JP2024023406A - 筋ジストロフィーに対するエクソンスキッピングオリゴマー - Google Patents

筋ジストロフィーに対するエクソンスキッピングオリゴマー Download PDF

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Abstract

【課題】エクソン2スキッピングを誘導するためにヒトジストロフィン遺伝子において選択された標的部位に相補的なアンチセンスオリゴマーを提供すること。【解決手段】ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーであって、前記修飾アンチセンスオリゴマーが、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、前記塩基配列および/またはアニーリング部位が、特定の配列からなる塩基配列からなる修飾アンチセンスオリゴマーを提供する。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、2018年7月27日に出願された米国仮出願第62/711,215号、および2019年6月28日に出願された米国仮出願第62/868,003号の利益を主張するものである。上記に参照される出願の教示全体は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されており、かつ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、配列表を含有する。当該ASCIIの複写は2019年7月3日に作成され、名称は8166_02_WO00_SL.txt、サイズは28,526バイトである。
開示の分野
本開示は、ヒトジストロフィン遺伝子におけるエクソン2スキッピングに好適な新規のアンチセンスオリゴマーおよびその医薬組成物に関する。本開示はまた、新規のアンチセンスオリゴマーを使用してエクソン2スキッピングを誘導するための方法、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有する対象においてジストロフィンを産生するための方法、およびエクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有する対象を治療するための方法も提供する。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、タンパク質ジストロフィンの発現の欠陥によって引き起こされる。タンパク質をコードする遺伝子は、DNAの200万を超えるヌクレオチドにわたって拡散された79個のエクソンを含有する。エクソンのリーディングフレームを変化させ、エクソンを重複させ、停止コドンを導入するか、または全アウトオブフレームエクソン(複数可)の除去もしくは1つ以上のエクソンの重複を特徴とする、任意のエクソンの変異は、機能性ジストロフィンの産生を妨げ、DMDをもたらす可能性がある。エクソン2は、DMDにおいて最も一般的に重複しているエクソンである。
変異、典型的には1つ以上のエクソンの欠失が、全ジストロフィン転写物に沿った正しいリーディングフレームをもたらし、これにより、mRNAのタンパク質への翻訳が早期に終結されない場合、より重症度の低い型の筋ジストロフィーであるベッカー型筋ジストロフィー(BMD)が生じることが分かっている。変異したジストロフィンプレmRNAのプロセシングにおける上流エクソンと下流のエクソンの結合が、遺伝子の正しいリーディングフレームを維持する場合、結果は、ある程度の活性を保持する短い内部欠失を有するタンパク質をコードするmRNAであり、ベッカー表現型がもたらされる。
ジストロフィンを産生し、DMDを治療するための治療方法に有用である、エクソン2スキッピングに好適なアンチセンスオリゴマーおよび対応する医薬組成物のニーズが存在する。
本明細書で提供されるアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、8~50個のモルホリノサブユニットである塩基配列を含み、エクソン2、イントロン1、またはイントロン2内の領域であるヒトジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2の標的領域にハイブリダイズする。一態様において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導する。一態様において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、16~32個のモルホリノサブユニットを含有する。別の態様において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、19~25個のモルホリノサブユニットを含有する。
ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、1つ以上の細胞膜透過性ペプチド(本明細書では「CPP」と呼称される)とコンジュゲートされる。ある特定の実施形態において、1つ以上のCPPは、アンチセンスオリゴマーの末端に結合される。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのCPPは、アンチセンスオリゴマーの5’末端に結合される。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのCPPは、アンチセンスオリゴマーの3’末端に結合される。ある特定の実施形態において、第1のCPPは、アンチセンスオリゴマーの5’末端に結合され、第2のCPPは、アンチセンスオリゴマーの3’末端に結合される。
いくつかの実施形態において、CPPは、アルギニンリッチペプチドである。「アルギニンリッチ」という用語は、少なくとも2個、好ましくは2、3、4、5、6、7、または8個のアルギニン残基を有するCPPを指し、各々が任意に1個以上の非荷電疎水性残基によって分離され、任意に約6~14個のアミノ酸残基を含有する。以下に説明されるように、CPPは、好ましくは、そのカルボキシ末端でリンカーを介してアンチセンスオリゴヌクレオチドの3’および/または5’末端に連結され、リンカーはまた、1つ以上のアミノ酸であり得、かつ好ましくは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、またはステアロイルから選択されるRを含む置換基Rによってそのアミノ末端でキャッピングされる。いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
以下の表に見られるように、本明細書で使用するためのCPPの非限定的な例としては、-(RXR)-R(配列番号40)、-R-(FFR)-R(配列番号41)、-B-X-(RXR)-R(配列番号42)、-B-X-R-(FFR)-R(配列番号43)、-GLY-R-(FFR)-R(配列番号44)、-GLY-R-R(配列番号45)、-R-R(配列番号46)、-GLY-R-R(配列番号47)、および-R-R(配列番号48)が挙げられ、式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択され、Rは、アルギニンであり、Xは、6-アミノヘキサン酸であり、Bは、β-アラニンであり、Fは、フェニルアラニンであり、GLY(またはG)は、グリシンである。CPP「R(配列番号:46)」は、アミド結合を介して互いに連結された5個のアルギニン残基のペプチドを示すことを意味する(単一の置換基、例えば、R(配列番号:46)ではない)。CPP「R(配列番号:48)」は、アミド結合を介して互いに連結された6個のアルギニン残基のペプチドを示すことを意味する(単一の置換基、例えば、R(配列番号:48)ではない)。いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
例示的なCPPを表1(配列番号40~46)に示す。
Figure 2024023406000001
CPP、それらの合成、およびオリゴマーにコンジュゲートする方法は、米国出願公開第US2012/0289457号、ならびに国際特許出願公開第WO2004/097017号、同第WO2009/005793号、および同第WO2012/150960号にさらに記載されており、それらの開示は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CPPとリンカーの組み合わせとして定義される置換基「Z」を含む。リンカーは、そのカルボキシ末端でCPPをオリゴヌクレオチドの3’末端および/または5’末端に架橋する。様々な実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴマーの3’末端に連結された1つのCPPのみを含有し得る。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴマーの5’末端に連結された1つのCPPのみを含有し得る。
Z内のリンカーは、例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸を含み得る。
特定の実施形態において、Zは、以下から選択され、
-C(O)(CHNH-CPP;
-C(O)(CHNH-CPP;
-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-CPP;
-C(O)CHNH-CPP;および以下の式:
Figure 2024023406000002

式中、CPPは、CPPカルボキシ末端でのアミド結合によってリンカー部分に結合される。
様々な実施形態において、CPPは、本明細書に記載され、かつ表1に示される、アルギニンリッチペプチドである。様々な実施形態において、アルギニンリッチCPPは、-R-R(すなわち、5つのアルギニン残基;配列番号46)であり、式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。ある特定の実施形態において、Rは、アセチルである。様々な実施形態において、CPPは、配列番号46であり、リンカーは、-C(O)(CHNH-、-C(O)(CHNH-、-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-、-C(O)CHNH-、および
Figure 2024023406000003

からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、リンカーは、1、2、3、4、または5個のアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態において、CPPは配列番号46であり、リンカーはGlyである。いくつかの実施形態において、CPPは、配列番号45である。
ある特定の実施形態において、アルギニンリッチCPPは、-R-R(すなわち、6つのアルギニン残基;配列番号48)であり、式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。ある特定の実施形態において、Rは、アセチルである。様々な実施形態において、CPPは、配列番号40、41、または48から選択され、リンカーは、-C(O)(CHNH-、-C(O)(CHNH-、-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-、-C(O)CHNH-、および
Figure 2024023406000004

からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、リンカーは、1、2、3、4、または5個のアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態において、CPPは配列番号48であり、リンカーはGlyである。いくつかの実施形態において、CPPは、配列番号47である。
ある特定の実施形態において、Zは、オリゴマーの5’および/または3’末端で本開示のアンチセンスオリゴマーに共有結合している-C(O)CHNH-R-R(「R」は、配列番号:48として開示される)であり、式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、またはステアロイルであり、Rのアミノ末端をキャップする(配列番号:48)。ある特定の実施形態において、Rは、アセチルである。これらの非限定的な例において、CPPは-R-R(配列番号:48)であり、リンカーは-C(O)CHNH-(すなわち、GLY)である。Z=-C(O)CHNH-R6-(「R」は、配列番号:48として開示される)のこの特定の例もまた、以下の構造によって例示され、
Figure 2024023406000005

式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
様々な実施形態において、CPPは、-R-R(配列番号:48)であり、以下の式としても例示される。
Figure 2024023406000006

式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。ある特定の実施形態において、CPPは、配列番号47である。いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
いくつかの実施形態において、CPPは、-(RXR)-R(配列番号:40)であり、以下の式としても例示される。
Figure 2024023406000007
様々な実施形態において、CPPは、-R-(FFR)-R(配列番号:41)であり、以下の式としても例示される。
Figure 2024023406000008
様々な実施形態において、Zは、以下から選択され、
-C(O)(CHNH-CPP;
-C(O)(CHNH-CPP;
-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-CPP;
-C(O)CHNH-CPP;および以下の式:
Figure 2024023406000009

式中、CPPは、CPPカルボキシ末端でのアミド結合によってリンカー部分に結合され、かつCPPは、以下から選択される。
Figure 2024023406000010

、(-R-(FFR)-R(配列番号:41))、
Figure 2024023406000011

、(-(RXR)-R(配列番号:40))、
Figure 2024023406000012

、および(-R-R(配列番号:48))。
いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
一態様において、本開示は、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を提供し、修飾アンチセンスオリゴマーは、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、塩基配列および/またはアニーリング部位は、以下のうちの1つから選択され、
Figure 2024023406000013
ある特定の実施形態において、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーであって、修飾アンチセンスオリゴマーが、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択され、
Figure 2024023406000014
ある特定の実施形態において、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーであって、修飾アンチセンスオリゴマーが、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択され、
Figure 2024023406000015
ある特定の実施形態において、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーであって、修飾アンチセンスオリゴマーが、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択され、
Figure 2024023406000016
いくつかの実施形態において、塩基配列は、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、塩基配列は、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、塩基配列は、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、塩基配列は、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、塩基配列は、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、塩基配列は、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、塩基配列は、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、塩基配列は、配列番号27に対応する。
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、核酸類似体の5’末端に結合したT’部分を含有し、T’部分は、以下:
Figure 2024023406000017

から選択され、式中、R200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、Rは、C1-アルキルである。ある特定の態様において、R200は、水素である。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーの核酸塩基は、モルホリノ環構造に連結され、モルホリノ環構造は、1つの環構造のモルホリノ窒素を隣接する環構造の5’環外炭素に結合するリン含有サブユニット間連結によって結合される。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーの塩基は、ペプチド核酸(PNA)であり、リン酸-糖ポリヌクレオチド骨格は、核酸塩基が連結している可撓性擬似ペプチドポリマーによって置換されている。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーの塩基は、ロックド核酸(LNA)であり、ロックド核酸構造は、リボース部分が2’酸素と4’炭素を結合する余分な架橋を有する、化学的に修飾されたヌクレオチド類似体である。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーの塩基は、架橋核酸(BNA)であり、糖立体構造は、フラノース骨格への追加の架橋構造の導入によって制限またはロックされる。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴマーの塩基は、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)である。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーは、アンロックド核酸(UNA)サブユニットを含有し得る。UNAおよびUNAオリゴマーは、サブユニットのC2’-C3’結合が切断されているRNAの類似体である。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーは、非架橋酸素のうちの1つが硫黄で置換されている、1つ以上のホスホロチオエート(またはS-オリゴ)を含有する。いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーは、リボースの2’-OHが、それぞれ、メチル、メトキシエチル、2-(N-メチルカルバモイル)エチル、またはフルオロ基で置換されている、1つ以上の2’O-メチル、2’O-MOE、MCE、および2’-Fを含有する。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーは、トリシクロ-DNA(tc-DNA)であり、これは、骨格の立体構造的柔軟性を制限し、かつねじれ角γの骨格形状を最適化するために、各ヌクレオチドがシクロプロパン環の導入によって修飾されている、拘束されたDNA類似体である。
様々な態様において、本開示は、式(I)に従うアンチセンスオリゴマー、
Figure 2024023406000018

またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
各Nuは、一緒になって標的化配列を形成する核酸塩基であり、
T’は、以下から選択される部分であり、
Figure 2024023406000019

100およびR200は、各々独立して、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、Rは、C-Cアルキルであり、
1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000020
式(I)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000021
式(I)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000022
式(I)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000023
いくつかの実施形態において、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
別の態様において、本開示は、式(II)のアンチセンスオリゴマー、
Figure 2024023406000024

またはその薬学的に許容される塩を提供し、
200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000025
式(II)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000026
式(II)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000027
式(II)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000028
いくつかの実施形態において、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
別の態様において、本開示は、式(III)のアンチセンスオリゴマー、
Figure 2024023406000029

またはその薬学的に許容される塩を提供し、
200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000030
式(III)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000031
式(III)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000032
式(III)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000033
いくつかの実施形態において、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
別の態様において、本開示は、式(IV)のアンチセンスオリゴマーを提供し、
Figure 2024023406000034

1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000035
式(IV)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000036
式(IV)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000037
式(IV)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000038
いくつかの実施形態において、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
別の態様において、本開示は、式(V)のアンチセンスオリゴマー、
Figure 2024023406000039

またはその薬学的に許容される塩を提供し、
200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応する。
Figure 2024023406000040
式(V)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000041
式(V)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000042
式(V)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000043
いくつかの実施形態において、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つの核酸塩基に対応する。いくつかの実施形態において、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つの核酸塩基に対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つの核酸塩基に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つの核酸塩基に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19の核酸塩基に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37の核酸塩基に対応する。
別の態様において、本開示は、式(VI)のアンチセンスオリゴマーを提供し、
Figure 2024023406000044

1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000045
式(VI)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000046
式(VI)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000047
式(VI)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000048
いくつかの実施形態において、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つの核酸塩基に対応する。いくつかの実施形態において、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つの核酸塩基に対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つの核酸塩基に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つの核酸塩基に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19の核酸塩基に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37の核酸塩基に対応する。
いくつかの実施形態において、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、または式(VI)のアンチセンスオリゴマーは、遊離塩基形態である。いくつかの実施形態において、式(I)、式(II)、式(III)、または式(V)のアンチセンスオリゴマーは、その薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態において、式(I)、式(II)、式(III)、または式(V)のアンチセンスオリゴマーは、そのHCl(塩酸)塩である。式(I)、式(II)、式(III)、または式(V)のある特定の実施形態において、HCl塩は、1HCl、2HCl、3HCl、4HCl、5HCl、または6HCl塩である。式(I)、式(II)、または式(III)のある特定の実施形態において、HCl塩は、6HCl塩である。式(I)、式(II)、または式(V)のある特定の実施形態において、HCl塩は、5HCl塩である。
様々な実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、RD細胞においてエクソンスキッピングを示す。ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、10μMの濃度でのRD細胞において19.9%以下のエクソンスキッピングを示す。ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、10μMの濃度でのRD細胞において20.0%以上のエクソンスキッピングを示す。ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、10μMの濃度でのRD細胞において30.0%以上のエクソンスキッピングを示す。ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、10μMの濃度でのRD細胞において40.0%以上のエクソンスキッピングを示す。
別の態様において、本開示は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療を必要としている対象においてそれを行うための方法を提供し、対象は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有し、この方法は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。本開示はまた、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療を必要とする対象においてそれを行うための薬剤の製造のための、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の使用にも対処し、対象は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有する。
別の態様において、本開示は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有する対象において、mRNAリーディングフレームを回復させてジストロフィン産生を誘導する方法を提供し、この方法は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。別の態様において、本開示は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有する対象において、mRNAプロセシング中にジストロフィンプレmRNAからエクソン2を排除する方法を提供し、方法は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。別の態様において、本開示は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有する対象において、ジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2を結合する方法を提供し、方法は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
別の態様において、本開示は、療法に使用するための、本明細書の本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態において、本開示は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療に使用するための、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態において、本開示は、療法に使用するための薬剤の製造に使用するための、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を提供する。ある特定の実施形態において、本開示は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療のための薬剤の製造に使用するための、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様において、本開示はまた、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療を必要としている対象においてそれを行うためのキットも提供し、対象は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有し、キットは、好適な容器に包装された、少なくとも本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を、その使用のための説明書と共に含む。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーであって、前記修飾アンチセンスオリゴマーが、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、前記塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択され、
Figure 2024023406000049
Tが、チミンまたはウラシルである、修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目2)
前記塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択される、
項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
Figure 2024023406000050
(項目3)
前記塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択される、項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
Figure 2024023406000051
(項目4)
前記塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択される、項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
Figure 2024023406000052
(項目5)
前記塩基配列が、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号
21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つから選択される、項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目6)
前記塩基配列が、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号
25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つから選択される、項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目7)
前記塩基配列が、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つから選択される、項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目8)
前記塩基配列が、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つから選択される、項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目9)
前記塩基配列が、配列番号19である、項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目10)
前記アニーリング部位の前記塩基配列が、配列番号37である、項目1に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目11)
Tが、チミンである、項目1~10のいずれかに記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目12)
前記修飾アンチセンスオリゴマーの核酸塩基が、モルホリノ環構造に連結されている、項目1~11のいずれか一項に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目13)
前記モルホリノ環構造が、1つの環構造のモルホリノ窒素を隣接する環構造の5’環外炭素に結合するリン含有サブユニット間連結によって結合される、項目12に記載の修飾アンチセンスオリゴマー。
(項目14)
式(I)に従うアンチセンスオリゴマー、
Figure 2024023406000053
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
各Nuは、一緒になって標的化配列を形成する核酸塩基であり、
式(I)中のT’は、以下から選択される部分であり、
Figure 2024023406000054
100およびR200は、各々独立して、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、Rは、C-Cアルキルであり、
1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000055
Tが、チミンまたはウラシルである、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩。
(項目15)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩。
Figure 2024023406000056
(項目16)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩。
Figure 2024023406000057
(項目17)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩。
Figure 2024023406000058
(項目18)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号
27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマー。
(項目19)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号
28、または配列番号35のうちの1つに対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマー。
(項目20)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマー。
(項目21)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマー。
(項目22)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、配列番号19の前記核酸塩基に対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマー。
(項目23)
式(I)の1~(n+1)個の各Nuが5’から3’に、配列番号37の前記核酸塩基に対応する、項目14に記載のアンチセンスオリゴマー。
(項目24)
Tが、チミンである、項目14~23のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴマー。
(項目25)
T’が、
Figure 2024023406000059
である、項目14~24のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴマー。
本開示の実施形態は、概して、改善されたアンチセンスオリゴマーおよびその使用方法に関し、この方法は、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するように特異的に設計されている。ジストロフィンは筋機能において重要な役割を果たし、様々な筋肉関連疾患がこの遺伝子の変異型を特徴とする。したがって、ある特定の実施形態において、本明細書に記載される改善されたアンチセンスオリゴマーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)およびベッカー型筋ジストロフィー(BMD)に見られる変異ジストロフィン遺伝子などのヒトジストロフィン遺伝子の変異型においてエクソンスキッピングを誘導する。
変異によって引き起こされる異常なmRNAスプライシング事象により、これらの変異ヒトジストロフィン遺伝子は、欠陥のあるジストロフィンタンパク質を発現するか、または測定可能なジストロフィンを全く発現しないかのいずれかであり、これは様々な形態の筋ジストロフィーを引き起こす状態である。この状態を治療するために、本開示のアンチセンスオリゴマーは、変異ヒトジストロフィン遺伝子の予めプロセシングされたmRNAの選択された領域にハイブリダイズし、そうでなければ異常にスプライシングされたジストロフィンmRNAにおいてエクソンスキッピングおよび差次的スプライシングを誘導し、それにより、筋細胞が機能性ジストロフィンタンパク質をコードするmRNA転写物を産生することを可能にする。ある特定の実施形態において、結果として生じるジストロフィンタンパク質は、必ずしも「野生型」形態のジストロフィンではなく、むしろ、切断されたが機能的な形態のジストロフィンである。
筋細胞における機能性ジストロフィンタンパク質のレベルを高めることによって、これらおよび関連する実施形態は、筋ジストロフィー、特にDMDおよびBMDなどの筋ジストロフィーの形態の予防および治療に有用であり、これらは、異常なmRNAスプライシングによる欠陥のあるジストロフィンタンパク質の発現を特徴とする。本明細書に記載される特定のアンチセンスオリゴマーは、他のオリゴマーよりも改善されたジストロフィン-エクソン特異的標的化をさらに提供し、それにより、関連する形態の筋ジストロフィーを治療する代替的な方法よりも有意かつ実用的な利点を提供する。
したがって、本開示は、8~50個のモルホリノサブユニットを有する塩基配列を含み、エクソン2、イントロン1、またはイントロン2内の領域であるヒトジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2の標的領域にハイブリダイズする、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩に関する。一態様において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導する。一態様において、アンチセンスオリゴマーは、16~32個のモルホリノサブユニットを含有する。別の態様において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、19~25個のモルホリノサブユニットを含有する。
ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、1つ以上の細胞膜透過性ペプチド(本明細書では「CPP」と呼称される)とコンジュゲートされる。ある特定の実施形態において、1つ以上のCPPは、アンチセンスオリゴマーの末端に結合される。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのCPPは、アンチセンスオリゴマーの5’末端に結合される。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのCPPは、アンチセンスオリゴマーの3’末端に結合される。ある特定の実施形態において、第1のCPPは、アンチセンスオリゴマーの5’末端に結合され、第2のCPPは、アンチセンスオリゴマーの3’末端に結合される。
いくつかの実施形態において、CPPは、アルギニンリッチペプチドである。「アルギニンリッチ」という用語は、少なくとも2個、好ましくは2、3、4、5、6、7、または8個のアルギニン残基を有するCPPを指し、各々が任意に1個以上の非荷電疎水性残基によって分離され、任意に約6~14個のアミノ酸残基を含有する。以下に説明されるように、CPPは、好ましくは、そのカルボキシ末端でリンカーを介してアンチセンスオリゴヌクレオチドの3’および/または5’末端に連結され、リンカーはまた、1つ以上のアミノ酸であり得、かつ好ましくは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、またはステアロイルから選択されるRを含む置換基Rによってそのアミノ末端でキャッピングされる。いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
以下の表に見られるように、本明細書で使用するためのCPPの非限定的な例としては、-(RXR)-R(配列番号40)、R-(FFR)-R(配列番号41)、-B-X-(RXR)-R(配列番号42)、-B-X-R-(FFR)-R(配列番号43)、-GLY-R-(FFR)-R(配列番号44)、-GLY-R-R(配列番号45)、-R-R(配列番号46)、-GLY-R-R(配列番号47)、および-R-R(配列番号48)が挙げられ、式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択され、Rは、アルギニンであり、Xは、6-アミノヘキサン酸であり、Bは、β-アラニンであり、Fは、フェニルアラニンであり、GLY(またはG)は、グリシンである。CPP「R(配列番号:46)」は、アミド結合を介して互いに連結された5個のアルギニン残基のペプチドを示すことを意味する(単一の置換基、例えば、R(配列番号:46)ではない)。CPP「R(配列番号:48)」は、アミド結合を介して互いに連結された6個のアルギニン残基のペプチドを示すことを意味する(単一の置換基、例えば、R(配列番号:48)ではない)。いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
例示的なCPPを表1(配列番号40~46)に示す。
Figure 2024023406000060
CPP、それらの合成、およびオリゴマーにコンジュゲートする方法は、米国出願公開第US2012/0289457号、ならびに国際特許出願公開第WO2004/097017号、同第WO2009/005793号、および同第WO2012/150960号にさらに記載されており、それらの開示は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CPPとリンカーの組み合わせとして定義される置換基「Z」を含む。リンカーは、そのカルボキシ末端でCPPをオリゴヌクレオチドの3’末端および/または5’末端に架橋する。様々な実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴマーの3’末端に連結された1つのCPPのみを含有し得る。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴマーの5’末端に連結された1つのCPPのみを含有し得る。
Z内のリンカーは、例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸を含み得る。
特定の実施形態において、Zは、以下から選択され、
-C(O)(CHNH-CPP;
-C(O)(CHNH-CPP;
-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-CPP;
-C(O)CHNH-CPP;および以下の式:
Figure 2024023406000061

式中、CPPは、CPPカルボキシ末端でのアミド結合によってリンカー部分に結合される。
様々な実施形態において、CPPは、本明細書に記載され、かつ表1に示される、アルギニンリッチペプチドである。ある特定の実施形態において、アルギニンリッチCPPは、-R-R(すなわち、5つのアルギニン残基;配列番号46)であり、式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。ある特定の実施形態において、Rは、アセチルである。様々な実施形態において、CPPは、配列番号40、41、または46から選択され、リンカーは、-C(O)(CHNH-、-C(O)(CHNH-、-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-、-C(O)CHNH-、および
Figure 2024023406000062

からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、リンカーは、1、2、3、4、または5個のアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態において、CPPは配列番号46であり、リンカーはGlyである。いくつかの実施形態において、CPPは、配列番号45である。
ある特定の実施形態において、アルギニンリッチCPPは、-R-R(すなわち、6つのアルギニン残基;配列番号48)であり、式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。ある特定の実施形態において、Rは、アセチルである。様々な実施形態において、CPPは、配列番号40、41、または48から選択され、リンカーは、-C(O)(CHNH-、-C(O)(CHNH-、-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-、-C(O)CHNH-、および
Figure 2024023406000063

からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、リンカーは、1、2、3、4、または5個のアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態において、CPPは配列番号48であり、リンカーはGlyである。いくつかの実施形態において、CPPは、配列番号47である。
ある特定の実施形態において、Zは、オリゴマーの5’および/または3’末端で本開示のアンチセンスオリゴマーに共有結合している-C(O)CHNH-R-R(「R」は、配列番号:48として開示される)であり、式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、またはステアロイルであり、Rのアミノ末端をキャップする(配列番号:48)。ある特定の実施形態において、Rは、アセチルである。これらの非限定的な例において、CPPは-R-R(配列番号:48)であり、リンカーは-C(O)CHNH-(すなわち、GLY)である。Z=-C(O)CHNH-R-R(「R」は、配列番号:48として開示される)のこの特定の例もまた、以下の構造によって例示され、
Figure 2024023406000064

式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。
様々な実施形態において、CPPは、-R-R(配列番号:48)であり、以下の式としても例示される。
Figure 2024023406000065

式中、Rは、H、アシル、アセチル、ベンゾイル、およびステアロイルから選択される。ある特定の実施形態において、CPPは、配列番号47である。いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
いくつかの実施形態において、CPPは、-(RXR)-R(配列番号:40)であり、以下の式としても例示される。
Figure 2024023406000066
様々な実施形態において、CPPは、-R-(FFR)-Ra(配列番号:41)であり、以下の式としても例示される。
Figure 2024023406000067
様々な実施形態において、Zは、以下から選択され、
-C(O)(CHNH-CPP;
-C(O)(CHNH-CPP;
-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-CPP;
-C(O)CHNH-CPP;および以下の式:
Figure 2024023406000068

式中、CPPは、CPPカルボキシ末端でのアミド結合によってリンカー部分に結合され、かつCPPは、以下から選択される。
Figure 2024023406000069

、(-R-(FFR)-R(配列番号:41))、
Figure 2024023406000070

、(-(RXR)-R(配列番号:40))、
Figure 2024023406000071

、または(-R-R(配列番号:48))
いくつかの実施形態において、Rは、アセチルである。
一態様において、本開示は、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーを提供し、修飾アンチセンスオリゴマーは、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、塩基配列および/またはアニーリング部位は、以下のうちの1つから選択され、
Figure 2024023406000072
ある特定の実施形態において、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーであって、修飾アンチセンスオリゴマーが、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択され、
Figure 2024023406000073
別の態様において、ヒトジストロフィン遺伝子においてエクソンスキッピングを誘導するために選択された標的に結合することができる修飾アンチセンスオリゴマーであって、修飾アンチセンスオリゴマーが、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的である塩基の配列を含み、塩基配列および/またはアニーリング部位が、以下のうちの1つから選択され、
Figure 2024023406000074
いくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19または配列番号27に対応する。
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、核酸類似体の5’末端に結合したT’部分を含有し、T’部分は、以下:
Figure 2024023406000075

から選択され、式中、R200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、Rは、C1-アルキルである。ある特定の態様において、R200は、水素である。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーの核酸塩基は、モルホリノ環構造に連結され、モルホリノ環構造は、1つの環構造のモルホリノ窒素を隣接する環構造の5'環外炭素に結合するリン含有サブユニット間連結によって結合される。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーの塩基は、ペプチド核酸(PNA)であり、リン酸-糖ポリヌクレオチド骨格は、核酸塩基が連結している可撓性擬似ペプチドポリマーによって置換されている。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーの塩基は、ロックド核酸(LNA)であり、ロックド核酸構造は、リボース部分が2’酸素と4’炭素を結合する余分な架橋を有する、化学的に修飾されたヌクレオチド類似体である。
いくつかの態様において、修飾アンチセンスオリゴマーの塩基は、架橋核酸(BNA)であり、糖立体構造は、フラノース骨格への追加の架橋構造の導入によって制限またはロックされる。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴマーの塩基は、2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)である。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する当該分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料を、本開示の実践または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料が記載される。本開示の目的のために、以下の用語を以下に定義する。
I.定義
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、別段の定めがない限り、飽和直鎖または分岐炭化水素を指す。ある特定の実施形態において、アルキル基は、第一級、第二級、または第三級炭化水素である。ある特定の実施形態において、アルキル基は、1~10個の炭素原子、すなわち、C~C10アルキルを含む。ある特定の実施形態において、アルキル基は、1~6個の炭素原子、すなわち、C~Cアルキルを含む。この用語は、ハロゲン化アルキル基を含む、置換アルキル基および非置換アルキル基の両方を含む。ある特定の実施形態において、アルキル基は、フッ素化アルキル基である。アルキル基が置換され得る部分の非限定的な例は、当業者に既知のように、例えば、参照により本明細書に組み込まれるGreene,et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Second Edition,1991で教示されるように、保護されていないか、または必要に応じて保護されているかのいずれかの、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、もしくはヨード)、ヒドロキシル,アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、またはホスホン酸塩からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、アルキル基は、メチル、CF、CCl、CFCl、CFCl、エチル、CHCF、CFCF、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、および2,3-ジメチルブチルからなる群から選択される。「アシル」という用語は、C(O)R11基(ここで、R11は、本明細書で定義されるようにH、アルキル、またはアリールを意味する)を指す。アシル基の例としては、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、および類似の基が挙げられる。
対象または患者に関して本明細書で使用される場合、「エクソン2スキッピングに適している」とは、ジストロフィンプレmRNAのエクソン2のスキッピングの不在により、リーディングフレームをアウトオブフレームにし、それによりプレmRNAの翻訳を妨げるか、または対象もしくは患者が機能性もしくは半機能性ジストロフィンを産生することを不可能にするかのいずれかである、ジストロフィンの1つ以上の変異または重複を有する対象および患者を含むことが意図される。患者がエクソンスキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するかどうかを判定することは、十分に当業者の範囲内である(例えば、Aartsma-Rus et al.(2009)Hum Mutat.30:293-299、Gurvich et al.,Hum Mutat.2009;30(4)633-640、およびFletcher et al.(2010)Molecular Therapy 18(6)1218-1223を参照)。
本明細書で使用される場合、「オリゴマー」という用語は、サブユニット間連結によって結合されるサブユニットの配列を指す。ある特定の事例において、「オリゴマー」という用語は、「アンチセンスオリゴマー」に関連して使用される。「アンチセンスオリゴマー」について、各サブユニットは、(i)リボース糖またはその誘導体、および(ii)それらに結合した核酸塩基からなり、これにより、塩基対合部分の順序は、サブユニット、サブユニット間連結、または両方のいずれかが自然発生的ではないという条件で、標的配列内で核酸:オリゴマーヘテロ二本鎖を形成するために、ワトソン-クリック塩基対合によって核酸(典型的にはRNA)中の標的配列に相補的である塩基配列を形成する。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)である。他の実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、2’-O-メチルホスホロチオエートである。他の実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、または2’-O,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)などの架橋核酸(BNA)である。追加の例示的な実施形態は、本明細書に記載される。
そのようなアンチセンスオリゴマーは、mRNAの翻訳を遮断または阻害するように、または天然プレmRNAスプライシングプロセシングを阻害するように設計することができ、これがハイブリダイズする標的配列を「対象とする」または「標的化する」と言うことができる。標的配列は、典型的には、mRNAのAUG開始コドン、翻訳抑制オリゴマー、またはプロセシング前mRNAのスプライシング部位、スプライシング抑制オリゴマー(SSO)を含む領域である。スプライシング部位の標的配列は、プロセシングされたmRNAの通常のスプライシング受容体接合部の下流に、その5’末端1~約25塩基対を有するmRNA配列を含み得る。好ましい標的配列は、スプライシング部位を含むか、または完全にエクソンコード配列内に含まれるか、またはスプライシング受容体もしくはドナー部位にわたる、プロセシングされたmRNAの任意の領域である。オリゴマーは、上述の方法で標的の核酸を標的化する場合、より一般的に、タンパク質、ウイルス、または細菌などの生物関連標的を「標的化する」と言われる。
「相補的な」および「相補性」という用語は、ワトソン-クリック塩基対合則によって互いに関連する2つ以上のオリゴマー(すなわち、各々が核酸塩基配列を含む)を指す。例えば、核酸塩基配列「T-G-A(5’→3’)」は、核酸塩基配列「A-C-T(3’→5’)」に相補的である。相補性は、「部分的」であり得、所与の核酸塩基配列の全てには満たない核酸塩基が、塩基対合則に従って他の核酸塩基配列とマッチされる。例えば、いくつかの実施形態において、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間の相補性は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%であり得る。または、例を続けると、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間に「完全な(complete)」または「完全な(perfect)」(100%の)相補性が存在し得る。核酸塩基配列間の相補性の程度は、配列間のハイブリダイゼーションの効率および強度に有意な影響を与える。
「エクソン重複」という用語は、エクソンの2つ以上の複製物が存在し、両方ともジストロフィンプレmRNAの生成中に転写される遺伝子型を指す。ここで、エクソンスキッピングは、mRNA転写物中の正しい数のエクソン複製物(すなわち、1つの複製物)の転写につながり得る介入である。エクソン重複のある遺伝子型は、野生型ジストロフィンタンパク質よりも活性の低いジストロフィン遺伝子をコードするmRNA転写物の転写をもたらし、重複したエクソンのうちの1つ以上をスキッピングすることは、より高い活性ジストロフィンをコードするmRNAの産生をもたらす介入である。
「有効量」および「治療有効量」という用語は、本明細書において互換的に使用され、所望の治療効果をもたらすのに有効である、単回投与として、または連続投与の一部としてのいずれかで哺乳動物対象に投与される、アンチセンスオリゴマーなどの治療化合物の量を指す。アンチセンスオリゴマーについて、この効果は典型的には、選択された標的配列の翻訳もしくは天然のスプライスプロセシングを阻害することによって、または臨床的に有意な量のジストロフィン(統計的有意性)を産生することによってもたらされる。
いくつかの実施形態において、有効量は、対象を治療するための期間にわたるアンチセンスオリゴマーを含む約1mg/kg~約200mg/kgの組成物である。いくつかの実施形態において、有効量は、対象におけるジストロフィン陽性線維の数を増加させるためのアンチセンスオリゴマーを含む約1mg/kg~約200mg/kgの組成物である。ある特定の実施形態において、有効量は、例えば6MWTにおいて、健康な同等者と比較して患者の歩行距離を安定化、維持、または改善するためのアンチセンスオリゴマーを含む約1mg/kg~約200mg/kgの組成物である。
「増強する」もしくは「増強すること」、または「増加させる」もしくは「増加させること」、または「刺激する」もしくは「刺激すること」は、概して、1つ以上のアンチセンスオリゴマーまたは医薬組成物が、アンチセンスオリゴマーなし、または対照化合物のいずれかによって引き起こされる応答と比較して、細胞または対象においてより大きい生理学的応答(すなわち、下流効果)をもたらすまたは引き起こす能力を指す。より大きい生理学的応答は、当該技術分野における理解および本明細書の記載から明らかな応答の中でも特に、機能的な形態のジストロフィンタンパク質の発現の増加、または筋組織におけるジストロフィン関連生物活性の増加を含み得る。
本明細書で使用される場合、「機能」および「機能性」などの用語は、生物学的、酵素的、または治療的機能を指す。
「機能性」ジストロフィンタンパク質とは、概して、典型的にはDMDまたはBMDを有するある特定の対象において存在するジストロフィンタンパク質の改変型または「欠損」型と比較して、そうでなければ筋ジストロフィーに特徴的である筋組織の進行性分解を低減するのに十分な生物学的活性を有する、ジストロフィンタンパク質を指す。一例として、in vitroでの筋培養におけるジストロフィン関連活性は、筋管サイズ、筋原線維の組織化(または崩壊)、収縮活性、およびアセチルコリン受容体の自発的クラスター化によって測定することができる(例えば、Brown et al.,Journal of Cell Science.112:209-216,1999を参照)。また、動物モデルは、疾患の病因を研究するための貴重なリソースであり、ジストロフィン関連活性を試験するための手段を提供する。DMD研究に最も広く使用されている動物モデルのうちの2つは、mdxマウスおよびゴールデンレトリバー筋ジストロフィー(GRMD)イヌであり、それらの両方がジストロフィン陰性である(例えば、Collins
& Morgan,Int J Exp Pathol 84:165-172,2003を参照)。これらおよび他の動物モデルを使用して、様々なジストロフィンタンパク質の機能活性を測定することができる。本開示のある特定のエクソンスキッピングアンチセンスオリゴマーの投与後に産生される形態などの、切断型ジストロフィンが含まれる。
「ミスマッチ」(複数可)という用語は、塩基対合則に従って標的プレmRNAにマッチしないオリゴマー核酸塩基配列中の1つ以上の核酸塩基(連続的であるか分離しているかにかかわらず)を指す。多くの場合、完全相補性が望ましいが、いくつかの実施形態は、標的プレmRNAに対して1つ以上、好ましくは6、5、4、3、2、または1つのミスマッチを含み得る。オリゴマー内の任意の位置における変動が含まれる。ある特定の実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、内部の末端変動付近の核酸塩基配列の変動を含み、存在する場合、典型的には、5’および/または3’末端の約6、5、4、3、2、または1つのサブユニット内にある。ある特定の実施形態において、1、2、または3つの核酸塩基を除去し、なお標的上の結合を提供することができる。
「細胞膜透過性ペプチド(cell penetrating peptide)」および「CPP」という用語は、互換的に使用され、輸送ペプチド、キャリアペプチド、またはペプチド形質導入ドメインとも称されるカチオン性細胞膜透過性ペプチドを指す。本明細書に示されるように、ペプチドは、所与の細胞培養群の細胞の100%以内の細胞膜透過を誘導する能力を有し、全身投与時にin vivoでの複数の組織内の高分子転位を可能にする。好ましいCPP実施形態は、アルギニンリッチペプチドである。
「モルホリノ」、「モルホリノオリゴマー」、および「PMO」という用語は、以下の一般構造の、
Figure 2024023406000076

かつSummerton,J.,et al.,Antisense & Nucleic Acid Drug Development,7:187-195(1997)の図2に記載されるような、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーを指す。本明細書に記載されるように、モルホリノは、上記の一般構造の全ての立体異性体および互変異性体を含む。モルホリノオリゴマーの合成、構造、および結合特性は、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,521,063号、同第5,506,337号、同第8,076,476号、および同第8,299,206号に詳述されており、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。
ある特定の実施形態において、モルホリノは、オリゴマーの5’または3’末端で「テール」部分とコンジュゲートされて、その安定性および/または溶解性を高める。例示的なテールとしては、
Figure 2024023406000077

が挙げられ、式中、R200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、Rは、C1-アルキルである。
一実施形態において、例示的なテール部分、「TEG」または「EG3」は、以下のテール部分を指す。
Figure 2024023406000078
一実施形態において、例示的なテール部分、「GT」は、以下のテール部分を指す。
Figure 2024023406000079
本明細書で使用される場合、「-G-R」(配列番号45)および「-G-R-Ac」(配列番号45)という用語は、互換的に使用され、本開示のアンチセンスオリゴマーにコンジュゲートされたペプチド部分を指す。様々な実施形態において、「G」は、アミド結合によって「R」(配列番号46)にコンジュゲートされたグリシン残基を表し、各「R」は、アミド結合によって一緒にコンジュゲートされたアルギニン残基を表し、これにより「R」(配列番号46)は、アミド結合によって一緒にコンジュゲートされた5個のアルギニン残基を意味する。アルギニン残基は、任意の立体配置を有することができ、例えば、アルギニン残基は、L-アルギニン残基、D-アルギニン残基、またはD-アルギニン残基とL-アルギニン残基の混合物であり得る。ある特定の実施形態において、「-G-R(配列番号45)」または「-G-R-Ac(配列番号45)」は、「テール」部分の遠位の-OHまたはNHに連結される。ある特定の実施形態において、「-G-R」(配列番号45)または「-G-R-Ac」(配列番号45)は、本開示のPMOアンチセンスオリゴマーの最も3’のモルホリノサブユニットのモルホリン環窒素にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、「-G-R」(配列番号45)または「-G-R-Ac」(配列番号45)は、本開示のアンチセンスオリゴマーの3’末端にコンジュゲートされ、以下の式のものである。
Figure 2024023406000080

またはその薬学的に許容される塩、または
Figure 2024023406000081

本明細書で使用される場合、「-G-R」(配列番号47)および「-G-R-Ac」(配列番号47)という用語は、互換的に使用され、本開示のアンチセンスオリゴマーにコンジュゲートされたペプチド部分を指す。様々な実施形態において、「G」は、アミド結合によって「R」(配列番号48)にコンジュゲートされたグリシン残基を表し、各「R」は、アミド結合によって一緒にコンジュゲートされたアルギニン残基を表し、これにより「R」(配列番号48)は、アミド結合によって一緒にコンジュゲートされた6個のアルギニン残基を意味する。アルギニン残基は、任意の立体配置を有することができ、例えば、アルギニン残基は、L-アルギニン残基、D-アルギニン残基、またはD-アルギニン残基とL-アルギニン残基の混合物であり得る。ある特定の実施形態において、「-G-R(配列番号47)」または「-G-R-Ac(配列番号47)」は、「テール」部分の遠位の-OHまたはNHに連結される。ある特定の実施形態において、「-G-R」(配列番号47)または「-G-R-Ac」(配列番号47)は、本開示のPMOアンチセンスオリゴマーの最も3’のモルホリノサブユニットのモルホリン環窒素にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、「-G-R」(配列番号47)または「-G-R-Ac」(配列番号47)は、本開示のアンチセンスオリゴマーの3’末端にコンジュゲートされ、以下の式のものである。
Figure 2024023406000082

、またはその薬学的に許容される塩、または
Figure 2024023406000083

「核酸塩基」(Nu)、「塩基対合部分」、または「塩基」という用語は、互換的に使用され、自然発生または「天然」DNAもしくはRNA(例えば、ウラシル、チミン、アデニン、シトシン、およびグアニン)に見られるプリンまたはピリミジン塩基、ならびにこれらの自然発生的プリンおよびピリミジンの類似体を指す。これらの類似体は、結合親和性などの改善された特性をオリゴマーに付与し得る。例示的な類似体としては、ヒポキサンチン(イノシンの塩基構成成分)、2,6-ジアミノプリン、5-メチルシトシン、C5-プロピニル修飾ピリミジン、10-(9-(アミノエトキシ)フェノキサジニル)(G-クランプ)などが挙げられる。
塩基対合部分のさらなる例としては、ウラシル、チミン、アデニン、シトシン、グアニン、およびヒポキサンチン(イノシン)(アシル保護基によって保護されたそれらのそれぞれアミノ基を有する)、2-フルオロウラシル、2-フルオロシトシン、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、2,6-ジアミノプリン、アザシトシン、偽イソシトシンおよび偽ウラシルなどのピリミジン類似体、ならびに8-置換プリン、キサンチン、またはヒポキサンチン(後者の2つは自然分解生成物である)などの他の修飾核酸塩基が挙げられるが、これらに限定されない。Chiu and Rana,RNA,2003,9,1034-1048、Limbach et al.Nucleic Acids Research,1994,22,2183-2196、およびRevankar and Rao,Comprehensive Natural Products Chemistry,vol.7,313(1999)に開示される修飾核酸塩基もまた企図されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
塩基対合部分のさらなる例としては、1つ以上のベンゼン環が付加されている拡大サイズの核酸塩基が挙げられるが、これらに限定されない。Glen Researchカタログ(www.glenresearch.com)、Krueger AT et al.,Acc.Chem.Res.,2007,40,141-150、Kool,ET,Acc.Chem.Res.,2002,35,936-943、Benner S.A.,et al.,Nat.Rev.Genet.,2005,6,553-543、Romesberg,F.E.,et al.,Curr.Opin.Chem.Biol.,2003,7,723-733、およびHirao,I.,Curr.Opin.Chem.Biol.,2006,10,622-627(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される核酸塩基置換は、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマーにおいて有用であると企図される。拡大サイズの核酸塩基の例としては、以下に示されるもの、ならびにその互変異性体が挙げられる。
Figure 2024023406000084
本明細書で使用される場合、「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、通常は注射による、腸内投与および局所投与以外の投与方法を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内の注射および注入を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、構造式内で使用される一組の括弧は、括弧間の構造特徴が繰り返されることを示す。いくつかの実施形態において、使用される括弧は、「[」および「]」であり得、ある特定の実施形態において、繰り返す構造特徴を示すために使用される括弧は、「(」および「)」であり得る。いくつかの実施形態において、括弧間の構造特徴の繰り返し反復数は、括弧の外側に示される数、例えば、2、3、4、5、6、7などである。様々な実施形態において、括弧間の構造特徴の繰り返し反復数は、「Z」などの括弧の外側に示される変数によって示される。
本明細書で使用される場合、構造式内のキラル炭素またはリン原子に引き寄せられた直鎖結合または曲がりくねった(squiggly)結合は、キラル炭素またはリンの立体化学が未定義であり、キラル中心の全ての形態を含むことが意図されていることを示す。そのような図の例が以下に示される。
Figure 2024023406000085
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が、製剤を含む他の成分ならびに/または治療される対象と、化学的および/もしくは毒性学的に適合性でなければならないことを意味する。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という語句は、非毒性、不活性固体、半固体もしくは液体充填剤、希釈剤、封入材料、または任意の種類の製剤補助剤を意味する。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては、製剤者の判断に従って、糖類、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルナトリウムセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、カカオバターおよび坐剤ワックス;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギニン酸;発熱性物質除去蒸留水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;非毒性適合性潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム;着色剤;離型剤;コーティング剤;甘味剤;香味剤;芳香剤;防腐剤;および酸化防止剤がある。
ジストロフィン合成または産生に関する「回復」という用語は、概して、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマーを用いた治療後の筋ジストロフィー患者における、切断型ジストロフィンを含むジストロフィンタンパク質の産生を指す。治療後の患者のジストロフィン陽性線維の割合は、既知の技術を使用して筋生検によって決定することができる。例えば、筋生検は、患者の上腕二頭筋などの好適な筋肉から採取され得る。
陽性ジストロフィン線維の割合の分析は、治療前および/もしくは治療後、または治療過程全体を通した時点において実施され得る。いくつかの実施形態において、治療後生検は、治療前生検と対側の筋肉から採取される。治療前および治療後のジストロフィン発現分析は、好適なジストロフィンアッセイを使用して実施され得る。いくつかの実施形態において、免疫組織化学的検出は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などのジストロフィンのマーカーである抗体を使用して、筋生検からの組織切片において実施される。例えば、ジストロフィンの高感度マーカーであるMANDYS106抗体を使用することができる。任意の好適な二次抗体が使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、ジストロフィン陽性線維の割合は、陽性線維の数を、カウントした総線維数で割ることによって計算される。正常な筋肉試料は、100%のジストロフィン陽性線維を有する。したがって、ジストロフィン陽性線維の割合は、正常の割合として表すことができる。治療前の筋肉ならびに復帰突然変異線維における微量レベルのジストロフィンの存在を制御するために、治療後の筋肉におけるジストロフィン陽性線維をカウントする場合、患者からの治療前の筋肉切片を使用してベースラインを設定することができる。これは、その患者の治療後の筋肉切片におけるジストロフィン陽性線維をカウントするための閾値として使用され得る。他の実施形態において、抗体で染色された組織切片は、Bioquant画像分析ソフトウェア(Bioquant Image Analysis Corporation,Nashville,TN)を使用したジストロフィン定量化にも使用することができる。ジストロフィン蛍光シグナルの総強度は、正常の割合として報告することができる。また、モノクローナルまたはポリクローナル抗ジストロフィン抗体を用いたウェスタンブロット分析を使用して、ジストロフィン陽性線維の割合を決定することができる。例えば、Leica Biosystemsからの抗ジストロフィン抗体NCL-Dys1が使用され得る。また、ジストロフィン陽性線維の割合は、サルコグリカン複合体(β,γ)および/または神経NOSの構成成分の発現を決定することによっても分析することができる。
いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を用いた治療は、治療なしで予想され得るDMD患者における進行性呼吸筋機能障害および/または不全を遅らせるか、または低減する。いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を用いた治療は、治療なしで予想され得る換気補助の必要性を低減または排除し得る。いくつかの実施形態において、疾患の経過を追跡するための呼吸機能の測定、ならびに可能性のある治療介入の評価には、最大吸気圧(MIP)、最大呼気圧(MEP)、および努力肺活量(FVC)が含まれる。MIPおよびMEPは、人が吸息および呼息中に発生させることができる圧力レベルをそれぞれ測定し、呼吸筋力の感度尺度である。MIPは、横隔膜の筋力低下の尺度である。
いくつかの実施形態において、MEPは、MIPおよびFVCを含む他の肺機能検査における変化の前に低下し得る。ある特定の実施形態において、MEPは、呼吸機能障害の早期指標であり得る。ある特定の実施形態において、FVCは、最大吸気後の努力呼息中に排出される空気の総体積を測定するために使用され得る。DMD患者では、FVCは、10代前半まで身体的成長と同時に増加する。しかしながら、成長が病気の進行によって遅くなるかまたは不良になり、筋力低下が進行すると、肺活量は下降期に入り、10~12歳の後、年間約8~8.5パーセントの平均速度で低下する。ある特定の実施形態において、予測MIPパーセント(MIPは体重で調整)、予測MEPパーセント(MEPは年齢で調整)、および予測FVCパーセント(FVCは年齢および身長で調整)は、支持的分析である。
本明細書で使用される場合、「対象」および「患者」という用語は、DMDもしくはBMD、またはこれらの状態に関連する症状のいずれか(例えば、筋線維の消失)を有する、またはそのリスクがある対象(または患者)など、本開示のアンチセンスオリゴマーで治療され得る症状を示す、または症状を示すリスクがある任意の動物を含む。好適な対象(または患者)には、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットなど)、家畜、および家庭用動物またはペット(ネコまたはイヌなど)が含まれる。非ヒト霊長類、および好ましくはヒト患者(または対象)が含まれる。また、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異またはエクソン2の重複を有する対象(または患者)において、ジストロフィンを産生する方法も含まれる。
本明細書で使用される場合、「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」、および「末梢に投与される」という語句は、化合物、薬物、または他の物質の中枢神経系への直接の投与以外の投与を意味し、これにより患者の系内に入り、ひいては代謝および他の類似のプロセス、例えば、皮下投与などの対象となる。
「標的化配列」という語句は、標的プレmRNA中のヌクレオチドの配列に相補的であるオリゴマーの核酸塩基の配列を指す。本開示のいくつかの実施形態において、標的プレmRNA中のヌクレオチドの配列は、ジストロフィンプレmRNA中のエクソン2、イントロン1、またはイントロン2アニーリング部位である。本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドによって標的化される代表的なアニーリング部位としては、以下が挙げられる。
Figure 2024023406000086
本開示のいくつかの実施形態において、標的プレmRNA中のヌクレオチドの配列は、ジストロフィンプレmRNA中のエクソン2、イントロン1、またはイントロン2アニーリング部位である。本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドによって標的化される代表的なアニーリング部位としては、以下が挙げられる。
Figure 2024023406000087
本開示のいくつかの実施形態において、標的プレmRNA中のヌクレオチドの配列は、ジストロフィンプレmRNA中のエクソン2、イントロン1、またはイントロン2アニーリング部位である。本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドによって標的化される代表的なアニーリング部位としては、以下が挙げられる。
Figure 2024023406000088
対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)または細胞の「治療」は、対象または細胞の自然経過を変化させる試みにおいて使用される任意の種類の介入である。治療は、限定するものではないが、オリゴマーまたはその医薬組成物の投与を含み、予防的に、または病理学的事象の開始もしくは病原体との接触の後のいずれかに実施され得る。治療は、筋ジストロフィーのある特定の形態のような、ジストロフィンタンパク質に関連した疾患または状態の症状または病理に対する任意の望ましい効果を含み、例えば、治療される疾患または状態の1つ以上の測定可能なマーカーの最小限の変化または改善を含み得る。また、治療される疾患または状態の進行速度を低下させ、その疾患または状態の発症を遅延させる、またはその発症の重症度を低減することを対象とし得る「予防的」治療も含まれる。「治療」または「予防」は、必ずしも疾患もしくは状態またはその随伴症状の完全な根絶、治癒、または予防を示すものではない。
いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を用いた治療は、治療なしで予想され得る、新規のジストロフィン産生を増加させ、疾患進行を遅延させ、歩行不能を遅らせるかもしくは低減し、筋肉の炎症を低減し、筋肉損傷を低減し、筋機能を改善し、肺機能の喪失を低減し、かつ/または筋肉再生を増強する。いくつかの実施形態において、治療は、疾患進行を維持するか、遅延させるか、または遅らせる。いくつかの実施形態において、治療は、歩行を維持するか、または歩行不能を低減する。いくつかの実施形態において、治療は、肺機能を維持するか、または肺機能の喪失を低減する。いくつかの実施形態において、治療は、例えば、6分間歩行試験(6MWT)によって測定されるように、患者の安定した歩行距離を維持するか、または増加させる。いくつかの実施形態において、治療は、10メートルを歩行/走行する時間を維持するか、または減少させる(すなわち、10メートル歩行/走行試験)。いくつかの実施形態において、治療は、仰臥位から立ち上がるまでの時間(すなわち、起立時間試験)を維持するか、または低減する。いくつかの実施形態において、治療は、4つの標準階段を上る時間を維持するか、または低減する(すなわち、4階段昇段試験)。いくつかの実施形態において、治療は、例えば、MRI(例えば、脚筋のMRI)によって測定されるように、患者における筋肉の炎症を維持するか、または低減する。いくつかの実施形態において、MRIは、T2および/または脂肪画分を測定して、筋変性を特定する。MRIは、炎症、浮腫、筋肉損傷、および脂肪浸潤によって引き起こされる筋肉の構造および組成の変化を特定することができる。
いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を用いた治療は、新規のジストロフィン産生を増加させ、治療なしで予測され得る歩行不能を遅らせるか、または低減する。例えば、治療は、対象における歩行能力(例えば、歩行の安定化)を安定化するか、維持するか、改善するか、または増加させ得る。いくつかの実施形態において、治療は、例えば、McDonald,et al Muscle Nerve,2010;42:966-74(参照により本明細書に組み込まれる)によって記載される6分間歩行試験(6MWT)によって測定されるように、患者の安定した歩行距離を維持するか、または増加させる。6分間歩行距離(6MWD)の変化は、絶対値、変化率、または%予測値の変化として表され得る。健康な同等者の典型的なパフォーマンスと比較した6MWTにおけるDMD患者のパフォーマンスは、%予測値を計算することによって決定することができる。例えば、男性の場合、%予測6MWDは、以下の方程式:196.72+(39.81×年齢) -(1.36×年齢)+(132.28×身長(メートル))を使用して計算され得る。女性の場合、%予測6MWDは、以下の方程式:188.61+(51.50×年齢) -(1.86×年齢)+(86.10×身長(メートル))を使用して計算され得る(Henricson et al.PLoS Curr.,2012,version 2(参照により本明細書に組み込まれる))。
DMD患者の筋機能の喪失は、正常な小児の成長および発達の背景に対して起こり得る。実際に、DMDを有する小児は、進行性筋肉障害にもかかわらず、約1年の経過にわたって6MWT中の歩行距離の増加を示し得る。いくつかの実施形態において、DMD患者からの6MWDは、定型発達の対照対象、ならびに年齢および性別が一致した対象からの既存の標準データと比較される。いくつかの実施形態において、正常な成長および発達は、標準データにフィッティングされた年齢および身長に基づく方程式を使用して説明することができる。そのような方程式を使用して、DMD患者における6MWDをパーセント予測(%予測)値に変換することができる。ある特定の実施形態において、%予測6MWDデータの分析は、正常な成長および発達を説明する方法を表し、若年齢(例えば、7歳以下)における機能の増加が、DMD患者における能力の改善ではなく安定を表すことを示し得る(Henricson et al.PLoS Curr.,2012,version 2(参照により本明細書に組み込まれる))。
異なるアンチセンス分子を区別するために、アンチセンス分子の命名法システムが提案および公開された(Mann et al.,(2002)J Gen Med 4,644-654を参照)。この命名法は、以下に示されるように、全てが同じ標的領域に向けられたいくつかのわずかに異なるアンチセンス分子を試験する場合に特に適切であった。
H#A/D(x:y)
最初の文字は、種を示す(例えば、H:ヒト、M:マウス、C:イヌ)。「#」は、標的ジストロフィンエクソン番号を示す。「A/D」および「SA/SD」の各々は、それぞれエクソンの始点および終点における受容体またはドナースプライシング部位を示す。(x y)は、アニーリング座標を表し、「-」または「+」は、それぞれイントロンまたはエクソン配列を示す。例えば、A(-6+18)は、標的エクソンの前にあるイントロンの最後の6塩基、および標的エクソンの最初の18塩基を示す。最も近いスプライシング部位が受容体になるため、これらの座標の前に「A」が付く。ドナースプライシング部位におけるアニーリング座標の記載は、D(+2-18)であり得、最後の2エクソン塩基および最初の18イントロン塩基が、アンチセンス分子のアニーリング部位に対応する。エクソンアニーリング座標全体は、A(+65+85)、つまり、そのエクソンの始点から65番目のヌクレオチドと85番目のヌクレオチドとの間の部位によって表される。
II.アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩
A.エクソン2スキッピングを誘導するように設計されたアンチセンスオリゴマー
ある特定の実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、ジストロフィン遺伝子のエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的であり、かつエクソン2スキッピングを誘導する。特に、本開示は、アニーリング部位として指定されるジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2標的領域に相補的なアンチセンスオリゴマーに関する。いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、以下のうちのいずれか1つである。
Figure 2024023406000089
いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、以下のうちのいずれか1つである。
Figure 2024023406000090
いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、以下のうちのいずれか1つである。
Figure 2024023406000091
いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、以下のうちのいずれか1つである。
Figure 2024023406000092
いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、H2.SA.(-11+14)、H2.SA.(-08+17)、H2.SA.(-05+20)、H2.SA.(-02+23)、H2.SA.(+02+26)、H2.SA.(+05+29)、H2.SA.(+08+32)、H2.SA.(+11+35)、H2.SA.(+38+62)、H2.SD.(+22-03)、H2.SD.(+19-06)、H2A(+06+30)、H2A(+07+31)、H2A(+09+33)、H2A(+10+34)、およびH2A(-41-17)からなる群から選択されるものである。いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、H2.SA.(-11+14)、H2.SA.(-05+20)、H2.SA.(-02+23)、H2.SA.(+02+26)、H2.SA.(+05+29)、H2.SA.(+08+32)、H2.SA.(+11+35)、H2.SD.(+22-03)、H2.SD.(+19-06)、H2A(+06+30)、H2A(+07+31)、H2A(+09+33)、およびH2A(+10+34)からなる群から選択されるものである。いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、H2.SA.(-02+23)、H2.SA.(+02+26)、H2A(+06+30)およびH2A(+10+34)からなる群から選択されるものである。
いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、H2.SA.(-11+14)、H2.SA.(-08+17)、H2.SA.(-05+20)、H2.SA.(-02+23)、H2.SA.(+02+26)、H2.SA.(+05+29)、H2.SA.(+08+32)、H2.SA.(+11+35)、H2.SD.(+22-03)、H2.SD.(+19-06)、H2A(+06+30)、H2A(+07+31)、H2A(+09+33)、H2A(+10+34)、およびH2A(-41-17)からなる群から選択されるものである。いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、H2.SA.(-11+14)、H2.SA.(-05+20)、H2.SA.(-02+23)、H2.SA.(+02+26)、H2.SA.(+05+29)、H2.SA.(+08+32)、H2.SA.(+11+35)、H2.SD.(+22-03)、H2.SD.(+19-06)、H2A(+06+30)、H2A(+07+31)、H2A(+09+33)、およびH2A(+10+34)からなる群から選択されるものである。いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、H2.SA.(-02+23)、H2.SA.(+02+26)、H2A(+06+30)およびH2A(+10+34)からなる群から選択されるものである。いくつかの実施形態において、アニーリング部位は、H2.SA.(+38+62)またはH2D(+15-08)である。
本開示のアンチセンスオリゴマーは、ジストロフィンプレmRNAを標的化し、エクソン2のスキッピングを誘導するため、成熟したスプライシングされたmRNA転写物から除外またはスキッピングされる。エクソン2をスキッピングすることによって、破壊されたリーディングフレームは、インフレーム変異に回復される。DMDは様々な遺伝的サブタイプからなるが、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、ジストロフィンプレmRNAのエクソン2をスキッピングするように特別に設計された。
エクソン2スキッピングを誘導するアンチセンスオリゴマーの核酸塩基配列は、ジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2内の特定の標的配列に相補的であるように設計されている。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、PMOであり、PMOの各モルホリノ環は、例えば、DNA(アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン)中に見られる核酸塩基を含む核酸塩基に連結される。
様々な実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、10μMの濃度でのRD細胞においてエクソンスキッピングを示し、ここでアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、19.9%以下のエクソンスキッピングを示す。ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、RD細胞において20.0%以上のエクソンスキッピングを示す。ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、10μMの濃度でのRD細胞において30.0%以上のエクソンスキッピングを示す。ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、10μMの濃度でのRD細胞において40.0%以上のエクソンスキッピングを示す。
B.オリゴマー化学物質の特徴
本開示のアンチセンスオリゴマーは、様々なアンチセンスオリゴマー化学物質を用いることができる。オリゴマー化学物質の例としては、モルホリノオリゴマー、ホスホロチオエート修飾オリゴマー、2’-O-メチル修飾オリゴマー、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエートオリゴマー、2’-O-MOE修飾オリゴマー、2’-フルオロ修飾オリゴマー、2’-O,4’C-エチレン架橋核酸(ENA)、トリシクロ-DNA、トリシクロ-DNAホスホロチオエートサブユニット、2’-O-[2-(N-メチルカルバモイル)エチル]修飾オリゴマー(上記のいずれかの組み合わせを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。ホスホロチオエートおよび2’-O-Me修飾化学物質を組み合わせて、2’-O-Me-ホスホロチオエート骨格を生成することができる。例えば、PCT公開第WO/2013/112053号および同第WO/2009/008725号(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。本開示のオリゴマー化学物質の例示的な実施形態が以下にさらに記載される。
1.ペプチド核酸(PNA)
ペプチド核酸(PNA)は、骨格がデオキシリボース骨格と構造的に同形であり、ピリミジンまたはプリン塩基が結合するN-(2-アミノエチル)グリシン単位からなる、DNAの類似体である。天然ピリミジンおよびプリン塩基を含有するPNAは、ワトソン-クリック塩基対合則に従い相補的なオリゴマーにハイブリダイズし、塩基対認識の点でDNAを模倣する。PNAの骨格は、ホスホジエステル結合ではなくペプチド結合によって形成され、アンチセンス用途(以下の構造を参照)によく適したものになる。骨格は非荷電性であり、通常を超える熱安定性を示すPNA/DNAまたはPNA/RNA二本鎖をもたらす。PNAは、ヌクレアーゼまたはプロテアーゼによって認識されない。PNAの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000093
自然構造に対する根本的な構造変化にもかかわらず、PNAは、DNAまたはRNAへのヘリックス形態での配列特異的結合が可能である。PNAの特徴としては、相補的なDNAまたはRNAに対する高い結合親和性、単一塩基ミスマッチによって引き起こされる不安定化作用、ヌクレアーゼおよびプロテアーゼに対する耐性、塩濃度に依存しないDNAまたはRNAとのハイブリダイゼーション、およびホモプリンDNAとの三重鎖形成が挙げられる。PANAGENE(商標)は、その独自のBts PNAモノマー(Bts;ベンゾチアゾール-2-スルホニル基)および独自のオリゴマー化プロセスを開発している。Bts PNAモノマーを使用したPNAオリゴマー化は、脱保護、カップリング、およびキャッピングの反復サイクルから構成される。PNAは、当該技術分野において既知の任意の技術を使用して合成的に産生することができる。例えば、米国特許第6,969,766号、同第7,211,668号、同第7,022,851号、同第7,125,994号、同第7,145,006号、および同第7,179,896号を参照されたい。また、PNAの調製について、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、および同第5,719,262号も参照されたい。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsen et al.,Science,254:1497-1500,1991に見ることができる。上記の各々は、参照によりその全体が組み込まれる。
2.ロックド核酸(LNA)
アンチセンスオリゴマーはまた、「ロックド核酸」サブユニット(LNA)を含有し得る。「LNA」は、架橋核酸(BNA)と呼ばれる修飾のクラスのメンバーである。BNAは、リボース環の立体構造をC30-エンド(ノーザン)糖パッカーにロックする共有結合を特徴とする。LNAの場合、架橋は、2’-O位置と4’-C位置との間のメチレンから構成される。LNAは、骨格の事前組織化および塩基スタッキングを増強して、ハイブリダイゼーションおよび熱安定性を高める。
LNAの構造は、例えば、Wengel,et al.,Chemical Communications(1998)455、Koshkin et al.,Tetrahedron(1998)54:3607、Jesper Wengel,Accounts of Chem.Research(1999)32:301、Obika,et
al.,Tetrahedron Letters(1997)38:8735、Obika,et al.,Tetrahedron Letters(1998)39:5401、およびObika,et al.,Bioorganic Medicinal
Chemistry(2008)16:9230に見ることができ、それらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。LNAの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000094
本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つ以上のLNAを組み込み得る。場合によっては、アンチセンスオリゴマーは、LNAから完全に構成され得る。個々のLNAヌクレオシドサブユニットの合成およびそれらのオリゴマーへの組み込みのための方法は、例えば、米国特許第7,572,582号、同第7,569,575号、同第7,084,125号、同第7,060,809号、同第7,053,207号、同第7,034,133号、同第6,794,499号、および同第6,670,461号に記載されており、それらの各々は、参照によりその全体が組み込まれる。典型的なサブユニット間リンカーとしては、ホスホジエステル部分およびホスホロチオエート部分が挙げられ、代替的に、非リン含有リンカーを用いてもよい。さらなる実施形態は、LNA含有アンチセンスオリゴマーを含み、各LNAサブユニットは、DNAサブユニットによって分離される。ある特定のアンチセンスオリゴマーは、交互のLNAおよびDNAサブユニットから構成され、サブユニット間リンカーは、ホスホロチオエートである。
2’O,4’C-エチレン架橋核酸(ENA)は、BNAのクラスの別のメンバーである。非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000095
ENAオリゴマーおよびその調製は、Obika et al.,Tetrahedron Lett(1997)38(50):8735に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つ以上のENAサブユニットを組み込み得る。
3.アンロックド核酸(UNA)
アンチセンスオリゴマーはまた、アンロックド核酸(UNA)サブユニットを含有し得る。UNAおよびUNAオリゴマーは、サブユニットのC2’-C3’結合が切断されているRNAの類似体である。LNAは、(DNAおよびRNAと比較して)立体構造的に制限されるが、UNAは非常に可撓性である。UNAは、例えば、WO2016/070166に開示されている。UNAの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000096
典型的なサブユニット間リンカーとしては、ホスホジエステル部分およびホスホロチオエート部分が挙げられ、代替的に、非リン含有リンカーを用いてもよい。
4.ホスホロチオエート
「ホスホロチオエート」(またはS-オリゴ)は、正常なDNAのバリアントであり、非架橋酸素のうちの1つが硫黄によって置換されている。ホスホロチオエートの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000097
ヌクレオチド間結合の硫化は、5’から3’および3’~5’のDNA POL1エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼS1およびP1、RNase、血清ヌクレアーゼ、ならびにヘビ毒ホスホジエステラーゼを含む、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼの作用を低減する。ホスホロチオエートは、ホスホン酸水素に対する二硫化炭素中の元素硫黄の溶液の作用、または亜リン酸トリエステルをテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)もしくは3H-1,2-ベンソジチオール-3-オン1,1-ジオキシド(BDTD)のいずれかで硫化する方法、の2つの主要な経路によって作製される(例えば、Iyer et al.,J.Org.Chem.55,4693-4699,1990(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照)。後者の方法は、ほとんどの有機溶媒中の元素硫黄の不溶性、および二硫化炭素の毒性の問題を回避する。TETDおよびBDTD法はまた、より高い純度のホスホロチオエートをもたらす。
5.トリクリクロ-DNAおよびトリシクロ-ホスホロチオエートサブユニット
トリシクロ-DNA(tc-DNA)は、骨格の立体構造的柔軟性を制限し、ねじれ角γの骨格形状を最適化するために、各ヌクレオチドがシクロプロパン環の導入によって修飾される、拘束されたDNA類似体のクラスである。ホモ塩基アデニンおよびチミン含有tc-DNAは、相補的RNAと非常に安定したA-T塩基対を形成する。トリシクロDNAおよびその合成は、国際特許出願公開第WO2010/115993号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つ以上のトリシクロ-DNAサブユニットを組み込み得る。場合によっては、アンチセンスオリゴマーは、トリシクロ-DNAサブユニットから完全に構成され得る。
トリシクロ-ホスホロチオエートサブユニットは、ホスホロチオエートサブユニット間連結を有するトリシクロ-DNAサブユニットである。トリシクロ-ホスホロチオエートサブユニットおよびその合成は、国際特許出願公開第WO2013/053928号に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つ以上のトリシクロ-DNAサブユニットを組み込み得る。場合によっては、アンチセンスオリゴマーは、トリシクロ-DNAサブユニットから完全に構成され得る。トリシクロ-DNA/トリシクロ-ホスホロチオエートサブユニットの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000098
6.2’-O-メチル、2’-O-MOE、および2’-Fオリゴマー
「2’-O-Meオリゴマー」分子は、リボース分子の2’-OH残基にメチル基を有する。2’-O-Me-RNAは、DNAと同じ(または類似の)挙動を示すが、ヌクレアーゼ分解から保護される。2’-O-Me-RNAはまた、さらなる安定化のためにホスホロチオエートオリゴマー(PTO)と組み合わせることができる。2’O-Meオリゴマー(ホスホジエステルまたはホスホロチオエート)は、当該技術分野の常用技術に従って合成することができる(例えば、Yoo et al.,Nucleic Acids Res.32:2008-16,2004(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照)。2’O-Meオリゴマーの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000099
2’-O-メトキシエチルオリゴマー(2’-O-MOE)は、リボース分子の2’-OH残基にメトキシエチル基を有し、Martin et al.,Helv.Chim.Acta,78,486-504,1995で考察されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2’-O-MOEサブユニットの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000100
2’-フルオロ(2’-F)オリゴマーは、2’-OHの代わりに2’位に蛍光ラジカルを有する。2’-Fオリゴマーの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000101

2’-フルオロオリゴマーは、WO2004/043977にさらに記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
2’-O-メチル、2’-O-MOE、および2’-Fオリゴマーはまた、以下に示されるように、1つ以上のホスホロチオエート(PS)連結を含み得る。
Figure 2024023406000102
さらに、2’-O-メチル、2’-O-MOE、および2’-Fオリゴマーは、例えば、以下に示される2’-O-メチルPSオリゴマードリサペルセンのように、オリゴマー全体にわたってPSサブユニット間連結を含み得る。
あるいは、2’-O-メチル、2’-O-MOE、および/または2’-Fオリゴマーは、以下に示されるように、オリゴマーの末端にPS連結を含み得る。
Figure 2024023406000104

ここで、
Rは、CHCHOCH(メトキシエチルまたはMOE)であり、
X、Y、およびZは、それぞれ指定された5’-ウィング、中央ギャップ、および3’-ウィングの各領域内に含有されるヌクレオチドの数を表す。
本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つ以上の2’-O-メチル、2’-O-MOE、および2’-Fサブユニットを組み込み得、本明細書に記載されるサブユニット間連結のいずれかを利用し得る。いくつかの事例において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、2’-O-メチル、2’-O-MOE、または2’-Fサブユニットから完全に構成され得る。本開示のアンチセンスオリゴマーの一実施形態は、2’-O-メチルサブユニットから完全になる。
7.2’-O-[2-(N-メチルカルバモイル)エチル]オリゴマー(MCE)
MCEは、本開示のアンチセンスオリゴマーで有用な2’-O修飾リボヌクレオシドの別の例である。ここで、2’-OHは、ヌクレアーゼ耐性を高めるために2-(N-メチルカルバモイル)エチル部分へと誘導体化される。MCEオリゴマーの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000105

MCEおよびその合成は、Yamada et al.,J.Org.Chem.(2011)76(9):3042-53で考察されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つ以上のMCEサブユニットを組み込み得る。
8.立体特異的オリゴマー
立体特異的オリゴマーは、各リン含有連結の立体化学が、実質的に立体的に純粋なオリゴマーが産生されるような合成方法によって固定されるものである。立体特異的オリゴマーの非限定的な例が以下に示される。
Figure 2024023406000106
上記の例において、オリゴマーの各リンは、同一の立体配置を有する。追加の例としては、本明細書に記載されるオリゴマーが挙げられる。例えば、LNA、ENA、トリシクロ-DNA、MCE、2’-O-メチル、2’-O-MOE、2’-F、およびモルホリノ系オリゴマーは、立体特異的リン含有ヌクレオシド間連結、例えば、ホスホロチオエート、ホスホジエステル、ホスホロアミダート、ホスホロジアミデート、または他のリン含有ヌクレオシド間連結などを用いて調製することができる。そのようなオリゴマーの調製で使用するための立体特異的オリゴマー、調製方法、キラル制御合成、キラル設計、およびキラル補助剤は、例えば、WO2017/192664、WO2017/192679、WO2017/062862、WO2017/015575、WO2017/015555、WO2015/107425、WO2015/108048、WO2015/108046、WO2015/108047、WO2012/039448、WO2010/064146、WO2011/034072、WO2014/010250、WO2014/012081、WO2013/0127858、およびWO2011/005761に詳述されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
立体特異的オリゴマーは、RまたはS配置においてリン含有ヌクレオシド間連結を有し得る。連結の立体配置が制御されるキラルリン含有連結は、「立体純粋」と称され、連結の立体配置が制御されないキラルリン含有連結は、「立体不規則的」と称される。ある特定の実施形態において、本開示のオリゴマーは、複数の立体純粋および立体不規則的連結を含み、これにより得られるオリゴマーは、オリゴマーの予め指定された位置に立体純粋サブユニットを有する。立体純粋サブユニットの位置の例は、図7Aおよび図7Bの国際特許出願公開第WO2017/062862(A2)号に提供されている。一実施形態において、オリゴマー中の全てのキラルリン含有連結は、立体不規則的である。一実施形態において、オリゴマー中の全てのキラルリン含有連結は、立体純粋である。
n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のキラルリン含有連結の全てのnは、立体不規則的である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のキラルリン含有連結の全てのnは、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも10%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも20%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも30%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも40%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも50%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも60%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも70%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも80%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマー中のn個のリン含有連結のうちの少なくとも90%(整数に四捨五入)は、立体純粋である。
n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも2個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも3個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも4個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも5個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも6個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも7個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも8個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも9個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも10個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも11個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも12個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも13個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも14個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも15個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも16個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも17個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも18個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも19個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。n個(nは1以上の整数である)のキラルリン含有連結を有するオリゴマーの一実施形態において、オリゴマーは、同じ立体配置(すなわち、SまたはRのいずれか)の少なくとも20個の連続的な立体純粋リン含有連結を含有する。
9.モルホリノオリゴマー
本開示の例示的な実施形態は、以下の一般構造の、
Figure 2024023406000107

かつSummerton,J.,et al.,Antisense & Nucleic Acid Drug Development,7:187-195(1997)の図2に記載されるような、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーに関する。本明細書に記載されるモルホリノは、上記の一般構造の全ての立体異性体および互変異性体を網羅することが意図される。モルホリノオリゴマーの合成、構造、および結合特性は、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,521,063号、同第5,506,337号、同第8,076,476号、および同第8,299,206号に詳述されており、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。
ある特定の実施形態において、モルホリノは、オリゴマーの5’または3’末端で「テール」部分とコンジュゲートされて、その安定性および/または溶解性を高める。例示的なテールとしては、
Figure 2024023406000108

が挙げられ、
200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、Rは、C1-アルキルである。
様々な態様において、本開示は、式(I)に従うアンチセンスオリゴマー、
Figure 2024023406000109

またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
各Nuは、一緒になって標的化配列を形成する核酸塩基であり、
式(I)中のT’は、以下から選択される部分であり、
Figure 2024023406000110

100およびR200は、各々独立して、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、Rは、C-Cアルキルであり、
1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000111
式(I)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000112
式(I)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000113
いくつかの実施形態において、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(I)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
様々な実施形態において、T’は、
Figure 2024023406000114

であり、R200は、水素または細胞膜透過性ペプチドである。
様々な実施形態において、R100は、水素である。様々な他の実施形態において、R100は、細胞膜透過性ペプチドである。様々な実施形態において、R100が細胞膜透過性ペプチドである場合、R100は、-R5(配列番号46)である。様々な他の実施形態において、R100が細胞膜透過性ペプチドである場合、R100は、-G-R5(配列番号45)である。様々な実施形態において、R100が細胞膜透過性ペプチドである場合、R100は、-R6(配列番号48)である。様々な他の実施形態において、R100が細胞膜透過性ペプチドである場合、R100は、-G-R6(配列番号47)である。
いくつかの実施形態において、式(I)のアンチセンスオリゴマーは、遊離塩基形態である。いくつかの実施形態において、式(I)のアンチセンスオリゴマーは、その薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態において、式(I)のアンチセンスオリゴマーは、そのHCl(塩酸)塩である。ある特定の実施形態において、HCl塩は、1HCl、2HCl、3HCl、4HCl、5HCl、または6HCl塩である。ある特定の実施形態において、HCl塩は、6HCl塩である。
様々な実施形態において、T’は、
Figure 2024023406000115

であり、R200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、R100は、細胞膜透過性ペプチドである。
様々な実施形態において、T’は、
Figure 2024023406000116

であり、R100は、細胞膜透過性ペプチドである。
様々な実施形態において、T’は、
Figure 2024023406000117

であり、R100は、-G-R5(配列番号45)である。
様々な実施形態において、T’は、
Figure 2024023406000118

であり、R100は、-G-R6(配列番号47)である。
例えば、式(I)のいくつかの実施形態を含む、いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、式(II)に従うか、
Figure 2024023406000119

またはその薬学的に許容される塩であり、
200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000120
式(II)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000121
式(II)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000122
いくつかの実施形態において、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(II)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
いくつかの実施形態において、式(II)のアンチセンスオリゴマーは、遊離塩基形態である。いくつかの実施形態において、式(II)のアンチセンスオリゴマーは、その薬学的に許容される塩形態である。いくつかの実施形態において、式(II)のアンチセンスオリゴマーは、そのHCl(塩酸)塩である。ある特定の実施形態において、HCl塩は、1HCl、2HCl、3HCl、4HCl、5HCl、または6HCl塩である。ある特定の実施形態において、HCl塩は、6HCl塩である。
例えば、式(I)のいくつかの実施形態を含む、いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、式(III)に従うか、
Figure 2024023406000123

またはその薬学的に許容される塩であり、
200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000124
式(III)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000125
式(III)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000126
いくつかの実施形態において、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(III)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
いくつかの実施形態において、式(III)のアンチセンスオリゴマーは、遊離塩基形態である。いくつかの実施形態において、式(III)のアンチセンスオリゴマーは、その薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態において、式(III)のアンチセンスオリゴマーは、そのHCl(塩酸)塩である。ある特定の実施形態において、HCl塩は、6HCl塩である。
例えば、式(I)のいくつかの実施形態を含む、いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、式(IV)に従い、
Figure 2024023406000127

1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000128
式(IV)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000129
式(IV)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000130
いくつかの実施形態において、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(IV)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
例えば、式(I)のいくつかの実施形態を含む、いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、式(V)に従うか、
Figure 2024023406000131

またはその薬学的に許容される塩であり、
200は、水素または細胞膜透過性ペプチドであり、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000132
式(V)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000133
式(V)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000134
いくつかの実施形態において、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(V)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37に対応する。
いくつかの実施形態において、式(V)のアンチセンスオリゴマーは、遊離塩基形態である。いくつかの実施形態において、式(V)のアンチセンスオリゴマーは、その薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態において、式(IV)のアンチセンスオリゴマーは、そのHCl(塩酸)塩である。ある特定の実施形態において、HCl塩は、5HCl塩である。
例えば、式(I)のいくつかの実施形態を含む、いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、式(VI)に従い、
Figure 2024023406000135

1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000136
式(VI)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000137
式(VI)のいくつかの実施形態において、1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000138
いくつかの実施形態において、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。
いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、または配列番号35のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号20、配列番号21、配列番号25、配列番号26、配列番号27、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下:配列番号6、配列番号7、配列番号25、または配列番号28のうちの1つに対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号19に対応する。いくつかの実施形態において、Tはチミンであり、式(VI)の1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、配列番号37における核酸塩基に対応する。
10.核酸塩基修飾および置換
ある特定の実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、RNA核酸塩基およびDNA核酸塩基(多くの場合、当該技術分野では単に「塩基」と称される)から構成される。RNA塩基は、アデニン(A)、ウラシル(U)、シトシン(C)、およびグアニン(G)として一般的に既知である。DNA塩基は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、およびグアニン(G)として一般的に既知である。様々な実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、アデニン(A)、5-メチルシトシン(5mC)、ウラシル(U)、およびヒポキサンチン(I)から構成される。
ある特定の実施形態において、オリゴマー中の1つ以上のRNA塩基またはDNA塩基は、RNA塩基またはDNA塩基以外の塩基で修飾または置換され得る。修飾または置換された塩基を含有するオリゴマーとしては、核酸中で最も一般的に見られる1つ以上のプリンまたはピリミジン塩基が、それほど一般的ではない塩基または非天然の塩基で置換されているオリゴマーが挙げられる。
プリン塩基は、以下の一般式によって記載されるように、イミダゾール環に縮合したピリミジン環を含む。
Figure 2024023406000139

アデニンおよびグアニンは、核酸中で最も一般的に見られる2つのプリン核酸塩基である。他の自然発生的プリンとしては、N-メチルアデニン、N-メチルグアニン、ヒポキサンチン、および7-メチルグアニンが挙げられるが、これらに限定されない。
ピリミジン塩基は、以下の一般式によって記載されるように、6員ピリミジン環を含む。
Figure 2024023406000140

シトシン、ウラシル、およびチミンは、核酸中で最も一般的に見られるピリミジン塩基である。他の自然発生的ピリミジンとしては、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、偽ウラシル、および4-チオウラシルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、本明細書に記載されるオリゴマーは、ウラシルの代わりにチミン塩基を含有する。
他の好適な塩基としては、2,6-ジアミノプリン、オロチン酸、アグマチジン、リシジン、2-チオピリミジン(例えば、2-チオウラシル、2-チオチミン)、G-クランプおよびその誘導体、5-置換ピリミジン(例えば、5-ハロウラシル、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、5-アミノメチルウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、5-アミノメチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、スーパーT)、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、7-アザ-2,6-ジアミノプリン、8-アザ-7-デアザグアニン、8-アザ-7-デアザアデニン、8-アザ-7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、スーパーG、スーパーA、およびN4-エチルシトシン、またはそれらの誘導体;N-シクロペンチルグアニン(cPent-G)、N-シクロペンチル-2-アミノプリン(cPent-AP)、およびN-プロピル-2-アミノプリン(Pr-AP)、偽ウラシル、またはそれらの誘導体;ならびに2,6-ジフルオロトルエンのような縮重塩基もしくはユニバーサル塩基、または脱塩基部位のような非存在塩基(例えば、1-デオキシリボース、1,2-ジデオキシリボース、1-デオキシ-2-O-メチルリボース;あるいは環酸素が窒素で置換されているピロリジン誘導体(アザリボース))が挙げられるが、これらに限定されない。スーパーA、スーパーG、およびスーパーTの誘導体の例は、米国特許第6,683,173号(Epoch Biosciences)に見ることができ、これは参照により完全に本明細書に組み込まれる。cPent-G、cPent-AP、およびPr-APは、siRNAに組み込まれた場合に免疫賦活作用を低減させることが示された(Peacock H.et al.J.Am.Chem.Soc.2011,133,9200)。偽ウラシルは、ウラシルの自然発生的異性化バージョンであり、ウリジンにおける通常のN-グリコシドというよりむしろC-グリコシドによる。偽ウリジン含有合成mRNAは、ウリジン含有mPvNAと比較して、改善された安全性プロファイルを有し得る(WO2009/127230(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))。
ある特定の核酸塩基は、本開示のアンチセンスオリゴマーの結合親和性を高めるために特に有用である。これらには、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6、およびO-6置換プリン(2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、および5-プロピニルシトシンを含む)が含まれる。5-メチルシトシン置換は、核酸二本鎖の安定性を0.6~1.2℃増加させることが示されており、現在より好ましい塩基置換であり、2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合に、さらにより特に好ましい塩基置換である。追加の例示的な修飾核酸塩基としては、核酸塩基の少なくとも1つの水素原子がフッ素で置換されているものが挙げられる。
11.アンチセンスオリゴマーの薬学的に許容される塩
本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマーのある特定の実施形態は、アミノまたはアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有し得、ひいては薬学的に許容される酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。この点における「薬学的に許容される塩」という用語は、本開示のアンチセンスオリゴマーの比較的非毒性の無機酸および有機酸付加塩を指す。これらの塩は、投与ビヒクルまたは剤形製造プロセスにおいて原位置で調製することができるか、または本開示の精製されたアンチセンスオリゴマーを、その遊離塩基形態で、好適な有機酸もしくは無機酸と別個に反応させ、その後の精製中にそのようにして形成された塩を単離することによって調製することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが挙げられる。(例えば、Berge et al.(1977)「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.66:1-19を参照)。
主題のアンチセンスオリゴマーの薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性の有機酸または無機酸からの、アンチセンスオリゴマーの従来の非毒性塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性塩としては、無機酸に由来するもの、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など;ならびに有機酸から調製された塩、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸(salicyclic)、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸(isothionic)などが挙げられる。
ある特定の実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーは、1つ以上の酸性官能基を含有して得、ひいては薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの事例において、「薬学的に許容される塩」という用語は、本開示のアンチセンスオリゴマーの比較的非毒性の無機塩基および有機塩基付加塩を指す。これらの塩は同様に、投与ビヒクルまたは剤形製造プロセスにおいて原位置で調製することができるか、あるいは精製されたアンチセンスオリゴマーを、その遊離酸形態で、好適な塩基、例えば、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは重炭酸塩と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機第一級アミン、第二級アミン、もしくは第三級アミンと別個に反応させることによって調製することができる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。(例えば、上記のBerge et al.を参照)。
III.製剤および投与方法
ある特定の実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の治療送達に好適な製剤または医薬組成物を提供する。したがって、ある特定の実施形態において、本開示は、1つ以上の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤と共に製剤化された、治療有効量の本明細書に記載される1つ以上のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的に許容される組成物を提供する。本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を単独で投与することは可能であるが、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を医薬製剤(組成物)として投与することが好ましい。一実施形態において、製剤のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、式(III)または式(IV)に従う。
本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩に適用可能であり得る核酸分子の送達のための方法は、例えば、Akhtar et al.,1992,Trends Cell Bio.,2:139;Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,ed.AAkhtar,1995,CRC Press、およびSullivan et al.,PCT WO94/02595に記載されている。これらおよび他のプロトコルは、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を含む、実質的に任意の核酸分子の送達に利用され得る。
本開示の医薬組成物は、固体または液体形態での投与のために特別に製剤化され得、以下:(1)経口投与、例えば、浸漬液(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤(口腔、舌下、または全身吸収)、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト、(2)例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液または徐放性製剤としての、例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、または硬膜外注射による非経口投与、(3)例えば、皮膚に適用するためのクリーム、軟膏、または制御放出性パッチもしくは噴霧剤としての局所適用、(4)例えば、ペッサリー、クリーム、もしくは発泡体としての膣内投与または直腸内投与、(5)舌下投与、(6)眼内投与、(7)経皮投与、あるいは(8)経鼻投与に適合されたものを含む。
薬学的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては、(1)糖類、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース、(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン、(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス、(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、(15)アルギニン酸、(16)発熱性物質除去蒸留水、(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ無水物、ならびに(22)医薬製剤に用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を用いた製剤に好適な薬剤の追加の非限定的な例としては、PEGコンジュゲート核酸;リン脂質コンジュゲート核酸;親油性部分を含有する核酸;ホスホロチオエート;様々な組織への薬物の侵入を増強することができるP糖タンパク質阻害剤(Pluronic P85など);生分解性ポリマー、例えば、埋め込み後の徐放性送達のためのポリ(D,L-ラクチド-コグリコリド)ミクロスフェア(Emerich,D F et al.,1999,Cell Transplant,8,47-58)Alkermes,Inc.Cambridge,Mass.;および負荷ナノ粒子、例えば、血液脳関門にわたって薬物を送達することができ、神経取込み機構を変化させることができる、ポリブチルシアノアクリレートからなるもの(Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry,23,941-949,1999)が挙げられる。
本開示はまた、ポリ(エチレングリコール)(「PEG」)脂質(PEG修飾、分岐、および非分岐、もしくはそれらの組み合わせ、または長期循環型リポソームもしくはステルスリポソーム)を含有する、表面修飾リポソームを含む組成物の使用を特徴とする。本開示のオリゴマーコンジュゲートはまた、様々な分子量の共有結合PEG分子も含むことができる。これらの製剤は、標的組織における薬物の蓄積を増加させるための方法を提供する。このクラスの薬物担体は、単核細胞貪食系(MPSまたはRES)によるオプソニン化および排除に抵抗し、それにより、カプセル化薬物の血液循環時間の延長および組織曝露の増強を可能にする(Lasic et al.Chem.Rev.1995,95,2601-2627、Ishiwata et al.,Chem.Pharm.Bull.1995,43,1005-1011)。そのようなリポソームは、おそらく溢血および血管新生標的組織における捕捉によって、腫瘍に選択的に蓄積することが示されている(Lasic et al.,Science 1995,267,1275-1276、Oku et al.,1995,Biochim.Biophys.Acta,1238,86-90)。長期循環型リポソームは、特にMPSの組織に蓄積することが知られている従来のカチオン性リポソームと比較して、DNAおよびRNAの薬物動態および薬力学を増強する(Liu et al.,J.Biol.Chem.1995,42,24864-24870、Choi et al.,国際PCT公開第WO96/10391号、Ansell et al.,国際PCT公開第WO96/10390号、Holland et al.,国際PCT公開第WO96/10392号)。また、長期循環型リポソームは、肝臓や脾臓などの代謝的に攻撃的なMPS組織において蓄積を回避するそれらの能力に基づいて、カチオン性リポソームと比較して、より大きい程度まで薬物をヌクレアーゼ分解から保護する可能性が高い。
さらなる実施形態において、本開示は、米国特許第6,692,911号、同第7,163,695号、および同第7,070,807号に記載されるような、送達のために調製されたアンチセンスオリゴマー(またはその薬学的に許容される塩)の医薬組成物を含む。この点に関して、一実施形態において、本開示は、単独で、あるいはPEG(例えば、分岐もしくは非分岐PEG、または両方の混合物)と組み合わせて、PEGおよび標的化部分と組み合わせて、あるいは架橋剤と組み合わせた上記のいずれかの、リシンおよびヒスチジン(HK)のコポリマーを含む組成物中の本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩(米国特許第7,163,695号、同第7,070,807号、および6,692,911号に記載)を提供する。ある特定の実施形態において、本開示は、グルコン酸修飾ポリヒスチジンまたはグルコニル化ポリヒスチジン/トランスフェリン-ポリリシンを含む医薬組成物中のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を提供する。当業者であれば、HisおよびLysに類似した特性を有するアミノ酸が組成物内で置換され得ることも認識するであろう。
湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤(ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、ならびに酸化防止剤も組成物中に存在することができる。
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど、(2)油溶性酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど、および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
本開示の製剤には、経口、経鼻、局所(口腔および舌下を含む)、直腸、膣、ならびに/または非経口投与に好適な製剤が含まれる。製剤は、便利に単位剤形で提示され得、薬学の技術分野で周知の任意の方法によって調製され得る。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わされ得る有効成分の量は、治療される対象および特定の投与方法に応じて異なる。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わされ得る有効成分の量は、概して、治療効果をもたらす活性成分の量である。概して、この量は、有効成分の約0.1パーセント~約99パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントの範囲である。
ある特定の実施形態において、本開示の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸、およびポリマー担体、例えば、ポリエステルおよびポリ無水物から選択される賦形剤と、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩と、を含む。一実施形態において、製剤のアンチセンスオリゴマーは、式(IV)に従う。ある特定の実施形態において、上記の製剤は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を、経口的にバイオアベイラブルにする。
これらの製剤または医薬組成物を調製する方法は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を、担体、および任意に1つ以上の副成分と会合させるステップを含む。概して、製剤は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を、液体担体、もしくは微粉化固体担体、またはそれらの両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
経口投与に好適な本開示の製剤は、カプセル、カシェ、丸剤、錠剤、トローチ(風味付けした基剤、通常はスクロースおよびアカシアもしくはトラガカントを使用)、散剤、顆粒剤、または水性もしく非水性液体の溶液もしくは懸濁液として、または水中油もしくは油中水の液体エマルションとして、またはエリキシル剤もしくはシロップとして、または香錠(不活性塩基、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはスクロースおよびアカシアを使用)として、および/または口内洗浄液として、などの形態であり得、各々が、有効成分として、所定量の本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を含有する。本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与され得る。
経口投与のための本開示の固形剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖剤、散剤、顆粒剤、トルーチなど)において、有効成分は、1つ以上の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下:(1)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア、(3)保湿剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物および界面活性剤、例えば、ポロキサマーおよびラウリル硫酸ナトリウム、(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、および非イオン性界面活性剤、(8)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土、(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、およびそれらの混合物、(10)着色剤、ならびに(11)放出制御剤、例えば、クロスポビドンまたはエチルセルロースのうちのいずれかと混合され得る。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、医薬組成物はまた、緩衝剤を含み得る。類似の種類の固体医薬組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した、軟質および硬質シェルのゼラチンカプセル中の充填剤としても用いられ得る。
錠剤は、任意に1つ以上の副成分との圧縮または成型によって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤、または分散剤を使用して調製され得る。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成型することによって作製され得る。
本開示の医薬組成物の錠剤および他の固体剤形、例えば、糖剤、カプセル、丸剤、および顆粒剤は、任意に、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶性コーティング、および医薬品製剤技術で周知の他のコーティングを用いて、獲得または調製され得る。また、それらは、所望の放出プロファイル、他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/またはミクロスフェアを提供するために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で使用して、その中の有効成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化され得る。それらは、例えば、凍結乾燥など、迅速放出のために製剤化され得る。それらは、例えば、細菌保持フィルタを通した濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくはいくつかの他の滅菌注射用媒体に溶解することができる滅菌固体医薬組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。また、これらの医薬組成物は、任意に不透明化剤を含有し得、それらが有効成分(複数可)のみを、または優先的に、消化管の特定の部分において、任意に遅延した様式で放出する組成物からなり得る。使用することができる埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。有効成分はまた、適切な場合、上記の賦形剤のうちの1つ以上を有する、マイクロカプセル形態であり得る。
本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が挙げられる。有効成分に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物など、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含有し得る。
不活性希釈剤に加えて、経口医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、ならびに防腐剤などのアジュバントも含むことができる。
活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物などの懸濁剤を含有し得る。
直腸投与または膣投与用の製剤は、坐剤として提示され得、これは、本開示の1つ以上の化合物を、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス、もしくはサリチル酸塩を含む1つ以上の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製され得、これは室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸内または膣腔内で溶解し、活性化合物を放出する。
本明細書に提供されるオリゴマーの局所投与または経皮投与のための製剤または剤形としては、散剤、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が挙げられる。活性オリゴマーコンジュゲートは、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体と、および必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝剤、または噴射剤と混合され得る。軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本開示の活性化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有し得る。
散剤および噴霧剤は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有することができる。噴霧剤はさらに、クロロフルオロ炭化水素などの通例の噴射剤、ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性非置換炭化水素を含有することができる。
経皮パッチは、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の体内への制御送達を提供するというさらなる利点を有する。そのような剤形は、オリゴマーを適切な媒体に溶解するか、または分散させることによって作製することができる。吸収促進剤もまた、皮膚にわたる薬剤の流れを増加させるために使用することができる。そのような流れの速度は、当該技術分野で既知の方法の中でも特に、速度制御膜を提供すること、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に薬剤を分散させることのいずれかによって制御することができる。
非経口投与に好適な医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルション、または使用直前に滅菌注射用溶液もしくは分散液に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて、本開示の1つ以上のオリゴマーコンジュゲートを含み得、これらは、糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含有し得る。本開示の医薬組成物に用いられ得る好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合に必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。一実施形態において、医薬組成物のアンチセンスオリゴマーは、式(IV)に従う。
また、これらの医薬組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含有し得る。主題のオリゴマーコンジュゲートに対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含むことによって確保され得る。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含むことが望ましい場合もある。さらに、注射用剤形の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収を遅延させる薬剤を含むことによってもたらされ得る。
場合によっては、薬物の効果を延長するために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、当該技術分野で既知の方法の中でも特に、乏しい水溶性を有する結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与された薬物形態の吸収の遅延は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。
注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で主題のオリゴマーコンジュゲートのマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製され得る。ポリマーに対するオリゴマーの比率および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、オリゴマー放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体内組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルションに薬物を封入することによっても調製され得る。
本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩が、ヒトおよび動物に医薬品として投与される場合、それらは、それ自体で、または例えば、薬学的に許容される担体と組み合わせたアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の0.1~99%(より好ましくは10~30%)を含有する医薬組成物として投与することができる。
本開示の製剤または調製物は、経口的、非経口的、局所的、または直腸に投与され得る。これらは典型的には、各投与経路に好適な形態で投与される。例えば、それらは、錠剤もしくはカプセルで、注射、吸入、目薬、軟膏、坐剤、もしくは点滴によって、ローションもしくは軟膏によって局所的に、または坐剤によって直腸に投与される。
選択される投与経路にかかわらず、好適な水和形態で使用され得る本開示のアンチセンスオリゴマーもしくはその薬学的に許容される塩、および/または本開示の医薬組成物は、当業者に既知の従来的な方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化され得る。本開示の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、患者に対して許容できないほどの毒性を示すことなく、特定の患者、組成物、および投与方法に対して所望の治療反応を達成するために有効である有効成分の量を得るために変動し得る。
選択される投与量レベルは、用いられる本開示の特定のアンチセンスオリゴマーもしくはその薬学的に許容される塩、またはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与経路、投与時刻、用いられる特定のオリゴマーの排泄速度または代謝速度、吸収の速度および程度、治療期間、用いられる特定のオリゴマーと組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、治療中の患者の年齢、性別、体重、条件、全般的な健康状態、および既往歴、ならびに医学技術で周知の同様の要因を含む、様々な要因に依存する。
当該技術分野における通常の技術を有する医師または獣医であれば、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定および処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで、医薬組成物に用いられる本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることができる。概して、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の好適な1日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最低用量であるアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の量である。そのような有効用量は、概して、本明細書に記載される要因に依存する。概して、患者のための本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の経口、静脈内、脳室内、および皮下用量は、示された効果のために使用される場合、1日当たり体重1キログラム当たり約0.0001~約100mgの範囲である。
いくつかの実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、概して、約1~約200mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、静脈内投与のための用量は、約0.5mg~200mg/kgである。
いくつかの実施形態において、式(I)のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、概して、約1~約200mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、静脈内投与のための式(I)のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約0.5mg~200mg/kgである。いくつかの実施形態において、式(II)のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、概して、約1~約200mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、静脈内投与のための式(II)のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約0.5mg~200mg/kgである。いくつかの実施形態において、式(III)のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、概して、約1~約200mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、静脈内投与のための式(III)のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約0.5mg~200mg/kgである。いくつかの実施形態において、式(IV)のアンチセンスオリゴマーは、概して、約1~約200mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、静脈内投与のための式(IV)のアンチセンスオリゴマーの用量は、約0.5mg~約200mg/kgである。いくつかの実施形態において、式(V)のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、概して、約1~約200mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、静脈内投与のための式(V)のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の用量は、約0.5mg~200mg/kgである。いくつかの実施形態において、式(VI)のアンチセンスオリゴマーは、概して、約1~約200mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、静脈内投与のための式(VI)のアンチセンスオリゴマーの用量は、約0.5mg~約200mg/kgである。
必要に応じて、活性化合物の有効な1日用量は、任意に単位剤形で、1日を通して適切な間隔で別個に投与される、2、3、4、5、6回以上の部分用量として投与され得る。ある特定の状況において、投与量は、1日1回の投与である。ある特定の実施形態において、投与量は、機能性ジストロフィンタンパク質の所望の発現を維持するために、必要に応じて、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12か月毎に1回以上の投与である。ある特定の実施形態において、投与量は、2週間に1回以上の投与である。いくつかの実施形態において、投与量は、2週間に1回の投与である。様々な実施形態において、投与量は、毎月1回以上の投与である。ある特定の実施形態において、投与量は、毎月1回の投与である。
当該技術分野で理解されるように、毎週、隔週、3週間毎、または毎月の投与は、本明細書で考察されるように、1回以上の投与または部分用量であり得る。
本明細書に記載される核酸分子、およびアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、本明細書に記載され、かつ当該技術分野において既知のような、リポソームへの封入、イオン導入、またはヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、および生体接着性ミクロスフェアなどの他のビヒクルへの組み込みが挙げられるが、これらに限定されない、当業者に既知の様々な方法によって細胞に投与することができる。ある特定の実施形態において、マイクロ乳化技術を利用して、親油性(非水溶性)医薬品のバイオアベイラビリティを改善し得る。例としては、Trimetrine(Dordunoo,S.K.,et al.,Drug Development and Industrial Pharmacy,17(12),1685-1713,1991)、およびREV 5901(Sheen,P.C.,et al.,J Pharm Sci 80(7),712-714,1991)が挙げられる。利点の中でも特に、マイクロ乳化は、循環系の代わりにリンパ系への吸収を優先的に誘導し、それにより肝臓を迂回し、肝胆道循環における化合物の破壊を防止することによって、増強されたバイオアベイラビリティを提供する。
開示の一態様において、製剤は、本明細書に提供されるオリゴマーから形成されるミセルと、ミセルが約100nm未満の平均直径を有する少なくとも1つの両親媒性担体とを含有する。より好ましい実施形態は、約50nm未満の平均直径を有するミセルを提供し、さらにより好ましい実施形態は、約30nm未満またはさらに約20nm未満の平均直径を有するミセルを提供する。
全ての好適な両親媒性担体が企図されるが、現在好ましい担体は、概して、一般的に安全と認められている(GRAS)状態を有し、かつ本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を可溶化すること、および溶液が複雑な水相(ヒト胃腸管に見られるものなど)と接触する後期段階でマイクロ乳化することの両方ができる担体である。これらの要件を満たす両親媒性成分は、通常、HLB(親水性-親油性のバランス)値が2-20であり、それらの構造は、C-6からC-20の範囲の直鎖脂肪族ラジカルを含有する。例としては、ポリエチレングリコール化脂肪酸グリセリドおよびポリエチレングリコールがある。
両親媒性担体の例としては、飽和および一不飽和ポリエチレングリコール化脂肪酸グリセリド、例えば、完全または部分的に水素化された様々な植物油から得られるものが挙げられる。そのような油は、有利に、トリ-、ジ-、およびモノ-脂肪酸グリセリド、ならびに対応する脂肪酸のジ-およびモノ-ポリ(エチレングリコール)エステルからなり得、特に好ましい脂肪酸組成物としては、カプリン酸4~10%、カプリン酸3~9%、ラウリン酸40~50%、ミリスチン酸14~24%、パルミチン酸4~14%、およびステアリン酸5~15%が挙げられる。別の有用なクラスの両親媒性担体としては、飽和もしくは一不飽和脂肪酸(SPAN(登録商標)シリーズ)または対応するエトキシ化類似体(TWEEN(登録商標)シリーズ)を有する、部分的にエステル化されたソルビタンおよび/またはソルビトールが挙げられる。
Gelucireシリーズ、Labrafil、Labrasol、またはLauroglycol(全てGattefosse Corporation,Saint Priest,Franceによって製造および流通)、PEG-モノ-オレイン酸、PEG-ジ-オレイン酸、PEG-モノ-ラウリン酸およびジ-ラウリン酸、レシチン、ポリソルベート80など(米国および世界中の多くの企業によって製造および流通)を含む市販の両親媒性担体が、特に有用であり得る。
ある特定の実施形態において、送達は、本開示の医薬組成物を好適な宿主細胞に導入するために、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、ミクロスフェア、脂質粒子、小胞などを使用することによって起こり得る。特に、本開示の医薬組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフェア、ナノ粒子、または同様のもののいずれかに封入された送達用に製剤化され得る。そのような送達ビヒクルの製剤化および使用は、既知の技術および従来の技術を使用して行うことができる。
本開示における使用に好適な親水性ポリマーは、容易に水溶性であり、小胞形成脂質に共有結合することができ、かつ毒性作用なしにin vivoで耐容性がある(すなわち、生体適合性である)ものである。好適なポリマーとしては、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ乳酸(ポリラクチドとも呼ばれる)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも呼ばれる)、ポリ乳酸-ポリグリコール酸コポリマー、およびポリビニルアルコールが挙げられる。ある特定の実施形態において、ポリマーは、約100もしくは120ダルトン~最大で約5,000もしくは10,000ダルトン、または約300ダルトン~約5,000ダルトンの重量平均分子量を有する。他の実施形態において、ポリマーは、約100~約5,000ダルトンの重量平均分子量を有するか、または約300~約5,000ダルトンの重量平均分子量を有する、ポリ(エチレングリコール)である。ある特定の実施形態において、ポリマーは、約750ダルトンの重量平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)、例えば、PEG(750)である。ポリマーはまた、その中のモノマーの数によっても定義され得、本開示の好ましい実施形態は、少なくとも約3つのモノマーのポリマーを利用し、3つのモノマーからなるそのようなPEGポリマーは、約132ダルトンの分子量を有する。
本開示における使用に好適であり得る他の親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリメトキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、および誘導体化セルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
ある特定の実施形態において、本開示の製剤は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、アクリルエステルおよびメタクリルエステルのポリマー、ポリビニルポリマー、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそのコポリマー、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルソ)エステル、ポリ(ブチック酸)(butic acid)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、多糖類、タンパク質、ポリヒアルロン酸、ポリシアノアクリレート、ならびにそれらのブレンド、混合物、またはコポリマーからなる群から選択される生体適合性ポリマーを含む。
シクロデキストリンは、6、7、または8グルコース単位からなる環状オリゴ糖であり、それぞれギリシャ文字α、β、またはγによって示される。グルコース単位は、α-1,4-グルコシド結合によって連結される。糖単位の椅子型配座の結果として、(C-2、C-3における)全ての二次ヒドロキシル基が環の一方の側に位置する一方で、C-6における全ての一次ヒドロキシル基は、他方の側に位置する。結果として、外面は親水性であり、シクロデキストリンを水溶性にする。対照的に、シクロデキストリンの空洞は、それらが原子C-3およびC-5の水素によって、かつエーテル様酸素によって覆われているため、疎水性である。これらのマトリックスは、例えば、17α-エストラジオールなどのステロイド化合物を含む、様々な比較的疎水性の化合物との複合体形成を可能にする(例えば、van Uden et al.Plant Cell Tiss.Org.Cult.38:1-3-113(1994)を参照)。複合体形成は、ファンデルワールス相互作用および水素結合形成によって起こる。シクロデキストリンの化学的性質に関する一般的なレビューについては、Wenz,Agnew.Chem.Int.Ed.Engl.,33:803-822(1994)を参照されたい。
シクロデキストリン誘導体の物理化学的性質は、置換の種類および程度に大きく依存する。例えば、それらの水溶性は、不溶性(例えば、トリアセチル-ベータ-シクロデキストリン)から147%可溶性(w/v)(G-2-ベータ-シクロデキストリン)の範囲である。さらに、それらは多くの有機溶媒に可溶性である。シクロデキストリンの特性は、それらの溶解度を増加または減少させることによって、様々な製剤構成成分の溶解度に対する制御を可能にする。
多数のシクロデキストリンおよびそれらの調製のための方法が記載されている。例えば、Parmeter(I)ら(米国特許第3,453,259号)およびGrameraら(米国特許第3,459,731号)は、電気的中性シクロデキストリンについて記載している。他の誘導体としては、カチオン特性を有するシクロデキストリン[Parmeter(II)、米国特許第3,453,257号]、不溶性架橋シクロデキストリン(Solms、米国特許第3,420,788号)、およびアニオン特性を有するシクロデキストリン[Parmeter(III)、米国特許第3,426,011号]が挙げられる。アニオン特性を有するシクロデキストリン誘導体の中でも、カルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、チオスルフィン酸、およびスルホン酸が、親シクロデキストリンに付加されている[Parmeter(III)、米国特許第3,453,257号を参照]。さらに、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体は、Stellaら(米国特許第5,134,127号)によって記載されている。
リポソームは、水性内部区画を取り囲む少なくとも1つの脂質二重層膜からなる。リポソームは、膜の種類およびサイズによって特徴付けられ得る。小単ラメラ小胞(SUV)は単一膜を有し、典型的には、直径が0.02~0.05μmの範囲であり、大単ラメラ小胞(LUVS)は、典型的には0.05μmよりも大きい。オリゴラメラ大小胞およびマルチラメラ小胞は、複数の、通常は同心性の膜層を有し、典型的には0.1μmよりも大きい。いくつかの非同心膜を有するリポソーム、すなわち、より大きい小胞内に含有されるいくつかのより小さい小胞は、多胞体小胞と呼ばれる。
本開示の一態様は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を含有するリポソームを含む製剤に関し、リポソーム膜は、増加した担持能力を有するリポソームを提供するように製剤化される。あるいは、または加えて、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、リポソームのリポソーム二重層内に含有され得るか、またはその上に吸着され得る。本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、脂質界面活性剤と凝集され、リポソームの内部空間内に担持され得る。これらの場合、リポソーム膜は、活性薬剤-界面活性剤凝集体の崩壊効果に抵抗するように製剤化される。
本開示の一実施形態によると、リポソームの脂質二重層は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)で誘導体化された脂質を含有し、これによりPEG鎖は、脂質二重層の内面から、リポソームによって封入された内部空間へと延在し、かつ脂質二重層の外部から周囲環境へと延在する。
本開示のリポソーム内に含有される活性薬剤は、可溶化形態である。界面活性剤および活性薬剤の凝集体(対象の活性薬剤を含有するエマルションまたはミセルなど)は、本開示によるリポソームの内部空間内に閉じ込められ得る。界面活性剤は、活性薬剤を分散させ可溶化するように作用し、様々な鎖長(例えば、約C14~約C20)の生体適合性リゾホスファチジルコリン(LPG)を含むがこれに限定されない、任意の好適な脂肪族、脂環式、または芳香族界面活性剤から選択され得る。PEG-脂質などのポリマー誘導体化脂質は、ミセル/膜融合を阻害するように作用するため、また界面活性剤分子へのポリマーの添加が界面活性剤のCMCを減少させ、ミセル形成を助けるため、ミセル形成にも利用され得る。マイクロモル範囲のCMOを有する界面活性剤が好ましく、より高いCMC界面活性剤を利用して、本開示のリポソーム内に閉じ込められたミセルを調製し得る。
本開示によるリポソームは、当該技術分野で既知の様々な技術のいずれかによって調製され得る。例えば、米国特許第4,235,871号、公開PCT出願第WO96/14057号、New RRC,Liposomes:A practical approach,IRL Press,Oxford(1990),pages 33-104、およびLasic DD,Liposomes from physics to applications,Elsevier Science Publishers BV,Amsterdam,1993を参照されたい。例えば、本開示のリポソームは、リポソーム中で所望される誘導体化脂質の最終モルパーセントに相当する脂質濃度で、親水性ポリマーで誘導体化された脂質を予め形成されたリポソームに拡散することによって、例えば、予め形成されたリポソームを脂質グラフトポリマーから構成されるミセルに曝露することによって、調製され得る。親水性ポリマーを含有するリポソームはまた、当該技術分野で既知のように、均質化、脂質場水和、または押出技術によって形成することができる。
別の例示的な製剤化手順において、活性薬剤は、最初に、疎水性分子を容易に可溶化するリゾホスファチジルコリンまたは他の低CMC界面活性剤(ポリマーグラフト脂質を含む)中での音波処理によって分散される。次いで、活性薬剤の得られたミセル懸濁液を使用して、好適なモルパーセントのポリマーグラフト脂質またはコレステロールを含有する乾燥脂質試料を再水和する。次いで、脂質および活性薬剤懸濁液は、当該技術分野で既知の押出技術を使用してリポソームに形成され、得られたリポソームは、標準的なカラム分離によって封入されていない溶液から分離される。
本開示の一態様において、リポソームは、選択されたサイズ範囲において実質的に均一なサイズを有するように調製される。1つの効果的なサイズ決定方法は、選択された均一な孔径を有する一連のポリカーボネート膜を通してリポソームの水性懸濁液を押し出すことを伴い、膜の孔径は、その膜を通した押出によってもたらされるリポソームの最大サイズに概ね相当する。例えば、米国特許第4,737,323号(1988年4月12日)を参照されたい。ある特定の実施形態において、DharmaFECT(登録商標)およびLipofectamine(登録商標)などの試薬を利用して、ポリヌクレオチドまたはタンパク質を細胞に導入し得る。
本開示の製剤の放出特性は、封入材料、封入薬物の濃度、および放出調節剤の存在に依存する。例えば、放出は、例えば、胃にあるような低pH、または腸にあるような高pHでのみ放出するpH感受性コーティングを使用して、pH依存性になるように操作することができる。腸溶性コーティングを使用して、胃を通過した後まで放出が起こることを防止することができる。異なる材料に封入されたシアナミドの複数のコーティングまたは混合物を使用して、胃内で初期放出、続いて腸内で後期放出を得ることができる。放出はまた、塩または細孔形成剤を含むことによっても操作することができ、これは、水の取込みまたはカプセルからの拡散による薬物の放出を増加させることができる。また、薬剤の溶解度を修正する賦形剤を使用して、放出速度を制御することができる。また、マトリックスの分解またはマトリックスからの放出を増強する薬剤も組み込むことができる。それらは、化合物に応じて、薬剤に添加することができるか、別個の相(すなわち、微粒子として)として添加することができるか、またはポリマー相に共溶解することができる。ほとんどの場合、量は、0.1~30パーセント(w/wポリマー)であるべきである。分解促進剤の種類としては、硫酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムなどの無機塩、クエン酸、安息香酸、およびアスコルビン酸などの有機酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、および水酸化亜鉛などの無機塩基、ならびにプロタミン硫酸塩、スペルミン、コリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンなどの有機塩基、ならびにTween(登録商標)およびPluronic(登録商標)などの界面活性剤が挙げられる。マトリックスに微細構造を付加する細孔形成剤(すなわち、無機塩および糖類などの水溶性化合物)が、微粒子として添加される。範囲は、典型的には、1~30パーセント(w/wポリマー)である。
また、取込みは、腸内の粒子の滞留時間を変化させることによっても操作することができる。これは、例えば、粒子を粘膜接着性ポリマーでコーティングするか、または封入材料として選択することによって達成することができる。例としては、遊離カルボキシル基を有するほとんどのポリマー、例えば、キトサン、セルロース、および特にポリアクリレート(本明細書で使用される場合、ポリアクリレートは、アクリレート基、ならびにシアノアクリレートおよびメタクリレートなどの修飾アクリレート基を含むポリマーを指す)が挙げられる。
アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、外科用もしくは医療用のデバイスまたはインプラント内に含まれるように製剤化され得るか、またはそれによって放出されるように適合され得る。ある特定の態様において、インプラントは、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩でコーティングされ得るか、または別の方法で処理され得る。例えば、ヒドロゲル、または生体適合性および/もしくは生分解性ポリマーなどの他のポリマーを使用して、本開示の医薬組成物でインプラントをコーティングし得る(すなわち、組成物は、ヒドロゲルまたは他のポリマーを使用することによって医療デバイスと共に使用するように適合され得る)。医療デバイスを薬剤でコーティングするためのポリマーおよびコポリマーは、当該技術分野で周知である。インプラントの例としては、ステント、薬剤溶出性ステント、縫合糸、人工器官、血管カテーテル、透析カテーテル、血管グラフト、人工心臓弁、心臓ペースメーカー、植込み型除細動器、IV針、接骨および骨形成用デバイス、例えば、ピン、スクリュー、プレート、および他のデバイス、ならびに創傷治癒のための人工組織マトリックスが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に提供される方法に加えて、本開示による使用のためのアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、他の医薬品から類推して、ヒトまたは獣医学で使用するための任意の便利な方法で投与するために製剤化され得る。アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩、およびそれらの対応する製剤は、単独で、または筋芽細胞移植、幹細胞療法、アミノグリコシド系抗生物質の投与、プロテアソーム阻害剤、および上方制御療法(例えば、ジストロフィンの常染色体パラログであるユートロフィンの上方制御)などの筋ジストロフィーの治療における他の治療戦略と組み合わせて投与され得る。
いくつかの実施形態において、追加の治療薬は、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の投与の前に、それと同時に、またはその後に投与され得る。例えば、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、ステロイドおよび/または抗生物質と組み合わせて投与され得る。ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、バックグラウンドステロイド理論(例えば、間欠的または長期/連続的バックグラウンドステロイド療法)を受けている患者に投与される。例えば、いくつかの実施形態において、患者は、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩の投与前にコルチコステロイドで治療されており、ステロイド療法を受け続けている。いくつかの実施形態において、ステロイドは、糖質コルチコイドまたはプレドニゾンである。
記載される投与経路は、当業者が、任意の特定の動物および状態にとって最適な投与経路および任意の投与量を容易に決定することができるため、指針としてのみ意図される。in vitroおよびin vivoの両方で、機能的な新しい遺伝物質を細胞に導入するための複数のアプローチが試みられている(Friedmann(1989)Science,244:1275-1280)。これらのアプローチには、発現する遺伝子の修飾レトロウイルスへの組み込み、(Friedmann(1989)上記、Rosenberg(1991)Cancer Research 51(18),suppl.:5074S-5079S)、非レトロウイルスベクター(例えば、アデノ関連ウイルスベクター)への組み込み(Rosenfeld,et al.(1992)Cell,68:143-155、Rosenfeld,et al.(1991)Science,252:431-434)、またはリポソームを介した異種プロモーター-エンハンサーエレメントに連結された導入遺伝子の送達(Friedmann(1989)上記、Brigham,et al.(1989)Am.J.Med.Sci.,298:278-281、Nabel,et al.(1990)Science,249:1285-1288、Hazinski,et al.(1991)Am.J.Resp.Cell Molec.Biol.,4:206-209、およびWang and Huang(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),84:7851-7855)、リガンド特異的、カチオン系輸送システムとの結合(Wu and Wu(1988)J.Biol.Chem.,263:14621-14624)、またはネイキッドDNA、発現ベクターの使用(Nabel et al.(1990)上記、Wolff
et al.(1990)Science,247:1465-1468)が含まれる。導入遺伝子の組織への直接注射は、局所発現のみをもたらす(Rosenfeld(1992)上記、Rosenfeld et al.(1991)上記、Brigham et al.(1989)上記、Nabel(1990)上記、およびHazinski
et al.(1991)上記)。Brighamらのグループ(Am.J.Med.Sci.(1989)298:278-281およびClinical Research(1991)39(要約))は、DNAリポソーム複合体の静脈内または気管内のいずれかの投与後のマウスの肺のin vivoトランスフェクションのみを報告している。ヒト遺伝子治療手順のレビュー文献の一例は、Anderson,Science(1992)256:808-813である。
さらなる実施形態において、本開示の医薬組成物は、Han et al.,Nat.Comms.7,10981(2016)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に提供されるように、炭水化物をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、5%のヘキソース炭水化物を含み得る。例えば、本開示の医薬組成物は、5%のグルコース、5%のフルクトース、または5%のマンノースを含み得る。ある特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、2.5%のグルコースおよび2.5%のフルクトースを含み得る。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、5体積%の量で存在するアラビノース、5体積%の量で存在するグルコース、5体積%の量で存在するソルビトール、5体積%の量で存在するガラクトース、5体積%の量で存在するフルクトース、5体積%の量で存在するキシリトール、5体積%の量で存在するマンノース、各々が2.5体積%の量で存在するグルコースとフルクトースの組み合わせ、ならびに5.7体積%の量で存在するグルコース、2.86体積%の量で存在するフルクトース、および1.4体積%の量で存在するキシリトールの組み合わせから選択される炭水化物を含み得る。
IV.使用方法
エクソンスキッピングを使用したジストロフィンリーディングフレームの回復
ジストロフィン遺伝子のアウトオブフレーム変異によって引き起こされるDMDの治療に対する潜在的な治療アプローチは、インフレーム変異によって引き起こされるBMDとして既知のより軽度な型のジストロフィン異常症によって示唆される。アウトオブフレーム変異をインフレーム変異に変換する能力は、仮定では、mRNAリーディングフレームを保持し、内部で短縮されたが機能的なジストロフィンタンパク質を産生する。本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、これを達成するように設計された。
式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、式(VI)のアンチセンスオリゴマーの標的化プレmRNA配列とのハイブリダイゼーションは、プレmRNAスプライシング複合体の形成を阻害し、成熟mRNAからエクソン2を欠失させる。本開示のアンチセンスオリゴマーの構造および立体構造により、相補的配列に対する配列特異的塩基対合が可能となる。
全ての79個のエクソンを含有する正常なジストロフィンmRNAは、正常なジストロフィンタンパク質を産生する。各エクソンの形状は、コドンがどのようにエクソン間で分割されるかを示す。注目すべきことに、1つのコドンは、3つのヌクレオチドからなる。長方形のエクソンは、完全なコドンで始まり、終わる。矢印形状のエクソンは、完全なコドンで始まるが、コドンのヌクレオチド#1のみを含有する分割コドンで終わる。このコドンのヌクレオチド#2および#3は、シェブロン形状で始まる後続のエクソンに含有される。
ヒトジストロフィンプレmRNAのエクソン2、イントロン1、またはイントロン2の標的領域に相補的であり、かつエクソン2スキッピングを誘導する、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容可能な塩の効果を分析するための臨床転帰としては、ジストロフィン陽性線維(PDPF)の割合、6分間歩行試験(6MWT)、歩行不能(LOA)、ノーススター歩行評価(NSAA)、肺機能検査(PFT)、外部の支持なしで(仰臥位から)立ち上がる能力、de novoジストロフィン産生、および他の機能的尺度が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本開示は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有する対象においてジストロフィンを産生するための方法を提供し、方法は、本明細書に記載されるように、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、本開示は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有するデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を有する対象において、mRNAリーディングフレームを回復させて、ジストロフィンタンパク質産生を誘導するための方法を提供する。タンパク質産生は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、ウェスタンブロット分析、または免疫組織化学検査(IHC)によって測定することができる。
いくつかの実施形態において、本開示は、DMDの治療を必要としている対象においてそれを行うための方法を提供し、対象は、エクソン2スキッピングに適しているジストロフィン遺伝子の変異を有し、方法は、本明細書に記載されるように、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。様々な実施形態において、対象の治療は、疾患進行の遅延によって測定される。いくつかの実施形態において、対象の治療は、対象における歩行の維持、または対象における歩行不能の低減によって測定される。いくつかの実施形態において、歩行は、6分間歩行試験(6MWT)を使用して測定される。ある特定の実施形態において、歩行は、ノーススタート歩行評価(NSAA)を使用して測定される。
いくつかの実施形態において、本開示は、DMDを有する対象において肺機能を維持するか、または肺機能の喪失を低減するための方法を提供し、対象は、エクソン2スキッピングに適しているDMD遺伝子の変異を有し、方法は、本明細書に記載されるように、アンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、肺機能は、最大呼気圧(MEP)として測定される。ある特定の実施形態において、肺機能は、最大吸気圧(MIP)として測定される。いくつかの実施形態において、肺機能は、努力肺活量(FVC)として測定される。
さらなる実施形態において、本開示の医薬組成物は、Han et al.,Nat.Comms.7,10981(2016)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に提供されるように、同じ製剤または別個の製剤のいずれかで、本開示の方法において炭水化物と同時投与され得る。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、5%のヘキソース炭水化物と同時投与され得る。例えば、本開示の医薬組成物は、5%のグルコース、5%のフルクトース、または5%のマンノースと同時投与され得る。ある特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、2.5%のグルコースおよび2.5%のフルクトースと同時投与され得る。いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、5体積%の量で存在するアラビノース、5体積%の量で存在するグルコース、5体積%の量で存在するソルビトール、5体積%の量で存在するガラクトース、5体積%の量で存在するフルクトース、5体積%の量で存在するキシリトール、5体積%の量で存在するマンノース、各々が2.5体積%の量で存在するグルコースとフルクトースの組み合わせ、ならびに5.7体積%の量で存在するグルコース、2.86体積%の量で存在するフルクトース、および1.4体積%の量で存在するキシリトールの組み合わせから選択される炭水化物と同時投与され得る。
様々な実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩は、治療有効量の非ステロイド性抗炎症化合物と同時投与される。いくつかの実施形態において、非ステロイド性抗炎症化合物は、NF-kB阻害剤である。例えば、いくつかの実施形態において、NF-kB阻害剤は、CAT-1004またはその薬学的に許容される塩であり得る。様々な実施形態において、NF-kB阻害剤は、サリチル酸塩およびDHAのコンジュゲートであり得る。いくつかの実施形態において、NF-kB阻害剤は、CAT-1041またはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、NF-kB阻害剤は、サリチル酸塩およびEPAのコンジュゲートである。様々な実施形態において、NF-kB阻害剤は、
Figure 2024023406000141

、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態において、非ステロイド性抗炎症化合物は、TGF-b阻害剤である。例えば、ある特定の実施形態において、TGF-b阻害剤は、HT-100である。
ある特定の実施形態において、療法に使用するための、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩が記載されている。ある特定の実施形態において、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療に使用するための、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩が記載されている。ある特定の実施形態において、療法に使用するための薬剤の製造に使用するための、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩が記載されている。ある特定の実施形態において、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療のための薬剤の製造に使用するための、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩が記載されている。
V.キット
本開示はまた、遺伝的疾患を有する患者の治療のためのキットを提供し、そのキットは、好適な容器に包装された、少なくともアンチセンス分子(例えば、配列番号1~39のいずれかに記載される塩基配列を含むアンチセンスオリゴマー)またはその薬学的に許容される塩を、その使用のための説明書と共に含む。キットは、緩衝液、安定剤などの周辺試薬も含有し得る。当業者であれば、上記方法の用途が、多くの他の疾患の治療における使用に好適なアンチセンス分子を特定するために幅広い用途を有することを理解するべきである。一実施形態において、キットは、式(I)~(VI)のいずれかに従うアンチセンスオリゴマーまたはその薬学的に許容される塩を含む。
上記の開示は、理解を明確にする目的で、例示および実施例によってある程度詳細に記載されているが、本開示の教示を踏まえて、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および修正がそれに対してなされ得ることは、当業者に容易に明らかになるであろう。以下の実施例は、例示としてのみ提供されるものであり、限定するものではない。当業者であれば、実質的に類似した結果をもたらすように変更または修正され得る様々な重要ではないパラメータを容易に認識するであろう。
材料および方法
モルホリノサブユニットの調製
Figure 2024023406000142

スキーム1を参照すると、Bは、塩基対合部分を表し、モルホリノサブユニットは、示されるように、対応するリボヌクレオシド(1)から調製し得る。モルホリノサブユニット(2)は、好適な保護基前駆体、例えば、塩化トリチルとの反応によって任意に保護され得る。3’保護基は、概して、以下により詳細に記載されるように、固体オリゴマー合成中に除去する。塩基対合部分は、固相オリゴマー合成に対して好適に保護され得る。好適な保護基としては、アデニンおよびシトシンに対するベンゾイル、グアニンに対するフェニルアセチル、およびヒポキサンチン(イノシン)に対するピバロイルオキシメチルが挙げられる。ピバロイルオキシメチル基は、ヒポキサンチン複素環塩基のN1位置に導入することができる。保護されていないヒポキサンチンサブユニットを用いてもよいが、活性化反応における収率は、塩基が保護されている場合にはるかに優れている。他の好適な保護基としては、米国特許第8,076,476号に開示されているものが挙げられ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
3と、活性化されたリン化合物4との反応により、所望の連結部分5を有するモルホリノサブユニットを得る。
構造4の化合物は、当業者に既知の任意の数の方法を使用して調製することができる。次いで、モルホリノ部分とのカップリングは、上記に概説されるように進む。
構造5の化合物は、サブユニット間連結を含むオリゴマーを調製するための固相オリゴマー合成に使用することができる。そのような方法は、当該技術分野で周知である。簡潔に言うと、構造5の化合物は、5’末端で修飾され、固体支持体へのリンカーを含有し得る。一旦支持されると、3’末端の5の保護基(例えば、トリチル)を除去し、遊離アミンを、構造5の第2の化合物の活性化リン部分と反応させる。この配列は、所望の配列のオリゴが得られるまで繰り返される。末端の3’末端の保護基は、3’修飾が所望される場合、除去されるか、またはそのままにされるかのいずれかであり得る。オリゴは、任意の数の方法、または固体支持体への連結を切断するための塩基を用いた例示的な処理を使用して、固体支持体から除去することができる。
本開示の一般的および具体的なモルホリノオリゴマーにおけるモルホリノオリゴマーの調製は、実施例においてより詳細に説明される。
モルホリノオリゴマーの調製
本開示の化合物の調製は、スキーム2に従って、以下のプロトコルを使用して実施することができる。
Figure 2024023406000143
トリチルピペラジンフェニルカルバメート35の調製:ジクロロメタン中の化合物11の冷却懸濁液(6mL/gの11)に、水中の炭酸カリウム(3.2当量)の溶液(4mL/gの炭酸カリウム)を添加する。この二相混合物に、ジクロロメタン中のクロロギ酸フェニル(1.03当量)の溶液(2g/gのクロロギ酸フェニル)をゆっくりと添加する。反応混合物を20℃に加温する。反応完了時(1~2時間)に、層を分離する。有機層を水で洗浄し、無水炭酸カリウム上で乾燥させる。生成物35をアセトニトリルからの結晶化によって単離する。
カルバメートアルコール36の調製:水素化ナトリウム(1.2当量)を、1-メチル-2-ピロリジノン中に懸濁する(32mL/gの水素化ナトリウム)。トリエチレングリコール(10.0当量)および化合物35(1.0当量)を、この懸濁液に添加し得る。得られたスラリーを95℃に加熱する。反応完了時(1~2時間)に、混合物を20℃に冷却する。この混合物に、30%のジクロロメタン/メチルtert-ブチルエーテル(v:v)および水を添加する。生成物含有有機層を、水性NaOH、水性コハク酸、および飽和水性塩化ナトリウムで連続的に洗浄する。生成物36を、ジクロロメタン/メチルtert-ブチルエーテル/ヘプタンからの結晶化によって単離する。
テール酸37の調製:テトラヒドロフラン中の化合物36の溶液(7mL/gの36)に、コハク酸無水物(2.0当量)およびDMAP(0.5当量)を添加する。混合物を50℃に加熱する。反応完了時(5時間)に、混合物を20℃に冷却し、水性NaHCOを用いてpH8.5に調整する。メチルtert-ブチルエーテルを添加し、生成物を水層中に抽出する。ジクロロメタンを添加し、水層混合物を水性クエン酸でpH3に調整する。生成物含有有機層を、pH=3のクエン酸緩衝液と飽和水性塩化ナトリウムの混合物で洗浄する。この37のジクロロメタン溶液を、化合物38の調製において単離することなく使用する。
38の調製:N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミド(HONB)(1.02当量)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.34当量)、次いで1-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(1.1当量)を、化合物37の溶液に添加する。混合物を55℃に加熱する。反応完了時(4~5時間)に、混合物を20℃に冷却し、1:1の0.2Mクエン酸/ブラインおよびブラインで連続的に洗浄する。ジクロロメタン溶液を、アセトンへ、次いでN,N-ジメチルホルムアミドへ溶媒交換させ、生成物を、アセトン/N,N-ジメチルホルムアミドから飽和水性塩化ナトリウム中への沈殿によって単離する。粗生成物を水中で数回再スラリー化して、残留N,N-ジメチルホルムアミドおよび塩を除去する。
PMO合成方法A:ジスルフィドアンカーの使用
アンカー装填樹脂への活性化「テール」の導入を、固相合成中のサブユニットの組み込みに使用される手順によって、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)中で実施する。
Figure 2024023406000144
この手順を、シラン処理したジャケット付きペプチド槽(ChemGlass,NJ,USA)内で、粗多孔性(40~60μm)ガラスフリット、オーバーヘッド撹拌器、およびテフロン(登録商標)三方活栓を用いて実施して、Nがフリットまたは真空抽出によって泡立つことを可能にし得る。
以下の手順の樹脂処理/洗浄ステップは、樹脂流動化または撹拌床反応器および溶媒/溶液抽出の2つの基本操作からなる。樹脂流動化については、Nがフリットによって上方に流動することを可能にするように活栓を配置し、指定の樹脂処理/洗浄液を反応器に添加し、樹脂に浸透させ、完全に湿らせる。次いで、混合を開始し、樹脂スラリーを所定時間混合する。溶媒/溶液抽出については、混合およびN流動を停止し、真空ポンプを起動し、次いで、樹脂処理/洗浄液を排出して廃棄することを可能にするように活栓を配置する。特に記載のない限り、樹脂処理/洗浄液体積は全て、15mL/gの樹脂である。
1-メチル-2-ピロリジノン(NMP;20mL/g樹脂)を、シラン処理したジャケット付きペプチド槽内のアミノメチルポリスチレン樹脂(100~200メッシュ;窒素置換に基づいて約1.0mmol/g装填;75g、1当量、Polymer Labs,UK、部品番号1464-X799)に添加し、樹脂を、1~2時間混合しながら膨潤させる。膨潤溶媒の排出後、樹脂をジクロロメタン(2×1~2分)、25%イソプロパノール/ジクロロメタン中の5%ジイソプロピルエチルアミン(2×3~4分)、およびジクロロメタン(2×1~2分)で洗浄する。最終洗浄液の排出後、樹脂を、1-メチル-2-ピロリジノン中のジスルフィドアンカー34の溶液(0.17M;15mL/g樹脂、約2.5当量)で処理し、樹脂/試薬混合物を45℃で60時間加熱する。反応完了時に、加熱を中断し、アンカー溶液を排出し、1-メチル-2-ピロリジノン(4×3~4分)およびジクロロメタン(6×1~2分)で樹脂を洗浄する。樹脂を、ジクロロメタン中の10%(v/v)二炭酸ジエチル(DEDC)の溶液(16mL/g、2×5~6分)で処理し、次いで、ジクロロメタン(6×1~2分)で洗浄する。樹脂39を、N流下で1~3時間、次いで真空下で一定重量(±2%)になるまで乾燥させる。
アミノメチルポリスチレン-ジスルフィド樹脂の装填量の決定:樹脂の装填量(潜在的に利用可能な反応部位の数)を、樹脂1グラム当たりのトリフェニルメチル(トリチル)基の数の分光アッセイによって決定する。
既知の重量の乾燥樹脂(25±3mg)をシラン処理した25mLのメスフラスコに移し、ジクロロメタン中の約5mLの2%(v/v)トリフルオロ酢酸を添加する。内容物を穏やかに旋回させて混合し、次いで30分間放置する。体積は、追加のジクロロメタン中の2%(v/v)トリフルオロ酢酸で最大25mLになり、内容物を完全に混合する。ポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用して、トリチル含有溶液(500μL)のアリコートを10mLのメスフラスコに移し、その体積をメタンスルホン酸で10mLにする。
最終溶液中のトリチルカチオン含有量を、431.7nmのUV吸光度によって測定し、樹脂装填量を、適切な体積、希釈、消散係数(ε:41μmol-1cm-1)、および樹脂重量を使用して、樹脂1グラム当たりのトリチル基(μmol/g)で計算する。アッセイを三つ組で実施し、平均装填量を計算する。
本実施例の樹脂装填手順は、約500μmol/gの装填量を樹脂に提供する。ジスルフィドアンカー組み込みステップを室温で24時間実施する場合、300~400μmol/gの装填量を得る。
テール装填量:アミノメチルポリスチレン-ジスルフィド樹脂の調製と同じ設定および体積を使用して、テールを固体支持体に導入することができる。アンカー装填樹脂を、最初に酸性条件下で脱保護し、得られた材料をカップリング前に中和する。カップリングステップでは、ジスルフィドアンカー溶液の1-メチル-2-ピロリジノンの代わりに、4-エチルモルホリン(NEM、0.4M)を含有するDMI中の38の溶液(0.2M)を使用する。45℃で2時間後、樹脂39を25%イソプロパノール/ジクロロメタン中の5%ジイソプロピルエチルアミンで2回、およびDCMで1回洗浄する。無水安息香酸(0.4M)およびNEM(0.4M)の溶液を、樹脂に添加する。25分後、反応器ジャケットを室温に冷却し、樹脂を25%イソプロパノール/ジクロロメタン中の5%ジイソプロピルエチルアミンで2回、およびDCMで8回洗浄する。樹脂40を濾過し、高真空下で乾燥させる。樹脂40の装填量を、テール装填量で使用される元のアミノメチルポリスチレン-ジスルフィド樹脂39の装填量と定義する。
固相合成:モルホリノオリゴマーを、4mLのBioCommaポリプロピレン反応カラム(部品番号CT003-BC)中の特別注文製BioAutomation 128AVB(Plano,TX)上で調製する。カラムを合成器上に置く場合、水流用のチャネルを備えたアルミニウムブロックをカラムの周囲に配置する。AVB128は代替的に試薬/洗浄溶液を添加し、指定の時間保持し、真空を使用してカラムを空にする。
最大約25サブユニットの長さの範囲のオリゴマーについては、500μmol/gに近い樹脂の装填量を伴うアミノメチルポリスチレンジ-スルフィド樹脂が好ましい。より大きいオリゴマーについては、300~400μmol/gの樹脂の装填量を伴うアミノメチルポリスチレン-ジスルフィド樹脂が好ましい。5’-テールを有する分子が所望される場合、テールが装填されている樹脂は、同じ装填量ガイドラインで選択される。
以下の試薬溶液を調製する。
脱トリチル化溶液:4:1のジクロロメタン/トリフルオロエタノール溶液中の1%の4シアノピリジンおよびトリフルオロ酢酸(w/w);
中和溶液:5:1のジクロロメタン/イソプロパノール溶液中の3%のジイソプロピルエチルアミン;ならびに
カップリング溶液:1,3-ジメチルイミダゾリジノン(DMI)溶液中の所望の塩基および連結型の0.18M(または20サブユニットよりも長く成長しているオリゴマーについては0.24M)の活性化モルホリノサブユニットならびに0.4MのN-エチルモルホリン。
ジクロロメタン(DCM)を、異なる試薬溶液洗浄液を分離する移行洗浄液として使用する。
ブロックを42℃に設定した合成器において、2mLの1-メチル-2-ピロリジノンを、30mgのアミノメチルポリスチレン-ジスルフィド樹脂(またはテール樹脂)を含有する各カラムに添加して、室温で30分間放置する。2mLのジクロロメタンで2回洗浄した後、以下の合成サイクルを用い得る。
Figure 2024023406000145
個々のオリゴマーの配列を、各カラムが適切な配列中の適切なカップリング溶液(A、C、G、T、またはI)を受けるように合成器にプログラムする。カラム内のオリゴマーがその最終サブユニットの組み込みを完了したとき、カラムをブロックから除去し、4-メトキシトリフェニルメチルクロリド(DMI中0.32M)および0.89Mの4-エチルモルホリンを含有するカップリング溶液を使用して、手動で最終サイクルを実施する。
樹脂からの切断ならびに塩基および骨格保護基の除去:メトキシトリチル化後、樹脂を2mLの1-メチル-2-ピロリジノンで8回洗浄する。1-メチル-2-ピロリジノン中の0.1Mの1,4-ジチオスレイトール(DTT)および0.73Mのトリエチルアミンからなる1mLの切断溶液を添加し、カラムに蓋をし、室温で30分間放置する。その後、12mLのWheatonバイアルに排出する。大きく収縮した樹脂を300μLの切断溶液で2回洗浄する。溶液に、4.0mLの濃縮水性アンモニア(-20℃で保存)を添加し、バイアルに(テフロン(登録商標)ライナー付きスクリューキャップで)きつく蓋をし、混合物を旋回させて溶液を混合する。バイアルを45℃のオーブン内に16~24時間置き、塩基および骨格保護基の切断をもたらす。
粗生成物精製:バイアル入りのアンモノリシス溶液をオーブンから取り出し、室温に冷却させる。溶液を20mLの0.28%水性アンモニアで希釈し、Macroprep HQ樹脂(BioRad)を含有する2.5×10cmのカラムに通す。塩勾配(A:0.28%アンモニア、B:0.28%アンモニア中の1M塩化ナトリウム、60分間で0~100% B)を使用して、メトキシトリチル保護オリゴマーを溶出する。組み合わせた画分をプールし、所望の生成物に応じてさらに処理する。
モルホリノオリゴマーの脱メトキシトリチル化:Macroprep精製からのプールされた画分を1MのHPOで処理して、pHを2.5に低下させる。最初の混合後、試料を室温で4分間放置し、その時点で2.8%アンモニア/水でpH10~11に中和する。生成物を固相抽出(SPE)によって精製する。
SPEカラム充填および調整:Amberchrome CG-300M(Dow Chemicals(Rohm and Haas);Midland,MI)(3mL)を、20mLフリットカラム(BioRad Econo-Pac Chromatography Columns(732-1011))に充填し、樹脂を、3mLの以下:0.28% NHOH/80%アセトニトリル;0.5M NaOH/20%エタノール;水;50mM HPO/80%アセトニトリル;水;0.5 NaOH/20%エタノール;水;0.28% NHOHですすぐ。
SPE精製:脱メトキシトリチル化からの溶液をカラムに装填し、樹脂を8mLの0.28%水性アンモニアで3回すすぐ。Wheatonバイアル(12mL)をカラムの下に配置することができ、生成物を、0.28%水性アンモニア水中の2mLの45%アセトニトリルで2回洗浄することによって溶出することができる。
生成物単離:溶液をドライアイス中で凍結させ、バイアルを凍結乾燥機に少なくとも2日間入れ、ふわふわした白色粉末を得る。次いで、試料を水中に溶解し、シリンジを使用して0.22ミクロンのフィルタ(Pall Life Sciences、Acrodisc 25mmシリンジフィルタ、0.2ミクロンのHT Tuffryn膜を備える)に通して濾過し、光学密度(OD)をUV分光光度計上で測定して、存在するオリゴマーのOD単位を決定し、かつ分析用の試料を分注する。次いで、溶液を、凍結乾燥のためにWheatonバイアルに戻す。
MALDIによるモルホリノオリゴマーの分析:MALDI-TOF質量分析を使用して、精製物中の画分の組成を決定し、かつオリゴマーの同一性(分子量)の証拠を得ることができる。3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸(シナピン酸)、3,4,5-トリヒドキシアセトフェノン(THAP)、またはアルファ-シアノ-4-ヒドキシケイ皮酸(HCCA)の溶液をマトリックスとして用いて希釈した後、試料を実験することができる。
PMO合成方法B:ニトロカルボキシフェニルプロピル(NCP2)アンカーの使用
NCP2アンカー合成:
1.4-フルオロ-3-ニトロ安息香酸メチルの調製(1)
Figure 2024023406000146

12.7kgの4-フルオロ-3-ニトロ安息香酸、40kgのメタノール、および2.82kgの濃硫酸を、100Lフラスコに添加することができる。混合物を、36時間還流撹拌(65℃)する。反応混合物を0℃に冷却する。結晶を約38℃で形成することができる。混合物を0℃で4時間保持し、次いで窒素下で濾過する。100Lフラスコを洗浄し、濾過ケーキを、0℃に冷却されている10kgのメタノールで洗浄する。固体濾過ケーキを漏斗上で1時間乾燥させ、トレイに移し、室温において真空オーブン内で一定重量になるまで乾燥させる。
2.3-ニトロ-4-(2-オキソプロピル)安息香酸の調製
A.(Z)-メチル4-(3-ヒドロキシ-1-メトキシ-1-オキソブタ-2-エン-2-イル)-3-ニトロ安息香酸塩(2)
Figure 2024023406000147

3.98kgの前のステップからの4-フルオロ-3-ニトロ安息香酸メチル(1)、9.8kgのDMF、および2.81kgのアセト酢酸メチルを、100Lフラスコに添加することができる。混合物を撹拌し、0℃に冷却する。温度を5℃以下に維持しながら、3.66kgのDBUを約4時間にわたって添加する。混合物をさらに1時間撹拌する。反応温度を15℃以下に維持しながら、37.5kgの精製水中の8.15kgのクエン酸の溶液を添加する。添加後、反応混合物をさらに30分間撹拌し、次いで窒素下で濾過する。湿潤濾過ケーキを14.8kgの精製水と共に100Lフラスコに戻す。スラリーを10分間撹拌し、次いで濾過する。湿潤ケーキを100Lフラスコに再び戻し、14.8kgの精製水で10分間スラリー化し、粗(Z)-メチル4-(3-ヒドロキシ-1-メトキシ-1-オキソブタ-2-エン-2-イル)-3-ニトロ安息香酸塩に濾過した。
B.3-ニトロ-4-(2-オキソプロピル)安息香酸
Figure 2024023406000148

粗(Z)-メチル4-(3-ヒドロキシ-1-メトキシ-1-オキソブタ-2-エン-2-イル)-3-ニトロ安息香酸塩を、窒素下で100L反応フラスコに充填することができる。14.2kgの1,4-ジオキサンを添加し、次いで撹拌する。反応混合物の温度を15℃未満に維持しながら、16.655kgの濃縮HClおよび13.33kgの精製水の溶液(6M HCl)を2時間にわたって添加する。添加が完了すると、反応混合物を24時間還流加熱(80℃)し、室温に冷却し、窒素下で濾過する。固体濾過ケーキを14.8kgの精製水で粉砕し、濾過し、14.8kgの精製水で再び粉砕し、濾過する。固体を39.9kgのDCMと共に100Lフラスコに戻し、1時間撹拌しながら還流させる。1.5kgの精製水を添加して、残りの固体を溶解する。底部有機層を、予め加温した72Lフラスコに分配し、次いで、清潔な乾燥100Lフラスコに戻す。溶液を0℃に冷却し、1時間保持し、次いで濾過する。固体濾過ケーキを、9.8kgのDCMおよび5kgのヘプタンの溶液でそれぞれ2回洗浄し、次いで漏斗上で乾燥させる。固体をトレイに移し、1.855kgの一定重量の3-ニトロ-4-(2-オキソプロピル)安息香酸になるまで乾燥させる。
3.N-トリチルピペラジンコハク酸塩(NTP)の調製
Figure 2024023406000149

1.805kgのトリフェニルメチルクロリドおよび8.3kgのトルエン(TPC溶液)を、窒素下で72Lジャケット付きフラスコに充填することができる。混合物を、固体が溶解するまで撹拌する。5.61kgのピペラジン、19.9kgのトルエン、および3.72kgのメタノールを、窒素下で100Lジャケット付き反応フラスコに添加する。混合物を撹拌し、0℃に冷却する。反応温度を10℃以下に維持しながら、TPC溶液を、数回に分けて4時間にわたってゆっくりと添加する。混合物を10℃で1.5時間撹拌し、次いで14℃に加温させる。32.6kgの精製水を72Lフラスコに充填し、次いで内部バッチ温度を20+/-5℃に維持しながら、100Lフラスコに移すことができる。層を分割させ、底部水層を分離および保存する。有機層をそれぞれ32kgの精製水で3回抽出し、水層を分離し、保存された水溶液と組み合わせる。
残りの有機層を18℃に冷却し、10.87kgの精製水中の847gのコハク酸の溶液を、数回に分けてゆっくりと有機層に添加する。混合物を20+/-5℃で1.75時間撹拌する。混合物を濾過し、固体を2kgのTBMEおよび2kgのアセトンで洗浄し、次いで漏斗上で乾燥させる。濾過ケーキを、それぞれ5.7kgのアセトンで2回粉砕し、濾過し、粉砕間に1kgのアセトンで洗浄する。固体を漏斗上で乾燥させ、次いでトレイに移し、室温において真空オーブン内で一定重量になるまで乾燥させる。
4.(4-(2-ヒドロキシプロピル)-3-ニトロフェニル)(4-トリチルピペラジン-1-イル)メタノンの調製
A.1-(2-ニトロ-4(4-トリチルピペラジン-1-カルボニル)フェニル)プロパン-2-オンの調製
Figure 2024023406000150

2kgの3-ニトロ-4-(2-オキソプロピル)安息香酸(3)、18.3kgのDCM、および1.845kgのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)を、窒素下で100Lジャケット付きフラスコに充填することができる。溶液を、均質な混合物が形成されるまで撹拌する。3.048kgのNTPを室温で30分間にわたって添加し、8時間撹拌する。5.44kgの精製水を反応混合物に添加し、30分間撹拌する。層を分離させ、生成物を含有する底部有機層を排出および保存する。水層を5.65kgのDCMで2回抽出する。組み合わせた有機層を、4.08kgの精製水中の1.08kgの塩化ナトリウムの溶液で洗浄する。有機層を1.068kgの硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過する。硫酸ナトリウムを、1.3kgのDCMで洗浄する。組み合わせた有機層を、252gのシリカゲルでスラリー化し、252gのシリカゲルの床を含有するフィルタ漏斗を通して濾過する。シリカゲル床を、2kgのDCMで洗浄する。組み合わせた有機層をロータリーエバポレーター上で蒸発させ、次いで4.8kgのTHFを残渣に添加し、THF中の2.5体積の粗1-(2-ニトロ-4(4-トリチルピペラジン-1-カルボニル)フェニル)プロパン-2-オンに達するまでロータリーエバポレーター上で蒸発させる。
B.(4-(2-ヒドロキシプロピル)-3-ニトロフェニル)(4-トリチルピペラジン-1-イル)メタノン(5)の調製
Figure 2024023406000151

3600gの前のステップからの4および9800gのTHFを、100Lジャケット付きフラスコに窒素下で充填することができる。撹拌溶液を5℃以下に冷却する。溶液を11525gのエタノールで希釈し、194gの水素化ホウ素ナトリウムを5℃以下で約2時間にわたって添加する。反応混合物を5℃以下でさらに2時間撹拌する。反応を、3kgの水中の1.1kgの塩化アンモニウムの溶液をゆっくりと添加することによってクエンチして、温度を10℃以下に維持する。反応混合物をさらに30分間撹拌し、濾過して無機物を除去し、100Lジャケット付きフラスコに再充填し、23kgのDCMで抽出する。有機層を分離し、水層をそれぞれ4.7kgのDCMでさらに2回抽出する。組み合わせた有機層を、3kgの水中の800gの塩化ナトリウムの溶液で洗浄し、次いで2.7kgの硫酸ナトリウム上で乾燥させる。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを2kgのDCMで洗浄する。組み合わせた濾液を2.0体積に濃縮し、約360gの酢酸エチルで希釈し、蒸発させる。粗生成物を、窒素下で、DCMで充填した4kgのシリカのシリカゲルカラムに装填し、7.2kgのDCM中の2.3kgの酢酸エチルで溶出する。組み合わせた画分を蒸発させ、残渣を11.7kgのトルエンに取り込む。トルエン溶液を濾過し、濾過ケーキをそれぞれ2kgのトルエンで2回洗浄する。濾過ケーキを、一定重量になるまで乾燥させる。
5.2,5-ジオキソピロリジン-1-イル(1-(2-ニトロ-4-(4-トリフェニルメチルピペラジン-1カルボニル)フェニル)プロパン-2-イル)炭酸塩(NCP2アンカー)の調製
Figure 2024023406000152

4.3kgの化合物5(H NMRによる残留トルエンに基づいて調整した重量;これ以降の全ての試薬は適宜スケール調整される)および12.7 kgのピリジンを、100Lジャケット付きフラスコに窒素下で充填することができる。3.160kgのDSC(H NMRにより78.91重量%)を、内部温度を35℃以下に維持しながらこれに添加する。反応混合物を周囲室温で約22時間エージングし、次いで濾過する。濾過ケーキを、200gのピリジンで洗浄する。それぞれ1/2の濾液体積を含む2つのバッチにおいて、濾液洗浄液を、50kgの水中の11kgのクエン酸の溶液を含有する100Lジャケット付きフラスコにゆっくりと充填し、30分間撹拌して、固体沈殿を可能にすることができる。固体をフィルタ漏斗で回収し、1回の洗浄当たり4.3kgの水で2回洗浄し、フィルタ漏斗上で、真空下で乾燥させる。
組み合わせた固体を、100Lジャケット付きフラスコに充填し、28kgのDCM中に溶解し、4.3kgの水中の900gの炭酸カリウムの溶液で洗浄する。1時間後、層を分離させ、水層を除去する。有機層を10kgの水で洗浄し、分離し、3.5kgの硫酸ナトリウム上で乾燥させる。DCMを濾過し、蒸発させ、真空下で6.16kgのNCP2アンカーになるまで乾燥させる。
NCP2アンカー装填樹脂合成
約52LのNMPおよび2300gのアミノメチルポリスチレン樹脂を、テフロン(登録商標)活栓を備えた75L固相合成反応器に充填し得る。樹脂を、NMP中で約2時間撹拌して膨潤させ、次いで排出する。樹脂を、1回の洗浄当たり4LのDCMで2回、次いで1回の洗浄当たり39Lの中和溶液で2回、次いで1回の洗浄当たり39LのDCMで2回洗浄する。NCP2アンカー溶液を撹拌樹脂溶液にゆっくりと添加し、室温で24時間撹拌し、次いで排出する。樹脂を、1回の洗浄当たり39LのNMPで4回、および1回の洗浄当たり39LのDCMで6回洗浄する。樹脂を、1/2の二炭酸ジエチル(DEDC)キャッピング溶液で30分間処理および撹拌し、排出し、残りの1/2のDEDCキャッピング溶液で30分間処理および撹拌し、排出する。樹脂を、1回の洗浄当たり39LのDCMで6回洗浄し、次いでオーブン内で3573.71gの一定重量のアンカー装填樹脂になるまで乾燥させる。
NCP2アンカーを使用したモルホリノオリゴマーの調製
PMO粗原薬の50L固相合成
1.材料
Figure 2024023406000153
出発材料の化学構造:
A.活性化EG3テール
Figure 2024023406000154
B.活性化Cサブユニット(調製については、米国特許第8,067,571号を参照)
Figure 2024023406000155
C.活性化Aサブユニット(調製については、米国特許第8,067,571号を参照)
Figure 2024023406000156
D.活性化DPGサブユニット(調製については、WO2009/064471を参照)
Figure 2024023406000157
E.活性化Tサブユニット(調製については、WO2013/082551を参照)
Figure 2024023406000158
F.アンカー装填樹脂
Figure 2024023406000159

式中、Rは、支持媒体である。
Figure 2024023406000160
2.PMO粗原薬の合成
A.樹脂膨潤
750gのアンカー装填樹脂および10.5LのNMPのアリコートを、50Lのシラン処理した反応器に充填し、3時間撹拌し得る。NMPを排出し、アンカー装填樹脂を、それぞれ5.5LのDCMで2回、およびそれぞれ5.5Lの30% TFE/DCMで2回、洗浄する。
B.サイクル0:EG3テールカップリング
アンカー装填樹脂を、それぞれ5.5Lの30% TFE/DCMで3回洗浄し、排出し、5.5LのCYTFA溶液で15分間洗浄し、排出し、5.5LのCYTFA溶液で15分間、排出することなく再び洗浄し、それに122mLの1:1のNEM/DCMを充填し、懸濁液を2分間撹拌し、排出し得る。樹脂を、5.5Lの中和溶液で5分間、2回洗浄し、排出し、次いでそれぞれ5.5LのDCMで2回洗浄し、排出する。3LのDMI中の706.2gの活性化EG3テールおよび234mLのNEMの溶液を樹脂に充填し、室温で3時間撹拌し、排出し得る。樹脂を、1回の洗浄当たりそれぞれ5.5Lの中和溶液で5分間、2回、次いで5.5LのDCMで1回洗浄し、排出する。2680mLのNMP中の374.8gの無水安息香酸および195mLのNEMの溶液を充填し、15分間撹拌し、排出し得る。樹脂を、5.5Lの中和溶液で5分間撹拌し、次いで5.5LのDCMで1回、およびそれぞれ5.5Lの30% TFE/DCMで2回洗浄する。樹脂を、5.5Lの30% TFE/DCM中に懸濁し、14時間保持する。
C.サブユニットカップリングサイクル1~n
Figure 2024023406000161

i.カップリング前の処理
各カップリングサイクルの前に、樹脂を、1)30% TFE/DCMで洗浄し、2)a)CYTFA溶液で15分間処理し、排出し、b)CYTFA溶液で15分間処理し、それに1:1のNEM/DCMを添加し、撹拌し、排出し、3)中和溶液で3回撹拌し、4)DCMで2回洗浄する。
ii.カップリング後の処理
各サブユニット溶液を排出した後、樹脂を、1)DCMで洗浄し、2)30% TFE/DCMで2回洗浄する。樹脂を次のカップリングサイクルの前に一定期間保持する場合、2回目のTFE/DCM洗浄液は排出せず、樹脂を当該TFE/DCM洗浄溶液中に保持する。
iii.活性化サブユニットカップリングサイクル
各カップリングサイクルを、各塩基含有サブユニットについて表3に初期C(シトシン)モノマーカップリングについて概説するように実施する。
iv.最終IPA洗浄
最終カップリングステップを実施した後、樹脂を、それぞれ19.5LのIPAで8回洗浄し、真空下で室温で約63.5時間乾燥させて、乾燥重量を5,579.8gとする。
C.切断
上記の樹脂結合PMO粗原薬を2ロットに分割し、各ロットを以下のように処理する。2,789.9gの樹脂のロットを、1)10LのNMPで2時間撹拌し、次いで、NMPを排出し、2)それぞれ10Lの30% TFE/DCMで3回洗浄し、3)10LのCYTFA溶液で15分間処理し、4)10LのCYTFA溶液で15分間処理し、次いでそれに130mLの1:1のNEM/DCMを添加し、2分間撹拌し、排出する。樹脂を、それぞれ10Lの中和溶液で3回処理し、10LのDCMで6回、およびそれぞれ10LのNMPで8回洗浄する。樹脂を、6.96LのNMP中の1530.4gのDTTおよび2980DBUの切断溶液で2時間処理し、PMO粗原薬を樹脂から切り離す。切断溶液を排出し、別個の槽に保持する。反応器および樹脂を、切断溶液と組み合わせた4.97LのNMPで洗浄する。
D.脱保護
組み合わせた切断溶液とNMP洗浄液を圧力槽に移し、それに、冷凍庫内で-10℃~-25℃の温度に予め冷却した39.8LのNHOH(NH・HO)を添加した。圧力槽を密封し、45℃に16時間加熱し、次いで25℃に冷却させる。PMO粗原薬を含有するこの脱保護溶液を、精製水で3:1に希釈し、pHを2Mリン酸で3.0に、次いでNHOHでpH8.03に調整する。
PMO粗原薬の精製
PMO粗原薬を含有する上記のパートDからの脱保護溶液を、ToyoPearl Super-Q 650Sアニオン交換樹脂(Tosoh Bioscience)のカラム上に装填し、17カラム体積に対して0~35%Bの勾配で溶出し(緩衝液A:10mMの水酸化ナトリウム、緩衝液B:10mMの水酸化ナトリウム中の1Mの塩化ナトリウム)、許容される純度の画分(C18およびSCX HPLC)をプールして、精製された製剤溶液とする。
精製された原薬溶液を脱塩し、凍結乾燥させて、精製されたPMO原薬とする。
Figure 2024023406000162
CPPコンジュゲート化(発現順にそれぞれ以下に開示される配列番号47および47)
Figure 2024023406000163

分析手順:マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量スペクトル(MALDI-TOF-MS)を、シナピン酸(SA)マトリックスを使用して、Bruker Autoflex(商標)Speed上で記録することができる。3000ダイオードアレイ検出器およびProPacTM SCX-20カラム(250×4mm)を備えたThermo Dionex UltiMate 3000システム上で、1.0mL/分の流速(pH=2、カラム温度30℃)を使用して、SCX-HPLCを実施することができる。移動相は、A(24mMのHPOを含有する水中の25%アセトニトリル)およびB(1MのKClおよび24mMのHPOを含有する水中の25%アセトニトリル)であり得る。勾配溶出を用い得る:0分、35% B;2分、35% B;22分、80% B;25分、80% B;25.1分、35% B;30分、35% B。
Ac-L-Arg-L-Arg-L-Arg-L-Arg-L-Arg-L-Arg-Gly-OH(配列番号47)ヘキサトリフルオロ酢酸塩(614.7mg、0.354mmol)、および1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサトリフルオロリン酸塩(HATU、134.4mg、0.354mmol)、およびジメチルスルホキシド(DMSO、20mL)を、PMO(2日間の凍結乾燥によって新たに乾燥させた)の混合物に添加する。混合物を室温で3分間撹拌し、次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、68.5mg、0.530mmol)を添加する。5分後、濁った混合物は、透明な溶液になる。反応をSCX-HPLCによって監視することができる。2時間後、20mLの10%水酸化アンモニウム溶液(2.8% NH*HO)を添加する。混合物を室温でさらに2時間撹拌する。反応を400mLの水の添加によって終了する。トリフルオロエタノール(2.0mL)を溶液に添加する。
溶液を2つの分量に分割し、各分量をWCXカラム(カラム当たり10gの樹脂)によって精製することができる。各WCXカラムを、最初に水中の20%アセトニトリル(v/v)で洗浄して、PMO出発材料を除去する。MALDI-TOF質量スペクトル分析がPMOシグナルの不在を示す場合、洗浄(各カラムに対して225mL)を停止することができる。次いで、各カラムを水(カラム当たり100mL)で洗浄する。所望の生成物を、2.0MのグアニジンHCl(各カラムに対して140mL)で溶出することができる。精製溶液を一緒にプールし、次いで2つの分量に分割し、各々をSPEカラム(各カラムに対して10gの樹脂)によって脱塩する。
SPEカラムを、最初に1.0MのNaCl水溶液(各カラムに対して100mL)で洗浄して、六塩酸塩の塩形態を生成することができる。次いで、各SPEカラムを水(各カラムに対して200mL)で洗浄する。最終脱塩生成物は、水中の50%アセトニトリル(v/v、各カラムに対して150mL)を使用して溶出することができる。アセトニトリルは減圧下で排出することにより除去することができる。得られた水溶液を凍結乾燥して、六塩酸塩として所望の生成物を得ることができる。
実施例1:PMO
上述のPMO合成方法AまたはBプロトコルを使用して、以下の構造に従うPMOを合成し、
Figure 2024023406000164

1~(n+1)個の各Nuは5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000165

ここで、Aは
Figure 2024023406000166

であり、Cは
Figure 2024023406000167

であり、Gは
Figure 2024023406000168

であり、Tは
Figure 2024023406000169

である。
PMOの純度は、個々のHPLC試験方法において、それぞれの純度規格を用いて測定する。
実施例2:PPMO
上述のプロトコルを使用して、以下の構造に従うPPMOを合成することができ、
Figure 2024023406000170

1~(n+1)個の各Nu(核酸塩基)は5’から3’に、以下のうちの1つにおける核酸塩基に対応し、
Figure 2024023406000171

ここで、Aは
Figure 2024023406000172

であり、Cは
Figure 2024023406000173

であり、Gは
Figure 2024023406000174

であり、Tは
Figure 2024023406000175

である。
実施例3:エクソン2のin vitroスキッピング(RD細胞)
ヒトジストロフィン(DMD)エクソン2、イントロン1、またはイントロン2を標的化するアンチセンスPMOオリゴマーを、横紋筋肉腫(RD)細胞におけるDMDエクソン2スキッピングについて評価した。
具体的には、ヒトRD細胞を、標準技術を使用してDMEMおよび10%FBS中で培養した。凍結乾燥したPMOを、ヌクレアーゼを含まない水中に約1.0mMで再懸濁し、モル濃度を検証するために、NanoDrop 2000分光光度計(Thermo Scientific社)を使用してPMO溶液を測定した。PMOを、製造業者の説明書およびSGキット(Lonza社)に従って、ヌクレオポレーションを使用してRD細胞に送達した。PMOを、示されている濃度で試験し、37℃、5%COのインキュベーター中で24時間培インキュベートした(24ウェルプレートのウェル当たり4×10細胞、n=3)。RNAを、GE Healthcare社製のRNAspin 96ウェルRNA単離キットを使用してPMO処理細胞から抽出し、標準的な技法、ならびに以下:エクソン2プライマーはエクソン1および3由来である、のように示されているエクソン由来のプライマーを使用してRT-PCRに供した。Caliper LabChipバイオアナライザーを使用してスキッピングを測定し、エクソンスキッピング%(すなわち、全長PCR産物と比較したエクソンスキッピングされた産物のバンド強度)を、式[エクソン2スキッピングされた産物/(エクソン2スキッピングされた産物とエクソン2スキッピングされていない産物との合計)×100]によって計算した。
実験の結果を以下の表に示す。対照は、エクソン51のスキッピングを誘導するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
Figure 2024023406000176

Figure 2024023406000177

*********************
本明細書で引用される全ての出版物および特許出願は、各個々の出版物または特許出願が具体的かつ個々に参照によって組み込まれるように指示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
Figure 2024023406000178

Figure 2024023406000179

Claims (1)

  1. 本明細書に記載の発明。
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