JP2024017539A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクを循環させる方式の記録ヘッドを備え、メニスカスに形成される増粘したインク層をノズル内に十分に引き込み可能なインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】インクジェット記録装置は、記録ヘッドと、ヘッド駆動部と、制御部と、を備える。記録ヘッドは、複数の加圧室と、複数の加圧素子と、供給共通流路と、回収共通流路と、を有する。ヘッド駆動部は、吐出駆動波形データと微駆動波形データとを記憶する波形データ記憶部と、波形データ記憶部に記憶された駆動波形データを用いてインクを吐出する吐出駆動波形とメニスカスを揺動させる微駆動波形とを生成する駆動波形生成部と、を備える。制御部は、吐出駆動波形と微駆動波形とを駆動波形生成部から加圧素子に選択的に印加可能である。メニスカスの固有振動周期をTcとするとき、微駆動波形は、Tc*3/4以上Tc*5/4以下のパルス幅の引き込みパルスを含む駆動波形である。【選択図】図13
Description
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
従来、インクジェットプリンターなどのインクジェット記録装置において、インクが充填される加圧室を備えた記録ヘッドが用いられる。この加圧室にはノズルが連通しており、加圧室にインクが充填されることによってノズル内部に液面(メニスカス)が形成される。加圧室には駆動電圧の印加によって変形する圧電素子等の加圧素子と、加圧素子と積層されて駆動部を構成する振動板とが連接されている。振動板を撓ませて加圧室の容積を減少させることにより、加圧室内のインクを加圧してノズルの先端からインク滴として吐出させる。
このようなインクジェット記録装置においては、ノズルからインク滴を吐出していない間にノズル先端のメニスカスからインクの揮発成分が蒸発してノズル先端のインク粘度が上昇し、吐出不良が発生するおそれがある。そこで、インクの乾燥によるノズルの目詰まりを低減または予防するために、加圧素子に微小な振動電圧を定期的に印加して、振動板をインクが吐出されない程度に撓ませて、ノズル先端のメニスカスを振動させることで、加圧室内のインクを攪拌することが提案されている。例えば特許文献1には、印字時にインクの吐出を行うとともに非印字時にインクの固有振動周期と略同期間、圧電素子に印加している電圧をオフすることでメニスカスの揺動を行う基本パルスの形成動作を行う駆動回路を備えた記録ヘッドが開示されている。
一方、画像記録に使用されなかったインクをノズルの上流側に循環させる循環流路を有する記録ヘッドが知られている。このような記録ヘッドにおいては、ノズル先端のインク粘度の上昇による吐出不良の発生を防止するために、粘度が上昇したインクを循環によって回収する。しかし、ノズルの長さに比べてメニスカスに形成される増粘したインク層の厚みが薄いために、インクの循環だけでは粘度が上昇したインクを十分に回収できない。
そこで、微振動波形を加えて増粘したインク層をノズル内に引き込むことで、循環流路内のインクの流れに乗せて回収する。そのためには、増粘したインク層をノズル内に効率的に引き込むことができる微振動波形が求められる。特許文献2では、ドット形成時の駆動波形とメニスカスを振動させる微駆動波形とで、メニスカスを引き込むための電圧変化時間とメニスカスを戻すための電圧変化時間とを切り替えている。
ドット形成時の駆動波形や微駆動波形を生成する駆動波形生成部として、駆動波形データに基づいて加圧素子に印加する駆動電圧をオン、オフすることで駆動波形を生成する方式が知られている。この方式では、加圧素子に対する電荷の充放電時間は加圧素子の静電容量と駆動回路の電気抵抗によって決定され、加圧素子に印加する駆動電圧の変化時間は一定である。そのため、特許文献2のように駆動波形毎に電圧変化時間を切り替えることはできなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、ノズルから吐出されなかったインクを循環させる方式の記録ヘッドを備えた構成において、メニスカスに形成される増粘したインク層をノズル内に十分に引き込み可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、記録ヘッドと、ヘッド駆動部と、制御部と、を備えたインクジェット記録装置である。記録ヘッドは、複数の加圧室と、複数の加圧素子と、供給共通流路と、回収共通流路と、を有する。複数の加圧室は、インクを吐出する複数のノズルに連通し、内部にインクを収容可能である。複数の加圧素子は、複数の加圧室に対応して配置され、各加圧室内のインクに圧力をかけて各ノズルからインクを吐出させる。供給共通流路は、記録ヘッドへのインク流通方向に対し複数の加圧室の上流側に接続され、加圧室に供給されるインクが通過する。回収共通流路は、インク流通方向に対し複数の加圧室の下流側に接続され、ノズルから吐出されなかったインクを回収する。ヘッド駆動部は、加圧素子に駆動電圧を印加して記録ヘッドを駆動する。制御部は、ヘッド駆動部を制御して、画像記録の対象となる画像データを構成する画素データの階調に応じて定まる回数のインク吐出を各ノズルに対して実行させるか、若しくは画像記録に寄与するタイミングとは異なるタイミングで各ノズル内のインクのメニスカスを揺動させる。ヘッド駆動部は、波形データ記憶部と、駆動波形生成部と、を備える。波形データ記憶部は、駆動電圧の駆動波形データとして、画像データに応じてノズルから記録媒体上にインクを吐出するための吐出駆動波形データと、メニスカスを揺動させるための微駆動波形データと、を少なくとも記憶する。駆動波形生成部は、波形データ記憶部に記憶された駆動波形データを用いて、ノズルからのインク吐出量に応じて設定された1つ以上の吐出駆動波形と、メニスカスを揺動させる微駆動波形と、を生成する。制御部は、吐出駆動波形と微駆動波形とを駆動波形生成部から加圧素子に選択的に印加可能である。メニスカスの固有振動周期をTcとするとき、微駆動波形は、Tc*3/4以上Tc*5/4以下のパルス幅の引き込みパルスを含む駆動波形である。
本発明の第1の構成によれば、供給共通流路と回収共通流路とを有する記録ヘッドにおいて、Tc*3/4以上Tc*5/4以下のパルス幅の引き込みパルスを含む微駆動波形を用いてメニスカスを揺動させることにより、メニスカスに形成される増粘したインク層を効率よくノズル内に引き込むことができる。その結果、増粘したインクを加圧室から回収共通流路に流れるインクの循環流れに乗せて確実に回収し、ノズル内のインクの乾燥によるドット形成不良を抑制することができる。また、ノズルからのインクの誤吐出も抑制することができる。
[1.インクジェット記録装置の構成]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置1の概略の構成を示す断面図である。図2は、図1のインクジェット記録装置1の記録部5周辺の平面図である。図3は、図1のインクジェット記録装置1の主要部のハードウェア構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、例えばインクジェット記録式のプリンターであり、装置本体2と、用紙供給部3と、用紙搬送部4と、記録部5と、乾燥部6と、制御部7と、を備える。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置1の概略の構成を示す断面図である。図2は、図1のインクジェット記録装置1の記録部5周辺の平面図である。図3は、図1のインクジェット記録装置1の主要部のハードウェア構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、例えばインクジェット記録式のプリンターであり、装置本体2と、用紙供給部3と、用紙搬送部4と、記録部5と、乾燥部6と、制御部7と、を備える。
用紙供給部3は、例えば装置本体2の下部に配置される。用紙供給部3は、複数枚の用紙(記録媒体)Sを収容し、記録時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。
用紙搬送部4は、用紙搬送方向に対して用紙供給部3の下流側(図1の上方)に配置され、用紙供給部3から送り出された用紙Sを搬送する。用紙搬送部4は、用紙Sを記録部5および乾燥部6へと搬送し、さらに記録、乾燥後の用紙Sを用紙排出部21に排出する。用紙搬送部4は、例えば反転搬送部4rを有する。両面記録が行われる場合、用紙搬送部4は、第1面の記録、乾燥後の用紙Sを反転搬送部4rに振り分け、さらに搬送方向を切り替えて表裏を反転させ、第2面を上向きにした用紙Sを再度、記録部5および乾燥部6へと搬送する。
用紙搬送部4は、第1ベルト搬送部41および第2ベルト搬送部42を含む。第1ベルト搬送部41は、無端状に形成された第1搬送ベルト411を有する。第2ベルト搬送部42は、無端状に形成された第2搬送ベルト421を有する。第1ベルト搬送部41および第2ベルト搬送部42は、駆動ローラーを含む複数のローラーに張架された第1搬送ベルト411および第2搬送ベルト421それぞれの上面(搬送面)に用紙Sを吸着保持して搬送する。第1ベルト搬送部41は、記録部5の下方に配置されて用紙Sを搬送する。第2ベルト搬送部42は、用紙搬送方向に対して第1ベルト搬送部41の下流側(図1の左方)に位置し、乾燥部6に配置されて用紙Sを搬送する。
記録部5は、用紙搬送方向に対し用紙供給部3の下流側、且つ第1ベルト搬送部41の上方に配置される。記録部5は、用紙Sに対向するように、第1搬送ベルト411の上方に所定の間隔を隔てて配置される。即ち、記録部5は、用紙搬送部4によって搬送され、第1搬送ベルト411の上面に吸着保持されて搬送される用紙Sと対向する。
図2に示すように、記録部5は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色それぞれに対応したヘッドユニット51Y、51M、51C、51Kを保持する。ヘッドユニット51Y、51M、51C、51Kは、長手方向が用紙搬送方向Dcと直交する用紙幅方向Dwと平行になるように、用紙搬送方向Dcに沿って並列に配置される。なお、4つのヘッドユニット51Y、51M、51C、51Kは基本的な構成が同じであるので、以下の説明では、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「B」、「C」、「M」、「Y」の識別記号は省略することがある。
各色のヘッドユニット51は、ラインヘッド型の記録ヘッド52を有する。記録ヘッド52は、各色のヘッドユニット51において、それぞれ用紙幅方向Dwに沿って複数(本実施形態では3つの記録ヘッド52a、52b、52c)が千鳥状に配列される。
記録ヘッド52は、その下面に複数のインク吐出ノズル521を有する。複数のインク吐出ノズル521は、用紙幅方向Dwに沿って配列され、用紙S上の記録領域の全域にわたってインクを吐出することができる。記録部5は、第1搬送ベルト411によって搬送される用紙Sに向かって4色のヘッドユニット51Y、51M、51C、51Kそれぞれの記録ヘッド52から順次インクを吐出し、フルカラー画像またはモノクロ画像を用紙Sに記録する。記録ヘッド52の詳細な構成については後述する。
乾燥部6は、用紙搬送方向に対して記録部5の下流側に配置され、第2ベルト搬送部42が設けられる。記録部5でインク画像が記録された用紙Sは、乾燥部6において第2搬送ベルト421に吸着保持されて搬送される間に、インクが乾燥される。
制御部7は、CPU、記憶部、その他の電子回路および電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、インクジェット記録装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してインクジェット記録装置1の機能に係る処理を行う。用紙供給部3、用紙搬送部4、記録部5および乾燥部6それぞれは、制御部7から個別に制御信号を受信し、連動して用紙Sへの記録を行う。記憶部は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
図3に示すように、インクジェット記録装置1は、インク供給部8とヘッド駆動部53を備える。インク供給部8は、コンテナポンプ82と、循環ポンプ84と、加圧部86と、減圧部87と、シリンジ88と、第1開閉弁91、第2開閉弁92、第3開閉弁95と、を備える。インク供給部8は、その他にインクコンテナ81、第1サブタンク83、第2サブタンク85、第1流路89、第2流路94、第3流路98、開閉機構99(いずれも図4参照)を備える。インク供給部8の詳細な構成については後述する。
ヘッド駆動部53は、波形データ記憶部531と、駆動波形生成部532と、バッファー533と、セレクター534と、を備える。波形データ記憶部531は、記録ヘッド52内の加圧素子57(図5、図6参照)を駆動するための駆動波形として、インク滴を吐出するための吐出駆動波形(図9、図10参照)と、メニスカス揺動時に使用する微駆動波形(図13、図14参照)の駆動波形データを記憶する。
駆動波形生成部532は、波形データ記憶部531に記憶された駆動波形データに基づいて、記録ヘッド52内の加圧素子57を駆動するための駆動波形(駆動電圧)を発生させる。バッファー533は、用紙Sに記録される画像1ページ分の駆動波形選択データを格納する。セレクター534は、バッファー533に格納されている1ページ分の駆動波形選択データに基づいて、吐出駆動波形の駆動電圧を記録ヘッド52の加圧素子57に印加するか、或いは駆動波形を選択せず、記録ヘッド52の加圧素子57の駆動電圧を一定に保持する動作を行う。ヘッド駆動部53は、メニスカス揺動時に使用する微駆動波形の駆動電圧を記録ヘッド52の加圧素子57に印加することにより、後述するメニスカス揺動を実行する。
[2.インク供給部の構成]
図4は、図1のインクジェット記録装置1のインク供給部8の構成を示す説明図である。図3および図4を用いて、インクジェット記録装置1のインク供給部8について説明する。インク供給部8は、4色のヘッドユニット51ごとに個別に設けられる。以下の説明では、各色を表す識別記号の記載を省略する。インク供給部8とヘッドユニット51との間は、着脱可能なカップリング11によって連結される。カップリング11内には、接続状態においてインク流路を開放し、分離状態においてインク流路を閉鎖する弁部材(不図示)が内蔵されている。
図4は、図1のインクジェット記録装置1のインク供給部8の構成を示す説明図である。図3および図4を用いて、インクジェット記録装置1のインク供給部8について説明する。インク供給部8は、4色のヘッドユニット51ごとに個別に設けられる。以下の説明では、各色を表す識別記号の記載を省略する。インク供給部8とヘッドユニット51との間は、着脱可能なカップリング11によって連結される。カップリング11内には、接続状態においてインク流路を開放し、分離状態においてインク流路を閉鎖する弁部材(不図示)が内蔵されている。
インクコンテナ81は、装置本体2に対して着脱可能に設けられる。インクコンテナ81は、記録ヘッド52に供給されるインクを収容する。
コンテナポンプ82は、インク流通方向に対してインクコンテナ81の下流側に配置される。コンテナポンプ82は、インクコンテナ81内のインクを吸引し、第1サブタンク83に向かって吐出する。コンテナポンプ82の動作は、制御部7によって制御される。
第1サブタンク83は、インク流通方向に対してコンテナポンプ82の下流側に配置される。第1サブタンク83は、インクコンテナ81から供給されるインクを一時的に貯留する。第1サブタンク83には、インク量センサー(不図示)が設けられる。インク量センサーは、例えば光学式、静電容量式、電極式、差圧式、フロート式などのセンサーを含み、第1サブタンク83内のインク量を検出する。
制御部7は、第1サブタンク83のインク量センサーの検出信号を受信する。インク量センサーによって検出された第1サブタンク83内のインク量が所定値より低くなると、制御部7は、コンテナポンプ82を制御し、インクコンテナ81から第1サブタンク83にインクを供給する。インクコンテナ81から第1サブタンク83へのインクの供給量は、例えばコンテナポンプ82の駆動時間によって制御される。コンテナポンプ82の駆動時間が一定時間経過しても、インク量センサーによって検出された第1サブタンク83内のインク量が所定値より高くならない場合、制御部7は、インクコンテナ81内のインク量が空であると判定する。
循環ポンプ84は、第1サブタンク83のインク流通方向下流側に配置される。循環ポンプ84は、インクを第1サブタンク83から第2サブタンク85に移動させる。循環ポンプ84としては、例えばチューブポンプ、ダイヤフラムポンプなどの液体用のポンプから選択することができる。循環ポンプ84の動作は、制御部7によって制御される。
第2サブタンク85は、循環ポンプ84のインク流通方向下流側に配置される。第2サブタンク85は、第1サブタンク83から供給されるインクを一時的に貯留する。第1サブタンク83と同様に、第2サブタンク85には、インク量センサー(不図示)が設けられ、第2サブタンク85内のインク量が検出される。
制御部7は、第2サブタンク85のインク量センサーの検出信号を受信する。インク量センサーによって検出された第2サブタンク85内のインク量が所定値より低くなると、制御部7は、循環ポンプ84を制御し、第1サブタンク83から第2サブタンク85にインクを移動させる。第1サブタンク83から第2サブタンク85へのインクの移動量は、例えば循環ポンプ84の駆動時間によって制御される。
加圧部86は、第2サブタンク85に併設される。加圧部86は、第2サブタンク85内を加圧し、インクを第2サブタンク85から記録ヘッド52に供給する。加圧部86の動作は、制御部7によって制御される。
減圧部87は、第1サブタンク83に併設される。減圧部87は、第1サブタンク83内を減圧し、インクを記録ヘッド52から第1サブタンク83に循環させる。減圧部87の動作は、制御部7によって制御される。
シリンジ88は、インク流通方向に対して第2サブタンク85の下流側であって、記録ヘッド52の上流側に配置される。シリンジ88は、インクが第2サブタンク85から流入し、記録ヘッド52に向かって流出する。
用紙Sへの画像記録時には、インクに対して加圧部86によって記録圧力がかかっている。これに対し、例えばメンテナンス時等に、制御部7は、シリンジモーター884によってシリンジ88内のプランジャー(図示せず)を下方に高速で移動させ、シリンジ88内からインクを押し出すことで、記録圧力よりも高い保守圧力をインクにかけることができる。即ち、シリンジ88は、インクに対して加圧部86によってかかる記録圧力よりも高い保守圧力をかけることが可能である。
第1流路89は、第1サブタンク83から循環ポンプ84、第2サブタンク85、シリンジ88、および記録ヘッド52を経て第1サブタンク83までインクが循環するインク流路である。第1流路89は、第2サブタンク85からシリンジ88まで延びる第1導管891と、シリンジ88から記録ヘッド52まで延びる第2導管892と、記録ヘッド52から第1サブタンク83まで延びる第3導管893と、第1サブタンク83から第2サブタンク85まで延びる第4導管894と、を含む。第4導管894上には、逆止弁CV1が配置される。逆止弁CV1は、第1流路89のインク流通方向に対し、下流側から上流側へのインクの逆流を防止する。
制御部7は、非画像記録時に、シリンジ88によってインクに保守圧力をかけ、インクをシリンジ88のインク流通方向下流側に向けて強制的に流通させる強制流通モードを実行可能である。これにより、非画像記録時に、インク流路である第1流路89内の気泡を移動させ、記録ヘッド52から遠ざけることができる。即ち、用紙Sへの記録時に、第1流路89内の気泡が記録ヘッド52に移動することを抑制することが可能になる。
また、制御部7は、非画像記録時に、インクをインク吐出ノズル521(図2参照)から強制的に押出(パージ)して記録ヘッド52をクリーニングするクリーニングモードを実行可能である。クリーニングモードにおいて、記録ヘッド52のインク吐出ノズル521から吐出面31(図6参照)にインクが吐出される。吐出されたインクは、例えばインク吐出ノズル521内の粘度が高くなったインク、異物等を含み、表面張力によって吐出面31に保持される。その後、ワイパー(不図示)等によって吐出面31のインクが拭き取られる。
さらに、インク供給部8は、第1開閉弁91と、第2開閉弁92と、第2流路94と、第3開閉弁95と、第3流路98と、開閉機構99と、を備える。第1開閉弁91は、第1流路89の第1導管891上の、インク流通方向に対してシリンジ88よりも上流側に配置される。第1開閉弁91は、第2サブタンク85とシリンジ88との間の第1流路89を開閉する。
第2開閉弁92は、第1流路89の第2導管892上に配置される。第2開閉弁92は、シリンジ88と記録ヘッド52との間の第1流路89を開閉する。第3開閉弁95は、第2流路94の第5導管941上に配置される。第3開閉弁95は、第2流路94を開閉する。
開閉機構99は、第3流路98上に配置される。開閉機構99は、例えば手動で第3流路98の開閉が可能なクランプ等で構成される。開閉機構99は、第3流路98を開閉する。
[3.記録ヘッドの構成]
図5および図6は、それぞれ記録ヘッド52内の加圧室32周辺のインク流路を示す平面図および側面断面図である。図5および図6を用いてインクジェット記録装置1の記録ヘッド52の詳細な構成について説明する。
図5および図6は、それぞれ記録ヘッド52内の加圧室32周辺のインク流路を示す平面図および側面断面図である。図5および図6を用いてインクジェット記録装置1の記録ヘッド52の詳細な構成について説明する。
図6に示すように、記録ヘッド52は用紙Sに対向する吐出面31を有する。吐出面31には、インク吐出ノズル521の開口部である微小径を有する吐出口521aが、吐出面31の長手方向(主走査方向)において少なくとも記録領域の最大幅に亘って複数設けられている。
記録ヘッド52は、吐出面31の吐出口521a以外の部分を覆う撥水膜31aと、吐出口521aに対して1つずつ設けられた加圧室32と、第1流路89(第2導管892)から複数の加圧室32にインクを供給する供給共通流路33と、複数の加圧室32から第1流路89(第3導管893)にインクを循環させる回収共通流路34と、を備える。加圧室32と供給共通流路33とは供給口35で連通されており、供給口35を介して供給共通流路33から加圧室32にインクが供給される。加圧室32とインク吐出ノズル521とは下降流路36で連通されており、下降流路36を介して加圧室32からインク吐出ノズル521にインクが供給される。下降流路36と回収共通流路34とは回収流路37で連通されている。供給共通流路33、回収共通流路34、供給口35、下降流路36、回収流路37は、記録ヘッド52にインクを供給するとともに、画像記録に使用されなかったインクを回収するインクの循環流路を構成する。なお、記録ヘッド52内のインクの循環は上述と逆方向であってもよい。つまり、回収共通流路34、回収流路37、下降流路36、加圧室32、供給口35、供給共通流路33の順にインクを流してもよい。その場合、機能としては、回収共通流路34が供給共通流路として働き、供給共通流路33が回収共通流路として働く。
記録ヘッド52内には、ドット形成のために加圧室32、供給口35、下降流路36、回収流路37、加圧素子57、インク吐出ノズル521の組が複数設けられている。また、複数の供給口35に一つの供給共通流路33が接続され、複数の回収流路37に一つの回収共通流路34が接続されている。供給共通流路33には上流側から加圧部86によって正圧がかけられ、回収共通流路34には下流側から減圧部87によって負圧がかけられている。インク吐出ノズル521の上流側に吐出に適切な正圧がかかるように、加圧部86と減圧部87の圧力のバランスがとられている。ドット形成時も非ドット形成時も、どのインク吐出ノズル521にも上記の圧力がかかり、供給共通流路33から供給口35、加圧室32、下降流路36、回収流路37を介して、回収共通流路34に向かって常にインクが循環している。上記のインク循環時の流速は、後述するインク吐出動作に影響しない程度の流速に設定されている。
加圧室32の壁のうち吐出面31と逆側の壁(上壁)は振動板54で構成されている。振動板54は複数の加圧室32に亘って連続して形成されており、振動板54には同様に複数の加圧室32に亘って連続して形成された共通電極55が積層されている。共通電極55上には、加圧室32毎に別個の加圧素子57が設けられており、共通電極55と共に加圧素子57を挟むように、加圧室32毎に別個の個別電極56が設けられる。加圧素子57としては、圧電素子、静電素子(静電アクチュエータ)、加熱素子(サーマルインクジェット方式に用いられる)を用いることができる。
加圧素子57として、圧電素子、静電素子等の駆動波形に応じて変位して加圧室32の体積を変化させる変位素子を用いることで、駆動波形が直接的に圧力に変換されるので、後述するようにインクの吐出タイミングやメニスカスの揺動タイミングに合わせた圧力を発生させ易くなる。
図7は、駆動波形生成部532の駆動回路の一例を示す図である。駆動波形生成部532は、オペアンプOAと、3つの抵抗R1~R3とを含む。駆動波形生成部532は、波形データ記憶部531に記憶された駆動波形データに基づいて、駆動電圧電源BPから印加される定電圧の駆動電圧を加圧素子57に印加するか否か(オン・オフ)を切り替える駆動波形を生成する。
駆動波形のオン時には、抵抗R1、R3の和と加圧素子57の静電容量Cとの積(R1+R3)*Cで加圧素子57への充電時間が決まる。駆動波形のオフ時には、抵抗R2、R3の和と加圧素子57の静電容量Cとの積(R2+R3)*Cで加圧素子57からの放電時間が決まる。即ち、加圧素子57に対する電荷の充放電に要する時間は、加圧素子57の静電容量と駆動回路の電気抵抗によって決定され、加圧素子57に印加される駆動電圧の変化時間も決定される。
ヘッド駆動部53の駆動波形生成部532で生成された駆動パルスが個別電極56に印加されることで、各加圧素子57は個別に駆動される。この駆動による加圧素子57の変形が振動板54に伝達され、振動板54の変形によって、加圧室32の体積は拡大あるいは縮小される。その結果、加圧室32内のインクに圧力が加わり、インク吐出ノズル521を通過したインクが吐出口521aからインク滴となって吐出される。なお、インク滴が吐出されない間も、インク吐出ノズル521内にはインクが充填されており、インク吐出ノズル521内でインクはメニスカスMを形成している。
記録ヘッド52に配置された複数のインク吐出ノズル521のうち、画像によっては常にインク滴を吐出している(画素を形成している)インク吐出ノズル521もあれば、全くインク滴を吐出しない(画素を形成していない)インク吐出ノズル521も存在する。インク吐出ノズル521の吐出口521aは空気に触れているため、画素(ドット)を形成してから次に画素を形成するまでの時間が長い場合、吐出口521aからインクの揮発成分が蒸発し、インクの粘度が上昇してしまう。インクが増粘すると、次に画素を形成する際の吐出において、吐出されるインク滴の体積が減少したり、吐出速度が低下したり、飛翔方向が曲がったりして正常な画素が形成できない。
記録ヘッド52内の供給共通流路33から供給口35、加圧室32、下降流路36、回収流路37を介して回収共通流路34に向かうインク循環は、インク吐出ノズル521内で増粘したインクを回収共通流路34側に回収することを目的としている。しかし、吐出口521a付近で増粘しているインク層の層厚はインク吐出ノズル521の長さに比して薄いために、インク循環のみでは増粘したインクを十分に回収することができない。
そこで、本実施形態では、増粘したインクをインク循環の流れに乗せるために、非ドット形成時に、インク滴を吐出しない程度にインク吐出ノズル521内のメニスカスMを引き込むように揺動させる微駆動波形を用いて加圧素子57を駆動する。
[4.画像記録時およびメニスカス揺動時の駆動波形]
次に、本実施形態のインクジェット記録装置1において、画像記録時に用いる駆動波形(吐出駆動波形)およびメニスカスMの揺動時に用いる駆動波形(微駆動波形)について説明する。駆動波形生成部532は、波形データ記憶部531に記憶された駆動波形データに応じて発生させた駆動波形によって、一定の駆動電圧を加圧素子57に印加するかしないかを切り替えることで加圧素子57に印加される駆動電圧を変化させて、加圧素子57を駆動する。具体的には、駆動電圧のオン時には駆動電圧電源から加圧素子57に電荷が充電されて加圧素子57は撓み変形し、駆動電圧のオフ時には加圧素子57に充電された電荷が放電されて撓み変形が解除される。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置1において、画像記録時に用いる駆動波形(吐出駆動波形)およびメニスカスMの揺動時に用いる駆動波形(微駆動波形)について説明する。駆動波形生成部532は、波形データ記憶部531に記憶された駆動波形データに応じて発生させた駆動波形によって、一定の駆動電圧を加圧素子57に印加するかしないかを切り替えることで加圧素子57に印加される駆動電圧を変化させて、加圧素子57を駆動する。具体的には、駆動電圧のオン時には駆動電圧電源から加圧素子57に電荷が充電されて加圧素子57は撓み変形し、駆動電圧のオフ時には加圧素子57に充電された電荷が放電されて撓み変形が解除される。
図8は、駆動波形生成部532で発生する1パルスの駆動波形と加圧素子57に印加される駆動電圧を示すグラフである。図8では、駆動波形電圧の時間推移を実線で示し、加圧素子57に印加される駆動電圧の時間推移を破線で示している。前述したように、加圧素子57に対する電荷の充放電に要する時間は加圧素子57の静電容量と駆動波形生成部532の駆動回路の電気抵抗によって決まり、加圧素子57に印加される駆動電圧の変化時間も決まる。1パルスの駆動波形を駆動波形生成部532に入力した場合、図8に示すように、加圧素子57に印加される駆動電圧は立下り、立上りが緩やかな波形となる。この加圧素子57に印加される駆動電圧の立下り時間をTf、立上り時間をTrとする。
ここで、駆動電圧、Tf、Trは固定値であるため、加圧素子57にかかる駆動電圧の波形を規定するには駆動波形のパルス幅だけ設定すればよい。そこで、駆動波形のオン時間、オフ時間を駆動波形データとして、駆動波形毎に波形データ記憶部531に記憶しておく。例えば図8では、オン時間:0[μsec]、オフ時間:6.4[μsec]である。なお,Tf:0.7[μsec]、Tr:0.7[μsec]、駆動電圧:20[V]である。
駆動電圧の印加により加圧素子57から発生した圧力によって、インク吐出ノズル521内にはインクの振動流れが発生する。この振動流れの振動周期は、供給口35、加圧室32、加圧素子57、下降流路36、回収流路37、インク吐出ノズル521の形状、インクの物性値等によって決まる値である。すなわち、この振動周期は、供給共通流路33と回収共通流路34との間にある個別流路の固有振動周期である。この振動周期を固有振動周期Tcとする。
画素形成に使用する吐出駆動波形は、略Tc/2のパルス幅の波形を基本とし、それを複数個組み合わせて、吐出されるインク滴の体積が異なる複数パターンの波形を形成する。図8の1パルスの駆動波形はパルス幅がTc/2である。
図9および図10は、それぞれ図8の駆動電圧を加圧素子57に印加したときのメニスカス速度およびメニスカス変化量を示すグラフである。以下の図9~図14では、メニスカス速度およびメニスカス変化量の時間推移を実線で示し、加圧素子57に印加される駆動電圧の時間推移を破線で示している。図8に示した駆動電圧を加圧素子57に印加した場合、インク吐出ノズル521内のメニスカス速度(メニスカスMの振動速度)およびメニスカス変化量(インク吐出ノズル521内のインクの体積変化量)は、図9および図10に示すように推移する。
駆動電圧の印加開始時には駆動電圧はオン状態(20V)であり、加圧素子57はインク吐出ノズル521の外側に向かって撓み変形している。その後、駆動電圧がオン状態からオフ状態(0V)に変化した際に加圧素子57の撓み変形が解除され、メニスカスMがインク吐出ノズル521内に引き込まれる。その結果、図10に示すようにメニスカスMはマイナス側に所定量(10[pL])だけ変化する。
固有振動周期Tcの半周期(Tc/2)後、メニスカスMの振動速度はマイナスからプラス、即ち、メニスカス速度がインク吐出ノズル521の内側に向かう方向から外側に向かう方向に反転する。このタイミングで駆動電圧をオフ状態からオン状態に変化させて加圧素子57を再び撓み変形させると、メニスカスMがインク吐出ノズル521の外側に押し出されてメニスカスMの振動速度を加速する。その結果、図9に示すようにメニスカス速度が所定速度(例えば10[m/sec])を超え、図10に示すようにメニスカス変化量もプラス側に所定量(例えば10[pL])を超える。これにより、吐出口521aからインク滴が吐出される。
図11および図12は、それぞれインクの循環流路を持たない記録ヘッドにおいて微駆動波形を用いてメニスカスを揺動させたときのメニスカス速度およびメニスカス変化量を示すグラフである。回収流路37、回収共通流路34がない記録ヘッド52の場合、画素形成が所定時間以上行われていないインク吐出ノズル521に対しては、画素形成(インク吐出)の直前に微駆動波形で駆動してメニスカスを揺動させ、インクの増粘層を拡散させることで吐出の安定性を保持する。この場合の微駆動波形は、図11および図12に示すように、略Tfに相当する時間(パルス幅)のパルスを略Tc/2に相当する時間間隔(周期)で複数回繰り返す。即ち、メニスカスを細かく振動させてインクの増粘層を拡散させることが目的であり、メニスカス速度およびメニスカス変化量は小さい。
図13および図14は、それぞれ供給共通流路33と回収共通流路34を有する記録ヘッド52を備えた本実施形態のインクジェット記録装置1において、微駆動波形を用いてメニスカスを揺動させたときのメニスカス速度およびメニスカス変化量を示すグラフである。図13および図14では、オン時間:0[μsec]、オフ時間:Tc(12.8[μsec])、オン時間:Tc/4(3.2[μsec])、オフ時間:Tc/4(3.2[μsec])、オン時間:Tc/4(3.2[μsec])、オフ時間:Tc/4(3.2[μsec])、駆動電圧:20[V]の微駆動波形に対するメニスカス速度およびメニスカス変化量の時間推移を示している。
本実施形態のようにインクの循環流路を設けた記録ヘッド52では、インク吐出ノズル521の吐出口521aの近傍に存在する増粘したインク層(増粘層)をインク吐出ノズル521内にできるだけ大きく引き込み、循環するインクの流れに合流させることを目的として、微駆動波形を用いてメニスカスの揺動を行う。そのため、メニスカス変化量は極力大きくすることが好ましい。しかし、メニスカス変化量が大きい場合、吐出口521aからインク滴が誤吐出してしまう場合もある。
図13および図14に示す微駆動波形では、パルス幅Tcのパルス(引き込みパルス)P1を用いてメニスカスの引き込みを行う。引き込みパルスは、メニスカスをインク吐出ノズル521の内側に引き込む電圧変化の後に、メニスカスをインク吐出ノズル521の外側に押し出す電圧変化があるパルスである。このような微駆動波形を用いることで、メニスカスMがインク吐出ノズル521内に引き込まれる際のメニスカス変化量が、図10に示したドット形成時に用いる吐出駆動波形と同等のメニスカス変化量(10[pL])になっている。即ち、図12に示した微駆動波形のメニスカス変化量と比較して大きくなっている。
また、引き込みパルスP1のパルス幅がTcであるため、メニスカス速度がプラスからマイナス、即ち、メニスカス速度がインク吐出ノズル521の外側に向かう方向から内側に向かう方向に転じたタイミングで、逆にメニスカスを押し出す方向(メニスカスの揺動を相殺する方向)に加圧素子57を駆動させることができる。その結果、メニスカス速度が減速する。これにより、メニスカスMが一旦引き込まれた後、押し出される方向(図14のプラス側)のメニスカス変化量を低減することができ、吐出口521aからのインク滴の誤吐出を抑制することができる。
なお、本実施形態で使用する微駆動波形の引き込みパルスP1のパルス幅はTcに限定されない。図13に示すように、微駆動波形のオン(0[μsec])からTc*3/4経過後にメニスカス速度が極大値となり、駆動電圧をオンしなければTc*5/4経過後にメニスカス速度が極小値(図13の点線で表示)となる。
そのため、微駆動波形のオフ時間(パルス幅)をTc*3/4以上Tc*5/4以下とすることで、インク吐出ノズル521の外側に向かうメニスカス速度が減速している間に、メニスカスを押し出す方向に加圧素子57を駆動させることができる。具体的には、Tc*3/4以上Tc*5/4以下のパルス幅の引き込みパルスP1であれば、インク吐出ノズル521から押し出される方向のメニスカス速度(メニスカス変化量)を、インク吐出ノズル521の外側から内側に向かうメニスカス速度(メニスカス変化量)と相殺させて低減することができる。
特に、図13に示したパルス幅Tcの引き込みパルスP1を用いることで、メニスカス速度がインク吐出ノズル521の外側に向かう方向から内側に向かう方向に転じたタイミング(速度0[m/sec]の点を通過するタイミング)でメニスカスを押し出す方向に加圧素子57を駆動させることができ、メニスカス速度(メニスカス変化量)を相殺する効果が最大となるため好ましい。
また、本実施形態で用いる微駆動波形は、上述した引き込みパルスP1の後に、略Tc/4に相当するパルス幅のパルス(制振パルス、メニスカスをインク吐出ノズル521の内側に引き込む電圧変化の後に、メニスカスをインク吐出ノズル521の外側に押し出す電圧変化があるパルス)P2を略Tc/2の周期で2回繰り返すものである。加圧素子57に印加される駆動電圧が低い場合は、パルス幅がTc*3/4以上Tc*5/4以下の引き込みパルスP1のみでもインク滴の誤吐出は発生し難いが、駆動電圧が高い場合は引き込みパルスP1のみではメニスカス速度(メニスカス変化量)を十分に低減できない場合もある。
例えば、ヒーター等のインクの温度調整機構を有しない記録ヘッド52の場合、環境温度によってインクの粘度が変化する。また、インク滴を吐出したときの画素濃度を一定にするためにはインク吐出量を一定にする必要がある。従って、インクの粘度が高い場合はインク吐出量を一定にするためにインク滴の吐出速度を高くする必要があり、駆動電圧を高くする必要がある。
また、表面張力が低いインクの場合はメニスカスが壊れやすいため、引き込みパルスP1を用いてメニスカスを揺動させたときに吐出口521aから吐出面31にインクが溢れ出し易くなる。
そこで、引き込みパルスP1の後に制振パルスP2を継続させる微駆動波形を用いることで、引き込みパルスP1によって生じたメニスカスの残留振動をより効果的に減衰させることができる。従って、インク粘度が高いとき等のように高い駆動電圧を用いる場合のインク滴の誤吐出や、表面張力が低いインクを用いる場合のインクの溢れを効果的に抑制することができる。
微駆動波形によるメニスカスの揺動は、インク滴を吐出しないインク吐出ノズル521に対して継続的に実行される。より詳細には、インク滴を吐出しない間は図13および図14に示した微駆動波形を繰り返し用いてメニスカスの揺動を継続する。そして、インク滴を吐出する際には微駆動波形を図9および図10に示した吐出駆動波形に切り替えてインク滴の吐出を行う。
ここで、微駆動波形によるメニスカスの揺動に必要な時間、および吐出駆動波形によるインク滴の吐出に必要な時間はいずれも50[μsec]程度である。即ち、引き込みパルスP1と制振パルスP2を含めて微駆動波形を50[μsec]に収めるためには、制振パルスP2の繰り返し回数は3回以内とする必要がある。また、制振パルスP2を4回以上繰り返してもメニスカスの残留振動の減衰効果の更なる向上は期待できない。そのため、制振パルスP2のパルス数は1~3が適当である。
上述したような微駆動波形を用いることで、供給共通流路33と回収共通流路34とを有する記録ヘッド52において、インク吐出ノズル521の先端で増粘したインクを効率よくインク吐出ノズル521内に引き込むことができる。その結果、増粘したインクを加圧室32から回収流路37に流れるインクの循環流れに乗せて確実に回収し、インク吐出ノズル521内のインクの乾燥によるドット形成不良を抑制することができる。また、インク吐出ノズル521からのインクの誤吐出も抑制することができる。
また、メニスカスを揺動させた直後にインク滴を吐出する場合は、インク吐出ノズル521内のメニスカスがなるべく振動していない状態で、吐出駆動波形を用いてインク滴を吐出させることが好ましい。引き込みパルスP1と制振パルスP2を含む微駆動波形を用いることで、インク吐出ノズル521内の増粘したインクを効果的に除去し、且つ、直後のインク滴の吐出時にはメニスカスの揺動が十分に減衰された状態とすることができ、より高精細な画素形成を行うことができる。
〔5.その他〕
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、負圧吸引によって用紙Sを第1搬送ベルト411に吸着させて搬送する場合について説明したが、第1搬送ベルト411を帯電させ、用紙Sを第1搬送ベルト411に静電吸着させて搬送するようにしてもよい(静電吸着方式)。
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、負圧吸引によって用紙Sを第1搬送ベルト411に吸着させて搬送する場合について説明したが、第1搬送ベルト411を帯電させ、用紙Sを第1搬送ベルト411に静電吸着させて搬送するようにしてもよい(静電吸着方式)。
また、上記実施形態では、インクジェット記録装置1として、4色のインクを用いてカラー画像を記録するカラープリンターを用いた例について説明したが、ブラックのインクのみを用いてモノクロの画像を記録するモノクロプリンターを用いた場合でも、本実施形態の駆動波形を用いることは可能である。
本発明は、インクジェットプリンターなどのインクジェット記録装置に利用可能である。
1 インクジェット記録装置
5 記録部
7 制御部
8 インク供給部
31 吐出面
32 加圧室
33 供給共通流路
34 回収共通流路
35 供給口
36 下降流路
37 回収流路
41 第1ベルト搬送部
51 ヘッドユニット
52 記録ヘッド
521 インク吐出ノズル
521a 吐出口
53 ヘッド駆動部
531 波形データ記憶部
532 駆動波形生成部
533 バッファー
534 セレクター
54 振動板
55 共通電極
56 個別電極
57 加圧素子
S 用紙(記録媒体)
P1 引き込みパルス
P2 制振パルス
5 記録部
7 制御部
8 インク供給部
31 吐出面
32 加圧室
33 供給共通流路
34 回収共通流路
35 供給口
36 下降流路
37 回収流路
41 第1ベルト搬送部
51 ヘッドユニット
52 記録ヘッド
521 インク吐出ノズル
521a 吐出口
53 ヘッド駆動部
531 波形データ記憶部
532 駆動波形生成部
533 バッファー
534 セレクター
54 振動板
55 共通電極
56 個別電極
57 加圧素子
S 用紙(記録媒体)
P1 引き込みパルス
P2 制振パルス
Claims (7)
- インクを吐出する複数のノズルに連通し、内部に前記インクを収容可能な複数の加圧室と、
複数の前記加圧室に対応して配置され、前記各加圧室内の前記インクに圧力をかけて前記各ノズルから前記インクを吐出させる複数の加圧素子と、
前記記録ヘッドへのインク流通方向に対し複数の前記加圧室の上流側に接続され、前記加圧室に供給される前記インクが通過する供給共通流路と、
前記インク流通方向に対し複数の前記加圧室の下流側に接続され、前記ノズルから吐出されなかった前記インクを回収する回収共通流路と、
を有する記録ヘッドと、
前記加圧素子に駆動電圧を印加して前記記録ヘッドを駆動するヘッド駆動部と、
前記ヘッド駆動部を制御して、画像記録の対象となる画像データを構成する画素データの階調に応じて定まる回数のインク吐出を前記各ノズルに対して実行させるか、若しくは前記画像記録に寄与するタイミングとは異なるタイミングで前記各ノズル内の前記インクのメニスカスを揺動させる制御部と、
を備えたインクジェット記録装置において、
前記ヘッド駆動部は、
前記駆動電圧の駆動波形データとして、前記画像データに応じて前記ノズルから記録媒体上に前記インクを吐出するための吐出駆動波形データと、前記メニスカスを揺動させるための微駆動波形データと、を少なくとも記憶する波形データ記憶部と、
前記波形データ記憶部に記憶された前記駆動波形データを用いて、前記ノズルからのインク吐出量に応じて設定された1つ以上の吐出駆動波形と、前記メニスカスを揺動させる微駆動波形と、を生成する駆動波形生成部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐出駆動波形と前記微駆動波形とを前記駆動波形生成部から前記加圧素子に選択的に印加可能であり、
前記メニスカスの固有振動周期をTcとするとき、前記微駆動波形は、Tc*3/4以上Tc*5/4以下のパルス幅の引き込みパルスを含む駆動波形であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記引き込みパルスのパルス幅がTcであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記微駆動波形は、前記引き込みパルスの後に、略Tc/4のパルス幅の制振パルスを1つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記微駆動波形は、略Tc/2の周期で繰り返す複数の前記制振パルスを含むことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
- 前記制振パルスの繰り返し回数が3回以下であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
- 前記駆動波形生成部は、前記加圧素子に印加する前記駆動電圧のオン・オフを切り替える駆動波形を生成し、前記加圧素子の静電容量と前記駆動波形生成部を構成する駆動回路の電気抵抗によって前記駆動電圧の変化時間が決定されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドは、前記供給共通流路と複数の前記加圧室との間にそれぞれ接続される複数の供給口と、複数の前記加圧室と前記回収共通流路との間にそれぞれ接続される複数の回収流路と、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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