JP2024008536A - 導電性ペースト、乾燥膜、内部電極、及び、積層セラミックコンデンサ - Google Patents

導電性ペースト、乾燥膜、内部電極、及び、積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】 積層セラミック電子部品において使用する内部電極形成用の導電性ペーストであって、シートアタックを抑制し、かつ乾燥膜の硬度を低下させることにより密着性を向上させることができる導電性ペーストを提供する。【解決手段】 導電性金属粉末、セラミック粉末、バインダー樹脂、添加剤及び有機溶剤を含み、有機溶剤が(A)ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、イソボルニルブチレート及びイソボルニルイソブチレートから選ばれる少なくとも1種と(B)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種とを含み、添加剤が、リン酸ポリエステルを導電性ペースト全体量に対し、0質量%を超え2.0質量%以下含有する、導電性ペースト。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ペースト及びその乾燥膜並びに該乾燥膜を焼成してなる積層セラミックコンデンサ用の内部電極及び該内部電極を有する積層セラミックコンデンサに関する。
携帯電話やデジタル機器などの電子機器の軽薄短小化に伴い、チップ部品である積層セラミックコンデンサ(Multilayered Ceramic Capacitor、以下MLCCと称す)などの積層セラミックデバイスについても小型化、高容量化及び高性能化が望まれている。これらを実現するための最も効果的な手段は、内部電極層と誘電体層を薄くして多層化を図ることである。
MLCCは、一般に次のように製造される。まず、誘電体層を形成するために、チタン酸バリウム(BaTiO)等の誘電体セラミック粉末およびポリビニルブチラール等の有機バインダーからなる誘電体グリーンシート(以下、単に「グリーンシート」ともいう)を形成する。また、内部電極層を形成するために、導電性金属粉末を、樹脂バインダーを含む有機ビヒクルに分散させた導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを、グリーンシートの表面上に、所定のパターンで印刷した後、有機溶剤を除去するための乾燥を施し、内部電極となる乾燥膜を形成する。次に、乾燥膜とグリーンシートとを多層に積み重ねた状態で加熱圧着して一体化し、圧着体を形成する。この圧着体を切断し、酸化性雰囲気または不活性雰囲気中にて500℃以下で脱有機バインダー処理を行い、その後、内部電極が酸化しないように還元雰囲気中にて1300℃程度で加熱焼成を行い、焼成チップを得る。次いで、焼成チップに外部電極用ペーストを塗布し、焼成後、外部電極上にニッケルメッキなどを施してMLCCが完成する。
しかし、上記焼成工程において、誘電体セラミック粉末が焼結し始める温度は1200℃程度であり、ニッケル等の導電性金属粉末との焼結・収縮が開始する温度とは、かなりのミスマッチが生じるために、デラミネーション(層間剥離)やクラック等の構造欠陥が発生しやすかった。特に小型・高容量化に伴って、積層数が多くなるほど、又は、誘電体層の厚みが薄くなるほど、構造欠陥の発生が顕著となっていた。
通常、内部電極層に用いられる導電性ペーストは、誘電体層の早期焼結・収縮を抑制するため、誘電体層の組成に類似したチタン酸バリウム系あるいはジルコン酸ストロンチウム系などのペロブスカイト型酸化物を主成分とするセラミック粉末が添加されている。これにより導電性金属粉末の焼結挙動を制御し、内部電極層と誘電体層の焼結収縮挙動のミスマッチをコントロールすることができる。また、誘電体層の主成分の構成元素と電極ペーストに含まれる誘電体粉末の構成元素とが大きく異なることに起因した構造欠陥による誘電損失の増大などの電気特性の低下が生じることを抑制することもできる。
内部電極層に用いられる導電性ペーストは、バインダー樹脂を含む有機ビヒクル中に、導電性金属粉末を分散させ、その粘度を有機溶剤によって調整する。この有機ビヒクルを構成するバインダー樹脂には、一般にエチルセルロースなどが使用され、有機溶剤には、一般にターピネオールなどが使用されている。
しかしながら、有機溶剤にターピネオールを使用した導電性ペーストを、例えば、ブチラール樹脂をバインダー樹脂に用いたグリーンシートと組み合わせて使用すると、ターピネオールは印刷乾燥工程の途中において塗膜中に残存してしまうことがあり、その場合、グリーンシートにバインダー樹脂として多用されるブチラール樹脂を溶解する作用をもたらすことがある。このような内部電極ペーストによるグリーンシート中の有機バインダーに対する溶解作用は、「シートアタック」と称されている。
積層セラミックコンデンサにおいて、グリーンシートの厚みが10~20μmの比較的厚いシート厚では、「シートアタック」は実用上問題とならない。しかし、グリーンシートの厚みが、5μm程度の薄い場合に、このシートアタックが生じると、グリーンシート中のブチラール樹脂が溶解し、グリーンシートを膨潤・溶解させることにより、誘電体グリーンシートの積層時に導電性ペースト印刷部分に穴が生じたり、焼成時に誘電体層と内部電極層が層間剥離(デラミネーション)したりするという不具合を生じる場合がある。
このようなシートアタックの影響により、MLCCの耐電圧性、絶縁性が低下し、目的とする静電容量が得られなかったり、負荷寿命特性が劣化したりする。そのために、従来から、このようなシートアタックを回避するために、導電性ペーストに使用する有機溶剤などの材料についての検討がなされてきた。
たとえば、内部電極に用いられる導電性ペーストに使用する有機溶剤として、ブチラール樹脂との相溶性が比較的低い溶剤を使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1ではジヒドロターピニルアセテートを用いた導電性ペーストが提案されている。
また、従来の導電性ペーストは、例えば、バインダー樹脂として、セルロース系樹脂(例、エチルセルロース)を用い、有機溶剤として、例えば、ターピネオールなどを用いて製造される。しかし、このような導電性ペーストを用いて、上記の圧着体を製造する場合、内部電極層と誘電体層との密着性が不良となり、層間剥離が生じることがあった。
例えば、特許文献2には、ポリビニルブチラール樹脂を含む内部電極用ペーストでは、有機添加剤としてカルボキシル基(COOH基)を有するアニオン系界面活性剤を用いた場合、内部電極層と誘電体層との密着性が低下することがあり、密着性改善のため、ニッケル粉末、セラミック粉末、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、有機溶剤及びアニオン系界面活性剤を含有する内部電極用ペーストであって、アセタール系樹脂は、ペースト全量に対して、1質量%以上2.5質量%以下含有される内部電極用ペーストが提案されている。
特許第2976268号公報 特開2017-143202号公報
しかし、近年の小型化の進む電子部品においては、積層セラミックコンデンサの内部電極層や誘電体層も薄膜化が進んでおり、かつ内部電極層や誘電体の積層数が多くなってきている。従来の技術では十分な効果が得られず、容量不足や内部電極層と誘電体層との層間剥離などの不具合が生じる場合があった。
本発明は、このような状況に鑑み、積層セラミックデバイスに用いられる導電性ペーストにおいて、シートアタックを抑制することができ、かつ、乾燥膜とグリーンシートとを積層させて得られる積層体の密着性を向上することができる導電性ペースト、及び該導電性ペーストを用いて形成された積層セラミックコンデンサ等を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究開発を進めた結果、有機溶剤の組み合わせに加え、導電性ペースト中の添加剤種及びその含有量を適切に規定することにより、導電性ペーストから形成される乾燥膜の硬度をコントロールすることができ、これにより薄膜化したグリーンシートへのシートアタックや積層体の密着不良の抑制、及び層間剥離を抑制できることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の一実施形態に係る導電性ペーストは、導電性金属粉末、セラミック粉末、バインダー樹脂、添加剤及び有機溶剤を含む積層セラミックデバイス用の導電性ペーストであって、有機溶剤が、(A)ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、イソボルニルブチレート及びイソボルニルイソブチレートから選ばれる少なくとも1種と、(B)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種と、を混合した混合溶剤からなり、前記添加剤が、リン酸ポリエステルを導電性ペースト全体量に対し0質量%を超え2.0質量%以下含有する。
また、導電性金属粉末が、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu、およびこれらの合金から選ばれる1種以上の金属粉末であることが好ましい。また、前記セラミック粉末が、ペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウム(BaTiO)である導電性ペーストであることが好ましい。また、前記セラミック粉末が、ペロブスカイト型酸化物強誘電体であることが好ましい。また、前記積層セラミックデバイスは、誘電体グリーンシートを用いて形成される誘電体層及び前記導電性ペーストを用いて形成される内部電極層を有し、前記誘電体グリーンシートは、前記セラミック粉末と同一種であることが好ましい。
また、上記導電性ペーストは、上記導電性ペーストを、チタン酸バリウムおよびポリビニルブチラール樹脂を含むグリーンシート上にWET膜厚38μmで塗布し、75℃で20分乾燥させて得られる乾燥膜において、下記の条件で測定されるビッカース硬度が5Hv以上11Hv以下であることが好ましい。
(測定条件)
マイクロビッカース硬度計を用いて試験力98mNの条件で前記乾燥膜の表面のビッカース硬度を測定する。
また、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの内部電極は、前記内部電極用乾燥膜を用いて形成される。
また、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサは、内部電極を有する。
また、積層セラミックコンデンサは、内部電極層と、誘電体グリーンシートを用いて形成される誘電体層とを有する積層セラミックコンデンサであって、誘電体グリーンシートの厚さが、2μm以下であることが好ましい。
本発明の導電性ペーストは、シートアタックを抑制し、積層体(乾燥膜-グリーンシート)の密着性を向上することができる。また、本発明の内部電極を形成した積層セラミックコンデンサは、薄膜化したグリーンシート(例、厚さ2μm以下)上に上記導電性ペーストを用いてスクリーン印刷により乾燥膜を形成した場合でも、シートアタックが抑制され、かつ、積層体の密着不良による層間剥離などの問題の発生を非常に抑制することができる。
図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサを示す斜視図及び断面図である。
[導電性ペースト]
本実施形態の導電性ペーストは、導電性金属粉末、セラミック粉末、バインダー樹脂、有機溶剤、及び添加剤を含み、導電性金属粉末およびセラミック粉末が有機溶剤中に分散した導電性ペーストであり、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミックデバイスに好適に用いることができる。なお、本明細書において、有機溶剤とは、有機ビヒクルに含有されるビヒクル用の有機溶剤と、導電性ペーストの粘度を調整するためのペースト用有機溶剤とを含むものである。
本実施形態の導電性ペーストは、特定の有機溶剤に対し、好適な量の添加剤を選択することによって、シートアタックやグリーンシート剥離不良、積層体切断時の層間剥離の問題を解消した導電性ペーストである。
本実施形態の導電性ペーストは、導電性金属粉末、セラミック粉末、バインダー樹脂、添加剤及び有機溶剤等を含有し、
(1)有機溶剤が、(A)ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、イソボルニルブチレート及びイソボルニルイソブチレートから選ばれる少なくとも1種と、(B)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種と、を含有し、
(2)添加剤が、リン酸ポリエステルを含有する。
以下、各構成要素について詳しく説明する。
1.導電性金属粉末
導電性金属粉末は、特に限定されず、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu、およびこれらの合金から選ばれる1種以上の金属粉末を適宜選択して使用することができる。中でも導電性、耐食性、価格等を考慮するとニッケル(Ni)粉末が最適である。なお、Ni粉末を用いる場合には、脱バインダー処理時のバインダー樹脂の部分的な熱分解による急激なガス発生を抑制するために、数百ppm程度のS(硫黄)を含むNi粉末を用いることができる。
MLCCの小型化に伴い、より細く薄い内部電極層を形成させるため、乾燥膜の平滑性及び乾燥膜密度を向上させるという観点から、金属粉末の粒径は0.05~1.0μmであることが好ましく、0.1~0.5μmであることがさらに好ましい。金属粉末の粒径が0.05μm未満であると、粒子の比表面積が大きくなりすぎるため、金属粉末の表面活性が高くなりすぎ、乾燥、脱バインダー特性に悪影響をおよぼすだけでなく、適正な粘度特性を得るのが困難となり、導電性ペーストの長期保存中に変質する恐れが生じることがある。また、粒径が1.0μmよりも大きくなってしまうと、ペーストの塗布膜を薄層化するときの成膜性が悪化し、所定の静電容量が得られなかったり、乾燥膜で平滑性が不十分となり、かつ金属粉末の充填が不十分となり、所望の乾燥膜密度が確保できなかったりするため、十分に細く薄い均一な内部電極を形成することが困難となってしまうので好ましくない。
導電性ペーストにおける導電性金属粉末の含有量は、40~60質量%が好ましく、45~55質量%がより好ましい。含有量が40質量%未満では十分な導電性が得られず、含有量が60質量%を超えると分散性が低下することがある。
2.セラミック粉末
セラミック粉末は、特に限定されず、適用する積層セラミックデバイスの種類により適宜選択できる。中でも、強誘電体のペロブスカイト型酸化物を用いることが好ましく、特にチタン酸バリウム(BaTiO、以下BTと称す場合がある)を用いることがより好ましい。
また、セラミック粉末は、チタン酸バリウムを主成分とし、酸化物(例えばMn、Cr、Si、Ca、Ba、Mg、V、W、Ta、Nbおよび1種類以上の希土類元素の酸化物)を副成分として含むセラミック粉末を用いることもできる。また、チタン酸バリウム(BaTiO)のBa原子やTi原子を他原子、Sn、Pb、Zrなどで置換したようなペロブスカイト型酸化物強誘電体のセラミック粉を用いることもできる。
さらに、導電性ペーストのセラミック粉末は、積層セラミックデバイスのグリーンシートを構成する誘電体セラミック粉末と同一組成の粉末を用いることができる。誘電体セラミック粉末としては、例えば、ZnO、フェライト、PZT、BaO、Al、Bi、R(希土類元素)、TiO、Ndなどの酸化物を選択することができる。なお、セラミック粉末は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
セラミック粉末の粒径は、0.01μm以上0.5μm以下の範囲が好ましく、0.01μm以上0.3μm以下の範囲がより好ましい。セラミック粉末の粒径が上記範囲であることにより、十分に細く薄い均一な内部電極を形成することができる。セラミック粉末の粒径が0.01μm未満であると、粒子の比表面積が大きくなりすぎるため、セラミック粉末の表面活性が高くなりすぎ、乾燥、脱バインダー特性に悪影響をおよぼすだけでなく、適正な粘度特性を得るのが困難となり、導電性ペーストの長期保存中に変質する恐れが生じる。一方、粒径が0.5μm超であると、導電性ペーストの塗布膜を薄層化するときの成膜性が悪化し、所定の静電容量が得られないことや、乾燥膜で平滑性が不十分となることがある。また、セラミック粉末の充填が不十分となり、所望の乾燥膜密度が確保できなかったりする。
なお、セラミック粉末の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、SEMで倍率50,000倍にて観察した映像から、複数の粒子一つ一つの粒径を測定して、得られる平均値(SEM平均粒径)である。
セラミック粉末の含有量は、導電性ペースト全体に対して、例えば、1質量%以上20質量%以下であり、好ましくは3質量%以上10質量%以下である。セラミック粉末の含有量が上記範囲である場合、分散性および焼結性に優れる。
3.バインダー樹脂
バインダー樹脂は、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂など有機溶剤に溶解するものを用いることができる。中でも、バインダー樹脂としては、セルロース系樹脂、及び、ブチラール系樹脂が好ましく、セルロース系樹脂がより好ましい。また、セルロース系樹脂は、エチルセルロースが好ましい。また、バインダー樹脂の分子量は、20000~200000程度のものが好ましい。
バインダー樹脂がセルロース系樹脂(例、エチルセルロース)を含む場合、セルロース系樹脂の含有量は、バインダー樹脂全体に対して、30質量%以上であってもよく、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
また、例えば、バインダー樹脂として、ブチラール樹脂を特定量含むことにより、グリーンシートと、乾燥膜との密着強度が向上することが知られているが(例えば、特許文献2の段落[0005]~[0008]参照)、本実施形態の導電性ペーストでは、後述するように、添加剤としてリン酸ポリエステルを含むことにより、ブチラール樹脂を含有しない、又は、ブチラール樹脂の含有量が少ない場合でも、グリーンシートと、乾燥膜との密着強度とを十分に向上させることができる。
バインダー樹脂がブチラール樹脂を含む場合、ブチラール樹脂の含有量は、バインダー樹脂全体に対して、70質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよい。なお、ブチラール樹脂の下限は、特に限定されないが、バインダー樹脂全体に対して、5質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよい。本実施形態に係る導電性ペーストは、ブチラール樹脂を上記範囲で含む場合、密着性をより向上させることができる。
バインダー樹脂の含有量は、導電性ペースト全体に対して、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上7質量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲である場合、導電性及び分散性に優れる。
4.有機溶剤
有機溶剤は、有機ビヒクルの構成成分として、バインダー樹脂を溶かすことができる。また、有機溶剤は、導電性金属粉末、セラミック粉末、および有機ビヒクルを分散させて、導電性ペースト全体の粘度を調整し、導電性ペーストを所定のパターンで印刷できるようにすることができる。
また、有機溶剤は、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、イソボルニルブチレート及びイソボルニルイソブチレートから選ばれる少なくとも1種のアセテート系溶剤(A)と、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種のアセテート系溶剤(B)と、を含むことが好ましく、アセテート系溶剤(A)及びアセテート系溶剤(B)を混合した混合溶剤からなることがより好ましい。アセテート系溶剤(A)としては、イソボルニルアセテート(IBA)を用いるのが好ましく、アセテート系溶剤(B)としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(EGBA)を用いるのが好ましい。このような混合溶剤を用いる場合、導電性ペーストの粘度特性の調整がより容易となり、導電性ペーストの乾燥スピードを速くすることができる。また、この混合溶剤を、後述する、リン酸ポリエステル(添加剤)と組み合わせて用いることにより、より密着性を向上させることができる。
アセテート系溶剤(A)は、有機溶剤100質量%に対して、好ましくは50質量%以上90質量%以下、より好ましくは60質量%以上80質量%以下含有される。また、アセテート系溶剤(B)は、有機溶剤100質量%に対して、好ましくは、10質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上40質量%質量%以下含有される。
なお、有機溶剤は、導電性ペーストの粘度調整用に用いられる他に、有機ビヒクル調整用にも用いられる。有機ビヒクル調整用の有機溶剤としては、導電性ペーストの粘度調整用に用いたのと同じ種類の有機溶剤、例えば、アセテート系溶剤(A)又はアセテート系溶剤(B)を用いると、有機ビヒクルとの馴染みがよくなるため好ましい。
また、導電性ペーストは、上記以外の有機溶剤を含んでもよい。導電性ペーストの粘度を調整する目的等で添加する他の有機溶剤は、導電性ペーストの特性を悪化させなければ、特に限定されることなく、一般的に用いられている有機溶剤を使用することができる。
導電性ペーストに含有する有機溶剤の総含有量は、導電性ペースト全体量に対して、例えば、10質量%以上50質量%以下、好ましくは20質量%以上40質量%以下とすることができる。
5.添加剤
(リン酸ポリエステル)
本実施形態の導電性ペーストは、添加剤として、リン酸ポリエステルを含有する。なお、リン酸ポリエステルとは、リン酸基とエステル構造を有するコポリマーをいう。リン酸ポリエステルの分子量は、特に限定されないが、例えば、250以上3000以下であることが好ましく、1000以上3000以下であることがより好ましく、1500以上2500以下であることがさらに好ましい。また、リン酸ポリエステルの酸価は、特に限定されないが、例えば、10mgKOH/g以上約300mgKOH/g以下であってもよく、50mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であってもよく、100mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であってもよい。
導電性ペーストがリン酸ポリエステルを含有することにより、特に導電性粉末同士の凝集を防止することができる。また、上述した特定の有機溶剤と組み合わせて、ポリリン酸エステルを含有することにより、乾燥膜が適度な柔軟性を有することにより、グリーンシートとの密着性が高くなり、圧着体を所定のチップサイズに切断する際に層間剥離が発生することを防ぐことができる。
リン酸ポリエステルは、導電性ペースト全体量に対して、0質量%を超え2.0質量%以下含有され、好ましくは0.05質量%以上1.0質量%以下含有され、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下含有される。
(その他添加剤)
本発明において、導電性粉末の分散性や導電性ペーストの粘度等の特性を改善する目的で、リン酸ポリエステル以外の種々の添加剤をさらに配合することができる。例えば、界面活性剤、キレート剤、分散剤、消泡剤、可塑剤、粘度調整剤等の市販の添加剤が挙げられる。これらの添加剤の投入タイミングは特に限定されないが、例えば、有機ビヒクルに配合して混錬することにより、導電性ペーストの印刷特性を調整することができる。
添加剤は、例えば、分散剤を含んでもよい。分散剤としては、例えば、酸系分散剤、塩基系分散剤、ノニオン系分散剤、及び両性界面活性剤などを用いてもよい。酸系分散剤としては、例えば、カルボン酸系分散剤、塩基系分散剤としては、例えば、アミン系分散剤が挙げられる。また、導電性ペーストは、添加剤として、上記分散剤を含まなくてもよい。なお、上記分散剤は、導電性ペースト中の導電性粉末やセラミック粉末の分散性を向上することができるが、本実施形態で用いられるリン酸ポリエステルのように、乾燥膜の可塑性を制御して、密着性を向上させるという効果はないか、あったとしても、非常に低い。
6.導電性ペーストの製法及び特性
本実施形態の導電性ペーストは、上記の各成分を用意し、ミキサーで攪拌・混練することにより製造することができる。その際、バインダー樹脂をビヒクル用の有機溶剤に溶解させ、有機ビヒクルを作製し、ペースト用の有機溶剤へ、導電性金属粉末、セラミック粉末、有機ビヒクル及び分散剤を添加し、ミキサーで攪拌・混錬し、導電性ペーストを作製することもできる。
本実施形態の導電性ペーストは、以下の条件で測定したビッカース硬度が5Hv以上11Hv以下であることが好ましく、7Hv以上9Hv以下であることがより好ましい。ビッカース硬度が上記範囲である場合、得られる乾燥膜が適度な柔軟性を有し、より高い密着性を有することができる。
(測定条件)
チタン酸バリウムおよびポリビニルブチラール樹脂を含むグリーンシートに、導電性ペーストをWET膜厚38μmで塗布した後、75℃で20分乾燥させて乾燥膜を得る。得られた乾燥膜の表面を、マイクロビッカース硬度計を用いて、試験力98mNの条件で5点以上で計測し、得られた平均値を、導電性ペースト(乾燥膜)のビッカース硬度とする。
[積層セラミックコンデンサ]
以下、本発明の積層セラミックコンデンサの実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面においては、適宜、模式的に表現することや、縮尺を変更して表現することがある。また、部材の位置や方向などを、適宜、図1などに示すXYZ直交座標系を参照して説明する。このXYZ直交座標系において、X方向およびY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向(上下方向)である。
図1A及びBは、積層セラミックコンデンサ1を示す図である。積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層12及び内部電極層11を交互に積層したセラミック積層体10と外部電極20とを備える。
以下、上記導電性ペーストを使用した積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。まず、セラミックグリーンシート上に、導電性ペーストを印刷し、乾燥して、乾燥膜を形成する。この乾燥膜を上面に有する複数のグリーンシートを、圧着により積層させて積層体を得た後、積層体を焼成して一体化することにより、内部電極層11と誘電体層12とが交互に積層したセラミック積層体10を作製する。その後、セラミック積層体10の両端部に一対の外部電極20を形成することにより積層セラミックコンデンサ1が製造される。以下に、より詳細に説明する。
まず、未焼成のセラミックシートであるグリーンシートを用意する。このグリーンシートとしては、例えば、チタン酸バリウム等の所定のセラミックの原料粉末に、ポリビニルブチラール等のバインダー樹脂とターピネオール等の溶剤とを加えて得た誘電体層用ペーストを、PETフィルム等の支持フィルム上にシート状に塗布し、乾燥させて溶剤を除去したものが挙げられる。
なお、グリーンシートの厚みは、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサの小型化の要請の観点から、0.3μm以下が好ましく、0.2μm以下であってもよい。また、グリーンシートの厚みの下限は、例えば、0.05μm以上である。本実施形態の導電性ペーストは、薄膜化したグリーンシートを用いた場合でも、シートアタックを抑制し、密着性を向上させることができる。
次いで、グリーンシートの片面に、導電性ペーストを印刷して塗布し、乾燥して、グリーンシートの片面に乾燥膜を形成したものを複数枚、用意する。なお、導電性ペーストの印刷方法は、特に限定されず、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などの公知の方法を用いることができるが、本実施形態の導電性ペーストの印刷は、スクリーン印刷法を好適に用いることができる。また、導電性ペーストから形成される乾燥膜の厚みは、内部電極層11の薄層化の要請の観点から、乾燥後1.5μm以下であってもよく、1μm以下であってもよい。なお、乾燥膜の厚みの下限は、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上程度である。
また、本実施形態の乾燥膜は、ビッカース硬度が5Hv以上11Hv以下であることが好ましく、7Hv以上10Hv以下であることがより好ましい。ビッカース硬度が上記範囲である場合、乾燥膜が適度な柔軟性を有し、より乾燥膜-グリーンシート間の密着性が向上する。なお、ビッカース硬度は、後述する実施例で記載されるように、マイクロビッカース硬度計を用いて、試験力98mNの条件で乾燥膜表面のビッカース硬度を5点以上で計測した平均値である。
次いで、支持フィルムから、グリーンシートを剥離するとともに、グリーンシートとその片面に形成された乾燥膜とが交互に配置されるように積層した後、加熱・加圧処理により積層体を得る。なお、積層体の両面に、導電性ペーストを塗布していない保護用のセラミックグリーンシートを更に配置する構成としても良い。
次いで、積層体を所定サイズに切断してグリーンチップを形成した後、グリーンチップに対して脱バインダー処理を施し、還元雰囲気下において焼成することにより、積層セラミック焼成体(セラミック積層体10)を製造する。なお、脱バインダー処理における雰囲気は、大気またはNガス雰囲気にすることが好ましい。脱バインダー処理を行う際の温度は、例えば200℃以上400℃以下である。また、脱バインダー処理を行う際の、上記温度の保持時間を0.5時間以上24時間以下とすることが好ましい。また、焼成は、内部電極層に用いる金属の酸化を抑制するために還元雰囲気で行われ、また、積層体の焼成を行う際の温度は、例えば、1000℃以上1350℃以下であり、焼成を行う際の、温度の保持時間は、例えば、0.5時間以上8時間以下である。
グリーンチップの焼成を行うことにより、セラミックグリーンシート中の有機バインダーが完全に除去されるとともに、セラミックの原料粉末が焼成されて、セラミック製の誘電体層12が形成される。また乾燥膜中の有機ビヒクルが除去されるとともに、ニッケル粉末またはニッケルを主成分とする合金粉末が焼結もしくは溶融、一体化されて、内部電極層11が形成され、誘電体層12と内部電極層11とが複数枚、交互に積層された積層セラミック焼成体が形成される。なお、酸素を誘電体層の内部に取り込んで信頼性を高めるとともに、内部電極の再酸化を抑制するとの観点から、焼成後の積層セラミック焼成体に対して、アニール処理を施してもよい。
そして、作製した積層セラミック焼成体に対して、一対の外部電極20を設けることにより、積層セラミックコンデンサ1が製造される。例えば、外部電極20は、外部電極層21及びメッキ層22を備える。外部電極層21は、内部電極層11と電気的に接続する。なお、外部電極20の材料としては、例えば、銅やニッケル、またはこれらの合金が好適に使用できる。なお、電子部品は、積層セラミックコンデンサ以外の電子部品を用いることもできる。
以下、本発明を実施例と比較例に基づき詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
[導電性ペーストの特性]
導電性ペーストから得られる乾燥膜の特性について、以下の条件で評価した。
(1)シートアタック性
厚さ2μmのグリーンシート(チタン酸バリウム(BT)、ポリビニルブチラール含有)の表面に、WET膜厚38μmとなる様に導電性ペーストを印刷し、75℃、20分乾燥し、グリーンシート上に乾燥膜を形成したシート(乾燥膜シート)を得た。乾燥膜シートの形成直後、顕微鏡により、乾燥膜シートの裏面観察を行い、シートアタック特有の膨潤現象が確認されなければ○(シートアタック性が良好)、確認されれば×(シートアタック性が不良)と評価した。
(2)乾燥膜硬度
厚さ4.5μmのグリーンシート(チタン酸バリウム(BT)、ポリビニルブチラール含有)にWET膜厚38μmとなる様に導電性ペーストを塗布し、75℃で20分間乾燥させて、乾燥膜シートを得た。この様にして形成した乾燥膜シートに対して、株式会社島津製作所製のマイクロビッカース硬度計(HMV-G21DT)を用いて、試験力98mNの条件で表面のビッカース硬度をn=5点で計測し、平均値を求めた。
(3)密着性
予め作製しておいたチタン酸バリウム及びポリビニルブチラールを含有するグリーンシートの表面に、導電ペースト(試料)を塗布し、WET膜厚38μmの導電性ペースト膜を形成した。得られたグリーンシート及びその表面に形成した内部電極用の導電性ペースト膜からなるシートを75℃で20分間、乾燥処理し、グリーンシート上に乾燥膜を形成したシート(乾燥膜シート)を得た。乾燥膜シートと、別のグリーンシートとを、導電性ペーストを塗布した面(乾燥膜を形成した面)をグリーンシートで挟み込む形で、重ねた後、温度40℃、圧力20MPaで20秒間プレスを行う事で積層体(評価用)を作成した。
得られた積層体を1cm角で切断後、テープを用いて積層体の両面をそれぞれ引張試験機(株式会社島津製作所製、AGS-50NX)の治具にセットした後、引張試験を行った。試験速度20mm/minで、張力をかけた際に、グリーンシートと導電ペースト乾燥膜の界面で層間剥離したものを「×」、層間剥離することなくテープがはがれるまで張力をかけ続けることができたものを「〇」と評価した。
[使用材料]
(導電性金属粉末)
導電性金属粉末には、ニッケル粉末(粒径0.2μm)を使用した。
(セラミック粉末)
セラミック粉末には、チタン酸バリウム(BT)を使用した。
(有機ビヒクル)
有機ビヒクルは、有機ビヒクル1と有機ビヒクル2を使用した。
有機ビヒクル1は、バインダー樹脂としてエチルセルロース(EC)を、有機溶剤としてイソボルニルアセテートを、所定の割合(樹脂:有機溶剤=20:80、重量比率)で配合し、60℃で加熱混合して作製した。
有機ビヒクル2は、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール(PVB)を、有機溶剤としてイソボルニルアセテートを、所定の割合(樹脂:有機溶剤=15:85、重量比率)で配合し、60℃で加熱混合して作製した。
また、有機ビヒクル1、2の有機溶剤をターピネオール(TPO)に代えたものを有機ビヒクル1’、2’として作製した。
(有機溶剤)
有機溶剤1には、イソボルニルアセテート(アセテート系溶剤(A))を、有機溶剤2には、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(アセテート系溶剤(B))を使用した。
(添加剤)
添加剤には、分子量が250以上3000以下のリン酸ポリエステルを使用した。
(実施例1)
表1に示すように、導電性金属粉末として粒径0.2μmのニッケル粉末(Ni):51.0質量%、セラミック粉末として粒径0.05μmのチタン酸バリウム(BT):7.7質量%、前述の有機ビヒクル1:10.1質量%、有機ビヒクル2:4.3質量%、および、リン酸ポリエステル:0.1質量%を、21.4質量%の有機溶剤1および5.4質量%の有機溶剤2の混合溶剤に溶解して導電性ペーストを作製した。
(実施例2)
表1に示すように、導電性金属粉末として粒径0.2μmのニッケル粉末(Ni):51.0質量%、セラミック粉末に粒径0.05μmのチタン酸バリウム(BT):7.7質量%、前述の有機ビヒクル1:10.1質量%、有機ビヒクル2:4.3質量%、および、リン酸ポリエステル:0.3質量%を、21.2質量%の有機溶剤1および5.4質量%の有機溶剤2に溶解して導電性ペーストを作製した。
(実施例3)
表1に示すように、導電性金属粉末として粒径0.2μmのニッケル粉末(Ni):51.0質量%、セラミック粉末に粒径0.05μmのチタン酸バリウム(BT):7.7質量%、前述の有機ビヒクル1:10.1質量%、有機ビヒクル2:4.3質量%、および、リン酸ポリエステル:0.5質量%を、21.0質量%の有機溶剤1および5.4質量%の有機溶剤2に溶解して導電性ペーストを作製した。
(比較例1)
表1に示すように、導電性金属粉末として粒径0.2μmのニッケル粉末(Ni):51.0質量%、セラミック粉末に粒径0.05μmのチタン酸バリウム(BT):7.7質量%、前述の有機ビヒクル1:10.1質量%、および、有機ビヒクル2:4.3質量%を、21.5質量%の有機溶剤1および5.4質量%の有機溶剤2に溶解して導電性ペーストを作製した。
(比較例2)
表1に示すように、導電性金属粉末として粒径0.2μmのニッケル粉末(Ni):51.0質量%、セラミック粉末に粒径0.05μmのチタン酸バリウム(BT):7.7質量%、前述の有機ビヒクル1’:10.1質量%、有機ビヒクル2’:4.3質量%、および、リン酸ポリエステル:0.5質量%を、26.4質量%のターピネオールに溶解して導電性ペーストを作製した。
表1に実施例1~3および比較例1~2の成分組成を、表2に評価結果を示す。
Figure 2024008536000002
Figure 2024008536000003
(評価結果)
表1、2から明らかなように、本実施形態の導電性ペーストを用いた実施例1~3では、シートアタックの発生が無く、膜硬度が低く、密着性が向上していることがわかる。
一方、リン酸ポリエステルを含有しない比較例1では、シートアタックの現象は見られないが膜硬度が高く、密着性が低いことが分かる。また、本実施形態以外の有機溶剤を用いた比較例2の場合は、リン酸ポリエステルを含有しているため膜硬度は比較的低いものの、シートアタックが発生しており、かつ密着性が低下していることが分かる。
以上のことから、本実施形態の導電性ペーストでは、特定の有機溶剤を用いて、特定量のリン酸ポリエステルを含むことにより、シートアタックを防止し、密着性を高めることができ、従来製品よりも大きく改善されていることがわかる。
本発明の導電性ペーストは、薄膜化したグリーンシートを用いた積層セラミックコンデンサの製造工程において、積層体の密着性不良による層間剥離などの問題を抑制することができ、特に携帯電話やデジタル機器などの電子機器のチップ部品である積層セラミックコンデンサの内部電極用の原料として好適に用いることができる。
1 積層セラミックコンデンサ
10 セラミック積層体
11 内部電極層
12 誘電体層
20 外部電極
21 外部電極層
22 メッキ層

Claims (10)

  1. 導電性金属粉末、セラミック粉末、バインダー樹脂、添加剤及び有機溶剤を含む積層セラミックデバイス用の導電性ペーストであって、
    前記有機溶剤が、(A)ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、イソボルニルブチレート及びイソボルニルイソブチレートから選ばれる少なくとも1種と、(B)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種とを含み、
    前記添加剤が、リン酸ポリエステルを導電性ペースト全体量に対し0質量%を超え2.0質量%以下含有する、導電性ペースト。
  2. 前記導電性金属粉末が、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu、およびこれらの合金から選ばれる1種の金属粉末からなる、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記セラミック粉末が、ペロブスカイト型酸化物であるチタン酸バリウム(BaTiO)である請求項1に記載の導電性ペースト。
  4. 前記セラミック粉末が、ペロブスカイト型酸化物強誘電体である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  5. 前記積層セラミックデバイスは、誘電体グリーンシートを用いて形成される誘電体層及び前記導電性ペーストを用いて形成される内部電極層を有し、前記誘電体グリーンシートに含まれる誘電体セラミック粉末と前記導電性ペーストに含まれる前記セラミック粉末とが同一組成の粉末である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  6. 前記導電性ペーストを、チタン酸バリウムおよびポリビニルブチラール樹脂を含むグリーンシート上にWET膜厚38μmで塗布し、75℃で20分乾燥させて得られる乾燥膜において、下記の条件で測定されるビッカース硬度が5Hv以上11Hv以下である、請求項1に記載の導電性ペースト。
    (測定条件)
    マイクロビッカース硬度計を用いて試験力98mNの条件で前記乾燥膜の表面のビッカース硬度を測定する。
  7. 請求項1に記載の導電性ペーストを用いて形成した積層セラミックコンデンサの内部電極用乾燥膜。
  8. 請求項7に記載の内部電極用乾燥膜を用いてなる積層セラミックコンデンサの内部電極。
  9. 請求項8に記載の内部電極を有する積層セラミックコンデンサ。
  10. 請求項8に記載の内部電極層と、誘電体グリーンシートを用いて形成される誘電体層とを有する積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体グリーンシートの厚さが、3μm以下であることを特徴とする請求項9に記載の積層セラミックコンデンサ。
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