JP2024024187A - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘導加熱調理器において、赤外線センサに基づく温度特定の精度を向上することが可能な技術を提供する。【解決手段】本明細書が開示する誘導加熱調理器は、被調理物が載置され、被調理物から放射される赤外線を透過する天板と、天板の下方に配置された誘導加熱コイルと、天板の下方に配置されており、赤外線量を検出する赤外線センサと、天板と赤外線センサの間に配置される第1光学フィルタと、を備える。第1光学フィルタには、サファイア、スピネル、およびイットリアのうちいずれか1つが用いられる。【選択図】図1

Description

本明細書で開示する技術は、誘導加熱調理器に関する。
特許文献1には、被調理物が載置され、前記被調理物から放射される赤外線を透過する天板と、前記天板の下方に配置された誘導加熱コイルと、前記天板の下方に配置されており、赤外線量を検出する赤外線センサと、前記天板と前記赤外線センサの間に配置される第1光学フィルタと、を備える誘導加熱調理器が開示されている。
特開2015-76128号公報
特許文献1の誘導加熱調理器では、赤外線センサによって検出された赤外線量に基づいて、天板に載置された被調理物(例えば、鍋)の温度を特定している。本明細書では、誘導加熱調理器において、赤外線センサに基づく温度特定の精度を向上することが可能な技術を提供する。
本技術の第1の態様では、誘導加熱調理器は、被調理物が載置され、前記被調理物から放射される赤外線を透過する天板と、前記天板の下方に配置された誘導加熱コイルと、前記天板の下方に配置されており、赤外線量を検出する赤外線センサと、前記天板と前記赤外線センサの間に配置される第1光学フィルタと、を備える。前記第1光学フィルタには、サファイア、スピネル、およびイットリアのうちいずれか1つが用いられる。
赤外線センサに入射する赤外線には、温度特定に必要な目標要素(被調理物から放射された赤外線)のみならず、温度特定に不要な外乱要素(例えば、天板自体から放射される赤外線や、誘導加熱コイルから放射される赤外線)も含まれ得る。目標要素の赤外線量に対して外乱要素の赤外線量が大きくなると、赤外線センサに基づく温度特定の精度は低下し得る。赤外線センサに基づく温度特定の精度を向上するためには、第1光学フィルタによって、目標要素の赤外線量を低減することなく、外乱要素の赤外線量を可能な限り低減することが好ましい。
目標要素は、天板を通過した上で、第1光学フィルタに到達する。一方、天板の下方で生じる外乱要素は、天板を通過することなく、第1光学フィルタに到達する。一般的に、天板には、耐熱ガラスが用いられる。図3に示す耐熱ガラスの透過特性を参照すると、耐熱ガラスでは、約5μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっている。一方、耐熱ガラスでは、約5μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。このため、第1光学フィルタに到達する赤外線のうち、約5μm未満の波長帯の赤外線は目標要素および外乱要素の両方を含むものとみなし得る。一方、第1光学フィルタに到達する赤外線のうち、約5μm以上の波長帯の赤外線は、目標要素を含まず、外乱要素のみを含むものとみなし得る。
特許文献1の第1光学フィルタには、シリコンが用いられる。図4に示すシリコンの透過特性を参照すると、シリコンでは、約16μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっており、約16μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。これに対し、本願の構成によれば、第1光学フィルタには、サファイア、スピネル、およびイットリアのうちいずれか1つが用いられる。サファイア、スピネル、およびイットリアの透過特性は、図5から図7に示す通りである。サファイアおよびスピネルでは、約7μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっており、約7μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。イットリアでは、約8μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっており、約8μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。このため、本願の第1光学フィルタは、目標要素の赤外線量を低減することなく、従来よりも広範囲の波長帯において、外乱要素の赤外線量を低減することができる。したがって、本願の構成によれば、赤外線センサに基づく温度特定の精度を向上することができる。
なお、本明細書では、透過率が10%以上の場合に「赤外線が透過可能」と判断し、透過率が10%未満の場合に「赤外線が透過不可能」と判断している。
本技術の第2の態様では、上記第1の態様において、前記誘導加熱調理器は、前記第1光学フィルタを冷却する冷却機構をさらに備えてもよい。
赤外線センサに入射する赤外線には、第1光学フィルタ自体から放射される赤外線も含まれ得る。第1光学フィルタ自体から放射される赤外線は外乱要素である。天板等からの放射熱により、第1光学フィルタの温度が上昇すると、第1光学フィルタから放射される赤外線量、すなわち外乱要素の赤外線量が増加する。上記の構成によれば、第1光学フィルタの温度上昇を抑制できる。これにより、外乱要素の赤外線量を低減し、赤外線センサに基づく温度特定の精度を向上することができる。
本技術の第3の態様では、上記第2の態様において、前記第1光学フィルタと前記天板の間に、前記誘導加熱調理器の外部に連通する空隙が設けられていてもよい。前記冷却機構は、前記空隙に空気の流れを発生させるファンを備えてもよい。
上記の構成によれば、冷却機構は、いわゆる空冷式となっている。このため、例えば冷却機構を水冷式とする場合と比較して、冷却機構を簡素な構成とすることができる。
本技術の第4の態様では、上記第1から第3の態様の何れか一つにおいて、前記赤外線センサおよび前記第1光学フィルタは、前記誘導加熱コイルの下端よりも下方に配置されていてもよい。
誘導加熱コイルが動作する場合、誘導加熱コイルではジュール熱が発生する。また、誘導加熱コイルは、天板および被調理物からの放射熱を吸収する。このため、誘導加熱コイルの温度は、比較的高温(例えば、100℃)まで上昇し得る。誘導加熱コイルの近傍に第1光学フィルタが配置されると、誘導加熱コイルの放射熱により、第1光学フィルタの温度が顕著に上昇し得る。上記の構成によれば、第1光学フィルタは誘導加熱コイルから離れた位置に配置されるので、第1光学フィルタの温度上昇を抑制できる。これにより、外乱要素の赤外線量を低減し、赤外線センサに基づく温度特定の精度を向上することができる。
本技術の第5の態様では、上記第4の態様において、前記誘導加熱調理器は、前記誘導加熱コイルが載置される載置面と、前記載置面よりも下方に陥凹した凹部と、を含む台座部をさらに備えてもよい。前記赤外線センサおよび前記第1光学フィルタは、前記凹部に配置されていてもよい。
上記の構成によれば、台座部では、凹部の上方以外の方向(例えば、凹部の左方、右方)から放射される赤外線(すなわち、外乱要素)が凹部に入射しづらくなっている。凹部に配置される赤外線センサおよび第1光学フィルタに外乱要素が到達することが抑制される。これにより、外乱要素の赤外線量を低減し、赤外線センサに基づく温度特定の精度を向上することができる。さらに上記の構成によれば、台座部は、赤外線センサおよび第1光学フィルタが誘導加熱コイルの下端よりも下方に配置される、という本願の構成を容易に実現することができる。
本技術の第6の態様では、上記第1から第5の態様の何れか一つにおいて、前記第1光学フィルタには、前記サファイアが用いられてもよい。
被調理物を誘導加熱する際、被調理物の温度は200℃程度まで上昇するのに対し、例えば天板の下面は100℃程度までしか上昇しない。図2に示すように、物体から放射される赤外線量の分光分布では、物体の温度が高くなるほど、ピークが低波長側に移動する。例えば、200℃の物体から放射される赤外線量のピークは約6μmから7μmの範囲内にあり、100℃の物体から放射される赤外線量のピークは約7μmから8μmの範囲内にある。したがって、目標要素の赤外線量のピークは約6μmから7μmの範囲内にあり、外乱要素の赤外線量のピークは約7μmから8μmの範囲内にあると考えられる。上記の構成によれば、第1光学フィルタには、サファイアが用いられる。サファイアでは、約7μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっており、約7μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。このため、第1光学フィルタでは、目標要素の赤外線量のピーク近傍の波長帯の赤外線が透過可能となっており、外乱要素の赤外線量のピーク近傍の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。したがって、上記の構成によれば、目標要素の赤外線量を低減することなく外乱要素の赤外線量を低減する効果が、顕著に発揮される。
本技術の第7の態様では、上記第1から第6の態様の何れか一つにおいて、前記誘導加熱調理器は、前記第1光学フィルタと前記赤外線センサの間に配置されており、前記第1光学フィルタとは異なる材料が用いられる第2光学フィルタをさらに備えてもよい。
上記の構成によれば、第1光学フィルタとは異なる透過特性を持つ第2光学フィルタが、第1光学フィルタと赤外線センサの間に配置される。第2光学フィルタは、第1光学フィルタでは外乱要素を低減できない波長帯において、外乱要素を低減することができる。
本技術の第8の態様では、上記第7の態様において、前記第2光学フィルタには、前記サファイア、前記スピネル、および前記イットリアのうちいずれか1つが用いられてもよい。
上記の構成によれば、第2光学フィルタは、目標要素の赤外線量を低減することなく、従来よりも広範囲の波長帯において、外乱要素の赤外線量を低減することができる。したがって、赤外線センサに基づく温度特定の精度を向上することができる。
実施例に係る誘導加熱調理器100の構成を模式的示す図である。 プランクの法則に基づく、黒体から放射される赤外線量の分光分布(黒体放射のスペクトル)を示す図である。 耐熱ガラスの透過特性(透過率の分光分布)を示す図である。 シリコンの透過特性(透過率の分光分布)を示す図である。 サファイアの透過特性(透過率の分光分布)を示す図である。 スピネルの透過特性(透過率の分光分布)を示す図である。 イットリアの透過特性(透過率の分光分布)を示す図である。
(実施例1)
図1に示すように、誘導加熱調理器100は、本体2と、天板4と、台座部6と、誘導加熱コイル8と、赤外線センサ10と、サーミスタ12と、第1光学フィルタ14と、第2光学フィルタ16と、冷却ファン18と、制御装置20を備える。天板4には、被調理物50(例えば、鍋)が載置される。天板4には、例えば耐熱ガラス(特に、結晶化ガラス)が用いられる。本明細書では、天板4が広がる方向を水平方向(図1では左右方向)とし、天板4に直交する方向を上下方向とする。
本体2には、例えば、電源スイッチ(図示せず)や、操作スイッチ(図示せず)が設けられている。電源スイッチでは、誘導加熱調理器100の電源のON/OFFを切り換えることができる。操作スイッチでは、被調理物50の加熱開始を指示したり、被調理物50の加熱温度を設定したりすることができる。
台座部6は、本体2に対して位置が固定されている。台座部6には、内側突出部22と、外側突出部24と、凹部26が設けられている。内側突出部22と外側突出部24は、台座部6の上面6aから突出するとともに、上下方向に沿って略円筒形状を有している。台座部6の上面6aであって、内側突出部22と外側突出部24の間には、誘導加熱コイル8が載置されている。凹部26は、台座部6の上面6aから下方に陥凹している。凹部26の上方であって、内側突出部22の内側には、空隙28が設けられている。凹部26は、空隙28を介して天板4の下面に対向している。空隙28は、本体2に設けられた排気口(図示せず)を介して、本体2の外部に連通している。
赤外線センサ10と、第1光学フィルタ14と、第2光学フィルタ16は、凹部26に配置されている。赤外線センサ10は、凹部26の底面に配置されている。第2光学フィルタ16は、赤外線センサ10の上方を覆うように配置されている。第1光学フィルタ14は、第2光学フィルタ16よりも上方において、凹部26を塞ぐように配置されている。第1光学フィルタ14は、台座部6の上面6aよりも下方にオフセットして配置されている。また、サーミスタ12は、天板4の下面に設けられている。冷却ファン18は、本体2の側部(例えば、左部)に設けられている。
台座部6には、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂が用いられる。第1光学フィルタ14には、例えば、サファイア(Al)、スピネル(MgAl)、およびイットリア(Y)のうちいずれか1つが用いられる。本実施例では、第1光学フィルタ14にはサファイアが用いられる。第2光学フィルタ16には、例えば、サファイア、スピネル、およびイットリアのうちいずれか1つが用いられる。本実施例では、第2光学フィルタ16にはスピネルが用いられる。
制御装置20は、誘導加熱コイル8と、赤外線センサ10と、サーミスタ12と、冷却ファン18のそれぞれに電気的に接続している。図示しないが、制御装置20は、電源回路、プロセッサ、および、ROM、RAM等のメモリを備える。制御装置20は、例えば商用電源に接続しており、商用電源からの電力を、誘導加熱コイル8と、赤外線センサ10と、サーミスタ12と、冷却ファン18のそれぞれに供給可能となっている。制御装置20は、誘導加熱コイル8および冷却ファン18の動作を制御するとともに、赤外線センサ10およびサーミスタ12からの出力を監視する。
誘導加熱コイル8は、高周波電流が供給されることにより、高周波磁界を発生させる。これにより、誘導加熱コイル8は、天板4に載置された被調理物50を誘導加熱することができる。なお、誘導加熱調理器100の各機器(例えば、赤外線センサ10やサーミスタ12)には、磁気シールド(図示せず)が設けられている。磁気シールドは、誘導加熱コイル8により発生される高周波磁界が誘導加熱調理器100の各機器に干渉することを抑制する。
冷却ファン18は、本体2の外部から空気を吸引し、本体2の内部に向かって空気を送風する。冷却ファン18によって送風された空気は、空隙28を通過して、排気口(図示せず)から排出される。冷却ファン18は、本体2の内部に空気の流れを発生させることで、本体2の内部の各構成部品(誘導加熱コイル8や第1光学フィルタ14等)を冷却することができる。また、サーミスタ12は、いわゆる接触式温度センサとして機能する。サーミスタ12は、天板4の下面の温度を検出する。
赤外線センサ10は、上方から入射する赤外線の赤外線量を検出する。図示しないが、本実施例の赤外線センサ10は、熱電対と、赤外線を受光する受光部と、電圧を増幅するアンプを備える。熱電対の温接点は、受光部に接続されている。受光部の温度は、受光する赤外線量に応じて上昇する。この時、熱電対の温接点と冷接点の間で、ゼーベック効果により電圧が生じる。赤外線センサ10は、温接点と冷接点の間で生じる電圧をアンプによって増幅し、増幅した電圧を制御装置20に出力する。制御装置20は、メモリに記憶されたデータテーブルを参照して、赤外線センサ10の出力電圧から赤外線量を取得する。本明細書では、説明の簡略化のため、制御装置20が赤外線センサ10の出力電圧から取得した赤外線量を「赤外線センサ10によって検出される赤外線量」と呼ぶことがある。
制御装置20は、操作スイッチを介して被調理物50の加熱開始が指示されると、誘導加熱コイル8および冷却ファン18を動作させる。これにより、被調理物50の誘導加熱が開始されるとともに、本体2の内部の各構成部品の冷却が開始される。制御装置20は、誘導加熱コイル8の動作中、赤外線センサ10によって検出される赤外線量に基づいて被調理物50の温度を特定し、特定した温度をサーミスタ12によって検出される温度に基づいて補正する。制御装置20は、補正後の被調理物50の温度が、操作スイッチにおいて予め設定された加熱温度に一致するように、誘導加熱コイル8の動作を制御する。
(赤外線センサ10に基づく温度特定に係る原理および方法)
天板4に載置された被調理物50(具体的には、被調理物50の底面)からは、赤外線が放射される。被調理物50の放射率をεとし、被調理物50の温度をTとした場合、被調理物50から放射される赤外線量Eは、E=εσTと表される(ステファン・ボルツマンの法則)。なお、被調理物50が黒体である(ε=1である)と仮定した場合の赤外線量E=σTの分光分布は、図2に示す分光分布に一致する。
本実施例では、被調理物50から放射される赤外線は、天板4、第1光学フィルタ14、および第2光学フィルタ16を通過する際にフィルタリングされる。このため、赤外線量Eの分光分布に、天板4の透過率の分光分布と、第1光学フィルタ14の透過率の分光分布と、第2光学フィルタ16の透過率の分光分布と、を重ね合わせることで、赤外線センサ10に到達する赤外線の赤外線量Eの分光分布を特定することができる。そして、特定される赤外線量Eの分光分布を全波長域で積分することで、赤外線量Eを算出することができる。以上より、温度Tと赤外線量Eとの関係が導出される。
本実施例では、制御装置20のメモリに、温度Tと赤外線量Eとの関係を示すデータテーブルが記憶されている。制御装置20は、このデータテーブルを参照することにより、赤外線センサ10によって検出される赤外線量Eから、被調理物50の温度Tを特定するように構成されている。
(温度Tと赤外線量Eとの関係を導出する過程における本実施例の優位性)
本実施例の構成では、温度Tと赤外線量Eとの関係を正確に導出することができなければ、正確なデータテーブルを取得できず、被調理物50の温度Tを正確に特定できない。このため、温度Tと赤外線量Eとの関係を正確に導出することが好ましい。換言すれば、温度Tと赤外線量Eとの関係を、近似式を用いることなく導出することが好ましい。
仮に、透過率の分光分布が複雑な形状を示す材料(例えば、図4に示すシリコン)が第1光学フィルタ14および第2光学フィルタ16に用いられると、分光分布の重ね合わせ過程が複雑になり得る。さらに、赤外線量Eの分光分布が複雑な形状を示すものとなるので、分光分布に係る積分計算が複雑になり得る。この場合、温度Tと赤外線量Eとの関係を、近似式を用いることなく導出することが困難になる。これに対し、本実施例では、第1光学フィルタ14にはサファイアが用いられ、第2光学フィルタ16にはスピネルが用いられる。サファイアの透過率の分光分布(図5参照)と、スピネルの透過率の分光分布(図6参照)は、いずれも単純な形状を示す。このため、分光分布の重ね合わせ過程が簡単になる。さらに、赤外線量Eの分光分布が比較的単純な形状を示すものとなるので、分光分布に係る積分計算が簡単になる。したがって、本実施例の構成によれば、温度Tと赤外線量Eとの関係を、近似式を用いることなく導出することが容易になる。
以上の記載は、本実施例の構成による副次的な効果を説明したものであり、透過率の分光分布が複雑な形状を示す材料が第1光学フィルタ14および第2光学フィルタ16に用いられることを禁止するものではない。
なお、本明細書でいう複雑な形状とは、例えばピーク数の多い形状を意味する。単純な形状とは、例えばピーク数の少ない形状を意味する。
(変形例)
別の実施例では、天板4には、耐熱ガラス以外の材料(例えば、石英ガラス、サファイア等)が用いられてもよい。
別の実施例では、第1光学フィルタ14には、サファイア以外の材料が用いられてもよい。例えば、第1光学フィルタ14には、スピネルおよびイットリアのうちいずれか1つが用いられてもよい。さらに別の実施例では、第1光学フィルタ14には、サファイア、スピネル、およびイットリア以外の材料(例えば、フッ化マグネシウム、シリコン、耐熱ガラス)が用いられてもよい。
別の実施例では、第2光学フィルタ16には、スピネル以外の材料が用いられてもよい。例えば、第2光学フィルタ16には、サファイアおよびイットリアのうちいずれか1つが用いられてもよい。さらに別の実施例では、第2光学フィルタ16には、サファイア、スピネル、およびイットリア以外の材料(例えば、フッ化マグネシウム、シリコン、耐熱ガラス)が用いられてもよい。
別の実施例では、誘導加熱調理器100は、第1光学フィルタ14および第2光学フィルタ16のうちいずれか一方を備えていなくてもよい。
別の実施例では、誘導加熱調理器100は、サーミスタ12を備えていなくてもよい。この場合、制御装置20は、赤外線センサ10によって検出される赤外線量に基づいて特定した被調理物50の温度Tが、操作スイッチにおいて予め設定された加熱温度に一致するように、誘導加熱コイル8の動作を制御してもよい。
別の実施例では、誘導加熱調理器100は、冷却ファン18を備えていなくてもよい。誘導加熱調理器100は、冷却ファン18の代わりに、いわゆる水冷式の冷却機構を備えていてもよい。
別の実施例では、赤外線センサ10と、第1光学フィルタ14と、第2光学フィルタ16のうち少なくとも1つは、誘導加熱コイル8の下面よりも上方に配置されていてもよい。
別の実施例では、台座部6に凹部26が設けられていなくてもよい。この場合、赤外線センサ10と第2光学フィルタ16は台座部6の上面6aに載置されていてもよい。第1光学フィルタ14は、内側突出部22の内側を塞ぐように、内側突出部22に保持されてもよい。
上記の実施例では、冷却ファン18が、本体2の外部から空気を吸引し、本体2の内部に向かって空気を送風する構成について説明した。別の実施例では、冷却ファン18は、本体2の内部から空気を吸引し、本体2の外部に向かって空気を送風するように構成されていてもよい。
上記の実施例では、赤外線センサ10が、ゼーベック効果を利用して赤外線量を検出する、いわゆる熱電対型赤外線センサである構成について説明した。別の実施例では、赤外線センサ10は、焦電効果を利用して赤外線量を検出する、いわゆる焦電型赤外線センサであってもよい。さらに別の実施例では、赤外線センサ10は、光起電力効果、光導電効果、または光電効果を利用して赤外線量を検出する、いわゆる量子型赤外線センサであってもよい。
(対応関係)
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、誘導加熱調理器100は、被調理物50が載置され、被調理物50から放射される赤外線を透過する天板4と、天板4の下方に配置された誘導加熱コイル8と、天板4の下方に配置されており、赤外線量を検出する赤外線センサ10と、天板4と赤外線センサ10の間に配置される第1光学フィルタ14と、を備える。第1光学フィルタ14には、サファイア、スピネル、およびイットリアのうちいずれか1つが用いられる。
赤外線センサ10に入射する赤外線には、温度特定に必要な目標要素のみならず、温度特定に不要な外乱要素も含まれ得る。目標要素の赤外線量に対して外乱要素の赤外線量が大きくなると、赤外線センサ10に基づく温度特定の精度は低下し得る。赤外線センサ10に基づく温度特定の精度を向上するためには、第1光学フィルタ14によって、目標要素の赤外線量を低減することなく、外乱要素の赤外線量を可能な限り低減することが好ましい。
目標要素は、天板4を通過した上で、第1光学フィルタ14に到達する。一方、天板4の下方で生じる外乱要素は、天板4を通過することなく、第1光学フィルタ14に到達する。一般的に、天板4には、耐熱ガラスが用いられる。図3に示す耐熱ガラスの透過特性を参照すると、耐熱ガラスでは、約5μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっている。一方、耐熱ガラスでは、約5μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。このため、第1光学フィルタ14に到達する赤外線のうち、約5μm未満の波長帯の赤外線は目標要素および外乱要素の両方を含むものとみなし得る。一方、第1光学フィルタ14に到達する赤外線のうち、約5μm以上の波長帯の赤外線は、目標要素を含まず、外乱要素のみを含むものとみなし得る。
特許文献1の第1光学フィルタには、シリコンが用いられる。図4に示すシリコンの透過特性を参照すると、シリコンでは、約16μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっており、約16μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。これに対し、本願の構成によれば、第1光学フィルタ14には、サファイア、スピネル、およびイットリアのうちいずれか1つが用いられる。サファイア、スピネル、およびイットリアの透過特性は、図5から図7に示す通りである。サファイアおよびスピネルでは、約7μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっており、約7μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。イットリアでは、約8μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっており、約8μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。このため、本願の第1光学フィルタ14は、目標要素の赤外線量を低減することなく、従来よりも広範囲の波長帯において、外乱要素の赤外線量を低減することができる。したがって、本願の構成によれば、赤外線センサ10に基づく温度特定の精度を向上することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、誘導加熱調理器100は、第1光学フィルタ14を冷却する冷却ファン18(冷却機構の例)をさらに備える。
天板4等からの放射熱により、第1光学フィルタ14の温度は上昇し得る。第1光学フィルタ14の温度が上昇すると、第1光学フィルタ14から放射される赤外線量が増加する。すなわち、外乱要素の赤外線量が増加する。上記の構成によれば、第1光学フィルタ14の温度上昇を抑制できる。これにより、外乱要素の赤外線量を低減し、赤外線センサ10に基づく温度特定の精度を向上することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1光学フィルタ14と天板4の間に、誘導加熱調理器100の外部に連通する空隙28が設けられている。冷却機構は、空隙28に空気の流れを発生させる冷却ファン18(ファンの例)を備える。
上記の構成によれば、冷却機構は、いわゆる空冷式となっている。このため、例えば冷却機構を水冷式とする場合と比較して、冷却機構を簡素な構成とすることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、赤外線センサ10および第1光学フィルタ14は、誘導加熱コイル8の下端よりも下方に配置されている。
誘導加熱コイル8が動作する場合、誘導加熱コイル8ではジュール熱が発生する。また、誘導加熱コイル8は、天板4および被調理物50からの放射熱を吸収する。このため、誘導加熱コイル8の温度は、比較的高温(例えば、100℃)まで上昇し得る。誘導加熱コイル8の近傍に第1光学フィルタ14が配置されると、誘導加熱コイル8の放射熱により、第1光学フィルタ14の温度が顕著に上昇し得る。上記の構成によれば、第1光学フィルタ14は誘導加熱コイル8から離れた位置に配置されるので、第1光学フィルタ14の温度上昇を抑制できる。これにより、外乱要素の赤外線量を低減し、赤外線センサ10に基づく温度特定の精度を向上することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、誘導加熱調理器100は、誘導加熱コイル8が載置される上面6a(載置面の例)と、上面6aよりも下方に陥凹した凹部26と、を含む台座部6をさらに備えている。赤外線センサ10および第1光学フィルタ14は、凹部26に配置されている。
上記の構成によれば、台座部6では、凹部26の上方以外の方向(例えば、凹部26の左方、右方)から放射される赤外線(すなわち、外乱要素)が凹部26に入射しづらくなっている。凹部26に配置される赤外線センサ10および第1光学フィルタ14に外乱要素が到達することが抑制される。これにより、外乱要素の赤外線量を低減し、赤外線センサ10に基づく温度特定の精度を向上することができる。さらに上記の構成によれば、台座部6は、赤外線センサ10および第1光学フィルタ14が誘導加熱コイル8の下端よりも下方に配置される、という本願の構成を容易に実現することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1光学フィルタ14には、サファイアが用いられる。
被調理物50を誘導加熱する際、被調理物50の温度は200℃程度まで上昇するのに対し、例えば天板4の下面は100℃程度までしか上昇しない。図2に示すように、物体から放射される赤外線量の分光分布では、物体の温度が高くなるほど、ピークが低波長側に移動する。例えば、200℃の物体から放射される赤外線量のピークは約6μmから7μmの範囲内にあり、100℃の物体から放射される赤外線量のピークは約7μmから8μmの範囲内にある。したがって、目標要素の赤外線量のピークは約6μmから7μmの範囲内にあり、外乱要素の赤外線量のピークは約7μmから8μmの範囲内にあると考えられる。上記の構成によれば、第1光学フィルタ14には、サファイアが用いられる。サファイアでは、約7μm未満の波長帯の赤外線が透過可能となっており、約7μm以上の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。このため、第1光学フィルタ14では、目標要素の赤外線量のピーク近傍の波長帯の赤外線が透過可能となっており、外乱要素の赤外線量のピーク近傍の波長帯の赤外線が透過不可能となっている。したがって、上記の構成によれば、目標要素の赤外線量を低減することなく外乱要素の赤外線量を低減する効果が、顕著に発揮される。
1つまたはそれ以上の実施形態において、誘導加熱調理器100は、第1光学フィルタ14と赤外線センサ10の間に配置されており、第1光学フィルタ14とは異なる材料が用いられる第2光学フィルタ16をさらに備える。
上記の構成によれば、第1光学フィルタ14とは異なる透過特性を持つ第2光学フィルタ16が、第1光学フィルタ14と赤外線センサ10の間に配置される。第2光学フィルタ16は、第1光学フィルタ14では外乱要素を低減できない波長帯において、外乱要素を低減することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第2光学フィルタ16には、サファイア、スピネル、およびイットリアのうちいずれか1つが用いられる。
上記の構成によれば、第2光学フィルタ16は、目標要素の赤外線量を低減することなく、従来よりも広範囲の波長帯において、外乱要素の赤外線量を低減することができる。したがって、赤外線センサ10に基づく温度特定の精度を向上することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2 :本体
4 :天板
6 :台座部
6a :台座部の上面
8 :誘導加熱コイル
10 :赤外線センサ
12 :サーミスタ
14 :第1光学フィルタ
16 :第2光学フィルタ
18 :冷却ファン
20 :制御装置
22 :内側突出部
24 :外側突出部
26 :凹部
28 :空隙
50 :被調理物
100 :誘導加熱調理器

Claims (8)

  1. 被調理物が載置され、前記被調理物から放射される赤外線を透過する天板と、
    前記天板の下方に配置された誘導加熱コイルと、
    前記天板の下方に配置されており、赤外線量を検出する赤外線センサと、
    前記天板と前記赤外線センサの間に配置される第1光学フィルタと、を備えており、
    前記第1光学フィルタには、サファイア、スピネル、およびイットリアのうちいずれか1つが用いられる、誘導加熱調理器。
  2. 前記第1光学フィルタを冷却する冷却機構をさらに備える、請求項1の誘導加熱調理器。
  3. 前記第1光学フィルタと前記天板の間に、前記誘導加熱調理器の外部に連通する空隙が設けられており、
    前記冷却機構は、前記空隙に空気の流れを発生させるファンを備える、請求項2の誘導加熱調理器。
  4. 前記赤外線センサおよび前記第1光学フィルタは、前記誘導加熱コイルの下端よりも下方に配置されている、請求項1の誘導加熱調理器。
  5. 前記誘導加熱コイルが載置される載置面と、前記載置面よりも下方に陥凹した凹部と、を含む台座部をさらに備えており、
    前記赤外線センサおよび前記第1光学フィルタは、前記凹部に配置されている、請求項4の誘導加熱調理器。
  6. 前記第1光学フィルタには、前記サファイアが用いられる、請求項1の誘導加熱調理器。
  7. 前記第1光学フィルタと前記赤外線センサの間に配置されており、前記第1光学フィルタとは異なる材料が用いられる第2光学フィルタをさらに備える、請求項1の誘導加熱調理器。
  8. 前記第2光学フィルタには、前記サファイア、前記スピネル、および前記イットリアのうちいずれか1つが用いられる、請求項7の誘導加熱調理器。
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