JP2024031363A - 真空バルブ - Google Patents
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Abstract
【課題】既存の電極の大きさ(直径)を変えること無く、通電(投入)時における通電容量を一定に維持しつつ、電流遮断時における縦磁界を電極対向面の広範囲に亘って満遍なく形成することが可能な真空バルブを提供する。【解決手段】互いに離接可能に配置された一対の電極E1,E2を具備し、一対の電極は、それぞれ、離接可能に対向させて配置される円板形状の導電性の接触子12,14と、接触子の外周縁に沿って設けられ、導電率の異なる中空円筒形状を成し、かつ、互いに隣接させて配置された複数の通電構造19,20とを有し、複数の通電構造には、それぞれ、スリット21,22が周方向に沿って通電構造を貫通させて配置されている。【選択図】図3
Description
この発明の実施形態は、真空バルブに関する。
ビルや大型施設に設けられる受配電用の開閉装置として、例えば、遮断器や断路器などの開閉器を具備したスイッチギヤが知られている。スイッチギヤには、開閉器の構成要素として真空バルブが適用されている。真空バルブの内部は、絶縁容器によって一定の絶縁状態に維持され、この絶縁容器の内部に一対の電極が離接可能に収容されている。この場合、一対の電極を離接操作することで、事故電流の遮断や負荷電流の開閉が行われ、スイッチギヤから電力が安定して供給される。
ところで、通電(投入)状態から電流遮断状態に移行する際に、一対の電極を離間(即ち、真空バルブを開放)させたとき、電極相互間に発生したアーク放電(以下、アークと言う)がピンチ効果によって局所的に集中し、これにより、電極相互の対向面(以下、電極対向面と言う)が局所的に加熱されて表面温度が上昇する場合がある。
このような局所的な熱負荷を軽減する方策としては、縦磁界電極(スリット電極とも言う)を具備した真空バルブが知られている。縦磁界電極は、螺旋状に延在するスリットが周方向に沿って等間隔に配置された中空円筒形状の通電構造を有し、各スリットは、当該通電構造を貫通させて構成されている。
これにより、中空円筒形状の通電構造は、複数のスリットによって螺旋状に分割された複数の通電部を有して構成されている。これら複数の通電部は、それぞれ、螺旋状の輪郭形状を成し、周方向に沿って等間隔に配置されている。
このような縦磁界電極によれば、一対の電極を離間させた電流遮断時(真空バルブの開放時)に、交流の電流が、スリットを避けるように通電部に沿って周方向に流れる。このとき、電極相互間に縦磁界が形成される。縦磁界では、例えば、真空バルブの中心を規定する仮想軸線と平行な方向(即ち、軸方向)に磁力線が発生する。
ここで、アークを構成する荷電粒子は、縦磁界を構成する磁力線に巻き付く特性を有している。このため、この縦磁界を電極対向面の広範囲に亘って満遍なく形成できれば、アークを広範囲に分散させることが可能となる。これにより、電極対向面の局所的な熱負荷を軽減させることができる。
この場合、縦磁界を電極対向面の広範囲に亘って満遍なく形成する方法としては、例えば、電極対向面を拡げるように電極の大きさ(例えば、直径)を拡大する方法、或いは、既存の電極の大きさ(直径)を変えること無く、磁力線を電極対向面の外周縁に沿って発生させるように中空円筒形状の通電構造の厚さを薄くする方法などが想定される。
しかしながら、電極の大きさ(例えば、直径)を拡大することは、真空バルブの内部構造上、一定の限界(制限)がある。一方、通電構造の厚さを薄くすると、その分だけ通電部の断面積(即ち、通電経路)が小さくなり、通電抵抗が増加するため、一対の電極を接触させた通電(投入)時における通電容量が減少してしまう。
本発明の目的は、既存の電極の大きさ(直径)を変えること無く、通電(投入)時における通電容量を一定に維持しつつ、電流遮断時における縦磁界を電極対向面の広範囲に亘って満遍なく形成することが可能な真空バルブを提供することにある。
実施形態によれば、互いに離接可能に配置された一対の電極を具備し、一対の電極は、それぞれ、離接可能に対向させて配置される円板形状の導電性の接触子と、接触子の外周縁に沿って設けられ、導電率の異なる中空円筒形状を成し、かつ、互いに隣接させて配置された複数の通電構造とを有し、複数の通電構造には、それぞれ、スリットが周方向に沿って通電構造を貫通させて配置されている。
「一実施形態」
図1は、本実施形態に係る真空バルブPの内部構造図である。真空バルブPは、固定電極E1と、可動電極E2と、絶縁容器1(真空容器とも言う)と、固定側封着部材2と、可動側封着部材3と、気密維持機構4と、アークシールド5とを有している。固定電極E1、可動電極E2、気密維持機構4、アークシールド5は、絶縁容器1に収容されている。
図1は、本実施形態に係る真空バルブPの内部構造図である。真空バルブPは、固定電極E1と、可動電極E2と、絶縁容器1(真空容器とも言う)と、固定側封着部材2と、可動側封着部材3と、気密維持機構4と、アークシールド5とを有している。固定電極E1、可動電極E2、気密維持機構4、アークシールド5は、絶縁容器1に収容されている。
図1の例において、絶縁容器1は、例えば、アルミナセラミックなどの絶縁材料で中空円筒形状に成形されている。固定側封着部材2及び可動側封着部材3は、例えば、ステンレス鋼を主成分とする金属材料で構成されている。
図1に示すように、中空円筒形状の絶縁容器1は、真空バルブP(後述する円板形状の接触子12,14)の中心を規定する仮想軸線Pxを中心とした同心円状を成している。絶縁容器1は、仮想軸線Px方向で見て、その両端が開口されている。双方の開口(固定側開口K1、可動側開口K2)は、固定側封着部材2、及び、可動側封着部材3によって覆われている。具体的には、固定側封着部材2は、固定側封着金具6を介して、絶縁容器1の一方の固定側開口K1を閉塞している。可動側封着部材3は、可動側封着金具7を介して、絶縁容器1の他方の可動側開口K2を閉塞している。
アークシールド5は、例えば、銅やステンレス鋼などを主成分とする金属材料で構成されている。アークシールド5は、中空円筒形状を成し、絶縁容器1に固定されている。アークシールド5は、その内部(内側)に、後述する固定電極E1の固定接点8、並びに、可動電極E2の可動接点10を収容するように配置されている。なお、アークシールド5の固定方法としては、絶縁容器1以外に、例えば、固定側封着部材2や可動側封着部材3に固定される場合も想定される。
固定電極E1及び可動電極E2は、仮想軸線Pxを中心に同心状に構成されていると共に、仮想軸線Pxに沿って整列して延在されている。この状態において、固定電極E1と可動電極E2とは、それぞれの電極対向面(固定側電極対向面E1s、可動側電極対向面E2s)が平行に対向するように位置付けられている。
固定電極E1は、固定接点8と、固定通電軸9とを備えている。可動電極E2は、可動接点10と、可動通電軸11とを備えている。上記した一方の電極対向面E1sは、固定接点8に設けられ、他方の電極対向面E2sは、可動接点10に設けられている。固定通電軸9及び可動通電軸11は、互いに同一の直径を有する円柱形状を成し、導電率の高い材料(例えば、Cu)で構成されている。
固定接点8及び可動接点10は、双方の電極対向面E1s,E2sが平行に対向するように、互いに対向させて配置されている。図1の例において、固定接点8は、接触子12と、通電体13とから構成されている。固定側電極対向面E1sは、接触子12の表面12aに規定され、接触子12の裏面12b(表面12aの反対側)には、通電体13が接続されている。固定接点8の通電体13は、固定通電軸9の一端に接続され、固定通電軸9の他端は、固定側封着部材2を介して、仮想軸線Pxに沿って移動不能に真空バルブPに固定されている。
図1の例において、可動接点10は、接触子14と、通電体15とから構成されている。可動側電極対向面E2sは、接触子14の表面14aに規定され、接触子14の裏面14b(表面14aの反対側)には、通電体15が接続されている。可動接点10の通電体15は、可動通電軸11の一端に接続され、可動通電軸11の他端は、可動側封着部材3を介して、図示しない操作機構に連結されている。なお、固定接点8及び可動接点10の構造並びに材質については、後述する図2~図5の説明において詳述する。
ここで、図1に示すように、操作機構によって可動通電軸11を仮想軸線Pxに沿って移動させる。これにより、可動接点10を固定接点8に対して離接、具体的には、双方の電極対向面E1s,E2sを離接させることができる。この結果、真空バルブPを開閉操作(即ち、一対の電極E1,E2を離接操作)することができる。
更に、可動通電軸11と可動側封着部材3との間には、気密維持機構4が配置されている。気密維持機構4は、伸縮性を有するベローズで構成され、ベローズ(気密維持機構)4は、例えば、ステンレスなどの薄い金属で構成されている。ベローズ4は、仮想軸線Px方向に伸縮可能な蛇腹状を成し、可動通電軸11の外側を隙間無く覆っている。
ベローズ4は、その一端が可動側封着部材3に隙間無く接合され、その他端が可動通電軸11に隙間無く接合されている。これにより、絶縁容器1の内部は、常に気密状態(即ち、真空状態)に維持される。この結果、真空バルブPの開閉操作に際し、可動通電軸11を仮想軸線Pxに沿って移動させている間も、絶縁容器1の内部に大気(空気)が浸入することはない。
ところで、一対の電極E1,E2を離間させた真空バルブPの開放時(電流遮断時)、電極対向面E1s,E2s相互間に発生したアークによって、電極対向面E1s,E2sが局所的に加熱されて表面温度が上昇する場合がある。この場合、アークを広範囲に分散できれば、電極対向面E1s,E2sの局所的な熱負荷を軽減させることができる。そこで、本実施形態の真空バルブPには、一対の電極E1,E2として、縦磁界電極(縦磁界固定電極E1、縦磁界可動電極E2)が適用されている。
図2は、縦磁界電極E1,E2の斜視構成図である。縦磁界電極E1,E2において、固定接点8の接触子12と、可動接点10の接触子14とは、互いに接離可能に対向させて配置されている。接触子12,14は、導電性を有する材料(例えば、Cu-Cr合金)で成形されている。
図2の例において、双方の接触子12,14は、互いに同一の大きさの円板形状を有している。これら接触子12,14に接続された通電体13,15は、互いに同一の大きさの円筒形状を有している。この場合、円板形状の接触子12,14の直径(外径)と、円筒形状の通電体13,15の直径(外径)とは、互いに同一寸法に設定されている。更に、円板形状の接触子12,14の中心と、円筒形状の通電体13,15の中心は、互いに仮想軸線Px上に位置決めされている。
図2に示すように、固定接点8には、複数のスリット構造16が設けられている。これら複数のスリット構造16は、仮想軸線Pxを中心に周方向に沿って等間隔に配置されている。各スリット構造16は、通電体13から接触子12に亘って構成され、仮想軸線Pxを中心に螺旋状に延在している。
可動接点10には、複数のスリット構造17が設けられている。これら複数のスリット構造17は、仮想軸線Pxを中心に周方向に沿って等間隔に配置されている。各スリット構造17は、通電体15から接触子14に亘って構成され、仮想軸線Pxを中心として螺旋状に延在している。
このような構成において、可動電極E2(可動接点10)を固定電極E1(固定接点8)から離間させた際(即ち、電流遮断時)、交流の電流ACが、スリット構造16,17を避けるように通電体13,15に沿って周方向に流れる。このとき、電極E1,E2相互間には、仮想軸線Pxと平行な方向に沿って、縦磁界(磁力線)Mfが形成される。
この場合、固定接点8及び可動接点10の内部には、この縦磁界Mfを電極対向面E1s,E2sの広範囲に亘って満遍なく形成させる構造(これにより、アークを広範囲に分散させる構造)が設けられている。
図3は、縦磁界電極E1,E2の接点8,10の内部構造図である。双方の接点8,10の内部構造は、互いに同一の構成を有している。接点8,10は、それぞれ、接触子12,14と、通電体13,15と、補強部材18と、スリット構造16,17とを備えて構成されている。なお、スリット構造16,17については、図4及び図5を参照して後述する。
図3に示すように、通電体13,15は、それぞれ、複数の通電構造を有している。各通電構造は、導電率の異なる中空円筒形状の輪郭を有し、接触子12,14の外周縁(即ち、上記した裏面12b,14bの外周縁)に沿って設けられている。
図3の例において、通電体13,15は、それぞれ、2つの通電構造(外側通電構造19、内側通電構造20)を有している。この場合、双方の通電構造19,20の厚さを互いに同一に設定してもよいし、或いは、互いに相違するように設定してもよい。例えば、外側通電構造19を内側通電構造20よりも厚く設定する。或いは、外側通電構造19よりも内側通電構造20を厚く設定する。
2つの通電構造19,20は、互いに直径(外径)の異なる中空円筒形状の輪郭を有している。外側通電構造19には、上記した通電軸9,11の一端が接続されている。外側通電構造19のうち、通電軸9,11の一端が接続された部分(以下、基端部19P-1と言う)は閉塞され、当該基端部19P-1には、外側通電構造19の内部を規定する円形状の内底面19aが構成されている。
円形状の内底面19aは、凹凸の無い平坦状を成し、仮想軸線Pxに直交する方向に沿って当該仮想軸線Pxを中心に円形状に拡がって構成され、その外周縁は、外側通電構造19の内部を規定する内周面19bに連続している。
外側通電構造19の内周面19bは、中空円筒形状を成し、仮想軸線Pxと平行な方向に沿って延在している。中空円筒形状の内周面19bは、その全体に亘って仮想軸線Pxを中心に同一の直径(内径)に設定されている。
外側通電構造19は、仮想軸線Pxの方向において、基端部19P-1の反対側(以下、先端部19P-2と言う)が円形状に開口されている。これにより、外側通電構造19の内部は、先端部19P-2が開口され、基端部19P-1が閉塞された中空円筒形状の輪郭に構成されている。
外側通電構造19の先端部19P-2は、仮想軸線Pxを中心に円形状に開口されている。この円形状の開口を囲む(規定する)ように、外側通電構造19の先端部19P-2には、中空円環形状の先端面19sが構成されている。この先端面19sは、上記した接触子12,14に通電体15を接続させる際に、接触子12,14の裏面12b,14bに対向させて配置可能に構成されている。
このような外側通電構造19によれば、円形状に開口された先端部19P-2から閉塞された基端部19P-1(即ち、外側通電構造19の内部)に向けて、内側通電構造20を挿入することが可能になっている。
内側通電構造20は、仮想軸線Pxの方向において、両端部(基端部20P-1、先端部20P-2)が開口された中空円筒形状に構成されている。内側通電構造20の基端部20P-1には、中空円環形状(リング状とも言う)の通電フランジ20fが径方向内側に向けて突設されている。通電フランジ20fは、周方向に沿って連続して構成されている。内側通電構造20の基端部20P-1には、通電フランジ20fを含めた領域において、内側通電構造20の外部を規定するリング状の外底面20aが構成されている。
リング状の外底面20aは、凹凸の無い平坦状を成し、仮想軸線Pxに直交する方向に沿って当該仮想軸線Pxを中心に中空円環形状に拡がって構成され、その外周縁は、内側通電構造20の外部を規定する外周面20bに連続している。
内側通電構造20の外周面20bは、円筒形状を成し、仮想軸線Pxと平行な方向に沿って延在している。円筒形状の外周面20bは、その全体に亘って仮想軸線Pxを中心に同一の直径(外径)に設定されている。
内側通電構造20の先端部20P-2は、仮想軸線Pxを中心に円形状に開口されている。この円形状の開口を囲む(規定する)ように、内側通電構造20の先端部20P-2には、中空円環形状の先端面20sが構成されている。この先端面20sは、上記した接触子12,14に通電体15を接続させる際に、接触子12,14の裏面12b,14bに対向させて配置可能に構成されている。
このような内側通電構造20によれば、当該内側通電構造20を上記した外側通電構造19の内部に挿入することが可能になっている。例えば、内側通電構造20の通電フランジ20fが設けられた基端部20P-1を、外側通電構造19の円形状に開口された先端部19P-2から閉塞された基端部19P-1に向けて挿入する。
このとき、内側通電構造20の外底面20aは、外側通電構造19の内底面19aに接触する。これら双方の外底面20a及び内底面19aは、上記したように、凹凸の無い平坦状を成し、仮想軸線Pxに直交する方向に沿って当該仮想軸線Pxを中心に拡がって構成されている。これにより、外底面20a及び内底面19aは、互いに隙間無く面状に接触する。この結果、内側通電構造20は、外側通電構造19の内部で安定した姿勢に維持される。
ここで、例えば、外側通電構造19の内径(即ち、内周面19bの直径)と、内側通電構造20の外径(即ち、外周面20bの直径)とを一致させる。そうすると、内側通電構造20を外側通電構造19の内部に挿入した状態において、これら2つの通電構造19,20は、円板形状の接触子12,14の外周側から内周側に向かって(即ち、仮想軸線Pxに直交する方向において)、互いに隙間無く隣接(接触)して配置される。
このとき、内側通電構造20は、その外底面20a及び外周面20bが外側通電構造19の内底面19a及び内周面19bによって面状に支持された状態に維持される。これにより、縦磁界電極E1,E2を離接動作させた際に、双方の通電構造19,20が相対的に離間したり接触したりすることが防止される。
例えば、双方の通電構造19,20において、その底面19a,20a同士が互いに離間したり接触したり、或いは、その周面19b,20b同士が互いに離間したり接触したりすることが防止される。換言すると、縦磁界電極E1,E2の離接動作中において、双方の通電構造19,20(即ち、底面19a,20a同士、及び、周面19b,20b同士)は、常に隙間無く隣接(接触)した状態に維持される。この結果、これら通電構造19,20から構成された通電体13,15全体としての通電特性(導電率)が一定に維持される。
更に、このような状態を維持するために、上記した接触子12,14と通電体13,15(外側通電構造19、内側通電構造20)とが電気的に堅牢に接続されている。図3の例において、接続箇所としては、外側通電構造19の内底面19aと内側通電構造20の外底面20aとの間、外側通電構造19の先端面19sと接触子12,14の裏面12b,14bとの間、内側通電構造20の先端面20sと接触子12,14の裏面12b,14bとの間を想定する。
接続方法としては、ロウ付け法を適用する。ロウ付け法は、接合する2つの母材の相互間(上記した接続箇所)に、融点が母材より低いロウ材(例えば、銀、亜鉛、銅を混合した銀ロウ)を溶かして落とし、毛細管現象によって浸透拡散させる。この後、ロウ材を冷却させて凝固させることで、上記した接続箇所がロウ付け接合される。ロウ付け法は、母材自体を溶融させずに接合できるため、母材を傷めることは無い。
更に、上記した縦磁界電極E1,E2の接点8,10の内部には、補強部材18が設けられている。補強部材18は、接触子12,14の裏面12b,14bと外側通電構造19の内底面19aとの間に配置されている。接点8,10の内部に配置された状態において、補強部材18は、仮想軸線Pxと平行な方向に沿って延在している。
補強部材18は、仮想軸線Pxを中心に延在した円柱形状を有している。補強部材18は、仮想軸線Px方向で見て、その両端側(基端側、先端側)に円板形状の補強フランジ18f-1,18f-2を有している。双方の補強フランジ18f-1,18f-2の径方向中心は、仮想軸線Px上に位置決めされている。
一方(先端側)の補強フランジ18f-1は、接触子12,14の裏面12b,14bに当接し、接触子12,14を広範囲に亘って支持可能に構成されている。他方(基端側)の補強フランジ18f-2は、上記した中空円環形状(リング状)の通電フランジ20fを越えて、外側通電構造19の内底面19aに当接している。このため、基端側の補強フランジ18f-2は、先端側の補強フランジ18f-1よりも小径に構成されている。
このような補強部材18によれば、縦接触子12,14の姿勢や形状が常時一定に維持される。これにより、縦磁界電極E1,E2の接点8,10全体としての通電特性(導電率)が一定に維持される。
更に、接点8,10に設けられたスリット構造16,17は、外側スリット21と、内側スリット22と、対向スリット23とを備えて構成されている。対向スリット23は、接触子12,14の外周縁に沿って周方向に等間隔で設けられている。対向スリット23は、接触子12,14の表面12a,14aから裏面12b,14bを貫通させて構成されている。対向スリット23は、外側スリット21(図4参照)及び内側スリット22(図5)の双方に連通され、これにより、単一のスリット構造16,17が構成されている。
図4は、外側通電構造19における外側スリット21の配置構成図である。中空円筒形状の外側通電構造19には、複数の外側スリット21が周方向に沿って等間隔に設けられている。外側スリット21は、それぞれ、螺旋状を成し、外側通電構造19を貫通して構成されている。螺旋状の外側スリット21は、その一端が外側通電構造19の基端部19P-1に向けて延出し、その他端が外側通電構造19の先端部19P-2に向けて延出して構成されている。
外側スリット21の他端は、外側通電構造19の先端部19P-2を貫通して先端面19sに開口され、上記した接触子12,14の対向スリット23に連通している。これに対して、外側スリット21の一端は、外側通電構造19の基端部19P-1を貫通しないで閉口されている。なお、外側スリット21の全長やスリット幅は、例えば、外側通電構造19の大きさや用途などに応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。
図5は、内側通電構造20における内側スリット22の配置構成図である。中空円筒形状の内側通電構造20には、複数の内側スリット22が周方向に沿って等間隔で設けられている。内側スリット22は、それぞれ、螺旋状を成し、内側通電構造20を貫通して構成されている。螺旋状の内側スリット22は、その一端が内側通電構造20の基端部20P-1に向けて延出し、その他端が内側通電構造20の先端部20P-2に向けて延出している。
内側スリット22の他端は、内側通電構造20の先端部20P-2を貫通して先端面20sに開口され、上記した接触子12,14の対向スリット23に連通している。これに対して、内側通電構造20の一端は、内側通電構造20の基端部20P-1を貫通しないで閉口され、通電フランジ20fの内表面に延在されている。なお、内側スリット22の全長やスリット幅は、例えば、内側通電構造20の大きさや用途などに応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。
このような構成を有する縦磁界電極E1,E2の接点8,10において、図3~図5に示された2つの通電構造(外側通電構造19、内側通電構造20)のうち、外側通電構造19の導電率は、内側通電構造20の導電率よりも高く設定されている。これにより、外側通電構造19は、内側通電構造20よりも電流が流れ易くなっている。換言すると、内側通電構造20の導電率は、外側通電構造19の導電率よりも低く設定されている。これにより、内側通電構造20は、外側通電構造19よりも電流が流れ難くなっている。
別の捉え方をすると、外側通電構造19の電気抵抗(電流の通り難さの度合)は、内側通電構造20の電気抵抗(電流の通り難さの度合)よりも低く設定されている。これにより、外側通電構造19は、内側通電構造20よりも電流が流れ易くなっている。換言すると、内側通電構造20の電気抵抗(電流の通り難さの度合)は、外側通電構造19の電気抵抗(電流の通り難さの度合)よりも高く設定されている。これにより、内側通電構造20は、外側通電構造19よりも電流が流れ難くなっている。
この場合、外側通電構造19は、例えば、銅、銀、或いは、銅と銀の合金などで成形することが好ましい。内側通電構造20は、例えば、SUS、Cr、或いは、一般鉄鋼材(SS400)などで成形することが好ましい。
更に、各接点8,10の通電構造19,20において、図3~図5に示された双方のスリット構造16,17は、外側スリット21と内側スリット22との間の配置構成、例えば、大きさ、螺旋形状、螺旋方向、螺旋位置、並びに、全長及びスリット幅を周方向に沿って相互に揃えるスリット整合構成を有している。
スリット整合構成としては、例えば、双方のスリット21,22の大きさ、螺旋形状、螺旋方向、螺旋位置、並びに、全長及びスリット幅を互いに同一に設定した場合を想定すると、この場合、仮想軸線Pxを中心とした径方向において、双方のスリット21,22全体が完全に重なり合って単一のスリットのように見える状態を指す。
この場合、2つの通電構造(外側通電構造19、内側通電構造20)を流れる電流の方向性を揃えることができるため、通電構造19,20相互間での短絡を防止することができる。これにより、上記した交流電流ACの流動性が向上し、その結果、縦磁界(磁力線)Mfの増加を図ることができる。
このような効果は、少なくとも双方のスリット21,22の向き(螺旋方向)を揃えることで達成される。この場合、スリット21,22の向き(螺旋方向)を揃えることは、双方のスリット21,22の向きを、仮想軸線Pxを中心に一方向(例えば、右旋回方向、或いは、左旋回方向)に整合させることを指し、外側スリット21の向きを一方向(例えば、右旋回方向)とし、内側スリット22の向きを他方向(例えば、左旋回方向)としないことを指す。
この場合、特に、外側スリット21と内側スリット22の相互のスリット幅は、必ずしも互いに同一幅に設定する必要はない。縦磁界電極E1,E2を離接動作させた際に、外側通電構造19から内側通電構造20を貫通したスリット構造16,17を確保できればよい。換言すると、縦磁界電極E1,E2を離接動作させた際に、通電構造19,20が相対的に変位し、その結果、内側スリット22が外側通電構造19の内周面19bの範囲内に移動した状態において、外側スリット21から内側スリット22を確認できなくならなければよい。即ち、スリット幅がゼロにならなければよい。
以上、本実施形態によれば、外側通電構造19に外側スリット21を設けると共に、内側通電構造20に内側スリット22を設け、双方のスリット21,22の向き及び位置を揃える構造とした。この場合、双方の通電構造19,20を流れる電流の方向性を揃えることができるため、通電構造19,20相互間での短絡を防止することができる。これにより、上記した交流電流ACの流動性が向上し、その結果、縦磁界(磁力線)Mfの増加を図ることができる。
本実施形態によれば、接触子12,14の最外周縁に沿って設けられた外側通電構造19を、内側通電構造20よりも電流の流れ易い構造とした。これにより、縦磁界電極E1,E2を離間させた電流遮断時に、外側通電構造19を経由して優先的に多くの電流(交流)を流すことができる。この場合、上記した縦磁界Mfを電極対向面E1s,E2sの広範囲に亘って満遍なく形成させることができる。この結果、アークを広範囲に分散させることができるため、電極対向面E1s,E2sの局所的な熱負荷を軽減させることができる。
本実施形態によれば、内側通電構造20を外側通電構造19よりも電流の流れ難い構造とした。これにより、縦磁界電極E1,E2を接触させた通電(投入)時に、外側通電構造19と共に内側通電構造20にも電流(交流)を流すことができる。この場合、通電(投入)時における通電容量を必要十分な一定量に維持することができる。この結果、スイッチギヤから電力を安定して供給することができる。
本実施形態によれば、内側通電構造20を外側通電構造19の内部に挿入した状態において、これら2つの通電構造19,20は、円板形状の接触子12,14の外周側から内周側に向かって(即ち、仮想軸線Pxに直交する方向において)、互いに隙間無く隣接(接触)して配置される。このとき、内側通電構造20は、その外底面20a及び外周面20bが外側通電構造19の内底面19a及び内周面19bによって面状に支持された状態に維持される。これにより、縦磁界電極E1,E2を離接動作させた際に、双方の通電構造19,20が相対的に離間したり接触したりすることを防止することができる。この結果、これら通電構造19,20から構成された通電体13,15全体としての通電特性(導電率)を一定に維持することができる。
「第1変形例」
図6は、第1変形例に係るスリット構造16,17の断面図である。上記した実施形態では、双方のスリット構造16,17をスリット整合構成としたが、これに代えて、図6に示すようなスリット非整合構成としてもよい。
図6は、第1変形例に係るスリット構造16,17の断面図である。上記した実施形態では、双方のスリット構造16,17をスリット整合構成としたが、これに代えて、図6に示すようなスリット非整合構成としてもよい。
スリット非整合構成としては、例えば、双方のスリット21,22の大きさ、螺旋形状、螺旋方向、螺旋位置、並びに、全長及びスリット幅を互いに同一に設定した場合を想定すると、この場合、仮想軸線Pxを中心とした径方向において、双方のスリット21,22の一部が重なり合って見える状態(即ち、スリット21,22相互が交差して見える状態)を指す。
これにより、スリット21,22相互が交差した部分の近傍に短絡領域が構成されるため、上記した交流電流ACの流れる通電構造19,20相互の通電経路を短くすることができ、その結果、通電容量の増加を図ることができる。なお、その他の構成及び効果は、上記した実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第2変形例」
図7は、第2変形例に係る内側通電構造20の先端部20P-2側から見た斜視図であり、図8は、第2変形例に係る内側通電構造20の基端部20P-1側から見た斜視図である。図7及び図8の例において、内側通電構造20の基端部20P-1は、周方向に沿って連続的に延在されている。
図7は、第2変形例に係る内側通電構造20の先端部20P-2側から見た斜視図であり、図8は、第2変形例に係る内側通電構造20の基端部20P-1側から見た斜視図である。図7及び図8の例において、内側通電構造20の基端部20P-1は、周方向に沿って連続的に延在されている。
図7及び図8に示すように、本変形例の内側通電構造20は、上記した通電フランジ20fを含めて基端部20P-1の全体(即ち、外底面20a)が周方向に沿って連続するように構成されている。
これにより、内側通電構造20の剛性を一定に維持することが可能となり、その結果、当該内側通電構造20を上記した外側通電構造19の内部に挿入する際の組立て作業性を向上させることができる。なお、その他の構成及び効果は、上記した実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第3変形例」
図9は、第3変形例に係る内側通電構造20の先端部20P-2側から見た斜視図であり、図10は、第3変形例に係る内側通電構造20の基端部20P-1側から見た斜視図である。図9及び図10の例において、内側通電構造20の基端部20P-1は、周方向に沿って断続的(間欠的)に延在されている。
図9は、第3変形例に係る内側通電構造20の先端部20P-2側から見た斜視図であり、図10は、第3変形例に係る内側通電構造20の基端部20P-1側から見た斜視図である。図9及び図10の例において、内側通電構造20の基端部20P-1は、周方向に沿って断続的(間欠的)に延在されている。
図9及び図10に示すように、本変形例の内側通電構造20は、上記した通電フランジ20fを含めた基端部20P-1に、切欠部24が設けられている。切欠部24は、通電フランジ20fを含めた基端部20P-1の一部を径方向(即ち、外底面20aを横断する方向)に切り欠いて構成されている。図9及び図10の例において、切欠部24は、1か所設けているが、複数箇所に亘って設けてもよい。
これにより、内側通電構造20の基端部20P-1側における短絡が防止され、渦電流の発生を抑制することができる。なお、その他の構成及び効果は、上記した実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第4変形例」
図11は、第4変形例に係る通電構造(外側通電構造19、内側通電構造20)の分解斜視図である。これら2つの通電構造19,20には、それぞれ、通電構造19,20相互を周方向に位置決めする位置決め機構25,26が設けられている。図11の例において、外側通電機構19には、凸状位置決め機構25が設けられている。内側通電構造20には、凹状位置決め機構26が設けられている。
図11は、第4変形例に係る通電構造(外側通電構造19、内側通電構造20)の分解斜視図である。これら2つの通電構造19,20には、それぞれ、通電構造19,20相互を周方向に位置決めする位置決め機構25,26が設けられている。図11の例において、外側通電機構19には、凸状位置決め機構25が設けられている。内側通電構造20には、凹状位置決め機構26が設けられている。
図11に示すように、凸状位置決め機構25は、上記した外側通電構造19の内底面19aから円柱形状に突出させて構成されている。円柱形状の凸状位置決め機構25は、その外周面の一部を平坦状に切り欠いて形成した凸状位置決め部25pを備えている。
凹状位置決め機構26は、上記した内側通電構造20の通電フランジ20fの中空円環形状をそのまま利用して構成されている。中空円環形状の凹状位置決め機構26は、その内周面の一部を平坦状に突出させた凹状位置決め部26pを備えている。
この場合、凸状位置決め機構25の外形寸法は、凹状位置決め機構26の内形寸法と同一或いは若干小さくなるように設定されている。凸状位置決め部25pと凹状位置決め部26pとは、互いに同一の大きさの矩形状を有している。
これにより、内側通電構造20を外側通電構造19の内部に挿入した状態において、凸状位置決め機構25が凹状位置決め機構26に入り込むことで、凸状位置決め部25pと凹状位置決め部26pとが互いに面状に接触する。この結果、2つの通電構造19,20相互の位置関係(例えば、外側スリット21と内側スリット22との位置関係)を固定することができる。なお、その他の構成及び効果は、上記した実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第5変形例」
図12は、第5変形例に係る接点8,10の内部構造図である。内側通電構造20は、先端部20P-2寄りの部分の径方向の厚さが他の部分よりも径方向外側に向かって拡大するように構成されている。
図12は、第5変形例に係る接点8,10の内部構造図である。内側通電構造20は、先端部20P-2寄りの部分の径方向の厚さが他の部分よりも径方向外側に向かって拡大するように構成されている。
図12の例において、内側通電構造20は、先端部20P-2寄りの部分(即ち、先端部20P-2及びその近傍領域)の径方向の厚さが他の部分よりも径方向外側に向かって矩形状に拡大するように構成されている。換言すると、外側通電構造19は、先端部19P-2側の部分(即ち、先端部19P-2及びその近傍領域)の径方向の厚さが他の部分よりも矩形状に縮小するように構成されている。
これにより、通電体13,15を構成する2つの通電構造(外側通電構造19、内側通電構造20)の径方向外側における電流分布を大きくすることができる。この結果、上記した縦磁界Mfの発生エリアを更に広範囲に亘って満遍なく形成させることができる。なお、その他の構成及び効果は、上記した実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第6変形例」
図13は、第6変形例に係る接点8,10の内部構造図である。本変形例も上記した第5変形例と同様に、内側通電構造20は、先端部20P-2寄りの部分の径方向の厚さが他の部分よりも径方向外側に向かって拡大するように構成されている。
図13は、第6変形例に係る接点8,10の内部構造図である。本変形例も上記した第5変形例と同様に、内側通電構造20は、先端部20P-2寄りの部分の径方向の厚さが他の部分よりも径方向外側に向かって拡大するように構成されている。
図13の例において、内側通電構造20は、その径方向の厚さが、基端部20P-1から先端部20P-2に向かうに従って末広がり状に拡大して構成されている。換言すると、外側通電構造19は、その径方向の厚さが、基端部19P-1から先端部19P-2に向かうに従って先細り状に縮小して構成されている。なお、その他の構成及び効果は、上記した第5変形例、並びに、実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第7変形例」
図14は、第7変形例に係る接点8,10の内部構造図である。図14の例において、内側通電構造20は、その先端部20P-2において、その径方向外側のみに先端面20sを有している。この先端面20sは、接触子12,14の裏面12b,14bに対して、周方向に沿って連続的に接触可能に構成されている。なお、その他の構成及び効果は、上記した第5変形例、並びに、実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
図14は、第7変形例に係る接点8,10の内部構造図である。図14の例において、内側通電構造20は、その先端部20P-2において、その径方向外側のみに先端面20sを有している。この先端面20sは、接触子12,14の裏面12b,14bに対して、周方向に沿って連続的に接触可能に構成されている。なお、その他の構成及び効果は、上記した第5変形例、並びに、実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第8変形例」
図15は、第8変形例に係る接点8,10の内部構造図である。図15の例において、内側通電構造20は、その先端部20P-2において、その先端面20sの全体を接触子12,14の裏面12b,14bから離間させて構成されている。この場合、内側通電構造20の先端面20sと、接触子12,14の裏面12b,14bとは、互いに接触しない非接触な位置関係を有している。換言すると、接触子12,14の裏面12b,14bには、外側通電構造19の先端部19P-2のみが接触可能に構成されている。
図15は、第8変形例に係る接点8,10の内部構造図である。図15の例において、内側通電構造20は、その先端部20P-2において、その先端面20sの全体を接触子12,14の裏面12b,14bから離間させて構成されている。この場合、内側通電構造20の先端面20sと、接触子12,14の裏面12b,14bとは、互いに接触しない非接触な位置関係を有している。換言すると、接触子12,14の裏面12b,14bには、外側通電構造19の先端部19P-2のみが接触可能に構成されている。
これにより、電流の通電経路は、外側通電構造19の先端部19P-2のみとなる。この結果、上記した縦磁界Mfの発生エリアを更に広範囲に亘って満遍なく形成させることができる。
更に、接触子12,14の裏面12b,14bに対して内側通電構造20の先端面20sを常に非接触に設定することで、機械加工による寸法公差を無くすることが可能となり、その結果、接触子12,14の裏面12b,14bに対して外側通電構造19の先端部19P-2を確実に接触させることができる。
この場合、電流の通電経路を確保するために、外側通電構造19の内周面19bと内側通電構造20の外周面20bとを、上記したロウ付け法で接合することが好ましい。なお、その他の構成及び効果は、上記した第5変形例、並びに、実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第9変形例」
図16は、第9変形例に係る内側通電構造20の外観構造図である。本変形例の内側通電構造20は、上記した第7変形例(図14)の改良である。図16の例において、内側通電構造20の先端面20sは、接触子12,14の裏面12b,14bに対して、周方向に沿って断続的(間欠的)に接触可能に構成されている。
図16は、第9変形例に係る内側通電構造20の外観構造図である。本変形例の内側通電構造20は、上記した第7変形例(図14)の改良である。図16の例において、内側通電構造20の先端面20sは、接触子12,14の裏面12b,14bに対して、周方向に沿って断続的(間欠的)に接触可能に構成されている。
図16に示すように、内側通電構造20は、その先端部20P-2において、周方向に沿って複数の先端面20sが間隔を存して(例えば、等間隔に)配置されている。各先端面20sは、先端部20P-2から仮想軸線Px方向に(即ち、接触子12,14の裏面12b,14bに向けて)突出している。各先端面20sは、仮想軸線Pxを直交して延在する単一の仮想平面に沿って延在されている。
この場合、部分的に突出した各先端面20sのみが接触子12,14の裏面12b,14bに接触可能となる。なお、その他の構成及び効果は、上記した第5変形例、並びに、実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第10変形例」
図17は、第10変形例に係る接点8,10の内部構造図である。図17の例において、外側通電構造19は、例えば、銅、銀、或いは、銅と銀の合金などで成形されている。内側通電構造20は、例えば、SUS、Cr、或いは、一般鉄鋼材(SS400)などで成形されている。この場合、外側通電構造19は、内側通電構造20よりも剛性の低い材料で構成されている。換言すると、外側通電構造19は、内側通電構造20よりも弾性変形し易く構成されている。
図17は、第10変形例に係る接点8,10の内部構造図である。図17の例において、外側通電構造19は、例えば、銅、銀、或いは、銅と銀の合金などで成形されている。内側通電構造20は、例えば、SUS、Cr、或いは、一般鉄鋼材(SS400)などで成形されている。この場合、外側通電構造19は、内側通電構造20よりも剛性の低い材料で構成されている。換言すると、外側通電構造19は、内側通電構造20よりも弾性変形し易く構成されている。
更に、上記したロウ付け法によって、外側通電構造19の内底面19aと内側通電構造20の外底面20aとの間、並びに、外側通電構造19の先端面19sと接触子12,14の裏面12b,14bとの間は、接続されているが、内側通電構造20の先端面20sと接触子12,14の裏面12b,14bとの間は、接続されていない。
ここで、内側通電構造20の先端面20sと接触子12,14の裏面12b,14bとの間は、互いに接触させた接触状態に維持してもよいし、或いは、互いに離間させた非接触状態に維持してもよい。いずれの状態においても、外側通電構造19が弾性変形して伸縮した場合、その縮小時において、内側通電構造20の先端面20sと接触子12,14の裏面12b,14bとが互いに隙間無く接触するように設定されている。
このような構成によれば、縦磁界電極E1,E2を離間させた電流遮断時に、その慣性力によって、外側通電構造19は、図17の点線で示す如く伸長する。このとき、内側通電構造20の先端面20sと接触子12,14の裏面12b,14bとの間に隙間Hが構成される。これにより、外側通電構造19を経由して優先的に多くの電流(交流)を流すことができる。この場合、上記した縦磁界Mfを電極対向面E1s,E2sの広範囲に亘って満遍なく形成させることができる。
これに対して、縦磁界電極E1,E2を接触させた通電(投入)時には、内側通電構造20の先端面20sと接触子12,14の裏面12b,14bとが互いに隙間無く接触する。これにより、外側通電構造19と共に内側通電構造20にも電流(交流)を流すことができる。この場合、通電(投入)時における通電容量を必要十分な一定量に維持することができる。なお、その他の構成及び効果は、上記した実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
「第11変形例」
図18は、第11変形例に係る接点8,10の内部構造図である。接点8,10には、それぞれ、接続させる母材相互間に浸透させるロウ材の拡散を防止する構成が適用されている。
図18は、第11変形例に係る接点8,10の内部構造図である。接点8,10には、それぞれ、接続させる母材相互間に浸透させるロウ材の拡散を防止する構成が適用されている。
図18に示すように、外側通電構造19の内底面19aと内側通電構造20の外底面20aとの間(接続箇所)には、第1ロウ材収容部27が設けられている。第1ロウ材収容部27は、内側通電構造20の外底面20aを周方向に沿って連続的に窪ませて(凹ませて)構成されている。この場合、第1ロウ材収容部27は、内側通電構造20の外周面20b寄りに接近させて配置することが好ましい。
外側通電構造19の先端面19sと接触子12,14の裏面12b,14bとの間(接続箇所)には、第2ロウ材収容部28が設けられている。第2ロウ材収容部28は、外側通電構造19の先端面19sを周方向に沿って連続的に窪ませて(凹ませて)構成されている。この場合、第2ロウ材収容部28は、外側通電構造19の内周面19b寄りに接近させて配置することが好ましい。
内側通電構造20の先端面20sと接触子12,14の裏面12b,14bとの間(接続箇所)には、第3ロウ材収容部29が設けられている。第3ロウ材収容部29は、内側通電構造20の先端面20sを周方向に沿って連続的に窪ませて(凹ませて)構成されている。この場合、第3ロウ材収容部29は、内側通電構造20の外周面20b寄りに接近させて配置することが好ましい。
このような構成によれば、接続させる母材相互間に浸透させるロウ材の拡散を防止することができる。即ち、ロウ材が、第1~第3ロウ材収容部27,28,29を超えて、外側通電構造19の内周面19bと内側通電構造20の外周面20bとの間に浸透拡散されるのを防止することができる。この場合、ロウ材の一部は、第1~第3ロウ材収容部27,28,29に収容される。これにより、上記した各接続箇所において、ロウ材が不足するような事態を未然に回避することができる。この結果、各接続箇所におけるロウ付け不良を防止することができる。
以上、本発明の一実施形態及びいくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
P…真空バルブ、E1…固定電極、E2…可動電極、E1s…固定側電極対向面、E2s…可動側電極対向面、1…絶縁容器、2…固定側封着部材、3…可動側封着部材、4…気密維持機構、5…アークシールド、6…固定側封着金具、7…可動側封着金具、8…固定接点、9…固定通電軸、10…可動接点、11…可動通電軸、12,14…接触子、13,15…通電体、16,17…スリット構造、18…補強部材、19…外側通電構造、19a…内底面、19b…内周面、20…内側通電構造、20a…外底面、20b…外周面、20f…通電フランジ、19s,20s…先端面、19P-1,20P-1…基端部、19P-2,20P-2…先端部、21…外側スリット、22…内側スリット、23…対向スリット、24…切欠部、25…凸状位置決め機構、26…凹状位置決め機構、27…第1ロウ材収容部、28…第2ロウ材収容部、29…第3ロウ材収容部。
Claims (16)
- 互いに離接可能に配置された一対の電極を具備し、
一対の前記電極は、それぞれ、
離接可能に対向させて配置される円板形状の導電性の接触子と、
前記接触子の外周縁に沿って設けられ、導電率の異なる中空円筒形状を成し、かつ、互いに隣接させて配置された複数の通電構造と、を有し、
複数の前記通電構造には、それぞれ、スリットが周方向に沿って前記通電構造を貫通させて配置されている真空バルブ。 - 複数の前記通電構造のうち、最も外側の前記通電構造の前記導電率は、他の前記通電構造の前記導電率よりも高く設定されている請求項1に記載の真空バルブ。
- 複数の前記通電構造は、互いに直径の異なる中空円筒形状の輪郭を有していると共に、円板形状の前記接触子の外周側から内周側に向かって、互いに隙間無く隣接させて配置されている請求項1に記載の真空バルブ。
- 最も外側の前記通電構造よりも内側の前記通電構造の導電率は、最も外側の前記通電構造よりも低く設定されている請求項1に記載の真空バルブ。
- 複数の前記通電構造のスリットは、電流の流動性を向上させるために、その位置を周方向に沿って互いに揃えて構成されている請求項1に記載の真空バルブ。
- 複数の前記通電構造のスリットは、前記通電構造相互の通電経路を短くするために、その位置を周方向に沿って互いに揃えないで構成されている請求項1に記載の真空バルブ。
- 最も外側の前記通電構造よりも内側の前記通電構造は、その両端である基端部及び先端部が開口された中空円筒形状に構成され、
前記基端部は、周方向に沿って連続的に延在されている請求項1に記載の真空バルブ。 - 最も外側の前記通電構造よりも内側の前記通電構造は、その両端である基端部及び先端部が開口された中空円筒形状に構成され、
前記基端部は、周方向に沿って断続的に延在されている請求項1に記載の真空バルブ。 - 複数の前記通電構造には、前記通電構造相互を周方向に位置決めする位置決め機構が設けられ、
前記位置決め機構として、互いに隣接させて配置させる一方の前記通電構造には、凸状位置決め部を備えた凸状位置決め機構が設けられ、他方の前記通電構造には、凹状位置決め部を備えた凹状位置決め機構が設けられ、
双方の前記通電構造を互いに隣接させた配置させた状態において、前記凸状位置決め機構が前記凹状位置決め機構に入り込んで、前記凸状位置決め部と前記凹状位置決め部とが互いに面状に接触することで、前記通電構造相互の位置関係が固定される請求項1に記載の真空バルブ。 - 最も外側の前記通電構造よりも内側の前記通電構造は、前記先端部寄りの部分の径方向の厚さが他の部分よりも径方向外側に向かって拡大するように構成されている請求項7又は8に記載の真空バルブ。
- 最も外側の前記通電構造よりも内側の前記通電構造は、前記先端部において、径方向外側のみに先端面を有し、
前記先端面は、前記接触子の前記外周縁に対して周方向に沿って連続的に接触可能に構成されている請求項7又は8に記載の真空バルブ。 - 最も外側の前記通電構造よりも内側の前記通電構造は、前記先端部において、前記接触子の前記外周縁に対向させて配置可能な先端面を有し、
前記先端面は、その全体が前記接触子の前記外周縁から離間した非接触な位置関係を有して構成されている請求項7又は8に記載の真空バルブ。 - 最も外側の前記通電構造よりも内側の前記通電構造は、前記先端部において、周方向に沿って複数の先端面が間隔を存して配置され、
複数の前記先端面は、前記接触子の前記外周縁に向けて突出している請求項7又は8に記載の真空バルブ。 - 最も外側の前記通電構造は、その内側の前記通電構造よりも剛性の低い材料で構成されている請求項1に記載の真空バルブ。
- 最も外側の前記通電構造は、その内側の前記通電構造よりも弾性変形し易く構成されている請求項1に記載の真空バルブ。
- 複数の前記通電構造と前記接触子との間、並びに、複数の前記通電構造の相互間には、それぞれ、接続させる母材相互間に浸透させるロウ材の拡散を防止するように、前記ロウ材の一部を収容可能なロウ材収容部が設けられている請求項1に記載の真空バルブ。
Priority Applications (1)
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JP2022134873A JP2024031363A (ja) | 2022-08-26 | 2022-08-26 | 真空バルブ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022134873A JP2024031363A (ja) | 2022-08-26 | 2022-08-26 | 真空バルブ |
Publications (1)
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JP2024031363A true JP2024031363A (ja) | 2024-03-07 |
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ID=90105803
Family Applications (1)
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JP2022134873A Pending JP2024031363A (ja) | 2022-08-26 | 2022-08-26 | 真空バルブ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2024031363A (ja) |
-
2022
- 2022-08-26 JP JP2022134873A patent/JP2024031363A/ja active Pending
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