JP2024019760A - 皮脂中ビタミンe増加剤 - Google Patents

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【課題】皮脂分泌を大きく増減させることなく、皮脂腺から皮膚表面に供給されるビタミンE量自体を増加させる剤を提供することを課題とする。【解決手段】スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物に高い皮脂中ビタミンE量増加効果を見出した。【効果】皮脂腺細胞から分泌される皮脂分泌総量には大きく影響せずに、皮脂中ビタミンE量を増加させることができる。皮脂は常時皮膚上に分泌されていることから、皮脂膜中など皮膚表面上に存在するビタミンE量が持続的に増加し、ビタミンEによる紫外線防御効果の向上が期待できる。さらには、紫外線による角層肥厚などを抑制することができるため、特に皮脂腺が存在する毛穴周囲に生じるざ瘡、脂漏性皮膚炎のほか、毛穴の開き、たるみなどの紫外線による各種皮膚症状の抑制が可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物を含有する皮脂中のビタミンE増加剤、紫外線防御効果向上剤、またはこれらを含む経口投与剤および皮膚外用組成物に関する。
皮膚の最表面には皮脂や汗の混合物である皮脂膜が存在し、生体からの水分の喪失や外部からの物理的・化学的刺激から皮膚をまもる働きを有する。皮脂膜の主成分である皮脂は、トリグリセリドや遊離脂肪酸、スクアレンなどの脂質を多く含む。皮脂は、毛穴に付属した皮脂腺で産生される。皮脂腺中には皮脂腺細胞が存在し、皮脂はこの皮脂腺細胞で生成され、さらに皮脂腺細胞が破裂することで分泌される(非特許文献1)。皮脂の分泌量には個人差・部位差があるものの、皮脂腺より0.1~2mg/cm/minの量が常時分泌されていると考えられている(非特許文献1)。また皮脂腺が存在する毛穴では、紫外線による皮脂の変質や角層肥厚により、ざ瘡、脂漏性皮膚炎のほか、毛穴の開きやたるみといったトラブルが生じることが報告されている(非特許文献2、3、4)。
また皮脂中には脂質のほか、ビタミンE(例えばα-トコフェロール)などの油溶性抗酸化物質が含まれることが報告されている(非特許文献5)。特にビタミンEは、高い抗酸化作用やUVB吸収作用などを有しているが、一方で、構造的な不安定さから容易に酸化されて皮膚上から消失しやすいため、皮膚上に長時間安定に存在することは難しいと考えられている(非特許文献6)。
従来、皮膚上で減少したビタミンEを補う手段として、例えばビタミンEや、酢酸トコフェリルなどのビタミンE誘導体を外用するといった手段がとられてきた。しかしながら、ビタミンEの外用では構造的な不安定さを解消することができなく、効果は塗布直後の一時的なものに留まるといった課題があった。加えて、ビタミンE誘導体はそのままでは効果が弱く、皮膚に浸透した後にエステラーゼ等の酵素により加水分解を受けて初めてビタミンE様の効果を発揮できるため(非特許文献7)、効果の発現までに時間を要するほか、皮膚表面における効果の不十分さなどが課題であった。
スイートバイオレットは、ニオイスミレとも呼ばれるスミレ科スミレ属の多年生の植物であり、甘い香気成分が香料として用いられてきた。皮膚に対しては、保湿作用(特許文献1)や脂質過酸化抑制作用(特許文献2)、メラニン産生抑制作用(特許文献3)等が知られているが、皮脂中ビタミンEに対する作用については全く知られていなかった。
バレリアンは、西洋カノコソウとも呼ばれるオミナエシ科カノコソウ属の多年生の植物であり、根茎は、緊張緩和・情緒不安定、神経過敏や不眠症に利用される。その他、皮膚に対してはシワ(特許文献4)や肌荒れ(特許文献5)等の効果が知られているが、皮脂中ビタミンEに対する作用については全く知られていなかった。
レディースマントルは、ハゴロモグサとも呼ばれる植物であり、月経不順や更年期障害に対して薬効を有する。そのほか、皮膚に対してはアレルギー性炎症予防効果(特許文献6)やしわ・肌荒れ予防効果(特許文献7)、ニキビ予防効果(特許文献8)等の効果が知られているが、皮脂中ビタミンEに対する作用については全く知られていなかった。
化粧品技術者会,ライブラリー 化粧品用語集 皮脂[Sebum, skin surface lipid],https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/1364 Int J Cosmet Sci. 2015 Aug;37(4):357-65 Dermatology. 2000;201(2):146-7. J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn.,50(4):321-328、2016 J.Invest.Dermatol.,113(6):1006-10,1999 J.Invest.Dermatol.,110(5):756-61,1998 Oregon State University,Vitamin E and Skin Health,https://lpi.oregonstate.edu/mic/health-disease/skin-health/vitamin-E
特開2002-020225号公報 特開2001-122757号公報 特開2001-048773号公報 特開2005-194246号公報 特開2007-119432号公報 特開2003-002811号公報 特開2007-186457号公報 特開2005-008572号公報
上記背景を鑑みると、皮脂中のビタミンE量自体を持続的に増加させることができれば、ビタミンE減少に伴う皮膚の紫外線防御能の低下、および紫外線の影響を受けて生じるざ瘡、脂漏性皮膚炎、毛穴の開きやたるみといった皮膚のトラブルを抑制することができると推測される。しかしながら過剰な皮脂分泌は脂質による皮膚トラブルを増加させる懸念があるため、分泌される脂質量には大きな影響を与えないことが肝要である。そこで本発明では、皮脂分泌を大きく増減させることなく、皮脂腺から皮膚表面に供給されるビタミンE量自体を増加させる剤を提供することを課題とする。
上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物に高い皮脂中ビタミンE量増加効果を見出し、本願を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の好適な態様を含む。
〔1〕スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物から選択されるいずれか1種以上を含有する皮脂中ビタミンE増加剤。
〔2〕スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物から選択されるいずれか1種以上を含有する皮脂腺細胞からのビタミンE分泌促進剤。
〔3〕スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物から選択されるいずれか1種以上を含有する紫外線防御効果向上剤。
〔4〕請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の剤を含む、経口投与剤。
〔5〕請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の剤を含む、皮膚外用組成物。
本願発明によれば、皮脂腺細胞から分泌される皮脂分泌総量には大きく影響せずに、皮脂中ビタミンE量を増加させることができる。皮脂は常時皮膚上に分泌されていることから、本願発明によって皮脂膜中など皮膚表面上に存在するビタミンE量が持続的に増加し、ビタミンEによる紫外線防御効果の向上が期待できる。さらには、紫外線等による肌への悪影響を抑制することができるため、特に皮脂腺が存在する毛穴周囲に生じるざ瘡、脂漏性皮膚炎のほか、毛穴の開き、たるみなどの紫外線による各種皮膚症状の抑制が可能となる。
α-トコフェロール、パラアミノ安息香酸の紫外部吸収スペクトルを示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明で使用するスイートバイオレット(Viola odorata)は、ニオイスミレとも呼ばれるスミレ科スミレ属の植物である。使用する部位は特に限定されず全草、果実、果皮、葉、花部、茎、種子、根等が挙げられる。
本発明で使用するバレリアン(Valeriana officinalis L.)は、西洋カノコソウとも呼ばれるオミナエシ科カノコソウ属の植物である。使用する部位は特に限定されず全草、果実、果皮、葉、花部、茎、種子、根等が挙げられる。
本発明で使用するレディースマントルは、ハゴロモグサとも呼ばれるバラ科(Rosaceae)ハゴロモグサ属(Alchemilla)の植物であり、例えばAlchemilla vulgarisやAlchemilla xanthochloraなどが挙げられる。使用する部位は特に限定されず全草、果実、果皮、葉、花部、茎、種子、根等が挙げられる。
ここで前記抽出物を得る方法としては公知の方法が利用できる。抽出物の調製は特に限定されないが、例えば上記植物を種々の適当な有機溶媒を用いて低温下から加温下で抽出される。抽出溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の液状多価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチルなどのアルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル;ジクロルメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカン等の1種又は2種以上を用いることが出来る。就中、水、エチルアルコール、1,3-ブチレングリコールの1種又は2種以上の混合溶媒が特に好適である。
本発明に用いることのできる抽出物の抽出方法は特に限定されない。例えば上記植物の任意の部位をそのまま、又は予め裁断して小片状で抽出するほか、乾燥後粉砕して粉末状にしてから抽出することができる。更には例えば乾燥したものであれば重量比で1~1000倍量、特に10~100倍量の溶媒を用い、常温抽出の場合には、0℃以上、特に20℃~40℃で1時間以上、特に3~7日間行うのが好ましい。また、60~100℃で1時間、加熱抽出しても良い。また、0℃以下の抽出溶媒が凍結しない程度の温度で、1時間以上、特に1~7日間抽出を行なっても良い。
上記の如く得られた抽出物は、抽出されたままの状態でも用いてもよいが、更に必要に応じて活性炭、活性白土、スチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着剤(HP-20:三菱化成社製)やオクタデシルシラン処理シリカ(Chromatorex ODS:富士シリシア化学製)等により精製することができ、濃縮、粉末化したものを適宜使い分けて用いることが出来る。
本発明の各剤は、上記抽出物を少なくとも1種以上含有していればよく、本発明の効果を損なわない範囲で、その他成分を併用することができる。
本発明におけるビタミンEは生体内に存在するビタミンEであれば特に限定されず、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール等が例示される。中でも特に好ましくはα-トコフェロール、γ-トコフェロールである。
本発明における「皮脂中ビタミンE増加剤」とは、後述する皮脂腺細胞からのビタミンE分泌促進効果により、分泌皮脂中のビタミンE量を増加させることができる剤を指す。なお本発明の皮脂中ビタミンE増加剤は、トリグリセリド、ワックスエステル、グリセリン、スクアレン等の脂肪酸を主成分とする皮脂の総量は大きく変化させることなく、皮脂中に存在するビタミンE量を増加させることができる。もっとも、これらの量的変化は厳密な意味ではなく、通常の実験のバラツキのレベルで皮脂の総量の変化や、ビタミンE以外のその他の皮脂中の成分の増加を完全に否定するものではない。
本発明における「皮脂腺細胞からのビタミンE分泌促進剤」とは、皮脂腺細胞におけるビタミンEの分泌促進効果および/又は皮脂腺細胞中ビタミンE増加促進効果を有する剤を指す。皮脂腺細胞は、その前駆細胞(皮脂腺未分化細胞)が分化・成熟するとともにトリグリセリド、ワックスエステル、グリセリン、スクアレン等の脂肪酸を主成分とする脂質を合成するが、ビタミンEに関しては細胞内で合成できないため、主として食事由来のビタミンEが血液によって皮膚に運ばれ、皮脂腺細胞中の脂質中に取り込まれ皮脂腺細胞内に蓄積されたのち、皮脂腺細胞の破裂に伴って脂質とともに皮脂として皮膚上に分泌される(非特許文献7)。そのため皮脂腺細胞中ビタミンE量の増加は、皮脂腺細胞におけるビタミンE分泌促進を誘導すると考えてよい。
本発明の皮脂中ビタミンE増加剤および/又は皮脂腺細胞からのビタミンE分泌促進剤により、皮膚表面上および/又は皮脂膜中に存在するビタミンE量を増加させることができるため、ビタミンEによる高い抗酸化作用やUVB吸収作用を皮膚の最表面で持続的に発揮させることができる。
本発明の「紫外線防御効果向上剤」は、ビタミンEを多く含む皮脂が皮脂線細胞から分泌されることで、皮膚上で増加したビタミンEのUVB吸収作用により、皮膚内部への紫外線の透過を抑制することができる剤を指す。従って、本発明の剤を用いることで紫外線により生じる皮膚障害を軽減させることができるため、皮膚の紫外線防御機能を向上させるものである。なお、ビタミンEは特にUVBの波長領域(280~320nm)に吸収域を有するため、その他の紫外線防御剤(例えば紫外線吸収剤や紫外線散乱剤)と併用することで、より効率的にUVBによる皮膚障害から皮膚をまもることができる。
本発明の剤は、経口投与剤として使用することができ、ヒトや動物に摂取させることができる。なお本発明における経口投与剤とは、例えば、医薬品、医薬部外品とした用途で経口摂取する剤を含み、飲食品、加工食品、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、または特定保健用食品の用途で経口摂取されるものを含む。
本発明の各剤を経口投与剤として使用する場合、その形態は制限されず、錠剤やカプセル、タブレット、顆粒、粉末等の固形状態のほか、水剤、ペースト状、ゲル状、クリーム状等の液体状態に成型にして用いることができる。また、前記の形態に加えて、例えばパン類、麺類、菓子類、乳製品、水産・畜産加工食品、油脂加工食品、各種飲料等の種類の製品として成型されるものが挙げられる。前記抽出物をこれらの経口投与剤として用いることにより、所望の皮脂中ビタミンE増加効果を付与することができる。
本発明の各剤を経口投与剤として使用する場合の上記抽出物の配合量は、年齢や性別、病状等の個人差により変化するので明確に定義することはできないが、一般にヒトに投与又は摂取させる場合の1日の分量は体重1kgあたり0.01~100mg、好ましくは0.1~50mgである。経口投与剤として使用する上記抽出物の乾燥重量がこの程度になるよう、1日1~3回に分けて投与又は摂取することができる。
また本発明の剤は、医薬品、医薬部外品又は化粧料等の用途で皮膚外用組成物としても使用することができ、ヒトや動物に適用することができる。
本発明の各剤を皮膚外用組成物として使用する場合、その形態は制限されず、例えば軟膏状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、乳液状、スプレー状、水剤、貼付剤等の任意の形態に成型して用いることができる。皮膚外用組成物の種類としては、例えば、軟膏、クリーム剤、外用液剤、貼付剤、化粧水、乳液、ジェル、美容液、一般クリーム、日焼け止めクリーム、パック、マスク、洗顔料、化粧石鹸、ファンデーション、おしろい、浴用剤、ボディローション、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、頭皮用ローション、頭皮用クリーム、ヘアトニック、育毛剤等が挙げられる。
本発明の各剤を皮膚外用組成物として使用する場合の上記抽出物の配合量は目的に応じ、乾燥重量に換算して組成物中0.0001重量%~100重量%を任意に使用することができる。好ましい配合量としては、0.01重量%~10重量%、更に好ましい配合量としては、0.05重量%~5重量%である。
本発明の各剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他成分を併用することができる。その他成分としては、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、等張化剤、pH調整剤、乳化剤、着色料、防腐剤、添加物等を配合しても良く、これらの含有量は本発明の剤の剤形や求められる効果の程度や内容等に応じて適宜設定することができる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。また、特記しない限り配合量は質量%で示す。また、特記しない限りエタノールは試薬特級(99.5%)を用いた。
<実施例1>ビタミンE増加作用
以下の手順で、被験物質添加による皮脂腺細胞中のビタミンE量を測定した。
<被験物質の調製>
被験物質としては、表1に記載の植物を用いた(被験物質1~11)。被験物質の調製方法としては、被験物質1は圧搾機にて植物原体から果汁を得、被験物質6又は11は圧搾機にて植物原体からオイルを得た。被験物質10では、乾燥植物原体に10倍の重量の蒸留水を加えて60℃、8時間加温し抽出した。その他の被験物質2~5、被験物質7~10では、乾燥植物原体に10倍の重量の50%エタノールを加えて室温、1週間静置し抽出した。被験物質1~5、被験物質7~10については抽出物の乾燥残分に対して、50%エタノールを重量比で1:99となるように加えて希釈したものを被験物質とし、被験物質6又は11は圧搾オイルをそのまま被験物質とした。
<被験物質中ビタミンE量の測定>
被験物質1~11をエタノール/メタノール混液(1:1(v/v))にて10倍希釈し、フィルターろ過したものを測定サンプルとした。HPLCにて、被験物質中のビタミンEを測定した。
<皮脂腺細胞中のビタミンE量の測定>
ヒト皮脂腺細胞(ケーエーシー社)を、Sebocyte growth & diffrentiation medium(Seb4Glu培地、ケーエーシー社)に懸濁し、2.3×10cells/mLになるように細胞懸濁液を調製し6well-plate(TrueLine社)に2mLずつ播種した。37℃、5%CO/95%空気の加湿条件で24時間培養後に新しいSeb4Glu培地に交換し、細胞が90-100%コンフルエントになるまで3,4日に一度培地を交換しながら37℃、5%CO/95%空気の加湿条件で6日間培養した。培地を1%Frozen Lipid Droplet Stimulator(ケーエーシー社)を含有したSeb4Glu培地に交換し、α-トコフェロール(富士フィルム和光純薬社)を100μMの濃度になるよう添加したのち、さらに被験物質を終濃度30ppmになるよう添加した。3,4日に一度培地を交換しながら37℃、5%CO/95%空気の加湿条件でさらに9日間培養した。培養終了後、プレートの各wellをPBS(-)で3回洗浄したのち、Triple(Gibco社)にて皮脂腺細胞を剥離させ200×g、5分間遠心分離して上清を除去した。細胞沈査に再度PBS(-)を添加し同様に遠心分離後、上清を除去して皮脂腺細胞を回収した。Cell lysis buffer(150 mM NaCl、50mM Tris-HCl(pH 8.0)、1% NP-40、1mg/mLアプロチニン、100μM PMSF、50μM 没食子酸プロピル)を500μL添加し混合後、超音波破砕処理を行い細胞破砕液を得た。うち一部はタンパク定量に供した。細胞破砕液にエタノール2.5mLを混合して2300×g、4℃、15分間遠心分離したのち、上清を回収し、ヘキサン(富士フィルム和光純薬社)7mLを混合して静置後、上層を採取した。ヘキサンを留去したのち、5μM 没食子酸プロピル(富士フィルム和光純薬社)を含有したエタノール/メタノール混液(1:1(v/v))150μMを加えたものを測定用サンプルとした。HPLCにてビタミンEを測定した。
<HPLC分析条件>
α-トコフェロールの検量線からサンプル中α-トコフェロール量を算出した。
分析カラム:Chemcobond 5-ODS-W(150×6mm)
ポンプ : JASCO PU-2086 Plus
検出器 : JASCO MD-2010 Plus
検出波長:295nm
移動相:エタノール/メタノール混液(1:3(v/v))
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
得られた皮脂腺細胞中α-トコフェロール量から、次の式に従い、皮脂腺細胞中ビタミンE増加率(%)を算出した。得られた結果を表2に示す。なお、皮脂腺細胞中ビタミンE増加率は、概ね120%以上、好ましくは150%以上である場合、効果が得られたと判断できる。
表2より、被験物質6以外の被験物質は、ほぼα-トコフェロ-ルを含有していなかった。また、ヒトの細胞ではビタミンEを合成することができず、主として食事由来のビタミンEが血液によって皮膚に運ばれ皮脂腺細胞中に取り込まれるため、本試験では予め皮脂腺細胞の培養培地にα-トコフェロールを添加している。被験物質5~11を添加した皮脂腺細胞では、未添加(比較物質1)に対して皮脂腺細胞中のビタミンE量を150%以上に増加させた。従って、被験物質5、被験物質7~11は皮脂腺細胞による培地中α-トコフェロールの取り込みを亢進させることで、皮脂腺細胞中のビタミンE量を増加させたと考えることができる。一方、被験物質6は、皮脂腺細胞による培地中または被験物質に含まれるα-トコフェロールの取り込みを亢進させることで、皮脂腺細胞中のビタミンE量を増加させたと考えることができる。
<実施例2>脂質量の測定
以下の手順で、被験物質添加による皮脂腺細胞中の脂質量を測定した。
<被験物質の調製>
被験物質には、実施例1で皮脂腺細胞中のビタミンE量を150%以上に増加させた被験物質5~11を用いた。
<皮脂腺細胞中の脂質量の測定>
ヒト皮脂腺細胞(ケーエーシー社)を、Seb4Glu培地(ケーエーシー社)に懸濁し、2.3×10cells/mLになるように細胞懸濁液を調製し96well-plate(TrueLine社)に100μLずつ播種した。37℃、5%CO/95%空気の加湿条件で24時間培養後に新しいSeb4Glu培地に交換し、細胞が90-100%コンフルエントになるまで3,4日に一度培地を交換しながら37℃、5%CO/95%空気の加湿条件で6日間培養した。培地を1%Frozen Lipid Droplet Stimulator(ケーエーシー社)を含有したSeb4Glu培地に交換し、α-トコフェロール(富士フィルム和光純薬社)を100μMの濃度になるよう添加したのち、さらに被験物質を終濃度30ppmになるよう添加した。3,4日に一度培地を交換しながら37℃、5%CO/95%空気の加湿条件でさらに9日間培養した。培養終了後、プレートの各wellをPBS(-)で1回洗浄したのち、Adipogenesis Colorimetric/Fluorometric Assay Kit(BioVision社)を用いて、皮脂腺細胞内トリグリセリド量を算出した。また系中、測定溶液の一部をタンパク定量に供した。
得られた皮脂腺細胞中トリグリセリド量から、次の式に従い、皮脂腺細胞中トリグリセリド増加率(%)を算出した。得られた結果を表3に示す。なお、皮脂腺細胞中トリグリセリド増加率が120%以上である場合、皮脂腺細胞中の皮脂量を増加させる作用があると判断した。
皮脂は皮脂腺細胞で産生され、さらに皮脂腺細胞が破裂することで分泌されるため、皮脂の分泌量は皮脂腺細胞で産生される皮脂量に相関することが知られている。皮脂の主成分は、トリグリセリドや遊離脂肪酸、スクアレンなどの脂質であるため、本試験では皮脂腺細胞での皮脂量の指標として皮脂中脂質のひとつである皮脂腺細胞中トリグリセリド量を測定した。表3より、被験物質6、7、10、11を添加した皮脂腺細胞では、未添加(比較物質1)に対して皮脂腺細胞中のトリグリセリド量を140%以上に増加させた。特に、被験物質6、11は皮脂腺細胞中のトリグリセリド量を550%以上に増加させており、これらの被験物質は皮脂分泌量の増加作用がかなり高いと推測できる。一方、被験物質5(レディースマントル)、8(スイートバイオレット)、9(バレリアン)を添加した皮脂腺細胞では、未添加(比較物質1)に対する皮脂腺細胞中のトリグリセリド量が89.9%~111.6%であり変化幅が小さいことから、これらの被験物質は皮脂分泌量へほぼ影響しないと考えられた。
以上の結果より、被験物質5(レディースマントル)、被験物質8(スイートバイオレット)、被験物質9(バレリアン)には、皮脂腺細胞中のビタミンE増加作用を有する一方で皮脂分泌量にはほぼ影響しないことが示された。すなわち、上記3種の抽出物は、皮脂分泌量を増やすことなく優れた皮脂腺細胞からのビタミンE分泌促進効果ならびに皮脂中ビタミンE増加効果があると判断でき、皮膚上のビタミンE増加に伴い皮膚の紫外線防御効果向上、ならびに紫外線によるざ瘡、脂漏性皮膚炎、毛穴の開き、毛穴のたるみを抑制する効果が期待できる。
<実施例3>
以下の手順で、ビタミンEの紫外線吸収能を測定した。
<紫外部吸収スペクトル測定>
α-トコフェロール、パラアミノ安息香酸(ともに富士フィルム和光純薬社)をエタノールで5mMに希釈し、Nanodrop1000 Spectrophotometer(Nanodrop社)にて260~400nmの吸収スペクトルを測定した。
図1に示すように、280~320nmの波長域において、ビタミンE(α-トコフェロール)は290nm付近に極大吸収が存在しており、UVBを特徴的に吸収することがわかる。すなわち、皮膚上のビタミンE量を増加させることができれば、ビタミンEのUVB吸収作用により紫外線による皮膚障害から皮膚をまもることができる。一方、紫外線吸収剤として知られるパラアミノ安息香酸は、310nm付近に極大吸収が存在しており、より長波長側のUVBを吸収する特性があることが伺える。従って、ビタミンEと紫外線吸収剤を併用することで、UVB吸収能を向上させることができ、紫外線防御効果をより高めることができる。
<実施例4>
以下、本発明における各剤の処方例を示す。なお、含有量は重量%である。製法は、常法による。なお、処方は代表例であり、これに限定されない。また、処方例中の抽出物の濃度は乾燥残分としての濃度である。これらにも、本願の効果が確認された。

Claims (5)

  1. スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物から選択されるいずれか1種以上を含有する皮脂中ビタミンE増加剤。
  2. スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物から選択されるいずれか1種以上を含有する皮脂腺細胞からのビタミンE分泌促進剤。
  3. スイートバイオレット抽出物、バレリアン抽出物、レディースマントル抽出物から選択されるいずれか1種以上を含有する紫外線防御効果向上剤。
  4. 請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の剤を含む、経口投与剤。
  5. 請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の剤を含む、皮膚外用組成物。
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