JP2024019837A - ハブユニット軸受 - Google Patents

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Yoshio Kamiya
達男 若林
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Abstract

【課題】摺接環がハブに対して軸方向内側に移動することを有効に抑えられるハブユニット軸受を提供する。【解決手段】ハブ3は、回転フランジ10のうち外輪2の軸方向外側の端部よりも径方向内側に位置する部分から軸方向内側に向けて突出し、かつ、溝肩部23に対して径方向外側に離隔した支持筒部24を有する。シール装置5は、摺接環20およびシールリング21を有する。摺接環20は、支持筒部24に外嵌される。シールリング21の少なくとも1本のシールリップ33a、33b、33cの先端部は、嵌合筒部29の外周面または側板部30の軸方向内側面に摺接する。【選択図】図2

Description

本開示は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受に関する。
自動車の車輪は、ハブユニット軸受により、懸架装置に対して回転自在に支持される。ハブユニット軸受は、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、かつ、外輪よりも軸方向外側に位置する部分に径方向外側に突出した回転フランジを有するハブと、複列の外輪軌道と複列の内輪軌道との間に転動自在に配置された複数個の転動体とを備える。外輪は、懸架装置に支持固定される。ハブの回転フランジには、車輪のホイールおよび制動用回転体が結合固定される。
なお、ハブユニット軸受に関して、軸方向外側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向外側であり、軸方向内側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向中央側である。
ハブユニット軸受は、外部からの泥水などの侵入を防止するため、外輪の内周面とハブの外周面との間に存在する転動体設置空間の軸方向外側の開口を塞ぐシール装置をさらに備える。従来、このようなシール装置として、外輪の軸方向外側の端部に支持固定され、かつ、それぞれの先端部をハブの軸方向中間部外周面または回転フランジの軸方向内側面に全周にわたり摺接させた複数本のシールリップを有するシールリングが広く知られている。
それぞれがシールリップの先端部を摺接させる部分である、ハブの軸方向中間部外周面および回転フランジの軸方向内側面には、総型の研削砥石である回転砥石を用いた仕上げの研削加工が施される。総型の研削砥石を用いてハブの表面に研削加工を施す際には、回転フランジの軸方向内側面に、対数螺旋状すなわち渦巻状の研削筋目が形成される可能性がある。このような研削筋目が形成されると、シールリップの先端部が回転フランジの軸方向内側面に貼り付いて摩擦抵抗が増大したり、シールリップの先端部が研削筋目の凹部の内側に深く入り込み、ハブが回転した際に、径方向に往復移動させられて振動し、シール鳴きと呼ばれる異音が発生したりする可能性がある。
その対策として、特開2017-129197号公報には、外輪の軸方向外側の端部に支持固定されたシールリングと、ハブの外周面のうち回転フランジと軸方向外側の内輪軌道との間に存在する円筒面状の溝肩部に圧入外嵌された金属板製の摺接環とを備え、シールリングを構成する複数のシールリップの先端部を摺接環の表面に摺接させたシール装置が記載されている。このシール装置では、複数本のシールリップの先端部を、表面粗さが良好で、加工筋目が素材の長手方向に一定な摺接環の表面に摺接させているため、シールリップの先端部の貼り付きによる摩擦抵抗の増大や異音の発生を抑えることができる。
ところで、ハブユニット軸受には、主に自動車が旋回走行する際に、遠心力が作用するためコーナー外側のタイヤに大きな荷重が加わるので、路面反力に基づくモーメント荷重が負荷される。この際に、溝肩部を含む、回転フランジの根元部の表面には、回転曲げ荷重が加わる。これに伴い、該表面には、半回転するごとに凹形状の変形と凸形状の変形とが交互に繰り返される態様の、繰り返し運動が生じる。このため、溝肩部に対する摺接環の嵌合力が不足していると、溝肩部に生じる凹凸変形の繰り返し運動を推進力として、摺接環がハブに対して軸方向内側に移動する可能性がある。摺接環がハブに対して軸方向内側に移動すると、摺接環の表面に対するシールリップの先端部の軸方向の締め代が増大して、シールトルクが増大する可能性があるため、好ましくない。
これに対して、特開2017-129197号公報に記載の従来構造では、摺接環の径方向内端部に備えられた嵌合筒部を、素材となる金属板をU字形に折り返してなる高剛性の筒部としている。これにより、溝肩部に対する摺接環の嵌合筒部の嵌合力を高めている。さらに、該従来構造では、溝肩部に形成された凸部を、摺接環の嵌合筒部に対し、軸方向内側から対向させている。これにより、嵌合筒部と凸部との係合に基づいて、摺接環がハブに対して軸方向内側に移動することを抑えられるようにしている。
特開2017-129197号公報
特開2017-129197号公報に記載の従来構造では、摺接環の嵌合筒部が高剛性であるため、嵌合筒部を溝肩部に圧入外嵌する際に、凸部を乗り越えさせることが困難である。また、従来構造では、加工精度の観点から、回転フランジと凸部との間で摺接環が軸方向に移動しないように設計することは困難であるため、回転フランジと凸部との間の軸方向寸法を、摺接環の軸方向寸法よりもやや大きく設計している。その結果、摺接環の嵌合筒部と凸部との間に、軸方向の隙間が生じ、該隙間の分だけ、摺接環がハブに対して軸方向内側に移動することが許容される。したがって、従来構造では、摺接環がハブに対して軸方向内側に移動することを有効に抑えられない。
本開示は、摺接環がハブに対して軸方向内側に移動することを有効に抑えられるハブユニット軸受を提供することを目的とする。
本開示の一態様のハブユニット軸受は、外輪と、ハブと、複数個の転動体と、シール装置とを備える。
前記外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有する。
前記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、かつ、前記外輪よりも軸方向外側に位置する部分に径方向外側に突出した回転フランジを有する。
前記複数個の転動体は、前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に配置されている。
前記シール装置は、摺接環およびシールリングを有し、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する転動体設置空間の軸方向外側の開口を塞ぐ。
前記ハブは、外周面のうち前記回転フランジと軸方向外側の前記内輪軌道との間に位置する部分に溝肩部、および、前記回転フランジのうち前記外輪の軸方向外側の端部よりも径方向内側に位置する部分から軸方向内側に向けて突出し、かつ、前記溝肩部に対して径方向外側に離隔した支持筒部を有する。
前記摺接環は、前記支持筒部に外嵌される嵌合筒部、および、該嵌合筒部の軸方向外側の端部から径方向外側に向けて伸長する側板部を有する。
前記シールリングは、前記外輪の軸方向外側の端部に固定され、かつ、前記嵌合筒部の外周面または前記側板部の軸方向内側面にその先端部を摺接させた少なくとも1本のシールリップを有する。
本開示の一態様のハブユニット軸受では、前記側板部の軸方向外側面が、前記回転フランジの軸方向内側面に対して軸方向に離隔して配置されている。
本開示の一態様のハブユニット軸受は、前記ハブと前記摺接環との間を密封する密封部材を備える。
本開示の一態様のハブユニット軸受の製造方法は、前記ハブの前記支持筒部を鍛造加工により形成する工程と、前記支持筒部の外周面と前記回転フランジの軸方向内側面と軸方向外側の前記内輪軌道とに対し、総型の研削砥石を用いて同時に研削加工を施す工程とを備える。
本開示の一態様のハブユニット軸受によれば、摺接環がハブに対して軸方向内側に移動することを有効に抑えられる。
図1は、本開示の実施の形態の第1例のハブユニット軸受を示す断面図である。 図2は、図1のA部拡大図である。 図3は、本開示の実施の形態の第2例のハブユニット軸受についての図2に相当する図である。 図4は、本開示の実施の形態の第3例のハブユニット軸受についての図2に相当する図である。 図5は、本開示の実施の形態の第4例のハブユニット軸受についての図2に相当する図である。
[第1例]
本開示の実施の形態の第1例のハブユニット軸受について、図1および図2を用いて説明する。
(ハブユニット軸受)
本開示のハブユニット軸受は、各種構造のハブユニット軸受に適用可能であるが、本例では、従動輪用のハブユニット軸受に適用する場合について説明する。
本例のハブユニット軸受1は、外輪2と、ハブ3と、複数個の転動体4a、4bと、シール装置5とを備える。
なお、ハブユニット軸受1に関する以下の説明中、軸方向外側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向外側となる図1の左側であり、軸方向内側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向中央側となる図1の右側である。
外輪2は、中炭素鋼などの硬質金属により構成されている。外輪2は、内周面に、複列の外輪軌道6a、6bを有する。さらに、外輪2は、軸方向中間部に、径方向外側に向けて突出した静止フランジ7を有する。静止フランジ7は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する支持孔8を有する。
本例では、支持孔8は、ねじ孔により構成されている。外輪2は、懸架装置のナックルに備えられた通孔を挿通した支持ボルトを、静止フランジ7の支持孔8に軸方向内側から螺合することで、懸架装置に対し支持固定され、車輪が回転する際にも回転しない。
ハブ3は、外周面に複列の内輪軌道9a、9bを有し、かつ、外輪2よりも軸方向外側に位置する部分に径方向外側に突出した回転フランジ10を有する。さらに、ハブ3は、軸方向外側の端部に、円筒状のパイロット部11を有する。ハブ3は、外輪2の径方向内側に、該外輪2と同軸に配置されている。
回転フランジ10は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する取付孔12を有する。取付孔12のそれぞれには、ディスクやドラムなどの制動用回転体、および、車輪を構成するホイールを、回転フランジ10に対し結合固定するためのスタッド13が圧入状態でセレーション嵌合されている。すなわち、本例では、取付孔12は、円筒孔により構成されている。
ハブ3は、外周面のうち、回転フランジ10と軸方向外側の内輪軌道9aとの間に位置する部分に、円筒面状の溝肩部23を有する。
本例のハブ3は、回転フランジ10のうち、外輪2の軸方向外側の端部よりも径方向内側に位置する部分から軸方向内側に向けて突出し、かつ、溝肩部23に対して径方向外側に離隔した支持筒部24(図1では図示省略)を有する。本例では、支持筒部24は、円筒形状を有する。支持筒部24の外周面は、シール装置5の摺接環20を外嵌する部分である。本例では、支持筒部24の外周面には、仕上加工としての研削加工が施されている。支持筒部24の軸方向内側部は、図2に示すように、外輪2の軸方向外側の端部と径方向に重畳する位置に配置される。ただし、本開示のハブユニット軸受を実施する場合には、支持筒部の軸方向内側部が、外輪の軸方向外側の端部と径方向に重畳しない構成を採用することもできる。
ハブ3は、支持筒部24の内周面と溝肩部23との間に、軸方向内側に開口する円環状の環状凹部25を有する。本例では、環状凹部25の内面、および、溝肩部23のうち環状凹部25よりも軸方向内側に位置する部分には、仕上加工としての研削加工が施されていない。なお、環状凹部25の内面は、該内面の底部である、回転フランジ10の軸方向内側面の径方向内端部47と、該内面の径方向外側の周面である、支持筒部24の内周面48と、該内面の径方向内側の周面である、溝肩部23のうち支持筒部24と径方向に重畳する部分49とからなる。
回転フランジ10の軸方向内側面は、支持筒部24の径方向外側に隣接する部分に内側平面部26、内側平面部26よりも径方向外側に位置する部分に内側平面部26よりも軸方向外側に配置された外側平面部27、および内側平面部26と外側平面部27との接続部に径方向外側を向いた略円すい筒面状の段部28を有する。
ブレーキディスクなどの制動用回転体および車輪のホイールは、それぞれの中心部に備えられた中心孔に、パイロット部11を挿通し、かつ、それぞれの径方向中間部の円周方向複数箇所に備えられた通孔に、スタッド13を挿通した状態で、スタッド13の先端部にハブナットを螺合することにより、回転フランジ10に結合固定される。
なお、回転フランジの取付孔を、ねじ孔により構成することもできる。この場合には、制動用回転体に備えられた通孔と、ホイールに備えられた通孔とを挿通したハブボルトを、取付孔に軸方向外側から螺合することにより、制動用回転体および車輪を回転フランジに結合固定する。
本例では、ハブ3は、内輪14とハブ輪15とを組み合わせてなる。
内輪14は、軸受鋼などの硬質金属により構成されている。内輪14は、外周面に、軸方向内側の内輪軌道9bを有する。
ハブ輪15は、中炭素鋼などの硬質金属により構成されている。ハブ輪15は、軸方向外側の内輪軌道9aと、回転フランジ10と、パイロット部11とを備える。
ハブ輪15は、軸方向外側の内輪軌道9aよりも軸方向内側に位置する部分に、軸方向外側に隣接する部分よりも外径が小さく、内輪14が外嵌される小径段部16を有する。さらに、ハブ輪15は、小径段部16の軸方向外側の端部に、軸方向内側を向いた段差面17を有し、かつ、小径段部16の軸方向内側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がったかしめ部18を有する。
ハブ3は、ハブ輪15の小径段部16に内輪14を外嵌し、かつ、ハブ輪15の段差面17とかしめ部18との間で内輪14を軸方向両側から挟持することにより、内輪14とハブ輪15とを結合固定することで構成されている。
なお、ハブ輪のうちで内輪の軸方向内側の端部から突出した軸方向内側の端部にナットを螺合することで、ハブ輪と内輪とを結合することもできる。
なお、本例のハブユニット軸受1は、従動輪用のハブユニット軸受であるため、ハブ3は、中実に構成されている。
ただし、本開示のハブユニット軸受は、駆動輪用のハブユニット軸受に適用することもできる。この場合、ハブは、中心部に、軸方向に貫通するスプライン孔を有する。スプライン孔には、エンジンや電動モータを駆動源として回転駆動される駆動軸の先端部が、スプライン係合される。自動車の走行時には、駆動軸によりハブを回転駆動することで、ハブの回転フランジに結合固定された車輪および制動用回転体を回転駆動する。
転動体4a、4bは、軸受鋼などの鉄合金製あるいはセラミックス製で、複列の外輪軌道6a、6bと複列の内輪軌道9a、9bとの間に、それぞれ複数個ずつ、保持器19a、19bにより保持された状態で転動自在に配置されている。これにより、ハブ3は、外輪2の径方向内側に回転自在に支持される。
本例のハブユニット軸受1は、軸方向外側列の転動体4aのピッチ円直径と、軸方向内側列の転動体4bのピッチ円直径とが等しい、等径PCD型の構造を備える。ただし、本開示のハブユニット軸受は、軸方向外側列の転動体のピッチ円直径が、軸方向内側列の転動体のピッチ円直径よりも大きいか、または、小さい、異径PCD型のハブユニット軸受に適用することもできる。また、本例のハブユニット軸受1では、転動体4a、4bとして玉を使用しているが、玉に代えて円すいころを使用することもできる。
シール装置5は、摺接環20およびシールリング21を有し、外輪2の内周面とハブ3の外周面との間に存在する転動体設置空間22の軸方向外側の開口を塞ぐ。
摺接環20は、ステンレス鋼板などの耐食性を有する金属板を曲げ成形することにより、全体を円環状に構成されている。摺接環20は、軸方向に伸長する嵌合筒部29、および、該嵌合筒部29の軸方向外側の端部から径方向外側に向けて伸長する側板部30を有する。
本例では、嵌合筒部29は、円筒形状を有する。嵌合筒部29は、支持筒部24の外周面に圧入により外嵌される。なお、本開示のハブユニット軸受を実施する場合には、嵌合筒部を、従来構造と同様、素材となる金属板をU字形に折り返してなる高剛性の筒部により構成することもできる。このような構成を採用すれば、支持筒部の外周面に対する嵌合筒部の嵌合力を確保しやすくなる。
本例では、側板部30は、傾斜板部31と、円輪部32とを有する。傾斜板部31は、円環状に構成されており、嵌合筒部29の軸方向外側の端部から軸方向外側に向かうにしたがって径方向外側に向かう方向に曲線的に伸長している。円輪部32は、円輪状に構成されており、傾斜板部31の径方向外端部から径方向外側に向けて伸長している。本例では、側板部30の軸方向外側面を、回転フランジ10の軸方向内側面に接触させている。具体的には、側板部30を構成する円輪部32の軸方向外側面を、回転フランジ10の軸方向内側面に備えられた内側平面部26に接触させている。
シールリング21は、外輪2の軸方向外側の端部に固定され、かつ、嵌合筒部29の外周面または側板部30の軸方向内側面にその先端部を摺接させた少なくとも1本のシールリップ33a、33b、33cを有する。本例では、シールリング21は、3本のシールリップ33a、33b、33cを有する。ただし、本開示のハブユニット軸受を実施する場合、シールリップの本数を、3本よりも少なくあるいは多くすることもできる。
本例では、シールリング21は、芯金34と、シール材35とを備える。
芯金34は、軟鋼板などの金属板を曲げ成形することにより、全体を円環状に構成されている。芯金34は、外輪2の軸方向外側の端部に締り嵌めで内嵌固定されたシール嵌合筒部36と、シール嵌合筒部36の軸方向外側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がり、外輪2の軸方向外側の端面に沿って径方向外側に伸長した外向鍔部37と、シール嵌合筒部36の軸方向内側の端部から径方向内側にU字形に折り返され、かつ、軸方向外側の端部が径方向内側に向けて伸長した支持板部38とを備える。外向鍔部37の径方向外側部は、外輪2の軸方向外側の端部よりも径方向外側に突出している。
シール材35は、ゴムなどのエラストマーを含む弾性材により構成され、芯金34の表面に加硫接着により結合固定されている。3本のシールリップ33a、33b、33cは、シール材35に備えられている。シール材35は、3本のシールリップ33a、33b、33cに加え、基部39および補助リップ40を備える。なお、図2では、それぞれのシールリップ33a、33b、33cを、自由状態で示している。
基部39は、芯金34の表面のうち、外向鍔部37の軸方向内側面の径方向外側部、外周面、および軸方向外側面と、シール嵌合筒部36の内周面と、支持板部38の径方向外側部の外周面と、支持板部38の径方向内側部の軸方向外側面、内周面、および軸方向内側面の径方向内側部を覆っている。基部39は、外向鍔部37の径方向外側部を覆う部分により、外輪2の軸方向外側の端部よりも径方向外側に突出した堰部41を構成している。堰部41は、外輪2の外周面に沿って軸方向外側に流れてきた泥水を堰き止めることで、該泥水が外輪2の軸方向外側の端面と回転フランジ10の軸方向内側面との間に侵入することを防ぐ。
3本のシールリップ33a、33b、33cのうち、最も径方向外側のシールリップ33aは、基部39のうちで支持板部38の径方向内側部を覆う部分から軸方向外側かつ径方向外側に向かう方向に伸長し、かつ、先端部を、円輪部32の軸方向内側面に摺接させている。径方向外側から2番目のシールリップ33bは、基部39のうちで支持板部38の径方向内側部を覆う部分から軸方向外側かつ径方向外側に向かう方向に伸長し、かつ、先端部を、傾斜板部31の軸方向内側面に摺接させている。最も径方向内側のシールリップ33cは、基部39のうちで支持板部38の径方向内側部を覆う部分から軸方向内側かつ径方向内側に向かう方向に伸長し、かつ、先端部を、嵌合筒部29の外周面に摺接させている。
これにより、摺接環20とシールリング21との間を通じて、外部空間から泥水などの異物が転動体設置空間22に侵入したり、転動体設置空間22に封入されたグリースが外部空間に漏洩したりすることを防止している。
補助リップ40は、堰部41の軸方向外側面の径方向内側部から軸方向外側かつ径方向外側に向かう方向に伸長し、かつ、先端部を、回転フランジ10の軸方向内側面に備えられた外側平面部27に近接対向させている。
本例のハブユニット軸受1は、転動体設置空間22の軸方向内側の開口部を塞ぐ有底円筒状の軸受キャップ42(図1参照)をさらに備える。これにより、該開口部を通じて、外部空間の異物が転動体設置空間22に侵入したり、転動体設置空間22に封入されたグリースが外部空間に漏洩したりすることを防止している。なお、軸受キャップ42に代えて、組み合わせシールリングにより、転動体設置空間22の軸方向内側の開口を塞ぐこともできる。
本例のハブユニット軸受1によれば、シール装置5の摺接環20がハブ3に対して軸方向内側に移動することを有効に抑えられる。
すなわち、本例では、ハブ3は、回転フランジ10のうち、外輪2の軸方向外側の端部よりも径方向内側に位置する部分から軸方向内側に向けて突出し、かつ、溝肩部23に対して径方向外側に離隔した支持筒部24を有する。支持筒部24の内周面と溝肩部23との間には、軸方向内側に開口する環状凹部25が存在する。シール装置5の摺接環20は、溝肩部23ではなく、支持筒部24の外周面に外嵌されている。
このため、ハブユニット軸受1に路面反力に基づくモーメント荷重が負荷され、溝肩部23に回転曲げ荷重が加わることに伴い、溝肩部23に凹凸変形の繰り返し運動が生じたとしても、環状凹部25の存在に基づいて、該凹凸変形の繰り返し運動の影響が、支持筒部24の外周面に及ぶことを抑えられる。つまり、支持筒部24の外周面は、回転フランジ10と同じ方向に傾くものの、片持ち状態であるため、支持筒部24の外周面には、凹凸変形の繰り返し運動はほとんど生じることがない。したがって、本例では、支持筒部24の外周面に外嵌された摺接環20がハブ3に対して軸方向内側に移動することを有効に抑えられる。その結果、摺接環20の表面に対するシールリップ33a、33b、33cの先端部の軸方向の締め代が増大して、シールトルクが増大するといった不都合を生じにくくすることができる。さらに、本例では、支持筒部24の外周面に仕上加工としての研削加工が施されているため、該外周面に対する摺接環20の嵌合筒部29の圧入力、すなわち嵌合力を適正範囲に管理しやすい。
(ハブユニット軸受の製造方法)
本例のハブユニット軸受1の製造方法は、ハブ3の支持筒部24を鍛造加工により形成する工程と、支持筒部24の外周面と軸方向外側の内輪軌道9aとに対し、総型の研削砥石を用いて同時に研削加工を施す工程とを備える。
すなわち、本例のハブユニット軸受1を製造する際には、中炭素鋼などの硬質金属製の素材に、鍛造加工、具体的には熱間鍛造加工を施すことによって、ハブ輪15の大まかな形状を備えたハブ輪中間体を造る。その後、該ハブ輪中間体に、形状を整えるための切削加工、仕上加工としての研削加工などを施すことによって、ハブ輪15を得る。特に、本例では、前記素材に前記鍛造加工を施すことにより、支持筒部24を形成する。このため、支持筒部24を切削加工により形成する場合に比べて、支持筒部24を得るための加工コストを抑えることができる。さらに、本例では、前記ハブ輪中間体に研削加工を施す際に、支持筒部24の外周面と内側平面部26と軸方向外側の内輪軌道9aとに対し、総型の研削砥石を用いて同時に研削加工を施す。このため、仕上加工のコストを抑えられる。なお、本例では、環状凹部25の内面、および、溝肩部23のうち環状凹部25よりも軸方向内側に位置する部分は、表面粗さを十分に確保する必要がない部分であるため、仕上加工としての研削加工を施す必要がない。
[第2例]
本開示の実施の形態の第2例のハブユニット軸受について、図3を用いて説明する。
本例のハブユニット軸受を構成するシール装置5aは、ハブ3と摺接環20との間を密封する密封部材43を備える。
本開示のハブユニット軸受を実施する場合、ハブと摺接環との間を密封する密封部材として、ハブと摺接環との間で弾性的に挟持されるOリングなどの弾性リング、ハブと摺接環とのいずれか一方に固定され、かつ、ハブと摺接環との他方の表面に弾性的に接触させるシールリング、ハブと摺接環との間の隙間を埋めるように充填されるシーリング材などの充填材を用いることができる。これらの場合に、弾性リングおよびシールリングの形状および設置箇所、充填材の充填箇所などは、任意である。
本例では、密封部材43は、摺接環20の側板部30を構成する円輪部32にゴムなどのエラストマーを含む弾性材を円環状に加硫接着してなるシールリングにより構成されている。密封部材43は、摺接環20の側板部30を構成する円輪部32の軸方向外側面の径方向外端部から伸延し、回転フランジ10の軸方向内側面に備えられた段部28に、全周にわたり弾性的に当接している。これにより、摺接環20とハブ3との間を通じて、外部空間から泥水などの異物が転動体設置空間22に侵入したり、転動体設置空間22に封入されたグリースが外部空間に漏洩したりすることを防止している。第2例のその他の構成および作用効果は、第1例と同様である。
[第3例]
本開示の実施の形態の第3例のハブユニット軸受について、図4を用いて説明する。
本例のハブユニット軸受を構成するシール装置5bでは、摺接環20の側板部30の軸方向外側面が、回転フランジ10の軸方向内側面に対して軸方向に離隔して配置されている。より具体的には、本例では、側板部30を構成する円輪部32の軸方向外側面が、回転フランジ10の軸方向内側面に備えられた内側平面部26に対して軸方向に離隔して配置されている。このため、本例では、ハブユニット軸受に加わるモーメント荷重により回転フランジ10が軸方向に倒れるように弾性変形する際にも、回転フランジ10によって摺接環20の側板部30が軸方向内側に押されることを防止または抑制できる。したがって、摺接環20がハブ3に対して軸方向内側に移動することを、より有効に抑えられる。第3例のその他の構成および作用効果は、第1例と同様である。
[第4例]
本開示の実施の形態の第4例のハブユニット軸受について、図5を用いて説明する。
本例は、第3例の変形例である。本例のハブユニット軸受を構成するシール装置5cは、密封部材43aを備える。本例では、密封部材43aは、ゴムなどのエラストマーを含む弾性材により円環状に造られたシールリングにより構成されている。本例では、密封部材43aは、基部44、リップ部45、および弾性凸部46を有する。なお、図5では、リップ部45および弾性凸部46を、自由状態で示している。
基部44は、側板部の軸方向外側面の全体を覆っている。リップ部45は、基部44の径方向外側部から軸方向外側に向けて伸長し、かつ、先端部を、回転フランジ10の内側平面部26に全周にわたり弾性的に接触させている。弾性凸部46は、基部44の径方向内側部から径方向内側かつ軸方向外側に向けて突出し、かつ、先端部を、支持筒部24の外周面の軸方向外側の端部に全周にわたり弾性的に接触させている。これにより、摺接環20とハブ3との間を通じて、外部空間から泥水などの異物が転動体設置空間22に侵入したり、転動体設置空間22に封入されたグリースが外部空間に漏洩したりすることを防止している。第4例のその他の構成および作用効果は、第3例と同様である。
1 ハブユニット軸受
2 外輪
3 ハブ
4a、4b 転動体
5、5a、5b、5c、5d シール装置
6a、6b 外輪軌道
7 静止フランジ
8 支持孔
9a、9b 内輪軌道
10 回転フランジ
11 パイロット部
12 取付孔
13 スタッド
14 内輪
15 ハブ輪
16 小径段部
17 段差面
18 かしめ部
19a、19b 保持器
20 摺接環
21 シールリング
22 転動体設置空間
23 溝肩部
24 支持筒部
25 環状凹部
26 内側平面部
27 外側平面部
28 段部
29 嵌合筒部
30 側板部
31 傾斜板部
32 円輪部
33a、33b、33c シールリップ
34 芯金
35 シール材
36 シール嵌合筒部
37 外向鍔部
38 支持板部
39 基部
40 補助リップ
41 堰部
42 軸受キャップ
43、43a 密封部材
44 基部
45 リップ部
46 弾性凸部
47 径方向内端部
48 内周面
49 部分

Claims (4)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
    外周面に複列の内輪軌道を有し、かつ、前記外輪よりも軸方向外側に位置する部分に径方向外側に突出した回転フランジを有するハブと、
    前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に配置された複数個の転動体と、
    摺接環およびシールリングを有し、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する転動体設置空間の軸方向外側の開口を塞ぐシール装置と、
    を備え、
    前記ハブは、外周面のうち前記回転フランジと軸方向外側の前記内輪軌道との間に位置する部分に溝肩部、および、前記回転フランジのうち前記外輪の軸方向外側の端部よりも径方向内側に位置する部分から軸方向内側に向けて突出し、かつ、前記溝肩部に対して径方向外側に離隔した支持筒部を有し、
    前記摺接環は、前記支持筒部に外嵌される嵌合筒部、および、該嵌合筒部の軸方向外側の端部から径方向外側に向けて伸長する側板部を有し、
    前記シールリングは、前記外輪の軸方向外側の端部に固定され、かつ、前記嵌合筒部の外周面または前記側板部の軸方向内側面にその先端部を摺接させた少なくとも1本のシールリップを有する、
    ハブユニット軸受。
  2. 前記側板部の軸方向外側面が、前記回転フランジの軸方向内側面に対して軸方向に離隔して配置されている、請求項1に記載のハブユニット軸受。
  3. 前記ハブと前記摺接環との間を密封する密封部材を備える、請求項1または2に記載のハブユニット軸受。
  4. 請求項1に記載のハブユニット軸受の製造方法であって、
    前記ハブの前記支持筒部を鍛造加工により形成する工程と、
    前記支持筒部の外周面と前記回転フランジの軸方向内側面と軸方向外側の前記内輪軌道とに対し、総型の研削砥石を用いて同時に研削加工を施す工程と、
    を備える、
    ハブユニット軸受の製造方法。
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