JP2024017363A - 血圧又は動脈機能の改善用組成物 - Google Patents

血圧又は動脈機能の改善用組成物 Download PDF

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Masato Nishiwaki
幸一 川原
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Abstract

【課題】血圧又は動脈機能の改善用組成物の提供。【解決手段】エスパルセットハニーを有効成分として含有する、血圧又は動脈機能の改善用組成物。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼令和3年8月 https://www.jst.go.jp/start/univ-promo/project2020/oit2020.html https://www.jst.go.jp/start/file/project/score-u_oit_04.pdf を通じて発表 ▲2▼令和3年9月17日~9月30日(オンデマンド配信期間) 第76回日本体力医学会大会(オンライン開催) https://medcon.jp/jspfsm76/viewer/ を通じて発表 ▲3▼令和3年9月 第76回日本体力医学会大会 プログラム・予稿集、第184頁にて発表 ▲4▼令和3年11月18日 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jpfsm/10/6_contents/-char/en https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpfsm/10/6/10_316/_pdf/-char/en を通じて発表 ▲5▼令和4年3月10日 2021年度大阪工業大学工学部生命工学科研究成果発表会 大阪工業大学 大宮キャンパス 10号館 4階 1041教室 にて発表
本発明は、血圧又は動脈機能の改善用組成物に関する。詳細には、本発明は、エスパルセットハニーを有効成分として含有する、血圧又は動脈機能の改善用組成物に関する。
世界の死因の第1位及び第2位、並びに、日本の死因の約3分の1が、心血管疾患と脳血管疾患である。これら動脈硬化性疾患の罹患率は加齢や悪しき生活習慣(身体活動不足、喫煙等)に伴い増大するため、副作用や悪影響が少ない手法によって、より簡易的かつ効果的に血管保護や動脈硬化性疾患を予防及び改善することが極めて重要である。血圧上昇、血管内皮機能低下(血管拡張調整作用不調等)及び動脈スティフネス増大(動脈壁硬化度上昇)は、血管損傷、動脈硬化性疾患及び循環器系疾患の強力なリスク因子である。すなわち、血圧の悪化や、血管内皮機能及び動脈スティフネス等の動脈機能の悪化は、血管損傷、動脈硬化性疾患及び循環器系疾患の将来の発症及び予後に強く影響する。そのため、血圧、動脈機能(血管内皮機能、動脈スティフネス等)を、好ましい状態に保つことが推奨されている。血圧、動脈機能(血管内皮機能、動脈スティフネス等)は、運動(身体活動)、薬剤や食品の摂取によって、一過性及び継続的に改善できることが知られている。
近年、血圧、動脈機能(血管内皮機能、動脈スティフネス等)を改善するための食品成分について、より簡便な摂取、並びに、副作用及び悪影響の低減等を目的として種々の検討がなされている。例えば、動脈スティフネスを改善するために、カカオポリフェノールを用いること(特許文献1)、食事の摂取による動脈スティフネスの増大を抑制するために、イソマルツロースを用いること(特許文献2)、血管内皮機能を改善するために、松樹皮由来のプロシアニジンB1及びプロシアニジンB3を用いること(特許文献3)、血管内皮機能を改善するために、イソキサントフルモールを用いること(特許文献4)、血管内皮機能を向上するために、サチャインチオイルを用いること(特許文献5)、血管内皮機能の低下を予防又は改善するために、シトルリン及びグルタチオンを組み合わせて用いること(特許文献6)等が従来提案されている。
しかし、イソマルツロースは、食事摂取後の動脈スティフネスの増大を抑制し得ることが報告されているが、継続的に動脈スティフネスを低減させる作用は有しない。また、カカオポリフェノール、プロシアニジンB1及びプロシアニジンB3、イソキサントフルモール、サチャインチオイル、シトルリン及びグルタチオンについては、提供する食品の摂取カロリーが高くなること、抽出や加工に手間がかかること、効果が短期間で得られにくいこと、継続的な摂取に適した味でないこと等が、問題点として挙げられる。
一方、ヤハシ蜂蜜について、消化性潰瘍等の原因菌であるヘリコバクター・ピロリや、歯周疾患の原因菌であるポルフィロモナス・ジンジバリスの除菌に用いることが提案されている(特許文献7、8)。また、ハチミツ酢(蜂蜜を主原料として製造される醸造酢)を、血流の改善や睡眠導入の改善に用いることが提案されている(特許文献9)。蜂蜜はアテローム性動脈硬化症の緩和に有用であることも報告されている(非特許文献1、2)。
しかし、ある特定の種類の蜂蜜そのものを有効成分とする、血圧又は動脈機能の改善用組成物はこれまで報告されていない。
国際公開第2017/026471号 特開2021-1139号公報 特開2022-33803号公報 国際公開第2020/116381号 特開2018-203695号公報 国際公開第2013/122188号 国際公開第2008/133098号 国際公開第2013/118759号 特開2020-40901号公報
Nutrients,2019,Vol.11,Iss.1,167 Frontiers in Pharmacology,2017,Vol.8,Article 412
上述の通り、加齢や悪しき生活習慣に伴う血圧上昇、動脈機能低下(血管内皮機能低下、動脈スティフネス増大等)の改善について、運動、薬剤及び食品等の多方面から数多くの検討が従来なされてきた。しかし、運動については、低体力者や基礎疾患保有者では、十分な運動を行えない場合や継続が難しい場合がある。また、薬剤の投与については、著しい副作用や悪影響が生じる場合があり、長期の日常的な予防方法としての活用には向いていない。
このような背景の下、日常的に簡易に摂取可能な食品やサプリメント等として提供可能で、かつ、血圧、動脈機能(血管内皮機能、動脈スティフネス等)のそれぞれに対して、一時的又は継続的な改善等、一定の効果が期待される組成物の提供が求められている。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、血圧又は動脈機能の改善用組成物を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、まずin vitro試験にて、ある種の蜂蜜(エスパルセットの花や各種ハーブ類の花々を採蜜源とする百花蜜)が、血管内皮細胞を活性化し、酸化ストレスへの耐性を高め得ることを知見した。次いで、本発明者らは、in vitro試験に用いた蜂蜜の採蜜源の中からエスパルセットの花に着目して、エスパルセットハニーの単花蜜を用いて臨床試験を行い、その結果、当該蜂蜜は単回摂取で、動脈スティフネスを一過性に低減させて、動脈を柔らかくすること、また、当該蜂蜜の継続的な摂取が、血圧の低下、動脈スティフネスの低減、血管内皮機能の向上をもたらすことを見出した。更に、本発明者らは、エスパルセットハニーのメタボローム解析を実施して、エスパルセットハニーが、市販の通常の蜂蜜や健康効果が高いことで知られる蜂蜜(マヌカハニー)とは異なる特異的な成分組成を有していることを知見し、当該結果からもエスパルセットハニーが他の蜂蜜では代替不可能な優位性を備えることが裏付けられた。本発明者らは、これらの知見に基づいて更に研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]エスパルセットハニーを有効成分として含有する、血圧又は動脈機能の改善用組成物。
[2]前記動脈機能が、血管内皮機能又は動脈スティフネスである、前記[1]記載の組成物。
[3]血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患の予防又は改善のために用いられる、前記[1]又は[2]記載の組成物。
[4]経口組成物である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]食品組成物である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
本発明によれば、血圧又は動脈機能の改善に有用な組成物を提供できる。当該組成物は、血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患の予防又は改善にも有用である。
本発明の組成物の有効成分であるエスパルセットハニーは、安全性が高く、呈味にも優れることから、本発明の組成物は、継続的な摂取又は投与が可能である。また、本発明の組成物は、短期間で優れた血圧又は動脈機能の改善作用、効果が得られ、例えば、単回の摂取又は投与でも所望の作用、効果が得られうる。本発明の組成物の有効成分であるエスパルセットハニーは、抽出や加工が比較的容易である。
実験1-1の実験結果を示すグラフである。詳細には、蜂蜜A(図中、「ALAY HONEY」)、蜂蜜K(図中、「Kara-Kulja Raw Honey」)又は蜂蜜N(図中、「Normal Honey」)を添加した場合、あるいは蜂蜜を添加しなかった場合(図中、「Control」)の、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数の計測結果を示すグラフである。 実験1-2の実験結果を示すグラフである。詳細には、過酸化水素に加え、蜂蜜A(ALAY HONEY)、蜂蜜K(Kara-Kulja Raw Honey)又は蜂蜜N(Normal Honey)を添加した場合(図中、「H2O2+A」、「H2O2+K」又は「H2O2+N」)、過酸化水素を添加し、蜂蜜を添加しなかった場合(図中、「H2O2」)、並びに、過酸化水素も蜂蜜も添加しなかった場合(図中、「C」)の、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数の計測結果を示すグラフである。 実験2の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、実験食の摂取前(図中、「Base」)、並びに、摂取から15分後、30分後及び60分後のhaPWVの測定結果を示すグラフである。 実験2の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、実験食の摂取前(図中、「Base」)、並びに、摂取から15分後、30分後及び60分後のCAVIの測定結果を示すグラフである。 実験2の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、実験食の摂取から30分後に測定されたCAVIの、ベースライン(摂取前)からの変化率を示すグラフである。 実験3の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、介入期間の前後における収縮期血圧の変化率を示すグラフである。 (a)及び(b)は、それぞれ実験3の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、(a)は、介入期間前(図中、「pre」)及び介入期間後(図中、「post」)の%FMDを示すグラフであり、(b)は、介入期間前後における%FMDの変化量を示すグラフである。 実験4の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、通常の蜂蜜、マヌカハニー及びエスパルセットハニーの検出物質の階層クラスター分析の結果を示す図である。図中、Aが市販の蜂蜜を、Bがマヌカハニーを、Cがエスパルセットハニーを、それぞれ示している。 実験4の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)に含有されるアデノシンの相対面積値(Relative Area)を示すグラフである。 実験4の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)に含有されるリジンの相対面積値(Relative Area)を示すグラフである。 実験4の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)に含有されるヒスチジンの相対面積値(Relative Area)を示すグラフである。 実験4の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)に含有されるアセチルコリンの相対面積値(Relative Area)を示すグラフである。 実験4の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)に含有されるGABAの相対面積値(Relative Area)を示すグラフである。 実験4の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)に含有されるオルニチンの相対面積値(Relative Area)を示すグラフである。 実験4の実験結果を示すグラフの一つである。詳細には、通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)に含有されるADMAの相対面積値(Relative Area)を示すグラフである。
本発明の血圧又は動脈機能の改善用組成物(本明細書中、単に「本発明の組成物」と称する場合がある)は、エスパルセットハニーを有効成分として含有することを、特徴の一つとする。
本明細書において「エスパルセットハニー」(本明細書中、「エスパルセット蜂蜜」と称する場合がある)とは、エスパルセット(学名:Onobrychis viciifolia、和名:イガマメ)の花を主な採蜜源とする蜂蜜を言う。
本発明において用いられるエスパルセットハニーは、単花蜜であることが好ましい。本明細書において「単花蜜」とは、その全て又は大部分を単一の種類の花から採蜜した蜂蜜を言う。すなわち、エスパルセットハニーの単花蜜は、その全て又は大部分をエスパルセットの花から採蜜した蜂蜜である。エスパルセットハニーの単花蜜は、優れた効果が得られる観点から、エスパルセット花粉の優占度(蜂蜜に含まれる全花粉構成の中で、エスパルセットの花粉が占める割合)が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。ここで、エスパルセットハニーにおけるエスパルセット花粉の優占度は、エスパルセットハニーの顕微鏡観察により求められる。
本発明において用いられるエスパルセットハニーは、エスパルセットの花を主な採蜜源とするものであれば、その成分は特に制限されないが、例えば、アデノシン、リジン、ヒスチジン、アセチルコリン、γ-アミノ酪酸(GABA;Gamma Amino Butyric Acid)、オルニチン等を含有することが好ましい。
本発明において用いられるエスパルセットハニーが一態様としてアデノシンを含有する場合、エスパルセットハニーにおけるアデノシンの濃度は、好ましくは10~40nmol/gであり、より好ましくは20~30nmol/gである。
本発明において用いられるエスパルセットハニーが一態様としてリジンを含有する場合、エスパルセットハニーにおけるリジンの濃度は、好ましくは130~170nmol/gであり、より好ましくは140~160nmol/gである。
本発明において用いられるエスパルセットハニーが一態様としてヒスチジンを含有する場合、エスパルセットハニーにおけるヒスチジンの濃度は、好ましくは40~80nmol/gであり、より好ましくは50~70nmol/gである。
本発明において用いられるエスパルセットハニーが一態様としてGABAを含有する場合、エスパルセットハニーにおけるGABAの濃度は、好ましくは35~75nmol/gであり、より好ましくは45~65nmol/gである。
本発明において用いられるエスパルセットハニーが一態様としてオルニチンを含有する場合、エスパルセットハニーにおけるオルニチンの濃度は、好ましくは3~9nmol/gであり、より好ましくは4~8nmol/gである。
本発明において、エスパルセットハニーに含まれる成分(例、アデノシン、リジン、ヒスチジン、アセチルコリン、GABA、オルニチン等)及びその濃度は、後述の実施例に示されるように、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)、液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計(LC-TOFMS)を用いて確認及び測定し得る。
本発明において用いられるエスパルセットハニーの製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用いてよい。本発明において用いられるエスパルセットハニーは、異物(例、蜜蜂の巣の破片、蜜ろう、蜜蜂の幼虫等)の除去処理(例、濾過等の精製処理)、殺菌処理、乾燥処理、加熱処理、濃縮処理等が適宜施されていてよい。本発明は、市販のエスパルセットハニー(すなわち、商業的に入手可能なエスパルセットハニー)を用いてもよく、特にヒトが飲食可能な程度に品質が保証されたものが好ましい。市販のエスパルセットハニーを用いる場合、その原産地(採蜜国)は特に制限されないが、例えば、キルギス共和国(キルギス共和国オシュ州等)等が挙げられる。市販のエスパルセットハニーの例としては、DOSKE COMPANY社製の「オシュの白いはちみつ エスパルセットハニー(RAW Honey)」(商品名)等が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書において、血圧の「改善」とは、血圧(特に、収縮期血圧)を降下させること、血圧上昇を抑える(血圧を維持する)こと、血圧上昇を緩和する(遅らせる)ことを言う。
動脈の基本的な構造は、内膜、中膜及び外膜の三層によって血管壁(動脈壁)が構成されていると言え、本明細書において「動脈機能」とは、内膜(血管内皮細胞等)、中膜(平滑筋細胞等)、外膜(線維芽細胞等)におけるそれぞれの機能、及び、これらの三層によって構成される動脈壁の機能を言う。
本明細書において、動脈機能の「改善」とは、動脈機能を向上すること、動脈機能の低下を抑える(動脈機能を維持する)こと、動脈機能の低下を緩和する(遅らせる)ことを言う。
本発明により改善され得る動脈機能の具体例としては、血管内皮機能、動脈スティフネス、動脈コンプライアンス等が挙げられ、好ましくは、血管内皮機能、動脈スティフネスである。
本明細書において「血管内皮機能」とは、血管内皮細胞の機能を言い、具体例としては、血管作動性物質(一酸化窒素等)の放出による血管の拡張又は収縮の調整等が挙げられる。
本明細書において、血管内皮機能の「改善」とは、血管内皮機能を向上すること、血管内皮機能の低下を抑える(血管内皮機能を維持する)こと、血管内皮機能の低下を緩和する(遅らせる)ことを言う。血管内皮機能の改善の程度は、例えば、血流依存性血管拡張反応(%FMD;Flow-Mediated Dilatation)等を指標にして評価され得る。%FMDは、血管内皮機能が向上するほど高値となる。
本明細書において「動脈スティフネス」とは、動脈壁の硬さ(柔軟性、しなやかさ)を言う。
本明細書において、動脈スティフネスの「改善」とは、動脈壁の柔軟性、しなやかさを向上すること、動脈壁が硬くなること(動脈壁の硬化度の上昇)を抑える(動脈壁の柔軟性、しなやかさを維持する)こと、動脈壁が硬くなることを緩和する(遅らせる)ことを言う。動脈スティフネスの改善の程度は、例えば、心臓足首血管指数(CAVI;Cardio Ankle Vascular Index)、心臓-足首間脈波伝播速度(haPWV;heart ankle Pulse Wave Velocity)等を指標にして評価され得る。CAVI及びhaPWVは、動脈スティフネスが低減するほど低値となる。
本明細書において「血圧又は動脈機能の改善用組成物」は、血圧又は動脈機能の改善剤を包含する概念である。
本発明の組成物は、エスパルセットハニーのみからなるものであってよく、あるいは、エスパルセットハニーに加えて、通常の食品組成物、医薬組成物に使用され得る素材、添加物、担体等を任意に含有してもよい。当該素材、添加物及び担体は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、界面活性剤、コーティング基材、等張化剤、緩衝剤、増粘剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味料、香料、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、タンパク質、炭水化物、食物繊維、油脂等が挙げられる。
本発明の組成物におけるエスパルセットハニーの含有量は、本発明の所望の作用、効果が得られる量であれば特に制限されず、本発明の組成物の形態、摂取方法等に応じて適宜設定し得るが、当該含有量の下限は、本発明の組成物に対して、通常0.01重量%以上であり、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上であり、更に好ましくは3重量%以上であり、特に好ましくは5重量%以上であり、また、当該含有量の上限は、本発明の組成物に対して、通常100重量%以下であり、好ましくは99重量%以下であり、より好ましくは90重量%以下であり、更に好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下である。
本発明の組成物の形状は特に制限されず、固体(粉体を含む)、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよい。
本発明の組成物の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造され得る。
本発明の組成物の摂取経路又は投与経路は特に制限されず、本発明の組成物は、経口的に摂取又は投与されるものであってよく、あるいは、非経口的に摂取又は投与されるものであってもよい。本発明の組成物は、経口的に摂取又は投与されることが好ましく、すなわち本発明の組成物は、好ましくは経口組成物である。ここで「経口組成物」とは、経口的に摂取又は投与される組成物(例、食品組成物、経口医薬組成物等)を言う。また、本明細書において「摂取」は、摂取、喫食、飲食、服用、飲用等を全て包含する概念である。
本発明の組成物は、一態様として、食品組成物として提供され得る。本明細書において「食品組成物」には、飲料(飲料組成物)も包含される。
本発明の組成物が食品組成物である場合、食品組成物の種類は本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、菓子類(例、飴、キャンディ、ドロップ、ガム、グミ、フォンダン等)、デザート類、冷菓類、パン類、飲料(例、清涼飲料、茶飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料、粉末飲料等)、調味料、加工食品(例、食肉加工品、野菜加工品、水産加工品等)、惣菜、スープ類、乳製品等が挙げられる。
本発明の組成物が食品組成物である場合、本発明の組成物は、例えば、健康食品、機能性食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、特別用途食品(例えば、病者用食品等)、サプリメント等として提供され得る。ここで「サプリメント」とは、栄養素等を補うための栄養補助食品、栄養機能食品等を意味するだけではなく、健康の保持、回復、増進等のために役立つ機能等を有する健康補助食品、健康機能食品等をも意味する。
本発明の組成物が食品組成物である場合、食品組成物の形態は特に制限されないが、本発明の組成物は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、細粒剤、トローチ、タブレット、液剤(ドリンク剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤を含む)等として調製し得る。
本発明の組成物は、一態様として、医薬組成物として提供され得る。本明細書において「医薬組成物」には、医薬及び医薬部外品が包含される。
本発明の組成物が医薬組成物である場合、医薬組成物の投与経路は本発明の目的を損なわない限り特に制限されず、経口投与及び非経口投与(例、静脈投与等)のいずれであってもよいが、好ましくは経口投与である。
本発明の組成物が医薬組成物である場合、医薬組成物の形態は特に制限されないが、本発明の組成物は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、細粒剤、トローチ、タブレット、液剤(ドリンク剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤を含む)等として調製し得る。
本発明の組成物が医薬組成物である場合、本発明の組成物は、エスパルセットハニーに加えて、その他の薬効成分(薬剤)を含有してよい。当該薬効成分は本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、血圧又は動脈機能(例、血管内皮機能、動脈スティフネス、動脈コンプライアンス等)の改善作用、血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又疾患の予防又は改善作用等を示すものが好ましい。
本発明の組成物は、血圧の改善に好適に用い得る。また、本発明の組成物は、動脈機能の改善に好適に用い得、特に、血管内皮機能の改善、動脈スティフネスの改善に好適に用い得る。したがって、本発明の組成物は、一態様として、血管内皮機能又は動脈スティフネスの改善用組成物(改善剤)であってよい。
血管内皮機能の改善の程度は、上述の通り、血流依存性血管拡張反応(%FMD)等を指標にして評価され、本発明の組成物により%FMDを向上し得る。したがって、本発明の組成物は、一態様として、血流依存性血管拡張反応の改善(向上)用組成物であってよい。
本発明の組成物は、血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患の予防又は改善のために用いられ得る。血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状、疾患の具体例としては、高血圧症、動脈硬化症、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中(脳梗塞、脳出血)、腎不全、血流低下、肩こり、冷え性、むくみ、体力の低下、持久的運動能力の低下等が挙げられる。ここで、血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患の「予防」とは、当該症状又は疾患の発現(再発を含む)を防止又は遅延させることを言う。また、血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患の「改善」は、治療を包含する概念であり、当該症状又は疾患を治癒すること、あるいは、当該症状又は疾患の進展を抑制又は遅延させることを言う。
動脈は、心収縮期に動脈壁が伸展し、心臓から駆出された血液を動脈内部に蓄え、心拡張期には伸展した動脈壁が元に戻ることで、蓄えた血液を末梢へと送るという機能を有し、当該機能により、心収縮期に、血圧の上昇を抑えて、後負荷を軽減する作用(後負荷軽減作用)、血圧や血流量の変動を平坦化する作用(拍動緩衝作用)等を奏し得る。また、動脈は、心臓から駆出された血液を運搬する導管としての機能(導管機能)も有する。これらの機能、作用は、動脈スティフネスが増大することによって損なわれるところ、本発明の組成物による動脈スティフネスの改善により、これらの機能、作用を維持、向上し得ることが期待できる。したがって、本発明の組成物は、一態様として、動脈の後負荷軽減作用、拍動緩衝作用、導管機能の改善のために用いられ得る。
本発明の組成物は、用途、効能、効果、機能等に関する表示が付されてよい。本発明の組成物に付され得る表示は、血圧の改善、動脈機能(血管内皮機能、動脈スティフネス等)の改善に関するものが好ましく、例えば、「血圧を改善する」、「高めの血圧を改善する」、「高めの血圧を低下させる」、「血圧の上昇を緩和する(穏やかにする)」、「血圧を正常に維持するのを助ける(サポートする)」、「血圧を健康に保つのを助ける(サポートする)」、「血圧が高めの方に」、「血圧が気になる方に」、「動脈機能を改善する」、「低下した動脈機能を改善する」、「低下した動脈機能を高める」、「動脈機能の低下を予防する」、「動脈機能の衰えを改善する」、「動脈機能を正常に維持するのを助ける(サポートする)」、「血管内皮機能を改善する」、「低下した血管内皮機能を改善する」、「低下した血管内皮機能を高める」、「血管内皮機能の低下を予防する」、「血管内皮機能の衰えを改善する」、「血管内皮機能を正常に維持するのを助ける(サポートする)」、「動脈スティフネスを改善する」、「動脈スティフネスの増大を予防する」、「動脈の硬化を改善する」、「動脈の硬化を予防する」、「動脈の柔らかさを保つのを助ける(サポートする)」、「動脈のしなやかさを保つのを助ける(サポートする)」、「動脈が硬めの方に」、「動脈の柔らかさが気になる方に」、「血管の硬化を改善する」、「血管の硬化を予防する」、「血管の柔らかさを保つのを助ける(サポートする)」、「血管のしなやかさを保つのを助ける(サポートする)」、「血管が硬めの方に」、「血管の柔らかさが気になる方に」、「血管年齢が気になる方に」等が挙げられるが、これらに制限されない。これらの表示が、包装、容器、説明書、添付文書、宣伝物(広告、ウェブサイト等を含む)等に付された製品は、血圧又は動脈機能の改善用組成物に包含され得る。本発明の組成物は、上記の表示に加えて、エスパルセットハニーの既知の用途、効能、効果、機能(例えば、ストレス軽減、リラックス作用、睡眠の質の向上、視力の向上、認知機能低下の予防又は改善等)に関する表示が付されていてよい。
本発明の組成物の適用対象(摂取対象、投与対象)は、好ましくはヒトであるが、非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等の非ヒト哺乳動物)であってもよい。
本発明の組成物の適用対象がヒトである場合、適用対象は、健常者であってよく、あるいは、例えば、血圧又は動脈機能の改善を必要とする又は希望する者、血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患を有する者等であってもよい。適用対象の年齢、性別は特に制限されない。適用対象は、例えば、60歳以上、65歳以上、又は75歳以上の高齢者等であってよい。
本発明の組成物の摂取量又は投与量は、血圧又は動脈機能を改善し得る有効量、あるいは、血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患を予防又は改善し得る有効量の範囲内であればよく、本発明の組成物の形態、摂取方法、投与方法、適用対象の状態、症状、年齢、体重等に応じて適宜設定してよい。例えば、本発明の組成物の適用対象がヒト(成人)である場合、本発明の組成物は、エスパルセットハニーの1日当たりの摂取量又は投与量が通常1~300g、好ましくは5~100g、より好ましくは10~50gとなるように使用され得る。本発明の組成物の1日当たりの摂取又は投与回数は、1回であってよく又は複数回(2回以上、好ましくは2~3回)であってよい。
本発明の組成物は、単回の摂取又は投与で所望の作用、効果が得られうるため、本発明の組成物の摂取又は投与は単回であってよい。あるいは、本発明の組成物の有効成分であるエスパルセットハニーは安全性が高く、呈味にも優れるため、本発明の組成物は、2日以上にわたって継続的に摂取又は投与してもよい。本発明の組成物を継続的に摂取又は投与する場合、摂取又は投与期間は特に制限されないが、通常4週間程度である。
本発明の組成物を非ヒト動物(例、非ヒト哺乳動物等)に使用する場合、本発明の組成物は、飼料(飼料添加物を含む)として調製し得る。ここで「飼料」には、非ヒト動物が栄養等を目的として経口的に摂取するものが全て包含される。飼料としては、例えば、ペット動物用飼料(例、ドッグフード、キャットフード等)、家畜動物用飼料、実験動物用飼料等が挙げられる。
以下に、実験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらの実験例により限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。また、実験例において使用する試薬や装置、材料等は特に言及されない限り、商業的に入手可能である。
<実験1-1>
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC、タカラバイオ社製)を24ウェルプレートに5×10cells/wellとなるように播種し、37℃、5%COインキュベーター内で、24時間培養した。培地は、内皮細胞増殖培地2(タカラバイオ社製)を使用した。24時間培養後、下記の蜂蜜A、蜂蜜K又は蜂蜜Nを、最終濃度が0.5%となるよう添加した。尚、コントロールには何も添加しなかった。37℃、5%COインキュベーター内に24時間又は48時間静置した後、それぞれヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数を計測した。
・蜂蜜A
エスパルセットの花や各種ハーブ類の花々を採蜜源とする百花蜜(DOSKE COMPANY社製、商品名:オシュのはちみつ 天然ハーブのマウンテンハニー(ALAY HONEY)
・蜂蜜K
エスパルセットの花や各種ハーブ類の花々を採蜜源とする百花蜜(DOSKE COMPANY社製、商品名:オシュのはちみつ 峡谷のマウンテンハニー(Kara-Kulja Raw Honey)
・蜂蜜N
市販の通常の蜂蜜(ライフ社製、商品名:純粋はちみつ)
〔ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数の計測〕
24ウェルプレートから培地を除去し、内皮細胞増殖培地2(タカラバイオ社製)で3回洗浄した後、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク社製)を40μL/well添加した。インキュベーター内に1時間静置して発色させた後、プレートリーダー(バイオラッド社製)により450nmにおける吸光度を測定した。
結果を図1に示す。蜂蜜A(図中、「ALAY HONEY」)又は蜂蜜K(図中、「Kara-Kulja Raw Honey」)を添加することにより、蜂蜜N(図中、「Normal Honey」)を添加した場合やコントロール(図中、「Control」)に比べて、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数が有意に増加した。当該結果から、エスパルセットの花や各種ハーブ類の花々を採蜜源とする百花蜜が、血管内皮細胞を活性化し得ることが見出された。
<実験1-2>
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC、タカラバイオ社製)を24ウェルプレートに2×10cells/wellとなるように播種し、37℃、5%COインキュベーター内で、2時間培養した。培地は、内皮細胞増殖培地2(タカラバイオ社製)を使用した。培養後、上記の蜂蜜A、蜂蜜K又は蜂蜜Nを、最終濃度が0.5%となるよう添加した。尚、コントロールには何も添加しなかった。37℃、5%COインキュベーター内に2時間静置した後に、過酸化水素を、最終濃度が200μMとなるよう添加した。37℃、5%COインキュベーター内に4時間静置した後、蜂蜜を添加したウェルには再び同じ蜂蜜を最終濃度が0.5%となるよう添加した。37℃、5%COインキュベーター内に4時間静置した後に、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数を計測した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数の計測は、実施例1-1のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数の計測と同様の手順で行った。
結果を図2に示す。対照条件(図中、「C」)と比較し、過酸化水素を添加すると(図中、「H2O2」)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数が減少し、酸化ストレスによってヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数が減少することが示された。一方、過酸化水素に加えて蜂蜜A又は蜂蜜Kを添加することにより(図中、「H2O2+A」、「H2O2+K」)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数が有意に増加し、過酸化水素添加によるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数の減少が消失した。しかし、過酸化水素に加えて蜂蜜N(市販の通常の蜂蜜)を添加しても(図中、「H2O2+N」)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の生細胞数の増加は認められなかった。当該結果から、エスパルセットの花や各種ハーブ類の花々を採蜜源とする百花蜜が、血管内皮細胞の酸化ストレスへの耐性を高め得ることが見出された。
<実験2>
21~26歳の健常な男女14名を被験者として、下記の3種類の実験食を、それぞれ別日に無作為の順序で摂取させた。実験食の摂取から15分後、30分後及び60分後に、血圧脈波検査装置(フクダ電子社製)を用いて、心臓足首血管指数(CAVI)及び心臓-足首間脈波伝播速度(haPWV)を測定した。実験食の摂取前にも、30分間安静座位とした後でCAVI及びhaPWVを測定した。また、実験食の摂取から30分後に測定されたCAVIの、ベースライン(すなわち、実験食の摂取前のCAVI)からの変化率(%)を、下記式により算出した。
[摂取30分後のCAVIのベースラインからの変化率(%)]=([実験食の摂取から30分後に測定されたCAVI]-[実験食の摂取前に測定されたCAVI])÷[実験食の摂取前に測定されたCAVI]×100
〔実験食〕
・実験食C:純水3.6mL/体重kg
・実験食NH:市販の通常の蜂蜜(ライフ社製、商品名:純粋はちみつ)0.6g/体重kg+純水3mL/体重kg
・実験食KH:エスパルセットハニー(単花蜜)(DOSKE COMPANY社製、商品名:「オシュの白いはちみつ エスパルセットハニー(RAW Honey)、エスパルセット花粉の優占度:70%以上)0.6g/体重kg+純水3mL/体重kg
結果を図3~5に示す。エスパルセットハニーの単花蜜の単回摂取により、CAVI及びhaPWVが有意に低下した。当該結果から、エスパルセットハニーの単花蜜は単回摂取で、動脈スティフネスを一過性に低減させて、動脈を柔らかくし得ることが見出された。
<実験3(ランダム化比較試験)>
19~26歳の健常な男女60名を被験者として、下記の3群に無作為に振り分けた。
・C群:市販の飲料水(ケイ・エフ・ジー社製、商品名:ナチュラルミネラルウォーター)を摂取する群(20名);摂取量500mL/day
・NH群:市販の通常の蜂蜜(ライフ社製、商品名:純粋はちみつ)を摂取する群(20名);摂取量40g/day
・KH群:エスパルセットハニー(単花蜜)(DOSKE COMPANY社製、商品名:「オシュの白いはちみつ エスパルセットハニー(RAW Honey)」、エスパルセット花粉の優占度:70%以上)を摂取する群(20名);摂取量40g/day
上記の各群ともに4週間、毎日、配布した対象食品(すなわち、市販の飲料水、市販の通常の蜂蜜、又はエスパルセットハニー(単花蜜))を摂取させた。尚、NH群及びKH群における蜂蜜の摂取方法は、被験者各自の任意とし、各摂取の終了後に報告させた。
以下において、対象食品を被験者に摂取させた4週間の期間を「介入期間」と称する場合がある。
介入期間の前後に各被験者の収縮期血圧及び血流依存性血管拡張反応(%FMD)を測定、評価し、データ欠損のなかった被験者を最終解析対象者(C群:17名、NH群:18名、KH群:18名)とした。
尚、本試験は、大阪工業大学ライフサイエンス実験倫理員会の審査を受け、承認を得た上で実施された。
〔%FMDの評価〕
%FMDは、超音波画像診断装置を用いて以下の手順で測定、算出した。血管径の分析には、超音波画像解析プログラム(竹井機器工業社製)を用いた。
1)超音波画像診断装置(超音波エコー)(富士フイルム社製、FC-1)を用いて、被験者の安静時の上腕動脈血管径(安静時血管径)を測定する。
2)被験者の片側の上腕部を駆血して阻血状態とする。
3)5分後に駆血を解除し、反応性充血によって血管が最大拡張した時の血管径(最大拡張血管径)を測定する。
4)下記式により、%FMDを算出する。
[%FMD]=([最大拡張血管径]-[安静時血管径])÷[安静時血管径]×100
収縮期血圧及び%FMDについて、それぞれ介入期間の前後における変化率又は変化量を下記式により算出した。
[介入期間の前後における収縮期血圧の変化率(%)]=([介入期間後の収縮期血圧]-[介入期間前の収縮期血圧])÷[介入期間前の収縮期血圧]×100
[介入期間の前後における%FMDの変化量(%)]=[介入期間後の%FMD]-[介入期間前の%FMD]
結果を図6及び7に示す。介入期間前後の変化を各群の間で比較すると、エスパルセットハニーの単花蜜を摂取した群(KH群)は、収縮期血圧において有意な減少トレンド、並びに、対照群(市販の飲料水を摂取した群、C群)や市販の通常の蜂蜜を摂取した群(NH群)との間の有意差が確認され、また、%FMDにおいて有意な上昇トレンド、並びに、対照群(市販の飲料水を摂取した群、C群)や市販の通常の蜂蜜を摂取した群(NH群)との間の有意差が確認された。当該結果から、エスパルセットハニーの単花蜜の継続的な摂取が、血圧の低下、血管内皮機能の向上をもたらすことが見出された。
<実験4(メタボローム解析)>
下記の3種類の蜂蜜を試料として、網羅的な成分解析を実施した。尚、本解析は、ヒューマン・メタボローム・テクノロジー社(HMT社)に委託して行なわれた。
・Control A:市販の通常の蜂蜜(ライフ社製、商品名:純粋はちみつ)
・Control B:マヌカハニー(マヌカヘルス社製、商品名:マヌカハニー MGO263+(ニュージーランド産))
・Target:エスパルセットハニー(単花蜜)(DOSKE COMPANY社製、商品名:オシュの白いはちみつ エスパルセットハニー(RAW Honey)、エスパルセット花粉の優占度:70%以上)
各蜂蜜の解析は、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)、液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計(LC-TOFMS)を併用して行った。
各試料は、CE-TOFMS測定又はLC-TOFMS測定に供する前に、下記の通り前処理に施した。
[CE-TOFMS測定用前処理]
採取した試料を破砕用チューブに入れ、そこに内部標準物質50μMを含んだ500μLのメタノール溶液を添加し、冷却下にて破砕機を用いて破砕(1,500rpm、120秒×1回)した。破砕後、500μLのMilli-Q水を加えて撹拌し、遠心分離(2,300×g、4℃、5分)を行った。遠心分離後、水層を限外ろ過チューブ(ウルトラフリーMC PLHCC、HMT、遠心式フィルターユニット 5kDa)に400μL移し取った。これを遠心(9,100×g、4℃、120分)し、限外ろ過処理を行った。ろ液を乾固させ、再び50μLのMilli-Q水に溶解して測定に供した。
[LC-TOFMS測定用前処理]
採取した試料を破砕用チューブに入れ、そこに内部標準物質10μMを含んだ500μLの1%ギ酸-アセトニトリル溶液を添加し、冷却下にて破砕機を用いて破砕(1,500rpm、120秒×2回)した。そこに167μLのMilli-Q水を加え、更に破砕(1,500rpm、120秒×1回)した。これを遠心分離(2,300×g、4℃、5分)し、上清を採取した。沈殿に500μLの1%ギ酸-アセトニトリル及び167μLのMilli-Q水を加えて撹拌し、遠心分離後上清を採取し、先の上清と混合した。これを限外ろ過チューブ(NANOSEP 3K OMEGA、PALL社)に300μL×2本移し取り、これを遠心(9,100×g、4℃、120分)し、限外ろ過処理を行った。次いで、固相抽出を用いてリン脂質を除去した。ろ液を乾固させ、200μLの50%イソプロパノール水溶液(v/v)に溶解して測定に供した。
[CE-TOFMS測定]
本実験ではカチオンモード、アニオンモードのCE-TOFMS測定を以下に示す条件で行った。得られたピーク強度、形状から判断して、カチオンモードでの測定には1倍、アニオンモードでの測定には2倍に希釈した試料を用いた。
・陽イオン性代謝物質(カチオンモード)
〔装置〕
Agilent CE-TOFMS system(Agilent Technologies社)
Capillary:Fused silica capillary i.d.50μm×80cm
〔測定条件〕
Run buffer:Cation Buffer Solution(p/n:H3301-1001)
Rinse buffer:Cation Buffer Solution(p/n:H3301-1001)
Sample injection:Pressure injection 50mbar,10sec
CE voltage:Positive,30kV
MS ionization:ESI Positive
MS capillary voltage:4,000V
MS scan range:m/z 50-1,000
Sheath liquid:HMT Sheath Liquid(p/n:H3301-1020)
・陰イオン性代謝物質(アニオンモード)
〔装置〕
Agilent CE-TOFMS system(Agilent Technologies社)
Capillary: Fused silica capillary i.d.50μm×80cm
〔測定条件〕
Run buffer:Anion Buffer Solution(p/n:I3302-1023)
Rinse buffer:Anion Buffer Solution(p/n:I3302-1023)
Sample injection:Pressure injection 50mbar,22sec
CE voltage:Positive,30kV
MS ionization:ESI Negative
MS capillary voltage:3,500V
MS scan range:m/z 50-1,000
Sheath liquid:HMT Sheath Liquid(p/n:H3301-1020)
[LC-TOFMS測定]
本実験ではポジティブモード、ネガティブモードのLC-TOFMS測定を以下に示す条件で行った。得られたピーク強度、形状から判断して、ポジティブモードでの測定には1倍、ネガティブモードでの測定には1倍に希釈した試料を用いた。
・陽イオン性代謝物質(ポジティブモード)
〔装置〕
LC system:Agilent 1200series RRLC system SL(Agilent Technologies社)
Column:ODS column,2×50mm,2μm
MS system:Agilent LC/MSD TOF(Agilent Technologies社)
〔測定条件〕
Column temp.:40℃
Mobile phase A:HO/0.1% HCOOH
Mobile phase B:Isopropanol:Acetonitrile:HO(65:30:5)/0.1% HCOOH,2mM HCOONH
Flow rate:0.3mL/min
Run time:20min
Post time:7.5min
Gradient condition:0-0.5min:B 1%,0.5-13.5min:B 1-100%,13.5-20min:B 100%
MS ionization mode:ESI Positive
MS Nebulizer pressure:40psi
MS dry gas flow:10L/min
MS dry gas temp:350℃
MS capillary voltage:4,000V
MS scan range:m/z 100-1,700
Sample injection:1μL
・陰イオン性代謝物質(ネガティブモード)
〔装置〕
LC system:Agilent 1200series RRLC system SL(Agilent Technologies社)
Column:ODS column,2×50mm,2μm
MS system:Agilent LC/MSD TOF(Agilent Technologies社)
〔測定条件〕
Column temp.:40℃
Mobile phase A:HO/0.1% HCOOH
Mobile phase B:Isopropanol:Acetonitrile:HO(65:30:5)/0.1% HCOOH,2mM HCOONH
Flow rate:0.3mL/min
Run time:20min
Post time:7.5min
Gradient condition:0-0.5min:B 1%,0.5-13.5min:B 1-100%,13.5-20min:B 100%
MS ionization mode:ESI Negative
MS Nebulizer pressure:40psi
MS dry gas flow:10L/min
MS dry gas temp:350℃
MS capillary voltage:3,500V
MS scan range:m/z 100-1,700
Sample injection:1μL
CE-TOFMS、LC-TOFMSで検出された各ピークについて、自動積分ソフトウェア「MasterHands ver.2.18.0.1」(慶應義塾大学開発)を用いて、シグナル/ノイズ(S/N)比が3以上のピークを自動抽出し、質量電荷比(m/z)、ピーク面積値、CE-TOFMSでは泳動時間(Migration time:MT)、LC-TOFMSでは保持時間(Retention time:RT)を得た。検出されたピークに対してm/zとMT又はRTの値をもとにHMT代謝物質ライブラリ及びKnown-Unknownライブラリに登録された物質(287化合物)との照合、検索を行った。検索のための許容誤差はMTで±0.5min、RTで±0.3min、m/zで±10ppm(CE-TOFMS)及び±25ppm(LC-TOFMS)とした。市販の通常の蜂蜜(Control A)の解析では、199種類(69.3%)の物質が、マヌカハニー(Control B)の解析では、243種類(84.7%)の物質が、エスパルセットハニー(Target)の解析では、177種類(61.7%)の物質がそれぞれ検出された。
通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)の検出物質について階層クラスター分析を実施した。階層クラスター分析は、統計分析ソフトRを使用して行った。
結果を図8に示す。エスパルセットハニー(Target)の含有成分に、通常の蜂蜜(Control A)及びマヌカハニー(Control B)には存在しない特異的なクラスターが確認された。
通常の蜂蜜(Control A)、マヌカハニー(Control B)及びエスパルセットハニー(Target)の検出物質のうち、アデノシン、リジン、ヒスチジン、アセチルコリン、γ-アミノ酪酸(GABA)、オルニチン及び非対称性ジメチルアルギニン(ADMA;Asymmetric Dimethylarginine)について、各ピーク面積値を、下記式により相対面積値(Relative Area)に変換し、試料間で比較を行った。結果を図9~15に示す。
[相対面積値(Relative Area)]=[目的ピークの面積値]÷([内部標準物質の面積値]×[試料量])
また、アデノシン、リジン、ヒスチジン、GABA及びオルニチンについては、内部標準物質により補正したピーク面積を検量線に用い、100μMの一点検量(内部標準物質200μM)として濃度を算出した。結果を下表1に示す。
図9~14及び表1に示されるように、エスパルセットハニーは、通常の蜂蜜やマヌカハニーに比べて、アデノシン、リジン、ヒスチジン、アセチルコリン、GABA及びオルニチンを多く含有していた。また、図15に示されるように、エスパルセットハニーでのみADMAが検出されなかった。
以上の結果から、エスパルセットハニーは、通常の蜂蜜やマヌカハニーとは異なる特異的な成分組成を有していることが見出され、当該結果からもエスパルセットハニーが他の蜂蜜では代替不可能な優位性を備えることが裏付けられた。
本発明によれば、血圧又は動脈機能の改善に有用な組成物を提供できる。当該組成物は、血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患の予防又は改善にも有用である。
本発明の組成物の有効成分であるエスパルセットハニーは、安全性が高く、呈味にも優れることから、本発明の組成物は、継続的な摂取又は投与が可能である。また、本発明の組成物は、短期間で優れた血圧又は動脈機能の改善作用、効果が得られ、例えば、単回の摂取又は投与でも所望の作用、効果が得られうる。本発明の組成物の有効成分であるエスパルセットハニーは、抽出や加工が比較的容易である。

Claims (5)

  1. エスパルセットハニーを有効成分として含有する、血圧又は動脈機能の改善用組成物。
  2. 前記動脈機能が、血管内皮機能又は動脈スティフネスである、請求項1記載の組成物。
  3. 血圧又は動脈機能の改善により予防又は改善が期待できる症状又は疾患の予防又は改善のために用いられる、請求項1又は2記載の組成物。
  4. 経口組成物である、請求項1又は2記載の組成物。
  5. 食品組成物である、請求項1又は2記載の組成物。
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