JP2024031097A - 複合体、電池および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体電解質と活物質との密着性等に優れ、粒界抵抗が低くリチウムイオン伝導度の低い電池の製造に用いることができる複合体を提供する。【解決手段】本発明の複合体は、活物質と、式(1)で表されるリチウム複合金属酸化物を含む結晶質の第1電解質部と、式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物を含み、前記活物質の表面の少なくとも一部を被覆する第2電解質部と、を備え、前記第1電解質部の少なくとも一部が、前記第2電解質部を介して、前記活物質に接合されている。(Li7-3xGax)(La3-yNdy)Zr2O12・・・(1)(ただし、式(1)中、0.1≦x≦1.0、0.01≦y≦0.20の関係を満たす。)Li7-zLa3(Zr2-zMz)O12・・・(2)(ただし、式(2)中、元素Mは、Nb、TaおよびSbよりなる群から選択される2種以上の元素であって、0.0<z<2.0の関係を満たす。)【選択図】なし

Description

本発明は、複合体、電池および電子機器に関する。
携帯型情報機器をはじめとする多くの電子機器の電源として、リチウムイオン電池(一次電池および二次電池を含む)が利用されている。中でも、高エネルギー密度と安全性を両立したリチウムイオン電池として、正・負極間のリチウムの伝導に固体電解質を用いた全固体型リチウムイオン電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
固体電解質は、有機電解液を用いることなくリチウムイオンを伝導することができ、電解液漏れや駆動発熱による電解液の揮発等が生じないため、安全性が高い材料として注目されている。
このような全固体型リチウムイオン電池に用いられる固体電解質として、リチウムイオン伝導性が高く、絶縁性に優れ、また化学的安定性の高い酸化物系の固体電解質が広く知られている。このような酸化物として、ジルコン酸ランタンリチウム系の材料が特筆すべき高いリチウムイオン導電率を有しており、電池への適用が期待されている。
特開2009-215130号公報
しかしながら、このような固体電解質を用いた場合、固体電解質と活物質との密着性や、固体電解質粒子同士の密着性を十分に優れたものとすることができず、粒界抵抗が高くなり、リチウムイオン伝導度が低くなりやすいという課題があった。その結果、放電容量が低下しやすく、特に、充放電を繰り返した場合における放電容量の維持率が低くなりやすいという問題があった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
本発明の適用例に係る複合体は、活物質と、
下記組成式(1)で表されるリチウム複合金属酸化物を含む結晶質の第1電解質部と、
下記組成式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物を含み、前記活物質の表面の少なくとも一部を被覆する第2電解質部と、を備え、
前記第1電解質部の少なくとも一部が、前記第2電解質部を介して、前記活物質に接合されている。
(Li7-3xGa)(La3-yNd)Zr12 ・・・(1)
(ただし、式(1)中、0.1≦x≦1.0、0.01≦y≦0.20の関係を満たす。)
Li7-zLa(Zr2-z)O12 ・・・(2)
(ただし、式(2)中、元素Mは、Nb、TaおよびSbよりなる群から選択される2種以上の元素であって、0.0<z<2.0の関係を満たす。)
また、本発明の適用例に係る電池は、本発明の適用例に係る複合体と、
前記複合体の一方の面側に設けられた電極と、
前記複合体の他方の面側に設けられた集電体と、を備える。
また、本発明の適用例に係る電子機器は、本発明の適用例に係る電池を備える。
図1は、本発明の複合体の一例を模式的に示す拡大断面図である。 図2は、リチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す概略断面図である。 図3は、電子機器としてのウェアラブル機器の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]複合体
まず、本発明の複合体について説明する。
図1は、本発明の複合体の一例を模式的に示す拡大断面図である。
図1に示すように、複合体P100は、活物質P10と、結晶質の第1電解質部P11と、活物質P10の表面の少なくとも一部を被覆する第2電解質部P12と、を備えており、第1電解質部P11の少なくとも一部が、第2電解質部P12を介して、活物質P10に接合されている。
言い換えると、複合体P100は、活物質P10と、上記組成式(1)で表されるリチウム複合金属酸化物を含む結晶質の第1電解質部P11と、上記組成式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物を含み、活物質P10の表面の少なくとも一部を被覆する第2電解質部P12と、を備えている。すなわち、活物質P10と第1電解質部P11との間に第2電解質部P12が介在している。
そして、第1電解質部P11は、下記組成式(1)で表されるリチウム複合金属酸化物を含んでおり、第2電解質部P12は、下記組成式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物を含んでいる。
(Li7-3xGa)(La3-yNd)Zr12 ・・・(1)
(ただし、式(1)中、0.1≦x≦1.0、0.01≦y≦0.20の関係を満たす。)
Li7-zLa(Zr2-z)O12 ・・・(2)
(ただし、式(2)中、元素Mは、Nb、TaおよびSbよりなる群から選択される2種以上の元素であって、0.0<z<2.0の関係を満たす。)
上記のような構成により、固体電解質と活物質との密着性や、固体電解質同士の密着性を十分に優れたものとすることができ、粒界抵抗の上昇が抑制され、リチウムイオン伝導度の低下が抑制された複合体を提供することができる。また、このような複合体を用いることにより、放電容量が低下しにくく、特に、充放電を繰り返した場合においても放電容量が好適に維持される電池を提供することができる。
これに対し、上記のような条件を満たさない場合には、満足のいく結果が得られない。
例えば、活物質と、第1電解質部に相当する部位を有していても、第2電解質部に相当する部位を有していない場合には、活物質と第1電解質部に相当する部位との密着性が劣ったものとなり、粒界抵抗が高くなり、リチウムイオン伝導度は劣ったものとなる。その結果、電池に適用した場合に、放電容量が低下しやすく、特に、充放電を繰り返した場合における放電容量の維持率が低くなりやすい。
また、第1電解質部に相当する部位が、上記組成式(1)で表されるリチウム複合金属酸化物の代わりに、他の電解質で構成されている場合、活物質と第1電解質部に相当する部位との密着性を十分に優れたものとすることができず、粒界抵抗が高くなり、リチウムイオン伝導度を十分に優れたものとすることができない。その結果、電池に適用した場合に、放電容量が低下しやすく、特に、充放電を繰り返した場合における放電容量の維持率が低くなりやすい。
特に、第1電解質部に相当する部位を構成する電解質が、上記組成式(1)中のxが前記下限値未満である組成を有するものである場合には、リチウムイオン伝導率、特に、粒子バルク内伝導率が著しく低下する。
また、第1電解質部に相当する部位を構成する電解質が、上記組成式(1)中のxが前記上限値を超える組成を有するものである場合には、電解質の結晶格子内にGa(ガリウム)が入りきらず、絶縁性の高い酸化ガリウムが生成し、総リチウムイオン伝導率が低下するという問題を生じる。
また、第1電解質部に相当する部位を構成する電解質が、上記組成式(1)中のyが前記下限値未満である組成を有するものである場合には、リチウムイオン伝導率が著しく低下する。
また、第1電解質部に相当する部位を構成する電解質が、上記組成式(1)中のyが前記上限値を超える組成を有するものである場合には、電解質の結晶格子内にNd(ネオジム)が入りきらず、絶縁性の高い酸化ネオジムが生成し、総リチウムイオン伝導率が低下するという問題を生じる。
また、第2電解質部に相当する部位が、上記組成式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物の代わりに、他の電解質で構成されている場合、活物質と第1電解質部に相当する部位との密着性を十分に優れたものとすることができず、粒界抵抗が高くなり、リチウムイオン伝導度を十分に優れたものとすることができない。その結果、電池に適用した場合に、放電容量が低下しやすく、特に、充放電を繰り返した場合における放電容量の維持率が低くなりやすい。
特に、第2電解質部に相当する部位を構成する電解質が、上記組成式(2)中のzが0.0である組成を有するもの、すなわち、元素Mを含まない組成を有するものである場合には、大気下においた場合の総イオン伝導率の低下を抑制できたとしても、初期の総イオン伝導率そのものを十分に高めることが困難となる。
また、第2電解質部に相当する部位を構成する電解質が、上記組成式(2)中のzが2.0以上である組成を有するものである場合には、大気下においた場合の総イオン伝導率の低下を抑制できたとしても、初期の総イオン伝導率そのものを十分に高めることが困難となる。
また、第2電解質部に相当する部位が、上記組成式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物の代わりに、他の電解質で構成されている場合、大気下においた場合の総イオン伝導率の低下を抑制できたとしても、初期の総イオン伝導率そのものを十分に高めることが困難となる。このような場合、第2電解質部に相当する部位を構成する電解質としては、例えば、上記組成式(2)中の元素MがNb、TaおよびSbよりなる群から選択される1種のみである電解質等が挙げられる。
[1-1]活物質
複合体P100を構成する活物質P10は、負極活物質、正極活物質のいずれであってもよい。
負極活物質としては、例えば、Nb、V、TiO、In、ZnO、SnO、NiO、ITO、AZO、GZO、ATO、FTO、LiTi12、LiTi等のリチウムの複酸化物等が挙げられる。また、例えば、Li、Al、Si、Si-Mn、Si-Co、Si-Ni、Sn、Zn、Sb、Bi、In、Au等の金属および合金、炭素材料、LiC24、LiC等のような炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質等が挙げられる。
正極活物質としては、例えば、LiおよびOを含む酸化物、より具体的には、少なくともLiを含み、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuからなる群より選択されるいずれか1種以上の元素により構成されるリチウムの複酸化物等を用いることができる。このような複酸化物としては、例えば、リチウム(Li)を含み、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)のうちの1種類以上の元素を含む複合金属化合物が挙げられる。このようなリチウムの複酸化物としては、特に限定されないが、具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMn、NMC(Li(NiMn1-x-yCo)O)、NCA(Li(NiCoAl1-x-y)O)、LiCr0.5Mn0.5、LiFePO、LiFeP、LiMnPO、LiFeBO、Li(PO、LiCuO、LiFeSiO、LiMnSiO等が挙げられる。また、上記のようなリチウムの複酸化物の結晶内の一部原子が、他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体であってもよい。また、正極活物質としては、例えば、LiFeF等のフッ化物、LiBHやLiBN10等のホウ素化物錯体化合物、ポリビニルピリジン-ヨウ素錯体等のヨウ素錯体化合物、硫黄等の非金属化合物等を用いることもできる。
活物質P10は、正極活物質であるのが好ましく、Liを含む正極活物質であるのがより好ましく、リチウムの複酸化物であるのがさらに好ましい。
これにより、活物質P10と第2電解質部P12との密着性をより優れたものとすることができる。また、複合体P100を備える電池についての高負荷での充放電性能をより優れたものとすることができる。
また、例えば、固体電解質、特に、第2電解質部P12との界面抵抗の低減や電子伝導性の向上等を目的として、活物質P10の表面には、被覆層が形成されていてもよい。例えば、LiCoOからなる正極活物質の表面に、LiNbO、Al、ZrO、Ta等の薄膜を形成することで、リチウムイオン伝導の界面抵抗をさらに低減することができる。前記被覆層の厚さは、特に限定されないが、3nm以上1μm以下であるのが好ましい。
活物質P10は、例えば、内部に空孔を有する多孔質体であってもよく、例えば、球状、鱗片状、不定形、柱状、板状、シート状、チップ状、ペレット状、ブロック状等、いかなる形状のものであってもよいが、図示の構成では、粒状をなすものである。
活物質P10が粒状をなすものである場合、活物質P10の平均粒径は、特に限定されないが、0.1μm以上150μm以下であるのが好ましく、0.3μm以上10μm以下であるのがより好ましく、0.5μm以上5μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、活物質P10の理論容量に近い実容量密度と高い充放電レートとを両立しやすくなる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA-II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
活物質P10の粒度分布は、特に限定されず、例えば、1つのピークを有する粒度分布において、当該ピークの半値幅が0.1μm以上19μm以下とすることができる。また、活物質の粒度分布におけるピークは、2以上あってもよい。
活物質P10の嵩密度は、50%以上90%以下であるのが好ましく、50%以上70%以下であるのがより好ましい。
これにより、活物質P10の孔内の表面積を広げ、活物質P10と、電解質、特に、第2電解質部P12との接触面積を大きくしやすくなり、複合体P100を備える電池において、さらなる高容量化が容易となる。
上記の嵩密度をβ(%)、活物質P10の孔も含めた見かけの体積をv、活物質P10の質量をw、活物質P10の粒子の密度をρとすると、下記数式(a)が成り立つ。これにより、嵩密度を求めることができる。
β={w/(v・ρ)}×100 ・・・(a)
活物質P10の抵抗率は、700Ω・cm以下であるのが好ましい。
これにより、複合体P100を備える電池において、より優れたCレート(充放電速度)を得ることができる。
抵抗率は、例えば、活物質P10の表面に、電極としての銅箔を付着させ、直流分極測定を行うことにより求めることができる。
複合体P100中における活物質P10の占める割合は、25質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上70質量%以下であるのがより好ましく、40質量%以上60質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、電池容量とCレート(充放電速度)とのバランスが特に優れた電池を得ることができる。
[1-2]第1電解質部
複合体P100は、上記組成式(1)で表されるリチウム複合金属酸化物を含む結晶質の第1電解質部P11を備えている。以下の説明では、上記組成式(1)で表されるリチウム複合金属酸化物のことを「第1固体電解質」ともいう。
上記組成式(1)中において、xは、0.1≦x≦1.0の関係を満たせばよいが、0.2≦x≦1.0の関係を満たすのが好ましく、0.2≦x≦0.9の関係を満たすのがより好ましく、0.2≦x≦0.8の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。また、第1電解質部P11と第2電解質部P12との親和性、密着性をより優れたものとすることができる。
上記組成式(1)中において、yは、0.01≦y≦0.20の関係を満たせばよいが、0.01≦y≦0.15の関係を満たすのが好ましく、0.01≦y≦0.10の関係を満たすのがより好ましく、0.01≦y≦0.07の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。また、第1電解質部P11と第2電解質部P12との親和性、密着性をより優れたものとすることができる。
なお、第1電解質部P11を構成する第1固体電解質は、上記組成物式(1)を構成する元素に加えて、他の元素、すなわち、Li、Ga、La、Nd、ZrおよびO以外の元素を、微量であれば含んでいてもよい。当該他の元素は、1種であっても2種以上であってもよい。
第1固体電解質中に含まれる前記他の元素の含有率は、100ppm以下であるのが好ましく、50ppm以下であるのがより好ましい。
前記他の元素として2種以上の元素を含む場合には、これらの元素の含有率の和を前記他の元素の含有率として採用するものとする。
第1電解質部P11は、第1固体電解質を含むものであればよく、さらに第1固体電解質以外の成分を含んでいてもよい。
ただし、第1電解質部P11中における第1固体電解質以外の成分の含有率は、5.0質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
複合体P100中における第1電解質部P11の占める割合は、25質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、30質量%以上70質量%以下であるのがより好ましく、40質量%以上60質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、電池容量とCレート(充放電速度)とのバランスが特に優れた電池を得ることができる。
[1-3]第2電解質部
複合体P100は、上記組成式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物を含む第2電解質部P12を備えている。以下の説明では、上記組成式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物のことを「第2固体電解質」ともいう。なお、図1では、便宜上、活物質P10の全表面が第2電解質部P12で被覆されているように図示されているが、活物質P10の表面の少なくとも一部を被覆していればよい。
上記組成式(2)中において、zは、0.0<z<2.0の関係を満たせばよいが、0.2≦z≦1.8の関係を満たすのが好ましく、0.4≦z≦1.5の関係を満たすのがより好ましく、0.5≦z≦1.3の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。また、第2電解質部P12の、活物質P10や第1電解質部P11に対する親和性、密着性をより優れたものとすることができる。
なお、第2電解質部P12を構成する第2固体電解質は、上記組成物式(2)を構成する元素に加えて、他の元素、すなわち、Li、La、Zr、Nb、Ta、SbおよびO以外の元素を、微量であれば含んでいてもよい。当該他の元素は、1種であっても2種以上であってもよい。
第2固体電解質中に含まれる前記他の元素の含有率は、100ppm以下であるのが好ましく、50ppm以下であるのがより好ましい。
前記他の元素として2種以上の元素を含む場合には、これらの元素の含有率の和を前記他の元素の含有率として採用するものとする。
第2電解質部P12は、第2固体電解質を含むものであればよく、さらに第2固体電解質以外の成分を含んでいてもよい。
ただし、第2電解質部P12中における第2固体電解質以外の成分の含有率は、5.0質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
複合体P100中における第2電解質部P12の占める割合は、0.06質量%以上19.0質量%以下であるのが好ましく、0.09質量%以上9.3質量%以下であるのがより好ましく、0.12質量%以上4.8質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、Cレート(充放電速度)により優れた電池を得ることができる。
第2電解質部P12が活物質P10の表面に膜状に形成されている場合、第2電解質部P12の平均厚さは、0.002μm以上0.300μm以下であるのが好ましく、0.003μm以上0.150μm以下であるのがより好ましく、0.004μm以上0.080μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、Cレート(充放電速度)により優れた電池を得ることができる。
なお、本明細書において、第2電解質部P12の平均厚さとは、第2電解質部P12が、活物質P10の外表面全体に均一な厚さで設けられていると仮定した場合に、複合体P100全体に含まれる活物質P10と第2電解質部P12との質量から算出して求められる第2電解質部P12の厚さのことをいう。特に、活物質P10が粒状をなすものである場合においては、複合体P100全体に含まれる活物質P10と第2電解質部P12との質量から、各活物質P10が平均粒径と同一の直径を有する真球状と仮定し、各活物質P10の外表面全体に均一な厚さの第2電解質部P12が形成されているものとして、比重から算出した場合に求められる第2電解質部P12の厚さのことをいう。
また、活物質P10が粒状をなすものである場合においては、活物質P10の平均粒径をD[μm]、第2電解質部P12の平均厚さをT[μm]としたとき、0.0005≦T/D≦0.2500の関係を満足するのが好ましく、0.0005≦T/D≦0.0700の関係を満足するのがより好ましく、0.0010≦T/D≦0.0200の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、Cレート(充放電速度)により優れた電池を得ることができる。
第2電解質部P12は、活物質P10の表面の少なくとも一部を覆うものであればよく、活物質P10の外表面に対する第2電解質部P12の被覆率、すなわち、活物質P10の外表面全面積に対する第2電解質部P12の被覆部分の面積の割合は、特に限定されないが、30%以上であるのが好ましく、40%以上であるのがより好ましく、50%以上であるのがさらに好ましい。また、被覆率の上限は、100%でも、100%未満でもよい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
[1-4]第3電解質部
本発明の複合体は、前述した構成、すなわち、活物質と、第1電解質部と、第2電解質部とを備えていればよいが、図示の構成では、活物質P10、第1電解質部P11、第2電解質部P12に加えて、第1電解質部P11に接する、Liを含む非晶質の第3電解質部P13をさらに備えている。特に、複合体P100の内部の空間に第3電解質部P13が設けられている。
これにより、複合体P100内部における空隙の占める割合をより少なくすることができ、前述した本発明による効果がより顕著に発揮される。
以下の説明では、第3電解質部P13を構成する非晶質の固体電解質のことを「第3固体電解質」ともいう。
第3電解質部P13は、Liを含む非晶質の電解質、すなわち、第3固体電解質を含むものであればよく、第3固体電解質としては、例えば、LiBO、LiBO-LiSiO、LiBO-LiPO、LiBO-LiSO、LiCO-LiBO、LiO-TiO、La-LiO-TiO、LiNbO、LiSO、LiSiO、LiPO-LiSiO、LiGeO-LiVO、LiSiO-LiVO、LiGeO-ZnGeO、LiSiO-LiMoO、LiSiO-LiZrO、SiO-P-LiO、SiO-P-LiCl、LiO-LiCl-B、LiI、LiI-CaI、LiI-CaO、LiAlCl、LiAlF、LiF-Al、LiBr-Al、LiI-Al、Li2.88PO3.730.14、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiN-LiCl、LiNBr、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-P等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、第3電解質部P13は、Li、B、Oを含むものであるのが好ましい。
これにより、複合体P100のリチウムイオン伝導度をより高いものとすることができる。また、このような第3固体電解質は、一般に、融点が低いものであり、例えば、後述するような方法で、活物質P10、第1電解質部P11および第2電解質部P12を有する成形体の内部の空隙に、第3固体電解質の融液を好適に充填することができる。
第3電解質部P13は、第1電解質部P11に接し、第3固体電解質を含むものであればよく、第3固体電解質以外の成分を含んでいてもよい。
ただし、第3電解質部P13中における第3固体電解質以外の成分の含有率は、5.0質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
複合体P100中における第3電解質部P13の占める割合は、1質量%以上10質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上8質量%以下であるのがより好ましく、1質量%以上6質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、電池容量とCレート(充放電速度)とのバランスが特に優れた電池を得ることができる。
[1-5]その他の構成
複合体P100は、前述した活物質P10、第1電解質部P11、第2電解質部P12、第3電解質部P13以外の構成を有していてもよい。以下、この項目内において、このような構成を「その他の構成」ともいう。
その他の構成としては、例えば、上記組成式(1)、上記組成式(2)以外の組成式で表される結晶質の固体電解質を含む第4電解質部等が挙げられる。
ただし、複合体P100中におけるその他の構成の占める割合は、5.0質量%以下であるのが好ましく、3.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1-6]その他の条件
複合体P100の大きさ、形状は、特に限定されない。
また、図示の構成では、活物質P10と第2電解質部P12との境界、第2電解質部P12と第1電解質部P11との境界、第1電解質部P11と第3電解質部P13との境界は、いずれも、明確であるが、これらの境界部は必ずしも明確でなくてもよく、隣り合う部分、例えば、活物質P10と第2電解質部P12とのうちの一方の構成成分の一部が、他方に移行していてもよい。
また、図示の構成では、第3電解質部P13は、第1電解質部P11のみと接触しているが、第1電解質部P11とともに、第1電解質部P11以外の部位、例えば、活物質P10や第2電解質部P12と接触していてもよい。
また、図示の構成では、第2電解質部P12は、活物質P10および第1電解質部P11のみと接触しているが、活物質P10および第1電解質部P11とともに、これら以外の部位、例えば、第3電解質部P13と接触していてもよい。
また、図示の構成では、第1電解質部P11は、第2電解質部P12および第3電解質部P13のみと接触しているが、第2電解質部P12および第3電解質部P13とともに、これら以外の部位、例えば、活物質P10と接触していてもよい。
[2]複合体の製造方法
次に、本発明の複合体の製造方法について説明する。
本発明の複合体は、例えば、第2固体電解質の前駆体を含む溶液を活物質P10と接触させる第2前駆体接触工程と、第1固体電解質の前駆体を含む溶液を第2前駆体接触工程を経た活物質P10と接触させる第1前駆体接触工程と、第2前駆体接触工程および第1前駆体接触工程を経た活物質P10と第3固体電解質とを接触させ第3電解質部P13を形成する第3電解質部形成工程とを有する方法を用いて好適に製造することができる。
[2-1]第2前駆体接触工程
第2前駆体接触工程では、第2固体電解質の前駆体を含む溶液を、活物質P10と接触させる。
第2固体電解質の前駆体を含む溶液と、活物質P10との接触方法は、特に限定されず、例えば、第2固体電解質の前駆体を含む溶液中に活物質P10を添加する方法、活物質P10に対して第2固体電解質の前駆体を含む溶液を付与する方法等が挙げられる。
第2固体電解質の前駆体を含む溶液中に活物質P10を添加する方法としては、例えば、浸漬法等が挙げられる。
活物質P10に対して第2固体電解質の前駆体を含む溶液を付与する方法としては、例えば、滴下法、スプレー法、塗布法、スピンコート法等が挙げられる。
第2固体電解質の前駆体を含む溶液としては、例えば、リチウム化合物と、ランタン化合物と、ジルコニウム化合物と、金属元素Mを含む金属化合物とが溶解した溶液を用いることができる。
このような溶液は、例えば、リチウム化合物が溶解したリチウム原材料溶液と、ランタン化合物が溶解したランタン原材料溶液と、ジルコニウム化合物が溶解したジルコニウム原材料溶液と、金属元素Mを含む金属化合物が溶解した金属原材料溶液とを混合して調製することができる。この場合、各原材料溶液を混合する順番は、特に限定されない。
上記のように、原材料溶液を用いる場合、これらの原材料溶液を構成する溶媒、分散媒は、共通の組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。
上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるリチウムの含有率が、上記組成式(2)の化学量論組成に対して、等倍以上1.2倍以下となるようにリチウム化合物を用いるのが好ましい。
また、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるランタンの含有率が、上記組成式(2)の化学量論組成に対して、等倍となるようにランタン化合物を用いるのが好ましい。
また、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるジルコニウムの含有率が、上記組成式(2)の化学量論組成に対して、等倍となるようにジルコニウム化合物を用いるのが好ましい。
また、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるMの含有率が、上記組成式(2)の化学量論組成に対して、等倍となるように金属元素Mを含む金属化合物を用いるのが好ましい。
リチウム化合物としては、例えば、リチウム金属塩、リチウムアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。リチウム金属塩としては、例えば、塩化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、(2,4-ペンタンジオナト)リチウム等が挙げられる。また、リチウムアルコキシドとしては、例えば、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムブトキシド、リチウムイソブトキシド、リチウムセカンダリーブトキシド、リチウムターシャリーブトキシド、ジピバロイルメタナトリチウム等が挙げられる。中でも、リチウム化合物としては、硝酸リチウム、硫酸リチウムおよび(2,4-ペンタンジオナト)リチウムよりなる群から選択される1種または2種以上であるのが好ましい。リチウム源としては、水和物を用いてもよい。
また、ランタン源としての金属化合物であるランタン化合物としては、例えば、ランタン金属塩、ランタンアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ランタン金属塩としては、例えば、塩化ランタン、硝酸ランタン、硫酸ランタン、酢酸ランタン、トリス(2,4-ペンタンジオナト)ランタン等が挙げられる。ランタンアルコキシドとしては、例えば、ランタントリメトキシド、ランタントリエトキシド、ランタントリプロポキシド、ランタントリイソプロポキシド、ランタントリブトキシド、ランタントリイソブトキシド、ランタントリセカンダリーブトキシド、ランタントリターシャリーブトキシド、トリス(ジピバロイルメタナト)ランタン等が挙げられる。中でも、ランタン化合物としては、硝酸ランタン、トリス(2,4-ペンタンジオナト)ランタンのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。ランタン源としては、水和物を用いてもよい。
また、ジルコニウム源としての金属化合物であるジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウム金属塩、ジルコニウムアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ジルコニウム金属塩としては、例えば、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム等が挙げられる。また、ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソブトキシド、ジルコニウムテトラセカンダリーブトキシド、ジルコニウムテトラターシャリーブトキシド、テトラキス(ジピバロイルメタナト)ジルコニウム等が挙げられる。中でも、ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトラブトキシドが好ましい。ジルコニウム源としては、水和物を用いてもよい。
また、金属元素Mのタンタル源としての金属化合物であるタンタル化合物としては、例えば、タンタル金属塩、タンタルアルコキシド等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。タンタル金属塩としては、例えば、塩化タンタル、臭化タンタル等が挙げられる。また、タンタルアルコキシドとしては、例えば、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタノルマルプロポキシド、タンタルペンタイソブトキシド、タンタルペンタノルマルブトキシド、タンタルペンタセカンダリーブトキシド、タンタルペンタターシャリーブトキシド等が挙げられる。中でも、タンタル化合物としては、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタノルマルプロポキシド、および、タンタルペンタノルマルブトキシドよりなる群から選択される1種または2種以上であるのが好ましい。タンタル源としては、水和物を用いてもよい。
また、金属元素Mのアンチモン源としての金属化合物であるアンチモン化合物としては、例えば、アンチモン金属塩、アンチモンアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。アンチモン金属塩としては、例えば、臭化アンチモン、塩化アンチモン、フッ化アンチモン等が挙げられる。また、アンチモンアルコキシドとしては、例えば、アンチモントリメトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリイソプロポキシド、アンチモントリノルマルプロポキシド、アンチモントリイソブトキシド、アンチモントリノルマルブトキシド等が挙げられる。中でも、アンチモン化合物としては、アンチモントリイソブトキシド、アンチモントリノルマルブトキシドのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。アンチモン源としては、水和物を用いてもよい。
また、金属元素Mのニオブ源としての金属化合物であるニオブ化合物としては、例えば、ニオブ金属塩、ニオブアルコキシド、ニオブアセチルアセトン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ニオブ金属塩としては、例えば、塩化ニオブ、オキシ塩化ニオブ、蓚酸ニオブ等が挙げられる。また、ニオブアルコキシドとしては、例えば、ニオブペンタエトキシド、ニオブペンタプロポキシド、ニオブペンタノルマルブトキシド、ニオブペンタイソプロポキシド、ニオブペンタセカンダリーブトキシド等が挙げられる。中でも、ニオブ化合物としては、ニオブペンタノルマルブトキシドが好ましい。ニオブ源としては、水和物を用いてもよい。
また、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液は、オキソアニオンを含んでいるのが好ましい。
これにより、その後の熱処理、特に、比較的温和な条件の熱処理で第2固体電解質を好適に形成することができる。また、このように形成される第2固体電解質で構成される第2電解質部P12は、活物質P10や第1固体電解質で構成される第1電解質部P11との密着性に優れたものとなる。その結果、最終的に得られる複合体P100の信頼性をより優れたものとすることができる。
本工程において、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液を、オキソアニオンを含むものとして調製する場合、前述した第2固体電解質形成用の原料としての各種金属化合物として、オキソアニオンを含む金属塩を用いることが好ましいが、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液の調製に、前記各種金属化合物とは異なる成分として、金属元素を含まずオキソアニオンを含むオキソ酸化合物をさらに用いてもよい。
オキソアニオンとしては、例えば、ハロゲンオキソ酸イオン;ホウ酸イオン;炭酸イオン;オルト炭酸イオン;カルボン酸イオン;ケイ酸イオン;亜硝酸イオン;硝酸イオン;亜リン酸イオン;リン酸イオン;ヒ酸イオン;亜硫酸イオン;硫酸イオン;スルホン酸イオン;スルフィン酸イオン等が挙げられる。ハロゲンオキソ酸としては、例えば、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、次亜臭素酸イオン、亜臭素酸イオン、臭素酸イオン、過臭素酸イオン、次亜ヨウ素酸イオン、亜ヨウ素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過ヨウ素酸イオン等が挙げられる。
なお、オキソ酸化合物は、例えば、本工程後であって、後述する熱処理中や前記熱処理中のタイミングで添加してもよい。
第2前駆体接触工程において、第2固体電解質の前駆体を含む溶液と接触させる活物質P10は、例えば、複合体P100を構成する活物質P10と同様の条件を満たすものであってもよいし、異なる条件のものであってもよい。より具体的には、例えば、第2前駆体接触工程において、第2固体電解質の前駆体を含む溶液と接触させる活物質P10は、複合体P100を構成する活物質P10とは、形状、大きさ等の条件が異なるものであってもよい。
前記溶媒、前記分散媒としては、特に限定されず、例えば、水や各種の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、有機酸類、芳香族類、アミド類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上の組み合わせである混合溶媒を用いることができる。アルコール類としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、2-プロペン-1-オール、2-ノルマルブトキシエタノール等が挙げられる。グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。有機酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸、2-エチル酪酸、プロピオン酸等が挙げられる。芳香族類としては、例えば、トルエン、o-キシレン、p-キシレン等が挙げられる。アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。中でも、前記溶媒、前記分散媒としては、2-ノルマルブトキシエタノールおよびエチルアルコールのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。
[2-2]第1加熱処理工程
本実施形態では、後述する第1前駆体接触工程に先立ち、前述した第2前駆体接触工程を経た活物質P10、すなわち、第2固体電解質の前駆体が付着した活物質P10を加熱する。
これにより、例えば、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液中に含まれる溶媒、分散媒を好適に除去することができ、第2固体電解質の前駆体の少なくとも一部を第2固体電解質等の金属酸化物に変換することができる。特に、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液がオキソアニオンを含むものである場合に、本工程において第2固体電解質とは異なる酸化物を好適に形成することができる。以下、当該酸化物のことを「第2前駆酸化物」ともいう。その結果、例えば、活物質P10に付着した第2固体電解質の前駆体や第2固体電解質等が、後の工程で不本意に剥離することが効果的に防止される。また、複合体P100における、第2固体電解質で構成される第2電解質部P12の、活物質P10や第1固体電解質で構成される第1電解質部P11に対する密着性をより優れたものとすることができる。その結果、最終的に得られる複合体P100の信頼性をより優れたものとすることができる。
以下の説明では、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液がオキソアニオンを含むものであり、本工程において第2前駆酸化物が形成される場合について、中心的に説明する。
本工程での加熱は、第2固体電解質の前駆体を含む溶液中に含まれていた液体成分の含有率が十分に低くなるような条件で行うのが好ましい。
より具体的には、本工程で得られる固体状の組成物中に含まれる液体成分の含有率、すなわち、前述した溶媒および分散媒の含有率は、1.0質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下であるのがより好ましい。
本工程での熱処理は、一定の条件で行ってもよいし、異なる条件を組み合わせて行ってもよい。
例えば、前述した溶媒および分散媒の除去を主目的とした熱処理Aと、第2固体電解質の前駆体、すなわち、前述したリチウム化合物、ランタン化合物、ジルコニウム化合物、および、金属元素Mを含む金属化合物の反応を主目的とした熱処理Bとを組み合わせて行ってもよい。
この場合、例えば、熱処理Aにより、第2前駆体接触工程で付与された第2固体電解質の前駆体を含む溶液に対応する部位を、ゲル化した組成物で構成されたものとすることができ、その後の熱処理Bにより、上記のように液体成分をほとんど含まない状態にすることができる。特に、上記の第2固体電解質の前駆体を含む溶液がオキソアニオンを含むものである場合、熱処理Bにより、第2前駆酸化物を効率よく形成することができる。
熱処理Aの条件は、溶媒、分散媒の沸点や蒸気圧等にもよるが、熱処理Aでの加熱温度は、50℃以上250℃以下であるのが好ましく、60℃以上230℃以下であるのがより好ましく、80℃以上200℃以下であるのがさらに好ましい。
また、熱処理Aでの加熱時間は、10分間以上180分間以下であるのが好ましく、20分間以上120分間以下であるのがより好ましく、30分間以上60分間以下であるのがさらに好ましい。
熱処理Aは、いかなる雰囲気で行ってもよく、空気中や酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気中で行ってもよいし、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で行ってもよい。また、熱処理Aは、減圧または真空下、加圧下で行ってもよい。
また、熱処理A中において、雰囲気は、実質的に同一の条件に保持してもよいし、異なる条件に変更してもよい。
熱処理Bの条件は、形成される第2前駆酸化物の組成等にもよるが、熱処理Bでの加熱温度は、400℃以上600℃以下であるのが好ましく、430℃以上600℃以下であるのがより好ましく、450℃以上600℃以下であるのがさらに好ましい。
また、熱処理Bでの加熱時間は、5分間以上180分間以下であるのが好ましく、10分間以上120分間以下であるのがより好ましく、15分間以上120分間以下であるのがさらに好ましい。
熱処理Bは、いかなる雰囲気で行ってもよく、空気中や酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気中で行ってもよいし、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で行ってもよい。また、熱処理Bは、減圧または真空下、加圧下で行ってもよい。特に、熱処理Bは、酸化性雰囲気中で行うのが好ましい。
なお、熱処理Aおよび熱処理Bは、連続的に行ってもよく、例えば、熱処理Aにおいて温度を所定の範囲に保持する時間を設けることなく、一定の昇温速度で昇温させてもよい。
本工程で得られる固体状の組成物が第2前駆酸化物を含むものである場合、当該第2前駆酸化物は、第2固体電解質の結晶構造とは、異なる結晶構造を有しているのが好ましい。本発明において、結晶構造について「異なる」とは、結晶構造の型が同一でないことの他、型が同じでも少なくとも1つの格子定数が異なるもの等をも含む広い概念である。
特に、第2固体電解質が立方晶ガーネット型の結晶構造を有する固体電解質で構成されるものであるのに対し、第2前駆酸化物の結晶構造は、正方晶ガーネット型結晶構造、またはパイロクロア酸化物構造であるのが好ましい。
これにより、本工程より後での加熱処理の条件を緩和した場合、例えば、より低温、より短時間とした場合であっても、活物質P10や第1電解質部P11との密着性に優れ、かつ、イオン伝導性等の特性が特に優れた固体電解質で構成された第2電解質部P12を好適に形成することができる。
なお、第2前駆酸化物の結晶構造としては、上記の正方晶ガーネット型結晶構造、またはパイロクロア酸化物構造以外の結晶構造、例えば、ペロブスカイト構造、岩塩型構造、ダイヤモンド構造、蛍石型構造、スピネル型構造等の立方晶、ラムスデライト型等の斜方晶、コランダム型等の三方晶等であってもよい。
第2前駆酸化物の結晶粒径は、特に限定されないが、10nm以上200nm以下であるのが好ましく、15nm以上180nm以下であるのがより好ましく、20nm以上160nm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、表面エネルギーの増大に伴う融点降下現象である、いわゆる、Gibbs-Thomson効果によって、第2前駆酸化物の溶融温度をさらに低下させることができ、本工程より後での加熱処理の条件をさらに緩和させることができる。また、最終的に得られる複合体P100における、活物質P10と第2電解質部P12との密着性や、第2電解質部P12と第1電解質部P11との密着性をより優れたものとすることができる。
第2前駆酸化物は、実質的に単独の結晶構造で構成されているものであるのが好ましい。
これにより、本工程より後での加熱処理で、立方晶ガーネット型の結晶構造を有する固体電解質を形成する際に経る結晶相転移が実質的に1回になるため、結晶相転移にともなう元素の偏析や熱分解による夾雑結晶の生成が抑制され、第2固体電解質の各種特性がさらに向上する。
なお、対象物について、TG-DTAで昇温レート10℃/分で測定した際に、300℃以上1000℃以下の範囲における発熱ピークが1つのみ観測される場合には、当該対象物は「実質的に単独の結晶構造で構成されている」と判断することができる。
[2-3]第1前駆体接触工程
第1前駆体接触工程では、第1固体電解質の前駆体を含む溶液を、第2前駆体接触工程を経た活物質P10と接触させる。
第1固体電解質の前駆体を含む溶液と、第2前駆体接触工程を経た活物質P10との接触方法は、特に限定されず、例えば、第1固体電解質の前駆体を含む溶液中に第2前駆体接触工程を経た活物質P10を添加する方法、第2前駆体接触工程を経た活物質P10に対して第1固体電解質の前駆体を含む溶液を付与する方法等が挙げられる。
第1固体電解質の前駆体を含む溶液中に第2前駆体接触工程を経た活物質P10を添加する方法としては、例えば、浸漬法等が挙げられる。
第2前駆体接触工程を経た活物質P10に対して第1固体電解質の前駆体を含む溶液を付与する方法としては、例えば、滴下法、スプレー法、塗布法、スピンコート法等が挙げられる。
第1固体電解質の前駆体を含む溶液としては、例えば、リチウム化合物と、ガリウム化合物と、ランタン化合物と、ネオジム化合物と、ジルコニウム化合物とが溶解した溶液を用いることができる。
このような溶液は、例えば、リチウム化合物が溶解したリチウム原材料溶液と、ガリウム化合物が溶解したガリウム化合物原材料溶液と、ランタン化合物が溶解したランタン原材料溶液と、ネオジム化合物が溶解したネオジム原材料溶液と、ジルコニウム化合物が溶解したジルコニウム原材料溶液とを混合して調製することができる。この場合、各原材料溶液を混合する順番は、特に限定されない。
上記のように、原材料溶液を用いる場合、これらの原材料溶液を構成する溶媒、分散媒は、共通の組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。
上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるリチウムの含有率が、上記組成式(1)の化学量論組成に対して、等倍以上1.2倍以下となるようにリチウム化合物を用いるのが好ましい。
また、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるガリウムの含有率が、上記組成式(1)の化学量論組成に対して、等倍となるようにガリウム化合物を用いるのが好ましい。
また、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるランタンの含有率が、上記組成式(1)の化学量論組成に対して、等倍となるようにランタン化合物を用いるのが好ましい。
また、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるネオジムの含有率が、上記組成式(1)の化学量論組成に対して、等倍となるようにネオジム化合物を用いるのが好ましい。
また、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液の調製においては、当該溶液中におけるジルコニウムの含有率が、上記組成式(1)の化学量論組成に対して、等倍となるようにジルコニウム化合物を用いるのが好ましい。
第1固体電解質の前駆体を含む溶液中に含まれる、リチウム源、ランタン源およびジルコニウム源としては、例えば、上記[2-1]で第2固体電解質の前駆体を含む溶液中に含まれる成分として例示したリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物を用いることができ、上記[2-1]で述べたのと同様の条件のものであるのが好ましい。
また、ガリウム源としての金属化合物であるガリウム化合物としては、例えば、ガリウム金属塩、ガリウムアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ガリウム金属塩としては、例えば、臭化ガリウム、塩化ガリウム、ヨウ化ガリウム、硝酸ガリウム等が挙げられる。ガリウムアルコキシドとしては、例えば、ガリウムトリメトキシド、ガリウムトリエトキシド、ガリウムトリノルマルプロポキシド、ガリウムトリイソプロポキシド、ガリウムトリノルマルブトキシド等が挙げられる。中でも、ガリウム化合物としては、硝酸ガリウムが好ましい。ガリウム源としては、水和物を用いてもよい。
また、ネオジム源としての金属化合物であるネオジム化合物としては、例えば、ネオジム金属塩、ネオジムアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。ネオジム金属塩としては、例えば、臭化ネオジム、塩化ネオジム、フッ化ネオジム、シュウ酸ネオジム、酢酸ネオジム、硝酸ネオジム、硫酸ネオジム、トリメタクリルネオジム、ネオジムトリアセチルアセテート、トリ2-エチルヘキサン酸ネオジム等が挙げられる。また、ネオジムアルコキシドとしては、例えば、トリイソプロポキシネオジム、トリメトキシエトキシネオジム等が挙げられる。中でも、ネオジム化合物としては、硝酸ネオジムが好ましい。ネオジム源としては、水和物を用いてもよい。
また、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液は、オキソアニオンを含んでいるのが好ましい。
これにより、その後の熱処理、特に、比較的温和な条件の熱処理で第1固体電解質を好適に形成することができる。また、このように形成される第1固体電解質で構成される第1電解質部P11は、第2固体電解質で構成される第2電解質部P12との密着性に優れたものとなる。その結果、最終的に得られる複合体P100の信頼性をより優れたものとすることができる。
本工程において、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液を、オキソアニオンを含むものとして調製する場合、前述した第1固体電解質形成用の原料としての各種金属化合物として、オキソアニオンを含む金属塩を用いることが好ましいが、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液の調製に、前記各種金属化合物とは異なる成分として、金属元素を含まずオキソアニオンを含むオキソ酸化合物をさらに用いてもよい。
オキソアニオンとしては、例えば、上記[2-1]で例示したもの等が挙げられる。
なお、オキソ酸化合物は、例えば、本工程後であって、後述する熱処理中や前記熱処理中のタイミングで添加してもよい。
第1固体電解質の前駆体を含む溶液を構成する前記溶媒、前記分散媒としては、特に限定されず、例えば、上記[2-1]で例示したもの等が挙げられる。中でも、前記溶媒、前記分散媒としては、2-ノルマルブトキシエタノールおよびエチルアルコールのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。
[2-4]第2加熱処理工程
本実施形態では、後述する第3電解質部形成工程に先立ち、前述した第1前駆体接触工程を経た活物質P10、すなわち、第2前駆酸化物および第1固体電解質の前駆体が付着した活物質P10を加熱する。
これにより、例えば、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液中に含まれる溶媒、分散媒を好適に除去することができ、第1固体電解質の前駆体の少なくとも一部を第1固体電解質等の金属酸化物に変換することができる。特に、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液がオキソアニオンを含むものである場合に、本工程において第1固体電解質とは異なる酸化物を好適に形成することができる。以下、当該酸化物のことを「第1前駆酸化物」ともいう。その結果、例えば、活物質P10上の第2前駆酸化物や第2固体電解質に付着した第1固体電解質の前駆体や第1固体電解質等が、後の工程で不本意に剥離することが効果的に防止される。また、複合体P100における、第1固体電解質で構成される第1電解質部P11の、第2電解質部P12や第3電解質部P13に対する密着性をより優れたものとすることができる。その結果、最終的に得られる複合体P100の信頼性をより優れたものとすることができる。
以下の説明では、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液がオキソアニオンを含むものであり、本工程において第1前駆酸化物が形成される場合について、中心的に説明する。
本工程での加熱は、第1固体電解質の前駆体を含む溶液中に含まれていた液体成分の含有率が十分に低くなるような条件で行うのが好ましい。
より具体的には、本工程で得られる固体状の組成物中に含まれる液体成分の含有率、すなわち、前述した溶媒および分散媒の含有率は、1.0質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下であるのがより好ましい。
本工程での熱処理は、一定の条件で行ってもよいし、異なる条件を組み合わせて行ってもよい。
例えば、前述した溶媒および分散媒の除去を主目的とした熱処理Aと、第1固体電解質の前駆体、すなわち、前述したリチウム化合物、ガリウム化合物、ランタン化合物、ネオジム化合物およびジルコニウム化合物の反応を主目的とした熱処理Bとを組み合わせて行ってもよい。
この場合、例えば、熱処理Aにより、第1前駆体接触工程で付与された第1固体電解質の前駆体を含む溶液に対応する部位を、ゲル化した組成物で構成されたものとすることができ、その後の熱処理Bにより、上記のように液体成分をほとんど含まない状態にすることができる。特に、上記の第1固体電解質の前駆体を含む溶液がオキソアニオンを含むものである場合、熱処理Bにより、第1前駆酸化物を効率よく形成することができる。
熱処理Aの条件は、溶媒、分散媒の沸点や蒸気圧等にもよるが、熱処理Aでの加熱温度は、50℃以上250℃以下であるのが好ましく、60℃以上230℃以下であるのがより好ましく、80℃以上200℃以下であるのがさらに好ましい。
また、熱処理Aでの加熱時間は、10分間以上180分間以下であるのが好ましく、20分間以上120分間以下であるのがより好ましく、30分間以上60分間以下であるのがさらに好ましい。
熱処理Aは、いかなる雰囲気で行ってもよく、空気中や酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気中で行ってもよいし、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で行ってもよい。また、熱処理Aは、減圧または真空下、加圧下で行ってもよい。
また、熱処理A中において、雰囲気は、実質的に同一の条件に保持してもよいし、異なる条件に変更してもよい。
熱処理Bの条件は、形成される第1前駆酸化物の組成等にもよるが、熱処理Bでの加熱温度は、400℃以上600℃以下であるのが好ましく、430℃以上600℃以下であるのがより好ましく、450℃以上600℃以下であるのがさらに好ましい。
また、熱処理Bでの加熱時間は、5分間以上180分間以下であるのが好ましく、10分間以上120分間以下であるのがより好ましく、15分間以上120分間以下であるのがさらに好ましい。
熱処理Bは、いかなる雰囲気で行ってもよく、空気中や酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気中で行ってもよいし、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で行ってもよい。また、熱処理Bは、減圧または真空下、加圧下で行ってもよい。特に、熱処理Bは、酸化性雰囲気中で行うのが好ましい。
なお、熱処理Aおよび熱処理Bは、連続的に行ってもよく、例えば、熱処理Aにおいて温度を所定の範囲に保持する時間を設けることなく、一定の昇温速度で昇温させてもよい。
本工程で得られる固体状の組成物が第1前駆酸化物を含むものである場合、当該第1前駆酸化物は、第1固体電解質の結晶構造とは、異なる結晶構造を有しているのが好ましい。本発明において、結晶構造について「異なる」とは、結晶構造の型が同一でないことの他、型が同じでも少なくとも1つの格子定数が異なるもの等をも含む広い概念である。
特に、第1固体電解質が立方晶ガーネット型の結晶構造を有する固体電解質で構成されるものであるのに対し、第1前駆酸化物の結晶構造は、正方晶ガーネット型結晶構造、またはパイロクロア酸化物構造であるのが好ましい。
これにより、本工程より後での加熱処理の条件を緩和した場合、例えば、より低温、より短時間とした場合であっても、第2電解質部P12や第3電解質部P13との密着性に優れ、かつ、イオン伝導性等の特性が特に優れた固体電解質で構成された第1電解質部P11を好適に形成することができる。
なお、第1前駆酸化物の結晶構造としては、上記の正方晶ガーネット型結晶構造、またはパイロクロア酸化物構造以外の結晶構造、例えば、ペロブスカイト構造、岩塩型構造、ダイヤモンド構造、蛍石型構造、スピネル型構造等の立方晶、ラムスデライト型等の斜方晶、コランダム型等の三方晶等であってもよい。
第1前駆酸化物の結晶粒径は、特に限定されないが、10nm以上200nm以下であるのが好ましく、15nm以上180nm以下であるのがより好ましく、20nm以上160nm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、表面エネルギーの増大に伴う融点降下現象である、いわゆる、Gibbs-Thomson効果によって、第1前駆酸化物の溶融温度をさらに低下させることができ、本工程より後での加熱処理の条件をさらに緩和させることができる。また、最終的に得られる複合体P100における、第2電解質部P12と第1電解質部P11との密着性や、第1電解質部P11と第3電解質部P13との密着性をより優れたものとすることができる。
第1前駆酸化物は、実質的に単独の結晶構造で構成されているものであるのが好ましい。
これにより、本工程より後での加熱処理で、立方晶ガーネット型の結晶構造を有する固体電解質を形成する際に経る結晶相転移が実質的に1回になるため、結晶相転移にともなう元素の偏析や熱分解による夾雑結晶の生成が抑制され、第1固体電解質の各種特性がさらに向上する。
[2-5]第3加熱処理工程
本実施形態では、後述する第3電解質部形成工程に先立ち、前述した第1前駆体接触工程を経た活物質P10を加熱する。特に、第1前駆体接触工程および第2加熱処理工程を経た活物質P10を加熱する。
これにより、第2前駆酸化物が第2固体電解質となり第2電解質部P12が形成されるとともに、第1前駆酸化物が第1固体電解質となり第1電解質部P11が形成される。
また、複合体P100の製造にオキソアニオンを含む原料を用いた場合であっても、通常、本工程で、オキソアニオンを十分に除去することができ、最終的に得られる複合体P100中に含まれるオキソアニオンの含有率を十分に低いものとすることができる。その結果、複合体P100の信頼性等をより優れたものとすることができる。
本工程は、通常、前述した第1加熱処理工程、第2加熱処理工程での熱処理よりも高い温度で熱処理を行う。
本工程での加熱温度は、例えば、700℃以上1000℃以下であるのが好ましく、730℃以上980℃以下であるのがより好ましく、750℃以上900℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、比較的低温でかつ比較的短時間での熱処理により、第2固体電解質、第1固体電解質を効率よく形成することができ、また、活物質P10と第2電解質部P12との密着性、第2電解質部P12と第1電解質部P11との密着性をより優れたものとすることができ、複合体P100のリチウムイオン伝導度をより高いものとすることができる。
第3加熱処理工程中において、加熱温度は変更してもよい。例えば、第3加熱処理工程は、比較的低温に保持して熱処理を行う第1の段階と、第1の段階後に昇温して比較的高温での熱処理を行う第2の段階とを有するものであってもよい。このような場合、第3加熱処理工程における最高温度が前述した範囲に含まれているのが好ましい。
第3加熱処理工程における加熱時間は、特に限定されないが、2時間以上15時間以下であるのが好ましく、4時間以上12時間以下であるのがより好ましく、4時間以上10時間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
第3加熱処理工程は、いかなる雰囲気で行ってもよく、空気中や酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気中で行ってもよいし、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で行ってもよい。また、第3加熱処理工程は、減圧または真空下、加圧下で行ってもよい。
また、第3加熱処理工程中において、雰囲気は、実質的に同一の条件に保持してもよいし、異なる条件に変更してもよい。
[2-6]第3電解質部形成工程
第3電解質部形成工程では、第2前駆体接触工程および第1前駆体接触工程を経た活物質P10と第3固体電解質とを接触させ第3電解質部P13を形成する。
これにより、複合体P100が得られる。
第3電解質部P13の形成方法としては、例えば、第3固体電解質の融液を第2前駆体接触工程および第1前駆体接触工程を経た活物質P10に供給する方法、第3固体電解質の融液を第2前駆体接触工程および第1前駆体接触工程を経た活物質P10に固体状の第3固体電解質を接触させた状態で、当該第3固体電解質を溶融する方法等が挙げられる。
本工程で第3電解質部P13を形成する際、通常、第3固体電解質は、その融点以上の温度に加熱される。
本工程での加熱温度は、第3固体電解質の組成などにより異なるが、第3固体電解質の融点をTm[℃]としたとき、(Tm+5)℃以上(Tm+150)℃以下であるのが好ましく、(Tm+10)℃以上(Tm+100)℃以下であるのがより好ましく、(Tm+15)℃以上(Tm+80)℃以下であるのがさらに好ましい。
上記のようにして得られる複合体P100が、オキソアニオンを含む原料を用いて製造したものであっても、通常、第3加熱処理工程で、オキソアニオンは十分に除去されるため、最終的に得られる複合体P100中に含まれるオキソアニオンの含有率は、十分に低いものである。より具体的には、複合体P100中におけるオキソアニオンの含有率は、通常、100ppm以下であり、特に、50ppm以下であるのが好ましく、10ppm以下であるのがより好ましい。
[3]電池
次に、本発明の電池について説明する。
本発明の電池は、前述した本発明の複合体と、前記複合体の一方の面側に設けられた電極と、前記複合体の他方の面側に設けられた集電体と、を備える。
これにより、固体電解質と活物質との密着性や、固体電解質同士の密着性に十分に優れ、粒界抵抗の上昇が抑制され、リチウムイオン伝導度の低下が抑制された複合体を備え、放電容量が低下しにくく、特に、充放電を繰り返した場合においても放電容量が好適に維持される電池を提供することができる。
以下、本発明の電池としてのリチウムイオン二次電池の具体的な構成について説明する。
図2は、リチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す概略断面図である。特に、図2では、リチウムイオン二次電池の一例としてのコイン型電池を示している。
特に、図2に示すリチウムイオン電池100は、前述した複合体P100と、複合体P100の一方の面に接触して設けられた前記電極としての負極30と、複合体P100の負極30と接触する面とは反対の面に接触して設けられた集電体41とを有している。さらに、図2に示すリチウムイオン電池100は、負極30の複合体P100と接触する面とは反対の面に接触して設けられた集電体42を有している。すなわち、本実施形態のリチウムイオン電池100は、集電体41、複合体P100、負極30、集電体42が、この順に積層された構成を有している。
リチウムイオン電池100の形状は、特に限定されず、例えば、多角形の盤状等であってもよいが、図示の構成では、円盤状である。リチウムイオン電池100の大きさは、特に限定されないが、例えば、リチウムイオン電池100の直径は、例えば、10mm以上20mm以下であり、リチウムイオン電池100の厚さは、例えば、0.1mm以上1.0mm以下である。
リチウムイオン電池100が、このように、小型、薄型であると、充放電可能であって全固体であることと相まって、スマートフォン等の携帯情報端末の電源として好適に用いることができる。なお、後述するように、リチウムイオン電池100は、携帯情報端末の電源以外の用途のものであってもよい。
[3-1]複合体
リチウムイオン電池100を構成する複合体P100は、前述したように、活物質P10と、第1電解質部P11と、第2電解質部P12とを備え、第1電解質部P11の少なくとも一部が第2電解質部P12を介して活物質P10に接合されているものであるが、特に、活物質P10として、正極活物質を含むものである。
複合体P100は、一方の面側に活物質P10が偏在していてもよい。この場合、複合体P100は、活物質P10が偏在している側とは反対側の面で負極30と接触しているのが好ましい。複合体P100の一方の面側に活物質P10が偏在している場合、他方の面側には、第1電解質部P11や第3電解質部P13が偏在していてもよい。
リチウムイオン電池100を構成する複合体P100の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上500μm以下であるのが好ましく、0.3μm以上100μm以下であるのがより好ましい。
[3-2]負極
負極30は、複合体P100を構成する正極活物質よりも低い電位において電気化学的なリチウムイオンの吸蔵・放出を繰り返すいわゆる負極活物質で構成されるものであればいかなるものであってもよい。
負極30は、負極活物質を含む材料で構成されている。
負極活物質としては、例えば、Nb、V、TiO、In、ZnO、SnO、NiO、ITO、AZO、GZO、ATO、FTO、LiTi12、LiTi等のリチウムの複酸化物等が挙げられる。また、例えば、Li、Al、Si、Si-Mn、Si-Co、Si-Ni、Sn、Zn、Sb、Bi、In、Au等の金属および合金、炭素材料、LiC24、LiC等のような炭素材料の層間にリチウムイオンが挿入された物質等が挙げられる。
特に、負極30は、金属Liで構成されているのが好ましい。
これにより、リチウムイオン電池に広く利用されている炭素負極に比べ、重量当たりで約10倍、体積当たりでも数倍の電気を蓄えられるという効果が得られる。
また、負極活物質は、例えば、固体電解質との界面抵抗の低減や電子伝導性の向上等を目的として、表面に被覆層が形成されていてもよい。前記被覆層の厚さは、特に限定されないが、3nm以上1μm以下であるのが好ましい。
負極活物質の平均粒径は、特に限定されないが、0.1μm以上150μm以下であるのが好ましく、0.3μm以上60μm以下であるのがより好ましい。
これにより、活物質の理論容量に近い実容量密度と高い充放電レートとを両立しやすくなる。
負極30の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上500μm以下であるのが好ましく、0.3μm以上100μm以下であるのがより好ましい。
負極30の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、PLD法、ALD法、エアロゾルデポジション法等の気相堆積法、ゾルゲル法やMOD法といった溶液を用いた化学堆積法等が挙げられる。また、例えば、負極活物質の微粒子を適当なバインダーとともにスラリー化して、スキージーやスクリーン印刷を行って塗膜を形成し、塗膜を乾燥および焼成して複合体P100の表面に焼き付けてもよい。
[3-3]集電体
集電体41,42は、正極としての複合体P100または負極30に対する電子の授受を担うよう設けられた導電体である。集電体41,42としては、通常、十分に電気抵抗が小さく、また充放電によって電気伝導特性やその機械構造が実質的に変化しない材料で構成されるものが用いられる。
集電体41,42の構成材料としては、例えば、Cu、Mg、Ti、Fe、Co、Ni、Zn、Al、Ge、In、Au、Pt、AgおよびPdよりなる群から選択される1種の金属や、該群から選択される2種以上の金属を含む合金等が挙げられる。
特に、集電体41,42の構成材料としては、Cuが好ましい。
集電体41,42は、通常、それぞれ、複合体P100、負極30との接触抵抗が小さくなるように設けられている。集電体41,42の形状としては、例えば、板状、メッシュ状等が挙げられる。
集電体41,42の厚さは、特に限定されないが、7μm以上85μm以下であるのが好ましく、10μm以上60μm以下であるのがより好ましい。
なお、リチウムイオン電池100は、必ずしも一対の集電体41,42を備えていなくてもよく、少なくとも、複合体P100の一方の面、すなわち、前記電極である負極30が設けられた面とは反対側に設けられた集電体41を備えていればよく,集電体42を備えていなくてもよい。
例えば、複数のリチウムイオン電池100をそれぞれ電気的に直列に接続されるように積層して用いる場合、リチウムイオン電池100は一対の集電体41,42のうち集電体41だけを備える構成としてもよい。
[4]電子機器
次に、本発明の電子機器について説明する。
本発明の電子機器は、前述した本発明の電池を備えるものである。
これにより、放電容量が低下しにくく、特に、充放電を繰り返した場合においても放電容量が好適に維持される電池を備えた電子機器を提供することができる。
電子機器としては、例えば、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、音楽プレイヤー、タブレット端末、時計、スマートウォッチ、インクジェットプリンター等の各種プリンター、テレビ、プロジェクター、ヘッドアップディスプレイ、ワイヤレスヘッドホン、ワイヤレスイヤホン、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル機器、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ドライブレコーダー、ページャー、電子手帳、電子辞書、電子翻訳機、電卓、電子ゲーム機器、玩具、ワードプロセッサー、ワークステーション、ロボット、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器、魚群探知機、各種測定機器、移動体端末基地局用機器、車両、鉄道車輌、航空機、ヘリコプター、船舶等の各種計器類、フライトシミュレーター、ネットワークサーバー等が挙げられる。また、リチウムイオン電池100は、例えば、自動車や船舶等の移動体に適用してもよい。より具体的には、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の蓄電池として、好適に適用することができる。また、例えば、家庭用電源、工業用電源、太陽光発電の蓄電池等にも適用することができる。
以下、本発明の電子機器の具体例として、ウェアラブル機器を例に挙げて説明する。
図3は、電子機器としてのウェアラブル機器の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、電子機器としてのウェアラブル機器300は、人体の例えば手首WRに腕時計のように装着され、人体に係る情報を入手可能な情報機器であって、バンド301と、センサー302と、表示部303と、処理部304と、リチウムイオン電池100とを備えている。
バンド301は、装着時に手首WRに密着するように、可撓性の例えばゴム等の樹脂が用いられた帯状であって、帯の端部に結合位置を調整可能な結合部を有している。
センサー302は、例えば光学式センサーであって、装着時に手首WRに触れるよう、バンド301の内面側、すなわち、手首WR側に配置されている。
表示部303は、例えば受光型の液晶表示装置であって、表示部303に表示された情報を装着者が読み取れるように、バンド301の外面側、すなわち、センサー302が取り付けられた内面とは反対側に配置されている。
処理部304は、例えば、集積回路であって、バンド301に内蔵され、センサー302や表示部303に電気的に接続されている。処理部304は、センサー302からの出力に基づいて、脈拍や血糖値等を計測するための演算処理を行う。また、計測結果等を表示するように表示部303を制御する。
リチウムイオン電池100は、センサー302、表示部303、処理部304等へ電力を供給する電力供給源として、バンド301に対して脱着可能な状態で内蔵されている。
本実施形態のウェアラブル機器300によれば、センサー302によって、手首WRから装着者の脈拍や血糖値に係る情報等を電気的に検出し、処理部304での演算処理等を経て、表示部303に脈拍や血糖値等を表示することができる。表示部303には計測結果だけでなく、例えば計測結果から予測される人体の状況を示す情報や時刻等も表示することができる。
また、リチウムイオン電池100として小型でありながら優れた充放電特性を有するリチウムイオン電池100が用いられているため、軽量かつ薄型であって長期の繰り返しの使用にも耐え得るウェアラブル機器300を提供することができる。また、リチウムイオン電池100は、固体型の二次電池であるため、充電によって繰り返し使用が可能であるとともに、電解液等が漏れる心配がないので長期にわたって安心して使用可能なウェアラブル機器300を提供できる。
本実施形態では、腕時計型のウェアラブル機器300を例示したが、ウェアラブル機器300は、例えば、足首、頭、耳、腰等に装着されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、複合体が、活物質、第1電解質部および第2電解質部に加えて、第3電解質部を有する場合について中心的に説明したが、本発明の複合体は、第3電解質部を有していなくてもよい。
また、本発明の複合体は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、前述した方法で製造されたものに限定されない。
より具体的には、前述した実施形態では、第1加熱処理工程、第2加熱処理工程および第3加熱処理工程の3回の加熱処理工程を行うものとして説明したが、加熱処理工程の回数はこれに限定されず、加熱処理工程の回数は少なくしてもよい。また、加熱処理工程を行うタイミングも前述した実施形態で述べたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、第3電解質部の形成に、第3固体電解質の融液を用いる場合について説明したが、第3電解質部は、第3固体電解質の前駆体を用いて形成してもよい。
また、本発明の複合体は、上述したような工程に加え、さらに他の工程を有する方法を用いて製造されたものであってもよい。
また、本発明の電池は、前述した実施形態のものに限定されない。
例えば、前述した実施形態の電池は、複合体が正極活物質を含むものであり、前記電極として負極を備えるものであったが、本発明の電池は、複合体が負極活物質を含むものであり、前記電極として正極を備えるものであってもよい。さらに、本発明の電池は、二つの複合体からなっており、一方の複合体が正極活物質を含むものであり、もう一方の複合体が負極活物質を含むものであってもよい。
また、前述した実施形態では、コイン型の電池について代表的に説明したが、本発明の電池は、コイン型以外の形状を有するものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[5]複合体の製造
[5-1]固体電解質の製造に用いる金属化合物の溶液の調製
まず、固体電解質の製造、特に第1固体電解質および第2固体電解質の製造に用いる金属化合物の溶液を、以下のように調製した。
[5-1-1]硝酸リチウムの2-ノルマルブトキシエタノール溶液の調製
磁石式撹拌子を入れた30gのパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製の試薬瓶へ、関東化学社製の3N5の硝酸リチウム1.3789gと、関東化学社製の鹿特級 2-ノルマルブトキシエタノール(エチレングリコールモノブチルエーテル)18.6211gとを秤量した。次いで、試薬瓶をマグネチックスターラー機能付きホットプレート上に載せ、170℃にて1時間撹拌しながら、硝酸リチウムを2-ノルマルブトキシエタノールに完全に溶解し、室温まで徐冷して、1mol/kg濃度の硝酸リチウムの2-ノルマルブトキシエタノール溶液を得た。
[5-1-2]硝酸ランタンの2-ノルマルブトキシエタノール溶液の調製
磁石式撹拌子を入れた30gのパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製の試薬瓶へ、関東化学社製の4N 硝酸ランタン・六水和物8.6608gと、関東化学社製の鹿特級 2-ノルマルブトキシエタノール11.3392gとを秤量した。次いで、試薬瓶をマグネチックスターラー機能付きホットプレート上に載せ、140℃にて30分間撹拌しながら、硝酸ランタン・六水和物を2-ノルマルブトキシエタノールに完全に溶解し、室温まで徐冷して、1mol/kg濃度の硝酸ランタンの2-ノルマルブトキシエタノール溶液を得た。
[5-1-3]ジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2-ノルマルブトキシエタノール溶液の調製
磁石式撹拌子を入れた20gのパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製の試薬瓶へ、高純度化学研究所製のジルコニウムテトラノルマルブトキシド3.8368gと、関東化学社製の鹿特級 2-ノルマルブトキシエタノール6.1632gとを秤量した。次いで、試薬瓶をマグネチックスターラー機能付きホットプレート上に載せ、室温にて30分間撹拌しながら、ジルコニウムテトラノルマルブトキシドを2-ノルマルブトキシエタノールに完全に溶解して、1mol/kg濃度のジルコニウムテトラノルマルブトキシドの2-ノルマルブトキシエタノール溶液を得た。
[5-1-4]硝酸ガリウムのエチルアルコール溶液の調製
磁石式撹拌子を入れた20gのパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製試薬瓶へ、高純度化学研究所社製の硝酸ガリウム・n水和物(n=5.5)3.5470gと、予め脱水処理を施したエチルアルコール6.4530gとを秤量した。次いで、試薬瓶をマグネチックスターラー機能付きホットプレートに載せ、90℃にて1時間撹拌しながら、硝酸ガリウム・n水和物(n=5.5)をエチルアルコールに完全に溶解し、室温まで徐冷して、1mol/kg濃度の硝酸ガリウムのエチルアルコール溶液を得た。なお、用いた硝酸ガリウム・n水和物の水和数nは、燃焼実験(示差熱分析)による質量減少の結果から、5.5であった。
[5-1-5]硝酸ネオジムの2-ノルマルブトキシエタノール溶液の調製
磁石式撹拌子を入れた20gのパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製試薬瓶へ、高純度化学研究所社製の硝酸ネオジム・n水和物(n=5)4.2034gと、予め脱水処理を施した2-ノルマルブトキシエタノール5.7966gとを秤量した。次いで、試薬瓶をマグネチックスターラー機能付きホットプレートに載せ、140℃にて30分間撹拌しながら、硝酸ネオジム・n水和物(n=5)を2-ノルマルブトキシエタノールに完全に溶解し、室温まで徐冷して、1mol/kg濃度の硝酸ネオジムの2-ノルマルブトキシエタノール溶液を得た。なお、用いた硝酸ネオジム・n水和物の水和数nは、燃焼実験(示差熱分析)による質量減少の結果から、5であった。
[5-1-6]ニオブペンタノルマルブトキシドの2-ノルマルブトキシエタノール溶液の調製
磁石式撹拌子を入れた20gのパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製の試薬瓶へ、高純度化学研究所社製のニオブペンタノルマルブトキシド4.5848gと、関東化学社製の鹿特級 2-ノルマルブトキシエタノール5.4152gとを秤量した。次いで、試薬瓶をマグネチックスターラー機能付きホットプレート上に載せ、室温にて30分間撹拌しながら、ニオブペンタノルマルブトキシドを2-ノルマルブトキシエタノールに完全に溶解して、1mol/kg濃度のニオブペンタノルマルブトキシドの2-ノルマルブトキシエタノール溶液を得た。
[5-1-7]タンタルペンタエトキシドの2-ノルマルブトキシエタノール溶液の調製
磁石式撹拌子を入れた20gのパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製の試薬瓶へ、高純度化学研究所製のタンタルペンタエトキシド5.4640gと、関東化学社製の鹿特級 2-ノルマルブトキシエタノール4.5360gとを秤量した。次いで、試薬瓶をマグネチックスターラー機能付きホットプレート上に載せ、室温にて30分間撹拌しながら、タンタルペンタエトキシドを2-ノルマルブトキシエタノールに完全に溶解して、1mol/kg濃度のタンタルペンタエトキシドの2-ノルマルブトキシエタノール溶液を得た。
[5-1-8]アンチモントリノルマルブトキシドの2-ノルマルブトキシエタノール溶液の調製
磁石式撹拌子を入れた20gのパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製の試薬瓶へ、和光純薬工業社製のアンチモントリノルマルブトキシド3.4110gと、関東化学社製の鹿特級 2-ノルマルブトキシエタノール6.5890gとを秤量した。次いで、試薬瓶をマグネチックスターラー機能付きホットプレート上に載せ、室温にて30分間撹拌しながら、アンチモントリノルマルブトキシドを2-ノルマルブトキシエタノールに完全に溶解して、1mol/kg濃度のアンチモントリノルマルブトキシドの2-ノルマルブトキシエタノール溶液を得た。
[5-2]複合体の製造
(実施例A1)
まず、上記[5-1]で調製した溶液を用いて、第2固体電解質形成用の組成物、および、第1固体電解質形成用の組成物を調製した。
第2固体電解質形成用の組成物は、上記[5-1-1]、[5-1-2]、[5-1-3]、[5-1-7]および[5-1-8]で調製した各溶液、ならびに、ノニオン性界面活性剤としてのTriton(登録商標)X-100(MP Biomedicals,Inc.製)を所定の割合で混合することにより調製した。
第1固体電解質形成用の組成物は、上記[5-1-1]、[5-1-2]、[5-1-3]、[5-1-4]および[5-1-5]で調製した各溶液、ならびに、ノニオン性界面活性剤としてのTriton(登録商標)X-100(MP Biomedicals,Inc.製)を所定の割合で混合することにより調製した。
ホットプレート上にシリコン製基板を介して、正極活物質であるLiCoOのペレットを載置した。LiCoOのペレットとしては、10mm×10mm×0.1mmの直方体形状のものを用いた。
マイクロピペットを用いて、上記の第2固体電解質形成用の組成物:15μLを、LiCoOのペレットの上面から滴下した。これにより、第2固体電解質形成用の組成物は、LiCoOのペレットに対して、毛細管現象によって内部まで浸透するとともに、全体を包含するように濡れ広がった。
次いで、ホットプレートを90℃まで昇温させて15分間保持し、上記の第2固体電解質形成用の組成物の溶媒を揮発させた。
その後、ホットプレートを360℃まで昇温させて10分間保持し、有機成分の燃焼、分解を行った。このような加熱処理により、パイロクロア酸化物の結晶構造の第2前駆酸化物が形成された。
その後、この第2前駆酸化物が設けられたLiCoOのペレットの上面から、マイクロピペットを用いて、上記の第1固体電解質形成用の組成物:20μLを滴下した。これにより、第1固体電解質形成用の組成物は、第2前駆酸化物が設けられたLiCoOのペレットに対して、毛細管現象によって内部まで浸透するとともに、全体を包含するように濡れ広がった。
次いで、ホットプレートを90℃まで昇温させて15分間保持し、上記の第1固体電解質形成用の組成物の溶媒を揮発させた。
その後、ホットプレートを360℃まで昇温させて10分間保持し、有機成分の燃焼、分解を行った。このような加熱処理により、パイロクロア酸化物の結晶構造の第1前駆酸化物が形成された。前記の第1固体電解質形成用の組成物の滴下、加熱による溶媒揮発、および有機成分の燃焼、分解を計20回行った。
次に、900℃×8時間の加熱処理である焼成処理を施した。これにより、第2前駆酸化物が第2固体電解質となり、第1前駆酸化物が第1固体電解質となった。第2固体電解質は、Li6.3LaZr1.3Sb0.5Ta0.212の組成を有し、立方晶ガーネット型の結晶構造を有するものであり、第1固体電解質は、Li5.5Ga0.5La2.99Nd0.01Zr12の組成を有し、立方晶ガーネット型の結晶構造を有するものであった。
次に、上記のようにして、第2固体電解質および第1固体電解質が形成されたLiCoOのペレットに対し、非晶質の第3固体電解質であるLi2.20.80.2の融液を含浸させ、その後室温まで冷却することにより、複合体を得た。第3固体電解質であるLi2.20.80.2の融点は685℃であり、含浸時における第3固体電解質の融液の温度は725℃とした。
(実施例A2~A5)
上記[5-1]で調製した溶液の種類、使用量を調整することにより、第2固体電解質形成用の組成物の組成、および、第1固体電解質形成用の組成物の組成を調整した以外は、前記実施例A1と同様にして複合体を製造した。
(実施例A6)
900℃×8時間の焼成処理の後、非晶質の第3固体電解質を付与しなかった以外は、前記実施例A3と同様にして複合体を製造した。すなわち、本実施例の複合体は、活物質、第1電解質部および第2電解質部を有し、第3電解質部を有さないものである。
(実施例A7)
まず、上記[5-1]で調製した溶液を用いて、第2固体電解質形成用の組成物、および、第1固体電解質形成用の組成物を調製した。
第2固体電解質形成用の組成物は、上記[5-1-1]、[5-1-2]、[5-1-3]、[5-1-7]および[5-1-8]で調製した各溶液、ならびに、ノニオン性界面活性剤としてのTriton(登録商標)X-100(MP Biomedicals,Inc.製)を所定の割合で混合することにより調製した。
第1固体電解質形成用の組成物は、上記[5-1-1]、[5-1-2]、[5-1-3]、[5-1-4]および[5-1-5]で調製した各溶液、ならびに、ノニオン性界面活性剤としてのTriton(登録商標)X-100(MP Biomedicals,Inc.製)を所定の割合で混合することにより調製した。
上記の第2固体電解質形成用の組成物をパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製の試薬瓶に入れ、ここに、正極活物質であるLiCoOの粉末を投入した。LiCoOの粉末の平均粒径は、5.5μmであった。
この試薬瓶を、水を入れた超音波洗浄機に浸漬して超音波を印加することにより、LiCoOの粉末を分散させた。
その後、遠心分離装置を用いて過剰な第2固体電解質形成用の組成物を取り除き、第2固体電解質形成用の組成物が表面に付着したLiCoOの粉末を内径50mm、深さ20mmのチタン製シャーレに移し、ホットプレート上で加熱した。このとき、90℃で30分間加熱して第2固体電解質形成用の組成物に含まれる溶媒を揮発させてから、360℃で30分間加熱して有機成分を燃焼、分解した。このような加熱処理により、パイロクロア酸化物の結晶構造の第2前駆酸化物が形成された。
その後、上記のようにして第2前駆酸化物で被覆されたLiCoOの粉末を、上記の第1固体電解質形成用の組成物を入れたパイレックス(Pyrex:CORNING社商標。パイレックス、Pyrexは登録商標。)製の試薬瓶に投入した。
この試薬瓶を、水を入れた超音波洗浄機に浸漬して超音波を印加することにより、第2前駆酸化物で被覆されたLiCoOの粉末を分散させた。
その後、遠心分離装置を用いて過剰な第1固体電解質形成用の組成物を取り除き、第1固体電解質形成用の組成物が表面に付着した第2前駆酸化物で被覆されたLiCoOの粉末を内径50mm、深さ20mmのチタン製シャーレに移し、ホットプレート上で加熱した。このとき、90℃で30分間加熱して第1固体電解質形成用の組成物に含まれる溶媒を揮発させてから、360℃で30分間加熱して有機成分を燃焼、分解した。このような加熱処理により、パイロクロア酸化物の結晶構造の第1前駆酸化物が形成された。
次に、内径10mmの排気ポート付き成形型を用いて、第2前駆酸化物および第1前駆酸化物で被覆されたLiCoOの粉末を、624MPaの圧力にて、2分間加圧し、直径10mm、実効径8mm、厚さ150μmの円盤状成形物を得た。
このようにして得られた円盤状成形物に、900℃×8時間の加熱処理である焼成処理を施すことにより、第2前駆酸化物が第2固体電解質となり、第1前駆酸化物が第1固体電解質となった。第2固体電解質は、Li6.3LaZr1.3Sb0.5Ta0.212の組成を有し、立方晶ガーネット型の結晶構造を有するものであり、第1固体電解質は、Li5.5Ga0.5La2.99Nd0.01Zr12の組成を有し、立方晶ガーネット型の結晶構造を有するものであった。
次に、上記のようにして、第2固体電解質および第1固体電解質が形成された円盤状成形物に対し、非晶質の第3固体電解質であるLi2.20.80.2の融液を含浸させ、その後室温まで冷却することにより、複合体を得た。第3固体電解質であるLi2.20.80.2の融点は685℃であり、含浸時における第3固体電解質の融液の温度は725℃とした。
(実施例A8~A11)
上記[5-1]で調製した溶液の種類、使用量を調整することにより、第2固体電解質形成用の組成物の組成、および、第1固体電解質形成用の組成物の組成を調整した以外は、前記実施例A7と同様にして複合体を製造した。
(実施例A12)
900℃×8時間の焼成処理の後、非晶質の第3固体電解質を付与しなかった以外は、前記実施例A9と同様にして複合体を製造した。すなわち、本実施例の複合体は、活物質、第1電解質部および第2電解質部を有し、第3電解質部を有さないものである。
(実施例A13)
まず、上記[5-1]で調製した溶液を用いて、第2固体電解質形成用の組成物、および、第1固体電解質形成用の組成物を調製した。
第2固体電解質形成用の組成物は、上記[5-1-1]、[5-1-2]、[5-1-3]、[5-1-7]および[5-1-8]で調製した各溶液、ならびに、ノニオン性界面活性剤としてのTriton(登録商標)X-100(MP Biomedicals,Inc.製)を所定の割合で混合することにより調製した。
第1固体電解質形成用の組成物は、上記[5-1-1]、[5-1-2]、[5-1-3]、[5-1-4]および[5-1-5]で調製した各溶液、ならびに、ノニオン性界面活性剤としてのTriton(登録商標)X-100(MP Biomedicals,Inc.製)を所定の割合で混合することにより調製した。
正極活物質であるLiCoOチップ(豊島製作所社製、50mm角、1mm厚)を用意し、この一方の面側から、ドクターブレードを用いて、上記の第2固体電解質形成用の組成物を塗布した。これにより、第2固体電解質形成用の組成物は、LiCoOチップに対して、毛細管現象によって内部まで浸透するとともに、全体を包含するように濡れ広がった。
次に、ホットプレート上にシリコン製基板を介して、上記の第2固体電解質形成用の組成物を塗布したLiCoOチップを載置し、ホットプレートを90℃まで昇温させて15分間保持し、上記の第2固体電解質形成用の組成物の溶媒を揮発させた。
その後、ホットプレートを360℃まで昇温させて10分間保持し、有機成分の燃焼、分解を行った。このような加熱処理により、パイロクロア酸化物の結晶構造の第2前駆酸化物が形成された。
その後、上記のようにして第2前駆酸化物が形成されたLiCoOチップの一方の面側から、ドクターブレードを用いて、上記の第1固体電解質形成用の組成物を塗布した。これにより、第1固体電解質形成用の組成物は、LiCoOチップに対して、毛細管現象によって内部まで浸透するとともに、全体を包含するように濡れ広がった。
次いで、ホットプレートを90℃まで昇温させて15分間保持し、上記の第1固体電解質形成用の組成物の溶媒を揮発させた。
その後、ホットプレートを360℃まで昇温させて10分間保持し、有機成分の燃焼、分解を行った。このような加熱処理により、パイロクロア酸化物の結晶構造の第1前駆酸化物が形成された。
次に、900℃×8時間の加熱処理である焼成処理を施した。これにより、第2前駆酸化物が第2固体電解質となり、第1前駆酸化物が第1固体電解質となった。第2固体電解質は、Li6.3LaZr1.3Sb0.5Ta0.212の組成を有し、立方晶ガーネット型の結晶構造を有するものであり、第1固体電解質は、Li5.5Ga0.5La2.99Nd0.01Zr12の組成を有し、立方晶ガーネット型の結晶構造を有するものであった。
次に、上記のようにして、第2固体電解質および第1固体電解質が形成されたLiCoOチップに対し、非晶質の第3固体電解質であるLi2.20.80.2の融液を含浸させ、その後室温まで冷却することにより、複合体を得た。第3固体電解質であるLi2.20.80.2の融点は685℃であり、含浸時における第3固体電解質の融液の温度は725℃とした。
(実施例A14~A17)
上記[5-1]で調製した溶液の種類、使用量を調整することにより、第2固体電解質形成用の組成物の組成、および、第1固体電解質形成用の組成物の組成を調整した以外は、前記実施例A13と同様にして複合体を製造した。
(実施例A18)
900℃×8時間の焼成処理の後、非晶質の第3固体電解質を付与しなかった以外は、前記実施例A15と同様にして複合体を製造した。すなわち、本実施例の複合体は、活物質、第1電解質部および第2電解質部を有し、第3電解質部を有さないものである。
(比較例A1)
正極活物質に第2固体電解質形成用の組成物を付与する工程、および、第2固体電解質形成用の組成物が付与された正極活物質に対する加熱処理で第2前駆酸化物を形成する工程を省略した以外は、前記実施例A3と同様にして複合体を製造した。すなわち、本比較例の複合体は、活物質、第1電解質部および第3電解質部を有し、第2電解質部を有さないものである。
(比較例A2)
900℃×8時間の焼成処理の後、非晶質の第3固体電解質を付与しなかった以外は、前記比較例A1と同様にして複合体を製造した。すなわち、本比較例の複合体は、活物質、第1電解質部を有するものであり、第2電解質部および第3電解質部を有さないものである。
(比較例A3)
上記[5-1]で調製した溶液の種類、使用量を調整することにより、第1固体電解質形成用の組成物の組成を調整した以外は、前記比較例A1と同様にして複合体を製造した。
(比較例A4)
Li6.3LaZr1.3Nb0.35Sb0.5Ta0.412の組成を有する第2固体電解質の代わりに、LiAlOで構成された被膜を形成した以外は、前記実施例A4と同様にして複合体を製造した。
LiAlOで構成された被膜の形成は、前記実施例1と同様にして第2固体電解質形成用の組成物の代わりにLiAlO形成用の組成物を用いた以外は同様な方法、条件で行った。
(比較例A5~A12)
上記[5-1]で調製した溶液の種類、使用量、焼成処理での加熱温度を調整することにより、第1固体電解質形成用の組成物の組成を調整した以外は、前記実施例A1と同様にして複合体を製造した。
前記各実施例および各比較例の複合体の条件、および、焼成処理での加熱温度、すなわち、焼成温度を表1、表2にまとめて示す。なお、表1、表2中、LiCoOを「LCO」と示し、複合体を構成する各部位について、複合体中に占める割合を「占有率」と示した。また、前記各実施例および各比較例で得られた複合体は、いずれも、溶媒の含有率が0.1質量%以下、オキソアニオンの含有率が100ppm以下であった。また、前記各実施例では、複合体の製造過程で形成された第1前駆酸化物および第2前駆酸化物の結晶粒径は、いずれも、20nm以上160nm以下内の値であった。また、前記各実施例で得られた複合体は、いずれも、第2電解質部が正極活物質の表面に膜状に形成されたものであり、当該第2電解質部の平均厚さは、いずれも、0.004μm以上0.080μm以下の範囲内の値であった。
Figure 2024031097000001
Figure 2024031097000002
[6]複合体の評価
上記のようにして得られた前記各実施例および各比較例の複合体について、以下の方法にて、リチウムイオン伝導性の指標としてリチウムイオン伝導率の評価を行った。
すなわち、複合体の表裏両面に、リチウム蒸着にて8mmφのリチウム電極(イオン 活性化電極)を作製した。次いで、インピーダンスアナライザーSI1260(ソーラトロン社)を用いて、交流インピーダンス測定を行った。なお、測定時のAC振幅は10mV、測定周波数は107Hzから10-1Hzとした。
これらの結果を、表3、表4にまとめて示す。
Figure 2024031097000003
Figure 2024031097000004
表3、表4から明らかなように、本発明では優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[7]電池の製造
(実施例B1)
前記実施例A1で製造した複合体の一方の面に、真空蒸着法によりリチウム負極を形成した。形成された負極の厚さは、20μmであった。
次に、複合体と負極との積層体の両面に、それぞれ、銅集電体を真空スパッタ法により形成することにより、電池を得た。集電体の厚さは、10μmであった。
(実施例B2~B18)
複合体として、それぞれ、実施例A2~A18で製造したものを用いた以外は、前記実施例B1と同様にして電池を製造した。
(比較例B1~B12)
複合体として、それぞれ、比較例A1~A12で製造したものを用いた以外は、前記実施例B1と同様にして電池を製造した。
[8]電池の評価
上記のようにして得られた実施例B1~B18および比較例B1~B12の電池について、製造直後に、北斗電工社製の電池充放電評価システムHJ1001SD8に接続し、表5、表6に示す条件で充放電を繰り返し行い、1回目および10回目の電池の充放電特性を評価した。
これらの結果を、充放電の条件とともに、表5、表6にまとめて示す。なお、表5、表6中の「放電容量維持率」は、1回目の放電容量に対する10回目の放電容量の比率を示す。
Figure 2024031097000005
Figure 2024031097000006
表5、表6から明らかなように、本発明では優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
P100…複合体、P10…活物質、P11…第1電解質部、P12…第2電解質部、P13…第3電解質部、100…リチウムイオン電池、30…負極、41…集電体、42…集電体、300…ウェアラブル機器、301…バンド、302…センサー、303…表示部、304…処理部、WR…手首

Claims (6)

  1. 活物質と、
    下記組成式(1)で表されるリチウム複合金属酸化物を含む結晶質の第1電解質部と、
    下記組成式(2)で表されるリチウム複合金属酸化物を含み、前記活物質の表面の少なくとも一部を被覆する第2電解質部と、を備え、
    前記第1電解質部の少なくとも一部が、前記第2電解質部を介して、前記活物質に接合されている、複合体。
    (Li7-3xGa)(La3-yNd)Zr12 ・・・(1)
    (ただし、式(1)中、0.1≦x≦1.0、0.01≦y≦0.20の関係を満たす。)
    Li7-zLa(Zr2-z)O12 ・・・(2)
    (ただし、式(2)中、元素Mは、Nb、TaおよびSbよりなる群から選択される2種以上の元素であって、0.0<z<2.0の関係を満たす。)
  2. 前記第1電解質部に接する、Liを含む非晶質の第3電解質部をさらに備える、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記第3電解質部は、Li、B、Oを含む、請求項2に記載の複合体。
  4. 前記活物質は、Liを含む正極活物質である、請求項1に記載の複合体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複合体と、
    前記複合体の一方の面側に設けられた電極と、
    前記複合体の他方の面側に設けられた集電体と、を備える電池。
  6. 請求項5に記載の電池を備える電子機器。
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