JP2024024592A - 搬送装置及び搬送装置の制御方法 - Google Patents

搬送装置及び搬送装置の制御方法 Download PDF

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Seiichi Teshigawara
弘人 吉岡
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Abstract

【課題】走行器具に対して着脱自在であって、遠隔操作による好適な走行制御が可能な搬送装置及び搬送装置の制御方法を提供する。【解決手段】搬送装置1は、装置本体10に支持される駆動輪と、複数の従動輪220を備える走行器具200に接続可能かつ装置本体10に設けられる接続部30と、走行器具200との接続状態を検出可能な接続状態検出部と、制御部50と、無線通信を介して装置本体10の走行方向と走行速度又は走行駆動力とを操作するための操作信号を出力可能な遠隔操作部(リモコン60)と、を備え、制御部50は、接続非検出時には遠隔操作部が受け付けた操作に対応する操作信号に基づく並進速度及び旋回速度で装置本体10が走行するように駆動輪の角速度を制御し、接続検出時には遠隔操作部が受け付けた操作に対応する並進力及び旋回トルクで装置本体10が駆動輪を介して走行面を押して走行するように駆動輪の車軸回りのトルクを制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、搬送装置及び搬送装置の制御方法に関する。
台車、搬送カート、移動ベッド、ストレッチャー等、搬送物を積載して床面上を走行する走行器具に接続して、走行器具の走行を補助する無人搬送車(AGV;Auto Guided Vehicle)及び自律走行搬送ロボット(AMR;Autonomous Mobile Robot)等の搬送装置が知られている。例えば、特許文献1、2には、駆動輪により走行する装置本体の動作を、無線通信を介して操作する遠隔操作部(リモコン)を備える搬送装置が開示されている。
特開2017-097538号公報 特許第6887176号公報
ところで、走行器具に対して着脱する搬送装置では、走行器具に接続する前の単体での走行と、走行器具に接続した後の操作者が走行器具にかける力を補助するような走行との、2通りの走行を行う。したがって、このような搬送装置においては、各走行状態に適した走行制御が行われることが好ましい。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、走行器具に対して着脱自在であって、遠隔操作による好適な走行制御が可能な搬送装置及び搬送装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る搬送装置は、装置本体に支持されて前記装置本体を走行させる駆動輪と、本体部と前記本体部に支持される複数の従動輪とを備える走行器具に接続可能であって前記装置本体に設けられる接続部と、前記接続部における前記走行器具との接続状態を検出可能な接続状態検出部と、制御部と、無線通信を介して前記制御部と通信可能であって、前記駆動輪による前記装置本体の走行方向と走行速度又は走行駆動力とを操作するための操作信号を出力可能な遠隔操作部と、を備え、前記制御部は、前記操作信号に基づいて走行を制御し、前記接続状態検出部が前記走行器具との接続を検出していない状態において、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記操作信号に基づく並進速度及び旋回速度で前記装置本体が走行するように前記駆動輪の角速度を制御し、前記接続状態検出部が前記走行器具との接続を検出している状態において、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する並進力及び旋回トルクで前記装置本体が前記駆動輪を介して走行面を押して走行するように前記駆動輪の車軸回りのトルクを制御する。
このように、搬送装置は、単体で走行する際には速度制御で走行を制御される。すなわち、搬送装置は、単体で走行中において、遠隔操作部が速度を0とする操作を受け付けた場合、ブレーキが掛けられた状態となり、停止する。また、静止時においては、遠隔操作部による操作なしに意図せず移動することなく、静止状態を維持することができる。また、搬送装置が単体で走行している状態では、走行器具に接続している状態に比べて、走行物の全体の重量が軽量である。また、外部から変動する外力が加わることがない。したがって、駆動輪の角速度を制御することより、遠隔操作部からの操作によって速やかに加速及び減速して走行することができる。
一方で、搬送装置は、走行器具に接続して走行器具を搬送する際にはトルク制御で走行を制御される。すなわち、走行器具を搬送している状態においては、遠隔操作部の操作に基づくアシスト力で走行器具を押すとともに駆動輪を介して走行面を押す。この際、走行器具は、操作者による外力とアシスト力との合力に基づく加速度で走行し、遠隔操作部からの操作がない場合は操作者による外力に基づく加速度で走行する。言い換えると、トルク制御で走行する搬送装置は、速度制御されている状態と異なり、外力によって加速度が変動しても、搬送装置の駆動力がそれを打ち消すように働くことはないため、操作者による外力を阻害せず、操作者にとって自然な動きとして感じるような動きが可能である。また、搬送対象を載せている走行器具という重量物を搬送している状態では、駆動輪のトルクを制御することにより、走行を安定させることができる。
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記制御部は、前記接続状態検出部が前記走行器具との接続を検出していない状態において、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体の移動速度の目標値である速度指令値と、前記駆動輪の車輪半径と、前記駆動輪の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪の車軸回りの角速度を制御するための角速度指令値を算出する。
これにより、搬送装置の装置本体全体として、遠隔操作部の操作に対応する動きを実現できるので、操作者が直感的に搬送装置を操作可能である。
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記制御部は、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記移動速度の指令入力値である速度指令入力値と、前記速度指令入力値を取得するサンプリング周波数と、予め設定された前記装置本体の加速度と、に基づいて、前記速度指令値を算出する。
これにより、急激に速度指令入力値が変化した場合でも、加速時の急加速及び減速時の急減速を抑制することができるので、搬送装置の走行を安定させることができる。
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記制御部は、前記接続状態検出部が前記走行器具との接続を検出している状態において、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体が前記走行器具を押すアシスト力の目標値であるアシスト力指令値と、前記駆動輪の車輪半径と、前記駆動輪の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪の車軸回りのトルクを制御するためのトルク指令値を算出する。
これにより、搬送装置の装置本体全体として、遠隔操作部の操作に対応する動きを実現できるので、操作者が直感的に搬送装置を操作可能である。
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記制御部は、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記アシスト力の指令入力値であるアシスト力指令入力値と、前記装置本体の並進速度及び旋回速度と、予め設定された前記装置本体の速度の限界値である最大速度と、に基づいて、前記アシスト力指令値を算出する。
これにより、持続的に高いアシスト力を付与することで速度が大幅に増大することを抑制することができるので、搬送装置の走行を安定させることができる。
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記遠隔操作部は、反転操作信号を出力するための反転操作部を有し、前記制御部は、前記反転操作信号を受信した場合、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体の前後方向及び左右方向の正負を反転させた状態で前記駆動輪を制御する。
これにより、操作者が向く方向であって搬送装置を走行させたい方向と装置本体の前方とが一致していない場合であっても、装置本体の前後左右の定義を反転させることにより、操作者が向く方向と装置本体の前方とを一致させることができる。したがって、常に操作者にとっての前方に装置本体を走行させることが可能になるため、操作性が向上する。また、常に視野がある前方に装置本体を走行させるため、バック動作が不要となり、安全性を向上させることができる。
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記接続部は、前記装置本体に対して昇降可能かつ上面側から上方に突出して設けられる接続ピン部を含む荷重受け部材と、前記走行器具に取り付けられ、前記接続ピン部が下方から挿入可能な嵌合孔を有する取り付け部材と、を備える。
これにより、接続ピン部が嵌合孔に挿通して嵌合することで、荷重受け部材と走行器具に取り付けられる取り付け部材とが接続するので、走行器具との接続及び分離が容易に可能である。
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記接続状態検出部は、前記取り付け部材の下面側から下方に突出して前記嵌合孔の軸方向と平行な方向に延びて形成される押圧ピンと、前記接続ピン部と前記嵌合孔とが嵌合した状態である場合、前記押圧ピンが感圧面を押圧する位置に設けられ、前記感圧面にかかる圧力を検出する感圧センサと、を備える。
これにより、嵌合孔に対して接続ピン部が挿通して嵌合する際、押圧ピンが軸方向に沿って感圧面に接近して押圧するため、接続状態を正確に検出することができる。また、感圧面を押圧ピンの先端で押圧すればよいので、感圧センサの基部や配線を、部材の内部に埋め込んで配置して、外的要因による負荷や損傷を抑制できるように構成することも可能である。
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記接続状態検出部は、前記感圧センサの前記感圧面を覆う緩衝材をさらに備え、前記接続ピン部と前記嵌合孔とが嵌合した状態である場合、前記押圧ピンが前記緩衝材を介して前記感圧面を押圧する。
これにより、緩衝材が低周波振動を吸収し、ロバスト性を確保することができる。また、これに伴って、小さな段差や勾配等による細かい振動による接続状態解除の誤検出を抑制できる。また、感圧センサの感圧面を緩衝材で覆うことで保護できるので、感圧センサへの外的要因による負荷や損傷を抑制することができる。
本発明の一態様に係る搬送装置の制御方法は、装置本体に支持されて前記装置本体を走行させる駆動輪と、本体部と前記本体部に支持される複数の従動輪とを備える走行器具に接続可能であって前記装置本体に設けられる接続部と、前記接続部における前記走行器具との接続状態を検出可能な接続状態検出部と、無線通信を介して前記駆動輪による前記装置本体の走行方向及び走行速度を操作するための操作信号を出力可能な遠隔操作部と、を備える搬送装置の制御方法であって、前記接続状態検出部によって前記走行器具との接続を検出する接続状態検出ステップと、前記装置本体の周囲に存在する障害物を検知する障害物検知ステップと、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する操作信号を受け付ける受信ステップと、前記走行器具との接続を検出しない場合、前記操作信号に基づく速度指令値に対応する並進速度及び旋回速度で、前記装置本体が走行するように、前記駆動輪の角速度を制御する速度制御ステップと、前記走行器具との接続を検出した場合、前記操作信号に基づくアシスト力指令値に対応する並進力及び旋回トルクで、前記装置本体が前記駆動輪を介して走行面を押して走行するように、前記駆動輪の車軸回りのトルクを制御するトルク制御ステップと、を含む。
このように、搬送装置は、単体で走行する際には速度制御モードで制御される。すなわち、搬送装置は、単体で走行中において、遠隔操作部が速度を0とする操作を受け付けた場合、ブレーキが掛けられた状態となり、停止する。また、静止時においては、遠隔操作部による操作なしに意図せず移動することなく、静止状態を維持することができる。また、搬送装置が単体で走行している状態では、走行器具に接続している状態に比べて、走行物の全体の重量が軽量である。また、外部から変動する外力が加わることがない。したがって、駆動輪の角速度を制御することより、遠隔操作部からの操作によって速やかに加速及び減速して走行することができる。
一方で、搬送装置は、走行器具に接続して走行器具を搬送する際にはトルク制御モードで制御される。すなわち、走行器具を搬送している状態においては、遠隔操作部の操作に基づくアシスト力で走行器具を押すとともに駆動輪を介して走行面を押す。この際、走行器具は、操作者による外力とアシスト力との合力に基づく加速度で走行し、遠隔操作部からの操作がない場合は操作者による外力に基づく加速度で走行する。言い換えると、トルク制御モードで制御される搬送装置は、速度制御モードで制御されている状態と異なり、外力によって加速度が変動しても、搬送装置の駆動力がそれを打ち消すように働くことはないため、操作者による外力を阻害せず、操作者にとって自然な動きとして感じるような動きが可能である。また、搬送対象を載せている走行器具という重量物を搬送している状態では、駆動輪のトルクを制御することにより、走行を安定させることができる。
本発明の一態様に係る搬送装置の制御方法において、前記速度制御ステップでは、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体の移動速度の目標値である速度指令値と、前記駆動輪の車輪半径と、前記駆動輪の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪の車軸回りの角速度を制御するための角速度指令値を算出する。
これにより、搬送装置の装置本体全体として、遠隔操作部の操作に対応する動きを実現できるので、操作者が直感的に搬送装置を操作可能である。
本発明の一態様に係る搬送装置の制御方法において、前記速度制御ステップでは、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記移動速度の指令入力値である速度指令入力値と、前記速度指令入力値を取得するサンプリング周波数と、予め設定された前記装置本体の加速度と、に基づいて、前記速度指令値を算出する。
これにより、急激に速度指令入力値が変化した場合でも、加速時の急加速及び減速時の急減速を抑制することができるので、搬送装置の走行を安定させることができる。
本発明の一態様に係る搬送装置の制御方法において、前記トルク制御ステップでは、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体が前記走行器具を押すアシスト力の目標値であるアシスト力指令値と、前記駆動輪の車輪半径と、前記駆動輪の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪の車軸回りのトルクを制御するためのトルク指令値を算出する。
これにより、搬送装置の装置本体全体として、遠隔操作部の操作に対応する動きを実現できるので、操作者が直感的に搬送装置を操作可能である。
本発明の一態様に係る搬送装置の制御方法において、前記トルク制御ステップでは、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記アシスト力の指令入力値であるアシスト力指令入力値と、前記装置本体の並進速度及び旋回速度と、予め設定された前記装置本体の速度の限界値である最大速度と、に基づいて、前記アシスト力指令値を算出する。
これにより、持続的に高いアシスト力を付与することで速度が大幅に増大することを抑制することができるので、搬送装置の走行を安定させることができる。
本発明の一態様に係る搬送装置の制御方法において、前記遠隔操作部は、反転操作信号を出力するための反転操作部を有し、搬送装置の制御方法は、前記反転操作信号を受け付ける反転信号受信ステップと、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記搬送装置に対する制御の前後方向及び左右方向の正負を反転させる反転ステップと、をさらに含む。
これにより、操作者が向く方向であって搬送装置を走行させたい方向と装置本体の前方とが一致していない場合であっても、装置本体の前後左右の定義を反転させることにより、操作者が向く方向と装置本体の前方とを一致させることができる。したがって、常に操作者にとっての前方に装置本体を走行させることが可能になるため、操作性が向上する。また、常に視野がある前方に装置本体を走行させるため、バック動作が不要となり、安全性を向上させることができる。
本発明によれば、走行器具に対して着脱自在であって、遠隔操作による好適な走行制御が可能な搬送装置及び搬送装置の制御方法を提供することができる。
図1は、実施形態に係る搬送装置の走行器具への接続前の状態を示す斜視図である。 図2は、図1に示す搬送装置の内部構成の一部を示す平面図である。 図3は、図1に示す搬送装置の走行器具への接続前の状態を一部断面で示す側面図である。 図4は、図1に示す搬送装置の走行器具への接続後における空洞部を示す断面図である。 図5は、搬送装置の走行制御モードの切り替え処理の一例を示すフローチャートである。 図6は、実施形態に係る走行制御処理に用いる搬送装置の力学モデルの一例を示す図である。 図7は、速度制御モードにおけるジョイスティックの倒し角と速度指令値との関係を示すグラフである。 図8は、操作者が走行器具に対して加える外力の時間変化の一例を示すグラフである。 図9は、図8に対応する走行器具の速度の時間変化を示すグラフである。 図10は、図8に対応する走行器具の加速度の時間変化を示すグラフである。 図11は、トルク制御モードにおけるジョイスティックの倒し角と搬送装置のアシスト力との関係を示すグラフである。 図12は、変形例に係る搬送装置と操作者との位置関係の一例を示す模式図である。 図13は、図12の後、前後左右が反転された搬送装置と操作者との位置関係の一例を示す模式図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
[装置構成]
まず、実施形態に係る搬送装置1の構成について、図を参照して説明する。図1は、実施形態に係る搬送装置1の走行器具200への接続前の状態を示す斜視図である。図2は、図1に示す搬送装置1の内部構成の一部を示す平面図である。図3は、図1に示す搬送装置1の走行器具200への接続前の状態を一部断面で示す側面図である。図4は、図1に示す搬送装置1の走行器具200への接続後における空洞部34aを示す断面図である。
なお、実施形態を示す図において、発明に係る構成要素以外の構成要素は、適宜省略して図示される。また、以下の説明では、搬送装置1の水平な一方向(図2の左右方向)を「前後方向」と言い、水平かつ一方向に直交する交差方向(図2の上下方向)を「幅方向」と言う。
搬送装置1は、走行器具200(図1及び図3参照)の下に潜り込んで下方から走行器具200に接続し、走行器具200の走行を補助する装置である。走行器具200は、例えば、台車、搬送カート、移動ベッド、ストレッチャー等である。図1に示すように、走行器具200は、搬送対象を載せる本体部210と、水平方向成分を含む外力が付与されることによって本体部210を水平姿勢に維持して水平方向に移動させることが可能な複数の従動輪220と、ガイド部材230と、ストッパー240と、操作者が走行器具200を操作するためのハンドル250と、を備え、搬送装置1が本体部210の下に潜り込める隙間を有する。
実施形態において、本体部210の下面側中央部には、搬送装置1の後述の接続部30の取り付け部材40が固定される。従動輪220は、実施形態において、自在輪である。ガイド部材230は、第1アーム231と、第1アーム231に並設した第2アーム232と、を有する。第2アーム232は、第1アーム231に交差せず、本体部210の外側の一方向に向かって延びている。
第1アーム231及び第2アーム232は、取り付け部材40を挟んで向かい合って設置され、第1アーム231及び第2アーム232の後端側が走行器具200の進行方向に対して垂直の取り付け部材40の位置に固定されている。第1アーム231及び第2アーム232の先端側は、弓形状に外側に広がって延びている。第1アーム231と第2アーム232との間隔は、走行器具200の下方の接続位置が最も小さくなるような構造である。
第1アーム231及び第2アーム232は、取り付け部材40よりも突出しているため、後述で説明するように、搬送装置1が走行器具200への接続前に走行器具200の下方に潜り込む際に、後述の接続部30の荷重受け部材33と取り付け部材40との間に空間が設けられることになる。荷重受け部材33は、第1アーム231と第2アーム232との間に侵入し、第1アーム231及び第2アーム232は、走行器具200に対する搬送装置1の相対位置を走行器具200の下方の接続位置に誘導する。
ストッパー240は、第1アーム231及び第2アーム232が設置された位置と反対側の位置に、取り付け部材40の両端側に設置されている。ストッパー240同士間の幅は、荷重受け部材33の横幅よりも狭く、荷重受け部材33が取り付け部材40の真下にある状態で、荷重受け部材33に当接し、搬送装置1を停止させ、走行器具200への接続が可能となる。
荷重受け部材33が走行器具200への接続前に取り付け部材40の下方に潜り込む際、走行器具200に対する搬送装置1の相対位置が接続位置からずれた位置にあるときには、走行器具200の装置本体10の下面側中央部に配置したストッパー240が、荷重受け部材33の前方側側面に当接し、搬送装置1を停止させることができる。これにより、ストッパー240は、荷重受け部材33が取り付け部材40の下を通り越さないようにすることができる。
図1及び図2に示すように、搬送装置1は、装置本体10と、駆動輪20と、モータ21と、接続部30と、制御部50と、リモコン60(遠隔操作部)と、を備える。実施形態の装置本体10は、平面視形状が略正方形状の直方体である。搬送装置1の駆動輪20の一部を除く各構成要素は、装置本体10の内部に配置される。
装置本体10には、上記構成要素の他に、例えば、接続部30を昇降させる昇降機構や、走行速度を測定するための速度測定部等が搭載される。速度測定部は、装置本体10等に別途設けられる加速度センサを含んでもよいし、オドメトリによって速度推定を行うためのロータリエンコーダやホールセンサ等の位置検出器を含んでもよい。
図2に示すように、装置本体10は、装置本体10の底面を構成する板状の本体基台11を含む。本体基台11は、後述の駆動輪20の一部を本体基台11より下方に露出させるための開口を有する。本体基台11の開口は、駆動輪20の配置及び数に対応して設けられ、実施形態では、本体基台11の4辺の各々の中心近傍に合計4つ形成される。
本体基台11は、上面側において、サスペンション13を介して、車輪基台12を支持する。車輪基台12は、本体基台11より上方に位置し、下面が本体基台11の上面と対向する板状のフレームである。車輪基台12には、後述の駆動輪20が設けられる。
車輪基台12は、駆動輪20の配置及び数に対応して設けられ、実施形態では、本体基台11の4辺の各々の中心近傍に合計4つ配置される。車輪基台12の上面側には、例えば、駆動輪20の車軸20aの両端部をそれぞれ支持する一対のシャフトホルダが設けられる。一対のシャフトホルダは、車軸20aを、車輪基台12より上方の位置において、車輪基台12に対して水平姿勢に支持する。
車輪基台12には、後述の駆動輪20の一部を車輪基台12より下方に露出させるための開口と、複数の貫通孔と、が形成されている。車輪基台12の開口は、平面視において、本体基台11の開口と同一の位置に設けられる。貫通孔は、後述の軸部材14(図3参照)に対応する位置にそれぞれ形成され、対応する軸部材14の通過を許容する。
図3に示すように、サスペンション13は、本体基台11と車輪基台12との間の振動を吸収するように構成され、走行時における路面の凹凸等による駆動輪20の上下動を吸収することで、装置本体10の振動を抑制し、水平姿勢を維持させる。サスペンション13は、軸部材14と、直動案内機構15と、弾性体16と、ばね押さえ17と、を備える。
軸部材14は、本体基台11から上方に直立し、下端部が本体基台11の上面に固定して設けられる円柱状の軸部材である。軸部材14は、例えば、スタットボルトである。軸部材14は、本体基台11の1つの開口に対して、当該開口を挟むように少なくとも2つ設けられる。図2に示すように、軸部材14は、実施形態において、本体基台11の1つの開口に対して、当該開口を水平かつ後述の駆動輪20の車軸20aに対して直交する方向に挟む位置に2つずつで4つずつ、本体基台11全体で合計16個設けられる。複数の軸部材14は、後述の駆動輪20の位置に対して均等に設けられることが好ましい。
軸部材14は、車輪基台12に形成された貫通孔と、直動案内機構15と、弾性体16及び一対のばね押さえ17と、に挿通する。軸部材14は、車輪基台12、直動案内機構15、弾性体16、及び一対のばね押さえ17の軸方向(図3の上下方向)への移動を案内し、軸方向に交差する方向への移動を規制する。軸部材14は、外径がばね押さえ17の内径より大きい鍔部を上端に有し、ばね押さえ17が上方に抜けることを制止している。
直動案内機構15は、軸部材14に沿って軸部材14の軸方向に直動移動する円筒状の転がり軸受(リニアブッシュ)である。直動案内機構15は、円筒の軸心が、車輪基台12の貫通孔の軸心に一致するように、車輪基台12の上面側に固定して設けられる。車輪基台12は、車輪基台12に形成された貫通孔及び直動案内機構15が、本体基台11に設けられた軸部材14によって案内されて、軸部材14の軸方向に直動移動することで、本体基台11に対して、垂直に接近又は離隔する方向に移動可能である。
弾性体16は、筒状に形成され、内周側を軸部材14が挿通する。弾性体16は、軸部材14の軸方向への移動を許容する。弾性体16は、車輪基台12の上面側と軸部材14の上端との間に介在する。弾性体16は、例えば、圧縮コイルばね、又はゴム等の粘弾性材料で形成される円筒体を含む。
弾性体16は、実施形態において、上端側及び下端側に一対のばね押さえ17を有する。ばね押さえ17は、環状に形成され、内周側を軸部材14が挿通する。一方のばね押さえ17は、弾性体16の上端と、軸部材14の上端の鍔部との間に配置される。他方のばね押さえ17は、弾性体16の下端と、直動案内機構15の上端との間に配置される。
弾性体16は、一方のばね押さえ17及び軸部材14を介して本体基台11と上端側が接続する。弾性体16は、他方のばね押さえ17及び直動案内機構15を介して下端側が車輪基台12と接続する。これにより、弾性体16は、本体基台11と車輪基台12との間の垂直方向への近接及び離隔による衝撃を吸収する。
駆動輪20は、車輪基台12に対して車軸20a回りに回動可能であるように支持される。駆動輪20は、例えば、車軸20aの両端部にそれぞれ設けられる一対のシャフトホルダによって支持される。駆動輪20は、例えば、全方向移動が可能なオムニホイール、又はメカナムホイールであってもよい。駆動輪20には、車軸20a回りの回転駆動力がモータ21から伝達される。
駆動輪20は、実施形態において、車輪基台12に対して1対1の関係で設けられる。すなわち、4つの駆動輪20は、平面視において、本体基台11の4辺の各々の中心近傍に合計4つ形成される。対向する平行な2辺の近傍に各々配置された2つの駆動輪20は、車軸20aが、本体基台11の中心部を通る水平軸であって、互いに同軸となるように配置される。
平常時において、弾性体16は、本体基台11側からかかる荷重、すなわち装置本体10の自重及び後述の接続部30にかかる荷重によって、軸部材14を介して、上方から荷重を受けている。また、弾性体16は、駆動輪20が路面から受ける反力によって、車輪基台12及び直動案内機構15を介して、下方から荷重を受けている。これにより、弾性体16は、上下方向から圧縮されている。
駆動輪20が路面の凸状部を走行すると、駆動輪20の車軸20aとともに車輪基台12が上方に変位し、上方向の加速度が発生することで、直動案内機構15を介して弾性体16の下端部に上方への圧縮荷重がかかる。弾性体16は、下方から受ける荷重に対して圧縮することで、駆動輪20が路面から受ける衝撃を吸収する。これにより、弾性体16の上端部における上方向の加速度は、弾性体16の下端部における上方向の加速度に対して減少するため、軸部材14及び本体基台11にかかる加速度が、駆動輪20にかかる加速度に対して減少する。
駆動輪20が路面の凹状部を走行すると、駆動輪20の車軸20aとともに車輪基台12が下方に変位し、下方向の加速度が発生することで、直動案内機構15を介して弾性体16の下端部に下方への引張荷重がかかる。弾性体16は、下方に引っ張られる荷重によって伸長することで、駆動輪20が路面から受ける衝撃を吸収する。これにより、弾性体16の上端部における下方向の加速度は、弾性体16の下端部における下方向の加速度に対して減少するため、軸部材14及び本体基台11にかかる加速度が、駆動輪20にかかる加速度に対して減少する。
サスペンション13は、平常時において、本体基台11の上面と車輪基台12の下面との間に、間隙を有することが好ましい。これにより、搬送装置1の走行時における振動を、弾性体16の圧縮及び伸長によって吸収し、本体基台11及び車輪基台12が互い接近又は離隔する際に、本体基台11と車輪基台12とが衝突することを抑制する。
なお、軸部材14、車輪基台12の貫通孔、及び弾性体16は、実施形態において、1つの駆動輪20の前後に2組ずつ4組設けられるが、本実施形態では、少なくとも2組設けられればよく、3組、又は5組以上であってもよい。また、平面視において軸部材14及び車輪基台12の貫通孔が配置される位置は、他の部材と干渉しない範囲であれば任意の位置に設定可能である。
図2に示すように、駆動輪20には、モータ21の回転駆動力が伝達される。モータ21は、例えば、装置本体10内に設けられたモータドライバによって制御され、後述のバッテリ51等から電力が供給されることにより、回転駆動力を発生させる。モータ21は、例えば、BLDC(Brush-Less Direct-Current)モータを含む。モータ21は、出力軸21aが駆動輪20の車軸20aと平行となるように、筐体が周知の支持部材等を介して、車輪基台12の上面側に固定される。
モータ21の出力軸21aの回転を、駆動輪20の車軸20aへ伝達する伝達機構は、実施形態において、プーリ22、23と、ベルト24と、を含む。プーリ22は、駆動輪20の車軸20aに対して軸心が一致するように固定される。プーリ23は、モータ21の出力軸21aに対して軸心が一致するように固定される。ベルト24は、プーリ22とプーリ23との間に掛け回される無端のベルトである。
ベルト24は、プーリ23がモータ21の出力軸21aとともに軸心回りに回動することによって、プーリ22及びプーリ23の間を移動し、プーリ22を駆動輪20の車軸20aとともに回動させる。プーリ22、23は、例えば、タイミングプーリであり、ベルト24は、例えば、タイミングベルトである。伝達機構は、ベルト24の代わりにチェーンを有していてもよい。伝達機構は、ベルト24又はチェーンを介して伝達する構成に限定されず、平歯車等の複数の歯車を介して伝達する歯車機構を含んでもよい。
接続部30は、装置本体10と走行器具200とを接続する接続機構を含む。実施形態の搬送装置1は、走行器具200から接続部30にかかる荷重を測定可能である。接続部30は、平面視において、装置本体10の中央部に配置される。接続部30は、実施形態において、荷重センサ基部31と、不図示の荷重センサと、荷重受け部材33と、カバー部材34と、感圧センサ35と、緩衝材36と、取り付け部材40と、を有する。接続部30は、荷重センサ基部31、荷重センサ、荷重受け部材33、カバー部材34、感圧センサ35、及び緩衝材36が、取り付け部材40と分離可能である。荷重センサ基部31、荷重センサ、荷重受け部材33、及びカバー部材34は、不図示の昇降装置によって、本体基台11に対して昇降する。
荷重センサ基部31は、平面視形状が角丸の正方形状である略四角柱形状に形成され、不図示の昇降機構を介して本体基台11に支持される。荷重センサ基部31は、不図示の荷重センサを介して荷重受け部材33を支持する。荷重センサ基部31は、複数の荷重センサを支持する。
不図示の荷重センサは、例えば、荷重を検出するひずみゲージ式のロードセルを含む。1つの荷重センサ(ロードセル)は、2つのひずみゲージを有する。各々の荷重センサは、荷重センサ基部31に固定される環形状の板体である外枠と、外枠の内周側に設けられる板体である舌片と、を有する。舌片は、荷重受け部材33に接する突起部を有し、突起部が荷重受け部材33に押圧されることで、外枠との連結部を中心に揺動する。この際のひずみに基づいて、荷重センサは、面に垂直な方向に加わった荷重を検出する。荷重センサは、水平な一方向、水平かつ一方向に直交する交差方向、及び垂直方向の荷重をそれぞれ検出可能な複数の荷重センサを含んでもよい。
荷重受け部材33は、荷重センサ基部31に対して直接接触しないように設けられ、複数の荷重センサを介して荷重センサ基部31に支持される。荷重受け部材33は、搬送装置1と接続する走行器具200からかかる荷重を受け、この荷重の大きさ及び方向に応じて荷重センサ基部31に対して各々の荷重センサの舌片を変位させる。荷重受け部材33は、実施形態において、上面側の中心部から上方に突出して設けられる接続ピン部33aを有する。接続ピン部33aは、後述する取り付け部材40の嵌合孔41に下方から挿入可能である。
カバー部材34は、荷重センサ基部31に支持された荷重センサの上方を覆う環形状の保護部材である。カバー部材34は、下面が荷重センサ基部31の上面にねじ等で固定され、荷重受け部材33に対して直接接触しないように設けられる。
図4に示すように、カバー部材34は、空洞部34aを有する。空洞部34aは、収容部34bと、ピン挿通穴34cと、を含む。収容部34bは、カバー部材34の内部に空洞状に設けられる。収容部34bは、底面の形状が後述する感圧センサ35に沿う柱状の空洞状であり、底面に感圧センサ35を収容する。ピン挿通穴34cは、一端がカバー部材34の上面に開口し、他端が収容部34bの天面側に連通し、垂直方向に延びる穴である。ピン挿通穴34cは、収容部34bの長手方向の一方の端部寄りに形成される。ピン挿通穴34cには、上面側の開口から、後述する取り付け部材40の押圧ピン42が挿通可能である。
図1及び図2に示すように、カバー部材34は、実施形態において、2つの空洞部34aを有する。2つの空洞部34aは、平面視において、各々のピン挿通穴34cの位置が、後述の取り付け部材40の各々の押圧ピン42の位置に一致するように配置される。すなわち、空洞部34aのピン挿通穴34cは、押圧ピン42の数及び位置に対応した数及び位置に設けられる。実施形態の空洞部34aは、平面視において、点対称に配置される。
図4に示す感圧センサ35(接続状態検出部)は、接続部30における搬送装置1と走行器具200との接続状態を検出する。感圧センサ35は、印加される外圧の位置及び大きさを検出可能なセンサである。感圧センサ35は、例えば、静電容量式又は抵抗膜式等のセンサを含み、実施形態においては抵抗膜式のセンサである。感圧センサ35は、基部35aと、機能部35bと、を含む。
基部35aは、機能部35b及び機能部35bから延びる配線を保持する。基部35aは、薄板状に形成される。基部35aは、例えば、機能部35bを両面から挟む一対の保護フィルムを含んでもよい。
機能部35bは、例えば、基板と、複数のセンサ電極と、感圧導電層と、が積層されて配置される。基板は、基部35aの上面に配置され、複数のセンサ電極を支持する。センサ電極は、基板の上面に配置される。感圧導電層は、押圧によって変形する柔軟な樹脂材料の中に導電性粒子を配合した感圧導電による層である。感圧導電層は、表面に、導電粒子が微細な凹凸をなして露出する。感圧導電層は、複数のセンサ電極に接触することで、複数のセンサ電極を導通させる。
機能部35bは、センサ電極と感圧導電層の表面の導電粒子と接触面積が変化すると、電気抵抗値が変化する。具体的には、感圧導電層は、センサ電極とは反対側に位置する感圧面35cが押圧されると、層内が押し縮められる。これにより、感圧導電層とセンサ電極との接触面積が大きくなるので、感圧導電層を介して複数のセンサ電極間に流れる電流が大きくなり、電気抵抗値が小さくなる。機能部35bは、基部35aの配線を介して、検出した電気抵抗値を、外部の制御装置等に出力する。すなわち、感圧センサ35は、電気抵抗値の変化を検出することによって、感圧面35cにかかる圧力を検出する。
感圧センサ35は、基部35aがカバー部材34の収容部34bの底面上に収容されるとともに、機能部35bの感圧面35cがピン挿通穴34cの底部に位置し、感圧面35cがカバー部材34の上面に平行かつピン挿通穴34cの開口側を向くように、空洞部34aに配置される。
緩衝材36は、例えば、ウレタンやゴム等の柔らかく弾性に優れる樹脂材を含む。緩衝材36は、感圧面35cを覆うように設けられる。実施形態の緩衝材36は、平面視において、ピン挿通穴34cと同形状である。緩衝材36は、ピン挿通穴34cに挿通する後述の押圧ピン42の先端42aで押圧される際、低周波振動を吸収しつつ、圧力を感圧面35cに伝達する。
図3に示す取り付け部材40は、搬送対象の走行器具200に取り付けられる部材である。取り付け部材40は、走行器具200の下面側に、予めねじ等で固定される。取り付け部材40は、荷重受け部材33と接続可能かつ分離可能である。搬送装置1で搬送する搬送対象の走行器具200が複数である場合は、全ての走行器具200に予め取り付け部材40を取り付けておく。取り付け部材40を荷重受け部材33に接続することにより、搬送装置1は、走行器具200に接続される。取り付け部材40は、嵌合孔41と、押圧ピン42と、を有する。
嵌合孔41は、取り付け部材40を垂直方向に貫通する孔であって、荷重受け部材33の接続ピン部33aが下方から挿入可能である。嵌合孔41は、平面視で取り付け部材40の中心部に形成される。嵌合孔41は、例えば、下方から順に、上方に向かって徐々に小さくなるテーパ状の内壁を有する部分と、接続ピン部33aが嵌合する部分と、を含んでもよい。接続ピン部33aは、テーパ状の内壁に案内されて嵌合孔41の上部で嵌合孔41に嵌合する。
押圧ピン42は、取り付け部材40の下面側から下方に突出して嵌合孔41の軸方向と平行な方向(垂直方向)に延びて形成される。押圧ピン42は、軸方向の先端42a(図4における下端)に向かって徐々に小さくなるようなドーム形状を含む。押圧ピン42は、軸方向の長さが、カバー部材34のピン挿通穴34cの深さより長い。押圧ピン42は、荷重受け部材33と取り付け部材40とが接続状態である場合、感圧センサ35を押圧する突起である。押圧ピン42は、実施形態において、緩衝材36を介して感圧センサ35を押圧する。
取り付け部材40は、実施形態において、2つの押圧ピン42を有する。2つの押圧ピン42は、荷重受け部材33と接続状態である場合において、軸方向に視て、カバー部材34の各々のピン挿通穴34cの位置に一致するように配置される。すなわち、押圧ピン42は、空洞部34aのピン挿通穴34cの数及び位置に対応した数及び位置に設けられる。実施形態の押圧ピン42は、平面視において、点対称に配置される。
接続部30を接続状態にするには、まず、取り付け部材40が取り付けられた走行器具200の下方に潜り込ませるよう、搬送装置1を走行させ、取り付け部材40の嵌合孔41の直下に荷重受け部材33の接続ピン部33aを対向させるように位置づける。次に、不図示の昇降機構等で荷重センサ基部31、荷重センサ、及びカバー部材34とともに荷重受け部材33を上昇させる。上昇した荷重受け部材33は、取り付け部材40から下方から接近し、接続ピン部33aが嵌合孔41に下方から挿通して嵌合する。
荷重受け部材33と取り付け部材40とが正確に接続された場合、押圧ピン42は、空洞部34aに挿通し、空洞部34aの下方の収容部34bに配置される感圧センサ35の感圧面35cを、緩衝材36を介して押圧する。感圧センサ35は、押圧ピン42の先端42aによる緩衝材36を介した感圧センサ35の押圧を検出する。すなわち、感圧センサ35は、荷重受け部材33と取り付け部材40との接続状態を検出する。
押圧ピン42は、実施形態のように、平面視において、対角状に配置される2つの押圧ピン42を含んでもよい。これにより、2つの押圧ピン42のいずれもが各々緩衝材36を介して感圧センサ35を押圧したことを感圧センサ35が検出した場合に、荷重受け部材33と取り付け部材40との接続状態が正常であると判断することが可能である。押圧ピン42は、実施形態の2つが対角状に配置される構成に限定されず、3つ以上配置されてもよく、平面視で線対称又は点対称に配置されることが好ましい。
搬送装置1が接続部30を介して走行器具200に接続している状態において、搬送装置1が走行すると、走行した方向に接続部30が移動する。搬送装置1は、接続部30を介して走行器具200を走行方向に引っ張る。その結果、搬送装置1が移動した方向に、走行器具200が搬送される。また、搬送装置1は、接続部30を介して走行器具200を右左折移動方向又は旋回移動方向に引っ張る。その結果、搬送装置1の右左折動作又は旋回動作に従って、走行器具200が右左折又は旋回する。
搬送装置1を走行器具200から離脱させる際には、不図示の昇降機構で荷重センサ基部31、荷重センサ、及びカバー部材34とともに荷重受け部材33を下降させる。下降した荷重受け部材33は、接続ピン部33aが嵌合孔41から下方に抜けて、取り付け部材40の下方に離隔する。これにより、搬送装置1が走行器具200から離脱される。
取り付け部材40から荷重受け部材33が離脱すると、押圧ピン42は、先端42aが感圧センサ35の感圧面35cから離隔し、空洞部34aから抜ける。すなわち、感圧センサ35は、荷重受け部材33と取り付け部材40との接続状態を検出しなくなる。また、搬送装置1が走行器具200を搬送中に、大きな段差や障害物等に衝突し、取り付け部材40の嵌合孔41と荷重受け部材33の接続ピン部33aとの嵌合が意図せず外れた場合は、感圧センサ35によって検出可能である。
なお、本実施形態において、接続部30の構成は、搬送装置1の装置本体10と走行器具200とを着脱自在に接続可能であり、かつ接続状態を検出可能であれば、上記実施形態の構成に限定されない。接続部30は、例えば、荷重受け部材33及び取り付け部材40に代わり、走行器具200の下方から上昇させることで走行器具200の下面に吸着するマグネット又は吸盤を含んでもよい。
図1に示す制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサを有する演算処理部、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ、記憶部、及び入出力インターフェース装置等のハードウェア資源を備える。制御部50の機能は、記憶部に格納された所定のプログラムを演算処理部が実行することで実現される。制御部50は、所定のプログラムが実行されることで、演算処理部による演算結果に従って、各構成要素に各種機能を実行させる制御信号を出力し、演算結果を外部へ出力する。
制御部50は、バッテリ51から電力が供給されて駆動する。バッテリ51は、装置本体10に搭載される。さらに、装置本体10には、非常停止ボタン52(図3参照)が設けられる。搬送装置1は、非常停止ボタン52が操作者によって押されると、リレースイッチが主電源を切り、バッテリ51からの電力供給が停止される。
制御部50は、例えば、所定のプログラムが実行されることで、荷重センサによる計測結果を取得し、荷重センサによる計測結果に基づいて荷重受け部材33にかかる荷重を算出する。また、制御部50は、例えば、感圧センサ35による検出結果を取得し、感圧センサ35による検出結果に基づいて、接続部30における搬送装置1と走行器具200との接続状態を検知する。
制御部50は、例えば、所定のプログラムが実行されることで、モータドライバにモータ21を駆動させる。制御部50は、後述のリモコン60から受信した制御信号に基づいて、装置本体10が並進移動及び旋回移動するよう各々の駆動輪20に対応するモータ21を駆動させる。
制御部50は、搬送装置1の走行速度を制御する速度制御モードと、搬送装置1の走行トルクを制御するトルク制御モードと、の走行制御モードをそれぞれ実行する。制御部50は、感圧センサ35による検出結果を取得し、接続部30において走行器具200と接続していないと判断した場合、速度制御モードを実行する。制御部50は、感圧センサ35による検出結果を取得し、接続部30において走行器具200と接続していると判断した場合、トルク制御モードを実行する。
速度制御モードは、後述のリモコン60から受信した制御信号に基づき、リモコン60が受け付けた操作に対応する並進速度及び旋回速度で装置本体10を走行させる走行制御モードである。なお、並進速度とは、搬送装置1の水平方向の移動速度であり、例えば平面視における中心位置が変化する速度をいう。また、旋回速度とは、搬送装置1の垂直方向回りの回転速度であり、例えば平面視における中心回りの姿勢角が変化する角速度をいう。制御部50は、速度制御モードにおいて、所定の並進速度及び旋回速度で装置本体10が走行するよう、各々の駆動輪20の車軸20a回りの角速度をモータドライバによって制御する。
トルク制御モードは、後述のリモコン60から受信した制御信号に基づき、リモコン60が受け付けた操作に対応する並進力及び旋回トルクで装置本体10が駆動輪20を介して走行面を押させる走行制御モードである。制御部50は、トルク制御モードにおいて、所定の並進力及び旋回トルクで装置本体10が走行するよう、各々の駆動輪20の車軸20a回りのトルクをモータドライバによって制御する。
リモコン60(遠隔操作部)は、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、Wi-Fi通信、又は5G通信等の無線通信を介して、装置本体10と通信可能であるように、装置本体10と別体で設けられる。リモコン60は、駆動輪20による装置本体10の走行方向及び走行速度を操作するための操作信号を出力可能である。リモコン60は、例えば、複数の装置本体10を切り替えて操作可能であるように共通で設けられてもよい。リモコン60は、ジョイスティック61と、操作用の複数のボタン62と、を有する。
ジョイスティック61は、リモコン60の本体の上面側から直立し、かつ傾斜する方向に揺動可能なスティックを含む。実施形態のスティックは、平面視において、360°いずれの方向にも傾倒可能である。ジョイスティック61は、装置本体10の移動動作のうち、前後移動及び左右旋回移動の操作を行う。リモコン60は、スティックが傾倒することで、スティックの倒し方向に基づく進行方向と、倒し角に基づく走行速度又はトルクとで、装置本体10を走行させるための制御信号を出力する。
より詳しくは、ジョイスティック61は、スティックの倒し方向が、装置本体10の進行方向に対応付けられている。また、ジョイスティック61は、制御部50が速度制御モードである場合、スティックの倒し角が、装置本体10に対する速度指令値に対応付けられている。また、ジョイスティック61は、制御部50がトルク制御モードである場合、スティックの倒し角が、装置本体10が走行器具200に与えるアシスト力に対応付けられている。ジョイスティック61は、ジョイスティック61に対して外力が作用していない状態において、倒し角θがθ=0となる初期位置に復帰するように常時付勢されている。
複数のボタン62は、各々予め定められた動作に対応付けられる。ボタン62は、装置本体10の移動動作のうち真横移動の操作を行う一対のボタン62aと、接続部30を昇降させる不図示の昇降機構を駆動させて荷重受け部材33の昇降動作の操作を行うボタン62bと、を含む。ボタン62は、例えば、所定の装置本体10とペアリング設定を行うためのペアリングボタン、操作する装置本体10を切り替えるための切り替えボタン、装置本体10を遠隔で起動させる電源ボタン等を含んでもよい。
[制御方法]
次に、制御部50による搬送装置1の制御方法について、説明する。まず、搬送装置1の走行制御モードの切り替え処理について説明する。図5は、搬送装置1の速度制御モードの切り替え処理の一例を示すフローチャートである。図5に示す処理は、搬送装置1の制御部50が、予め定められる制御プログラム及びデータに基づいて実行する。制御部50は、例えば、搬送装置1が所定の起動操作を受け付けることによって、図5に示すフローチャートのステップS101に移行して処理を開始する。なお、実施形態において、起動時の走行制御モードは、速度制御モードに初期設定されているものとする。
ステップS101において、制御部50は、接続部30における搬送装置1と走行器具200との接続状態の検知を開始する。制御部50は、ステップS107で接続状態の検知を終了するまで、感圧センサ35による検知結果を所定の周期で繰り返し取得する。
制御部50は、接続状態の検知を終了するまで、ステップS102からステップS104までの処理、又はステップS102及びステップS105からステップS106までの処理を、繰り返し実行する。接続状態の検知は、例えば、搬送装置1が所定の駆動停止操作を受け付けることによって終了する。
ステップS102において、制御部50は、接続部30において搬送装置1と走行器具200とが接続されているか否かを判断する。より詳しくは、制御部50は、感圧センサ35にかかる圧力の計測値に基づいて、荷重センサ、荷重センサ基部31及び不図示の昇降機構を介して装置本体10に支持される荷重受け部材33と、走行器具200に固定して取り付けられる取り付け部材40とが、正確に接続しているか否かを判断する。
制御部50は、ステップS102において接続していないと判断した場合(ステップS102;No)、ステップS103に移行する。ステップS103において、制御部50は、走行制御モードが速度制御モードに設定済みか否かを判断する。
制御部50に設定された走行制御モードは、後述のステップS106を実行していない場合、又は最後にステップS106でトルク制御モードに変更した後に後述のステップS104において再び速度制御モードに変更している場合、速度制御モードである。制御部50に設定された走行制御モードは、ステップS106を実行済み、かつ最後にステップS106でトルク制御モードに変更した後に後述のステップS104を実行していない場合、トルク制御モードである。
制御部50は、速度制御モードに設定済みと判断した場合(ステップS103;Yes)、ステップS102に戻る。制御部50は、速度制御モードに設定していないと判断した場合(ステップS103;No)、ステップS104に移行する。ステップS104において、制御部50は、走行制御モードを速度制御モードに設定する。これにより、搬送装置1による走行制御モードは、トルク制御モードから速度制御モードに変更される。
制御部50は、ステップS102において接続していると判断した場合(ステップS102;Yes)、ステップS105に移行する。ステップS105において、制御部50は、走行制御モードをトルク制御モードに設定済みか否かを判断する。
制御部50は、トルク制御モードに設定済みと判断した場合(ステップS105;Yes)、ステップS102に戻る。制御部50は、トルク制御モードに設定していないと判断した場合(ステップS105;No)、ステップS106に移行する。ステップS106において、制御部50は、走行制御モードをトルク制御モードに設定する。これにより、搬送装置1による走行制御モードは、速度制御モードからトルク制御モードに変更される。
制御部50は、ステップS104又はステップS106を実行した後、ステップS102に戻る。制御部50は、接続状態の検知を終了する所定の信号を受け付けた場合、ステップS101からステップS107までのループ処理を抜け、図5に示すフローチャートの処理を終了する。
次に、速度制御モード及びトルク制御モードを含む走行制御モードで使用する搬送装置1の力学モデルについて説明する。図6は、実施形態に係る走行制御処理に用いる搬送装置1の力学モデルの一例を示す図である。
図6に示すように、力学モデルでは、装置本体10の前後方向がX軸方向であり、幅方向がY軸方向である。なお、実施形態においては、前方fがX軸方向における正方向であり、左方lがY軸方向における正方向である。また、装置本体10の中心を通る垂直軸回り方向がω旋回方向である。なお、実施形態においては、図6に示す時計回りがω旋回方向における正方向である。
平面視において、前方fに配置される駆動輪20fと、後方bに配置される駆動輪20bとの車輪間距離Lは、Lfbで示される。また、平面視において、左方lに配置される駆動輪20lと、右方rに配置される駆動輪20rとの車輪間距離Lは、Llrで示される。
次に、装置本体10が接続部30において走行器具200と接続していない状態における走行制御モード、すなわち、速度制御モードにおける、リモコン60の操作に対応する駆動輪20の角速度指令値ωcmdの算出方法について説明する。図7は、速度制御モードにおけるジョイスティック61の倒し角θと速度指令入力値Vxinとの関係を示すグラフである。なお、図7は、X軸方向成分のみ記載しているが、Y軸方向成分及びω旋回方向成分も同様である。
図7に示すように、ジョイスティック61が機械的に傾倒可能な可動範囲は、-θmax≦θ≦+θmaxで示される。速度指令入力値Vxinは、ジョイスティック61の倒し角θが-θmax≦θ≦+θmaxの範囲内において、倒し角θに応じて-1≦Vxin≦1の間で変化する。速度指令入力値Vxinは、倒し角θが一定値に維持されている場合、一定値を維持する。
ジョイスティック61の倒し角θが-θmin≦θ≦+θminの範囲内は、不感帯として設定される。すなわち、速度指令入力値Vxinは、ジョイスティック61の倒し角θが+θmin≦θ≦+θmaxの範囲内において、速度指令入力値Vxinは、倒し角θの増加に対応して0から1まで一次関数的に増加する。また、ジョイスティック61の倒し角θが-θmax≦θ≦-θminの範囲内において、速度指令入力値Vxinは、倒し角θの減少に対応して0から-1まで一次関数的に減少する。
なお、Y軸方向に対応する速度指令入力値Vyin、及びω旋回方向に対応する速度指令入力値Vωinも、速度指令入力値Vxinと同様に、ジョイスティック61の操作量に応じて決定される。
次に、数式(1)から(3)までを用いて、ジョイスティック61の操作量(倒し角θ)に対応する3軸分の速度Vの指令入力値である速度指令入力値Vxin、Vyin、Vωinから、各々の駆動輪20を制御するモータドライバに送る角速度指令値ωcmdを算出する手順について説明する。3軸に対応する所定の増幅値をGain、Gain、Gainωとすると、時間t=jの時の速度指令値Vxj、Vyj、Vωjは、以下の数式(1)で示される。
Figure 2024024592000002
そして、時間t=j-1の時の速度指令値Vxj-1、Vyj-1、Vωj-1とし、加速度をaとし、サンプリング周波数をΔtとすると、V>Vj-1+aΔt、又はV<Vj-1-aΔtの時、搬送装置1のX軸方向及びY軸方向の並進速度と旋回速度とに対応する速度指令値V、V、Vωは、以下の数式(2)で示される。
Figure 2024024592000003
なお、速度指令値V、V、Vωとは、装置本体10の3軸に対応する移動速度の目標値である。また、実施形態において、加速度aは、少なくともリモコン60による装置本体10の走行制御が開始される前に、予め設定される固定値である。加速度aは、装置本体10が駆動していない状態、少なくとも走行を停止している状態において、調整可能な設定値であってもよい。さらに、駆動輪20の車輪半径をRとし、図6に示すとおり、X軸方向及びY軸方向の各々の車輪間距離をLfb、Llrとすると、各々の駆動輪20f、20b、20l、20rの角速度に対応する角速度指令値ωcmd_f、ωcmd_b、ωcmd_l、ωcmd_rは、以下の数式(3)で示される。
Figure 2024024592000004
装置本体10は、速度制御モードで走行が制御されている状態において、ジョイスティック61の倒し角θに応じた速度Vで走行するよう、駆動輪20の角速度ωが制御される。操作者がジョイスティック61を離してジョイスティック61が初期位置に復帰すると、倒し角θがθ=0となり、速度VをV=0とする制御が働く。すなわち、全ての駆動輪20の角速度ωがω=0を実行するため、装置本体10の走行にブレーキが掛けられた状態となる。したがって、速度制御モードでは、リモコン60による操作がない場合、走行状態であった装置本体10は停止し、静止状態の装置本体10は静止状態を維持する。
このように、装置本体10が接続部30において走行器具200と接続していない状態では、リモコン60による操作なしに意図せず移動しないよう、速度制御モードであることが好ましい。一方で、搬送装置1は、装置本体10が接続部30において走行器具200と接続している状態では、トルク制御モードで制御される。
ここで、搬送装置1に接続する走行器具200に対して、操作者による外力Fが加えられた際の、外力F、走行器具200の速度V、及び走行器具200の加速度aの変化について説明する。図8は、操作者が走行器具200に対して加える外力Fの時間変化の一例を示すグラフである。図9は、図8に対応する走行器具200の速度Vの時間変化を示すグラフである。図10は、図8に対応する走行器具200の加速度aの時間変化を示すグラフである。
操作者等の人間が走行器具200等の物体を外力Fで押す際、人間は、物体からの反力-Fを感知し、これをフィードバックして力加減を調節する。静止状態の物体を動かす際には、図8から図10までに示すグラフのように、押し始めの外力F及び加速度aが最も大きく、徐々に減少する。この際、物体の速度Vは、一気に増加した後、徐々に等速に近付く。外力Fと物体の動摩擦力Frが釣り合うと加速度aが0となり、物体が略一定の速度Vで等速運動する。
また、物体が等速運動している状態から、移動方向と逆方向、すなわち物体を停止させる方向に外力Fを与えると、加速度aは、負方向に働いた後、徐々に0に戻る。この際、物体の速度Vは、一気に減少した後、徐々に0に近付く。このように、物体の加減速及び最終速度は、人間が外力Fを加えて力で制御した結果であるため、人間にとって自然な動きとして感じるのは力による制御である。したがって、装置本体10が接続部30において走行器具200と接続している状態では、操作者による外力Fを阻害せず、装置本体10を走行させる駆動力を与えるトルク制御モードで制御されることが好ましい。
ここで、装置本体10が接続部30において走行器具200と接続している状態における走行制御モード、すなわち、トルク制御モードにおける、リモコン60の操作に対応する駆動輪20のトルク指令値τcmdの算出方法について説明する。図11は、トルク制御モードにおけるジョイスティック61の倒し角θと搬送装置1のアシスト力Fとの関係を示すグラフである。
アシスト力Fとは、装置本体10が、接続部30を介して走行器具200を押す力であり、駆動輪20を介して走行面を押す力である。アシスト力Fは、ジョイスティック61の倒し角θが、機械的に傾倒可能な可動範囲である-θmax≦θ≦+θmaxの範囲内において、倒し角θに応じて変化する。アシスト力Fは、倒し角θが一定値に維持されている場合、一定値を維持する。
ジョイスティック61の倒し角θが-θmin≦θ≦+θminの範囲内は、不感帯として設定される。すなわち、アシスト力Fは、ジョイスティック61の倒し角θが-θmin≦θ≦+θminの範囲内において、F=0である。ジョイスティック61の倒し角θが+θmin≦θ≦+θmaxの範囲内において、アシスト力Fは、倒し角θの増加に対応して一次関数的に増加する。また、ジョイスティック61の倒し角θが-θmax≦θ≦-θminの範囲内において、アシスト力Fは、倒し角θの減少に対応して一次関数的に減少する。
次に、数式(4)から(5)までを用いて、ジョイスティック61の操作量(倒し角θ)に対応する3軸分のアシスト力Fの指令入力値であるアシスト力指令入力値Fxin、Fyin、Τinから、各々の駆動輪20を制御するモータドライバに送るトルク指令値τcmdを算出する手順について説明する。3軸に対応する所定の増幅値をGain、Gain、Gainωとし、3軸分の検出速度をVxres、Vyres、Vωresとし、3軸分の最大速度をVxmax、Vymax、Vωmaxとすると、アシスト力指令値F、F、Τは、以下の数式(4)で示される。
Figure 2024024592000005
なお、アシスト力指令値F、F、Τとは、装置本体10の3軸に対応するアシスト力Fの目標値である。また、検出速度は、各々の駆動輪20のロータリエンコーダやホールセンサ等の位置検出器から計算した搬送装置1の装置本体10のX軸方向及びY軸方向の並進速度、及び旋回速度である。また、最大速度は、予め設定された制限速度である。さらに、駆動輪20の車輪半径をRとし、図6に示すとおり、X軸方向及びY軸方向の各々の車輪間距離をLfb、Llrとすると、各々の駆動輪20f、20b、20l、20rのトルクに対応するトルク指令値τcmd_f、τcmd_b、τcmd_l、τcmd_rは、以下の数式(5)で示される。
Figure 2024024592000006
装置本体10は、トルク制御モードで走行が制御されている状態において、ジョイスティック61の倒し角θに応じたアシスト力Fで駆動するよう、駆動輪20のトルクτが制御される。アシスト力Fが働いている状態では、アシスト力Fと操作者による走行器具200への外力Fとの合力Fと、走行器具200及び搬送装置1の重量mと、に基づき、F=ma(ニュートンの運動の第2法則)から導かれる加速度aで、走行器具200及び搬送装置1は走行する。
操作者がジョイスティック61を離してジョイスティック61が初期位置に復帰すると、倒し角θがθ=0となり、アシスト力FがF=0となる。この場合、操作者による走行器具200への外力Fと、走行器具200及び搬送装置1の重量mと、に基づき、F=maから導かれる加速度aで、走行器具200及び搬送装置1は走行する。
以上説明したように、実施形態の搬送装置1は、装置本体10に支持されて装置本体10を走行させる駆動輪20と、本体部210と本体部210に支持される複数の従動輪220とを備える走行器具200に接続可能であって装置本体10に設けられる接続部30と、接続部30における走行器具200との接続状態を検出可能な接続状態検出部(感圧センサ35及び押圧ピン42)と、制御部50と、無線通信を介して制御部50と通信可能であって、駆動輪20による装置本体10の走行方向と走行速度又は走行駆動力とを操作するための操作信号を出力可能な遠隔操作部(リモコン60)と、を備え、制御部50は、操作信号に基づいて走行を制御し、接続状態検出部が走行器具200との接続を検出していない状態において、遠隔操作部が受け付けた操作に対応する操作信号に基づく並進速度及び旋回速度で装置本体10が走行するように駆動輪20の角速度を制御し、接続状態検出部が走行器具200との接続を検出している状態において、遠隔操作部が受け付けた操作に対応する並進力及び旋回トルクで装置本体10が駆動輪20を介して走行面を押して走行するように駆動輪20の車軸20a回りのトルクを制御する。
このように、搬送装置1は、単体で走行する際には速度制御で走行を制御される。すなわち、搬送装置1は、単体で走行中において、遠隔操作部が速度を0とする操作を受け付けた場合、ブレーキが掛けられた状態となり、停止する。また、静止時においては、遠隔操作部による操作なしに意図せず移動することなく、静止状態を維持することができる。また、搬送装置1が単体で走行している状態では、走行器具200に接続している状態に比べて、走行物の全体の重量が軽量である。また、外部から変動する外力が加わることがない。したがって、駆動輪20の角速度を制御することより、遠隔操作部からの操作によって速やかに加速及び減速して走行することができる。
一方で、搬送装置1は、走行器具200に接続して走行器具200を搬送する際にはトルク制御で走行を制御される。すなわち、走行器具200を搬送している状態においては、遠隔操作部の操作に基づくアシスト力で走行器具200を押すとともに駆動輪20を介して走行面を押す。この際、走行器具200は、操作者による外力とアシスト力との合力に基づく加速度で走行し、遠隔操作部からの操作がない場合は操作者による外力に基づく加速度で走行する。言い換えると、トルク制御で走行する搬送装置1は、速度制御されている状態と異なり、外力によって加速度が変動しても、搬送装置1の駆動力がそれを打ち消すように働くことはないため、操作者による外力を阻害せず、操作者にとって自然な動きとして感じるような動きが可能である。また、搬送対象を載せている走行器具200という重量物を搬送している状態では、駆動輪20のトルクを制御することにより、走行を安定させることができる。
また、実施形態の搬送装置1において、制御部50は、接続状態検出部(感圧センサ35及び押圧ピン42)が走行器具200との接続を検出していない状態において、遠隔操作部(リモコン60)が受け付けた操作に対応する装置本体10の移動速度の目標値である速度指令値と、駆動輪20の車輪半径と、駆動輪20の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪20の車軸20a回りの角速度を制御するための角速度指令値を算出する。
これにより、搬送装置1の装置本体10全体として、遠隔操作部の操作に対応する動きを実現できるので、操作者が直感的に搬送装置1を操作可能である。
また、実施形態の搬送装置1において、制御部50は、遠隔操作部(リモコン60)が受け付けた操作に対応する移動速度の指令入力値である速度指令入力値と、速度指令入力値を取得するサンプリング周波数と、予め設定された装置本体10の加速度と、に基づいて、速度指令値を算出する。
これにより、急激に速度指令入力値が変化した場合でも、加速時の急加速及び減速時の急減速を抑制することができるので、搬送装置1の走行を安定させることができる。
また、実施形態の搬送装置1において、制御部50は、接続状態検出部(感圧センサ35及び押圧ピン42)が走行器具200との接続を検出している状態において、遠隔操作部(リモコン60)が受け付けた操作に対応する装置本体10が走行器具200を押すアシスト力の目標値であるアシスト力指令値と、駆動輪20の車輪半径と、駆動輪20の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪20の車軸20a回りのトルクを制御するためのトルク指令値を算出する。
これにより、搬送装置1の装置本体10全体として、遠隔操作部の操作に対応する動きを実現できるので、操作者が直感的に搬送装置1を操作可能である。
また、実施形態の搬送装置1において、制御部50は、遠隔操作部(リモコン60)が受け付けた操作に対応するアシスト力の指令入力値であるアシスト力指令入力値と、装置本体10の並進速度及び旋回速度と、予め設定された装置本体10の速度の限界値である最大速度と、に基づいて、アシスト力指令値を算出する。
これにより、持続的に高いアシスト力を付与することで速度が大幅に増大することを抑制することができるので、搬送装置1の走行を安定させることができる。
また、実施形態の搬送装置1において、接続部30は、装置本体10に対して昇降可能かつ上面側から上方に突出して設けられる接続ピン部33aを含む荷重受け部材33と、走行器具200に取り付けられ、接続ピン部33aが下方から挿入可能な嵌合孔41を有する取り付け部材40と、を備える。
これによれば、接続ピン部33aが嵌合孔41に挿通して嵌合することで、荷重受け部材33と走行器具200に取り付けられる取り付け部材40とが接続するので、走行器具200との接続及び分離が容易に可能である。
また、実施形態の搬送装置1において、接続状態検出部(感圧センサ35及び押圧ピン42)は、取り付け部材40の下面側から下方に突出して嵌合孔41の軸方向と平行な方向に延びて形成される押圧ピン42と、接続ピン部33aと嵌合孔41とが嵌合した状態である場合、押圧ピン42が感圧面35cを押圧する位置に設けられ、感圧面35cにかかる圧力を検出する感圧センサ35と、を備える。
これによれば、嵌合孔41に対して接続ピン部33aが挿通して嵌合する際、押圧ピン42が軸方向に沿って感圧面35cに接近して押圧するため、接続状態を正確に検出することができる。また、感圧面35cを押圧ピン42の先端42aで押圧すればよいので、感圧センサ35の基部や配線を、部材の内部に埋め込んで配置して、外的要因による負荷や損傷を抑制できるように構成することも可能である。
また、実施形態の搬送装置1において、接続状態検出部(感圧センサ35及び押圧ピン42)は、感圧センサ35の感圧面35cを覆う緩衝材36をさらに備え、接続ピン部33aと嵌合孔41とが嵌合した状態である場合、押圧ピン42が緩衝材36を介して感圧面35cを押圧する。
これによれば、緩衝材36が低周波振動を吸収し、ロバスト性を確保することができる。また、これに伴って、小さな段差や勾配等による細かい振動による接続状態解除の誤検出を抑制できる。また、感圧センサ35の感圧面35cを緩衝材36で覆うことで保護できるので、感圧センサ35への外的要因による負荷や損傷を抑制することができる。
また、実施形態の搬送装置1の制御方法は、装置本体10に支持されて装置本体10を走行させる駆動輪20と、本体部210と本体部210に支持される複数の従動輪220とを備える走行器具200に接続可能であって装置本体10に設けられる接続部30と、接続部30における走行器具200との接続状態を検出可能な接続状態検出部(感圧センサ35及び押圧ピン42)と、無線通信を介して駆動輪20による装置本体10の走行方向及び走行速度を操作するための操作信号を出力可能な遠隔操作部(リモコン60)と、を備える搬送装置1の制御方法であって、接続状態検出部によって走行器具200との接続を検出する接続状態検出ステップと、装置本体10の周囲に存在する障害物を検知する障害物検知ステップと、遠隔操作部が受け付けた操作に対応する操作信号を受け付ける受信ステップと、走行器具200との接続を検出しない場合、操作信号に基づく速度指令値に対応する並進速度及び旋回速度で、装置本体10が走行するように、駆動輪20の角速度を制御する速度制御ステップと、走行器具200との接続を検出した場合、操作信号に基づくアシスト力指令値に対応する並進力及び旋回トルクで、装置本体10が駆動輪20を介して走行面を押して走行するように、駆動輪20の車軸20a回りのトルクを制御するトルク制御ステップと、を含む。
このように、搬送装置1は、単体で走行する際には速度制御モードで制御される。すなわち、搬送装置1は、単体で走行中において、遠隔操作部が速度を0とする操作を受け付けた場合、ブレーキが掛けられた状態となり、停止する。また、静止時においては、遠隔操作部による操作なしに意図せず移動することなく、静止状態を維持することができる。また、搬送装置1が単体で走行している状態では、走行器具200に接続している状態に比べて、走行物の全体の重量が軽量である。また、外部から変動する外力が加わることがない。したがって、駆動輪20の角速度を制御することより、遠隔操作部からの操作によって速やかに加速及び減速して走行することができる。
一方で、搬送装置1は、走行器具200に接続して走行器具200を搬送する際にはトルク制御モードで制御される。すなわち、走行器具200を搬送している状態においては、遠隔操作部の操作に基づくアシスト力で走行器具200を押すとともに駆動輪20を介して走行面を押す。この際、走行器具200は、操作者による外力とアシスト力との合力に基づく加速度で走行し、遠隔操作部からの操作がない場合は操作者による外力に基づく加速度で走行する。言い換えると、トルク制御モードで制御される搬送装置1は、速度制御モードで制御されている状態と異なり、外力によって加速度が変動しても、搬送装置1の駆動力がそれを打ち消すように働くことはないため、操作者による外力を阻害せず、操作者にとって自然な動きとして感じるような動きが可能である。また、搬送対象を載せている走行器具200という重量物を搬送している状態では、駆動輪20のトルクを制御することにより、走行を安定させることができる。
また、実施形態の搬送装置1の制御方法において、速度制御ステップでは、遠隔操作部(リモコン60)が受け付けた操作に対応する装置本体10の移動速度の目標値である速度指令値と、駆動輪20の車輪半径と、駆動輪20の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪20の車軸20a回りの角速度を制御するための角速度指令値を算出する。
これにより、搬送装置1の装置本体10全体として、遠隔操作部の操作に対応する動きを実現できるので、操作者が直感的に搬送装置1を操作可能である。
また、実施形態の搬送装置1の制御方法において、速度制御ステップでは、遠隔操作部(リモコン60)が受け付けた操作に対応する移動速度の指令入力値である速度指令入力値と、速度指令入力値を取得するサンプリング周波数と、予め設定された装置本体10の加速度と、に基づいて、速度指令値を算出する。
これにより、急激に速度指令入力値が変化した場合でも、加速時の急加速及び減速時の急減速を抑制することができるので、搬送装置1の走行を安定させることができる。
また、実施形態の搬送装置1の制御方法において、トルク制御ステップでは、遠隔操作部(リモコン60)が受け付けた操作に対応する装置本体10が走行器具200を押すアシスト力の目標値であるアシスト力指令値と、駆動輪20の車輪半径と、駆動輪20の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪20の車軸20a回りのトルクを制御するためのトルク指令値を算出する。
これにより、搬送装置1の装置本体10全体として、遠隔操作部の操作に対応する動きを実現できるので、操作者が直感的に搬送装置1を操作可能である。
また、実施形態の搬送装置1の制御方法において、トルク制御ステップでは、遠隔操作部(リモコン60)が受け付けた操作に対応するアシスト力の指令入力値であるアシスト力指令入力値と、装置本体10の並進速度及び旋回速度と、予め設定された装置本体10の速度の限界値である最大速度と、に基づいて、アシスト力指令値を算出する。
これにより、持続的に高いアシスト力を付与することで速度が大幅に増大することを抑制することができるので、搬送装置1の走行を安定させることができる。
次に、変形例に係る搬送装置1Aの構成について、図を参照して説明する。図12は、変形例に係る搬送装置1Aと操作者Uとの位置関係の一例を示す模式図である。図13は、図12の後、前後左右が反転された搬送装置1Aと操作者Uとの位置関係の一例を示す模式図である。
変形例の搬送装置1Aは、リモコン60A(遠隔操作部)のボタン62が、反転ボタン62c(反転操作部)を含む点で、実施形態の搬送装置1と構成が異なる。反転ボタン62cは、反転操作信号を出力する。反転操作信号は、装置本体10の前後方向及び左右方向の正負の定義を反転させるための操作信号である。
図12に示す搬送装置1Aは、前方f、すなわちX軸方向における正方向が図12における右方にあり、左方l、すなわちY軸方向における正方向が図12における上方にある。この状態において、操作者Uが、図12における左方を向いて、操作者Uにとっての前方である図12における左方に、搬送装置1A及び走行器具200を走行させる場合、操作者Uは、リモコン60Aのジョイスティック61を後方(手前側)に操作する必要がある。
操作者Uは、搬送装置1A及び走行器具200に対して、自由な位置取りができるため、上記のような事態が起こり得る。このような場合では、操作者Uにとっての前後方向及び左右方向が、搬送装置1Aの前後方向及び左右方向と、ω旋回方向に180°ずれているため、操作者Uが混乱する可能性がある。
図13に示すように、操作者Uが反転ボタン62cを操作し、反転操作信号を搬送装置1Aの制御部50(図1参照)が受信すると、制御部50は、リモコン60Aが受け付けた操作に対応する装置本体10に対する制御の前後方向及び左右方向の正負を反転させる。
具体的には、制御部50は、X軸方向及びY軸方向の正負の定義を反転させる。また、制御部50は、左方の駆動輪として定義されていた駆動輪20lを、右方の駆動輪20rとして定義を修正し、右方の駆動輪として定義されていた駆動輪20rを、左方の駆動輪20lとして定義を修正する。また、制御部50は、前方の駆動輪として定義されていた駆動輪20fを、後方の駆動輪20bとして定義を修正し、後方の駆動輪として定義されていた駆動輪20bを、前方の駆動輪20fとして定義を修正する。
前後左右が反転された搬送装置1Aは、前方f、すなわちX軸方向における正方向が図13における左方に変更され、左方l、すなわちY軸方向における正方向が図13における下方に変更される。この状態において、操作者Uが、図13における左方を向いて、操作者Uにとっての前方である図13における左方に、搬送装置1A及び走行器具200を走行させる場合、操作者Uは、リモコン60Aのジョイスティック61を前方(奥側)に操作すればよい。
以上説明したように、変形例の搬送装置1Aは、遠隔操作部(リモコン60A)は、反転操作信号を出力するための反転操作部(反転ボタン62c)を有し、制御部50は、反転操作信号を受信した場合、遠隔操作部が受け付けた操作に対応する装置本体10の前後方向及び左右方向の正負を反転させた状態で駆動輪20を制御する。
また、変形例の搬送装置1Aの制御方法において、遠隔操作部(リモコン60A)は、反転操作信号を出力するための反転操作部(反転ボタン62c)を有し、搬送装置1Aの制御方法は、反転操作信号を受け付ける反転信号受信ステップと、記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する装置本体10に対する制御の前後方向及び左右方向の正負を反転させる反転ステップと、をさらに含む。
これにより、操作者Uが向く方向であって搬送装置1Aを走行させたい方向と装置本体10の前方とが一致していない場合であっても、装置本体10の前後左右の定義を反転させることにより、操作者Uが向く方向と装置本体10の前方とを一致させることができる。したがって、常に操作者Uにとっての前方に装置本体10を走行させることが可能になるため、操作性が向上する。また、常に視野がある前方に装置本体10を走行させるため、バック動作が不要となり、安全性を向上させることができる。
なお、本実施形態は、上記態様に限定されるものではない。即ち、本実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、リモコン60、60Aは、実施形態及び変形例の構成に限定されず、ボタン62の数、配置、及び割り当ては、適宜設定されてよい。また、既存のコントローラを用いてもよい。また、ジョイスティック61の代わりに、前後移動及び左右旋回移動の対応する操作に割り当てられた十字キー又はボタンを備えてもよい。この場合、速度制御モードでは、一定の速度指令値を与え、トルク制御モードでは、一定のトルク指令値を与える。
また、リモコン60、60Aは、グローバル通信を介して装置本体10と通信可能であってもよく、遠隔地からの操作が可能であってもよい。
1、1A 搬送装置
10 装置本体
11 本体基台
12 車輪基台
13 サスペンション
14 軸部材
15 直動案内機構
16 弾性体
17 ばね押さえ
20、20f、20b、20l、20r 駆動輪
20a 車軸
21 モータ
21a 出力軸
22、23 プーリ
24 ベルト
30 接続部
31 荷重センサ基部
33 荷重受け部材
33a 接続ピン部
34 カバー部材
34a 空洞部
34b 収容部
34c ピン挿通穴
35 感圧センサ(接続状態検出部)
35a 基部
35b 機能部
35c 感圧面
36 緩衝材(接続状態検出部)
40 取り付け部材
41 嵌合孔
42 押圧ピン(接続状態検出部)
42a 先端
50 制御部
51 バッテリ
52 非常停止ボタン
60、60A リモコン(遠隔操作部)
61 ジョイスティック
62、62a、62b ボタン
62c 反転ボタン(反転操作部)
200 走行器具
210 本体部
220 従動輪(自在輪)
230 ガイド部材
231 第1アーム
232 第2アーム
240 ストッパー
250 ハンドル

Claims (15)

  1. 装置本体に支持されて前記装置本体を走行させる駆動輪と、
    本体部と前記本体部に支持される複数の従動輪とを備える走行器具に接続可能であって前記装置本体に設けられる接続部と、
    前記接続部における前記走行器具との接続状態を検出可能な接続状態検出部と、
    制御部と、
    無線通信を介して前記制御部と通信可能であって、前記駆動輪による前記装置本体の走行方向と走行速度又は走行駆動力とを操作するための操作信号を出力可能な遠隔操作部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記操作信号に基づいて走行を制御し、
    前記接続状態検出部が前記走行器具との接続を検出していない状態において、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記操作信号に基づく並進速度及び旋回速度で前記装置本体が走行するように前記駆動輪の角速度を制御し、
    前記接続状態検出部が前記走行器具との接続を検出している状態において、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する並進力及び旋回トルクで前記装置本体が前記駆動輪を介して走行面を押して走行するように前記駆動輪の車軸回りのトルクを制御する、
    搬送装置。
  2. 前記制御部は、
    前記接続状態検出部が前記走行器具との接続を検出していない状態において、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体の移動速度の目標値である速度指令値と、前記駆動輪の車輪半径と、前記駆動輪の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪の車軸回りの角速度を制御するための角速度指令値を算出する、
    請求項1に記載の搬送装置。
  3. 前記制御部は、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記移動速度の指令入力値である速度指令入力値と、前記速度指令入力値を取得するサンプリング周波数と、予め設定された前記装置本体の加速度と、に基づいて、前記速度指令値を算出する、
    請求項2に記載の搬送装置。
  4. 前記制御部は、
    前記接続状態検出部が前記走行器具との接続を検出している状態において、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体が前記走行器具を押すアシスト力の目標値であるアシスト力指令値と、前記駆動輪の車輪半径と、前記駆動輪の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪の車軸回りのトルクを制御するためのトルク指令値を算出する、
    請求項1に記載の搬送装置。
  5. 前記制御部は、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記アシスト力の指令入力値であるアシスト力指令入力値と、前記装置本体の並進速度及び旋回速度と、予め設定された前記装置本体の速度の限界値である最大速度と、に基づいて、前記アシスト力指令値を算出する、
    請求項4に記載の搬送装置。
  6. 前記遠隔操作部は、反転操作信号を出力するための反転操作部を有し、
    前記制御部は、
    前記反転操作信号を受信した場合、前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体の前後方向及び左右方向の正負を反転させた状態で前記駆動輪を制御する、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送装置。
  7. 前記接続部は、
    前記装置本体に対して昇降可能かつ上面側から上方に突出して設けられる接続ピン部を含む荷重受け部材と、
    前記走行器具に取り付けられ、前記接続ピン部が下方から挿入可能な嵌合孔を有する取り付け部材と、
    を備える、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送装置。
  8. 前記接続状態検出部は、
    前記取り付け部材の下面側から下方に突出して前記嵌合孔の軸方向と平行な方向に延びて形成される押圧ピンと、
    前記接続ピン部と前記嵌合孔とが嵌合した状態である場合、前記押圧ピンが感圧面を押圧する位置に設けられ、前記感圧面にかかる圧力を検出する感圧センサと、
    を備える、
    請求項7に記載の搬送装置。
  9. 前記接続状態検出部は、
    前記感圧センサの前記感圧面を覆う緩衝材をさらに備え、
    前記接続ピン部と前記嵌合孔とが嵌合した状態である場合、前記押圧ピンが前記緩衝材を介して前記感圧面を押圧する、
    請求項8に記載の搬送装置。
  10. 装置本体に支持されて前記装置本体を走行させる駆動輪と、
    本体部と前記本体部に支持される複数の従動輪とを備える走行器具に接続可能であって前記装置本体に設けられる接続部と、
    前記接続部における前記走行器具との接続状態を検出可能な接続状態検出部と、
    無線通信を介して前記駆動輪による前記装置本体の走行方向及び走行速度を操作するための操作信号を出力可能な遠隔操作部と、
    を備える搬送装置の制御方法であって、
    前記接続状態検出部によって前記走行器具との接続を検出する接続状態検出ステップと、
    前記装置本体の周囲に存在する障害物を検知する障害物検知ステップと、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する操作信号を受け付ける受信ステップと、
    前記走行器具との接続を検出しない場合、前記操作信号に基づく速度指令値に対応する並進速度及び旋回速度で、前記装置本体が走行するように、前記駆動輪の角速度を制御する速度制御ステップと、
    前記走行器具との接続を検出した場合、前記操作信号に基づくアシスト力指令値に対応する並進力及び旋回トルクで、前記装置本体が前記駆動輪を介して走行面を押して走行するように、前記駆動輪の車軸回りのトルクを制御するトルク制御ステップと、
    を含む、
    搬送装置の制御方法。
  11. 前記速度制御ステップでは、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体の移動速度の目標値である速度指令値と、前記駆動輪の車輪半径と、前記駆動輪の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪の車軸回りの角速度を制御するための角速度指令値を算出する、
    請求項10に記載の搬送装置の制御方法。
  12. 前記速度制御ステップでは、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記移動速度の指令入力値である速度指令入力値と、前記速度指令入力値を取得するサンプリング周波数と、予め設定された前記装置本体の加速度と、に基づいて、前記速度指令値を算出する、
    請求項11に記載の搬送装置の制御方法。
  13. 前記トルク制御ステップでは、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体が前記走行器具を押すアシスト力の目標値であるアシスト力指令値と、前記駆動輪の車輪半径と、前記駆動輪の車輪間距離と、に基づいて、各々の駆動輪の車軸回りのトルクを制御するためのトルク指令値を算出する、
    請求項10に記載の搬送装置の制御方法。
  14. 前記トルク制御ステップでは、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記アシスト力の指令入力値であるアシスト力指令入力値と、前記装置本体の並進速度及び旋回速度と、予め設定された前記装置本体の速度の限界値である最大速度と、に基づいて、前記アシスト力指令値を算出する、
    請求項13に記載の搬送装置の制御方法。
  15. 前記遠隔操作部は、反転操作信号を出力するための反転操作部を有し、
    前記反転操作信号を受け付ける反転信号受信ステップと、
    前記遠隔操作部が受け付けた操作に対応する前記装置本体に対する制御の前後方向及び左右方向の正負を反転させる反転ステップと、
    をさらに含む、
    請求項10から14のいずれか1項に記載の搬送装置の制御方法。
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