JP2024013390A - 共重合体、圧電材料、圧電膜および圧電素子 - Google Patents

共重合体、圧電材料、圧電膜および圧電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性および圧電特性の高い圧電膜の得られる圧電材料として使用できる共重合体を提供する。
【解決手段】式(1)で示される構造単位(Rは、水素原子、メチル基、ジメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれるいずれか1種であって、Rは、水素原子またはメチル基である、またはRおよびRは、オキサゾリジノン環とともにベンゾオキサゾリジノン骨格を形成する。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体とする。
[化1]

Description

本発明は、共重合体、圧電材料、圧電膜および圧電素子に関する。
従来、圧電素子の圧電体を形成する圧電材料には、セラミックス材料であるPZT(PbZrO-PbTiO系固溶体)が多く用いられている。しかし、PZTは、鉛を含有する、セラミックであるため脆いという不都合がある。このため、圧電材料として、環境への負荷が低く、柔軟性に富む材料が求められている。
このような要求に対応する圧電材料として、高分子圧電材料を用いることが考えられる。高分子圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体(P(VDF-TrFE))などの強誘電性高分子がある。しかしながら、これらの強誘電性高分子は、耐熱性が不十分である。このため、従来の強誘電性高分子からなる圧電体は、高温になると圧電特性が失われ、弾性率などの物性も劣化する。したがって、従来の強誘電性高分子からなる圧電体を有する圧電素子は、使用できる温度域が狭かった。
また、圧電材料として、ガラス転移温度付近の温度で分極しながら冷却することにより、圧電性を獲得するアモルファス高分子圧電材料がある。アモルファス高分子は、ガラス転移温度付近の温度になると圧電特性が消失する。したがって、ガラス転移温度が高く、耐熱性の良好なアモルファス高分子圧電材料が求められている。
ガラス転移温度の高いアモルファス高分子圧電材料としては、シアン化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。しかし、シアン化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体は、原料モノマーとして、取り扱いしにくいシアン化ビニリデンを用いる必要がある。具体的には、シアン化ビニリデンは、雰囲気中の微量な水分によって容易に単独重合してしまう。このため、原料モノマーとしてシアン化ビニリデンを用いた重合体は、製造時のバラつきが大きく、アモルファス高分子圧電材料として用いることは困難であった。
また、シアン化ビニリデンと同じくニトリル基を有する原料モノマーとして、2-フルオロアクリロニトリルを用いた重合体が知られている(例えば、非特許文献1参照)。2-フルオロアクリロニトリルは、安定性が良好である。しかし、原料モノマーとして2-フルオロアクリロニトリルを用いた従来の重合体は、ガラス転移点が低く、耐熱性が不十分であった。
国際公開第1991/013922号
日本化学会誌,1985,(10),P.1862~1868
従来、耐熱性および圧電特性の高い圧電膜の得られる高分子圧電材料が要求されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性および圧電特性の高い圧電膜の得られる圧電材料として使用できる共重合体を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の共重合体を含み、耐熱性および圧電特性の高い圧電膜の得られる圧電材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の共重合体を含む耐熱性および圧電特性の高い圧電膜、および本発明の圧電膜を有する耐熱性および圧電特性の高い圧電素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明の一態様に係る共重合体は、下記一般式(1)で示される構造単位と、下記式(2)で示される構造単位とを有する共重合体である。
Figure 2024013390000001
(一般式(1)において、Rは、水素原子、メチル基、ジメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれるいずれか1種であって、Rは、水素原子またはメチル基である、またはRおよびRは、オキサゾリジノン環とともにベンゾオキサゾリジノン骨格を形成する。)
本発明の共重合体は、一般式(1)で示される構造単位と、式(2)で示される構造単位とを有する。このため、本発明の共重合体は、耐熱性および圧電特性の高い圧電膜の得られる圧電材料として使用できる。
また、本発明の圧電材料は、本発明の共重合体を含むため、耐熱性および圧電特性の高い圧電膜の得られるものとなる。
また、本発明の圧電膜は、本発明の共重合体を含む。このため、本発明の圧電膜、および本発明の圧電膜を有する本発明の圧電素子は、耐熱性および圧電特性に優れる。
図1は、実施例3のH-NMR測定チャートである。 図2は、実施例3の19F-NMR測定チャートである。 図3は、実施例8のH-NMR測定チャートである。 図4は、実施例8の19F-NMR測定チャートである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、ニトリル基(-C≡N)を有する安定なモノマーを、原料モノマーとして用いる重合体に着目し、鋭意研究を重ねた。
その結果、オキサゾリジノン骨格を含む構造単位と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体が、耐熱性および圧電特性の良好な圧電膜の得られる圧電材料となることが分かった。この理由は、上記の共重合体においては、極性の高いオキサゾリジノン骨格を含む構造単位によって、アクリロニトリルに由来する極性基であるニトリル基が形成しうる秩序構造が乱されて、ニトリル基が互いに極性を打ち消しあうように配向しにくくなるためであると推定される。
そこで、本発明者らは、オキサゾリジノン骨格を含む構造単位と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体の双極子モーメントに着目し、上記共重合体を含む圧電膜において、圧電特性をより一層向上させるべく、検討を重ねた。しかしながら、この共重合体を含む圧電膜では、以下に示す理由により、圧電特性を高くすることは困難であった。
すなわち、上記共重合体を含む圧電膜の圧電特性を高くするためには、上記共重合体中のアクリロニトリルに由来する構造単位に含まれるニトリル基が、互いに双極子モーメントを打ち消しあうように配向されないようにすることが望ましい。しかしながら、アクリロニトリルを原料モノマーとして用いた重合体は、ポリマー主鎖方向に対する双極子モーメントの対称性が低い。また、アクリロニトリルと、オキサゾリジノン骨格の窒素原子にビニル基が結合した化合物とを共重合させても、アクリロニトリルに由来するニトリル基の双極子モーメントの打ち消し合いを十分に抑制することはできなかった。このことから、上記共重合体を含む圧電膜において圧電特性を、より一層高くすることは難しかった。
そこで、本発明者らは、アクリロニトリルに代えて、ニトリル基を有する安定なモノマーであって、ポリマー主鎖方向に対する双極子モーメントの対称性が高い重合体が得られる原料モノマーを用いた重合体について、検討を重ねた。
その結果、オキサゾリジノン骨格を含む特定の構造単位と、2-フルオロアクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体とすればよいことを見出した。
すなわち、オキサゾリジノン骨格を含む特定の構造単位と、2-フルオロアクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体では、2-フルオロアクリロニトリルに由来する構造単位に含まれるフルオロ基が分子間水素結合を形成するため、分子間の相互作用が強固になる。その結果、この共重合体を用いた圧電膜は、2-フルオロアクリロニトリルに由来する構造単位に代えて、アクリロニトリルに由来する構造単位を有する共重合体を用いた場合と比較して、耐熱性が良好になるものと推定される。
また、上記共重合体は、2-フルオロアクリロニトリルに由来する構造単位に含まれるニトリル基およびフルオロ基を有するため、ポリマー主鎖方向に対する双極子モーメントの対称性が高いものとなる。したがって、上記共重合体は、双極子モーメントの打ち消し合いが抑制され、高い極性を発現できる。このことから、上記共重合体を用いた圧電膜は、2-フルオロアクリロニトリルに由来する構造単位に代えて、アクリロニトリルに由来する構造単位を有する共重合体を用いた場合と比較して、良好な圧電特性が得られるものと推定される。
さらに、本発明者らは、オキサゾリジノン骨格を含む特定の構造単位と、2-フルオロアクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体(高分子)を製造し、その耐熱性が良好であること、これを圧電材料として用いた圧電膜の圧電特性が良好であることを確認し、本発明を想到した。
また、本発明者らは、原料モノマーとして、2-フルオロアクリロニトリルに代えて、2-フルオロアクリロニトリルの有するフルオロ基(-F)が、他のハロゲノ基(クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)、ヨード基(-I))である化合物を用いることを検討した。しかし、2-フルオロアクリロニトリルの有するフルオロ基が他のハロゲノ基である化合物は、オキサゾリジノン骨格の窒素原子にビニル基が結合した化合物と、共重合させることが困難であった。このため、原料モノマーとして、2-フルオロアクリロニトリルに代えて、2-フルオロアクリロニトリルの有するフルオロ基が他のハロゲノ基である化合物を用いて、オキサゾリジノン骨格の窒素原子にビニル基が結合した化合物との共重合体を製造することはできなかった。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 下記一般式(1)で示される構造単位と、下記式(2)で示される構造単位とを有する共重合体。
Figure 2024013390000002
(一般式(1)において、Rは、水素原子、メチル基、ジメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれるいずれか1種であって、Rは、水素原子またはメチル基である、またはRおよびRは、オキサゾリジノン環とともにベンゾオキサゾリジノン骨格を形成する。)
[2] 前記一般式(1)において、Rが、水素原子であって、Rが、水素原子またはメチル基である[1]に記載の共重合体。
[3] 前記式(2)で示される構造単位の含有量が、10~80モル%である[1]または[2]に記載の共重合体。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の共重合体を含む圧電材料。
[5] [1]~[3]のいずれかに記載の共重合体を含む圧電膜。
[6] [5]に記載の圧電膜と、前記圧電膜の一方の面と他方の面とにそれぞれ配置された電極とを有する圧電素子。
以下、本発明の共重合体、圧電材料、圧電膜および圧電素子について、詳細に説明する。
[共重合体]
本実施形態の共重合体(高分子)は、一般式(1)で示される構造単位と、式(2)で示される構造単位とを有する。
本実施形態の共重合体の有する式(1)で示される構造単位において、Rは、水素原子、メチル基、ジメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれるいずれか1種であって、Rは、水素原子またはメチル基である。本実施形態の共重合体は、式(1)で示される構造単位のRおよびRが上記のものであるため、容易に製造できる。また、本実施形態の共重合体は、式(1)で示される構造単位のRおよびRが上記のものであるので、耐熱性および圧電特性の良好な圧電膜の材料として使用できる。式(1)で示される構造単位のRおよびRは、極性を持たないため、体積が小さいものであることが好ましい。共重合体全体に占める極性を有する部分の体積の割合が相対的に増加し、これを用いた圧電膜の圧電特性向上に寄与するためである。具体的には、Rが、水素原子であって、Rが、水素原子またはメチル基であることが好ましい。さらに、実施例から明らかであるように、耐熱性および圧電特性の良好な圧電膜の材料として使用できるため、特に、Rが、水素原子であって、Rが、メチル基であることが好ましい。
式(1)で示される構造単位は、RおよびRが、オキサゾリジノン環とともにベンゾオキサゾリジノン骨格を形成しているものであってもよい。本実施形態の共重合体における式(1)で示される構造単位のRおよびRが、オキサゾリジノン環とともにベンゾオキサゾリジノン骨格を形成している場合も、容易に製造できるとともに、耐熱性および圧電特性の良好な圧電膜の材料として使用できる。
本実施形態の共重合体において、繰り返し単位である式(1)で示される構造単位と式(2)で示される構造単位との配列順序には、特に制限はない。また、本実施形態の共重合体において、式(1)で示される構造単位との数と、式(2)で示される構造単位の数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。したがって、本実施形態の共重合体は、式(1)で示される構造単位と式(2)で示される構造単位とが交互に配列された交互配列部と、式(1)で示される構造単位と式(2)で示される構造単位とが秩序なく配列されたランダム配列部と、式(1)で示される構造単位が連続して配列された部分と式(2)で示される構造単位が連続して配列された部分とを有するブロック配列部とが、任意の割合で分布したものであってもよい。本実施形態の共重合体は、式(2)で示される構造単位に含まれるフルオロ基およびニトリル基が、互いに極性を打ち消しあうように配向しにくくなり、耐熱性および圧電特性の良好な圧電材料として使用できるものとなるため、交互配列部を含むことが好ましい。
本実施形態の共重合体は、式(1)で示される構造単位の含有量が、10~80モル%であることが好ましく、20~70モル%であることがより好ましく、30~60モル%であることがさらに好ましい。式(1)で示される構造単位の含有量が10モル%以上であると、より一層耐熱性の良好な共重合体となる。また、式(1)で示される構造単位の含有量が80モル%以下であると、式(1)で示される構造単位の含有量が多すぎることによって、共重合体を含む圧電膜が硬く脆いものとなることを防止できる。また、式(1)で示される構造単位の含有量が80モル%以下であると、式(1)で示される構造単位が吸湿することによる共重合体の絶縁抵抗の低下を抑制できる。
本実施形態の共重合体は、式(2)で示される構造単位の含有量が、10~80モル%であることが好ましく、20~70モル%であることがより好ましく、30~60モル%であることがさらに好ましい。式(2)で示される構造単位の含有量が10モル%以上であると、絶縁抵抗が高く、柔軟な圧電膜を形成できる共重合体となる。また、式(2)で示される構造単位の含有量が80モル%以下であると、式(1)で示される構造単位の含有量を確保しやすくなる。その結果、式(2)で示される構造単位に含まれるフルオロ基およびニトリル基が、互いに極性を打ち消しあうように配向しにくく、耐熱性および圧電特性のより良好な圧電膜を形成できる共重合体となる。
本実施形態の共重合体は、必要に応じて、式(1)で示される構造単位および式(2)で示される構造単位以外の他の構造単位を、1種または2種以上含んでいてもよい。他の構造単位としては、例えば、アクリロニトリルなど重合性不飽和結合を有する公知のモノマーまたはオリゴマーに由来する構造単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体中に含まれる構造単位のうち、式(1)で示される構造単位と、式(2)で示される構造単位との合計含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であってもよく、式(1)で示される構造単位と、式(2)で示される構造単位のみであってもよい。
本実施形態の共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10,000~1,000,000であることが好ましい。共重合体の重量平均分子量(Mw)が10,000以上であると、成膜性が良好なものとなり、本実施形態の共重合体を含む圧電膜を容易に製造できる。共重合体の重量平均分子量(Mw)が1,000,000以下であると、溶媒に容易に溶解させることができ、溶媒に溶解した塗布液を用いて圧電膜を容易に製造できる。
「共重合体の製造方法」
本実施形態の共重合体は、例えば、式(1)で示される構造単位の由来となる化合物と、2-フルオロアクリロニトリルとを含む原料モノマーと、アゾビスブチロニトリルなどの重合開始剤とを用いて、公知の方法によりラジカル共重合する方法により製造できる。
本実施形態の共重合体を製造する際における反応温度、反応時間などの重合条件は、原料モノマーの組成などに応じて、適宜決定できる。
式(1)で示される構造単位の由来となる化合物は、式(1)で示される構造単位と、オキサゾリジノン骨格およびオキサゾリジノン骨格の炭素原子に結合している原子が同じであって、オキサゾリジノン骨格の窒素原子にビニル基が結合した化合物である。
式(1)で示される構造単位の由来となる化合物としては、具体的には、N-ビニル-オキサゾリジノン、N-ビニル-5-メチルオキサゾリジノン、N-ビニル-4-メチルオキサゾリジノン、N-ビニル-4,4-ジメチルオキサゾリジノン、N-ビニル-4-エチルオキサゾリジノン、N-ビニル-4-プロピルオキサゾリジノン、N-ビニル-4-イソプロピルオキサゾリジノン、N-ビニル-4-イソブチルオキサゾリジノン、N-ビニル-4-フェニルオキサゾリジノン、N-ビニル-4-ベンジルオキサゾリジノン、N-ビニル-2-ベンゾオキサゾリノンなどが挙げられ、目的物である本実施形態の共重合体の構造に応じて適宜決定される。
「圧電材料」
本実施形態の圧電材料は、本実施形態の共重合体を含む。本実施形態の圧電材料に含まれる本実施形態の共重合体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、本実施形態の圧電材料は、必要に応じて、本実施形態の共重合体とともに、本実施形態の共重合体以外の公知の高分子を1種または2種以上含んでいてもよい。
「圧電膜」
本実施形態の圧電膜は、本実施形態の共重合体を含む。
本実施形態の圧電膜は、例えば、以下に示す方法により製造できる。本実施形態の共重合体を含む本実施形態の圧電材料を、N,N-ジメチルホルムアミドなどの公知の溶媒に溶解して塗布液とする。次に、塗布液を剥離可能な基材上に所定の厚みで塗布し、塗膜を形成する。基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルムからなるものなど公知のものを用いることができる。塗布液の塗布方法は、塗布厚み、塗布液の粘度などに応じて、公知の方法を用いることができる。その後、塗膜を乾燥させて、塗膜中の溶媒を除去し、圧電材料シートとする。
その後、圧電材料シートを基材から剥離し、圧電材料シートの一方の面と、他方の面とにそれぞれ、アルミニウムなどの公知の導電材料からなる電極を設置し、圧電材料シートを形成している圧電材料のガラス転移温度付近の温度で電圧を印加した後、電圧を印加したまま冷却する。このことにより、圧電性を獲得する。以上の工程により、シート状の圧電膜が得られる。
圧電性を獲得するために使用した電極は、そのまま圧電素子を形成する部材として用いてもよいし、除去してもよい。
「圧電素子」
本実施形態の圧電素子は、本実施形態の圧電膜と、圧電膜の表面に配置された電極とを有する。具体的には、シート状の圧電膜と、圧電膜の一方の面と、他方の面とにそれぞれ配置された電極とを有するものが挙げられる。電極の材料としては、アルミニウムなど、公知の導電材料を用いることができる。
本実施形態の圧電素子は、例えば、圧電膜の一方の面と、他方の面とにそれぞれ、蒸着法など公知の方法により、電極を設けることにより製造できる。
本実施形態の共重合体は、一般式(1)で示される構造単位と、式(2)で示される構造単位とを有する。このため、本実施形態の共重合体は、耐熱性および圧電特性の高い圧電膜の得られる圧電材料として使用できる。
また、本実施形態の圧電材料は、本実施形態の共重合体を含むため、耐熱性および圧電特性の高い圧電膜の得られるものとなる。
また、本実施形態の圧電膜は、本実施形態の共重合体を含む。このため、本実施形態の圧電膜、および本実施形態の圧電膜を有する本実施形態の圧電素子は、耐熱性および圧電特性に優れる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
100mlのシュレンク菅で0.6ml(4mmol)の下記一般式(11)で示されるN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.9ml(12mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、12.4mg(0.08mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.6gの実施例1の高分子を得た。収率は40%であった。
Figure 2024013390000003
(一般式(11)において、Rは、水素原子である。)
実施例1の高分子について、NMR(核磁気共鳴)装置(商品名JNM-ECA500、日本電子株式会社製)を用い、溶媒としてジメチルスルホキシドd6(DMSO-d6)を用いて、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。
その結果、実施例1の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例1のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例1の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は76%であった。
「実施例2」
100mlのシュレンク菅で0.9ml(4mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.4ml(6mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、7.8mg(0.05mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.7gの実施例2の高分子を得た。収率は62%であった。
実施例2の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、実施例2の高分子は、実施例1の高分子と同様に、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例2のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例2の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は59%であった。
「実施例3」
100mlのシュレンク菅で0.6ml(6mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.4ml(6mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、9.1mg(0.06mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.5gの実施例3の高分子を得た。収率は48%であった。
実施例3の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。図1は、実施例1のH-NMR測定チャートである。図2は、実施例3の19F-NMR測定チャートである。
その結果、実施例3の高分子は、実施例1の高分子と同様に、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例3のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例3の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は50%であった。
「実施例4」
100mlのシュレンク菅で0.6ml(6mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.3ml(4mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、7.9mg(0.05mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.6gの実施例4の高分子を得た。収率は58%であった。
実施例4の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、実施例4の高分子は、実施例1の高分子と同様に、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例4のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例4の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は41%であった。
「実施例5」
100mlのシュレンク菅で0.6ml(12mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.4ml(6mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、9mg(0.05mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.7gの実施例5の高分子を得た。収率は59%であった。
実施例5の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、実施例5の高分子は、実施例1の高分子と同様に、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例5のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例5の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は25%であった。
「実施例6」
100mlのシュレンク菅で0.9ml(8mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノン(一般式(11)におけるRが、メチル基である化合物)と、0.3ml(4mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、10.3mg(0.06mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.7gの実施例6の高分子を得た。収率は56%であった。
実施例6の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、実施例6の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例6のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例6の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は74%であった。
「実施例7」
100mlのシュレンク菅で0.7ml(6mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノンと、0.3ml(4mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、8.3mg(0.05mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.8gの実施例7の高分子を得た。収率は56%であった。
実施例7の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、実施例7の高分子は、実施例6の高分子と同様に、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例7のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例7の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は65%であった。
「実施例8」
100mlのシュレンク菅で0.5ml(4mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノンと、0.3ml(4mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、6.2mg(0.04mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.6gの実施例8の高分子を得た。収率は76%であった。
実施例8の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。図3は、実施例8のH-NMR測定チャートである。図4は、実施例8の19F-NMR測定チャートである。
その結果、実施例8の高分子は、実施例6の高分子と同様に、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例8のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例8の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は53%であった。
「実施例9」
100mlのシュレンク菅で0.4ml(3mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノンと、0.3ml(4mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、5.5mg(0.03mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.4gの実施例9の高分子を得た。収率は57%であった。
実施例9の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、実施例9の高分子は、実施例6の高分子と同様に、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例9のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例9の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は38%であった。
「実施例10」
100mlのシュレンク菅で0.5ml(4mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノンと、0.6ml(8mmol)の2-フルオロアクリロニトリルとを混合し、4.4mg(0.03mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.6gの実施例10の高分子を得た。収率は51%であった。
実施例10の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定および19F-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、実施例10の高分子は、実施例6の高分子と同様に、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、式(2)で示される構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、実施例10のH-NMRスペクトルおよび19F-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、実施例10の高分子に含まれる式(2)で示される構造単位の含有量は24%であった。
「比較例1」
ポリアクリロニトリル(商品名181315、Sigma-Aldrich社製)を比較例1の高分子として用いた。
「比較例2」
ポリ(アクリロニトリル-CO-メチルアクリラート)(商品名517941、Sigma-Aldrich社製)を比較例2の高分子として用いた。
「比較例3」
100mlのシュレンク菅で0.4ml(4mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、1.2ml(16mmol)のアクリロニトリルとを混合し、11.5mg(0.07mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで1.1gの比較例3の高分子を得た。収率は78%であった。
比較例3の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例3の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例3のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例3の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は70%であった。
「比較例4」
100mlのシュレンク菅で0.4ml(4mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.6ml(9mmol)のアクリロニトリルとを混合し、7.8mg(0.05mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.7gの比較例4の高分子を得た。収率は70%であった。
比較例4の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例4の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例4のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例4の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は59%であった。
「比較例5」
100mlのシュレンク菅で0.4ml(4mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.4ml(7mmol)のアクリロニトリルとを混合し、6.8mg(0.04mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.5gの比較例5の高分子を得た。収率は68%であった。
比較例5の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例5の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例5のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例5の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は49%であった。
「比較例6」
100mlのシュレンク菅で0.4ml(4mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.3ml(4mmol)のアクリロニトリルとを混合し、5.9mg(0.04mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.6gの比較例6の高分子を得た。収率は87%であった。
比較例6の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例6の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例6のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例6の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は24%であった。
「比較例7」
100mlのシュレンク菅で1.2ml(12mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.1ml(2mmol)のアクリロニトリルとを混合し、0.9mg(0.03mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで4.5gの比較例7の高分子を得た。収率は73%であった。
比較例7の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例7の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRおよびRは、水素原子である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例7のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例7の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は14%であった。
「比較例8」
100mlのシュレンク菅で0.5ml(4mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノン(一般式(11)におけるRが、メチル基である化合物)と、1.0ml(16mmol)のアクリロニトリルとを混合し、10.7mg(0.07mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで0.9gの比較例8の高分子を得た。収率は68%であった。
比較例8の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例8の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例8のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例8の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は76%であった。
「比較例9」
100mlのシュレンク菅で0.9ml(8mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノンと、1.0ml(16mmol)のアクリロニトリルとを混合し、9.8mg(0.05mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで1.2gの比較例9の高分子を得た。収率は69%であった。
比較例9の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例9の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例9のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例9の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は57%であった。
「比較例10」
100mlのシュレンク菅で1.4ml(12mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノンと、1.0ml(16mmol)のアクリロニトリルとを混合し、10.8mg(0.07mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで1.5gの比較例10の高分子を得た。収率は67%であった。
比較例10の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例10の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例10のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例10の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は44%であった。
「比較例11」
100mlのシュレンク菅で1.4ml(12mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノンと、0.8ml(12mmol)のアクリロニトリルとを混合し、9.1mg(0.06mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで1.3gの比較例11の高分子を得た。収率は60%であった。
比較例11の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例11の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例11のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例11の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は28%であった。
「比較例12」
100mlのシュレンク菅で1.4ml(12mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノンと、0.4ml(6mmol)のアクリロニトリルとを混合し、14.8mg(0.09mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。反応生成物をメタノール200mlに投入して再沈殿を行い、濾別乾燥することで1.1gの比較例12の高分子を得た。収率は60%であった。
比較例12の高分子について、実施例1の高分子と同様にして、H-NMR測定を行い、分子構造を特定した。その結果、比較例12の高分子は、一般式(1)で示される構造単位(一般式(1)におけるRは、水素原子であり、Rは、メチル基である。)と、アクリロニトリルに由来する構造単位とを有する共重合体であることが確認できた。
また、比較例12のH-NMRスペクトルにおける各シグナルの積分値から組成比を算出した。その結果、比較例12の高分子に含まれるアクリロニトリルに由来する構造単位の含有量は13%であった。
「比較例13」
100mlのシュレンク菅で0.7ml(8mmol)のN-ビニル-オキサゾリジノンと、0.6ml(8mmol)の2-クロロアクリロニトリルとを混合し、12.2mg(0.07mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。しかし、反応時に2-クロロアクリロニトリルが分解し、重合体は得られなかった。
「比較例14」
100mlのシュレンク菅で0.9ml(8mmol)のN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノン(一般式(11)におけるRが、メチル基である化合物)と、0.6ml(8mmol)の2-クロロアクリロニトリルとを混合し、13.5mg(0.08mmol)のアゾビスイソブチロニトリルを加えて、60℃で2時間反応させた。しかし、重合時に2-クロロアクリロニトリルが分解し、重合体は得られなかった。
実施例1~実施例10および比較例3~比較例14についてそれぞれ、合成後に得られた高分子に含まれる一般式(1)で示される構造単位におけるRの種類と、合成に使用したニトリル基を有するモノマー名と、合成後に得られた高分子に含まれるニトリル基の含有量(式(2)で示される構造単位の含有量)とを、表1に示す。
また、比較例1および比較例2の高分子の化合物名を、それぞれ表1に示す。
Figure 2024013390000004

実施例1~実施例10および比較例1~比較例12の高分子についてそれぞれ、以下に示す方法により、ガラス転移温度(Tg)を測定した。その結果を表1に示す。
(ガラス転移温度(Tg)の測定方法)
高感度示差走査熱量計(商品名、DSC6200、セイコーインスツル株式会社製)を用いて、窒素雰囲気下、毎分20℃の昇温速度で30℃から200℃、毎分40℃の降温速度で200℃から30℃、毎分20℃の昇温速度で30℃から200℃の昇降温操作を行い、2回目昇温時の変曲点を求め、ガラス転移温度(Tg)とした。
また、圧電材料として実施例1~実施例10および比較例1~比較例12の高分子をそれぞれ用いて、以下に示す方法により圧電膜を製造し、圧電定数d33を測定した。その結果を表1に示す。
(圧電膜の製造)
圧電材料を溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、20質量%の高分子溶液(塗布液)を作製した。得られた高分子溶液を、基材としてのPETフィルム(商品名、ルミラー(商標登録)、東レ株式会社製)上に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、塗膜を形成した。その後、PETフィルム上に形成した塗膜を、120℃のホットプレート上で6時間乾燥させて、塗膜中の溶媒を除去し、圧電材料シートを得た。
得られた圧電材料シートをPETフィルムから剥離し、蒸着法により圧電材料シートの一方の面と、他方の面とにそれぞれ、アルミニウムからなる電極を設けた。その後、高圧電源装置HARB-20R60(松定プレシジョン株式会社製)と、圧電材料シートの電極とを電気的に接続し、100MV/mの電場を印加した状態で、140℃で15分間保持した。その後、電圧を印加したまま圧電材料シートを室温まで徐冷し、ポーリング処理を施して、シート状の圧電膜を得た。
(圧電定数d33の測定方法)
サンプル固定治具として先端の直径が1.5mmであるピンを用いて、圧電膜を測定装置に取り付けた。圧電定数d33の測定装置としては、PIEZOTEST社のピエゾメーターシステムPM200を用いた。
圧電定数d33の実測値は、測定される圧電膜の表裏によって、プラスの値、又はマイナスの値となる。本明細書中においては、圧電定数d33の値として、実測値の絶対値を記載する。
表1に示すように、実施例1~実施例10の高分子は、比較例1~比較例2の高分子と比較して、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性が良好であることが確認できた。
また、実施例1~実施例10の高分子はいずれも、ガラス転移温度(Tg)が十分に高く、耐熱性が良好であった。
表1に示すように、実施例1~実施例10の高分子を含む実施例1~実施例10の圧電膜は、比較例1の高分子を含む比較例1の圧電膜、および比較例2の高分子を含む比較例2の圧電膜と比較して、圧電定数d33が高く、圧電特性が良好であった。
また、実施例1~実施例10の高分子を含む圧電膜はいずれも、比較例3~比較例12の高分子を含む圧電膜と比較して、圧電定数d33が高く、圧電特性が良好であった。
特に、式(2)で示される構造単位の含有量が30~60モル%である高分子を含む実施例3~5、実施例8、9の圧電膜は、式(1)で示される構造単位のRが同じであって式(2)で示される構造単位の含有量が30モル%未満または60モル%超である高分子を含む圧電膜と比較して、圧電定数d33が高く、圧電特性が良好であった。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示される構造単位と、下記式(2)で示される構造単位とを有する共重合体。
    Figure 2024013390000005
    (一般式(1)において、Rは、水素原子、メチル基、ジメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれるいずれか1種であって、Rは、水素原子またはメチル基である、またはRおよびRは、オキサゾリジノン環とともにベンゾオキサゾリジノン骨格を形成する。)
  2. 前記一般式(1)において、Rが、水素原子であって、Rが、水素原子またはメチル基である請求項1に記載の共重合体。
  3. 前記式(2)で示される構造単位の含有量が、10~80モル%である請求項1または請求項2に記載の共重合体。
  4. 請求項1または請求項2に記載の共重合体を含む圧電材料。
  5. 請求項1または請求項2に記載の共重合体を含む圧電膜。
  6. 請求項5に記載の圧電膜と、前記圧電膜の一方の面と他方の面とにそれぞれ配置された電極とを有する圧電素子。
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