JP2024027579A - 上屋 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラットホーム上に設けられた上屋において、屋根の風荷重を容易に低減することができる上屋を提供する。【解決手段】上屋10は、プラットホーム12の長さ方向で対向配置された側面部13及び第2側面部と、側面部13の軌道11側と反対側の縁部13aと、第2側面部の軌道11側と反対側の縁部と、の間に配置された背面部15と、側面部13、第2側面部及び背面部15で囲まれた空間を覆う屋根16と、を有する。屋根16の上面16aは、上面16aのうち軌道11側の縁部16bの高さが、上面16aのうち軌道11側と反対側の縁部16cの高さよりも低くなるように、水平面に対して傾斜している。【選択図】図1

Description

本発明は、プラットホーム上に設けられる上屋に関するものである。
近年、プラットホーム上で利用される独立上屋(上屋)は、利用客数の少ない駅で、機能の縮小及び小型化が進められている。小型化されたプラットホーム上の独立上屋は、防雨性や駅周辺からのプライバシーの観点から、軌道側以外の3面に壁を設ける場合が多い。このような独立上屋は、一般建築物及び従来のプラットホーム上の独立上屋と形態が異なる。形態の相違は独立上屋に作用する風荷重に影響を与える。
特開2007-186867号公報(特許文献1)には、上屋構造において、上屋に設けたシートを通常時に側壁シートとするとともに、強風時に屋根面に引き上げることで側壁部分の風荷重の軽減を可能とする技術が開示されている。
特開2008-25140号公報(特許文献2)には、全体を覆う屋根板に開閉部を部分的に配設したカーポート等の屋根に於いて、開閉部が、固定屋根部と可動屋根部からなり、固定屋根部は、屋根板に開口部を設け、この開口部の周辺部が母屋等に固定されており、可動屋根部を固定屋根部に開閉自在に枢着し、可動屋根部の開き角度を一定角度以下に規制する技術が開示されている。
特開平6-240898号公報(特許文献3)には、カーポートまたはサイクルポートにおいて、一部または全部を、開閉自在の構造にした屋根を配設した技術が開示されている。
特開2007-186867号公報 特開2008-25140号公報 特開平6-240898号公報
「建築物荷重指針・同解説」、日本建築学会、2015年
前述したように、小型化されたプラットホーム上の独立上屋では、軌道側以外の3面に壁を設ける必要がある。この壁によって、風を受ける面積が上昇するとともに、独立上屋内部の圧力が高まることで、独立上屋に作用する風荷重が上昇する、という問題があった。また、独立上屋はプラットホーム上に設置されることから、プラットホームによる風の吹上げにより屋根に作用する風荷重が上昇する、という問題も生じていた。即ち、従来の上屋では、その形態によって上屋の周辺の空気の流れが不安定であり、屋根の風荷重を容易に低減することができなかった。
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、プラットホーム上に設けられた上屋において、上屋の周辺の空気の流れの不安定性を解消し、屋根の風荷重を容易に低減することができる上屋を提供することを目的とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の一態様としての上屋は、軌道に沿って延在するプラットホーム上に設けられた上屋である。当該上屋は、プラットホームの長さ方向で対向配置された第1側面部及び第2側面部と、第1側面部のうちプラットホームの幅方向における軌道側と反対側の第1縁部と、第2側面部のうち幅方向における軌道側と反対側の第2縁部と、の間に配置された背面部と、第1側面部、第2側面部及び背面部に囲まれた空間を覆う屋根と、を有する。屋根の第1上面は、第1上面のうち幅方向における軌道側の第3縁部の第1高さが、第1上面のうち幅方向における軌道側と反対側の第4縁部の第2高さよりも低くなるように、水平面に対して傾斜している。
また、他の一態様として、第1上面が水平面に対して傾斜している傾斜角度をβとし、第1高さが第2高さよりも低くなるときの傾斜角度の符号を負としたとき、傾斜角度は、下記数式(1)を満たしてもよい。
-0.5≦tanβ≦-0.25・・・(1)
また、他の一態様として、第1上面が水平面に対して傾斜している傾斜角度をβとし、第1高さが第2高さよりも低くなるときの傾斜角度の符号を負としたとき、傾斜角度は、下記数式(2)を満たしてもよい。
-0.4≦tanβ≦-0.3・・・(2)
また、他の一態様として、背面部は、長さ方向にそれぞれ延在し、且つ、上下方向に間隔を空けて配列された複数の第1板部材を含んでもよい。複数の第1板部材の各々は、第1板部材のうち幅方向における軌道側の第5縁部の第3高さが、第1板部材のうち幅方向における軌道側と反対側の第6縁部の第4高さよりも高くなるように、水平面に対して傾斜していてもよい。
また、他の一態様として、複数の第1板部材のうち上下方向で隣り合う2つの第1板部材を下から上に向かって順に第2板部材、第3板部材としたとき、第2板部材の第2上面のうち幅方向における軌道側の第7縁部の第5高さは、第3板部材の第1下面のうち幅方向における軌道側と反対側の第8縁部の第6高さ以上であってもよい。
また、他の一態様として、第1側面部は、幅方向にそれぞれ延在し、且つ、上下方向に間隔を空けて配列された複数の第4板部材を含んでもよい。複数の第4板部材の各々は、第4板部材のうち長さ方向における第2側面部側の第9縁部の第7高さが、第4板部材のうち長さ方向における第2側面部側と反対側の第10縁部の第8高さよりも高くなるように、水平面に対して傾斜していてもよい。
また、他の一態様として、複数の第4板部材のうち上下方向で隣り合う2つの第4板部材を下から上に向かって順に第5板部材、第6板部材としたとき、第5板部材の第3上面のうち長さ方向における第2側面部側の第11縁部の第9高さは、第6板部材の第2下面のうち長さ方向における第2側面部側と反対側の第12縁部の第10高さ以上であってもよい。
また、他の一態様として、背面部は、幅方向と交差する第1面と、第1面の反対面である第2面と、を有する第7板部材を含み、第7板部材と屋根との間が開口されていてもよい。
また、他の一態様として、屋根が幅方向において軌道側から屋根に向かう風を受け、受けた風による気流が第3縁部の上方を流れ、第3縁部の上方を流れた気流が第1上面に吹き付けられるとき、屋根は、第1高さが第2高さよりも低くなるように第1上面が水平面に対して傾斜していることにより、第1上面が水平面に対して傾斜していない場合及び第1高さが第2高さよりも高くなるように第1上面が水平面に対して傾斜している場合に比べ、第1上面のうち気流が吹き付けられる第1領域を第3縁部に近づけてもよい。
本発明の一態様を適用することで、プラットホーム上に設けられた上屋において、上屋の周辺の空気の流れの不安定性を解消し、屋根の風荷重を容易に低減することができる。
実施の形態の上屋を示す斜視図である。 実施の形態の上屋を示す断面図である。 実施の形態の上屋を示す断面図である。 比較例1の上屋を示す斜視図である。 比較例1の上屋を示す断面図である。 風洞試験及び流体解析の対象構造物を説明するための斜視図である。 風向角の定義を説明するための平面図である。 屋根に設けられた圧力測定孔の位置を示す図である。 風洞試験により得られた風向角と平均風力係数との関係を示すグラフである。 構造格子の例を示す図である。 実施の形態の上屋の第1変形例を示す斜視図である。 実施の形態の上屋の第1変形例を示す断面図である。 実施の形態の上屋の第2変形例を示す斜視図である。 実施の形態の上屋の第2変形例を示す断面図である。 実施の形態の上屋を示す断面図である。 シリーズIの流体解析により得られた風向角と平均風力係数との関係を示すグラフである。 シリーズIIの流体解析により得られた風向角と平均風力係数との関係を示すグラフである。 上屋周辺の風の流れの流体解析による解析結果を比較例1と実施の形態との間で比較して示す図である。 背面壁及び側面壁に作用する風荷重を比較例1と実施の形態との間で比較して示すグラフである。 Case1乃至Case6の各々の屋根勾配の場合に流体解析により得られた風向角と係数C及びC´との関係を示すグラフである。 Case1乃至Case6の各々における屋根勾配βと係数C及びC´の絶対値の最大値である|Cmax及び|C´|maxとの関係を示すグラフである。 Case1乃至Case6の各々における|Cmax及び|C´|maxを屋根勾配βがtanβ=-3/10を満たす場合の結果で除して規格化したR|Cf|max及びR|Cf´|maxと、屋根勾配βとの関係を示すグラフである。
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
更に、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチング(網掛け)を省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
なお、以下の実施の形態においてA~Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
(実施の形態)
<実施の形態の上屋>
本発明の一実施形態である実施の形態の上屋について、説明する。なお、本願明細書において、上屋とは、柱に屋根をつけ、雨露を防ぐだけの簡単な建物を意味し、上家とも称される。また、本願明細書において、上家には、プラットホーム上に設置され、乗降客が雨雪に濡れることを防ぐための建造物、即ち、旅客がプラットホーム上で鉄道車両が停車するのを待つための構造物である、旅客上家も含まれる。
図1は、実施の形態の上屋を示す斜視図である。図2及び図3は、実施の形態の上屋を示す断面図である。図2は、実施の形態の上屋が設けられているプラットホームの長さ方向に垂直な断面を示している。図3は、実施の形態の上屋が設けられているプラットホームの幅方向に垂直な断面を示している。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態の上屋10は、軌道11に沿って延在するプラットホーム12上に設けられた上屋である。また、本実施の形態の上屋10は、駅のプラットホーム上に設置され、待合所として用いられる上屋である。本実施の形態の上屋10は、側面部(以下「側面壁」とも称する)13及び側面部(以下「側面壁」とも称する)14と、背面部(以下「背面壁」とも称する)15と、屋根16と、を有する。側面部13及び側面部14は、プラットホーム12の長さ方向(図1のZ軸方向)で互いに対向配置されている。背面部15は、側面部13のうち、プラットホーム12の幅方向(図1のX軸方向)における軌道11側と反対側の縁部(側端部)13aと、側面部14のうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側と反対側の縁部(側端部)14aと、の間に配置され、且つ、縁部13aと縁部14aとを接続する。屋根16は、側面部13、側面部14及び背面部15に囲まれた空間を覆う。側面部13のうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側の縁部(側端部)13bと、側面部14のうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側の縁部(側端部)14bと、の間は開口されている。
本実施の形態では、屋根16の上面16aは、上面16aのうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側の縁部(側端部)16bの高さHT1が、上面16aのうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側と反対側の縁部(側端部)16cの高さHT2よりも低くなるように、水平面に対して傾斜している。
なお、本実施の形態の上屋10は、平面視における屋根16の四隅の各々をそれぞれ支持する4つの柱17である柱17a、柱17b、柱17c及び柱17dを有する。また、側面部13は、柱17aと柱17bとの間に配置され、側面部14は、柱17cと柱17dとの間に配置され、背面部15は、柱17bと柱17cとの間に配置されている。
<実施の形態の上屋における技術的思想>
[比較例1の上屋]
次に、本実施の形態の上屋における技術的思想について、従来の上屋である比較例1の上屋と比較しながら説明する。図4は、比較例1の上屋を示す斜視図である。図5は、比較例1の上屋を示す断面図である。図5は、比較例1の上屋が設けられているプラットホームの長さ方向に垂直な断面を示している。
図4及び図5に示すように、比較例1の上屋110も、本実施の形態の上屋10と同様に、軌道111に沿って延在するプラットホーム112上に設けられた上屋である。比較例1の上屋110は、側面部113及び側面部114と、背面部115と、屋根116と、を有する。側面部113及び側面部114は、プラットホーム112の長さ方向(図4のZ軸方向)で互いに対向配置されている。背面部115は、側面部113のうち、プラットホーム112の幅方向(図4のX軸方向)における軌道111側と反対側の縁部113aと、側面部114のうち、プラットホーム112の幅方向における軌道111側と反対側の縁部114aと、の間に配置され、且つ、縁部113aと縁部114aとを接続する。屋根116は、側面部113、側面部114及び背面部115に囲まれた空間を覆う。側面部113のうち、プラットホーム112の幅方向における軌道111側の縁部113bと、側面部114のうち、プラットホーム112の幅方向における軌道111側の縁部114bと、の間は開口されている。
但し、比較例1では、実施の形態と異なり、屋根116の上面116aは、上面116aの、プラットホーム112の幅方向における軌道111側の縁部116bの高さHT101が、上面116aの、プラットホーム112の幅方向における軌道111側と反対側の縁部116cの高さHT102よりも高くなるように、水平面に対して傾斜している。
なお、比較例1の上屋110は、平面視における屋根116の四隅の各々をそれぞれ支持する4つの柱117である柱117a、柱117b、柱117c及び柱117dを有する。また、側面部113は、柱117aと柱117bとの間に配置され、側面部114は、柱117cと柱117dとの間に配置され、背面部115は、柱117bと柱117cとの間に配置されている。
[従来の上屋の問題点]
上記した比較例1の上屋を含め、従来の上屋においては、以下のような問題があった。
小型化されたプラットホーム上の独立上屋(上屋)では、前述したように、軌道側以外の3面に壁を設ける必要がある。この壁によって、風を受ける面積が上昇するとともに、独立上屋内部の圧力が高まることで、独立上屋に作用する風荷重が上昇する、という問題があった。また、独立上屋はプラットホーム上に設置されることから、プラットホームによる風の吹上により屋根に作用する風荷重が上昇する、という問題も生じていた。即ち、比較例1の上屋の構造を有する従来の上屋では、その形態によって上屋の周辺の空気の流れが不安定であり、屋根の風荷重を容易に低減することができなかった。
上記特許文献1に記載された技術では、上屋に設けたシートを強風時に屋根面に引き上げることで側壁部分の風荷重を軽減する。しかしながら、上記特許文献1に記載された技術については、プラットホーム上の独立上屋のように、軌道側が全面開口となるような独立上屋に対しては、適用されにくい。また、上記特許文献1では、屋根部の風荷重の低減については示されていない。また、上記特許文献2及び上記特許文献3に記載された開閉式の屋根の場合、強風時に適切に動作させるために定期的な性能確認が必須であるが、そのような方法は確立しておらず、独立上屋設計時に屋根開放による風荷重低減を反映させることは難しい。
そこで本発明者らは、比較例1の上屋の構造を基準として、プラットホーム上に設けられた小型の独立上屋の屋根に作用する風荷重と屋根勾配及び風向角との関係を検討するために、風洞試験及び流体解析を行った。
[風洞試験及び流体解析の対象構造物]
風洞試験及び流体解析において対象とする構造物(対象構造物)を、図6に示す。図6は、風洞試験及び流体解析の対象構造物を説明するための斜視図である。図6では、実施の形態の上屋10又は比較例1の上屋110において、後述する図13を用いて説明する実施の形態の第2変形例の上屋10と同様に、背面壁(背面部15又は背面部115)のみ上部に縦幅1mで開口15a又は開口115aを持つ場合を例示している。また、図6に示す各寸法は、実際の鉄道設備における代表的な寸法である。一方、風洞試験及び流体解析では、縮尺率が1/40であるモデルを用いて検討した。なお、図6では、「上屋」に代えて「上家」と表記している。
図7は、風向角の定義を説明するための平面図である。本実施の形態においては、図7に示すように、水平面内において、プラットホーム12の長さ方向における側面部13よりも側面部14側と反対側から側面部13に向かう方向に対する、上屋10が受ける風の角度を風向角θとした(比較例1においても同様)。また、図7に示すように、風がプラットホーム12の幅方向において上屋10よりも軌道側から上屋10に向かうときの風向角θがθ=90degを満たし、風がプラットホーム12の幅方向において上屋10よりも軌道側と反対側から上屋10に向かうときの風向角θがθ=-90degを満たすものとした(比較例1においても同様)。このようにしたとき、風向角θが-90≦θ≦90を満たす範囲について、風洞試験及び流体解析を行った。また、風洞試験及び流体解析を実際に行った風向角の間隔は、風洞試験と流体解析で異なるものとした。
[風荷重の評価方法]
風荷重は、下記数式(3)で表される平均風力係数Cを用いて評価した。
Figure 2024027579000002
ここで、右辺の分子の第2項は、屋根の上面に作用する風圧力の時間的面的平均値と呼ばれる指標であり、右辺の分子の第1項は、屋根の下面に作用する風圧力の時間的面的平均値と呼ばれる指標であり、分母のqは、速度圧と呼ばれる指標である。速度圧は風速により算出される指標であり、上記のように係数を定義することで、風速の影響を除いたものとして風荷重を評価できる。なお、この方法は、建築物に作用する風荷重を評価する際の一般的な方法である。
[風洞試験の概要]
風洞試験については、公益財団法人鉄道総合技術研究所内の大型低騒音風洞密閉型測定部で実施した。同風洞測定部については、幅が5mであり、長さ20mであり、高さが3mであった。試験気流は、非特許文献1に示される表面面粗度区分IIの乱流境界層(低層建築物の多い田園地域に相当)とし、風速は模型スケール1.8mで30m/sであった。
圧力は、屋根に設けられた圧力測定孔を用いて測定した。圧力測定孔の配置を図8に示す。図8は、屋根に設けられた圧力測定孔の位置を示す図である。図8では、屋根16又は屋根116に設けられた圧力測定孔16d又は圧力測定孔116dの位置を示している。各配置について、屋根の上面及び下面の圧力を測定し、上記数式(3)を用いて説明した評価方法により風荷重を評価した。
[風洞試験の検討条件]
風洞試験の検討条件を表1に示す。開口縦幅dは、1mとした。屋根勾配(傾斜角度)βは、2通りのβの間で変更した。風向角θは、-90~90degの範囲で15deg間隔で変更した。
Figure 2024027579000003
[風洞試験の試験結果]
風洞試験の試験結果を図9に示す。図9は、風洞試験により得られた風向角と平均風力係数との関係を示すグラフである。図9に示すように、屋根勾配βがβ=5.71deg(tanβ=10/100)を満たす場合、平均風力係数Cの値は、風向角θがθ<0degを満たす範囲よりも、風向角θがθ>0degを満たす範囲の方が、大きくなった。屋根勾配βがβ=-16.7deg(tanβ=-30/100)を満たす場合、平均風力係数Cの値は、風向角θがθ>0degを満たす範囲ではβ=5.71degの場合に比べて減少し、風向角θがθ<0degを満たす範囲ではβ=5.71degの場合に比べて増加したが、θ<0degでの平均風力係数Cの増加量は、θ>0degでの平均風力係数Cの減少量よりも小さい。また、β=-16.7degの場合、風向角θの-90~90degの範囲全体における平均風力係数Cの最大値は、β=5.71degの場合に比べて減少した。
[流体解析の解析概要]
流体解析として、シリーズI及びシリーズIIの2種類の解析を行った。解析は三次元定常RANSモデルにより行った。解析気流等は、風洞試験に準じた。乱流モデルとしてkωSSTモデルを用い、空間離散化にはQUICKスキームを用いた。解析領域は、X軸方向(主流方向)に-1.5~3m、Y軸方向(鉛直方向)に0~3mとして、大きさを風洞と同じとした。Z軸方向(主流直交方向)の大きさは、想定した風向角及びホーム長さにより異なり、最小で-0.6~0.6mであり、最大で-1.3~1.3mであった。物体近傍のXY平面の格子解像度に関しては、屋根、プラットホーム及び壁のいずれについても、格子解像度を0.375mm間隔とし、屋根及び壁における壁面隣接格子の法線方向の高さを、0.05mmとした。一方、Y軸方向の格子解像度に関しては、上屋付近については、格子解像度を2mmとし、それ以外は格子解像度を10mm程度とした。その結果、格子全体で約2000万~3000万要素の格子解像度であった。構造格子の例を図10に示す。図10は、構造格子の例を示す図である。図10(a)は、領域全体を示し、図10(b)は、模型近傍の領域を示し、図10(c)は、屋根先端の近傍の領域を示し、図10(d)は、壁の近傍の領域を示す。
[シリーズIの流体解析の検討条件]
シリーズIの流体解析の検討条件を表2に示す。開口縦幅dは、1m又は0mとした。屋根勾配βは、4通りのβの間で変更した。風向角θは、-90~90degの範囲で45deg間隔で変更した。
Figure 2024027579000004
[シリーズIIの流体解析の検討条件]
図11は、実施の形態の上屋の第1変形例を示す斜視図である。図12は、実施の形態の上屋の第1変形例を示す断面図である。図12は、実施の形態の上屋の第1変形例が設けられているプラットホームの長さ方向に垂直な断面を示している。図13は、実施の形態の上屋の第2変形例を示す斜視図である。図14は、実施の形態の上屋の第2変形例を示す断面図である。図14は、実施の形態の上屋の第2変形例が設けられているプラットホームの長さ方向に垂直な断面を示している。図15は、実施の形態の上屋を示す断面図である。図15は、図2又は図3の一部を拡大して示す。
シリーズIIでは屋根勾配βがβ=-16.7deg(tanβ=-30/100)を満たす場合において、3通りの壁の形態による影響を検討した。具体的には、図11及び図12に示されるモデルA(解析例1、実施の形態の第1変形例)、図13及び図14に示されるモデルB(解析例2、実施の形態の第2変形例)、並びに、図1及び図2に示されたモデルC(解析例3、実施の形態)について検討した。モデルAは、側面壁(側面部13及び側面部14)並びに背面壁(背面部15)に開口が無いモデルであり、モデルBは、背面壁(背面部15)のみ上部に縦幅1mで開口15aを持つモデルであり、モデルCは、背面壁(背面部15)並びに側面壁(側面部13及び側面部14)が、図15に示すようなルーバー形状を有するモデルである。
[シリーズIの流体解析の解析結果]
シリーズIの流体解析の解析結果を図16に示す。図16は、シリーズIの流体解析により得られた風向角と平均風力係数との関係を示すグラフである。図16(a)は、開口縦幅dがd=0mを満たす場合を示し、図16(b)は、開口縦幅dがd=1mを満たす場合を示す。図16(b)に示す流体解析の解析結果においても、図9に示す風洞試験の試験結果と同様の傾向が得られている。また、この傾向は、図16(a)に示す開口が無い場合(開口縦幅dがd=0mを満たす場合)においても同様であることが、確かめられた。
[シリーズIIの流体解析の解析結果]
シリーズIの流体解析の解析結果を図17に示す。図17は、シリーズIIの流体解析により得られた風向角と平均風力係数との関係を示すグラフである。図17に示すように、風向角θがθ>0degを満たす範囲では、モデルA、モデルC、モデルBの順に平均風力係数Cの値が減少し、モデルBの平均風力係数Cの値が最小であり、風向角θがθ<0degを満たす範囲では、モデルB及びモデルCの平均風力係数Cの値がモデルAの平均風力係数Cの値よりも大きかった。また、風向角θの-90~90degの範囲全体における最大値に着目すると、モデルA、モデルC、モデルBの順に平均風力係数Cの最大値が減少し、モデルBの平均風力係数Cの最大値が最小であった。従って、側面壁及び背面壁に開口を設ける、又は、壁面がルーバー形状を有することにより、屋根の風荷重がより低減されることが明らかになった。
[風洞試験及び流体解析のまとめ]
風洞試験及び流体解析により、屋根勾配と屋根に作用する風荷重の影響を検討した。その結果、軌道側を下げた方が、屋根の風荷重は低減された。また、壁面に開口を設けること、又は、側面壁及び背面壁が平面形状ではなくルーバー形状を有することにより、屋根の風荷重がより低減された。ただし、軌道側と反対側の雨仕舞の観点からすると、ルーバー形状とするのがより好ましいと考えられる。
このように、本発明者らは、上記した風洞試験及び流体解析を行うことにより、屋根の軌道側を屋根の軌道側と反対側よりも下げた方が、屋根の軌道側を屋根の軌道側と反対側よりも下げない場合よりも、屋根の風荷重が低減されることを見出し、実施の形態の上屋の構造を提案するに至ったものである。
本実施の形態の上屋では、屋根16の上面16aは、上面16aのうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側の縁部16bの高さHT1が、上面16aのうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側と反対側の縁部16cの高さHT2よりも低くなるように、水平面に対して傾斜している。
言い換えれば、本実施の形態では、独立上屋の屋根及び壁面の形態について、プラットホームを含む周辺の風の流れに適した形態とすることで、動的な機構を設けずに各面に作用する風荷重を低減する。屋根は、軌道側が低くなるように傾斜させることで、最も風荷重が顕著となる軌道側からの送風に対し順応し、屋根部の風荷重を抑制する。
本実施の形態によれば、従来のプラットホーム上で利用されてきた独立上屋の持つ乗降の容易性、駅周辺からのプライバシー及び防雨性を損なうことなく、また、動的な機構を設けずに、屋根及び壁面に作用する風荷重の低減を可能とする。
図18は、上屋周辺の風の流れの流体解析による解析結果を比較例1と実施の形態との間で比較して示す図である。図18(a)は、比較例1の結果を示し、図18(b)は、モデルC(解析例3、実施の形態)の結果を示している。図18(a)では、屋根勾配βがβ=5.71deg(tanβ=10/100)を満たし、図18(b)では、屋根勾配βがβ=-16.7deg(tanβ=-30/100)を満たしている。また、図18(a)及び図18(b)のいずれにおいても、風向角θがθ=90degを満たしている。図19は、背面壁及び側面壁に作用する風荷重を比較例1(従来)と実施の形態(提案)との間で比較して示すグラフである。なお、図19では、「側面壁」を「妻壁」と表記している。
図18(a)に示すように、比較例1の上屋では、上屋よりも軌道側の領域において、不安定な気流の流れが発生し、屋根よりも上方の領域において、気流の流れが大きく変わっている。一方、図18(b)に示すように、モデルC(解析例3、実施の形態)の上屋では、上屋よりも軌道側の領域において、不安定な気流の流れが解消し、屋根よりも上方の領域において、屋根が気流の流れに沿っている。また、図18(b)に示すように、モデルC(解析例3、実施の形態)の上屋では、上屋よりも軌道側と反対側において、ルーバー形状を有する背面壁が、気流の流れを誘導している。また、図19に示すように、屋根、背面壁及び側面壁(妻壁)のいずれにおいても、実施の形態の方が比較例1の上屋よりも基準化した風荷重が小さくなっている。
即ち、比較例1の上屋では、上屋の周辺の空気の流れが不安定であり、屋根の風荷重を容易に低減することができなかったが、本実施の形態の上屋では、上屋の周辺の空気の流れの不安定性を解消し、屋根の風荷重を容易に低減している。特に、本実施の形態の上屋の屋根勾配に関する部分は、風洞試験及び流体解析によって想到した下記1.乃至3.の知見に基づくものであり、これらの知見は現状の技術水準にはなく、特に3.については、容易に想到することができないと考えられる。
1.比較例1の上屋において、図7に示す+範囲(θ>0deg)からの送風(軌道側からの送風)に比べ、図7に示す-範囲(θ<0deg)からの送風(軌道側と反対側からの送風)を受けた際に屋根に作用する風荷重が小さいこと。
2.屋根の軌道側を屋根の軌道側と反対側よりも下げることにより、図16(b)に示すように、+範囲(θ>0deg)では風荷重が低減し、-範囲(θ<0deg)では風荷重が上昇すること。
3.この際、+範囲(θ>0deg)での平均風力係数Cの減少量よりも、-範囲(θ<0deg)での平均風力係数Cの増加量の方が小さく、風向角θの-90~90degの範囲全体における平均風力係数Cの最大値は、本実施の形態の方が比較例1に比べて減少すること。
ここで、本実施の形態の屋根の機能について、以下のように説明することもできる。屋根16が、プラットホーム12の幅方向において軌道11側から屋根16に向かう風を受け、受けた風による気流が縁部(側端部)16bの上方を流れ、縁部16bの上方を流れた気流が上面16aに吹き付けられる場合を考える。このようなとき、屋根16は、高さHT1が高さHT2よりも低くなるように上面16aが水平面に対して傾斜していることにより、上面16aが水平面に対して傾斜していない場合及び高さHT1が高さHT2よりも高くなるように上面16aが水平面に対して傾斜している場合に比べ、上面16aのうち気流が吹き付けられる領域RG1(図2参照)を縁部16bに近づける。
<ルーバー形状>
好適には、図1、図2及び図15に示すように、背面部15は、ルーバー形状を有する。背面部15がルーバー形状を有するとき、背面部15は、プラットホーム12の長さ方向(図1のZ軸方向)にそれぞれ延在し、且つ、上下方向(図1のY軸方向)に互いに間隔を空けて配列された複数の板部材21を含む。これにより、風の通り道をつくり、背面部15の風荷重を抑制することができる。
また、好適には、複数の板部材21の各々は、板部材21のうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側の縁部(側端部)21aの高さHT3が、板部材21のうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側と反対側の縁部(側端部)21bの高さHT4よりも高くなるように、水平面に対して傾斜している。即ち、板部材21を、上屋10の外部が低くなるように傾斜させる。これにより、防雨性を担保しつつ、風を一方向に誘導し、隙間から流出する風の流れを安定させることができる。これは、背面部15の風荷重だけでなく、屋根16の風荷重の低減にも寄与する。
更に好適には、複数の板部材21のうち上下方向で互いに隣り合う2つの板部材21を下から上に向かって順に板部材22、板部材23としたとき、板部材22のうち最も高い部分の高さ位置は、板部材23のうち最も低い部分の高さ位置以上である。即ち、板部材22の上面22aのうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側の縁部(側端部)22bの高さHT5は、板部材23の下面23aのうち、プラットホーム12の幅方向における軌道11側と反対側の縁部(側端部)23bの高さHT6以上である。これにより、軌道11側と反対側から背面部15に向かって水平方向(図1のX軸方向)に吹き付ける雨が板部材21同士の隙間を通り抜けにくくなるので、防雨性を更に担保することができる。
好適には、図1、図3及び図15に示すように、側面部13は、ルーバー形状を有する。側面部13がルーバー形状を有するとき、側面部13は、プラットホーム12の幅方向にそれぞれ延在し、且つ、上下方向に互いに間隔を空けて配列された複数の板部材24を含む。これにより、風の通り道をつくり、側面部13の風荷重を抑制することができる。
また、好適には、複数の板部材24の各々は、板部材24のうち、プラットホーム12の長さ方向における側面部14側の縁部(側端部)24aの高さHT7が、板部材24のうち、プラットホーム12の長さ方向における側面部14側と反対側の縁部(側端部)24bの高さHT8よりも高くなるように、水平面に対して傾斜している。即ち、板部材24を、上屋10の外部が低くなるように傾斜させる。これにより、防雨性を担保しつつ、風を一方向に誘導し、隙間から流出する風の流れを安定させることができる。これは、側面部13の風荷重だけでなく、屋根16の風荷重の低減にも寄与する。
更に好適には、複数の板部材24のうち上下方向で互いに隣り合う2つの板部材24を下から上に向かって順に板部材25、板部材26としたとき、板部材25のうち最も高い部分の高さ位置は、板部材26のうち最も低い部分の高さ位置以上である。即ち、板部材25の上面25aのうち、プラットホーム12の長さ方向における側面部14側の縁部(側端部)25bの高さHT9は、板部材26の下面26aのうち、プラットホーム12の長さ方向における側面部14側と反対側の縁部(側端部)26bの高さHT10以上である。これにより、側面部14側と反対側から側面部13に向かって水平方向(図1のZ軸方向)に吹き付ける雨が板部材24同士の隙間を通り抜けにくくなるので、防雨性を更に担保することができる。
なお、図3に示すように、側面部14についても側面部13と同様であり、側面部14がルーバー形状を有するとき、側面部14は、プラットホーム12の幅方向にそれぞれ延在し、且つ、上下方向に互いに間隔を空けて配列された複数の板部材27を含む。
或いは、好適には、図13及び図14に示すように、背面部15は、プラットホーム12の幅方向と交差する第1面28aと、第1面28aの反対面である第2面28bと、を有する板部材28を含み、板部材28の上側の縁部(側端部)28cと屋根16との間が開口されている。即ち、背面部15は、板部材28と屋根16との間に形成された開口15aを有する。このような場合でも、風の通り道をつくり、背面部15の風荷重を抑制することができる。
言い換えれば、本実施の形態では、側面壁及び背面壁が、一枚板ではなく、隙間を開けた幅の狭い板の連続とすることで、風の通り道をつくり、壁面の風荷重を抑制する。この際、薄板を上屋外部が低くなるように傾斜させることで、防雨性を担保しつつ、風を一方向に誘導し、隙間から流出する風の流れを安定させる。これは、壁の風荷重だけでなく屋根の風荷重の低減にも寄与する。
<好適な傾斜角の範囲>
[実施ケース]
次に、上記した流体解析により、屋根の屋根勾配(傾斜角度)の好適な範囲を検討した結果を説明する。屋根勾配(傾斜角度)を変更しながら流体解析を実施したケースを、表3に示す。屋根の屋根勾配β(傾斜角度)については、建築の慣例に則り、tanβの形で表している。風向角θに関し、全てのケースで、-90deg、-45deg、0deg、45deg及び90degの5種類の風向角θについて、流体解析を行っている。また、表3では、比較例1に一致又は類似したケースのケース番号を、Case0及びCase1と表記し、解析例3に一致又は類似したケースのケース番号を、Case2乃至Case6と表記している。なお、Case0は、比較例1と一致している。
Figure 2024027579000005
[評価指標]
風荷重は、上記数式(3)を用いて説明した平均風力係数Cを用いて評価した。一方、平均風力係数Cに関しては、屋根の面積が増加した場合の受圧面積が増えることによる荷重の増加が加味されない。そこで、屋根の面積の増加を考慮するために、以下の指標も平均風力係数として導入した。なお、以下では、平均風力係数C及びC´を係数C及びC´と称する場合がある。
Figure 2024027579000006
ここで、Aは、各ケースのモデルの屋根の面積であり、Aは、Case0(比較例1)の面積である。
[解析結果]
Case1乃至Case6の結果を図20に示す。図20は、Case1乃至Case6の各々の屋根勾配の場合に流体解析により得られた風向角と係数C及びC´との関係を示すグラフである。図20(a)は、係数Cについて示し、図20(b)は、係数C´について示している。
図20(a)及び図20(b)に示すように、屋根勾配βが減少するにつれて、風向角θが正の範囲では係数C及びC´が減少し、風向角θが負の範囲では係数C及びC´が増加した。但し、風向角θが負の範囲における係数C及びC´の増加は緩やかである。また、概ねtanβ=-30/100を満たす屋根勾配βの付近において、風向角θが正の範囲と、風向角θが負の範囲と、の間で係数C及びC´の最大値は略等しくなり、均衡するか、又は、風向角θが正の範囲の係数C及びC´の最大値の方が、風向角θが負の範囲の係数C及びC´の最大値よりも小さくなる。言い換えれば、風向角θが-90≦θ<0を満たすときに屋根が受ける風により屋根に及ぼされる風荷重が最大になるときの風向角θを風向角θ1とし、風向角θがθ=θ1を満たすときの風荷重の値を第1値とする。また、風向角θが0<θ≦90を満たすときに屋根が受ける風により屋根に及ぼされる風荷重が最大になるときの風向角θを風向角θ2とし、風向角θがθ=θ2を満たすときの風荷重の値を第2値とする。このようにしたとき、第2値が第1値よりも小さくなることが好ましい。
図21は、Case1乃至Case6の各々における屋根勾配βと係数C及びC´の絶対値の最大値である|Cmax及び|C´|maxとの関係を示すグラフである。図21(a)は、|Cmaxについて示し、図21(b)は、|C´|maxについて示している。また、図21(a)及び図21(b)中の破線は、Case0(比較例1)の値を示している。
図21(a)及び図21(b)に示すように、屋根勾配βを負にすることで、|Cmax及び|C´|maxは減少し、特に屋根勾配βが-4/10≦tanβ≦-3/10を満たす場合に、|Cmax及び|C´|maxは小さかった。また、|C´|maxに着目すると、特にtanβ=-3/10の場合に、|C´|maxは小さかった。
図22は、Case1乃至Case6の各々における|Cmax及び|C´|maxを屋根勾配βがtanβ=-3/10を満たす場合の結果で除して規格化したR|Cf|max及びR|Cf´|maxと、屋根勾配βとの関係を示すグラフである。図22(a)は、R|Cf|maxについて示し、図22(b)は、R|Cf´|maxについて示している。また、図22(a)及び図22(b)中の破線は、Case0(比較例1)の値を示し、図22(a)及び図22(b)中の二点鎖線は、屋根勾配βがtanβ=-3/10を満たす場合のR|Cf|max及びR|Cf´|maxの値に対して±10%の範囲の上限値及び下限値を示している。
図22(a)及び図22(b)に示すように、屋根勾配βが-5/10≦tanβ≦-2.5/10を満たす場合に、R|Cf|max及びR|Cf´|maxの値は、屋根勾配βがtanβ=-3/10を満たす場合のR|Cf|max及びR|Cf´|maxの値に対して±10%の範囲内であった。
以上の結果より、屋根勾配βを負とすることで、屋根の風荷重は低減され、これは屋根勾配βがtanβ=-3/10を満たす場合において、最も効果的であった。また、屋根勾配βが-5/10≦tanβ≦-2.5/10を満たす場合でも、屋根の風荷重は、屋根勾配βがtanβ=-3/10を満たす場合に対して+10%の範囲内であった。
従って、好適には、上面16aが水平面に対して傾斜している傾斜角度をβとし、高さHT1が高さHT2よりも低くなるときの傾斜角度の符号を負としたとき、傾斜角度は、下記数式(5)を満たす。なお、下記数式(5)は、上記数式(1)と同一の数式である。
-0.5≦tanβ≦-0.25・・・(5)
このような場合、屋根勾配βがtanβ=-0.3を満たし、係数C´の絶対値の最大値|C´|maxが最小となる場合、即ち屋根の風荷重が最も低くなる場合の屋根の風荷重を基準値としたとき、基準値に対して屋根の風荷重が増加する増加率が+10%以下になるように、屋根の風荷重を低減することができる。
また、更に好適には、上面16aが水平面に対して傾斜している傾斜角度は、下記数式(6)を満たす。なお、下記数式(6)は、上記数式(2)と同一の数式である。
-0.4≦tanβ≦-0.3・・・(6)
このような場合、係数C及びC´の絶対値の最大値|Cmax及び|C´|maxが最小となるので、屋根の風荷重を更に低減することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
本発明は、プラットホーム上に設けられた上屋に適用して有効である。
10 上屋
11 軌道
12 プラットホーム
13、14 側面部
13a、13b、14a、14b、16b、16c 縁部
15 背面部
15a 開口
16 屋根
16a、22a、25a 上面
16d 圧力測定孔
17、17a~17d 柱
21、22、23、24、25、26、27、28 板部材
21a、21b、22b、23b、24a、24b、25b、26b、28c 縁部
23a、26a 下面
28a 第1面
28b 第2面
HT1、HT10、HT2~HT9 高さ
RG1 領域

Claims (9)

  1. 軌道に沿って延在するプラットホーム上に設けられた上屋において、
    前記プラットホームの長さ方向で対向配置された第1側面部及び第2側面部と、
    前記第1側面部のうち前記プラットホームの幅方向における前記軌道側と反対側の第1縁部と、前記第2側面部のうち前記幅方向における前記軌道側と反対側の第2縁部と、の間に配置された背面部と、
    前記第1側面部、前記第2側面部及び前記背面部に囲まれた空間を覆う屋根と、
    を有し、
    前記屋根の第1上面は、前記第1上面のうち前記幅方向における前記軌道側の第3縁部の第1高さが、前記第1上面のうち前記幅方向における前記軌道側と反対側の第4縁部の第2高さよりも低くなるように、水平面に対して傾斜している、上屋。
  2. 請求項1に記載の上屋において、
    前記第1上面が前記水平面に対して傾斜している傾斜角度をβとし、前記第1高さが前記第2高さよりも低くなるときの前記傾斜角度の符号を負としたとき、前記傾斜角度は、下記数式(1)を満たす、上屋。
    -0.5≦tanβ≦-0.25・・・(1)
  3. 請求項1に記載の上屋において、
    前記第1上面が前記水平面に対して傾斜している傾斜角度をβとし、前記第1高さが前記第2高さよりも低くなるときの前記傾斜角度の符号を負としたとき、前記傾斜角度は、下記数式(2)を満たす、上屋。
    -0.4≦tanβ≦-0.3・・・(2)
  4. 請求項1に記載の上屋において、
    前記背面部は、前記長さ方向にそれぞれ延在し、且つ、上下方向に間隔を空けて配列された複数の第1板部材を含み、
    前記複数の第1板部材の各々は、前記第1板部材のうち前記幅方向における前記軌道側の第5縁部の第3高さが、前記第1板部材のうち前記幅方向における前記軌道側と反対側の第6縁部の第4高さよりも高くなるように、前記水平面に対して傾斜している、上屋。
  5. 請求項4に記載の上屋において、
    前記複数の第1板部材のうち前記上下方向で隣り合う2つの第1板部材を下から上に向かって順に第2板部材、第3板部材としたとき、前記第2板部材の第2上面のうち前記幅方向における前記軌道側の第7縁部の第5高さは、前記第3板部材の第1下面のうち前記幅方向における前記軌道側と反対側の第8縁部の第6高さ以上である、上屋。
  6. 請求項1に記載の上屋において、
    前記第1側面部は、前記幅方向にそれぞれ延在し、且つ、上下方向に間隔を空けて配列された複数の第4板部材を含み、
    前記複数の第4板部材の各々は、前記第4板部材のうち前記長さ方向における前記第2側面部側の第9縁部の第7高さが、前記第4板部材のうち前記長さ方向における前記第2側面部側と反対側の第10縁部の第8高さよりも高くなるように、前記水平面に対して傾斜している、上屋。
  7. 請求項6に記載の上屋において、
    前記複数の第4板部材のうち前記上下方向で隣り合う2つの第4板部材を下から上に向かって順に第5板部材、第6板部材としたとき、前記第5板部材の第3上面のうち前記長さ方向における前記第2側面部側の第11縁部の第9高さは、前記第6板部材の第2下面のうち前記長さ方向における前記第2側面部側と反対側の第12縁部の第10高さ以上である、上屋。
  8. 請求項1に記載の上屋において、
    前記背面部は、前記幅方向と交差する第1面と、前記第1面の反対面である第2面と、を有する第7板部材を含み、
    前記第7板部材と前記屋根との間が開口されている、上屋。
  9. 請求項1に記載の上屋において、
    前記屋根が前記幅方向において前記軌道側から前記屋根に向かう風を受け、受けた前記風による気流が前記第3縁部の上方を流れ、前記第3縁部の上方を流れた前記気流が前記第1上面に吹き付けられるとき、
    前記屋根は、前記第1高さが前記第2高さよりも低くなるように前記第1上面が前記水平面に対して傾斜していることにより、前記第1上面が前記水平面に対して傾斜していない場合及び前記第1高さが前記第2高さよりも高くなるように前記第1上面が前記水平面に対して傾斜している場合に比べ、前記第1上面のうち前記気流が吹き付けられる第1領域を前記第3縁部に近づける、上屋。

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