JP2024011530A - 固体基板、その製造方法、および固体装置の製造方法 - Google Patents

固体基板、その製造方法、および固体装置の製造方法 Download PDF

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公善 市川
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Abstract

【課題】ダイヤモンド、炭化ケイ素などの炭素を主たる構成元素とする基板の表面の高温でのダメージを防ぎ、更にその基板からの熱輻射を黒体輻射とする固体基板、その製造方法及び固体装置の製造方法を提供する。【解決手段】グラッシーカーボン積層ダイヤモンド基板101は、炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面1aに形成されている固体基板1の第1主表面上に100nm以上100μm以下の厚さのグラッシーカーボン層を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、固体基板、その製造方法、および固体装置の製造方法に関する。
近年、ダイヤモンドの量子デバイス応用が期待され、量子ビットとして働くカラーセンタをイオン注入や電子線照射でダイヤモンドに形成することが広く行われている。また、ホウ素などダイヤモンド結晶中にアクセプタやドナーを形成する不純物をイオン注入することが広く行われている。
これらの注入・照射プロセス後には熱処理が不可欠であり、ダイヤモンドへのイオン注入による点欠陥導入に際して、ダイヤモンド結晶の注入損傷を回復させるために熱処理が行われている。また、カラーセンタは不純物と空孔のペアであるため、電子線照射で空孔を形成する場合に、ポストプロセスとして熱処理を行うことでカラーセンタを形成している。
上記目的のためには、1000℃以上での熱処理が効果的であることがわかっている。一方で、この温度域では、ダイヤモンド表面が酸化とともにエッチングされて劣化する。処理雰囲気が制御されていない大気中などでは、熱処理に伴いダイヤモンド表面が顕著に酸化/エッチングされ、表面凹凸が増大する、クラックが発生するなどのダメージがダイヤモンドに入る。そして、最終的には、ダイヤモンド結晶全体が消失する。
そのため、ダイヤモンドの熱処理を行う場合、一般的には、ダイヤモンド表面の酸化を抑制するために、超高真空あるいは高純度不活性ガスといった雰囲気制御が不可欠になっている。雰囲気制御するための装置は高額かつ大掛かりなものであるため、ダイヤモンド熱処理を行う際の問題となっていた。なお、熱処理温度が高いほど、真空度や雰囲気制御の精度は高度であることが要求される。
表面酸化を抑える方法として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などのカーボン層でダイヤモンド表面を被覆する手法が提案されており、例えば特許文献1にその開示がある。
しかしながら、この方法ではArガスなどの不活性ガスでの雰囲気制御が必要である。また、これらのカーボン層を堆積するには複雑な装置構造を持つCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いる必要があり、更に被覆膜はプラズマなどのCVD法で堆積するためダイヤモンド表面にプラズマダメージが入るという問題があった。
そのため、簡便な手法であり、ダメージフリーで形成できる被覆構造であり、酸素を含む雰囲気でも機能することが求められていた。
更に、昇温されたサンプル温度を正確に測定することが熱処理の再現性を高めるために不可欠である。そして、その測定には一般に非接触の放射温度計が用いられる。ダイヤモンドは透明度が高いために、ダイヤモンドからの輻射光量は一般の試料よりも少ない。そのため、放射温度計でダイヤモンド昇温温度を測定すると、ダイヤモンドの温度を低く見積もってしまうという問題があった。
また、現在、パワーデバイス材料として注目されている炭化ケイ素(SiC)では、素子作製のためにイオン注入プロセスと、注入元素を活性化するための高温熱処理が不可欠になっている。活性化に必要な処理温度は1700℃以上と高温であり、そのプロセス中に表面劣化することが問題となっていた。
高温処理に伴う表面劣化を抑制する方法として、レジストを表面塗布して熱硬化させる方法、アセチレンをプラズマ分解して製膜する方法が提案されているが、前者では塗布と熱硬化にノウハウが多く含まれており、後者ではプラズマ装置という特殊な装置が必要であった。なお、これらの処理に関しては、非特許文献1、2および特許文献2に開示がある。
特開2019―9425号公報 特開2007―115875号公報
SiCパワーデバイス生産技術、Technical Journal,ULVAC(2016年6月9日) Y.Negoro,T.Kimoto,H.Matsunami,F.Schmid and G.Pensl,J.Appl.Phys.,Vol.96,No.9,p.p.4916-4922(2004) 野田稲吉、材料、第13巻、第132号、657頁―663頁、昭和39年9月 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全データシート、NMIJ RM 1102-a、2020年1月31日
本発明は、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの炭素を主たる構成元素とする固体基板の表面における高温処理でのダメージを防ぎ、更にその固体基板からの熱輻射を黒体輻射とすることを課題とする。
本発明の構成を下記に示す。
(構成1)
炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板の前記第1主表面上に100nm以上100μm以下の厚さのグラッシーカーボンが形成された、固体基板。
(構成2)
前記固体は、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素からなる群より選ばれる1つである、構成1記載の固体基板。
(構成3)
前記固体は、ダイヤモンドである、構成1記載の固体基板。
(構成4)
前記ダイヤモンドの表面が、(100)面、(110)面および(111)面からなる群より選ばれる1つの面になっている、構成3記載の固体基板。
(構成5)
前記グラッシーカーボンの厚さが200nm以上50μm以下である、構成1から4の何れか1項記載の固体基板。
(構成6)
炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板を準備することと、
前記固体基板の第1主表面上に厚さが100nm以上100μm以下のグラッシーカーボンを熱蒸着法、電子線蒸着法、スパッタリング法、および溶着法からなる群より選ばれる1つ以上の方法で堆積することを有する、固体基板の製造方法。
(構成7)
前記固体は、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素からなる群より選ばれる1つである、構成6記載の固体基板の製造方法。
(構成8)
前記グラッシーカーボンの厚さが200nm以上50μm以下である、構成6または7記載の固体基板の製造方法。
(構成9)
10Pa以下の真空下、1000℃以上で、前記固体が昇華する温度未満の熱処理を、前記堆積後に前記固体基板に行う、構成6の固体基板の製造方法。
(構成10)
炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板を準備することと、
前記固体基板の第1主表面上に厚さが100nm以上100μm以下のグラッシーカーボンを熱蒸着法、電子線蒸着法、スパッタリング法、および溶着法からなる群より選ばれる1つ以上の方法で堆積することと、
前記固体基板に、NVセンターを形成する処理および前記固体基板の中に形成された結晶欠陥を回復させる熱処理からなる群より選ばれる1以上の処理を行うことと、
前記グラッシーカーボンを除去することを含む、固体装置の製造方法。
(構成11)
前記固体は、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素からなる群より選ばれる1つである、構成10記載の固体装置の製造方法。
(構成12)
前記グラッシーカーボンの厚さが200nm以上50μm以下である、構成10または11記載の固体装置の製造方法。
(構成13)
前記グラッシーカーボンの除去が、硫酸と硝酸からなる混酸によるウェットエッチング、および酸素雰囲気でのドライエッチングからなる群より選ばれる1以上による、構成10記載の固体装置の製造方法。
本発明によれば、炭素を主たる構成元素とする基板の表面における高温処理でのダメージを抑制でき、更にその基板からの熱輻射を黒体輻射とすることが可能となる。
具体的には、ダイヤモンドの高温熱処理における表面ダメージを抑制することができる。またダイヤモンドからの熱輻射を黒体輻射とすることで温度を正確に測定することができる。本発明では、中真空下では1450℃で2時間、酸素雰囲気中では600℃で2時間の熱処理においてもダイヤモンド表面が劣化しない。
また本発明により、炭化ケイ素の高温熱処理における表面ダメージを抑制することができ、炭化ケイ素からの熱輻射を黒体輻射とすることで温度を正確に評価することも可能になる。本発明では、中真空下、1700℃で2時間の熱処理においても炭化ケイ素表面が劣化しない。
ここで、本願での中真空とは、10-3Paを超えて0.1Pa以下の真空度を指す。ちなみに、低真空とは0.1Paを超えて10Pa以下、高真空とは10-5Paを超えて10-3Pa以下、超高真空とは10-5Pa以下を指す。
本発明の固体基板の構造を説明する断面図である。 従来の固体基板の問題点を説明する断面図である。 本発明の固体基板の製造工程を示すフローチャート図である。 本発明の固体装置の製造工程を示すフローチャート図である。 本発明のパワーデバイスの製造工程を要部断面図で示した工程図である。 本発明のパワーデバイスの製造工程を要部断面図で示した工程図である。 本発明のパワーデバイスの製造工程を要部断面図で示した工程図である。 本発明のパワーデバイスの製造工程を要部断面図で示した工程図である。 処理前のダイヤモンド基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理と高温(1450℃)の中真空アニール工程を経たダイヤモンド基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理と600℃の酸素アニール工程を経たダイヤモンド基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理なしで高温(1450℃)の中真空アニール工程を経たダイヤモンド基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理なしで600℃の酸素アニール工程を経たダイヤモンド基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理と650℃の酸素アニール工程を経たダイヤモンド基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 処理前のSiC基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理と高温(1700℃)のアニール工程を経たSiC基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理なしで高温(1700℃)のアニール工程を経たSiC基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 ダイヤモンド基板上にGC処理を行った試料のラマン分光測定結果を示す特性図である。 GC処理の有無による黒化の差、およびダイヤモンド基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理の有無による黒化の差、およびダイヤモンド基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 GC処理の有無による黒化の差、およびSiC基板のダメージ状態を示す実体顕微鏡写真である。 堆積させるGC膜厚の影響を示す実体顕微鏡写真である。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の固体基板について説明する。
背景のところでも述べたように、従来、ダイヤモンドを熱処理する際に、ダイヤモンド表面のエッチングが起こるという問題があった。この状況を、図2を用いて説明すると、ダイヤモンド基板1からなる固体基板102の表面部に欠け3が発生してダイヤモンドからなる分離物4が生まれ、表面の凹凸が激しくなる。分離物4は異物となって、固体基板102を用いて作製される装置の歩留まりを低下させる。また、意図せず発生した表面凹凸は、固体基板102の品質を低下させる。例えば、固体基板102をダイヤモンドからなる半導体層として使用する半導体装置では、半導体層界面に形成される凹凸は、ダングリングボンドの巣になり、界面準位が発生し、また散乱によるモビリィティの低下を引き起こす。
これは、処理系内に残留している酸素がダイヤモンドを構成する炭素と高温で反応をすることで起こる。そこでダイヤモンドの熱処理では、ダイヤモンド表面に酸素が飛来することを抑制するために超高真空排気装置、あるいは不活性ガスで雰囲気制御された装置を用いて熱処理を行う必要があった。
この問題は、ダイヤモンド基板に限るものではなく、炭素を主たる構成要素とする固体に共通するものである。ここで、炭素を主たる構成要素とする固体とは、構成元素中の炭素の比率が原子数比で10%以上100%以下の固体のことをいう。その具体例としては、ダイヤモンド、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素および窒化炭素を挙げることができる。
本実施の形態1では、上記課題を、図1に示すように、炭素を主たる構成要素とする基板1、例えばダイヤモンド基板1の基板表面(第1主表面)1a上にグラッシーカーボン層(GC層)2を形成した固体基板101とすることで解決する。高温耐性に優れ、ガス透過性が小さく、機械的強度に優れたGC膜2をダイヤモンドと接合させることでダイヤモンド表面を被覆することにより、中真空下や酸素雰囲気下で熱処理を行ってもダイヤモンド表面のエッチングを大幅に抑制する。ここで、ここでの中真空下での熱処理とは1×10-3Paを超えて1×10-1Pa以下で1000℃以上、酸素雰囲気下での熱処理とは酸素分圧が1×10-1Pa以上21kPa以下で600℃以上を指す。酸素分圧がこの範囲であれば、熱処理中の絶対圧力は減圧下であっても高圧下であっても良い。温度の上限は特には制限がなく、GC層が昇華する3652℃未満であり、かつ使用している固体(基板)が昇華する温度より低ければよい。なお、GCに関しては、例えば非特許文献3に、その昇華温度に関しては非特許文献4に開示がある。
固体基板101の材料としては、上述のダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素を挙げることができるが、この中でも特に上記熱処理でのダメージが問題になっているダイヤモンドと炭化ケイ素、その中でも特にダイヤモンドに対してGC層2を形成する効果が大きい。
また、(100)面、(110)面および(111)面のダイヤモンドからなる固体基板101は、その基板を用いた装置、素子の特性が固体基板101の表面ダメージの影響を受けやすいため、ダイヤモンドの表面が、(100)面、(110)面および(111)面からなる群より選ばれる1つの面にGC層2を形成する効果は特に大きい。
ここで、GC層2の厚さは、100nm以上100μm以下が好ましい。厚さを100nm以上にすることで、図2に示した基板表層部の欠け3およびその結果生じる分離物4の発生が防止され、基板表面は凹凸の少ない平滑面となり、表面部のダメージが少ない固体基板101を提供することが可能になる。厚さの上限には特段の制限はないが、100μm以上では基板表面の保護効果、すなわち、欠け3、分離物4および表面凹凸などの表面ダメージ防止効果が飽和する。
実施の形態1の基板(固体基板)1の製造方法を、図3を引用しながら説明する。
最初に、炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板を準備する(図3の工程S11)。その固体としては、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素からなる群より選ばれる1つを挙げることができるが、その中でもダイヤモンドおよび炭化ケイ素、特にダイヤモンドが本発明の効果を最も発揮でき、好んで用いることができる。ダイヤモンドの結晶面としては、(100)面、(110)面および(111)面を好んで用いることができる。
次に、固体基板101の第1主表面1a上に厚さが100nm以上100μm以下のグラッシーカーボンを形成する(堆積させる)(工程S12)。
堆積法としては、熱蒸着法、電子線蒸着法、スパッタリング法、および溶着法からなる群より選ばれる1つ以上を挙げることができる。例えば、熱蒸着法では、グラッシーカーボン棒を準備して真空中で通電、加熱してグラッシーカーボンを昇華させる。この熱蒸着法に見られるように、GC層の堆積はDLCのような高度な設備を必要とせず、安価で簡便な設備でよいという特徴がある。
以上の工程で、固体基板101が得られる(工程S14)。
ここで、GC層を堆積させた後(工程S12の後)、1000℃以上で、前記固体が昇華する温度未満の熱処理を施すと(工程S13)、GC層が高品質化するため耐熱性と耐酸化性に優れた固体基板を得ることができる。この時の圧力は10Pa以下であればよい。これは、GC層2がない条件で表面ダメージを防止するのに必要な真空度1×10-5Paに比べ大幅に圧力条件が緩い。本方法により、固体基板101の製造を安価かつ容易に行うことが可能になる。
GC層2の効果は、熱処理に伴って発生する基板表面ダメージの抑制に留まらない。
GC層2は、その厚さを200nm以上とすれば、十分黒色化(黒化)し、黒体輻射を利用した温度測定の精度を飛躍的に向上させることが可能になる。例えば、引き続き実施されるアニールの温度管理精度が高まる。
加えて、このようにダイヤモンド表面を均一に黒化することにより、赤外線吸収率を高めると同時に吸収率の面内均一性を高め、固体基板加熱処理の再現性を向上させることが可能になる。
上記効果は、炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板で享受できるものであるが、特にダイヤモンド基板や炭化ケイ素基板に有効である。GC層2で炭化ケイ素表面を被覆することにより、高真空下で高温熱処理を行っても炭化ケイ素表面のエッチングを大幅に抑制することができる。
GC層2の厚さは、100nm以上で固体基板1の表面近傍部におけるダメージ防止に効果があり、200nm以上で十分黒化し、温度を測定するときの精度が向上し、また熱処理を行うときの面内均一性を高めることが可能になる。
一方、GC層2の厚さの上限は、特段の限定はないが、基板表面の保護効果、すなわち、欠け3、分離物4および表面凹凸などの表面ダメージ防止効果の飽和から100μm以下が好ましく、50μm以下とするとGC層の表面平坦性と密着性が向上するという効果が得られる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、図4を参照して、固体装置の製造方法について説明する。
最初に、炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板1を準備する(図4の工程S21)。その固体としては、実施の形態1と同様に、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素からなる群より選ばれる1つを挙げることができるが、その中でもダイヤモンドおよび炭化ケイ素、特にダイヤモンドが本発明の効果を最も発揮でき、好んで用いることができる。ダイヤモンドの結晶面としては、(100)面、(110)面および(111)面を好んで用いることができる。
次に、固体基板1の第1主表面1a上に厚さが100nm以上100μm以下のグラッシーカーボン(GC層2)を形成する(堆積させる)(工程S22)。
堆積法としては、実施の形態1と同様に、熱蒸着法、電子線蒸着法、スパッタリング法、および溶着法からなる群より選ばれる1つ以上を挙げることができる。例えば、熱蒸着法では、グラッシーカーボン棒を準備して真空中で通電、加熱してグラッシーカーボンを昇華させる。この熱蒸着法に見られるように、GC層2の堆積はDLCのような高度な設備を必要とせず、安価で簡便な設備でよいという特徴がある。
その後、NVセンター(Nitrogen-vacancy center)を形成する熱処理、または/および固体基板中に形成された結晶欠陥を回復させる熱処理(これらの熱処理を第1の熱処理とも称す)を施す(工程S23)。例えば、固体基板1としてダイヤモンドを用いたときのNVセンター形成の熱処理温度としては、700℃以上1900℃以下を挙げることができ、結晶欠陥を回復させる熱処理温度としては800℃以上2300℃以下を挙げることができる。また、固体基板1として炭化ケイ素を用いたときの結晶欠陥を回復させる熱処理温度としては1300℃以上2000℃以下を挙げることができる。熱処理環境としては、真空、希ガス雰囲気、水素雰囲気および希ガスと水素の混合雰囲気を挙げることができる。
しかる後、GC層2を除去する(工程S24)。GC層2の除去方法としては、ウェットエッチング、酸素雰囲気での熱処理(温度としては、例えば400℃以上600℃以下)、および酸素プラズマ、酸素イオン、活性酸素、オゾンなどの酸素を用いたドライエッチングからなる群より選ばれる1以上を挙げることができる。この中で、ウェットエッチング、特に、硫酸と硝酸からなる混酸によるウェットエッチングは、基板1にダメージを与えにくいので好んで用いることができる。なお、混酸によるウェットエッチングでは処理温度を150℃以上300℃以下としておくと、エッチングレートが高まって好ましい。
そして、GC層2が除去された基板1を用いて固体装置を作製する(工程S25)。
本方法により、第1の熱処理に伴って発生する基板表面ダメージが抑制された状態で、所望のNVセンターが固体基板1に形成され、または/および固体基板1中に形成された結晶欠陥の回復がなされるため、固体装置は電気特性が優れたものになる。
ここで、GC層2の効果は第1の熱処理に伴って発生する基板表面ダメージの抑制に留まらない。
GC層2は、その厚さを200nm以上とすれば、十分黒色化(黒化)し、黒体輻射を利用した温度測定の精度を飛躍的に向上させることが可能になり、第1の熱処理の温度管理精度が高まる。
加えて、このように固体基板表面を均一に黒化することにより、赤外線吸収率を高めると同時に吸収率の面内均一性を高め、第1の熱処理の再現性を向上させることが可能になる。
GC層2は、その厚さを800nm未満とすれば、固体基板1と十分密着し、固体基板1からの剥がれが発生しにくくなる。
なお、固体基板1との密着性は、固体基板1の表面状態およびGC層2の成膜条件、特に成膜中に発生する応力に強く依存する。GC層2との密着性の高い固体基板材料、例えばチタンなどの遷移金属を用いる、固体基板1表面の清浄度をクリーニング処理で高める、GC層2の応力の発生が抑制、緩和される成膜条件を用いるなどにより、GC層2の剥がれは800nmを超えても防止することは可能であり、条件によっては100μmの厚さでもGC層2の剥がれを抑止することができる。
GC層2の厚さの上限は特にはないが、100μm以上では基板表面の保護効果、すなわち、欠け3、分離物4および表面凹凸などの表面ダメージ防止効果が飽和する。
ここで、GC層2の厚さを50μm以下とするとGC層の表面平坦性と密着性が向上するという効果がある。
(実施の形態3)
実施の形態3では、図5から図8を参照して、縦型構造を用いたパワー用途に好適な半導体装置(MOSFET)201の製造方法について説明する。
最初に、n半導体層51、n半導体層からなるドリフト層52aおよびp半導体層53aが順次積層された半導体基板を準備する(図5(a))。ここで、n半導体層51は後程形成されるドレイン電極65との接触抵抗を下げたオーミックコンタクトをとることを目的に配置されている。なお、ドリフト層52aとしては、リンがドープされたダイヤモンドあるいは窒素がドープされた炭化ケイ素(SiC)を、p半導体層53aとしては、ホウ素がドープされたダイヤモンドあるいはアルミニウムがドープされたSiCを用いることができる。
その後、レジストパターン54をリソグラフィにより形成してイオン注入を行い、p半導体層53aの表面近傍の所定の場所にn層55aを形成し(図5(b))、レジストパターン54をアッシングや剥離液を用いて除去する。ここで、イオン注入種としては、例えばリンあるいは窒素を挙げることができる。
しかる後、レジストパターン56をリソグラフィにより形成してイオン注入を行い、p半導体層53aの表面近傍の所定の場所にp層57aを形成し(図5(c))、レジストパターン56をアッシングや剥離液を用いて除去する。ここで、イオン注入種としては、例えばホウ素あるいはアルミニウムを挙げることができる。
次に、試料の第1主表面上に、実施の形態1に記載した方法でグラッシーカーボン層(GC層)58を形成する(図5(d))。
ここで、GC層58の厚さとしては、100nm以上100μm以下を挙げることができる。GC層58の厚さを100nm以上とすることにより、引き続き行われるアニールでの基板のダメージ、すなわち図2で説明した基板表面の欠け3や分離物4の発生を抑制することが可能になる。GC層58の厚さを200nm以上とすれば、GC層58は十分黒化し、黒体輻射を利用した温度測定の精度を飛躍的に向上させることが可能になり、例えば引き続き実施されるアニールの温度管理精度が高まって、製造される半導体装置201の特性向上、ロット間ばらつきの低減、品質管理精度の向上などが図られる。また、GC層58の厚さを800nm未満とすれば、GC層58は剥がれにくくなり、半導体装置201製造歩留まり向上に寄与する。なお、GC層58の厚さの上限は特にはないが、表面ダメージの抑制効果は厚さ100μmで飽和する。
その後、アニールを行う(図示なし)。アニールとしては、例えば、半導体基板としてダイヤモンドを用いたときは真空環境で800℃以上2300℃以下、SiCを用いたときはアルゴン雰囲気環境で1300℃以上2000℃以下を挙げることができる。
しかる後、GC層58を除去する(図6(a))。GC層58の除去の方法としては、例えば220℃下硫酸と硝酸混合液中で処理する熱混酸処理を挙げることができる。
次に、エッチング加工用のハードマスク59aを試料の第1主表面上に形成し(図6(b))、引き続きゲート形成用のレジストパターン60をリソグラフィによって形成する(図6(c))。ここで、ハードマスクとしては、例えばSiOなどの酸化膜を好んで用いることができ、その成膜法としてはCVD法およびスパッタリング法を挙げることができる。
その後、n層55aおよびp半導体層53aを通して、n半導体層52aの一部に達する開口をエッチングにより開ける(図6(d))。
なお、図6(d)では、レジストパターン60とハードマスクパターン59bをエッチングマスクにして、n層55a、p半導体層53aおよびn半導体層52aの一部をエッチングする場合を示しているが、レジストパターン60をエッチングマスクにして一旦ハードマスク59aを加工してハードマスクパターン59bを形成し、レジストパターン60を除去して、ハードマスクパターン59bをエッチングマスクにしてn層55a、p半導体層53aおよびn半導体層52aの一部をエッチングしてもよい。または、ハードマスク59aを形成せずに、レジストパターン60をエッチングマスクとして、n層55a、p半導体層53aおよびn半導体層52aの一部をエッチングしてもよい。
しかる後、レジストパターン60をアッシングおよび剥離液などにより除去する(図7(a))。
その後、絶縁膜61aを被着する(図7(b))。絶縁膜61aとしては、SiO、SiON、Si、Al、HfO、HfSiO、およびAlONなどの酸化膜、酸窒化膜、窒化膜などのゲート絶縁膜用材料を挙げることができる。ここで、これらの膜は単層膜として用いられても、複数の種類の膜が積層膜として用いられていてもよい。また、成膜法としては、ALD法、PE-ALD法、スパッタリング法、CVD法などを挙げることができる。なお、絶縁膜61aはコンフォーマルに被着形成されることが好ましい。
しかる後、ゲート絶縁膜61a上にゲート電極を形成するための電極材料である導電膜62aを被着させ(図7(c))、加工を行ってゲート電極62を形成する。この過程で、絶縁膜61aは一部が除去されてゲート絶縁膜61になる(図7(d))。
ここで、電極材料としては、Al、Ti、W、Pt、Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Ni、Sn、Zn、およびpoly-Siからなる群から選択された少なくとも1つ、これらの群から選択された少なくとも1つを含む合金、および、これらの群から選択された少なくとも1つを含む窒化物、炭化物、および炭化窒化物などの化合物を挙げることができる。この電極材料の被着方法としては、蒸着法、スパッタリング法、およびCVD法などを挙げることができる。
この加工方法としては、リソグラフィとエッチングを行う方法、CMP(Chemical Mecanical Polishing)などの研磨を行う方法、およびエッチバックを行う方法などを挙げることができる。
その後、加工で残ったハードマスク59cをエッチング等で除去し、絶縁膜63aを堆積させる(図8(a))。絶縁膜63aとしては、SiO、SiON、SiおよびSOG(Spin on Glass)挙げることができる。その形成法としては、例えばCVD法、スパッタリング法、および塗布形成法を挙げることができる。なお、ハードマスク59cが残存していても半導体装置201の動作に悪影響を与えない場合は、必ずしもハードマスク59cを除去する必要はない。
しかる後、絶縁膜63aにp層と電気的手接触を取るための開口を開けて、絶縁膜63にする(図8(b))。
次に、電極材料(導電材料)を被着させ、リソグラフィとドライエッチングを行ってソース電極64を形成する。
そして、電極材料(導電材料)を裏面(n半導体層51露出面側)に被着させ、リソグラフィとドライエッチングを行ってドレイン電極65を形成して、半導体装置201が提供される(図8(c))。
ここで、電極材料としては、Al、Ti、W、Pt、Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Ni、Sn、Zn、およびpoly-Siからなる群から選択された少なくとも1つ、これらの群から選択された少なくとも1つを含む合金、および、これらの群から選択された少なくとも1つを含む窒化物、炭化物、炭化窒化物などの化合物を挙げることができる。この電極材料の被着方法としては、蒸着法、スパッタリング法、およびCVD法などを挙げることができる。
実施の形態3の製造方法によって提供された半導体装置201は、ダイヤモンドやSiCなどからなる半導体基板表面のダメージが少ないため、電気的耐圧が高く、また、電気動作が安定する。さらに、半導体装置201のロット間製造ばらつきも少なく、安定して高品質な半導体装置201を提供することが可能になる。
また、上述のように、アニールに際して試料表面が十分に黒化しているため、黒体輻射原理を使用した温度測定を行うとその測定精度は大変高いものとなる。このため、アニール温度制御性を大幅に高めることが可能になって、ばらつきの少ない安定した動作をする半導体装置201を歩留まり高く提供することが可能になる。
半導体装置201は、バンドギャップが広く絶縁耐圧の高い半導体材料、例えばダイヤモンドやSiCを用いると、その縦型MOS構造と相まって高い絶縁破壊電界強度を活かした優れたパワー特性を有するパワーデバイスになる。
従来法では、アニール時に半導体基板表面のダメージが影響して、絶縁耐圧などの本来材料が有している性能を十分引き出せないが、本方法では、半導体基板表面のダメージが少なくて本来材料が有している性能が引き出せ、かつパワートランジスタに適した素子構造から優れた電気特性を有するパワーデバイスを供給することができる。
(実施例1)
実施例1では、ダイヤモンド基板の表面状態を実体顕微鏡およびレーザ顕微鏡で観察、測定して表面ダメージを評価した。
ここで、実体顕微鏡はSZ61(オリンパス社製)で、補助対物1.5倍の条件で表面観察を行った。
レーザ顕微鏡VK-9700(キーエンス社製)の使用波長は408nmであり、それを用いてダイヤモンド基板表面の凹凸評価を行った。
評価対象の試料であるグラッシーカーボン積層ダイヤモンド基板(以下、GC積層基板という)101を、図1に示す。GC積層基板101は、ダイヤモンド基板1と、そのダイヤモンド基板1の基板表面1aに一体に形成されたGC層2とを有する。ここで、ダイヤモンド基板1の基板表面1aは(100)面とし、GC層2の厚さは200nmとした。
GC積層効果を確認するために、最初に、ダイヤモンド基板1の熱処理前の状態を観察した。その表面の実体顕微鏡像を図9に示すが、表面ダメージは観察されない。また、表1に示すように、表面粗さRzは77nmと高い平坦性を示した。
次に、GC層2をダイヤモンド表面上に熱蒸着して、GC積層基板101を作製した。
GC堆積条件は、低真空中でグラッシーカーボン棒に通電させて加熱することで昇華させ、GCをグラッシーカーボン棒から1cm離れたダイヤモンド基板1の表面上に蒸着させた。ここで、通電加熱蒸着時の電流は70A、通電時間は0.3秒、そして通電回数は計10回である。また、圧力は4Pa、基板温度は室温(24℃)である。なお、GC積層基板101のGC層2の純度は、堆積した後に1000℃以上の温度で低真空熱処理することで高めた。
その後、GC積層基板101を真空中(1.1×10-3Pa)において1450℃で120分間の熱処理を行った。
しかる後、熱混酸(硫酸と硝酸の混合液、温度220℃)処理を施して、GC層2および表面付着物を除去してダイヤモンド基板1を得た。
GC層2堆積、熱処理およびGC層2を除去した一連の工程を経た後のダイヤモンド基板1の表面実体顕微鏡像および表面粗さを、上記と同様にして、評価した。
その結果を図10および表1に示す。
1450℃で120分間の熱処理を行った試料であるが、熱処理をGC層2でカバーされた状態で行うことにより、ダイヤモンド基板1の表面実体顕微鏡像からは表面ダメージは観察されず、その表面粗さRzは、82nmと高い平坦性を示すものであった。
(比較例1)
GC層2を積層しないダイヤモンド基板1を、実施例1と同じ中真空中において1450℃で120分間の熱処理し、熱混酸(硫酸と硝酸の混合液、温度220℃)処理を施すことで表面付着物を除去して、ダイヤモンド基板1を得た。そして、実施例1と同様に実体顕微鏡とレーザ顕微鏡でダイヤモンド基板1の表面ダメージを評価した。
図12に熱処理後のダイヤモンド基板1の表面の実体顕微鏡を示す。表面に複数の表面ダメージが認められる。
熱処理後のダイヤモンド基板1の表面の表面粗さを表1に示すが、表面ダメージを反映して、その表面粗さRzは、885nmと熱処理前の77nmより桁が変わるほど大きな凹凸のある粗い面になっていることが示された。
なお、参考までに、表面ダメージのイメージを、固体基板102の表面ダメージ3、クラックによる分離物4として図2に示す。
(実施例2)
実施例2では、熱処理条件を酸素雰囲気(2×10Pa)において600℃で120分間にしたときのダイヤモンド基板1の表面ダメージ評価を行った。ここで、熱処理条件以外は実施例1に準拠させて、評価試料となるダイヤモンド基板1を得た。
図11に熱処理後のダイヤモンド基板1の表面の実体顕微鏡を示すが、表面ダメージが認められない表面状態であった。
表1に熱処理後のダイヤモンド基板1の表面の表面粗さを示す。表面粗さRzは67nmと高い平坦性を示した。
(比較例2)
比較例2は、実施例2においてGC層2を積層しない条件で実施例2と同様にして試料を作製し、実施例2と同様にして評価を行った結果である。したがって、比較例2は、GC層2なしで、その熱処理条件は酸素雰囲気(2×10Pa)において600℃で120分間としたダイヤモンド基板1についてである。
図13に、熱処理後のダイヤモンド基板表面の実体顕微鏡を示す。表面に複数の表面ダメージが認められる。
表1に熱処理後のダイヤモンド基板表面の表面粗さを示す。表面粗さRzは472nmと平坦性の劣化が見られた。
(比較例3)
熱処理条件を、酸素雰囲気(2×10Pa)において650℃で120分間にしたこと以外は実施例2と同様にしてダイヤモンド基板を得た。実体顕微鏡とレーザ顕微鏡でダイヤモンド基板の表面ダメージを評価した。
図14に熱処理後のダイヤモンド基板表面の実体顕微鏡を示す。複数の表面ダメージが表面に形成された。ここで、表面ダメージは、図2の表面ダメージ3に示される状態と考えられる。
表1に熱処理後のダイヤモンド基板表面の表面粗さを示す。表面粗さRzは770nmと平坦性の劣化が見られた。
(実施例3)
図1において、基板1を炭化ケイ素(SiC)基板とし、熱処理条件を、中真空(3×10-4Pa)において1700℃で120分間としたこと以外は実施例1と同様の方法で、SiC基板を得た。また、実施例1と同様にして、実体顕微鏡とレーザ顕微鏡でダイヤモンド基板の表面ダメージを評価した。
図15に熱処理前、図16に熱処理後でGC層2除去後のSiC基板表面の実体顕微鏡像を示す。両方とも表面ダメージは認められなかった。
表2に熱処理後のSiC基板表面の表面粗さを示す。表面粗さRzは、熱処理前の60nmとほぼ同じの56nmであり、高い平坦性を示した。
(比較例4)
GC層2を堆積させなかったことを除いて、実施例3と同じ方法でSiC基板を得た。そして、実体顕微鏡とレーザ顕微鏡でSiC基板の表面ダメージを評価した。
図17に熱処理後のSiC基板表面の実体顕微鏡を示す。複数の表面ダメージが表面に形成された。
表1に熱処理後のSiC基板表面の表面粗さを示す。表面粗さRzは214nmと平坦性の劣化が見られた。
(実施例4)
実施例4では、熱処理を中真空(1.1×10-3Pa)下1000℃とした以外は実施例1に準拠させてダイヤモンド基板1を用いたGC積層基板1を作製し、その試料に対してラマン分光測定を行った。ここで、ラマン分光測定装置としてはα―300R(WITec社製)を用いた。
その結果、図18に示すように、今回堆積させたGC層2はグラッシーカーボンであることが確認され、また、熱処理を低真空(10Pa)で行うとグラッシーカーボンが高品質化していることが示された。同様に熱処理プロセスでの昇温速度が遅い場合に、熱処理プロセス中にGCが高品質化することで熱耐性と耐酸化性に優れた固体基板を得ることができる。
(実施例5)
実施例5では、実施例1に従って試料を作製し、処理前、CG層2堆積(複合体形成)後、中真空(1.1×10-3Pa)下1450℃アニールおよび酸(熱混酸)処理後の各段階で写真を撮って黒化度の変化を測定した(GC/ダイヤモンド複合体)。なお、比較評価のために、この測定ではCG層2を堆積させずに同様の工程を行った試料に対しても測定を行った。その結果を図19に示す。
ダイヤモンド基板1上にGC層2が形成されたGC/ダイヤモンド複合体状態で、GC層2が形成された時点でのみ試料の十分な黒化が認められる。
この黒化により、黒体輻射利用して、GC/ダイヤモンド複合体からなる試料表面の温度測定を精度良く行うことができた。CG層2を堆積させなかった場合には、中真空下1450℃アニールおよび酸処理後に分離物の形成が確認された。
(実施例6)
実施例6では、実施例2に従って試料を作製し、処理前、CG層2堆積(複合体形成)後、酸素ガス雰囲気(2×10Pa)下600℃アニールおよび酸(熱混酸)処理後の各段階で写真を撮って黒化度の変化を測定した。なお、比較評価のために、この測定ではCG層2を堆積させずに同様の工程を行った試料に対しても測定を行った。その結果を図20に示す。
実施例5と同様に、ダイヤモンド基板1上にGC層2が形成されたGC/ダイヤモンド複合体状態で、GC層2が形成された時点でのみ試料の十分な黒化が認められる。
この黒化により、黒体輻射利用して、GC/ダイヤモンド複合体からなる試料表面の温度測定を精度良く行うことができた。
(実施例7)
実施例7では、実施例3に従ってSiC基板を用いた試料を作製し、処理前、CG層2堆積後、高真空(3×10-4Pa)下1700℃アニール後、および酸(熱混酸)処理後の各段階で写真を撮って黒化度の変化を測定した。なお、比較評価のために、この測定ではCG層2を堆積させずに同様の工程を行った試料に対しても測定を行った。その結果を図21に示す。
SiC基板1上にGC層2が形成されたGC/SiC複合体状態で、GC層2が形成された時点および熱処理時点で試料の黒化が認められる。熱処理後は、GC層2が形成されていないSiC基板のみの場合でも黒化が認められるが、基板の下に置いておいた方眼が認められるように、その黒化はGC層2が形成されたGC/SiC複合体の方が強かった。また、SiC基板のみの場合の黒化は表面ダメージによるものであり、黒化の程度は再現性に乏しい。
この黒化により、黒体輻射利用して、GC/SiC複合体からなる試料表面の温度測定を精度良く行うことができた。
(実施例8)
実施例8では、GC層2の膜厚適用範囲に関して評価した。
実施例1と同様なダイヤモンド基板1を準備し、GC層2を実施例1に準拠したプロセスで堆積させた。ここで、GC層2の膜厚は、40nm、120nm、200nm、400nm、および800nmの5水準とした。その結果を図22に示す。
GC層2の膜厚が厚くなるほど黒化度が高まるが、厚さが200nm以上でダイヤモンド基板2の下に配置した方眼を識別することが困難なことがわかる。一方で、膜厚が800nmの場合は、一部で成膜後にGC層2の膜剥離が発生した。なお、図22の右下の膜剥離を示す写真は露出条件を変更して撮影したものである。成膜直後に一部で剥離が観測された。
以上の結果から、GC層2の膜厚は、200nm以上で十分な黒化が得られるが、800nmでは膜剥離が起こりうることが確かめられた。
上述のように、本発明により、ダイヤモンドの高温熱処理における表面ダメージを抑制することができ、またダイヤモンドからの熱輻射を黒体輻射とすることで温度を正確に評価することができるようになる。
また、本発明により、炭化ケイ素の高温熱処理における表面ダメージを抑制することができ、炭化ケイ素からの熱輻射を黒体輻射とすることで温度を正確に評価することも可能になる。
ダイヤモンドや炭化ケイ素は、スマート社会のエンジンの1つになると考えられているパワー半導体の核となっている、あるいは核になると期待されている半導体である。この半導体のダメージ低減と熱処理温度管理は、この半導体を使った製品の性能向上に欠かせない。
したがって、本発明は、社会的に大きなインパクトを有し、産業に与える影響も大きいと考える。
1 ダイヤモンド基板、基板、固体基板
1a 第1主表面(基板表面)
2 グラッシーカーボン層(GC層)
3 欠け(表面ダメージ)
4 分離物
51 n半導体層
52 ドリフト層(n半導体層)
52a n半導体層
53 ベース層(p半導体層)
53a p半導体層
54 レジストパターン
55 n
55a n
56 レジストパターン
57 p
57a p
58 グラッシーカーボン層(GC層)
59a ハードマスク
59b ハードマスクパターン
59c ハードマスクパターン
60 レジストパターン
61 ゲート絶縁膜
61a 絶縁膜
62 ゲート電極
62a 導電膜
63 絶縁層
63a 絶縁膜
64 ソース電極
65 ドレイン電極
101 グラッシーカーボン積層ダイヤモンド基板(GC積層基板)、固体基板
102 固体基板
201 半導体装置(パワーデバイス、MOSFET)

Claims (13)

  1. 炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板の前記第1主表面上に100nm以上100μm以下の厚さのグラッシーカーボンが形成された、固体基板。
  2. 前記固体は、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素からなる群より選ばれる1つである、請求項1記載の固体基板。
  3. 前記固体は、ダイヤモンドである、請求項1記載の固体基板。
  4. 前記ダイヤモンドの表面が、(100)面、(110)面および(111)面からなる群より選ばれる1つの面になっている、請求項3記載の固体基板。
  5. 前記グラッシーカーボンの厚さが200nm以上50μm以下である、請求項1から4の何れか1項記載の固体基板。
  6. 炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板を準備することと、
    前記固体基板の第1主表面上に厚さが100nm以上100μm以下のグラッシーカーボンを熱蒸着法、電子線蒸着法、スパッタリング法、および溶着法からなる群より選ばれる1つ以上の方法で堆積することを有する、固体基板の製造方法。
  7. 前記固体は、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素からなる群より選ばれる1つである、請求項6記載の固体基板の製造方法。
  8. 前記グラッシーカーボンの厚さが200nm以上50μm以下である、請求項6または7記載の固体基板の製造方法。
  9. 10Pa以下の低真空下、1000℃以上で、前記固体が昇華する温度未満の熱処理を、前記堆積後に前記固体基板に行う、請求項6の固体基板の製造方法。
  10. 炭素を主たる構成元素とする固体が少なくとも第1主表面に形成されている固体基板を準備することと、
    前記固体基板の第1主表面上に厚さが100nm以上100μm以下のグラッシーカーボンを熱蒸着法、電子線蒸着法、スパッタリング法、および溶着法からなる群より選ばれる1つ以上の方法で堆積することと、
    前記固体基板に、NVセンターを形成する処理および前記固体基板の中に形成された結晶欠陥を回復させる熱処理からなる群より選ばれる1以上の処理を行うことと、
    前記グラッシーカーボンを除去することを含む、固体装置の製造方法。
  11. 前記固体は、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素および窒化炭素からなる群より選ばれる1つである、請求項10記載の固体装置の製造方法。
  12. 前記グラッシーカーボンの厚さが200nm以上50μm以下である、請求項10または11記載の固体装置の製造方法。
  13. 前記グラッシーカーボンの除去が、硫酸と硝酸からなる混酸によるウェットエッチング、および酸素雰囲気でのドライエッチングからなる群より選ばれる1以上による、請求項10記載の固体装置の製造方法。
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