の構成要素の一部をECU2の内部に配置してもよい。図21に示すように、点火装置3Fは、点火部51と、電圧検出部53eを有する。
燃焼検知部1fは、点火装置3Fの内部に配置された電圧検出部53eと、ECU2の内部に配置された放電期間取得部55fと、判定部56dから構成されている。燃焼検知部1fは、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。
電圧検出部53eから出力される電圧信号62eは、電圧出力部4fを介してECU2に送出される。電圧検出部53eから出力される電圧信号62eは、検出したコイル電圧値に比例した電圧値である。電圧検出部53eは、ECU2において電圧信号62eの取り扱いが容易となるように、電圧信号62eを所定の電圧範囲(例えば、0~5ボルト)に調圧する。
燃焼検知部1fのように、放電期間取得部55fと判定部56dをECU2の内部に配置すると、放電期間取得部55fと判定部56dの処理を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、エンジンの運転状態に合わせて失火判定の条件を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知(失火判定)を最適化することができる。
[放電期間取得部と判定部の構成]
次に、放電期間取得部55eと判定部56cの構成について、図22を用いて説明する。
図22は、第3実施形態に係る放電期間取得部55eと判定部56cの構成例を示した説明図である。
図22に示すように、放電期間取得部55eは、ローパスフィルタ回路80eと、比較回路68eと、クロック発生回路70と、積分回路71eを有する。また、判定部56cは、比較回路68bを有する。
ローパスフィルタ回路80eには、電圧検出部53eから送出された電圧信号62eが入力される。ローパスフィルタ回路80eには、電圧信号62eのリンギングノイズが除去されるように、カットオフ周期が設定されている。ローパスフィルタ回路80eのカットオフ周期は、例えば、検知用火花放電期間Td×0.1に設定される。
比較回路68eには、ローパスフィルタ回路80eから送出されたフィルタ後電圧信号と、閾値72eが入力される。
積分回路71eには、比較回路68eから送出された積分ON信号と、クロック発生回路70から送出されたクロック信号(例えば100kHzのクロック信号)と、ECU2から送出された点火信号とが入力される。
判定部56cの比較回路68bには、積分回路71eから送出された放電期間Tdと、ECU2から送出された放電期間比較値Tdcが入力される。比較回路68bは、判定結果(High/Low)を出力する。比較回路68bから出力された判定結果(High/Low)は、ECU2へ送出される。
[放電期間取得部と判定部の動作]
次に、放電期間取得部60eと判定部56cの動作例について、図23を用いて説明する。
図23は、第3実施形態に係る放電期間取得部55eと、判定部56cの動作例を示した説明図である。
図23におけるグラフの横軸は、時間経過を示す。また、図23におけるグラフは、上段から、ECU2から送出された点火信号、電圧検出部53eから送出された電圧信号62e(1次電圧)、ローパスフィルタ回路80eから送出されたフィルタ後電圧信号、比較回路68eから送出された積分ON信号、クロック発生回路70から送出されたクロック信号、積分回路71eの積分出力値、ECU2から送出された放電期間比較値Tdc、比較回路68bによって出力された判定結果を示す。
図23に示すように、積分回路71eは、点火信号がLowからHighに立ち上がるタイミングで出力値をゼロにリセットする。ローパスフィルタ回路80eは、入力された電圧信号62eの高周波成分を除去したフィルタ後電圧信号を比較回路68eに入力する。ローパスフィルタ回路80eは、電圧信号62eに生じる高周波数のリンギングノイズを除去する。これにより、フィルタ後電圧信号から得られる放電期間の誤検出を防ぐことができる。
比較回路68eは、入力されたフィルタ後電圧信号と閾値72e(図22参照)との比較を行い、フィルタ後電圧信号が閾値72eより大きい場合に、High(通電状態を示す)の積分ON信号を出力する。また、比較回路68eは、フィルタ後電圧信号が閾値72e以下の場合に、Low(非通電状態を示す)の積分ON信号を出力する。
閾値72eは、電流の通電期間を判定するための値である。閾値72eは、通電時の電圧信号62eの平均値に対して充分小さい値として予め定められる。閾値72eは、例えば、通電時の電圧信号62eの平均値×0.01である。
積分回路71eは、比較回路68eから入力された積分ON信号がHighの期間、クロック発生回路70から入力されたクロック信号数をカウントする。そして、積分回路71eは、クロック数/クロック周波数により算出される積分出力値を出力する。積分ON信号がHighの期間は、電流の通電時間、即ち放電期間Tdである。そのため、積分ON信号がHighからLowに下がった以降の積分出力値は、放電期間Tdとほぼ等しい。
比較回路68bは、積分回路71eで取得された放電期間Tdと、放電期間比較値Tdcを比較する。そして、比較回路68bは、放電期間Tdが放電期間比較値Tdcより大きい場合に、High(失火を示す)を出力する。一方、比較回路68bは、放電期間Tdが放電期間比較値Tdc以下の場合に、Low(正常燃焼を示す)を出力する。比較回路68bの出力は、判定部56cにおける判定結果としてECU2に送出される。
[ECUのソフトウェアによる放電期間に基づいた失火検知の手順]
次に、ECU2のソフトウェアによる放電期間Tdに基づいた失火検知の手順について、図24を用いて説明する。
図24は、第3実施形態に係る、ECU2のソフトウェアによる放電期間Tdに基づいた失火検知処理の手順を示すフローチャートである。
図21に示した燃焼検知部1fでは、放電期間取得部55f、判定部56dをECU2の内部に配置した。したがって、放電期間Tdの取得、及び、失火判定は、ECU2で動作するソフトウェアによって実行する。
図24に示すように、ECU2は、圧縮行程の後期から膨張行程の初期において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、着火用火花放電を実行する(S20)。次に、ECU2は、膨張行程において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、検知用火花放電を実行する(S21)。次に、ECU2は、燃焼検知部1fの電圧検出部53eによって検出された検知用火花放電における電圧信号62eを取り込む(S22)。
次に、ECU2の放電期間取得部55fがローパスフィルタリングにより電圧信号62eから高周波成分を除去する(S23)。ECU2の放電期間取得部55fのローパスフィルタは、電圧信号62eのリンギングノイズが除去されるようにカットオフ周期が設定されている。カットオフ周期は、例えば、検知用火花放電期間Td×0.1に設定される。ECU2の放電期間取得部55fがローパスフィルタリングにより高周波成分を除去する理由は、電圧信号62eに生じた高周波数のリンギングノイズを除去して、その後に得る放電期間の誤検出を防ぐためである。
次に、ECU2の放電期間取得部55fが、フィルタリング後の電圧信号から放電期間Tdを取得する(S24)。具体的には、点火信号がHighからLowに立ち下がるタイミング以降でフィルタリング後の電圧信号が予め定めた通電判定閾値よりも大きくなる時間を放電期間Tdとして取得する。通電判定閾値は、電流の通電期間を判定するための値である。通電判定閾値は、通電時の電圧信号62の平均値に対して充分小さい値として予め定められる。通電判定閾値は、例えば、通電時の電圧信号62eの平均値×0.01である。
次に、ECU2の判定部56dが、放電期間Tdが予め決定された放電期間比較値Tdcよりも大きいか否かを判定する(S25)。ステップS25において、放電期間Tdが放電期間比較値Tdcよりも大きくないと判定したとき(S25がNO判定の場合)、ECU2の判定部56dは、正常燃焼と判定する(S27)。ステップS27の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
一方、ステップS25において、放電期間Tdが放電期間比較値Tdcよりも大きいと判定したとき(S25がYES判定の場合)、ECU2の判定部56dは、失火ありと判定する(S26)。ステップS26の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
<第4実施形態>
[点火部と燃焼検知部の構成]
次に、本発明の第4実施形態に係る点火装置の点火部と燃焼検知部の構成について、図25及び図26を用いて説明する。
図25は、第4実施形態に係る点火装置3Gにおける点火部51と燃焼検知部1gの構成例を示す説明図である。図26は、第4実施形態に係る燃焼検知部の構成要素の一部をECU2の内部に配置した例を示す説明図である。
図25に示すように、点火部51は、イグナイタ54と、点火コイル52を有する。イグナイタ54は、ECU2から送出された点火信号を受け取る。点火コイル52は、点火プラグ40に高電圧を印加する。
燃焼検知部1gは、電圧検出部53aと、平均電圧取得部55gと、判定部56gを有する。電圧検出部53aは、点火コイル52の電圧(1次電圧または極性反転された2次電圧)を検出し、電圧信号62を平均電圧取得部55gに送出する。なお、電圧検出部53aは、点火コイル52の2次電圧を検出するよりも、点火コイル52の1次電圧を検出するほうがより望ましい。
平均電圧取得部55gは、入力された電圧信号62の平均電圧値を取得し、判定部56gに送出する。判定部56gは、入力された平均電圧値と、ECU2より受け取った平均電圧比較値に基づいて内燃機関13の失火判定を行い、判定結果をECU2に送出する。
図25では、燃焼検知部1gの構成要素の全てが点火装置3Gの内部に配置された例を示した。しかし、燃焼検知部の構成要素の一部をECU2の内部に配置してもよい。図26に示すように、点火装置3Hは、点火部51と、電圧検出部53aを有する。
燃焼検知部1hは、点火装置3Hの内部に配置された電圧検出部53aと、ECU2の内部に配置された平均電圧取得部55h及び判定部56hから構成されている。燃焼検知部1hは、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。電圧検出部53aから出力される電圧信号62は、電圧出力部4hを介してECU2に送出される。
燃焼検知部1hのように、平均電圧取得部55hと判定部56hをECU2の内部に配置すると、平均電圧取得部55hと判定部56hの処理を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、内燃機関13の運転状態に合わせて失火判定の条件を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知(失火判定)を最適化することができる。
[平均化期間と平均電圧]
次に、第4実施形態に係る検知用火花放電の1次電圧の平均化期間と平均電圧について、図27を用いて説明する。
図27は、平均電圧取得部55g、または平均電圧取得部55hによって取得される平均電圧の説明図である。
図27に示すグラフの横軸は、経過時間を示している。また、図27に示すグラフの縦軸は、電圧検出部53aにより検出した検知用火花放電における電圧信号62(1次電圧)の一例を示す。ここで、t0は、検知用火花放電の開始タイミングを示し、t1は、検知用火花放電の終了タイミングを示す。また、t2は、電圧信号62の平均化開始タイミングを示し、t3は、電圧信号62の平均化終了タイミングを示す。
平均電圧取得部55g、または平均電圧取得部55hは、検知用火花放電の放電期間Td内における電圧信号62の平均電圧Vmを取得する。ここで平均電圧Vmは、放電期間Td内における電圧(1次電圧、もしくは極性反転された2次電圧)のアンサンブル平均値である。また、平均電圧Vmは、放電期間Td内における電圧(1次電圧、もしくは2次電圧)のRMS値(二乗平均値の平方根)であってもよい。
電圧信号62を平均化する期間(平均化期間Tm)は、検知用火花放電の放電期間Td内であって、かつ放電期間Tdの後期であることが望ましい。より具体的には、電圧信号62の平均化開始タイミングt2が、放電期間Tdの50%以降であることが望ましい。また、電圧信号62の平均化終了タイミングt3が、放電期間Tdの90%以降であることが望ましい。発明者の実験によると、電圧信号62の平均化開始タイミングt2の望ましい範囲は、数式(3)により表される。また、電圧信号62の平均化終了タイミングt3の望ましい範囲は、数式(4)により表される。
[数3]
t0+0.9×Td > t2 ≧ t0+0.5×Td…(3)
[数4]
t0+Td ≧ t3 ≧ t0+0.9×Td…(4)
電圧信号62の平均化開始タイミングt2が、放電期間の50%以降であることが望ましい理由は、検知用火花放電の前半ではリンギングノイズによって電圧が不安定になるためである。電圧信号62の平均化終了タイミングt3が、放電期間の90%以降であることが望ましい理由は、前述のように、検知用火花放電の終期の電圧が筒内圧と強い相関を持つためである。
[筒内圧と平均電圧]
次に、第4実施形態に係る筒内圧と平均電圧の関係について、図28を用いて説明する。
図28は、検知用火花放電タイミングにおける筒内圧と平均電圧Vmとの関係を示す説明図である。
図28に示すように検知用火花放電タイミングにおける筒内圧と平均電圧Vmには、強い相関がある。すなわち、平均電圧Vmは、検知用火花放電タイミングにおける筒内圧の上昇と共に大きくなる。失火時は、正常燃焼時に比べて検知用火花放電タイミングにおける筒内圧が低くなる。そのため、平均電圧Vmの大きさに基づいて失火と正常燃焼を判別することが可能である。
[ECUのソフトウェアによる平均電圧に基づいた失火検知の手順]
次に、第4実施形態に係る、ECU2のソフトウェアによる平均電圧Vmに基づいた失火検知の手順について、図29を用いて説明する。
図29は、第4実施形態に係る失火検知処理の手順を示すフローチャートである。
図26に示した燃焼検知部1hでは、平均電圧取得部55h、判定部56hをECU2の内部に配置した。したがって、平均電圧Vmの取得、及び、失火判定は、ECU2で動作するソフトウェアによって実行する。
図29に示すように、ECU2は、圧縮行程の後期から膨張行程の初期において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、着火用火花放電を実行する(S30)。次に、ECU2は、膨張行程において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、検知用火花放電を実行する(S31)。次に、ECU2の平均電圧取得部55hが、平均電圧Vm取得処理を行う(S32)。ステップS32において、平均電圧取得部55hは、電圧信号62から平均電圧Vmを取得する。次に、ECU2の判定部56hが、平均電圧Vmが予め決定された平均電圧比較値Vmcよりも小さいか否かを判定する(S33)。
ステップS33において、平均電圧Vmが平均電圧比較値Vmcよりも小さくないと判定したとき(S33がNO判定の場合)、ECU2の判定部56hは、正常燃焼と判定する(S35)。ステップS35の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。一方、ステップS33において、平均電圧Vmが平均電圧比較値Vmcよりも小さいと判定したとき(S33がYES判定の場合)、ECU2の判定部56hは、失火ありと判定する(S34)。ステップS34の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
[平均電圧Vm取得処理]
次に、図29に示す失火検知処理にステップS32において実行される平均電圧Vm取得処理について、図30を用いて説明する。
図30は、ECU2のソフトウェアによる平均電圧Vmを算出する手順を示すフローチャートである。
図30に示すように、ECU2は、点火信号がLowになっているか否かを判定する(S321)。ステップS321において、点火信号がLowでない場合(S321がNO判定の場合)、ECU2は、ステップS321を繰り返す。一方、点火信号がLowである場合(S321がYES判定の場合)、ECU2は、検知用火花放電が開始されたと判断し、放電開始タイミングt0に現在のクランク角をセットする(S322)。
次に、ECU2は、燃焼検知部1hの電圧検出部53aによって検出された検知用火花放電における電圧信号62を取り込む(S323)。そして、ECU2は、電圧信号62が予め定めた通電判定閾値より小さいか否かを判定する(S324)。ステップS324において、電圧信号が予め定めた通電判定閾値より小さくない場合(S324がNO判定の場合)、ECU2は、電圧信号と現在のクランク角をバッファに書き込む(S325)。ステップS325の処理後、ECU2は、ステップS323に戻る。
ステップS324において、電圧信号が予め定めた通電判定閾値より小さい場合(S324がYES判定の場合)、ECU2は、検知用火花放電が終了したと判断し、放電終了タイミングt1に現在のクランク角をセットする(S326)。通電判定閾値は、電流の通電期間を判定するための値である。通電判定閾値は、通電時の電圧信号62の平均値に対して充分小さい値として予め定められる。通電判定閾値は、例えば、通電時の電圧信号62の平均値×0.01である。
次に、ECU2は、放電開始タイミングt0と放電終了タイミングt1とから、電圧信号の平均化開始タイミングt2を算出する(S327)。平均化開始タイミングt2は、例えば、上述した数式(3)によって算出される。次に、ECU2は、放電開始タイミングt0と放電終了タイミングt1とから、電圧信号の平均化終了タイミングt3を算出する(S328)。平均化終了タイミングt3は、例えば、上述した数式(4)によって算出される。
次に、ECU2は、ステップS325においてバッファに書き込まれた電圧信号値とクランク角を基に、平均化開始タイミングt2から平均化終了タイミングt3までの電圧信号の平均電圧Vmを算出する(S329)。平均電圧Vmは、例えば、平均化開始タイミングt2から平均化終了タイミングt3までの電圧信号62のアンサンブル平均である。また、平均電圧Vmは、例えば、平均化開始タイミングt2から平均化終了タイミングt3までの電圧信号62のRMS値である。ステップS329の処理後、ECU2は、平均電圧Vm取得処理を終了して、図29に示す失火検知処理のステップS33を実行する。
<第5実施形態>
[点火部と燃焼検知部の構成]
次に、本発明の第5実施形態に係る点火装置の点火部と燃焼検知部の構成について、図31を用いて説明する。
図31は、第5実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す説明図である。
図31に示すように、点火装置3Iは、点火部51と、電圧検出部53aを有する。点火部51は、イグナイタ54と、点火コイル52を有する。イグナイタ54は、ECU2から送出された点火信号を受け取る。点火コイル52は、点火プラグ40に高電圧を印加する。
電圧検出部53aは、点火コイル52の電圧(1次電圧または極性反転された2次電圧)を検出する。なお、電圧検出部53aは、点火コイル52の2次電圧を検出するよりも、点火コイル52の1次電圧を検出するほうがより望ましい。
燃焼検知部1iは、点火装置3Iの内部に配置された電圧検出部53aと、ECU2の内部に配置されたピーク電圧取得部55b、平均電圧取得部55h、及び判定部56iから構成されている。燃焼検知部1iは、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。
ピーク電圧取得部55bは、入力された電圧信号62のピーク電圧Vpを取得し、判定部56iに送出する。平均電圧取得部55hは、入力された電圧信号62の平均電圧Vmを取得し、判定部56iに送出する。判定部56iは、入力されたピーク電圧Vpもしくは平均電圧Vmと、ECU2で予め定めた平均電圧比較値またはピーク電圧比較値に基づいて内燃機関13の失火判定を行う。
[ECUのソフトウェアによる失火検知の手順]
次に、第5実施形態に係る、ECU2のソフトウェアによる失火検知の手順について、図32を用いて説明する。
図32は、第5実施形態に係る失火検知処理の手順を示すフローチャートである。
図31に示した燃焼検知部1iでは、ピーク電圧取得部55b、平均電圧取得部55h、判定部56iをECU2の内部に配置した。したがって、ピーク電圧Vpの取得、平均電圧Vmの取得、及び、失火判定は、ECU2で動作するソフトウェアによって実行する。
図32に示すように、ECU2は、圧縮行程の後期から膨張行程の初期において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、着火用火花放電を実行する(S40)。次に、ECU2は、膨張行程において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、検知用火花放電を実行する(S41)。次に、ECU2は、検知用火花放電タイミングθdが予め定めたタイミング比較値θdcより大きいか否かを判定する(S42)。
ステップS42において、検知用火花放電タイミングθdが予め定めたタイミング比較値θdcよりも大きくないと判定したとき(S42がNO判定の場合)、ECU2は、ピーク電圧Vpに基づいて失火判定を実施する(S43)。より具体的には、図13に示したピーク電圧Vpに基づいた失火判定処理のステップS3以降の手順に従って失火判定を実施する。ステップS44の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
ステップS42において、検知用火花放電タイミングθdが予め定めたタイミング比較値θdcよりも大きいと判定したとき(S42がYES判定の場合)、ECU2は、平均電圧Vmに基づいて失火判定を実施する(S44)。より具体的には、図29に示した平均電圧Vmに基づいた失火判定処理のステップS32以降の手順に従って失火判定を実施する。ステップS44の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
このように、第5実施形態では、検知用火花放電タイミングθdに応じて、ピーク電圧Vpに基づいた失火判定と、平均電圧Vmに基づいた失火判定とを切り替える。この利点について、図33及び図34を用いて説明する。
図33は、検知用火花放電タイミングθdが異なる場合の検知用火花放電における1次(電圧信号62)の挙動の一例を示した説明図である。図33Aは、検知用火花放電タイミングθdが進角している場合(例えば検知用火花放電タイミングθdが圧縮上死点後50°)における1次電圧(電圧信号62)の挙動の一例を示す。図33Bは、検知用火花放電タイミングθdが遅角している場合(例えば検知用火花放電タイミングθdが圧縮上死点後90°)における1次電圧(電圧信号62)の挙動の一例を示す。また、図33A及び図33Bの実線は、正常燃焼時の1次電圧(電圧信号62)の挙動の一例を示し、点線は、失火時の1次電圧(電圧信号62)の挙動の一例を示す。
図33Aに示されるように、検知用火花放電タイミングθdが進角している場合(例えば検知用火花放電タイミングθdが圧縮上死点後30°の場合)には、筒内のガス流動が比較的強く、検知用火花放電における放電路の伸長が大きくなる。これにより、検知用火花放電タイミングθdが進角している場合には、検知用火花放電の終期において電圧が上昇する挙動が顕著となる。したがって、検知用火花放電タイミングθdが進角している場合は、ピーク電圧Vpに基づいて正常燃焼と失火を容易に判別できる。
一方、図33Bに示されるように、検知用火花放電タイミングθdが遅角している場合(例えば検知用火花放電タイミングθdが圧縮上死点後90°の場合)には、筒内のガス流動が比較的弱く、検知用火花放電における放電路の伸長が小さくなる。これにより、検知用火花放電タイミングθdが遅角している場合には、検知用火花放電タイミングθdが進角している場合に比べて、放電の終期における電圧上昇が小さくなる。したがって、検知用火花放電タイミングθdが遅角している場合は、平均電圧Vmに基づいて正常燃焼と失火を容易に判別できる。
図34は、検知用火花放電タイミングθdの変化に対して、ピーク電圧Vpに基づいた失火検知を行った場合と、平均電圧Vmに基づいた失火検知を行った場合の失火検知精度の例を示した説明図である。失火検知精度は、試験サイクル数に対して正しく失火と正常燃焼を判別できたサイクル数の割合のことである。
図34に示すように、検知用火花放電タイミングθdが進角している場合には、検知用火花放電終期の電圧上昇が顕著である。そのため、ピーク電圧Vpに基づいた失火検知は、平均電圧Vmに基づいた失火検知よりも失火検知精度が高い傾向を示す。一方、検知用火花放電タイミングθdが遅角している場合には、検知用火花放電終期の電圧上昇が少ない。そのため、平均電圧Vmに基づいた失火検知は、ピーク電圧Vpに基づいた失火検知よりも失火検知精度が高い傾向を示す。
検知用火花放電タイミングθdは、着火用火花放電タイミングの後に実施される。したがって、検知用火花放電タイミングθdは、着火用火花放電タイミングに依存する。着火用火花放電タイミングは、内燃機関の回転速度やトルク、排ガス再循環(EGR)量などの運転条件によって種々に変化する。すなわち、適切な検知用火花放電タイミングθdは、内燃機関の回転速度やトルク、排ガス再循環(EGR)量などの運転条件によって種々に変化する。
そこで、第5実施形態に係るECU2の判定部56iは、検知用火花放電タイミングθdとタイミング比較値θdcとの比較を行う。そして、ECU2の判定部56iは、検知用火花放電タイミングθdがタイミング比較値θdcより遅角していない場合に、ピーク電圧Vpに基づいた失火検知を実施する。また、ECU2の判定部56iは、検知用火花放電タイミングθdがタイミング比較値θdcより遅角している場合に、平均電圧Vmに基づいた失火検知を実施する。これにより、第5実施形態に係る失火判定処理は、検知用火花放電タイミングθdが変化しても、高い失火検知精度を得ることができる。
なお、タイミング比較値θdcは、ピーク電圧Vpに基づいた失火検知と平均電圧に基づいた失火検知を切り替える検知用火花放電タイミングθdにおいて充分な失火検知精度が得られるように、予めキャリブレーション等によって適正値が決定される。タイミング比較値θdcの適正値は、例えば、圧縮上死点後70°である。
また、タイミング比較値θdcは、必ずしも一定値である必要はなく、内燃機関の運転条件に応じて変更してもよい。例えば、内燃機関の回数速度やトルク変化などに対して、タイミング比較値θdcの適正値をマップデータとして予め保有しておく。そして、ECU2の判定部56iは、マップデータを参照し、内燃機関の運転条件に応じてタイミング比較値θdcを変更する。このように、内燃機関の運転条件に応じてタイミング比較値θdcを変更することで、内燃機関の運転条件が変わっても失火検知精度を高く維持することができる。
<第6実施形態>
[点火部と燃焼検知部の構成]
次に、本発明の第6実施形態に係る点火装置の点火部と燃焼検知部の構成について、図35を用いて説明する。
図35は、第6実施形態に係る点火部と燃焼検知部の構成例を示す説明図である。
図35に示すように、点火装置3Jは、点火部51と、電圧検出部53aを有する。
点火部51は、イグナイタ54と、点火コイル52を有する。イグナイタ54は、ECU2から送出された点火信号を受け取る。点火コイル52は、点火プラグ40に高電圧を印加する。
電圧検出部53aは、点火コイル52の電圧(1次電圧または極性反転された2次電圧)を検出する。なお、電圧検出部53aは、点火コイル52の2次電圧を検出するよりも、点火コイル52の1次電圧を検出するほうがより望ましい。
燃焼検知部1jは、点火装置3Jの内部に配置された電圧検出部53aと、ECU2の内部に配置された電圧変化率取得部55j及び判定部56jから構成されている。燃焼検知部1jは、本発明に係る燃焼状態検出装置に対応する。電圧検出部53aは点火コイル52の電圧(1次電圧または、極性反転された2次電圧)を検出し、電圧信号62として出力する。
ECU2の内部に配置された電圧変化率取得部55jは、入力された電圧信号62から電圧変化率dVを取得し、判定部56jに送出する。判定部56jは、入力された電圧変化率dVと、ECU2で予め定めた電圧変化率比較値に基づいて内燃機関13の失火判定を行う。
図36は、電圧変化率取得部55jによって取得される電圧変化率の説明図である。図36A及び図36Bに示すグラフの横軸は、経過時間を示している。図36Aの縦軸は、検知用火花放電において電圧検出部53aによって検出された1次電圧(電圧信号62)を示す。図36Bの縦軸は、検知用火花放電において電圧検出部53aによって検出された1次電圧(電圧信号62)の時間微分値dV/dtを示す。
電圧変化率取得部55jによって取得される電圧変化率dVは、数式(5)によって算出される。即ち、電圧変化率取得部55jによって取得される電圧変化率dVは、平均化期間Tdmにおける1次電圧(電圧信号62)の時間微分値dV/dtの平均値である。
Figure 2024031818000002
電圧の時間微分値を平均化する期間(平均化期間Tdm)は、検知用火花放電の中期から放電終期の間であることが望ましい。より具体的には、電圧の時間微分値の平均化開始タイミングt4は、検知用火花放電の開始後、放電期間Tdの40%~60%の範囲にあることが望ましい。また、電圧の時間微分値の平均化終了タイミングt5は、検知用火花放電の放電開始後、放電期間Tdの90%~100%の範囲にあることが望ましい。発明者の実験によると、電圧の時間微分値の平均化開始タイミングt4の望ましい範囲は、数式(6)により表される。また、電圧の時間微分値の平均化終了タイミングt5の望ましい範囲は、数式(7)により表される。
[数6]
t0+0.6×Td ≧ t4 ≧ t0+0.4×Td…(6)
[数7]
t0+Td ≧ t5 ≧ t0+0.9×Td…(7)
平均化開始タイミングt4及び平均化終了タイミングt5が、上述した範囲にあることが望ましい理由は、筒内圧の違いによる電圧挙動の変化が、主に検知用火花放電期間の後期で顕著になるためである。また、検知用火花放電期間の前期ではリンギングノイズにより電圧の時間微分値の精度が低下するためである。
[筒内圧と電圧変化率]
次に、筒内圧と電圧変化率dVとの関係について、図37を用いて説明する。
図37は、第6実施形態に係る、検知用火花放電タイミングにおける筒内圧と電圧変化率dVとの関係の例を示す説明図である。
図37に示すように、検知用火花放電タイミングにおける筒内圧と電圧変化率dVには、高い相関がある。すなわち、電圧変化率dVは、検知用火花放電タイミングにおける筒内圧が低くなるほど小さくなる。これは、検知用火花放電タイミングにおける筒内圧が低くなるほど検知用火花放電における放電路の伸長量が小さくなり、検知用火花放電の放電後期における電圧の上昇が抑えられるためである。したがって、検知用火花放電タイミングにおける筒内圧が低くなる失火時は、検知用火花放電タイミングにおける筒内圧が高くなる正常燃焼時に比べて、検知用火花放電の電圧変化率dVが小さくなる。
そこで、第6実施形態では、予めキャリブレーション等によって、失火時の電圧変化率dVの上限値(失火判定をするための電圧変化率比較値dVc)を決定しておく。そして、ECU2の判定部56jは、検知用火花放電の電圧変化率dVが電圧変化率比較値dVcより小さければ、失火であると判別する。一方、判定部56jは、検知用火花放電の電圧変化率dVが電圧変化率比較値dVcより小さくなければ、正常燃焼であると判別する。
[ECUのソフトウェアによる電圧変化率に基づいた失火検知の手順]
次に、ECU2のソフトウェアによる電圧変化率dVに基づいた失火検知の手順について、図38を用いて説明する。
図38は、第6実施形態に係る失火検知処理の手順を示すフローチャートである。
図35に示した燃焼検知部1jでは、電圧変化率取得部55j、判定部56jをECU2の内部に配置した。したがって、電圧変化率dVの取得、及び、失火判定は、ECU2で動作するソフトウェアによって実行する。
図38に示すように、ECU2は、圧縮行程の後期から膨張行程の初期において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、着火用火花放電を実行する(S50)。次に、ECU2は、膨張行程において、点火部51内のイグナイタ54に点火信号を送出して、検知用火花放電を実行する(S51)。次に、ECU2の電圧変化率取得部55jが、電圧変化率dV取得処理を行う(S52)。ステップS52において、平電圧変化率取得部55jは、電圧信号62から電圧変化率dVを取得する。次に、ECU2の判定部56jが、電圧変化率dVが予め決定された電圧変化率比較値dVcよりも小さいか否かを判定する(S53)。
ステップS53において、電圧変化率dVが電圧変化率比較値dVcよりも小さくないと判定したとき(S53がNO判定の場合)、ECU2の判定部56jは、正常燃焼と判定する(S55)。ステップS55の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。一方、ステップS53において、電圧変化率dVが電圧変化率比較値dVcよりも小さいと判定したとき(S53がYES判定の場合)、ECU2の判定部56jは、失火ありと判定する(S54)。ステップS54の処理後、ECU2は、失火検知処理を終了する。
[電圧変化率dV取得処理]
次に、図38に示す失火検知処理のステップS52において実行される電圧変化率dV取得処理について、図39を用いて説明する。
図39は、ステップS52におけるECU2のソフトウェアによる電圧変化率dVを算出する手順を示すフローチャートである。
図39に示すように、ECU2は、点火信号がLowになっているか否かを判定する(S521)。ステップS521において、点火信号がLowでない場合(S521がNO判定の場合)、ステップS521を繰り返す。ステップS521において、点火信号がLowである場合(S52aがYES判定の場合)、ECU2は、放電が開始されたと判断し、放電開始タイミングt0に現在のクランク角をセットする(S522)。
次に、ECU2は、燃焼検知部1jの電圧検出部53aによって検出された検知用火花放電における電圧信号62を取り込む(S523)。そして、ECU2は、電圧信号62が予め定めた通電判定閾値より小さいか否かを判定する(S524)。ステップS524において、電圧信号62が予め定めた通電判定閾値より小さくない場合(S524がNO判定の場合)、ECU2は、電圧信号62の時間微分値dV/dtを算出する(S525)。そして、ECU2は、電圧信号62の時間微分値dV/dtと現在のクランク角をバッファに書き込む(S526)。ステップS526の処理後、ECU2は、ステップS523に戻る。
ステップS524において、電圧信号62が予め定めた通電判定閾値より小さい場合(S524がYES判定の場合)、ECU2は、放電が終了したと判断し、放電終了タイミングt1に現在のクランク角をセットする(S527)。通電判定閾値は、電流の通電期間を判定するための値である。通電判定閾値は、通電時の電圧信号62の平均値に対して充分小さい値として予め定められる。通電判定閾値は、例えば、通電時の電圧信号62の平均値×0.01である。
次に、ECU2は、放電開始タイミングt0と放電終了タイミングt1とから、電圧微分値の平均化開始タイミングt4を算出する(S528)。平均化開始タイミングt4は、例えば、上述した数式(6)によって算出される。次に、ECU2は、放電開始タイミングt0と放電終了タイミングt1とから、電圧微分値の平均化終了タイミングt5を算出する(S529)。平均化終了タイミングt5は、例えば、上述した数式(7)によって算出される。
次に、ECU2は、ステップS526においてバッファに書き込まれた電圧微分値dV/dtとクランク角を基に電圧変化率dVを算出する(S530)。電圧変化率dVは、電圧微分値の平均化開始タイミングt1から電圧微分値の平均化終了タイミングt5における電圧微分値の平均値である。電圧変化率dVは、例えば、上述した数式(5)によって算出される。ステップS530の処理後、ECU2は、電圧変化率dV取得処理を終了して、図38に示す失火検知処理のステップS53を実行する。
[内燃機関の運転状態に応じたピーク電圧比較値と放電期間比較値の変更]
次に、電圧比較値と放電期間比較値の変更について、図40を用いて説明する。
図40は、エンジン(内燃機関)トルク、エンジン(内燃機関)回転速度、吸気圧の変化に対する、ピーク電圧比較値Vpcと、放電期間比較値Tdcの望ましい変更方法を示した説明図である。
上述の第1実施形態、及び第2実施形態、及び第3実施形態、及び第5実施形態では、失火と正常燃焼を判別するためのピーク電圧比較値Vpcと、放電期間比較値Tdcを、内燃機関13(エンジン)の運転状態に応じて適切に定めるとよい。これにより、内燃機関13の運転状態が変更された場合においても、失火検知の精度を高く保つことができる。
図40Aのグラフは、平均エンジントルクと望ましいピーク電圧比較値Vpc及び放電期間比較値Tdcとの関係の例を示す。図40Bのグラフは、平均エンジン回転速度と望ましいピーク電圧比較値Vpc及び放電期間比較値Tdcとの関係の例を示す。図40Cのグラフは、平均吸気圧と望ましいピーク電圧比較値Vpc及び放電期間比較値Tdcとの関係の例を示す。ここで「平均」は、エンジン(内燃機関)の複数サイクルの平均値を意味しており、例えば、エンジンにおける100サイクルの平均値を示す。
平均エンジントルクが高い場合は、平均エンジントルクが低い場合に比べて、膨張行程における平均筒内圧が高くなる。そこで、図40Aに示すように、平均エンジントルクが高い場合には、平均エンジントルクが低い場合に比べてピーク電圧比較値Vpcを大きくして、放電期間比較値Tdcを小さくすることが望ましい。
平均エンジン回転速度が高い場合は、平均エンジン回転速度が低い場合に比べて、検知用火花放電の伸長が大きくなる。そこで、図40Bに示すように、平均エンジン回転速度が高い場合には、平均エンジン回転速度が低い場合に比べて、ピーク電圧比較値Vpcを大きくして、放電期間比較値Tdcを小さくすることが望ましい。
平均吸気圧が高い場合は、平均吸気圧が低い場合に比べて、膨張行程における平均筒内圧が高くなる。そこで、図40Cに示すように、平均吸気圧が高い場合には、平均吸気圧が低い場合に比べて、ピーク電圧比較値Vpcを大きくして、放電期間比較値Tdcを小さくすることが望ましい。
[電圧比較値と電圧変化率比較値の変更]
次に、電圧比較値と電圧変化率比較値の変更について、図41を用いて説明する。
図41は、エンジン(内燃機関)トルク、エンジン(内燃機関)回転速度、吸気圧の変化に対する、平均電圧比較値Vmcと、電圧変化率比較値dVcの望ましい変更方法を示した説明図である。
上述の第4実施形態、及び第5実施形態、及び第6実施形態では、失火と正常燃焼を判別するための平均電圧比較値Vmcと、電圧変化率比較値dVcを、内燃機関13(エンジン)の運転状態に応じて適切に定めるとよい。これにより、内燃機関13の運転状態が変更された場合においても、失火検知の精度を高く保つことができる。
図41Aのグラフは、平均エンジントルクと望ましい平均電圧比較値Vmc及び電圧変化率比較値dVcとの関係の例を示す。図41Bのグラフは、平均エンジン回転速度と望ましい平均電圧比較値Vmc及び電圧変化率比較値dVcとの関係の例を示す。図41Cのグラフは、平均吸気圧と望ましい平均電圧比較値Vmc及び電圧変化率比較値dVcとの関係の例を示す。ここで「平均」は、エンジン(内燃機関)の複数サイクルの平均値を意味しており、例えば、エンジンにおける100サイクルの平均値を示す。
平均エンジントルクが高い場合は、平均エンジントルクが低い場合に比べて、膨張行程における平均筒内圧が高くなる。そこで、図41Aに示すように、平均エンジントルクが高い場合には、平均エンジントルクが低い場合に比べて平均電圧比較値Vmc及び電圧変化率比較値dVcを大きくすることが望ましい。
平均エンジン回転速度が高い場合は、平均エンジン回転速度が低い場合に比べて、検知用火花放電の伸長が大きくなる。そこで、図41Bに示すように、平均エンジン回転速度が高い場合には、平均エンジン回転速度が低い場合に比べて、平均電圧比較値Vmc及び電圧変化率比較値dVcを大きくすることが望ましい。
平均吸気圧が高い場合は、平均吸気圧が低い場合に比べて、膨張行程における平均筒内圧が高くなる。そこで、図41Cに示すように、平均吸気圧が高い場合には、平均吸気圧が低い場合に比べて、平均電圧比較値Vmc及び電圧変化率比較値dVcを大きくすることが望ましい。
<まとめ>
(1)上述した第1実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、ピーク電圧取得部55a,55b(ピーク電圧取得部)と、判定部56a,56b(判定部)とを備える。ピーク電圧取得部55a,55bは、放電を実施する点火プラグ40(点火プラグ)に接続された点火コイル52(点火コイル)の電圧に基づいて、放電終期ピーク電圧Vp(放電終期のピーク電圧値)を取得する。判定部56a,56bは、ピーク電圧取得部55a,55bによって取得された放電終期ピーク電圧Vpとピーク電圧比較値Vpc(ピーク電圧比較値)との比較を行う。点火プラグ40は、混合気を着火するための着火用火花放電と、着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに、検知用火花放電を実施する。そして、判定部56a,56bは、検知用火花放電の放電終期ピーク電圧Vpが、ピーク電圧比較値Vpcよりも小さい場合に失火と判定する。
これにより、燃焼によってイオンが発生しない燃料であっても、放電終期ピーク電圧Vpから容易に失火を検出することができる。すなわち、燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる。また、ブレークダウン(絶縁破壊)の有無で失火を検出するものでは無いため、検知用火花放電を実施する際の適切な印加電圧を定める必要は無く、ロバスト性が低くならないようにすることができる。
(2)上述した第1実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置におけるピーク電圧比較値Vpc(ピーク電圧比較値)は、内燃機関の運転状態に応じて変更する。
これにより、内燃機関の運転状態が変化しても、放電終期ピーク電圧Vpに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(3)上述した第1実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置におけるピーク電圧比較値Vpc(電圧比較値)は、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧の上昇に伴い増加する。
これにより、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧が変化しても、放電終期ピーク電圧Vpに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(4)上述した第1実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、点火コイル52(点火コイル)の電圧を検出する電圧検出部53a(電圧検出部)を備える。
これにより、点火コイル52の電圧に関する情報をピーク電圧取得部55a,55b(ピーク電圧取得部)に容易に供給することができる。また、点火装置3Aに燃焼状態検出装置(ピーク電圧取得部55a、判定部56a、及び電圧検出部53a)を設けることができる。この場合は、ECU2から検知用火花放電を実施するための点火信号を受信することで、ECU2に失火状態の検出結果を供給することができる。
(5)上述した第1実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置におけるピーク電圧取得部55b(ピーク電圧取得部)及び判定部56b(判定部)は、点火プラグ40(点火プラグ)に着火用火花放電及び検知用火花放電を実施させるための点火信号を出力するECU2(制御部)に含まれる。そして、電圧検出部53a(電圧検出部)は、点火コイル52(点火コイル)の1次電圧または極性反転された2次電圧を降圧した電圧値を検出して、検出した電圧値をピーク電圧取得部55bに送出する。
これにより、放電終期ピーク電圧Vpを取得する処理及び燃焼状態を検出する処理(失火判定)を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、内燃機関13の運転状態に合わせて失火判定の条件(ピーク電圧比較値Vpc)を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知を最適化することが可能であると共に、ハードウェアに係るコストを減らすことができる。また、電圧検出部53aが点火コイル52の1次電圧または極性反転された2次電圧を降圧した電圧値を検出するため、ピーク電圧取得部55bに送出する電圧を、ECU2の内部で通常取り扱われる電圧範囲にすることができる。これにより、ECU2のハードウェアコストの上昇を抑えることができる。
(6)上述した第2実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、放電期間取得部55c,55d(放電期間取得部)と、判定部56c,56d(判定部)とを備える。放電期間取得部55c,55dは、放電を実施する点火プラグ40(点火プラグ)に接続された点火コイル52(点火コイル)の電流に基づいて、放電期間Td(放電期間)を取得する。判定部56c,56dは、放電期間取得部55c,55dによって取得された放電期間Tdと放電期間比較値Tdc(放電期間比較値)との比較を行う。点火プラグ40は、混合気を着火するための着火用火花放電と、着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに、検知用火花放電を実施する。そして、判定部56c,56dは、検知用火花放電の放電期間Tdが、放電期間比較値Tdcよりも大きい場合に失火と判定する。
これにより、燃焼によってイオンが発生しない燃料であっても、放電期間Tdから容易に失火を検出することができる。すなわち、燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる。また、ブレークダウン(絶縁破壊)の有無で失火を検出するものでは無いため、検知用火花放電を実施する際の適切な印加電圧を定める必要は無く、ロバスト性が低くならないようにすることができる。
(7)上述した第2実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、放電期間比較値Tdc(放電期間比較値)を、内燃機関の運転状態に応じて変更する。
これにより、内燃機関の運転状態が変化しても、放電期間Tdに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(8)上述した第2実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における放電期間比較値Tdcは、エンジントルク、またはエンジン回転速度、または吸気圧の上昇に伴い減少する。
これにより、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧が変化しても、放電期間Tdに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(9)上述した第2実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、点火コイル52(点火コイル)の電流を検出する電流検出部53c(電流検出部)を備える。
これにより、点火コイル52の電流に関する情報を放電期間取得部55c,55d(放電期間取得部)に容易に供給することができる。また、点火装置3Cに燃焼状態検出装置(放電期間取得部55c、判定部56c、及び電流検出部53c)を設けることができる。この場合は、ECU2から検知用火花放電を実施するための点火信号を受信することで、ECU2に失火状態の検出結果を供給することができる。
(10)上述した第2実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における放電期間取得部55d(放電期間取得部)及び判定部56d(判定部)は、点火プラグ40(点火プラグ)に着火用火花放電及び検知用火花放電を実施させるための点火信号を出力するECU2(制御部)に含まれる。そして、電流検出部53c(電流検出部)は、点火コイル52(点火コイル)の2次電流値を検出して、検出した2次電流値を放電期間取得部55dに送出する。
これにより、放電期間Tdを取得する処理及び燃焼状態を検出する処理(失火判定)を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、内燃機関13の運転状態に合わせて失火判定の条件(放電期間比較値Tdc)を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知を最適化することが可能であると共に、ハードウェアに係るコストを減らすことができる。
(11)上述した第3実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、放電期間取得部55e,55f(放電期間取得部)と、判定部56c,56d(判定部)とを備える。放電期間取得部55e,55fは、放電を実施する点火プラグ40(点火プラグ)に接続された点火コイル52(点火コイル)の1次電圧に基づいて、放電期間Td(放電期間)を取得する。判定部56c,56dは、放電期間取得部55e,55fによって取得された放電期間Tdと放電期間比較値Tdc(放電期間比較値)との比較を行う。点火プラグ40は、混合気を着火するための着火用火花放電と、着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに、検知用火花放電を実施する。そして、判定部56c,56dは、検知用火花放電の放電期間Tdが、放電期間比較値Tdcよりも大きい場合に失火と判定する。
これにより、燃焼によってイオンが発生しない燃料であっても、放電期間Tdから容易に失火を検出することができる。すなわち、燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる。また、ブレークダウン(絶縁破壊)の有無で失火を検出するものでは無いため、検知用火花放電を実施する際の適切な印加電圧を定める必要は無い。その結果、ロバスト性が低くならないようにすることができる。
(12)上述した第3実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置の判定部56c,56d(判定部)は、放電期間比較値Tdc(放電期間比較値)を、内燃機関の運転状態に応じて変更する。
これにより、内燃機関の運転状態が変化しても、放電期間Tdに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(13)上述した第3実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における放電期間比較値Tdcは、エンジントルク、またはエンジン回転速度、または吸気圧の上昇に伴い減少する。
これにより、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧が変化しても、放電期間Tdに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(14)上述した第3実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、点火コイル52(点火コイル)の1次電圧を検出する電圧検出部53e(電圧検出部)を備える。
これにより、点火コイル52の電圧に関する情報を放電期間取得部55e,55f(放電期間取得部)に容易に供給することができる。また、点火装置3Eに燃焼状態検出装置(放電期間取得部55e、判定部56c、及び電圧検出部53e)を設けることができる。この場合は、ECU2から検知用火花放電を実施するための点火信号を受信することで、ECU2に失火状態の検出結果を供給することができる。
(15)上述した第3実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における放電期間取得部55f(放電期間取得部)及び判定部56d(判定部)は、点火プラグ40(点火プラグ)に着火用火花放電及び検知用火花放電を実施させるための点火信号を出力するECU2(制御部)に含まれる。そして、電圧検出部53e(電圧検出部)は、点火コイル52(点火コイル)の1次電圧値を検出して、検出した電圧値を放電期間取得部55fに送出する。
これにより、放電期間Tdを取得する処理及び燃焼状態を検出する処理(失火判定)を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、内燃機関13の運転状態に合わせて失火判定の条件(放電期間比較値Tdc)を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知を最適化することが可能であると共に、ハードウェアに係るコストを減らすことができる。
(16)上述した第4実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、平均電圧取得部55g,55h(平均電圧取得部)と、判定部56g,56h(判定部)とを備える。平均電圧取得部55g,55hは、放電を実施する点火プラグ40(点火プラグ)に接続された点火コイル52(点火コイル)の電圧に基づいて、平均電圧Vmを取得する。判定部56g,56hは、平均電圧取得部55g,55hによって取得された平均電圧Vmと平均電圧比較値Vmcとの比較を行う。点火プラグ40は、混合気を着火するための着火用火花放電と、着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに、検知用火花放電を実施する。そして、判定部56g,56hは、検知用火花放電の平均電圧Vmが、平均電圧比較値Vmcよりも小さい場合に失火と判定する。
これにより、燃焼によってイオンが発生しない燃料であっても、平均電圧Vmから容易に失火を検出することができる。すなわち、燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる。また、ブレークダウン(絶縁破壊)の有無で失火を検出するものでは無いため、検知用火花放電を実施する際の適切な印加電圧を定める必要は無い。その結果、ロバスト性が低くならないようにすることができる。
(17)上述した第4実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における平均電圧比較値Vmcは、内燃機関の運転状態に応じて変更する。
これにより、内燃機関の運転状態が変化しても、平均電圧Vmに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(18)上述した第4実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における平均電圧比較値Vmcは、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧の上昇に伴い増加する。
これにより、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧が変化しても、平均電圧Vmに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(19)上述した第4実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、点火コイル52(点火コイル)の電圧を検出する電圧検出部53a(電圧検出部)を備える。
これにより、点火コイル52の電圧に関する情報を平均電圧取得部55g,55h(平均電圧取得部)に容易に供給することができる。また、点火装置3Gに燃焼状態検出装置(平均電圧取得部55g、判定部56g、及び電圧検出部53a)を設けることができる。この場合は、ECU2から検知用火花放電を実施するための点火信号を受信することで、ECU2に失火状態の検出結果を供給することができる。
(20)上述した第4実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における平均電圧取得部55h(平均電圧取得部)及び判定部56h(判定部)は、点火プラグ40(点火プラグ)に着火用火花放電及び検知用火花放電を実施させるための点火信号を出力するECU2(制御部)に含まれる。そして、電圧検出部53a(電圧検出部)は、点火コイル52(点火コイル)の1次電圧または極性反転された2次電圧を降圧した電圧値を検出して、検出した電圧値を平均電圧取得部55hに送出する。
これにより、平均電圧Vmを取得する処理及び燃焼状態を検出する処理(失火判定)を、ECU2で動作するソフトウェアで実行できる。この場合は、例えば、内燃機関13の運転状態に合わせて失火判定の条件(平均電圧比較値Vmc)を柔軟に変更することができる。したがって、燃焼状態の検知を最適化することが可能であると共に、ハードウェアに係るコストを減らすことができる。また、電圧検出部53aが点火コイル52の1次電圧または極性反転された2次電圧を降圧した電圧値を検出するため、平均電圧取得部55hに送出する電圧を、ECU2の内部で通常取り扱われる電圧範囲にすることができる。これにより、ECU2のハードウェアコストの上昇を抑えることができる。
(21)上述した第5実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、ピーク電圧取得部55b(ピーク電圧取得部)と、平均電圧取得部55h(平均電圧取得部)と、判定部56i(判定部)とを備える。ピーク電圧取得部55bは、放電を実施する点火プラグ40(点火プラグ)に接続された点火コイル52(点火コイル)の電圧に基づいて、放電終期ピーク電圧Vp(放電終期のピーク電圧値)を取得する。平均電圧取得部55hは、放電を実施する点火プラグ40(点火プラグ)に接続された点火コイル52(点火コイル)の電圧に基づいて、平均電圧Vm(平均電圧)を取得する。点火プラグ40は、混合気を着火するための着火用火花放電と、着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに、検知用火花放電を実施する。判定部56iは、検知用火花放電タイミングθd(検知用火花放電タイミング)とタイミング比較値θd(タイミング比較値)との比較を行う。そして、判定部56iは、検知用火花放電タイミングθdがタイミング比較値θdより大きい場合に、平均電圧取得部55hによって取得された平均電圧Vmと平均電圧比較値Vmc(平均電圧比較値)との比較を行い、検知用火花放電の平均電圧Vmが、平均電圧比較値Vmcよりも小さい場合に失火と判定する。また、判定部56iは、検知用火花放電タイミングθdがタイミング比較値θdより大きくない場合に、ピーク電圧取得部55bによって取得された放電終期ピーク電圧Vpとピーク電圧比較値Vpc(ピーク電圧比較値)との比較を行い、検知用火花放電の放電終期ピーク電圧Vpが、ピーク電圧比較値Vpcよりも小さい場合に失火と判定する。
これにより、燃焼によってイオンが発生しない燃料であっても、平均電圧Vmまたは放電終期ピーク電圧Vpから容易に失火を検出することができる。すなわち、燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる。また、ブレークダウン(絶縁破壊)の有無で失火を検出するものでは無いため、検知用火花放電を実施する際の適切な印加電圧を定める必要は無い。その結果、ロバスト性が低くならないようにすることができる。また、検知用火花放電タイミングθdに基づいて、ピーク電圧Vpに基づいた失火判定と、平均電圧Vmに基づいた失火判定とを切り替えるので、検知用火花放電タイミングθdが変化した場合でも高い失火検知精度を得ることができる。
(22)上述した第5実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における平均電圧比較値Vmcと、ピーク電圧比較値Vpcは、内燃機関の運転状態に応じて変更する。
これにより、内燃機関の運転状態が変化しても、平均電圧Vmに基づく失火検知の精度と、ピーク電圧Vpに基づく失火検知の精度とを高く保つことができる。
(23)上述した第5実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における平均電圧比較値Vmcと、ピーク電圧比較値Vpは、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧の上昇に伴い増加する。
これにより、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧が変化しても、平均電圧Vmに基づく失火検知と、ピーク電圧Vpに基づく失火検知の精度との精度を高く保つことができる。
(24)上述した第5実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置におけるタイミング比較値θd(タイミング比較値)は、内燃機関の運転状態に応じて変更する。
これにより、内燃機関の運転状態が変化しても、平均電圧Vmに基づく失火検知の精度と、ピーク電圧Vpに基づく失火検知の精度とを高く保つことができる。
(25)上述した第6実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置は、電圧変化率取得部55j(電圧変化率取得部)と、判定部56j(判定部)とを備える。電圧変化率取得部55jは、放電を実施する点火プラグ40(点火プラグ)に接続された点火コイル52(点火コイル)の電圧に基づいて、電圧変化率dV(電圧変化率)を取得する。判定部56jは、電圧変化率55jによって取得された電圧変化率dVと電圧変化率比較値dVc(電圧変化率比較値)との比較を行う。点火プラグ40は、混合気を着火するための着火用火花放電と、着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに、検知用火花放電を実施する。そして、判定部56j、検知用火花放電の電圧変化率dVが、電圧変化率比較値dVcよりも小さい場合に失火と判定する。
これにより、燃焼によってイオンが発生しない燃料であっても、電圧変化率dVから容易に失火を検出することができる。すなわち、燃料の種類に関わらずに失火を検出することができる。また、ブレークダウン(絶縁破壊)の有無で失火を検出するものでは無いため、検知用火花放電を実施する際の適切な印加電圧を定める必要は無い。その結果、ロバスト性が低くならないようにすることができる。
(26)上述した第6実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における電圧変化率比較値dVc(電圧変化率比較値)は、内燃機関の運転状態に応じて変更する。
これにより、内燃機関の運転状態が変化しても、電圧変化率dVに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(27)上述した第6実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置における電圧変化率比較値dVc(電圧変化率比較値)は、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧の上昇に伴い増加する。
これにより、エンジントルク、エンジン回転速度、または吸気圧が変化しても、電圧変化率dVに基づく失火検知の精度を高く保つことができる。
(28)上述した第1から第6実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置において、検知用火花放電のタイミングは、燃焼質量割合90%の時期に対して20°進角タイミングから燃焼質量割合90%の時期に対して40°遅角タイミングまでの範囲内である。
これにより、失火状態の検出は、燃焼によって発生するイオンによるブレークダウン補助の影響を受けない。その結果、燃焼によってイオンが殆ど発生しない燃料(例えば、水素やアンモニア)であっても、失火を検出することができる。
(29)上述した第1から第6実施形態に係る検知用火花放電は、失火の有無に関わらずブレークダウンを伴う火花放電となるように、検知用火花放電において点火コイル52(点火コイル)に磁気エネルギーを蓄える時間(点火信号のON期間)を定める。
これにより、失火時にはブレークダウンが発生し、かつ、正常燃焼時にはブレークダウンが発生しないように、検知用火花放電の印加電圧を定める必要はない。したがって、内燃機関13の運転状態や環境状態の変化に対して、ロバストな失火状態の検出を行うことができる。
(30)上述した第1から第6実施形態に係る検知用火花放電は、検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の進角側である場合は、検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の遅角側である場合に比べて、検知用火花放電における点火コイル52(点火コイル)に磁気エネルギーを蓄える時間(点火信号のON期間)を長くする。また、内燃機関の負荷(トルク)が高い場合は、内燃機関の負荷が低い場合に比べて、検知用火花放電における点火コイル52(点火コイル)に磁気エネルギーを蓄える時間(点火信号のON期間)を長くする。
これにより検知用点火信号を送出するタイミングが膨張行程の進角側である場合や内燃機関の負荷(トルク)が高い場合において、火花放電(ブレークダウン)が発生しないリスクを低減できる。
(31)上述した第1実施形態及び第4から第6実施形態に係る内燃機関の燃焼状態検出装置において、点火コイル52(点火コイル)の電圧を検出する電圧検出部53a(電圧検出部)は、点火コイル52の1次電圧を検出する。
これによりハードウェアのコストを低減できる。また、安全性及び信頼性を高めることができる。
本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
また、上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、上述した第1実施形態に係る燃焼検知部(内燃機関の燃焼状態検出装置)1a,1bは、電圧検出部53aを備えるが、本発明に係る内燃機関の燃焼状態検出装置としては、電圧検出部53aを備えないものであってもよい。この場合は、例えば、ECUのみで燃焼状態検出装置を構成することができる。そして、ECUは、点火装置から供給された点火コイルの電圧値に基づいて、放電終期ピーク電圧を取得して、放電終期ピーク電圧に基づいて失火状態(燃焼状態)の検出を行う。
また、上述した第2実施形態に係る燃焼検知部(内燃機関の燃焼状態検出装置)1c,1dは、電流検出部53cを備えるが、本発明に係る内燃機関の燃焼状態検出装置としては、電流検出部53cを備えないものであってもよい。この場合は、例えば、ECUのみで燃焼状態検出装置を構成することができる。そして、ECUは、点火装置から供給された点火コイルの電流値に基づいて、放電期間を取得して、放電期間に基づいて失火状態(燃焼状態)の検出を行う。
また、上述した第3実施形態に係る燃焼検知部(内燃機関の燃焼状態検出装置)1e,1fは、電圧検出部53eを備える。しかし、本発明に係る内燃機関の燃焼状態検出装置としては、電圧検出部53eを備えないものであってもよい。この場合は、例えば、ECUのみで燃焼状態検出装置を構成することができる。そして、ECUは、点火装置から供給された点火コイルの電圧値に基づいて、放電期間を取得して、放電期間に基づいて失火状態(燃焼状態)の検出を行う。
また、上述した第4実施形態に係る燃焼検知部(内燃機関の燃焼状態検出装置)1g,1hは、電圧検出部53aを備える。しかし、本発明に係る内燃機関の燃焼状態検出装置としては、電圧検出部53aを備えないものであってもよい。この場合は、例えば、ECUのみで燃焼状態検出装置を構成することができる。そして、ECUは、点火装置から供給された点火コイルの電圧値に基づいて、平均電圧を取得して、平均電圧に基づいて失火状態(燃焼状態)の検出を行う。
また、上述した第5実施形態に係る燃焼検知部(内燃機関の燃焼状態検出装置)1iは、電圧検出部53aを備える。しかし、本発明に係る内燃機関の燃焼状態検出装置としては、電圧検出部53aを備えないものであってもよい。この場合は、例えば、ECUのみで燃焼状態検出装置を構成することができる。そして、ECUは、点火装置から供給された点火コイルの電圧値に基づいて、平均電圧とピーク電圧を取得して、平均電圧とピーク電圧に基づいて失火状態(燃焼状態)の検出を行う。
また、上述した第6実施形態に係る燃焼検知部(内燃機関の燃焼状態検出装置)1jは、電圧検出部53aを備える。しかし、本発明に係る内燃機関の燃焼状態検出装置としては、電圧検出部53aを備えないものであってもよい。この場合は、例えば、ECUのみで燃焼状態検出装置を構成することができる。そして、ECUは、点火装置から供給された点火コイルの電圧値に基づいて、電圧変化率を取得して、電圧変化率に基づいて失火状態(燃焼状態)の検出を行う。
1,1’,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j…燃焼検知部(燃焼状態検出装置)、 2…ECU(制御部)、 3,3’,3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3I,3J…点火装置、 4…電圧出力部、 5…電流出力部、 13…内燃機関(エンジン)、 31…吸気マニホールド、 32…吸気バルブ、 33…排気マニホールド、 34…排気バルブ、 35…ピストン、 36…インジェクタ、 37…燃焼室、 38…シリンダ、 40…点火プラグ、 41…点火ギャップ、 48…ハイテンションコード、 51…点火部、 52…点火コイル、 52a…1次コイル、 52b…2次コイル、 53…放電量検出部、 53a、53e…電圧検出部、53c…電流検出部、54…イグナイタ、 55、55’…放電特徴量取得部、55a,55b…ピーク電圧取得部、55c、55d、55e、55f…放電期間取得部、55h・・・平均電圧取得部、55j…電圧変化率取得部、56、56’、56a,56b,56c,56d、56g、56h、56i、56j…判定部、62、62e…電圧信号、 65…電流信号、 66…トリガー生成回路、 67…ピークホールド回路、 68,68a,68b…比較回路、 69…絶対値回路、 70…クロック発生回路、 71…積分回路

Claims (22)

  1. 内燃機関の点火プラグに接続された点火コイルの電圧値または電流値に基づいて放電特徴量を取得する放電特徴量取得部と、
    前記放電特徴量取得部によって取得された前記放電特徴量と所定の判定閾値との比較を行う判定部と、を備え、
    前記点火プラグは、混合気を着火するための着火用火花放電と、前記着火用火花放電より後の同一エンジンサイクルに検知用火花放電を実施し、
    前記放電特徴量取得部は、前記検知用火花放電における前記点火コイルの電圧値または電流値に基づいた前記放電特徴量を取得し、
    前記判定部は、前記放電特徴量と前記所定の判定閾値との比較に基づいて前記内燃機関の失火状態と非失火状態を判定する
    内燃機関の燃焼状態検出装置。
  2. 前記放電特徴量取得部は、前記点火コイルの電圧値に基づいて前記検知用火花放電の放電期間の終期における前記点火コイルのピーク電圧値を取得し、
    前記判定部は、前記ピーク電圧値が所定のピーク電圧判定閾値より小さい場合に、前記内燃機関が失火状態であると判定する
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  3. 前記放電特徴量取得部は、前記点火コイルの2次電流値に基づいて前記検知用火花放電の放電期間を取得し、
    前記判定部は、前記検知用火花放電の放電期間が所定の放電期間判定閾値より大きい場合に、前記内燃機関が失火状態であると判定する
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  4. 前記放電特徴量取得部は、前記点火コイルの1次電圧値に基づいて前記検知用火花放電の放電期間を取得し、
    前記判定部は、前記検知用火花放電の放電期間が所定の放電期間判定閾値より大きい場合に、前記内燃機関が失火状態であると判定する
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  5. 前記放電特徴量取得部は、前記点火コイルの電圧値に基づいて前記検知用火花放電の所定平均化期間における前記点火コイルの平均電圧値を取得し、
    前記判定部は、前記平均電圧値が所定の平均電圧判定閾値より小さい場合に、前記内燃機関が失火状態であると判定する
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  6. 前記放電特徴量取得部は、前記点火コイルの電圧値に基づいて前記検知用火花放電の放電期間の終期における前記点火コイルのピーク電圧値と、前記検知用火花放電の所定平均化期間における前記点火コイルの平均電圧値を取得し、
    前記判定部は、前記検知用火花放電のタイミングが所定のタイミング判定閾値よりも遅い場合には、前記平均電圧値が所定の平均電圧判定閾値より小さい場合に、前記内燃機関が失火状態であると判定し、
    前記判定部は、前記検知用火花放電のタイミングが所定のタイミング判定閾値よりも遅くない場合には、前記ピーク電圧値が所定のピーク電圧判定閾値より小さい場合に、前記内燃機関が失火状態であると判定する
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  7. 前記判定部は、前記所定のタイミング判定閾値を前記内燃機関の運転状態に応じて変更する
    請求項6に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  8. 前記検知用火花放電の開始タイミングをt0、前記所定平均化期間の開始タイミングをt2、前記所定平均化期間の終了タイミングをt3、前記検知用火花放電の放電期間をTdとした場合に、
    t2の範囲は以下の式(1)により表され、t3の範囲は以下の式(2)により表される
    請求項5または請求項6に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
    (数1)
    t0+0.9×Td > t2 ≧ t0+0.5×Td…(1)
    (数2)
    t0+Td ≧ t3 ≧ t0+0.9×Td…(2)
  9. 前記放電特徴量取得部は、前記点火コイルの電圧値に基づいて前記検知用火花放電の放電期間の電圧変化率を取得し、
    前記判定部は、前記電圧変化率が所定の電圧変化率判定閾値より小さい場合に、前記内燃機関が失火状態であると判定する
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  10. 前記電圧変化率は、前記検知用火花放電の所定平均化期間における電圧の時間微分値の平均値である
    請求項9に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  11. 前記検知用火花放電の開始タイミングをt0、前記所定平均化期間の開始タイミングをt4、前記所定平均化期間の終了タイミングをt5、前記検知用火花放電の放電期間をTdとした場合に、
    t4の範囲は以下の式(3)により表され、t5の範囲は以下の式(4)により表される
    請求項10に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
    (数3)
    t0+0.6×Td > t4 ≧ t0+0.4×Td…(3)
    (数4)
    t0+Td ≧ t5 ≧ t0+0.9×Td…(4)
  12. 前記判定部は、前記所定の判定閾値を、前記内燃機関の運転状態に応じて変更する
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  13. 前記判定部は、前記ピーク電圧判定閾値を、前記内燃機関のトルク、回転速度、または吸気圧の上昇に伴い増加する
    請求項2または請求項6に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  14. 前記判定部は、前記放電期間判定閾値を、前記内燃機関のトルク、回転速度、または吸気圧の上昇に伴い減少する
    請求項3または請求項4に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  15. 前記判定部は、前記平均電圧判定閾値を、前記内燃機関のトルク、回転速度、または吸気圧の上昇に伴い増加する
    請求項5または請求項6に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  16. 前記判定部は、前記電圧変化率判定閾値を、前記内燃機関のトルク、回転速度、または吸気圧の上昇に伴い増加する
    請求項9に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  17. 前記点火プラグに前記着火用火花放電及び前記検知用火花放電を実施させるための点火信号を出力するECUを備え、
    前記ECUは、前記放電特徴量取得部と、前記判定部とを有する
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  18. 前記検知用火花放電のタイミングは、燃焼質量割合90%の時期に対して20°進角タイミングから燃焼質量割合90%の時期に対して40°遅角タイミングまでの範囲内である
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  19. 前記検知用火花放電における前記点火コイルに磁気エネルギーを蓄える時間が0.2msから1msである
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  20. 前記検知用火花放電のタイミングが膨張行程の進角側である場合は、前記検知用火花放電のタイミングが膨張行程の遅角側である場合に比べて、前記検知用火花放電において前記点火コイルに磁気エネルギーを蓄える時間が長い
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  21. 前記内燃機関のトルクが高い場合は、前記内燃機関のトルクが低い場合に比べて、前記検知用火花放電において前記点火コイルに磁気エネルギーを蓄える時間が長い
    請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  22. 前記点火プラグに接続された点火コイルの電圧値または電流値を検出する放電情報検出部を備え、
    前記放電情報検出部は、前記点火コイルの1次電圧値を検出する
    請求項1もしくは請求項5もしくは請求項6もしくは請求項9に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
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