JP2024012167A - 色彩パラメータを使用した糸製造の制御又は評価 - Google Patents

色彩パラメータを使用した糸製造の制御又は評価 Download PDF

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Abstract

【課題】製造工程をより良好に制御することを可能にする。【解決手段】糸は、複数のセンサヘッド(12,18,24,30)を有する糸製造装置において製造される。製造工程を制御及び/又は評価するために、長尺繊維体は、第1のセンサヘッド(12,18,24,30)の付近を通過するように移動せしめられる。第1の複数の時点において、繊維体の色彩パラメータ(Pk)が第1のセンサヘッドを使用して計測され、その値が保存される。少なくとも1つの変型パラメータが色彩パラメータ(Pk)から決定され、工程の評価又は制御に使用される。特に、色彩パラメータ(Pk)の値はクラスタリングによって処理されてもよく、及び/又は、色彩パラメータ(Pk)の値は装置の作動パラメータ(Om)と関連付けられてもよい。この技法は、例えば、交差汚染を、又は機械のパラメータと色彩値及び不良部分の数との相関を検出するために使用することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、製造装置における長尺繊維体の製造工程、特に糸(ヤーン)製造装置における糸製造工程を制御又は評価する方法、及びそのような装置に関する。
色彩は糸の重要なパラメータであることが知られている。よって、糸の品質を評価するために色彩が計測される場合がある。
特に、糸の所望の色彩と一致しない部分は、巻き返し工程の際にヤーンクリアラにおいて除去することができる。そのような糸の除去作業は全体的な糸の品質を改善する一方で、時間と材料の損失をもたらす。
従って、本発明の全般的な目的は、製造工程をより良好に制御することを可能にする方法及び上記種類の装置を提供することである。そのようなより良好な制御は、例えば、工程の制御又は評価の改善によって得られる。
この目的は独立請求項に記載の方法及び装置によって達成される。
従って、本発明は、製造装置における長尺繊維体の製造工程、特に、少なくとも第1のセンサヘッドを有する糸製造装置における糸製造工程を、制御又は評価制御又は評価する方法に関する。該装置は、例えば紡績工場又はその一部であってよい。有利には、該装置は数個のセンサヘッドを具備するが、本発明のいくつかの態様、例えば後述されるグループ化、クラスタリング、及び/又は関連付けのステップのうちの一部が、単一のセンサヘッドしか備えずに実装されることもまた可能である。
有利には、用語「制御(すること)」は糸を製造する装置を制御することを指し、用語「評価(すること)」は、例えば品質管理において、及び/又は装置の制御のために使用される可能性のある、工程のパラメータを評価することを指す。
該方法は少なくとも、下記ステップすなわち:
- 第1のセンサヘッドの付近を通過するように長尺繊維体を移動させるステップ(繊維体は、例えば糸の前駆物質、糸、又は糸から製造された織物であってよい)と、
- 第1の複数の時点において、第1のセンサヘッドを用いて、繊維体の少なくとも1つの色彩パラメータを計測するステップ(色彩パラメータは糸の色彩を示す)と、
- 色彩パラメータの値を含む時系列の値を形成するステップ(「時系列」とは時間を様々に変えた一連の値として理解されるべきである。これらの値は少なくとも色彩パラメータの値、及び場合により後述のような他のパラメータの値を含む)と、
- 工程を制御又は評価するために色彩パラメータの値を使用するステップと
を含む。
特に、上記の値は、次の手段のうち少なくとも1つに使用することが可能である、すなわち:
a)値を、糸製造装置のデバイスを制御するために使用可能である;
b)値を、混入物質、原材料の不要成分、及び/若しくは繊維が不必要に空間配置された部分(この文脈では、「繊維が不必要に空間配置された」とは繊維体における繊維の望ましからぬ幾何学的配置、例えば過度の毛羽、若しくは望ましからぬ状態の稠密度及び/若しくは線密度を指すものと理解される)を除去するために使用可能である;
c)値を、作業者に誤動作を警告するために使用可能である;
並びに/又は
d)値を、誤動作の自動診断若しくは手動診断に使用可能である。
時系列はその場で「形成」されてよい、すなわちその値は恒久的には保存されないかもしれないが例えば即時の統計的前処理に供することができる。別例として、又は追加として、時系列の計測値は恒久的に保存されてもよい。
有利には、該方法は、色彩パラメータの時間変動から少なくとも1つの変型パラメータを測定するステップ、及び工程を制御又は評価するためにこの変型パラメータを使用するステップを含むことが可能である:変型パラメータは例えばパラメータの値の統計的分散から導くことが可能であり、及び/又は、変型パラメータは色彩パラメータの値によって形成された色彩クラスタを表すことが可能である。
「色彩パラメータの時間変動から」という表現は、有利には、「色彩パラメータの経時的な変化のしかたから」として理解されるべきである。
有利には、該方法はさらに、以下のステップすなわち:
- 第2の複数の時点において、繊維体の色彩パラメータに加えて、装置の少なくとも1つの作動パラメータを測定するステップ(作動パラメータは、例えば機械設定、どの品物が装置によって処理されているかというパラメータ、及び/又は気温若しくは湿度のような環境パラメータである。第2の複数の時点は、第1の複数の時点と同じであってもよいが、第1の複数の時点の上位集合又は部分集合であってもよいし、異なる一連の時点であってもよく、第1及び第2の複数の時点は部分的に重複していてもよい)と、
- 作動パラメータの値を時系列の値の一部として処理するステップ(そのような処理には、有利には、作動パラメータ及び色彩パラメータの値の組み合わせから糸製造工程に関する情報を導き出すことが含まれる)と
を含むことができる。
特に有利な実施形態では、作動パラメータの値は時系列の値の一部として恒久的に保存され、値を後で処理することが可能となっている。
有利には、色彩パラメータの値及び作動パラメータの値をより十分に比較するために、第1の複数の(色彩パラメータが得られる)時点及び第2の複数の(作動パラメータが得られる)時点は少なくとも共通する時間間隔にわたっている、すなわち2つの複数の時点の時間範囲は重なり合う。
既述のように、作動パラメータは少なくとも1つの機械設定を含むことができる。例えば、所与の作動パラメータは、下記のうちの1つであってよい:
- 作動パラメータは2進であってもよい。特に、作動パラメータは装置の処理部のオン・オフ状態を示していてもよい。この場合、オン・オフ状態は所与の処理部が作動しているか否かを記述するパラメータである。
- 作動パラメータは、カテゴリー分けに関していてもよい、すなわち少なくとも3つのカテゴリーを表してもよい。例えば、作動パラメータは、原材料の供給元、又は近隣の機械で紡糸された糸の色を示していてもよい。
- 作動パラメータは定量的であってもよく、かつ例えば、ドラフトの際の機械設定(ドラフトローラの間の距離など)又は周囲湿度について表してもよい。
そのような機械設定を使用することにより、色彩パラメータが処理部の作動状態に左右されるかどうかを測定することが可能となる。例えば、結果として処理部の作動が装置の別の部分に悪い影響を及ぼす恐れがあることが判明するかもしれない。
装置は複数の個別の処理部を具備することが可能であり、その場合、該方法は、処理部のうちいくつかについて、個別の作動パラメータを測定するステップを含むことができる。該パラメータは、各々のパラメータが個別の処理部の作動について表しているという意味で、個別である。そのような個別の作動パラメータを保存することにより、処理部が色彩パラメータの値に対して影響を及ぼすことに関してより十分な知見を得ることが可能となる。
特に重要な適用においては、作動パラメータ及び色彩パラメータの関連付けが行われる、すなわち色彩パラメータの経時的な挙動が作動パラメータと関係するかどうかが評価される。これにより、1又は複数の作動パラメータが色彩パラメータに対してどのように影響するかに関する知見が得られる。
例えば、所与の長尺繊維体の色彩パラメータが、その所与の長尺繊維体を処理していない1以上の処理部の作動パラメータと相関していることが判明するかもしれない。これは、交差汚染の測定にとって特に重要である。例えば、所与の色彩の糸を処理しておりその色彩パラメータをモニタリングしている場合、色彩の不具合は、該装置の異なる糸を処理している部分の作動と相関するかもしれない。その場合、所与の糸を処理する部分と他の種類の糸を処理する他の部分との間に交差汚染が生じていると結論付けることができる。
重要な態様において、該方法は、色彩パラメータによって決まる値を色彩グループにグループ化するステップを含む。これにより、存在しうる欠陥の種類がより十分に理解され、及び/又は、所与の糸の不具合がその糸から除去されるべきかどうか判断することが可能となる。
「色彩パラメータによって決まる値」とは、個々に計測された色彩パラメータの値又はその値に由来する値、例としては複数の計測値から、例えば加算平均によって、算出された値であってよい。
「グループ」とは、例えば予め規定されたグループであってよい。しかし、有利な実施形態では、グループ化は、クラスタリングによって、すなわちグループ化に使用されるグループについての先験的な(a-priory)知識を必要としないが、色彩パラメータの値に基づいて、例えば色彩パラメータの値の分布を分析することによって、これらのグループ(クラスタ)の少なくとも部分集合を決定することができるアルゴリズムにより、実践することができる。クラスタはクラスタの予想される位置について記述する出発パラメータから決定されてもよく、このとき出発パラメータのうち少なくとも一部は計測値とより十分に一致するように精密化される。別例として、クラスタは、クラスタ座標についての出発パラメータを使用せずに計測値のみに基づいて決定されてもよい。
よって、該方法は、色彩パラメータに依存する値をクラスタへとクラスタリングするステップを含むことができる。そのようなクラスタは、目下のデータ、例えば装置のその部位に存在する混入物質に適合する。
この文脈において、色彩クラスタへの「クラスタリング」とは、色彩パラメータの値を、同じグループ(クラスタと呼ばれる)の中の色彩の値が他のグループ(クラスタ)の中の値よりも互いに類似するような方法でグループ化するという作業である。類似性は、例えば、使用された色空間における計量(metric)により測定することが可能であり、色空間において類似性は計量から導き出された距離が減少するにつれて増大する。
既述のように、交差汚染の検出は本方法の有利な適用である。したがって、例えば、該方法は下記ステップすなわち:
- 「第1の」長尺繊維体において少なくとも1つの「潜在的欠陥部分」を検出するステップ(そのような潜在的欠陥部分は、例えば、色彩パラメータが第1の繊維体の所望の色彩パラメータから所与の閾値の差をつけて逸脱する部分、又はクラスタ分析から同定された複数の部分であってよい。よって、有利には、色彩パラメータの値は潜在的欠陥部分を検出するために使用される)と、
- 第1の長尺繊維体の潜在的欠陥部分の色彩パラメータに由来する少なくとも1つの「欠陥パラメータ」を、装置内で処理された「第2の」長尺繊維体の少なくとも1つの「基準色」に対して比較するステップ(「欠陥色」は、第1の長尺繊維体の潜在的欠陥部分における色彩パラメータの値によって形成されてよい。第2の長尺繊維体の基準色は、第2の長尺繊維体の「所望の色彩」であってもよいし、例えば第2の長尺繊維体の平均的色彩又は中間的色彩であってもよい)と
を含むことができる。
第2の長尺繊維体は、以下の条件のうち少なくとも1つを満たす繊維体であってよい。
- 第2の繊維体は装置内で第1の繊維体と同時に処理される。この場合、「同時に」とは、潜在的欠陥部分を処理しているときに第2の繊維体の一部が装置内でなおも処理中である(例えば製造又は移動又は一時保管されている)ことを意味する。潜在的欠陥部分の検出は、装置内で該部分を処理している間に、又は該部分を処理した後のデータの事後分析において、行うことができる。
- 第2の繊維体は装置内で第1の繊維体を処理する前に処理済みである。この第2の場合では、有利には、第2及び第1の繊維体の処理の間の時間は、1か月以下、特に1週間以下、特に1日以下である。その一方で、いくつかの実施形態では、第2及び第1の繊維体の処理の間の時間は少なくとも1時間である。一般に、この時間は、例えば装置の清掃の間隔、装置が作動する時の室内の空気の処理、及び/又はその他の操作手順によって変化しうる。
第2の長尺繊維体は、有利には、第1の長尺繊維体の所望の色彩とは異なる「基準色」を有する。
この基準色は、特にユーザによって、インタフェースを通して装置に入力されたパラメータであってよい。しかし有利には、基準色は装置のセンサヘッドのうち少なくとも1つによって計測される(すなわち計測値から導き出される)。このセンサヘッドは、上述の「第1のセンサヘッド」(すなわち、第1の長尺繊維体を計測するために後で使用されるのと同じセンサヘッド)であってもよいし、該装置の別のセンサヘッド、すなわち「第2のセンサヘッド」であってもよい。
欠陥色を第2の(1又は複数の)繊維体の基準色に対して比較するために、該方法は、以下のステップすなわち:
- 欠陥色と第1の長尺繊維体の所望の色彩との間の偏差(deviation)を測定するステップ(このステップにより、使用された色空間における欠陥の「方向」、例えば「糸は青色であるはずだがこの欠陥色は紫色である。より赤色に近く青色から遠いという偏差を有する。」ということを測定することが可能となる)と、
- この偏差を、
- 1又は複数の第2の繊維体の基準色、及び
- 第1の繊維体の基準色
の間の差に対して比較するステップと
を含むことができる。
欠陥色と第2の繊維体の基準色とを直接比較すると、最初に偏差を計算して次にその偏差を前記の基準色どうしの差と比較する間接比較よりも、意義に乏しい結果になるであろう。上記の例において、かつ直径が一定であると仮定すれば、青色の繊維が赤色の繊維に置き換えられたように見える。第2の糸の基準色が赤色である(又は第1の糸よりも赤い)場合、第2の糸が交差汚染の有力候補である。
交差汚染の検出は、いくつかの異なる「第2の繊維体」のうちの1つを交差汚染の潜在的発生源であると同定することが可能となる場合に特に有利である。よって、有利には、交差汚染を検出するために、欠陥色は前記装置において処理されるいくつかの異なる第2の長尺繊維体の基準色と比較される。この比較に基づき、妥当と思われる交差汚染発生源がいくつかの異なる第2の長尺繊維体の中から同定される。いくつかの異なる第2の長尺繊維体のうち少なくとも一部は、有利には、その基準色が異なっている。
既述のように、本発明はさらに製造装置に関する。この装置は、本発明の方法を実行するように適応かつ構造化された複数のセンサヘッド及び制御ユニットを具備する。
以降の本発明の詳細な説明を考慮すれば、本発明は一層よく理解され、かつ上記に述べた以外の目的が明白になるであろう。そのような説明においては添付の図面が参照される。
糸を製造するための装置の概略図。 センサヘッドにより計測される色成分の感度を正規化した例を示す図。 センサヘッドの実施形態の模式図。 繊維体について計測された色彩パラメータの値の例を示す図。
<定義>
色彩パラメータは、センサヘッドにより計測されるような色空間の少なくとも2つの色成分、有利には色空間の少なくとも3つの色成分を含む。色空間は、センサヘッドにより検出された色彩について表現するために使用される。この場合、色空間は、有利には少なくとも可視スペクトル範囲、例えば波長380~750nmにわたる。しかしながら、色空間はさらに紫外域、例えば少なくとも250nmの低域へ、及び/又は近赤外域、例えば少なくとも1.8μmの高域へと及んでもよい。
例えば、色成分は、繊維体の光反射又は光透過を少なくとも2つの異なるスペクトル範囲において表現することができる。有利には、その間にあるスペクトルの少なくとも3つの異なるスペクトル範囲において繊維体の光反射又は光透過を示す少なくとも3つの色成分であって、特に、少なくとも3つの異なる色の各々が、少なくとも部分的に250nm~1.8μmのスペクトル範囲に、特に少なくとも部分的に380~750nmの可視スペクトル範囲に入る、色成分があるとよい。
色空間は、RGB色空間、又は3以上の異なるスペクトル範囲の色を示す別の色空間であってもよいし、CMY又はHSV色空間であって成分がこれらの色空間における座標のうち少なくとも2つであるものであってよい。
繊維体は、糸の前駆物質、特にブロールーム内のフロック流、又はカード処理及び練条によって得られるようなスライバ若しくは粗紡糸であってもよいし、紡糸工程で得られるような糸又はそのような糸から製造された織物であってもよい。しかしながら、有利には、少なくとも特許請求の範囲に記載の「第1の」センサヘッドにおいてサンプリングされる繊維体は、糸である。
糸製造装置は、ブロールーム用機械類、カード機、練条機、紡績機、巻取機、及びヤーンクリアラのうち少なくとも1つを具備する。「ブロールーム用機械類」とは、有利には、例えばブロールームにおいて見られるような、開繊機又は除塵機を指し示している。
恒久的に値を保存する、とは、有利には、前記値を少なくとも1日は不揮発性メモリに保存することと理解されるべきである。
<概観>
図1は、綿紡績工場のいくつかの要素を糸製造装置の例として概略的に示している。
当業者には周知のように、そのような紡績工場は、綿俵が開繊されてフロックとなり、次にフロックに予備除塵及び微細除塵を行うことができる、ブロールーム(混打綿室)10を具備している。この工程では、1以上のフロック流が生成される。
該フロック流を、例えばブロールーム10の微細除塵機14の中のセンサヘッド12の付近を通過するように移動させることができる。これらのセンサヘッド12の機能については下記に述べる。
工場はさらにカード処理・練条部16を具備し、ここでフロック中の繊維は分離され、真っすぐに整えられ、成形されてスライバ及び粗紡糸となる。スライバ又は粗紡糸を、ここで再びセンサヘッド18の付近を通過させることができる。
次のステップでは、カード処理・整列(rowing)部16からの生成物が紡糸部20へと供給され、ここで該生成物は複数の紡糸ユニット22において紡がれて糸となる。糸を、ここで再びセンサヘッド24の付近を通過させることができる。
最後に、糸(例えばコップに巻かれたもの)は複数のヤーンクリアラ28を有する巻取部26に供給される。各ヤーンクリアラ28において、糸は、例えばコップからボビンへと巻き取られる間、センサヘッド30の付近を通過するように移動せしめられる。
装置はさらに、個々の構成要素の作動を制御する制御ユニット31を具備する。図1では制御ユニットは単一の要素として示されているが、分散型であること、及び/又は装置の異なる部分に属する小部分を有することも可能である。
典型的には、制御ユニット31は、少なくとも1つのCPU32、メモリ34、例えば様々なセンサヘッド由来及び装置の他のセンサ由来のセンサ信号を受け取るための入力インタフェース36、装置のアクチュエータを制御するための出力インタフェース38、ユーザ入力を受け取るための少なくとも1つの入力制御部40、並びに操作者に情報を表示するための少なくとも1つの表示部42を具備する。
制御ユニット31は、プログラムコード及びメモリ34に保存されたパラメータを使用して、様々な機能を実行することができる。特に、制御ユニットは、本明細書中に記載されるような方法を実行するようにプログラムされる。
<センサヘッド>
上述のように、装置は複数のセンサヘッド12、18、24、30を具備する。これらのセンサヘッドは各々、該センサの付近を通過している繊維体(上述のような糸又は糸の前駆物質であってよい)の少なくとも1つの色彩パラメータP(k=1・・・Kはセンサヘッドを示す添字であり、Kはセンサヘッドの数である)を計測するようになされている。センサヘッドにより実行される計測は稼働中に行われる、すなわち計測は繊維体が装置によって処理されている間に該繊維体に対して行われる。
色彩パラメータの値は、複数の異なる時点tikにおいて、有利には一定の時間間隔で、反復して計測される。
色彩パラメータは各々が色空間の数個の色成分C・・・Cを含み、Nは少なくとも2、特に少なくとも3である。そのような色成分Cはそれぞれ、繊維体と所与のスペクトル範囲Wの光との相互作用を表すことができる(すなわち相互作用によって決まる)が、このとき異なる色成分のスペクトル範囲は互いに異なっている。
1つの実施形態では、色空間は、上記に指定されるようなスペクトル範囲の様々なスペクトル成分を基にすることができる。
有利には、色成分Cはそれぞれ、所与のスペクトル範囲における繊維体の光反射率について表す。しかしながら、別の実施形態では、色成分Cはそれぞれ、所与のスペクトル範囲における繊維体の光透過について表してもよい。
スペクトル範囲は、重なり合わないこと、及び/又は可視スペクトルのかなりの部分にわたることが有利である。これは図2に例証されており、同図は、n=1・・・N(この場合はN=3)の色成分Cの感度を正規化して波長λの関数として示している。各々の色成分について、Wは半値におけるスペクトル範囲すなわち半値幅、及びMは最大感度波長を表わす。
重なり合わないために、有利には、少なくとも2つ、特に少なくとも3つの色成分であって、そのスペクトル範囲Wの相互重複(2つのスペクトル範囲W及びWの相互重複Oij
ij=2*Wij/(W+W
(式中のWijは、W及びWが重複する範囲である)によって定義される)が0.25未満である色成分が存在すべきである。
有利には、少なくとも1つのスペクトル範囲、特に少なくとも2つのスペクトル範囲が、良好な色選択性のために幅Wが50nm未満であるべきである。
可視スペクトルのかなりの部分に及ぶためには、有利には、最大感度Mが互いに少なくとも50nm離れている少なくとも2つ、特に少なくとも3つの色成分が存在すべきである。
有利には、少なくとも1つの最大感度Mは、紫色、青色、又は緑色のスペクトル範囲、すなわち550nm未満にあり、かつ少なくとも1つの最大感度Mは赤色のスペクトル範囲、すなわち600nmより上にある。特に、有利には、500nm未満の青色又は紫色のスペクトル範囲に1つの最大感度、500nm~600nmの緑色又は黄色/橙色のスペクトル範囲に少なくとも1つの最大感度、及び600nmより上の赤色のスペクトル範囲に少なくとも1つの最大感度がある。
図3は、1つのセンサヘッド44の可能な実施形態の模式図を示す。同図の実施形態では、センサヘッドは3つの光源46a、46b、46c及び光検知器48を具備している。光源46a、46b、46cは、例えば図2のスペクトル範囲に対応する異なるスペクトル範囲の光を放射する。光センサ48はこれらの全てのスペクトル範囲について感知できる。制御回路50は、例えば光パルスを連続して放射するように光源46a、46b、46cを作動させるために、かつそのような光パルス各々についての光センサ48における応答を検出するために、提供されている。
光源46a、46b、46cからの光は検査対象の繊維体52に当たり、繊維体と相互作用し、かつ、この相互作用の後に、光センサ48によって検出される。この相互作用は有利には反射である、すなわち光センサ48は繊維体52から反射された光源46a、46b、46c由来の光を検出する。
計測された光パルスを個々の光源46a、46b、46cに帰属させることにより、制御回路50は色成分Cをそれぞれのスペクトル範囲Wについて計測することができる。
さらに別の実施形態(図示せず)では、異なるスペクトル範囲Wにのみ感度を有する3つの別個の光検知器が、例えば広帯域の光源と組み合わせて使用されてもよい。
適切なセンサヘッドの例は、例えば欧州特許出願公開第3748343A1号明細書に記載されている。
異なるセンサヘッド44が異なる種類の繊維体について、すなわち製造工程の異なる段階の繊維体について使用されてもよい。
しかしながら、下記に述べるように、様々なセンサヘッドによって得られた色成分を互いに比較することができるので、有利な実施形態では、センサヘッド44のうち少なくともいくつかは同じ色成分Cを計測するために用意される、すなわちセンサヘッドのうち少なくともいくつかにより測定される色成分Cは共通の色空間の同じ成分である。特に、異なるスペクトル成分に基づく色空間について、いくつかのセンサヘッドのスペクトル範囲W及び最大感度Mは同一である。
特に、糸製造装置の異なる段階にある異なる種類の糸体から得た結果を互いに比較することになっている場合(例えば、スライバについての計測値を糸又はフロックについての計測値と比較することになっている場合)、異なる種類の糸体についての計測に使用されるセンサヘッドは同じ色成分Cを計測するようになされていると有利である。
<作動>
作動時、装置の制御ユニット31は、様々なセンサヘッド44の色彩パラメータP(kは上述のようにそれぞれのセンサヘッドを指定する添字である)の値を受け取る。センサヘッドの数Kは典型的には1よりはるかに多く、特に10よりも多い。
各々の色彩パラメータPはそれぞれのセンサヘッドkにより測定される色成分Cを含むか、又は、センサヘッド44によって実際に計測された色成分Cの関数として測定される様々な色成分を含むことが可能であり、例えば、色成分が異なる色空間に変換される、及び/又はいくつかの個々の計測値について平均した値が使用される、ということが可能である。
制御ユニット31は、色彩パラメータPの値を、その値が帰属する、具体的にはその値が計測された時間tikと一緒に、メモリ34に保存することができる。例えば、N=3と仮定して、成分C(tik)、C(tik)、C(tik)の値及びtikの表を、所与のセンサヘッドkについてメモリ34に保存することができる。
加えて、制御ユニット31は、装置の個々の作動パラメータOをメモリ34に保存することができる。該作動パラメータには次のパラメータのうち1以上が挙げられる。すなわち:
A)装置の機械設定、すなわち装置の要素の作動状態を表す値。この値としては次のパラメータのうち1以上が挙げられる。すなわち:
i)装置の処理部のオン・オフ状態。例えば、そのようなオン・オフ状態は、所与の紡糸ユニット22又は所与のヤーンクリアラ28及びその巻取装置が現在稼働しているかどうかを表す。
ii)装置の処理部の処理速度、例えば下記すなわち:
- カードのメインシリンダ(タンブール)の単位時間当たりの回転数、
- カードにおける生産速度(単位時間当たりの材料)
のうち少なくとも1つ。
iii)装置の処理部における糸張力。
iv)ドラフトローラの作動パラメータ。
v)コーミング工程における循環コーミング(circular combing)。
vi)コーマにおけるドラフト処理設定(距離及び/又は回転速度)。
vii)ドラフト装置におけるドラフト処理設定(距離及び/又は回転速度)。
viii)リング精紡機(メインドラフトエリア)におけるドラフト処理設定(距離及び/又は回転速度)。
ix)その他。
B)装置の所与の要素において処理される物品の種類、特に次のパラメータのうち1以上、すなわち:
i)処理されている物品の起源、例えば綿の製造業者。
ii)処理されている物品の「所望の色」及び/又は(上記の意味での)「基準色」、例えば糸又は糸の前駆物質の染め色。
iii)繊維体の、特に糸のパラメータ。このパラメータは、有利には糸の直径及び/又は処理されている糸の静電容量を含みうる。
iv)その他。
C)1以上の環境パラメータ。これは例えば下記すなわち:
i)装置の1以上の箇所における温度。
ii)装置の1以上の箇所における気湿。
iii)その他。
のうちの1つを含みうる。
作動パラメータO(m=1・・・Mである)の値は、様々な時点timにおいて測定され、かつこの場合もメモリ34に保存することができる。
作動パラメータOは、装置の要素に適用された制御設定から、装置の操作者によって得られた入力データから、及び/又は装置の1以上のセンサから、測定することができる。例えば、糸の直径及び/又は静電容量は、装置の適切な直径及び/又は静電容量用センサヘッドによって測定することができる。
その後、色彩パラメータ及び作動パラメータは、装置に関する情報を得るため、装置の作動を制御するため、問題を診断するため、及び/又は情報を表示するために、様々な方法で制御ユニット31によって処理することができる。
そのような処理の例は以下に提供されている。
<色のグループ化及びクラスタリング>
既述のように、1又は複数の色彩パラメータPの値、又はそこから導き出された値を、グループ化すること、特にクラスタリングすることが可能である。
これは図4の例で示されており、同図は稼働中に所与の繊維体について計測された色彩パラメータの値を示している。この場合3つの色成分Cが計測されたが、1つは青色のスペクトル範囲、1つは緑色のスペクトル範囲、及び1つは赤色のスペクトル範囲であった。図4のドット、+印、及びx印の1つ1つが、ある時点tikにおいて計測された色成分を表わす(i=1~Iであり、かつIはドット、+印、及びx印の数の合計である)。
図から分かるように、値の大部分(ドットとして示されているもの)は比較的密集した「主要な」グループにとどまっているが、2つのはっきり異なる「外れ値」のグループもあり、その1つは+印で、もう1つはx印で表示されている。
この場合、主要なグループは繊維体の期待される所望の色彩に近い色彩値に相当する一方、外れ値のグループは繊維体における特定の明らかな欠陥を示している。
例えば、主要なグループに対して「より暗い」側にあるx印は、暗色の混入物質による汚染を示すことができる一方、+印は主要なグループのものとは異なる色相を有し、したがって有色の混入物質による汚染を示すことができる。
よって、色彩パラメータの値をグループ化することにより、欠陥の性質に対するさらなる知見を得ることが可能であり、これにより製造工程をより良好に制御することが可能となる。更に、検出された異常について何を行うべきか、特に繊維体の一部を切り取るべきかどうかに関する判断は、その異常が属するグループ又はクラスタに応じて決めることができる。
有利には、グループ化はクラスタリングに基づいており、クラスタリングは色彩パラメータの値の分布に左右される動的過程であって、かつ作動パラメータO、特に他のセンサによって計測された繊維体の属性も利用することができる。例えば、糸の直径及び/又は静電容量をクラスタリングに使用して、例えば特定の色彩特性を有する糸の太い部分をグループ化し、かつ例えばそのような色彩特性を有するが太くない部分とは区別する(すなわち別のグループとする)ことも可能である。
適切なクラスタリングアルゴリズムは当業者には周知であり、例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Cluster_analysis、特に各クラスタが中心の色によって特徴付けられるセントロイドモデルに基づくものを参照されたい。例えば、k平均クラスタリングが使用されてもよく(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/K-means_clusteringを参照)、ここでkは例えば2(1つの主要な混入物質が予想される場合)及び/又は3(2つの主要な混入物質が予想されるとき)に設定される。
別例として、分布に基づいたクラスタリングを使用するアルゴリズム、例えば期待値最大化アルゴリズムが使用されてもよく、この場合色彩は分布を一定数としてモデル化される(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Expectation%E2%80%93maximization_algorithmを参照されたい)。
さらに別の実施形態では、クラスタが色彩データセットの残りの部分よりも高密度のエリアとして定義される密度ベースクラスタリング、例えばDBSCAN(density-based spatial clustering of applications with noise)が使用されてもよい(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/DBSCANを参照されたい)。
有利には、グループ化はさらに、既存の混入物質のグループ及びそれらの典型的な色彩に関する事前知識を利用することもできる。
既述のように、色彩パラメータPの計測値それぞれが必ずグループ化又はクラスタリングされるわけではない。むしろ、色彩パラメータPの個々の計測値から、例えばいくつかの計測値を組み合わせることによって、値が導き出されてもよい。例えば、一定長さの繊維体についての、又は様々な長さの異常部分についての、色彩の偏差の平均を計算し、かつそれらの平均値をグループ化又はクラスタリングすることができる。さらに、事前の判断基準を使用して、ある部分が他の部分の値を退けてクラスタリングの対象とするのに十分に妥当であるかどうかを判断することができる。
<交差汚染の検出>
既述のように、特に有利な技法は、交差汚染、すなわち装置内で処理中又は処理済みの材料の粒子が処理中の別の材料に混入する状況の検出に関する。
典型的には、交差汚染の検査は、「第1の」長尺繊維体の1以上の潜在的欠陥部分が検出された時に開始される。
例えば、潜在的欠陥部分は、色彩パラメータの値から、例えば前節で述べたようなクラスタリングを使用して、同定されてもよい。特に、外れ値のグループは、同じ原因を共有する欠陥部分として同定することができる。
交差汚染について検査するために、潜在的欠陥部分の色すなわち「欠陥色」は、前記装置において処理される第2の長尺繊維体の少なくとも1つの「基準色」に対して(直接的又は間接的に)比較される。基準色の値は、例えばメモリ34に保存されたような色彩パラメータ又は工程パラメータの値から取り出すことができる。
例えば、糸(第1の長尺繊維体に相当する)は白色であるべきなのに対して、その欠陥色は糸が赤みを帯びた色調を有することを示している場合、色相が一貫している赤みを帯びた糸(第2の長尺繊維体に相当する)が装置内で処理されたことがあるか又は処理中であることを示す記録についてメモリ34を調べることができる。肯定された場合、この赤みを帯びた糸と白色の糸との間の交差汚染が有力な診断であり、この診断により今後の交差汚染を回避するステップを設けることが可能となる。
例えば、使用した色空間が図2に示すような3つの別個のスペクトル範囲の色彩値を表す場合、潜在的な欠陥を示す欠陥色V=(C,C,C)を、潜在的欠陥の中の色成分から、又はクラスタの「典型的色彩」から導き出すことができる。この「典型的色彩」は、例えば、クラスタの平均の色彩、ロバスト平均の色彩、中間的色彩、及び/又はセントロイドの色彩であってよい。
この欠陥色Vを次に、メモリ34に保存された様々な「第2の」繊維体に帰属する基準色と比較することができる。
例えば、メモリ34は、装置内で現在又は最近処理された他の繊維体の基準色(例えば平均的又は中間的色彩)R(j=1~J)の一覧を含むことができる。
交差汚染が最も重要であるためには、基準色Rが第1の繊維体の所望の色彩とは異なっているべきである。同色の2種類の糸の間の交差汚染は一般に、異なる色の2種類の糸の間の交差汚染ほどは重要でない。
基準色Rに対する欠陥色Vの比較は、以下のステップを含むことができる:
1)欠陥色Vの、第1の長尺繊維体の所望の色彩DCとの偏差Tを測定するステップ。所望の色彩DCは、例えばクラスタ分析によって得られるような主要クラスタの典型的な色彩であってもよいし、第1の繊維体の平均的又は中間的色彩に由来していてもよいし、操作者により入力された値であってもよい。
偏差Tは、例えば、色成分のベクトル減算すなわち
T=V-DC
によって計算することができる。
例えば、RGB色空間において、糸が白色(DC=(1.0,1.0,1.0))であるべきであって欠陥色が赤みを帯びた色調(例えばV=(1.0,0.7,0.7))を有する場合、Tは(0,-0.3,-0.3)となろう。
2)偏差Tを基準色Rと比較するステップ。この比較の数学的詳細は、使用される色空間及びこの作業の所望の誤差許容範囲によって決まる。
例えば、比較は、各々の基準色Rについて測定を行うステップと、
=T・(R-DC)/(||T||・||R-DC||)
=T・(R-DC)/||R-DC||
により与えられる「混入物質色彩対応値」v及び「混入物質比」wを計算するステップとを含むことが可能であり、上記式中、1つめのドット・は2つのベクトルのスカラー積を示し、鉛直線||…||はベクトルの長さである適切なノルム、例えばユークリッドノルムを示している。
混入物質色彩対応値vは一般に、交差汚染を引き起こしたと思われる(1又は複数の)第2の繊維体jについては最大である(1に近い)。この値は、色彩の偏差の色相が繊維体jの混入とどの程度一致するかを表す。混入により第1の長尺繊維体の繊維と繊維体jの繊維との混合物が生じ、その結果として生じる色彩は2つの繊維体の色彩の間の任意の混色となりうる。wは、色彩がそのような混合の結果である場合の、混入した繊維の比率を表わす。したがって、混入が妥当とされるには、wは測定不確実性を考慮したうえで0~1でなければならない。上記の例において、T=(0,-0.3,-0.3)、かつメモリ34が赤色の繊維体の基準色R=(1,0,0)及び緑色の繊維体の基準色R=(0,1,0)を保存している場合、赤色の物体についての対応値vは1となる一方で緑色の物体についての対応値vは1未満となろう。さらに、赤色の物体の混入物質比は0.3であり、これは起こり得る混合比である、すなわち赤色の繊維体は交差汚染の有力候補である。
よって、この技法を使用すると、交差汚染の潜在的発生源を同定することができる。
1以上の候補が同定されたならば、装置の操作者は交差汚染がいつ、どのように生じたかを判断することができるかもしれず、かつ今後そのような交差汚染を、例えば不十分な機器除塵手順を特定することにより、又は疑わしい種類の繊維材料を空間的若しくは一時的に分離することにより、低減するためのステップを、実施することができる。
特に有利な実施形態では、交差汚染の検出は糸の巻き返しの際にヤーンクリアラ28の中の糸について実行される。巻き返し機及びヤーンクリアラは互いに近接して設置されることが多く、特に隣接するヤーンクリアラの間の交差汚染は可能性が高いことが分かっている。
特に有利な別の実施形態では、交差汚染の検出は、ヤーンクリアラ28における計測値に基づき紡糸ユニット22について実行される。その地点で交差汚染が生じると、糸の中に組み込まれてその混入部分ごと除去しなければ糸から取り除くことは困難な欠陥が発生する。
よって、有利には、第1及び第2の長尺繊維体は装置のヤーンクリアラ28において処理されている。
交差汚染の可能性を評価するために、1以上の第2の長尺繊維体の基準色を、それらが装置内で処理された物理的位置と共に保存することも好都合である。これにより、第1の繊維体までの空間的距離を評価することが可能となる。距離が短いということは交差汚染のリスクが高いということを示している。
よって、有利には、該方法は、1以上の第2の長尺繊維体の基準色を、その1以上の第2の長尺繊維体が装置内で処理された物理的位置を示す位置パラメータと共に保存するステップを含む。この位置パラメータは、例えば、装置内の処理ステーションの独自のidであってよい。
有利には、「物理的位置」という用語は、繊維体を製造するための装置(工場設備)内の位置を示すパラメータとして理解されることになる。これは例えば、装置内の座標、又は装置の機械部の識別子であってよい。
<グループ化及びクラスタリングのその他の適用>
グループ化、特にクラスタリングは、交差汚染の過程に関するよりよい理解をもたらすだけでなく、他の目的にも適用することができる。
例えば、グループに応じた処理ルールを規定するためにヤーンクリアラにおいて使用することが可能である。例えば、有機性の異物から生じる欠陥に対するよりもプラスチック製の異物から生じる欠陥に対して厳しい除去ルール、計数ルール、又は他の処理ルールを提供することが望まれるかもしれない。有機性の異物は典型的には色空間の褐色を帯びた黄色の領域にあるグループに分類される一方、プラスチックはどこにでも現れる可能性があり、そのためこの2つを識別することが可能となっている。
よって、より一般的には、本発明は、
- ヤーンクリアラにおいて、糸の欠陥を、色彩パラメータ及び/又は作動パラメータ、特に糸の静電容量及び/又は糸直径を示すパラメータの関数として、異なるグループへとグループ化(特にクラスタリング)するステップと、
- 異なるグループについて異なる処理ルール、特に異なる糸除去基準を適用するステップと
を含むことができる。
<パラメータの関連付け>
さらに別の重要な技法において、問題の発生源を検出するためにパラメータ間の関連性を調べることができる。
特に、作動パラメータ及び色彩パラメータについて制御ユニット31で関連付けを行うことが可能である、すなわち色彩パラメータが他の作動パラメータと相関するかどうかが評価される。これにより、1以上の作動パラメータが色彩パラメータにどのように影響を及ぼすかについての知見が得られる。
関連付けの技法は当業者には周知である(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Correlationを参照されたい)。
よって、有利には、本方法は、
- 少なくとも1つの作動パラメータに依存する値VOと、
- 色彩パラメータに依存する値VP
の間の相関を測定するステップを含む。
例えば、(第1の)色彩パラメータPの値が時間tikにおいて記録されてメモリ34に保存済みであると仮定する。
例えば、N=3、成分C(tik)、C(tik)、C(tik)、及びtikの値の表が保存済みであると仮定する。明確に時間tikを保存する代わりに、他のパラメータ、例えば
- 計測の指標、又は
- 繊維体上のどこで成分が記録されたかについて示す場所の値
が保存されてもよい。例えば、コップ又はボビンの指標、及びコップ又はボビンに巻き取られる糸に沿った場所、を挙げることができる。
加えて、上述のような1以上の作動パラメータO(t)(m=1・・・M)は様々な時間timにおいて測定済みであり、それらの値もメモリ34に保存される。
その場合、色彩パラメータPから導き出された値VPと作動パラメータOから導き出された値VOとの間の相関を計算することができる。
有利には、時系列VO及びVPのうち一方だけが保存されて、相関は第2の時系列を処理する間に実時間で計算される。
例えば、値VPは色成分Cのうちの1つに対応してもよい。しかしながら、値VPは、いくつかの成分に内包された情報を使用するために、2以上の色成分Cによって決まると有利である。例えば、上述のような所望の色彩DCからの色成分Pの偏差の絶対値から計算することができる、すなわち
VP=|P-DC|
である。
所与の時間t1についてのVP(t1)は、t1周辺の様々な時点におけるいくつかの計測された色彩パラメータPから計算されてもよい。加えて、又は別例として、所与の時間t2についての値VO(t2)も、t2周辺の様々な時点におけるいくつかの作動パラメータOから計算されてよい。これらの値は、例えば、移動平均、内挿及び/又は他のデータ結合技法を使用して決定することができる。
さらに別の実施形態では、値VP(t1)は、例えば、糸の長さ当たりの色彩の不具合の数、又は繊維体の所与の部分についての所与のクラスタに分類された不具合の数であってもよい。
値VP(t1)及びVO(t2)の関連付けが行われる時間t1及びt2は、連鎖的生産工程のうち該パラメータが関係している段階によって決まる。例えば、紡糸部20の作動パラメータOがヤーンクリアラ28で計測されるような糸の色彩パラメータPに影響を及ぼす場合、t2はt1より前の適切な時点である必要がある。さらに、繊維体の同じ部分に当てはまるパラメータの関連性を調べるために、紡績工場の様々な処理段階の様々な処理速度を考慮に入れることが必要かもしれない。
よって、一般に、第1の時点t1に起因する値VP(t1)と第2の時点t2に起因する値VO(t2)との間の相関は、t1=fkm(t2)を用いて決定されなければならない。関数fkmは、作動パラメータO(t)の既知の値の時点timが色彩パラメータの計測の時点tikとどのように関係しているかを表す。
典型的には、関数fkmは以下すなわち
km(t2)=Δt+k・t2
であり、式中のΔtは、作動パラメータが割り当てられる段階(例えば紡糸)と、色彩パラメータが計測される段階(例えばヤーンクリアラにおける巻き取り)との間の時間遅延を表している。kは、第1及び第2の段階における異なる糸処理速度の比である。Δt及びkは、糸上の所与の位置における色彩パラメータPが、その同じ位置が第1のユニットで処理された時の作動パラメータOと相関するように、計算される。
VP(fkm(t2))とVO(t2)との間の相関は、作動パラメータOが色彩パラメータPに対して影響を及ぼすかどうかを表している。
よって、より一般的には、本発明は、所与の第1の時点t1における色彩パラメータから導き出された少なくとも1つの値と、第1の時点よりも前である第2の時点t2で記録された作動パラメータから導き出された少なくとも1つの値との相関を測定するステップを含むことができる。
<パラメータの相互相関の測定>
前節で述べた関連付け技法は、色彩パラメータ及び作動パラメータの計測時点の間の時間遅延が既知である、すなわち関数fkmが既知であると仮定している。しかしながら、時には、計測される色彩パラメータPに対して連鎖的生産工程の中のどの事前の処理ステップが影響を及ぼすかは分からない場合もある。例えば、湿度及び/又は温度が、色彩パラメータが測定される糸の事前のいくつかの製造ステップのうちいずれかに影響を及ぼしたかもしれない。
この場合、相互相関の技法を使用して、色彩パラメータPが未知の先行する時点における作動パラメータOに左右されるかどうかを同定することが可能である(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Cross-correlationを参照されたい)。相互相関は、類似した特性の間の時間遅延を決定することも可能とするので、単なる相関を超えた追加情報を提供する。
その場合、色彩パラメータPから導き出された値VP(t)は、作動パラメータOから導き出された値VO(t)との間で、例えば積分計算
∫VP(t).VO(t+τ)dt
を行うことによって相互相関を測定することができる。
<注記>
よって、本システムでは、糸は複数のセンサヘッド20、18、24、30、44を有する糸製造装置において製造される。少なくとも1つの変型パラメータが色彩パラメータの値から時間の関数として決定される。この変型パラメータは、上述のように、例えばクラスタリングから、又は相互相関から、又は色彩値と所望の色彩との偏差から、得ることができる。
変型パラメータはその後、工程について評価するために、すなわち問題の考え得る原因を診断するために使用することが可能であり、及び/又は、変型パラメータは工程を制御するために使用することも可能である。工程は、制御ユニット31が変型パラメータを分析した後で該ユニットにより直接制御されてもよいし、又は制御が、変型パラメータを操作者が分析した後の操作者の入力に基づいてもよい。
本発明の現時点で好ましい実施形態について提示及び説明がなされているが、本発明はそれらに限定されるものではなく添付の特許請求の範囲の範囲内において他の形で様々に具体化及び実行されうるということは、明確に理解されるべきである。

Claims (32)

  1. 少なくとも第1のセンサヘッド(12,18,24,30;44)を有する製造装置における長尺繊維体の製造工程、特に糸製造装置における糸製造工程を、制御又は評価する方法であって、
    第1のセンサヘッド(12,18,24,30;44)の付近を通過するように長尺繊維体(52)を移動させるステップ、
    第1のセンサヘッド(12,18,24,30;44)を使用して、繊維体(52)の色彩パラメータ(P)を第1の複数の時点で計測するステップ、
    色彩パラメータ(P)の値を含む時系列の値を形成するステップ、
    工程を制御又は評価するために色彩パラメータ(P)の値を使用するステップ
    を含む方法。
  2. 色彩パラメータの時間変動から、少なくとも1つの変型パラメータを測定するステップ、及び
    この変型パラメータを、工程を制御又は評価するために使用するステップ
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 繊維体(52)の色彩パラメータ(P)に加えて、装置の少なくとも1つの作動パラメータ(O)を第2の複数の時点で測定するステップと、
    前記作動パラメータ(O)の値を時系列の値の一部として処理するステップと
    をさらに含み、
    かつ特に、作動パラメータ(O)の値は時系列の値の一部として恒久的に保存される、
    請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 第1の複数の時点及び第2の複数の時点は、少なくとも共通する時間間隔にわたっている、請求項3に記載の方法。
  5. 作動パラメータ(O)は少なくとも装置の機械設定を含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記機械設定は、
    装置の処理部のオン・オフ状態、
    原材料の供給元、
    近隣の機械で紡糸された糸の色彩、及び
    ドラフト処理中の機械設定、並びに
    周囲湿度
    のうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 装置は複数の処理部を具備し、かつ方法は、処理部のうちいくつかについて、個々の作動パラメータ(O)を測定することを含む、請求項3に記載の方法。
  8. 作動パラメータ(O)に依存する値(VO)及び色彩パラメータ(P)に依存する値(VP)の関連付けを行うステップを含む、請求項3に記載の方法。
  9. 作動パラメータ(O)に依存する値(VO)及び色彩パラメータ(P)に依存する値(VP)の関連付けを行うステップを含み、
    長尺繊維体(52)を処理していない処理部の作動パラメータ(O)に依存する値(VO)が、長尺繊維体(52)の色彩パラメータ(P)に依存する値(VP)と関連付けられる、請求項6に記載の方法。
  10. 作動パラメータ(O)に依存する値(VO)及び色彩パラメータ(P)に依存する値(VP)を相互に相関させるステップを含む、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
  11. 色彩パラメータ(P)に依存する値(VP)を色彩グループへとグループ化するステップを含む、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
  12. 色彩パラメータ(P)に依存する値(VP)を色彩クラスタへとクラスタリングするステップを含む、請求項11に記載の方法。
  13. ヤーンクリアラにおいて、糸の欠陥を、色彩パラメータ(P)及び/又は作動パラメータ、特に糸の静電容量及び/又は直径を示すパラメータの関数として、異なるグループへとグループ化、特にクラスタリングするステップと、
    異なるグループについて、異なる処理ルール、特に異なる糸除去基準を適用するステップと
    を含む、請求項11に記載の方法。
  14. 第1の長尺繊維体(52)の中の少なくとも1つの潜在的欠陥部分を検出するステップと、
    交差汚染を検出するために、潜在的欠陥部分における色彩パラメータ(P)から導き出された少なくとも1つの欠陥色(V)を、前記装置において処理された第2の長尺繊維体(52)の少なくとも1つの基準色(R)に対して比較するステップと
    を含む、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
  15. 第2の長尺繊維体(52)は、前記装置において、第1の繊維体(52)と同時に処理される、請求項14に記載の方法。
  16. 第2の長尺繊維体(52)は、前記装置において、第1の繊維体(52)を処理する前に処理済みであり、かつ特に、
    第2及び第1の繊維体(52)の処理の間の時間は、1か月以下、特に1週間以下、特に1日以下であり、及び/又は
    第2及び第1の繊維体(52)の処理の間の時間は、少なくとも1時間である、
    請求項14に記載の方法。
  17. 第2の長尺繊維体(52)は、第1の長尺繊維体(52)とは異なる基準色(R)を有する、請求項14に記載の方法。
  18. 基準色(R)は、第1のセンサヘッド(12,18,24,30;44)を使用して、又は装置の第2のセンサヘッド(12,18,24,30;44)を使用して、装置によって計測される、請求項14に記載の方法。
  19. 欠陥色(V)を少なくとも1つの基準色(R)に対して比較するために、該方法は、
    欠陥色(V)と第1の長尺繊維体(52)の所望の色彩(DC)との間の偏差(T)を測定するステップと、
    偏差(T)を、基準色(R)と第1の繊維体(52)の基準色との間の差に対して比較するステップと
    を含む、請求項14に記載の方法。
  20. 交差汚染を検出するために、欠陥色(V)は、前記装置において処理されたいくつかの異なる第2の長尺繊維体の基準色(Rj)と第1の繊維体の基準色との間の差に対して比較される、請求項14に記載の方法。
  21. 基準色(R)は、1又は複数の第2の長尺繊維体(52)の平均的色彩又は中間的色彩である、請求項14に記載の方法。
  22. 第1及び第2の長尺繊維体(52)は装置のヤーンクリアラ(28)において処理されている、請求項14に記載の方法。
  23. 1又は複数の第2の長尺繊維体(52)の基準色(R)を、その1又は複数の第2の長尺繊維体(52)が装置内で処理された物理的位置を示す位置パラメータと共に保存するステップを含む、請求項14に記載の方法。
  24. ヤーンクリアラにおいて、糸の欠陥を、色彩パラメータ(P)及び/又は作動パラメータ、特に糸の静電容量及び/又は直径を示すパラメータの関数として、異なるグループへとグループ化、特にクラスタリングするステップと、
    異なるグループについて、異なる処理ルール、特に異なる糸除去基準を適用するステップと
    を含み、
    欠陥色(V)は、色彩パラメータ(P)のクラスタリングにおいて決定されたクラスタに由来する、請求項14に記載の方法。
  25. 色彩パラメータ(P)は、色空間の少なくとも2つの色成分(C)、特に少なくとも3つの色成分(C)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  26. 該成分(C)は、少なくとも2つの異なるスペクトル範囲(W)、特に少なくとも3つの異なるスペクトル範囲(W)における繊維体(52)の光反射又は光透過を表し、かつ色成分は3つの異なる波長における最大感度(M)を有する、請求項25に記載の方法。
  27. 異なるスペクトル範囲(W)は相互重複が0.25未満であり、かつ/又は
    少なくとも1つのスペクトル範囲(W)、特にスペクトル範囲のうち2つは50nm未満の幅を有し、かつ/又は
    少なくとも1つの最大感度(M)は550nm未満であり、かつ少なくとも1つの最大感度(M)は600nmを上回り、特に、少なくとも1つの最大感度(M)は500nm未満であり、少なくとも1つの最大感度(M)は500nmと600nmとの間にあり、かつ少なくとも1つの最大感度(M)は600nmを上回る、
    請求項26に記載の方法。
  28. 製造装置は複数のセンサヘッド(17,18,24,30;44)を具備する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
  29. 製造装置は複数のセンサヘッド(17,18,24,30;44)を具備し、かつ
    センサヘッド(12,18,24,30;44)のうち少なくともいくつかは同じ色成分(C)を計測する、
    請求項25に記載の方法。
  30. 異なる種類の糸体について計測するために使用されるセンサヘッド(12,18,24,30;44)は同じ色成分(C)を計測する、請求項29に記載の方法。
  31. 時系列の値を恒久的に保存するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  32. 製造装置、特に糸製造装置であって、
    少なくとも1つのセンサヘッド(12,18,24,30;44)と、
    請求項1又は2に記載の方法を実行するように適応かつ構造化された制御ユニット(31)と
    を具備する製造装置。
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