JP2024030964A - 真空ポンプおよび固定部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳造により形成される固定部品の厚肉な部位における鋳巣やひけの発生を抑制できるとともに、固定部品内における熱移動を促進できる真空ポンプおよび固定部品を提供する。【解決手段】真空ポンプ210は、ケーシング211と、外装体に内包され、回転自在に支持されたロータ軸113と、ロータ軸113に固定され、ロータ軸113と共に回転するロータ103と、ロータ103と協働して吸気したガスを排気する、環状の固定部品と、を備え、固定部品は、鋳造により形成され、かつ、体積を低減する固定部品の周方向に沿って延在する少なくとも1つの低減溝255を挟んで対向する第1部位246および第2部位245と、少なくとも低減溝255の底を含んで配置されて第1部位246および第2部位245を接続する底部258と、を有し、固定部品は、第1部位246および第2部位245の間での伝熱を向上させる伝熱向上構造256を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、真空ポンプおよび固定部品に関する。
半導体製造装置、液晶製造装置、電子顕微鏡、表面分析装置または微細加工装置等は、装置内の環境を高度の真空状態にすることが必要である。これらの装置の内部を高度の真空状態とするために、真空ポンプが用いられている。使用される真空ポンプの例として、例えば、ターボ分子ポンプとネジ溝ポンプとを組み合わせた複合ポンプが挙げられる。
ターボ分子ポンプとネジ溝ポンプとを組み合わせた真空ポンプは、例えば特許文献1に開示されるように、軸方向に交互に配列された回転翼および固定翼を有するターボポンプの下流側に、ネジ溝ポンプが配置される。吸気口より取込まれた排気ガスは、ターボ分子ポンプとネジ溝ポンプによって圧縮されて、排気口より真空ポンプの外部に排出される。
ネジ溝ポンプは、回転するロータ円筒部と、ロータを収容するケーシング側のネジ溝スぺーサにより構成される。ロータ円筒部またはネジ溝スぺーサの対向する表面には、ネジ溝が形成される。このため、ロータ円筒部がネジ溝スぺーサの内部で回転することで、気体を排気口側へ移送することができる。
排気ガスは、ターボ分子ポンプでは、分子流の挙動を示すが、ネジ溝ポンプおよびそれよりも下流の流路においては、比較的圧力が高くなっていることで、粘性流のような挙動を示す。このため、ネジ溝ポンプおよびそれよりも下流の流路の、排気ガスの流れが淀む箇所で、副生成物が析出しやすい。流路に副生成物が析出すると、本来接触しない箇所が接触するという事象が発生し、真空ポンプの損傷や、内部構造の伝熱性能の変化に伴う温度分布の変異が発生して安全性・生産性を損なう恐れがある。
このため、真空ポンプにおいて、ロータと協働してネジ溝ポンプを形成するステータ側の固定部品(ネジ溝スぺーサ)は、接触する他の部材により加熱されて所定の高い温度に保持されて、堆積物の生成を抑制される。
特開2020-197152号公報
ロータと協働して吸気したガスを排気する固定部品は、熱経路における伝熱性能を高める目的や、熱移動を促進するなどの目的で、厚肉となる部位を有する場合がある。しかしながら、固定部品を、迅速かつ安価に製造可能な鋳造により形成すると、固定部品の厚肉の部位と薄肉の部位で金属が凝固する速度にばらつきが生じ、固定部品に鋳巣やひけ(鋳巣の一種である窪み)が発生しやすくなる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、鋳造により形成される固定部品の厚肉な部位における鋳巣やひけの発生を抑制できるとともに、固定部品内における熱移動を促進できる真空ポンプおよび固定部品を提供することを目的とする。
上記目的は、下記(1)に記載の発明により達成される。
(1) 本発明に係る真空ポンプは、外装体と、前記外装体に内包され、回転自在に支持されたロータ軸と、前記ロータ軸に固定され、前記ロータ軸と共に回転するロータと、前記ロータと協働して吸気したガスを排気する、環状の固定部品と、を備え、前記固定部品は、少なくとも一部が鋳造により形成され、かつ、体積を低減する前記固定部品の周方向に沿って延在する少なくとも1つの低減溝を挟んで配置される第1部位および第2部位と、少なくとも前記低減溝の底を含んで配置されて前記第1部位および前記第2部位を接続する底部と、を有し、前記固定部品は、前記底部とは異なる前記第1部位および前記第2部位の間での伝熱を向上させる伝熱向上構造を備えたことを特徴とする。
上記(1)に記載の真空ポンプは、鋳造により形成される固定部品の厚肉な部位に低減溝を配置することで、鋳造時の金属が凝固する速度を均一化して鋳巣やひけの発生を抑制できるとともに、低減溝を備えることにより低下し得る第1部位と第2部位との間での熱移動を、伝熱向上構造により促進できる。
(2) 上記(1)に記載の真空ポンプにおいて、前記伝熱向上構造は、前記低減溝を挟んで対向する前記第1部位および前記第2部位を接続する橋渡し構造であってもよい。これにより、真空ポンプは、低減溝による鋳巣やひけの発生の抑制効果を維持しつつ、橋渡し構造によって第1部位と第2部位との間での熱移動を効果的に促進できる。
(3) 上記(1)または(2)に記載の真空ポンプにおいて、前記伝熱向上構造は、前記固定部品の鋳造されている部位の材料よりも高い熱伝導率を有する材料により形成されてもよい。これにより、真空ポンプは、第1部位と第2部位との間での熱移動を効果的に促進できる。
(4) 上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の真空ポンプにおいて、前記第1部位および前記第2部位は、環状である前記固定部品の中心から径方向へ前記低減溝を挟みつつ並んで配置されてもよい。これにより、真空ポンプは、固定部品の径方向外側から熱を供給されることで、伝熱向上構造を介して径方向内側へ熱を効果的に移動させることができる。
(5) 上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の真空ポンプにおいて、前記固定部品は、ネジ溝ポンプ部を構成する部品であってもよい。これにより、真空ポンプは、固定部品を鋳造品としつつも、低温となることでガスの堆積が生じやすいネジ溝ポンプのネジ溝近辺を加熱して、堆積物の発生を抑制できる。
(6) 上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の真空ポンプにおいて、前記固定部品は、前記ネジ溝ポンプ部として、スパイラル状山部およびスパイラル状谷部を有するスパイラル状溝部と、ネジ状山部およびネジ状谷部を有するネジ状溝部と、が形成されてもよい。これにより、真空ポンプは、固定部品に伝熱向上構造を設けることで、低温となることで堆積物が生じやすいスパイラル状溝部やネジ状溝部の近辺を加熱して、堆積物の発生を抑制できる。
(7) 上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の真空ポンプにおいて、前記低減溝は、前記固定部品の前記ネジ溝ポンプ部が形成された面とは反対側の面にあってもよい。これにより、真空ポンプは、固定部品の厚肉化したネジ溝ポンプ部の近辺に低減溝を形成しつつ、堆積物の抑制のために望ましいネジ溝ポンプ部への熱移動を効果的に維持することができる。
(8) 本発明に係る固定部品は、真空ポンプの回転可能なロータと協働して吸気したガスを排気する、固定部品であって、少なくとも一部が鋳造により形成され、かつ、体積を低減する前記固定部品の周方向に沿って延在する少なくとも1つの低減溝を挟んで配置される第1部位および第2部位と、少なくとも前記低減溝の底を含んで配置されて前記第1部位および前記第2部位を接続する底部と、を有し、前記底部とは異なる前記第1部位および前記第2部位の間での伝熱を向上させる伝熱向上構造を備えたことを特徴とする。これにより、固定部品は、厚肉な部位に低減溝を配置することで、鋳造時の金属が凝固する速度を均一化して鋳巣やひけの発生を抑制できるとともに、低減溝を備えることにより低下し得る第1部位と第2部位との間での熱移動を、伝熱向上構造により向上させることができる。
真空ポンプの縦断面図である。 アンプ回路の回路図である。 電流指令値が検出値より大きい場合の制御を示すタイムチャートである。 電流指令値が検出値より小さい場合の制御を示すタイムチャートである。 本実施形態に係る真空ポンプの縦断面図である。 ネジ溝スペーサを示す斜視図である。 ネジ溝スペーサの一部を拡大して示す断面図であり、(A)は図6のAで示す範囲の拡大断面図、(B)は図7(A)と異なる位相における拡大断面図である。 ネジ溝スペーサを上流側から見た平面図である。 ネジ溝スペーサを下流側から見た平面図である。 図8のB-B線に沿う断面図である 変形例に係る真空ポンプの一部を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の実施形態に係る真空ポンプ100は、高速回転する回転体の回転ブレードが気体分子を弾き飛ばすことによりガスを排気するターボ分子ポンプ100である。ターボ分子ポンプ100は、例えば半導体製造装置等のチャンバからガスを吸引して排気するために使用される。まず、ターボ分子ポンプ100の基本構成について説明する。
このターボ分子ポンプ100の縦断面図を図1に示す。図1において、ターボ分子ポンプ100は、円筒状の外筒127の上端に吸気口101が形成されている。そして、外筒127の内方には、ガスを吸引排気するためのタービンブレードである複数の回転翼102(102a、102b、102c・・・)を周部に放射状かつ多段に形成したロータ103が備えられている。このロータ103の中心にはロータ軸113が取り付けられており、このロータ軸113は、例えば5軸制御の磁気軸受により空中に浮上支持かつ位置制御されている。ロータ103は、一般的に、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属によって構成されている。
上側径方向電磁石104は、4個の電磁石がX軸とY軸とに対をなして配置されている。この上側径方向電磁石104に近接して、かつ上側径方向電磁石104のそれぞれに対応して4個の上側径方向センサ107が備えられている。上側径方向センサ107は、例えば伝導巻線を有するインダクタンスセンサや渦電流センサなどが用いられ、ロータ軸113の位置に応じて変化するこの伝導巻線のインダクタンスの変化に基づいてロータ軸113の位置を検出する。この上側径方向センサ107はロータ軸113、すなわちそれに固定されたロータ103の径方向変位を検出し、制御装置200に送るように構成されている。
この制御装置200においては、例えばPID調節機能を有する補償回路が、上側径方向センサ107によって検出された位置信号に基づいて、上側径方向電磁石104の励磁制御指令信号を生成し、図2に示すアンプ回路150(後述する)が、この励磁制御指令信号に基づいて、上側径方向電磁石104を励磁制御することで、ロータ軸113の上側の径方向位置が調整される。
そして、このロータ軸113は、高透磁率材(鉄、ステンレスなど)などにより形成され、上側径方向電磁石104の磁力により吸引されるようになっている。かかる調整は、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ独立して行われる。また、下側径方向電磁石105及び下側径方向センサ108が、上側径方向電磁石104及び上側径方向センサ107と同様に配置され、ロータ軸113の下側の径方向位置を上側の径方向位置と同様に調整している。
さらに、軸方向電磁石106A、106Bが、ロータ軸113の下部に備えた円板状の金属ディスク111を上下に挟んで配置されている。金属ディスク111は、鉄などの高透磁率材で構成されている。ロータ軸113の軸方向変位を検出するために軸方向センサ109が備えられ、その軸方向位置信号が制御装置200に送られるように構成されている。
そして、制御装置200において、例えばPID調節機能を有する補償回路が、軸方向センサ109によって検出された軸方向位置信号に基づいて、軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bのそれぞれの励磁制御指令信号を生成し、アンプ回路150が、これらの励磁制御指令信号に基づいて、軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bをそれぞれ励磁制御することで、軸方向電磁石106Aが磁力により金属ディスク111を上方に吸引し、軸方向電磁石106Bが金属ディスク111を下方に吸引し、ロータ軸113の軸方向位置が調整される。
このように、制御装置200は、この軸方向電磁石106A、106Bが金属ディスク111に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸113を軸方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。なお、これら上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁制御するアンプ回路150については、後述する。
一方、モータ121は、ロータ軸113を取り囲むように周状に配置された複数の磁極を備えている。各磁極は、ロータ軸113との間に作用する電磁力を介してロータ軸113を回転駆動するように、制御装置200によって制御されている。また、モータ121には図示しない例えばホール素子、レゾルバ、エンコーダなどの回転速度センサが組み込まれており、この回転速度センサの検出信号によりロータ軸113の回転速度が検出されるようになっている。
さらに、例えば下側径方向センサ108近傍に、図示しない位相センサが取り付けてあり、ロータ軸113の回転の位相を検出するようになっている。制御装置200では、この位相センサと回転速度センサの検出信号を共に用いて磁極の位置を検出するようになっている。
回転翼102(102a、102b、102c・・・)とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123(123a、123b、123c・・・)が配設されている。回転翼102(102a、102b、102c・・・)は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。固定翼123(123a、123b、123c・・・)は、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
また、固定翼123も、同様にロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成され、かつ外筒127の内方に向けて回転翼102の段と互い違いに配設されている。そして、固定翼123の外周端は、複数の段積みされた固定翼スペーサ125(125a、125b、125c・・・)の間に嵌挿された状態で支持されている。
固定翼スペーサ125はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。固定翼スペーサ125の外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設されている。ベース部129には排気口133が形成され、外部に連通されている。チャンバ(真空チャンバ)側から吸気口101に入ってベース部129に移送されてきた排気ガスは、排気口133へと送られる。
さらに、ターボ分子ポンプ100の用途によって、固定翼スペーサ125の下部とベース部129の間には、ネジ溝スぺーサ131(固定部材)が配設される。ネジ溝スぺーサ131は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状のネジ溝131aが複数条刻設されている。ネジ溝131aの螺旋の方向は、ロータ103の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、この分子が排気口133の方へ移送される方向である。ロータ103の回転翼102(102a、102b、102c・・・)に続く最下部には円筒部102dが垂下されている。この円筒部102dの外周面は、円筒状で、かつネジ溝スぺーサ131の内周面に向かって張り出されており、このネジ溝スぺーサ131の内周面と所定のギャップ量を隔てて近接されている。回転翼102および固定翼123によってネジ溝131aに移送されてきた排気ガスは、ネジ溝131aに案内されつつベース部129へと送られる。
ベース部129は、ターボ分子ポンプ100の基底部を構成する円盤状の部材であり、一般には鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属によって構成されている。ベース部129はターボ分子ポンプ100を物理的に保持すると共に、熱の伝導路の機能も兼ね備えているので、鉄、アルミニウムや銅などの剛性があり、熱伝導率も高い金属が使用されるのが望ましい。
かかる構成において、回転翼102がロータ軸113と共にモータ121により回転駆動されると、回転翼102と固定翼123の作用により、吸気口101を通じてチャンバから排気ガスが吸気される。回転翼102の回転速度は通常20000rpm~90000rpmであり、回転翼102の先端での周速度は200m/s~400m/sに達する。吸気口101から吸気された排気ガスは、回転翼102と固定翼123の間を通り、ベース部129へ移送される。このとき、排気ガスが回転翼102に接触する際に生ずる摩擦熱や、モータ121で発生した熱の伝導などにより、回転翼102の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子などによる伝導により固定翼123側に伝達される。
固定翼スペーサ125は、外周部で互いに接合しており、固定翼123が回転翼102から受け取った熱や排気ガスが固定翼123に接触する際に生ずる摩擦熱などを外部へと伝達する。
なお、上記では、ネジ溝スぺーサ131はロータ103の円筒部102dの外周に配設し、ネジ溝スぺーサ131の内周面にネジ溝131aが刻設されているとして説明した。しかしながら、これとは逆に円筒部102dの外周面にネジ溝が刻設され、その周囲に円筒状の内周面を有するスペーサが配置される場合もある。
また、ターボ分子ポンプ100の用途によっては、吸気口101から吸引されたガスが上側径方向電磁石104、上側径方向センサ107、モータ121、下側径方向電磁石105、下側径方向センサ108、軸方向電磁石106A、106B、軸方向センサ109などで構成される電装部に侵入することのないよう、電装部は周囲をステータコラム122で覆われ、このステータコラム122内はパージガスにて所定圧に保たれる場合もある。
この場合には、ベース部129には図示しない配管が配設され、この配管を通じてパージガスが導入される。導入されたパージガスは、保護ベアリング120とロータ軸113間、モータ121のロータとステータ間、ステータコラム122と回転翼102の内周側円筒部の間の隙間を通じて排気口133へ送出される。
ここに、ターボ分子ポンプ100は、機種の特定と、個々に調整された固有のパラメータ(例えば、機種に対応する諸特性)に基づいた制御を要する。この制御パラメータを格納するために、上記ターボ分子ポンプ100は、その本体内に電子回路部141を備えている。電子回路部141は、EEP-ROM等の半導体メモリ及びそのアクセスのための半導体素子等の電子部品、それらの実装用の基板143等から構成される。この電子回路部141は、ターボ分子ポンプ100の下部を構成するベース部129の例えば中央付近の図示しない回転速度センサの下部に収容され、気密性の底蓋145によって閉じられている。
ところで、半導体の製造工程では、チャンバに導入されるプロセスガスの中には、その圧力が所定値よりも高くなり、或いは、その温度が所定値よりも低くなると、固体となる性質を有するものがある。ターボ分子ポンプ100内部では、排気ガスの圧力は、吸気口101で最も低く排気口133で最も高い。プロセスガスが吸気口101から排気口133へ移送される途中で、その圧力が所定値よりも高くなったり、その温度が所定値よりも低くなったりすると、プロセスガスは、固体状となり、ターボ分子ポンプ100内部に付着して堆積する。
例えば、Alエッチング装置にプロセスガスとしてSiClが使用された場合、低真空(760[torr]~10-2[torr])かつ、低温(約20[℃])のとき、固体生成物(例えばAlCl)が析出し、ターボ分子ポンプ100内部に付着堆積することが蒸気圧曲線からわかる。これにより、ターボ分子ポンプ100内部にプロセスガスの析出物が堆積すると、この堆積物がポンプ流路を狭め、ターボ分子ポンプ100の性能を低下させる原因となる。そして、前述した生成物は、排気口133付近やネジ溝スぺーサ131付近の圧力が高い部分で凝固、付着し易い状況にあった。
そのため、この問題を解決するために、従来はベース部129等の外周に図示しないヒータや環状の水冷管149を巻着させ、かつ例えばベース部129に図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を埋め込み、この温度センサの信号に基づいてベース部129の温度を一定の高い温度(設定温度)に保つようにヒータの加熱や水冷管149による冷却の制御(以下TMSという。TMS;Temperature Management System)が行われている。
次に、このように構成されるターボ分子ポンプ100に関して、その上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁制御するアンプ回路150について説明する。このアンプ回路150の回路図を図2に示す。
図2において、上側径方向電磁石104等を構成する電磁石巻線151は、その一端がトランジスタ161を介して電源171の正極171aに接続されており、また、その他端が電流検出回路181及びトランジスタ162を介して電源171の負極171bに接続されている。そして、トランジスタ161、162は、いわゆるパワーMOSFETとなっており、そのソース-ドレイン間にダイオードが接続された構造を有している。
このとき、トランジスタ161は、そのダイオードのカソード端子161aが正極171aに接続されるとともに、アノード端子161bが電磁石巻線151の一端と接続されるようになっている。また、トランジスタ162は、そのダイオードのカソード端子162aが電流検出回路181に接続されるとともに、アノード端子162bが負極171bと接続されるようになっている。
一方、電流回生用のダイオード165は、そのカソード端子165aが電磁石巻線151の一端に接続されるとともに、そのアノード端子165bが負極171bに接続されるようになっている。また、これと同様に、電流回生用のダイオード166は、そのカソード端子166aが正極171aに接続されるとともに、そのアノード端子166bが電流検出回路181を介して電磁石巻線151の他端に接続されるようになっている。そして、電流検出回路181は、例えばホールセンサ式電流センサや電気抵抗素子で構成されている。
以上のように構成されるアンプ回路150は、一つの電磁石に対応されるものである。そのため、磁気軸受が5軸制御で、電磁石104、105、106A、106Bが合計10個ある場合には、電磁石のそれぞれについて同様のアンプ回路150が構成され、電源171に対して10個のアンプ回路150が並列に接続されるようになっている。
さらに、アンプ制御回路191は、例えば、制御装置200の図示しないディジタル・シグナル・プロセッサ部(以下、DSP部という)によって構成され、このアンプ制御回路191は、トランジスタ161、162のon/offを切り替えるようになっている。
アンプ制御回路191は、電流検出回路181が検出した電流値(この電流値を反映した信号を電流検出信号191cという)と所定の電流指令値とを比較するようになっている。そして、この比較結果に基づき、PWM制御による1周期である制御サイクルTs内に発生させるパルス幅の大きさ(パルス幅時間Tp1、Tp2)を決めるようになっている。その結果、このパルス幅を有するゲート駆動信号191a、191bを、アンプ制御回路191からトランジスタ161、162のゲート端子に出力するようになっている。
なお、ロータ103の回転速度の加速運転中に共振点を通過する際や定速運転中に外乱が発生した際等に、高速かつ強い力でのロータ103の位置制御をする必要がある。そのため、電磁石巻線151に流れる電流の急激な増加(あるいは減少)ができるように、電源171としては、例えば50V程度の高電圧が使用されるようになっている。また、電源171の正極171aと負極171bとの間には、電源171の安定化のために、通常コンデンサが接続されている(図示略)。
かかる構成において、トランジスタ161、162の両方をonにすると、電磁石巻線151に流れる電流(以下、電磁石電流iLという)が増加し、両方をoffにすると、電磁石電流iLが減少する。
また、トランジスタ161、162の一方をonにし他方をoffにすると、いわゆるフライホイール電流が保持される。そして、このようにアンプ回路150にフライホイール電流を流すことで、アンプ回路150におけるヒステリシス損を減少させ、回路全体としての消費電力を低く抑えることができる。また、このようにトランジスタ161、162を制御することにより、ターボ分子ポンプ100に生じる高調波等の高周波ノイズを低減することができる。さらに、このフライホイール電流を電流検出回路181で測定することで電磁石巻線151を流れる電磁石電流iLが検出可能となる。
すなわち、検出した電流値が電流指令値より小さい場合には、図3に示すように制御サイクルTs(例えば100μs)中で1回だけ、パルス幅時間Tp1に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をonにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、正極171aから負極171bへ、トランジスタ161、162を介して流し得る電流値iLmax(図示せず)に向かって増加する。
一方、検出した電流値が電流指令値より大きい場合には、図4に示すように制御サイクルTs中で1回だけパルス幅時間Tp2に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をoffにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、負極171bから正極171aへ、ダイオード165、166を介して回生し得る電流値iLmin(図示せず)に向かって減少する。
そして、いずれの場合にも、パルス幅時間Tp1、Tp2の経過後は、トランジスタ161、162のどちらか1個をonにする。そのため、この期間中は、アンプ回路150にフライホイール電流が保持される。
<本実施形態>
次に、本実施形態に係る真空ポンプ210について説明する。
真空ポンプ210は、図5および6に示すように、真空ポンプ210の外殻を形成するケーシング211(外装体)が、複数の部品で構成されている。具体的には、ケーシング211は、吸気口101が配置された上ケース220と、排気口133が配置された下ケース230と、ベース部129と、を備える。ケーシング211は、ベース部129を底とする略円筒形状から成り、その内部空間に、ネジ溝スペーサ240(固定部品)が設置される。上ケース220、下ケース230およびネジ溝スペーサ240は、同軸上に配置され、ボルト等の締結部材で一体に連結されている。
下ケース230は、円筒状に形成されており、外周面に複数の設置孔231が形成され、各々の設置孔231に加熱手段260が挿入されている。下ケース230は、上流側の面および内周面の一部に、ネジ溝スペーサ240の一部と接触する加熱側接触面232が形成される。加熱側接触面232は、上流側から見てリング状に形成される。加熱側接触面232は、下ケース230の上流側の面に形成される加熱側上接触面233と、下ケース230の内周面に形成される加熱側内接触面234とを備えている。加熱側上接触面233と、加熱側内接触面234とは、段差を挟んで接続されている。加熱手段260によって加熱される下ケース230は、加熱側接触面232により、ネジ溝スぺーサ131を加熱できる。
設置孔231は、周方向に沿って均等に配置されることが好ましいが、均等に配置されなくてもよい。設置孔231の数は、1つ以上であれば特に限定されない。加熱手段260は、特に限定されないが、金属パイプの内部に発熱体が配置され、発熱体に接続される両端子が金属パイプの一端側に配置されたカートリッジヒータである。
上ケース220および下ケース230は、真空を維持するケーシング211としての役割を果たす必要があるため、上ケース220および下ケース230の材料は、熱伝導率だけを考慮して決定できず、運転時の温度での材料強度も加味して選定される。上ケース220および下ケース230は、例えば、アルミニウムよりも高温時で耐力の低下が少なく、熱による変形が起こり難いステンレス鋼により形成される。
ネジ溝スペーサ240は、図5~10に示すように、ロータ103と協働して吸気したガスを排気する環状の部品である。ネジ溝スペーサ240は、下ケース230から伝わる熱を、ロータ103と協働して機能するネジ溝ポンプ部まで伝えるために、伝熱性能の高い材料により形成される。ネジ溝スペーサ240の材料は、下ケース230の材料よりも高い熱伝導率を有する。ネジ溝スペーサ240の材料は、鋳造可能なアルミニウム合金(例えば、ADC12)であることが好ましい。本実施形態において、ネジ溝スぺーサ131は、アルミニウム合金を材料として鋳造(例えばダイカスト)により形成される。なお、ネジ溝スぺーサ131の一部は、鋳造加工後に、切削やコーティング等の追加の加工が施されてもよい。ネジ溝スペーサ240は、鋳造により形成されるため、迅速かつ安価に製造可能である。
ネジ溝スペーサ240は、軸を中心に回転しながら軸方向へ移動するネジ状山部241およびネジ状谷部242を備えるホルベック型ネジ溝ポンプの一部が形成されるとともに、軸を中心に同一平面内で回転しながら軸から遠ざかる(または近づく)ようにスパイラル状山部243およびスパイラル状谷部244を備えるシグバーン型ネジ溝ポンプの一部が形成される。
ネジ溝スペーサ240は、下ケース230の加熱側接触面232に接触して連結される被加熱側接触面251を備えた環状の連結部250と、連結部250の内周面側から下流に向かって延びる円筒状の延在部254とを備えている。ネジ溝スぺーサ131は、連結部250の上流側の面にスパイラル状山部243およびスパイラル状谷部244が形成され、延在部254の内周面にネジ状山部241およびネジ状谷部242が形成されている。被加熱側接触面251は、下ケース230の加熱側上接触面233に接触する被加熱側下接触面252と、下ケース230の加熱側内接触面234に接触する被加熱側外接触面253とを備えている。被加熱側下接触面252は、連結部250の下流側を向く面に形成され、加熱側外接触面253は、被加熱側下接触面252よりも径方向の内側で、径方向の外側を向く面に形成される。被加熱側下接触面252と、被加熱側外接触面253とは、段差を挟んで接続されている。ネジ溝スぺーサ131は、加熱手段260によって加熱される下ケース230の加熱側接触面232から、被加熱側接触面251を介して加熱される。
連結部250は、被加熱側接触面251よりも径方向の内側に、周方向へ並ぶ複数の低減溝255および複数の伝熱向上構造256が形成されている。複数の低減溝255および複数の伝熱向上構造256は、周方向へ交互に配置されている。
低減溝255は、ネジ溝スペーサ240の肉厚を部分的に低減させる部位であり、ネジ溝ポンプ部を構成するスパイラル状山部243およびスパイラル状谷部244が形成される面(上流側の面)とは反対側の面(下流側の面)に、上流側へ向かって形成される。低減溝255は、連結部250を貫通しない深さで形成される。連結部250は、各々の低減溝255の底に、低減溝255が形成されることで減肉された底部258が形成されている。低減溝255は、被加熱側接触面251に配置されないことが好ましい。これにより、ネジ溝スペーサ131は、熱を受け取る被加熱側接触面251を十分に確保し、被加熱側接触面251が減少することによる下ケース230からの伝熱の減少を防止できる。低減溝255の幅W(径方向への長さ)は、深さ方向に向かって徐々に減少する。これにより、ネジ溝スペーサ131の鋳造時の離型性を向上できるとともに、鋳造時の材料の流れを円滑にすることができる。
各々の伝熱向上構造256は、周方向に隣接する2つの低減溝255の間に配置されて、低減溝255を形成されない部位である。ネジ溝スペーサ240は、低減溝255よりも径方向の内側の第1部位246と、低減溝255よりも径方向の外側の第2部位245と、を備えて、第1部位246および第2部位245が、複数の低減溝255を挟んで対向している。そして、第1部位246および第2部位245は、複数の伝熱向上構造256により連結されている。すなわち、伝熱向上構造256は、低減溝255を挟んで対向している第1部位246および第2部位245を接続する橋渡し構造である。ネジ溝スペーサ240において、下ケース230から被加熱側接触面251に伝わる熱は、第2部位245から第1部位246へ向かって移動する。伝熱向上構造256と第1部位246との接続部の表面には、滑らかな凹状の曲面部259が形成される。これにより、鋳造時の材料の流れを円滑にすることができるとともに、伝熱向上構造256を有する厚肉の部位と、薄肉の延在部254との間での応力集中を抑制できる。このため、鋳造品であるネジ溝スペーサ240に、鋳巣やひけが発生しにくくなるとともに、応力集中による破損を低減できる。
ところで、ネジ溝スぺーサ131を鋳造品とするためには、使用する材料を鋳造に適した材料に変更する(例えば、アルミニウム合金のA5056からADC12に変更する)必要があり、これにより熱伝導率は低下する可能性がある。これに対し、ネジ溝スぺーサ131は、伝熱向上構造256を備えることで、材料の変更により熱伝導率が低下しても、高い伝熱性能を得ることができる。
低減溝255および伝熱向上構造256のそれぞれの数は、特に限定されないが、複数個設けられることが好ましく、本実施形態ではそれぞれ10個設けられる。
また、連結部250の被加熱側下接触面252には、周方向に並ぶ複数のボルト穴257が形成されている。ボルト穴257は、下ケース230側から挿入されるボルトが螺合する。ボルト穴257の位相(周方向の位置)は、伝熱向上構造256の位相と重ならないように、低減溝255の位相と重なることが好ましい。これにより、伝熱向上構造256における伝熱性能が、ボルト穴257により低減されることを防止できる。
連結部250の低減溝255が形成された底部258の軸方向の厚みt2は、連結部250の第2部位245の軸方向の厚みt3よりも小さい。また、円筒状の延在部254の径方向の厚みt1は、連結部250の第2部位245の軸方向の厚みt3よりも小さい。また、伝熱向上構造256の周方向の厚みt4は、連結部250の第2部位245の軸方向の厚みt3よりも小さい。そして、底部258の厚みt2、延在部254の厚みt1、および伝熱向上構造256の厚みt4は、多少の差はあるが同程度である。
次に、本実施形態に係る真空ポンプ210の作用を説明する。
本実施形態において、ネジ溝スペーサ240は、アルミニウム合金を材料として鋳造(例えばダイカスト)により形成されている。ところで、鋳造において、金属が凝固する速度にばらつきが生じると、鋳造品の内部に鋳巣やひけ(鋳巣の一種である窪み)が発生しやすくなる。鋳造品であるネジ溝スペーサ240において、環状の連結部250の第2部位245の軸方向の厚みt3は、円筒状の延在部254の径方向の厚みt1よりも格段に大きいため、連結部250に低減溝255がない場合には、連結部250と延在部254で金属が凝固する速度に大きなばらつきが生じる。しかしながら、本実施形態において、連結部250に、体積を低減させる低減溝255が形成されるため、底部258の厚みt2、延在部254の厚みt1、および伝熱向上構造256の厚みt4が、同程度である。これにより、ネジ溝スペーサ240の金属が凝固する速度のばらつきが低減されて、ネジ溝スペーサ240は、鋳巣やひけが発生しにくくなる。
なお、ネジ溝スペーサ240が低減溝255を備えることで、図6(B)に示すように、熱経路が底部258を通る必要性により、熱経路の長距離化や、熱経路の断面積の減少による熱抵抗の増加が生じ、それに伴って伝熱性能が低下する可能性がある。しかしながら、図6(A)に示すように、ネジ溝スペーサ240は、底部258以外に、第1部位246および第2部位245の間での伝熱を向上させる伝熱向上構造256を備えるため、下ケース230から伝わる熱を、延在部254へ効果的に伝熱できる。このため、ネジ溝スペーサ240は、下ケース230の加熱側接触面232から被加熱側接触面251に伝達された熱を、連結部250の上流側の面に形成されたスパイラル状山部243およびスパイラル状谷部244と、延在部254の内周面に形成されるネジ状山部241およびネジ状谷部242へ効果的に伝熱できる。したがって、低温となることによるネジ溝ポンプにおけるガスの堆積を抑制できる。一例として、ネジ溝スペーサ240は、全体を100℃以上に温調されることが好ましい。
そして、ネジ溝スペーサ240は、低減溝255および伝熱向上構造256を備えることで、鋳造であっても、厚みなどの影響による凝固する速度のバラつきによって発生する鋳巣やひけを防ぎ、連結部250の第2部位245の軸方向の厚みt3を厚肉にすることができる。このため、下ケース230に配置される加熱手段260から、ネジ溝スペーサ240の上流側の面や、延在部254の内周面のネジ溝までの熱経路を短くできる。したがって、ネジ溝スペーサ240の伝熱性能を向上できる。さらに、ネジ溝スペーサ240は、軸方向へ厚肉の部位を有するため、被加熱側接触面251から延在部254の内周面までの熱経路の断面積が増加し、それに伴って熱抵抗が減少して、被加熱側接触面251から延在部254の内周面に形成されるネジ状山部241およびネジ状谷部242までの熱移動を促進できる。このため、ネジ溝スペーサ240を目標温度へ到達させることが容易となる。また、熱伝導率の高い材料(ネジ溝スペーサ240の材料)により形成される部位の体積が増加することで、ネジ溝スペーサ240は、熱容量が大きくなり、温度の均一化を図ることができるとともに、温度を望ましい温度に安定させることができる。また、鋳造品であるネジ溝スペーサ240に鋳巣やひけが発生しにくくなるため、伝熱性能の低下を抑制できるとともに、強度が低下する部位が生じることを抑制して、製造時や使用時の破損を抑制できる。
以上のように、本実施形態に係る真空ポンプ210は、ケーシング211(外装体)と、外装体に内包され、回転自在に支持されたロータ軸113と、ロータ軸113に固定され、ロータ軸113と共に回転するロータ103と、ロータ103と協働して吸気したガスを排気する、環状の固定部品(ネジ溝スペーサ240)と、を備え、固定部品は、鋳造により形成され、かつ、体積を低減する固定部品の周方向に沿って延在する少なくとも1つの低減溝255を挟んで配置される第1部位246および第2部位245と、少なくとも低減溝255の底を含んで配置されて第1部位246および第2部位245を接続する底部258を有し、固定部品は、底部258とは異なる第1部位246および第2部位245の間での伝熱を向上させる伝熱向上構造256を備える。これにより、真空ポンプ210は、鋳造により形成される固定部品(ネジ溝スペーサ240)の厚肉な部位に低減溝255を配置することで、鋳造時の金属が凝固する速度を均一化して鋳巣やひけの発生を抑制できるとともに、低減溝255を備えることにより低下し得る第1部位246と第2部位245との間での熱移動を、伝熱向上構造256により促進できる。
伝熱向上構造256は、低減溝255を挟んで対向する第1部位246および第2部位245を接続する橋渡し構造である。これにより、真空ポンプ210は、低減溝255による鋳巣やひけの発生の抑制効果を維持しつつ、橋渡し構造によって第1部位246と第2部位245との間での熱移動を効果的に促進できる。なお、本明細書における橋渡し構造は、図6や図8で示したように、低減溝255が形成されない部分として、第1部位246と第2部位245の間を、底部258から軸方向に伸びた壁のように一体的な構造で接続する構造も含むものとして定義される。
第1部位246および第2部位245は、環状である固定部品の中心から径方向へ低減溝255を挟みつつ並んで配置される。これにより、真空ポンプ210は、固定部品の径方向外側から熱を供給されることで、伝熱向上構造256を介して径方向内側へ熱を効果的に移動させることができる。また、真空ポンプ210は、加熱手段260から固定部品(ネジ溝スペーサ240)のネジ溝ポンプのある径方向内側への熱の移動だけでなく、逆に、径方向外側への熱の移動を促進させることもできる。例えば、ガスの許容流量(ロータ103の材料の耐熱温度等に関係)を増やす目的で、ロータ103の温度を下げるために、真空ポンプ210は、固定部品を介して外に積極的に熱を逃がす効果を備えてもよい。
固定部品は、ネジ溝ポンプ部を構成する部品であってもよい。これにより、真空ポンプ210は、固定部品を鋳造品としつつも、低温となることでガスの堆積が生じやすいネジ溝ポンプのネジ溝近辺を加熱して、堆積物の発生を抑制できる。
固定部品は、ネジ溝ポンプ部として、スパイラル状山部243およびスパイラル状谷部244を有するスパイラル状溝部と、ネジ状山部241およびネジ状谷部242を有するネジ状溝部と、が形成される。これにより、真空ポンプ210は、固定部品に伝熱向上構造256を設けることで、低温となることで堆積物が生じやすいスパイラル状溝部やネジ状溝部の近辺を加熱して、堆積物の発生を抑制できる。
低減溝255は、固定部品のネジ溝ポンプ部が形成された面とは反対側の面にある。これにより、真空ポンプ210は、固定部品の厚肉化したネジ溝ポンプ部の近辺に低減溝255を形成しつつ、低減溝255がガス流路に面していないことによって、低減溝255によって排気性能に影響を与えることなく、また低減溝255への堆積物を抑制し、ネジ溝ポンプ部への熱移動を効果的に維持できる。
また、本実施形態における固定部品(ネジ溝スペーサ240)は、真空ポンプ210の回転可能なロータ103と協働して吸気したガスを排気する、固定部品であって、鋳造により形成され、かつ、体積を低減する固定部品の周方向に沿って延在する少なくとも1つの低減溝255を挟んで配置される第1部位246および第2部位245と、少なくとも低減溝255の底を含んで配置されて第1部位246および第2部位245を接続する底部258と、を有し、底部258とは異なる第1部位246および第2部位245の間での伝熱を向上させる伝熱向上構造256を備える。これにより、固定部品は、厚肉な部位に低減溝255を配置することで、鋳造時の金属が凝固する速度を均一化して鋳巣やひけの発生を抑制できるとともに、低減溝255を備えることにより低下し得る第1部位246と第2部位245との間での熱移動を、伝熱向上構造256により促進できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更や組合せが可能である。例えば、図11に示す変形例のように、ネジ溝スペーサ240(固定部材)は、内周面に、軸を中心に回転しながら軸方向へ移動するネジ状山部241およびネジ状谷部242を備えるホルベック型ネジ溝ポンプの一部が形成され、上流側の面に、シグバーン型ネジ溝ポンプが形成されなくてもよい。また、ネジ溝スペーサ240(固定部材)は、内周面にホルベック型ネジ溝ポンプが形成されずに、上流側の面に、シグバーン型ネジ溝ポンプの一部が形成されてもよい。
また、伝熱向上構造256は、第1部位246および第2部位245を備える鋳造品に、嵌め込む、または溶かし込む等の方法によって取り付けられた別部材により形成されてもよい。この場合、伝熱向上構造256は、第1部位246および第2部位245を備える鋳造品を形成する材料とは異なる材料により形成されてもよい。したがって、伝熱向上構造256は、固定部品の鋳造されている部位の材料よりも高い熱伝導率を有する材料により形成されてもよい。これにより、真空ポンプ210は、第1部位246と第2部位245との間での熱移動を、熱伝導率の高い伝熱向上構造256によって効果的に促進できる。
また、伝熱向上構造256の別な実施形態として、鋳造により形成された低減溝255の略全体もしくは低減溝255の一部を、鋳造品を形成する材料とは異なる材料により満たされてもよい。
また、ネジ溝スペーサ240(固定部材)が接触して熱を受ける部材は、下ケース230に限定されない。
また、固定部材は、ネジ溝スペーサ240に限定されず、例えば真空ポンプ以外の装置の部品であってもよい。
101 吸気口
103 ロータ
113 ロータ軸
129 ベース部
131 ネジ溝スぺーサ
133 排気口
100、210 真空ポンプ
211 ケーシング(外装体)
220 上ケース
230 下ケース
231 設置孔
232 加熱側接触面
233 加熱側上接触面
234 加熱側内接触面
240 ネジ溝スペーサ
241 ネジ状山部
242 ネジ状谷部
243 スパイラル状山部
244 スパイラル状谷部
245 第2部位
246 第1部位
250 連結部
251 被加熱側接触面
252 被加熱側下接触面
253 被加熱側外接触面
254 延在部
255 低減溝
256 伝熱向上構造
257 ボルト穴
258 底部
259 曲面部
260 加熱手段
真空ポンプの縦断面図である。 アンプ回路の回路図である。 電流指令値が検出値より大きい場合の制御を示すタイムチャートである。 電流指令値が検出値より小さい場合の制御を示すタイムチャートである。 本実施形態に係る真空ポンプの縦断面図である。 ネジ溝スペーサの一部を拡大して示す断面図であり、(A)は図5のAで示す範囲の拡大断面図、(B)は図6(A)と異なる位相における拡大断面図である。 ネジ溝スペーサを示す斜視図である。 ネジ溝スペーサを上流側から見た平面図である。 ネジ溝スペーサを下流側から見た平面図である。 図8のB-B線に沿う断面図である 変形例に係る真空ポンプの一部を示す縦断面図である。
ネジ溝スペーサ240は、下ケース230の加熱側接触面232に接触して連結される被加熱側接触面251を備えた環状の連結部250と、連結部250の内周面側から下流に向かって延びる円筒状の延在部254とを備えている。ネジ溝スぺーサ131は、連結部250の上流側の面にスパイラル状山部243およびスパイラル状谷部244が形成され、延在部254の内周面にネジ状山部241およびネジ状谷部242が形成されている。被加熱側接触面251は、下ケース230の加熱側上接触面233に接触する被加熱側下接触面252と、下ケース230の加熱側内接触面234に接触する被加熱側外接触面253とを備えている。被加熱側下接触面252は、連結部250の下流側を向く面に形成され、加熱側外接触面253は、被加熱側下接触面252よりも径方向の内側で、径方向の外側を向く面に形成される。被加熱側下接触面252と、被加熱側外接触面253とは、段差を挟んで接続されている。ネジ溝スぺーサ131は、加熱手段260によって加熱される下ケース230の加熱側接触面232から、被加熱側接触面251を介して加熱される。

Claims (8)

  1. 外装体と、
    前記外装体に内包され、回転自在に支持されたロータ軸と、
    前記ロータ軸に固定され、前記ロータ軸と共に回転するロータと、
    前記ロータと協働して吸気したガスを排気する、環状の固定部品と、を備え、
    前記固定部品は、少なくとも一部が鋳造により形成され、かつ、体積を低減する前記固定部品の周方向に沿って延在する少なくとも1つの低減溝を挟んで配置される第1部位および第2部位と、少なくとも前記低減溝の底を含んで配置されて前記第1部位および前記第2部位を接続する底部と、を有し、
    前記固定部品は、前記底部とは異なる前記第1部位および前記第2部位の間での伝熱を向上させる伝熱向上構造を備えたことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記伝熱向上構造は、前記低減溝を挟んで対向する前記第1部位および前記第2部位を接続する橋渡し構造であることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  3. 前記伝熱向上構造は、前記固定部品の鋳造されている部位の材料よりも高い熱伝導率を有する材料により形成されることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  4. 前記第1部位および前記第2部位は、環状である前記固定部品の中心から径方向へ前記低減溝を挟みつつ並んで配置されることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  5. 前記固定部品は、ネジ溝ポンプ部を構成する部品であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
  6. 前記固定部品は、前記ネジ溝ポンプ部として、
    スパイラル状山部およびスパイラル状谷部を有するスパイラル状溝部と、
    ネジ状山部およびネジ状谷部を有するネジ状溝部と、が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の真空ポンプ。
  7. 前記低減溝は、前記固定部品の前記ネジ溝ポンプ部が形成された面とは反対側の面にあることを特徴とする請求項5に記載の真空ポンプ。
  8. 真空ポンプの回転可能なロータと協働して吸気したガスを排気する、固定部品であって、
    少なくとも一部が鋳造により形成され、かつ、体積を低減する前記固定部品の周方向に沿って延在する少なくとも1つの低減溝を挟んで配置される第1部位および第2部位と、少なくとも前記低減溝の底を含んで配置されて前記第1部位および前記第2部位を接続する底部と、を有し、
    前記底部とは異なる前記第1部位および前記第2部位の間での伝熱を向上させる伝熱向上構造を備えたことを特徴とする固定部品。
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