JP2024027288A - 導電性含フッ素樹脂組成物及びその製造方法、並びにチューブ - Google Patents

導電性含フッ素樹脂組成物及びその製造方法、並びにチューブ Download PDF

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Abstract

【課題】導電性を有する含フッ素樹脂組成物の提供。【解決手段】テトラフルオロエチレンに基づく単位、及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する含フッ素共重合体と、導電性金属酸化物とを含む導電性含フッ素樹脂組成物であって、前記導電性金属酸化物の長径が4μm未満、アスペクト比が10以上であり、前記導電性金属酸化物の屈折率が1.0~3.0であり、前記導電性含フッ素樹脂組成物の総質量に対して、前記導電性金属酸化物の含有量が10質量%以上40質量%未満であり、前記導電性含フッ素樹脂組成物からなる厚さ0.1mmのフィルムにおける全光線透過率が5%を超える、導電性含フッ素樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性含フッ素樹脂組成物、導電性含フッ素樹脂組成物の製造方法、及び導電性含フッ素樹脂組成物を用いたチューブに関する。
特許文献1には、例えば、電線を被覆する絶縁層を形成する材料として、特定の官能基を有する含フッ素共重合体と、表面が化学修飾されたナノダイヤモンドとを溶融混練した含フッ素樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、プリンターの転写ベルトの表層を形成する材料として、含フッ素樹脂の微粉末を水に分散した分散液と、金属酸化物等の導電剤とを混合した組成物が記載されている。
特許第6455367号公報 特開2007-212740号公報
含フッ素樹脂組成物を用いて製造した物品の用途によっては、ホコリ付着防止や防爆対策の点から、静電気を帯び難いことが要求される場合がある。また導電剤等を添加しても成形品の表面平滑性が損なわれことが望まれる。
本発明は、成形品の表面平滑性を損なわずに、導電性を高められる含フッ素樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明は下記の態様を有する。
[1] テトラフルオロエチレンに基づく単位、及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する含フッ素共重合体と、導電性金属酸化物とを含む導電性含フッ素樹脂組成物であって、
前記導電性金属酸化物の長径が4μm未満、アスペクト比が10以上であり、
前記導電性金属酸化物の屈折率が1.0~3.0であり、
前記導電性含フッ素樹脂組成物の総質量に対して、前記導電性金属酸化物の含有量が10質量%以上40質量%未満であり、
前記導電性含フッ素樹脂組成物からなる厚さ0.1mmのフィルムにおける全光線透過率が5%を超える、導電性含フッ素樹脂組成物。
[2] 前記導電性金属酸化物がアンチモンドープ酸化錫である、[1]の導電性含フッ素樹脂組成物。
[3] 前記[1]又は[2]の導電性含フッ素樹脂組成物からなる導電性層を有する、チューブ。
[4] 前記導電性層の径方向における厚さが300μm未満である、[3]のチューブ。
[5] さらに、テトラフルオロエチレンに基づく単位、及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する含フッ素共重合体からなる層を有する、[3]又は[4]のチューブ。
[6] 最外層が前記導電性層であり、最内層が前記含フッ素共重合体からなる層である、[5]のチューブ。
[7] テトラフルオロエチレンに由来する単位、及びペルフルオロアルキルビニルエーテルに由来する単位を有する含フッ素共重合体と、導電性金属酸化物とを含む原料を、二軸溶融混練押出機を用いて混練する混練工程を有し、
前記原料の総質量に対して、前記導電性金属酸化物の含有量が10質量%以上40質量%未満であり、
前記導電性金属酸化物の長径が4μm未満、アスペクト比が10以上であり、
前記導電性金属酸化物の屈折率が1.0~3.0であり、
前記混練工程において、前記二軸溶融混練押出機のバレル内径Dに対する、ニーディングエレメント又はミキシングエレメントの長さLの比を表すL/Dを3超とし、かつ下記式(a)で表されるせん断速度γを40sec-1超とする、導電性含フッ素樹脂組成物の製造方法。
γ=π×D×N/60 …(a)
式(a)において、
γはせん断速度(単位:sec-1)、
πは3.14(円周率)、
Dはバレル内径(単位:mm)、
Nはスクリュー回転数(単位:rpm)を表す。
本発明によれば、成形品の表面平滑性を損なわずに、導電性を高められる含フッ素樹脂組成物が得られる。
本発明によれば、表面平滑性が良好な導電性層を有するチューブが得られる。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
重合体における「単位」は、単量体が重合することによって形成された、前記単量体1分子に由来する原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られた重合体を処理することによって前記原子団の一部が別の構造に変換された原子団であってもよい。
「エーテル性酸素原子」は、炭素原子間においてエーテル結合(-O-)を形成する酸素原子を意味する。
「ペルフルオロアルキル基」は、アルキル基の炭素原子に共有結合する水素原子がすべてフッ素原子に置換された基を意味する。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの総称である。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度である。
「溶融流れ速度」は、JIS K 7210-1:2014(対応国際規格ISO 1133-1:2011)に規定されるメルトマスフローレイト(MFR)である。MFRの測定条件は、温度372℃、荷重49Nまたは温度230℃、荷重21Nである。
含フッ素共重合体の屈折率、及び導電性金属化合物の屈折率は、JIS K 7142:2014に準拠する方法で測定される値である。
本明細書では以下の測定方法を用いる。
<導電性金属化合物のアスペクト比>
導電性金属化合物の粒子を透過電子顕微鏡(TEM)により観察し、長径と、短径を測定する。100±10個の粒子における、長径の平均値(平均長径)及び短径の平均値(平均短径)を求め、平均短径に対する平均長径の比(平均長径/平均短径)を算出してアスペクト比とする。
<導電性含フッ素樹脂組成物からなるフィルムの全光線透過率>
測定対象の導電性含フッ素樹脂組成物を、プレス成形法で厚さ0.1mm(公差0.05mm)のフィルムに成形する。プレス成形条件は、温度350℃、圧力5MPaとし、フィルム寸法は、縦130mm×横130mm×厚さ0.1mmとする。得られたフィルムを縦50mm×横50mmに切り出して、測定用サンプルとする。
測定用サンプルの全光線透過率を、JIS K 7361-1:1997に準拠する方法で測定する。
<導電性含フッ素樹脂組成物の体積固有抵抗率>
上記全光線透過率の測定に用いたフィルムの体積固有抵抗率を、JIS K 7194:1994に準拠する方法で測定する。
≪導電性含フッ素樹脂組成物E≫
本実施形態の導電性含フッ素樹脂組成物Eは、含フッ素共重合体Aと、導電性金属酸化物Bとを含む。さらに任意成分Cを含んでもよい。
<含フッ素共重合体A>
含フッ素共重合体Aを構成し得る単位として、下記(1)~(6)が挙げられる。
含フッ素共重合体Aは、少なくとも下記TFE単位及び下記PAVE単位を含む。さらに、下記HFP単位、下記他の含フッ素単位、及び下記他の非フッ素単位から選ばれる1種以上を含んでもよい。
含フッ素共重合体Aは下記官能基iを有してもよい。官能基iを有する態様については後述する。
(1)TFE単位:テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」ともいう。)に基づく単位。
(2)PAVE単位:ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」ともいう。)に基づく単位。
(3)HFP単位:ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」ともいう。)に基づく単位。
(4)他の含フッ素単位:TFE、PAVE及びHFP以外の含フッ素単量体(ただし、下記官能基iを含むものを除く。以下「他の含フッ素単量体」ともいう。)に基づく単位。
(5)他の非フッ素単位:フッ素原子を有しない非フッ素単量体(ただし、下記官能基iを含むものを除く。以下「他の非フッ素単量体」ともいう。)。
(6)i単位:カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる官能基iを有する単量体iに基づく単位。官能基iは密着性の向上に寄与する。
前記PAVEとしては、CF=CFORf1(ただし、Rf1は、炭素原子数1~10のペルフルオロアルキル基、又はエーテル性酸素原子を有する炭素原子数2~10のペルフルオロアルキル基である。)が例示できる。Rf1におけるペルフルオロアルキル基は、直鎖状でもよく分岐状でもよい。Rf1の炭素原子数は1~6が好ましく、1~3がより好ましい。
CF=CFORf1としては、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF(以下、「PPVE」ともいう。)、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFF等が例示でき、PPVEが好ましい。
含フッ素共重合体Aに含まれるPAVE単位は、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記他の含フッ素単量体としては、重合性二重結合を1つ又は2つ有する含フッ素化合物が好ましく、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン(以下、「VdF」ともいう。)、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン(以下、「CTFE」ともいう。)等のフルオロオレフィン(ただし、TFE及びHFPを除く。)、CF=CF(CFOCF=CF(ただし、pは1又は2である。)、CH=CX(CF(ただし、Xは水素原子又はフッ素原子であり、qは2~10の整数であり、Xは水素原子又はフッ素原子である。)、ペルフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1、3-ジオキソラン)が例示できる。
他の含フッ素単量体としては、VdF、CTFE及びCH=CX(CFからなる群から選ばれる単量体が好ましい。
CH=CX(CFとしては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH等が挙げられ、CH=CH(CFF及びCH=CH(CFFが好ましい。
含フッ素共重合体Aに含まれる他の含フッ素単位は、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記他の非フッ素単量体としては、重合性二重結合を1つ有し、フッ素原子を有しない化合物が好ましく、エチレン、プロピレン等の炭素原子数3以下のオレフィンが例示できる。
他の非フッ素単量体としては、エチレン、プロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
含フッ素共重合体Aに含まれる他の非フッ素単位は、1種でもよく、2種以上でもよい。
含フッ素共重合体Aの全単位に対して、TFE単位の含有量が90~99.9モル%であり、PAVE単位の含有量が0.1~10モル%であり、TFE単位とPAVE単位の合計の含有量が90.1~100モル%であることが好ましい。
TFE単位の含有量が前記範囲の下限値以上であると、含フッ素共重合体Aの耐熱性、耐薬品性等に優れ、上限値以下であると含フッ素共重合体Aの耐ストレスクラック性に優れる。前記TFE単位の含有量は、95~99.5モル%がより好ましく、96~99モル%が特に好ましい。
PAVE単位の含有量が前記範囲内であると、含フッ素共重合体Aの成形性に優れる。前記PAVE単位の含有量は、0.5~5モル%がより好ましく、1~4モル%が特に好ましい。
含フッ素共重合体Aに対して、HFP単位、他の含フッ素単位、及び他の非フッ素単位の合計の含有量は、9.9モル%以下が好ましく、4.5モル以下がより好ましく、3モル%以下が特に好ましい。ゼロでもよい。
含フッ素共重合体Aにおける各単位の割合は、溶融核磁気共鳴(NMR)分析等のNMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析等により測定できる。
[含フッ素共重合体Aが官能基iを有する態様]
含フッ素共重合体Aが官能基iを有する場合、含フッ素共重合体Aは、官能基iを有する単量体iに基づくi単位を有してもよく、官能基iを有する末端基を有してもよく、それらの両方を有してもよい。
単量体iは官能基iを1個以上有する。単量体iが官能基iを2個以上有する場合、前記2個以上の官能基iは、互いに同じでもよく、異なってもよい。
単量体iは、官能基iを1つ有し、重合性二重結合を1つ有する化合物が好ましい。
単量体iは、含フッ素単量体でもよく、フッ素原子を含まない非フッ素単量体でもよい。非フッ素単量体が好ましい。
官能基iであるカルボニル基含有基としては、カルボニル基を含む基であれば特に制限はなく、例えば、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、酸無水物残基、ポリフルオロアルコキシカルボニル基、脂肪酸残基が例示できる。
炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基において、炭化水素基としては、例えば、炭素原子数2~8のアルキレン基が例示できる。前記アルキレン基は直鎖状でも分岐状でもよい。なお、アルキレン基の炭素原子数はカルボニル基の炭素原子を含まない。
ハロホルミル基は、-C(=O)-X(ただし、Xはハロゲン原子である。)で表される基である。ハロホルミル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。すなわち、ハロホルミル基としてはフルオロホルミル基(カルボニルフルオリド基ともいう。)が好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよい。前記アルコキシ基としては、炭素原子数1~8のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。
前記カルボニル基含有基の中でも、基材との密着性向上の点から、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基及び酸無水物残基からなる群から選ばれる基が好ましく、カルボキシ基及び酸無水物残基がより好ましい。
官能基iとしてカルボニル基含有基を有する単量体iは、酸無水物残基と重合性不飽和結合とを有する環状炭化水素化合物(以下、「単量体i-1」ともいう。)、カルボキシ基を有する単量体(以下「単量体i-2」ともいう。)、ビニルエステル、(メタ)アクリレート、CF=CFORf3COOX(ただし、Rf3は、炭素原子数1~10のペルフルオロアルキレン基、又はエーテル性酸素原子を有する炭素原子数2~10のペルフルオロアルキレン基であり、Xは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基である。)が例示できる。
前記単量体i-1としては、不飽和ジカルボン酸の酸無水物が例示できる。不飽和ジカルボン酸の酸無水物としては、無水イタコン酸(以下、「IAH」ともいう。)、無水シトラコン酸(以下、「CAH」ともいう。)、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸。以下、「NAH」ともいう。)、無水マレイン酸が例示できる。
前記単量体i-2としては、イタコン酸、シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が例示できる。
前記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ブタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニルが例示できる。
前記(メタ)アクリレートとしては、(ポリフルオロアルキル)アクリレート、(ポリフルオロアルキル)メタクリレートが例示できる。
官能基iとしてヒドロキシ基を有する単量体iは、ビニルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル、又は(メタ)アクリレートであって末端又は側鎖に1個以上のヒドロキシ基を有する化合物、クロトン酸ヒドロキシエチル等のクロトン酸変性の化合物、アリルアルコールが例示できる。
官能基iとしてエポキシ基を有する単量体iは、不飽和グリシジルエーテル(例えば、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等。)、不飽和グリシジルエステル(例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等。)が例示できる。
官能基iとしてイソシアネート基を有する単量体iは、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが例示できる。
含フッ素共重合体Aは、1種のi単位を有してもよく、2種以上のi単位を有してもよい。
i単位は、基材との密着性向上の点から、官能基iとして少なくともカルボニル基含有基を有することが好ましい。単量体iとしては、カルボニル基含有基を有する単量体が好ましい。
官能基iとしてカルボニル基含有基を有する単量体iは、熱安定性、基材との密着性向上の点から、前記単量体i-1が好ましい。
単量体i-1としては、IAH、CAH、及びNAHからなる群から選ばれる単量体が特に好ましい。IAH、CAH、及びNAHからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いると、単量体i-1として無水マレイン酸を用いた場合に必要となる特殊な重合方法(特開平11-193312号公報参照。)を用いることなく、酸無水物残基を有する含フッ素共重合体Aを容易に製造できる。IAH、CAH、及びNAHのなかでは、基材との密着性がより優れる点から、NAHがより好ましい。
官能基iが含フッ素共重合体Aの主鎖の末端基に存在している場合、その官能基iを有する末端基は、含フッ素共重合体Aの製造時に用いられた、重合開始剤や連鎖移動剤等に由来する末端基である。
含フッ素共重合体Aは、官能基iを有するi単位と、官能基iを有する末端基の両方を含んでもよい。含フッ素共重合体Aがi単位を有することがより好ましい。
含フッ素共重合体Aがi単位を有する場合、含フッ素共重合体Aの全単位に対して、i単位の含有量は、0.01~3モル%が好ましく、0.02~2モル%がより好ましく、0.05~1.5モル%が特に好ましい。
i単位の含有量が前記範囲の下限値以上であると、密着性向上効果に優れる。i単位の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、含フッ素共重合体Aの耐熱性や色目等が良好である。
含フッ素共重合体Aの全単位に対するi単位の含有割合は、例えば、特開2007-314720号公報に記載のように、赤外吸収スペクトル分析等の方法を用いて求めることができる。
含フッ素共重合体Aがi単位を有する場合、含フッ素共重合体Aの全単位に対して、HFP単位、他の含フッ素単位、他の非フッ素単位、及びi単位の合計の含有量は、9.9モル%以下が好ましく、4.5モル以下がより好ましく、3モル%以下が特に好ましい。
含フッ素共重合体Aがi単位を有する場合、含フッ素共重合体Aの全単位に対して、TFE単位の含有量は90~99.9モル%が好ましく、95~99.5モル%がより好ましく、96~99モル%が特に好ましい。
含フッ素共重合体Aがi単位を有する場合、含フッ素共重合体Aの全単位に対して、PAVE単位の含有量は0.1~10モル%が好ましく、0.5~5モル%がより好ましく、1~4モル%が特に好ましい。
含フッ素共重合体Aの融点は、260~320℃が好ましく、280~315℃がより好ましく、295~310℃がさらに好ましい。
含フッ素共重合体Aの融点が前記範囲の下限値以上であると耐熱性に優れ、上限値以下であると、耐熱性と加工性のバランスに優れる。
なお、含フッ素共重合体Aの融点は、含フッ素共重合体Aを構成する単位の種類、各単位の含有割合、分子量等によって調整できる。例えば、TFE単位の割合が多くなるほど、融点が高くなる傾向がある。
含フッ素共重合体Aの溶融流れ速度(MFR)は、0.1~1000g/10分が好ましく、0.5~100g/10分がより好ましく、1~50g/10分がさらに好ましく、5~40g/10分が特に好ましい。MFRが前記範囲の下限値以上であると加工性に優れる。MFRが前記範囲の上限値以下であると、導電性含フッ素樹脂組成物Eにおいて良好な機械強度が得られやすい。
MFRは、含フッ素共重合体Aの分子量の目安であり、MFRが大きいと分子量が小さく、MFRが小さいと分子量が大きいことを示す。含フッ素共重合体Aの分子量及びMFRは、含フッ素共重合体Aの製造条件によって調整できる。例えば、単量体を重合して含フッ素共重合体Aを製造する際に、重合時間を短縮するとMFRが大きくなる傾向がある。
含フッ素共重合体Aの屈折率は1.1~2.5が好ましく、1.2~3.0がより好ましく、1.3~2.0が特に好ましい。含フッ素共重合体Aの屈折率が上記の範囲内であると透明性に優れる。
含フッ素共重合体Aの屈折率は結晶化度によって調整できる。例えば、結晶化度を下げると屈折率が高まる傾向がある。
<導電性金属酸化物B>
導電性金属酸化物Bは、アスペクト比が10以上であり、長径が4μm未満の粒子状である。このような針状の微粒子を用いると、導電性含フッ素樹脂組成物Eの導電性を高めやすい。
前記アスペクト比は15以上が好ましく、20以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、柔軟性の点で50以下が好ましく、30以下がより好ましい。
前記長径は3μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、強度の点で0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。
導電性金属酸化物Bは、屈折率が1.0~3.0であるものを用いる。屈折率が前記の範囲内であると、含フッ素共重合体Aと導電性金属酸化物Bとの屈折率差を小さくしやすい。
導電性金属酸化物Bの屈折率は、1.2~2.8が好ましく、1.3~2.5がより好ましい。
導電性金属酸化物Bとしては、酸化錫(SnO、屈折率2.0)、酸化インジウム(In)に5価のアンチモンをドープしたアンチモンドープ酸化錫(ATO、屈折率2.0)、Inに4価の錫をドープした錫ドープ酸化インジウム(ITO、屈折率2.0)が例示できる。導電性の点でアンチモンドープ酸化錫がより好ましい。
導電性含フッ素樹脂組成物Eの総質量に対して、導電性金属酸化物Bの含有量は10質量%以上40質量%未満であり、15~35質量%が好ましく、20~30質量%がより好ましい。前記導電性金属酸化物Bの含有量が、前記範囲の下限値以上であると、導電性付与効果に優れる。上限値以下であると、導電性含フッ素樹脂組成物Eの成形品における表面平滑性に優れる。加えて、全光線透過率を高めやすい。
<任意成分C>
本実施形態の導電性含フッ素樹脂組成物Eは、含フッ素共重合体A及び導電性金属酸化物B以外の任意成分Cを含んでもよい。
任意成分Cとしては、充填剤、可塑剤、難燃剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電性含フッ素樹脂組成物Eにおける任意成分Cの含有量は、導電性含フッ素樹脂組成物Eからなるフィルムの透明性を担保できる範囲とすることが好ましい。
<導電性含フッ素樹脂組成物Eの物性>
導電性含フッ素樹脂組成物Eは、導電性含フッ素樹脂組成物Eからなる厚さ0.1mmのフィルムの全光線透過率が5%を超える。
後述の実施例に示されるように、導電性含フッ素樹脂組成物Eが導電性金属酸化物Bを10質量%以上含み、かつ前記全光線透過率が5%を超えると良好な導電性が得られる。例えば、導電性含フッ素樹脂組成物Eの体積固有抵抗率が2.0×1014Ω・cm以下を実現できる。前記体積固有抵抗率が2.0×1014Ω・cm以下であると、例えば、静電気抑制によるホコリ付着防止効果に優れる。
前記全光線透過率は6%以上が好ましく、7%以上がより好ましく、8%以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、透明性の点からは90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。
前記体積固有抵抗率は1.0×1015Ω・cm以下がより好ましく、1.0×10Ω・cm以下がさらに好ましい。
前記全光線透過率は、導電性含フッ素樹脂組成物Eを製造する際の混練強度によって調整できる。例えば、導電性含フッ素樹脂組成物Eの組成が一定である場合、導電性含フッ素樹脂組成物Eを製造する際の混練強度を高めると、前記全光線透過率が高まる傾向がある。導電性含フッ素樹脂組成物中で導電性金属酸化物Bがより均一に分散するためと考えられる。
また前記全光線透過率は、含フッ素共重合体AのMFR(分子量)によって調整できる。例えば、導電性金属酸化物Bの含有量及び前記混練強度が一定である場合、含フッ素共重合体AのMFRを低くすると、前記全光線透過率が高まる傾向がある。導電性含フッ素樹脂組成物Eの流動性が高まり、導電性金属酸化物Bがより均一に分散するためと考えられる。
なお、導電性含フッ素樹脂組成物が含フッ素共重合体Aのみからなる場合の前記全光線透過率は、概ね6~50%程度であり、6~30%が好ましく、8~20%がより好ましい。
また、導電性含フッ素樹脂組成物が含フッ素共重合体Aのみからなる場合の前記体積固有抵抗率は、概ね1.0×10~1.0×1016Ω・cm程度であり、1.0×10~5.0×1014Ω・cmが好ましく、1.0×1014~5.0×1014Ω・cmがより好ましい。
≪導電性含フッ素樹脂組成物の製造方法≫
本実施形態の導電性含フッ素樹脂組成物の製造方法は、含フッ素共重合体Aと、導電性金属酸化物Bとを含む原料を混練する混練工程を有する。
原料の組成は、好ましい態様も含めて、導電性含フッ素樹脂組成物Eの組成と同様である。
混練工程で得られた混練物(導電性含フッ素樹脂組成物E)は、必要に応じて成形することが好ましい。例えばペレット状に押出成形する。
混練工程では、二軸溶融混練押出機(以下、「二軸押出機」ともいう。)を用いて原料を混練する。
二軸押出機は、2本のスクリューと、2本のスクリューを内蔵するバレルと、バレルに設けられた原料供給口と、バレルの下流端に設けられたダイとを備える。
貫通孔が形成されているバレルのシリンダーに通した2本のスクリューを、同方向に回転させる同方向回転二軸押出機でもよく、前記2本のスクリューを異方向に回転させる異方向回転押出機でもよい。同方向回転二軸押出機がより好ましい。2本のスクリューの噛み合わせは、非噛合型であってもよく、部分噛合型であってもよく、完全噛合型であってもよい。
スクリューとしては、複数のスクリューエレメントをシャフトに装着したものが用いられる。スクリューエレメントは、軸直角方向に同一の断面形状を有する。スクリューエレメントとしては、機能別に、ロータリーエレメント、ニーディングエレメント、ミキシングエレメントが挙げられる。
ロータリーエレメントは、シャフトを中心として連続的に回転する捩れ角を有し、搬送
能力のあるスクリューエレメントである。
ニーディングエレメントは、捩れ角がない複数の板状のディスクで構成されるスクリューエレメントである。
ミキシングエレメントは、正ねじのフルフライトエレメントに切り欠きを形成したスクリューエレメント、または逆ねじのフルフライトエレメントに切り欠きを形成したスクリューエレメントである。ミキシングエレメントは、セルフクリーニング性を有していてもよく、セルフクリーニング性を有していなくてもよい。
本実施形態における二軸押出機は、スクリューエレメントのうちミキシングエレメントおよびニーディングエレメントの少なくとも一方が2個以上連続して配置された溶融ゾーンの1個以上を有する。
バレルは、複数のバレルブロックが直列に連結されたものである。
バレルブロックには、スクリューの断面形状に対応した貫通孔が形成されている。
導電性含フッ素樹脂組成物Eをペレット状に成形する場合、溶融状態の導電性含フッ素樹脂組成物Eを二軸押出機の吐出口に取り付けられたダイから押し出してストランドとし、次いでペレタイザによって切断して、ペレットとする。ダイにおける吐出口の数は、1個であってもよく、複数個であってもよい。
混練工程における混練条件は、ニーディングエレメント又はミキシングエレメントの長さ(すなわち、溶融ゾーンにおけるスクリューの合計長さ)L(mm)と、バレルの内径D(mm)との比を表すL/Dを3超とし、かつ下記式(a)で表されるせん断速度γを40sec-1超とする。
γ=π×D×N/60 …(a)
式(a)において、γはせん断速度(単位:sec-1)、πは3.14(円周率)、Dはバレル内径(単位:mm)、Nはスクリュー回転数(単位:rpm)を表す。
L/D及びせん断速度γは混練強度の指標となる。L/Dが一定である場合、せん断速度γが大きいほど混練強度が高まる。せん断速度γが一定である場合、L/Dが大きいほど混練強度が高まる。
後述の実施例に示されるように、原料が導電性金属酸化物Bを10質量%以上含み、混練工程においてL/Dを3超とし、かつせん断速度γを40sec-1超とすると、導電性含フッ素樹脂組成物Eの良好な導電性が得られる。例えば、導電性含フッ素樹脂組成物Eの体積固有抵抗率が2.0×1014Ω・cm以下を実現できる。
前記L/Dは20以上が好ましく、30以上がより好ましく、35以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、滞留による熱劣化の点からは100以下が好ましく、60以下がより好ましい。
前記せん断速度γは45sec-1以上が好ましく、50sec-1以上がより好ましく、70sec-1以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、樹脂分解の抑制の点からは500sec-1以下が好ましく、200sec-1以下がより好ましい。せん断速度γはスクリュー回転数Nによって調整できるほか、バレルとスクリューフライトのチップクリアランスを変化させることで調整できる。
バレル内径Dは、例えば10~100mmが好ましく、12~60mmがより好ましい。
長さLは、例えば200~5000mmが好ましく、400~2000mmがより好ましい。
スクリュー回転数Nは、例えば50~800rpmが好ましく、70~300rpmがより好ましい。
混練温度は、含フッ素共重合体Aの融点以上となるように設定する。含フッ素共重合体Aの融点と混練温度との差の絶対値は0~200℃が好ましく、10~100℃がより好ましい。
≪成形体≫
導電性含フッ素樹脂組成物Eを成形して、各種成形体を製造できる。成形法は特に限定されず、公知の成形法を適用できる。例えば溶融成形法(押出成形法、射出成形法、プレス成形法等)が例示できる。
押出成形法としては、Tダイを用いたフィルムシート成形法、円形ダイを用いたチューブ成形法、異形押出成形法、溶融紡糸法、中空部品成形のためのブロー成形法等が例示できる。押出成形法によって二層以上の多層成形品を製造してもよい。
導電性含フッ素樹脂組成物Eを成形して得られる成形体は、導電性を有する。加えて透明性及び耐薬品性を有する。
≪チューブ≫
成形体として、例えばチューブ(環状成形体)が好ましい。
本実施形態のチューブは、導電性含フッ素樹脂組成物Eからなる導電性層Eを有する。さらに、含フッ素共重合体Aからなる層Aを有してもよい。
導電性層Eは導電性、透明性及び耐薬品性を有する。導電性含フッ素樹脂組成物Eからなる面は静電気を帯び難く、ホコリ付着防止効果が得られる。層Aは透明性及び耐薬品性を有し、良好な表面平滑性が得られやすい。
本実施形態のチューブは、例えば薬液搬送用のチューブとして好適である。
導電性層E及び層Aを有するチューブは、径方向に2層以上が積層されている多層チューブが好ましい。多層チューブは、最外層が導電性層Eであり最内層が層Aであることが好ましい。最外層と最内層の間に中間層が存在してもよい。中間層は透明性を有する樹脂組成物からなることが好ましい。
導電性層Eからなる単層チューブの外径は0.1~50mmが好ましく、0.05~5mmがより好ましい。径方向における単層チューブの厚さ(肉厚)は0.01~10mmが好ましく、0.05~1mmがより好ましい。
導電性層E及び層Aを有する多層チューブにおいて、径方向における導電性層Eの厚さは300μm未満が好ましく、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。導電性層Eの厚さが300μm未満であると透明性に優れる。前記導電性層Eの厚さの下限は特に限定されないが、強度の点から5μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。
多層チューブの外径は0.5~100mmが好ましく、1~10mmがより好ましい。径方向における多層チューブの厚さ(肉厚)は0.02~10mmが好ましく、0.05~5mmがより好ましい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[原料]
<含フッ素共重合体A>
含フッ素共重合体A1:TFE単位98モル%と、PPVE単位2モル%とからなる共重合体、融点310℃、MFR35.9g/10分、屈折率1.4。
含フッ素共重合体A2:TFE単位98.5モル%と、PPVE単位1.5モル%とからなる共重合体、融点310℃、MFR13g/10分、屈折率1.4。
<導電性金属酸化物B>
導電性金属酸化物B1:アンチモンドープ酸化錫(ATO)、長径1.1mm、アスペクト比25、屈折率2.0。
[二軸溶融混練押出機]
二軸押出機(テクノベル社製、製品名「KZW15TW-45HG1100」、スクリュー径:15mmΦ、L/D:45)を用いた。
以下の例1~4は実施例、例5~7は比較例である。
[例1]
二軸溶融混練押出機を用い、表1に示す配合で、含フッ素共重合体A1と導電性金属酸化物B1を溶融混練して導電性含フッ素樹脂組成物のペレットを製造した。混練条件を表1に示す。混練温度は370℃とした。
次いで、プレス成形機を用い、上記の成形条件で、導電性含フッ素樹脂組成物からなるフィルムを製造し、全光線透過率及び体積固有抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
なお、含フッ素共重合体A1のみからなる厚さ0.1mmのフィルムの全光線透過率は95%であり、体積固有抵抗率は1.0×1017Ω・cmであり絶縁性であった。
[例2、例3、例6]
例1において、含フッ素共重合体A1と導電性金属酸化物B1の含有比率を表1に示すとおりに変更した。
その他は例1と同様にして導電性含フッ素樹脂組成物を製造し、フィルム状に成形し、全光線透過率及び体積固有抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
[例4]
例2において、含フッ素共重合体A1を含フッ素共重合体A2に変更した。
その他は例2と同様にして導電性含フッ素樹脂組成物を製造し、フィルム状に成形し、全光線透過率及び体積固有抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
なお、含フッ素共重合体A2のみからなる厚さ0.1mmのフィルムの全光線透過率は93%であり、体積固有抵抗率は1.0×1017Ω・cmであり絶縁性であった。
[例5]
例1において、含フッ素共重合体A1と導電性金属酸化物B1の含有比率を表1に示すとおりに変更した。さらに、ニーディングエレメントの長さLを173mmから45mmに変更してL/Dを3に変更した。
その他は例1と同様にして導電性含フッ素樹脂組成物を製造し、フィルム状に成形し、全光線透過率及び体積固有抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
[例7]
例2において、スクリュー回転数Nを100rpmから45rpmに変更して、せん断速度γを35sec-1に変更した。
その他は例2と同様にして導電性含フッ素樹脂組成物を製造し、フィルム状に成形し、全光線透過率及び体積固有抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
[表面平滑性の評価]
例1~7で得た導電性含フッ素樹脂組成物からなる外層を有する多層チューブを製造し、表面平滑性を評価した。
すなわち、2層のチューブ成形ダイスを用い、内層が含フッ素共重合体A1、外層が各例の導電性含フッ素樹脂組成物となるように多層押し出し成形を行った。内層用の押し出し機としては口径40mmのものを用い、2層を形成する樹脂が合流後のダイス温度は、370℃とした。シリンダー温度を280~370℃に設定した。外層用の押出機としては口径30mmのものを用い、シリンダー温度を280~370℃に設定した。最終品であるチューブ形状が内径6mm、外径8mm、内層の厚さが0.9mm、外層の厚さが0.1mmとなるように、各押出機の吐出量およびチューブの引き取り速度を調整した。これにより、引き取り速度は6m/分とした。ダイスより吐出したチューブは真空サイジング部を通り、その後水槽内で冷却して最終形状を固定した。
得られたチューブの外観を目視で観察し、外層の表面にダイスリット由来の凹凸が見られる場合を、メルトフラクチャーの発生「有」と判定し、前記凹凸が見られない場合をメルトフラクチャーの発生「無」と判定した。結果を表1に示す。
Figure 2024027288000001
表1の結果に示されるように、例1~4の導電性含フッ素樹脂組成物は導電性及び表面平滑性が良好であった。
例2、4、7は、導電性金属酸化物B1の含有量が互いに同じであるが、全光線透過率が5%を超える例2、4は、例7より体積固有抵抗率が小さく、導電性に優れていた。
例5、7は、導電性金属酸化物B1の含有量が10質量%以上40質量%未満であるが、全光線透過率が5%以下の例であり、体積固有抵抗率が高く、導電性が劣った。
例6は、全光線透過率が5%以下であるが、導電性金属酸化物B1の含有量が40質量%の例であり、表面平滑性が劣った。

Claims (7)

  1. テトラフルオロエチレンに基づく単位、及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する含フッ素共重合体と、導電性金属酸化物とを含む導電性含フッ素樹脂組成物であって、
    前記導電性金属酸化物の長径が4μm未満、アスペクト比が10以上であり、
    前記導電性金属酸化物の屈折率が1.0~3.0であり、
    前記導電性含フッ素樹脂組成物の総質量に対して、前記導電性金属酸化物の含有量が10質量%以上40質量%未満であり、
    前記導電性含フッ素樹脂組成物からなる厚さ0.1mmのフィルムにおける全光線透過率が5%を超える、導電性含フッ素樹脂組成物。
  2. 前記導電性金属酸化物がアンチモンドープ酸化錫である、請求項1に記載の導電性含フッ素樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の導電性含フッ素樹脂組成物からなる導電性層を有する、チューブ。
  4. 前記導電性層の径方向における厚さが300μm未満である、請求項3に記載のチューブ。
  5. さらに、テトラフルオロエチレンに基づく単位、及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する含フッ素共重合体からなる層を有する、請求項3に記載のチューブ。
  6. 最外層が前記導電性層であり、最内層が前記含フッ素共重合体からなる層である、請求項5に記載のチューブ。
  7. テトラフルオロエチレンに由来する単位、及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に由来する単位を有する含フッ素共重合体と、導電性金属酸化物とを含む原料を、二軸溶融混練押出機を用いて混練する混練工程を有し、
    前記原料の総質量に対して、前記導電性金属酸化物の含有量が10質量%以上40質量%未満であり、
    前記導電性金属酸化物の長径が4μm未満、アスペクト比が10以上であり、
    前記導電性金属酸化物の屈折率が1.0~3.0であり、
    前記混練工程において、前記二軸溶融混練押出機のバレル内径Dに対する、ニーディングエレメント又はミキシングエレメントの長さLの比を表すL/Dを3超とし、かつ下記式(a)で表されるせん断速度γを40sec-1超とする、導電性含フッ素樹脂組成物の製造方法。
    γ=π×D×N/60 …(a)
    式(a)において、
    γはせん断速度(単位:sec-1)、
    πは3.14(円周率)、
    Dはバレル内径(単位:mm)、
    Nはスクリュー回転数(単位:rpm)を表す。
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