JP2024023975A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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亮磨 荒井
Ryoma Arai
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尭 阿部
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Abstract

【課題】 インクを循環する構成において、フルライン式の記録ヘッドから吐出するインク量に関わらず安定した吐出性能を維持することができるインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】 フルライン式の記録ヘッドと、記録ヘッドへ供給されるインクを貯留するインクタンクと、インクタンクから記録ヘッドへインクを供給するための供給流路と、供給流路の途中に配される供給ポンプと、記録ヘッドからインクタンクへインクを回収するための回収流路と、回収流路の途中に配される回収ポンプと、を備え、供給ポンプと回収ポンプによって記録ヘッドとインクタンクの間でインクが循環され、一端が供給ポンプよりもインクの供給方向において上流側で供給流路と接続され、他端が供給ポンプよりも供給方向において下流側で供給流路と接続される迂回経路と、迂回経路の途中に配される差圧弁と、を備える。【選択図】 図13

Description

本発明は、ラインヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
特許文献1には、インクを吐出するフルライン式のインクジェットヘッドとインクジェットヘッドへ供給されるインクを収容するインクタンクとを備えるインクジェット記録装置が開示されている。インクタンクとインクジェットヘッドはインク供給路とインク還流路によって接続されており、インクタンクとインクジェットヘッドの間をインクが循環するように構成されている。
特開2010-155449号公報
しかしながら、特許文献1のようなインク循環構成を採用すると、記録ヘッドから吐出するインク量が多い場合、インクを加圧供給する供給ポンプの供給量が不足して吐出不良が生じる可能性がある。また反対に、記録ヘッドから吐出するインク量が少ない場合は、供給ポンプの供給量が多すぎて記録ヘッドのメニスカス破壊が生じてインクが漏れ出る可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、インクを循環する構成において、記録ヘッドの吐出性能を維持することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを流す供給ポンプと、インクを貯留するタンクから記録ヘッドへインクが供給されるときに通る供給流路と、前記記録ヘッドから出たインクが通る回収流路と、を含み、前記記録ヘッドから出て、再び前記記録ヘッドへ入るようにインクを循環させるための第1流路と、インクが流れる方向において、前記第1流路に設けられた前記供給ポンプの下流で前記第1流路から分岐し、インクを貯留するタンクを介することなく前記供給ポンプの上流にインクを送るようにインクを循環させるための第2流路と、を有する循環路と、を備え、前記記録ヘッドは、インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に対応して設けられ、インクを吐出するために使用されるエネルギーを発生させるためのエネルギー発生素子と、前記エネルギー発生素子と対向する位置にある圧力室を有し、前記供給流路と接続され前記圧力室にインクを供給するための共通供給流路と、前記供給流路及び前記回収流路と接続され前記圧力室からインクを回収するための共通回収流路と、を有し、前記供給流路と前記共通供給流路との間に設けられ圧力を制御する第1の圧力制御手段と、前記供給流路と前記共通回収流路との間に設けられ圧力を制御する、前記第1の圧力制御手段よりも強い負圧を発生させる第2の圧力制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、インクを循環する構成において、記録ヘッドの吐出性能を維持することができるインクジェット記録装置を提供することができる。
インクジェット記録装置が待機状態にあるときの図である。 インクジェット記録装置の制御構成図である。 インクジェット記録装置が記録状態にあるときの図である。 (a)~(c)は、第1カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。 (a)~(c)は、第2カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。 (a)~(d)は、記録媒体の裏面に記録動作を行う場合の搬送経路図である。 インクジェット記録装置がメンテナンス状態にあるときの図である。 (a)および(b)は、メンテナンスユニットの構成を示す斜視図である。 インク供給ユニットを示す図である。 リリーフ弁の構成を示す図である。 記録ヘッドのインク吐出部の構成を示す図である。 記録ヘッドの第1の負圧制御ユニットの構成を示す図である。 記録ヘッドによる記録動作においてインク供給ユニット内のインクの流れを示す図である。
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置(以下、記録装置)1の内部構成図である。以降、図においてx方向は水平方向、y方向(紙面垂直方向)は後述する記録ヘッド8において吐出口が配列する方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。
記録装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3で個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADF(オートドキュメントフィーダ)とFBS(フラットベッドスキャナ)を備えており、ADFで自動給紙される原稿の読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、本実施形態はプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機であるが、スキャナ部3を備えない形態であってもよい。図1は、記録装置1が記録動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。
プリント部2において、筐体4の鉛直方向下方の底部には、記録媒体(カットシート)Sを収容するための第1カセット5Aと第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな記録媒体が、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな記録媒体が、平積みに収容されている。第1カセット5A近傍には、収容されている記録媒体を1枚ずつ分離して給送するための第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5B近傍には、第2給送ユニット6Bが設けられている。記録動作が行われる際にはいずれか一方のカセットから選択的に記録媒体Sが給送される。
搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19およびフラッパ11は、記録媒体Sを所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8の上流側と下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、記録ヘッド8の上流側に配され、搬送ローラ7と共に記録媒体Sをニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送経路における最下流に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8の下流側に配され、記録媒体Sを所定方向に案内する。拍車7bのうち、搬送ローラ7または排出ローラ12と対向する位置に設けられたものは、搬送ローラ7または排出ローラ12と記録媒体Sを挟持して搬送する。
ガイド18は、記録媒体Sの搬送経路に設けられ、記録媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、当該側面に沿って記録媒体Sを案内する。フラッパ11は、両面記録動作の際に、記録媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体Sを積載保持するためのトレイである。
本実施形態の記録ヘッド8は、フルラインタイプのカラーインクジェット記録ヘッドであり、記録データに従ってインクを吐出する吐出口が、図1におけるy方向に沿って記録媒体Sの幅に相当する分だけ複数配列されている。記録ヘッド8が図1に示す待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aはキャップユニット10によってキャップされている。このキャップユニット10の位置をキャッピング位置とも称する。記録ヘッド8が記録動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる記録媒体Sを背面から支持する。記録ヘッド8の待機位置から記録位置への移動については、後に詳しく説明する。
インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8内のインクの圧力及び流量を適切な範囲に調整する。本実施形態では循環型のインク供給系を採用しており、インク供給ユニット15は記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力と記録ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。
メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作については後に詳しく説明する。
図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。制御構成は、主にプリント部2を統括するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、記録装置1全体を統括するコントローラユニット100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下に制御構成の詳細について説明する。
コントローラユニット100において、CPUにより構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。
なお、記録装置1は無線通信や有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してこのコマンドをスキャナ部3に送信する。
操作パネル104は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。
プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202は、ROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM204をワークエリアとしながら、プリント部2が備える各種機構を制御する。コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを記録データへ変換させることで、記録ヘッド8が記録動作に利用できるようにする。
記録データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して記録ヘッド8に記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して図1に示す第1給送ユニット6A、第2給送ユニット6B、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を駆動して、記録媒体Sを搬送する。プリントコントローラ202の指示に従って、記録媒体Sの搬送動作に連動して記録ヘッド8による記録動作が実行され、印刷処理が行われる。
ヘッドキャリッジ制御部208は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17の動作を制御する。
スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら、スキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。例えば、コントローラI/F301を介してメインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザがADFに搭載した原稿を、搬送制御部304を介して搬送し、センサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを記録データに変換することで、記録ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく記録動作を実行させることが可能である。
図3は、記録装置1が記録状態にあるときを示す。図1に示した待機状態と比較すると、キャップユニット10が記録ヘッド8の吐出口面8aから離間し、吐出口面8aがプラテン9と対向している。本実施形態において、プラテン9の平面は水平方向に対して約45度傾いており、記録位置における記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように水平方向に対して約45度傾いている。
記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図3に示す記録位置に移動する際、プリントコントローラ202は、メンテナンス制御部210を用いて、キャップユニット10を図3に示す退避位置まで降下させる。これにより、記録ヘッド8の吐出口面8aは、キャップ部材10aと離間する。その後、プリントコントローラ202は、ヘッドキャリッジ制御部208を用いて記録ヘッド8の鉛直方向の高さを下降させながら45度回転させ、吐出口面8aをプラテン9と対向させる。記録動作が完了し、記録ヘッド8が記録位置から待機位置に移動する際は、プリントコントローラ202によって上記と逆の工程が行われる。
次に、プリント部2における記録媒体Sの搬送経路について説明する。記録コマンドが入力されると、プリントコントローラ202は、まず、メンテナンス制御部210およびヘッドキャリッジ制御部208を用いて、記録ヘッド8を図3に示す記録位置に移動する。その後、プリントコントローラ202は搬送制御部207を用い、記録コマンドに従って第1給送ユニット6Aおよび第2給送ユニット6Bのいずれかを駆動し、記録媒体Sを給送する。
図4(a)~(c)は、第1カセット5Aに収容されているA4サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。図4以降で、搬送される記録媒体Sは点線によって示す。第1カセット5A内で1番上に積載された記録媒体Sは、第1給送ユニット6Aによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。図4(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、第1給送ユニット6Aに給送されて記録領域Pに到達する間に、水平方向(x方向)から、水平方向に対して約45度傾いた方向に変更される。
記録領域Pでは、記録ヘッド8に設けられた複数の吐出口から記録媒体Sに向けてインクが吐出される。インクが付与される領域の記録媒体Sは、プラテン9によってその背面が支持されており、吐出口面8aと記録媒体Sの距離が一定に保たれている。インクが付与された後の記録媒体Sは、排出ローラ12と拍車7bに案内されながら、先端が図4において右側に傾いているフラッパ11の左側を通り、ガイド18に沿って記録装置1の鉛直方向上方へ搬送される。図4(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、水平方向に対し約45度傾いた記録領域Pを過ぎると、搬送ローラ7と拍車7bによって鉛直方向上方に変更されている。
記録媒体Sは鉛直方向上方に搬送された後、排出ローラ12と拍車7bによって排出トレイ13に排出される。図4(c)は、記録媒体Sの先端が排出トレイ13に排出される状態を示す。記録媒体Sは、記録ヘッド8によって画像が記録された面を下にした状態で排出され、排出トレイ13上に保持される。
図5(a)~(c)は、第2カセット5Bに収容されているA3サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第2カセット5B内で1番上に積載された記録媒体Sは、第2給送ユニット6Bによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。
図5(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。第2給送ユニット6Bに給送されて記録領域Pに到達するまでの搬送経路には、複数の搬送ローラ7とピンチローラ7aおよびインナーガイド19が配されることで、記録媒体SはS字状に湾曲されてプラテン9まで搬送される。
その後の搬送経路は、図4(b)および(c)で示したA4サイズの記録媒体Sの場合と同様である。図5(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。図5(c)は、記録媒体Sの先端が排出トレイ13に排出される状態を示す。
図6(a)~(d)は、A4サイズの記録媒体Sの裏面(第2面)に対して記録動作(両面記録)を行う場合の搬送経路を示す。記録装置1が両面記録を行う場合、第1面(表面)を記録した後に第2面(裏面)に記録動作を行う。第1面を記録する際の搬送工程は図4(a)~(c)と同様であるので、ここでは説明を省略する。以後、図4(c)以後の搬送工程について説明する。
記録ヘッド8による第1面への記録動作が完了し、記録媒体Sの後端がフラッパ11を通過すると、プリントコントローラ202は、搬送ローラ7を逆回転させて記録媒体Sを記録装置1の内部へ搬送する。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータによってその先端が図6において左側に傾くように制御されるため、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)はフラッパ11の右側を通過して鉛直方向下方へ搬送される。図6(a)は、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)が、フラッパ11の右側を通過する状態を示す。
その後記録媒体Sは、インナーガイド19の湾曲した外周面に沿って搬送され、再び記録ヘッド8とプラテン9の間の記録領域Pに搬送される。この際、記録ヘッド8の吐出口面8aに、記録媒体Sの第2面が対向する。図6(b)は、第2面の記録動作のために、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。
その後の搬送経路は、図4(b)および(c)で示した第1面記録の場合と同様である。図6(c)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータにより先端が右側に傾いた位置に移動するように制御される。図6(d)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。なお、A3サイズの記録媒体Sの両面記録においても、同様の搬送が行われる。
次に、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作について説明する。図1でも説明したように、メンテナンスユニット16はキャップユニット10とワイピングユニット17とを備え、所定のタイミングにこれらを作動させてメンテナンス動作を行う。
図7は、記録装置1がメンテナンス状態のときの図である。記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、まず記録ヘッド8を鉛直方向において斜め上方に移動させるとともにキャップユニット10を鉛直方向下方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から図7における右方向に移動させる。その後、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
一方、記録ヘッド8を図3に示す記録位置から図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、まず記録ヘッド8を約45度回転させつつ鉛直方向上方に移動させる。そして、プリントコントローラ202はワイピングユニット17を退避位置から右方向に移動させる。その後プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させて、メンテナンスユニット16によるメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
図8(a)はメンテナンスユニット16が待機ポジションにある状態を示す斜視図であり、図8(b)はメンテナンスユニット16がメンテナンスポジションにある状態を示す斜視図である。図8(a)は図1に示すメンテナンスユニット16の位置に対応し、図8(b)は図7に示すメンテナンスユニット16の位置に対応している。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、メンテナンスユニット16は図8(a)に示す待機ポジションにあり、キャップユニット10はキャッピング位置にあり、ワイピングユニット17はメンテナンスユニット16の内部に収納されている。キャップユニット10はy方向に延在する箱形のキャップ部材10aを有し、これを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させることにより、吐出口からのインクの蒸発を抑制することができる。また、キャップユニット10は、キャップ部材10aに予備吐出等で吐出されたインクを回収し、回収したインクを不図示の吸引ポンプに吸引させる機能も備えている。
一方、図8(b)に示すメンテナンスポジションにおいて、キャップユニット10は鉛直方向下方の退避位置に移動しており、ワイピングユニット17がメンテナンスユニット16から引き出されている。ワイピングユニット17は、ブレードワイパユニット171とバキュームワイパユニット172の2つのワイパユニットを備えている。
ブレードワイパユニット171には、吐出口面8aをx方向に沿ってワイピングするためのブレードワイパ171aが吐出口の配列領域に相当する長さだけy方向に配されている。ブレードワイパユニット171を用いてワイピング動作を行う際、ワイピングユニット17は、記録ヘッド8がブレードワイパ171aに当接可能な高さに位置決めされた状態で、ブレードワイパユニット171をx方向に移動する。この移動により、吐出口面8aに付着するインクなどはブレードワイパ171aに拭き取られる。
ブレードワイパ171aが収納される際のメンテナンスユニット16の入り口には、ブレードワイパ171aに付着したインクを除去するとともにブレードワイパ171aにウェット液を付与するためのウェットワイパクリーナ16aが配されている。これにより、ブレードワイパ171aはメンテナンスユニット16に収納される度にウェットワイパクリーナ16aによって付着物が除去されウェット液が塗布される。そして、次に吐出口面8aをワイピングしたときにウェット液を吐出口面8aに転写し、吐出口面8aとブレードワイパ171a間の滑り性を向上させている。
一方、バキュームワイパユニット172は、y方向に延在する開口部を有する平板172aと、開口部内をy方向に移動可能なキャリッジ172bと、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cとを有する。バキュームワイパ172cは、キャリッジ172bの移動に伴って吐出口面8aをy方向にワイピング可能に配されている。バキュームワイパ172cの先端には、不図示の吸引ポンプに接続された吸引口が形成されている。このため、吸引ポンプを作動させながらキャリッジ172bをy方向に移動すると、記録ヘッド8の吐出口面8aに付着したインク等は、バキュームワイパ172cによって拭き寄せられながら吸引口に吸い込まれる。この際、平板172aと開口部の両端に設けられた位置決めピン172dは、バキュームワイパ172cに対する吐出口面8aの位置合わせに利用される。
図9は、記録装置1で採用するインク供給ユニット15を示す図である。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14から記録ヘッド8へインクを供給する構成である。ここでは、1色のインクについての構成を示しているが、実際にはこのような構成が、インク色ごとに用意されている。インク供給ユニット15は、基本的に図2で示したインク供給制御部209によって制御される。以下、ユニットの各構成について説明する。
インクは主にサブタンク(インクタンク)151と記録ヘッド8(図9ではヘッドユニット8)の間を循環する。ヘッドユニット8では画像データに基づいてインクの吐出動作が行われ、吐出されなかったインクが再びサブタンク151に回収される。
所定量のインクを収容するサブタンク151は、ヘッドユニット8へインクを供給するための供給流路C2とヘッドユニット8からインクを回収するための回収流路C4に接続されている。すなわち、サブタンク151、供給流路C2、ヘッドユニット8、および回収流路C4によってインクが循環する循環経路が構成される。
サブタンク151には複数のピンで構成される液面検知手段151aが設けられ、インク供給制御部209は、これら複数のピン間における導通電流の有無を検知することで、インク液面の高さ、即ちサブタンク151内のインク残量を把握することができる。減圧ポンプP0は、サブタンク151の内部を減圧するための負圧発生源である。大気開放弁V0は、サブタンク151の内部を大気に連通させるか否かを切り替えるための弁である。
メインタンク141は、サブタンク151へ供給されるインクを収容するタンクである。メインタンク141は可撓性部材で構成され、可撓性部材の容積変化によってサブタンク151へインクが充填される。メインタンク141は、記録装置本体に対して着脱可能な構成である。サブタンク151とメインタンク141を接続するタンク接続流路C1の途中には、サブタンク151とメインタンク141の接続を開閉するためのタンク供給弁V1が配されている。
以上の構成のもと、インク供給制御部209は、液面検知手段151aによってサブタンク151内のインクが所定量より少ないことを検知すると、大気開放弁V0、供給弁V2、回収弁V4、リリーフ弁V3およびヘッド交換弁V5を閉じる。この状態において、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1を開き、減圧ポンプP0を作動させる。すると、サブタンク151の内部が負圧となりメインタンク141からサブタンク151へインクが供給される。液面検知手段151aによってサブタンク151内のインクが所定量を超えたことを検知すると、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1を閉じて減圧ポンプP0を停止する。
供給流路C2は、サブタンク151からヘッドユニット8へインクを供給するための流路であり、その途中には供給ポンプP1と供給弁V2が配されている。記録動作中は、供給弁V2を開いた状態で供給ポンプP1を駆動することにより、ヘッドユニット8へインクを供給しつつ循環経路においてインクを循環することができる。ヘッドユニット8によって単位時間あたりに消費されるインクの量は画像データに応じて変動する。このため、供給ポンプP1の流量は、ヘッドユニット8における単位時間あたりのインク消費量が最大となる吐出動作を行った場合にも対応できるように決定されている。
リリーフ流路(迂回経路)C3は、供給弁V2の上流側であって、供給ポンプP1の上流側と下流側を接続する流路であり、リリーフ流路C3の途中には差圧弁であるリリーフ弁V3が配される。供給ポンプP1からの単位時間あたりのインク供給量がヘッドユニット8の単位時間あたりの吐出量と回収ポンプP2における単位時間あたりの流量の合計値よりも多い場合は、リリーフ弁V3は自身に作用する圧力に応じて開放される。その結果、供給流路C2の一部とリリーフ流路C3とで構成される巡回流路が形成される。上記リリーフ流路C3の構成を設けることにより、ヘッドユニット8に対するインク供給量はヘッドユニット8でのインク消費量に応じて調整され、循環経路内の流圧を画像データによらず安定させることができる。
図10はリリーフ弁V3の詳しい構成を示す。図10(a)はリリーフ弁V3の外観斜視図であり、図10(b)(c)は、図10(a)におけるA-Aの断面図である。図10(b)に示すように、リリーフ弁V3の内部には、シール部材1001とスライダ1002とバネ1003とが設けられている。また、リリーフ弁V3にインクが流入する流入口1004と、リリーフ弁V3からインクが流出する流出口1005と、が設けられている。
図10(b)は、スライダ1002がバネ1003の付勢によってシール部材1001に押圧されて、流入口1004が閉じている様子を示す。リリーフ流路C3に所定値以上の圧力がかかると、バネ1003の付勢に抗う方向にスライダ1002が移動され、シール部材1001とスライダ1002によって閉塞されていた流入口1004が開放される(図10(c))。図10(c)に示すように、流入口1004の開放によってインクが流入口1004から流入して、流出口1005から流出し、供給ポンプP1よりも上流の供給流路C2へインクが戻される。
回収流路C4は、ヘッドユニット8からサブタンク151へインクを回収するための流路であり、その途中には回収ポンプP2と回収弁V4が配されている。回収ポンプP2は、循環経路内にインクを循環させる際、負圧発生源となってヘッドユニット8よりインクを吸引する。回収ポンプP2の駆動により、ヘッドユニット8内のIN流路80bとOUT流路80cの間に適切な圧力差が生じ、IN流路80bからOUT流路80cへインクが移動する。ヘッドユニット8内の流路構成については後に詳しく説明する。
回収弁V4は、記録動作を行っていないとき、すなわち循環経路内にインクを循環させていないときに、回収流路C4を介してサブタンク151からヘッドユニット8へインクが流れることを防止するための弁である。本実施形態の循環経路では、サブタンク151はヘッドユニット8よりも鉛直方向において上方に配置されている(図1参照)。このため、供給ポンプP1や回収ポンプP2を駆動していないとき、サブタンク151とヘッドユニット8の水頭差によって、サブタンク151からヘッドユニット8へインクが逆流してしまうおそれがある。このような逆流を防止するため、本実施形態では回収流路C4に回収弁V4を設けている。
同様に供給弁V2も、記録動作を行っていないとき、すなわち循環経路内にインクを循環させていないときに、サブタンク151からヘッドユニット8へのインクの供給を防止するための弁としても機能する。
ヘッド交換流路C5は、供給流路C2とサブタンク151の空気層(インクが収容されていない部分)を接続する流路であり、その途中にはヘッド交換弁V5が配されている。ヘッド交換流路C5の一端は供給流路C2におけるヘッドユニット8の上流に接続され、他端はサブタンク151の上方に接続されて内部の空気層と連通する。ヘッド交換流路C5は、ヘッドユニット8を交換する際や記録装置1を輸送する際など、使用中のヘッドユニット8からインクを回収するときに利用される。
ヘッド交換弁V5は、記録装置1にインクを初期充填するときとヘッドユニット8からインクを回収するとき以外は閉じるように、インク供給制御部209によって制御される。ヘッド交換流路C5は、供給弁V2よりも下流側で供給流路C2と接続される。すなわち、上述した供給弁V2は供給流路C2において、ヘッド交換流路C5との接続部と、リリーフ流路C3との接続部の間に設けられている。
次に、ヘッドユニット8内の流路構成について説明する。供給流路C2よりヘッドユニット8に供給されたインクは、フィルタ83を通過した後、弱い負圧を発生する第1の負圧制御ユニット(第1の圧力制御手段)81と、強い負圧を発生する第2の負圧制御ユニット(第2の圧力制御手段)82とに供給される。第1の負圧制御ユニット81によって発生する圧力の絶対値に対して、第2の負圧制御ユニット82によって発生する圧力の絶対値は小さい。これら第1の負圧制御ユニット81と第2の負圧制御ユニット82における圧力は、回収ポンプP2の駆動によって生成される。
インク吐出部80には、複数の吐出口が配列された記録素子基板80aが複数配置され、長尺の吐出口列が形成されている。記録素子基板80aには、インクを熱エネルギーにより発泡させるための発熱素子である記録素子2323(図11(b)参照)が形成されている。第1の負圧制御ユニット81より供給されるインクを導くための共通供給流路80b(IN流路)と、第2の負圧制御ユニット82より供給されるインクを導くための共通回収流路80c(OUT流路)も、記録素子基板80aの配列方向に延在している。共通供給流路80bは、供給流路C2と接続されている。共通回収流路80cは、供給流路C2及び回収流路C4の両方と接続されている。
図11(a)は記録素子基板80aの一部を拡大した平面模式図であり、図11(b)は、図11(a)の断面線X-Xにおける断面模式図である。記録素子基板80aには、インクが充填される圧力室2402とインクを吐出する吐出口2311が設けられている。圧力室2402において、吐出口2311と対向する位置には記録素子2323が設けられている。また、記録素子基板80aには、共通供給流路80bと接続する個別供給流路2321と、共通回収流路80cと接続する個別回収流路2322とが吐出口2311毎に複数形成されている。
上述した構成により、記録素子基板80aでは、相対的に負圧の弱い(圧力の高い)共通供給流路80bより流入し、相対的に負圧の強い(圧力の低い)共通回収流路80cへ流出するインクの流れが生成される。より詳しくは、共通供給流路80b→個別供給流路2321→圧力室2402→個別回収流路2322→共通回収流路80cの順にインクが流れる。記録素子2323によってインクが吐出されると、共通供給流路80bから共通回収流路80cへ移動するインクの一部は吐出口2311から吐出されることによってヘッドユニット8の外部へ排出される。一方、吐出口2311から吐出されなかったインクは、共通回収流路80cを経て回収流路C4へ回収される。
図12はヘッドユニット8に設けられた第1の負圧制御ユニット81を示す。図12(a)(b)は外観斜視図であり、特に図12(b)は、第1の負圧制御ユニット81の内部を示すために可撓性フィルム232を不図示にした様子を示す。図12(c)は、図12(a)におけるXIVC-XIVCの断面を示す。第1の負圧制御ユニット81と第2の負圧制御ユニット82は差圧弁であり、制御圧(バネの初期荷重)の差異以外は同一の構成のため、第2の負圧制御ユニット82の説明は省略する。
第1の負圧制御ユニット81は、図12(b)に示される受圧板231とその周囲の空間を密閉する可撓性フィルム232によって、第1圧力室233が内部に形成されている。可撓性フィルム232は、図12(b)で示す円形状の縁及び受圧板231に対して溶着されている。第1圧力室233内のインクの増減に応じて、可撓性フィルム232と可撓性フィルム232に溶着された受圧板231とが上下に変位する。
第1圧力室233のインク供給方向における上流側には、供給ポンプP1と接続される第2圧力室238と、受圧板231と連結されたシャフト234と、シャフト234と連結された弁235と、弁235に嵌合するオリフィス236と、が設けられている。本実施形態のオリフィス236は、第1圧力室233と第2圧力室238との境界に設けられている。弁235とシャフト234と受圧板231はさらに、付勢部材(バネ)237によって鉛直上方へ向けて付勢されている。
第1圧力室233内の圧力の絶対値が第1閾値以上であるとき(第1閾値より負圧が弱い場合)は、付勢部材237の付勢力によって弁235がオリフィス236と嵌合し、第1圧力室233と第2圧力室238との接続を遮断している。一方、第1圧力室233内の圧力の絶対値が第1閾値未満となったとき、つまり第1圧力室233に第1閾値より強い負圧がかかったとき、可撓性フィルム232が収縮して下方へ変位する。これにより、受圧板231と弁235が付勢部材237の付勢に抗って下方へ変位して、弁235とオリフィス236が離間して、第1圧力室233と第2圧力室238とが接続される。この接続によって、供給ポンプP1によって供給されたインクが第1圧力室233へ向けて流入する。
第1の負圧制御ユニット81は上述した差圧弁の構成になっており、これにより流入圧力と流出圧力を一定に制御する。第2の負圧制御ユニット82は、第1の負圧制御ユニット82より強い負圧を発生させるために、付勢部材237の付勢力が第1の負圧制御ユニットより大きいものを採用している。
図13は、ヘッドユニット8による記録動作中のインク供給ユニット15を示す図である。実線で示した流路に設けられたバルブは開放しておりインクの流れが形成されているが、点線で示した流路に設けられたバルブは閉塞してインクや空気が流れていない。まずヘッドユニット8による記録動作を行うとき、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1とヘッド交換弁V5を閉じ、大気開放弁V0、供給弁V2、および回収弁V4を開き、供給ポンプP1および回収ポンプP2を駆動する。これにより、サブタンク151→供給流路C2→ヘッドユニット8→回収流路C4→サブタンク151の循環経路が確立する。
ここで、供給ポンプP1による単位時間あたりのインク供給量は、ヘッドユニット8が単位時間あたりに吐出可能な最大のインク量(以下、所定吐出量)に対応できるように設定されている。吐出可能な最大のインク量とは、例えば、各吐出口の吐出量×単位時間あたりの吐出周波数×吐出口数によって定義される。また、本実施形態においては、供給流路C2からヘッドユニット8を介して回収流路C4へインクを循環させているため、循環のために回収ポンプP2によって回収流路C4に回収されるインク量(以下、循環流量)の分も供給ポンプP1から供給する必要がある。回収流路C4を流れる循環流量は、循環させるインク量に応じて定められ、本実施形態では一定の循環流量を保つように構成されている。そのため回収ポンプP2は、ほぼ一定の流量を回収可能なように一定量で駆動されている。
以上のことから、供給ポンプP1による単位時間あたりのインク供給量は、所定吐出量と回収流路C4を流れる循環流量との合計値に対応可能に設定されており、駆動量はほぼ一定に定められている。すなわち、供給ポンプP1と回収ポンプP2のいずれも、ほぼ一定の駆動量で駆動されることでインクの供給や回収を行い、循環経路でインクを循環させている。
図13(a)はヘッドユニット8からのインクの吐出量が多い記録動作を行っているときのインクの流れを示す。このとき、供給ポンプP1から供給される所定吐出量のインクのほとんどをヘッドユニット8から吐出して排出する。そのため、負圧制御ユニットには吐出動作によって発生する負圧と回収ポンプP2による負圧がかかり、差圧弁が開いた状態を維持する。すなわち、供給ポンプP1が供給する所定吐出量と循環流量の合計値以上のインクがヘッドユニット8に供給される状態を維持する。このような場合はリリーフ弁V3に対して所定値以上の圧力がかからず、リリーフ弁V3が開放されない。そのため、リリーフ流路C3においてリリーフ弁V3の手前でインクの流れは遮断され、リリーフ流路C3の全体にはインクが流れない状態となる。
図13(b)はヘッドユニット8からのインクの吐出量が少ない記録動作を行っているときのインクの流れを示す。このとき、供給ポンプP1から供給される所定吐出量のインクの多くは吐出されない。そのため、負圧制御ユニットには吐出動作によって発生する小さい負圧と回収ポンプP2による負圧のみがかかり、差圧弁が開いた状態は維持されにくくなる。これにより、供給ポンプP1から過剰なインクが供給される状態が形成され、リリーフ弁V3には所定値以上の圧力がかかる。すると、図10(c)に示したようにリリーフ弁V3の流入口1004が開放され、供給流路C2に過剰供給されたインクがリリーフ流路C3を流れることで圧力を逃がすことができる。
仮にリリーフ流路C3とリリーフ弁V3を設けない場合、負圧制御ユニットと供給ポンプP1の間でインクの圧力が増大し、流路破壊やインク漏れなどが発生する場合がある。本実施形態のようにリリーフ流路C3とリリーフ弁V3を設けることで、ヘッドユニット8における吐出量によらずに、インク循環構成における流路内の圧力を適正に保つことができる。また、供給ポンプP1や回収ポンプP2ではほぼ一定の駆動を保つことができ、吐出量に応じた複雑な制御を行う必要もなくなり、簡易な構成で安定した吐出性能を維持することができる。
なお、本実施形態では記録ヘッド8の圧力室2402内のインクも循環する構成を採用したが、これに限らず、記録ヘッド8の共通液室内のインクのみを循環する構成にも適用することができる。
1 インクジェット記録装置
8 記録ヘッド(ヘッドユニット)
151 サブタンク(インクタンク)
C2 供給流路
C3 リリーフ流路(迂回経路)
C4 回収流路
P1 供給ポンプ
P2 回収ポンプ
V3 リリーフ弁(差圧弁)

Claims (10)

  1. インクを流す供給ポンプと、
    インクを貯留するタンクから記録ヘッドへインクが供給されるときに通る供給流路と、前記記録ヘッドから出たインクが通る回収流路と、を含み、前記記録ヘッドから出て、再び前記記録ヘッドへ入るようにインクを循環させるための第1流路と、インクが流れる方向において、前記第1流路に設けられた前記供給ポンプの下流で前記第1流路から分岐し、前記供給ポンプの上流にインクを送るようにインクを循環させるための第2流路と、を有する循環路と、
    を備え、
    前記記録ヘッドは、インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に対応して設けられ、インクを吐出するために使用されるエネルギーを発生させるためのエネルギー発生素子と、前記エネルギー発生素子と対向する位置にある圧力室を有し、前記供給流路と接続され前記圧力室にインクを供給するための共通供給流路と、前記供給流路及び前記回収流路と接続され前記圧力室からインクを回収するための共通回収流路と、を有し、
    前記供給流路と前記共通供給流路との間に設けられ圧力を制御する第1の圧力制御手段と、
    前記供給流路と前記共通回収流路との間に設けられ圧力を制御する、前記第1の圧力制御手段よりも強い負圧を発生させる第2の圧力制御手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記第1流路には、記録ヘッドへ供給するためのインクを貯留するタンクから前記記録ヘッドへインクを流す前記供給ポンプと、前記記録ヘッドから出たインクを流す回収ポンプが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記第1流路は前記タンクから前記記録ヘッドへインクが供給されるときに通る供給流路と、前記記録ヘッドから出たインクが通る回収流路を含み、
    前記記録ヘッドから吐出されるインク量によらず、前記供給ポンプは前記供給流路においてほぼ一定のインク量が流れるように駆動し、前記回収ポンプは前記回収流路においてほぼ一定のインク量が流れるように駆動することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記回収ポンプは、前記回収流路にほぼ一定の循環流量が流れるように駆動し、前記供給ポンプは、前記記録ヘッドから吐出される所定吐出量と前記循環流量の合計値以上の流量が流れるように駆動することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記所定吐出量は、前記記録ヘッドから単位時間あたりに吐出可能な最大のインク量であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第2流路には差圧弁が設けられ、
    前記差圧弁は、前記記録ヘッドから吐出されるインク量が前記所定吐出量よりも少ない場合に開き、前記第2流路にインクが流れることを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記供給ポンプが駆動することにより、圧力室の内部を通るようにインクが循環することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記第1の圧力制御手段と前記第2の圧力制御手段は、前記記録ヘッド内に設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記記録ヘッドは前記吐出口毎に、前記共通供給流路と接続する個別供給流路と、前記共通回収流路と接続する個別回収流路と、を有し、前記供給ポンプによって前記共通供給流路と前記個別供給流路を介して前記圧力室へインクが供給され、前記個別回収流路から前記共通回収流路へインクが回収されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記第2流路には差圧弁が設けられ、
    前記差圧弁は、インクが流入する流入口と、インクが流出する流出口と、シール部材と、前記シール部材に接続されたスライダと、前記スライダ及び前記シール部材を前記流入口に対して付勢する付勢部材と、を有し、前記供給ポンプによって生じる圧力が所定値以上になると前記付勢部材の付勢に抗って前記スライダが移動することで前記流入口が開放されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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