JP2024015834A - 画像処理方法、画像処理装置および核医学診断装置 - Google Patents

画像処理方法、画像処理装置および核医学診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】NLMフィルタ処理を用いたノイズ低減処理の精度を向上するとともにノイズ低減処理を迅速に実行できる画像処理方法、画像処理装置、および核医学診断装置を提供する。【解決手段】被写体の放射線データに対して再構成処理を行って被写体の放射線画像を再構成する再構成過程と、被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出するカウント数算出過程と、予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する標準偏差算出過程と、被写体の放射線画像に対して、標準偏差算出過程で算出されたノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行うノイズ低減処理過程と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、画像処理方法、画像処理装置および核医学診断装置に関する。
医療現場などで用いられる核医学診断装置の一例として、PET装置(PET: Positron Emission Tomography)がある。PET装置は、陽電子(ポジトロン)放出核種で標識された放射性薬剤を検査対象に投与し、陽電子の対消滅によって発生する一対の放射線(γ線)を検出する。すなわちγ線を検出する複数の検出器を検査対象の周囲に配置させ、一対のγ線を一定時間内に検出した場合(同時計数した場合)、それらを有効な信号とみなして計測する。当該計測によって得られたγ線の計測データはエミッションデータと呼ばれる。
エミッションデータを取得した後、逐次近似法を例とする再構成処理をエミッションデータに対して行うことによって、放射性薬剤の分布を示す放射線画像(PET画像)を取得する。再構成処理によって得られたPET画像は、さらにノイズ低減処理が行われることにより、画像診断により適した画像となる。
PET画像に対して行われるノイズ低減処理の手法の一例として、NLMフィルタ処理(NLM: Non-Local Means)が挙げられる。NLMフィルタ処理は、バイラテラルフィルタ処理を例とするエッジ保存平滑化フィルタ処理の中でも特に優れたノイズ低減処理手法である。NLMフィルタ処理を行う場合、ユーザは以下の4つのパラメータを設定する。4つのパラメータとは、サポートウィンドウのサイズ、テンプレートウィンドウのサイズ、ノイズ標準偏差σ、および乖離度評価関数(ガウス関数)の標準偏差hである。
NLMフィルタ処理は、フィルタ係数行列Wとフィルタ処理対象画像xとの積である。上述した4つのパラメータを設定することによって、フィルタ係数行列における(j,k)要素wjkは、以下の(11)式および(12)式を用いて定義される。なお、Sjは信号点jを中心とするサポートウィンドウであり、tjは信号点jを中心とするテンプレートウィンドウTj内の信号値からなるベクトルである。
Figure 2024015834000002
Bundes, Antoni, Bartomeu Coll, and J-M.Morel, "A non-local algorithm for image denoising."2005 IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR’05)). Vol.2. IEEE, 2005.
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
NLMフィルタ処理を行う場合、上述したようにユーザは4つのパラメータを設定する必要がある。4つのパラメータの中でもノイズ標準偏差σの値は、PET画像を取得する際における撮像条件または再構成処理条件によって適切な値が異なる。一例として、PET画像の撮像時間が通常よりも短い場合、PET画像におけるカウント数が通常よりも少なくなるので、統計精度が低下してPET画像に含まれるノイズが比較的多くなる。従って、撮像時間が短い場合はNLMフィルタ処理を行うためにノイズ標準偏差σとして通常より大きい値を設定する必要がある。同様に、再構成処理条件すなわち再構成処理に用いる各種パラメータが変化すると、PET画像に含まれるノイズが増減するため、ノイズ標準偏差σの適切な数値が変化する。
ノイズ標準偏差σを適切な値より低く設定した場合、ノイズ低減処理が弱くなるので腫瘍を例とする診断対象とノイズとを区別できなくなる。一方、ノイズ標準偏差σを適切な値より高く設定した場合、ノイズ低減処理が強くなりすぎるので腫瘍を例とする診断対象まで平滑化されてしまうという事態が発生する。このように、PET撮影の諸条件によって適切なノイズ標準偏差σが変化するので、PET画像に対するNLMフィルタ処理の精度を向上させることが困難である。
そしてPET画像に対して適切にNLMフィルタ処理を行うには、被検体などのPET画像を撮影する度に、ユーザは当該PET画像の撮像条件および再構成処理条件に適したノイズ標準偏差σの値を試行錯誤しつつ決定する必要がある。従来のように試行錯誤しつつノイズ標準偏差σを決定する構成では適切なPET画像のノイズ低減処理に要する時間が長期化するとともに、ユーザの負担も大きくなる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、NLMフィルタ処理を用いたノイズ低減処理の精度を向上するとともにノイズ低減処理を迅速に実行できる画像処理方法、画像処理装置および核医学診断装置を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち本発明の第1の態様は、被写体の放射線データに対して再構成処理を行って前記被写体の放射線画像を再構成する再構成過程と、前記被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出するカウント数算出過程と、予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する標準偏差算出過程と、前記被写体の放射線画像に対して、前記標準偏差算出過程で算出されたノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行うノイズ低減処理過程と、を備える画像処理方法に関する。
また、本発明の第2の態様は、放射線撮影が行われた被写体の放射線データに対して再構成処理を行って前記被写体の放射線画像を再構成する再構成処理部と、前記被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出するカウント数算出部と、予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する標準偏差算出部と、前記被写体の放射線画像に対して、前記標準偏差算出部で算出されたノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行うノイズ低減処理部と、を備える画像処理装置に関する。
また、本発明の第3の態様は、被写体を透過した放射線を検出して放射線データを出力する放射線検出器と、第2の態様に係る画像処理装置とを備える核医学診断装置に関する。
本発明の第1の態様によれば、予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、基礎ノイズ偏差関数を取得しておく。基礎ノイズ偏差関数は、放射線画像におけるカウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数である。そして被写体の放射線データに対して再構成処理を行って前記被写体の放射線画像を再構成し、当該被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出する。
標準偏差算出過程では、算出されたカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することにより、被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差が算出される。基礎ノイズ偏差関数では放射線画像におけるカウント数の値に応じた適切なノイズ標準偏差の値が関連付けられている。そのため、被写体の放射線画像を様々な撮像条件で撮影した場合であっても、標準偏差算出過程によって、当該撮像条件の各々に応じて適切なノイズ標準偏差の値を迅速に算出できる。標準偏差算出過程によって算出されたノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行うことにより、放射線画像の撮像条件に応じて精度の高いノイズ低減処理を迅速に行うことができる。
本発明の第2の態様によれば、予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、基礎ノイズ偏差関数を取得しておく。基礎ノイズ偏差関数は、放射線画像におけるカウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数である。そして再構成処理部は放射線撮影が行われた被写体の放射線データに対して再構成処理を行って被写体の放射線画像を再構成し、カウント数算出部は当該被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出する。
標準偏差算出部は、算出されたカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することにより、被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。基礎ノイズ偏差関数では放射線画像におけるカウント数の値に応じた適切なノイズ標準偏差の値が関連付けられている。そのため、被写体の放射線画像を様々な撮像条件で撮影した場合であっても、標準偏差算出部によって、当該撮像条件の各々に応じて適切なノイズ標準偏差の値が迅速に算出される。標準偏差算出部によって算出されたノイズ標準偏差を用いてノイズ低減処理部がNLMフィルタ処理を行うことにより、放射線画像の撮像条件に応じて精度の高いノイズ低減処理を迅速に行うことができる。
本発明の第3の態様によれば、核医学診断装置において第2の態様に係る画像処理装置を備えている。そのため、被写体に対して放射線撮影を行うことで取得された放射線画像に対して、当該放射線画像の撮像条件に応じた精度の高いノイズ低減処理を迅速に行うことができる。
実施例1に係るPET装置の概略構成を説明する縦断面図および機能ブロック図である。 実施例1に係る検出器リングの構成を説明する図である。 実施例1に係るPET装置の動作を説明するフローチャートである。 実施例1に係る、基礎ノイズ偏差モデルの推定に用いる画像を説明する図である。 実施例1に係るステップS2を説明する図である。 実施例1に係るステップS2において、散布図を用いて基礎ノイズ偏差モデルに相当する関数を推定する工程を説明する図である。 実施例1に係るステップS5ないしステップS7の概要を説明する図である。 実施例2に係るPET装置の構成を説明する機能ブロック図である。 実施例2に係るPET装置の動作を説明するフローチャートである。 実施例2に係る、補正ノイズ偏差モデルの推定に用いる画像を説明する図である。 実施例2に係るステップS2を説明する図である。 実施例2に係るステップS2において、散布図を用いて補正ノイズ偏差モデルに相当する関数を推定する工程を説明する図である。 実施例2に係るステップS5ないしステップS7の概要を説明する図である。 実施例6に係るステップSAの詳細を説明するフローチャートである。 実施例6に係るステップS6の詳細を説明するフローチャートである。 実施例6に係るモデル推定用画像群を説明する図である。 実施例6に係るステップS5ないしステップS7の概要を説明する図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
<全体構成の説明>
実施例1に係るPET装置1は図1に示すように、被検体Mを載置する天板2を有するベッド装置3と、開口部4を有するガントリ5とを備えている。ベッド装置3は、上下方向に天板2を昇降移動するように、また、被検体Mの体軸方向に沿って天板2を平行移動するように構成されている。ガントリ5の開口部4は、トンネル状に開口されるように構成される。またガントリ5は、被検体Mから発生したγ線を検出する検出部7を備えている。図1において、x方向は被検体Mの体軸方向に相当し、z方向は上下方向に相当する。
検出部7は図2に示すように、検出器リング9が被検体Mの体軸方向に多数に重ねて構成されている。検出器リング9は、被検体Mの体軸を中心に複数個の放射線検出器11がリング状に配置された構成を有している。放射線検出器11は、一例としてシンチレータブロックとライトガイドと光電子増倍管とを備えた検出器ブロックで構成されている(いずれも図示しない)。シンチレータブロックは、複数個のシンチレータから構成される。放射性薬剤が投与された被検体Mから発生されたγ線をシンチレータブロックが光に変換し、変換された光をライトガイドが案内して、光電子増倍管が光電変換して電気信号を出力する。
PET装置1は、さらにデータ収集部13と画像処理装置15とを備えている。データ収集部13は、放射線検出器11から出力された電気信号(検出信号)に基づいて、180°反対方向に放射する2つのγ線が検出された検出器対を結ぶ線を示すLOR(LOR: Line of Response)を計測(カウント)して同時計数データを収集する。
具体的には、被検体Mまたはファントムなどを例とする検査対象に放射性薬剤を投与すると、ポジトロン放出型のRIのポジトロンが消滅することにより、2本のγ線が発生する。データ収集部13は、放射線検出器11の位置とγ線の入射タイミングとをチェックし、検査対象の両側にある2つの放射線検出器11でγ線が一定時間以内に入射したときのみ、送り込まれた電気信号を適正なデータと判定する。一方の放射線検出器11のみにγ線が入射したときには、データ収集部13は棄却する。データ収集部13によって適正なデータと判定された電気信号データは、同時計数データ(エミッションデータ)としてデータ収集部13から画像処理装置15へ送信される。
画像処理装置15は一例として中央処理演算装置(CPU: Central Processing Unit)などの情報処理手段を備えており、各種の演算処理を実行する。画像処理装置15は、画像生成部17と、入力部19と、表示部21と、記憶部23と、モデル推定部25とを備えている。画像生成部17は、データ収集部13が収集した同時計数データなどを用いて各種演算を行い、検出対象内における放射性薬剤の分布を示すPET画像を生成する。
入力部19は、ユーザ(操作者)による操作指示を入力するものである。入力部19の例として、キーボード入力式のデバイス、タッチ入力式のデバイス、またはマウス入力式のデバイスなどが挙げられる。表示部21は画像情報を例とする各種データを表示するものであり、一例として液晶ディスプレイが挙げられる。画像生成部17によって生成されたPET画像は、表示部21に表示される。
記憶部23は、同時計数データ、各種画像情報を例とする各種データを記憶する。記憶部23の一例として、不揮発性メモリが挙げられる。また記憶部23には、後述する複数枚のモデル推定用画像Fのデータが予め記憶されている。モデル推定部25は、モデル推定用画像Fの各々を用いることにより、ノイズ偏差モデルを推定する。ノイズ偏差モデルNの詳細、およびモデル推定用画像Fを用いてノイズ偏差モデルを推定する手法については後述する。
画像生成部17は図1に示すように、再構成処理部27と、カウント数算出部29と、標準偏差算出部31と、ノイズ低減処理部33とを備えている。再構成処理部27は、データ収集部13が収集した同時計数データに対して再構成処理を行うことにより、被検体Mの放射線画像Gを生成する。放射線画像Gは、ノイズ低減処理が未だ行われていない状態のPET画像である。
カウント数算出部29は、再構成処理部27が生成した放射線画像Gに対応するカウント数の値を算出する。実施例1において、カウント数算出部29は放射線画像Gのうち被検体Mが映る領域の内部におけるカウント(LORの本数)の平均をカウント数として算出する。
標準偏差算出部31は、推定されているノイズ偏差モデルと、カウント数算出部29が算出したカウント数の値とを用いることにより、放射線画像Gに対応するノイズ標準偏差の値を算出する。ノイズ低減処理部33は、標準偏差算出部31が算出したノイズ標準偏差の値を用いて、NLMフィルタ処理によるノイズ低減処理を放射線画像Gに対して実行する。放射線画像Gがノイズ低減処理部33によるノイズ低減処理を受けることにより、ノイズ低減画像Hが生成される。ノイズ低減画像Hは、ノイズ低減処理が実行された状態のPET画像に相当する。
<動作の説明>
ここで、実施例1に係るPET装置1の動作を説明する。図3は、PET装置1を用いて被検体MのPET画像を取得する一連の過程を説明するフローチャートである。実施例1では被検体MのPET撮影を行う前段階として、ステップS1およびステップS2の工程を行う。
ステップS1(モデル推定用画像の取得)
被検体MのPET画像を取得する前段階として、まずはモデル推定用画像群Lを取得する。モデル推定用画像群Lは、ノイズ偏差モデルPの推定に用いられる複数のPET画像からなる画像群である。モデル推定用画像群Lは一例として、ファントムFのPET画像群である。モデル推定用画像群Lは、本実施形態における関数算出用放射線画像に相当する。
実施例1において、モデル推定用画像群Lは図4に示すように6枚のPET画像La~Lfによって構成されるものとする。PET画像La~Lfは、基礎ノイズ偏差モデルPaの推定に用いられるモデル推定用画像である。PET画像La~Lfはそれぞれ異なる撮像条件の下で生成されており、放射線薬剤Rが注入されたファントムFを被写体としている。撮像条件の一例として、PET画像の撮像時間、放射線薬剤Rの濃度、または放射線薬剤Rの注入量などが挙げられる。撮像条件が異なることにより、同一のファントムFを用いてPET画像を生成する場合であっても、PET画像におけるカウント数の値および適切なノイズ標準偏差の値が異なることとなる。なお図4に示すように、PET画像La~Lfの各々における撮像条件をそれぞれ撮像条件Qa~Qfとする。
モデル推定用画像群Lを取得する手段の一例として、PET装置1を用いて撮影することで取得してもよい。また他の例として、PET装置1とは別の装置を用いて予め撮影された画像データを、図示しない通信手段などによってPET装置1へ転送することで取得してもよい。取得されたモデル推定用画像群Lは、記憶部23に記憶される。
PET画像La~Lfの各々は、各画像に対応するカウント数の値と、各画像に対応するノイズ標準偏差σの値とが予め算出されている。一例として、PET画像Laについてはカウント数の値としてNaが予め算出されており、PET画像Laに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差の値としてσaが予め算出されている。同様にPET画像Lb~Lfの各々に対して、カウント数Nb~Nfとノイズ標準偏差σb~σfとが予め算出されている。カウント数Na~Nfの情報およびノイズ標準偏差σa~σfの情報は、互いに紐付けられて記憶部23に記憶される。
なおPET画像La~Lfの各々に対して、カウント数Na~Nfとノイズ標準偏差σa~σfとを算出する演算処理は、PET装置1を用いて行われてもよい。一例として、後述するカウント数算出部29を用いることによってPET画像La~Lfの各々からカウント数Na~Nfを算出できる。また他の装置で演算処理を行い、カウント数Na~Nfとノイズ標準偏差σa~σfとのデータをPET装置1へ送信してもよい。
モデル推定用画像群Lの各々についてカウント数の値を算出する方法は適宜定めてよい。実施例1では、PET画像La~Lfの各々における被写体内の領域(ここではファントムFの内部領域)の平均カウント数を、当該画像に対応するカウント数の値として算出する。算出方法の具体例として、PET画像La~Lfの各々について被写体マスク画像を作成し、そのマスク領域内におけるカウント数を計算することによって、PET画像La~Lfの各々に対応するカウント数Na~Nfを算出する。
PET画像La~Lfの各々についてノイズ標準偏差σa~σfを算出する方法は、従来の方法を適宜用いてよい。ノイズ標準偏差σa~σfは被検体Mの撮影を行う前に予め算出されるので、ノイズ標準偏差σa~σfを算出する工程に起因して被検体MのPET画像を撮影する工程が長期化することはない。モデル推定用画像Lのデータ、および当該モデル推定用画像Lの各々に対応するカウント数とノイズ標準偏差とのデータを取得することによってステップS1の工程は完了する。
ステップS2(基礎ノイズ偏差モデルの取得)
モデル推定用画像群Lのデータを取得した後、基礎ノイズ偏差モデルを取得する。実施例1ではモデル推定部25がPET画像La~Lfなどのデータを用いて演算を行うことにより、基礎ノイズ偏差モデルPaをノイズ偏差モデルPとして取得する。実施例1において基礎ノイズ偏差モデルPaを取得する手法について、以下に説明する。
モデル推定部25は、まず記憶部23からカウント数Na~Nfのデータとノイズ標準偏差σa~σfのデータとを読み出す。次にモデル推定部25はカウント数Na~Nfのデータとノイズ標準偏差σa~σfのデータとを用いて、図5に示すような散布図Vを作成する。散布図Vは、カウント数Nがx軸に対応しているとともにノイズ標準偏差σがy軸に対応している2次元のプロット図である。
そして散布図Vには、モデル推定用画像であるPET画像La~Lfの各々に対応する、カウント数とノイズ標準偏差との座標がプロットされている。具体的には、PET画像Laに対応する座標として、PET画像Laに対応するカウント数Naをx成分とし、PET画像Laに対応するノイズ標準偏差σaをy成分とする座標Waが散布図Vにプロットされる。同様に、PET画像Lbに対応する座標として、座標Wb(Nb,σb)がプロットされ、PET画像Lc~Lfに対応する座標として、座標Wc~Wfが散布図Vにプロットされる。
PET画像La~Lfの各々に対応する座標Wa~Wfがプロットされた散布図Vが作成されると、モデル推定部25は散布図Vを用いて基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する。基礎ノイズ偏差モデルPaは、カウント数Nと基礎ノイズ標準偏差σとが対応する関数であり、
Figure 2024015834000003

を満たす関数である。上記の(1)式において、aは第1カウントモデル係数、aは第2カウントモデル係数、aは第3カウントモデル係数である。モデル推定部25は第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aとして適切な値を推定することにより、基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する。
基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する手法の具体例は次の通りである。まず、座標Wa~Wfの各々に適合する曲線を近似曲線Dとして算出する。近似曲線Dは、カウント数を変数xとしてノイズ標準偏差に相当するyの値を求める関数Epとして表される。具体例として図5に示される散布図Vを用いて近似曲線Dを算出した場合、図6に示すように、座標Wa~Wfの各々に適合する近似曲線Dは、y=(2.43e-2)x6.01e-1で表される関数Epに相当する。この場合、第1カウントモデル係数aは、xの係数である2.43e-2に相当する。第2カウントモデル係数aは、xのべき指数である6.01e-1に相当する。第3カウントモデル係数aは関数Epのy切片に相当する。関数Epにおけるy切片は0であるので、モデル推定部25は第3カウントモデル係数aを0と推定する。
このように、モデル推定部25は第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aとして適切な値を推定することによって関数Epを算出する。そしてモデル推定部25は算出された関数Epを基礎ノイズ偏差モデルPaとして取得する。
基礎ノイズ偏差モデルPaは、それぞれ異なる撮像条件で得られた第1モデル推定用画像La~Lfを用いて算出された、カウント数Nと基礎ノイズ標準偏差σとの関係を示すモデルである。言い換えると、それぞれ異なるカウント数Na~Nfと、当該カウント数Na~Nfの各々に対して適切なノイズ標準偏差σa~σfとの関係を用いることにより、カウント数Nと基礎ノイズ標準偏差σとの関係がモデル化された基礎ノイズ偏差モデルPaが算出されている。そのため基礎ノイズ偏差モデルPaは任意のカウント数Nに対して、当該任意のカウント数Nに適切な基礎ノイズ標準偏差σの値を迅速かつ精度良く特定させることができる。
モデル推定部25が推定した基礎ノイズ偏差モデルPaは、記憶部23に記憶される。なお実施例1では、ノイズ偏差モデルPとして基礎ノイズ偏差モデルPaをそのまま用いる。言い換えると実施例1において、基礎ノイズ偏差モデルPaは特段の補正を受けることなくノイズ偏差モデルPとして用いられる。モデル推定部25によってノイズ偏差モデルPが取得されることにより、ステップS2の工程は完了する。PET装置1では、被検体Mの撮影を行う前段階としてノイズ偏差モデルPを取得して記憶部23に予め記憶しておく。
ステップS3(被検体の撮影)
ノイズ偏差モデルPが記憶部23に記憶されている状態になった後、PET装置1を用いて被検体MのPET撮影を行う。すなわち、ポジトロン放射性同位元素で標識された放射性薬剤を被検体Mに投与する。そして放射性薬剤が投与された被検体Mを天板2に載置し、天板2をガントリ5の開口部4の内部における任意の位置へ移動させる。なお、1回目のPET撮影における撮像条件をQyとする。
被検体Mから放射されるγ線は、全方向に一様に放射される。検出部7の各放射線検出器11は、被検体Mから180°反対方向に放射する2つのγ線を検出し、γ線を検出した放射線検出器11は、電気信号(検出信号)を出力する。データ収集部13は、2つの放射線検出器11で検出されたγ線の時刻差が予め設定された時間以内であれば、一対のγ線として同時計数する。そして、180°反対方向に放射する2つのγ線が検出された検出器対を結ぶLORデータを収集する。データ収集部13が収集したLORデータ(同時計数データ)は、画像処理装置15が備える再構成処理部27へと送信される。
ステップS4(再構成処理)
データ収集部13が同時計数データを画像処理装置15へ送信すると、ステップS4に係る再構成処理が開始される。再構成処理部27はデータ収集部13が収集した同時計数データに対して再構成処理を行うことにより、放射線画像Gを生成する。放射線画像Gは、被検体Mの内部における放射線薬剤の分布を示すPET画像である。但し、ステップS4において、放射線画像GはNLMフィルタを用いたノイズ低減処理が未だ行われていない状態である。なお放射線画像Gのうち、撮像条件QyによるPET撮影によって生成された放射線画像Gについては図7に示すように放射線画像Gyと表示し、他の撮像条件で撮影された放射線画像Gと区別する(図7の左上部分を参照)。
放射線画像Gの再構成処理に用いられる技法は適宜選択してよく、一例としてFBP法を例とする解析的な再構成技法であってもよい(FBP: Filtered Back Projection)。また、OSEM法またはMLEM法を例とする逐次近似再構成法を用いてもよい(OSEM: Ordered Subset Expectation Maximization)(MLEM: Maximum likelihood Expectation Maximization)。再構成処理によって生成された被検体Mの放射線画像Gは、再構成処理部27からカウント数算出部29へと送信される。ステップS4の工程は、本実施形態における再構成過程に相当する。
ステップS5(カウント数の算出)
再構成された放射線画像Gがカウント数算出部29へ送信されると、被検体Mについて得られた放射線画像Gに対してカウント数の算出を行う。すなわちカウント数算出部29は、被検体Mの放射線画像Gにおけるカウント数を算出する。カウント数の算出方法は、モデル推定用画像Lに対して行うカウント数算出方法と同様である。実施例1では、被写体である被検体Mが映る領域内におけるカウントの平均をカウント数として算出する。なお図7に示すように、放射線画像Gyについて算出されたカウント数については符号Nyを付してカウント数Nyとする。カウント数算出部29が放射線画像Gについて算出したカウント数の情報は、カウント数算出部29から標準偏差算出部31へと送信される。被検体Mの放射線画像Gは、本実施形態における「被写体の放射線画像」に相当する。
ステップS6(ノイズ標準偏差の算出)
標準偏差算出部31は、カウント数算出部29が算出したカウント数の情報と、予め取得されているノイズ偏差モデルPとを用いてノイズ標準偏差を算出する。まず標準偏差算出部31は、記憶部23に記憶されているノイズ偏差モデルPを読み出す。実施例1ではノイズ偏差モデルPとして、(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPaが読み出される。
ノイズ偏差モデルPを読み出した後、標準偏差算出部31はノイズ偏差モデルPに対して、被検体Mの放射線画像Gについて得られたカウント数を代入することにより、当該放射線画像Gに適応するノイズ標準偏差を算出する。具体的には、放射線画像Gyについて算出されたカウント数Nyを代入することにより、撮像条件Qyで得られた放射線画像Gyに適応する基礎ノイズ標準偏差σの値が算出される。図7に示すように、放射線画像Gyに適応する値として得られた基礎ノイズ標準偏差σについては符号σyを付して「基礎ノイズ標準偏差σy」とする。
ノイズ偏差モデルPとして読み出されている基礎ノイズ偏差モデルPaは(1)式で示されるように、カウント数Nを変数として基礎ノイズ標準偏差σを求めることができる関数である。そのため、放射線画像Gyについて算出されたカウント数Nyの値を、(1)式における変数N(カウント数N)の項に代入することにより、放射線画像Gyに対して適切な基礎ノイズ標準偏差σの値として、基礎ノイズ標準偏差σyの値が迅速に特定される。
そして実施例1では、ステップS7で行うNLMフィルタ処理におけるノイズ標準偏差σとして、基礎ノイズ標準偏差σをそのまま用いる。すなわち実施例1では、σ=σの式が成立する。つまり実施例1において標準偏差算出部31は、放射線画像Gyに適応する基礎ノイズ標準偏差σとして算出された値(基礎ノイズ標準偏差σy)を、放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σ(ノイズ標準偏差σy)として算出する。放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σとして算出されたノイズ標準偏差σy(基礎ノイズ標準偏差σy)の情報は、標準偏差算出部31からノイズ低減処理部33へ送信される。
ステップS7(ノイズ低減処理)
被検体Mの放射線画像Gに適応するノイズ標準偏差σの情報がノイズ低減処理部33に送信されると、当該放射線画像Gに対してNLMフィルタ処理によるノイズ低減処理を行う。ユーザはサポートウィンドウのサイズ、テンプレートウィンドウのサイズ、および乖離度評価関数の標準偏差hからなる3つのパラメータを設定する。
ノイズ低減処理部33は、標準偏差算出部31が算出したノイズ標準偏差σ(ここでは基礎ノイズ標準偏差σy)の情報と、ユーザが設定した3つのパラメータとを用いて、放射線画像Gyに対してNLMフィルタ処理を行う。ノイズ低減処理部33によってNLMフィルタ処理が行われることにより、放射線画像Gyからノイズ低減画像Hyが生成される(図7の左下を参照)。ノイズ低減画像Hyは、NLMフィルタ処理によって放射線画像Gyからノイズが低減されたPET画像である。ノイズ低減画像Hyは表示部21に表示され、ユーザはノイズ低減画像Hyを用いて被検体Mに対する診断を行う。以上の工程により、撮像条件Qyによる一連のPET撮影が終了する。
なお、撮像条件Qyとは異なる撮像条件で再度被検体MのPET撮影を行う場合、ステップS3に戻って再度ステップS3~S7の工程を実行する。すなわち、撮像条件Qyと異なる撮像条件Qzの下で、PET装置1を用いて被検体MのPET撮影を行って放射線画像Gを再度生成する(ステップS3、S4)。図7の右上欄に示すように、撮像条件QzZにおいて取得された放射線画像Gについては放射線画像Gzと表示し、撮像条件Qyにおいて取得された放射線画像Gyと区別する。放射線画像Gzのデータは、カウント数算出部29へと送信される。
カウント数算出部29は、放射線画像Gzにおけるカウント数を算出する。すなわちカウント数算出部29は放射線画像Gzにおいて被検体Mが映る領域を走査し、当該領域内部における平均カウント数を放射線画像Gzのカウント数Nzとして算出する。撮像条件が異なると、同じ被検体Mを被写体とする場合であっても放射線画像Gにおけるカウント数は異なる。よって、撮像条件Qyで取得された放射線画像Gyのカウント数Nyと、撮像条件Qzで取得された放射線画像Gzのカウント数Nzとは異なる値となる。カウント数Nzのデータは、標準偏差算出部31へ送信される。
標準偏差算出部31は、ノイズ偏差モデルP(実施例1では基礎ノイズ偏差モデルPa)を記憶部23から読みだし、カウント数Nzの値をノイズ偏差モデルPにおけるカウント数Nの項に代入することで、放射線画像Gzに適切なノイズ標準偏差の値を算出する。基礎ノイズ偏差モデルPaは、カウント数Nがどのような値をとる場合であっても、当該カウント数に対応する適切な基礎ノイズ標準偏差σを算出できるモデル(関数)である。そのためカウント数Nzを変数N(カウント数N)の項に代入することにより、撮像条件Qzで得られる放射線画像Gzに対応する適切な基礎ノイズ標準偏差σを迅速に算出できる。図7に示すように、放射線画像Gzに対応する値として得られた基礎ノイズ標準偏差σについては符号σzを付して「基礎ノイズ標準偏差σz」とする。基礎ノイズ標準偏差σzの情報は、放射線画像Gzに適応するノイズ標準偏差σ(ノイズ標準偏差σz)として、標準偏差算出部31からノイズ低減処理部33へ送信される。
ノイズ低減処理部33は、標準偏差算出部31が算出した基礎ノイズ標準偏差σzの情報と、ユーザが設定した3つのパラメータとを用いて、放射線画像Gyに対してNLMフィルタ処理を行う。ノイズ低減処理部33によってNLMフィルタ処理が行われることにより、放射線画像Gzからノイズ低減画像Hzが生成される(図7の右下を参照)。ノイズ低減画像Hzは表示部21に表示され、ユーザはノイズ低減画像Hzを用いて、撮像条件Qzにおける被検体Mの診断を行う。以下、異なる撮像条件における診断を要する場合は適宜ステップS3からステップS7の工程を繰り返し、被検体Mに対するPET撮影を完了する。
次に、本発明の実施例2を説明する。なお実施例1で説明したPET装置1と同一構成については同一符号を付すに留め、異なる構成部分について詳述する。すなわち実施例2に係る画像処理装置には符号15Aを付すことにより、実施例1に係る画像処理装置15と区別する。
実施例2に係る画像処理装置15Aは図8に示すように、基礎モデル推定部35、補正モデル推定部37、および再構成値算出部39を備えているという点において実施例1に係る画像処理装置15と相違する。基礎モデル推定部35および補正モデル推定部37は、実施例2に係るモデル推定部25Aに設けられている。再構成値算出部39は、実施例2に係る画像生成部17Aに設けられている。
基礎モデル推定部35は実施例1に係るモデル推定部25と同様に、モデル推定用画像群Lを用いて基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する。補正モデル推定部37は、モデル推定用画像群Lを用いて補正ノイズ偏差モデルPbを推定する。補正ノイズ偏差モデルPbは、モデル推定用画像群Lにおける再構成処理条件に応じた標準偏差補正値fを算出するモデルであり、再構成処理における所定のパラメータと、当該所定のパラメータにおいて最適な標準偏差補正値fとが対応する関数(モデル)である。実施例2では、再構成処理における所定のパラメータとして反復数を用いるものとする。反復数は、再構成処理の演算における反復計算の回数である。
再構成値算出部39は、再構成処理部27の後段に設けられており、再構成処理部27が生成する放射線画像Gに行われた再構成処理における所定のパラメータ値を算出する。実施例2において、再構成値算出部39は放射線画像Gにおける反復数iの値を算出する。
実施例2に係る標準偏差算出部31Aは図8および図13に示すように、基礎偏差算出部41と補正値算出部43と補正演算部45とを備えている。基礎偏差算出部41は、放射線画像Gについて算出されたカウント数の値と、基礎モデル推定部35が取得した基礎ノイズ偏差モデルPaとを用いることにより、放射線画像Gにおける基礎ノイズ標準偏差σを算出する。
補正値算出部43は、再構成値算出部39が放射線画像Gについて算出した所定のパラメータ値と、補正モデル推定部37が取得した補正ノイズ偏差モデルとを用いることにより、放射線画像Gに対する標準偏差補正値fを算出する。放射線画像Gに対する標準偏差補正値fとは、放射線画像Gについて算出された基礎ノイズ標準偏差σを補正するために用いられる標準偏差補正値fを意味する。実施例2では後述するように、第1標準偏差補正値fを標準偏差補正値fとして算出する。第1標準偏差補正値fは、反復数iに基づいて算出される標準偏差補正値fである。補正演算部45は、基礎ノイズ標準偏差σを第1標準偏差補正値fで補正する演算を行うことにより、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理において適切なノイズ標準偏差σの値を算出する。
<実施例2に係る動作の説明>
ここで、実施例2に係るPET装置1の動作を説明する。図9は、実施例2に係るPET装置1を用いて被検体MのPET画像を取得する一連の過程を説明するフローチャートである。実施例2では被検体MのPET撮影を行う前段階として、ステップS1およびステップS2に加えてステップSAを行う。さらに実施例2では、ステップS5とステップS6の間においてステップSBを行う。実施例2に係るPET装置1の動作は、ステップSAおよびステップSBの工程をさらに含むという点で、実施例1に係るPET装置1の動作と相違する。
ステップS1(モデル推定用画像の取得)
被検体MのPET画像を取得する前段階として、まずはモデル推定用画像群Lを取得する。実施例2ではモデル推定用画像群Lとして、図4に示されるPET画像La~Lfに加えて、図10に示されるPET画像L1~L5を用いる。PET画像La~Lfは実施例1と同様に、基礎ノイズ偏差モデルPaの推定に用いられるモデル推定用画像である。PET画像La~Lfは、それぞれ異なる撮像条件の下で生成された複数のPET画像からなる画像群である。
PET画像L1~L5は、補正ノイズ偏差モデルPbの推定に用いられるモデル推定用画像である。PET画像L1~L5の各々は、各画像に対応する反復数iの値とノイズ標準偏差σの値とが予め算出されている。一例として図10に示すように、PET画像L1については反復数iの値としてi1が予め算出されており、PET画像L1に対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差の値としてσ1が予め算出されている。同様に、PET画像L2~L5の各々に対して、反復数i2~i5と、ノイズ標準偏差σ2~σ5とが予め算出されている。
PET画像L1~L5はPET画像La~Lfと異なり、同一の撮像条件Qiにおいて生成される。但しPET画像L1~L5は、再構成処理における反復数のパラメータ値が異なる。すなわちPET画像L1~L5における反復数i1~i5は、それぞれ異なる値である。PET画像L1~L5はPET装置1を用いて撮影された画像であってもよいし、他のPET装置を用いて撮影された画像であってもよい。モデル推定用画像群Lの各々は、記憶部23に記憶される。
また、予め定められた定数として、基準反復数ibaseを定めるとともに基準標準偏差σsを定める。基準標準偏差σsは、撮像条件Qiおよび基準反復数ibaseにおいて生成されたPET画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値である。実施例2では図10に示すように、PET画像L3における反復数i3を基準反復数ibaseと定め、PET画像L3におけるノイズ標準偏差σ3を基準標準偏差σsと定めるものとする。また実施例2では一例として図10に示すように、反復数i1、i2、i4、i5の値はそれぞれibaseの1/4、ibaseの1/2、ibaseの2倍、ibaseの4倍であるものとする。
反復数i1~i5の情報およびノイズ標準偏差σ1~σ5の情報は、互いに紐付けられて記憶部23に記憶される。またカウント数Na~Nfの情報およびノイズ標準偏差σa~σfの情報は実施例1と同様に、互いに紐付けられて記憶部23に記憶される。
ステップS2(基礎ノイズ偏差モデルの取得)
モデル推定用画像群Lのデータを取得した後、モデル推定部25Aのうち基礎モデル推定部35において、基礎ノイズ偏差モデルPaを取得する演算が行われる。実施例2において基礎モデル推定部35が基礎ノイズ偏差モデルPaを取得する手法は、実施例1においてモデル推定部25が基礎ノイズ偏差モデルPaを取得する手法と同様であるので、説明の一部を省略する。
ステップS2が開始されると、基礎モデル推定部35はカウント数Na~Nfのデータとノイズ標準偏差σa~σfのデータとを用いて、座標Wa~Wfがプロットされた散布図Vを作成する(図5を参照)。散布図Vが作成されると、基礎モデル推定部35は散布図Vを用いて基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する。すなわち上述の(1)式を満たす関数について、座標Wa~Wfの各々に適合するような第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aの値を推定する。当該モデル係数の推定によって、基礎ノイズ偏差モデルPaに相当する関数Epが取得される。基礎ノイズ偏差モデルPaは記憶部23に送信されて記憶される。
ステップSA(補正ノイズ偏差モデルの取得)
実施例2では基礎ノイズ偏差モデルPaを取得した後、さらに補正ノイズ偏差モデルPbを取得する。すなわちモデル推定部25Aのうち補正モデル推定部37によって、補正ノイズ偏差モデルPbを取得する演算が行われる。実施例2において補正ノイズ偏差モデルPbを取得する手法について、以下に説明する。
補正モデル推定部37は、まず記憶部23から反復数i1~i5のデータとノイズ標準偏差σ1~σ5のデータとを読み出す。次に補正モデル推定部37は反復数i1~i5および基準反復数ibase(本実施例では反復数i3)を用いて、モデル推定用画像であるPET画像L1~L5の各々についての反復数比を算出する。
図10ないし図12に示すように、反復数比は「log(i/ibase)」の値として算出される。ここでiの項には算出対象となるPET画像に対応する反復数の値が代入される。一例としてPET画像L1の反復数比を求める場合、PET画像L1の反復数i1は、基準反復数ibaseの1/4に相当する。そのため図10に示すように、PET画像L1の反復数比は「-2」となる。同様にPET画像L2~L5の反復数比の値は、順に「-1」、「0」、「1」、「2」となる。
そして補正モデル推定部37はノイズ標準偏差σ1~σ5と基準標準偏差σsとの値を用いて、PET画像L1~L5の各々についての標準偏差比を算出する。標準偏差比は「σ/σs」の値として算出される。ここでσの項には算出対象となるPET画像に対応するノイズ標準偏差の値が代入される。
一例としてPET画像L1の標準偏差比を求める場合、PET画像L1に対応するノイズ標準偏差の値はσ1であるので、標準偏差比は「σ1/σs」となる。同様にPET画像L2~L5の標準偏差比は、順に「σ2/σs」、「1.0(σs/σs)」、「σ4/σs」、「σ5/σs」となる。
次に補正モデル推定部37は、反復数比のデータと標準偏差比のデータとを用いて、図11に示すような散布図VAを作成する。散布図VAは、反復数比である「log(i/ibase)」の値がx軸に対応しているとともに、標準偏差比である「σ/σs」の値がy軸に対応している2次元のプロット図である。
そして散布図VAには、モデル推定用画像であるPET画像L1~L5の各々に対応する、反復数比と標準偏差比との座標がプロットされている。具体的にはPET画像L1に対応する座標として、PET画像L1に対応する反復数比である「-2」をx成分とし、PET画像L1に対応する標準偏差比である「σ1/σs」をy成分とする座標W1が散布図Vにプロットされる。同様に、PET画像L2に対応する座標として、座標W2(-1,σ2/σs)がプロットされ、PET画像L3~L5に対応する座標として、座標W3~W5が散布図VAにプロットされる。
PET画像L1~L5の各々に対応する座標W1~W5がプロットされた散布図VAが作成されると、補正モデル推定部37は散布図VAを用いて補正ノイズ偏差モデルPbを推定する。実施例2において、補正ノイズ偏差モデルPbは反復数iと第1標準偏差補正値fとが対応する関数であり、
Figure 2024015834000004

を満たす関数である。上記の(2)式において、bは第1反復モデル係数、bは第2反復モデル係数である。補正モデル推定部37は第1反復モデル係数b、および第2反復モデル係数bとして適切な値を推定することにより、補正ノイズ偏差モデルPbを推定する。補正ノイズ偏差モデルPbは、本実施形態における第1補正関数に相当する。
なお第1標準偏差補正値fは、基礎ノイズ標準偏差σを補正する標準偏差補正値fのうち反復数iを用いて算出される数値であり、標準偏差比σ/σsに相当する。すなわちPET画像を取得する場合において、撮像条件が同じであっても再構成条件が異なると、当該PET画像に適切なノイズ標準偏差の値が変化する。一例としてPET画像L3とPET画像L4を比較すると、両者は撮像条件は同一であるがPET画像L4の反復数i4はPET画像L3の反復数i3の2倍である。その結果、PET画像L4に適するノイズ標準偏差は、PET画像L4に適するノイズ標準偏差と比べて(σ4/σs)倍に増大する。このように、PET画像の反復数が変化すると、当該反復数の変化量に応じて基礎ノイズ標準偏差σを補正する必要がある。
補正ノイズ偏差モデルPbを推定する手法の具体例は次の通りである。まず、座標W1~W5の各々に適合する曲線を近似曲線Kfとして算出する。近似曲線Kfは、反復数比を変数xとする関数Esとして表される。関数Esでは反復数比を変数xとして、標準偏差比に相当するyの値が求められる。具体例として図11に示される散布図VAを用いて近似曲線Kfを算出した場合、図12に示すように、座標W1~W5の各々に適合する近似曲線Kfは、「y=(0.1774)x+0.9926」で表される関数Esに相当する。この場合、第1反復モデル係数bは、xの係数である「0.1774」に相当する。第2反復モデル係数bは、関数Esのy切片である「0.9926」に相当する。
このように、補正モデル推定部37は第1反復モデル係数b、および第2反復モデル係数bとして適切な値を推定することによって関数Esを算出する。そして補正モデル推定部37は算出された関数Esを補正ノイズ偏差モデルPbとして取得する。
補正ノイズ偏差モデルPbは、それぞれ再構成処理条件が異なるPET画像L1~L5を用いて算出された、反復数iと第1標準偏差補正値fとの関係を示すモデルである。すなわちそれぞれ異なる反復数比の値と、当該反復数比の各々に対して適切な標準偏差比との関係を用いることにより、反復数比と第1標準偏差補正値fとの関係がモデル化された補正ノイズ偏差モデルPbが算出されている。反復数比である「log(i/ibase)」において、基準反復数ibaseは定数である。そのため補正ノイズ偏差モデルPbに任意の反復数iを代入することにより、代入された反復数iに応じた第1標準偏差補正値fを迅速かつ精度よく算出できる。
補正モデル推定部37が推定した補正ノイズ偏差モデルPbは、記憶部23に記憶される。なお実施例2では後述するように、ノイズ偏差モデルPとして基礎ノイズ偏差モデルPaと補正ノイズ偏差モデルPbとを用いる。言い換えると実施例2において、基礎ノイズ偏差モデルPaは補正ノイズ偏差モデルPbによって補正されることによりノイズ偏差モデルPとして用いられる。補正モデル推定部37によって補正ノイズ偏差モデルPbが取得されることにより、ステップSAの工程は完了する。実施例2に係るPET装置1では被検体Mの撮影を行う前段階として、基礎ノイズ偏差モデルPaおよび補正ノイズ偏差モデルPbを取得して記憶部23に予め記憶しておく。
ステップS3(被検体の撮影)
基礎ノイズ偏差モデルPaおよび補正ノイズ偏差モデルPbが記憶部23に記憶されている状態になった後、PET装置1を用いて被検体MのPET撮影を行う。実施例2におけるステップS3の工程は実施例1と同様であるので、詳細な説明を省略する。なお、1回目のPET撮影における撮像条件をQyとする。データ収集部13が収集した同時計数データは、画像処理装置15が備える再構成処理部27へと送信される。
ステップS4(再構成処理)
データ収集部13が同時計数データを画像処理装置15へ送信すると、ステップS4に係る再構成処理が開始される。実施例2におけるステップS4の工程も実施例1と同様であるので、詳細な説明を省略する。再構成処理部27はデータ収集部13が収集した同時計数データに対して再構成処理を行うことにより、放射線画像Gを生成する。なお、放射線画像Gyの再構成処理における条件を再構成条件Ryとする。そして再構成条件Ryにおいて用いられる反復数iの値を、反復数iyとする(図13の左上部分を参照)。再構成処理によって生成された被検体Mの放射線画像Gは、再構成処理部27からカウント数算出部29および再構成値算出部39へと送信される。
ステップS5(カウント数の算出)
再構成された放射線画像Gがカウント数算出部29へ送信されると、被検体Mについて得られた放射線画像Gに対してカウント数の算出を行う。実施例2におけるステップS5の工程も実施例1と同様であるので、詳細な説明を省略する。すなわちカウント数算出部29は、被検体Mの放射線画像Gにおけるカウント数を算出する。すなわち図13に示すように、放射線画像Gyについてカウント数Nyが算出される。カウント数算出部29が放射線画像Gについて算出したカウント数の情報は、カウント数算出部29から標準偏差算出部31Aへと送信される。
ステップSB(再構成パラメータ値の算出)
実施例2では、カウント数算出部29が放射線画像Gのカウント数を算出する工程と平行して、放射線画像Gにおける再構成パラメータ値を算出する工程を行う。再構成パラメータ値は、放射線画像Gを生成する再構成処理における所定のパラメータ値を意味しており実施例2では反復数iに相当する。再構成パラメータ値の算出は、再構成値算出部39において行われる。すなわち再構成値算出部39は、放射線画像Gの再構成処理において用いられた反復数iを算出する。放射線画像Gyの再構成処理には反復数iyがパラメータとして用いられているので、再構成値算出部39は反復数iyのデータを算出して標準偏差算出部31Aへ送信する。
ステップS6(ノイズ標準偏差の算出)
標準偏差算出部31Aは、カウント数算出部29が算出したカウント数の情報と、予め取得されているノイズ偏差モデルPとを用いて、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σの値を算出する。まず標準偏差算出部31Aは、記憶部23に記憶されている基礎ノイズ偏差モデルPa、および補正ノイズ偏差モデルPbを読み出す。
実施例2において標準偏差算出部31Aがノイズ標準偏差σの値を算出するステップS6は、大きく分けて3つのステップに分かれる。第1のステップは、基礎偏差算出部41が基礎ノイズ偏差モデルPaおよびカウント数Nを用いて、基礎ノイズ標準偏差σを算出する工程である。第2のステップは、補正値算出部43が補正ノイズ偏差モデルPbおよび再構成処理のパラメータ値(ここでは反復数i)を用いて、標準偏差補正値fを算出するステップである。第3のステップは、補正演算部45が基礎ノイズ標準偏差σを標準偏差補正値fで補正して、ノイズ標準偏差σの値を算出するステップである。
まず、実施例2に係るステップS6のうち第1のステップについて説明する。基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaの情報および放射線画像Gのカウント数の情報を受信する。そして基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られたカウント数を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する基礎ノイズ標準偏差σを算出する。
具体的には(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPaの関数のうち、変数であるカウント数Nの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたカウント数Nyの値を代入する。基礎ノイズ偏差モデルPaの関数において、第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aはいずれも基礎モデル推定部35によって推定された定数である。そのため、カウント数算出部29によって特定されたカウント数Nyの値を(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPaに代入することにより、放射線画像Gyの基礎ノイズ標準偏差σの値として、基礎ノイズ標準偏差σyの値が迅速に定まることとなる。
次に、実施例2に係るステップS6のうち第2のステップについて説明する。補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPbの情報および放射線画像Gの反復数iの情報を受信する。そして補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPbに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られた反復数iを代入することにより、当該放射線画像Gに対応する標準偏差補正値f(実施例2では第1標準偏差補正値f)を算出する。
具体的には(2)式で示される補正ノイズ偏差モデルPbの関数のうち、変数である反復数iの項に対して、放射線画像Gyについて算出された反復数iyの値を代入する。補正ノイズ偏差モデルPbの関数において、第1反復モデル係数bおよび第2反復モデル係数bはいずれも補正モデル推定部37によって推定された定数である。そのため、再構成値算出部39によって特定された反復数iyの値を(2)式で示される補正ノイズ偏差モデルPbに代入することにより、基礎ノイズ標準偏差σyに対応する第1標準偏差補正値fとして適切な値が特定される。放射線画像Gyに用いられる第1標準偏差補正値fについては図13に示すように「第1標準偏差補正値fy」とする。
最後に、実施例2に係るステップS6のうち第3のステップについて説明する。補正演算部45は、第1標準偏差補正値fを用いて基礎ノイズ標準偏差σを補正することにより、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σを算出する。実施例2において、ノイズ偏差モデルPは(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPaと(2)式で示される補正ノイズ偏差モデルPbとの乗算に相当する関数である。すなわち放射線画像Gに適切なノイズ標準偏差σは、基礎ノイズ標準偏差σと第1標準偏差補正値fとを用いて、以下の(3)式によって求めることができる。
Figure 2024015834000005
すなわち実施例2では、ステップS7で行うNLMフィルタ処理におけるノイズ標準偏差σとして、基礎ノイズ標準偏差σと第1標準偏差補正値fとを乗算した値を用いる。補正演算部45は、放射線画像Gyに対応する基礎ノイズ標準偏差σyと第1標準偏差補正値fyとの積を、放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σ(ノイズ標準偏差σy)の値として算出する。放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σの情報として算出されたノイズ標準偏差σyの情報は、標準偏差算出部31Aからノイズ低減処理部33へ送信される。
ステップS7(ノイズ低減処理)
被検体Mの放射線画像Gに適応するノイズ標準偏差σの情報がノイズ低減処理部33に送信されると、当該放射線画像Gに対してNLMフィルタ処理によるノイズ低減処理を行う。ユーザはサポートウィンドウのサイズ、テンプレートウィンドウのサイズ、および乖離度評価関数の標準偏差hからなる3つのパラメータを設定する。
ノイズ低減処理部33は、標準偏差算出部31Aが算出したノイズ標準偏差σ(ここではノイズ標準偏差σy)の情報と、ユーザが設定した3つのパラメータとを用いて、放射線画像Gyに対してNLMフィルタ処理を行う。ノイズ低減処理部33によってNLMフィルタ処理が行われることにより、放射線画像Gyからノイズ低減画像Hyが生成される(図13の左下を参照)。ノイズ低減画像Hyは表示部21に表示され、ユーザはノイズ低減画像Hyを用いて被検体Mに対する診断を行う。以上の工程により、撮像条件Qyによる一連のPET撮影が終了する。
なお、撮像条件Qyとは異なる撮像条件、および再構成条件Ryとは異なる再構成条件において再度被検体MのPET撮影を行う場合、ステップS3に戻って再度ステップS3~S7の工程を実行する。実施例2において「再構成条件Ryとは異なる再構成条件」とは、再構成条件Ryとは反復数iのパラメータが異なる再構成条件を意味する。すなわち、撮像条件Qyと異なる撮像条件Qzの下で、PET装置1を用いて被検体MのPET撮影を行って同時計数データを収集する(ステップS3)。
そして再構成条件Ryとは異なる再構成条件Rzにおいて再構成処理を行い、放射線画像Gを再度生成する(ステップS4)。再構成条件Ryでは反復数iyをパラメータとして再構成処理を行う一方、再構成条件Rzでは反復数izをパラメータとして再構成処理を行う。図7の右上欄に示すように、撮像条件Qzおよび再構成条件Rzにおいて取得された放射線画像Gについては放射線画像Gzと表示し、放射線画像Gyと区別する。放射線画像Gzのデータは、カウント数算出部29および再構成値算出部39へと送信される。
カウント数算出部29は、放射線画像Gzのカウント数Nzを算出する(ステップS5)。再構成値算出部39は、放射線画像Gzの反復数izを算出する(ステップSB)。標準偏差算出部31Aは、カウント数Nz、基礎ノイズ偏差モデルPa、反復数iz、および補正ノイズ偏差モデルPbを用いて、放射線画像Gzに適切なノイズ標準偏差の値σzを算出する(ステップS6)。すなわち基礎偏差算出部41は、(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPaにおけるNの項にカウント数Nzの値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σzを算出する。補正値算出部43は、(2)式で示される補正ノイズ偏差モデルPbにおけるiの項に反復数izの値を代入することで、第1標準偏差補正値fzを算出する。補正演算部45は、(5)式におけるσの項に基礎ノイズ標準偏差σzの値を代入するとともに、(5)式におけるfの項に第1標準偏差補正値fzの値を代入する演算を行う。当該演算により、基礎ノイズ標準偏差σzは第1標準偏差補正値fzによって補正され、ノイズ標準偏差σzの値が算出される。
最後に、ノイズ低減処理部33はノイズ標準偏差σzとユーザが設定した3つのパラメータとを用いて、放射線画像Gzに対してNLMフィルタ処理を行う。NLMフィルタ処理により放射線画像Gzにおけるノイズが低減され、ノイズ低減画像Hzが生成される(ステップS7)。以下、異なる撮像条件または再構成条件における診断を要する場合は適宜ステップS3からステップS7の工程を繰り返し、被検体Mに対するPET撮影を完了する。
次に、本発明の実施例3を説明する。実施例3に係るPET装置1の構成は、図8に示す実施例2の構成と基本的に共通する。但し主に以下の点において、実施例3における各構成の動作は実施例2における動作と相違する。
第1に、実施例2では再構成処理における所定のパラメータとして反復数iを用いる一方、実施例3では再構成処理における所定のパラメータとしてサブセット数sを用いる。サブセット数は、再構成処理の演算において分割されたサブセットの数である。
第2に、補正モデル推定部37は標準偏差補正値fの算出用モデルとして、補正ノイズ偏差モデルPcを推定する。実施例2で用いられる補正ノイズ偏差モデルPbと異なり、補正ノイズ偏差モデルPcはサブセット数sと標準偏差補正値fとが対応する関数である。なお実施例3における標準偏差補正値fについては「第2標準偏差補正値f」とする。第2標準偏差補正値fは、サブセット数sの値に基づいて算出される標準偏差補正値fである。
第3に、再構成値算出部39は被検体Mの放射線画像Gについてサブセット数sを算出する。第4に、標準偏差算出部31Aはカウント数N、基礎ノイズ偏差モデルPa、サブセット数s、および補正ノイズ偏差モデルPcを用いることにより、被検体Mの放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値を算出する。
<実施例3に係る動作の説明>
ここで、実施例3に係るPET装置1の動作を説明する。実施例3の動作は図9に示される実施例2のフローチャートと基本的に共通する。すなわち実施例3では実施例1と異なり、ステップSAおよびステップSBの工程を行う。そのため実施例2と共通する点については詳細な説明を省略し、実施例3に特徴的な動作について重点的に説明する。
ステップS1(モデル推定用画像の取得)
被検体MのPET画像を取得する前段階として、まずはモデル推定用画像群Lを取得する。実施例3ではモデル推定用画像群Lとして、図4に示されるPET画像La~Lfに加えてPET画像L6~L10を用いる。PET画像La~Lfは実施例1と同様に、基礎ノイズ偏差モデルPaの推定に用いられる放射線画像である。PET画像La~Lfは、それぞれ異なる撮像条件の下で生成された複数のPET画像からなる画像群である。
PET画像L6~L10は、補正ノイズ偏差モデルPcの推定に用いられる放射線画像である。PET画像L6~L10の各々は、各画像に対応するサブセット数sの値とノイズ標準偏差σの値とが予め算出されている。一例として、PET画像L6についてはサブセット数sの値としてs6が予め算出されており、PET画像L6に対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差の値としてσ6が予め算出されている。同様に、PET画像L7~L10の各々に対して、サブセット数s7~s10と、ノイズ標準偏差σ7~σ10とが予め算出されている。
PET画像L6~L10はPET画像La~Lfと異なり、同一の撮像条件Qsにおいて生成される。但しPET画像L6~L10は、再構成処理におけるサブセット数のパラメータ値が異なる。すなわち図10に示すように、PET画像L6~L10を再構成する処理において用いられたサブセット数sのパラメータ値をそれぞれs6~s10とすると、サブセット数s6~s10はそれぞれ異なる値である。
また、予め定められた定数として、基準サブセット数sbaseを定めるとともに基準標準偏差σsを定める。基準標準偏差σsは、撮像条件Qsおよび基準サブセット数sbaseにおいて生成されたPET画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値である。一例として、PET画像L8におけるサブセット数s8を基準サブセット数sbase定め、PET画像L8におけるノイズ標準偏差σ8を基準標準偏差σsとしてよい。
ステップS2(基礎ノイズ偏差モデルの取得)
モデル推定用画像群Lのデータを取得した後、基礎モデル推定部35は実施例2と同様に基礎ノイズ偏差モデルPaを取得する。すなわち基礎モデル推定部35はカウント数Na~Nfのデータとノイズ標準偏差σa~σfのデータとを用いて、座標Wa~Wfがプロットされた散布図Vを作成する(図5を参照)。そして散布図Vが作成されると、基礎モデル推定部35は散布図Vを用いて基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する。すなわち上述の(1)式を満たす関数について、座標Wa~Wfの各々に適合するような第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aの値を推定することにより、カウント数Nを変数とする関数Epが基礎ノイズ偏差モデルPaとして特定される。基礎ノイズ偏差モデルPaは記憶部23に送信されて記憶される。
ステップSA(補正ノイズ偏差モデルの取得)
実施例3では基礎ノイズ偏差モデルPaを取得した後、さらに補正モデル推定部37によって補正ノイズ偏差モデルPcが取得される。実施例3において補正ノイズ偏差モデルPcを取得する手法について、以下に説明する。
補正モデル推定部37は、まず記憶部23からサブセット数s6~s10のデータとノイズ標準偏差σ6~σ10のデータとを読み出す。次に補正モデル推定部37はサブセット数s6~s10および基準サブセット数sbaseを用いて、モデル推定用画像であるPET画像L6~L10の各々についてのサブセット数比を算出する。サブセット数比は「log(s/sbase)」の値として算出される。一例としてPET画像L6の反復数比は「log(s6/sbase)」である。
さらに、補正モデル推定部37はノイズ標準偏差σ6~σ10と基準標準偏差σsとの値を用いて、PET画像L1~L5の各々についての標準偏差比を算出する。標準偏差比は「σ/σs」の値として算出される。ここでσの項には算出対象となるPET画像に対応するノイズ標準偏差の値が代入される。一例としてPET画像L7の標準偏差比は「σ7/σs」である。
次に補正モデル推定部37は、サブセット数比のデータと標準偏差比のデータとを用いて、散布図VBを作成する。散布図VBは、サブセット数比である「log(s/sbase)」の値がx軸に対応しているとともに、標準偏差比である「σ/σs」の値がy軸に対応している2次元のプロット図である。散布図VBの構成は図11に示す散布図VAと構成が類似するので、散布図VBの図示は省略する。
散布図VBには、モデル推定用画像であるPET画像L6~L10の各々に対応する、サブセット数比と標準偏差比との座標W6~W10がプロットされている。具体例としてPET画像L6に対応する座標として、PET画像L6に対応するサブセット数比である「log(s6/sbase)」をx成分とし、PET画像L6に対応する標準偏差比である「σ6/σs」をy成分とする座標W6が散布図VBにプロットされる。
座標W6~W10がプロットされた散布図VBが作成されると、補正モデル推定部37は散布図VBを用いて補正ノイズ偏差モデルPcを推定する。実施例3において、補正ノイズ偏差モデルPcはサブセット数iと第2標準偏差補正値fとが対応する関数であり、
Figure 2024015834000006

を満たす関数である。上記の(4)式において、cは第1サブセットモデル係数、cは第2サブセットモデル係数である。補正モデル推定部37は第1サブセットモデル係数c、および第2サブセットモデル係数cとして適切な値を推定することにより、補正ノイズ偏差モデルPcを推定する。補正ノイズ偏差モデルPcは、本実施形態における第2補正関数に相当する。
なお第2標準偏差補正値fは、基礎ノイズ標準偏差σを補正する標準偏差補正値fのうちサブセット数sを用いて算出される数値であり、標準偏差比σ/σsに相当する。すなわちPET画像を取得する場合において、撮像条件が同じであっても再構成条件におけるサブセット数のパラメータが異なると、当該PET画像に適切なノイズ標準偏差の値が変化する。そのため、PET画像の再構成処理におけるサブセット数のパラメータが変化すると、当該サブセット数の変化量に応じて基礎ノイズ標準偏差σを補正する必要がある。
補正ノイズ偏差モデルPcを推定する手法の具体例は次の通りである。まず、座標W6~W10の各々に適合する近似曲線を算出する。当該近似曲線は、サブセット数比を変数xとする関数として表される。当該関数ではサブセット数比を変数xとして、標準偏差比すなわち第2標準偏差補正値fに相当するyの値が求められる。
補正モデル推定部37は、座標W6~W10の各々に適合する近似曲線を示す関数をもとに、第1反復モデル係数b、および第2反復モデル係数bとして適切な値を推定することによって補正ノイズ偏差モデルPcを取得する。
補正ノイズ偏差モデルPcは、それぞれ再構成処理条件が異なるPET画像L6~L10を用いて算出された、サブセット数sと第2標準偏差補正値fとの関係を示すモデルである。すなわちそれぞれ異なるサブセット数比の値と、当該サブセット数比の各々に対して適切な標準偏差比との関係を用いることにより、サブセット数比と第2標準偏差補正値fとの関係がモデル化された補正ノイズ偏差モデルPcが算出されている。サブセット数比である「log(s/sbase)」において、基準サブセット数sbaseは定数である。そのため補正ノイズ偏差モデルPcに任意のサブセット数sを代入することにより、代入されたサブセット数sに応じた第2標準偏差補正値fを迅速かつ精度よく算出できる。補正モデル推定部37が推定した補正ノイズ偏差モデルPcは、記憶部23に記憶される。
ステップS3(被検体の撮影)
基礎ノイズ偏差モデルPaおよび補正ノイズ偏差モデルPcが取得された後、PET装置1を用いて被検体MのPET撮影を行う。実施例3におけるステップS3の工程は実施例1と同様であるので、詳細な説明を省略する。なお、1回目のPET撮影における撮像条件をQyとする。データ収集部13が収集した同時計数データは、画像処理装置15が備える再構成処理部27へと送信される。
ステップS4(再構成処理)
データ収集部13が同時計数データを画像処理装置15へ送信すると、ステップS4に係る再構成処理が開始される。実施例3におけるステップS4の工程も実施例1と同様である。すなわち再構成処理部27は同時計数データに対して再構成処理を行うことにより、放射線画像Gを生成する。なお、放射線画像Gyの再構成処理における条件を再構成条件Ryとする。そして再構成条件Ryにおいて用いられるサブセット数sの値を、サブセット数syとする。再構成処理によって生成された被検体Mの放射線画像Gは、再構成処理部27からカウント数算出部29および再構成値算出部39へと送信される。
ステップS5(カウント数の算出)
再構成された放射線画像Gがカウント数算出部29へ送信されると、被検体Mについて得られた放射線画像Gに対してカウント数の算出を行う。実施例3におけるステップS5の工程も実施例1と同様である。すなわちカウント数算出部29は、被検体Mの放射線画像Gにおけるカウント数を算出する。すなわち図13に示すように、放射線画像Gyについてカウント数Nyが算出される。カウント数算出部29が放射線画像Gについて算出したカウント数の情報は、カウント数算出部29から標準偏差算出部31Aへと送信される。
ステップSB(再構成パラメータ値の算出)
カウント数算出部29が放射線画像Gのカウント数を算出する工程と平行して、放射線画像Gにおける再構成パラメータ値を算出する工程を行う。実施例3において再構成パラメータ値はサブセット数sに相当する。すなわち再構成値算出部39は、放射線画像Gの再構成処理において用いられたサブセット数sを算出する。放射線画像Gyの再構成処理にはサブセット数syがパラメータとして用いられているので、再構成値算出部39はサブセット数syのデータを算出して標準偏差算出部31Aへ送信する。
ステップS6(ノイズ標準偏差の算出)
標準偏差算出部31Aは、カウント数算出部29が算出したカウント数の情報などを用いて、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σの値を算出する。まず標準偏差算出部31Aは、記憶部23に記憶されている基礎ノイズ偏差モデルPa、および補正ノイズ偏差モデルPcを読み出す。実施例2と同様に、実施例3に係るステップS6は、大きく分けて3つのステップに分かれる。
実施例3に係るステップS6のうち第1のステップについて説明する。基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaの情報および放射線画像Gのカウント数の情報を受信する。そして基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られたカウント数の値を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する基礎ノイズ標準偏差σを算出する。具体的には(1)式のうち変数であるカウント数Nの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたカウント数Nyの値を代入することにより、放射線画像Gyにおける基礎ノイズ標準偏差σの値として、基礎ノイズ標準偏差σyの値が算出される。
実施例3に係るステップS6のうち第2のステップについて説明する。補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPcの情報および放射線画像Gのサブセット数sの情報を受信する。そして補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPcに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られたサブセット数sを代入することにより、当該放射線画像Gに対応する標準偏差補正値f(実施例3では第2標準偏差補正値f)を算出する。
具体的には(4)式で示される補正ノイズ偏差モデルPcの関数のうち、変数であるサブセット数sの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたサブセット数syの値を代入する。補正ノイズ偏差モデルPcの関数において、第1サブセットモデル係数c、および第2サブセットモデル係数cはいずれも補正モデル推定部37によって推定された定数である。そのため、再構成値算出部39によって特定されたサブセット数syの値を(4)式で示される補正ノイズ偏差モデルPcに代入することにより、基礎ノイズ標準偏差σyに対応する第2標準偏差補正値fとして適切な値が特定される。放射線画像Gyに用いられる第2標準偏差補正値fについては「第2標準偏差補正値fy」とする。
実施例3に係るステップS6のうち第3のステップについて説明する。補正演算部45は、第2標準偏差補正値fを用いて基礎ノイズ標準偏差σを補正することにより、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σを算出する。実施例3において、ノイズ偏差モデルPは(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPaと(4)式で示される補正ノイズ偏差モデルPcとの乗算に相当する関数である。すなわち放射線画像Gに適切なノイズ標準偏差σは、基礎ノイズ標準偏差σと第2標準偏差補正値fとを用いて、以下の(5)式によって求めることができる。
Figure 2024015834000007
すなわち実施例3では、ステップS7で行うNLMフィルタ処理におけるノイズ標準偏差σとして、基礎ノイズ標準偏差σと第2標準偏差補正値fとを乗算した値を用いる。補正演算部45は、放射線画像Gyに対応する基礎ノイズ標準偏差σyと第2標準偏差補正値fyとの積を、放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σ(ノイズ標準偏差σy)の値として算出する。放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σの情報として算出されたノイズ標準偏差σyの情報は、標準偏差算出部31Aからノイズ低減処理部33へ送信される。
ステップS7(ノイズ低減処理)
被検体Mの放射線画像Gに適応するノイズ標準偏差σの情報がノイズ低減処理部33に送信されると、ノイズ低減処理部33は、標準偏差算出部31Aが算出したノイズ標準偏差σ(ここではノイズ標準偏差σy)の情報と、ユーザが設定した3つのパラメータとを用いて、放射線画像Gyに対してNLMフィルタ処理を行う。ノイズ低減処理部33によってNLMフィルタ処理が行われることにより、放射線画像Gyからノイズ低減画像Hyが生成される。以上の工程により、撮像条件Qyおよび再構成条件Ryによる一連のPET撮影が終了する。以下、異なる撮像条件または再構成条件における診断を要する場合は適宜ステップS3からステップS7の工程を繰り返し、被検体Mに対するPET撮影を完了する。
次に、本発明の実施例4を説明する。実施例4に係るPET装置1の構成は、図8に示す実施例2の構成と基本的に共通する。但し主に以下の点において、実施例4における各構成の動作は実施例2における動作と相違する。
第1に、実施例2では再構成処理における所定のパラメータとして反復数iを用いる一方、実施例4では再構成処理における所定のパラメータとして緩和パラメータrを用いる。第2に、実施例4に係る補正モデル推定部37は、標準偏差補正値fの算出用モデルとして補正ノイズ偏差モデルPdを推定する。実施例2で用いられる補正ノイズ偏差モデルPbと異なり、実施例4で用いられる補正ノイズ偏差モデルPdは緩和パラメータrと標準偏差補正値fとが対応する関数である。なお実施例4における標準偏差補正値fについては「第3標準偏差補正値f」とする。
第3に、再構成値算出部39は被検体Mの放射線画像Gについて緩和パラメータdを算出する。第4に、標準偏差算出部31Aはカウント数N、基礎ノイズ偏差モデルPa、緩和パラメータd、および補正ノイズ偏差モデルPdを用いることにより、被検体Mの放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値を算出する。
<実施例4に係る動作の説明>
ここで、実施例4に係るPET装置1の動作を説明する。実施例3の動作は図9に示される実施例2のフローチャートと基本的に共通する。すなわち実施例3では実施例1と異なり、ステップSAおよびステップSBの工程を行う。
ステップS1(モデル推定用画像の取得)
被検体MのPET画像を取得する前段階として、まずはモデル推定用画像群Lを取得する。実施例4ではモデル推定用画像群Lとして、図4に示されるPET画像La~Lfに加えてPET画像L11~L15を用いる。PET画像La~Lfは実施例1と同様に、基礎ノイズ偏差モデルPaの推定に用いられる放射線画像である。またPET画像La~Lfは、それぞれ異なる撮像条件の下で生成された複数のPET画像からなる画像群である。
PET画像L11~L15は、補正ノイズ偏差モデルPdの推定に用いられる放射線画像である。PET画像L11~L15の各々は、各画像に対応する緩和パラメータdとノイズ標準偏差σの値とが予め算出されている。一例として、PET画像L11については緩和パラメータrとしてr11が予め算出されており、PET画像L11に対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差の値としてσ11が予め算出されている。同様に、PET画像L12~L15の各々に対して、緩和パラメータr12~r15と、ノイズ標準偏差σ12~σ15とが予め算出されている。
PET画像L11~L15はPET画像La~Lfと異なり、同一の撮像条件Qrにおいて生成される。但しPET画像L11~L15は、再構成処理における緩和パラメータが異なる。すなわち、PET画像L11~L15を再構成する処理において用いられた緩和パラメータr11~r15は、それぞれ異なる値である。
また、予め定められた定数として、基準緩和パラメータrbaseを定めるとともに基準標準偏差σsを定める。基準標準偏差σsは、撮像条件Qrおよび基準緩和パラメータrbaseにおいて生成されたPET画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値である。一例として、PET画像L13における緩和パラメータr13を基準緩和パラメータrbaseと定め、PET画像L13におけるノイズ標準偏差σ13を基準標準偏差σsとしてよい。
ステップS2(基礎ノイズ偏差モデルの取得)
モデル推定用画像群Lのデータを取得した後、基礎モデル推定部35は実施例2と同様に基礎ノイズ偏差モデルPaを取得する。すなわち基礎モデル推定部35は図5に示すような散布図Vを作成する。そして基礎モデル推定部35は散布図Vを用いて基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する。すなわち上述の(1)式を満たす関数について、座標Wa~Wfの各々に適合するような第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aの値を推定することにより、カウント数Nを変数とする関数Epが基礎ノイズ偏差モデルPaとして特定される。基礎ノイズ偏差モデルPaは記憶部23に送信されて記憶される。
ステップSA(補正ノイズ偏差モデルの取得)
実施例4では基礎ノイズ偏差モデルPaを取得した後、さらに補正モデル推定部37によって補正ノイズ偏差モデルPdが取得される。実施例4において補正ノイズ偏差モデルPdを取得する手法について、以下に説明する。
補正モデル推定部37は、まず記憶部23から緩和パラメータr11~r15のデータとノイズ標準偏差σ11~σ15のデータとを読み出す。次に補正モデル推定部37は緩和パラメータr11~r15および基準緩和パラメータrbaseを用いて、モデル推定用画像であるPET画像L11~L15の各々についての緩和パラメータ比を算出する。緩和パラメータ比は「log(r/rbase)」の値として算出される。一例としてPET画像L11の緩和パラメータ比は「log(r11/rbase)」である。
さらに、補正モデル推定部37はノイズ標準偏差σ11~σ15と基準標準偏差σsとの値を用いて、PET画像L11~L15の各々についての標準偏差比を算出する。標準偏差比は「σ/σs」の値として算出される。ここでσの項には算出対象となるPET画像に対応するノイズ標準偏差の値が代入される。一例としてPET画像L12の標準偏差比は「σ12/σs」である。
次に補正モデル推定部37は、緩和パラメータ比のデータと標準偏差比のデータとを用いて、散布図VCを作成する。散布図VCは、緩和パラメータ比である「log(r/rbase)」の値がx軸に対応しているとともに、標準偏差比である「σ/σs」の値がy軸に対応している2次元のプロット図である。散布図VCの構成は図11に示す散布図VAと構成が類似するので、散布図VCの図示は省略する。
散布図VCには、PET画像L11~L15の各々に対応する、緩和パラメータ比と標準偏差比との座標W11~W15がプロットされている。具体例としてPET画像L11に対応する座標として、PET画像L11に対応する緩和パラメータ比である「log(r11/rbase)」をx成分とし、PET画像L11に対応する標準偏差比である「σ11/σs」をy成分とする座標W11が散布図VCにプロットされる。
座標W11~W15がプロットされた散布図VCが作成されると、補正モデル推定部37は散布図VCを用いて補正ノイズ偏差モデルPdを推定する。実施例4において、補正ノイズ偏差モデルPdは緩和パラメータrと第3標準偏差補正値fとが対応する関数であり、
Figure 2024015834000008

を満たす関数である。上記の(6)式において、dは第1緩和パラメータモデル係数、dは第2緩和パラメータモデル係数である。補正モデル推定部37は第1緩和パラメータモデル係数d、および第2緩和パラメータモデル係数dとして適切な値を推定することにより、補正ノイズ偏差モデルPdを推定する。補正ノイズ偏差モデルPdは、本実施形態における第3補正関数に相当する。
なお第3標準偏差補正値fは、基礎ノイズ標準偏差σを補正する標準偏差補正値fのうち緩和パラメータrを用いて算出される数値であり、標準偏差比σ/σsに相当する。すなわちPET画像を取得する場合において、撮像条件が同じであっても再構成条件における緩和パラメータが異なると、当該PET画像に適切なノイズ標準偏差の値が変化する。そのため、PET画像の再構成処理における緩和パラメータが変化すると、当該緩和パラメータの変化量に応じて基礎ノイズ標準偏差σを補正する必要がある。
補正ノイズ偏差モデルPdを推定する手法の具体例は次の通りである。まず、座標W11~W15の各々に適合する近似曲線を算出する。当該近似曲線は、緩和パラメータ比を変数xとする関数として表される。当該関数では緩和パラメータ比を変数xとして、標準偏差比すなわち第3標準偏差補正値fに相当するyの値が求められる。
補正モデル推定部37は、座標W11~W15の各々に適合する近似曲線を示す関数をもとに、第1緩和パラメータモデル係数d、および第2緩和パラメータモデル係数dとして適切な値を推定することによって補正ノイズ偏差モデルPdを取得する。
補正ノイズ偏差モデルPdは、それぞれ緩和パラメータが異なるPET画像L11~L15を用いて算出された、緩和パラメータrと第3標準偏差補正値fとの関係を示すモデルである。すなわちそれぞれ異なる緩和パラメータ比と、当該緩和パラメータ比の各々に対して適切な標準偏差比との関係を用いることにより、緩和パラメータ比と第3標準偏差補正値fとの関係がモデル化された補正ノイズ偏差モデルPdが算出されている。緩和パラメータ比である「log(r/rbase)」において、基準緩和パラメータrbaseは定数である。そのため補正ノイズ偏差モデルPdに任意の緩和パラメータrを代入することにより、代入された緩和パラメータrに応じた第3標準偏差補正値fを迅速かつ精度よく算出できる。補正モデル推定部37が推定した補正ノイズ偏差モデルPdは、記憶部23に記憶される。
ステップS3(被検体の撮影)
基礎ノイズ偏差モデルPaおよび補正ノイズ偏差モデルPdが取得された後、PET装置1を用いて被検体MのPET撮影を行う。実施例3におけるステップS3の工程は実施例1と同様であるので詳細な説明を省略する。なお、1回目のPET撮影における撮像条件をQyとする。データ収集部13が収集した同時計数データは、画像処理装置15が備える再構成処理部27へと送信される。
ステップS4(再構成処理)
データ収集部13によって収集された同時計数データが画像処理装置15Aへ送信されると、ステップS4に係る再構成処理が開始される。実施例3におけるステップS4の工程も実施例1と同様である。すなわち再構成処理部27は同時計数データに対して再構成処理を行うことにより、放射線画像Gを生成する。なお、放射線画像Gyの再構成処理における条件を再構成条件Ryとする。そして再構成条件Ryにおいて用いられる緩和パラメータrの値を、緩和パラメータryとする。再構成処理によって生成された被検体Mの放射線画像Gは、再構成処理部27からカウント数算出部29および再構成値算出部39へと送信される。
ステップS5(カウント数の算出)
再構成された放射線画像Gがカウント数算出部29へ送信されると、被検体Mについて得られた放射線画像Gに対してカウント数の算出を行う。実施例4におけるステップS5の工程も実施例1と同様である。すなわちカウント数算出部29は、被検体Mの放射線画像Gにおけるカウント数を算出する。すなわち図13に示すように、放射線画像Gyについてカウント数Nyが算出される。カウント数算出部29が放射線画像Gについて算出したカウント数の情報は、カウント数算出部29から標準偏差算出部31Aへと送信される。
ステップSB(再構成パラメータ値の算出)
カウント数算出部29が放射線画像Gのカウント数を算出する工程と平行して、放射線画像Gにおける再構成パラメータ値を算出する工程を行う。実施例4において、再構成パラメータ値は緩和パラメータrに相当する。すなわち再構成値算出部39は、放射線画像Gの再構成処理において用いられた緩和パラメータrを算出する。放射線画像Gyの再構成処理には緩和パラメータryがパラメータとして用いられているので、再構成値算出部39は緩和パラメータryのデータを算出して標準偏差算出部31Aへ送信する。
ステップS6(ノイズ標準偏差の算出)
標準偏差算出部31Aは、カウント数算出部29が算出したカウント数の情報などを用いて、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σの値を算出する。まず標準偏差算出部31Aは、記憶部23に記憶されている基礎ノイズ偏差モデルPa、および補正ノイズ偏差モデルPdを読み出す。実施例2と同様に、実施例3に係るステップS6は、大きく分けて3つのステップに分かれる。
実施例4に係るステップS6のうち第1のステップについて説明する。基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaの情報および放射線画像Gのカウント数の情報を受信する。そして基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られたカウント数を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する基礎ノイズ標準偏差σを算出する。具体的には(1)式のうち変数であるカウント数Nの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたカウント数Nyの値を代入することにより、放射線画像Gyの基礎ノイズ標準偏差σの値として、基礎ノイズ標準偏差σyの値を算出する。
実施例4に係るステップS6のうち第2のステップについて説明する。補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPdの情報および放射線画像Gの緩和パラメータrの情報を受信する。そして補正値算出部43は、被検体Mの放射線画像Gについて得られた緩和パラメータrを補正ノイズ偏差モデルPdに代入することにより、当該放射線画像Gに対応する標準偏差補正値fを算出する。実施例4では第3標準偏差補正値fが標準偏差補正値fとして算出される。
具体的には(6)式で示される補正ノイズ偏差モデルPdの関数のうち、変数である緩和パラメータrの項に対して、放射線画像Gyについて算出された緩和パラメータryの値を代入する。補正ノイズ偏差モデルPdの関数において、第1緩和パラメータモデル係数d、および第2緩和パラメータモデル係数dはいずれも補正モデル推定部37によって推定された定数である。そのため、再構成値算出部39によって特定された緩和パラメータryの値を、(6)式で示される補正ノイズ偏差モデルPdに代入することにより、基礎ノイズ標準偏差σyに対応する第3標準偏差補正値fとして適切な値が特定される。放射線画像Gyに用いられる第3標準偏差補正値fについては「第3標準偏差補正値fy」とする。
実施例4に係るステップS6のうち第3のステップについて説明する。補正演算部45は、第3標準偏差補正値fを用いて基礎ノイズ標準偏差σを補正することにより、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σを算出する。実施例4において、ノイズ偏差モデルPは(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPaと(6)式で示される補正ノイズ偏差モデルPdとの積に相当する関数である。すなわち放射線画像Gに適切なノイズ標準偏差σは、基礎ノイズ標準偏差σと第3標準偏差補正値fとを用いて、以下の(7)式によって求めることができる。
Figure 2024015834000009
すなわち実施例4では、ステップS7で行うNLMフィルタ処理におけるノイズ標準偏差σとして、基礎ノイズ標準偏差σと第3標準偏差補正値fとを乗算した値を用いる。補正演算部45は、放射線画像Gyに対応する基礎ノイズ標準偏差σyと第3標準偏差補正値fyとの積を、放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σ(ノイズ標準偏差σy)の値として算出する。放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σの情報として算出されたノイズ標準偏差σyの情報は、標準偏差算出部31Aからノイズ低減処理部33へ送信される。
ステップS7(ノイズ低減処理)
被検体Mの放射線画像Gに適応するノイズ標準偏差σの情報がノイズ低減処理部33に送信されると、ノイズ低減処理部33は、標準偏差算出部31Aが算出したノイズ標準偏差σ(ここではノイズ標準偏差σy)の情報と、ユーザが設定した3つのパラメータとを用いて、放射線画像Gyに対してNLMフィルタ処理を行う。ノイズ低減処理部33によってNLMフィルタ処理が行われることにより、放射線画像Gyからノイズ低減画像Hyが生成される。以上の工程により、撮像条件Qyおよび再構成条件Ryによる一連のPET撮影が終了する。以下、異なる撮像条件または再構成条件における診断を要する場合は適宜ステップS3からステップS7の工程を繰り返し、被検体Mに対するPET撮影を完了する。
次に、本発明の実施例5を説明する。実施例5に係るPET装置1の構成は、図8に示す実施例2の構成と基本的に共通する。但し主に以下の点において、実施例5における各構成の動作は実施例2における動作と相違する。
第1に、実施例2では再構成処理における所定のパラメータとして反復数iを用いる一方、実施例5では再構成処理における所定のパラメータとしてボクセルサイズvを用いる。第2に、実施例4に係る補正モデル推定部37は、標準偏差補正値fの算出用モデルとして補正ノイズ偏差モデルPeを推定する。実施例2で用いられる補正ノイズ偏差モデルPbと異なり、実施例5で用いられる補正ノイズ偏差モデルPeはボクセルサイズvと標準偏差補正値fとが対応する関数である。なお実施例5における標準偏差補正値fについては「第4標準偏差補正値f」とする。
第3に、再構成値算出部39は被検体Mの放射線画像Gについてボクセルサイズvを算出する。第4に、標準偏差算出部31Aはカウント数N、基礎ノイズ偏差モデルPa、ボクセルサイズv、および補正ノイズ偏差モデルPeを用いることにより、被検体Mの放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値を算出する。
<実施例5に係る動作の説明>
ここで、実施例5に係るPET装置1の動作を説明する。実施例5の動作は図9に示される実施例2のフローチャートと基本的に共通する。すなわち実施例5では実施例1と異なり、ステップSAおよびステップSBの工程を行う。
ステップS1(モデル推定用画像の取得)
被検体MのPET画像を取得する前段階として、まずはモデル推定用画像群Lを取得する。実施例5ではモデル推定用画像群Lとして、図4に示されるPET画像La~Lfに加えてPET画像L16~L20を用いる。PET画像La~Lfは実施例1と同様に、それぞれ異なる撮像条件の下で生成された複数のPET画像からなる画像群である。
PET画像L16~L20は、補正用ノイズ偏差モデルPeの推定に用いられる放射線画像である。PET画像L16~L20の各々は、各画像に対応するボクセルサイズvとノイズ標準偏差σの値とが予め算出されている。一例として、PET画像L16についてはボクセルサイズvとしてv16が予め算出されており、PET画像L16に対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差の値としてσ16が予め算出されている。同様に、PET画像L17~L20の各々に対して、ボクセルサイズv17~v20と、ノイズ標準偏差σ17~σ20とが予め算出されている。
PET画像L16~L20はPET画像La~Lfと異なり、同一の撮像条件Qvにおいて生成される。但しPET画像L16~L20は、再構成処理におけるボクセルサイズのパラメータ値が異なる。すなわち、PET画像L16~L20を再構成する処理において用いられたボクセルサイズv16~v20のパラ-メタ値は、それぞれ異なる値である。
また、予め定められた定数として、基準ボクセルサイズvbaseを定めるとともに基準標準偏差σsを定める。基準標準偏差σsは、撮像条件Qvおよび基準ボクセルサイズvbaseにおいて生成されたPET画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値である。一例として、PET画像L18におけるボクセルサイズv18を基準ボクセルサイズvbaseと定め、PET画像L18におけるノイズ標準偏差σ18を基準標準偏差σsとしてよい。
ステップS2(基礎ノイズ偏差モデルの取得)
モデル推定用画像群Lのデータを取得した後、基礎モデル推定部35は実施例2と同様に基礎ノイズ偏差モデルPaを取得する。すなわち基礎モデル推定部35は図5に示すような散布図Vを作成する。そして基礎モデル推定部35は散布図Vを用いて基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する。すなわち上述の(1)式を満たす関数について、座標Wa~Wfの各々に適合するような第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aの値を推定することにより、カウント数Nを変数とする関数Epが基礎ノイズ偏差モデルPaとして特定される。基礎ノイズ偏差モデルPaは記憶部23に送信されて記憶される。
ステップSA(補正ノイズ偏差モデルの取得)
実施例5では基礎ノイズ偏差モデルPaを取得した後、さらに補正モデル推定部37によって補正ノイズ偏差モデルPeが取得される。実施例5において補正ノイズ偏差モデルPeを取得する手法について、以下に説明する。
補正モデル推定部37は、まず記憶部23からボクセルサイズv16~v20のデータとノイズ標準偏差σ16~σ20のデータとを読み出す。次に補正モデル推定部37はボクセルサイズv16~v20および基準ボクセルサイズvbaseを用いて、モデル推定用画像であるPET画像L16~L20の各々についてのボクセルサイズ比を算出する。ボクセルサイズ比は「v/vbase」の値として算出される。一例としてPET画像L16のボクセルサイズ比は「v16/vbase」である。
さらに、補正モデル推定部37はノイズ標準偏差σ16~σ20と基準標準偏差σsとの値を用いて、PET画像L16~L20の各々についての標準偏差比を算出する。標準偏差比は「σ/σs」の値として算出される。ここでσの項には算出対象となるPET画像に対応するノイズ標準偏差の値が代入される。一例としてPET画像L17の標準偏差比は「σ17/σs」である。
次に補正モデル推定部37は、ボクセルサイズ比のデータと標準偏差比のデータとを用いて、散布図VDを作成する。散布図VDは、ボクセルサイズ比である「v/vbase」の値がx軸に対応しているとともに、標準偏差比である「σ/σs」の値がy軸に対応している2次元のプロット図である。散布図VDの構成は図11に示す散布図VAと構成が類似するので、散布図VDの図示は省略する。
散布図VDには、PET画像L16~L20の各々に対応する、ボクセルサイズ比と標準偏差比との座標W16~W20がプロットされている。具体例としてPET画像L16に対応する座標として、座標W16が散布図VDにプロットされる。座標W16は、PET画像L16に対応するボクセルサイズ比である「v16/vbase」をx成分とし、PET画像L16に対応する標準偏差比である「σ16/σs」をy成分とする。同様に、PET画像L17~L20に対応する座標として、座標W17~W20が散布図VDにプロットされる。
座標W16~W20がプロットされた散布図VDが作成されると、補正モデル推定部37は散布図VDを用いて補正ノイズ偏差モデルPeを推定する。実施例5において、補正ノイズ偏差モデルPeはボクセルサイズvと第4標準偏差補正値fとが対応する関数であり、
Figure 2024015834000010

を満たす関数である。上記の(8)式において、eは第1ボクセルサイズモデル係数、eは第2ボクセルサイズモデル係数、eは第3ボクセルサイズモデル係数である。補正モデル推定部37は第1ボクセルサイズモデル係数e、第2ボクセルサイズモデル係数e、および第3ボクセルサイズモデル係数eとして適切な値を推定することにより、補正ノイズ偏差モデルPeを推定する。補正ノイズ偏差モデルPeは、本実施形態における第4補正関数に相当する。
なお第4標準偏差補正値fは、基礎ノイズ標準偏差σを補正する標準偏差補正値fのうちボクセルサイズvを用いて算出される数値である。すなわちPET画像を取得する場合において、撮像条件が同じであっても再構成条件におけるボクセルサイズのパラメータ値が異なると、当該PET画像に適切なノイズ標準偏差の値が変化する。そのため、PET画像の再構成処理におけるボクセルサイズvのパラメータ値が変化すると、当該ボクセルサイズvの変化量に応じて基礎ノイズ標準偏差σを補正する必要がある。
補正ノイズ偏差モデルPeを推定する手法の具体例は次の通りである。まず、座標W16~W20の各々に適合する近似曲線を算出する。当該近似曲線は、ボクセルサイズ比を変数xとする関数として表される。当該関数ではボクセルサイズ比を変数xとして、標準偏差比すなわち第4標準偏差補正値fに相当するyの値が求められる。
補正モデル推定部37は、座標W16~W20の各々に適合する近似曲線を示す関数をもとに、第1ボクセルサイズモデル係数e、第2ボクセルサイズモデル係数e、および第3ボクセルサイズモデル係数eとして適切な値を推定することによって補正ノイズ偏差モデルPeを取得する。
補正ノイズ偏差モデルPeは、それぞれボクセルサイズvの値が異なるPET画像L16~L20を用いて算出された、ボクセルサイズvと第4標準偏差補正値fとの関係を示すモデルである。すなわちそれぞれ異なるボクセルサイズ比と、当該ボクセルサイズ比の各々に対して適切な標準偏差比との関係を用いることにより、ボクセルサイズ比と第4標準偏差補正値fとの関係がモデル化された補正ノイズ偏差モデルPeが算出されている。ボクセルサイズ比である「v/vbase」において、基準ボクセルサイズvbaseは定数である。そのため補正ノイズ偏差モデルPeに任意のボクセルサイズvの値を代入することにより、代入されたボクセルサイズvに応じた第4標準偏差補正値fを迅速かつ精度よく算出できる。補正モデル推定部37が推定した補正ノイズ偏差モデルPeは、記憶部23に記憶される。
ステップS3(被検体の撮影)
基礎ノイズ偏差モデルPaおよび補正ノイズ偏差モデルPeが取得された後、PET装置1を用いて被検体MのPET撮影を行う。実施例3におけるステップS3の工程は実施例1と同様であるので詳細な説明を省略する。なお、1回目のPET撮影における撮像条件をQyとする。データ収集部13が収集した同時計数データは、画像処理装置15が備える再構成処理部27へと送信される。
ステップS4(再構成処理)
データ収集部13によって収集された同時計数データが画像処理装置15Aへ送信されると、ステップS4に係る再構成処理が開始される。実施例5におけるステップS4の工程も実施例1と同様である。すなわち再構成処理部27は同時計数データに対して再構成処理を行うことにより、放射線画像Gを生成する。なお、放射線画像Gyの再構成処理における条件を再構成条件Ryとする。そして再構成条件Ryにおいて用いられるボクセルサイズvの値を、ボクセルサイズvyとする。再構成処理によって生成された被検体Mの放射線画像Gは、再構成処理部27からカウント数算出部29および再構成値算出部39へと送信される。
ステップS5(カウント数の算出)
再構成された放射線画像Gがカウント数算出部29へ送信されると、被検体Mについて得られた放射線画像Gに対してカウント数の算出を行う。実施例3におけるステップS5の工程も実施例1と同様である。すなわちカウント数算出部29は、被検体Mの放射線画像Gにおけるカウント数を算出する。すなわち図13に示すように、放射線画像Gyについてカウント数Nyが算出される。カウント数算出部29が放射線画像Gについて算出したカウント数の情報は、カウント数算出部29から標準偏差算出部31Aへと送信される。
ステップSB(再構成パラメータ値の算出)
カウント数算出部29が放射線画像Gのカウント数を算出する工程と平行して、放射線画像Gにおける再構成パラメータ値を算出する工程を行う。実施例4において、再構成パラメータ値はボクセルサイズvに相当する。すなわち再構成値算出部39は、放射線画像Gの再構成処理において用いられたボクセルサイズvのパラメータ値を算出する。放射線画像Gyの再構成処理にはボクセルサイズvyがパラメータとして用いられているので、再構成値算出部39はボクセルサイズvyのデータを算出して標準偏差算出部31Aへ送信する。
ステップS6(ノイズ標準偏差の算出)
標準偏差算出部31Aは、カウント数算出部29が算出したカウント数の情報などを用いて、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σの値を算出する。まず標準偏差算出部31Aは、記憶部23に記憶されている基礎ノイズ偏差モデルPa、および補正ノイズ偏差モデルPeを読み出す。実施例2と同様に、実施例5に係るステップS6は、大きく分けて3つのステップに分かれる。
実施例5に係るステップS6のうち第1のステップについて説明する。基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaの情報および放射線画像Gのカウント数の情報を受信する。そして基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られたカウント数を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する基礎ノイズ標準偏差σを算出する。具体的には(1)式のうち変数であるカウント数Nの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたカウント数Nyの値を代入することにより、放射線画像Gyの基礎ノイズ標準偏差σの値として、基礎ノイズ標準偏差σyの値を算出する。
実施例5に係るステップS6のうち第2のステップについて説明する。補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPeの情報および放射線画像Gにおけるボクセルサイズvの情報を受信する。そして補正値算出部43は、被検体Mの放射線画像Gについて得られたボクセルサイズvを補正ノイズ偏差モデルPeに代入することにより、当該放射線画像Gに対応する標準偏差補正値fを算出する。実施例5では基礎ノイズ標準偏差σを補正する標準偏差補正値fとして、第4標準偏差補正値fが算出される。
具体的には(8)式で示される補正ノイズ偏差モデルPeの関数のうち、変数であるボクセルサイズvの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたボクセルサイズvyの値を代入する。補正ノイズ偏差モデルPeの関数において、第1ボクセルサイズモデル係数e、第2ボクセルサイズモデル係数e、および第3ボクセルサイズモデル係数eはいずれも補正モデル推定部37によって推定された定数である。そのため、再構成値算出部39によって特定されたボクセルサイズvyの値を、(8)式で示される補正ノイズ偏差モデルPeに代入することにより、基礎ノイズ標準偏差σyに対応する第4標準偏差補正値fとして適切な値が特定される。放射線画像Gyに用いられる第4標準偏差補正値fについては「第4標準偏差補正値fy」とする。
実施例5に係るステップS6のうち第3のステップについて説明する。補正演算部45は、第4標準偏差補正値fを用いて基礎ノイズ標準偏差σを補正することにより、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σを算出する。実施例5において、ノイズ偏差モデルPは(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPaと(6)式で示される補正ノイズ偏差モデルPeとの積に相当する関数である。すなわち放射線画像Gに適切なノイズ標準偏差σは、基礎ノイズ標準偏差σと第4標準偏差補正値fとを用いて、以下の(9)式によって求めることができる。
Figure 2024015834000011
すなわち実施例5では、ステップS7で行うNLMフィルタ処理におけるノイズ標準偏差σとして、基礎ノイズ標準偏差σと第4標準偏差補正値fとを乗算した値を用いる。補正演算部45は、放射線画像Gyに対応する基礎ノイズ標準偏差σyと第4標準偏差補正値fyとの積を、放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σ(ノイズ標準偏差σy)の値として算出する。放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σの情報として算出されたノイズ標準偏差σyの情報は、標準偏差算出部31Aからノイズ低減処理部33へ送信される。
ステップS7(ノイズ低減処理)
被検体Mの放射線画像Gに適応するノイズ標準偏差σの情報がノイズ低減処理部33に送信されると、ノイズ低減処理部33は、標準偏差算出部31Aが算出したノイズ標準偏差σ(ここではノイズ標準偏差σy)の情報と、ユーザが設定した3つのパラメータとを用いて、放射線画像Gyに対してNLMフィルタ処理を行う。ノイズ低減処理部33によってNLMフィルタ処理が行われることにより、放射線画像Gyからノイズ低減画像Hyが生成される。以上の工程により、撮像条件Qyおよび再構成条件Ryによる一連のPET撮影が終了する。以下、異なる撮像条件または再構成条件における診断を要する場合は適宜ステップS3からステップS7の工程を繰り返し、被検体Mに対するPET撮影を完了する。
次に、本発明の実施例6を説明する。実施例6は基本的に、実施例2ないし実施例5の各々を組み合わせた特徴を有する。実施例6に係るPET装置1の構成は、図8に示す実施例2の構成と基本的に共通する。但し主に以下の点において、実施例6における各構成の動作は実施例2における動作と相違する。
第1に、実施例2では再構成処理における所定のパラメータとして反復数iのみを用いる一方、実施例6では再構成処理における所定のパラメータとして反復数i、サブセット数s、緩和パラメータr、およびボクセルサイズvを用いる。
第2に、補正モデル推定部37が推定するモデルが異なる。実施例2に係る補正モデル推定部37は、標準偏差補正値fの算出用モデルとして、補正ノイズ偏差モデルPbのみを推定する。一方、実施例6に係る補正モデル推定部37は、標準偏差補正値fの算出用モデルとして、補正ノイズ偏差モデルPb~Peをそれぞれ推定する。すなわち実施例6に係る補正モデル推定部37は、実施例2ないし実施例5の各々を組み合わせた動作を行う。
第3に、再構成値算出部39が算出するパラメータが異なる。実施例2に係る再構成値算出部39は、被検体Mの放射線画像Gについて反復数iのみを算出する。一方、実施例6に係る再構成値算出部39は、被検体Mの放射線画像Gについて反復数i、サブセット数s、緩和パラメータr、およびボクセルサイズvを算出する。
第4に、標準偏差算出部31Aがノイズ標準偏差σを算出するために用いる情報の内容が異なる。実施例6に係る標準偏差算出部31Aは、カウント数N、反復数i、サブセット数s、緩和パラメータr、ボクセルサイズv、基礎ノイズ偏差モデルPa、および補正ノイズ偏差モデルPb~Peを用いることにより、被検体Mの放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値を算出する。
<実施例6に係る動作の説明>
ここで、実施例6に係るPET装置1の動作を説明する。実施例6の動作は図9に示される実施例2のフローチャートと基本的に共通する。すなわち実施例6では実施例1と異なり、ステップSAおよびステップSBの工程を行う。なお、図14は実施例6におけるステップSAの詳細をさらに説明するフローチャートである。そして図15は、実施例6におけるステップS6の詳細をさらに説明するフローチャートである。
ステップS1(モデル推定用画像の取得)
被検体MのPET画像を取得する前段階として、まずはモデル推定用画像群Lを取得する。図16に示されるように、実施例6ではモデル推定用画像群Lとして、PET画像La~Lf、PET画像L1~L5、PET画像L6~L10、PET画像L11~L15、PET画像L16~L20を用いる。
PET画像La~Lfは、基礎ノイズ偏差モデルPaの推定に用いられるモデル推定用画像である。実施例6で用いられるPET画像La~Lfは、実施例1ないし実施例5で用いられるPET画像La~Lfと特徴が共通するので、詳細な説明を省略する。すなわちPET画像La~Lfの各々は撮像条件が異なっており、各画像についてカウント数Na~Nfおよびノイズ標準偏差σa~σfが予め算出されている(図16における符号J1を参照)。
PET画像L1~L5の各々は、補正ノイズ偏差モデルPbの推定に用いられるモデル推定用画像である。実施例6で用いられるPET画像L1~L5は、実施例2で用いられるPET画像L1~L5と特徴が共通するので詳細な説明を省略する。すなわちPET画像L1~L5の各々はそれぞれ再構成処理における反復数のパラメータが異なっており、各画像について反復数i1~i5およびノイズ標準偏差σ1~σ5が予め算出されている(図16における符号J2を参照)。
PET画像L6~L10の各々は、補正ノイズ偏差モデルPcの推定に用いられるモデル推定用画像である。実施例6で用いられるPET画像L6~L10は、実施例3で用いられるPET画像L6~L10と特徴が共通するので詳細な説明を省略する。すなわちPET画像L6~L10の各々はそれぞれ再構成処理におけるサブセット数のパラメータが異なっており、各画像についてサブセット数s6~s10およびノイズ標準偏差σ6~σ10が予め算出されている(図16における符号J3を参照)。
PET画像L11~L15の各々は、補正ノイズ偏差モデルPdの推定に用いられるモデル推定用画像である。実施例6で用いられるPET画像L11~L15は、実施例4で用いられるPET画像L11~L15と特徴が共通するので詳細な説明を省略する。すなわちPET画像L11~L15の各々はそれぞれ再構成処理における緩和パラメータが異なっており、各画像について緩和パラメータr11~r15およびノイズ標準偏差σ11~σ15が予め算出されている(図16における符号J4を参照)。
PET画像L16~L20の各々は、補正ノイズ偏差モデルPeの推定に用いられるモデル推定用画像である。実施例6で用いられるPET画像L16~L20は、実施例5で用いられるPET画像L16~L20と特徴が共通するので詳細な説明を省略する。すなわちPET画像L16~L20の各々はそれぞれ再構成処理におけるボクセルサイズのパラメータ値が異なっており、各画像についてボクセルサイズv16~v20およびノイズ標準偏差σ16~σ20が予め算出されている(図16における符号J5を参照)。モデル推定用画像群Lの画像データはPET装置1または別の装置などを用いて予め取得され、記憶部23に記憶されている。
ステップS2(基礎ノイズ偏差モデルの取得)
モデル推定用画像群Lのデータを取得した後、基礎モデル推定部35は実施例2と同様に基礎ノイズ偏差モデルPaを取得する。すなわち基礎モデル推定部35は図5に示すような散布図Vを作成する。そして基礎モデル推定部35は図16に示すように、散布図Vを用いて基礎ノイズ偏差モデルPaを推定する。すなわち上述の(1)式を満たす関数について、座標Wa~Wfの各々に適合するような第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aの値を推定することにより、カウント数Nを変数とする関数Epが基礎ノイズ偏差モデルPaとして特定される。基礎ノイズ偏差モデルPaは記憶部23に送信されて記憶される。
ステップSA(補正ノイズ偏差モデルの取得)
実施例6では基礎ノイズ偏差モデルPaを取得した後、さらに補正モデル推定部37によって補正ノイズ偏差モデルPb~Peが取得される。実施例6におけるステップSAについては図14に示すフローチャートを用いて、ステップSA1~SA8に分けて詳細に説明する。
ステップSA1(散布図VAの作成)
ステップSAが開始されると、補正モデル推定部37は補正ノイズ偏差モデルPbの推定に用いる散布図VAを作成する。散布図VAを作成する工程は実施例2と同様である。すなわち補正モデル推定部37は、記憶部23から反復数i1~i5のデータとノイズ標準偏差σ1~σ5のデータとを読み出す。次に補正モデル推定部37は反復数i1~i5のデータおよび基準反復数ibaseを用いて、PET画像L1~L5の各々についての反復数比「log(i/ibase)」を算出する。また、補正モデル推定部37はノイズ標準偏差σ1~σ5と基準標準偏差σsとの値を用いて、PET画像L1~L5の各々についての標準偏差比「σ/σs」を算出する。
次に補正モデル推定部37は、反復数比のデータと標準偏差比のデータとを用いて、散布図VAを作成する。散布図VAは実施例2において既に説明した特徴を有している。すなわち散布図VAは図11に示すように、反復数比である「log(i/ibase)」の値がx軸に対応しているとともに、標準偏差比である「σ/σs」の値がy軸に対応している2次元のプロット図である。散布図VAには、PET画像L1~L5の各々に対応する座標W1~W5がプロットされている。座標W1~W5は、反復数比をx成分とし、標準偏差比をy成分とする座標である。一例としてPET画像L1に対応する座標W1は、反復数比「log(i1/ibase)」をx成分としており標準偏差比「σ1/σs」をy成分としている。
ステップSA2(反復数モデル係数の推定)
座標W1~W5がプロットされた散布図VAが作成されると、補正モデル推定部37は散布図VAを用いて反復数モデル係数を推定する。言い換えると、補正モデル推定部37は図16に示すように、散布図VAを用いて補正ノイズ偏差モデルPbを推定する。なお実施例6において、補正ノイズ偏差モデルPbは実施例2と同様に、反復数iと第1標準偏差補正値fとが対応する関数であり、上述している(2)式で表される。言い換えると補正ノイズ偏差モデルPbは、反復数iの値を特定することによって第1標準偏差補正値fを算出できる関数である。
補正モデル推定部37は、座標W1~W5の各々に適合する近似曲線を示す関数を算出し、当該関数に基づいて第1反復数モデル係数bおよび第2反復数モデル係数bとして適切な値を推定する。第1反復数モデル係数bおよび第2反復数モデル係数bを推定することによって、補正ノイズ偏差モデルPbの具体的構成が推定される。このように、補正モデル推定部37は上述の(2)式を満たす関数について、座標W1~W5の各々に適合するような第1反復数モデル係数b、および第2反復数モデル係数bの値を推定し、補正ノイズ偏差モデルPbを取得する。推定された補正ノイズ偏差モデルPbは、記憶部23に送信されて記憶される。なおステップSA1およびステップSA2の工程は、実施例2におけるステップSAの工程と共通する。
ステップSA3(散布図VBの作成)
補正モデル推定部37はさらに、補正ノイズ偏差モデルPcの推定に用いる散布図VBを作成する。散布図VBを作成する工程は実施例3と同様である。すなわち補正モデル推定部37は、記憶部23からサブセット数s6~s10のデータとノイズ標準偏差σ6~σ10のデータとを読み出す。次に補正モデル推定部37はサブセット数s6~s10のデータおよび基準サブセット数sbaseを用いて、PET画像L6~L10の各々についてのサブセット数比「log(s/sbase)」を算出する。また、補正モデル推定部37はノイズ標準偏差σ6~σ10と基準標準偏差σsとの値を用いて、PET画像L6~L10の各々についての標準偏差比「σ/σs」を算出する。
次に補正モデル推定部37は、サブセット数比のデータと標準偏差比のデータとを用いて、散布図VBを作成する。散布図VBは実施例3において既に説明した特徴を有している。すなわち散布図VBは、サブセット数比である「log(s/sbase)」の値がx軸に対応しているとともに、標準偏差比である「σ/σs」の値がy軸に対応している2次元のプロット図である。散布図VBは、PET画像L6~L10の各々に対応する座標W6~W10がプロットされている。座標W6~W10は、サブセット数比をx成分とし、標準偏差比をy成分とする座標である。一例としてPET画像L6に対応する座標W6は、サブセット数比「log(s6/sbase)」をx成分としており標準偏差比「σ6/σs」をy成分としている。
ステップSA4(サブセットモデル係数の推定)
座標W6~W10がプロットされた散布図VBが作成されると、補正モデル推定部37は散布図VAを用いてサブセットモデル係数を推定する。言い換えると、補正モデル推定部37は図16に示すように、散布図VBを用いて補正ノイズ偏差モデルPcを推定する。なお実施例6において、補正ノイズ偏差モデルPcは実施例3と同様に、サブセット数sと第2標準偏差補正値fとが対応する関数であり、上述している(4)式で表される。言い換えると補正ノイズ偏差モデルPcは、サブセット数sの値を特定することによって第2標準偏差補正値fを算出できる関数である。
補正モデル推定部37は、座標W6~W10の各々に適合する近似曲線を示す関数を算出し、当該関数に基づいて第1サブセットモデル係数cおよび第2サブセットモデル係数cとして適切な値を推定する。第1サブセットモデル係数cおよび第2サブセットモデル係数cを推定することによって、補正ノイズ偏差モデルPcの具体的構成が推定される。このように、補正モデル推定部37は上述の(4)式を満たす関数について、座標W6~W10の各々に適合するような第1サブセットモデル係数cおよび第2サブセットモデル係数cを推定し、補正ノイズ偏差モデルPcを取得する。推定された補正ノイズ偏差モデルPcは、記憶部23に送信されて記憶される。なおステップSA3およびステップSA4の工程は、実施例3におけるステップSAの工程と共通する。
ステップSA5(散布図VCの作成)
補正モデル推定部37はさらに、補正ノイズ偏差モデルPdの推定に用いる散布図VCを作成する。散布図VCを作成する工程は実施例4と同様である。すなわち補正モデル推定部37は、記憶部23から緩和パラメータr11~r15のデータとノイズ標準偏差σ11~σ15のデータとを読み出す。次に補正モデル推定部37は緩和パラメータr11~r16のデータおよび基準緩和パラメータrbaseを用いて、PET画像L11~L15の各々についての緩和パラメータ比「log(r/rbase)」を算出する。また、補正モデル推定部37はノイズ標準偏差σ11~σ15と基準標準偏差σsとの値を用いて、PET画像L11~L15の各々についての標準偏差比「σ/σs」を算出する。
次に補正モデル推定部37は、緩和パラメータ比のデータと標準偏差比のデータとを用いて、散布図VCを作成する。散布図VCは実施例4において既に説明した特徴を有している。すなわち散布図VCは、緩和パラメータ比である「log(r/rbase)」の値がx軸に対応しているとともに、標準偏差比である「σ/σs」の値がy軸に対応している2次元のプロット図である。散布図VCは、PET画像L11~L16の各々に対応する座標W11~W15がプロットされている。座標W11~W15は、緩和パラメータ比をx成分とし、標準偏差比をy成分とする座標である。一例としてPET画像L11に対応する座標W11は、緩和パラメータ比「log(r11/rbase)」をx成分としており標準偏差比「σ11/σs」をy成分としている。
ステップSA6(緩和パラメータモデル係数の推定)
座標W11~W15がプロットされた散布図VCが作成されると、補正モデル推定部37は散布図VCを用いて緩和パラメータモデル係数を推定する。言い換えると、補正モデル推定部37は図16に示すように、散布図VCを用いて補正ノイズ偏差モデルPdを推定する。なお実施例6において、補正ノイズ偏差モデルPdは実施例4と同様に、緩和パラメータrと第3標準偏差補正値fとが対応する関数であり、上述している(6)式で表される。言い換えると補正ノイズ偏差モデルPdは、緩和パラメータrの値を特定することによって第3標準偏差補正値fを算出できる関数である。
補正モデル推定部37は、座標W11~W15の各々に適合する近似曲線を示す関数を算出し、当該関数に基づいて第1緩和パラメータモデル係数dおよび第2緩和パラメータモデル係数dとして適切な値を推定する。第1緩和パラメータモデル係数d、および第2緩和パラメータモデル係数dを推定することによって、補正ノイズ偏差モデルPdの具体的構成が推定される。
このように、補正モデル推定部37は上述の(6)式を満たす関数について、座標W11~W15の各々に適合するような第1緩和パラメータモデル係数dおよび第2緩和パラメータモデル係数dを推定し、補正ノイズ偏差モデルPdを取得する。推定された補正ノイズ偏差モデルPdは、記憶部23に送信されて記憶される。なおステップSA5およびステップSA6の工程は、実施例4におけるステップSAの工程と共通する。
ステップSA7(散布図VDの作成)
補正モデル推定部37はさらに、補正ノイズ偏差モデルPeの推定に用いる散布図VDを作成する。散布図VDを作成する工程は実施例5と同様である。すなわち補正モデル推定部37は、記憶部23からボクセルサイズv16~v20のデータとノイズ標準偏差σ16~σ20のデータとを読み出す。次に補正モデル推定部37はボクセルサイズv16~v20のデータおよび基準ボクセルサイズvbaseを用いて、PET画像L16~L20の各々についてのボクセルサイズ比「v/vbase」を算出する。また、補正モデル推定部37はノイズ標準偏差σ16~σ20と基準標準偏差σsとの値を用いて、PET画像L11~L15の各々についての標準偏差比「σ/σs」を算出する。
次に補正モデル推定部37は、ボクセルサイズ比のデータと標準偏差比のデータとを用いて、散布図VDを作成する。散布図VDは実施例5において既に説明した特徴を有している。すなわち散布図VDは、ボクセルサイズ比である「v/vbase」の値がx軸に対応しているとともに、標準偏差比である「σ/σs」の値がy軸に対応している2次元のプロット図である。散布図VDは、PET画像L16~L20の各々に対応する座標W16~W20がプロットされている。座標W16~W20は、ボクセルサイズ比をx成分とし、標準偏差比をy成分とする座標である。一例としてPET画像L16に対応する座標W16は、緩和パラメータ比「v16/vbase」をx成分としており標準偏差比「σ16/σs」をy成分としている。
ステップSA8(ボクセルサイズモデル係数の推定)
座標W16~W20がプロットされた散布図VDが作成されると、補正モデル推定部37は散布図VDを用いてボクセルサイズモデル係数を推定する。言い換えると、補正モデル推定部37は図16に示すように、散布図VDを用いて補正ノイズ偏差モデルPeを推定する。なお実施例6において、補正ノイズ偏差モデルPeは実施例5と同様に、ボクセルサイズvと第4標準偏差補正値fとが対応する関数であり、上述している(8)式で表される。言い換えると補正ノイズ偏差モデルPeは、ボクセルサイズvの値を特定することによって第4標準偏差補正値fを算出できる関数である。
補正モデル推定部37は、座標W16~W20の各々に適合する近似曲線を示す関数を算出し、当該関数に基づいて第1ボクセルサイズモデル係数e、第2ボクセルサイズモデル係数e、および第3ボクセルサイズモデル係数eとして適切な値を推定する。第1ボクセルサイズモデル係数e、第2ボクセルサイズモデル係数e、および第3ボクセルサイズモデル係数eを推定することによって、補正ノイズ偏差モデルPeの具体的構成が推定される。
このように、補正モデル推定部37は上述の(8)式を満たす関数について、座標W16~W20の各々に適合するような第1ボクセルサイズモデル係数e、第2ボクセルサイズモデル係数e、および第3ボクセルサイズモデル係数eを推定し、補正ノイズ偏差モデルPeを取得する。推定された補正ノイズ偏差モデルPeは、記憶部23に送信されて記憶される。なおステップSA7およびステップSA8の工程は、実施例5におけるステップSAの工程と共通する。
補正ノイズ偏差モデルPb~Peの各々が取得されることにより、実施例6に係るステップSAは完了する。なお実施例6に係るステップSAにおいて、ステップSA1およびステップSA2の工程、ステップSA3およびステップSA4の工程、ステップSA5およびステップSA6の工程、およびステップSA7およびステップSA8の工程の各々を実行する順番はこれに限ることはなく、適宜変更してよい。
ステップS3(被検体の撮影)
基礎ノイズ偏差モデルPaおよび補正ノイズ偏差モデルPb~Peが取得された後、PET装置1を用いて被検体MのPET撮影を行う。実施例6におけるステップS3の工程は実施例1~5と同様であるので詳細な説明を省略する。なお、1回目のPET撮影における撮像条件をQyとする。データ収集部13が収集した同時計数データは、画像処理装置15Aが備える再構成処理部27へと送信される。
ステップS4(再構成処理)
データ収集部13が収集した同時計数データが画像処理装置15Aへ送信されると、ステップS4に係る再構成処理が開始される。実施例6におけるステップS4の工程も実施例1~5と同様である。すなわち再構成処理部27は同時計数データに対して再構成処理を行うことにより、放射線画像Gを生成する。
なお、放射線画像Gyの再構成処理における条件を再構成条件Ryとする。ここで、再構成条件Ryにおいて用いられる反復数iの値を、反復数iyとする。再構成条件Ryにおいて用いられるサブセット数sの値を、サブセット数syとする。再構成条件Ryにおいて用いられる緩和パラメータrの値を、緩和パラメータryとする。再構成条件Ryにおいて用いられるボクセルサイズvの値を、ボクセルサイズvyとする。再構成処理によって生成された被検体Mの放射線画像Gは、再構成処理部27からカウント数算出部29および再構成値算出部39へと送信される。
ステップS5(カウント数の算出)
再構成された放射線画像Gがカウント数算出部29へ送信されると、被検体Mについて得られた放射線画像Gに対してカウント数の算出を行う。実施例6におけるステップS5の工程も実施例1~5と同様である。すなわちカウント数算出部29は、被検体Mの放射線画像Gにおけるカウント数を算出する。すなわち図17に示すように、放射線画像Gyについてカウント数Nyが算出される。カウント数算出部29が放射線画像Gについて算出したカウント数の情報は、カウント数算出部29から標準偏差算出部31Aへと送信される。
ステップSB(再構成パラメータ値の算出)
カウント数算出部29が放射線画像Gのカウント数を算出する工程と平行して、放射線画像Gにおける再構成パラメータ値を算出する工程を行う。実施例6において、再構成パラメータ値は反復数i、サブセット数s、緩和パラメータr、およびボクセルサイズvの4つのパラメータに相当する。
すなわち再構成値算出部39は、放射線画像Gの再構成処理において用いられた反復数i、サブセット数s、緩和パラメータr、およびボクセルサイズvのパラメータ値を算出する。放射線画像Gyの再構成処理には反復数iy、サブセット数sy、緩和パラメータry、およびボクセルサイズvyがパラメータとして用いられている。そのため再構成値算出部39は図17に示すように、反復数iy、サブセット数sy、緩和パラメータry、およびボクセルサイズvyのデータを算出して標準偏差算出部31Aへ送信する。
ステップS6(ノイズ標準偏差の算出)
ステップS6が開始されると、標準偏差算出部31Aは、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σの値を算出する。実施例6におけるステップS6については図15に示すフローチャートを用いて、ステップS6A~S6Fに分けて詳細に説明する。
ステップS6A(基礎ノイズ標準偏差σの算出)
第1に、標準偏差算出部31Aのうち基礎偏差算出部41において、基礎ノイズ標準偏差σを算出する演算が行われる。すなわち基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaの情報および放射線画像Gのカウント数の情報を受信する。そして基礎偏差算出部41は、基礎ノイズ偏差モデルPaに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られたカウント数を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する基礎ノイズ標準偏差σを算出する。具体的には図17に示すように、(1)式のうち変数であるカウント数Nの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたカウント数Nyの値を代入することにより、放射線画像Gyの基礎ノイズ標準偏差σの値として、基礎ノイズ標準偏差σyの値を算出する。基礎ノイズ標準偏差σyのデータは、補正演算部45へ送信される。
ステップS6B(第1標準偏差補正値fの算出)
第2に、標準偏差算出部31Aのうち補正値算出部43において、第1標準偏差補正値fを算出する演算が行われる。すなわち補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPbの情報および放射線画像Gの反復数iの情報を受信する。そして補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPbに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られた反復数iの値を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する第1標準偏差補正値fを算出する。
具体的には図17に示すように、(2)式で示される補正ノイズ偏差モデルPbの関数のうち、変数である反復数iの項に対して、放射線画像Gyについて算出された反復数iyの値を代入する。補正ノイズ偏差モデルPbの関数において、第1反復数モデル係数bおよび第2反復数モデル係数bは、いずれも補正モデル推定部37によって推定された定数である。そのため、再構成値算出部39によって特定された反復数iyの値を(2)式で示される補正ノイズ偏差モデルPbに代入することにより、基礎ノイズ標準偏差σyに対応する第1標準偏差補正値fとして適切な値が特定される。放射線画像Gyに用いられる第1標準偏差補正値fについては「第1標準偏差補正値fy」とする。第1標準偏差補正値fyのデータは、補正演算部45へ送信される。
ステップS6C(第2標準偏差補正値fの算出)
第3に、補正値算出部43において第2標準偏差補正値fを算出する演算が行われる。すなわち補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPcの情報および放射線画像Gのサブセット数sの情報を受信する。そして補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPcに対して被検体Mの放射線画像Gについて得られたサブセット数sの値を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する第2標準偏差補正値fを算出する。
具体的には図17に示すように、(4)式で示される補正ノイズ偏差モデルPcの関数のうち、変数であるサブセット数sの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたサブセット数syの値を代入する。補正ノイズ偏差モデルPcの関数において、第1サブセットモデル係数cおよび第2サブセットモデル係数cは、いずれも補正モデル推定部37によって推定された定数である。そのため、再構成値算出部39によって特定されたサブセット数syの値を、(4)式で示される補正ノイズ偏差モデルPcに代入することにより、基礎ノイズ標準偏差σyに対応する第2標準偏差補正値fとして適切な値が特定される。放射線画像Gyに用いられる第2標準偏差補正値fについては「第2標準偏差補正値fy」とする。第2標準偏差補正値fyのデータは、補正演算部45へ送信される。
ステップS6D(第3標準偏差補正値fの算出)
第4に、補正値算出部43において第3標準偏差補正値fを算出する演算が行われる。すなわち補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPdの情報および放射線画像Gの緩和パラメータrの情報を受信する。そして補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPdに対して、被検体Mの放射線画像Gについて得られた緩和パラメータrの値を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する第3標準偏差補正値fを算出する。
具体的には図17に示すように、(6)式で示される補正ノイズ偏差モデルPdの関数のうち、変数である緩和パラメータrの項に対して、放射線画像Gyについて算出された緩和パラメータryの値を代入する。補正ノイズ偏差モデルPdの関数において、第1緩和パラメータモデル係数dおよび第2緩和パラメータモデル係数dは、いずれも補正モデル推定部37によって推定された定数である。そのため、再構成値算出部39によって特定された緩和パラメータryの値を、(6)式で示される補正ノイズ偏差モデルPdに代入することにより、基礎ノイズ標準偏差σyに対応する第3標準偏差補正値fとして適切な値が特定される。放射線画像Gyに用いられる第3標準偏差補正値fについては「第3標準偏差補正値fy」とする。第3標準偏差補正値fyのデータは、補正演算部45へ送信される。
ステップS6E(第4標準偏差補正値fの算出)
第5に、補正値算出部43において第4標準偏差補正値fを算出する演算が行われる。すなわち補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPeの情報および放射線画像Gのボクセルサイズvの情報を受信する。そして補正値算出部43は、補正ノイズ偏差モデルPeに対して、被検体Mの放射線画像Gについて得られたボクセルサイズvの値を代入することにより、当該放射線画像Gに対応する第4標準偏差補正値fを算出する。
具体的には図17に示すように、(8)式で示される補正ノイズ偏差モデルPeの関数のうち、変数であるボクセルサイズvの項に対して、放射線画像Gyについて算出されたボクセルサイズvyの値を代入する。補正ノイズ偏差モデルPeの関数において、第1ボクセルサイズモデル係数e、第2ボクセルサイズモデル係数e、および第3ボクセルサイズモデル係数eは、いずれも補正モデル推定部37によって推定された定数である。そのため、再構成値算出部39によって特定されたボクセルサイズvyの値を、(8)式で示される補正ノイズ偏差モデルPeに代入することにより、基礎ノイズ標準偏差σyに対応する第4標準偏差補正値fとして適切な値が特定される。放射線画像Gyに用いられる第4標準偏差補正値fについては「第4標準偏差補正値fy」とする。第4標準偏差補正値fyのデータは、補正演算部45へ送信される。
ステップS6F(ノイズ標準偏差σの算出)
第6に、標準偏差算出部31Aのうち補正演算部45において、ノイズ標準偏差σが算出される。すなわち補正演算部45は、第1標準偏差補正値f、第2標準偏差補正値f、第3標準偏差補正値f、および第4標準偏差補正値fを用いて基礎ノイズ標準偏差σを補正することにより、放射線画像Gに対するNLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差σを算出する。
実施例6において、ノイズ偏差モデルPは、(1)式で示される基礎ノイズ偏差モデルPa、(2)式で示される補正ノイズ偏差モデルPb、(4)式で示される補正ノイズ偏差モデルPc、(6)式で示される補正ノイズ偏差モデルPd、および(8)式で示される補正ノイズ偏差モデルPeとの積に相当する関数である。すなわち放射線画像Gに適切なノイズ標準偏差σは、基礎ノイズ標準偏差σ、第1標準偏差補正値f、第2標準偏差補正値f、第3標準偏差補正値f、および第4標準偏差補正値fを用いて、以下の(10)式によって求めることができる。
Figure 2024015834000012
すなわち実施例6では基礎ノイズ標準偏差σ、第1標準偏差補正値f、第2標準偏差補正値f、第3標準偏差補正値f、および第4標準偏差補正値fを乗算した値を、ステップS7で行うNLMフィルタ処理におけるノイズ標準偏差σとして用いる。補正演算部45は、基礎ノイズ標準偏差σy、第1標準偏差補正値fy、第2標準偏差補正値fy、第3標準偏差補正値fy、および第4標準偏差補正値fyの積を、放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σ(ノイズ標準偏差σy)の値として算出する。
放射線画像Gyに適応するノイズ標準偏差σの情報として算出されたノイズ標準偏差σyの情報は、標準偏差算出部31Aからノイズ低減処理部33へ送信される。ノイズ標準偏差σが算出されることによりステップS6の工程は完了する。なおステップS6A~S6Eを行う順番は適宜変更してよい。
ステップS7(ノイズ低減処理)
被検体Mの放射線画像Gに適応するノイズ標準偏差σの情報がノイズ低減処理部33に送信されると、ノイズ低減処理部33は、標準偏差算出部31Aが算出したノイズ標準偏差σ(ここではノイズ標準偏差σy)の情報と、ユーザが設定した3つのパラメータとを用いて、放射線画像Gyに対してNLMフィルタ処理を行う。図17に示されるように、ノイズ低減処理部33によってNLMフィルタ処理が行われることにより、放射線画像Gyからノイズ低減画像Hyが生成される。以上の工程により、撮像条件Qyおよび再構成条件Ryによる一連のPET撮影が終了する。以下、異なる撮像条件または再構成条件における診断を要する場合は適宜ステップS3からステップS7の工程を繰り返し、被検体Mに対するPET撮影を完了する。
<実施形態の構成による効果>
(第1項)本実施形態に係る画像処理方法は、被写体の放射線データに対して再構成処理を行って前記被写体の放射線画像を再構成する再構成過程と、前記被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出するカウント数算出過程と、予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する標準偏差算出過程と、前記被写体の放射線画像に対して、前記標準偏差算出過程で算出されたノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行うノイズ低減処理過程と、を備える。
第1項に記載の画像処理方法によれば、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数である基礎ノイズ偏差関数を予め取得しておく。基礎ノイズ偏差関数は、予め取得された関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められる。そして再構成過程において被写体の放射線画像を再構成した後、カウント数算出過程において、被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出する。
標準偏差算出過程では、当該被写体領域のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することにより、被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差が算出される。基礎ノイズ偏差関数は、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数であるので、被写体領域のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することによって、被写体の放射線画像に適切なノイズ標準偏差の値を迅速に算出できる。予め取得されている基礎ノイズ偏差関数にカウント数を代入するという単純な操作によってノイズ標準偏差の値を特定できるので、ノイズ標準偏差の特定に要する時間を大きく短縮できるとともにユーザの負担を軽減できる。
ノイズ低減処理過程では、標準偏差算出過程で算出されたノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行う。標準偏差算出過程では、NLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差のパラメータが求められるので、ノイズ低減処理過程におけるNLMフィルタ処理の精度を向上させることができる。
また従来のNLMフィルタ処理では、放射線画像のカウント数に応じて適切なノイズ標準偏差のパラメータが異なる。そして放射線画像の撮像条件が異なると、放射線画像のカウント数も異なる。そのため従来では撮像条件を変更して放射線画像を生成する度に、変更された撮像条件に応じて、試行錯誤しつつノイズ標準偏差のパラメータを特定する必要があった。
一方、本実施形態に係る画像処理方法では、放射線画像のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することでノイズ標準偏差を算出する。基礎ノイズ偏差関数は、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数であるので、カウント数が変更された場合であっても変更後のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することで、当該変更後のカウント数に応じたノイズ標準偏差の値が迅速に算出される。従って、撮像条件を頻繁に変更して多数の放射線画像を撮影する場合であっても、撮影条件を変更するたびに試行錯誤しつつノイズ標準偏差のパラメータを特定するという操作が不要となる。その結果、撮像条件を頻繁に変更しつつNLMフィルタ処理によるノイズ低減処理を行う場合、さらにノイズ低減処理に要する時間の短縮化が可能となり、さらにユーザの負担を低減することができる。
(第2項)また第1項に記載の画像処理方法において、前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000013

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、σ=σの条件を満たす。
第2項に記載の画像処理方法によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。
基礎ノイズ標準偏差σおよびノイズ標準偏差σは、σ=σの条件を満たす。また、第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aの各々は定数として求められているので、カウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで基礎ノイズ標準偏差が決定される。そして基礎ノイズ標準偏差とノイズ標準偏差とは等しいので、基礎ノイズ標準偏差が決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第3項)また第1項に記載の画像処理方法において、前記標準偏差算出過程は、カウント数の値と基礎ノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差を算出する基礎ノイズ標準偏差算出過程と、再構成処理のパラメータ値と標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている標準偏差補正関数に前記再構成過程における前記再構成処理のパラメータ値を代入することにより前記被写体の放射線画像における標準偏差補正値を算出する補正値算出過程と、
前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記補正値算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する補正演算過程と、
を備える
第3項に記載の画像処理方法によれば、基礎ノイズ標準偏差を補正した値をノイズ標準偏差として算出する。すなわち基礎ノイズ偏差関数に加えて、標準偏差補正関数を予め取得しておく。標準偏差補正関数は、再構成処理のパラメータ値と標準偏差補正値とが対応する関数である。
補正値算出過程では、被写体の放射線画像に行う再構成処理のパラメータ値を標準偏差補正関数に代入することによって、被写体の放射線画像における標準偏差補正値が算出される。補正演算過程では、基礎ノイズ標準偏差を標準偏差補正値で補正することにより、被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差が算出される。
このような構成では、撮像条件によって変化するカウント数のみならず、再構成処理条件によって変化する再構成処理のパラメータ値を、ノイズ標準偏差を算出する要素として含んでいる。そのため、放射線画像の撮像条件が変化する場合のみならず、放射線画像の再構成処理条件が変化する場合であっても、変化後の再構成処理条件の下で生成された放射線画像に適したノイズ標準偏差の値が迅速に算出される。よって、再構成処理条件を頻繁に変更する場合であっても、精度が高いNLMフィルタ処理を迅速に実行することができる。
(第4項)また第3項に記載の画像処理方法において、前記標準偏差補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第1補正関数を含み、前記補正値算出過程は、前記第1補正関数に前記再構成過程における反復数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第1標準偏差補正値を算出し、前記補正演算過程は、前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第1標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
第4項に記載の画像処理方法によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第1補正関数を含む。第1補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数である。この場合、再構成処理における反復数の値に応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理における反復数が変化した場合であっても、当該変化後の反復数に対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理における反復数を変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第5項)また第4項に記載の画像処理方法において、前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000014

の数式で算出され、
前記第1標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における反復数i、予め定められた基準反復数ibase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値との関係から求められた第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bとを用いて、
Figure 2024015834000015

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000016

の条件を満たすことを特徴とする。
第5項に記載の画像処理方法によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第1標準偏差補正値fは、(2)式で表される第1補正関数を用いて算出される。第1補正関数は反復数iを変数とする関数であり、第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bによって、反復数iを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(2)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々における反復数およびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第1標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第1補正関数における反復数iの項に対して、被写体の放射線画像における反復数の値を代入することで、第1標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第1標準偏差補正値fを用いて、(3)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σと第1標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第6項)また第3項に記載の画像処理方法において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第2補正関数を含み、
前記補正値算出過程は、
前記第2補正関数に前記再構成過程におけるサブセット数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第2標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算過程は、前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第2標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
第6項に記載の画像処理方法によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第2補正関数を含む。第2補正関数は、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数である。この場合、再構成処理におけるサブセット数の値に応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理におけるサブセット数が変化した場合であっても、当該変化後のサブセット数に対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理におけるサブセット数を変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第7項)また第6項に記載の画像処理方法において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000017

の数式で算出され、
前記第2標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるサブセット数s、予め定められた基準サブセット数sbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値との関係から求められた第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cとを用いて、
Figure 2024015834000018

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000019

の条件を満たす。
第7項に記載の画像処理方法によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第2標準偏差補正値fは、(4)式で表される第2補正関数を用いて算出される。第2補正関数はサブセット数sを変数とする関数であり、第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cによって、サブセット数sを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(4)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるサブセット数およびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第2標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第2補正関数におけるサブセット数sの項に対して、被写体の放射線画像におけるサブセット数の値を代入することで、第2標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第2標準偏差補正値fを用いて、(7)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σと第2標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第8項)また第3項に記載の画像処理方法において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第3補正関数を含み、
前記補正値算出過程は、
前記第3補正関数に前記再構成過程における緩和パラメータを代入することにより前記被写体の放射線画像における第3標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算過程は、前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第3標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
第8項に記載の画像処理方法によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第3補正関数を含む。第3補正関数は、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数である。この場合、再構成処理における緩和パラメータに応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理における緩和パラメータが変化した場合であっても、当該変化後の緩和パラメータに対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理における緩和パラメータを変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第9項)また第8項に記載の画像処理方法において、前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000020

の数式で算出され、
前記第3標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における緩和パラメータr、予め定められた基準緩和パラメータrbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値との関係から求められた第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dとを用いて、
Figure 2024015834000021

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000022

の条件を満たす。
第9項に記載の画像処理方法によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第3標準偏差補正値fは、(6)式で表される第3補正関数を用いて算出される。第3補正関数は緩和パラメータrを変数とする関数であり、第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dによって、緩和パラメータrを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(6)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々における緩和パラメータおよびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第3標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第3補正関数における緩和パラメータrの項に対して、被写体の放射線画像における緩和パラメータを代入することで、第3標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第3標準偏差補正値fを用いて、(7)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σと第3標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第10項)また第3項に記載の画像処理方法において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第4補正関数を含み、
前記補正値算出過程は、
前記第4補正関数に前記再構成過程におけるボクセルサイズを代入することにより前記被写体の放射線画像における第4標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算過程は、前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第4標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
第10項に記載の画像処理方法によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第4補正関数を含む。第4補正関数は、再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数である。この場合、再構成処理におけるボクセルサイズに応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理におけるボクセルサイズが変化した場合であっても、当該変化後のボクセルサイズに対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理におけるボクセルサイズを変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第11項)また第10項に記載の画像処理方法において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000023

の数式で算出され、
前記第4標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるボクセルサイズv、予め定められた基準ボクセルサイズvbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における基準ボクセルサイズと第4標準偏差補正値との関係から求められた第1ボクセルサイズモデル係数eと第2ボクセルサイズモデル係数eと第3ボクセルサイズモデル係数eとを用いて、
Figure 2024015834000024

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000025

の条件を満たす。
第11項に記載の画像処理方法によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第4標準偏差補正値fは、(8)式で表される第4補正関数を用いて算出される。第4補正関数はボクセルサイズvを変数とする関数であり、第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dによって、ボクセルサイズvを含む項の傾き、ボクセルサイズvを含む項の次数、およびy切片が特定される。そのため(8)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるボクセルサイズおよびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第4標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第4補正関数におけるボクセルサイズvの項に対して、被写体の放射線画像におけるボクセルサイズを代入することで、第4標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第4標準偏差補正値fを用いて、(9)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σと第4標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第12項)また第3項に記載の画像処理方法において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第1補正関数、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第2補正関数、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第3補正関数、および再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第4補正関数を含み、
前記補正値算出過程は、
前記第1補正関数に前記再構成過程における反復数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第1標準偏差補正値を算出し、前記第2補正関数に前記再構成過程におけるサブセット数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第2標準偏差補正値を算出し、前記第3補正関数に前記再構成過程における緩和パラメータを代入することにより前記被写体の放射線画像における第3標準偏差補正値を算出し、前記第4補正関数に前記再構成過程におけるボクセルサイズを代入することにより前記被写体の放射線画像における第4標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算過程は、
前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第1標準偏差補正値と第2標準偏差補正値と第3標準偏差補正値と第4標準偏差補正値とを用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する
第12項に記載の画像処理方法によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第1補正関数、第2補正関数、第3補正関数、および第4補正関数を含む。第1補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数である。第2補正関数は、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数である。第3補正関数は、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数である。第4補正関数は、再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数である。
この場合、再構成処理における反復数、サブセット数、緩和パラメータ、およびボクセルサイズに応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理における反復数などの各種パラメータ値が変化した場合であっても、当該変化後の各パラメータ値に対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理における各種パラメータ値を変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第13項)また第12項に記載の画像処理方法において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000026

の数式で算出され、
前記第1標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における反復数i、予め定められた基準反復数ibase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値との関係から求められた第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bとを用いて、
Figure 2024015834000027

の数式で算出され、
前記第2標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるサブセット数s、予め定められた基準サブセット数sbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値との関係から求められた第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cとを用いて、
Figure 2024015834000028

の数式で算出され、
前記第3標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における緩和パラメータr、予め定められた基準緩和パラメータrbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値との関係から求められた第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dとを用いて、
Figure 2024015834000029

の数式で算出され、
前記第4標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるボクセルサイズv、予め定められた基準ボクセルサイズvbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における基準ボクセルサイズと第4標準偏差補正値との関係から求められた第1ボクセルサイズモデル係数eと第2ボクセルサイズモデル係数eと第3ボクセルサイズモデル係数eとを用いて、
Figure 2024015834000030

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000031

の条件を満たす。
第13項に記載の画像処理方法によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第1標準偏差補正値fは、(2)式で表される第1補正関数を用いて算出される。第1補正関数は反復数iを変数とする関数であり、第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bによって、反復数iを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(2)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々における反復数およびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第1標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第1補正関数における反復数iの項に対して、被写体の放射線画像における反復数の値を代入することで、第1標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
第2標準偏差補正値fは、(4)式で表される第2補正関数を用いて算出される。第2補正関数はサブセット数sを変数とする関数であり、第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cによって、サブセット数sを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(4)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるサブセット数およびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第2標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第2補正関数におけるサブセット数sの項に対して、被写体の放射線画像におけるサブセット数の値を代入することで、第2標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
第3標準偏差補正値fは、(6)式で表される第3補正関数を用いて算出される。第3補正関数は緩和パラメータrを変数とする関数であり、第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dによって、緩和パラメータrを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(6)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々における緩和パラメータおよびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第3標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第3補正関数における緩和パラメータrの項に対して、被写体の放射線画像における緩和パラメータを代入することで、第3標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
第4標準偏差補正値fは、(8)式で表される第4補正関数を用いて算出される。第4補正関数はボクセルサイズvを変数とする関数であり、第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dによって、ボクセルサイズvを含む項の傾き、ボクセルサイズvを含む項の次数、およびy切片が特定される。そのため(8)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるボクセルサイズおよびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第4標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第4補正関数におけるボクセルサイズvの項に対して、被写体の放射線画像におけるボクセルサイズを代入することで、第4標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第1標準偏差補正値fと第2標準偏差補正値fと第3標準偏差補正値fと第4標準偏差補正値fとを用いて、(10)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σ、第1標準偏差補正値f、第2標準偏差補正値f、第3標準偏差補正値f、および第4標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第14項)本実施形態に係る画像処理装置は、放射線撮影が行われた被写体の放射線データに対して再構成処理を行って前記被写体の放射線画像を再構成する再構成処理部と、
前記被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出するカウント数算出部と、
予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する標準偏差算出部と、
前記被写体の放射線画像に対して、前記標準偏差算出部が算出したノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行うノイズ低減処理部と、
を備える。
第14項に記載の画像処理装置によれば、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数である基礎ノイズ偏差関数を予め取得しておく。基礎ノイズ偏差関数は、予め取得された関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められる。そして再構成処理部において被写体の放射線画像を再構成した後、カウント数算出部において、被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出する。
標準偏差算出部は、当該被写体領域のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することにより、被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。基礎ノイズ偏差関数は、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数であるので、被写体領域のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することによって、被写体の放射線画像に適切なノイズ標準偏差の値を迅速に算出できる。予め取得されている基礎ノイズ偏差関数にカウント数を代入するという単純な操作によってノイズ標準偏差の値を特定できるので、ノイズ標準偏差の特定に要する時間を大きく短縮できるとともにユーザの負担を軽減できる。
ノイズ低減処理部は、標準偏差算出部が算出したノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行う。標準偏差算出部によって、NLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差のパラメータが求められるので、ノイズ低減処理部が実行するNLMフィルタ処理の精度を向上させることができる。
また従来のNLMフィルタ処理では、放射線画像のカウント数に応じて適切なノイズ標準偏差のパラメータが異なる。そして放射線画像の撮像条件が異なると、放射線画像のカウント数も異なる。そのため従来では撮像条件を変更して放射線画像を生成する度に、変更された撮像条件に応じて、試行錯誤しつつノイズ標準偏差のパラメータを特定する必要があった。
一方、本実施形態に係る画像処理装置では、放射線画像のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することでノイズ標準偏差を算出する。基礎ノイズ偏差関数は、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数であるので、カウント数が変更された場合であっても変更後のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することで、当該変更後のカウント数に応じたノイズ標準偏差の値が迅速に算出される。従って、撮像条件を頻繁に変更して多数の放射線画像を撮影する場合であっても、撮影条件を変更するたびに試行錯誤しつつノイズ標準偏差のパラメータを特定するという操作が不要となる。その結果、撮像条件を頻繁に変更しつつNLMフィルタ処理によるノイズ低減処理を行う場合、さらにノイズ低減処理に要する時間の短縮化が可能となり、さらにユーザの負担を低減することができる。
(第15項)また第14項に記載の画像処理装置において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000032

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理部に用いられるノイズ標準偏差σは、σ=σの条件を満たす。
第15項に記載の画像処理装置によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。
基礎ノイズ標準偏差σおよびノイズ標準偏差σは、σ=σの条件を満たす。また、第1カウントモデル係数a、第2カウントモデル係数a、および第3カウントモデル係数aの各々は定数として求められているので、カウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで基礎ノイズ標準偏差が決定される。そして基礎ノイズ標準偏差とノイズ標準偏差とは等しいので、基礎ノイズ標準偏差が決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第16項)また第14項に記載の画像処理装置において、
前記標準偏差算出部は、
カウント数の値と基礎ノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差を算出する基礎ノイズ標準偏差算出部と、
再構成処理のパラメータ値と標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている標準偏差補正関数に前記再構成処理における前記再構成処理のパラメータ値を代入することにより前記被写体の放射線画像における標準偏差補正値を算出する補正値算出部と、
前記基礎ノイズ標準偏差算出部が算出した前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記補正値算出部が算出した前記被写体の放射線画像における標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する補正演算部と、を備える。
第16項に記載の画像処理装置によれば、基礎ノイズ標準偏差を補正した値をノイズ標準偏差として算出する。すなわち基礎ノイズ偏差関数に加えて、標準偏差補正関数を予め取得しておく。標準偏差補正関数は、再構成処理のパラメータ値と標準偏差補正値とが対応する関数である。
補正値算出部は、被写体の放射線画像に行う再構成処理のパラメータ値を標準偏差補正関数に代入することによって、被写体の放射線画像における標準偏差補正値を算出する。補正演算部は、基礎ノイズ標準偏差を標準偏差補正値で補正することにより、被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
このような構成では、撮像条件によって変化するカウント数のみならず、再構成処理条件によって変化する再構成処理のパラメータ値を、ノイズ標準偏差を算出する要素として含んでいる。そのため、放射線画像の撮像条件が変化する場合のみならず、放射線画像の再構成処理条件が変化する場合であっても、変化後の再構成処理条件の下で生成された放射線画像に適したノイズ標準偏差の値が迅速に算出される。よって、再構成処理条件を頻繁に変更する場合であっても、精度が高いNLMフィルタ処理を迅速に実行することができる。
(第17項)また第16項に記載の画像処理装置において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第1補正関数を含み、
前記補正値算出部は、
前記第1補正関数に前記再構成処理における反復数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第1標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算部は、前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第1標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
第17項に記載の画像処理装置によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第1補正関数を含む。第1補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数である。この場合、再構成処理における反復数の値に応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理における反復数が変化した場合であっても、当該変化後の反復数に対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理における反復数を変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第18項)また第17項に記載の画像処理装置において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000033

の数式で算出され、
前記第1標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における反復数i、予め定められた基準反復数ibase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値との関係から求められた第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bとを用いて、
Figure 2024015834000034

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000035

の条件を満たす。
第18項に記載の画像処理装置によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第1標準偏差補正値fは、(2)式で表される第1補正関数を用いて算出される。第1補正関数は反復数iを変数とする関数であり、第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bによって、反復数iを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(2)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々における反復数およびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第1標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第1補正関数における反復数iの項に対して、被写体の放射線画像における反復数の値を代入することで、第1標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第1標準偏差補正値fを用いて、(3)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σと第1標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第19項)また第16項に記載の画像処理装置において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第2補正関数を含み、
前記補正値算出部は、
前記第2補正関数に前記再構成処理におけるサブセット数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第2標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算部は、前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第2標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する
第19項に記載の画像処理装置によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第2補正関数を含む。第2補正関数は、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数である。この場合、再構成処理におけるサブセット数の値に応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理におけるサブセット数が変化した場合であっても、当該変化後のサブセット数に対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理におけるサブセット数を変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第20項)また第19項に記載の画像処理装置において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000036

の数式で算出され、
前記第2標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるサブセット数s、予め定められた基準サブセット数sbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値との関係から求められた第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cとを用いて、
Figure 2024015834000037

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000038

の条件を満たす。
第20項に記載の画像処理装置によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第2標準偏差補正値fは、(4)式で表される第2補正関数を用いて算出される。第2補正関数はサブセット数sを変数とする関数であり、第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cによって、サブセット数sを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(4)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるサブセット数およびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第2標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第2補正関数におけるサブセット数sの項に対して、被写体の放射線画像におけるサブセット数の値を代入することで、第2標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第2標準偏差補正値fを用いて、(5)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σと第2標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第21項)また第16項に記載の画像処理装置において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第3補正関数を含み、
前記補正値算出部は、
前記第3補正関数に前記再構成処理における緩和パラメータを代入することにより前記被写体の放射線画像における第3標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算部は、前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第3標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
第21項に記載の画像処理装置によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第3補正関数を含む。第3補正関数は、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数である。この場合、再構成処理における緩和パラメータに応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理における緩和パラメータが変化した場合であっても、当該変化後の緩和パラメータに対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理における緩和パラメータを変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第22項)また第21項に記載の画像処理装置において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000039

の数式で算出され、
前記第3標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における緩和パラメータr、予め定められた基準緩和パラメータrbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値との関係から求められた第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dとを用いて、
Figure 2024015834000040

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000041

の条件を満たす。
第22項に記載の画像処理装置によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第3標準偏差補正値fは、(6)式で表される第3補正関数を用いて算出される。第3補正関数は緩和パラメータrを変数とする関数であり、第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dによって、緩和パラメータrを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(6)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々における緩和パラメータおよびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第3標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第3補正関数における緩和パラメータrの項に対して、被写体の放射線画像における緩和パラメータを代入することで、第3標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第3標準偏差補正値fを用いて、(7)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σと第3標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第23項)また第16項に記載の画像処理装置において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第4補正関数を含み、
前記補正値算出部は、
前記第4補正関数に前記再構成処理におけるボクセルサイズを代入することにより前記被写体の放射線画像における第4標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算部は、前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第4標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
第23項に記載の画像処理装置によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第4補正関数を含む。第4補正関数は、再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数である。この場合、再構成処理におけるボクセルサイズに応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理におけるボクセルサイズが変化した場合であっても、当該変化後のボクセルサイズに対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理におけるボクセルサイズを変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第24項)また第23項に記載の画像処理装置において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000042

の数式で算出され、
前記第4標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるボクセルサイズv、予め定められた基準ボクセルサイズvbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における基準ボクセルサイズと第4標準偏差補正値との関係から求められた第1ボクセルサイズモデル係数eと第2ボクセルサイズモデル係数eと第3ボクセルサイズモデル係数eとを用いて、
Figure 2024015834000043

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000044

の条件を満たす。
第24項に記載の画像処理装置によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第4標準偏差補正値fは、(8)式で表される第4補正関数を用いて算出される。第4補正関数はボクセルサイズvを変数とする関数であり、第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dによって、ボクセルサイズvを含む項の傾き、ボクセルサイズvを含む項の次数、およびy切片が特定される。そのため(8)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるボクセルサイズおよびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第4標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第4補正関数におけるボクセルサイズvの項に対して、被写体の放射線画像におけるボクセルサイズを代入することで、第4標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第4標準偏差補正値fを用いて、(9)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σと第4標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第25項)また第16項に記載の画像処理装置において、
前記標準偏差補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第1補正関数、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第2補正関数、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第3補正関数、および再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第4補正関数を含み、
前記補正値算出部は、
前記第1補正関数に前記再構成処理における反復数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第1標準偏差補正値を算出し、前記第2補正関数に前記再構成処理におけるサブセット数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第2標準偏差補正値を算出し、前記第3補正関数に前記再構成処理における緩和パラメータを代入することにより前記被写体の放射線画像における第3標準偏差補正値を算出し、前記第4補正関数に前記再構成処理におけるボクセルサイズを代入することにより前記被写体の放射線画像における第4標準偏差補正値を算出し、
前記補正演算部は、
前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第1標準偏差補正値と第2標準偏差補正値と第3標準偏差補正値と第4標準偏差補正値とを用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。
第25項に記載の画像処理装置によれば、予め取得されている標準偏差補正関数は第1補正関数、第2補正関数、第3補正関数、および第4補正関数を含む。第1補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数である。第2補正関数は、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数である。第3補正関数は、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数である。第4補正関数は、再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数である。
この場合、再構成処理における反復数、サブセット数、緩和パラメータ、およびボクセルサイズに応じて、基礎ノイズ標準偏差が補正されてノイズ標準偏差が算出される。そのため、被写体の放射線画像の再構成処理における反復数などの各種パラメータ値が変化した場合であっても、当該変化後の各パラメータ値に対応する、NLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差の値が算出される。すなわち再構成処理における各種パラメータ値を変化させて新たに放射線画像を生成する場合であっても、当該新たな放射線画像に対するNLMフィルタ処理を迅速かつ精度良く実行できる。
(第26項)また第25項に記載の画像処理装置において、
前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
Figure 2024015834000045

の数式で算出され、
前記第1標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における反復数i、予め定められた基準反復数ibase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値との関係から求められた第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bとを用いて、
Figure 2024015834000046

の数式で算出され、
前記第2標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるサブセット数s、予め定められた基準サブセット数sbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値との関係から求められた第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cとを用いて、
Figure 2024015834000047

の数式で算出され、
前記第3標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における緩和パラメータr、予め定められた基準緩和パラメータrbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値との関係から求められた第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dとを用いて、
Figure 2024015834000048

の数式で算出され、
前記第4標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるボクセルサイズv、予め定められた基準ボクセルサイズvbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における基準ボクセルサイズと第4標準偏差補正値との関係から求められた第1ボクセルサイズモデル係数eと第2ボクセルサイズモデル係数eと第3ボクセルサイズモデル係数eとを用いて、
Figure 2024015834000049

の数式で算出され、
前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
Figure 2024015834000050

の条件を満たす。
第26項に記載の画像処理装置によれば、基礎ノイズ標準偏差σは(1)式で表される基礎ノイズ偏差関数を用いて算出される。基礎ノイズ偏差関数はカウント数Nを変数とする関数であり、第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aによって、カウント数Nの項の傾き、カウント数Nの項の次数、およびy切片が特定される。そのため(1)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差がどのような値であっても、基礎ノイズ偏差関数を適切に定めることができる。そして基礎ノイズ偏差関数におけるカウント数Nの項に対して、被写体の放射線画像におけるカウント数の値を代入することで、基礎ノイズ標準偏差σを迅速に決定できる。
第1標準偏差補正値fは、(2)式で表される第1補正関数を用いて算出される。第1補正関数は反復数iを変数とする関数であり、第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bによって、反復数iを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(2)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々における反復数およびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第1標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第1補正関数における反復数iの項に対して、被写体の放射線画像における反復数の値を代入することで、第1標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
第2標準偏差補正値fは、(4)式で表される第2補正関数を用いて算出される。第2補正関数はサブセット数sを変数とする関数であり、第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cによって、サブセット数sを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(4)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるサブセット数およびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第2標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第2補正関数におけるサブセット数sの項に対して、被写体の放射線画像におけるサブセット数の値を代入することで、第2標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
第3標準偏差補正値fは、(6)式で表される第3補正関数を用いて算出される。第3補正関数は緩和パラメータrを変数とする関数であり、第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dによって、緩和パラメータrを含む項の傾き、およびy切片が特定される。そのため(6)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々における緩和パラメータおよびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第3標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第3補正関数における緩和パラメータrの項に対して、被写体の放射線画像における緩和パラメータを代入することで、第3標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
第4標準偏差補正値fは、(8)式で表される第4補正関数を用いて算出される。第4補正関数はボクセルサイズvを変数とする関数であり、第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dによって、ボクセルサイズvを含む項の傾き、ボクセルサイズvを含む項の次数、およびy切片が特定される。そのため(8)式を用いることによって、関数算出用放射線画像の各々におけるボクセルサイズおよびノイズ標準偏差がどのような値であっても、第4標準偏差補正値を適切に定めることができる。そして第4補正関数におけるボクセルサイズvの項に対して、被写体の放射線画像におけるボクセルサイズを代入することで、第4標準偏差補正値fを迅速に決定できる。
ノイズ標準偏差σの値は、基礎ノイズ標準偏差σと第1標準偏差補正値fと第2標準偏差補正値fと第3標準偏差補正値fと第4標準偏差補正値fとを用いて、(10)式によって算出される。よって、基礎ノイズ標準偏差σ、第1標準偏差補正値f、第2標準偏差補正値f、第3標準偏差補正値f、および第4標準偏差補正値fが決定されることによって、当該被写体の放射線画像に対するNLMフィルタ処理に適したノイズ標準偏差σの値が定まる。よって、ノイズ標準偏差の算出に要する演算をより単純化および短縮化できる。
(第27項)本実施形態に係る核医学診断装置は、被写体を透過した放射線を検出して放射線データを出力する放射線検出器と、請求項14ないし請求項26のいずれかに記載の画像処理装置と、を備える。
第27項に記載の核医学診断装置によれば、画像処理装置において、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数である基礎ノイズ偏差関数を予め取得しておく。基礎ノイズ偏差関数は、予め取得された関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められる。そして再構成処理部において被写体の放射線画像を再構成した後、カウント数算出部において、被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出する。
標準偏差算出部は、当該被写体領域のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することにより、被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する。基礎ノイズ偏差関数は、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数であるので、被写体領域のカウント数を基礎ノイズ偏差関数に代入することによって、被写体の放射線画像に適切なノイズ標準偏差の値を迅速に算出できる。予め取得されている基礎ノイズ偏差関数にカウント数を代入するという単純な操作によってノイズ標準偏差の値を特定できるので、ノイズ標準偏差の特定に要する時間を大きく短縮できるとともにユーザの負担を軽減できる。
ノイズ低減処理部は、標準偏差算出部が算出したノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行う。標準偏差算出部によって、NLMフィルタ処理に適切なノイズ標準偏差のパラメータが求められるので、ノイズ低減処理部が実行するNLMフィルタ処理の精度を向上させることができる。
<他の実施例>
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲、並びに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例において、基礎ノイズ標準偏差モデルPaを推定する手法は、散布図Vを生成する方法に限ることはない。すなわち、カウント数Nの値を特定することによって基礎ノイズ標準偏差σを特定できるモデル(関数)として基礎ノイズ標準偏差モデルPaを推定できる手法であれば、適宜の手法を用いてよい。また、散布図Vにおいて、カウント数Nがx軸に対応しているとともにノイズ標準偏差σがy軸に対応している構成に限られない。散布図Vにおいて、x軸に対応するパラメータおよびy軸に対応するパラメータは適宜変更してよい。これは補正ノイズ標準偏差モデルPb~Peを推定する手法についても同様であり、散布図VA~VDを生成する方法に限ることはない。また、散布図VA~VDにおいて、x軸に対応するパラメータおよびy軸に対応するパラメータは適宜変更してよい。
(2)上述した実施例6において、実施例2~5の全てを組み合わせた特徴について説明したが、実施例2~5のうち一部を組み合わせた特徴であってもよい。一例として、実施例2および実施例4を組み合わせた特徴であってもよい。
当該実施例2および実施例4を組み合わせた特徴を有する場合、再構成処理のパラメータ値として、反復数iと緩和パラメータrとを用いる。そして実施例2および実施例4を組み合わせた構成では、図14に示される実施例6のステップSAに係るフローチャートにおいて、ステップSA3~SA4、およびステップSA7~SA8の工程が省略される。また図15に示される実施例6のステップS6に係るフローチャートにおいて、ステップS6CおよびステップS6Eが省略される。
(3)上述した各実施例において、モデル推定用画像群LはファントムFを被写体とする画像に限られない。モデル推定用画像群Lを構成する各画像は、被検体Mを例とする生体を被写体としてもよいし、ファントムF以外の物体を被写体としてもよい。
(4)上述した実施例において、検出部7は5つの検出器リング9がx方向に積層された構造となっているが、x方向に並ぶ検出器リング9の数は適宜変更してよい。検出器リング9はx方向について単層となっている構成であってもよいし、2以上の検出器リング9がx方向に積層されていてもよい。
(5)上述した実施例において、核医学診断装置としてPET装置を例にとって説明したが、再構成処理によって放射線画像Gを生成する装置であればPET装置に限定されない。一例として、SPECT装置(SPECT: Single Photon Emission Computed Tomography)などにも適用できる。
1 …PET装置
2 …天板
3 …ベッド装置
4 …開口部
5 …ガントリ
7 …検出部
9 …検出器リング
11 …放射線検出器
13 …データ収集部
15 …画像処理装置
17 …画像生成部
19 …入力部
21 …表示部
23 …記憶部
25 …モデル推定部
27 …再構成処理部
29 …カウント数算出部
31 …標準偏差算出部
33 …ノイズ低減処理部
35 …基礎モデル推定部
37 …補正モデル推定部
39 …再構成値算出部
41 …基礎偏差算出部
43 …補正値算出部
45 …補正演算部
M …被検体
F …ファントム
P …ノイズ偏差モデル
Pa …基礎ノイズ偏差モデル
Pb …補正ノイズ偏差モデル
Pc …補正ノイズ偏差モデル
Pd …補正ノイズ偏差モデル
Pe …補正ノイズ偏差モデル
f …標準偏差補正値
N …カウント数
G …再構成画像
H …ノイズ低減画像
L …モデル推定用画像群
i …反復数
s …サブセット数
r …緩和パラメータ
v …ボクセルサイズ

Claims (27)

  1. 被写体の放射線データに対して再構成処理を行って前記被写体の放射線画像を再構成する再構成過程と、
    前記被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出するカウント数算出過程と、
    予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する標準偏差算出過程と、
    前記被写体の放射線画像に対して、前記標準偏差算出過程で算出されたノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行うノイズ低減処理過程と、
    を備える画像処理方法。
  2. 請求項1に記載の画像処理方法において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000051

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、σ=σの条件を満たすことを特徴とする画像処理方法。
  3. 請求項1に記載の画像処理方法において、
    前記標準偏差算出過程は、
    カウント数の値と基礎ノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差を算出する基礎ノイズ標準偏差算出過程と、
    再構成処理のパラメータ値と標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている標準偏差補正関数に前記再構成過程における前記再構成処理のパラメータ値を代入することにより前記被写体の放射線画像における標準偏差補正値を算出する補正値算出過程と、
    前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記補正値算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する補正演算過程と、
    を備える画像処理方法。
  4. 請求項3に記載の画像処理方法において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第1補正関数を含み、
    前記補正値算出過程は、
    前記第1補正関数に前記再構成過程における反復数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第1標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算過程は、前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第1標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理方法。
  5. 請求項4に記載の画像処理方法において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000052

    の数式で算出され、
    前記第1標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における反復数i、予め定められた基準反復数ibase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値との関係から求められた第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bとを用いて、
    Figure 2024015834000053

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000054

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理方法。
  6. 請求項3に記載の画像処理方法において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第2補正関数を含み、
    前記補正値算出過程は、
    前記第2補正関数に前記再構成過程におけるサブセット数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第2標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算過程は、前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第2標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理方法。
  7. 請求項6に記載の画像処理方法において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000055

    の数式で算出され、
    前記第2標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるサブセット数s、予め定められた基準サブセット数sbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値との関係から求められた第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cとを用いて、
    Figure 2024015834000056

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000057

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理方法。
  8. 請求項3に記載の画像処理方法において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第3補正関数を含み、
    前記補正値算出過程は、
    前記第3補正関数に前記再構成過程における緩和パラメータを代入することにより前記被写体の放射線画像における第3標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算過程は、前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第3標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理方法。
  9. 請求項8に記載の画像処理方法において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000058

    の数式で算出され、
    前記第3標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における緩和パラメータr、予め定められた基準緩和パラメータrbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値との関係から求められた第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dとを用いて、
    Figure 2024015834000059

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000060

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理方法。
  10. 請求項3に記載の画像処理方法において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第4補正関数を含み、
    前記補正値算出過程は、
    前記第4補正関数に前記再構成過程におけるボクセルサイズを代入することにより前記被写体の放射線画像における第4標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算過程は、前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第4標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理方法。
  11. 請求項10に記載の画像処理方法において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000061

    の数式で算出され、
    前記第4標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるボクセルサイズv、予め定められた基準ボクセルサイズvbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における基準ボクセルサイズと第4標準偏差補正値との関係から求められた第1ボクセルサイズモデル係数eと第2ボクセルサイズモデル係数eと第3ボクセルサイズモデル係数eとを用いて、
    Figure 2024015834000062

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000063

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理方法。
  12. 請求項3に記載の画像処理方法において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第1補正関数、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第2補正関数、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第3補正関数、および再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第4補正関数を含み、
    前記補正値算出過程は、
    前記第1補正関数に前記再構成過程における反復数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第1標準偏差補正値を算出し、前記第2補正関数に前記再構成過程におけるサブセット数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第2標準偏差補正値を算出し、前記第3補正関数に前記再構成過程における緩和パラメータを代入することにより前記被写体の放射線画像における第3標準偏差補正値を算出し、前記第4補正関数に前記再構成過程におけるボクセルサイズを代入することにより前記被写体の放射線画像における第4標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算過程は、
    前記基礎ノイズ標準偏差算出過程において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第1標準偏差補正値と第2標準偏差補正値と第3標準偏差補正値と第4標準偏差補正値とを用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理方法。
  13. 請求項12に記載の画像処理方法において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000064

    の数式で算出され、
    前記第1標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における反復数i、予め定められた基準反復数ibase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値との関係から求められた第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bとを用いて、
    Figure 2024015834000065

    の数式で算出され、
    前記第2標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるサブセット数s、予め定められた基準サブセット数sbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値との関係から求められた第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cとを用いて、
    Figure 2024015834000066

    の数式で算出され、
    前記第3標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における緩和パラメータr、予め定められた基準緩和パラメータrbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値との関係から求められた第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dとを用いて、
    Figure 2024015834000067

    の数式で算出され、
    前記第4標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるボクセルサイズv、予め定められた基準ボクセルサイズvbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における基準ボクセルサイズと第4標準偏差補正値との関係から求められた第1ボクセルサイズモデル係数eと第2ボクセルサイズモデル係数eと第3ボクセルサイズモデル係数eとを用いて、
    Figure 2024015834000068

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理過程におけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000069

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理方法。
  14. 放射線撮影が行われた被写体の放射線データに対して再構成処理を行って前記被写体の放射線画像を再構成する再構成処理部と、
    前記被写体の放射線画像における被写体領域のカウント数を算出するカウント数算出部と、
    予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から、カウント数の値とノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する標準偏差算出部と、
    前記被写体の放射線画像に対して、前記標準偏差算出部が算出したノイズ標準偏差を用いてNLMフィルタ処理を行うノイズ低減処理部と、
    を備える画像処理装置。
  15. 請求項14に記載の画像処理装置において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000070

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理部に用いられるノイズ標準偏差σは、σ=σの条件を満たすことを特徴とする画像処理装置。
  16. 請求項14に記載の画像処理装置において、
    前記標準偏差算出部は、
    カウント数の値と基礎ノイズ標準偏差の値とが対応する関数として予め取得されている基礎ノイズ偏差関数に前記被写体領域のカウント数を代入することにより前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差を算出する基礎ノイズ標準偏差算出部と、
    再構成処理のパラメータ値と標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている標準偏差補正関数に前記再構成処理における前記再構成処理のパラメータ値を代入することにより前記被写体の放射線画像における標準偏差補正値を算出する補正値算出部と、
    前記基礎ノイズ標準偏差算出部が算出した前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記補正値算出部が算出した前記被写体の放射線画像における標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する補正演算部と、
    を備える画像処理装置。
  17. 請求項16に記載の画像処理装置において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第1補正関数を含み、
    前記補正値算出部は、
    前記第1補正関数に前記再構成処理における反復数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第1標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算部は、前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第1標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理装置。
  18. 請求項17に記載の画像処理装置において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000071

    の数式で算出され、
    前記第1標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における反復数i、予め定められた基準反復数ibase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値との関係から求められた第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bとを用いて、
    Figure 2024015834000072

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000073

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理装置。
  19. 請求項16に記載の画像処理装置において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第2補正関数を含み、
    前記補正値算出部は、
    前記第2補正関数に前記再構成処理におけるサブセット数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第2標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算部は、前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第2標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理装置。
  20. 請求項19に記載の画像処理装置において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000074

    の数式で算出され、
    前記第2標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるサブセット数s、予め定められた基準サブセット数sbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値との関係から求められた第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cとを用いて、
    Figure 2024015834000075

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000076

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理装置。
  21. 請求項16に記載の画像処理装置において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第3補正関数を含み、
    前記補正値算出部は、
    前記第3補正関数に前記再構成処理における緩和パラメータを代入することにより前記被写体の放射線画像における第3標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算部は、前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第3標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理装置。
  22. 請求項21に記載の画像処理装置において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000077

    の数式で算出され、
    前記第3標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における緩和パラメータr、予め定められた基準緩和パラメータrbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値との関係から求められた第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dとを用いて、
    Figure 2024015834000078

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000079

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理装置。
  23. 請求項16に記載の画像処理装置において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第4補正関数を含み、
    前記補正値算出部は、
    前記第4補正関数に前記再構成処理におけるボクセルサイズを代入することにより前記被写体の放射線画像における第4標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算部は、前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第4標準偏差補正値を用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理装置。
  24. 請求項23に記載の画像処理装置において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000080

    の数式で算出され、
    前記第4標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるボクセルサイズv、予め定められた基準ボクセルサイズvbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における基準ボクセルサイズと第4標準偏差補正値との関係から求められた第1ボクセルサイズモデル係数eと第2ボクセルサイズモデル係数eと第3ボクセルサイズモデル係数eとを用いて、
    Figure 2024015834000081

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000082

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理装置。
  25. 請求項16に記載の画像処理装置において、
    前記標準偏差補正関数は、再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第1補正関数、再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第2補正関数、再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第3補正関数、および再構成処理におけるボクセルサイズと第4標準偏差補正値とが対応する関数として予め取得されている第4補正関数を含み、
    前記補正値算出部は、
    前記第1補正関数に前記再構成処理における反復数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第1標準偏差補正値を算出し、前記第2補正関数に前記再構成処理におけるサブセット数を代入することにより前記被写体の放射線画像における第2標準偏差補正値を算出し、前記第3補正関数に前記再構成処理における緩和パラメータを代入することにより前記被写体の放射線画像における第3標準偏差補正値を算出し、前記第4補正関数に前記再構成処理におけるボクセルサイズを代入することにより前記被写体の放射線画像における第4標準偏差補正値を算出し、
    前記補正演算部は、
    前記基礎ノイズ標準偏差算出部において算出された前記被写体の放射線画像における基礎ノイズ標準偏差に対し、前記被写体の放射線画像における前記第1標準偏差補正値と第2標準偏差補正値と第3標準偏差補正値と第4標準偏差補正値とを用いて補正することによって、前記被写体の放射線画像におけるノイズ標準偏差を算出する画像処理装置。
  26. 請求項25に記載の画像処理装置において、
    前記基礎ノイズ偏差関数において基礎ノイズ標準偏差σは、前記被写体領域のカウント数N、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の各々におけるカウント数とノイズ標準偏差との関係から求められた第1カウントモデル係数aと第2カウントモデル係数aと第3カウントモデル係数aを用いて、
    Figure 2024015834000083

    の数式で算出され、
    前記第1標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における反復数i、予め定められた基準反復数ibase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における反復数と第1標準偏差補正値との関係から求められた第1反復数モデル係数bと第2反復数モデル係数bとを用いて、
    Figure 2024015834000084

    の数式で算出され、
    前記第2標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるサブセット数s、予め定められた基準サブセット数sbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理におけるサブセット数と第2標準偏差補正値との関係から求められた第1サブセットモデル係数cと第2サブセットモデル係数cとを用いて、
    Figure 2024015834000085

    の数式で算出され、
    前記第3標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理における緩和パラメータr、予め定められた基準緩和パラメータrbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における緩和パラメータと第3標準偏差補正値との関係から求められた第1緩和パラメータモデル係数dと第2緩和パラメータモデル係数dとを用いて、
    Figure 2024015834000086

    の数式で算出され、
    前記第4標準偏差補正値fは、前記被写体の放射線データに対する再構成処理におけるボクセルサイズv、予め定められた基準ボクセルサイズvbase、および予め取得された複数の関数算出用放射線画像の再構成処理における基準ボクセルサイズと第4標準偏差補正値との関係から求められた第1ボクセルサイズモデル係数eと第2ボクセルサイズモデル係数eと第3ボクセルサイズモデル係数eとを用いて、
    Figure 2024015834000087

    の数式で算出され、
    前記ノイズ低減処理部においておけるノイズ標準偏差σは、
    Figure 2024015834000088

    の条件を満たすことを特徴とする画像処理装置。
  27. 被写体を透過した放射線を検出して放射線データを出力する放射線検出器と、
    請求項14ないし請求項26のいずれかに記載の画像処理装置と、を備えることを特徴とする核医学診断装置。

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