JP2024008517A - モータ制御装置、モータ制御方法及びエレベーター装置 - Google Patents

モータ制御装置、モータ制御方法及びエレベーター装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回転角センサが検出する回転角度に応じて変動する脈動成分を補正してモータを駆動できるモータ制御装置を提供する。【解決手段】モータ制御装置10は、モータ40に加える電圧及び電流と、算出されたモータ40の回転速度とを用いて推定したモータ40の軸誤差の軸誤差推定値を出力する軸誤差推定部211を有する推定処理部21と、軸誤差推定値に基づいて、回転角センサによって検出されるモータ40の検出回転角度を補正する検出誤差補正部226を有し、補正された検出回転角度に基づいてモータ40の回転速度及び回転角度を算出する算出処理部22と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、モータ制御装置、モータ制御方法及びエレベーター装置に関する。
界磁に永久磁石を用いた永久磁石モータで精密なトルク・回転速度制御を行うためには、回転子の回転角度情報が必要である。回転角度情報の検出方法として、主に光学式エンコーダ、磁気エンコーダ、レゾルバといった回転角センサを用いて直接検出する手法と、モータの誘起電圧やインダクタンスの突極性を利用したセンサレス検出手法とがある。
回転角センサは、取り付け時のモータ回転軸とセンサ回転中心間の偏心によって機械角1次の回転角度検出誤差が生じる。また、回転角センサ自体の特性に応じて回転角度に応じて変動する脈動成分が出る可能性がある。ここで、機械角1次の次数は、モータの機械的な回転周波数の1倍を表しており、例えば、3000rpm(rotations per minute)であれば、機械角1次は50Hzとなり、機械角2次は100Hzとなる。
特に、モータ回転軸に永久磁石を貼り付け、その永久磁石が発する磁束密度の方向を検出することで回転角度検出する方式の磁気エンコーダは、回転角度に同期した脈動成分を生じやすいという問題があった。例えば、50Hz、100Hzの脈動が生じることがあった。この問題により、特にモータが低速時に大トルクが必要であり、かつモータで駆動される機構系の共振点が低周波に位置する用途とした場合、回転角センサの回転角度に同期した脈動成分と機構系共振点が一致する回転数で振動騒音が顕著になるおそれがあった。
従来、モータ回転子の回転位置と、永久磁石位置のずれによって生じるセンサ検出誤差を低減する手法として、特許文献1に記載された技術が知られている。この特許文献1には、「検出された回転子の回転位置と磁極位置推定手段で推定された磁極位置との誤差を算出する誤差演算手段と、演算された誤差から回転子に設けられた永久磁石の実際位置と検出された回転子の回転位置とのずれを検出するずれ検出手段と、検出されたずれを補正する補正手段とを有する」と記載されている。
特開平9-56199号公報
特許文献1に記載された技術では、磁極検出位置と磁極推定位置との誤差量として、回転角度によらない一定値が想定されている。このため、回転角センサの回転角度に応じて変動する脈動成分を補正できないという問題があった。脈動成分が残っていると、交流モータが一定回転せず、回転速度に脈動が生じるため、モータにより駆動される各種装置に振動や騒音が生じることがあった。
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、回転角センサが検出する回転角度に応じて変動する脈動成分を補正してモータを駆動することを目的とする。
本発明に係るモータ制御装置は、モータの回転速度及び回転角度に基づいてモータを制御する。このモータ制御装置は、モータに加わる電圧及び電流と、モータの回転速度とを用いて、モータの軸誤差の軸誤差推定値を推定する軸誤差推定部を有する推定処理部と、軸誤差推定値に基づいて、モータの検出回転角度を補正する検出誤差補正部を有し、補正された検出回転角度に基づいてモータの回転速度及び回転角度を算出する算出処理部と、を備える。
本発明によれば、軸誤差推定値に基づいて、モータの検出回転角度を補正することで、回転角センサが検出する回転角度に応じて変動する脈動成分を補正してモータを駆動するので、モータにより駆動される各種装置に振動や騒音を低減することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態に係るモータ制御システムの制御模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る速度・角度計算部の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るマイクロコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る角度検出誤差サンプリング部と検出誤差成分算出部の制御処理の例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る速度・角度計算部の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る速度・角度計算部の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係るエレベーター装置の全体構成例を示す概略構成図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、或る構成要素が他の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
[第1の実施形態]
始めに、図1乃至図4を用いて、第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成例及び動作例を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るモータ制御システム1の制御模式図である。以下、モータ制御システム1の構成について説明する。
モータ制御システム1は、モータ40と、インバータ30と、電流検出部31と、回転角センサ50と、モータ制御装置10と、を備える。
インバータ30は、モータ40に電圧を印加し、モータ40に電流を供給する。
電流検出部31は、モータ40の電流を検出する。
回転角センサ50は、モータ40の回転角度を検出する。
モータ制御装置10は、インバータ30がモータ40に印加する電圧を制御する。このモータ40の回転速度及び回転角度に基づいてモータ40を制御することができる。
モータ制御装置10は、外部の上位制御部から取得した回転速度指令ωr*と、後述する速度・角度計算部20が算出した回転速度ωとを比較し、速度偏差を速度制御部102に入力する。
速度制御部102として、例えば比例積分(PI)制御部が用いられ、速度偏差の積分値が出力される。速度制御部102の出力と、モータ制御装置10が不図示の上位制御装置等から取得した起動トルクを加算したトルク指令T*が電流指令生成部103に入力される。なお、起動トルクは、モータ制御装置10に対するトルク指令値を表している。
電流指令生成部103は、入力されたトルク指令T*と一致したトルクが得られるようにモータ40のベクトル制御における回転座標上の励磁軸(磁束軸)であるd軸の電流指令Id*、d軸と直交するq軸の電流指令Iq*を出力する。
ここで、電流検出部31及びuvw/dq座標変換部107の構成について説明する。
電流検出部31は、ホールCT(Current Transformer)等から構成され、モータ40に流れるU相、V相及びW相の3相電流Iu、Iv及びIwをその波形と共に検出する。ただし、電流検出部31が必ずしも3相全ての電流を検出する必要はない。電流検出部31がいずれかの2相の電流を検出し、残る1相は3相電流が平衡状態であると仮定して演算することにより、3相電流Iu、Iv及びIw求める構成としてもよい。
uvw/dq座標変換部107は、電流検出部31が検出したモータ40の3相電流Iu、Iv及びIwを、速度・角度計算部20から入力される回転角度算出値θを用いて回転座標系のdq座標に変換し、d軸電流値Idとq軸電流値Iqを算出する。d軸電流指令Id*及びq軸電流指令Iq*と、モータd軸電流値Id及びq軸電流値Iqのそれぞれの偏差(以下、「dq軸電流偏差」と呼ぶ)が算出された後、dq軸電流偏差が電流制御部104に入力される。
電流制御部104は、dq軸電流偏差と、速度・角度計算部20が算出した回転速度ωとを用いて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を算出する。d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*は、dq/uvw座標変換部105及び速度・角度計算部20に出力される。
dq/uvw座標変換部105は、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を、速度・角度計算部20から入力される回転角度算出値θを用いて三相交流電圧に変換する。変換された三相交流電圧は、PWM処理部106に出力される。
PWM処理部106は、インバータ30の出力電圧が電圧指令(d軸電圧指令値Vd*、q軸電圧指令値Vq*)に追従するように、三相交流電圧のPWM制御を行う。
上記の構成により、モータ40が所望の回転速度に制御される。
<従来のモータの制御方式の問題>
ここで、従来のモータ40の制御方式の問題について説明する。
回転角センサ50のセンサ検出角度θsが、真のモータ回転角度θrに対して次式(1)に示す回転角度に同期したk次脈動成分を含み、真のモータ回転速度ωrが一定であるとする。この時、センサ検出角度θsを直接微分して得られる回転速度検出値ωsは、式(2)で表される。
Figure 2024008517000002
Figure 2024008517000003
式(2)に示すように、回転速度検出値ωsは、真のモータ回転速度ωrと、脈動次数kと、k次角度検出誤差振幅akのそれぞれに比例した脈動成分を持つ。従来のモータ制御装置が、これらの脈動成分を含む回転速度検出値を用いてモータ40の速度を制御する場合、回転速度指令値と回転速度検出値との偏差を入力とする速度制御部の出力であるトルク指令値に脈動が生じるため、モータトルク脈動が生じていた。そして、モータ40の回転速度が増加すればするほど速度検出値の脈動成分が大きくなる。このため、モータ40が高速回転する時には、モータトルク脈動が振動騒音の原因になるほか、モータ40の低速運転時であっても、モータ40に接続される負荷の固有振動数が低い場合には、脈動周波数が低くても振動騒音が励起されるおそれがあった。
したがって、モータ40の回転角度に同期した脈動成分を含む回転角を検出する回転角センサを用いる場合には、モータ40の角度・速度計算においてモータトルク脈動を打ち消す必要がある。ここで、モータ40に印加する電圧と、モータ40に流れる電流とを用いて、回転角センサ50による位置検出なしでモータ40の回転角度情報を推定する位置センサレスベクトル制御の技術がある。そこで、以下の実施形態では、位置センサレスベクトル制御の技術を応用し、回転角センサ50による検出回転角の誤差を補正することが可能な第1の実施形態に係る速度・角度計算部20を構成する。
<第1の実施形態に係る技術の説明>
次に、第1の実施形態に係る速度・角度計算部20の内部構成例及び動作例について、図2と図4を参照して説明する。
図2は、速度・角度計算部20の内部構成例を示すブロック図である。
速度・角度計算部20は、推定処理部21と、算出処理部22によって構成される。
推定処理部21は、軸誤差推定部211及び軸誤差推定フィルタ212を備える。この軸誤差推定部211は、モータ40に加わる電流と電圧を用いて、モータ40の軸誤差の軸誤差推定値を推定する。
軸誤差推定部211は、電流制御部104から出力されるd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*と、uvw/dq座標変換部107から出力されるd軸電流値Id及びq軸電流値Iqと、算出処理部22のPI制御部221が推定した回転速度ωとに基づいて、実際のモータ40の回転角度に対する角度誤差を軸誤差として推定する。軸誤差推定部211により推定される角度誤差は、軸誤差推定値Δθeとして軸誤差推定フィルタ212に出力される。モータ40が永久磁石同期モータである場合、モータ相抵抗をR、d軸インダクタンスをLd、q軸インダクタンスをLq、永久磁石によるd軸鎖交磁束をΨd0、微分演算子をpとすると、式(3)で示す拡張誘起電圧を用いた電圧方程式が成り立つ。
Figure 2024008517000004
式(3)に示した拡張誘起電圧の電圧方程式を用いることで、モータ制御装置10(コントローラ)が認識可能なd軸の回転角度θと、真のd軸回転角度の誤差を軸誤差推定値Δθeとしたとき、以下の式(4)が成り立つ。モータ制御装置10は、dq/uvw座標変換部105と、uvw/dq座標変換部107に入力される回転角度θを認識している。つまり、モータ制御装置10が回転座標系を扱う際の角度情報を「モータ制御装置10(コントローラ)が認識しているd軸の回転角度」としている。
Figure 2024008517000005
式(4)は、Δθeについての微分方程式であるためマイクロコンピュータでの計算が煩雑である。また、式(4)は、dq軸電流値の微分項を含むため、ノイズの影響を受けやすい。そこで、d軸電流Id、q軸電流Iq、Δθeの微分値が0となる、定常状態を仮定して近似すれば、微分項を消去した次式(5)が成り立つ。
Figure 2024008517000006
式(5)は微分項を持たないので、モータ制御装置10の動作を制御するマイクロコンピュータは、モータ相抵抗R、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqと、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*、電流計測値(d軸電流値Id及びq軸電流値Iq)のみから簡単に計算できる。よって、本実施形態に係る軸誤差推定部211は、式(5)を使用して、回転角度の軸誤差推定値Δθeを推定できる。なお、軸誤差推定部211は、マイクロコンピュータが実行可能なプログラムの一機能である。
軸誤差推定部211が式(5)を用いて軸誤差推定値Δθeを推定する際には、d軸電圧指令Vd*とq軸電圧指令Vq*の代わりに、電圧センサ等で直接検出した線間電圧や相電圧を座標変換して得たd軸電圧測定値Vd及びq軸電圧測定値Vqを用いてもよい。その場合、インバータ30の出力電圧誤差等の影響を排除できるため、軸誤差推定部211による軸誤差推定値Δθeの推定精度が向上する。
軸誤差推定部211には式(5)の他にも、例えば、モータ40(誘導モータ、シンクロナスリラタンスモータ、埋込磁石同期電動機、表面磁石同期電動機など含む)の特性に応じて、磁束オブザーバを用いて推定する手法や、電流高調波を意図的に流し、モータ突極性を利用して軸誤差推定する手法なども利用できる。
次に、軸誤差推定フィルタ212の動作例について説明する。
軸誤差推定フィルタ212は、軸誤差推定値からモータ40に通電される電流周波数の6次成分を選択的に低減する。例えば、軸誤差推定フィルタ212は、軸誤差推定部211が算出した軸誤差推定値Δθeをフィルタリングし、フィルタリング後の軸誤差推定値Δθefを、算出処理部22の機械角換算部223を介して角度検出誤差サンプリング部224に出力する。この軸誤差推定フィルタ212は、軸誤差推定値Δθeからモータ40の電流周波数以上の成分を低減することができる。軸誤差推定部211が出力する軸誤差推定値Δθeは、電流検出部31の検出電流に乗るノイズ成分や、インバータのデッドタイム電圧誤差によって生じる電流基本波周波数の6次成分といった高周波成分を多く含んでいる。したがって、軸誤差推定フィルタ212は、上記ノイズ成分をカットするローパスフィルタや、電流基本波周波数の6次成分を選択的に低減する可変係数バンドストップフィルタ、あるいはこれらを複合したフィルタで構成することが望ましい。
その他、モータ40の電圧及び電流を用いた位置センサレス角度推定の推定誤差要因としては、例えばモータ誘起電圧の高調波成分、電流検出部31のオフセットや検出誤差、磁気飽和によるdq軸インダクタンスの変動、dq軸インダクタンスの回転角度依存性、温度変化によるモータ相抵抗の変化、インバータ30のパワー半導体のON抵抗による電圧降下などが挙げられる。これらの要因により、位置センサレス角度推定に際して、主として直流オフセット成分と電流周波数1次以上の脈動成分を生じる。これは、モータ40の電気的特性は電気角に対して対称であるからである。
したがって、回転角センサ50の主要脈動次数が機械角の比較的低次にあり、かつ極数Pが20極以上となる多極モータ(例えば、モータ40)においては、回転角センサ50の検出誤差によって生じる脈動周波数と、位置センサレス角度推定に生じうる電気角1次以上の周波数とが周波数的に離れている。このため、推定処理部21は、電気角1次以上をカットするローパスフィルタ等を軸誤差推定値Δθeに適用することで、位置センサレス角度推定における回転角度の推定誤差を低減しつつ、回転角センサ50による検出される回転角から軸誤差推定値Δθeを正確に推定できる。
次に、算出処理部22の構成例について説明する。
算出処理部22は、推定処理部21によって推定された軸誤差推定値に基づいて、モータ40の検出回転角度を補正する検出誤差補正部226を有し、補正された検出回転角度に基づいてモータ40の回転速度及び回転角度を算出する。例えば、算出処理部22は、回転角センサ50から入力されるセンサ検出角度θsのセンサ検出誤差を補正した後、モータ40の回転角度θと回転速度ωを算出する。この算出処理部22は、PI制御部221と、積分部222と、機械角換算部223と、角度検出誤差サンプリング部224と、検出誤差成分算出部225と、センサ検出誤差補正部226とを備える。
始めに、演算部228によって、積分部222から出力される回転角度算出値θと、演算部227を介したセンサ検出誤差補正部226からの出力とが比較され、その偏差Δθsが求められる。
PI制御部221(回転速度算出部の一例)は、検出誤差補正部226が検出誤差成分に基づいて補正した検出回転角度と、回転角度との差分に基づいて回転速度を算出する。例えば、PI制御部221は、偏差Δθsの比例積分を行って回転速度ωを算出する。この際、PI制御部221は、偏差Δθsを0に制御する。PI制御部221が算出した回転速度ωは、図1に示す速度制御部102に入力される回転速度指令ωr*と比較される他、図2に示す軸誤差推定部211及び軸誤差推定フィルタ212にも出力される。
積分部222(回転角度算出部の一例)は、回転速度に基づいて回転角度を算出する。例えば、積分部222は、回転速度ωを積分して回転角度算出値θを算出する。回転角度算出値θは、図1に示すdq/uvw座標変換部105とuvw/dq座標変換部107に出力される他、図2に示すPI制御部221への入力前に、演算部228によって演算部227の出力と比較される。そこで、センサ検出角度θsは、PI制御部221に入る前にセンサ検出誤差補正部226に入力され、センサ検出角度θsの誤差が補正される。
機械角換算部223は、軸誤差推定値を機械角の検出誤差推定値に換算する。例えば、機械角換算部223は、推定処理部21が出力した軸誤差推定値Δθefをモータ極対数P/2で割り(すなわち2/Pを掛けて)、検出誤差推定値(機械角)Δθmに換算する。
角度検出誤差サンプリング部224は、機械角換算部223によって換算された機械角の検出誤差推定値の波形をサンプリングして、角度検出誤差情報を出力する。例えば、角度検出誤差サンプリング部224は、機械角に換算された検出誤差推定値(機械角)Δθmを、センサ検出角度θsに対して等間隔で機械角1周分サンプリングする。角度検出誤差サンプリング部224がサンプリングする点数Nsは、標本化定理より回転角センサ50の角度検出誤差の主要機械角の脈動次数の2倍以上とする必要がある。後述する図4に示す手法で角度検出誤差の脈動成分の位相角の推定精度を向上するためには、角度検出誤差サンプリング部224がサンプリングする点数Nsを、回転角センサ50の角度検出誤差の主要機械角の脈動次数の4倍以上とすることが望ましい。
検出誤差成分算出部225は、角度検出誤差サンプリング部224が出力した角度検出誤差情報から求められる角度検出誤差波形の空間次数の振幅及び位相を検出誤差成分として算出する。この検出誤差成分には、各脈動次数の振幅及び位相が含まれる。検出誤差成分算出部225は、各次数の脈動振幅及び位相の算出に際して、例えば、角度検出誤差情報に対して離散フーリエ変換を行って、角度検出誤差情報に含まれる、検出回転角度に生じる検出誤差脈動の空間次数の振幅及び位相を算出する。この際、サンプリング点数Nsを2の冪乗数(例えば、2の4乗=16)に設定しておくことで、高速フーリエ変換の適用が容易になるため検出誤差成分算出部225の演算量を低減しやすくなる。
センサ検出誤差補正部226は、空間次数の振幅及び位相に基づいて検出回転角度を補正する。例えば、センサ検出誤差補正部226は、図1に示した回転角センサ50が出力した現在のセンサ検出角度θsに応じて、検出誤差成分算出部225が算出した各脈動次数の逆位相成分をセンサ検出角度θsに重畳することで、センサ検出角度θsの回転同期脈動成分を除去する。この処理により、現在のセンサ検出角度θsに含まれる誤差が補正される。そして、センサ検出誤差補正部226は、誤差を補正した現在のセンサ検出角度θsを演算部227に出力する。
演算部227は、誤差が補正されたセンサ検出角度θsにモータ極対数P/2を乗じた演算値を演算部228に出力する。
演算部228は、演算部227から入力した演算値と、積分部222から入力した回転角度算出値θとを比較して、演算値の回転角度算出値θに対する偏差Δθsを算出する。偏差ΔθsがPI制御部221に入力される。
次に、モータ制御装置10を構成するマイクロコンピュータ60のハードウェア構成を説明する。
図3は、マイクロコンピュータ60のハードウェア構成例を示すブロック図である。マイクロコンピュータ60は、本実施の形態に係るモータ制御装置10、及び速度・角度計算部20として動作可能なコンピュータとして用いられるハードウェアの一例である。本実施の形態に係るモータ制御装置10は、マイクロコンピュータ60(コンピュータ)がプログラムを実行することにより、図1と図2に示した各機能部が連携して行う演算方法を実現する。
マイクロコンピュータ60は、バス64にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、及びRAM(Random Access Memory)63を備える。さらに、マイクロコンピュータ60は、不揮発性ストレージ65及びネットワークインターフェイス66を備える。
CPU61は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM62から読み出してRAM63にロードし、実行する。RAM63には、CPU61の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU61によって適宜読み出される。ただし、CPU61に代えてMPU(Micro Processing Unit)を用いてもよい。
不揮発性ストレージ65としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ65には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、マイクロコンピュータ60を機能させるためのプログラムが記録されている。ROM62及び不揮発性ストレージ65は、CPU61が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、マイクロコンピュータ60によって実行されるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
ネットワークインターフェイス66には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。
図4は、角度検出誤差サンプリング部224と検出誤差成分算出部225の処理の例を示すフローチャートである。図4に示す処理は、モータ制御装置10で行われるモータ制御方法の一部である。ここでは、実際にマイクロコンピュータ等でセンサ検出誤差を同定する際の、角度検出誤差サンプリング部224と検出誤差成分算出部225の処理の例について説明する。
始めに、角度検出誤差サンプリング部224は、角度検出誤差のサンプリング精度を上げるため、モータ40の回転速度が一定以上になるまで待つ。そこで、角度検出誤差サンプリング部224は、センサ検出誤差の同定を開始後、算出回転速度ωを算出する。そして、角度検出誤差サンプリング部224は、算出回転速度ωの絶対値が、角周波数閾値ωcを超えたか否かを判定する(S1)。ここで、角周波数閾値ωcは、角度検出誤差サンプリング部224が角度検出誤差サンプリングを開始する回転速度の閾値を表す。角度検出誤差サンプリング部224は、算出回転速度ωの絶対値が、角周波数閾値ωc以下であると判定した場合(S1のNO)、ステップS1の判定処理を繰り返す。
一方、角度検出誤差サンプリング部224は、算出回転速度ωの絶対値が、角周波数閾値ωcを超えたと判定した場合(S1のYES)、角度検出誤差サンプリングを開始する(S2)。
角度検出誤差波形を算出する軸誤差推定部211から出力される軸誤差推定値Δθeは、本来、式(4)で表される微分方程式の微分項を無視して、式(5)で近似した値である。このため、角周波数閾値ωcは、上位制御系によって指定される最終的な回転速度指令ωr*付近に設定することが望ましい。また、モータ40の回転によって誘起される電圧に依存する方式で検出誤差成分算出部225を構成し、角度検出誤差サンプリング部224によってサンプリングされた角度検出誤差から、式(5)に示した方法で誤差成分を算出するためには、角度検出誤差の計算精度を確保する必要がある。そこで、角度検出誤差サンプリング部224は、モータ定格回転速度の10%以上に角周波数閾値ωcを設定することが望ましい。
次に、角度検出誤差サンプリング部224は、角度検出誤差波形の機械角1周分のサンプリングが完了したか否かを判断する(S3)。機械角1周分のサンプリングが完了していなければ(S3のNO)、角度検出誤差サンプリング部224は、再びステップS2の処理を続ける。一方、角度検出誤差サンプリング部224は、機械角1周分のサンプリングが完了していれば(S3のYES)、角度検出誤差情報を出力する。
検出誤差成分算出部225は、角度検出誤差情報に基づいて、誤差成分を算出し(S4)、本処理を終了する。誤差成分の算出には、前述の通り、例えば離散フーリエ変換などが利用できる。
以上説明した第1の実施形態に係るモータ制御装置10では、モータ40の中高速運転時にはセンサレス推定回転角度によって回転角センサ50の角度検出誤差脈動を推定し、推定した角度検出誤差情報を基にセンサ検出角度θsを補正する。このため、回転角センサ50の角度検出誤差の影響を受けることなくモータ40を制御し、モータ40の振動騒音を防止することが可能となる。特に、モータ制御装置10は、回転角センサ50が検出する回転角度に応じて変動する脈動成分を補正してモータ40を駆動するので、モータ40により駆動される各種装置に振動や騒音を低減することができる。
上記の算出処理部22によるセンサ検出誤差の同定は、モータ40を負荷に接続して運転している最中であっても、任意のタイミングで実行することができる。例えば、回転角センサ50の検出誤差特性が温度変化によって変化する場合、算出処理部22は、モータ40の発熱による温度上昇や、周期環境温度変化の時間変化率に対して十分短い周期で繰り返し上記の同定処理を実行する。算出処理部22が繰り返しセンサ検出誤差の同定処理を実行することで、回転角センサ50の特性が変化した場合であっても、回転角センサ50に由来する振動騒音を防止できる。
また、モータ40の設置位置の変更等によって回転角センサ50の取り付け状況が変わった際にも、算出処理部22は、上記の同定処理を実行することで、自動的に検出誤差を補正することができる。算出処理部22を図2に示した構成とすることで、回転角センサ50が持つ回転同期脈動成分を除去し、回転角センサ50に由来する振動騒音を防止できる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る速度・角度計算部20Aの構成例及び動作例について、図5を参照して説明する。
図5は、第2の実施形態に係る速度・角度計算部20Aの構成例を示すブロック図である。速度・角度計算部20Aは、図1に示した第1の実施形態に係るモータ制御装置10が備える速度・角度計算部20を置き換えたものである。第2の実施形態に係る速度・角度計算部20Aは、回転角センサ50が検出した回転速度及び角度と、位置センサレスで推定した回転速度及び角度と、を出力する機能を有している。
速度・角度計算部20以外の機能部の構成例及び動作例については第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。第2の実施形態に係る速度・角度計算部20Aは、推定処理部21Aと算出処理部22Aを備える。推定処理部21Aは、第1の実施形態に係る推定処理部21が有する軸誤差推定部211と軸誤差推定フィルタ212に加えて、PI制御部213と、積分部214と、を備える。
PI制御部213(回転速度推定部の一例)は、軸誤差推定値に基づいて推定回転速度を推定する。例えば、PI制御部213は、軸誤差推定フィルタ212の出力が0になるように位置センサレス速度推定を行う。このため、PI制御部213は、軸誤差推定フィルタ212から出力された軸誤差推定値Δθefの比例積分を行って、位置センサレス推定速度ωe(電気角)を算出する。位置センサレス推定速度ωe(電気角)は、軸誤差推定部211、軸誤差推定フィルタ212、積分部214、算出処理部22Aの機械角推定積分部223Aに出力される。また、回転角センサ50の故障時には、位置センサレス推定速度ωe(電気角)が、図1に示した速度制御部102及び電流制御部104で用いられる。
積分部214(回転角度推定部の一例)は、推定回転速度に基づいて推定回転角度を推定する。例えば、積分部214は、位置センサレス推定速度ωe(電気角)を積分して、位置センサレス推定角度θe(電気角)を算出する。また、回転角センサ50の故障時には、位置センサレス推定角度θe(電気角)は、dq/uvw座標変換部105とuvw/dq座標変換部107に出力される。
また、第2の実施形態に係る速度・角度計算部20Aの算出処理部22Aは、機械角推定積分部223Aを備える。
機械角推定積分部223A(換算部の一例)は、積分した推定回転速度を機械角の推定回転角度に換算する。例えば、機械角推定積分部223Aは、PI制御部213により算出された位置センサレス推定速度ωe(電気角)を用いて位置センサレス推定角度θm(機械角)を算出する。
一般に、モータ40に印加される電圧及び電流を用いた位置センサレス角度推定では電気角度が算出される。本実施の形態に係る算出処理部22は、機械角を推定するために、機械角推定積分部223Aの初期値を回転角センサ50から取得した機械角の測定値とする。そして、機械角推定積分部223Aは、位置センサレスで位置センサレス推定角度θm(機械角)を算出する。
検出誤差算出部229は、機械角の推定回転角度と、検出回転角度とを比較して、機械角の推定回転角度に対する検出回転角度の検出誤差差分を算出する。例えば、検出誤差算出部229は、回転角センサ50のセンサ検出角度θsと、位置センサレス推定角度θm(機械角)とを比較して、検出誤差推定値(機械角)Δθmを検出誤差差分として算出する。この検出誤差推定値(機械角)Δθmは、角度検出誤差サンプリング部224に入力される。
角度検出誤差サンプリング部224は、検出誤差差分の波形をサンプリングして、角度検出誤差情報を出力する。例えば、角度検出誤差サンプリング部224は、検出誤差差分である検出誤差推定値(機械角)Δθmを除いて、回転角センサ50のセンサ検出角度θsに対して等間隔で機械角1周分サンプリングする。
そして、検出誤差成分算出部225は、角度検出誤差情報に基づいて検出回転角度に含まれる検出誤差成分を算出する。例えば、検出誤差成分算出部225は、角度検出誤差サンプリング部224がサンプリングした角度検出誤差情報に基づいて、各脈動次数の振幅及び位相を算出し、センサ検出誤差補正部226は、センサ検出角度θsの回転同期脈動成分を除去する。
以上説明した第2の実施形態に係る速度・角度計算部20Aでは、回転角センサ50以外にも位置センサレスで回転角度と回転速度を計算できる。このため、速度・角度計算部20Aを備えるモータ制御装置10は、回転角センサ50の故障が発生した場合には、位置センサレス制御に移行する。そして、モータ制御装置10は、位置センサレス推定速度ωeと位置センサレス推定角度θe(電気角)を用いてモータ40の制御を継続し、モータ制御装置10の冗長性を確保できる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る速度・角度計算部20Bの構成例及び動作例について、図6を参照して説明する。
図6は、第3の実施形態に係る速度・角度計算部20Bの構成例を示すブロック図である。速度・角度計算部20Bは、図1に示した第1の実施形態に係るモータ制御装置10が備える速度・角度計算部20を置き換えたものである。第3の実施形態に係る速度・角度計算部20Bは、回転角センサ50が検出した回転速度と、位置センサレスで推定した回転速度のいずれかを切り替えて、回転速度及び角度を算出する機能を有する。
速度・角度計算部20以外の機能部の構成例及び動作例については第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。第3の実施形態に係る速度・角度計算部20Bの推定処理部21は、第1の実施形態に係る推定処理部21と同様の構成としている。
軸誤差推定フィルタ212から出力される軸誤差推定値Δθefは、算出処理部22Bの切替部230に出力される。
第3の実施形態に係る速度・角度計算部20Bの算出処理部22Bは、第2の実施形態に係る算出処理部22Aが有する各機能部に加えて、切替部230を備える。算出処理部22Bは、切替部230によって切り替えられた軸誤差推定値又は軸誤差算出値に基づいて回転速度及び回転角度を算出する。この算出処理部22Bは、第2の実施形態に係る算出処理部22Aが有するPI制御部213と積分部214を、PI制御部221と積分部222に統合した構成としている。
切替部230は、推定処理部21によって推定された軸誤差推定値、又は検出誤差補正部226が検出回転角度に基づいて算出した軸誤差算出値のいずれかに切り替える。例えば、切替部230には、軸誤差推定フィルタ212からの軸誤差推定値Δθef(軸誤差推定値の一例)と、センサ検出誤差補正部226からの回転角度算出値θの偏差Δθs(軸誤差算出値の一例)と、上位制御系からの切替信号とが入力される。そして、切替部230は、切替信号に基づいて、PI制御部221に出力する信号を、軸誤差推定値Δθef、又は回転角度算出値θの偏差Δθsのいずれかに切り替える。
機械角推定積分部223A(換算部の一例)は、PI制御部221が軸誤差推定値Δθef、又は回転角度算出値θの偏差Δθs積分して算出した回転速度ωを機械角の回転角度θmに換算する。
検出誤差算出部229は、機械角の回転角度θmと、検出回転角度θsとを比較して、機械角の回転角度θmに対する検出回転角度θsの検出誤差差分を算出する。
角度検出誤差サンプリング部224は、検出誤差差分の波形をサンプリングして、角度検出誤差情報を出力する。
検出誤差成分算出部225は、角度検出誤差情報に基づいて検出回転角度に含まれる検出誤差成分を算出する。
PI制御部221は、切替部230によって切り替えて出力される、軸誤差推定値Δθef、又は回転角度算出値θの偏差Δθsのいずれかに基づいて回転速度ωを算出する。
積分部222は、算出された回転速度ωを積分し、回転角度算出値θとして出力する。
以上説明した第3の実施形態に係る速度・角度計算部20Bでは、第2の実施形態に係る速度・角度計算部20Aに比べて、PI制御部と積分部の数を減らすことができる。このため、速度・角度計算部20Bの機能を実現するマイクロコンピュータの処理量及びメモリ使用量を低減できる。
また、切替部230により、PI制御部221に出力される回転角度の偏差が、軸誤差推定値Δθef、又は回転角度算出値θの偏差Δθsのいずれかに切り替わる。このため、モータ40の制御に適切な回転角度の偏差により算出された回転速度ωと回転角度θがモータ制御装置10で利用される。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係るエレベーター装置の構成例及び動作例について、図7を参照して説明する。
図7は、第4の実施形態に係るエレベーター装置300の全体構成例を示す概略構成図である。本実施の形態に係るエレベーター装置300は、上述した第1乃至第3の実施形態のいずれかに係る速度・角度計算部を有するモータ制御装置10を備えるものとする。
エレベーター装置300では、主ロープ306の一端部に乗りかご303が接続され、主ロープ306の他端部に釣合い錘304が接続される。主ロープ306は、巻上機301の綱車307及び方向転換プーリ305に巻き掛けられる。これにより、乗りかご303と釣合い錘304が、昇降路302内に吊られる。
巻上機301は、インバータ30、モータ40、綱車307、回転角センサ50、電磁ブレーキ308が一体となって構成されている。
綱車307には、主ロープ306が巻き掛けられて乗りかご303を昇降させる。巻上機301が備えるモータ40は、モータ制御装置10及びインバータ30によって駆動制御され、綱車307を回転駆動する。綱車307の回転により、主ロープ306が綱車307によって駆動される。これにより、乗りかご303と釣合い錘304が、昇降路302内において、互いに上下反対方向に昇降する。なお、乗りかご303は、乗りかご用のガイドレール(図示せず)に案内されながら移動し、釣合い錘304も、図示しない釣合い錘用のガイドレールに案内されながら上下方向に移動する。モータ制御装置10は、乗りかご303が昇降している運転状態中に、上述した第1乃至第3の実施形態に係る推定処理部21及び算出処理部22の処理を実行する。
乗りかご303を停止する際には、巻上機301に備えられた電磁ブレーキ308が巻上機301の回転を制動する。電磁ブレーキ308としては、例えばディスク式電磁ブレーキが適用される。なお、本実施形態では、巻上機301は、1台の電磁ブレーキ308を備える構成とするが、複数の電磁ブレーキ308を備える構成としてもよい。この構成とした場合、複数の電磁ブレーキ308は、同時に作動することで多重系ブレーキを構成できる。
エレベーター装置300では、主ロープ306の弾性等に起因した固有振動モードが数Hz~数十Hz付近に複数存在する。このため、巻上機301のモータトルク脈動周波数が上記固有振動モードに一致した時、乗りかご303に上下振動が励起され、乗客の乗り心地が悪化する。したがって、回転角センサ50に角度検出誤差がある場合、これによって乗り心地が悪化する可能性がある。
本実施形態では、第1乃至第3の実施形態に係る手法で角度検出誤差Δθeを補正することで、乗り心地の悪化を抑制し、あるいは防止する。近年主流のギアレス巻上機では、小型で大トルクを得るためにモータ極数を20極以上の多極構造とするケースが多い。このため、第1乃至第3の実施形態に係る手法を用いることは、位置センサレス角度推定におけるセンサ検出誤差を補正するために好適である。
エレベーター装置300は、ビル330の任意の階床に複数設けられたエレベーター乗り場310にて、乗りかご303に乗客を乗せる。その後、エレベーター装置300は、エレベーター制御装置320が出力する速度指令に従ってモータ制御装置10がモータ40の回転速度を制御し、目的の階床のエレベーター乗り場310に乗りかご303を停止することで乗客を運搬する。この時、出発時の階床と目的の階床が十分に離れていれば、エレベーター制御装置320が出力する速度指令及びモータ40の回転速度が一定になる定速区間が存在する。
モータ制御装置10が巻上機301を異なる速度パターンで制御する際に、巻上機301で必要とされるトルクは、主に以下の三種類のトルクの合算値となる。
(1)乗りかご301、釣合い錘304、主ロープ306の質量、及び、巻上機301、方向転換プーリ305の回転イナーシャを加減速するためのトルク(「加減速トルク」と呼ぶ)
(2)乗りかご301と釣合い錘304、及び主ロープ306に加わる重力の差分に釣り合うためのトルク(「釣り合いトルク」と呼ぶ)
(3)乗りかご301や釣合い錘304とガイドレール間の摩擦、綱車307及び方向転換プーリ305の軸受損失や、主ロープ306が綱車307及び方向転換プーリ305で主ロープ306が変形することによる損失(「走行損失トルク」と呼ぶ)
定速区間においては、加減速トルクが0になるため、釣り合いトルクと走行損失トルクのみが巻上機301の出力トルクになる。また、乗りかご303に乗客を乗せた後、乗りかご303が走行している際には、乗りかご303の質量が一定であることから、釣り合いトルクもほぼ一定とみなすことができる。また、回転速度が一定であれば、走行損失トルクも、ほぼ一定とみなすことができる。
したがって、定速区間においてはモータ40の回転速度及びトルクがほぼ一定となる。そこで、式(5)等を用いた位置センサレス角度検出誤差推定では、モータ40のd軸電流Id、q軸電流Iq、軸誤差推定値Δθeの微分値が0となる、定常状態を仮定して算出式が近似されている。このため、回転速度及びトルクが一定の条件下であれば、回転角度算出値θの推定精度が向上する。よって、回転角センサ50のセンサ検出誤差の同定を行うタイミングは、定速区間が好適である。
エレベーター装置300を稼働し続ける中で、例えば定速区間が生じるたびにセンサ検出誤差の同定を行うことで、センサ特性や周囲環境の変化による角度検出誤差特性の変化に対し、メンテナンスフリー、かつ継続的に効果的な補正を行うことができる。
[変形例]
なお、図1に示したモータ40の種類は誘導モータであってもよい。また、インバータ30の代わりに、任意の電圧を出力できる交流電圧源を用いてもよい。また、第4の実施形態に係るエレベーター装置300は、巻上機やエレベーター制御装置が昇降路内に設置されるいわゆる機械室レスエレベーターでもよい。
また、第1乃至第3の実施形態に係るモータ制御装置10及び速度・角度計算部20,20A,20Bは、エレベーター装置300以外にも、ベルトコンベヤ等の搬送装置に用いられてもよい。
本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1…モータ制御システム、10…モータ制御装置、20…速度・角度計算部、21…推定処理部、22…算出処理部、30…インバータ、31…電流検出部、40…モータ、50…回転角センサ、211…軸誤差推定部、212…軸誤差推定フィルタ、221…PI制御部、222…積分部、223…機械角換算部、223A…機械角推定積分部、224…角度検出誤差サンプリング部、225…検出誤差成分算出部、226…センサ検出誤差補正部、227…演算部、228…演算部、300…エレベーター装置

Claims (13)

  1. モータの回転速度及び回転角度に基づいて前記モータを制御するモータ制御装置であって、
    前記モータに加わる電圧及び電流と、前記モータの回転速度とを用いて、前記モータの軸誤差の軸誤差推定値を推定する軸誤差推定部を有する推定処理部と、
    前記軸誤差推定値に基づいて、前記モータの検出回転角度を補正する検出誤差補正部を有し、補正された前記検出回転角度に基づいて前記モータの前記回転速度及び前記回転角度を算出する算出処理部と、を備える
    モータ制御装置。
  2. 前記算出処理部は、
    前記軸誤差推定値を機械角の検出誤差推定値に換算する換算部と、
    機械角の前記検出誤差推定値の波形をサンプリングして、角度検出誤差情報を出力するサンプリング部と、
    前記角度検出誤差情報に基づいて前記検出回転角度に含まれる検出誤差成分を算出する検出誤差成分算出部と、
    前記検出誤差補正部が前記検出誤差成分に基づいて補正した前記検出回転角度と、前記回転角度との差分に基づいて前記回転速度を算出する回転速度算出部と、
    前記回転速度に基づいて前記回転角度を算出する回転角度算出部と、を有する
    請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記推定処理部は、
    前記軸誤差推定値に基づいて推定回転速度を推定する回転速度推定部と、
    前記推定回転速度に基づいて推定回転角度を推定する回転角度推定部と、を有する
    請求項1に記載のモータ制御装置。
  4. 前記算出処理部は、
    積分した前記推定回転速度を機械角の推定回転角度に換算する換算部と、
    機械角の前記推定回転角度と、前記検出回転角度とを比較して、機械角の前記推定回転角度に対する前記検出回転角度の検出誤差差分を算出する検出誤差算出部と、
    前記検出誤差差分の波形をサンプリングして、角度検出誤差情報を出力するサンプリング部と、
    前記角度検出誤差情報に基づいて前記検出回転角度に含まれる検出誤差成分を算出する検出誤差成分算出部と、
    前記検出誤差補正部が前記検出誤差成分に基づいて補正した前記検出回転角度と、前記回転角度との差分に基づいて前記回転速度を算出する回転速度算出部と、
    前記回転速度に基づいて前記回転角度を算出する回転角度算出部と、を有する
    請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記算出処理部は、前記推定処理部によって推定された前記軸誤差推定値、又は前記検出誤差補正部が前記検出回転角度に基づいて算出した軸誤差算出値のいずれかに切り替える切替部を有し、前記切替部によって切り替えられた前記軸誤差推定値又は前記軸誤差算出値に基づいて前記回転速度及び前記回転角度を算出する
    請求項1に記載のモータ制御装置。
  6. 前記算出処理部は、
    積分した前記回転速度を機械角の回転角度に換算する換算部と、
    機械角の前記回転角度と、前記検出回転角度とを比較して、機械角の前記回転角度に対する前記検出回転角度の検出誤差差分を算出する検出誤差算出部と、
    前記検出誤差差分の波形をサンプリングして、角度検出誤差情報を出力するサンプリング部と、
    前記角度検出誤差情報に基づいて前記検出回転角度に含まれる検出誤差成分を算出する検出誤差成分算出部と、
    前記切替部によって切り替えて入力される、前記軸誤差推定値、又は前記軸誤差算出値のいずれかに基づいて前記回転速度を算出する回転速度算出部と、
    前記回転速度に基づいて前記回転角度を算出する回転角度算出部と、を有する
    請求項5記載のモータ制御装置。
  7. 前記検出誤差成分算出部は、前記角度検出誤差情報から求められる角度検出誤差波形の空間次数の振幅及び位相を前記検出誤差成分として算出し、
    前記検出誤差補正部は、前記空間次数の振幅及び位相に基づいて前記検出回転角度を補正する
    請求項2に記載のモータ制御装置。
  8. 前記検出誤差成分算出部は、前記角度検出誤差情報に対して離散フーリエ変換を行って、前記角度検出誤差情報に含まれる、前記検出回転角度に生じる検出誤差脈動の空間次数の振幅及び位相を演算する
    請求項7に記載のモータ制御装置。
  9. 前記推定処理部は、前記軸誤差推定値から前記モータに通電される電流周波数の6次成分を選択的に低減するフィルタを有する
    請求項2に記載のモータ制御装置。
  10. 前記フィルタは、前記軸誤差推定値から前記モータの電流周波数以上の成分を低減する
    請求項9に記載のモータ制御装置。
  11. モータの回転速度及び回転角度に基づいて前記モータを制御するモータ制御装置で行われるモータ制御方法であって、
    前記モータに加わる電圧及び電流と、前記モータの回転速度とを用いて、前記モータの軸誤差の軸誤差推定値を推定する処理と、
    前記軸誤差推定値に基づいて、前記モータの検出回転角度を補正する処理と、
    補正された前記検出回転角度に基づいて前記モータの前記回転速度及び前記回転角度を算出する処理と、を含む
    モータ制御方法。
  12. 昇降路を昇降する乗りかごと、前記乗りかごに接続される主ロープと、前記主ロープが巻き掛けられて前記乗りかごを昇降させる綱車と、前記綱車を駆動するモータと、前記モータの回転速度及び回転角度に基づいて前記モータを制御するモータ制御装置と、を備え、
    前記モータ制御装置は、
    前記モータに加わる電圧及び電流と、前記モータの回転速度とを用いて、前記モータの軸誤差の軸誤差推定値を推定する軸誤差推定部を有する推定処理部と、
    前記軸誤差推定値に基づいて、前記モータの検出回転角度を補正する検出誤差補正部を有し、補正された前記検出回転角度に基づいて前記モータの前記回転速度及び前記回転角度を算出する算出処理部と、を有する
    エレベーター装置。
  13. 前記乗りかごが昇降している運転状態中に、前記推定処理部及び前記算出処理部の処理が実行される
    請求項12に記載のエレベーター装置。
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