JP2024030719A - 電気的ノイズ抑制回路及びそれを備えたブラシ付きdcモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】エミッション規格(CISPR25)CLASS5の要求に対応し、かつ、はんだ溶接を極力使用せず製造コストを低減した電気的ノイズ抑制回路及びそれを備えたブラシ付きDCモータを提供する。【解決手段】電気的ノイズ抑制回路は、一対のパワーインダクタ(L1,L2)を含む第1のLCフィルタと、フェライトビーズモジュール(FB1,FB2、FB3)と一対のラインバイパスコンデンサ(Cy1,Cy2)とを含む第2のLCフィルタとを備え、一対のラインバイパスコンデンサが端子(N1,N3)間に接続され、FB3が接続ノード(N9)とDCモータのアース線間に接続され、FB1,FB2が各々、DCモータのブラシとパワーインダクタの反電源側の電源線のノード間に直列に接続され、一対のラインバイパスコンデンサが、電源線のノード間に接続され、FB3が、一対のラインバイパスコンデンサの接続ノードとDCモータのグランド線との間に接続されている。【選択図】図2

Description

本発明は、電気的ノイズ抑制回路及びそれを備えたブラシ付きDCモータに係り、特に、自動車に搭載される車載機器の駆動源に適した、電気的ノイズ抑制回路及びそれを備えたブラシ付きDCモータに関するものである。
ブラシ付きDCモータでは、電流の切り替わり時に、ブラシとコンミテータ間にスパークが発生することによって、モータノイズが発生する。発生したノイズは電気信号として両ブラシに発生するだけではなく空間にも電磁波ノイズとして放射される。この空間に放射された電磁波ノイズ(放射ノイズ)の一部はモータハウジングなどの金属によって再度電気的な信号に戻り、フィルタ回路や電源線に侵入する。このノイズの抑制のために、インダクタでノイズ電流の通過を阻止(反射)することや、コンデンサでノイズ電流をグラウンドへ逃してやる(バイパスする)ことが行われている。また、フェライトビーズは、ノイズ電流を低周波信号はインダクタ成分で反射、高周波は抵抗成分で熱に変換する働きがある。
ここで、本願明細書で使用される主な用語は、以下のように定義される。
インダクタ(L)素子は、パワーインダクタやコモンモードフィルタなどインダクタンス成分が含まれる全ての素子を含む。
パワーインダクタは、電源線に挿入されるインダクタ素子を指し、パワーチョークコイルとも呼ばれる。一般的には、ディファレンシャルモードノイズ(ノーマルモードノイズと呼ばれる)を除去する役割を担うインダクタ素子である。
コモンモードフィルタは、コモンモードノイズを除去する役割を担う素子を指し、磁界を利用してノイズ除去する方式の素子は、コモンモードコイル、コモンモードチョークコイル、コモンモードインダクタなどとも呼ばれる。
フェライトビーズは磁気エネルギーを損失に変えてノイズを除去する、インダクタンス成分と抵抗成分を併せ持つ素子である。
特許文献1には、ブラシ付きDCモータの電気的ノイズ抑制回路として、グランドに接続されているモータハウジングに、キャパシタとフェライトビーズを直列に接続したフィルタ回路が開示されている。
特許文献2には、DCモータのためのEMIフィルタとして、高周波EMI抑制に加えて、このEMI抑制回路に対して遠位に、第1及び第2のモータ端子にそれぞれ接続された1対のMW帯パワーチョークコイルを設けた構成が開示されている。
US10348165B2 特表2022-515921号公報
ノイズに対する市場要求は、車載機器向けのエミッション規格(CISPR25)CLASS5の要求が当たり前の時代となり、前述した特許文献1と特許文献2に記載された発明では、多くの場合でこのとても厳しい基準をクリアする事ができない。
例えば、特許文献1の発明では、フィルタ回路は1個のフェライトビーズとアース線の直列回路を介してアース(モータハウジング)に接続されるが、このアース線にも寄生インダクタンスがあり、ノイズ抑制の大きな障害(阻害要因)になる。
ノイズを除去しようとするときに、可能な限りこのアース線を短くしたり太くしたりしても、周波数が高くなるほどアース線の寄生インダクタンスによってインピーダンスは高くなり、ノイズをアース線に逃がすことが難しくなる。
特許文献1に記載された発明のように、モータハウジングとフィルタ回路のグランドとYコンデンサとの間にフェライトビーズを入れても、アース線の寄生インダクタンスによって発生するインピーダンスの方がフェライトビーズのインピーダンスより大きいと、放射ノイズはモータハウジングによって電気的ノイズに変換され、フィルタのグランドを経由し、フェライトビーズとYコンデンサを通過して電源線へ侵入する。電源線へ侵入した電気的ノイズは電源機器に対し伝導エミッション特性を悪化させたり、空間に放射され放射エミッションを悪化させたりする事になる。
逆に、アース線より大きなインピーダンスを持つフェライトビーズを用いて、電源線へノイズの侵入を阻もうとすると、電源線に発生したノイズをグランドに通過させることができなくなるため、コモンモードノイズが除去できなくなる。
そのため十分なノイズの除去ができない。
特許文献2に記載された発明のように、銅線をフェライトなどの軟磁性体を磁芯にしたパワーチョークをEMI抑制回路の遠位に設け、前段のEMIフィルタ回路のコンデンサと組み合わせることにより、LCフィルタを形成すると、高い挿入損失が得られる。一方で、現実のパワーチョークの磁芯に使用される磁性材料には磁化飽和という現象があり、調整したインダクタンス値が高いほど、より少ない電流印加時でもそのインダクタンスは減少していってしまう。
さらに、現実のパワーチョークのインピーダンス特性は、自己共振周波数(Self Resonant Frequency: SRF)でインピーダンスの位相が反転し、この自己共振周波数よりも高い周波数ではインピーダンスが減少して行く。調整したインダクタンス値が高いほど、この自己共振周波数は低くなるため、高い周波数でのノイズ抑制効果は減少する。
またインダクタは電流が印加されると磁界が発生する事から、電気ノイズを放射ノイズに変換し、磁界が印加されると電流が発生する事から、放射ノイズと電気ノイズの変換が行われるため、特に高周波帯域のノイズ抑制には、開磁路タイプ(オープンタイプ)のパワーチョークはノイズ抑制の点では不利であり、閉磁路タイプのパワーチョークを用いるべきである。
このように、特許文献2に記載の開磁路タイプのパワーチョークは、低周波帯域のノイズ抑制効果には絶大な効果を発揮する一方で、高周波帯域のノイズ抑制の阻害要素になる。
近年、基板を用いた装置の組立工程では、無はんだ方式の圧入型の「プレスフィットコネクタ」の採用が増えている。従来のコネクタは、基板への搭載時にはんだ付けにて接続しているのに対して、プレスフィットコネクタでは圧入による簡便な方法で搭載することができ、更にはんだ塗布工程やリフロー工程を無くすことができる。ブラシ付きDCモータのエンドキャップアセンブリにも基板が用いられており、その組立工程に、この無はんだ方式を採用できれば、使用エネルギー量を減らし、製造コストの大幅な削減につながる。
本発明の目的は、主に車載機器向けのエミッション規格( CISPR25 クラス5の要求に対応し、広帯域のノイズ抑制効果のある、電気的ノイズ抑制回路、及びそれを備えたブラシ付きDCモータを提供することにある。判定クラスは1~5まであり、5が一番厳しい要求となっている。
本発明の他の目的は、電気的ノイズ抑制回路を備えたブラシ付きDCモータのエンドキャップアセンブリを、可能な限り無はんだ接続を実現可能な組み立て構造とすることにより、環境的にエコな製造工程を確立し、製造コストの大幅な低減を実現することにある。
本発明の一態様によれば、ブラシ付きDCモータ用の電気的ノイズ抑制回路は、
前記DCモータの一対のブラシと電源を接続する一対の電源線間に接続される第1のLCフィルタと、前記第1のLCフィルタと前記一対のブラシとを接続する前記一対の電源線間に接続される、第2のLCフィルタとを備え、前記第1のLCフィルタは、一対のパワーインダクタ(L1,L2)と一個のアクロスザラインコンデンサ(CX)を含んでおり、前記第2のLCフィルタは、フェライトビーズモジュールと一対のラインバイパスコンデンサ(C1,C2)とを含んでおり、
前記フェライトビーズモジュールは、第1のフェライトビーズ(FB1)、第2のフェライトビーズ(FB2)、及び第3のフェライトビーズ(FB3)を含んでおり、前記第1のフェライトビーズ及び前記第2のフェライトビーズが、各々、前記DCモータの一対のブラシと前記一対のパワーインダクタの反電源側の一対のノードとの間に直列に接続されており、
前記一対のコンデンサ(C1,C2)が、前記一対の電源線のノード間に接続されており、前記第3のフェライトビーズが、前記一対のラインバイパスコンデンサ(C1,C2)の接続ノード(N)と前記DCモータの接地ノードに接続されるアース線との間に接続されている。
本発明を実施したブラシ付きDCモータについて、具体的に検証した例によれば、ノイズ対策が必要な周波数帯域として、100MHz付近と1GHzを超える周波数帯域においてはコモンモードノイズが支配的であり、3MHz以下においてはディファレンシャルモードノイズが支配的であった。このことから、より高周波に対応するコモンモードフィルタの役割としてのフェライトビーズ(FB1、FB2、FB3)とCコンデンサ(ラインバイパスコンデンサ)をモータのノイズ源近くに配置し、より低周波に対応するディファレンシャルモードフィルタの役割としてのパワーインダクタ(ノーマルモードチョークコイル)とCxコンデンサ(アクロスザラインコンデンサ)をモータの電源側に配置することにより、広帯域にわたって良好なノイズ抑制の結果を得ることができた。
本発明によれば、(CISPR25)CLASS5の要求をクリア可能な、電気的ノイズ抑制回路、及びそれを備えた、ブラシ付きDCモータを提供することができる。
本発明によれば、電源側にパワーインダクタ(L1,L2)、モータ側にフェライトビーズモジュールを配置することにより、ノイズ対策が必要な周波数帯域での、モータハウジングから見た電源線までのインピーダンス特性は、フェライトビーズ(FB3)+パワーインダクタ(L1,L2)になるので、アース線のインピーダンスより十分大きな値にすることができる。この時フェライトビーズは小さな値のままで良いので、コモンモードノイズの除去に支障をきたさない。
また、電源側に配置したパワーインダクタ(L1,L2)は、高い周波数帯域のノイズ抑制にも有利な閉磁路タイプを使用する事が望ましい。
本発明の他の態様によれば、エンドキャップアセンブリの構成部材の組み立てに関して、一方向からの部品取り付けと、端子類のはんだ溶接からプレスフィットへの置き換えにより、はんだ接続の使用を低減することで、使用エネルギー量を減らし、環境的にエコな製造工程を確立し、製造コストの大幅な低減を実現する、ブラシ付きDCモータを提供することができる。
本発明の一実施例になる電気的ノイズ抑制回路を備えた、ブラシ付きDCモータのエンドキャップアセンブリの斜視図である。 図1に示した実施例における、電気的ノイズ抑制回路の構成を示す図である。 図1のエンドキャップアセンブリの分解図である。 図3のエンドキャップアセンブリを、背面側から見た分解図である。 図1のエンドキャップアセンブリにおける、エンドキャップの斜視図である 図1のエンドキャップアセンブリにおける、プリント基板アセンブリの斜視図である。 図6Aのフェライトビーズモジュールの平面図である。 図6BのC-C断面図である。 図1のエンドキャップアセンブリが組み込まれた、ブラシ付きDCモータの分解斜視図である。 図2の電気的ノイズ抑制回路におけるノイズ抑制の作用を説明する図である。 図2の電気的ノイズ抑制回路におけるノイズ抑制の作用を説明する図である。 図2の電気的ノイズ抑制回路におけるノイズ抑制の作用を説明する図である。 図2の電気的ノイズ抑制回路におけるノイズ抑制の作用を説明する図である。 本発明の他の実施例になる電気的ノイズ抑制回路を備えた、ブラシ付きDCモータのエンドキャップアセンブリの斜視図である。 図12のプリント基板アセンブリの斜視図である。 図12に示した実施例における、電気的ノイズ抑制回路の構成を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例になる、電気的ノイズ抑制回路、及びそれを備えたブラシ付きDCモータの構成について、説明する。
まず、図1~図7を参照しながら、本発明の一実施例になる、電気的ノイズ抑制回路を有するブラシ付きDCモータの構成について、説明する。
図1は、本発明の一実施例になる電気的ノイズ抑制回路を備えた、ブラシ付きDCモータのエンドキャップアセンブリの斜視図である。
エンドキャップアセンブリ100は、導電性樹脂からなる中空円板状のシールドキャップ110と導電性樹脂からなるブラケット(エンドキャップサブアセンブリ)150の間に、絶縁性のエンドキャップ120と、両面2層基板を有するプリント基板アセンブリ130とが設けられている。
ブラケット150は、DCモータ10の内側すなわちコンミテータ202(図7参照)の側に配置され、シールドキャップ110はDCモータ10の外側すなわちモータの側端面に面して配置されている。102は、ブラシ付きDCモータ10の回転軸を支える軸受けを保持する、軸受け用の穴である。制振機能付与樹脂製のエンドキャップ120には、コンミテータ202に摺接する一対のブラシ122が、ブラシホルダー123(図5参照)に半径方向に摺動自在に保持されている。各ブラシ122は、ピグテール160を介してピグテール端子162(図2の回路図ではノードN、Nと表示)に接続され、このピグテール端子は、プリント基板アセンブリ130に設けられたEMC回路132(図2参照)及びフェライトビーズモジュール140等を介して、シールドキャップ110の外側に延びる一対の電源線170に接続されている。一対のブラシ122は、それが摩耗してもコンミテータ202との接触を維持するために、コイルバネ124によって付勢されている。180は、異常発生時に熱を感知して電源回路を開放するためのバイメタルスイッチである。
なお、エンドキャップアセンブリの内部に電磁波シールドを目的に導電性の金属を挿入するとモータの固有振動と共振現象が起こるため音圧ノイズレベルが悪化する。そのため、本実施例では、シールドキャップ110やブラケット150の材料に、1000Hz以下の制振周波数帯域に共振周波数を持っていない導電性樹脂を採用することで、音圧ノイズレベルが悪化しないようにしている。
図2は、本発明の一実施例における、電気的ノイズ抑制回路、すなわち、EMC回路132の詳細を示す図である。なお、N~N12は、ノードを示している。
モータのロータアセンブリ200は、コンミテータ202を備えている。EMC回路132は、一対のブラシ122に接続された各ピグテール160と、電源190に接続される一対の電源線170、170間に接続されている。
本実施例では、両面実装型のプリント基板アセンブリ130に設けられたEMC回路132は、電磁波シールド特性の向上を目的に、軸方向の両面が、導通材料(シールドキャップ110とブラケット150)で覆われている。すなわち、EMC回路132は、ノイズ源から隔離され、導通材料(シールドキャップ110、ブラケット150、モータハウジング300)で覆われている(図1参照)。
パワーインダクタL1、L2とロータアセンブリ200の間には、EMC回路132の一部を構成するフェライトビーズモジュール140が接続され、フェライトビーズの素子と複数のコンデンサCx1、C1~C4(C(Yコン))により、複数段のLCフィルタが形成されている。フィルタ回路は、第1のLCフィルタと第2のLCフィルタとを有し、第1のLCフィルタは、パワーインダクタL1(134)、L2(136)を含み、一対の電源線170、170と、一対のノードN、Nの間に接続されている。また、第2のLCフィルタは、一対のノードN、Nと、一対のブラシ側のノードN、Nの間に接続されている。すなわち、パワーインダクタL1、L2は、電源190に近く、ロータアセンブリ200からは遠い側に接続されている。
第1のLCフィルタは、ノードN、NとノードN、Nとの間に接続された一対のパワーインダクタ(L1,L2)と、ノードN、N間に接続された1個のアクロスザラインコンデンサCx1で構成されている。第1のLCフィルタは、主に、200MHz以下の低周波のノイズを抑制する、ローパスフィルタである。
一方、第2のLCフィルタは、フェライトビーズモジュール140と一対のラインバイパスコンデンサ(Cy1,Cy2)とを含んでいる。第2のLCフィルタは、さらに、一対のラインバイパスコンデンサ(Cy3,Cy4)を含んでいる。第2のLCフィルタは、主に、第1のLCフィルタより高周波のノイズを抑制する、ローパスフィルタである。また、より小さな値のC(Yコン)(10nF以下)をノイズ源(カーボンブラシ)の近くに配置することによって高周波ノイズを効果的に抑制することができる。
フェライトビーズモジュール140は、ノードN、Nと、これらよりロータアセンブリ200側のノードN、Nの間に接続された、第1のフェライトビーズ(FB1),第2のフェライトビーズ(FB2),及び、ノードNとノードN10の間に接続された第3のフェライトビーズ(FB3)からなっている。
電源線170、170に直列に、すなわち、ノードNとN、ノードNとNの間に接続された第1,第2のフェライトビーズ(FB1,FB2)は、第1のLCフィルタよりも周波数の高い、ローパスフィルタとして働き、電源線に重畳される高周波の電気的ノイズを取り除くことができる。
第3のフェライトビーズ(FB3)は、一対のコンデンサ(Cy1,Cy2)を接続するノードNと、一対のコンデンサ(Cy3,Cy4)を接続するノードN10とに接続されている。
一対のコンデンサ(Cy1,Cy2)は、主に高周波のノイズを通過させるハイパスフィルタとして機能し、第3のフェライトビーズ(FB3)は、通過したノイズを減衰させる機能を果たす。
第3のフェライトビーズ(FB3)が接続されたノードN10は、これに接続された回路に形成されたグランド線173及び接地線172を介して、接地される(ノードN12)構成となっている。すなわち、フェライトビーズFB3は、モータハウジング300とは接続されない。例えば、このモータが自動車に搭載される機器である場合には、この接地線172がモータの外部の自動車側の接地線に直接繋がれる。
モータ側のノードN、N間には、VR1(バリスタ)が挿入され、これにより、EMC回路のフィルタ効果を阻害する高いサージ電圧が回路に突入しないように構成されている。
本発明では、電源側に挿入されるインダクタンスとして、従来の開示路タイプのチョークコイルではなく、閉磁路タイプのインダクタ(L1、L2)を採用することにより、高周波帯域での放射ノイズを抑えることができる。
これらのパワーインダクタL1,L2は、一般的にはディファレンシャルモードノイズ(ノーマルモードノイズと呼ばれる)を除去する役割を担う、インダクタ素子である。
なお、パワーインダクタL1及びL2は、同じ構成若しくは実質的に同じ構成とし、従って、それらのインピーダンスも実質的に等しくするのが望ましい。同様に、第1のフェライトビーズ(FB1)と第2のフェライトビーズ(FB2)も実質的に同じ構成とし、それらのインピーダンスも実質的に等しくするのが望ましい。そのため、本明細書で、(L1,L2のインピーダンス)とある記載は、(L1(又はL2)のインピーダンス)の意味である。同様に、(FB1、FB2)のインピーダンス)は、(FB1(又はFB2)のインピーダンス)の意味である。
本発明の一実施例によれば、ノイズ対策が必要な周波数帯域での、パワーインダクタ(L1,L2)のインピーダンス、第3のフェライトビーズ(FB3)のインピーダンス、及びアース線のインピーダンスには、次のような関係がある。なお、「ノイズ対策が必要な周波数帯域」は、ブラシ付きDCモータ10の仕様や、このDCモータの用途、運転条件、使用環境等に応じて、決定される。
(L1,L2のインピーダンス+FB3のインピーダンス)>(アース線のインピーダンス)>(FB3のインピーダンス)
さらに、ノイズ対策が必要な周波数帯域での、L1,L2のインピーダンスとFB1、FB2のインピーダンスには、次のような関係がある。
(L1,L2のインピーダンス)>(FB1,FB2のインピーダンス)
電磁波ノイズは高周波になるほど空間に放射されやすくなる。さらに高周波に対応できる素子は容量が小さく、回路パターンの引き回しが長くなるほど基板などのストレー(寄生成分)の影響を受けやすくなる。これらのことにより、高周波に対応した素子は可能な限りノイズ源に近づけた方が望ましく、その素子の特性を十分に引き出すことが期待できる。
本発明によれば、電源側にパワーインダクタ(L1,L2)、モータ側にフェライトビーズモジュールを配置することにより、ノイズ対策が必要な周波数帯域での、モータハウジングから見た電源線までのインピーダンス特性は、フェライトビーズ(FB3)+パワーインダクタ(L1,L2)になるので、接地線172のインピーダンスより十分大きな値にすることができる。この時フェライトビーズのインピーダンスは小さな値のままで良いので、コモンモードノイズの除去に支障をきたさない。
また、広帯域のノイズ抑制効果を高めるために、LCフィルタを形成する必要があるが、本発明によれば、ノイズの発生パターンに合わせて、LCフィルタが複数段(第1、第2のLCフィルタ)形成されている。第1のLCフィルタに、1μF程度のCxコンデンサを挿入することにより、低周波数帯域のディファレンシャルモードのノイズを抑制することができる。また、用途によっては、低周波数帯域にLCフィルタを形成することにより、Cxコンデンサの容量を小さくすることもできる。
次に、エンドキャップアセンブリ100の構造について、詳細に説明する。図3は、図1のエンドキャップアセンブリの分解図であり、図4は、図3のエンドキャップアセンブリを、背面側から見た分解図である。更に、図5は、エンドキャップ120の斜視図である。
シールドキャップ110には、エンドキャップ120、ピグテール端子162、電源線170の端子などの各部材の固定に、はんだ溶接を使用せず、圧入、係止等の機械的な結合力を利用して保持、固定するために、第1の係止部112、第1の端子用穴114、連結ピン116等が設けられている。なお、図2に示したEMC回路132の各構成要素は、基板アセンブリ130の所定位置にはんだ溶接される。
エンドキャップ120は、軸方向に延びた厚肉のブラシ保持領域121と、インナーケーシング127と、薄板状の基板保持部128とが一体に形成されている(図5参照)。ブラシ保持領域121は、平面視で約90度程度の角度を有し、この角度の範囲内に、ブラシホルダー123、コイルバネ124、バネ保持柱125及びバイメタルスイッチ保持穴126等が設けられている。他方、基板保持部128は、平面視で約270度程度の角度θを有している。換言すると、基板保持部128は、略C字型の平坦部を有し、ここにプリント基板アセンブリ130とブラケット150を保持、固定するための、第2の端子用穴129a、第2の係止部129bなどが設けられている。
図3~図5から明らかなとおり、本発明のエンドキャップアセンブリ100は、シールドキャップ110の上に、エンドキャップ120、プリント基板アセンブリ130、ブラケット150を順次、重ね、係止部や端子用穴等を利用し、はんだ溶接を極力使用せず、篏合加圧に等により、相互に固定し、一体化される。
図6Aは、プリント基板アセンブリ130の斜視図である。このプリント基板アセンブリ130の基板は、シールドキャップ110と、エンドキャップ120と、ブラケット150とで覆われるように構成されている。
プリント基板アセンブリ130の基板の両端の近くの穴に、EMC回路132と接続されるピグテール端子162が挿入される。プリント基板アセンブリ130の基板の一方の面側に、パワーインダクタL1(134),フェライトビーズモジュール140(FB1,FB2,FB3)、パワーインダクタL2(136)が離間して装着されている。パワーインダクタL1,L2の裏側から基板の下方に電源線170が伸び、フェライトビーズモジュール(FB3)の裏側から基板の下方に、グランド線173に接続された接地線172が伸びている。更に、基板のピグテール端子162の1つに近接して、バイメタル端子180が装着される(図3参照)。
フェライトビーズモジュール140は、第1のフェライトビーズ(FB1)142と第2のフェライトビーズ(FB2)144の間に,第3のフェライトビーズ(FB3)が配置され、これらは1つの素子として、一体に形成されている。
図6B、図6Cに示すように、フェライトビーズモジュール140(FB1,FB2,FB3)は、一個の直方体状のフェライトすなわち磁性セラミックスから、ビーズ状すなわち、中空部1480の構造を持つ素子として製造されている。第1~第3のフェライトビーズ142,144,146(FB1,FB2,FB3)に対応する、3本のリード線1420が、1個のフェライト素体148に設けられた左右の中空部1480を通って延びている。いずれかのリード線1420に電流が流れると、対応するフェライトビーズの中に磁束が発生し、インダクタとして機能する。
本発明の1つの態様によれば、このフェライトビーズモジュール140は、プリント基板の表面に直接実装できるように、リード型表面実装部品として構成されている。すなわち、第1~第3のフェライトビーズ142,144,146(FB1,FB2,FB3)に対応する、3本のリード線1420は、各々、矩形(長方形若しくは正方形)の下辺が不連続となった門型の形状であり、1個の直方体状のフェライト素体148の中に、3本のリード線が離間して等間隔に設けられた左右の3つの中空部1480を通って延びるように構成されている。リード線の上辺はフェライト素体148の上側に露出し、リード線の両下端部が、例えば長方形の、平坦な底面を有する、一対の接続端子1422、1424として構成されている。この接続端子の底面に対応して、プリント基板アセンブリ130の基板の表面に、EMC回路132の一部を構成する、例えば長方形の、ランドパターン1330が設けられており、各接続端子1422,1424がランドパターン1330にはんだ接続される。
なお、リード線1420やランドパターンの形状は、矩形や長方形に限定されるものではなく、フェライトビーズモジュールとしての機能を発揮するものであれば他の形状でも良い。
このように、第1~第3のフェライトビーズ142,144,146(FB1,FB2,FB3)を1つの素子とする(パッケージ化する)ことで、基板実装面積の縮小と材料コストダウンを図ることができる。
フェライトビーズモジュール140は、フェライトの高さ寸法を変更することによってL値や周波数特性を調整可能である。また、フェライト材質の変更によりL値や周波数特性を調整することも可能である。
本発明によれば、3個のフェライトビーズを1つの素子とする(パッケージ化)ことで、基板実装面積の縮小と材料のコストダウンを図ることができる。自動車用のDCモータに使用されるフェライトビーズモジュールのサイズは、一例として、幅が4.0mm、長さ5.7mm、高さ3.7mmであり、各ランドパターンの幅が1.0mm、長さが2.2mm、各ランドパターンの間隔が1.9mmである。ランドパターンの面積は極小さいため、はんだ溶接の使用は最小限に抑えることができる。
フェライトビーズFB1,FB2とフェライトビーズFB3は、それらのインピーダンス特性を、DCモータが使用される環境に応じて、適宜設定すればよい。
1つの望ましい形態として、フェライトビーズFB1,FB2,FB3は、1つの直方体状のセラミックスから成り立つので、ランドパターンの形状やインピーダンス特性も似通ったものである。これらのフェライトビーズについて、3個の別個体の素子を用いるには部材のコストの上昇を伴う。コストダウンの観点から、実用上は、これらが実質的に同程度の特性であればよい。
フェライトビーズFB1,FB2、FB3をリード型のフェライトビーズとすることで、積層型のフェライトビーズに比べて、次のような利点がある。
(1)大電流を印加できる。(2)特性アレンジが容易。(3)形状のアレンジに融通が利く。
他方、積層型のフェライトビーズと比べると、高いインピーダンスを実現するには製品が大型化するという不利な点がある。しかし、本発明の場合、フェライトビーズFB3は、グランド線173(回路に形成されたGND線)、接地線172の寄生インダクタンスL4に対して比較的小さなインピーダンスを有するものであれば足りるので、この点は、特に問題とはならない。
図7は、図1のエンドキャップアセンブリが組み込まれた、ブラシ付きDCモータの分解斜視図である。ブラシ付きDCモータ10は、エンドキャップアセンブリ100、モータのロータアセンブリ200、及び、金属製でカップ型のモータハウジング300で構成されている。ロータアセンブリ200は、コンミテータ202及びロータコイル204を備えている。コンミテータ202と一対のブラシ122が対応する位置関係となるようにして、エンドキャップアセンブリ100のブラケット150が、モータハウジング300の開口端からその内側に挿入されて固定される。
エンドキャップアセンブリ100は、端子類をはんだ溶接からプレスフィットへ置き換え、かつ、一方向からの部品取り付けを可能とすることにより、環境負荷の低減と、組立工程の自動化による製造コスト削減が図られている。
まず、図3、図4に示したように、所定の位置関係を保持した状態で、導通性のシールドキャップ110が、圧入により、エンドキャップ120に組付けられる。二点鎖線は、相互に組付けられる部材の対応関係を示している。次に、プリント基板アセンブリ130の基板に、圧入によるプレスフィット等により、3つの素子類(L1,L2,フェライトビーズ(FB))が、接続・固定される。そして、プリント基板アセンブリ130の電源線170や接地線172の各端子を各々対応するシールドキャップ110やエンドキャップ120の穴を介して通し、プリント基板アセンブリ130の基板をエンドキャップ120に組付ける。さらに、ピグテール端子162を、各々対応するブラケット150の穴を通し、エンドキャップ120の所定の接続穴に通し、圧入によるプレスフィットにより固定する。バイメタルスイッチは、スポット溶接により、固定される。
このようにして、多くの部品を使用した広帯域のノイズ抑制効果のあるEMC回路を備えたエンドキャップアセンブリについて、はんだを極力使用せず、プレスフィットにより組み立てることにより、環境負荷の低減と、その製造コストを削減することができる。
次に、本発明の電気的ノイズ抑制回路の、ノイズ抑制作用について説明する。本発明は、「ノイズのGNDへの侵入」の発見に基づく、「その対策方法」の発明に特徴がある。従来のモータの一般的なノイズ対策は、電源線に対してコンデンサやインダクタを配置し、GNDはノイズを逃がす部分として取り扱われている。また、ノイズが発生していてもアースと接続することによって、容易にアースへノイズを逃がしてやることができるかのように取り扱われている。しかし、アースとGND間、あるいはGNDと電源線間にフェライトビーズを入れた場合、ノイズの対策方法としては不十分である。なぜならば、従来のノイズ対策では、インダクタL1、L2がモータ側に挿入されるのが一般的であり、電源側にインダクタがないため、GNDに侵入したノイズはフェライトビーズを介して容易に電源線170を伝わり電源端子に流れ込んでしまう。
以下、図8~図11を参照しながら、本発明の一実施例によるノイズ抑制の作用について説明する。以下では、本発明の電気的ノイズ抑制回路が、エミッション規格(CISPR25)CLASS5の要求に十分に対応しうるものであることを説明する。
モータの電磁ノイズは、DCモータ10の回転に伴う電流の切り替わり時に、ブラシ122とコンミテータ202間にスパークが発生することによって発生する。
この電磁ノイズは、電気信号として両ブラシに発生し、ピグテール端子162(ノードN、N)から電源線170、170を経てノイズ抑制回路内に侵入するだけではなく、空間にも放射される。
気中に放射されたノイズの一部は、モータハウジング300などの金属によって再度電気的な信号に戻り、電気的ノイズとしてモータハウジングとは非接続のグランド線173(回路に形成されたGND線)及びノードN11-N、N、N等を介して、第1、第2のフィルタ回路や電源線170、170へ侵入する。
本発明の特徴の1つは、電源線170、170の電源側にパワーインダクタ(L1,L2)、モータ側にフェライトビーズモジュール(FB1,FB2、FB3)を配置したことにある。
図8で、太い矢印で示したものは、電源線170、170のモータ側にFB1,FB2が存在し、FB3は無く、電源側にインダクタL1、L2が存在する場合の、モータノイズ(コモンモードノイズ及びディファレンシャルモードノイズ)の侵入経路のイメージである。
電源線170、170のモータ側には、FB1,FB2を含む第2のLCフィルタが存在しているため、電源線170、170を介して電源側へ侵入する放射ノイズは減衰され、さらに、第1のLCフィルタで減衰・阻止される。
一方、放射されたノイズは、基板に比較的広く設けられたグランド線173上でも電気的ノイズを誘起する。そのため、基板回路に形成されたグランド線173は電気的に独立されていても、アース電位にノイズが重畳されたものとして考えなければならない(この状態を、ライン174で表示)。すなわち、モータハウジング300は、放射ノイズに対し、ライン174、回路に形成されたグランド線173及び接地線172を介して、接地された状態になる。しかし、実際には回路に形成されたグランド線173には、寄生インダクタンス成分L4が存在し、この寄生インダクタンスL4は、周波数が高くなるほど大きなインピーダンスを持つため、高周波のノイズが、第1、第2のフィルタ回路、さらには電源側へ侵入する可能性がある。
本発明のさらなる特徴は、ノイズ対策が必要な周波数帯域での、フェライトビーズ(FB3)のインピーダンスが、接地線172の寄生インダクタンスL4によって発生するインピーダンスよりも小さいことである。
これにより、モータハウジング300から見た電源線170、170までのインピーダンス特性は、(フェライトビーズ(FB3)+パワーインダクタ(L1,L2))となり、その値を、モータハウジング300から見た回路に形成されたグランド線173のインピーダンスより十分大きな値にすることができる。
その結果、放射ノイズの発生時に、ライン174、回路に形成されたグランド線173及び接地線172を介して、モータハウジング300を確実に接地状態とすることができる。この時フェライトビーズ(FB3)のインピーダンスは小さな値のままで良いので、コモンモードノイズの除去に支障をきたさない。
本発明の他の特徴は、図9に示したように、第2のLCフィルタを構成する2個のC(Yコン)、すなわち、C1、C2の間に、第3のフェライトビーズ(FB3)が接続されていることである。
第3のフェライトビーズ(FB3)がない場合は、モータハウジング300のノイズが、回路に形成されたグランド線173からノードNを介してそのままC(Yコン)、すなわち、Cy1、Cy2に入るため、ノイズ抑制が不十分になる。Cy1、Cy2とグランド線173の間に第3のフェライトビーズ(FB3)を接続することにより、モータハウジング300のノイズがCy1、Cy2に侵入するのを阻止できる。
逆に接地線172より大きなインピーダンスを持つフェライトビーズ(FB3)を回路に形成されたグランド線173に接続すると、ノイズを、ノードN、N10から回路に形成されたグランド線173、接地線172を介してアースに通過させることができなくなるため、コモンモードノイズが除去できなくなる。
そのため、ノイズ対策が必要な周波数帯域での、パワーインダクタ(L1,L2)のインピーダンス、第3のフェライトビーズ(FB3)のインピーダンス、及びアース線のインピーダンスは、次の条件を満たすのが望ましい。
(L1,L2のインピーダンス+FB3のインピーダンス)>(アース線のインピーダンス)>(FB3のインピーダンス)
これにより、モータハウジング300からノードN11及び回路に形成されたグランド線173を経て侵入した電気的ノイズを、この回路に形成されたグランド線173を経て接地線172へ通過させつつ、電源線への侵入は制限することができる。
また、本実施例によれば、電源線の出口側にパワーインダクタL1、L2(あるいはコモンモードフィルタ)が配置されている。すなわち、モータハウジング300から見た電源線までのインピーダンスは、(フェライトビーズ+パワーインダクタ)のインピーダンスになるので、接地線172のインピーダンスより十分大きな値となっている。
そのため、図10に示したように、ノードN、Nからノイズ抑制回路に侵入した高周波の電磁波ノイズは、パワーインダクタL1、L2により、電源線170、170を経て電源190へ侵入するのを阻止される。すなわち、ブラシ122とコンミテータ202間に発生し、ノードN、ノードN及び電源線170、170を経て侵入した電気的ノイズ、及び、モータハウジング300からノードN11及び回路に形成されたグランド線173を経て侵入した電気的ノイズは、回路に形成されたグランド線173を経て接地線172へ通過する。よって、電源線への電気的ノイズの侵入を制限することができる。この時、フェライトビーズFB1、FB2のインピーダンスはパワーインダクタL1、L2のインピーダンスに比べて小さな値で良いので、コモンモードノイズの除去に支障をきたさない。
次に、図11で、2個のC(Yコン)を設けたことによる、放射ノイズ抑制の効果について、説明する。本発明の実施例によれば、電源側にパワーインダクタ(L1,L2)、モータ側にフェライトビーズモジュールを配置した構成に加えて、その手前に2個のC(Yコン)、すなわち、Cy3、Cy4が配置されている。より小さな値のYコン(Cy3、Cy4)をノイズ源の近くに配置することによって高周波ノイズを効果的に抑制することができる。LCフィルタの回路は、LC-LCというように、多段のLとCが交互に配置されることにより各部品の効果が向上し、且つ、広帯域のノイズ抑制効果を高めるため、ノイズの発生パターンに合わせて異なった定数のLCフィルタを組み合わせることにより、ノイズを効果的に抑制することをフレキシブルに実現できる。
以上述べたとおり、本発明の第1の実施例によれば、(CISPR25)CLASS5の要求をクリアできる、電気的ノイズ抑制回路、及びそれを備えたブラシ付きDCモータを提供することができる。
次に、図12~図14を参照しながら、本発明の第2の実施例になる、電気的ノイズ抑制回路、及びそれを備えたブラシ付きDCモータについて、説明する。
図12は、本発明の第2の実施例になる電気的ノイズ抑制回路を備えた、ブラシ付きDCモータのエンドキャップアセンブリの斜視図である。また、図13は、図12のプリント基板アセンブリの斜視図である。さらに、図14は、第2の実施例になる電気的ノイズ抑制回路の構成を示す図である。
この実施例では、第1の実施例の構成に加えて、第3フェライトビーズ(FB3)が、ノードN13から、第2の接地線164を介して、エンドキャップアセンブリ100のシールドキャップ110(ノードN14)に接続されている。
第2の実施例では、接地線として、電源線170の間にある(第1の)接地線172と、第2の接地線164とを併用している。このように構成することで、伝導ノイズレベルが抑制される効果がある。一方で、放射ノイズレベルの抑制効果が劣化する。そのため、DCモータの使用される環境が、放射ノイズレベルの抑制よりも、伝導ノイズレベルの抑制がより重要である場合に、この実施例を採用するのが適している。
このように、本発明の第2の実施例によれば、(CISPR25)CLASS5の要求をクリアできる、電気的ノイズ抑制回路、及びそれを備えたブラシ付きDCモータを提供することができる。
10 ブラシ付きDCモータ
100 エンドキャップアセンブリ
102 軸受け用穴
110 シールドキャップ
112 第1の係止部
114 第1の端子用穴
116 連結ピン
120 エンドキャップ
121 ブラシ等保持領域
122 ブラシ
123 ブラシホルダー
124 コイルバネ
125 バネ保持柱
126 バイメタルスイッチ保持穴
127 インナーケーシング
128 基板保持部
129a 第2の端子用穴
129b 第2の係止部
130 プリント基板アセンブリ
132 EMC回路
1330 ランドパターン
134 パワーインダクタ
136 パワーインダクタ
140 フェライトビーズモジュール
142(FB1) 第1フェライトビーズ
144(FB2) 第2フェライトビーズ
146(FB3) 第3フェライトビーズ
148 フェライト素子
1480 中空部
150 ブラケット(エンドキャップサブアセンブリ)
160 ピグテール
162 ピグテール端子(ノードN、N
164 第2の接地線
170 電源線
172 (第1の)接地線
173 グランド線
180 バイメタルスイッチ
190 電源
200 モータのロータアセンブリ
202 コンミテータ
204 ロータコイル巻き線
300 モータハウジング
1420 リード線
1422 接続端子
1424 接続端子
1480 中空部
Cx1 コンデンサ
1~C4 コンデンサ
L1、L2 パワーインダクタ
L4 寄生インダクタンス
~N14 ノード

Claims (9)

  1. ブラシ付きDCモータ用の電気的ノイズ抑制回路であって、
    前記DCモータの一対のブラシと電源を接続する一対の電源線間に接続される第1のLCフィルタと、
    前記第1のLCフィルタと前記一対のブラシとを接続する前記一対の電源線間に接続される、第2のLCフィルタとを備え、
    前記第1のLCフィルタは、一対のパワーインダクタ(L1,L2)と一個のアクロスザラインコンデンサ(Cx)を含んでおり、
    前記第2のLCフィルタは、フェライトビーズモジュールと一対のラインバイパスコンデンサ(C1,C2)とを含んでおり、
    前記フェライトビーズモジュールは、第1のフェライトビーズ、第2のフェライトビーズ、及び第3のフェライトビーズを含んでおり、
    前記第1のフェライトビーズ及び前記第2のフェライトビーズが、各々、前記DCモータの一対のブラシと前記一対のパワーインダクタの反電源側の一対のノードとの間に直列に接続されており、
    前記一対のラインバイパスコンデンサ(C1,C2)が、前記一対の電源線のノード間に接続されており、
    前記第3のフェライトビーズが、前記一対のラインバイパスコンデンサ(C1,C2)の接続ノード(N)と前記DCモータの接地ノードに接続されるアース線との間に接続されていることを特徴とする電気的ノイズ抑制回路。
  2. 請求項1において、
    前記第2のLCフィルタは、前記第1のフェライトビーズ及び前記第2のフェライトビーズと前記一対のブラシ側の前記電源線のノードとの間に接続された、一対の第2のラインバイパスコンデンサ(Cy3,Cy4)を含んでおり、
    前記第2のLCフィルタは、前記第1のLCフィルタよりも高い周波数に対するローパスフィルタとして機能するように構成されており、
    前記第3のフェライトビーズは、前記接続ノード(N)及び前記一対の第2のラインバイパスコンデンサ(Cy3,Cy4)の接続ノード(N10)を介して前記回路に形成されたグランド線に接続されていることを特徴とする電気的ノイズ抑制回路。
  3. 請求項1又は2のいずれか1項において、
    前記フェライトビーズモジュールは、前記第1のフェライトビーズ、前記第2のフェライトビーズ、及び前記第3のフェライトビーズに対応する、3本のリード線が、1個の直方体状のフェライトの中に離間して設けられた対応する中空部を通って各々延びていることを特徴とする電気的ノイズ抑制回路。
  4. 請求項1又は2のいずれか1項において、
    ノイズ対策が必要な周波数帯域での、前記パワーインダクタ(L1,L2)の各インピーダンスと、前記第1のフェライトビーズ及び前記第2のフェライトビーズの各インピーダンスには、
    (L1,L2のインピーダンス)>(FB1,FB2のインピーダンス)
    の関係があることを特徴とする電気的ノイズ抑制回路。
  5. 請求項4において、
    前記パワーインダクタ(L1,L2)、前記第3のフェライトビーズ(FB3)、及び前記アース線は、前記ノイズ対策が必要な周波数帯域での、それらの各インピーダンスが、
    (パワーインダクタ(L1,L2)のインピーダンス+第3のフェライトビーズのインピーダンス)>(回路に形成されたグランド線のインピーダンス)>(第3のフェライトビーズのインピーダンス)
    の関係があることを特徴とする電気的ノイズ抑制回路。
  6. エンドキャップアセンブリがモータハウジングに固定されたブラシ付きDCモータにおいて、
    前記エンドキャップアセンブリは、導電性樹脂からなる中空円板状のシールドキャップと、導電性樹脂からなるブラケット間に、絶縁性のエンドキャップとプリント基板アセンブリとが設けられおり、
    前記プリント基板アセンブリに、請求項1又は2のいずれか1項に記載の前記電気的ノイズ抑制回路が設置されていることを特徴とするブラシ付きDCモータ。
  7. 請求項6に記載のブラシ付きDCモータであって、
    前記第3のフェライトビーズが、第2の接地線を介して、前記シールドキャップに接続されていることを特徴とするブラシ付きDCモータ。
  8. 請求項6に記載のブラシ付きDCモータであって、
    前記フェライトビーズモジュールは、前記第1のフェライトビーズ、前記第2のフェライトビーズ、及び前記第3のフェライトビーズに対応する、3本のリード線が、1個の直方体状のフェライトの中に離間して設けられた対応する中空部を通って各々延びており、
    前記フェライトビーズモジュールの底面に、前記3本のリード線の各々に対応する平坦な接続端子が形成されており、
    前記プリント基板アセンブリの基板の表面に、前記各接続端子に対応する、ランドパターンの回路が設けられており、前記各接続端子が対応する前記ランドパターンの回路にはんだ付けされており、
    前記シールドキャップに、前記エンドキャップ、前記プリント基板アセンブリ、及び、前記ブラケットが、圧入によるプレスフィットにより固定されていることを特徴とするブラシ付きDCモータ。
  9. エンドキャップアセンブリがモータハウジングに固定されたブラシ付きDCモータであって、
    前記エンドキャップアセンブリは、導電性樹脂からなる中空円板状のシールドキャップと、導電性樹脂からなるブラケット間に、絶縁性のエンドキャップとプリント基板アセンブリとが設けられおり、
    請求項1又は2のいずれか1項に記載の前記電気的ノイズ抑制回路が前記プリント基板アセンブリに設けられており、前記シールドキャップに、前記エンドキャップ、前記プリント基板アセンブリ、及び、前記ブラケットが、圧入によるプレスフィットにより固定されていることを特徴とするブラシ付きDCモータ。
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