JP2024011945A - 導電性ペースト、硬化物および半導体装置 - Google Patents

導電性ペースト、硬化物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】実装信頼性と熱伝導性のバランスが向上した導電性ペーストを提供すること。【解決手段】(メタ)アクリルモノマー(A)と、(メタ)アクリル重合体(B)と、導電性粒子(C)と、を含有する、導電性ペーストにおいて、当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み1mmの硬化物の、レーザーフラッシュ法により測定される25℃での厚み方向の熱伝導率λが10W/m・K以上であり、かつ、当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み250μmの硬化物を、25℃、引張モード、周波数10Hzで粘弾性測定することで求められる動的貯蔵弾性率E'が20GPa以下である、導電性ペースト。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ペースト、硬化物および半導体装置に関する。
半導体装置は、例えば、半導体素子が基板上に積層され、半導体素子の電極が基板上の電極等に接続された構造を有する。
このような半導体装置では、半導体素子を基板上に接着するのに、ペースト状の樹脂組成物が用いられる。すなわち、半導体素子は、ペーストから形成される接着層を介して基板上に積層される。
半導体素子の接着に用いられるペーストには、導電性と熱伝導性が求められており、これらの性能を付与する成分として、金属微粒子が配合される。
例えば、特許文献1には、(A)プレート型銀微粒子と、(B)平均粒子径0.5~30μmである銀粉と、(C)熱硬化性樹脂と、を含む熱硬化性樹脂組成物が記載されている。
特開2014-194013号公報
近年、半導体チップなどの半導体装置の小型化、薄肉化が進んでいる。このような小型化、薄肉化された半導体チップにおいては、半導体素子を接着するための接着層を薄くすることが益々求められている。
加えて、半導体チップには、近年益々高度な実装信頼性が求められるようになってきている。しかし、接着層の膜厚の設定が薄くなるにつれ、実装信頼性が悪化してしまうという課題が生じていた。
また、半導体チップの接着層には熱伝導性の向上も求められている。半導体チップで生じた熱を外部へ効率よく放出し、半導体チップの熱暴走を防ぐためである。
本発明は、このような事情を鑑みなされたものであり、実装信頼性と熱伝導性のバランスが向上した導電性ペーストを提供することを目的とする。
本発明によれば、以下に示す導電性ペースト、硬化物および半導体装置が提供される。
[1]
(メタ)アクリルモノマー(A)と、
(メタ)アクリル重合体(B)と、
導電性粒子(C)と、
を含有する、導電性ペーストにおいて、
当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み1mmの硬化物の、レーザーフラッシュ法により測定される25℃での厚み方向の熱伝導率λが10W/m・K以上であり、かつ、
当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み250μmの硬化物を、25℃、引張モード、周波数10Hzで粘弾性測定することで求められる動的貯蔵弾性率E'が20GPa以下である、導電性ペースト。
[2]
上記[1]に記載の導電性ペーストにおいて、
当該導電性ペースト中の導電性粒子(C)含有量が50質量%以上99質量%以下である、導電性ペースト。
[3]
上記[1]または[2]に記載の導電性ペーストにおいて、
上記(メタ)アクリルモノマー(A)が、単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)と、多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)と、を含む、導電性ペースト。
[4]
上記[1]~[3]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
上記(メタ)アクリル重合体(B)のガラス転移点温度(Tg)が-75℃以上25℃以下である、導電性ペースト。
[5]
上記[1]~[4]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
上記(メタ)アクリル重合体(B)の重量平均分子量が5000以下である、導電性ペースト。
[6]
上記[1]~[5]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
上記(メタ)アクリル重合体(B)が反応性基を有する、導電性ペースト。
[7]
上記[1]~[6]のいずれかに記載の導電性ペーストにおいて、
当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み250μmの硬化物を、250℃、引張モード、周波数10Hzで粘弾性測定することで求められる動的貯蔵弾性率E'が2GPa以上である、導電性ペースト。
[8]
上記[1]~[7]のいずれかに記載の導電性ペーストであって、
さらにスペーサー粒子を含有する、導電性ペースト。
[9]
上記[1]~[8]のいずれかに記載の導電性ペーストであって、
さらにカップリング剤を含有する、導電性ペースト。
[10]
上記[1]~[9]のいずれかに記載の導電性ペーストであって、
さらにラジカル重合開始剤を含有する、導電性ペースト。
[11]
上記[1]~[10]のいずれかに記載の導電性ペーストであって、
ダイアタッチ用である、導電性ペースト。
[12]
上記[1]~[11]のいずれかに記載の導電性ペーストの硬化物。
[13]
基材と
上記[1]~[11]のいずれかに記載の導電性ペーストの硬化物である接着層を介して上記基材上に搭載された半導体素子と、
を備える半導体装置。
本発明によれば、実装信頼性と熱伝導性のバランスが向上した導電性ペーストが提供される。
本実施形態の半導体装置の一例を示す断面図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
本実施形態では、数値範囲を示す「A~B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
本実施形態における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本実施形態における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本実施形態における導電性ペースト中の各成分の含有量とは、後述する溶媒を含む場合には、導電性ペーストのうちの溶媒を除く成分全体に対する含有量を指す。
[導電性ペースト]
本実施形態の導電性ペーストは、
(メタ)アクリルモノマー(A)と、
(メタ)アクリル重合体(B)と、
導電性粒子(C)と、
を含有する、導電性ペーストにおいて、
当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み1mmの硬化物の、レーザーフラッシュ法により測定される25℃での厚み方向の熱伝導率λが10W/m・K以上であり、かつ、
当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み250μmの硬化物を、25℃、引張モード、周波数10Hzで粘弾性測定することで求められる動的貯蔵弾性率E'が20GPa以下である。
本発明者らが実装信頼性向上のために検討を行ったところ、低応力剤を配合することにより実装信頼性が向上することを見出した。ここで低応力剤とは弾性率を低減する等の作用で硬化物の応力を緩和させる等の機能を有すると当業者において一般に認識される剤である。しかし、本発明者らの検討の結果、低応力剤を配合すると導電性ペーストから形成される接着層の熱伝導性が悪化する傾向があることが明らかとなった。
本実施形態の導電性ペーストによれば、実装信頼性と熱伝導性のバランスが向上する。
本実施形態の導電性ペーストにより実装信頼性と熱伝導性のバランスが向上するメカニズムは明らかではないが、上記の成分(A)および(B)を含有すること、そして、導電性ペーストから形成される硬化物の熱伝導性と柔軟性がそれぞれ一定以上であることによると推測される。
<(メタ)アクリルモノマー(A)>
(メタ)アクリルモノマー(A)の種類は特に限定されず、(メタ)アクリル基を有するものであれば、特に制限なく用いることができる。
(メタ)アクリルモノマー(A)は、(メタ)アクリル基を分子内に一つのみ有する化合物、すなわち、単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)、および、(メタ)アクリル基を分子内に二つ以上有する化合物、すなわち、多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)に大別される。
単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)を配合することは硬化収縮を抑制できるという点で好ましく、他方、多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)を配合することは導電性ペーストから形成される硬化物を高弾性化できるという点で好ましい。
単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)としては、下記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。
Figure 2024011945000002
上記式(1)中、R11は水素またはメチル基であり、R12は炭素数1~20の一価の有機基である。R12は、酸素原子、窒素原子、およびリン原子のうちの一種または二種以上を含んでいてもよく、そのR12の構造中に、ヒドロキシ基や、カルボキシル基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、アミド基等を含んでもよい。
上記式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステルは、特に限定されないが、例えば、R12の構造中にヒドロキシ基を含むものとしては、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、および2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート等を挙げることができる。
また、R12の構造中にヒドロキシ基を含まないものとしては、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-ラウリルアクリレート、n-ラウリルメタクリレート、n-トリデシルメタクリレート、n-ステアリルアクリレート、n-ステアリルメタクリレート、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングルコールアクリレート、2-エチルヘキシルジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、フェニルフェノールエチレンオキシド変性アクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物、グリシジルメタクリレート、およびネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル等を例示できる。
多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)としては、例えば、ビス(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。このようなビス(メタ)アクリル酸エステルとしては、4,4'-イソプロピリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン、1,4-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ブタン、1,6-ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキサン、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、N,N'-ジ(メタ)アクリロイルエチレンジアミン、N,N'-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、又は1,4-ビス((メタ)アクリロイル)ピペラジンなどが挙げられる。
硬化収縮抑制と高弾性化を両立させるという観点でいうと、上記モノマー(A)は、単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)と、多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)と、を含むことがより好ましい。
モノマー(A)が上記(A1)と上記(A2)とを両方含む場合、上記(A2)に対する上記(A1)の含有量の比の上限値は、例えば、10以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。このように多官能(メタ)アクリルモノマーが過剰であることにより、重合に寄与しない(メタ)アクリルモノマーが生じることを抑制でき、強固な架橋構造を形成できる。
上記(A2)に対する上記(A1)の含有量の比の下限値は、例えば、0.3以上であり、好ましくは0.5以上である。
導電性ペースト中の(メタ)アクリルモノマー(A)の含有量は、好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。
導電性ペースト中の(メタ)アクリルモノマー(A)の含有量は、好ましくは27質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下ある。
本実施形態の導電性ペーストは、(メタ)アクリルモノマー(A)を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
<(メタ)アクリル重合体(B)>
本実施形態の導電性ペーストに含まれる(メタ)アクリル重合体(B)は、任意の(メタ)アクリルモノマーを、溶液重合など、一般的な重合開始剤および連鎖移動剤を用いる公知の技術により、重合して得ることができる。なお、(メタ)アクリルモノマーとしては、<(メタ)アクリルモノマー(A)>の項目で(メタ)アクリルモノマーの例として例示したものを用いることができる。
(メタ)アクリル重合体(B)の市販品としては、東亞合成株式会社の「ARUFON(アルフォン)」シリーズ等を挙げることができる。
本実施形態の導電性ペーストに含まれる(メタ)アクリル重合体(B)は、(メタ)アクリル酸重合体を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル重合体(B)の重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上、さらに好ましくは2000以上である。これにより導電性ペーストから形成される接着層の機械的強度が向上する。
(メタ)アクリル重合体(B)の重量平均分子量は、好ましくは5000以下、より好ましくは4500以下、さらに好ましくは4000以下である。これにより導電性ペーストから形成される接着層の柔軟性が向上し、基板への密着性が向上する。また、これにより実装信頼性と熱伝導性のバランスがより一層向上する。
なお、重合体(B)の上記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法により下記(方法1)で測定できる。
(方法1)
装置本体として、TOSOH社製・「HLC-8120」を、分析用カラムとして、TOSOH社製(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用意する。
上記装置本体と上記分析用カラムを用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算する。
(メタ)アクリル重合体(B)のガラス転移点温度(Tg)は、好ましくは-75℃以上、より好ましくは-70℃以上さらに好ましくは-65℃以上である。
(メタ)アクリル重合体(B)のガラス転移点温度(Tg)は特に制限されないが、好ましくは25℃以下、より好ましくは22℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。これにより導電性ペーストから形成される接着層の柔軟性が向上し、基板への密着性が向上する。また、これにより実装信頼性と熱伝導性のバランスがより一層向上する。
なお、重合体(B)のガラス転移点温度は、例えば、JIS K 7121-2012(プラスチックの転移温度測定方法)により測定することができる。
(メタ)アクリル重合体(B)は反応性基を有することが好ましい。反応性基としては、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミノ基およびエポキシ基等を例示できる。
反応性基を有する重合体(B)は、導電性ペーストに含まれる成分と様々な反応、重合し得る。これにより架橋構造が形成され、導電性ペーストから形成される接着層の弾性率を適切な範囲にできる。また、反応性基は基材や半導体素子の表面に存在する官能基と反応し得る。これにより基材や半導体素子等への密着性が向上する。
反応性基を有する(メタ)アクリル重合体(B)は、導電性ペーストに含まれる成分と様々な反応、重合をすることで、架橋構造を形成する。これにより、導電性ペーストから形成される接着層の弾性率を適切な範囲にできる。また、反応性基により、基材や半導体素子等への密着性が向上する。
反応性基を有する(メタ)アクリル重合体(B)の市販品としては、東亞合成株式会社の「ARUFON(アルフォン)」シリーズ等を挙げることができる。
導電性ペースト中の(メタ)アクリル重合体(B)の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。これにより、導電性ペーストから形成される接着層に適度な接着性を持たせられる。
導電性ペースト中の(メタ)アクリル重合体(B)の含有量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。これにより、ペーストとしての粘性を適切な範囲にでき、塗布時の作業性が向上する。
本実施形態の導電性ペーストは、(メタ)アクリル重合体(B)を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
<導電性粒子(C)>
導電性粒子(C)の種類は特に限定されず、導電性を示すものであれば特に制限なく用いることができる。
導電性粒子(C)の形状は特に限定されないが、例えば、球状、楕球状、フレーク状、および鱗片状のものを用いることができる。
導電性粒子(C)の分散性を向上させる観点からは、導電性粒子(C)の形状は球状であることが好ましい。また、導電性を向上させる観点からは、導電性粒子(C)の形状はフレーク状であることが好ましい。
接着層の導電性と導電性粒子(C)の分散性のバランスを向上するという観点からは、導電性粒子(C)が球状粒子とフレーク状粒子の双方の形状の粒子を含んでいることが好ましい。
導電性粒子(C)の材質は特に限定されないが、例えば、銀粒子、金粒子および銅粒子などの金属粒子;銀コート粒子などの金属コート粒子などを用いることができる。
銀粒子などの金属粒子の市販品は、例えば、徳力本店株式会社、福田金属箔粉工業社、DOWAハイテック社等より入手することができる。また、銀コート粒子などの金属コート粒子の市販品は、例えば、三菱マテリアル社、積水化学工業社、株式会社山王等より入手することができる。
導電性粒子(C)の体積基準の粒度分布における50%累積時の粒径D50は、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上である。
導電性粒子(C)のD50は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4.5μm以下、さらに好ましくは4μm以下である。
導電性粒子(C)のD50は、たとえばシスメックス株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA(登録商標)-3000を用い、粒子画像計測を行うことで決定することができる。より具体的には、上記装置を用い、体積基準のメジアン径を計測することで導電性粒子(C)の粒径を決定することができる。
この粒径の決定方法は、後述するスペーサー粒子のD50についても同様の条件を採用することができる。
導電性ペースト中の導電性粒子(C)の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。これにより、導電性および熱伝導性が向上する。
導電性ペースト中の導電性粒子(C)の含有量は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。これにより、導電性ペーストの粘度を適切な範囲にでき、作業性が向上する。
本実施形態の導電性ペーストは、導電性粒子(C)を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
<任意成分>
本実施形態の導電性ペーストは、上記(A)~(C)以外の成分を任意成分として含有してもよい。
本実施形態の導電性ペーストは、任意成分としてスペーサー粒子を含有してもよい。スペーサー粒子は導電性ペーストから形成される接着層の膜厚を制御するために機能するものであり、これを含有することにより膜厚を精密に制御できるようになる。
スペーサー粒子の材質は特に限定されないが、樹脂成分を含有することが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等を含有することが好ましい。
スペーサー粒子の耐熱性と弾性率の観点から、スペーサー粒子は架橋性樹脂を含むことが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体、ジビニルベンゼン-アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の架橋性樹脂を含有ことがより好ましい。
なお、これらの樹脂のうち、より好ましいものは、主鎖がジビニルベンゼン骨格である架橋性樹脂である。主鎖がジビニルベンゼン骨格である架橋性樹脂の具体例としては、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体、ジビニルベンゼン-アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等を挙げることができる。
上記した主鎖がジビニルベンゼン骨格である架橋性樹脂は、該架橋性樹脂を製造する際に、イオン不純物が混入するおそれが少ない。よって、上記した主鎖がジビニルベンゼン骨格である架橋性樹脂を含有するスペーサー粒子を用いることにより、実装信頼性がより一層向上する。
スペーサー粒子の体積基準の粒度分布における50%累積時の粒径D50は、5μm以上であり、好ましくは7μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。これにより、接着層の膜厚の設定が薄い場合でも、膜厚の精度良く接着層を形成することが可能となり、半導体装置の実装信頼性が向上する。
スペーサー粒子のD50は、100μm以下であり、好ましくは90μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。これにより、接着層の膜厚の設定が薄い場合でも、膜厚の精度良く接着層を形成することが可能となり、半導体装置の実装信頼性が向上する。
スペーサー粒子の粒度分布の幅は、狭く設定されていることが好ましく、これにより、導電性ペーストから形成される接着層の膜厚をより精密に制御することがきる。
スペーサー粒子の粒度分布を示す指標としては変動係数Cvを用いることができる。変動係数Cvは標準偏差を算術平均で割ったものであり、数値の相対的なばらつきを表す。変動係数Cvは小さく設定されていることが好ましく、これにより、導電性ペーストから形成される接着層の膜厚をより精密に制御することがきる。
具体的には、スペーサー粒子の粒度分布の変動係数Cvは、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
なお、スペーサー粒子の粒度分布の変動係数Cvは、スペーサー粒子の粒径の粒度分布の標準偏差を、スペーサー粒子の粒径の算術平均で割ることにより算出することができる。
スペーサー粒子の強度は大きいほうが好ましい。これにより、導電性ペーストから形成される接着層に外力が加わった場合も、スペーサー粒子が破壊しづらいため、接着層の膜厚を保つことができる。
具体的には、スペーサー粒子の圧縮破壊強度は、3kg/mm以上であることが好ましく、4kg/mm以上であることがより好ましく、5kg/mm以上であることがさらに好ましい。
なお、スペーサー粒子の圧縮破壊強度は、JIS Z 8844:2019(微小粒子の破壊強度及び変形強度の測定方法)により測定することができる。
導電性ペースト中のスペーサー粒子の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上である。
導電性ペースト中のスペーサー粒子の含有量は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
本実施形態の導電性ペーストは、スペーサー粒子を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
本実施形態の導電性ペーストは、任意成分としてカップリング剤を含有してもよい。カップリング剤を含有することにより、導電性ペーストの基材に対する密着性が向上する。
カップリング剤としては、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリルシラン等の各種シラン系化合物を用いることができる。
これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、またはこれらの加水分解物等のシラン系カップリング剤が挙げられる。
導電性ペースト中のカップリング剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上である。
また、導電性ペースト中のカップリング剤の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
本実施形態の導電性ペーストは、カップリング剤を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
本実施形態の導電性ペーストは、任意成分としてラジカル重合開始剤を含有してもよい。ラジカル重合開始剤を含有することにより系内にラジカルが発生し、モノマー(A)等の重合が促進される。
ラジカル重合開始剤としては、たとえば、アゾ化合物、過酸化物などが挙げられ、過酸化物を用いることが好ましい。
過酸化物としては、例えば、
ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタールなどの有機過酸化物を挙げることができ、より具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;
1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;
p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;
ビス(1-フェニル-1-メチルエチル)ペルオキシド、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-へキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;
ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;
ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;
2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-へキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノネート等のパーオキシエステル;などを挙げることができる。
また、1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン等、1分子中に2以上のペルオキシ基を有する化合物を挙げることもできる。
導電性ペースト中のラジカル重合開始剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上である。
また、導電性ペースト中のラジカル重合開始剤の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
本実施形態の導電性ペーストは、ラジカル重合開始剤を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
本実施形態の導電性ペーストは、任意成分として低応力剤を含有してもよい。本実施形態における低応力剤とは、導電性ペーストから形成される接着層に外力が加わった際に、応力を緩和させることができる剤のことである。この低応力剤は、応力を低減できるものであれば特に限定されないが、例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン‐ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、また、これらの変性体などを用いることができる。
低応力剤は、(メタ)アクリルモノマー(A)や(メタ)アクリル重合体(B)等の他の成分と反応可能な反応性基を有することが好ましい。反応性基としては、(メタ)アクリル重合体(B)が有する反応性基として上記したものを挙げることができる。
導電性ペースト中の低応力剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。
また、導電性ペースト中の低応力剤の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
本実施形態の導電性ペーストは、低応力剤を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
本実施形態の導電性ペーストは、任意成分として溶剤を含有してもよい。溶剤を含有することにより、導電性ペーストの粘度が低減し、作業性が向上する。
溶剤としては、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルメトキシブタノール、α-ターピネオール、β-ターピネオール、へキシレングリコール、ベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、イゾパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはグリセリン等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、2-オクタノン、イソホロン(3、5、5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン)もしくはジイソブチルケトン(2、6-ジメチル-4-ヘプタノン)等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、メチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,2-ジアセトキシエタン、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルもしくはリン酸トリペンチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、1,2-ビス(2-ジエトキシ)エタンもしくは1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン等のエーテル類;酢酸2-(2ブトキシエトキシ)エタン等のエステルエーテル類;2-(2-メトキシエトキシ)エタノール等のエーテルアルコール類、トルエン、キシレン、n-パラフィン、イソパラフィン、ドデシルベンゼン、テレピン油、ケロシンもしくは軽油等の炭化水素類;アセトニトリルもしくはプロピオニトリル等のニトリル類;アセトアミドもしくはN,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;低分子量の揮発性シリコンオイル;揮発性有機変成シリコンオイル等のシリコンオイル類;等を挙げることができる。
導電性ペースト中の溶媒の含有量は、設定したい粘度に応じて任意に設定することができる。
本実施形態の導電性ペーストは、溶剤を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
導電性ペーストが含有する任意成分としては、他にも、硬化剤、硬化促進剤、重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤、ジシアンジアミド誘導体等、公知の添加剤を挙げることができる。
これらの任意成分の含有量は、付与する物性に応じ、任意に設定することができる。
本実施形態の導電性ペーストは、上記した任意成分を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
<導電性ペーストの製造方法>
本実施形態の導電性ペーストは、上記した各成分を混合することにより得ることができる。
例えば、各成分を予備混合した後に、3本ロールを用いて混練し、さらに真空下で脱泡することにより調製することができる。
<導電性ペーストの物性>
本実施形態の導電性ペーストは、一定以上の熱伝導性と柔軟性をそれぞれ備える硬化物を形成する。
具体的には、
本実施形態の導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み1mmの硬化物の、レーザーフラッシュ法により測定される25℃での厚み方向の熱伝導率λが10W/m・K以上であり、かつ、
本実施形態の導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み250μmの硬化物を、25℃、引張モード、周波数10Hzで粘弾性測定することで求められる動的貯蔵弾性率E'が20GPa以下である。
上記方法で測定される熱伝導率λが12W/m・K以上でありかつ上記方法で測定される動的貯蔵弾性率E'が18GPa以下であることが好ましく、
上記方法で測定される熱伝導率λが15W/m・K以上でありかつ上記方法で測定される動的貯蔵弾性率E'が16GPa以下であることがより好ましい。
これにより、導電性ペーストから形成される接着層の熱伝導性と柔軟性のバランスが向上し、半導体装置の実装信頼性が向上する。
上記方法で測定される熱伝導率λは、12W/m・K以上であることが好ましく、15W/m・K以上あることがより好ましい。これにより、導電性ペーストから形成される接着層の熱伝導性が向上し、半導体装置内の熱をより効率的に放出できるようになる。
上記方法で測定される動的貯蔵弾性率E'は、18GPa以下であることが好ましく、16GPa以下であることがより好ましい。これにより、導電性ペーストから形成される接着層の柔軟性が向上し、基板への密着性が向上する。
半導体装置には、常温から高温まで幅広い温度状況下での実装信頼性が求められるため、高温状況下においても導電性ペーストから形成される接着層の弾性率が維持されることが好ましい。
具体的には、本実施形態の導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み250μmの硬化物を、250℃、引張モード、周波数10Hzで粘弾性測定することで求められる動的貯蔵弾性率E'は、好ましくは2GPa以上であり、より好ましくは4GPa以上であり、さらに好ましくは6GPa以上である。
<導電性ペーストの用途>
本実施形態の導電性ペーストの用途は特に限定されないが、半導体装置において基板などの支持体の上に半導体素子を接着するダイアタッチ用途であることが好ましい。
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、上記の導電性ペーストの硬化物である。
本実施形態の硬化物を得るための硬化の様式は特に限定されないが、例えば、熱や光により(メタ)アクリルモノマー(A)等の成分を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。
導電性ペーストの熱処理温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは175℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。
また、導電性ペーストの熱処理温度は、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下、さらに好ましくは300℃以下である。
[半導体装置]
本実施形態の半導体装置は、基材と、上記の導電性ペーストの硬化物である接着層を介して上記基材上に搭載された半導体素子と、を備える。
本実施形態の半導体装置の一例について図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置100を示す断面図である。本実施形態にかかる半導体装置100は、基材30と、導電性ペーストの硬化物である接着層10を介して基材30上に搭載された半導体素子20と、を備えている。
半導体素子20と基材30は、たとえばボンディングワイヤ40等を介して電気的に接続される。また、半導体素子20は、例えば封止樹脂50により封止される。
接着層10の膜厚は、特に限定されないが、例えば5μm以上100μm以下である。
図1に示す例において、基材30は、ダイパッド32とアウターリード34から構成されるリードフレームである。この場合、半導体素子20は、ダイパッド32上にダイアタッチ層10を介して搭載されることとなる。また、半導体素子20は、例えばボンディングワイヤ40を介してアウターリード34へ電気的に接続される。リードフレームである基材30は、たとえば42アロイ、Cuフレームにより構成される。
基材30は、有機基板や、セラミック基板であってもよい。有機基板としては、たとえばエポキシ樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂等を適用した当業者公知の基板が好ましい。また、基材30の表面は、ダイアタッチペーストとの接着性をよくするために、銀などにより被膜されていてもよい。
半導体素子20の平面形状は、とくに限定されないが、たとえば矩形である。本実施形態においては、たとえば0.5×0.5mm以上15×15mm以下のチップサイズを有する矩形状の半導体素子20を採用することができる。
半導体装置100は、例えば以下の手順により製造することができる。
まず、上記の導電性ペーストをダイパッド32(基材30)上に塗布し、塗布した導電ペーストの上に半導体素子20を搭載する。導電性ペーストを塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、ディスペンシング、印刷法、およびインクジェット法等を挙げることができる。
次いで、導電性ペーストを熱処理し、導電性ペーストを硬化させる。これにより、ダイパッド32(基材30)上に接着層10が形成されることとなる。熱処理の温度条件は、導電性ペーストの組成などに応じ、適宜設定することができる。
次いで、半導体素子20とアウターリード34(基材30)を、ボンディングワイヤ40を用いて電気的に接続し、半導体素子20を封止樹脂50により封止することにより、半導体装置100を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
[導電性ペーストの調製]
表1に示す配合に従い各成分を均一に混合することにより導電性ペーストを調製した。表1における各成分の含有量の単位は、質量部である。
表1に示す成分の詳細は以下のとおりである。
<モノマー(A)>
・ライトエステルPO(2-フェノキシエチルメタクリレート、共栄社化学社製)
・ライトエステル1.6HX(1.6ヘキサンジオールジメタクリレート、共栄社化学社製)
・ライトエステルEG(エチレングリコールジメタクリラート、共栄社化学社製)
・ライトエステルTMP(トリメチロールプロパントリメタクリレート、共栄社化学)
<重合体(B)>
・ARUFON UG-4010(エポキシ基を含有するアクリル酸重合体、ガラス転移点温度:-57℃、重量平均分子量:2900、東亞合成社製)
<導電性粒子(C)>
・AG-DSB-114(銀粒子、D50:0.7μm、DOWAハイテック社製)
・HKD-12(銀粒子、D50:7.6μm、福田金属箔紛社製)
<任意成分>
・パーカドックスBC(ラジカル重合開始剤、ジーアルファークミルパーオキサイド、化薬アグゾ社製)
・低応力剤1(低応力剤、1,4-Cyclohexanedicarboxylic acid,di-2-propenyl ester, polymer with 1,2-propanediol、関東化学社製)
・SP-239(スペーサー粒子、ジビニルベンゼン重合体、D50:39μm、変動係数Cv:5%、圧縮破壊強度:11kg/mm、積水化学社製)
[硬化物の物性評価]
<熱伝導率>
上記の方法により得られた導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱し、厚み1mmの硬化物サンプルを得た。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、25℃での厚み方向の熱伝導率λをレーザーフラッシュ法により測定した。結果を表1に示す。
<弾性率>
上記の方法により得られた導電性ペーストを、テフロン(登録商標)板上に塗布し、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱し、厚み250μmの硬化物サンプルを得た。得られた硬化物サンプルをテフロン(登録商標)板から剥がし、25℃(または250℃)、引張モード、周波数10Hzの条件で動的貯蔵弾性率E´を測定した。結果を表1に示す。
[実装信頼性評価]
<試験片の作製>
上記の方法により得られた導電性ペーストを銅フレーム表面に塗布し、塗布した導電性ペーストの上に長さ5mm×幅5mmの200μm厚のシリコンチップをマウントした。なお、シリコンチップをマウントした状態での導電性ペーストの層(接着層)の膜厚は、配合したスペーサー粒子(D)のD50の値に従った。
次いで、窒素雰囲気下のオーブン内で、30℃から2.83℃/分の速度で200℃まで昇温し、その後200℃で2時間熱処理し、試験片を得た。
<ボイド発生率>
上記の方法により得られた試験片の導電性ペースト層を剥離し、X線透過装置により接着層の気泡を観察した。5×5mmチップの面積に対する気泡(ボイド)の面積の比率により、下記の評価基準で評価を行った。結果を表1に示す。
A:気泡の面積比が5%以下である。
B:気泡の面積比が5%より大きく10%以下である。
C:気泡の面積比が10%より大きい。
<MSL>
上記の方法により得られた試験をエポキシ系の封止材で封止し、175℃のオーブンで4時間熱処理しポストモールドキュアを行い、長さ14mm、幅14mm、厚み0.8mmのパッケージ構造物を得た。
上記の方法により得られたパッケージ構造物を、温度60℃、相対湿度60%の条件にした恒温恒湿度室に40時間置き、次いで、260℃のリフロー炉に67cm/分の速度で3度通し、MSL(Moisture Sensitivity Level)試験済みパッケージ構造物を得た。
上記の方法により得られた熱試験済みパッケージ構造物における剥離の状態を観察し、下記の評価基準で評価を行った。結果を表1に示す。
可: 導電性ペースト層と銅フレームの間および封止材と銅フレームの間に剥離が無かった。
不可:導電性ペースト層と銅フレームの間および/または封止材と銅フレームの間に剥離が有った。
Figure 2024011945000003
表1に示す通り、実施例の導電性ペーストを用いた半導体装置は、熱伝導性が良好でありかつMSLの結果が良好であった。このことから、本実施形態の導電性ペーストによれば、実装信頼性と熱伝導性のバランスが向上することがわかる。
10 接着層
20 半導体素子
30 基材
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ボンディングワイヤ
50 封止樹脂
100 半導体装置

Claims (13)

  1. (メタ)アクリルモノマー(A)と、
    (メタ)アクリル重合体(B)と、
    導電性粒子(C)と、
    を含有する、導電性ペーストにおいて、
    当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み1mmの硬化物の、レーザーフラッシュ法により測定される25℃での厚み方向の熱伝導率λが10W/m・K以上であり、かつ、
    当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み250μmの硬化物を、25℃、引張モード、周波数10Hzで粘弾性測定することで求められる動的貯蔵弾性率E'が20GPa以下である、導電性ペースト。
  2. 請求項1に記載の導電性ペーストにおいて、
    当該導電性ペースト中の導電性粒子(C)含有量が50質量%以上99質量%以下である、導電性ペースト。
  3. 請求項1または2に記載の導電性ペーストにおいて、
    前記(メタ)アクリルモノマー(A)が、単官能(メタ)アクリルモノマー(A1)と、多官能(メタ)アクリルモノマー(A2)と、を含む、導電性ペースト。
  4. 請求項1または2に記載の導電性ペーストにおいて、
    前記(メタ)アクリル重合体(B)のガラス転移点温度(Tg)が-75℃以上25℃以下である、導電性ペースト。
  5. 請求項1または2に記載の導電性ペーストにおいて、
    前記(メタ)アクリル重合体(B)の重量平均分子量が5000以下である、導電性ペースト。
  6. 請求項1又は2に記載の導電性ペーストにおいて、
    前記(メタ)アクリル重合体(B)が反応性基を有する、導電性ペースト。
  7. 請求項1に記載の導電性ペーストにおいて、
    当該導電性ペーストを、30℃から200℃まで60分間かけて一定速度で昇温し、続けて200℃で2時間加熱して得られる厚み250μmの硬化物を、250℃、引張モード、周波数10Hzで粘弾性測定することで求められる動的貯蔵弾性率E'が2GPa以上である、導電性ペースト。
  8. 請求項1又は2に記載の導電性ペーストであって、
    さらにスペーサー粒子を含有する、導電性ペースト。
  9. 請求項1又は2に記載の導電性ペーストであって、
    さらにカップリング剤を含有する、導電性ペースト。
  10. 請求項1又は2に記載の導電性ペーストであって、
    さらにラジカル重合開始剤を含有する、導電性ペースト。
  11. 請求項1又は2に記載の導電性ペーストであって、
    ダイアタッチ用である、導電性ペースト。
  12. 請求項1又は2に記載の導電性ペーストの硬化物。
  13. 基材と
    請求項1又は2に記載の導電性ペーストの硬化物である接着層を介して前記基材上に搭載された半導体素子と、
    を備える半導体装置。
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