JP2024028820A - タンパク質治療薬をカプセル製剤化および徐放性製剤化を可能にするポリマーナノ粒子組成物 - Google Patents

タンパク質治療薬をカプセル製剤化および徐放性製剤化を可能にするポリマーナノ粒子組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】大量製造可能で再現性のある方法によりタンパク質治療薬のカプセル化および徐放性を可能にする、新規生分解性ナノ粒子プラットホームを提供する。【解決手段】以下を含むナノ粒子:タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体等の医薬品、及び対イオン・ポリマーを含む複合体、ここで、前記対イオン・ポリマーは、前記対イオン・ポリマーが前記医薬品に静電的に結合することを可能にする電荷を有する;並びに、生分解性ポリマー全体に分布する前記複合体を含むマトリックス。前記対イオン・ポリマーが、デキストラン硫酸(DS)、ヘパリン(ヘパリン硫酸)、ヒアルロン酸から選択され、前記生分解性ポリマーが、PEG-b-PLL;PEG-b-PCLから選択されることが好ましい。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は平成30年1月29日に出願された米国仮特許出願第62/623,018号の優先権を主張
するものであり、仮特許出願に言及されていたすべての目的、意図は本明細書に完全に組
み込まれ記載されている。
タンパク質治療薬は普及、増加している治療法である。モノクローナル抗体、レセプタ
ートラップ、増殖因子、デザイナータンパク質は、自己免疫疾患、がん、及び眼科疾患に
対してとりわけ重要な治療法となっている。アバスチン、エンブレル、リツキシマブ、ル
センティス、アイリーア、オプジーボ、キイトルーダ、等のタンパク質治療薬の年間販売
額は数十億ドルになる。これらのタンパク質薬剤は、製薬会社の開発パイプラインの大部
分を占め、その数も増加している。作用の標的への特異性が高いこと、及び標的外作用が
かなり低いことが、これタンパク質製剤を特に魅力的なものにしている。これらの治療法
の重要性が高まっているにもかかわらず、タンパク質製剤化で利用できる、空間時間的に
投薬プロフィールの制御を可能にするデリバリーベシクルは、未だ開発されていない。
抗体を含むタンパク質治療薬のデリバリーで、デリバリー・システムの成功に必要な条
件は、生分解性であること、高い封入能力があること、制御または持続的長期間の放出が
可能であること、タンパク質治療薬を長期間安定に維持可能であること、及び大規模製造
が可能な製造方法であることである。高い負荷能力は特に望ましいものである。。なぜな
ら、これらデリバリー物質の大部分は、インビボで高濃度になると健康な組織に副作用を
引き起こすかもしれないからである。高い負荷能力は同等の治療効果達成に必要なデリバ
リー物質の投薬量を低下することができるからだ。デリバリー物質の生分解性も薬剤法出
後、生分解され毒性が減少し、体外に取り除くための外科手術が不要になるので、望まし
いことである。インビボでのタンパク質治療薬が低安定であるため、長期間持続的に放出
するデリバリー・システムが体内の治療濃度を長期に維持するために必要とされる。この
システムにより投与頻度を減少させるであろう。さらに、調整、製剤化過程で、タンパク
質治療薬の生物学的活性を維持されねばならない。最後に、製造方法が簡単で、大規模化
が可能であることが、このようなデリバリー・システムの製造の信頼性、及び臨床応用に
とって重要である。例えば、長期ヒト成長ホルモンソマトロピン負荷注射可能なポリマー
デポであるニュートロピンデポはジェネンテック、及びアルカーメスによって市販されて
いたが、製造費が高すぎるために2004年に取り下げられた。
上述の主要な要件を満たすためにタンパク質デリバリー・システムの開発は大きく進歩
してきた。しかしながら、タンパク質治療薬の生物物理学的性質(すなわち、高水溶性、
高分子量、及び残留表面電荷)が、持続放出デバイスにカプセル化することをより困難に
している。タンパク質治療薬のために最も一般的に研究されているデリバリー・システム
は、ハイドロゲル、固形ポリマーナノまたはマイクロ粒子である。製剤化を最適化するた
めに、様々な調製方法が開発されている。これらのシステム、及び調製方法はタンパク質
治療薬のデリバリーで有望な結果が示されているが、ほとんどが、上記の要件のすべてを
同時に満たせていないものである。
ポリエチレングリコール(PEG)、ヒアルロン酸、デキストラン、アルギン酸塩およびゼ
ラチンのような親水性ポリマーから調製されたハイドロゲルシステムは、それらの親水性
および簡単なタンパク質負荷工程のために、タンパク質デリバリーの魅力的なプラットホ
ームであり、この簡単な負荷工程がタンパク質治療薬の変性を回避する。持続的放出プロ
フィールを達成するために、架橋結合によりネットワークを形成することが必要とされる
。架橋結合は共有結合、イオン性または疎水性相互作用によって達成される。タンパク質
治療薬のハイドロゲルからの放出速度は、負荷されたタンパク質治療薬分子の大きさと同
様に、ハイドロゲル中のメッシュ径およびポリマーの体積分率によって制御される。一般
に、小さなメッシュ径、高いポリマーの体積分率、および大きな分子量のタンパク質治療
薬よりなるハイドロゲルは、放出が遅くなる。ハイドロゲル系の限界は、使用されるデリ
バリー物質の親水性の性質のため、持続的長期放出を達成することが困難であることであ
る。
タンパク質デリバリーのために広く使用されている別の担体系は、疎水性または両親媒
性ポリマーによって調製されたナノ/マイクロ粒子である。ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリ
コール酸)(PGA)、およびそれらの共重合体、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)は、それ
らの生体適合性および生分解性が調整可能であるため、粒子調製に最も広く使用されてい
るポリマーである。ナノ/マイクロ粒子にタンパク質を負荷するために最も一般的に使用
される方法は、水/油/水(w/o/w)エマルジョンシステムが形成される二重エマルジョン方
法である。その構造は、油相が水非混和性有機溶媒に溶解された担体ポリマーの溶液、第
1の水相はタンパク質治療薬の水溶液、第2の水相は分散相としての水溶液の3相よりなっ
ている。いくつかの稀な場合には、代わりに固体/油/水(s/o/w)システムが形成され、第1
の水相は有機溶媒中のポリマー溶液中に分散された固形タンパク質粒子で置き換えられる
。いずれの場合も、二重エマルジョン系は、有機溶媒が次第に蒸発または抽出される間、
安定に保たれ、タンパク質液を内部に捕捉する固形ポリマー粒子を生成する。ハイドロゲ
ルと比較して、このシステムは、タンパク質の疎水性物質を通る拡散が無視できるので、
カプセル化タンパク質治療薬の放出速度は、ポリマーマトリクスの分解速度に大きく依存
することになり、放出持続時間を延長できるという長所を有する。しかし、この工程では
、負荷量が極端に少なくなる。さらに、この方法で使用される有機溶媒およびポリマー基
質中の疎水性環境は、負荷されたタンパク質治療薬の変性の危険性を増大させる。これら
の粒子に負荷されたタンパク質の放出は、特徴的な3相よりなる。1.破裂放出、2.放
出休止、3.放出速度が変動しやすい持続放出。このような放出特性では、インビボで期
待する治療結果を得ることが困難であった。
近年、Prud'hommeグループはフラッシュ・ナノ沈殿法(FNP)を用い、タンパク質負荷ナ
ノ粒子を調製する方法を開発し、ナノ粒子のタンパク質負荷量を増大させた[非特許文献1
]。FNPは、拘束衝突ジェット(CIJ)、又はマルチインレットボルテックスミキサー(MIVM)
を利用し、製造工程速度を制御することで、継続的かつ大量製造可能な方式でのナノ粒子
生成を可能にした。FNPは小分子量の疎水性薬物を効果的にナノ粒子カプセル化するため
に使用されてきた。FNP法を改良することで、タンパク質治療薬と両親媒性共重合体を、D
MSOまたはメタノールなどの水混和性有機溶媒中に一緒に溶解したものと、クロロホルム
またはアセトンなどのより極性の低い非溶媒とを、CIJまたはMIVMを用い迅速に混合する
ことで、逆相ナノ粒子を作成した。逆相ナノ粒子は、内側のコアが共重合体の親水性セグ
メントとタンパク質よりなる親水性で、外側のシェルが共重合体の疎水性セグメントより
なる疎水性の構造になっている。次に、このナノ粒子のシェルを架橋することで安定化さ
せた。例えば、ポリ(n‐ブチルアクリレート)7.5kダルトンとpoly(アクリル酸)5.5kダル
トンを用いて、モデルタンパク質のリゾチーム(14.3kDa)で高負荷量(≧50%)のナノ粒子(
≦100nm)を作成した。しかし、このナノ粒子に負荷工程でタンパク質の二次構造に変化が
あるかどうかは不明であり、より重要なことは、負荷されたタンパク質のこのシステムか
らの放出プロファイルは、依然として特徴付けられていない。
タンパク質カプセル化の方法として疎水性イオン対形成法(HIP)が報告されている。
正味の正電荷を有するタンパク質はデキストラン硫酸のような反対に荷電した薬剤と高分
子電解質複合体を形成することで、電気的に中和され、複合体ナノ粒子を形成する。この
方法で、ナノ粒子へのカプセル化を容易にするだけでなく、タンパク質を変性から保護す
ることを可能にする。ナノ沈殿法または二重エマルジョン法で、HIP複合体は、疎水性ま
たは両親媒性ポリマーを用いて調製したナノ粒子に負荷される。Mitraらはリゾチームと
デキストラン硫酸のHIP複合体形成に成功したと報告した。これをPLGAナノ粒子に負荷し
て、30日間にわたってほぼ零次速度の放出を達成した。同グループの別の報告では、デキ
ストラン硫酸とIgG-FabフラグメントのHIP複合体をナノ沈殿法または二重エマルジョン法
をもちいて、約85%の高いカプセル化効率で、PLGAナノ粒子に負荷に成功している[非特許
文献2]。これらのHIP複合体およびナノ粒子作成には、人力での混合工程が用いられてい
るため、大量製造化が難しく、バッチ間の品質の変動も大きいものであった。したがって
、タンパク質治療薬をカプセル化および徐放化するナノ粒子を大量に再現性良く製造する
新規生分解性ナノ粒子プラットホームが商業的に必要とされている。
Pagels, R. F.; Prud'homme, R. K. Journal of Controlled Release. 2015,219: 519-535. Patel, A.; Gaudana, R.; Mitra, A. K. Journal of Microencapsulation. 2014, 31: 542-550
本発明は、大量製造可能で再現性のある方法によりタンパク質治療薬のカプセル化およ
び徐放性を可能にする新規生分解性ナノ粒子プラットホームについてである。リゾチーム
(14.3kDa、pI11.3)、オボアルブミン(45kDa、pI4.5)およびIgG(150kDa、pI6.8)を、タン
パク質治療薬のためのモデルとして使用した。これらのナノ粒子プラットホームを準備す
るための2つの異なったアプローチがある。一つの実施例では、リゾチーム、又はIgGとデ
キストラン硫酸との高分子電解質複合体(PEC)をフラッシュ・ナノ複合体形成法(FNC)とよ
ばれる連続工程で作成し、その後、フラッシュ・ナノ沈殿(FNP)とよばれる溶剤交換処理
でPEG-PLLAまたはPEG-PCLのようなブロック・コポリマーと共沈させた。別の実施例では
、PEC複合体形成(FNC)およびフラッシュ・ナノ沈殿(FNP)の結果としてのポリマーナノ粒
子生成の2つのプロセスが単一工程の相分離プロセスに組み合わされている。この方法で
はポリカチオン溶液(典型的には溶液のpHがpI未満に調整されたタンパク質溶液)、ポリア
ニオン溶液(例えば、デキストラン硫酸、ヘパリン硫酸塩、または核酸)、及び水混和性溶
媒に溶解されたブロック・コポリマー(溶媒の組合せは適切な速度で相分離を適切に誘導
するように選択される)が、効率的に混合するように最適化された一連の流速で規定され
たチャンバーに導入される。結果、PECを効率的に負荷した固形またはミセルナノ粒子が
えられる。上述の高分子電解質複合体形成および溶媒誘発相分離または自己集合を同時に
実施する方法は、これまで報告されていない。この方法により、ナノ粒子(ポリエステル
が使用される場合)またはミセル(PEG-共ポリエステルブロック・コポリマーが使用される
場合)をPEC(例えば、タンパク質およびDS)と疎水性ポリマーを共沈させ、均一に混合し、
結果、タンパク質を徐放するナノ粒子が作成できた。
混合工程と混合チャンバーの形状が類似しているにもかかわらず、本発明者らのナノ粒
子製剤形態は、その構造と組成に関して、Prud'hommeらによって調製されたものとは区別
される。本発明者らのナノ粒子はナノ粒子全体にタンパク質が分布したモノリスマトリッ
クスから構成される。一方、Prud'hommeら[非特許文献1]によって調製されたリバースミ
セルは、疎水性ポリマー・シェルによって囲まれたミセルの親水性PEGコア中にタンパク
質が負荷されている。本発明者らのナノ粒子の組成物は、タンパク質およびポリ陰イオン
(タンパク質溶液のpHがそのpIより低い場合)又はポリ陽イオン(タンパク質溶液のpHがそ
のpIより高い場合)のPECと、疎水性ポリマーまたはPEG-b-ポリマーブロック・コポリマー
である。疎水性ポリマーは、必ずしも親水性ブロックを含む必要はない。Prud'hommeら[
非特許文献1]のミセルは、PEC、すなわち対イオン高分子電解質を含まないものである。
タンパク質カプセル化に使用される材料は、本発明者らのナノ粒子とMitraら[非特許文
献2]の調整したナノ粒子で類似している。しかし、本発明者らは、新規ナノ粒子調製法を
記載している。この調整法で、カプセル化能(負荷量、ならびにタンパク質およびPECの種
類)が上がった新規のナノ粒子製剤ができる。本発明者らの方法を使用して、疎水性ポリ
マーナノ粒子中にばらばらのPECナノ粒子をカプセル化した。ここでPECは一つの疎水性ポ
リマーと共沈した一つの核として働き、その結果、PECがコア全体に均一に分布した多層
コアマトリックスナノ粒子の構造ができる。より具体的には、一段法ではPECは瞬間的に
形成され、疎水性ポリマー固形ナノ粒子またはミセルの共沈を誘導する核として働き、ナ
ノ粒子全体にわたるPECの均一な分配を生じる。それはまた、より広範囲のPECカプセル化
を可能にする。
本発明の実施例として、以下のナノ粒子がある。このナノ粒子は、タンパク質又はペプ
チドと対イオン・ポリマーを含む複合体である。ここで、対イオン・ポリマーはタンパク
質に静電的に結合することを可能にする電荷をもっている。
ナノ粒子の好適な大きさは、例えば、20~2000nm;100~1800nm;500~1000nm;20~1000n
m;20~500nm;20~150nmである。本発明で用いられるタンパク質又はペプチドの分子量は
、例えば、2,000~20万;1万~15万;2万~10万;3万~7万;2,000~10万;または10万~20万で
ある。本ナノ粒子は、また、生分解性ポリマー全体に均一に分布した複合体を含むマトリ
クスを含むものである。適切なマトリックスは、非水溶性(又は疎水性)であることがある
。好適な対イオン・ポリマーは、正及び/又は負に荷電していることがある。好適な対イ
オン・ポリマーの例としては、デキストラン硫酸(DS)、ヘパリン(ヘパリン硫酸)、ヒアル
ロン酸、又はそれらの組合せがある。本発明では、例えばポリペプチド及び抗体を含むほ
とんどのタンパク質を使用することがある。本発明で使用される好適な生分解性ポリマー
としては、例えば、PEGを含む共重合体が挙げられる。共重合体の例には、PLLA、PGA、PL
GA、PCL、これらのPEG化したブロック・コポリマー、又はそれらの組み合わせたものが含
まれる。本発明で用いられる適当な生分解性ポリマーの一つに、PEG-b-PLLAがある。
本発明の別の実施例は、以下、a, b, cの製造法を含むナノ粒子を作成する方法である
。(a)第1の連続混合工程としてタンパク質と対イオン・ポリマーとを混合することによっ
て高分子電解質複合体を形成すること。(b)第2の連続混合工程として、生分解性ポリマー
と共沈すること。(c)生分解性ポリマーマトリクス全体に均一に分布したタンパク質高分
子電解質複合体を含むナノ粒子を製造すること。
驚くべきことに、本発明者らはナノ粒子を1工程で製造する方法を発明した。前記の(a)
および(b)工程を同時に実施することでナノ粒子を形成することができることがあり、第1
および第2の連続工程は、フラッシュ・ナノ複合体形成法(FNC)が望ましい。具体的には、
1工程で、高分子電解質複合体(PEC)と生分解性ポリマーを溶媒誘発フラッシュ・ナノ沈
殿法(FNP)によって混合することが好ましい。本発明の方法は、タンパク質と対イオン・
ポリマーとの間の静電引力によって高分子電解質複合体(PEC)を形成することである。ナ
ノ粒子は、高分子電解質複合体(PEC)と一緒に生分解性ポリマーを沈殿させることによ
って形成される。
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本
発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。以下の参考文献
は本発明で使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供するものである。Single
toneton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed.20 1994
); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Gl
ossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991); an
d Hale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書中で使
用される場合、以下の用語は特に明記しない限り、以下に記載された意味を有する。
本開示で使用される「抗体」という用語は免疫グロブリン、又はそのフラグメントもし
くはその誘導体を指し、インビトロ、又はインビボで産生されるかどうかにかかわらず、
抗原結合部位を含む任意のポリペプチドを包含する。この用語はポリクローナル、モノク
ローナル、モノ特異的、多特異的、非特異的、ヒト化、単鎖、キメラ、合成、組換え、雑
種、変異、および移植抗体を含むが、これらに限定されない。本開示の目的のために「イ
ンタクトな抗体」という用語によって別途改変されない限り、「抗体」という用語はFab
、F(ab')2、Fv、scFv、Fd、dAb、および抗原結合機能、すなわち、例えば、PD-L1に特異
的に結合する能力を保持する他の抗体フラグメントなどの抗体フラグメントも含む。一般
的には、このようなフラグメントは抗原結合ドメインを含む。
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合フラグメント」、および「結合フラグメント」とい
う用語は抗体と抗原との間の特異的結合に関与するアミノ酸を含む抗体分子の一部を指す
。例えば、抗原が大きい場合、抗原結合ドメインは抗原の一部にのみ結合することがある
。抗原結合ドメインとの特異的相互作用に関与する抗原分子の一部は「エピトープ」、又
は「抗原決定基」と呼ばれる。抗原結合ドメインが一般的には抗体軽鎖可変領域(VL)、及
び抗体重鎖可変領域(VH)を含むが、必ずしも両方を含む必要はない。例えば、いわゆるFd
抗体フラグメントはVH領域のみからなるが、依然としてインタクトな抗体の抗原結合機能
を、ある程度保持する。
抗体の結合フラグメントは、組換えDNA技術によって、又はインタクトな抗体の酵素的
、又は化学的切断によって産生される。結合フラグメントには、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv
、および一本鎖抗体が含まれる。「二重特異性」または「二機能性」抗体以外の抗体はそ
の結合部位の各々が同一であると理解される。酵素パパインによる抗体の消化が「Fab」
フラグメントとしても知られる2つの同一の抗原結合フラグメント、及び抗原結合活性は
無いが結晶化する能力をもつ「Fc」フラグメントを生じる。酵素ペプシンによる抗体の消
化は抗体分子の2つのアームが連結されたままであり、2つの抗原結合部位を含むF(ab')2
フラグメントを生じる。F(ab')2フラグメントは抗原結合部位を架橋する能力を有する。
本明細書中で使用される場合、「Fv」は抗原認識部位、及び抗原結合部位の両方を保持す
る抗体の最小のフラグメントをいう。本明細書中で使用される場合、「Fab」は軽鎖の定
常ドメイン、及び重鎖のCHIドメインを含む抗体のフラグメントをいう。
「対イオン・ポリマー」とは、ポリマーがタンパク質に静電的に結合することができる
ような電荷を有するポリマーを意味する。例としては、正味の負電荷を有する対イオン・
ポリマーに結合する正味の正電荷を有するタンパク質、又はその逆がある。
「疾患」とは、細胞、組織、又は臓器の正常な機能を損傷または妨害するあらゆる状態
又、は障害を意味する。疾患の例には、がんが含まれる。
「フラグメント」とは、ポリペプチドの一部を意味する。この部分は、好ましくは参照
ポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を
含有する。フラグメントは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100、200、300
、400、500、600、700、800、900、又は1000個のアミノ酸を含むことがある。
「mAb」という語は、モノクローナル抗体を指す。本発明の抗体はネイティブ抗体、バ
イスペシフィック抗体;キメラ抗体;Fab、Fab'、一本鎖V領域フラグメント(scFv)、融合ポ
リペプチド、及び従来型で無い抗体を含むが、これらに限定するものではない。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」はアミノ酸残基のポリマーを
指すために本明細書中で相互に互換的に使用される。これらの用語は、1つ以上のアミノ
酸残基が対応する天然アミノ酸の類似体又は模倣体であるアミノ酸ポリマー、又は天然に
存在するアミノ酸ポリマーに適用される。ポリペプチドは糖タンパク質を形成する炭水化
物残基の付加によって修飾されることがある。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び
「タンパク質」は糖タンパク質、及び非糖タンパク質を含むものである。
「参照配列」とは、配列比較の参照として使用されることが明示された配列である。参
照配列は、特定された配列の全体、又はそのサブセットとすることがある。ポリペプチド
については、基準のポリペプチド配列の長さは一般に、少なくとも約16アミノ酸、好まし
くは少なくとも約20アミノ酸、より好ましくは少なくとも約25アミノ酸、又は、さらに好
ましくは約35アミノ酸、約50アミノ酸、又は約100アミノ酸である。
本明細書で使用される「被験者」という語は、本明細書に記載される方法が実施される
任意の個人、又は患者を指すものである。一般に、被験者はヒトであるが、当業者には理
解されるように、被験者は動物であってもよい。したがって、げっ歯類(マウス、ラット
、ハムスター、モルモットを含む)、ネコ、イヌ、ウサギ、家畜(ウシ、ウマ、ヤギ、ヒ
ツジ、ブタ等を含む)、霊長類(サル、チンパンジー、オランウータン、ゴリラを含む)等
の哺乳類を含む動物が被験者の定義の範囲内に含まれる。
本明細書で提供される範囲は、その範囲内の全ての値について略記されたものであると
理解される。例えば、1―50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34
、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50が含まれる。
本明細書中で使用される場合、用語「治療する」、「治療」、「処置」、及び同様のも
のは、治療対象の障害かつ/または症状を減少、又は改善することを意味する。障害、症
状を治療するとは、障害、症状を完全に治癒することではないと認識されている。ただし
完全に治療される可能性を否定していることではない。
本明細書で使用される用語「または」は特に明記されない限り、または文脈から明らか
でない限り、包括すると理解される。本明細書で使用される用語「一つの」、および「そ
の」、「それらの」は、特に明記されない限り、文脈から明らかでない限り、単数、又は
複数であると理解される。
本明細書で使用される用語「約」は、特に言及されない限り、又は文脈から明らかでな
い限り、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均値の2標準偏差内と理解さ
れる。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0
.05%、または0.01%以内と理解することができる。文脈から特に明確でない限り、本明細
書で提供されるすべての数値は、用語「約」によって修正される。
本明細書で提供される任意の組成物、又は方法は、本明細書中に提供される他の組成物
、及び方法のいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。
タンパク質治療薬および対イオン高分子電解質のカプセル化PECによるナノ粒子の2段(FNC-FNP)調製プロセスの模式図である。ここでは、3つの注入口を持つデバイスを第2段として示している。FNP工程で溶媒交換の特定の要件に基づいて、これを2つの注入口または4つの注入口の混合チャンバーに切り替えることが可能である。 4つの注入口を持つ多注入口ボルテックスミキサを使用したタンパク質治療薬の単一工程カプセル化の模式図である。PECは生分解性ポリエステルナノ粒子と共沈し、ポリマーナノ粒子、又はミセルコア全体に分布する。平均30nm~1000nm、PDI<0.3の範囲でサイズを変えることが可能である。タンパク質負荷量の範囲は2~25%である。2週間~3週間にわたるタンパク質治療薬の徐放性がある。 水中のDLSによって測定したリゾチーム/DS PECナノ粒子(A)及びリゾチーム/DS:PEG-b-PLLAナノ粒子(B)の粒度分布図である。コア‐シェルナノ粒子(NP1, NP2,NP3)の3つのバッチを3種類のリゾチーム‐ポリマー重量比で調製した。平均粒子径124~170nmの範囲の粒径を示し、狭い分布であった(PDI~0.17~0.19)(表1)。(C)リゾチームとポリマーの比率がナノ粒子粒径に及ぼす効果を示す図である。(D)NP1からNP3までの平均ゼータ電位は、脱イオン水中で測定される。 (A)NP1と(B)NP2のTEM画像である。 PBS(pH7.4)中、37℃でのNP1-NP3からのリゾチームのインビトロ放出プロフィール図である。 (A)PBS(pH7.4)中、37℃でのNP4-NP7かのIgGのインビトロ放出プロフィール図である。(B) PBS(pH7.4)中、37℃でのNP8-NP11からのIgGのインビトロ放出プロフィールの図である。 NP4及びNP8の放出プロフィールの比較図である。 リゾチーム/デキストラン硫酸(DS)PECを負荷したmPEG‐PCLナノ粒子と、リゾチームのみを用いたmPEG‐PCLナノ粒子、DSのみを用いたmPEG‐PCLナノ粒子、及びmPEG‐PCLを用いないリゾチーム/DS PECナノ粒子の水中の強度平均径の分布を動的光散乱法で測定し比較した図である。(A)4つの注入口からの流速がすべて0.5mL/minで製造した時の図である。(B)4つの注入口のうちDS、リゾチーム、mPEG‐PCLが流速2mL/min、水が4mL/minで製造した時の図である。 (A)カプセル化ナノゴールド標識免疫グロブリンG(IgG)/DS PECを用いたmPEG‐PCLナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像である。スケールバー=100nm。(B)高倍率TEMは、ナノ粒子内のIgGの分布を示す。矢印は、NanoGold標識IgGの例である。スケールバー=50nm。 37℃のPBS(pH7.4)中で、2週間にわたるタンパク質/DS:mPEG-PCLナノ粒子からのタンパク質治療薬のインビトロ放出プロフィール図である。(A)NP19から放出されるモデルタンパク質としてIgGを使用した図である。(B)NP27から放出されるモデルタンパク質としてオボアルブミン(OVA)を使用した図である。
本発明は、1つ以上のタンパク質、及び対イオン高分子電解質のカプセル化高分子電解
質複合体(PEC)を用いてナノ粒子を調製する方法を含むものである。このプロセスは連続
する2工程よりなる:(1)選択されたタンパク質治療薬を、ポリアニオン(例えば、デキス
トラン硫酸(DS)、へパチリン(ヘパリン硫酸)、及びヒアルロン酸など)と、タンパク質
の等電点(pI)よりも低いpHで混ぜ合わせ、水、又は水性溶媒中に懸濁されたPECを作り出
し、その後(2)前記PEC懸濁液を、水混和性有機溶媒(例えば、アセチルニトリル(ACN)、ジ
メチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、お
よびイソプロピルアルコール(IPA)など)中に溶解させた生分解性ポリマーPEG-b-PLLA(又
はPLLA、PGA、PLGA、PCL、又はそれらのPEGとの共重合体、又はそれらの組合せ)と共沈さ
せる;両方の工程を、拘束衝突ジェットミキサー、又はマルチインレットボルテックスミ
キサーで1組の所定の流速で溶液ジェットを注入することによって達成される。この2工
程の過程により、PECを含むナノ粒子を製造する(図1)。
別法として、ナノ粒子は、高分子複合体形成とフラシュ・ナノ沈殿の工程を同時にするこ
とで製造される。これは、以下の溶液ジェットを連続的に注入することよりなる:(1) 選
択されたタンパク質治療薬はタンパク質の等電点(pI)よりも低いpHで水性溶媒に溶解され
る、(2) 水性溶媒に溶解したポリアニオン、例えば、デキストラン硫酸(DS)、ヘパリン(
硫酸ヘパリン)、及びヒアルロン酸など、(3)水有機溶剤ミセルに溶解した生分解性ポリマ
ーPEG-b-PLLA(またはPLLA、PGA、PCL、またはPEGとのそれらのコポリマー、またはそれら
の組み合わせ)。有機溶剤として、例えば、アセチルニトリル(ACN)、ジメチルスルホキシ
ド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、イソプロピルアルコ
ール(IPA)等がある。並びに(4)効率的な相分離、及びナノ粒子形成を所定の流速で、拘
束衝突ジェットミキサー、又はマルチインレットボルテックスミキサーで特定の溶媒極性
を維持するための追加の溶媒ジェットである。以上の結果、PEC含有ナノ粒子が製造され
る(図2)。
本発明は、また、本発明の方法によって作製されるナノ粒子システムを含む。このナノ
粒子システムはタンパク質-ポリイオンPECが埋め込まれた生分解性ポリマーマトリクスか
ら構成され、以下の特徴を有する:(1)PECナノ粒子は生分解性ポリマーナノ粒子と共沈さ
れた多核として働く (必要に応じて、あるナノ粒子はPEGコロナも含有する)、一方、PEC
はポリマーナノ粒子全体に分布する;(2)調整可能な大きさは平均30nm~1000nmで0.3以下
の多分散指数(PDI)を有する。(3)タンパク質負荷量は、2~25w/w%の範囲である;並びに(
4)タンパク質治療薬の徐放性は2週間~3ヶ月の範囲である。
本発明を例示するために、本発明者は、リゾチーム、オボアルブミン、及びIgG負荷PLL
Aナノ粒子、又はPEG-b-PLLA又はPEG-b-PCLミセルナノ粒子の製造およびキャラクタリゼー
ションの例を説明する。
(実施例1)
リゾチーム/DS:PEG-b-PLLAナノ粒子の調製
方法
PECナノ粒子核の調製とキャラクタリゼーション:リゾチームを脱イオン水(DI)に5mg/
mLで溶解し、次に0.1M塩酸溶液を加えてpHを4.0に調整した。次に、1ミリリットルのリゾ
チーム溶液を、等容量のDS溶液(20mg/mL、pHを4.0に調整)と、5mL/分の流速で2つの注入
口を有するCIJミキサーを用いて迅速に混合した。得られたリゾチーム/DS PECナノ粒子の
サイズを、動的光散乱(DLS)測定器、Zetasizer Nano(Malvern Instruments, Worcestersh
ire, UK)を用いて分析した。それぞれのサンプルを3回測定し、データを3回の結果の平均
±標準偏差として報告した。
PEG-b-PLLAミセルナノ粒子の調整、及びキャラクタリゼーション:前工程で得られた1ミ
リリットルのリゾチーム/DS PECナノ粒子懸濁液(2.5mg/mL)を、様々な濃度(7.5、12.5、
及び25mg/mL)でDMSOに溶解したPEG5k-b-PLLA20kの等体積の溶液と、2注入口CIJミキサー
を介して5mL/分の流速で迅速に混合した。異なったリゾチーム対ポリマー重量比(1:3、1:
5および1:10)を有する3種のナノ粒子(NP1、NP2およびNP3)が得られた。分子量カットオフ
(MWCO)3.5kDaの透析膜を用いてナノ粒子を脱イオン水に対して12時間透析し、水を2時間
毎に交換しDMSOを除去した。得られた溶液を、100kDaのMWCOフィルターを用いて、4,500r
pmで20分間限外ろ過により精製し、余分なタンパク質およびDSを除去した。
カプセル化されていないリゾチームの量は、BCAアッセイによって測定され、カプセル
化効率(EE)は次の式で計算されたものである。
EE(%)=(Mtotal-Mfree)/Mtotal×100%
ここで、総供給リゾチームの質量をMtotalとし、遊離のリゾチームの質量をMfreeとし
た。
ナノ粒子は、DLS Zetasizer Nanoを用いて粒径、及びゼータ電位によってキャラクタリ
ゼーションした。それぞれのサンプルを3回測定し、データを3回の結果の平均±標準偏差
として報告した。炭素膜で覆われたイオン化ニッケルグリッド上に10マイクロリットルの
ナノ粒子液を添加することにより、TEM画像形成のためのサンプルを調製した。10分後、
溶液をピペットで取り除き、6マイクロリットルの2%酢酸ウラニル滴をグリッドに加た。3
0秒後、溶液を除去し、グリッドを室温で乾燥させた。次に、テクナイFEI-12電子顕微鏡
を用いて試料を画像化した。
タンパク質のインビトロ放出:1mgのリゾチームを含有する1mLのリゾチーム負荷ナノ粒
子懸濁液を、1mLの透析管(SpectrumLab, MWCO50kDa)にいれ、次にこれを、5mLのPBS(pH7.
4)いりのバイアルに浸した。37℃、撹拌速度100rpmのインキュベーターにバイアルを投入
した。外側のPBS溶液を回収し、毎日、新しいPBSと交換した。採取した溶液を凍結乾燥に
より濃縮し、さらに400マイクロリットルの脱イオン水中に再溶解した。ミクロビシンコ
ニン酸(BCA)アッセイを用いて、放出されたリゾチームの量を定量した。
結果と考察
PECナノ粒子調製、及びキャラクタリゼーション:FNCを通して急速に混合した後、リゾ
チーム、及びDSは、水溶液中で64nmの平均粒径、及び0.18の多分散指数(PDI)を有する均
一なPECナノ粒子を形成した(図3)。

(実施例2)
IgG/DS PECナノ粒子の調製、及びキャラクタリゼーション
方法
IgG/DS PECナノ粒子の調製、及びキャラクタリゼーション:IgGを5mg/mLの濃度で脱イオ
ン水に溶解し、続いて0.1M HCl溶液を添加することによってpHを4.0に調整した。次に、1
ミリリットルのIgG溶液を、等容量のDS溶液(20mg/mL、pHを4.0に調整)と、5mL/分の流速
で2つの注入口を有するCIJミキサーを通して迅速に混合した。得られたPECナノ粒子懸濁
液を、PEG-b-PLLAナノ粒子調製のために直ちに使用した。
IgG/DS:PEG-b-PLLAナノ粒子の調製、及びキャラクタリゼーション:前工程で得られたIg
G/DS PECナノ粒子懸濁液の1mL(2.5mg/mL)を、2つの異なる濃度(12.5、及び25mg/mL)のPEG
5k-b-PLLA20k DMSO溶液の等体積と、2つの異なる濃度(12.5および25mg/mL)で、5、又は10
mL/分の流速で2注入口CIJミキサーを通して迅速に混合し、2つの異なるIgG対ポリマー率(
1:5および1:10)を有するコア-シェルナノ粒子(NP4~NP7、表2)の4つの異なる製剤を得た(
図5)。MWCO3.5kDaの透析膜を用いてナノ粒子を脱イオン水に対して12時間透析し、DMSOを
除去した。水は2時間毎に交換した。得られた溶液を、100kDaのMWCOフィルターを用いて
、4,500rpmで20分間限外ろ過により精製し、余剰IgG、及びDSを除去した。ろ液中のIgG量
をマイクロBCAアッセイにより測定し、次の式を用いてEEを計算した。
EE(%)=(Mtotal-Mfree)/Mtotal×100%
ここで、IgGの総供給質量をMtotalとし、遊離IgGの質量をMfreeとした。コア‐シェルナ
ノ粒子は、DLS Zetasizer Nanoを用いて、大きさとゼータ電位によってキャラクタリゼー
ションした。それぞれのサンプルを3回測定し、3回の結果の平均±標準偏差をデータとし
て報告した。
IgGのインビトロ放出:1mgのIgGを含有する1mLのIgG負荷ナノ粒子懸濁液を、1mLの透析
管(SpectrumLab、MWCO300kDa)にいれ、次に、これを、5mLのPBS(pH7.4)を含有するバイア
ルに浸した。バイアルを37℃、攪拌速度100rpmのインキュベーターに入れた。バイアル中
のPBS溶液を毎日交換採取した。採取した溶液を凍結乾燥により濃縮し、さらに400マイク
ロリットルの脱イオン水を用いて再溶解した。マイクロBCAアッセイを用いて、放出され
たIgGの量を定量した。
結果
コア-シェルナノ粒子調製、及びキャラクタリゼーション:IgG/DS:PEG-b-PLLAナノ粒子(
NP4~NP7)を、2つの異なるIgG対ポリマー比、及び2つの異なる流速で調製した。35nm~96
nmの範囲のZ平均粒径を示し、狭い粒径分布(PDI値~0.16~0.26)を示した(表2)。重合体
に対するIgGの比率または流速を減少させると、ナノ粒子の大きさが有意に増加した。こ
れらの結果は、ナノ粒子の粒径が重合体に対するIgGの重量比、及び流量を調整すること
によって変化し得ることを示している。全てのナノ粒子は、-24~-33mVの範囲のゼータ電
位を有する負の表面電荷を示した。カプセル化効率は62~88%の範囲であり、これは流速
の増加、又はIgG対ポリマー比の減少に伴い増加した。

インビトロ放出プロフィール:透析方法を用い、NP4からNP7のPBS(pH7.4)中へのインビ
トロ放出プロフィールを調査した。図5Aに示されるように、4つのナノ粒子は全て、最初
の2日間のバースト放出、続いて34日間ほぼゼロ次の放出を伴う類似の二相性放出プロフ
ィールを示した。さらに、NP4からNP7の放出速度は同様であり、34日目までにそれぞれ約
57%、54%、53%、及び51%のIgGがNP4からNP7で放出され、76日目までにそれぞれ95%、87%
、85%、82%が放出された。
(実施例3)
IgG/DS:PEG-b-PCLナノ粒子の調製
方法
IgG/DS:PEG-b-PCLナノ粒子の調製、及びキャラクタリゼーション:PEG5k-b-PLLA20kをPE
G5k-b-PCL20kで置き換えたことを除いて、実施例2の方法に記載されたものと同じ手順で
、IgG/DS:PEG-b-PCLナノ粒子を調製し、キャラクタリゼーションした。2つの異なるIgG対
ポリマー率(1:5および1:10)、及び2つの異なる流量(5および10mL/分)で、4つのナノ粒子N
P8~NP11を調製した(図5B)。
IgGのインビトロ放出:200マイクログラムのIgGを含む1mLのIgG/DS:PEG-b-PCLナノ粒子
液を1mLの透析管(SpectrumLab, MWCO300kDa)にいれ、次いでこれを5mLのPBS(pH7.4)を含
むバイアルに浸した。37℃、撹拌速度100rpmのインキュベーターにバイアルを投入した。
PBSのろ液を毎日交換採取した。採取した溶液を凍結乾燥により濃縮し、さらに400マイク
ロリットルの脱イオン水を用いて再溶解した。マイクロBCAアッセイを用いて、放出され
たIgGの量を定量した。
結果
コア‐シェルナノ粒子調製およびキャラクタリゼーション:NP8‐NP11は、狭い粒度分布
(PDI値~60.13~60.22)を有する54~69nmの範囲のZ‐平均粒度を示した(表3)。特に、本
発明者らはポリマーに対するIgGの比の減少または流速の減少が粒径を増加させることを
見出した。これは、IgG/DS:PEG-b-PLLAナノ粒子の結果と一致する。全てのナノ粒子は、-
24から-30mVの範囲のゼータ電位を有する負の表面電荷を示した。NP8~NP11のEEは69%~90
%の範囲であり、これは流速の増加またはIgG対ポリマー比の低下に伴い増加した。

IgGのインビトロ放出:NP8からNP11のIgGのインビトロ放出プロフィールを、透析方法を
用いてPBS(pH7.4)中で調べた。図5に示すように、4つのナノ粒子は全て、最初の2日間の
バースト放出と、その後の27日間ほぼゼロ次の放出を伴う類似の二相放出プロフィールを
示しました。さらに、4つのナノ粒子製剤はすべて、27日目までに40~45%のIgGを放出す
るというほぼ同様の放出速度であった。これらのナノ粒子は、4日目から27日目の間の放
出速度が同様の傾向で続いていることより、より長い放出期間を有することが推定される
IgG/DS:PEG-b-PLLAとIgG/DS:PEG-b-PCLナノ粒子との間の比較:同じ条件下で調製したNP
4、及びNP8の放出プロフィールを図6で比較した。(1)NP4は最初の2日目に20%のIgGが放出
されたバースト放出があり、一方、NP8は最初の4日以内に15%のIgGしか放出しなかった。
(2)NP8の放出プロフィールを外挿することより推定されるように、NP4よりも長い放出持
続時間を持つであろう(図6)。これらの結果は、この系の放出プロファイルが異なる分解
速度を有する異なるポリマーを選択することによって改変され得ることを示している。
(実施例4)
1段工程法によるリゾチーム/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子の調製
方法
リゾチーム/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子の調製、及びキャラクタリゼーション:リゾチーム
を0.5mg/mLの濃度で脱イオン水に溶解し、そのpHを0.1M NaOHを用いて8.0に調整した。1
ミリリットルのリゾチーム(pH8.0、0.5mg/mL)を、等容量の種々の濃度のmPEG10K-b-PCL40
K (1.5、2.5、5.0、7.5mg/mL、DMSOに溶解したもの)、デキストラン硫酸(0.5mg/mL、脱イ
オン水に溶解したもの)、及び脱イオン水(pH7.4)と、種々の流量比で4注入口マルチイン
レットボルテックスミキサー(MIVM)で混合した(表4)。前記ナノ粒子からDMSOを除去する
ために、透析膜(MWCO3.5kDa)を用い、4リットルの脱イオン水を6時間毎に交換しながら24
時間透析した。
得られた溶液を15ミリリットル再生セルロースフィルター(Amicon(登録商標)Ultra、
MWCO100kDa)を用いて4,500rpmで20分間限外ろ過濃縮した。フロースルー中の遊離リゾチ
ームの量を、マイクロBCAアッセイによって測定した。Malvern Zetasizerを用いた動的光
散乱(DLS)によりナノ粒子流体力学的径とゼータ電位を決定し、その形態を透過型電子顕
微鏡(TEM)により解析した。カプセル化効率(EE%)を、実施例1の記載に従い測定した。
リゾチーム:mPEG-b-PCL、DS:mPEG-b-PCL、及びリゾチーム/DSのナノ粒子を含む対照ナ
ノ粒子を調製するために、各成分液を調製し、上記のようにキャラクタリゼーションした
。リゾチーム:mPEG-b-PCL、DS:mPEG-b-PCL、及びリゾチーム/DS PECのナノ粒子のそれぞ
れについて、欠けている成分(それぞれDS、リゾチーム、及びmPEG-b-PCL)を、対応する成
分の溶媒単独で置換した。次いで、ナノ粒子を調製し、リゾチーム/DS:mPEG-b-PCLナノ粒
子と同じ方法でキャラクタリゼーションした。
結果と考察
MIVMチャンバー内で乱流パターンを生み出すフラッシュミックス条件下で、リゾチーム
とDSが複合体を形成し、混合条件下で溶剤の極性変化による沈殿の結果、その後mPEG-b-P
CLでコートされる。リゾチーム/DSナノ複合体はmPEG-b-PCL沈殿の核生成サイトとして働
き、これにより、継続かつスケーラブルな様式でmPEG-b-PCLナノ粒子を迅速かつ均一に増
加させることを確実にした。リゾチームとDSの重量比は、実施例1に記載したように最適
化された。mPEG-b-PCL溶液、DS溶液、リゾチーム溶液、及び脱イオン水の流速度は、9:9:
9:1に制御された。mPEG-b-PCL:リゾチームの重量比と溶液の流速を変えることにより、多
分散指数(PDI)の比較的狭い分布で、平均半径70~120nmの大きさのナノ粒子を異なったバ
ッチが生成できた。リゾチームのカプセル化は、表4で試験した全ての条件下でほぼ完璧(
>97.2%)であった。概して、より速い流速は、より小さな粒子径のナノ粒子を形成する。

mPEG-b-PCLナノ粒子内のリゾチーム/DSナノ複合体のカプセル化を、最終ナノ粒子製剤
から成分を差し引くことによって検討した(表5)。検討条件は、リゾチームのDSに対する
重量比を一定(3:1)に保ち、mPEG-b-PCL溶液、DS溶液、リゾチーム溶液、及び脱イオン水
の流速を1:1:1:1から1:1:1:2に調節してである。両方の流速条件下で、リゾチーム/DS:mP
EG-b-PCLナノ粒子は、流体力学的径が最小であった。一成分を欠くそれぞれのナノ粒子製
剤は、全成分混合ナノ粒子製剤よりも大きかった。mPEG-b-PCLコーティングを含まないリ
ゾチーム/DS複合体は高い負のゼータ電位を有しmPEG-b-PCLコーティングを加えると減少
し、粒子がよりコンパクトになり、このことは、複合体がポリマーマトリクス内に捕捉さ
れ、結果負の荷電を遮蔽することを示唆している。

(実施例5)
一段工程法によるオボアルブミン(OVA)/DS:mPEG‐b‐PCLナノ粒子の調製、及びキャラ
クタリゼーション
方法
OVA/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子の調製、及びキャラクタリゼーション:オボアルブミン(OVA
)を0.5mg/mLで脱イオン水に溶解し、その後、0.1M HCl液を加えてpHを2.0に調整した。1m
LのOVA溶液を、等容量のDS溶液(0.5mg/mL)、種々の濃度mPEG10K-b-PCL40K (DMSO中濃度、
1.5、2.5、5.0、7.5mg/mL)、及び脱イオン水(pH7.4)と混合した。これらのナノ粒子を実
施例1に記載したようにキャラクタリゼーションした。
結果
実施例4に記載されたものと同様に、OVA/DS:mPEG-PCLナノ粒子は表5に列挙されるよう
に、ポリマー対OVAの重量比、及び溶液の流速を変えて調整し、種々のフラッシュ混合条
件下で調製された。これらのナノ粒子は-11.4~-26.2mVの範囲のゼータ電位を有する強い
負の表面電荷を示した。カプセル化効率は77.9%~88.6%の範囲であり、ポリマー:OVAの重
量比と流速のどちらとも、ほとんど相関しなかった。

(実施例6)
1段工程法によるIgG/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子の調製、及びキャラクタリゼーション
方法
IgG/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子の調製、及びキャラクタリゼーション:ヒトIgGを、0.5mg/m
Lの濃度で脱イオン水に溶解し、続いて、0.1M HCl液を加えることによってそのpHを4.0に
調整した。次に、IgG/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子を調製し、表7に列挙した条件下で、実施
例4、及び5の方法に記載したものと同じ手順を用いてキャラクタリゼーションした。
TEMによるIgG/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子内でのIgGの分布のキャラクタリゼーション:初め
にIgGを、製造業者のプロトコールに従い、Mono-Sulfo-NHS-Nanogold(1.4nm Auナノ粒子
、Nanoprobes)を用いて標識した。次に、Au標識IgGを、表6に記載されたNP21と同じ方法
でカプセル化した。次に、これらのAu-IgG/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子を、実施例1に記載し
た手順で酢酸ウラニル(2%w/v)陰性染色後、透過型電子顕微鏡(FEI Tecnai12)を用いて画
像化した。
結果
ナノ粒子へのIgGカプセル化:調製したIgG/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子(NP27~NP36)は、実
施例5に記載のOVAカプセル化法と類似の方法で、IgGに対するポリマーの重量比、及び流
速の調整で、ナノ粒子の粒径を変化させることができることを実証した。全てのナノ粒子
は、-13.4~-23.6mVの範囲のゼータ電位を有する負の表面電荷を示した。IgGのカプセル
化効率は91.3%から95.6%の範囲であったが、ポリマー:IgGの重量比と流速とは無関係であ
った。

IgG/DS:mPEG-PCLナノ粒子内のIgGの分布:IgG/DS-mPEG-b-PCL内のIgG-Au(1.4nm Auナノ
粒子結合金)の分布をTEM(図9)によって測定した。重量比5:1(mPEG-b-PCL:IgG)を超えると
、IgG-Auがナノ粒子マトリクス全体に分布していた。複数試料の画像解析の結果はIgG‐A
uの比較的均一な分布がmPEG-b-PCL:IgGの重量比により影響されることを示唆した。複合
体の重量比が高くなると、その充填密度が低くなることが示唆された。その逆もまた同様
であった。
(実施例7)
1工程調製方法によって調製されたタンパク質/DS:mPEG-PCLナノ粒子からのOVA及びIgG
のインビトロ放出のキャラクタリゼーション
方法
1mLの0.3~0.5mg/mL OVA/DS:mPEG-b-PCL、又はIgG/DS:mPEG-b-PCLナノ粒子を1mLのFloa
t-a-Lyzer透析管(SpectrumLab, MWCO300kDa)に入れ、次に、この透析管を6mLのPBS(0.5w/
v%NaN3を含む、pH7.4)を含むバイアル中に浸した。次に、この透析デバイス全体を、30mL
の脱イオン水を満たした50mL遠心管に入れ、パラフィルム(R)を用いて密封して、蒸発を
最小限にした。この遠心管を振盪インキュベーターで37℃、200rpmで振盪攪拌した。攪拌
開始2時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、その後1日1回、6mLのPBS溶液を
交換採取した。収集した試料溶液を-80℃で凍結し、凍結乾燥した。凍結乾燥した試料を
脱イオン水で再溶解して、3倍、及び6倍濃縮したタンパク質放出試料を得た。OVA、又はI
gGの放出量は、マイクロBCA、又はNanoOrangeアッセイで定量した。
結果
インビトロ放出プロファイル
OVAのNP19からのインビトロ放出プロフィール: OVAのNP19からのインビトロ放出プロフ
ィールを、PBS(pH7.4)溶液を用いた透析法で検討した。図10Aに示されるように、NP19は
最初の2日間、2工程調製方法によって調製されたNPと同様の二相放出プロファイルを示し
、続いて14日間にわたるゼロ次放出を示した。14日目までに、NP19は約38.8%の累積放出
をし、36日目までに完全放出することが予想された。
IgGのNP27からのインビトロ放出プロフィール: IgGのNP27からPBS(pH7.4)溶液へのイン
ビトロ放出プロフィールを、同様の方法で分析した。図10Bに示されるように、NP27は最
初の2日間に軽度のバースト放出し、その後、次の12日間にわたってゼロ次放出を伴う類
似の放出プロフィールを示した。14日目までに、NP27は26.0%のIgGの累積放出をし、54日
目までに完全放出が予想された。興味深いことに、この放出プロフィールは、類似の配合
(NP19)からのOVAよりも穏やかで遅かった。これらのデータは全般的な徐放性動態は種々
のタンパク質について同様であったが、タンパク質治療薬の大きさがナノ粒子からの放出
速度に影響を及ぼし得ることを示している。
以下の工程(a)、及び(b)を同時に行うことにより、ナノ粒子を製造する単一工程法が発
明されるという驚くべき結果が得られた。第1工程は、(a)1番目の連続混合工程を用い
て、タンパク質と対イオン・ポリマーとを混合し高分子電解質複合体を形成する工程であ
る。第2の工程は、(b)2番目の連続混合方法を用いて生分解性ポリマーと共沈させること
である。第3番目の工程は、(c)生分解性ポリマーマトリクス全体に分布したタンパク質
高分子電解質複合体を含むナノ粒子を形成することである。
本発明は、ナノ粒子全体にわたってタンパク質PECを均一に分布し、高い負荷能力を有
し、タンパク質治療薬を持続的に放出する生分解性ナノ粒子を調製するための、連続でス
ケーラブル方法を含んでいる。タンパク質放出を調節し、効果的な保護およびカプセル化
をもたらすために、タンパク質治療薬は、FNCと呼ばれる連続処理を通し、反対荷電を持
つ高分子電解質とPECナノ粒子に複合体化される。次に、得られたPECナノ粒子を、乾燥さ
せずにPEG-b-PLLA、又はPEG-b-PCLポリマーと共沈させ、CIJミキサー、又はMIVMを用いた
FNP法によりミセルナノ粒子が形成すれる。タンパク質負荷ナノ粒子は、注入溶液のタン
パク質対ポリマーの重量比、及び/又は流速を変えることによって、負の表面荷電、粒度
分布、及び粒子径が調整可能である。最も重要なことは、これらのナノ粒子は、タンパク
質の持続的かつ長期の放出を可能にすることである。これらのナノ粒子の放出速度は、ポ
リマーに対するタンパク質の重量比を操作することによって、または種々の2ブロック・
コポリマーを選択することによって、調整することが可能である。ナノ粒子製造方法の再
現性、並びに拡張可能性、並びにこれらのナノ粒子によって達成される持続的長期放出を
考慮すると、このプラットホームは、多くの抗体薬を含む種々のタンパク質治療薬のナノ
粒子を調製する大きな可能性がある。
本開示の特定の実施例として、被験者に、タンパク質、ペプチド、抗体、化学物質、核
酸、又はそれらの組合せなどの医薬品を含む本発明のナノ粒子を投与することがある。ナ
ノ粒子は、固形、液状、又はエアロゾルの形状で被験者に投与することがある。本ナノ粒
子は、静脈内、皮内、経皮、クモ膜下腔内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局
所的、筋肉内、皮下、粘膜、経口、局所的、吸入(例えば、エアロゾル吸入)、注射、注入
、連続注入、カテーテルを介して、洗浄器を介して、標的細胞を直接的に局所潅流浴、ク
リーム中、脂質組成物(例えば、リポソーム)中、又は他の方法、又は当業者に周知の他の
任意の組合せで、投与可能である。(例えば、本明細書に参考文献として取上げられてい
るRemington's PharmaceuticalSciences,18th Ed. Mack Printing Company、1990を参照
されたい)。
さらに、本開示によれば、投与に適した本発明のナノ粒子は、不活性希釈剤の有無にか
かわらず、薬学的に許容される担体で提供される。担体は吸収可能で、液体、半固体、す
なわちペースト、又は固体を含む。溶媒、薬剤、希釈剤、又は担体が、レシピエント、又
はナノ粒子に含まれる組成物の治療有効性に有害である場合を除き、本方法を実施する際
に使用する投与可能な組成物として使用することは適切である。担体、又は希釈剤の例と
して、脂肪、油、水、生理食塩水溶液、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤など、
、又はそれらの組み合わせが含まれる。組成物は、また1つ以上の成分の酸化を遅らせる
ために、種々の酸化防止剤を含むことがある。さらに、微生物の増殖の予防として、種々
の抗菌薬、及び抗真菌剤などの防腐薬が使えるだろう。抗菌剤、抗真菌剤として、パラベ
ン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソル
ビン酸、チメロサール、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるもので
はない。
本発明によると、ナノ粒子は、任意の便利で実用的な方法、すなわち、溶液、懸濁液、
乳化、混和、カプセル化、吸収などによって、前記担体と組み合わせてもよい。そのよう
な手順は、当該技術に熟練した者にとって日常的なものである。
本発明の特定の実施例では、本発明のナノ粒子は、半固体、又は固体の担体と十分に結
合、又は混合されることがある。混合は、粉砕のような任意の便利な方法で行うことがで
きる。安定化剤も、組成物の治療活性の喪失、例えば、胃における変性、から保護するた
めに、混合工程において添加することができる。当該組成物に用いる安定剤としては、バ
ッファー、グリシン、リジン等のアミノ酸、デキストロース、マンノース、ガラクトース
、フルクトース、ラクトース、ショ糖、マルトース、ソルビトール、マンニトール等の炭
水化物が挙げられる。
更なる実施例に、本発明は、本発明のナノ粒子と1種以上の脂質と水性溶媒とを含む医
薬用脂質担体組成物の使用に関するものであってもよい。本明細書中で使用される場合、
用語「脂質」とは、その特徴として、水に不溶であり、有機溶媒で抽出可能である広範囲
の物質のいずれかを含むと定義される。この広範のクラスの化合物は当業者に周知である
。用語「脂質」は、本明細書中で使用される場合、任意の特定の構造に限定されない。
例としては、長鎖脂肪族炭化水素、及びそれらの誘導体を含有する化合物が挙げられる
。脂質は天然に存在するか、又は合成物(すなわち、ヒトによって設計、又は産生される
物)であり得る。しかしながら、脂質は、通常、生物学的物質である。生物学的脂質は当
該技術分野でよく知られている。例えば、中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステ
ロイド、テルペン、溶解脂質、スフィンゴ糖脂質、糖脂質、スルファチド、エーテル結合
脂肪酸、並びにエステル結合脂肪酸を有する脂質、並びに重合性脂質、並びにそれらの組
合せが含まれる。もちろん、本明細書中に特に記載される化合物以外の化合物も、脂質と
して当業者が理解している化合物は、本発明の組成物および方法に包含される。
当業者は、脂質担体中に1つ以上のナノ粒子を分散させるために用いることができる一
連の技術に精通している。例えば、1つ以上のナノ粒子は、当業者に公知の任意の手段に
よって、脂質を含む液中に分散され、脂質で溶解され、脂質で乳化され、脂質と混合され
、脂質と結合され、脂質に共有結合され、脂質中の懸濁液として含まれ、ミセル、又はリ
ポソームに含まれ、又は複合体化され、そうでなければ、当技術分野の通常の熟練者に知
られている任意の手段によって脂質、又は脂質構造と会合している。分散液はリポソーム
を形成することも、形成しないこともある。
動物の患者に投与される本ナノ粒子の実際の投与量は、体重、症状の重症度、治療され
る疾患の種類、以前の、又は同時に実施される介入治療、患者の特発性および投与経路な
どの身体的および生理的要因によって決定することができる。用量、及び投与経路に応じ
て、適切な用量、及び/又は有効量の投与回数は、被験者の反応に従って変化し得る。投
与の責任を負う医師は、いずれにおいても、組成物中の活性成分の濃度および個々の被験
者のために適切な用量を決定する。
ある実施例では、本発明のナノ粒子を含む医薬組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の
活性化合物を含むことがある。他の実施例では、活性化合物を例えば単位重量の約2%から
約75%、または約25%から約60%、及びこれらの範囲内の中の任意の範囲で含むことがある
。当然のことながら、各治療上有用な組成物中の活性化合物(複数可)の量は、適切な投
与量が化合物の任意の所定の単位用量で得られるような方法で調製することができる。
溶解性、バイオアベイラビリティー、生物学的半減期、投与経路、製品の保存期間、及
び他の薬学的考慮事項のような要因は、そのような医薬製剤を調製する技術に熟練した者
によって考慮される。それ故に、様々な投与量、及び治療レジメンが望まれる。他の非限
定的な例において、用量はまた、約1マイクログラム/ kg/体重、約5マイクログラム/ kg/
体重、約10マイクログラム/ kg/体重、約50マイクログラム/ kg/体重、約100マイクログ
ラム/ kg/体重、約200マイクログラム/ kg/体重、約350マイクログラム/ kg/体重、約500
マイクログラム/ kg/体重、約1ミリグラム/ kg/体重、約5ミリグラム/ kg/体重、約10ミ
リグラム/ kg/体重、約50ミリグラム/ kg/体重、約100ミリグラム kg/体重、約200ミリグ
ラム/ kg/体重、約350ミリグラム/ kg/体重、約500ミリグラム/ kg/体重、約1000mg/ kg/
体重、又はそれ以上の投与量、およびそこから誘導可能な任意の範囲を含んでもよい。本
明細書に列挙される数字からの推定可能な範囲の非限定的な例において、約5mg/kg/体重
、約100mg/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重、約500ミリグラム/kg/体重などの範囲
を、上記の数字に基づいて投与することができる。
消化器用組成と製剤
本開示の一つの実施例として、本発明のナノ粒子は、消化器経路を介して投与されるよ
うに製剤化される。消化器経路は、組成物が消化器と直接接触している全ての可能な投与
経路が含む。具体的には、本明細書に開示される医薬組成物が経口、口腔内、直腸内、又
は舌下に投与されてもよい。このように、これらの組成物は不活性希釈剤、又は吸収可能
な食用担体と共に処方され得るか、又は、それらはハードシェル又はソフトシェルゼラチ
ンカプセルに負荷され得るか、又はそれらは錠剤中に圧縮され得るか、又はそれらは食餌
の食物と直接的に組み込まれ得る。
ある実施例では、活性化合物を含むナノ粒子を賦形剤と混合し、摂取可能な錠剤、口腔
錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェハなどの形態で使用す
ることができる(Mathiowitzら、1997;Hwangら、1998;米国特許第5,641,515号;第5,580,57
9号、及び第5,792451号、それぞれの明細書の全体が参照としてここに引用される)。
錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどは、以下のものも含み得る: 結合剤、例えば、ト
ラガントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、またはそれらの組み合わせな
ど; 賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステ
アリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、又はそ
れらの組み合わせなど; 崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸
、又はそれらの組み合わせなど; 潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなど; 甘味
剤、例えば、スクロース、ラクトース、サッカリン、又はそれらの組み合わせなど; フレ
ーバー剤、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーンの油、チェリーフレーバー、オレ
ンジフレーバーなど。投薬ユニット形態がカプセルである場合、それは、上記の種類の物
質に加えて、液状担体を含み得る。種々の他の物質が、コーティング、又はそうでなけれ
ば投薬単位の物理的な形態を改変するために添加し得る。
例えば、錠剤、丸剤、又はカプセル剤はシェラック、糖、又は両方でコーティングする
ことができる。投与剤形がカプセル剤である場合、それは、上記の種類の物質に加えて、
液状担体などの担体を含有する可能性がある。ゼラチンカプセル、錠剤、又は丸剤は、腸
溶コーティングされてもよい。腸内コーティングは、pHが酸性である胃、又は上腸におけ
る配合物の変性を防止する。米国特許番号5,629,001を参照する。
小腸に到達すると、小腸中の塩基性pHはコーティングを溶解し組成物が放出され、機能
分化細胞、例えば、上皮腸細胞、及びパイエル板M細胞によって吸収されることを可能に
する。エリキシル剤のシロップは、活性化合物ショ糖を甘味剤とし、メチル、及びプロピ
ルパラベンを防腐剤とし、染料、及び香料、例えば、チェリー、又はオレンジ香料、を含
有し得る。もちろん、任意の投薬単位形態を調製する際に使用される任意の物質は薬学的
に純粋であり、使用される量において実質的に無毒であるべきでる。さらに、活性化合物
は、徐放性調製物、及び製剤に組み込まれ得る。
経口投与のために、本発明のナノ粒子を含む別な組成物は口腔洗浄剤、歯磨き剤、口腔
タブレット、経口噴霧剤、又は舌下経口投与製剤の剤型で、1つ以上の賦形剤と共に組み
込まれてもよい。例えば、ホウ酸ナトリウム溶液(Dobell's Solution)のような適当な溶
媒中に必要量の活性成分を組み込んだ洗口剤を調製することができる。若しくは、活性成
分がホウ酸ナトリウム、グリセリン、及び重炭酸カリウムを含有する経口溶液に組み込む
か、歯磨剤中に分散させるか、若しくは水、結合剤、研磨剤、着香剤、発泡剤、および湿
潤剤を含み得る組成物に治療有効量で添加することができる。若しくは、組成物が舌の下
に置かれ得るか、さもなければ口の中で溶解され得る錠剤、又は溶液形態に形成され得る
他の消化器投与様式に適した別な製剤には、座薬が含まれる。坐剤は、直腸への挿入の
ための種々の重量および形状の固体投薬形態であり通常に薬用される。挿入後、坐剤は、
腔の液において柔らかくなり、融解、または溶解する。一般的に、坐剤は、伝統的な担体
、例えば、ポリアルキレングリコール、トリグリセリド、又はそれらの組み合わせを含み
得る。ある実施例として、坐剤は例えば、約0.5%~約10%、好ましくは約1%~約2%の活性成
分を含む混合物から形成することができる。
非経口組成物および製剤
更なる実施形態に、本発明のナノ粒子物は、非経口経路を介して投与され得る。本明細
書中で使用される場合、用語「非経口」は、消化管をバイパスする経路を含む。具体的に
は本明細書中に開示される医薬組成物が例えば、静脈内、皮内、筋肉内、動脈内、髄腔内
、皮下、又は腹腔内に投与され得るが、これらに限定されない。米国特許番号6,7537,514
, 6,613,308, 5,466,468, 5,543,158, 5,641,515, および5,399,363を参照(それぞれ、そ
の全体が本明細書の参照として組込まれる)。
本ナノ粒子の溶液は、遊離塩基、又は薬理学的に許容可能な塩として活性化合物を含み
、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合され、水中で調製され得
る。分散液は、また、グリセロール、液状ポリエチレングリコール、並びにその混合物中
で、並びに油中で、調製することも可能である。通常の条件下の保存、及び使用で、これ
らの調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存料を含む。注射可能な使用に適した医薬形
態は、滅菌水溶液、又は分散液、及び滅菌注射可能溶液、又は分散液の即時調製のための
滅菌粉末を含む(米国特許第5,466,468号、その全体が参照により本明細書に具体的に組み
込まれる)。全ての場合において、前記形態は、無菌でなければならず、そして容易に注
射可能な程度に流体でなければならない。前記形態は、製造、及び貯蔵の条件下で安定で
なければならず、バクテリア、及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければな
らない。担体は例えば、水、エタノール、ポリオール(すなわち、グリセリン、プロピレ
ングリコール、及び液状ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、及び/又
は植物油を含む溶剤、又は分散媒体である。適切な流動性は例えば、レシチンのようなコ
ーティングの使用により、及び界面活性剤の使用により、分散液の際に必要とされる粒径
が維持され得る。微生物の作用の予防は種々の抗菌薬、及び抗真菌薬、例えば、パラベン
、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得
る。多くの場合、等張化剤、例えば糖、又は塩化ナトリウムを含むのが好ましい。注射用
混合液の吸収は注射用混合液中に、例えばステアリン酸アルミニウムやゼラチンのような
吸収遅延剤を使用することにより延長可能である。
水溶液での非経口投与に関しては、例えば、溶液は必要であれば適当に緩衝化し、十分
な生理食塩水、又はグルコースでまず等張に希釈する。これらの特定の水溶液は、静脈内
、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に特に適している。これに関連して、使用することがで
きる無菌水性媒体は、本開示に関係する当業者に知られている。例えば、1投薬量は等張N
aCl溶液に溶解され得、次に注射液として皮下、又は指示された部位に注射され得る(例え
ば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第15版、1035~1038頁、及び1570~1580頁
を参照のこと)。処置される被検者の状態に依存して、ある程度の用量の変形例が必然的
に生じ得る。どのような場合でも、投与責任者が個々の被検者に適した用量を決定する。
さらに、ヒトへの投与するためには、製剤は米国食品医薬品局生物学標準局が要求する無
菌性、発熱性、一般的な安全性および純度の基準を満たさなければならない。
滅菌注射溶液は必要な量の活性化合物を前記例示の種々の他の成分と共に適当な溶媒に
配合し、必要であれば、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は
、種々の滅菌された活性成分を、塩基性分散媒、及び上記に列挙されたものからの必要と
される他の成分を含有する滅菌媒体中に組み込むことによって調製される。滅菌注射溶液
の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術で
ある。前記技術で活性成分の粉末とその以前に滅菌ろ過された溶液から任意の追加所望の
成分を生じる。粉末化された配合物は、安定化剤の有無にかかわらず、例えば水または生
理食塩水のような液状担体と混合される。
その他の医薬組成物、及び製剤
本発明の他の好ましい実施例では、活性化合物、又は薬剤を含む前記ナノ粒子物が種々
の経路、例えば、局所(すなわち、経皮)投与、粘膜投与(鼻腔内、膣内など)、及び/又は
吸入を介する投与のために処方され得る。局所投与のための医薬組成物は、軟膏、ペース
ト、クリーム、又は粉末などの薬用用途のために製剤化された活性化合物を含む前記ナノ
粒子を含み得る。軟膏は局所適用のための全ての油性、吸着性、乳化、及び水溶性ベース
の組成物を含むが、クリーム、及びローションは乳化ベースのみを含む組成物である。局
所的に投与される薬物は、皮膚を通る活性成分の吸着を容易にするための浸透促進剤を含
み得る。適切な浸透促進剤には、グリセリン、アルコール、アルキルメチルスルホキシド
、ピロリドン、及びルアロカプラムが含まれる。局所投与のための組成物の可能なベース
として、ポリエチレングリコール、ラノリン、コールドクリーム、並びにワセリン、並び
に任意の他の適切な吸収剤、エマルジョン又は水溶性軟膏ベースが挙げられる。局所製剤
はまた、活性成分を保存し、均質な配合物を提供するために、乳化剤、ゲル化剤、及び保
存剤としての抗菌剤を含んでもよい。本発明の経皮投与は、また、「パッチ」の使用を含
み得る。例えば、パッチは、1つ以上の有効成分を、所定の速度で、そして決められた期
間にわたって連続的な様式で供給し得る。
ある特定の実施例では、本ナノ粒子を含む医薬組成物は、点眼剤、鼻腔内スプレー、吸
入、及び/又は他のエアロゾルデリバリー媒体によって送達され得る。経鼻エアロゾルス
プレーを介して組成物を肺に直接的に送達するための方法は例えば、米国特許番号5,756,
353、及び5,804,212に記載されている。 (それぞれ、その全体が参照として本明細書に具
体的に組込まれる)。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenaga et al., 1998)やリソホスファ
チジル・グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号、全体が参照としてで具体的に本明
細書に組込まれる)を用いた医薬品のデリバリーも、製薬業界において広く知られている
。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持体マトリックスの形態の経粘膜薬物デリバリ
ーは、米国特許番号5,780,045に記載されている。 (その全体が参照により本明細書に特
に組込まれる)。
「エアロゾル」という語は、液化、又は加圧気体推進剤中に分散された液状粒子の微細
に分割された固形物のコロイド系を指す。吸入のための本発明の典型的なエアロゾルは、
液体推進剤中の活性成分の懸濁液、又は液体推進剤と適当な溶媒との混合物からなる。
好適な推進剤としては、炭化水素、及び炭化水素エーテルが挙げられる。好適な容器は
、推進剤の圧力要件に応じて変化する。エアロゾルの投与は、対象の年齢、重量、ならび
に症状の重症度、及び反応によって変化する。
開示のキット
本明細書中に記載される組成物のいずれも、キットに含まれ得る。非限定的な例では本
発明のナノ粒子(例えば、薬剤、又は活性成分を含む)はキットに含まれてもよい。キット
は適切に分注されたナノ粒子、及びいくつかの場合には1つ以上のさらなる薬剤を含み得
る。キットの成分は、水性媒体、又は凍結乾燥形態のいずれかで包装することができる。
キットの容器体は一般に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、シリンジ
又はその他の容器体を含み、その中に、成分を入れることができ、好ましくは、適切に等
分することができる。キット中に2つ以上の成分が存在する場合、キットは、また一般に
、第2、第3、又は他の追加の容器を含み、その中に追加の成分が別々に配置され得る。し
かし、成分の種々組み合わせを1つのバイアル中に含めてもよい。本発明のキットはまた
、典型的には、本発明の1つ以上のナノ粒子、及び任意の他の試薬容器を、商用販売する
ために密閉して収容するための手段を含む。そのような容器として、所望のバイアルを保
管する射出成形またはブロー成形したプラスチック容器を含む。
キットの成分が1つ以上の液体溶液で提供される場合、液体溶液は水溶液であり、滅菌
水溶液が特に好ましい。本発明の1つ以上のナノ粒子は、注射可能な組成物に製剤化され
てもよい。この場合では容器それ自体が、シリンジ、ピペット、及び/又は他の類似の装
置であってもよい。これらの容器から、処方物は体内の感染部位に適用されたり、動物中
に注射されたり、及び/又はキットの他の成分に添加されたり、及び/又は混合されてもよ
い。しかしながら、キットの成分は、乾燥粉末として提供されてもよい。試薬、及び/又
は成分が乾燥粉末として提供される場合には、粉末を適した溶媒の添加によって再構成す
ることができる。溶媒が別の容器で提供されることが想定されている。
参考文献
1.Pagels, R.F.; Prud'homme, R. K. Journal of Controlled Release.2015,219:519-53
5.
2.Patel, A.; Gaudana, R.; Mitra, A. K. Journal of Microencapsulation. 2014, 31:
542-550.
本明細書で引用された出版物、特許出願、特許を含むすべての参照は、それぞれの参考文
献が個別に参照により組み込まれることが明示されており、その全体が本明細書に記載さ
れているかのように、同じ範囲で参照により組み込まれる。
用語「その」並びに「この」並びに「前記」並びに本発明を説明する文脈(特に、以下の
特許請求の範囲の文脈)における同様の指示対象の使用は本明細書中で別段の指示がない
限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形、及び複数形の両方を包含する
と解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」、および「なる」は別
段の指示がない限り、限定されない用語(すなわち、「含むが限定されない」を意味する)
として解釈されるべきである。本明細書中の値域の記載は本明細書中で特に指示がない限
り、単に、範囲内に入る各別個の値を個々に言及する簡潔な方法として役立つことを意図
し、各別個の値はあたかもそれが本明細書中に個々に記載されたかのように、本明細書中
に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は本明細書に別段の指示がない限り、
または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる
本明細書中で使用するあらゆる例、又は例示的な言い回し(例えば「など」)は特に主張し
ない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限
を設けるものではない。明細書中の如何なる言い回しも、本発明の実施に不可欠で請求項
に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
本発明の好ましい実施例を、発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態
を含めて本明細書で記載している。これらの好ましい実施態様の変形は、上述の記載を読
めば当業者には明らかとなり得る。本発明者は熟練者が適宜このような変形を適用するこ
とを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で発明が実施されること
を予定している。従って本発明は準拠法で許されているように、本明細書に添付された請
求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。更に、上述の要素のあらゆる可能な
変形でのあらゆる組み合わせが、本明細書に別段の指示がない限り、または明らかに文脈
に矛盾しない限り、本発明に包含される。

Claims (17)

  1. 以下を含むナノ粒子:
    医薬品及び対イオン・ポリマーを含む複合体、ここで、前記対イオン・ポリマーは、
    前記対イオン・ポリマーが前記医薬品に静電的に結合することを可能にする電荷を有する
    ;並びに、
    生分解性ポリマー全体に分布する前記複合体を含むマトリックス。
  2. 請求項1に記載のナノ粒子、ここで、前記対イオン・ポリマーが正に荷電している。
  3. 請求項1に記載のナノ粒子、ここで、前記対イオン・ポリマーが負に荷電している。
  4. 請求項1に記載のナノ粒子、ここで、前記医薬品が正に荷電している。
  5. 請求項1に記載のナノ粒子、ここで、前記医薬品が負に荷電している。
  6. 請求項1に記載のナノ粒子、ここで、前記医薬品が、タンパク質、ペプチド、ポリペプ
    チド、抗体、又はそれらの組み合わせ、を含む群より選択される。
  7. 請求項3に記載のナノ粒子、ここで、前記対イオン・ポリマーが、デキストラン硫酸(D
    S)、ヘパリン(ヘパリン硫酸)、ヒアルロン酸、又はそれらの組み合わせ、を含む群より選
    択される。
  8. 請求項1に記載のナノ粒子、ここで、前記生分解性ポリマーが、PLLA、PGA、PLGA、PCL
    、それらのPEG化したブロック・コポリマー、又はそれらの組み合わせ、を含む群より選
    択されるコポリマーである。
  9. 請求項1に記載のナノ粒子、ここで、前記生分解性ポリマーが、PEG-b-PLL;PEG-b-PCL
    ;又はそれらの組み合わせである。
  10. 以下を含むナノ粒子の製造方法:
    (a)第1の連続混合処理を使用して、医薬品と対イオン・ポリマーとを混合することに
    より、高分子電解質複合体を形成させること;
    (b)第2の連続混合処理を使用して、生分解性ポリマーと共沈させること;及び、
    (c)前記生分解性ポリマーのマトリクス全体に分布する高分子電解質複合体を含むナ
    ノ粒子を形成させること。
  11. 請求項10に記載の方法、ここで、工程(a)及び工程(b)を同時に実施する。
  12. 請求項10に記載の方法、ここで、第1の連続処理がフラッシュ・ナノ複合体形成(FNC)
    である。
  13. 請求項10に記載の方法、ここで、前記高分子電解質複合体(PEC)を形成させることが
    、前記医薬品と前記対イオン・ポリマーとの間の静電引力による。
  14. 請求項10に記載の方法、ここで、前記高分子電解質複合体(PEC)と前記生分解性ポリ
    マーとを混合することが、溶媒誘導フラッシュ・ナノ沈殿(FNP)による。
  15. 請求項10に記載の方法、ここで、前記ナノ粒子を形成させることが、前記生分解性ポ
    リマーを前記高分子電解質複合体(PEC)と一緒に沈殿させることによって起こる。
  16. 以下を含む薬物デリバリーの方法:
    医薬品及び対イオン・ポリマーを含む複合体(ここで、前記対イオン・ポリマーは、
    前記対イオン・ポリマーが前記医薬品に静電的に結合することを可能にする電荷を有する
    );並びに、生分解性ポリマー全体に分布する前記複合体を含むマトリックス、を含むナ
    ノ粒子を、疾患を予防する、又は治療するために、前記医薬品を必要とする対象に投与す
    ること;並びに、
    前記ナノ粒子を投与していない対照の対象との比較で、前記疾患を治療すること又は
    予防すること。
  17. 請求項16に記載の方法、ここで、前記医薬品が、タンパク質、ペプチド、抗体、化学
    物質、核酸、及びそれらの組み合わせ、からなる群より選択される。
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