JP2024009671A - 二成分現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリア上がりを抑制でき、且つ画像濃度の安定性に優れた二成分現像剤を提供する。【解決手段】二成分現像剤は、キャリア芯材及びこのキャリア芯材を被覆する樹脂被覆層を備えるキャリアと、トナー粒子の表面に外添剤が付着したトナーとを含有する。樹脂被覆層は、外層と、この外層よりもキャリア芯材側に位置する内層とを含む二層以上で構成される。内層は外層よりも導電性が低く、外層に対する内層の質量比は1.2以上11以下である。外添剤はチタン酸化物を含む。【選択図】図5

Description

本開示は、二成分現像剤に関する。
電子写真方式を利用した複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に使用される現像剤として、トナー粒子(トナーコア)の表面に外添剤を付着させたトナーと、キャリアとを含有する二成分現像剤が広く使用されている。
二成分現像剤におけるキャリアとして、トナーを所望の帯電量に安定して帯電させる機能を付与するため、フェライト等の磁性を有するキャリア芯材の表面を樹脂被覆層で被覆した樹脂被覆キャリアが従来使用されている。さらに、樹脂被覆キャリアとして、樹脂被覆層を二層構造としたキャリア(二層コートキャリア)が知られている(例えば、特許文献1~3)。
特許文献1には、樹脂被覆層が窒素原子含有アクリル樹脂と導電材とを含有し、樹脂被覆層がキャリア芯材側の内層とその上に積層される外層との積層構造を有し、内層は窒素原子の濃度が最も高く導電材の濃度が最も低い層であり、内層における窒素原子の濃度と導電材の濃度が一定であり、外層は、膜厚方向に対して内層側の窒素原子の濃度が表面側より高く、表面側の導電材の濃度が内層側より高く、内層の膜厚が樹脂被覆層の総膜厚の32%~49%の範囲内であるキャリアを含む二成分現像剤が開示されている。特許文献1に開示されたキャリアは、キャリアに耐スペント性を持たせるために樹脂被覆層に消耗を許容する領域を設けたキャリアにおいて、キャリア性能の変化を緩和することを目的としている。
特許文献2には、キャリア芯材の周りに、導電材を有しない合成樹脂からなる内層と、導電材を分散させた合成樹脂からなる外層との二層からなる樹脂被覆層を被覆させたキャリアが開示されている。特許文献2に開示されたキャリアは、キャリアの抵抗を安定に保つことを目的としている。
特許文献3には、キャリア芯材の表面に酸化処理層を形成し、酸化処理層上に、内層側から外層側へ向かって抵抗値が低下するように、二層以上の抵抗値の異なる樹脂被覆層を形成したキャリアが開示されている。特許文献3に開示されたキャリアも、キャリアの抵抗を安定に保つことを目的としている。
特開2014-48455号公報 特開2005-345676号公報 特開2007-272165号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている二成分現像剤のように、キャリアの樹脂被覆層に窒素原子を導入することにより帯電性能を高めた場合、窒素原子が電荷キャリアとなるため、樹脂被覆層の絶縁性が低下する。そのため、一旦電界を印加して樹脂被覆層に導電路ができてしまうと、キャリア上がりを防止する効果が著しく低下し、樹脂被覆層としての機能が発揮できなくなるおそれがあるという問題がある。なお、キャリア上がりとは、感光体表面の電界とキャリアとのクーロン引力によって現像時にキャリアが感光体表面に付着する現象のことである。
本開示の二成分現像剤は斯かる事情に鑑みて見出されたものであり、キャリア上がりを抑制でき、且つ画像濃度の安定性に優れた二成分現像剤の提供を主たる目的とする。
上記課題を解決するために本開示の二成分現像剤は、キャリア芯材及び当該キャリア芯材を被覆する樹脂被覆層を備えるキャリアと、トナー粒子の表面に外添剤が付着したトナーとを含有する二成分現像剤であって、前記樹脂被覆層は、外層と当該外層よりも前記キャリア芯材側に位置する内層とを含む二層以上で構成され、前記内層は前記外層よりも導電性が低く、前記外層に対する前記内層の質量比は1.2以上11以下であり、前記外添剤はチタン酸化物を含むことを特徴とする。
上記の二成分現像剤によれば、キャリア上がりを抑制でき、且つ画像濃度の安定性に優れた二成分現像剤を実現できる。
上記の二成分現像剤にあっては、現像を繰り返すにつれて、外添剤としてトナー粒子表面に付着していたチタン酸化物が、キャリア表面へと移行することが好ましい。具体的には、チタン酸化物の移行量は、二成分現像装置を有する複写機に二成分現像剤をセットしてA4用紙に印字率5%で40万枚印字したとき、印字枚数1000枚あたり0.02%以上2%以下であることが好ましい。なお、チタン酸化物の移行量とは、印字前のトナー(初期トナー)に含まれるチタン酸化物の量に対する、印字によってキャリア表面に移行したチタン酸化物の量の割合を表す。
上記の二成分現像剤は、キャリア上がりを抑制する性能に優れた二層コートキャリアを含有したうえで、二成分現像剤を長期使用した場合にキャリアの抵抗が変化していくことを許容する設計である。本発明者は、上記の二成分現像剤によれば、現像剤を長期使用してキャリアの抵抗が変化しても、現像剤全体としては性能の低下を抑制できることを見出した。上記の二成分現像剤によれば、トナーの外添剤としてのチタン酸化物がキャリア側へと移行することにより、特に低湿環境下での連続印字によるカブリの発生、及び低湿環境下で放置したときのカブリの変化を抑制することができ、画像品位の変化が少ない二成分現像剤を実現できる。具体的な作用機序については後述する。
本開示の二成分現像剤によれば、キャリア上がりを抑制でき、且つ画像濃度の安定性に優れる等、優れた効果を奏する。
本実施形態に係るキャリアの使用初期における状態を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係るキャリアの長期使用後における状態を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係るキャリアの使用初期における電荷移動の様子を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係るキャリアの長期使用後における電荷の状態を模式的に示す断面図である。 長期使用した本実施形態に係るキャリアの、現像時における電荷移動の様子を模式的に示す断面図である。 キャリアのブリッジ抵抗測定に用いる測定治具を示す模式図である。 実施例に係るキャリアの使用初期における抵抗特性を示すグラフである。
以下、本開示の二成分現像剤の実施形態について詳述する。
本実施形態に係る二成分現像剤は、キャリア芯材及び当該キャリア芯材を被覆する樹脂被覆層を備えるキャリアと、トナー粒子の表面に外添剤が付着したトナーとを含有する二成分現像剤である。
1.キャリア
図1は、本実施形態に係るキャリアの使用初期における状態を模式的に示す断面図である。本開示の二成分現像剤におけるキャリアは、内層及び外層を含む二層以上で構成された樹脂被覆層を備えており、図1のキャリアCでは、キャリア芯材1の表面上に内層2、外層3の順で樹脂被覆層が積層配置されている。
キャリアの体積平均粒径は、特に制限されないが、20μm以上100μm以下であることが好ましく、30μm以上60μm以下であることがより好ましい。キャリアの体積平均粒径が小さすぎると、現像時に現像ローラから感光体ドラムにキャリアが移動することにより、得られる画像に白抜けが発生することがある。キャリアの体積平均粒径が大きすぎると、ドット再現性が悪くなり、画像が粗くなることがある。
なお、キャリアの体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置HELOS(SYMPATEC社製)に乾式分散装置RODOS(SYMPATEC社製)を用いて、分散圧3.0barの条件下で測定した値を意味する。
キャリア芯材としては、この分野で常用されるものが使用でき、例えば、鉄、銅、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性金属酸化物が挙げられる。これらの中でも、フェライト成分を含む粒子(フェライト系粒子)が好ましい。フェライト系粒子は、飽和磁化が高く、密度の小さいキャリアを得ることができる。そのため、感光体へのキャリア付着が起こりにくく、ソフトな穂立形成によるドット再現の高い画像が得られる。フェライト系粒子としては公知のものを使用でき、例えば、亜鉛系フェライト、ニッケル系フェライト、銅系フェライト、ニッケル-亜鉛系フェライト、マンガン-マグネシウム系フェライト、銅-マグネシウム系フェライト、マンガン-亜鉛系フェライト、マンガン-銅-亜鉛系フェライト等の粒子が挙げられる。
樹脂被覆層を構成する樹脂としては、特に限定されず、公知のものを使用できるが、シリコーン樹脂又はアクリル変性シリコーン樹脂を含むことが好ましい。これによって、現像時におけるトナーのキャリアからの離型性が向上するため、現像性が良好となる。また樹脂被覆層を所望の硬度にすることができ、さらにキャリア芯材との密着性を良好にできるので、長期間にわたってトナーを安定して帯電させることができる。
上記のシリコーン樹脂のなかでも、架橋性シリコーン樹脂がより好ましい。架橋型シリコーン樹脂が含まれることによって、現像時におけるトナーのキャリアからの離型性が一層向上し、現像性も一層良好となる。また、樹脂被覆層を所望の硬度にすることができ、さらにキャリア芯材との密着性を一層良好にできる。架橋性シリコーン樹脂は、下記式に示すように、Si原子に結合する水酸基同士、又は水酸基と-OX基とが加熱脱水反応、常温硬化反応等によって架橋して、硬化したシリコーン樹脂である。下記式中、Rは1価の有機基を示し、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。-OX基はアセトキシ基、アミノキシ基、アルコキシ基、オキシム基等である。
Figure 2024009671000002
架橋型シリコーン樹脂としては特に制限されず、加熱硬化型シリコーン樹脂、常温硬化型シリコーン樹脂のいずれをも使用できる。加熱硬化型シリコーン樹脂を架橋させるには、樹脂を200℃~250℃程度に加熱する必要がある。常温硬化型シリコーン樹脂を硬化させるには加熱は必要ないが、硬化時間の短縮のために150℃~280℃で加熱するのが好ましい。
架橋型シリコーン樹脂の中でも、Rで示される1価の有機基がメチル基であるものが好ましい。Rがメチル基である架橋型シリコーン樹脂は架橋構造が緻密であることから、架橋型シリコーン樹脂を用いてキャリア芯材の樹脂被覆層を形成すると、撥水性、耐湿性等の良好なキャリアが得られる。ただし、架橋構造が緻密になりすぎると、樹脂被覆層が脆くなる傾向があるので、架橋型シリコーン樹脂の分子量を適宜選択すればよい。
本実施形態に係る樹脂被覆層が備える内層及び外層は、同じ樹脂が含まれていることが好ましい。同じ樹脂を含むことで、内層と外層の界面が剥離しにくく、両層の接着性が良好となる。
樹脂被覆層には、導電材を添加することができる。本実施形態の二成分現像剤にあっては、内層は外層よりも導電性が低く構成されることから、外層が導電材を含むことが好ましい。外層が導電材を含むことにより、使用初期のトナー帯電量の著しい上昇を抑制できる。また、例えば両層がともに同じ導電材を含む場合には、導電材の含有率は、外層が内層よりも高いことが好ましい。
導電材としては、例えば、酸化ケイ素、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の導電材が挙げられる。導電材は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの導電材の中でも、作製安定性、コスト、電気抵抗の低さという観点からカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの種類は特に限定されないが、DBP(ジブチルフタレート)吸油量が90ml/100g以上170ml/100g以下の範囲にあるものが、作製安定性に優れる点で好ましい。また、一次粒径として50nm以下のものが分散性に優れる点で好ましい。
外層中の導電材の含有量は、樹脂被覆層を構成する樹脂100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。導電材の含有量が上記上限を超えると、カブリが発生するおそれがある。導電材の含有量が上記下限未満の場合、導電材の添加効果が発現しないおそれがある。
本実施形態に係るキャリアの樹脂被覆層は、外層に対する内層の質量比が1.2以上11以下となるように形成されている。この質量比は4以上11以下であることがより好ましい。このように外層よりも導電性が低い内層を厚く形成することで、キャリア上がりを防ぐ性能を長期に保つキャリアとなる。このことに加えて、本実施形態に係る二成分現像剤は、キャリアが導電性を有する外層を備え、トナーが外添剤としてチタン酸化物を含有することにより、画像濃度の安定性に優れたものとなる。
一方、長期使用により外層が削れて内層が露出していくことで、キャリアの電荷授受性能は劣化していくが、本実施形態に係る二成分現像剤では、後述するように、トナーの外添剤としてのチタン酸化物がキャリア表面(露出した内層の表面)へと移行して、キャリア表面での電荷授受を助けることによって、帯電性能を維持することができる。
キャリアにおける内層の割合は、キャリア芯材100質量部に対して1.5質量部以上12質量部以下であることが好ましく、キャリアにおける外層の割合は、キャリア芯材100質量部に対して1質量部以上1.5質量部以下であることが好ましい。
樹脂被覆層の形成方法には、公知の方法が採用できる。例えば、樹脂被覆層の原料を溶媒(例えば、トルエン、アセトン等の有機溶媒)に溶解し、得られた溶液中にキャリア芯材を浸漬させる浸漬法;樹脂被覆層の原料溶液をキャリア芯材に噴霧するスプレー法;キャリア芯材を流動エアにより浮遊させた状態で樹脂被覆層の原料溶液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中でキャリア芯材と樹脂被覆層の原料溶液とを混合し、溶媒を除去するニーダーコーター法が挙げられる。樹脂被覆層が導電材を含む場合、樹脂被覆層の原料溶液に樹脂と共に導電材を添加することで形成できる。
上記方法により内層を形成したのちに同様の方法により外層を形成することで、内層及び外層を形成する(二層コートを行う)ことができる。被覆処理する際に硬化反応を進めておくことで独立したコート層を形成することができ、硬化反応の進行を抑えておくことで層間の変化を連続的なものとできる。硬化反応は被覆処理時の温度により制御することが可能であり、例えば、50℃~250℃程度にて被覆処理することができる。
本実施形態に係るキャリアの抵抗特性は、ブリッジ抵抗測定法において電流0.1μAとなる電圧が25V以上300V以下であることが好ましく、70V以上280V以下であることがより好ましい。電圧が上記範囲内であることで、キャリア上がりを防止するのにより好適な二成分現像剤とすることができる。
また、本実施形態に係るキャリアの抵抗特性は、ブリッジ抵抗測定法において電流10μAとなる電圧が250V以上900V以下であることが好ましく、400V以上850V以下であることがより好ましい。電圧が上記範囲内であることで、画像濃度変化がより少ない二成分現像剤とすることができる。
キャリアのブリッジ抵抗測定は、図6に示すような測定冶具90を用いて測定でき、具体的な測定方法は後掲の実施例にて示すとおりである。
2.トナー
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子の表面に外添剤が付着したトナーである。さらに必要に応じて、本開示に係る効果を損なわない範囲において、任意成分を含有していてもよい。トナー粒子の一次粒子の体積平均粒径は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5μm以上8μm以下が挙げられる。本実施形態において、トナー粒子は結着樹脂と、着色剤、離型剤等の内添剤とを含み、内添剤は結着樹脂中に分散している。
<結着樹脂>
本実施形態に係るトナー粒子に含まれる結着樹脂としては、特に限定されないが、ポリエステル樹脂を好適に用いることができる。
結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂は、通常、2価のアルコール成分及び3価以上の多価アルコール成分から選ばれる1種以上と、2価のカルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸から選ばれる1種以上とを、公知の方法により、エステル化反応又はエステル交換反応を介して重縮合反応させることにより得られる。
縮重合反応における条件は、モノマー成分の反応性により適宜設定すればよく、また重合体が好適な物性になった時点で反応を終了させればよい。例えば、反応温度は170℃~250℃程度、反応圧力は5mmHg~常圧程度である。
2価のアルコール成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA;ビスフェノールAのプロピレン付加物;ビスフェノールAのエチレン付加物;水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上の多価アルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、スクロース(蔗糖)、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
本実施形態に係るトナーにおいては、上記の2価のアルコール成分及び3価以上の多価アルコール成分のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2価のカルボン酸として、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
本実施形態に係るトナーにおいては、上記の2価のカルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、目的に応じて適宜選択することができるが、5000以上50000以下であることが好ましい。本開示において、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値であり、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)が使用され、標準物質にはポリスチレンが使用される。
結着樹脂は、ガラス転移温度が30℃以上80℃以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移温度が上記下限未満であると、画像形成装置内部においてトナーが熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存安定性が低下するおそれがある。結着樹脂のガラス転移温度が上記上限を超えると、記録媒体へのトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
また、結着樹脂は、軟化温度が80℃以上150℃以下であることが好ましい。さらに、結着樹脂は、酸価が0KOHmg/g以上30KOHmg/g以下であることが好ましい。
トナー粒子中の結着樹脂の含有量は、60質量%以上98質量%以下であることが好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
<着色剤>
本実施形態に係るトナーにおいて、トナー粒子は着色剤を含み得る。着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系・無機系の様々な種類・色の顔料及び染料を使用でき、例えば、黒色、白色、黄色、橙色、赤色、紫色、青色、緑色の着色剤が挙げられる。
黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
白色の着色剤としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
黄色の着色剤としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
橙色の着色剤としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43等が挙げられる。
赤色の着色剤としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
紫色の着色剤としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
青色の着色剤としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。
緑色の着色剤としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
本実施形態に係るトナーにおいては、上記の着色剤の1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、組み合わせは異色であっても同色であってもよい。トナー粒子中の着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
<離型剤>
本実施形態に係るトナー粒子は離型剤を含み得る。離型剤としては、電子写真分野で常用されるワックスを使用することができる。例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、ポリプロピレンワックス及びその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックス等)及びその誘導体等の炭化水素系合成ワックス;カルナウバワックス及びその誘導体、ライスワックス及びその誘導体、キャンデリラワックス及びその誘導体、木蝋等の植物系ワックス;蜜蝋、鯨蝋等の動物系ワックス;脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステル及びその誘導体等の油脂系合成ワックス;シリコーン系重合体、高級脂肪酸等が挙げられる。これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物等が含まれる。
本実施形態に係るトナー粒子中の離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
<その他の内添剤>
本実施形態に係るトナーにおいては、必要に応じて、上記以外の内添剤を含有していてもよい。上記以外の内添剤としては、例えば、帯電制御剤が挙げられる。帯電制御剤は、トナーに好ましい帯電性を付与するために添加される。帯電制御剤としては、特に限定されず、電子写真分野で用いられる正電荷制御用及び負電荷制御用の帯電制御剤を使用できる。
<外添剤>
本実施形態に係るトナーの外添剤は、チタン酸化物を含む。本実施形態に係る二成分現像剤は、上述したような構成を備えるキャリアと、トナーの外添剤としてチタン酸化物とを含有することで、キャリア上がりを抑制でき、且つ画像濃度の安定性に優れる。なお、本実施形態に係るトナーは、チタン酸化物以外の外添剤を含んでいてもよく、例えば、後掲の実施例では、外添剤として小粒径のシリカ(以下、単に「小シリカ」ともいう)も添加されている。
上述したように、本実施形態に係る二成分現像剤は、現像を繰り返すにつれて、トナーの外添剤としてのチタン酸化物がキャリア表面へと移行する。そこで、本実施形態に係る二成分現像剤において、チタン酸化物がキャリア表面へと移行することで発揮される効果について説明する。
図1は、本実施形態に係るキャリアの使用初期における状態を模式的に示す断面図であり、図2は、本実施形態に係るキャリアの長期使用後における状態を模式的に示す断面図である。これらの図に示すように、キャリアはトナーとともに二成分現像剤として用いられることで、樹脂被覆層(コート層)が削れるとともに、トナー側の成分がキャリア表面に移行する。このように樹脂被覆層の一部が削れることにはキャリア表面のリフレッシュ効果があるため、削れることを許容するようにキャリアは設計されている。本実施形態に係る二成分現像剤では、トナーの外添剤としてチタン酸化物が含まれているため、図2に示すように、樹脂被覆層の外層が削れて露出した内層に、チタン酸化物が付着する。
図3~図5は、本実施形態に係る二成分現像剤における電荷移動の様子を模式的に示したものであり、図3は、本実施形態に係るキャリアの使用初期における電荷移動の様子を模式的に示す断面図であり、図4は、本実施形態に係るキャリアの長期使用後における電荷の状態を模式的に示す断面図であり、図5は、長期使用した本実施形態に係るキャリアの、現像時における電荷移動の様子を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る二成分現像剤の使用初期においては、現像電極、他のキャリアといった電荷供給源から供給された電荷は、主には導電層である外層を通って移動する。印字を繰り返すにつれて、外層が削れて内層が露出し、キャリアにトナー側の成分が付着する。図4に示すように、二成分現像剤全体としては基本的に電荷が釣り合っており、キャリアが正帯電、トナーが負帯電となる。
現像してトナーが移動すると電荷に差が生まれるため、内部電荷が移動してその差を埋める必要があるが、非導電性の樹脂層にはなかなか電荷が移動できない。つまり、連続印字を行うと、非導電性の樹脂層が露出した部分への電荷供給が追いつかなくなる傾向が見られる。そのため、現像されなかった一部のトナーはますます高帯電となる一方、新規に供給されたトナーを帯電させるキャリアの能力は低下することで、カブリ及び画像濃度変化が発生すると考えられる。
本実施形態に係る二成分現像剤においては、図5に示すように、非導電性の樹脂層である内層の表面に存在するチタン酸化物を介しても、隣接するキャリア等から電荷が供給される。換言すると、トナーの外添剤であるチタン酸化物がキャリア表面へと移行することによって、内層が露出した部分への電荷供給が補助される。したがって、本実施形態に係る二成分現像剤によれば、長期使用後のキャリアにおける帯電分布が乱れることを抑制できる。延いては、長期使用後に低湿及び高湿環境下で放置した場合において、放置後直ぐの印字におけるカブリの発生、その後に連続印字した場合におけるカブリの発生、及び両者間でのカブリの変化を抑制できる。
外添剤として使用されるチタン酸化物としては、酸化チタンやチタン酸ストロンチウムが挙げられるが、本実施形態に係るトナーが外添剤として含むチタン酸化物は、チタン酸ストロンチウムであることが好ましい。チタン酸化物としてチタン酸ストロンチウムを使用することで、キャリアへの移行量がより適切となり、低湿環境下でのカブリの変動をより抑制できる。
本実施形態に係るトナーの外添剤は、チタン酸ストロンチウムをシリカ修飾した微粉体として、チタン酸ストロンチウムを含むことが好ましい。換言すると、外添剤としてのチタン酸ストロンチウムは、シリカ修飾されていることが好ましい。シリカ修飾されたチタン酸ストロンチウムを用いることで、チタン酸ストロンチウムのキャリアへの移行量が多い場合にも、高湿環境下でのカブリを抑制することができる。
チタン酸ストロンチウムをシリカ修飾した微粉体は、例えば、次の(1)~(5)に示す手順で製造することができる。
(1)硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加え脱硫処理を行い、その後塩酸で中和し、ろ過水洗を経て洗浄済みケーキを得る。
(2)洗浄済みケーキに水を加えスラリーとした後、塩酸を加え、解膠処理を行う。これを溶液1とし、塩化ストロンチウム水溶液の溶液2と、ケイ酸ナトリウム水溶液の溶液3とを混合する。溶液1、溶液2、溶液3の混合割合は(Sr+Si)/Tiのモル比が1.2となるようにする。
(3)混合溶液を窒素ガス雰囲気下で90℃に加熱し、水酸化ナトリウム水溶液添加しながら2時間撹拌し反応を終える。
(4)反応を終えたスラリーを50℃に冷却し、塩酸を加え2時間撹拌して生じた沈殿物を洗浄、ろ過により分離後、乾燥させる。
(5)得られた乾燥物をブレンダーで1分間粉砕し、目開き32μmの篩で粗粉除去後に得られた微粉体基体にシランカップリング剤で表面被覆を行う。シランカップリング剤による表面被覆の方法としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチル-ジクロロシラン(DDS)、オクチルシラン(OTAS)及びポリジメチルシロキサン(PDMS)等による当該技術分野で常用される表面処理が挙げられる。
本実施形態に係る二成分現像剤にあっては、外添剤としてトナー(初期トナー)に含まれるチタン酸化物の量に対する、印字によってキャリア表面に移行したチタン酸化物の量の割合を表す、チタン酸化物の移行量が、印字枚数1000枚あたり0.02%以上2%以下であることが好ましく、0.08%以上1.45%以下であることがより好ましい。当該移行量は、チタン酸化物としてチタン酸ストロンチウムをシリカ修飾した微粉体を使用した場合に、0.17%以上0.82%以下であることが特に好ましい。移行量が上記範囲内であることで、特に低湿環境下での連続印字によるカブリの発生、及び低湿環境下で放置したときのカブリの変化を抑制することができ、画像品位の変化が少ない二成分現像剤を実現できる。また、チタン酸化物としてチタン酸ストロンチウムを使用し、移行量をより適切な範囲とすることで、低湿環境と高湿環境の両方で画像品位の変化が少ない二成分現像剤とすることができる。なお、チタン酸化物の移行量の具体的な測定方法は後掲の実施例にて示すとおりであり、A4用紙に印字率が5%の画像を50枚ずつ連続印字し、数秒の間を取って再度繰り返し印字(間欠印字)を行うことで合計40万枚を印字し、この40万枚印字後のものにおけるキャリアへのチタン酸化物の移行量を測定する。
本実施形態にあっては、チタン酸化物の含有量は、トナー粒子100質量部に対し0.01質量部以上1.5質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上1質量部以下であることがより好ましい。特に、チタン酸ストロンチウムをシリカ修飾した微粉体をチタン酸化物として使用する場合に、当該微粉体の含有量を0.1質量部以上0.8質量部以下とすることが好ましい。チタン酸化物の含有量を上記範囲内とすることで、キャリアへの移行量を適切な範囲とすることができ、低湿環境と高湿環境の両方で画像品位の変化が少ない二成分現像剤とすることができる。
<トナーの製造方法>
本実施形態に係るトナーの製造方法は、結着樹脂、離型剤及び着色剤を含むトナー原料を混練することにより混練物を生成する混練工程S1と、混練工程S1にて生成した混練物を粉砕してトナー粒子を生成する粉砕工程S2とを含む。さらに、本実施形態に係るトナーの製造方法は、粉砕工程S2にて生成したトナー粒子を分級する分級工程S3と、分級工程S3にて分級した分級後のトナー粒子に外添剤を添加する外添工程S4とを含む。
混練工程S1では、トナー粒子の原料となる結着樹脂、離型剤、着色剤等を、ヘンシェルミキサ等の混合機で混合したのち、混練機を用いてこれらを混練して混練物を得る。混練は、結着樹脂の軟化温度以上、熱分解温度未満の温度に加熱して行われる。これにより、結着樹脂が溶融又は軟化され、結着樹脂中に離型剤、着色剤等を分散させることができる。混練時の具体的な加熱温度としては、例えば80℃以上200℃以下であることが好ましく、100℃以上150℃以下であることがより好ましい。混練機には、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル及びラボブラストミル等の混練機を用いることができ、このような混練機としては、例えば、TEM-100B(製品名、東芝機械株式会社製)、PCM-65、PCM-65/87、PCM-30(以上いずれも製品名、株式会社池貝製)等の一軸又は二軸のエクストルーダ、ニーデックス(製品名、三井鉱山株式会社製)等のオープンロール方式の混練機等が挙げられる。また、複数の混練機を用いて混練工程を行っても構わない。
粉砕工程S2では、混練工程S1で得られた混練物を冷却する等して固化し、その固化物を粗砕して粗砕物を得る。粗砕のための粉砕機としては、例えばスピードミル、ハンマーミル又はカッターミル等を用いることができる。その後、粗砕物に対して微粉砕を行う(微粉砕工程)。微粉砕工程では、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機や、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に上記の粗砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機等を用いることができる。なお、以下の分級工程S3を行わず、粉砕工程S2で得られた体積平均粒径が5μm以上8μm以下の微粉砕粒子群をトナー粒子として回収してもよい。
分級工程S3では、粉砕工程S2で得られた微粉砕粒子群を、分級機を用いて分級し、5μm以上8μm以下の体積平均粒径を有するトナー粒子を得る。分級機としては、例えば旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等を用いることができる。
外添工程S4では、分級工程S3で得られたトナー粒子と外添剤とをヘンシェルミキサ等の粉体混合機で混合することによって、トナー粒子に外添剤を付着させる。外添工程S4では、混合条件を適宜に変更することによって、トナー粒子に対する外添剤の付着強度を調整することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本開示の二成分現像剤を具体的に説明する。
<キャリアの作製>
シリコーン樹脂溶液(商品名:KR251、信越化学工業株式会社製)をトルエンで希釈し固形分濃度10質量%の溶液に調整し、そこに硬化触媒(商品名:D-20、信越化学工業株式会社製)をシリコーン樹脂に対して0.5質量%となるよう加え、コート液1を調製した。また、トルエン中に導電材(カーボンブラック、商品名:MA100、三菱ケミカル株式会社製)を分散させて得たコート液2(固形分濃度2質量%のカーボン分散液)を調製した。
混合撹拌機の容器中にキャリア芯材(MnMgフェライト、体積平均粒径:41μm)を計量し、あわせてコート液が規定の質量部数となるように計量した。ここで規定の質量部数とは後掲の表1に示す実施例及び比較例毎に決められた部数である。室温下で撹拌機中にコート液を撹拌しながら添加し、均一化したところで温度を80℃まで上昇させた。脱気しながら撹拌を継続しコート液から溶剤を除くことで、キャリア芯材の周りに一層目のコート層(内層)を形成した。溶剤がなくなり10分程度経過したところで、二層目(外層)のコート液を追加して、一層目と同様の操作を行うことで、複層コートされたキャリアを得た。
得られたキャリアのコート層を硬化し安定化させるために、180℃のオーブン中で1時間キュアリングした。取り出して常温となったコートキャリアを篩にかけ、粗大物を除くことで、評価用のキャリアを得た。
<チタン酸ストロンチウム微粉体の作製>
(1)チタン酸ストロンチウムがシリカ修飾された微粉体Aの作製
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱硫漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行った。脱硫処理後、塩酸でpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行って、洗浄済みケーキを得た。洗浄済みケーキに水を加え、スラリーとした後、塩酸を加えpH1.4とし、解膠処理を行った。このメタチタン酸を反応容器に投入し、塩化ストロンチウム溶液とケイ酸ナトリウムとを加えた。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液を2時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
当該反応終了スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄した後、50℃に調整し、塩酸を加えpHを2.5とし、疎水化処理を行った。次いで、水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し、1時間撹拌保持を続けた後、ろ過洗浄を行い得られたケーキを120℃大気中で10時間乾燥することで、チタン酸ストロンチウム及びシリカを含む組成物の表面をシラン化合物で疎水化した微粉体(以下、微粉体Aという)を得た。一次粒子の個数平均粒径は40nmであった。
(2)チタン酸ストロンチウムがシリカ修飾されていない微粉体Bの作製
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱硫漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行った。脱硫処理後、塩酸でpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行って、洗浄済みケーキを得た。洗浄済みケーキに水を加え、スラリーとした後、塩酸を加えpH1.4とし、解膠処理を行った。このメタチタン酸を反応容器に投入し、塩化ストロンチウム溶液を加えた。次に、撹拌しながら90℃に加温した後、10N水酸化ナトリウム水溶液を2時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。
当該反応終了スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄した後、50℃に調整し、塩酸を加えpHを2.5とし、疎水化処理を行った。次いで、水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し、1時間撹拌保持を続けた後、ろ過洗浄を行い得られたケーキを120℃大気中で10時間乾燥することで、コアにチタン酸ストロンチウムを含み、且つシリカを含まない微粉体(以下、微粉体Bという)を得た。一次粒子の個数平均粒径は40nmであった。
<トナーの作製>
下記の原料を用いて、溶融粉砕法によりトナー粒子(トナーコア)を作製した。
(結着樹脂)
樹脂A:非晶性ポリエステル樹脂 / 2000g
質量分子量1×10~1×10の範囲の分布76%
フローテスター測定時に80℃のときの粘度8.8×10Pa・s
樹脂B:非結晶性ポリエステル樹脂 / 500g
質量分子量1×10~1×10の範囲の分布28%
メインピークの質量分子量6.6×10
樹脂C:非晶性ポリエステル樹脂 / 2500g
質量分子量1×10以上の分布6%
ゲル分18%
(着色剤)
カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、商品名:#44) / 500g
(離型剤)
離型剤A:パラフィン系ワックス(融点90℃、日本精蝋株式会社製、商品名:フィッシャー・トロプシュワックスFNP0090) / 86g
離型剤B:ポリプロピレン系ワックス(融点140℃、三井化学株式会社製、製品名:NP-505) / 57g
(帯電制御剤)
カリウム塩、ビス[ベンジラト(2-)-k(2)O,O]ホウ酸(1-)カリウム、水への溶解度4.382g/L(20℃)、日本カーリット株式会社製、商品名:イオン導電材LR-147 / 50g
上記のトナー粒子の原料を、高性能流動式混合機(ヘンシェルミキサ、全容量:20L、三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)製、型式:FM20C)を用いて、回転数1500rpmで5分間、前混合した。
得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製、型式:PCM-30)を用いて、シリンダ設定温度100℃、バレル回転数250rpm、原料供給速度10kg/時間の条件で溶融混練して溶融混練物を得た。
得られた溶融混練物を冷却ベルトで冷却固化させた後、固化物を流動層式対向型ジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製、型式:カウンタージェットミルAFG)を用いて微粉砕し、ロータリー(遠心力型気流)式分級機(ホソカワミクロン株式会社製、型式:TSPセパレータ)を用いて分級(粒度調整)することにより、体積平均粒径6.3μmのトナー粒子を作製した。
このトナー粒子と、チタン酸化物としてのチタン酸ストロンチウム(上記のとおり作製した微粉体A若しくはB)又は酸化チタン(チタン工業株式会社製、商品名:STT-65ASC)と、小粒径シリカ(商品名:R976s、日本エアロジル株式会社製)とをヘンシェルミキサに投入して撹拌混合することで、外添後のトナーを得た。トナー粒子100質量部に対する各外添剤の添加部数を、後掲の表2に示す。ここで、表2中のシリカ修飾の欄「○」は上記の微粉体Aを、シリカ修飾の欄「×」は上記の微粉体Bを使用したことを示す。
なお、ポリエステル樹脂の各物性値は以下に示す方法により測定した。
(ポリエステル樹脂の軟化点Tm(℃))
流動特性評価装置(株式会社島津製作所製、フローテスター、型番:CFT-100C)を用いて、試料1gを昇温速度6℃/分で加熱しながら、荷重20kgf/cm(9.8×10Pa)を与え、ダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料を流出させる。試料の半分量が流出したときの温度を軟化点(Tm)とする。
(ポリエステル樹脂の粘度:Pa・s)
上記の軟化点と同様の測定装置及び条件で測定を実施し、プランジャーの沈降曲線より、粘度(Pa・s)を自動算出する。
(ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tg(℃))
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社(現 株式会社日立ハイテクサイエンス)製、型番:DSC220)を用いて、日本工業規格(JIS)K7121-1987に準じて、試料1gを昇温速度10℃/分で加熱してDSC曲線を測定する。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
(ポリエステル樹脂の分子量分布)
ポリエステル樹脂を0.25質量%となるようテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、試料200μLをGPC装置(東ソー株式会社製、型式:HLC-8220GPC)に注入し、温度40℃において分子量分布曲線を求めた。得られた分子量分布曲線から、分子量分布を求める。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成する。
(ポリエステル樹脂のゲル分(%))
予め秤量しておいた約3.0gのポリエステル樹脂を1000mLのテトラヒドロフラン(THF)に、45℃15分間の条件で溶解させ、不溶解分をオムニポアメンブレンフィルター(メルク社製、製品名:JAWP04700)で濾別し、メンブレンフィルター上に残った不溶解分を85℃10時間の条件で乾燥し、得られた乾燥物の質量を測定し、THF不溶分(%)をゲル分(%)として算出する。
(離型剤(ワックス)の融点:℃)
示差走査熱量計(株式会社パーキンエルマージャパン製、型式:Diamond DSC)を用いて、ワックス0.01gを温度20℃から昇温速度10℃/分で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷する操作を2回繰返し、DSC曲線を測定し、2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度をワックスの融点(℃)とする。
(トナー粒子の体積平均粒径:μm)
電解液(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:ISOTON-II)50mLに、試料20mg及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mLを加え、超音波分散器(アズワン株式会社製、型式:卓上型2周波超音波洗浄器VS-D100)を用いて周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とする。得られた測定用試料について、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、型式:Multisizer3)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径(μm)を求める。
<二成分現像剤の作製>
上記のとおり作製したキャリアとトナーとを、トナー濃度(現像剤の質量をD、トナーの質量をTとしたときのT/D)が7%となるように計量し、樹脂製円筒容器に投入した後、両軸駆動ポリ瓶回転架台にて200rpm、1時間の条件で混合撹拌することによって、実施例及び比較例の二成分現像剤を作製した。
<二成分現像剤の初期特性の評価方法>
上記のとおり作製した二成分現像剤と、二成分現像剤作製に用いた補給用のトナーとをカートリッジに充填し、二成分現像装置を有する複写機(プリント速度<カラー>50ppm、<モノクロ>62ppm、商品名:MX-6201N、シャープ株式会社製)を用いて初期特性の評価を行った。
(1)キャリア上がりの評価方法
始めにクリーニングフィールドを175Vに設定し、印字しない条件(印字率0%)で空転させて、キャリア付着を確認した。2nm×A4長のテープサンプルにおけるキャリア付着の個数を数え、その個数に基づいて、次の基準により初期特性としてのキャリア上がりを評価した。
◎:優秀(個数が10未満)
〇:良好(個数が10以上20未満)
△:可 (個数が20以上40未満)
×:不可(個数が40以上)
(2)画像濃度変化の評価方法
印字率5%の画像に濃度測定用のパッチを用意し、現像バイアスを振ることで初期濃度ID=1.4となるようにバイアスを選択し、クリーニングフィールドが175Vを保つよう現像バイアスに合わせて感光体ドラムの表面電位を設定した。この条件で、トナー消費量に合わせて連続的にトナー補給を行い、トナー濃度が大きく変化しないように保ちながら、A4用紙50枚の連続印字を行った。この連続印字後の画像濃度と、最初に設定した画像濃度との差(ID差)に基づいて、次の基準により初期特性としての画像濃度変化を評価した。
◎:優秀(ID差が0.05未満)
〇:良好(ID差が0.05以上0.10未満)
△:可 (ID差が0.10以上0.20未満)
×:不可(ID差が0.20以上)
(3)カブリの評価方法
白度計(型式:ZE6000、日本電色工業株式会社製)を用いて、50枚印字後の非画像形成部の白色度を測定し、予め測定しておいた印字前の用紙の白色度との差分から、次の基準により初期特性としてのカブリを評価した。
◎:優秀(白色度の差分が1.0未満)
〇:良好(白色度の差分が1.0以上2.0未満)
△:可 (白色度の差分が2.0以上3.0未満)
×:不可(白色度の差分が3.0以上)
(4)二成分現像剤の初期特性の総合評価方法
上記の3評価項目(キャリア上がり、画像濃度変化、カブリ)の評価結果に基づいて、次の基準で総合評価を行った。
◎:優秀(3評価項目全てで◎である。)
〇:良好(3評価項目のうち、最低評価が○である。)
△:可 (3評価項目のうち、最低評価が△である。)
×:不可(3評価項目のうち、最低評価が×である。)
<初期キャリアの抵抗特性の測定方法>
測定対象のキャリアのブリッジ抵抗値の測定を行なった。ブリッジ抵抗値は、図6に示すような測定冶具90を用いて測定した。測定冶具90の詳細な構成は以下の通りである。電極92は、その大きさが10mm×40mmの並行平板電極であり、基板93の上に2つ配設されている。この2つの電極92の間隔は2mmである。また、電極92に配設された磁石91は、N極とS極とが対向するように配置されている。磁石91は、表面磁束密度が1500ガウスであり、対向する部分の磁石面積は10mm×30mmである。
まず、電極92の間に測定対象のキャリアを200mg挿入した。このキャリアを電極92の間に保持して、電極92に直流電圧を1Vステップで1000Vまで印加したときの電流値を計測した。さらに、この電流値に基づいて抵抗値を算出し、その値をブリッジ抵抗値とした。
<長期使用後の二成分現像剤の作製>
上記の初期特性評価に用いた二成分現像剤及びトナーを使用して、長期使用後の二成分現像剤を作製した。初期特性の評価時と同様にA4用紙に印字率が5%の画像を50枚ずつ連続印字し、数秒の間を取って再度繰り返し印字(間欠印字)を行うことによって、40万枚印字を行い、長期使用後の二成分現像剤を作製した。
初期特性の評価時と同様に、作製した二成分現像剤(40万枚印字後のもの)を、二成分現像装置を有する複写機にセットすることで、二成分現像剤の評価を行った。また、作製した二成分現像剤(40万枚印字後のもの)のごく少量をサンプリングしたものからキャリアを分離し、キャリアの分析サンプルとした。
<長期使用後の二成分現像剤の評価方法>
(1)キャリア上がりの評価方法
上記の40万枚印字後の二成分現像剤から分離したキャリアを測定対象とした以外は、初期特性の評価と同様にして、キャリア上がりの評価を行った。評価基準も同様である。
(2)常温低湿環境下で放置後のカブリの評価方法
常温低湿環境下(温度25℃、相対湿度5%)に二成分現像剤と一晩放置した後に印字を行い、最初の1枚目を用いて放置後のカブリを評価した。次に、上記の40万枚印字時と同様に間欠印字にて合計5000枚の印字を行い、連続印字後のカブリを評価した。なお、カブリの評価基準は、初期特性のカブリの評価基準と同様である。
放置後直ぐのカブリの評価と、放置後に連続印字を行った後のカブリの評価とを比較することで、放置後直ぐには良好なカブリが現像を続けることで悪化する(現像剤の追随性の劣化)という問題を解決できる二成分現像剤であるか否かを判定することができる。そこで、放置後直ぐのカブリの評価と、放置後に連続印字を行った後のカブリの評価との差δを、次の基準により評価した。
◎:優秀(評価に変化がない。)
〇:良好(評価が1段階異なる。)
△:可 (評価が2段階異なる。)
×:不可(評価が3段階異なる。)
(3)常温高湿環境下で放置後のカブリの評価方法
高湿環境下(温度25℃、相対湿度80%)に二成分現像剤と一晩放置した後に印字を行い、最初の1枚目を用いて放置後のカブリを評価した。次に、上記の40万枚印字時と同様に間欠印字にて合計5000枚の印字を行い、連続印字後のカブリを評価した。なお、カブリの評価基準は、常温低湿環境下で放置後のカブリの評価基準と同様である。
<チタン酸化物の移行量の測定方法>
上記40万枚印字前のトナーに含まれるチタン酸化物の量に対する、上記40万枚印字によりキャリア表面へと移行したチタン酸化物の量の割合である、チタン酸化物の移行量を、以下の手順(i)~(iii)により測定した。
(i)40万枚印字後の二成分現像剤中のトナーを、篩によってキャリアから分離した。トナーのみ通過してキャリアは通過しないサイズとしておおよそ目開き16μmの篩を使用し、質量変化がなくなるまでトナーを繰り返し吸引することで、測定用のキャリアを得た。
(ii)測定サンプルとして、円形のサンプルホルダーに収まるようにディスクサンプルを作製した。キャリアは、樹脂ディスク中央に2cm×2cm角のテープを貼り、そのテープ上に約10mgのキャリアを均一に分散させて余分を吹き飛ばし、測定サンプルとした。トナーは、約3cmの円形のリング内に1gのトナーを均一に投入し、約30MPaの圧力で圧縮することで測定サンプルとした。
(iii)蛍光X線分析装置(型式:ZSX Primus II、株式会社リガク製)にて、各測定サンプルのX線強度を測定した。
この測定結果を用いて、チタン酸化物の移行量(移行割合)を下記式によりX線の強度比にて算出し、これを1000枚あたりに換算することで、印字枚数1000枚あたりの移行量I(%/k枚)を算出した。
X線の強度比:{KC(長期使用後)-KC(初期)}/KT
ここで、KCは、キャリアを測定して得られたTiのX線強度を測定に使用したキャリア量で割ることにより求められる、キャリア1gあたりのX線強度である。上記式中、KC(初期)は、使用初期の二成分現像剤から分離したキャリアのX線強度を示し、KC(長期使用後)は、40万枚印字後の二成分現像剤から分離したキャリアのX線強度を示す。また、上記式中のKTはトナー中のTiのX線強度を示し、すなわちトナーに対し上記測定をして得られたTiのX線強度である。
[実施例1~10、比較例1~5]
以下の表1に、実施例及び比較例における外層に対する内層の質量比、並びにキャリア芯材100質量部に対するコート液の添加部数を示す。なお、比較例1は、二層コートの外層に導電材が添加されておらず、換言すると導電層がない例である。比較例2は二層コートの内層と外層の両方に導電材が添加されており、換言すると非導電層がない例である。
また、以下の表2に、導電層(実施例では外層)に対する非導電層(実施例では内層)の質量比、及びトナー粒子100質量部に対する外添剤の添加部数を示す。なお、実施例5′,6′,7′は、実施例5,6,7におけるチタン酸ストロンチウムにシリカを添加した微粉体を、シリカを添加していないものに変更した実施例である。また、実施例10は、外添剤のチタン酸化物として、酸化チタンを用いた例である。
上記のキャリア及びトナーの作製手順において、表1,2に示す添加部数とすることで、実施例1~10及び比較例1~5の二成分現像剤を得た。
Figure 2024009671000003
Figure 2024009671000004
Figure 2024009671000005
Figure 2024009671000006
表3及び表4に、実施例及び比較例の評価結果を示す。表3は、二成分現像剤及びキャリアの初期特性の評価結果である。表4は、二成分現像剤の40万枚印字後の特性(ライフ特性)の評価結果である。なお、表4に示すライフ特性評価の測定は、実施例及び比較例のうち、(i)内層が外層よりも導電性が低いこと(内層が表2における非導電層に相当し、外層が表2における導電層に相当すること)、及び(ii)外層に対する内層の質量比が1.2以上11以下であることという2条件を満たす実施例1~10及び比較例4に対して行った。また図7は、表4に示す使用初期のキャリアの抵抗特性をグラフ化したものである。
表3に示す評価結果から明らかなように、キャリア芯材及び当該キャリア芯材を被覆する樹脂被覆層を備えるキャリアと、トナー粒子の表面に外添剤が付着したトナーとを含有する二成分現像剤であって、前記樹脂被覆層は、外層と当該外層よりも前記キャリア芯材側に位置する内層とを含む二層以上で構成され、前記内層は前記外層よりも導電性が低く、前記外層に対する前記内層の質量比は1.2以上11以下であり、前記外添剤はチタン酸化物を含む実施例1~10の二成分現像剤は、キャリア上がりを抑制でき、且つ画像濃度の安定性に優れるものであった。また、使用初期のカブリの評価にも優れるものであった。
これに対して、これらの要件を満たさない比較例1~5は、キャリア上がり又は画像濃度変化の評価で実施例に対して劣っていた。
ブリッジ抵抗測定法で測定したキャリアの抵抗特性について、電流0.1μAとなる電圧が25V以上300V以下であるキャリアを備える実施例1~10の二成分現像剤は、キャリア上がりを好適に防止することがわかる。なかでも、電流0.1μAとなる電圧が95V以上280V以下であるキャリアを備える実施例3~10の二成分現像剤は、キャリア上がりをより抑制できていることがわかる。また、電流10μAとなる電圧が250V以上900V以下であるキャリアを備える実施例1~10の二成分現像剤は、画像濃度変化が少ないことがわかる。二成分現像剤の初期特性の総合評価によれば、電流10μAとなる電圧は400V以上850V以下であることがより好ましい。
さらに、表4に示す評価結果によれば、長期使用後(40万枚印字後)の二成分現像剤について、キャリア表面へのチタン酸化物の移行量が印字枚数1000枚あたり0.02%以上2%以下である実施例1~10の二成分現像剤は、低湿及び高湿環境下で放置後直ぐの印字におけるカブリの発生、その後に連続印字した場合におけるカブリの発生、及び両者間でのカブリの変化を抑制でき、画像品位の変化が少ないことがわかる。また、チタン酸化物の移行量が印字枚数1000枚あたり0.08%以上1.45%以下である実施例は長期使用後のカブリの評価により優れ、0.17%以上0.82%以下である実施例は長期使用後のカブリの評価にさらに優れることがわかる。
チタン酸化物としてチタン酸ストロンチウムを0.06質量部添加した実施例7と、チタン酸化物として酸化チタンを0.06質量部添加した実施例10とを比較すると、チタン酸化物がチタン酸ストロンチウムである実施例7は、キャリア表面への移行量がより適切となり、低湿環境下でのカブリの変動を一層抑制できることがわかる。
チタン酸ストロンチウムがシリカ修飾されている実施例5~7と、シリカ修飾されていない実施例5′~7′とを比較すると、シリカ修飾されたチタン酸ストロンチウムを用いることで、チタン酸ストロンチウムのキャリア表面への移行量が多い場合にも、高湿環境下でのカブリを一層抑制できることがわかる。
チタン酸ストロンチウムの含有量を変化させた実施例5~9によれば、トナー粒子100質量部に対し0.1質量部以上0.8質量部以下である実施例6~7は、チタン酸ストロンチウムのキャリア表面への移行量を適切な範囲とすることができ、低湿環境と高湿環境の両方で画像品位の変化が少ない二成分現像剤であることがわかる。
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
C キャリア
C′ 隣接するキャリア
T トナー
1 キャリア芯材(キャリアコア)
2 内層(非導電層)
3 外層(導電層)
4 チタン酸化物
A 電荷供給源(現像電荷、他のキャリア)

Claims (8)

  1. キャリア芯材及び当該キャリア芯材を被覆する樹脂被覆層を備えるキャリアと、トナー粒子の表面に外添剤が付着したトナーとを含有する二成分現像剤であって、
    前記樹脂被覆層は、外層と、当該外層よりも前記キャリア芯材側に位置する内層とを含む二層以上で構成され、
    前記内層は、前記外層よりも導電性が低く、
    前記外層に対する前記内層の質量比は1.2以上11以下であり、
    前記外添剤はチタン酸化物を含むことを特徴とする二成分現像剤。
  2. 請求項1に記載の二成分現像剤であって、
    ブリッジ抵抗測定法で測定した前記キャリアの抵抗特性は、電流0.1μAとなる電圧が25V以上300V以下であることを特徴とする二成分現像剤。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の二成分現像剤であって、
    ブリッジ抵抗測定法で測定した前記キャリアの抵抗特性は、電流10μAとなる電圧が250V以上900V以下であることを特徴とする二成分現像剤。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の二成分現像剤であって、
    前記トナーに含まれるチタン酸化物の量に対する、印字によって前記キャリア表面に移行したチタン酸化物の量の割合を表す前記チタン酸化物の移行量は、二成分現像装置を有する複写機に前記二成分現像剤をセットしてA4用紙に印字率5%で40万枚印字したとき、印字枚数1000枚あたり0.02%以上2%以下であることを特徴とする二成分現像剤。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の二成分現像剤であって、
    前記外添剤が含むチタン酸化物は、チタン酸ストロンチウムであることを特徴とする二成分現像剤。
  6. 請求項5に記載の二成分現像剤であって、
    前記外添剤は、チタン酸ストロンチウムをシリカ修飾した微粉体として、チタン酸ストロンチウムを含むことを特徴とする二成分現像剤。
  7. 請求項5に記載の二成分現像剤であって、
    前記トナーに含まれるチタン酸化物の量に対する、印字によって前記キャリア表面に移行したチタン酸化物の量の割合を表す前記チタン酸化物の移行量は、二成分現像装置を有する複写機に前記二成分現像剤をセットしてA4用紙に印字率5%で40万枚印字したとき、印字枚数1000枚あたり0.08%以上1.45%以下であることを特徴とする二成分現像剤。
  8. 請求項5に記載の二成分現像剤であって、
    前記チタン酸化物の含有量は、前記トナー粒子100質量部に対し0.1質量部以上0.8質量部以下であることを特徴とする二成分現像剤。
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