JP2024011008A - ガス状流出物から酸性化合物を吸収する吸収溶液 - Google Patents

ガス状流出物から酸性化合物を吸収する吸収溶液 Download PDF

Info

Publication number
JP2024011008A
JP2024011008A JP2022112661A JP2022112661A JP2024011008A JP 2024011008 A JP2024011008 A JP 2024011008A JP 2022112661 A JP2022112661 A JP 2022112661A JP 2022112661 A JP2022112661 A JP 2022112661A JP 2024011008 A JP2024011008 A JP 2024011008A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
absorption solution
absorption
component
water
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022112661A
Other languages
English (en)
Inventor
真 大久保
Makoto Okubo
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2022112661A priority Critical patent/JP2024011008A/ja
Publication of JP2024011008A publication Critical patent/JP2024011008A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Gas Separation By Absorption (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

【課題】ガス状流出物から二酸化炭素等の酸性化合物を吸収する吸収溶液であって、吸収速度が速く、かつ再生後の排水処理が容易な吸収溶液を提供すること。【解決手段】酸性化合物を含有するガス状流出物から該酸性化合物を吸収する吸収溶液であって、成分(a)の水、成分(b)のN,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、及び成分(c)の20℃における水への溶解度が3g/L未満の第一又は第二アミンを含有する吸収溶液。【選択図】なし

Description

本発明は、酸性化合物を含有するガス状流出物から該酸性化合物を吸収する吸収溶液に関する。
近年、ガス田や火力発電所、製鉄所、セメント工場、ゴミ焼却施設及びバイオマス関連施設から二酸化炭素等の酸性化合物を回収する技術の効率化が求められている。
例えば、特許文献1では、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミンと特定の第1級又は第2級アミンとを含有する水溶液であって、ガス状流出物の酸性化合物を吸収した際、生じた塩の相分離が防止される吸収溶液が開示されている。
特表2011-528993号公報
しかしながら、特許文献1には、再生後の水が富化された画分の排水処理に言及がない。さらに示される吸収溶液を用いて二酸化炭素を吸収させると、吸収速度が遅かったり、あるいは再生後の排水処理に困難を伴うことがある、という問題点を有することが分かった。
従って本発明は、ガス状流出物から二酸化炭素等の酸性化合物を吸収する吸収溶液であって、吸収速度が速く、かつ再生後の排水処理が容易な吸収溶液を提供することに関する。
このような課題を解決すべく本発明者が鋭意検討した結果、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミンと、水への溶解性が小さい特定の第一アミン又は第二アミンを含有する水溶液が、酸性化合物の吸収速度が速く、かつ吸収後、更に酸性化合物を分離した後の吸収溶液、つまり再生後の吸収溶液において、水が富化された画分の排水処理が容易であることを見出した。かかる知見に基づいて、本発明者は本発明を完成させた。
本発明は、下記〔1〕~〔2〕に関する。
〔1〕 酸性化合物を含有するガス状流出物から該酸性化合物を吸収する吸収溶液であって、下記の成分(a)~(c)を含有する吸収溶液。
(a)水
(b)N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン
(c)20℃における水への溶解度が3g/L未満の第一又は第二アミン
〔2〕 酸性化合物を含有するガス状流出物と前記〔1〕に記載の吸収溶液とを接触させて、該吸収溶液に該酸性化合物を吸収させる吸収工程を含む、酸性化合物の吸収方法。
本発明によれば、ガス状流出物から二酸化炭素等の酸性化合物を吸収する吸収速度が速く、かつ吸収後、更に酸性化合物を分離した後の吸収溶液において、水が富化された画分の排水処理が容易な吸収溶液を提供することができる。
図1は、本発明の吸収溶液を評価するための装置の概要を示す模式図である。
本発明の吸収溶液は、酸性化合物を含有するガス状流出物から該酸性化合物を吸収する吸収溶液であって、下記の成分(a)~(c)を含有する。
(a)水
(b)N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン
(c)20℃における水への溶解度が3g/L未満の第一又は第二アミン
かかる成分を使用することで、上記効果が発揮できる推定メカニズムとしては以下のようなものが推定される。
酸性化合物を吸収するためのアミン類には多種多様なものが知られている。
水への溶解度が3g/L未満の第一アミン又は第二アミンは、水への溶解度が低いため、酸性化合物の吸収速度を十分なものとすることはできない。
加えて、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン単独を吸収溶液の有効成分と使用した場合、水が富化された画分の排水処理は容易であるが、吸収速度は不十分である。
そこで、本発明者は、各種アミンを検討した結果、上記第一アミン又は第二アミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、及び水の三成分が相溶することを見出した。このような水溶液は、上記第一アミン又は第二アミンが水に溶解した状態なので、十分な反応速度を得ることができる。さらに、酸性化合物を吸収し、次いでそれを脱離した後の水溶液は曇点を有するため、曇点の温度を超えた温度条件に置くことで、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミンに富む層と水に富む層とに分離する。両者が分離することで、上記第一アミン又は第二アミンと水との相互作用が消滅し、上記第一アミン又は第二アミンの大部分がN,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミンに富む層に存在することとなる。その結果、水に富む層におけるアミン成分の濃度が小さくなり、かかる層を排水として処理することが容易となる。
以下に本発明を詳述する。
1. 酸性化合物及びガス状流出物
本発明における酸性化合物とは、二酸化炭素等の炭素酸化物、一酸化硫黄、二酸化硫黄及び三酸化硫黄等の硫黄酸化物、一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化窒素、亜酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素及び五酸化二窒素等の窒素酸化物、及び硫化水素等の硫黄化合物等が挙げられる。
本発明におけるガス状流出物とは、酸性化合物を含有するガスである。例えば、石油、石炭や天然ガス等を燃料とする火力発電所からの排ガス、セメント工場のキルンからの排ガス、製鉄所の高炉や転炉等からの排ガス、ゴミ焼却施設からの排ガス、腐敗や発酵により排出されるバイオマス系排ガス等が挙げられる。
本発明は、水分が含まれる排ガスに処理に特に好適に用いられ、特に排ガス中の水分濃度が高い低品位炭、天然ガスを燃料とする火力発電所からの排ガス、ごみ焼却設備からの排ガス、バイオマス系排ガスに好適に用いられる。
2. 本発明の吸収溶液
〔成分(a)〕
本発明における成分(a)は水である。水は成分(b)等の媒体としての役割や、酸性化合物との接触後、即ち中和後の吸収溶液の増粘防止の役割を果たす。
〔成分(b)〕
本発明における成分(b)は、下記の化学式で示されるN,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミンである。成分(b)は、吸収溶液において酸性化合物を吸収する作用だけではなく、意外にも水への溶解度が小さいアミンの水への溶解助剤としての作用も有することを見出した。即ち、成分(b)を使用することによって、成分(c)のアミンのような水にほぼ溶解しないアミンであっても、本発明の吸収溶液ではより多くの量を溶解状態にさせることができる。このように、本発明の吸収溶液において成分(b)を使用することは本発明の特徴の一つである。
Figure 2024011008000001
〔成分(c)〕
本発明における成分(c)は、20℃における水への溶解度が3g/L未満の第一又は第二アミンである。
排液処理の負担軽減の観点及び成分(c)の再利用の効率性の観点から、成分(c)の水への溶解度はより小さい方が好ましい。例えば、成分(c)の20℃における水への溶解度は、好ましくは3g/L以下、より好ましくは1g/L以下である。
成分(c)の構造としては、低起泡性及び繰り返し使用における品質安定性の観点から、アルキル基を有するモノアミンであることが好ましく、アルキル基を有する第一モノアミンであることがより好ましい。アルキル基の炭素数としては、好ましくは5以上、より好ましくは6以上であり、一方、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。アルキル基は直鎖でも分岐でもよいが、低起泡性の観点から好ましくは分岐である。
成分(c)のアミンの好適な具体例としては、2-エチルヘキシルアミン(20℃における水への溶解度:0.3g/L)及びn-オクチルアミン(20℃における水への溶解度:0.2g/L)が挙げられる。成分(c)は、一種類の成分のみを用いてもよく、二種類以上の成分を併用してもよい。
〔その他の成分〕
更に本発明の吸収溶液には、必要に応じて、酸化安定剤、腐食防止剤等の成分が含まれていても良い。
〔本発明の吸収溶液の性質〕
本発明の吸収溶液における成分(a)の量としては、酸性化合物吸収時における増粘の緩和や塩の析出防止の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。一方、アミン成分の分離や酸性化合物の回収の際のエネルギー低減の観点から、前記成分(a)の量としては、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
本発明の吸収溶液における成分(b)の量としては、酸性化合物の飽和吸収容量及び成分(c)の水への溶解性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。一方、酸性化合物吸収時の増粘防止の観点から、前記成分(b)の量としては、好ましくは58質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
本発明の吸収溶液における成分(c)の量としては、酸性化合物の吸収速度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。一方、成分(a)と成分(b)とに対する溶解性の観点から、前記成分(c)の量としては、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
本発明の吸収溶液における成分(b)と成分(c)の合計量としては、酸性化合物の飽和吸収量と吸収速度とを両立する観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。一方、増粘を防止する観点から、前記合計量としては、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。吸収溶液における成分(b)と成分(c)の合計量が多過ぎると、吸収溶液が酸性化合物を吸収した際に増粘し、ゲル化することがあるため、前記合計量としては60質量%以下が好ましい。
本発明の吸収溶液における成分(b)と成分(c)との質量比((b)/(c))としては、成分(c)の水への溶解状態を維持する観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上である。一方、二酸化炭素の吸収速度の観点から、前記質量比としては、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
本発明の吸収溶液の粘度としては、設備内での流動性を向上させる観点から、低ければ低い方が好ましい。具体的には、前記粘度としては、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは25mPa・s以下、更に好ましくは15mPa・s以下である。
ここで、粘度は、B型粘度計(例えば、東機産業製TVB-10)を用いて、30℃にて回転速度60rpmで測定した値である。
〔吸収溶液の調製方法〕
本発明の吸収溶液は、上記の成分(a)、成分(b)及び成分(c)、更には必要に応じて任意成分を公知の手段で混合することで調製することができる。
3. 本発明の酸性化合物の吸収方法
本発明の酸性化合物の吸収方法は下記の吸収工程を含む方法である。
〔吸収工程〕
吸収工程では、酸性化合物を含有するガス状流出物と、上述の本発明の吸収溶液とを接触させて、該吸収溶液に該酸性化合物を吸収させる。ガス状流出物と本発明の吸収溶液とを接触させる方法は特に限定されない。
例えば、吸収溶液中にガス状流出物をバブリングさせる方法、ガス状流出物の気流中に吸収溶液を噴霧する方法、又は吸収塔内で吸収溶液とガス状流出物とを向流接触させる方法等が挙げられる。
吸収工程における温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、一方、好ましくは55℃以下、より好ましくは50℃以下である。
吸収工程における圧力は、常圧程度で構わないが、吸収速度を高める観点から加圧してもよい。
〔脱離工程〕
吸収工程において酸性化合物を吸収した吸収溶液を、脱離工程において処理することにより、吸収溶液から酸性化合物を脱離させる。一方、酸性化合物が脱離することにより、吸収溶液は再生されることとなる。
脱離工程の具体的な方法としては、吸収溶液を、吸収工程とは異なる容器内で加熱して酸性化合物を脱離させる方法、吸収溶液を脱離塔に導いて脱離塔内で液界面を広げて加熱する方法などが挙げられる。かかる方法により、アミンと反応した酸性化合物が遊離して吸収溶液から放出される。遊離した酸性化合物は、公知の手段によって回収することができる。
脱離工程における温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であり、一方、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下である。
脱離工程における圧力は、常圧程度で構わないが、脱離工程での効率を高める観点から加圧してもよい。
〔分離工程〕
分離工程では、脱離工程を経て再生された吸収溶液を特定の容器(例えば分離槽)に好ましくは連続的に導き、脱離工程での加熱状態を維持するか、あるいは吸収溶液を再び加熱することにより、再生された吸収溶液を水に富む層と成分(b)に富む層とに分離させる。
酸性化合物を吸収する能力を有する様々なアミンの中から、特定のアミンである上記成分(b)及び成分(c)を吸収溶液における有効成分として採用したことが、本発明の特徴の一つである。
成分(b)及び成分(c)を含む水溶液は曇点を示すため、かかる水溶液を曇点を超える温度とすることで、水に富む層と、(b)及び(c)に富む層とに分離させることができる。分離工程においては、水の沸点、つまり常圧において100℃を超えない範囲で温度が高い方が、水に富む層におけるアミン濃度を低減できるため好ましい。その一方、分離させる際に要するエネルギー削減の観点からは、酸性化合物の脱離工程時の加熱状態をそのまま維持しながら、吸収溶液を分離工程に供給することが好ましい。
従って、分離工程における吸収溶液の具体的な温度範囲として、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、一方、好ましくは99℃以下、より好ましくは90℃以下の温度範囲とすることで、水に富む層と成分(b)に富む層とに分離させることができる。
分離工程における圧力は、常圧程度で構わないが、分離効率を高める観点から加圧又は減圧してもよい。
分離工程を経て得られた、水に富む層に含まれるアミン濃度は十分に低いため、水に富む層はそのまま、あるいは公知の手段による軽微な処理を行って、排水として放出することができる。さらには、水に富む層の一部を、成分(b)に富む層の水分調整用に再利用することもできる。一方、分離工程を経て得られた成分(b)に富む層には、成分(c)が高濃度で含まれる。従って、成分(b)に富む層を吸収溶液として再利用することができる。
以下、実施例等を示して本発明を具体的に説明する。なお、下記の実施例は単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。なお、「常圧」とは101.3kPaを、「常温」とは25℃を示す。
実施例1~3及び比較例1~2
表1に示す組成の水溶液を調製して、実施例1~3の吸収溶液又は比較例1~2の吸収溶液とした。調製から1時間後の各吸収溶液の常温での外観はいずれも均一透明であった。
試験例1
各吸収溶液の二酸化炭素の飽和吸収容量等を評価するための装置を次のように作製した。装置の概要を図2に示す。
二酸化炭素ボンベ21と乾燥管22(kartell社製、材質:PE、全長(mm):270、サイズ(直径Φ×高さH)(mm):20×200、乾燥剤:シリカゲル)を耐圧ホースで連結した。
吸収溶液の容器Cとして、080100-02バブラー(柴田科学社製、容量:30mL、サイズ(直径Φ×高さH)(mm):28×149、付属品:ガラスフィルターP160)に、表1に示すいずれかの吸収溶液25gを投入した。これと乾燥管22を連結した。
前記乾燥管を更に二つ準備して、容器Cに直列に連結した(乾燥管A、乾燥管B)。
フィルターユニット付試薬瓶(SHIBATA社製、容量:100mL、メーカー品番016060-100)に85質量%リン酸水溶液を50g入れた容器Dを準備し、乾燥管Aと連結した。なお、リン酸水溶液が入った容器Dは、総質量変化を測定する上で、もしアミンが揮発した場合に備えて塩として捕捉するためのものである。
二酸化炭素供給前のA、B、C及びDの合計質量を初期質量とした。
初期液温および実験雰囲気は20℃±1℃、二酸化炭素は0.5L/分となるようバブリング処理を行った。容器C内の温度とA、B、C及びDの合計質量の変化を経時に記録した。
また、容器Cの温度上昇を観察し、最高到達温度を記録し、これを酸性化合物を分離し吸収溶液を再生するために必要なエネルギーの指標とした。実験の結果、実施例1~3の吸収溶液及び比較例1~2の吸収溶液のすべてが40℃以下であり、吸収溶液を再生するために必要なエネルギーの量が実用上少ないと判断できた。
試験例2
上記試験例1において、合計質量の変化が5分間のバブリングで0.1g未満となった時点の合計質量を記録した。この合計質量と初期質量との差を求め、吸収溶液1リットル当たりの質量の増加量に換算して飽和吸収容量と判断した。飽和吸収容量の値が大きい吸収溶液ほど良好と判断した。
試験例3
上記試験例2において、飽和吸収容量の70%までの挙動を直線近似し、その傾きを吸収速度とした。吸収速度は、1分間の吸収溶液1リットル当たりの質量の増加量で換算した。吸収速度が大きい吸収溶液ほど良好と判断した。
試験例4
二酸化炭素を吸収し、次いで二酸化炭素を脱離させた後の吸収溶液の排水処理容易性について、次のように試験した。
マルエムNO.8スクリュー管に、表1に示す各吸収溶液60gを投入して密封した。ここでの各吸収溶液は、二酸化炭素を吸収し、次いで二酸化炭素を脱離させた後の吸収溶液を想定したものであるので、二酸化炭素のバブリングを実施しなかった。
分離工程を想定した操作として、各スクリュー管を70℃に温度調整したオーブン内に1日放置した。その後、目視で層分離の有無を観察した。また上層及び下層のサンプリングを行い、水分(質量%)、全アミン価(KOHmg/g)、第三アミン価(KOHmg/g)を測定し、組成を算出した。
成分(b)は曇点を有するため、上記組成では70℃に加温すると、成分(b)に富む層(上層)と、水に富む層(下層)とに分離する。下層に含まれるアミンの量が少ないほど、上層に含まれるアミンの再利用の効率が高いだけでなく、下層を排水として処理する際のコストを低減できることも意味する。
本試験では、水に富む層(下層)における水の濃度が高く、アミンの濃度が低いほど、排水処理が容易であると判断した。
Figure 2024011008000002
上記表中の組成は質量%である。
実施例1~3の吸収溶液及び比較例1~2の吸収溶液を70℃で放置した結果、いずれの吸収溶液も上層と下層に分離した。二酸化炭素の吸収速度については、実施例1~3及び比較例1の吸収溶液は実用上十分な吸収速度であったが、比較例2の吸収溶液は明らかに劣っていた。上記の実験結果から、本発明の組成の吸収溶液(実施例1~3)は、吸収速度の高さと排水処理の容易性が両立できる性質を有することが分かった。
一方、比較例の組成の吸収溶液は、飽和吸収容量や吸収速度に優れていたもの(比較例1)も見られたが、いずれも、水に富む層(下層)におけるアミンの濃度が高いことが分かった。このことから、水に富む層(下層)を排水として処理するためにはアミンの濃度を下げるという更なる工程が必要であることが示唆された。
さらに、比較例1ではn-ブチルアミンの60%が下層に存在し、比較例2ではN-メチルベンジルアミンの30%が下層に存在したことが分かった。このことから、成分(b)に富む層(上層)を吸収溶液として循環させて再利用する場合、n-ブチルアミンやN-メチルベンジルアミンを相当量、追加することが必要であることが示唆された。またこの場合、成分(b)についても水に富む層への移行が促進されるため、成分(b)についてもより多くの追加が必要となることが示唆された。
このように、アミンの追加が必要となる局面において2種以上のアミンを追加する場合、失われた複数のアミンの比率を再生の都度確認する必要が生じるため、分析及び各アミンの追加操作が非常に煩雑となる。しかしながら、実施例の吸収溶液を使用した場合、水に富む層(下層)における「併用するアミン」アミンの追加は少量の成分(b)の添加のみで対応が可能となる。このことは、分析及び各アミンの追加操作が簡便又は不要となることを意味し、実用上の大きな利点と言うことができる。
本発明の吸収溶液は、種々の排気ガスから二酸化炭素を回収する分野で利用可能である。
21 二酸化炭素ボンベ
22 乾燥管
A 乾燥管
B 乾燥管
C 吸収溶液を入れた容器
D リン酸水溶液を入れた容器

Claims (6)

  1. 酸性化合物を含有するガス状流出物から該酸性化合物を吸収する吸収溶液であって、下記の成分(a)~(c)を含有する吸収溶液。
    (a)水
    (b)N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン
    (c)20℃における水への溶解度が3g/L未満の第一又は第二アミン
  2. 成分(b)と成分(c)の合計量が20質量%以上60質量%以下である、請求項1に記載の吸収溶液。
  3. 成分(b)と成分(c)との質量比((b)/(c))が1以上30以下である、請求項1又は2に記載の吸収溶液。
  4. 成分(c)のアミンがアルキル基を有する第一モノアミンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収溶液。
  5. 成分(c)のアミンが2-エチルヘキシルアミン及びn-オクチルアミンからなる群より選択される1種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収溶液。
  6. 酸性化合物を含有するガス状流出物と請求項1~5のいずれか1項に記載の吸収溶液とを接触させて、該吸収溶液に該酸性化合物を吸収させる吸収工程を含む、酸性化合物の吸収方法。
JP2022112661A 2022-07-13 2022-07-13 ガス状流出物から酸性化合物を吸収する吸収溶液 Pending JP2024011008A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022112661A JP2024011008A (ja) 2022-07-13 2022-07-13 ガス状流出物から酸性化合物を吸収する吸収溶液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022112661A JP2024011008A (ja) 2022-07-13 2022-07-13 ガス状流出物から酸性化合物を吸収する吸収溶液

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024011008A true JP2024011008A (ja) 2024-01-25

Family

ID=89622204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022112661A Pending JP2024011008A (ja) 2022-07-13 2022-07-13 ガス状流出物から酸性化合物を吸収する吸収溶液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024011008A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108840311B (zh) 一种以低共熔溶剂为介质的硫化氢液相氧化脱除法
EP3153224B1 (en) Process and device for desulphurization and denitration of flue gas
US8523979B2 (en) Removal of acid gases by means of an absorbent comprising a stripping aid
JP5794913B2 (ja) 吸収剤及び流体流、特に排ガスからの酸性ガスの除去のための方法
CN107261767B (zh) 一种烟气脱碳剂及烟气脱碳的方法
KR101953234B1 (ko) 에틸렌글리콜계 복합용액으로 가스 중의 SOx를 제거하는 방법
KR102114062B1 (ko) 폴리올 복합용액으로 가스 중의 SOx를 제거하는 방법
CN107019996B (zh) 循环吸收天然气尾气中二氧化硫气体的吸收剂及其应用
CN104093475A (zh) 用于从气体混合物中吸收co2的方法和吸收介质
EP2804690A1 (de) Verfahren zur absorption von co2 aus einer gasmischung mit aminen
WO2012168094A1 (de) Verfahren zur absorption von co2 aus einer gasmischung
JP6339094B2 (ja) 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールと3−アミノプロパノールまたは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールと4−アミノブタノールとを含む水性co2吸収剤
JP2009213974A (ja) ガス中の二酸化炭素を効率的に吸収、脱離回収する水溶液及び方法
CN107261766B (zh) 一种烟气脱碳组合物、其制备方法及烟气脱碳的方法
JP2017057293A (ja) 硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法
KR102134129B1 (ko) Fe(Ⅲ)-EDTA 환원반응 및 Fe(Ⅱ)-EDTA-NO 재생용 활성탄 및 Fe(Ⅱ)-EDTA를 이용한 질소산화물 및 황산화물 제거 공정
JP2024011008A (ja) ガス状流出物から酸性化合物を吸収する吸収溶液
CN109534297B (zh) 一种硫化氢和二氧化硫反应脱硫的方法
KR102035926B1 (ko) 산성가스 분리용 흡수제
JP2023506056A (ja) 第三級アミン系吸収溶液を用いて、ガス状流出物から酸化合物を除去する方法
KR101223846B1 (ko) 황화수소 제거제에 의한 황화수소 제거 방법
CN105289207A (zh) 捕集二氧化碳气体的三乙醇胺复合胺吸收剂
CN107519735B (zh) 一种从混合气中脱除二氧化碳的组合物及烟气脱碳的方法
CN116328498A (zh) 二氧化碳吸收剂及其应用和处理烟气中二氧化碳的方法
CN113274977B (zh) 用于去除水中Hg(Ⅱ)的除汞吸附剂及其制备方法与应用