JP2024007356A - 発光デバイス、発光装置、電子機器、および照明装置 - Google Patents

発光デバイス、発光装置、電子機器、および照明装置 Download PDF

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Toshiki Sasaki
裕允 木戸
Hiromitsu Kido
恒徳 鈴木
Tsunenori Suzuki
信晴 大澤
Nobuharu Osawa
英子 吉住
Eiko Yoshizumi
哲史 瀬尾
Tetsushi Seo
智子 沼田
Tomoko Numata
絵梨子 青山
Eriko Aoyama
唯 吉安
Yui Yoshiyasu
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【課題】発光デバイスの信頼性を向上させる。【解決手段】発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であり、配位子の一は、環A1と、ピリジン環と、が結合した骨格を有し、環A1は、芳香環または複素芳香環を表し、ピリジン環は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基を有し、配位子は、環A1の有するいずれかの原子およびピリジン環の窒素において、中心金属に配位し、第1の有機化合物は、電子輸送性骨格と、それぞれ電子輸送性骨格に結合する第1の置換基と、第2の置換基と、を有し、電子輸送性骨格は、2以上の窒素を有する複素芳香環を有し、第1の置換基は、芳香環および複素芳香環の一方または双方を有する基であり、第2の置換基は、正孔輸送性を有する骨格を有し、第1の有機化合物の最低三重項励起状態が、第1の置換基に局在する、発光層を有する発光デバイスを提供する。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、発光デバイス、発光装置、電子機器、および照明装置に関する。なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
有機化合物を用いたエレクトロルミネッセンス(EL:Electroluminescence)を利用する発光デバイス(有機EL素子)の実用化が進んでいる。これら発光デバイスの基本的な構成は、一対の電極間に発光材料を含む有機化合物層(EL層)を挟んだものである。この素子に電圧を印加して、キャリアを注入し、当該キャリアの再結合エネルギーを利用することにより、発光材料からの発光を得ることができる。
このような発光デバイスは自発光型であるため、液晶ディスプレイに比べ視認性が高くディスプレイの画素として好適である。また、このような発光デバイスを用いたディスプレイは、バックライトが不要であり薄型軽量に作製できることも大きな利点である。さらに非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
また、これらの発光デバイスは発光層を二次元に連続して形成することが可能であるため、面状に発光を得ることができる。これは、白熱電球またはLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
このように発光デバイスを用いたディスプレイまたは照明装置はさまざまな電子機器に適用好適であるが、より良好な効率、寿命を有する発光デバイスを求めて研究開発が進められている。
発光デバイスの特性は、目覚ましく向上してきたが、効率または耐久性をはじめ、あらゆる特性に対する高度な要求に対応するには未だ不十分である。特に、有機EL特有の問題である、焼き付きなどの問題を解決する為には、劣化による効率の低下は小さければ小さいほど都合が良い。
発光デバイスの特性は、発光物質およびその周辺の材料により大きく左右されるため、発光物質および周辺材料の開発が盛んにおこなわれている(例えば、特許文献1)。
特開2009-23938号公報
Nicholas J. Turro,V.Ramamurthy,J.C. Scaiano著,「MODERN MOLECULAR PHOTOCHEMISTRY OF ORGANIC MOLECULES」,UNIVERSITY SCIENCE BOOKS,2010年2月10日発行,pp.204-208 Daisaku TANAKA他,「Ultra High Efficiency Green Organic Light-Emitting Devices」,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.46,No.1,2007,pp.L10-L12
上述した特許文献において報告されているように優れた特性を示す発光物質およびホスト材料の開発が進んでいるが、さらに良好な特性を示す材料および発光デバイスの開発が望まれている。
そこで、本発明の一態様は、信頼性の高い発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、発光効率の高い発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、新規な発光デバイスを提供することを課題とする。
また、本発明の一態様は、寿命の長い発光装置、電子機器、または照明装置を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、消費電力の小さい発光装置、電子機器、または照明装置を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、新規な発光装置、電子機器、または照明装置を提供することを課題とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、陽極と、陰極と、発光層と、を有し、発光層は、陽極と、陰極との間に位置し、発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であり、配位子の少なくとも一は、環Aと、ピリジン環と、が結合した骨格を有し、環Aは、芳香環または複素芳香環を表し、ピリジン環は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基を有し、配位子は、環Aの有するいずれかの原子およびピリジン環の窒素において、中心金属に配位し、第1の有機化合物は、電子輸送性骨格と、それぞれ電子輸送性骨格に結合する第1の置換基と、第2の置換基と、を有し、電子輸送性骨格は、2以上の窒素を有する複素芳香環を有し、第1の置換基は、芳香環および複素芳香環の一方または双方を有する基であり、第2の置換基は、正孔輸送性を有する骨格を有し、第1の有機化合物の最低三重項励起状態が、第1の置換基に局在する、発光デバイスである。
また、本発明の一態様は、陽極と、陰極と、発光層と、を有し、発光層は、陽極と、陰極との間に位置し、発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であり、配位子の少なくとも一は、一般式(L1)で表される構造を有し、第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デバイスである。
ただし、一般式(L1)において、*は中心金属への結合手を表し、破線は中心金属への配位を表し、環Aは芳香環または複素芳香環を表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表す。また、一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、ArおよびArは各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、αおよびβは各々独立に、置換または無置換のフェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。
また、本発明の一態様は、陽極と、陰極と、発光層と、を有し、発光層は、陽極と、陰極との間に位置し、発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、発光物質は、一般式(G1)で表される有機金属錯体であり、第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デバイスである。
ただし、一般式(G1)において、Mは中心金属を表し、破線は配位を表し、環Aおよび環Aは各々独立に芳香環または複素芳香環を表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表し、R乃至Rは各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表し、kは0乃至2の整数を表す。また、一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、ArおよびArは各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、αおよびβは各々独立に、置換または無置換のフェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。
本発明の一態様は、陽極と、陰極と、発光層と、を有し、発光層は、陽極と、陰極との間に位置し、発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、発光物質は、一般式(G2)で表される有機金属錯体であり、第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デバイスである。
ただし、一般式(G2)において、Mは中心金属を表し、破線は配位を表し、Qは酸素または硫黄を表し、X乃至Xはそれぞれ独立に、窒素および炭素(CHを含む)のいずれかを表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を表し、R乃至R14は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を表し、kは0乃至2の整数を表す。また、一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、ArおよびArは各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、αおよびβは各々独立に、置換または無置換のフェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。
また、本発明の一態様は、上記各構成において、第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギーは、有機金属錯体の最低三重項励起エネルギーより大きい、発光デバイスである。
また、本発明の一態様は、上記各構成において、第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギーと、有機金属錯体の最低三重項励起エネルギーと、の差が0eVより大きく0.40eV以下である、発光デバイスである。
また、本発明の一態様は、上記各構成において、中心金属は、イリジウムである、発光デバイスである。
また、本発明の一態様は、上記各構成において、2以上の窒素を有する複素芳香環は、構造式(B-1)乃至(B-32)のいずれかである、発光デバイスである。
また、本発明の一態様は、上記各構成の発光デバイスと、トランジスタ、または、基板と、を有する発光装置である。
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置と、検知部、入力部、または、通信部と、を有する電子機器である。
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置と、筐体と、を有する照明装置である。
本発明の一態様により、信頼性の高い発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、発光効率の高い発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、新規な発光デバイスを提供することができる。
また、本発明の一態様により、寿命の長い発光装置、電子機器、または照明装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、消費電力の小さい発光装置、電子機器、または照明装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、新規な発光装置、電子機器、または照明装置を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
図1(A)乃至図1(E)は、実施の形態に係る発光デバイスの構成を説明する図である。 図2(A)乃至図2(D)は、実施の形態に係る発光装置を説明する図である。 図3(A)乃至図3(C)は、実施の形態に係る発光装置の製造方法を説明する図である。 図4(A)乃至図4(C)は、実施の形態に係る発光装置の製造方法を説明する図である。 図5(A)乃至図5(D)は、実施の形態に係る発光装置の製造方法を説明する図である。 図6(A)乃至図6(C)は、実施の形態に係る発光装置を説明する図である。 図7(A)乃至図7(F)は、実施の形態に係る発光装置を説明する図である。 図8(A)および図8(B)は、実施の形態に係る発光装置を説明する図である。 図9(A)乃至図9(E)は、実施の形態に係る電子機器を説明する図である。 図10(A)乃至図10(E)は、実施の形態に係る電子機器を説明する図である。 図11(A)および図11(B)は、実施の形態に係る電子機器を説明する図である。 図12(A)および図12(B)は、実施の形態に係る照明装置を説明する図である。 図13は、実施の形態に係る照明装置を説明する図である。 図14(A)乃至図14(C)は実施の形態に係る発光デバイスおよび受光デバイスを説明する図である。 図15は発光デバイス1および発光デバイス2の輝度-電流密度特性である。 図16は発光デバイス1および発光デバイス2の電流効率-輝度特性である。 図17は発光デバイス1および発光デバイス2の輝度-電圧特性である。 図18は発光デバイス1および発光デバイス2の電流-電圧特性である。 図19は発光デバイス1および発光デバイス2の電界発光スペクトルである。 図20は発光デバイス1および発光デバイス2の駆動時間に対する輝度変化を表す図である。 図21は発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至6の輝度-電流密度特性である。 図22は発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至6の電流効率-輝度特性である。 図23は発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至6の輝度-電圧特性である。 図24は発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至6の電流-電圧特性である。 図25は発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至6の電界発光スペクトルである。 図26は発光デバイス3および比較発光デバイス4、7および8の輝度-電流密度特性である。 図27は発光デバイス3および比較発光デバイス4、7および8の電流効率-輝度特性である。 図28は発光デバイス3および比較発光デバイス4、7および8の輝度-電圧特性である。 図29は発光デバイス3および比較発光デバイス4、7および8の電流-電圧特性である。 図30は発光デバイス3および比較発光デバイス4、7および8の電界発光スペクトルである。 図31は発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至6の駆動時間に対する輝度変化を表す図である。 図32は発光デバイス3および比較発光デバイス4、7および8の駆動時間に対する輝度変化を表す図である。 図33(A)乃至図33(C)は8mpTP-4mDBtPBfpmの計算による解析結果を表す図である。 図34(A)乃至図34(C)は構造式(216)で表される有機化合物の計算による解析結果を表す図である。 図35(A)乃至図35(C)は8BP-4mDBtPBfpmの計算による解析結果を表す図である。 図36は8mpTP-4mDBtPBfpmおよび8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の発光スペクトルの測定結果を示す図である。 図37は8mpTP-4mDBtPBfpm-d13の発光スペクトルの測定結果を示す図である。 図38は8mpTP-4mDBtPBfpm-d10の発光スペクトルの測定結果を示す図である。 図39は8mpTP-4mDBtPBfpmおよび8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の発光寿命の測定結果を示す図である。 図40は発光デバイス9および発光デバイス10の輝度-電流密度特性である。 図41は発光デバイス9および発光デバイス10の電流効率-輝度特性である。 図42は発光デバイス9および発光デバイス10の輝度-電圧特性である。 図43は発光デバイス9および発光デバイス10の電流-電圧特性である。 図44は発光デバイス9および発光デバイス10の電界発光スペクトルである。 図45は発光デバイス9および発光デバイス10の駆動時間に対する輝度変化を表す図である。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、及び、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、及び、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、及び、範囲などに限定されない。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
なお、本明細書等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスと呼称する場合がある。
本明細書等において、正孔または電子を、「キャリア」といって示す場合がある。具体的には、正孔注入層または電子注入層を「キャリア注入層」といい、正孔輸送層または電子輸送層を「キャリア輸送層」といい、正孔ブロック層または電子ブロック層を「キャリアブロック層」という場合がある。なお、上述のキャリア注入層、キャリア輸送層、及びキャリアブロック層は、それぞれ、断面形状、または特性などによって明確に区別できない場合がある。また、1つの層が、キャリア注入層、キャリア輸送層、及びキャリアブロック層のうち2つまたは3つの機能を兼ねる場合がある。
本明細書等において、発光デバイス(発光素子ともいう)は、一対の電極間にEL層を有する。EL層は、少なくとも発光層を有する。本明細書等において、受光デバイス(受光素子ともいう)は、一対の電極間に少なくとも光電変換層として機能する活性層を有する。本明細書等では、一対の電極の一方を画素電極と記し、他方を共通電極と記すことがある。
なお、本明細書等において、テーパ形状とは、構造の側面の少なくとも一部が、基板面に対して傾斜して設けられている形状のことを指す。例えば、傾斜した側面と基板面とがなす角(テーパ角ともいう)が90°未満である領域を有すると好ましい。なお、構造の側面及び基板面は、必ずしも完全に平坦である必要はなく、微細な曲率を有する略平面状、または微細な凹凸を有する略平面状であってもよい。
なお、本明細書中における発光装置とは、発光デバイスを用いた画像表示デバイスを含む。また、発光デバイスにコネクター、例えば異方導電性フィルム又はTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は発光デバイスにCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも発光装置に含む場合がある。さらに、照明器具等は、発光装置を有する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光デバイスについて説明する。本実施の形態で示すデバイス構成とすることにより、信頼性の高い発光デバイスを提供することができる。
図1(A)に、一対の電極間に発光層を含むEL層を有する発光デバイス100の断面概略図を示す。具体的には、発光デバイス100は、第1の電極101と第2の電極102との間にEL層103が挟まれた構造を有する。EL層103は、少なくとも発光層を有する。
発光層は、少なくとも、発光物質およびホスト材料を有する層である。ここで、本発明の一態様である発光デバイスにおいて用いるのが好ましい発光物質およびホスト材料について説明する。
≪発光物質≫
発光物質としては、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であって、配位子の少なくとも一は、環Aと、ピリジン環と、が結合した骨格を有し、環Aは、芳香環または複素芳香環を表し、ピリジン環は、炭素数1乃至6のアルキル基を有する、有機金属錯体を用いることができる。当該炭素数1乃至6のアルキル基は、重水素置換されていることが好ましい。また、当該配位子は、環Aの有するいずれかの原子およびピリジン環の窒素において、有機金属錯体の中心金属に配位していることが好ましい。
なお、本明細書等において、配位とは、原子またはイオンのまわりに原子、分子、またはイオンが配列することをいう。
また、本明細書等において、芳香環とは、単環式芳香環だけでなく、複数の単環式芳香環が縮合することにより形成される多環式芳香環を含むものとする。また、複素芳香環とは、単環式複素芳香環だけでなく、複数の単環式複素芳香環が縮合することにより形成される多環式複素芳香環、および、一又は複数の単環式芳香環と、一又は複数の単環式複素芳香環とが、縮合することにより形成される多環式複素芳香環を含むものとする。
上記有機金属錯体は、燐光発光を呈する。このような有機金属錯体を発光層に用いることにより、発光デバイス100を燐光発光デバイスとして機能させることができる。
上記有機金属錯体において、中心金属に配位する配位子のうち少なくとも一が有するピリジン環(以下、単にピリジン環という場合がある)は、アルキル基を有する。アルキル基は電子供与基であるため、ピリジン環に導入することにより、ピリジン環の電子密度を高くすることができる。これによって、ピリジン環の窒素と中心金属との間の距離が長くなるため、有機金属錯体のHOMO(最高被占軌道:Highest Occupied Molecular Orbital)準位およびLUMO(最低空軌道:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位が上昇する(浅くなる)。HOMO準位の浅い有機金属錯体を発光層の発光物質として用いると、発光層におけるホールの注入障壁を低減することができ、ホールが発光層に入りやすくなるため、発光デバイス100の駆動電圧を低下させることができる。そのため、駆動時に発光デバイス100に加わる負荷を抑制し、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。また、有機金属錯体にアルキル基を導入することによって、有機金属錯体の発光特性の調節が可能である。
なお、上記有機金属錯体において、ピリジン環が有するアルキル基の炭素数が大きすぎる場合、昇華性が低下する場合がある。従って、有機金属錯体の昇華性の低下を防ぐために、ピリジン環に導入するアルキル基は、炭素数1乃至6のアルキル基であることが好ましい。
また、上記有機金属錯体において、ピリジン環の有する炭素数1乃至6のアルキル基は重水素置換されていることが好ましい。炭素と重水素との結合の結合解離エネルギーは、炭素と軽水素との結合の結合解離エネルギーより大きく、安定で切断しにくい。従って、重水素置換されたアルキル基を配位子に導入することにより、重水素置換されていないアルキル基を導入する場合と比較して配位子を安定化することができる。
さらに、上記有機金属錯体においては、炭素数1乃至6のアルキル基を有するピリジン環の窒素が、中心金属に配位している。これによって、配位子を安定化させるのみならず、当該配位子の中心金属への配位を安定化させることができるため、当該配位子を用いた有機金属錯体を安定化することができる。従って、当該有機金属錯体を用いることにより、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
なお、本明細書等において、ある化合物、部分構造、または基(原子団)の有する水素中における重水素の割合が、天然存在レベルの少なくとも100倍以上であることを特に指定する必要のある際に、「重水素化」または「重水素置換された」という用語を用いる。また、「重水素置換されたアルキル基」とは、アルキル基の少なくとも1個の水素が重水素置換されていることを意味する。
次に、上述した有機金属錯体のより具体的な構造について、化学式を用いて説明する。なお、上述した有機金属錯体に関する効果等の記載は、以下に示す有機金属錯体のより具体的な構造についても同様である。
有機金属錯体として、例えば、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であって、配位子の少なくとも一は、下記一般式(L1)で表される構造を有する、有機金属錯体を用いることができる。
一般式(L1)において、*は中心金属への結合手を表し、破線は中心金属への配位を表し、環Aは芳香環または複素芳香環を表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表す。
なお、一般式(L1)で表される配位子において、RおよびRは水素(重水素を含む)であると好ましい。また、Rが、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であるとより好ましい。この場合、置換基の立体的な影響によって中心金属への配位が不安定化することを防ぐことができるため、有機金属錯体をより安定化することができる。
また、有機金属錯体として、例えば、一般式(G1)で表される有機金属錯体を用いることができる。
一般式(G1)において、Mは中心金属を表し、破線は配位を表し、環Aおよび環Aは各々独立に芳香環または複素芳香環を表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表し、R乃至Rは各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表し、kは0乃至2の整数を表す。
なお、一般式(G1)で表される有機金属錯体において、RおよびRは水素(重水素を含む)であると好ましい。また、Rが、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であるとより好ましい。この場合、置換基の立体的な影響によって中心金属への配位が阻害されることを防ぐことができるため、有機金属錯体をより安定化することができる。
なお、一般式(L1)で表される配位子における環A、並びに一般式(G1)で表される有機金属錯体における環Aおよび環Aに用いることのできる、芳香環および複素芳香環として、より具体的には、炭素数6乃至13の芳香環および炭素数2乃至13の複素芳香環が挙げられる。また、環Aおよび環Aに用いることのできる、芳香環および複素芳香環の具体例としては下記構造式(A-1)乃至(A-29)が挙げられる。なお、環Aまたは環Aが複数存在する場合、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
なお、上記構造式(A-1)乃至(A-29)で表される芳香環および複素芳香環は、環Aおよび環Aの具体例であるが、環Aおよび環Aに用いることのできる芳香環および複素芳香環は、これに限られない。また、上記構造式(A-1)乃至(A-29)で表される芳香環および複素芳香環は、重水素置換されていてもよい。
なお、環Aまたは環Aは、さらに置換基を有していてもよい。環Aまたは環Aが置換基を有する場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数6乃至13のアリール基などを挙げることができる。なお、当該置換基が炭素数1乃至6のアルキル基である場合、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であるとより好ましい。これによって、ピリジン環に重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基を導入することによる効果と同様の効果を得ることができる。
また、有機金属錯体として、例えば、一般式(G2)で表される有機金属錯体を用いることができる。
一般式(G2)において、Mは中心金属を表し、破線は配位を表し、Qは酸素または硫黄を表し、X乃至Xはそれぞれ独立に、窒素および炭素(CHを含む)のいずれかを表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を表し、R乃至R14は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を表し、kは0乃至2の整数を表す。
なお、一般式(G2)で表される有機金属錯体において、RおよびRは水素(重水素を含む)であると好ましい。また、Rが、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であるとより好ましい。この場合、置換基の立体的な影響によって中心金属への配位が阻害されることを防ぐことができるため、有機金属錯体をより安定化することができる。
上述の有機金属錯体をより効率よく燐光発光させるため、重原子効果の観点から、中心金属Mは重い金属の方が好ましい。したがって、上述の有機金属錯体において、中心金属Mがイリジウムまたは白金である有機金属錯体が好ましい。なお、中心金属Mをイリジウムとすることで有機金属錯体の熱的及び化学的安定性が向上するため、中心金属Mとしてはイリジウムを用いることがより好ましい。
上述の有機金属錯体において、炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。なお、重水素置換されていることが好ましいという記載があるか否かに関わらず、これらの基は重水素置換されていてもよい。
また、上述の有機金属錯体において、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基の具体例としては、メチル-d基、エチル-d基、プロピル-d基、2-プロピル-2-d基、イソプロピル-d基、ブチル-d基、2-メチル-1-プロピル-1,1-d基、イソブチル-d基、sec-ブチル-d基、tert-ブチル-d基、ペンチル-d11基、イソペンチル-d11基、ヘキシル-d13基などが挙げられる。
また、上述の有機金属錯体において、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、フルオレニル基などが挙げられる。なお、これらの基は重水素置換されていてもよい。
また、上述の有機金属錯体において、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基がさらに置換基を有する場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基および環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基が挙げられる。なお、これらの基は重水素置換されていてもよい。
発光デバイス100において発光物質として用いることのできる有機金属錯体の具体的な構造式を下記に示す。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
≪ホスト材料≫
ホスト材料としては、電子輸送性骨格と、それぞれ電子輸送性骨格に結合する第1の置換基と、第2の置換基と、を有する有機化合物を用いることができる。当該有機化合物において、電子輸送性骨格は、2以上の窒素を有する複素芳香環を有し、第1の置換基は、芳香環および複素芳香環の一方または双方を有する基であると好ましい。また、当該有機化合物において、第2の置換基は、正孔輸送性骨格を有する基であると好ましい。また、当該有機化合物において、最低三重項励起状態(すなわち三重項励起子)が、第1の置換基に局在すると好ましい。以下、このような構造の有機化合物を第1の有機化合物と表記する。
第1の有機化合物は、上述した発光物質として用いることのできる有機金属錯体の最低三重項励起エネルギー(基底状態(S)と最低三重項励起状態(T)とのエネルギー差)(以下、T準位)よりも、T準位の高い有機化合物である。このような第1の有機化合物をホスト材料として発光物質とともに発光層に用いることにより、三重項励起状態の第1の有機化合物から、発光物質にエネルギー移動を行うことができるため、発光物質を効率よく発光させることができる。
なお、有機化合物のS準位(基底状態(S)と最低一重項励起状態(S)とのエネルギー差)またはT準位に関しては、蛍光スペクトルまたは燐光スペクトルにおいて基底状態と励起状態の振動準位間におけるν=0→ν=0遷移(0→0帯)が明確に観測される場合、当該0→0帯を用いて算出することが好ましい(例えば非特許文献1参照)。また0→0帯が明確でない場合は、蛍光スペクトルにおけるピークの短波長側の傾きが最大となる値において接線を引き、その接線と横軸(波長)あるいはベースラインとの交点のエネルギーをS準位とし、りん光スペクトルにおけるピークの短波長側の傾きが最大となる値において接線を引き、その接線と横軸(波長)あるいはベースラインとの交点のエネルギーをT準位とすればよい(例えば非特許文献2参照)。本明細書においては、後者の方法で各準位の測定を行っている。また、準位同士の比較を行う場合は、同じ方法で算出した準位での比較を行うものとする。
ただし、ホスト材料として用いる第1の有機化合物のT準位が、発光物質のT準位と比較して過剰に大きいと、エネルギー移動が不完全となり、発光デバイスの効率および信頼性が低下しやすくなる。従って、ホスト材料のT準位と、発光物質のT準位との差が、0eVより大きく0.40eV以下であると好ましく、0eVより大きく0.20eV以下であるとより好ましい。これによって、発光デバイスの効率および信頼性を向上させることが可能である。
なお、第1の有機化合物は、電子輸送性骨格と、正孔輸送性骨格を有する第2の置換基と、を有する。従って、第1の有機化合物は、電子輸送性材料であるということもでき、正孔輸送性材料であるということもでき、電子輸送性と正孔輸送性の両方を有するバイポーラ性の材料であるということもできる。
また、第1の有機化合物において、最低三重項励起状態が第1の置換基に局在する。このことから、電子輸送性骨格および正孔輸送性骨格(第2の置換基)には、最低三重項励起状態が局在しにくい。従って、第1の有機化合物をホスト材料として発光デバイスに用いた場合、第1の有機化合物の有する電子輸送性骨格および正孔輸送性骨格の劣化が抑制される。このような第1の有機化合物を用いることにより、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
また、上記構造の第1の有機化合物において、LUMOは、電子輸送性骨格に分布しやすい。上述の通り、最低三重項励起状態は、第1の置換基に局在することから、LUMOの分布する位置と、最低三重項励起状態の局在する位置と、がそれぞれ異なることになる。これによって、第1の有機化合物を発光デバイスに用いた場合の安定性を高めることができるため、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
ただし、第1の有機化合物において、LUMOの分布位置と、最低三重項励起状態の局在する位置とが、離れすぎると、ホスト材料としての性質が不十分となってしまう可能性がある。従って、例えば、LUMOの分布する位置と、最低三重項励起状態の局在する位置とが、隣り合い、かつ、重ならない構成であると、ホスト材料として良好な性質を有し、かつ、安定性の高い有機化合物とすることができる。
なお、本明細書等において、有機化合物の最低三重項励起状態の最安定構造においてスピン密度が分布する部分構造に、最低三重項励起状態(すなわち三重項励起子)が局在していると見なすことができる。なお、有機化合物の振動構造は最低三重項励起状態の局在する部分構造に由来するため、有機化合物の発光スペクトルの波形から、当該有機化合物の最低三重項励起状態の局在する部分構造を読み取ることができる場合がある。
次に、上述した第1の有機化合物のより具体的な構造について、化学式を用いて説明する。なお、上述した第1の有機化合物に関する効果等の記載は、以下に示す第1の有機化合物のより具体的な構造についても同様である。
第1の有機化合物として、例えば、下記一般式(G10)で表される有機化合物を用いることができる。
一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、αは置換または無置換のo-フェニレン基および置換または無置換のm-フェニレン基のいずれかを表し、ArおよびArは各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、βは置換または無置換のフェニレン基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。
なお、上記一般式(G10)における部分構造である、環Bは電子輸送性骨格に対応し、下記一般式(S1)で表される置換基は第1の置換基に対応し、下記一般式(S2)で表される置換基は第2の置換基に対応する。なお、一般式(G10)においては、第1の置換基と第2の置換基とがそれぞれ一ずつ、環Bに結合した構造を示すが、これに限定されない。環Bに、一または複数の第1の置換基と、一または複数の第2の置換基とが、結合した構造であれば、第1の有機化合物として用いることが可能である。
次に、第1の有機化合物のそれぞれの部分構造(電子輸送性骨格、第1の置換基、および第2の置換基)の詳細について説明する。
<電子輸送性骨格>
電子輸送性骨格(環B)として、π電子不足型の複素芳香環を用いることができる。電子輸送性骨格(環B)として、より具体的には、2以上の窒素を有する複素芳香環を用いることができる。2以上の窒素を有する複素芳香環は、さらに具体的には、2以上の窒素を有し、かつ、環を形成する炭素の数が2以上15以下の複素芳香環が好ましい。電子輸送性骨格として用いることのできるπ電子不足型の複素芳香環の具体例としては、下記構造式(B-1)乃至(B-32)に表される複素芳香環を挙げることができる。
なお、上記構造式(B-1)乃至(B-32)に表される2以上の窒素を有する複素芳香環は環Bの具体例であるが、環Bはこれに限られない。なお、これらの環が重水素置換されていてもよい。また、環Bは、第1の置換基および第2の置換基に加えて、さらに置換基を有していてもよい。2以上の窒素を有する複素芳香環が置換基を有する場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基および環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基が挙げられる。
また、一般式(G10)において、環Bとして、ベンゾフロピリミジン環(構造式(B-9)および(B-10))、ベンゾチエノピリミジン環(構造式(B-21)および(B-22))、またはトリアジン環(構造式(B-5))を用いるとより好ましい。これによって、第1の有機化合物の電子輸送性をより向上させることができる。特に、環Bとして、ベンゾフロピリミジン環(構造式(B-9)および(B-10))またはベンゾチエノピリミジン環(構造式(B-21)および(B-22))を用いると、より安定性を高めることができさらに好ましい。
なお、環Bに、構造式(B-10)で表されるベンゾフロピリミジン環(ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン環)および構造式(B-22)で表されるベンゾチエノピリミジン環(ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジン環)を用いる場合、第1の置換基の置換位置を8位とし、第2の置換基の置換位置を4位とするとより好ましい。これによって、有機化合物の安定性をさらに高めることができる。
<第1の置換基>
第1の置換基(一般式(S1)で表される置換基)には、最低三重項励起状態が局在する。第1の置換基は、芳香環および複素芳香環の一方または双方を有する基であると好ましい。第1の置換基は、特に、置換または無置換のo-フェニレン基および置換または無置換のm-フェニレン基のいずれかが電子輸送性骨格(環B)に結合し、さらに当該o-フェニレン基またはm-フェニレン基に芳香環または複素芳香環が連結した構造とすると好ましい。電子輸送性骨格に第1の置換基におけるo-フェニレン基またはm-フェニレン基が結合することによって、第1の置換基と、電子輸送性骨格とが、平面構造となるのを防ぐことができるため、第1の置換基と電子輸送性骨格との間で共役系が広がるのを抑制することができる。従って、第1の有機化合物において、LUMOの分布する位置と、最低三重項励起状態の局在する位置と、が異なりやすくなるため、第1の有機化合物の安定性を高め、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
第1の置換基において、ArおよびArに用いることのできる芳香環および複素芳香環として、より具体的には、炭素数6乃至13の芳香環および炭素数2乃至13の複素芳香環が好ましい。これによって、適度な昇華性を保つことができ、昇華精製時または真空蒸着時の分解を抑制することができる。なお、Arが複数の場合、それぞれが同じであっても異なっていてもよい。
ArおよびArに用いることのできる芳香環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環などを挙げることができ、複素芳香環の具体例としては、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環などを挙げることができる。なお、芳香環または複素芳香環がさらに置換基を有する場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、炭素数5乃至7の単環式飽和炭化水素基、炭素数7乃至10の多環式飽和炭化水素基、シアノ基などが挙げられる。
なお、第1の置換基の、ArおよびArによって構成される部分は、直線状の構造を有するとより好ましい。具体的には、Arが、パラ置換のベンゼン環であるとより好ましい。これによって第1の置換基内の共役系がつながりやすくなり、最低三重項励起状態が第1の置換基にさらに局在しやすくすることができる。
また、第1の置換基において、α、Ar、およびArが縮合していてもよい。例えば、酸素もしくは窒素を介して、新たな結合を形成することによって、α、Ar、およびArのいずれか二または全てが縮合した構造とすることができる。これによって、第1の置換基内の共役系がさらにつながりやすくなり、さらに最低三重項励起状態が第1の置換基に局在しやすくすることができる。
従って、第1の置換基は、一般式(S1-A)または(S1-B)で表される構造であると、より好ましい。なお、これらの基は重水素置換されていてもよい。
ただし、一般式(S1-A)および(S1-B)において、L乃至Lは各々独立に、一般式(L-1)乃至(L-4)のいずれか一で表される部分構造であり、R21乃至R36は各々独立に、水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、炭素数5乃至7の単環式飽和炭化水素基、炭素数7乃至10の多環式飽和炭化水素基、シアノ基、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表す。
第1の置換基(一般式(S1)、(S1-A)および(S1-B))の具体例として、下記構造式(S1-1)乃至(S1-28)を挙げることができる。なお、これらの基は重水素置換されていてもよい。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
<第2の置換基>
第2の置換基(一般式(S2)で表される置換基)は、正孔輸送性骨格を有する基であり、第1の有機化合物に正孔輸送性を付加することのできる基を用いることが好ましい。
一般式(S2)で表される置換基において、αが置換のフェニル基である場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基などが挙げられる。なお、これらの基は、重水素置換されていてもよい。
正孔輸送性骨格としては、π電子過剰型複素芳香環を用いることができる。一般式(G10)および一般式(S2)において、Htuniは、正孔輸送性骨格を表す。正孔輸送性骨格(Htuni)の具体例として、下記一般式(Ht-1)乃至(Ht-15)が挙げられる。なお、これらの基は重水素置換されていてもよい。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
なお、上記一般式(Ht-1)乃至一般式(Ht-15)において、Qは酸素または硫黄を表す。また、Ar10は、置換もしくは無置換の炭素数6乃至13のアリール基を表す。また、上記一般式(Ht-1)乃至一般式(Ht-15)がさらに置換基を有していてもよく、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基などが挙げられる。
以上が、第1の有機化合物のそれぞれの部分構造(電子輸送性骨格、第1の置換基、および第2の置換基)の詳細である。
なお第1の有機化合物において用いることのできる炭素数1乃至6のアルキル基、および環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基の具体例は、それぞれ、上述の有機金属錯体において用いることのできる炭素数1乃至6のアルキル基および環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基の具体例と同様である。
また、第1の有機化合物において、炭素数1乃至6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチロキシ基、イソペンチロキシ基、sec-ペンチロキシ基、tert-ペンチロキシ基、ネオペンチロキシ基、n-ヘキシロキシ基、イソヘキシロキシ基、sec-ヘキシロキシ基、tert-ヘキシロキシ基、ネオヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基等が挙げられる。なお、これらの基は、重水素置換されていてもよい。
また、第1の有機化合物において、炭素数5乃至7の単環式飽和炭化水素基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。なお、これらの基は、重水素置換されていてもよい。
また、第1の有機化合物において、炭素数7乃至10の多環式飽和炭化水素基の具体例としては、ノルボルニル基、アダマンチル基、デカリン基、トリシクロデシル基等が挙げられる。なお、これらの基は、重水素置換されていてもよい。
また、第1の有機化合物において、電子輸送性骨格、第1の置換基、および第2の置換基のいずれか一または複数が、重水素置換されているとより好ましい。上述のとおり、炭素と重水素との結合の結合解離エネルギーは、炭素と軽水素との結合の結合解離エネルギーより大きく、安定で切断しにくい。従って、電子輸送性骨格、第1の置換基、および第2の置換基のいずれか一または複数を重水素置換することにより、第1の有機化合物をより安定化することができる。よって、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
上述の通り第1の有機化合物において、第1の置換基には最低三重項励起状態が局在することから、第1の置換基が重水素置換されているとより好ましい。最低三重項励起によって、炭素-水素結合が解離しやすい場合があるが、第1の置換基が重水素置換されていることによって、最低三重項励起による炭素-水素結合の解離を防ぐことができる。よって、第1の置換基を重水素化することにより、効果的に第1の有機化合物の劣化を防ぐことができる。よって、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
また、重水素は軽水素よりも重い原子であるため、炭素-重水素結合は、炭素-軽水素結合と比較して振動振幅がより小さい。従って、第1の置換基を重水素置換することにより、最低三重項励起状態における、分子内振動が抑制される。このことから、第1の有機化合物の三重項励起状態からの熱失活(無輻射遷移)の速度を遅くすることができるため、第1の置換基を重水素置換することにより、発光層において、第1の有機化合物から発光物質へのエネルギー移動を効率よく行うことができる。よって、第1の有機化合物の劣化が抑制され、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
また、第1の有機化合物をホスト材料として用いる際、第2の置換基の有する正孔輸送性骨格が正孔を受け取る場合があることから、第2の置換基が重水素置換されているとより好ましい。正孔の授受において、炭素-水素結合が解離しやすい場合があるが、第2の置換基が重水素置換されていることによって、正孔の授受による炭素-水素結合の解離を防ぐことができる。
なお、第1の有機化合物の構造全体を重水素化した有機化合物の合成においては、経路が煩雑となる、または高温高圧を必要とする等の問題がある。従って、第1の有機化合物として、より合成が容易である、第1の置換基および第2の置換基の一方または両方のみを選択的に重水素化した有機化合物を用いることで、発光デバイスの製造コストの削減を図ることが可能となる。
発光デバイス100においてホスト材料として用いることのできる有機化合物の具体的な構造式を下記に示す。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
以上が、発光デバイス100に用いることのできる、発光物質およびホスト材料に関しての説明である。このような発光物質と、ホスト材料とを組み合わせて発光層に用いることで、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
なお、発光層は、発光物質およびホスト材料(第1のホスト材料)に加えて、アシスト材料(第2のホスト材料)を有していてもよい。発光層にホスト材料を複数用いる場合のエネルギー移動機構については、実施の形態2にて後述する。
≪アシスト材料≫
アシスト材料として用いることのできる材料として、一般式(G20)で表される第2の有機化合物を挙げることができる。
一般式(G20)中、R201乃至R214は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5乃至7の単環式飽和炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数7乃至10の多環式飽和炭化水素基、置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基、又は置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が3乃至20のヘテロアリール基を表す。また、A200およびA201は、各々独立に、置換または無置換のトリフェニレニル基、置換または無置換のフェナントリル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、および置換または無置換のターフェニル基のいずれかであり、かつ、A200およびA201の少なくとも一は、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換のフェナントリル基、および置換または無置換のトリフェニレニル基のいずれかである。
また、アシスト材料として用いることのできる材料として、一般式(G21)で表される第2の有機化合物を挙げることができる。
上記一般式(G21)中、A200およびA201は、それぞれ独立に、無置換のトリフェニレニル基、無置換のフェナントリル基、無置換のβ-ナフチル基、無置換のフェニル基、無置換のビフェニル基、および無置換のターフェニル基のいずれかであり、かつA200およびA201の少なくとも一は、無置換のβ-ナフチル基、または、無置換のトリフェニレニル基である。
なお一般式(G20)において用いることのできる炭素数1乃至6のアルキル基、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基、炭素数5乃至7の単環式飽和炭化水素基、および炭素数7乃至10の多環式飽和炭化水素基の具体例は、それぞれ、上述の有機金属錯体または第1の有機化合物において用いることのできる炭素数1乃至6のアルキル基、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基、炭素数5乃至7の単環式飽和炭化水素基、および炭素数7乃至10の多環式飽和炭化水素基の具体例と同様である。
また、一般式(G20)において用いることのできる環を形成する炭素の数が3乃至20のヘテロアリール基の具体例としては、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾナフトフラニル基、ベンゾナフトチオフェニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、インデノカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基などが挙げられる。なお、これらの基は、重水素置換されていてもよい。
なお、一般式(G20)において、炭素数5乃至7の単環式飽和炭化水素基、炭素数7乃至10の多環式飽和炭化水素基、環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基、環を形成する炭素の数が3乃至20のヘテロアリール基、トリフェニレニル基、フェナントリル基、ナフチル基、フェニル基、ビフェニル基、またはターフェニル基が置換基を有する場合、当該置換基の具体例としては、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基などが挙げられる。なお、これらの基は、重水素置換されていてもよい。
上記一般式(G20)および(G21)で表される有機化合物の具体例を以下に示す。
なお、アシスト材料として用いることのできる第2の有機化合物はこれに限定されず、実施の形態2にて後述するホスト材料に用いることのできる材料を用いてもよい。
以上が、発光デバイス100の発光層についての説明である。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した発光デバイスのその他の構成について、図1(A)乃至図1(E)を用いて説明する。
≪発光デバイスの基本的な構造≫
発光デバイスの基本的な構造について説明する。図1(A)には、実施の形態1で説明したとおり、一対の電極間に発光層を含むEL層を有する発光デバイスを示す。
図1(B)には、一対の電極間に複数(図1(B)では、2層)のEL層(103a、103b)を設け、複数のEL層の間に電荷発生層106を設けることにより、複数のEL層が一対の電極間に積層された構造(タンデム構造ともいう)を有する発光デバイスを示す。タンデム構造の発光デバイスは、電流量を変えることなく高効率な発光装置を実現することができる。
電荷発生層106は、第1の電極101と第2の電極102の間に電位差を生じさせたときに、一方のEL層(103aまたは103b)に電子を注入し、他方のEL層(103bまたは103a)に正孔を注入する機能を有する。従って、図1(B)において、第1の電極101に、第2の電極102よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層106からEL層103aに電子が注入され、EL層103bに正孔が注入されることとなる。
なお、電荷発生層106は、光の取り出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する(具体的には、電荷発生層106に対する可視光の透過率が、40%以上)ことが好ましい。また、電荷発生層106は、第1の電極101および第2の電極102よりも低い導電率であっても機能する。
また、図1(C)には、発光デバイスにおけるEL層103の積層構造を示す。但し、この場合、第1の電極101は陽極として、第2の電極102は陰極として機能するものとする。EL層103は、第1の電極101上に、正孔(ホール)注入層111、正孔(ホール)輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115が順次積層された構造を有する。なお、第1の電極101を陰極として、第2の電極102を陽極としてもよい。その場合は、EL層103の積層順を逆とするのが好ましく、具体的には、陰極である第1の電極101上の111が電子注入層、112が電子輸送層、113が発光層、114が正孔(ホール)輸送層、115が正孔(ホール)注入層、という構成とするのが好ましい。
発光層113は、発光物質、および複数の物質を適宜組み合わせて有しており、所望の発光色を呈する蛍光発光、または燐光発光が得られる構成とすることができる。本発明の一態様の発光デバイスの有する発光層に、実施の形態1で示した発光層の構成を用いることが好ましい。
なお、発光層113は、発光色の異なる発光層を複数積層した構成であっても良い。発光層を複数有する場合には、各発光層に異なる発光物質を用いることにより異なる発光色を呈する構成(例えば、補色の関係にある発光色を組み合わせて得られる白色発光)とすることができる。例えば、赤色を発光する発光物質を含む発光層と、緑色を発光する発光物質を含む発光層と、青色を発光する発光物質を含む発光層とが積層、またはキャリア輸送性材料を有する層を介して積層された構造であっても良い。または、黄色を発光する発光物質を含む発光層と、青色を発光する発光物質を含む発光層との組み合わせであっても良い。なお、この場合、積層された各発光層に用いる発光物質およびその他の物質は、それぞれ異なる組み合わせとすればよい。また、図1(B)に示す複数のEL層(103a、103b)から、それぞれ異なる発光色が得られる構成としても良い。この場合も各発光層に用いる発光物質およびその他の物質を異なる組み合わせとすればよい。
ただし、発光層113の積層構造は上記に限定されない。例えば、発光層113は、発光色の同じ発光層を複数積層した構成であっても良い。例えば、青色を発光する発光物質を含む第1の発光層と、青色を発光する発光物質を含む第2の発光層とが積層、またはキャリア輸送性材料を有する層を介して積層された構造であっても良い。また、図1(B)に示す複数のEL層(103a、103b)から、同じ発光色が得られる構成としても良い。発光色の同じ発光層を複数積層した構成の場合、単層の構成よりも信頼性を高めることができる場合がある。
発光層113が、複数の発光層を積層した構成である場合、少なくとも、複数の発光層のうちの一に、実施の形態1で示した発光層の構成を用いることが好ましい。
また、発光デバイスにおいて、例えば、図1(C)に示す第1の電極101を反射電極とし、第2の電極102を半透過・半反射電極とし、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造とすることにより、EL層103に含まれる発光層113から得られる発光を両電極間で共振させ、第2の電極102から射出される発光を強めることができる。
なお、発光デバイスの第1の電極101が、反射性を有する導電性材料と透光性を有する導電性材料(透明導電膜)との積層構造からなる反射電極である場合、透明導電膜の膜厚を制御することにより光学調整を行うことができる。具体的には、発光層113から得られる光の波長λに対して、第1の電極101と、第2の電極102との電極間の光学距離(膜厚と屈折率の積)がmλ/2(ただし、mは1以上の整数)またはその近傍となるように調整することが好ましい。
また、発光層113から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、第1の電極101から発光層113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、第2の電極102から発光層113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ(2m’+1)λ/4(ただし、m’は1以上の整数)またはその近傍となるように調節するのが好ましい。なお、ここでいう発光領域とは、発光層113における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
このような光学調整を行うことにより、発光層113から得られる特定の単色光のスペクトルを狭線化させ、色純度の良い発光を得ることができる。
但し、上記の場合、第1の電極101と第2の電極102との光学距離は、厳密には第1の電極101における反射領域から第2の電極102における反射領域までの総厚ということができる。しかし、第1の電極101および第2の電極102における反射領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極101と第2の電極102の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。また、第1の電極101と、所望の光が得られる発光層との光学距離は、厳密には第1の電極101における反射領域と、所望の光が得られる発光層における発光領域との光学距離であるということができる。しかし、第1の電極101における反射領域、および所望の光が得られる発光層における発光領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極101の任意の位置を反射領域、所望の光が得られる発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
図1(D)には、タンデム構造の発光デバイスにおけるEL層(103a、103b)の積層構造を示す。但し、この場合、第1の電極101は陽極として、第2の電極102は陰極として機能するものとする。EL層103aは、第1の電極101上に、正孔(ホール)注入層111a、正孔(ホール)輸送層112a、発光層113a、電子輸送層114a、電子注入層115aが順次積層された構造を有する。EL層103bは、電荷発生層106上に、正孔(ホール)注入層111b、正孔(ホール)輸送層112b、発光層113b、電子輸送層114b、電子注入層115bが順次積層された構造を有する。なお、第1の電極101を陰極として、第2の電極102を陽極としてもよく、その場合は、EL層103の積層順を逆とするのが好ましい。
例えば、図1(D)に示す発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有する場合は、第1の電極101を反射電極として形成し、第2の電極102を半透過・半反射電極として形成する。従って、所望の電極材料を単数または複数用い、単層または積層して形成することができる。なお、第2の電極102は、EL層103bを形成した後、適宜材料を選択して形成する。
図1(D)に示す発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有する構成であり、かつ、各EL層(103a、103b)にそれぞれ発光色の異なる発光層を用いた場合、マイクロキャビティ構造によって、いずれかの発光層に由来する所望の波長の光(単色光)を取り出すことができる。このような発光デバイスを発光装置に用い、画素ごとに異なる波長の光を取り出せるようにマイクロキャビティ構造を調節することによって、画素ごとに異なる発光色を得るための塗り分け(例えば、RGB)が不要となる。従って、高精細化を実現することが容易である。また、着色層(カラーフィルタ)との組み合わせも可能である。さらに、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。
図1(E)に示す発光デバイスは、図1(B)に示したタンデム構造の発光デバイスの一例であり、図に示すように、3つのEL層(103a、103b、103c)が電荷発生層(106a、106b)を挟んで積層される構造を有する。なお、3つのEL層(103a、103b、103c)は、それぞれに発光層(113a、113b、113c)を有しており、各発光層の発光色は、自由に組み合わせることができる。例えば、発光層113aを青色、発光層113bを赤色、緑色、または黄色のいずれか、発光層113cを青色とすることができるが、発光層113aを赤色、発光層113bを青色、緑色、または黄色のいずれか、発光層113cを赤色とすることもできる。
なお、上述した本発明の一態様である発光デバイスにおいて、第1の電極101と第2の電極102の少なくとも一方は、透光性を有する電極(透明電極、半透過・半反射電極など)とする。透光性を有する電極が透明電極の場合、透明電極の可視光の透過率は、40%以上とする。また、半透過・半反射電極の場合、半透過・半反射電極の可視光の反射率は、20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下とする。また、これらの電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
また、上述した本発明の一態様である発光デバイスにおいて、第1の電極101と第2の電極102の一方が、反射性を有する電極(反射電極)である場合、反射性を有する電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、この電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
≪発光デバイスの具体的な構造≫
次に、本発明の一態様である発光デバイスの具体的な構造を、各層の構成について説明する。なお、各層の説明においては、簡略化のため符号を省略する場合がある。
<第1の電極および第2の電極>
第1の電極および第2の電極を形成する材料としては、上述した両電極の機能が満たせるのであれば、以下に示す材料を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを適宜用いることができる。具体的には、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、In-Zn酸化物、In-W-Zn酸化物が挙げられる。その他、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)などの金属、およびこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。その他、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)などの希土類金属およびこれらを適宜組み合わせて含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。
図1(D)に示す発光デバイスにおいて、第1の電極101が陽極である場合、第1の電極101上にEL層103aの正孔注入層111aおよび正孔輸送層112aが真空蒸着法により順次積層形成される。EL層103aおよび電荷発生層106が形成された後、電荷発生層106上にEL層103bの正孔注入層111bおよび正孔輸送層112bが同様に順次積層形成される。
<正孔注入層>
正孔注入層は、陽極である第1の電極および電荷発生層からEL層に正孔(ホール)を注入する層であり、有機アクセプタ材料および正孔注入性の高い材料を含む層である。
有機アクセプタ材料は、そのLUMO準位の値とHOMO準位の値が近い他の有機化合物との間で電荷分離させることにより、当該有機化合物に正孔(ホール)を発生させることができる材料である。従って、有機アクセプタ材料としては、キノジメタン誘導体、クロラニル誘導体、およびヘキサアザトリフェニレン誘導体などの電子吸引基(ハロゲン基またはシアノ基)を有する化合物を用いることができる。例えば、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F-TCNQ)、3,6-ジフルオロ-2,5,7,7,8,8-ヘキサシアノキノジメタン、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテトラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F-TCNNQ)、2-(7-ジシアノメチレン-1,3,4,5,6,8,9,10-オクタフルオロ-7H-ピレン-2-イリデン)マロノニトリル等を用いることができる。なお、有機アクセプタ材料の中でも特にHAT-CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物は、アクセプタ性が高く、熱に対して膜質が安定であるため好適である。その他にも、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基またはシアノ基)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的にはα,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,6-ジクロロ-3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]などを用いることができる。
また、正孔注入性の高い材料としては、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物(モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物等)を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが挙げられる。上記の中でも、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。この他、フタロシアニン(略称:HPc)または銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、等を用いることができる。
また、上記材料に加えて低分子化合物である、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス[4-ビス(3-メチルフェニル)アミノフェニル]-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物、等を用いることができる。
また、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)である、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等を用いることができる。または、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(略称:PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリスチレンスルホン酸(略称:PAni/PSS)等の酸を添加した高分子系化合物、等を用いることもできる。
また、正孔注入性の高い材料としては、正孔輸送性材料と、上述した有機アクセプタ材料(電子受容性材料)を含む混合材料を用いることもできる。この場合、有機アクセプタ材料により正孔輸送性材料から電子が引き抜かれて正孔注入層111で正孔が発生し、正孔輸送層112を介して発光層113に正孔が注入される。なお、正孔注入層111は、正孔輸送性材料と有機アクセプタ材料(電子受容性材料)を含む混合材料からなる単層で形成しても良いが、正孔輸送性材料と有機アクセプタ材料(電子受容性材料)とをそれぞれ別の層で積層して形成しても良い。
なお、正孔輸送性材料としては、電界強度[V/cm]の平方根が600における正孔移動度が、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
また、正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香環を有する化合物(例えばカルバゾール誘導体、フラン誘導体、またはチオフェン誘導体)、および芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する有機化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。実施の形態1の化合物は正孔輸送性を有するため、正孔輸送性材料として用いることもできる。
なお、上記カルバゾール誘導体(カルバゾール環を有する有機化合物)としては、ビカルバゾール誘導体(例えば、3,3’-ビカルバゾール誘導体)、カルバゾリル基を有する芳香族アミン等が挙げられる。
また、上記ビカルバゾール誘導体(例えば、3,3’-ビカルバゾール誘導体)としては、具体的には、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、9,9’-ビス(ビフェニル-4-イル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:BisBPCz)、9,9’-ビス(ビフェニル-3-イル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:BismBPCz)、9-(ビフェニル-3-イル)-9’-(ビフェニル-4-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:mBPCCBP)、9-(2-ナフチル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:βNCCP)などが挙げられる。
また、上記カルバゾリル基を有する芳香族アミンとしては、具体的には、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(略称:PCBFF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-アミン、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-アミン、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-4-アミン、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9’-スピロビ(9H-フルオレン)-2-アミン、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9’-スピロビ(9H-フルオレン)-4-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-(1,1’:3’,1’’-ターフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-(1,1’:4’,1’’-ターフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-(1,1’:3’,1’’-ターフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-(1,1’:4’,1’’-ターフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-アミン、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、4-フェニルジフェニル-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)アミン(略称:PCA1BP)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’,N’’-トリフェニル-N,N’,N’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)ベンゼン-1,3,5-トリアミン(略称:PCA3B)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:PCBASF)、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、3-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、2-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:PCASF)、N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-(4-フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N’-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9-ジメチルフルオレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などが挙げられる。
なお、カルバゾール誘導体としては、上記に加えて、9-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-フェニル]フェナントレン(略称:PCPPn)、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)等が挙げられる。
また、上記フラン誘導体(フラン環を有する有機化合物)としては、具体的には、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)等が挙げられる。
また、上記チオフェン誘導体(チオフェン環を有する有機化合物)としては、具体的には、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)などが挙げられる。
また、上記芳香族アミンとしては、具体的には、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:TPD)、N,N’-ビス(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-N-{9,9-ジメチル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H-フルオレン-7-イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、2-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPASF)、2,7-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPA2SF)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’-TNATA)、TDATA、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:m-MTDATA)、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、DPAB、DNTPD、DPA3B、N-(4-ビフェニル)-6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BnfABP)、N,N-ビス(4-ビフェニル)-6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf)、4,4’-ビス(6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-イル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:BnfBB1BP)、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-6-アミン(略称:BBABnf(6))、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf(8))、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン-4-アミン(略称:BBABnf(II)(4))、N,N-ビス[4-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-4-アミノ-p-ターフェニル(略称:DBfBB1TP)、N-[4-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-N-フェニル-4-ビフェニルアミン(略称:ThBA1BP)、4-(2-ナフチル)-4’,4’’-ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNB)、4-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’,4’’-ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNBi)、4,4’-ジフェニル-4’’-(6;1’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7;1’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7-フェニル)ナフチル-2-イルトリフェニルアミン(略称:BBAPβNB-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(6;2’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7;2’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(4;2’-ビナフチル-1-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB)、4,4’-ジフェニル-4’’-(5;2’-ビナフチル-1-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB-02)、4-(4-ビフェニリル)-4’-(2-ナフチル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNB)、4-(3-ビフェニリル)-4’-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:mTPBiAβNBi)、4-(4-ビフェニリル)-4’-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNBi)、4-フェニル-4’-(1-ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBA1BP)、4,4’-ビス(1-ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBB1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-[4’-(カルバゾール-9-イル)ビフェニル-4-イル]トリフェニルアミン(略称:YGTBi1BP)、4’-[4-(3-フェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]トリス(ビフェニル-4-イル)アミン(略称:YGTBi1BP-02)、4-[4’-(カルバゾール-9-イル)ビフェニル-4-イル]-4’-(2-ナフチル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:YGTBiβNB)、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:PCBNBSF)、N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:BBASF)、N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-4-アミン(略称:BBASF(4))、N-(ビフェニル-2-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-4-アミン(略称:oFBiSF)、N-(ビフェニル-4-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ジベンゾフラン-4-アミン(略称:FrBiF)、N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-N-[3-(6-フェニルジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-1-ナフチルアミン(略称:mPDBfBNBN)、4-フェニル-4’-[4-(9-フェニルフルオレン-9-イル)フェニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-4-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-3-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-2-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-1-アミン、等が挙げられる。
その他にも、正孔輸送性材料として、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)である、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly-TPD等を用いることができる。または、PEDOT/PSS、PAni/PSS等の酸を添加した高分子系化合物、等を用いることもできる。
但し、正孔輸送性材料は、上記に限られることなく公知の様々な材料を1種または複数種組み合わせて正孔輸送性材料として用いてもよい。
なお、正孔注入層は、公知の様々な成膜方法を用いて形成することができるが、例えば、真空蒸着法を用いて形成することができる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層は、正孔注入層によって、第1の電極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。なお、正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。従って、正孔輸送層には、正孔注入層に用いることができる正孔輸送性材料を用いることができる。また、正孔輸送層は、単層でも機能するが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、2層の正孔輸送層のうち、発光層に接する層が電子ブロック層としての機能を兼ねていてもよい。
なお、本発明の一態様である発光デバイスにおいて、正孔輸送層と同じ有機化合物を発光層に用いることができる。正孔輸送層と発光層に同じ有機化合物を用いると、正孔輸送層から発光層への正孔の輸送が効率よく行えるため、より好ましい。
<発光層>
発光層は、発光物質を含む層である。なお、発光層に用いることができる発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いることができる。なお、一つの発光層が異なる発光物質を有する積層構造としてもよい。少なくとも一の発光層に、実施の形態1で示した発光層の構成を用いることが好ましい。
また、発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料等)を有していても良い。
なお、発光層にホスト材料を複数用いる場合、新たに加える第2のホスト材料として、既存のゲスト材料および第1のホスト材料のエネルギーギャップよりも大きなエネルギーギャップを有する物質を用いるのが好ましい。また、第2のホスト材料の最低一重項励起エネルギー準位(S準位)は、第1のホスト材料のS準位よりも高く、第2のホスト材料の最低三重項励起エネルギー準位(T準位)は、ゲスト材料のT準位よりも高いことが好ましい。また、第2のホスト材料の最低三重項励起エネルギー準位(T準位)は、第1のホスト材料のT準位よりも高いことが好ましい。このような構成とすることにより、2種類のホスト材料による励起錯体(エキサイプレックス、エキシプレックスまたはExciplexともいう)を形成することができる。なお、効率よく励起錯体を形成するためには、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。また、この構成により、高効率、低電圧、長寿命を同時に実現することができる。
なお、上記のホスト材料(第1のホスト材料および第2のホスト材料を含む)として用いる有機化合物としては、発光層に用いるホスト材料としての条件を満たせば、前述の正孔輸送層に用いることができる正孔輸送性材料、または後述の電子輸送層に用いることができる電子輸送性材料、等の有機化合物が挙げられ、複数種の有機化合物(上記、第1のホスト材料および第2のホスト材料)からなる励起錯体であっても良い。なお、複数種の有機化合物で励起状態を形成する励起錯体は、S準位とT準位との差が極めて小さく、三重項励起エネルギーを一重項励起エネルギーに変換することが可能なTADF材料としての機能を有する。また、励起錯体を形成する複数種の有機化合物の組み合わせとしては、例えば一方がπ電子不足型複素芳香環を有し、他方がπ電子過剰型複素芳香環を有すると好ましい。なお、励起錯体を形成する組み合わせとして、一方にイリジウム、ロジウム、または白金系の有機金属錯体、あるいは金属錯体等の燐光発光物質を用いても良い。実施の形態1で説明した有機化合物は、電子輸送性を有するため第1のホスト材料として有効に利用することができる。また、正孔輸送性を有するため第2のホスト材料としても利用することができる。
発光層に用いることができる発光物質として、特に限定は無く、一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質、または三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質を用いることができる。
≪一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質≫
発光層に用いることのできる、一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、以下に示す蛍光を発する物質(蛍光発光物質)が挙げられる。例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。特にピレン誘導体は発光量子収率が高いので好ましい。ピレン誘導体の具体例としては、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾフラン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FrAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾチオフェン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6ThAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-6-アミン](略称:1,6BnfAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-02)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-03)などが挙げられる。
また、一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質として、5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPBA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(略称:TBP)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス(N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン)(略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)等を用いることができる。
また、一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質として、N-[9,10-ビス(ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCABPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N-[9,10-ビス(ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10-ビス(ビフェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリフェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12-ビス(ビフェニル-4-イル)-6,11-ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2-(2-{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2-{2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p-mPhAFD)、2-{2-イソプロピル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2-{2-tert-ブチル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2-(2,6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2-{2,6-ビス[2-(8-メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、1,6BnfAPrn-03、3,10-ビス[N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)、3,10-ビス[N-(ジベンゾフラン-3-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10FrA2Nbf(IV)-02)などが挙げられる。特に、1,6FLPAPrn、1,6mMemFLPAPrn、1,6BnfAPrn-03のようなピレンジアミン化合物、等を用いることができる。
≪三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質≫
次に、発光層113に用いることのできる、三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例えば、燐光を発する物質(燐光発光物質)、または熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。
燐光発光物質とは、低温(例えば77K)以上室温以下の温度範囲(すなわち、77K以上313K以下)のいずれかにおいて、燐光を呈し、且つ蛍光を呈さない化合物のことをいう。該燐光発光物質としては、スピン軌道相互作用の大きい金属元素を有すると好ましく、有機金属錯体、金属錯体(白金錯体)、希土類金属錯体等が挙げられる。具体的には遷移金属元素が好ましく、特に白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、Pd、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、またはPt)を有することが好ましく、中でもイリジウムを有することで、一重項基底状態と三重項励起状態との間の直接遷移に係わる遷移確率を高めることができ好ましい。
≪燐光発光物質(450nm以上570nm以下:青色または緑色)≫
青色または緑色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が450nm以上570nm以下である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。
例えば、トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp)])、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)])、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz-3b)])、トリス[3-(5-ビフェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPr5btz)])、のような4H-トリアゾール環を有する有機金属錯体、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1-mp)])、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1-Me)])のような1H-トリアゾール環を有する有機金属錯体、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpim)])、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt-Me)])のようなイミダゾール環を有する有機金属錯体、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CFppy)(pic)])、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のように電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体等が挙げられる。
≪燐光発光物質(495nm以上590nm以下:緑色または黄色)≫
緑色または黄色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm以下である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。
例えば、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)])、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6-(2-ノルボルニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス{4,6-ジメチル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN3]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(dmppm-dmp)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)(acac)])のようなピリミジン環を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-iPr)(acac)])のようなピラジン環を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)])、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)])、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)])、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)(acac)])、ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC][2-(4-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)(4dppy)])、ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC][2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]、[2-d-メチル-8-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(5-d-メチル-2-ピリジニル-κN2)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(5mppy-d(mbfpypy-d))、{2-(メチル-d)-8-[4-(1-メチルエチル-1-d)-2-ピリジニル-κN]ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-イル-κC}ビス{5-(メチル-d)-2-[5-(メチル-d)-2-ピリジニル-κN]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(5mtpy-d(mbfpypy-iPr-d))、[2-d-メチル-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)(mbfpypy-d))、[2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)(mdppy))のようなピリジン環を有する有機金属イリジウム錯体、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(dpo)(acac)])、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(p-PF-ph)(acac)])、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bt)(acac)])などの有機金属錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
≪燐光発光物質(570nm以上750nm以下:黄色または赤色)≫
黄色または赤色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が570nm以上750nm以下である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。
例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)(dibm)])、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)(dpm)])、(ジピバロイルメタナト)ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)(dpm)])のようなピリミジン環を有する有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(acac)])、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(dpm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-5-フェニル-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-P)(dibm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シアノ-2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmCP)(dpm)])、ビス{2-[5-(2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]-4,6-ジメチルフェニル-κC}(2,2’,6,6’-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmp)(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス(2-メチル-3-フェニルキノキサリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(mpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3-ジフェニルキノキサリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dpq)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)(acac)])のようなピラジン環を有する有機金属錯体、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)])、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)(acac)])、およびビス[4,6-ジメチル-2-(2-キノリニル-κN)フェニル-κC](2,4-ペンタンジオナト-κO,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpqn)(acac)])のようなピリジン環を有する有機金属錯体、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:[PtOEP])のような白金錯体、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)(Phen)])、およびトリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
≪TADF材料≫
また、TADF材料としては、以下に示す材料を用いることができる。TADF材料とは、S準位とT準位との差が小さく(好ましくは、0.2eV以下)、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位のエネルギー差が0eV以上0.2eV以下、好ましくは0eV以上0.1eV以下であることが挙げられる。また、TADF材料における遅延蛍光とは、通常の蛍光と同様のスペクトルを持ちながら、寿命が著しく長い発光をいう。その寿命は、1×10-6秒以上、または1×10-3秒以上である。また、実施の形態1で説明した有機化合物を用いることができる。
なお、TADF材料は、電子輸送性材料、正孔輸送性材料、ホスト材料として用いることもできる。
TADF材料としては、例えば、フラーレン、およびその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、Zn、カドミウム(Cd)、Sn、Pt、In、もしくはPd等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(略称:PtClOEP)等が挙げられる。
その他にも、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)、4-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4PCCzBfpm)、4-[4-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4PCCzPBfpm)、9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)等のπ電子過剰型複素芳香族化合物及びπ電子不足型複素芳香族化合物を有する複素芳香族化合物を用いてもよい。
なお、π電子過剰型複素芳香族化合物とπ電子不足型複素芳香族化合物とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香族化合物のドナー性とπ電子不足型複素芳香族化合物のアクセプタ性が共に強くなり、一重項励起状態と三重項励起状態のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。また、TADF材料として、一重項励起状態と三重項励起状態間が熱平衡状態にあるTADF材料(TADF100)を用いてもよい。このようなTADF材料は発光寿命(励起寿命)が短くなるため、発光素子における高輝度領域での効率低下を抑制することができる。
また、上記の他に、三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する材料としては、ペロブスカイト構造を有する遷移金属化合物のナノ構造体が挙げられる。特に金属ハロゲンペロブスカイト類のナノ構造体がこのましい。該ナノ構造体としては、ナノ粒子、ナノロッドが好ましい。
発光層において、上述した発光物質(ゲスト材料)と組み合わせて用いる有機化合物(ホスト材料等)としては、発光物質(ゲスト材料)のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。
≪蛍光発光用ホスト材料≫
発光層に用いる発光物質が蛍光発光物質である場合、組み合わせる有機化合物(ホスト材料)として、一重項励起状態のエネルギー準位が大きく、三重項励起状態のエネルギー準位が小さい有機化合物、または蛍光量子収率が高い有機化合物を用いるのが好ましい。したがって、このような条件を満たす有機化合物であれば、本実施の形態で示す、正孔輸送性材料(前述)および電子輸送性材料(後述)等を用いることができる。また、実施の形態1で説明した有機化合物を用いることができる。
一部上述した具体例と重複するが、発光物質(蛍光発光物質)との好ましい組み合わせという観点から、有機化合物(ホスト材料)としては、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられる。
なお、蛍光発光物質と組み合わせて用いることが好ましい有機化合物(ホスト材料)の具体例としては、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、PCPN、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、YGAPA、PCAPA、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、CzPA、7-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6-[3-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9-フェニル-10-[4’-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)ビフェニル-4-イル]アントラセン(略称:FLPPA)、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9-(1-ナフチル)-10-(2-ナフチル)アントラセン(略称:α,β-ADN)、2-(10-フェニルアントラセン-9-イル)ジベンゾフラン、2-(10-フェニル-9-アントラセニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン(略称:Bnf(II)PhA)、9-(1-ナフチル)-10-[4-(2-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN-βNPAnth)、2,9-ジ(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-αNPhA)、9-(1-ナフチル)-10-[3-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN-mαNPAnth)、9-(2-ナフチル)-10-[3-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:βN-mαNPAnth)、9-(1-ナフチル)-10-[4-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN-αNPAnth)、9-(2-ナフチル)-10-[4-(2-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:βN-βNPAnth)、2-(1-ナフチル)-9-(2-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-βNPhA)、9-(2-ナフチル)-10-[3-(2-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:βN-mβNPAnth)、1-{4-[10-(ビフェニル-4-イル)-9-アントラセニル]フェニル}-2-エチル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:EtBImPBPhA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5-トリ(1-ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)、5,12-ジフェニルテトラセン、5,12-ビス(ビフェニル-2-イル)テトラセンなどが挙げられる。
≪燐光発光用ホスト材料≫
また、発光層に用いる発光物質が燐光発光物質である場合、組み合わせる有機化合物(ホスト材料)として、発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい有機化合物を選択すれば良い。なお、励起錯体を形成させるべく複数の有機化合物(例えば、第1のホスト材料、および第2のホスト材料(またはアシスト材料)等)を発光物質と組み合わせて用いる場合は、これらの複数の有機化合物を燐光発光物質と混合して用いることが好ましい。また、実施の形態1で説明した有機化合物を用いることができる。
このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。なお、複数の有機化合物の組み合わせとしては、励起錯体が形成しやすいものが良く、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。
なお、一部上述した具体例と重複するが、発光物質(燐光発光物質)との好ましい組み合わせという観点から、有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)としては、芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する有機化合物)、カルバゾール誘導体(カルバゾール環を有する有機化合物)、ジベンゾチオフェン誘導体(ジベンゾチオフェン環を有する有機化合物)、ジベンゾフラン誘導体(ジベンゾフラン環を有する有機化合物)、オキサジアゾール誘導体(オキサジアゾール環を有する有機化合物)、トリアゾール誘導体(トリアゾール環を有する有機化合物)、ベンゾイミダゾール誘導体(ベンゾイミダゾール環を有する有機化合物)、キノキサリン誘導体(キノキサリン環を有する有機化合物)、ジベンゾキノキサリン誘導体(ジベンゾキノキサリン環を有する有機化合物)、ピリミジン誘導体(ピリミジン環を有する有機化合物)、トリアジン誘導体(トリアジン環を有する有機化合物)、ピリジン誘導体(ピリジン環を有する有機化合物)、ビピリジン誘導体(ビピリジン環を有する有機化合物)、フェナントロリン誘導体(フェナントロリン環を有する有機化合物)、フロジアジン誘導体(フロジアジン環を有する有機化合物)、亜鉛およびアルミニウム系の金属錯体、等が挙げられる。
なお、上記の有機化合物のうち、正孔輸送性の高い有機化合物である、芳香族アミン、およびカルバゾール誘導体の具体例としては、上述した正孔輸送性材料の具体例と同じものが挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
また、上記の有機化合物のうち、正孔輸送性の高い有機化合物である、ジベンゾチオフェン誘導体、およびジベンゾフラン誘導体の具体例としては、mmDBFFLBi-II、DBF3P-II、DBT3P-II、DBTFLP-III、DBTFLP-IV、4-[3-(トリフェニレン-2-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPTp-II)等が挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
その他、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども好ましいホスト材料として挙げられる。
また、上記の有機化合物のうち、電子輸送性の高い有機化合物である、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キナゾリン誘導体、フェナントロリン誘導体等の具体例としては、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)、などのポリアゾール環を有する複素芳香環を含む有機化合物、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9-ジ(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBphen)、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)などのピリジン環を有する複素芳香環を含む有機化合物、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)、2-{4-[9,10-ジ(2-ナフチル)-2-アントリル]フェニル}-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:ZADN)、2-[4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-3,1’-ビフェニル-1-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mpPCBPDBq)、等が挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
また、上記の有機化合物のうち、電子輸送性の高い有機化合物である、ピリジン誘導体、ジアジン誘導体(ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体を含む)、トリアジン誘導体、フロジアジン誘導体の具体例として、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、PCCzPTzn、mPCCzPTzn-02、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)、9,9’-[ピリミジン-4,6-ジイルビス(ビフェニル-3,3’-ジイル)]ビス(9H-カルバゾール)(略称:4,6mCzBP2Pm)、2-[3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mFBPTzn)、8-(ビフェニル-4-イル)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8BP-4mDBtPBfpm)、9-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr)、9-[(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-4-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9pmDBtBPNfpr)、11-[(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:11mDBtBPPnfpr)、11-[(3’-ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-4-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン、11-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン、12-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:12PCCzPnfpr)、9-[(3’-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9pmPCBPNfpr)、9-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9PCCzNfpr)、10-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:10PCCzNfpr)、9-[3’-(6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mBnfBPNfpr)、9-{3-[6-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)ジベンゾチオフェン-4-イル]フェニル}ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mFDBtPNfpr)、9-[3’-(6-フェニルジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr-02)、9-[3-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mPCCzPNfpr)、9-{(3’-[2,8-ジフェニルジベンゾチオフェン-4-イル]ビフェニル-3-イル}ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン、11-{(3’-[2,8-ジフェニルジベンゾチオフェン-4-イル]ビフェニル-3-イル}フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン、5-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-7,7-ジメチル-5H,7H-インデノ[2,1-b]カルバゾール(略称:mINc(II)PTzn)、2-[3’-(トリフェニレン-2-イル)ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mTpBPTzn)、2-(ビフェニル-4-イル)-4-フェニル-6-(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:BP-SFTzn)、2,6-ビス(4-ナフタレン-1-イルフェニル)-4-[4-(3-ピリジル)フェニル]ピリミジン(略称:2,4NP-6PyPPm)、3-[9-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-ジベンゾフラニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCDBfTzn)、2-(ビフェニル-3-イル)-4-フェニル-6-{8-[(1,1’:4’,1’’-ターフェニル)-4-イル]-1-ジベンゾフラニル}-1,3,5-トリアジン(略称:mBP-TPDBfTzn)、6-(ビフェニル-3-イル)-4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニルピリミジン(略称:6mBP-4Cz2PPm)、4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニル-6-(ビフェニル-4-イル)ピリミジン(略称:6BP-4Cz2PPm)、などのジアジン環を有する複素芳香環を含む有機化合物、などが挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
また、上記の有機化合物のうち、電子輸送性の高い有機化合物である、金属錯体の具体例としては、亜鉛系またはアルミニウム系の金属錯体である、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)の他、キノリン環またはベンゾキノリン環を有する金属錯体等が、挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
その他、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)のような高分子化合物などもホスト材料として好ましい。
さらに、正孔輸送性の高い有機化合物であり、かつ電子輸送性の高い有機化合物である、バイポーラ性の9-フェニル-9’-(4-フェニル-2-キナゾリニル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:PCCzQz)、2mpPCBPDBq、mINc(II)PTzn、11-[4-(ビフェニル-4-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル]-11,12-ジヒドロ-12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール(略称:BP-Icz(II)Tzn)、7-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)キナゾリン-2-イル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:PC-cgDBCzQz)などのジアジン環を有する有機化合物等をホスト材料として用いることもできる。
<電子輸送層>
電子輸送層は、後述する電子注入層によって第2の電極および電荷発生層から注入された電子を発光層に輸送する層である。電子輸送層に用いる材料は、電界強度[V/cm]の平方根が600における電子移動度が、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。また、電子輸送層は、単層でも機能するが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、2層の電子輸送層のうち、発光層に接する層が正孔ブロック層としての機能を兼ねていてもよい。また、電子輸送層が積層構造を有することで耐熱性を向上させることができる場合がある。なお、上記の混合材料は、耐熱性を有するため、これを用いた電子輸送層上でフォトリソ工程を行うことにより、熱工程によるデバイス特性への影響を抑制することができる。
≪電子輸送性材料≫
電子輸送層に用いることができる電子輸送性材料としては、電子輸送性の高い有機化合物を用いることができ、例えば複素芳香族化合物を用いることができる。なお、複素芳香族化合物とは、環の中に少なくとも2種類の異なる元素を含む環式化合物である。なお、環構造としては、3員環、4員環、5員環、6員環等が含まれるが、特に5員環、または、6員環が好ましく、含まれる元素としては、炭素の他に窒素、酸素、または硫黄などのいずれか一又は複数を含む複素芳香族化合物が好ましい。特に窒素を含む複素芳香族化合物(含窒素複素芳香族化合物)が好ましく、含窒素複素芳香族化合物、またはこれを含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料(電子輸送性材料)を用いることが好ましい。実施の形態1の化合物は電子輸送性を有するため、電子輸送性材料として用いることができる。
なお、この電子輸送性材料は、発光層に用いた材料とは異なる材料を用いることもできる。発光層でキャリアの再結合により生成した励起子は全てが発光に寄与できるとは限らず、発光層に接する、あるいは近傍に存在する層に拡散してしまうことがある。この現象を回避するためには、発光層に接する、あるいは近傍に存在する層に用いられる材料のエネルギー準位(最低一重項励起エネルギー準位または最低三重項励起エネルギー準位)が、発光層に用いられる材料よりも高いことが好ましい。従って、電子輸送性材料は、発光層に用いる材料と異なる材料を用いることで、効率の高い素子を得ることができる。
複素芳香族化合物は、少なくとも1つの複素芳香環を有する有機化合物である。
なお、複素芳香環は、ピリジン環、ジアジン環、トリアジン環、ポリアゾール環、オキサゾール環、またはチアゾール環等のいずれか一を有する。また、ジアジン環を有する複素芳香環には、ピリミジン環、ピラジン環、またはピリダジン環などを有する複素芳香環が含まれる。また、ポリアゾール環を有する複素芳香環には、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環を有する複素芳香環が含まれる。
また、複素芳香環は、縮環構造を有する縮合複素芳香環を含む。なお、縮合複素芳香環としては、キノリン環、ベンゾキノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、キナゾリン環、ベンゾキナゾリン環、ジベンゾキナゾリン環、フェナントロリン環、フロジアジン環、ベンゾイミダゾール環、などが挙げられる。
なお、例えば、炭素の他に窒素、酸素、または硫黄などのいずれか一又は複数を含む複素芳香族化合物のうち、5員環構造を有する複素芳香族化合物としては、イミダゾール環を有する複素芳香族化合物、トリアゾール環を有する複素芳香族化合物、オキサゾール環を有する複素芳香族化合物、オキサジアゾール環を有する複素芳香族化合物、チアゾール環を有する複素芳香族化合物、ベンゾイミダゾール環を有する複素芳香族化合物などが挙げられる。
また、例えば、炭素の他に窒素、酸素、または硫黄などのいずれか一又は複数を含む複素芳香族化合物のうち、6員環構造を有する複素芳香族化合物としては、ピリジン環、ジアジン環(ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環などを含む)、トリアジン環などの複素芳香環を有する複素芳香族化合物などが挙げられる。なお、ピリジン環が連結した構造である複素芳香族化合物に含まれるが、ビピリジン構造を有する複素芳香族化合物、ターピリジン構造を有する複素芳香族化合物などが挙げられる。
さらに、上記6員環構造を一部に含む縮環構造を有する複素芳香族化合物としては、キノリン環、ベンゾキノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、フェナントロリン環、フロジアジン環(フロジアジン環のフラン環に芳香環が縮合した構造を含む)、ベンゾイミダゾール環などの縮合複素芳香環を有する複素芳香族化合物、などが挙げられる。
上記、5員環構造(ポリアゾール環(イミダゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環を含む)、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾイミダゾール環など)を有する複素芳香族化合物の具体例としては、PBD、OXD-7、CO11、TAZ、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:p-EtTAZ)、TPBI、mDBTBIm-II、BzOSなどが挙げられる。
上記、6員環構造(ピリジン環、ジアジン環、トリアジン環などを有する複素芳香環を含む)を有する複素芳香族化合物の具体例としては、35DCzPPy、TmPyPBなどのピリジン環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、PCCzPTzn、mPCCzPTzn-02、mINc(II)PTzn、mTpBPTzn、BP-SFTzn、2,4NP-6PyPPm、PCDBfTzn、mBP-TPDBfTzn、2-{3-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mDBtBPTzn)、mFBPTznなどのトリアジン環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、4,6mPnP2Pm、4,6mDBTP2Pm-II、4,6mCzP2Pm、4,6mCzBP2Pm、6mBP-4Cz2PPm、6BP-4Cz2PPm、8-(ナフタレン-2-イル)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8βN-4mDBtPBfpm)、8BP-4mDBtPBfpm、9mDBtBPNfpr、9pmDBtBPNfpr、3,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ベンゾフロ[2,3-b]ピラジン(略称:3,8mDBtP2Bfpr)、4,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)、8-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8mDBtBPNfpm)、8-[(2,2’-ビナフタレン)-6-イル]-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8(βN2)-4mDBtPBfpm)などのジアジン(ピリミジン)環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、などが挙げられる。なお、上記複素芳香環を含む芳香族化合物には、縮合複素芳香環を有する複素芳香族化合物を含む。
その他にも、2,2’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(4-フェニルベンゾ[h]キナゾリン)(略称:2,6(P-Bqn)2Py)、2,2’-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)ビス(4-フェニルベンゾ[h]キナゾリン)(略称:6,6’(P-Bqn)2BPy)、2,2’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス{4-[4-(2-ナフチル)フェニル]-6-フェニルピリミジン}(略称:2,6(NP-PPm)2Py)、6mBP-4Cz2PPmなどのジアジン(ピリミジン)環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、2,4,6-トリス[3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル]-1,3,5-トリアジン(略称:TmPPPyTz)、2,4,6-トリス(2-ピリジル)-1,3,5-トリアジン(略称:2Py3Tz)、2-[3-(2,6-ジメチル-3-ピリジル)-5-(9-フェナントリル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mPn-mDMePyPTzn)、などのトリアジン環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、等が挙げられる。
上記、6員環構造を一部に含む縮環構造を有する複素芳香族化合物(縮環構造を有する複素芳香族化合物)の具体例としては、BPhen、バソキュプロイン(略称:BCP)、NBPhen、mPPhen2P、2,6(P-Bqn)2Py、2mDBTPDBq-II、2mDBTBPDBq-II、2mCzBPDBq、2CzPDBq-III、7mDBTPDBq-II、及び6mDBTPDBq-II、2mpPCBPDBq、などのキノキサリン環を有する複素芳香族化合物、等が挙げられる。
電子輸送層には、上記に示す複素芳香族化合物の他にも下記に示す金属錯体を用いることができる。トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、Almq、8-キノリノラト-リチウム(略称:Liq)、BeBq、BAlq、Znq等のキノリン環またはベンゾキノリン環を有する金属錯体、ZnPBO、ZnBTZ等のオキサゾール環またはチアゾール環を有する金属錯体等が挙げられる。
また、PPy、PF-Py、PF-BPyのような高分子化合物を電子輸送性材料として用いることもできる。
<電子注入層>
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。また、電子注入層は、第2の電極からの電子の注入効率を高めるための層であり、第2の電極に用いる材料の仕事関数の値と、電子注入層に用いる材料のLUMO準位の値とを比較した際、その差が小さい(0.5eV以下)材料を用いることが好ましい。従って、電子注入層には、リチウム、セシウム、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、Liq、2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPP)、2-(2-ピリジル)-3-ピリジノラトリチウム(略称:LiPPy)、4-フェニル-2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPPP)、リチウム酸化物(LiO)、炭酸セシウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物を用いることができる。また、Ybのような希土類金属またはフッ化エルビウム(ErF)のような希土類金属化合物を用いることができる。なお、電子注入層には、上記の材料を複数種混合して形成しても良いし、上記の材料のうち複数種を積層させて形成しても良い。例えば、電子注入層を電気抵抗が異なる層の積層等としても良い。また、電子注入層にエレクトライドを用いてもよい。エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。なお、上述した電子輸送層を構成する物質を用いることもできる。
また、電子注入層に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる混合材料を用いてもよい。このような混合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層に用いる電子輸送性材料(金属錯体および複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属および希土類金属が好ましく、Li、Cs、Mg、Ca、エルビウム(Er)、Yb等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。また、これらの材料を複数、積層して用いても良い。
その他にも、電子注入層に、有機化合物と金属とを混合してなる混合材料を用いても良い。なお、ここで用いる有機化合物としては、LUMO準位が-3.6eV以上-2.3eV以下であると好ましい。また、非共有電子対を有する材料が好ましい。
したがって、上記の混合材料に用いる有機化合物としては、電子輸送層に用いることができるとして上述した、複素芳香族化合物を金属と混合してなる混合材料を用いてもよい。複素芳香族化合物としては、5員環構造(イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、ベンゾイミダゾール環など)を有する複素芳香族化合物、6員環構造(ピリジン環、ジアジン環(ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環などを含む)、トリアジン環、ビピリジン環、ターピリジン環など)を有する複素芳香族化合物、6員環構造を一部に含む縮環構造(キノリン環、ベンゾキノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、フェナントロリン環など)を有する複素芳香族化合物などの非共有電子対を有する材料が好ましい。具体的な材料については、上述したので、ここでの説明は省略する。
また、上記の混合材料に用いる金属としては、周期表における第5族、第7族、第9族または第11族に属する遷移金属および第13族に属する材料を用いることが好ましく、例えば、Ag、Cu、Al、またはIn等が挙げられる。また、この時、有機化合物は、遷移金属との間で半占有軌道(SOMO)を形成する。
なお、例えば、図1(D)に示す発光デバイスにおいて、発光層113bから得られる光を増幅させる場合には、第2の電極102と、発光層113bとの光学距離が、発光層113bが呈する光の波長λの1/4未満となるように形成するのが好ましい。この場合、電子輸送層114bまたは電子注入層115bの膜厚を変えることにより、調整することができる。
<電荷発生層>
電荷発生層は、タンデム構造の発光デバイスにおいて第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加したときに、一方のEL層に電子を注入し、他方のEL層に正孔を注入する機能を有する。なお、電荷発生層は、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプタ)が添加された構成(P型層ともいう)であっても、電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された構成(電子注入バッファ層ともいう)であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。さらに、P型層と電子注入バッファ層との間に電子リレー層が設けられていても良い。なお、上述した材料を用いて電荷発生層を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
電荷発生層において、有機化合物である正孔輸送性材料に、電子受容体が添加された構成(P型層)とする場合、正孔輸送性材料としては、本実施の形態で示した材料を用いることができる。また、電子受容体としては、F-TCNQ、クロラニル等を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどが挙げられる。なお、上述したアクセプタ材料を用いても良い。また、P型層を構成する材料を混合してなる混合膜として用いても、それぞれの材料を含む単膜を積層しても良い。
また、電荷発生層において、電子輸送性材料に電子供与体が添加された構成(電子注入バッファ層)とする場合、電子輸送性材料としては、本実施の形態で示した材料を用いることができる。また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第2族、第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、Li、Cs、Mg、カルシウム(Ca)、Yb、In、酸化リチウム(LiO)、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
電荷発生層において、P型層と電子注入バッファ層との間に電子リレー層を設ける場合、電子リレー層は少なくとも電子輸送性を有する物質を含み、電子注入バッファ層とP型層との相互作用を防いで電子をスムーズに受け渡す機能を有する。電子リレー層に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位は、P型層におけるアクセプタ性物質のLUMO準位と、電荷発生層に接する電子輸送層に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位との間であることが好ましい。電子リレー層に用いられる電子輸送性を有する物質におけるLUMO準位の具体的なエネルギー準位は-5.0eV以上、好ましくは-5.0eV以上-3.0eV以下とするとよい。なお、電子リレー層に用いられる電子輸送性を有する物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
<キャップ層>
なお、図1(A)乃至図1(E)では図示しないが、発光デバイスの第2の電極102上にキャップ層を設けてもよい。キャップ層には、例えば、屈折率の高い材料を用いることができる。キャップ層を第2の電極102上に設けることによって、第2の電極102から射出される光の取り出し効率を向上させることができる。
キャップ層に用いることのできる材料の具体例として、5,5’-ジフェニル-2,2’-ジ-5H-[1]ベンゾチエノ[3,2-c]カルバゾール(略称:BisBTc)、DBT3P-II等が挙げられる。また、実施の形態1で説明した有機化合物を用いることができる。
<基板>
本実施の形態で示した発光デバイスは、様々な基板上に形成することができる。なお、基板の種類は、特定のものに限定されることはない。基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどが挙げられる。
なお、ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどが挙げられる。また、可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチック、アクリル樹脂等の合成樹脂、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、又は紙類などが挙げられる。
なお、本実施の形態で示す発光デバイスの作製には、蒸着法などの気相法、スピンコート法、およびインクジェット法などの液相法を用いることができる。蒸着法を用いる場合には、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)等を用いることができる。特に発光デバイスのEL層に含まれる様々な機能を有する層(正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、マイクロコンタクト法等)などの方法により形成することができる。
なお、上記塗布法、印刷法などの成膜方法を適用する場合において、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)、中分子化合物(低分子と高分子の中間領域の化合物:分子量400以上4000以下)、無機化合物(量子ドット材料等)等を用いることができる。なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。
本実施の形態で示す発光デバイスのEL層103を構成する各層(正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115)は、本実施の形態において示した材料に限られることはなく、それ以外の材料であっても各層の機能を満たせるものであれば組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書等において、「層」という用語と「膜」という用語は適宜入れ換えて用いることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置の具体的な構成例、および製造方法の一例について説明するため、受発光装置700について説明する。なお、受発光装置700は、発光デバイスと、受光デバイスとの両方を有する装置であり、受光デバイスを含む発光装置または発光デバイスを含む受光装置と呼称することもできる。また、受発光装置700は、電子機器などの表示部に適用可能であることから、表示パネルまたは表示装置ということもできる。
<受発光装置700の構成例>
図2(A)に示す受発光装置700は、第1の基板510上に設けられた機能層520上に形成された、発光デバイス550B、発光デバイス550G、発光デバイス550R、および受光デバイス550PSを有する。機能層520には、複数のトランジスタで構成されたゲートドライバおよびソースドライバなどの駆動回路の他、これらを電気的に接続する配線等が含まれる。これらの駆動回路は、例えば、発光デバイス550B、発光デバイス550G、発光デバイス550R、および受光デバイス550PSと、それぞれ電気的に接続され、これらを駆動することができる。また、受発光装置700は、機能層520および各デバイス(発光デバイスおよび受光デバイス)上に絶縁層705を備え、絶縁層705は、第2の基板770と機能層520とを貼り合わせる機能を有する。
発光デバイス550B、発光デバイス550G、および発光デバイス550Rは、実施の形態2で示したデバイス構造を有する。また、各発光デバイス間で、EL層103(図1(A)参照)の構成がそれぞれ異なり、例えば、EL層103Bの有する発光層105Bは青色の光、EL層103Gの有する発光層105Gは緑色の光、EL層103Rの有する発光層105Rは赤色の光、をそれぞれ射出することができる。
なお、本実施の形態では、各デバイス(複数の発光デバイスおよび受光デバイス)を、分離形成する場合について説明するが、発光デバイスのEL層の一部(ホール注入層、ホール輸送層、および電子輸送層)と受光デバイスの活性層の一部(ホール注入層、ホール輸送層、および電子輸送層)が、製造プロセスにおいて、同じ材料で同時に形成されてもよい。実施の形態8にて詳細に説明する。
なお、本明細書等において、各色の発光デバイス(例えば青(B)、緑(G)、及び赤(R))の発光層、および受光デバイスの受光層を作り分け、または塗り分ける構造をSBS(Side By Side)構造と呼ぶ場合がある。なお、図2(A)に示す受発光装置700において、発光デバイス550B、発光デバイス550G、発光デバイス550R、および受光デバイス550PSがこの順に並ぶが、本発明の一態様はこの構成に限られない。
図2(A)において、発光デバイス550Bは、電極551Bと、電極552と、電極551Bと電極552との間に挟まれたEL層103Bを有する。また、発光デバイス550Gは、電極551Gと、電極552と、電極551Gと電極552との間に挟まれたEL層103Gを有する。また、発光デバイス550Rは、電極551Rと、電極552と、電極551Rと電極552との間に挟まれたEL層103Rを有する。EL層(103B、103G、103R)は、発光層(105B、105G、105R)を含む複数の機能の異なる層からなる積層構造を有する。なお、発光デバイスの各層の具体的な構成は実施の形態2に示す通りである。
また、図2(A)において、受光デバイス550PSは、電極551PSと、電極552と、電極551PSと電極552との間に挟まれた受光層103PSを有する。受光層103PSは、活性層105PSを含む複数の機能の異なる層からなる積層構造を有する。なお、受光デバイスの具体的な構成は実施の形態8に示す通りである。
図2(A)では、EL層103Bが、ホール注入・輸送層104B、発光層105B、電子輸送層108B、および電子注入層109を有し、EL層103Gが、ホール注入・輸送層104G、発光層105G、電子輸送層108G、および電子注入層109を有し、EL層103Rが、ホール注入・輸送層104R、発光層105R、電子輸送層108R、および電子注入層109を有し、受光層103PSが、ホール注入・輸送層104PS、活性層105PS、電子輸送層108PS、および電子注入層109を有する場合について図示するが、本発明はこれに限らない。
なお、図2(A)において、電子注入層109および電極552は、各デバイス(発光デバイス550B、発光デバイス550G、発光デバイス550R、および受光デバイス550PS)間に共通する層(共通層)である。
以下、簡略化のため、発光デバイス550B、発光デバイス550G、および発光デバイス550Rをまとめて、発光デバイス550と呼び、電極551B、電極551G、および電極551Rをまとめて、電極551と呼び、EL層103B、EL層103G、およびEL層103Rをまとめて、EL層103と呼び、ホール注入・輸送層104B、ホール注入・輸送層104G、およびホール注入・輸送層104Rをまとめてホール注入・輸送層104と呼び、発光層105B、発光層105G、および発光層105Rをまとめて発光層105と呼び、電子輸送層108B、電子輸送層108G、および電子輸送層108Rをまとめて電子輸送層108と呼ぶ場合がある。
図2(A)に示すように、EL層103が有する層のうち、ホール注入・輸送層104、発光層105および電子輸送層108の側面(または、端部)および受光層103PSが有する層のうち、ホール注入・輸送層104PS、活性層105PS、および電子輸送層108PSの側面(または、端部)に絶縁層107が形成されていても良い。絶縁層107は、EL層103および受光層103PSの側面(または端部)に接して形成される。これにより、EL層103および受光層103PSの側面から内部への酸素、水分、またはこれらの構成元素の侵入を抑制することができる。なお、絶縁層107は、隣り合う発光デバイスのEL層103の一部、または受光デバイスの受光層103PSの一部の側面を連続的に覆う構造を有する。例えば、図2(A)において、発光デバイス550BのEL層103Bの一部と、発光デバイス550GのEL層103Gの一部の側面は、連続した絶縁層107により覆われている。
また、図2(A)に示すように、各デバイスの間には、それぞれ隔壁528が設けられる。ただし、各デバイスの共通層である電子注入層109および電極552は、隔壁528によって分断されることはなく、連続的に設けられる。そのため、隔壁528は、電子注入層109および絶縁層107に囲まれる領域に設けられるともいえる。また、隔壁528は、絶縁層107を介して、電極551、EL層103の一部(ホール注入・輸送層104、発光層105、および電子輸送層108)、および受光層103PSの一部(ホール注入・輸送層104、活性層105PS、および電子輸送層108)の側面(または端部)に位置する。
EL層103および受光層103PSにおいて、特に陽極と発光層、および陽極と活性層、との間に位置する正孔輸送領域に含まれる正孔注入層は、導電率が高いことが多いため、隣り合うデバイス間に共通する層として形成されると、クロストークの原因となる場合がある。したがって、本構成例で示すようにEL層103の一部(ホール注入・輸送層104、発光層105、および電子輸送層108)および受光層103PSの一部(ホール注入・輸送層104、活性層105PS、および電子輸送層108)の間を分離し、その間に絶縁層107および隔壁528を設けることにより、隣り合うデバイス間で生じるクロストークの発生を抑制することが可能となる。
また、隔壁528を設けることにより、隣接するデバイス間に形成された凹部を平坦化することも可能である。なお、凹部が平坦化されることでEL層103および受光層103PS上に形成される電子注入層109および電極552の断線を抑制することが可能である。
絶縁層107には、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、インジウムガリウム亜鉛酸化物、窒化シリコン、または窒化酸化シリコンなどを用いることができる。また、絶縁層107は、前述の材料を用いて積層して形成されていても良い。また、絶縁層107の形成には、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いることができるが、被覆性の良好なALD法がより好ましい。
隔壁528の形成に用いる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等の有機材料を適用することができる。また、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂などの有機材料を用いてもよい。また、フォトレジストなどの感光性の樹脂を用いることができる。なお、感光性の樹脂は、ポジ型の材料、またはネガ型の材料を用いることができる。
感光性の樹脂を用いることにより、露光及び現像の工程のみで隔壁528を作製することができる。また、ネガ型の感光性樹脂(例えばレジスト材料など)を用いて隔壁528を形成してもよい。また、隔壁528として、有機材料を有する絶縁層を用いる場合、可視光を吸収する材料を用いると好適である。隔壁528に可視光を吸収する材料を用いると、EL層からの発光を隔壁528により吸収することが可能となり、隣接するEL層および受光層に漏れうる光(迷光)を抑制することができる。したがって、表示品位の高い受発光装置を提供することができる。
また、隔壁528の上面の高さと、EL層103および受光層103PSのいずれかの上面の高さとの差は、例えば、隔壁528の厚さの0.5倍以下が好ましく、0.3倍以下がより好ましい。また、例えば、EL層103および受光層103PSのいずれかの上面が隔壁528の上面よりも高くなるように、隔壁528を設けてもよい。また、例えば、隔壁528の上面が、EL層103が有する発光層および受光層103PSが有する活性層の上面よりも高くなるように、隔壁528を設けてもよい。
1000ppiを超える高精細な受発光装置において、各デバイス間にクロストーク現象が発生すると、受発光装置の表示可能な色域が狭くなってしまう。1000ppiを超える高精細な受発光装置、好ましくは2000ppiを超える高精細な受発光装置、より好ましくは5000ppiを超える超高精細な受発光装置において、EL層103の一部(ホール注入・輸送層104、発光層105B、および電子輸送層108)および受光層103PSの一部(ホール注入・輸送層104、活性層105PS、および電子輸送層108)の間に、絶縁層107および隔壁528を設けることで、鮮やかな色彩を表示可能な受発光装置を提供できる。
また、図2(B)および図2(C)は、図2(A)の断面図中の一点鎖線Ya-Ybに対応する受発光装置700の上面概略図を示す。すなわち、各デバイスは、それぞれマトリクス状に配列している。なお、図2(B)は、X方向に同一の色の発光デバイスまたは受光デバイスが配列する、いわゆるストライプ配列を示している。また、図2(C)は、X方向に同一の色の発光デバイスまたは受光デバイスが配列されるが、画素ごとにパターンが形成された構成を示している。なお、発光デバイスの配列方法はこれに限られず、デルタ配列、ジグザグ配列などの配列方法を適用してもよいし、ペンタイル配列、ダイヤモンド配列等を用いることもできる。
なお、EL層103の一部(ホール注入・輸送層104、発光層105、および電子輸送層108)および受光層103PSの一部(ホール注入・輸送層104、活性層105PS、および電子輸送層108)の分離加工において、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成を行っているため、高精細な受発光装置(表示パネル)を作製することができる。なお、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成により加工されたEL層103の各層の端部(側面)および受光層103PSの各層の端部(側面)は、それぞれ概略同一表面を有する(または、概略同一平面上に位置する)形状となる。また、この時、各EL層および受光層間の間隙580の幅(SE)は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。
また、図2(D)は、図2(B)および図2(C)中の一点鎖線C1-C2に対応する断面概略図である。図2(D)には、接続電極551Cと電極552とが電気的に接続する接続部130を示している。接続部130では、接続電極551C上に電極552が接して設けられている。また、接続電極551Cの端部を覆って隔壁528が設けられている。
<受発光装置の製造方法の例>
図3(A)に示すように、電極551B、電極551G、電極551R、および電極551PSを形成する。例えば、第1の基板510上に形成された機能層520上に導電膜を形成し、フォトリソグラフィ法を用いて、所定の形状に加工する。
なお、導電膜の形成には、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、または熱CVD法などがある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
また、導電膜の加工には、上述したフォトリソグラフィ法以外に、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。また、メタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。一つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう一つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。なお、前者の方法を行う場合、レジスト塗布後の加熱(PAB:Pre Applied Bake)、および露光後の加熱(PEB:Post Exposure Bake)などの熱処理工程がある。本発明の一態様では、導電膜の加工だけでなく、EL層の形成に用いる薄膜(有機化合物からなる膜、または有機化合物を一部に含む膜)の加工にもリソグラフィー法を用いる。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線、KrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外(EUV:Extreme Ultra-violet)光またはX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に代えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
レジストマスクを用いた薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
次に、図3(B)に示すように、電極551B、電極551G、電極551R、および電極551PS上にホール注入・輸送層104B、発光層105B、および電子輸送層108Bを形成する。なお、ホール注入・輸送層104B、発光層105B、および電子輸送層108Bの形成には、例えば、真空蒸着法を用いることができる。さらに、電子輸送層108B上に犠牲層110Bを形成する。ホール注入・輸送層104B、発光層105B、および電子輸送層108Bの形成において、材料としては、実施の形態1および実施の形態2に示した材料を用いることができる。
なお、犠牲層110Bには、ホール注入・輸送層104B、発光層105B、および電子輸送層108Bのエッチング処理に対する耐性の高い膜、すなわちエッチングの選択比の大きい膜を用いることが好ましい。また、犠牲層110Bは、エッチングの選択比の異なる、第1の犠牲層と第2の犠牲層との積層構造であることが好ましい。また、犠牲層110Bは、EL層103Bへのダメージの少ないウェットエッチング法により除去可能な膜を用いることができる。ウェットエッチングに用いるエッチング材料としては、シュウ酸などを用いることができる。なお、本明細書等において、犠牲層をマスク層と呼称してもよい。
犠牲層110Bとしては、例えば、金属膜、合金膜、金属酸化物膜、半導体膜、無機絶縁膜などの無機膜を用いることができる。また、犠牲層110Bは、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、ALD法などの各種成膜方法により形成することができる。
犠牲層110Bとしては、例えば金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、及びタンタルなどの金属材料、または該金属材料を含む合金材料を用いることができる。特に、アルミニウムまたは銀などの低融点材料を用いることが好ましい。
また、犠牲層110Bとしては、インジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn酸化物、IGZOとも表記する)などの金属酸化物を用いることができる。さらに、酸化インジウム、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物)、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物)などを用いることができる。またはシリコンを含むインジウムスズ酸化物などを用いることもできる。
なお、上記ガリウムに代えて元素M(Mは、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)を用いた場合にも適用できる。特に、Mは、ガリウム、アルミニウム、またはイットリウムから選ばれた一種または複数種とすることが好ましい。
また、犠牲層110Bとしては、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコンなどの無機絶縁材料を用いることができる。
また、犠牲層110Bとしては、少なくとも最上部に位置する電子輸送層108Bに対して、化学的に安定な溶媒に溶解しうる材料を用いることが好ましい。特に、水またはアルコールに溶解する材料を、犠牲層110Bに好適に用いることができる。犠牲層110Bを成膜する際には、水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態で、湿式の成膜方法で塗布した後に、溶媒を蒸発させるための加熱処理を行うことが好ましい。このとき、減圧雰囲気下での加熱処理を行うことで、低温且つ短時間で溶媒を除去できるため、ホール注入・輸送層104B、発光層105B、および電子輸送層108Bへの熱的なダメージを低減することができ、好ましい。
なお、犠牲層110Bを積層構造にする場合には、上述した材料で形成される層を第1の犠牲層とし、その上に第2の犠牲層を形成して積層構造とすることができる。
この場合の第2の犠牲層は、第1の犠牲層をエッチングする際のハードマスクとして用いる膜である。また、第2の犠牲層の加工時には、第1の犠牲層が露出する。したがって、第1の犠牲層と第2の犠牲層とは、互いにエッチングの選択比の大きい膜の組み合わせを選択する。そのため、第1の犠牲層のエッチング条件、及び第2の犠牲層のエッチング条件に応じて、第2の犠牲層に用いることのできる膜を選択することができる。
例えば、第2の犠牲層のエッチングに、フッ素を含むガス(フッ素系ガスともいう)を用いたドライエッチングを用いる場合には、シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、タングステン、チタン、モリブデン、タンタル、窒化タンタル、モリブデンとニオブを含む合金、またはモリブデンとタングステンを含む合金などを、第2の犠牲層に用いることができる。ここで、上記フッ素系ガスを用いたドライエッチングに対して、エッチングの選択比を大きくとれる(すなわち、エッチング速度を遅くできる)膜としては、IGZO、ITOなどの金属酸化物膜などがあり、これを第1の犠牲層に用いることができる。
なお、これに限られず、第2の犠牲層は、様々な材料の中から、第1の犠牲層のエッチング条件、及び第2の犠牲層のエッチング条件に応じて、選択することができる。例えば、上記第1の犠牲層に用いることのできる膜の中から選択することもできる。
また、第2の犠牲層としては、例えば窒化物膜を用いることができる。具体的には、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化ハフニウム、窒化チタン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化ガリウム、窒化ゲルマニウムなどの窒化物を用いることもできる。
または、第2の犠牲層として、酸化物膜を用いることができる。代表的には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウムなどの酸化物膜または酸窒化物膜を用いることもできる。
次に、図3(C)に示すように、犠牲層110B上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法を用いてレジストを所望の形状(レジストマスク:REG)に形成する。なお、このような方法を行う場合、レジスト塗布後の加熱(PAB:Pre Applied Bake)、および露光後の加熱(PEB:Post Exposure Bake)などの熱処理工程がある。例えば、PAB温度は、100℃前後、PEB温度は120℃前後になる。そのため、これらの処理温度に耐えうる発光デバイスであることが必要である。
次に、得られたレジストマスクREGを用い、レジストマスクREGに覆われない犠牲層110Bの一部をエッチングにより除去し、レジストマスクREGを除去した後、犠牲層110Bに覆われないホール注入・輸送層104B、発光層105B、および電子輸送層108Bをエッチングにより除去し、電極551B上に側面を有する(または側面が露出する)形状、または紙面と交差する方向に延びる帯状の形状にホール注入・輸送層104B、発光層105B、および電子輸送層108Bを加工する。なお、エッチングには、ドライエッチングが好ましい。犠牲層110Bが上記の第1の犠牲層および第2の犠牲層との積層構造を有する場合には、レジストマスクREGにより第2の犠牲層の一部をエッチングした後、レジストマスクREGを除去し、第2の犠牲層をマスクとして、第1の犠牲層の一部をエッチングし、ホール注入・輸送層104B、発光層105B、および電子輸送層108Bを所定の形状に加工しても良い。これらのエッチング処理により、図4(A)の形状を得る。
次に、図4(B)に示すように、犠牲層110B、電極551G、電極551R、および電極551PS上にホール注入・輸送層104G、発光層105G、および電子輸送層108Gを形成する。ホール注入・輸送層104G、発光層105G、および電子輸送層108Gの形成において、材料としては、実施の形態1および実施の形態2に示した材料を用いることができる。なお、ホール注入・輸送層104G、発光層105G、および電子輸送層108Gの形成には、例えば、真空蒸着法を用いることができる。
以後、ホール注入・輸送層104B、発光層105B、電子輸送層108B、および犠牲層110Bの形成と同様にして、電極551G上に、ホール注入・輸送層104G、発光層105G、電子輸送層108G、および犠牲層110Gを形成し、電極551R上に、ホール注入・輸送層104R、発光層105R、電子輸送層108R、および犠牲層110Rを形成し、電極551PS上に、ホール注入・輸送層104PS、活性層105PS、電子輸送層108PS、および犠牲層110PSを形成することで、図4(C)の形状を得る。
次に、図5(A)に示すように、犠牲層110B、犠牲層110G、犠牲層110R、および犠牲層110PS上に絶縁層107を形成する。
なお、絶縁層107の形成には、例えば、ALD法を用いることができる。この場合、絶縁層107は、図5(A)に示すように各デバイスのホール注入・輸送層(104B、104G、104R、104PS)、発光層(103R、103G、103R)、活性層105PSおよび電子輸送層(108B、108G、108R、108PS)の各側面(各端部)に接して形成される。これにより、各側面から内部への酸素、水分、またはこれらの構成元素の侵入を抑制することができる。
次に、図5(B)に示すように、絶縁層107上に樹脂膜528aを形成する。樹脂膜528aとして、例えば、ネガ型の感光性樹脂またはポジ型の感光性樹脂を使用することができる。
次に、図5(C)に示すように、樹脂膜528aの一部、絶縁層107の一部、および犠牲層(110B、110G、110R、110PS)を除去することにより、電子輸送層(108B、108G、108R、108PS)の上面を露出させる。
次に、図5(D)に示すように、加熱処理を行うことで、樹脂膜528aの上端部を曲面形状とし、隔壁528を形成する。隔壁528の上端部を曲面形状とすることによって、後に形成する電子注入層109の被覆性を良好なものとすることができる。例えば、樹脂膜528aとしてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、隔壁528の上端部に曲率半径(0.2μm~3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。
次に、絶縁層107、電子輸送層(108B、108G、108R、108PS)、および隔壁528上に電子注入層109を形成する。電子注入層109の形成において、材料としては、実施の形態2に示した材料を用いることができる。なお、電子注入層109は、例えば、真空蒸着法を用いて形成する。
次に、図6(A)に示すように、電子注入層109上に電極552を形成する。電極552は、例えば、真空蒸着法を用いて形成する。
以上の工程により、発光デバイス550B、発光デバイス550G、発光デバイス550R、および受光デバイス550PSにおける、EL層103B、EL層103G、EL層103R、および受光層103PSをそれぞれ分離加工することができる。
以上のように、EL層103および受光層103PSの分離加工において、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成を行うことにより、高精細な受発光装置(表示パネル)を作製することができる。また、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成により加工されたEL層および受光層の各層の端部(側面)は、概略同一表面を有する(または、概略同一平面上に位置する)形状となる。また、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成により、隣り合う発光デバイスおよび受光デバイス間で生じるクロストークの発生を抑制することが可能となる。また、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成により加工された隣り合うデバイス間に、それぞれ間隙580を有する。なお、図6(C)において、間隙580を隣り合う発光デバイスのEL層の間の距離SEで表す場合、距離SEが小さいほど開口率を高めること、及び、精細度を高めることができる。一方、距離SEが大きいほど、隣り合う発光デバイスとの作製工程ばらつきの影響を許容できるため、製造歩留まりを高めることができる。本明細書により作製される発光デバイスは微細化プロセスに好適であるため、隣り合う発光デバイスのEL層の間の距離SEは、0.5μm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下、より好ましくは1μm以上2.5μm以下、さらに好ましくは1μm以上2μm以下とすることができる。なお、代表的には、距離SEは1μm以上2μm以下(例えば1.5μmまたはその近傍)であることが好ましい。
なお、本明細書等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスという場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスという場合がある。MML構造の受発光装置は、メタルマスクを用いずに作製するため、FMM構造、またはMM構造の受発光装置よりも画素配置及び画素形状等の設計自由度が高い。
なお、MML構造の受発光装置が有する島状のEL層は、メタルマスクのパターンによって形成されるのではなく、EL層を成膜した後に加工することで形成される。したがって、これまでに比べて高精細な受発光装置または高開口率の受発光装置を実現することができる。さらに、EL層を各色で作り分けることができるため、極めて鮮やかでコントラストが高く、表示品位の高い受発光装置を実現できる。また、EL層上に犠牲層を設けることで、作製工程中にEL層が受けるダメージを低減することができるため、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
なお、図2(A)および図6(A)に示す発光デバイス550においては、EL層103の幅が電極551の幅と概略等しく、受光デバイス550PSにおいては、受光層103PSの幅が電極551PSの幅と概略等しいが、本発明の一態様はこれに限られない。
発光デバイス550において、EL層103の幅が電極551の幅より小さくてもよい。また、受光デバイス550PSにおいて、受光層103PSの幅が電極551PSの幅より小さくてもよい。図6(B)には発光デバイス550Bにおいて、EL層103Bの幅が電極551Bの幅より小さい例を示す。
また、発光デバイス550において、EL層103の幅が電極551の幅より大きくてもよい。また、受光デバイス550PSにおいて、受光層103PSの幅が電極551PSの幅より大きくてもよい。図6(C)には発光デバイス550Rにおいて、EL層103Rの幅が電極551Rの幅より大きい例を示す。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態4)
本実施の形態では、装置720について、図7および図8を用いて説明する。なお、図7および図8に示す装置720は、実施の形態1および実施の形態2で示す発光デバイスを有することから発光装置であるが、電子機器などの表示部に適用可能であることから表示パネルまたは表示装置ということもできる。また、上記発光デバイスを光源とし、発光デバイスからの光を受光できる受光デバイスを備える構成とする場合には、受発光装置ということもできる。なお、これらの発光装置、表示パネル、表示装置、および受発光装置は、少なくとも発光デバイスを有する構成とする。
また、本実施の形態の発光装置、表示パネル、表示装置、および受発光装置は、高解像度または大型の発光装置、表示パネル、表示装置、および受発光装置とすることができる。したがって、本実施の形態の発光装置、表示パネル、表示装置、および受発光装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、スマートフォン、腕時計型端末、タブレット端末、携帯情報端末、および音響再生装置等の表示部に用いることもできる。
図7(A)には、装置720の上面図を示す。
図7(A)において、装置720は、基板710と基板711とが貼り合わされた構成を有する。また、装置720は、表示領域701、回路704、および配線706等を有する。なお、表示領域701は、複数の画素を有し、図7(A)に示す画素703(i,j)は、図7(B)に示すように、画素703(i+1,j)と隣接する。
また、装置720には、図7(A)に示すように、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式等により、基板710にIC(集積回路)712が設けられている例を示す。なお、IC712としては、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路などを有するICを適用できる。図7(A)では、信号線駆動回路を有するICをIC712に用い、回路704として、走査線駆動回路を有する構成を示す。
配線706は、表示領域701及び回路704に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC(Flexible Printed Circuit)713を介して外部から配線706に入力されるか、またはIC712から配線706に入力される。なお、装置720にICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
図7(B)に、表示領域701の画素703(i,j)、および画素703(i+1,j)を示す。すなわち、画素703(i,j)は、互いに異なる色を発する発光デバイスを有する副画素を、複数種有する構成とすることができる。または、上記に加え、同じ色を発する発光デバイスを有する副画素を複数含む構成とすることもできる。例えば、画素は、副画素を3種類有する構成とすることができる。当該3つの副画素としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色の副画素などが挙げられる。または、画素は副画素を4種類有する構成とすることができる。当該4つの副画素としては、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、Yの4色の副画素などが挙げられる。具体的には、青色を表示する副画素702B(i,j)、緑色を表示する副画素702G(i,j)および赤色を表示する副画素702R(i,j)で構成された画素703(i,j)とすることができる。
また、副画素は、発光デバイスだけでなく受光デバイスを有する構成としてもよい。なお、副画素に受光デバイスを有する構成とする場合には、装置720を受発光装置ともいう。
図7(C)乃至図7(F)に示す画素703(i,j)は、受光デバイスを有する副画素702PS(i,j)を含む、様々なレイアウトの一例を示す。なお、図7(C)に示す画素の配列は、ストライプ配列であり、図7(D)に示す画素の配列は、マトリクス配列である。また、図7(E)に示す画素の配列は、1つの副画素(副画素B)の隣に、3つの副画素(副画素R、副画素G、副画素PS)が縦に3つ並んだ構成を有する。
また、図7(F)に示すように赤外線を射出する副画素702IR(i,j)を上記の一組に加えて、画素703(i,j)としてもよい。図7(F)に示す画素の配列は、縦長の副画素G、副画素B、副画素Rが横に3つ並び、その下側に副画素PSと、横長の副画素IRと、が横に並んだ構成を有する。具体的には、650nm以上1000nm以下の波長を有する光を含む光を射出する副画素702IR(i,j)を、画素703(i,j)に用いてもよい。なお、副画素702PS(i,j)が検出する光の波長は特に限定されないが、副画素702PS(i,j)が有する受光デバイスは、副画素702R(i,j)、副画素702G(i,j)、副画素702B(i,j)、または副画素702IR(i,j)が有する発光デバイスが発する光に感度を有することが好ましい。例えば、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの波長域の光、及び、赤外の波長域の光のうち、一つまたは複数を検出することが好ましい。
なお、副画素の配列は、図7(B)乃至図7(F)に示す構成に限られることはなく、様々な方法を適用することができる。副画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列などが挙げられる。
また、副画素の上面形状としては、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形を含む)、五角形などの多角形、これら多角形の角が丸い形状、楕円形、または円形などが挙げられる。ここでいう副画素の上面形状は、発光デバイスの発光領域の上面形状に相当する。
画素に、発光デバイスだけでなく受光デバイスを有する構成とする場合には、画素が受光機能を有するため、画像を表示しながら、対象物の接触または近接を検出することができる。例えば、発光装置が有する副画素全てで画像を表示するだけでなく、一部の副画素は、光源としての光を呈し、残りの副画素で画像を表示することもできる。
なお、副画素702PS(i,j)の受光面積は、他の副画素の発光面積よりも小さいことが好ましい。受光面積が小さいほど、撮像範囲が狭くなり、撮像結果のボケの抑制、及び、解像度の向上が可能となる。そのため、副画素702PS(i,j)を用いることで、高精細または高解像度の撮像を行うことができる。例えば、副画素702PS(i,j)を用いて、指紋、掌紋、虹彩、脈形状(静脈形状、動脈形状を含む)、または顔などを用いた個人認証のための撮像を行うことができる。
また、副画素702PS(i,j)は、タッチセンサ(ダイレクトタッチセンサともいう)またはニアタッチセンサ(ホバーセンサ、ホバータッチセンサ、非接触センサ、タッチレスセンサともいう)などに用いることができる。例えば、副画素702PS(i,j)は、赤外光を検出することが好ましい。これにより、暗い場所でも、タッチ検出が可能となる。
ここで、タッチセンサまたはニアタッチセンサは、対象物(指、手、またはペンなど)の近接もしくは接触を検出することができる。タッチセンサは、受発光装置と、対象物とが、直接接することで、対象物を検出できる。また、ニアタッチセンサは、対象物が受発光装置に接触しなくても、当該対象物を検出することができる。例えば、受発光装置と、対象物との間の距離が0.1mm以上300mm以下、好ましくは3mm以上50mm以下の範囲で受発光装置が当該対象物を検出できる構成であると好ましい。当該構成とすることで、受発光装置に対象物が直接触れずに操作することが可能となる、別言すると非接触(タッチレス)で受発光装置を操作することが可能となる。上記構成とすることで、受発光装置に汚れ、または傷がつくリスクを低減することができる、または対象物が受発光装置に付着した汚れ(例えば、ゴミ、細菌、またはウィルスなど)に直接触れずに、受発光装置を操作することが可能となる。
なお、副画素702PS(i,j)を高精細な撮像を行うために用いる場合は、副画素702PS(i,j)が、全ての画素に設けられていることが好ましい。一方で、副画素702PS(i,j)をタッチセンサまたはニアタッチセンサなどに用いる場合は、指紋などを撮像する場合と比較して高い精度が求められないため、一部の画素に設けられていればよい。受発光装置が有する副画素702PS(i,j)の数を、副画素702R(i,j)等の数よりも少なくすることで、検出速度を高めることができる。
次に、発光デバイスを有する副画素の画素回路に適用できるトランジスタの具体的な構造の一例を図8(A)に示す。なお、トランジスタとしては、ボトムゲート型のトランジスタまたはトップゲート型のトランジスタなどを適宜用いることができる。
図8(A)に示すトランジスタは、半導体膜508、導電膜504、絶縁膜506、導電膜512Aおよび導電膜512Bを有する。トランジスタは、例えば、絶縁膜501C上に形成される。また、当該トランジスタは、絶縁膜516(絶縁膜516A及び絶縁膜516B)、及び絶縁膜518を有する。
半導体膜508は、導電膜512Aと電気的に接続される領域508A、導電膜512Bと電気的に接続される領域508Bを有する。半導体膜508は、領域508Aおよび領域508Bの間に領域508Cを有する。
導電膜504は領域508Cと重なる領域を備え、導電膜504はゲート電極の機能を有する。
絶縁膜506は、半導体膜508および導電膜504の間に挟まれる領域を有する。絶縁膜506は第1のゲート絶縁膜の機能を有する。
導電膜512Aはソース電極の機能またはドレイン電極の機能の一方を備え、導電膜512Bはソース電極の機能またはドレイン電極の機能の他方を有する。
また、導電膜524をトランジスタに用いることができる。導電膜524は、導電膜504との間に半導体膜508を挟む領域を有する。導電膜524は、第2のゲート電極の機能を有する。絶縁膜501Dは半導体膜508および導電膜524の間に挟まれ、第2のゲート絶縁膜の機能を有する。
絶縁膜516は、例えば、半導体膜508を覆う保護膜として機能する。絶縁膜516としては、例えば、具体的には、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜または酸化ネオジム膜を含む膜を用いることができる。
絶縁膜518は、例えば、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の拡散を抑制する機能を備える材料を適用することが好ましい。具体的には、絶縁膜518としては、例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等を用いることができる。また、酸化窒化シリコン、及び酸化窒化アルミニウムのそれぞれに含まれる酸素の原子数と窒素の原子数は、窒素の原子数のほうが多いことが好ましい。
なお、画素回路のトランジスタに用いる半導体膜を形成する工程において、駆動回路のトランジスタに用いる半導体膜を形成することができる。例えば、画素回路のトランジスタに用いる半導体膜と同じ組成の半導体膜を、駆動回路に用いることができる。
また、半導体膜508は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
特に、半導体膜508として、In、Ga、及びZnを含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。または、In、Sn、及びZnを含む酸化物を用いることが好ましい。または、In、Ga、Sn、及びZnを含む酸化物を用いることが好ましい。または、In、Al、及びZnを含む酸化物(IAZOとも記す)を用いることが好ましい。または、In、Al、Ga、及びZnを含む酸化物(IAGZOとも記す)を用いることが好ましい。
半導体膜がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:3:2またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:3:4またはその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8またはその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:2:5またはその近傍の組成、等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
金属酸化物を半導体膜508に用いる場合、装置720は、金属酸化物を半導体膜に用い、且つMML(メタルマスクレス)構造の発光デバイスを有する構成となる。当該構成とすることで、トランジスタに流れうるリーク電流、及び隣接する発光デバイス間に流れうるリーク電流(横リーク電流、サイドリーク電流などともいう)を、極めて低くすることができる。また、上記構成とすることで、表示装置に画像を表示した場合に、観察者が画像のきれ、画像のするどさ、高い彩度及び高いコントラスト比のいずれか一または複数を観測できる。なお、トランジスタに流れうるリーク電流、及び発光デバイス間の横リーク電流が極めて低い構成とすることで、黒表示時に生じうる光漏れ(いわゆる黒浮き)などが限りなく少ない表示(真黒表示ともいう)とすることができる。
また、半導体膜508には、シリコンを用いてもよい。シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンなどが挙げられる。特に、半導体層に低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly Silicon))を有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることが好ましい。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く、周波数特性が良好である。
LTPSトランジスタなどのシリコンを用いたトランジスタを適用することで、高周波数で駆動する必要のある回路(例えばソースドライバ回路)を表示部と同一基板上に作り込むことができる。これにより、発光装置に実装される外部回路を簡略化でき、部品コスト及び実装コストを削減することができる。
また、表示パネルの画面のサイズに応じて、表示パネルに用いるトランジスタの構成を適宜選択すればよい。例えば、表示パネルのトランジスタとして、単結晶Siトランジスタを用いる場合、対角のサイズが0.1インチ以上3インチ以下の画面サイズに適用することができる。また、表示パネルのトランジスタとして、LTPSトランジスタを用いる場合、対角のサイズが0.1インチ以上30インチ以下、好ましくは1インチ以上30インチ以下の画面サイズに適用することができる。また、表示パネルにLTPO(LTPSトランジスタと、OSトランジスタとを、組み合わせる構成)を用いる場合、対角のサイズを0.1インチ以上50インチ以下、好ましくは1インチ以上50インチ以下の画面サイズに適用することができる。また、表示パネルのトランジスタとして、OSトランジスタ(チャネルが形成される半導体に金属酸化物を有するトランジスタ)を用いる場合、対角のサイズを0.1インチ以上200インチ以下、好ましくは50インチ以上100インチ以下の画面サイズに適用することができる。
なお、単結晶Siトランジスタは、単結晶Si基板の大きさより、大型化が非常に困難である。また、LTPSトランジスタは、製造工程にてレーザ結晶化装置を用いるため、大型化(代表的には、対角のサイズにて30インチを超える画面サイズ)への対応が難しい。一方でOSトランジスタは、製造工程にてレーザ結晶化装置などを用いる制約がない、または比較的低温のプロセス温度(代表的には450℃以下)で製造することが可能なため、比較的大面積(代表的には、対角のサイズにて50インチ以上100インチ以下)の表示パネルまで対応することが可能である。また、LTPOについては、LTPSトランジスタを用いる場合のサイズと、OSトランジスタを用いる場合のサイズと、の間のサイズ(代表的には、対角のサイズにて1インチ以上50インチ以下)に適用することが可能となる。
次に、受発光装置の断面図を示す。図8(B)には、図7(A)に示す受発光装置の断面図を示す。
図8(B)の断面図は、FPC713および配線706を含む領域の一部、画素703(i,j)を含む表示領域701の一部をそれぞれ切断した時の断面図を示す。
図8(B)において、受発光装置700は、第1の基板510と、第2の基板770と、の間に機能層520を有する。機能層520には、上述のトランジスタおよび容量素子等の他、これらを電気的に接続する配線等が含まれる。なお、図8(B)では、機能層520は、画素回路530X(i,j)および画素回路530S(i,j)、並びに回路GDを含む構成を示すが、これに限らない。
また、機能層520に形成された画素回路(例えば、図8(B)に示す画素回路530X(i,j)および画素回路530S(i,j))は、機能層520上に形成される発光デバイスおよび受光デバイス(例えば、図8(B)に示す発光デバイス550X(i,j)および受光デバイス550S(i,j))と電気的に接続される。具体的には、発光デバイス550X(i,j)は配線591Xを介して画素回路530X(i,j)に電気的に接続され、受光デバイス550S(i,j)は配線591Sを介して画素回路530S(i,j)に電気的に接続される。また、機能層520、発光デバイス、および受光デバイス上に絶縁層705を有し、絶縁層705は、第2の基板770と機能層520とを貼り合わせる機能を有する。
なお、第2の基板770には、マトリクス状にタッチセンサを備える基板を用いることができる。例えば、静電容量式のタッチセンサまたは光学式のタッチセンサを備えた基板を第2の基板770に用いることができる。これにより、本発明の一態様の受発光装置をタッチパネルとして使用することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器の構成について、図9(A)乃至図11(B)により説明する。
図9(A)乃至図11(B)は、本発明の一態様の電子機器の構成を説明する図である。図9(A)は電子機器のブロック図であり、図9(B)乃至図9(E)は電子機器の構成を説明する斜視図である。また、図10(A)乃至図10(E)は電子機器の構成を説明する斜視図である。また、図11(A)および図11(B)は電子機器の構成を説明する斜視図である。
本実施の形態で説明する電子機器5200Bは、演算装置5210と、入出力装置5220と、を有する(図9(A)参照)。
演算装置5210は、操作情報を供給される機能を備え、操作情報に基づいて画像情報を供給する機能を有する。
入出力装置5220は、表示部5230、入力部5240、検知部5250、通信部5290、操作情報を供給する機能および画像情報を供給される機能を有する。また、入出力装置5220は、検知情報を供給する機能、通信情報を供給する機能および通信情報を供給される機能を有する。
入力部5240は操作情報を供給する機能を有する。例えば、入力部5240は、電子機器5200Bの使用者の操作に基づいて操作情報を供給する。
具体的には、キーボード、ハードウェアボタン、ポインティングデバイス、タッチセンサ、照度センサ、撮像装置、音声入力装置、視線入力装置、姿勢検出装置などを、入力部5240に用いることができる。
表示部5230は表示パネルおよび画像情報を表示する機能を有する。例えば、実施の形態3において説明する表示パネルを表示部5230に用いることができる。
検知部5250は検知情報を供給する機能を有する。例えば、電子機器が使用されている周辺の環境を検知して、検知情報として供給する機能を有する。
具体的には、照度センサ、撮像装置、姿勢検出装置、圧力センサ、人感センサなどを検知部5250に用いることができる。
通信部5290は通信情報を供給される機能および供給する機能を有する。例えば、無線通信または有線通信により、他の電子機器または通信網と接続する機能を有する。具体的には、無線構内通信、電話通信、近距離無線通信などの機能を有する。
図9(B)は、円筒状の柱などに沿った外形を有する電子機器を示す。一例として、デジタルサイネージ等が挙げられる。本発明の一態様である表示パネルは、表示部5230に適用することができる。なお、使用環境の照度に応じて、表示方法を変更する機能を備えていても良い。また、人の存在を検知して、表示内容を変更する機能を有する。これにより、例えば、建物の柱に設置することができる。または、広告または案内等を表示することができる。
図9(C)は、使用者が使用するポインタの軌跡に基づいて画像情報を生成する機能を有する電子機器を示す。一例として、電子黒板、電子掲示板、電子看板等が挙げられる。具体的には、対角線の長さが20インチ以上、好ましくは40インチ以上、より好ましくは55インチ以上の表示パネルを用いることができる。または、複数の表示パネルを並べて1つの表示領域に用いることができる。または、複数の表示パネルを並べてマルチスクリーンに用いることができる。
図9(D)は、他の装置から情報を受信して、表示部5230に表示することができる電子機器を示す。一例として、ウェアラブル型電子機器などが挙げられる。具体的には、いくつかの選択肢を表示できる、または、使用者が選択肢からいくつかを選択し、当該情報の送信元に返信することができる。または、例えば、使用環境の照度に応じて、表示方法を変更する機能を有する。これにより、例えば、ウェアラブル型電子機器の消費電力を低減することができる。または、例えば、晴天の屋外等の外光の強い環境においても好適に使用できるように、画像をウェアラブル型電子機器に表示することができる。
図9(E)は、筐体の側面に沿って緩やかに曲がる曲面を備える表示部5230を有する電子機器を示す。一例として、携帯電話などが挙げられる。なお、表示部5230は表示パネルを備え、表示パネルは、例えば、前面、側面、上面および背面に表示する機能を有する。これにより、例えば、携帯電話の前面だけでなく、側面、上面および背面に情報を表示することができる。
図10(A)は、インターネットから情報を受信して、表示部5230に表示することができる電子機器を示す。一例として、スマートフォンなどが挙げられる。例えば、作成したメッセージを表示部5230で確認することができる。または、作成したメッセージを他の装置に送信できる。または、例えば、使用環境の照度に応じて、表示方法を変更する機能を有する。これにより、スマートフォンの消費電力を低減することができる。または、例えば、晴天の屋外等の外光の強い環境においても好適に使用できるように、画像をスマートフォンに表示することができる。
図10(B)は、リモートコントローラーを入力部5240とすることができる電子機器を示す。一例として、テレビジョンシステムなどが挙げられる。または、例えば、放送局またはインターネットから情報を受信して、表示部5230に表示することができる。または、検知部5250を用いて使用者を撮影できる。または、使用者の映像を送信できる。または、使用者の視聴履歴を取得して、クラウド・サービスに提供できる。または、クラウド・サービスから、レコメンド情報を取得して、表示部5230に表示できる。または、レコメンド情報に基づいて、番組または動画を表示できる。または、例えば、使用環境の照度に応じて、表示方法を変更する機能を有する。これにより、晴天の日に屋内に差し込む強い外光が当たっても好適に使用できるように、映像をテレビジョンシステムに表示することができる。
図10(C)は、インターネットから教材を受信して、表示部5230に表示することができる電子機器を示す。一例として、タブレットコンピュータなどが挙げられる。または、入力部5240を用いて、レポートを入力し、インターネットに送信することができる。または、クラウド・サービスから、レポートの添削結果または評価を取得して、表示部5230に表示することができる。または、評価に基づいて、好適な教材を選択し、表示することができる。
例えば、他の電子機器から画像信号を受信して、表示部5230に表示することができる。または、スタンドなどに立てかけて、表示部5230をサブディスプレイに用いることができる。これにより、例えば、晴天の屋外等の外光の強い環境においても好適に使用できるように、画像をタブレットコンピュータに表示することができる。
図10(D)は、複数の表示部5230を有する電子機器を示す。一例として、デジタルカメラなどが挙げられる。例えば、検知部5250で撮影しながら表示部5230に表示することができる。または、撮影した映像を検知部に表示することができる。または、入力部5240を用いて、撮影した映像に装飾を施せる。または、撮影した映像にメッセージを添付できる。または、インターネットに送信できる。または、使用環境の照度に応じて、撮影条件を変更する機能を有する。これにより、例えば、晴天の屋外等の外光の強い環境においても好適に閲覧できるように、被写体をデジタルカメラに表示することができる。
図10(E)は、他の電子機器をスレイブに用い、本実施の形態の電子機器をマスターに用いて、他の電子機器を制御することができる電子機器を示す。一例として、携帯可能なパーソナルコンピュータなどが挙げられる。例えば、画像情報の一部を表示部5230に表示し、画像情報の他の一部を他の電子機器の表示部に表示することができる。または、画像信号を供給することができる。または、通信部5290を用いて、他の電子機器の入力部から書き込む情報を取得できる。これにより、例えば、携帯可能なパーソナルコンピュータを用いて、広い表示領域を利用することができる。
図11(A)は、加速度または方位を検知する検知部5250を有する電子機器を示す。一例として、ゴーグル型の電子機器などが挙げられる。または、検知部5250は、使用者の位置または使用者が向いている方向に係る情報を供給することができる。または、電子機器は、使用者の位置または使用者が向いている方向に基づいて、右目用の画像情報および左目用の画像情報を生成することができる。または、表示部5230は、右目用の表示領域および左目用の表示領域を有する。これにより、例えば、没入感を得られる仮想現実空間の映像を、ゴーグル型の電子機器に表示することができる。
図11(B)は、撮像装置、加速度または方位を検知する検知部5250を有する電子機器を示す。一例として、めがね型の電子機器などが挙げられる。または、検知部5250は、使用者の位置または使用者が向いている方向に係る情報を供給することができる。または、電子機器は、使用者の位置または使用者が向いている方向に基づいて、画像情報を生成することができる。これにより、例えば、現実の風景に情報を添付して表示することができる。または、拡張現実空間の映像を、めがね型の電子機器に表示することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態2に記載の発光デバイスを照明装置として用いる構成について、図12により説明する。なお、図12(A)は、図12(B)に示す照明装置の上面図における線分e-fの断面図である。
本実施の形態における照明装置は、支持体である透光性を有する基板400上に、第1の電極401が形成されている。第1の電極401は実施の形態2における第1の電極101に相当する。第1の電極401側から発光を取り出す場合、第1の電極401は透光性を有する材料により形成する。
第2の電極404に電圧を供給するためのパッド412が基板400上に形成される。
第1の電極401上にはEL層403が形成されている。EL層403は実施の形態2におけるEL層103の構成に相当する。なお、これらの構成については当該記載を参照されたい。
EL層403を覆って第2の電極404を形成する。第2の電極404は実施の形態2における第2の電極102に相当する。発光を第1の電極401側から取り出す場合、第2の電極404は反射率の高い材料によって形成される。第2の電極404はパッド412と接続することによって、電圧が供給される。
以上、第1の電極401、EL層403、及び第2の電極404を有する発光デバイスを本実施の形態で示す照明装置は有している。当該発光デバイスは発光効率の高い発光デバイスであるため、本実施の形態における照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。
以上の構成を有する発光デバイスが形成された基板400と、封止基板407とをシール材(405、406)を用いて固着し、封止することによって照明装置が完成する。シール材405、406はどちらか一方でもかまわない。また、内側のシール材406(図12(B)では図示せず)には乾燥剤を混ぜることもでき、これにより、水分を吸着することができ、信頼性の向上につながる。
また、パッド412と第1の電極401の一部をシール材405、406の外に伸張して設けることによって、外部入力端子とすることができる。また、その上にコンバーターなどを搭載したICチップ420などを設けても良い。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置、またはその一部である発光デバイスを適用して作製される照明装置の応用例について、図13を用いて説明する。
室内の照明装置としては、シーリングライト8001として応用できる。シーリングライト8001には、天井直付型および天井埋め込み型がある。なお、このような照明装置は、発光装置を筐体およびカバーと組み合わせることにより構成される。その他にもコードペンダント型(天井からのコード吊り下げ式)への応用も可能である。
また、足元灯8002は、床面に灯りを照射し、足元の安全性を高めることができる。例えば、寝室、階段、および通路などに使用するのが有効である。その場合、部屋の広さおよび構造に応じて適宜サイズおよび形状を変えることができる。また、発光装置と支持台とを組み合わせて構成される据え置き型の照明装置とすることも可能である。
また、シート状照明8003は、薄型のシート状の照明装置である。壁面に張り付けて使用するため、場所を取らず幅広い用途に用いることができる。なお、大面積化も容易である。なお、曲面を有する壁面、筐体等に用いることもできる。
また、光源からの光が所望の方向のみに制御された照明装置8004を用いることもできる。
また、電気スタンド8005は、光源8006を有し、光源8006としては、本発明の一態様である発光装置、またはその一部である発光デバイスを適用することができる。
なお、上記以外にも室内に備えられた家具の一部に本発明の一態様である発光装置、またはその一部である発光デバイスを適用することにより、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
以上のように、発光装置を適用した様々な照明装置が得られる。なお、これらの照明装置は本発明の一態様に含まれるものとする。
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様である受発光装置に適用できる、発光デバイスおよび受光デバイスについて、図14を用いて説明する。
本発明の一態様の受発光装置810が有する発光デバイス805a、及び受光デバイス805bの断面概略図を、図14(A)に示す。
発光デバイス805aは、光を発する機能(以下、発光機能とも記す)を有する。発光デバイス805aは、電極801a、EL層803a、及び電極802を有する。発光デバイス805aは、実施の形態2で示した有機ELを利用する発光デバイス(有機ELデバイス)であることが好ましい。したがって電極801aと電極802との間に挟持されるEL層803aは、少なくとも発光層を有する。発光層は、発光物質を有する。電極801aと電極802との間に電圧を印加することにより、EL層803aから光が射出される。EL層803aは、発光層に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、キャリア(正孔または電子)ブロック層、電荷発生層などの様々な層を有していてもよい。
受光デバイス805bは、光を検出する機能(以下、受光機能とも記す)を有する。受光デバイス805bは、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光デバイス805bは、電極801b、受光層803b、及び電極802を有する。電極801bと電極802との間に挟持される受光層803bは、少なくとも活性層を有する。なお、受光層803bには、上述したEL層803aが有する様々な層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、キャリア(正孔または電子)ブロック層、電荷発生層など)に用いる材料を用いることもできる。受光デバイス805bは、光電変換デバイスとして機能し、受光層803bに入射する光によって電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。この時、電極801bと電極802との間に電圧を印加してもよい。受光層803bに入射する光量に基づき、発生する電荷量が決まる。
受光デバイス805bは、可視光を検出する機能を有する。受光デバイス805bは、可視光に感度を有する。受光デバイス805bは、可視光及び赤外光を検出する機能を有するとさらに好ましい。受光デバイス805bは、可視光、及び赤外光に感度を有することが好ましい。
なお、本明細書等における青色(B)の波長領域とは、400nm以上490nm未満であり、青色(B)の光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルのピークを有するとする。また、緑色(G)の波長領域とは、490nm以上580nm未満であり、緑色(G)の光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルのピークを有するとする。また、赤色(R)の波長領域とは、580nm以上700nm未満であり、赤色(R)の光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルのピークを有するとする。また、本明細書等において、可視光の波長領域とは、400nm以上700nm未満とし、可視光とは、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルのピークを有するとする。また、赤外(IR)の波長領域とは、700nm以上900nm未満とし、赤外(IR)光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルのピークを有するとする。
受光デバイス805bの活性層は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体等が挙げられる。受光デバイス805bとしては、活性層に有機半導体を含む、有機半導体デバイス(または有機フォトダイオード)を用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。また、有機半導体を用いることで、発光デバイス805aが有するEL層803aと、受光デバイス805bが有する受光層803bと、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、共通の製造装置を使用できるため好ましい。なお、受光デバイス805bの受光層803bには、本発明の一態様である有機化合物を用いることができる。
本発明の一態様の表示装置は、発光デバイス805aとして有機ELデバイスを用い、受光デバイス805bとして有機フォトダイオードを好適に用いることができる。有機ELデバイス及び有機フォトダイオードは、同一基板上に形成することができる。したがって、有機ELデバイスを用いた表示装置に有機フォトダイオードを内蔵することができる。本発明の一態様である表示装置は、画像を表示する機能に加えて、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方も有する。
電極801a及び電極801bは、同一面上に設けられる。図14(A)は、電極801a及び電極801bが基板800上に設けられる構成を示している。なお、電極801a及び電極801bは、例えば、基板800上に形成された導電膜を島状に加工することにより形成できる。つまり、電極801a及び電極801bは、同じ工程を経て形成することができる。
基板800は、発光デバイス805a及び受光デバイス805bの形成に耐えうる耐熱性を有する基板を用いることができる。基板800として、絶縁性基板を用いる場合には、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、有機樹脂基板などを用いることができる。また、シリコンまたは炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板などの半導体基板を用いることができる。
特に、基板800として、前述の絶縁性基板または半導体基板上に、トランジスタなどの半導体素子を含む半導体回路が形成された基板を用いることが好ましい。当該半導体回路は、例えば、画素回路、ゲート線駆動回路(ゲートドライバ)、ソース線駆動回路(ソースドライバ)などを構成していることが好ましい。また、上記に加えて演算回路、記憶回路などが構成されていてもよい。
また、電極802は、発光デバイス805a及び受光デバイス805bで共通する層からなる電極である。これらの電極のうち、光を射出させる、または光を入射させる側の電極には、可視光及び赤外光を透過する導電膜を用いる。光を射出させない、または光を入射させない側の電極には、可視光及び赤外光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
本発明の一態様である表示装置における電極802は、発光デバイス805aおよび受光デバイス805bのそれぞれの一方の電極として機能する。
図14(B)は、発光デバイス805aの電極801aが、電極802よりも高い電位を有する場合について示す。この時、電極801aは、発光デバイス805aの陽極として機能し、電極802は、陰極として機能する。また、受光デバイス805bの電極801bは、電極802より低い電位を有する。なお、図14(B)では、電流の流れる向きを分かりやすくするため、発光デバイス805aの左側に発光ダイオードの回路記号を示し、受光デバイス805bの右側にフォトダイオードの回路記号を示している。また、キャリア(電子及びホール)の流れる向きを各デバイス中に模式的に矢印で示している。
図14(B)に示す構成の場合、電極801aに第1の配線を介して第1の電位が供給され、電極802に第2の配線を介して第2の電位が供給され、電極801bに第3の配線を介して第3の電位が供給される時、各電位の大きさの関係は、第1の電位>第2の電位>第3の電位となる。
また、図14(C)は、発光デバイス805aの電極801aが、電極802よりも低い電位を有する場合について示す。この時、電極801aは、発光デバイス805aの陰極として機能し、電極802は、陽極として機能する。また、受光デバイス805bの電極801bは、電極802より低い電位を有し、かつ電極801aよりも高い電位を有する。なお、図14(C)では、電流の流れる向きを分かりやすくするため、発光デバイス805aの左側に発光ダイオードの回路記号を示し、受光デバイス805bの右側にフォトダイオードの回路記号を示している。また、キャリア(電子及びホール)の流れる向きを各デバイス中に模式的に矢印で示している。
図14(C)に示す構成の場合、電極801aに第1の配線を介して第1の電位が供給され、電極802に第2の配線を介して第2の電位が供給され、電極801bに第3の配線を介して第3の電位が供給される時、各電位の大きさの関係は、第2の電位>第3の電位>第1の電位となる。
なお、本実施の形態で示す受光デバイス805bの精細度としては、100ppi以上、好ましくは200ppi以上、より好ましくは300ppi以上、より好ましくは400ppi以上、さらに好ましくは500ppi以上であって、2000ppi以下、1000ppi以下、または600ppi以下などとすることができる。特に、200ppi以上600ppi以下、好ましくは300ppi以上600ppi以下の精細度で受光デバイス805bを配置することで、指紋の撮像に好適に用いることができる。本発明の一態様の表示装置を用いて指紋認証を行う場合、受光デバイス805bの精細度を高くすることで、例えば、指紋の特徴点(Minutia)を高い精度で抽出でき、指紋認証の精度を高めることができる。また、精細度が、500ppi以上であると、米国国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)などの規格に準拠できるため、好適である。なお、受光デバイスの精細度を500ppiと仮定した場合、1画素あたり50.8μmのサイズとなり、指紋の幅(代表的には、300μm以上500μm以下)を撮像するには、十分な精細度であることがわかる。
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイス1および発光デバイス2をそれぞれ作製し、各発光デバイスの特性比較を行った結果を示す。以下に、発光デバイス1および発光デバイス2に用いた有機化合物の構造式を示す。また、発光デバイス1および発光デバイス2の素子構造を示す。
≪発光デバイス1の作製≫
本実施例で示す発光デバイス1は、基板上に形成された第1の電極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層(第1の電子輸送層および第2の電子輸送層)および電子注入層が順次積層され、電子注入層上に第2の電極が積層され、第2の電極上にキャップ層が積層された構造を有する。
まず、基板上に第1の電極を形成した。電極面積は、4mm(2mm×2mm)とした。また、基板には、ガラス基板を用いた。また、第1の電極は、銀をスパッタリング法により、100nmの膜厚で成膜した後、透明電極として酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により10nmの膜厚で成膜することにより形成した。なお、本実施例において、第1の電極は、陽極として機能する。
ここで、前処理として、基板の表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、1×10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
次に、第1の電極上に正孔注入層を形成した。正孔注入層は、真空蒸着装置内を1×10-4Paに減圧した後、N-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)と分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料(OCHD-003)とを、重量比でPCBBiF:OCHD-003=1:0.03となるように10nm共蒸着することにより形成した。
次に、正孔注入層上に正孔輸送層を形成した。正孔輸送層は、PCBBiFを用い、15nm蒸着して形成した。
次に、正孔輸送層上に発光層を形成した。発光層は、第1の有機化合物として、8-(1,1’:4’,1”-テルフェニル-3-イル)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8mpTP-4mDBtPBfpm、構造式:(200))を用い、第2の有機化合物として、9-(2-ナフチル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:βNCCP)を用い、金属錯体として、[2-d-メチル-8-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(5-d-メチル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)、構造式:(100))を用いて、重量比で8mpTP-4mDBtPBfpm:βNCCP:Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)=0.6:0.4:0.1となるように40nm共蒸着することにより形成した。
次に、発光層上に電子輸送層(第1の電子輸送層および第2の電子輸送層)を形成した。第1の電子輸送層は、2-{3-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mPCCzPDBq)を用い、10nmの膜厚となるように蒸着することにより形成した。第2の電子輸送層は、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)を用い、25nmの膜厚となるように蒸着することにより形成した。
次に、電子輸送層上にフッ化リチウム(LiF)とイッテルビウム(Yb)とを体積比でLiF:Yb=2:1となるように1.5nm共蒸着することにより電子注入層を形成した。
次に、電子注入層上に第2の電極を形成した。第2の電極は、AgとMgを体積比で1:0.1、膜厚が25nmとなるように共蒸着することにより形成した。なお、本実施例において、第2の電極は、陰極として機能する。
次に、第2の電極上にキャップ層を形成した。キャップ層は、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)を用い、70nmの膜厚となるように蒸着することにより形成した。
以上の工程により、発光デバイス1を作製した。次に、発光デバイス2および比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8の作製方法について説明する。
≪発光デバイス2の作製≫
発光デバイス2は、発光層に用いる金属錯体が、発光デバイス1とは異なる発光デバイスである。すなわち、発光デバイス2は、発光デバイス1の発光層において用いたIr(5mppy-d(mbfpypy-d)のかわりに、トリス{2-[5-(メチル-d)-4-フェニル-2-ピリジニル-κN]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(5m4dppy-d、構造式:(106))を用いた点で発光デバイス1と異なり、そのほかは、発光デバイス1と同様に作製した。
上記発光デバイス1および発光デバイス2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、これらの発光デバイスの初期特性について測定を行った。
発光デバイス1および発光デバイス2の輝度-電流密度特性を図15に、電流効率-輝度特性を図16に、輝度-電圧特性を図17に、電流-電圧特性を図18に、電界発光スペクトルを図19に示す。また、各発光デバイスの1000cd/m付近における主要な特性を表2に示す。なお、輝度、CIE色度、電界発光スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。
図15乃至図19および上記表より、発光デバイス1および発光デバイス2は良好な特性を有することがわかった。
また、図20に発光デバイス1および発光デバイス2に、2mA(50mA/cm)の電流をかけ、定電流駆動を行った際の駆動時間に対する輝度変化を表す図を示す。図20より、発光デバイス1および発光デバイス2は、駆動時間に対する輝度変化が小さく、信頼性の高い発光デバイスであることがわかった。なお、発光デバイス1および発光デバイス2を比較すると、発光デバイス2のほうが、駆動時間に対する輝度変化がさらに小さく、信頼性がより高いことがわかった。
これらの結果より、本発明の一態様の発光デバイスは、良好な特性を有し、寿命が長いことがわかった。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイス3と、当該発光デバイス3と発光層の構成が異なる比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8と、をそれぞれ作製し、各発光デバイスの特性比較を行った結果を示す。以下に、発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8に用いた有機化合物の構造式を示す。また、発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8の素子構造を表3および表4に示す。
≪発光デバイス3の作製≫
本実施例で示す発光デバイス3は、発光層における第1の有機化合物、第2の有機化合物および金属錯体の混合比と、第2の電子輸送層の膜厚が、実施例1で示した発光デバイス1と異なる発光デバイスである。すなわち、発光デバイス3は、発光層における8mpTP-4mDBtPBfpm、βNCCP、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)の混合比を、重量比で8mpTP-4mDBtPBfpm:βNCCP:Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)=0.5:0.5:0.1とした点、および第2の電子輸送層の膜厚を20nmとした点で、発光デバイス1と異なり、そのほかは発光デバイス1と同様に作製した。
≪比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8の作製≫
比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8は、発光層の第1の有機化合物および金属錯体の一方または両方が発光デバイス3と異なる発光デバイスである。比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8のその他の構成は、発光デバイス3と同様に作製した。
第1の有機化合物として、比較発光デバイス4では、発光デバイス3と同様に8mpTP-4mDBtPBfpmを用い、比較発光デバイス5および比較発光デバイス6では、8-(ビフェニル-4-イル)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8BP-4mDBtPBfpm)を用い、比較発光デバイス7および比較発光デバイス8では、4,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)を用いた。
金属錯体として、比較発光デバイス5および比較発光デバイス7では、発光デバイス3と同様に、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)を用い、比較発光デバイス4、比較発光デバイス6および比較発光デバイス8では、[2-d-メチル-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)(mbfpypy-d))を用いた。
上記発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時にUV処理、80℃にて1時間熱処理)を行った後、これらの発光デバイスの初期特性について測定を行った。
また、発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス6の輝度-電流密度特性を図21に、電流効率-輝度特性を図22に、輝度-電圧特性を図23に、電流-電圧特性を図24に、電界発光スペクトルを図25に示す。また、発光デバイス3、比較発光デバイス4、比較発光デバイス7および比較発光デバイス8の輝度-電流密度特性を図26に、電流効率-輝度特性を図27に、輝度-電圧特性を図28に、電流-電圧特性を図29に、電界発光スペクトルを図30に示す。なお、図21乃至図25に示す特性の測定に用いた発光デバイス3および比較発光デバイス4と、図26乃至図30に示す特性の測定に用いた発光デバイス3および比較発光デバイス4とは、構造が同じであるが、別の試料である。そのため、図21乃至図25に示す発光デバイス3および比較発光デバイス4の特性と、図26乃至図30に示す発光デバイス3および比較発光デバイス4の特性は、全く同じではない。
また、各発光デバイスの1000cd/m付近における主要な特性を表5に示す。なお、輝度、CIE色度、電界発光スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。
図21乃至図30より、発光デバイス3、比較発光デバイス5および比較発光デバイス7は、比較発光デバイス4、比較発光デバイス6および比較発光デバイス8と比較して、駆動電圧は低く、電流効率は高いことがわかった。このことから、発光層の金属錯体として、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)を用いることにより、駆動電圧を低減し、電流効率を向上させることができるとわかった。
これは、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)は、配位子のピリジン環に電子供与基である重水素化メチル基を有する金属錯体であることから、配位子のピリジン環に置換基をもたないIr(ppy)(mbfpypy-d)と比べ、HOMO準位が高い(浅い)ことによる。金属錯体のHOMO準位を高くすることで、正孔輸送層と発光層との界面での正孔の注入障壁が小さくなり、その結果、発光デバイス3の駆動電圧を低減させ、電流効率を向上させることができた。
なお、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)、及びIr(ppy)(mbfpypy-d)のHOMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定で算出した。測定には電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。その結果、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)のHOMO準位は、-5.32eVであり、Ir(ppy)(mbfpypy-d)のHOMO準位は、-5.36eVであり、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)は、Ir(ppy)(mbfpypy-d)よりHOMO準位が高い。
また、図31および図32に発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス8に、2mA(50mA/cm)の電流をかけ、定電流駆動を行った際の駆動時間に対する輝度変化を表す図を示す。なお、図31には発光デバイス3および比較発光デバイス4乃至比較発光デバイス6の結果を示し、図32には発光デバイス3および比較発光デバイス4、比較発光デバイス7および比較発光デバイス8の結果を示す。
図31および図32より、発光デバイス3は各比較発光デバイスと比べて、駆動時間に対する輝度変化が最も小さく、最も信頼性の高い発光デバイスであることがわかった。このことから、第1の有機化合物として、8mpTP-4mDBtPBfpmを用い、金属錯体として、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)を用いることで、発光デバイスの駆動時間に対する輝度変化を減少させ、信頼性を向上させることができるとわかった。
これは、8mpTP-4mDBtPBfpmの最低三重項励起がターフェニル基に由来することに起因する。ターフェニル基が励起する場合のT準位は他の部分構造が励起する場合のT準位よりも低くすることができるため、8mpTP-4mDBtPBfpmを用いることにより、発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
次に8mpTP-4mDBtPBfpmのT準位を算出した。石英基板上に8mpTP-4mDBtPBfpmを50nm成膜した薄膜を用い、測定温度10Kにて発光スペクトル(りん光スペクトル)を測定した。測定は、顕微PL装置 LabRAM HR-PL ((株)堀場製作所)を用い、励起光としてHe-Cdレーザ(325nm)を用いた。その結果、8mpTP-4mDBtPBfpmの発光スペクトル(りん光スペクトル)の最も短波長に位置するピークは、500nm(2.48eV)であり、最も短波長に位置する発光端は、486nm(2.55eV)であった。
また、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)のT準位を算出するために、吸収スペクトル及び発光スペクトル(りん光スペクトル)を測定した。Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)を溶解させたトルエン溶液を作製し、室温(23℃に保たれた雰囲気)にて、吸収スペクトル及び発光スペクトルを測定した。その結果、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)の吸収スペクトルの最も長波長に位置する吸収端は、526nm(2.36eV)であり、発光スペクトル(りん光スペクトル)の最も短波長に位置する発光端は、503nm(2.46eV)であった。
なお、吸収端は、吸収スペクトルの最も長波長に観測されるピーク(またはショルダーピーク)の長波長側の傾きが最小となる値において接線を引き、その接線と横軸(波長)あるいはベースラインとの交点から算出した。また、発光端は、発光スペクトルの最も短波長に観測されるピーク(またはショルダーピーク)の短波長側の傾きが最大となる値において接線を引き、その接線と横軸(波長)あるいはベースラインとの交点から算出した。
8mpTP-4mDBtPBfpmとIr(5mppy-d(mbfpypy-d)の発光端で算出したT準位を比較すると、8mpTP-4mDBtPBfpmの最低三重項励起エネルギーは、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)の最低三重項励起エネルギーより0.09eV高い。
また、Ir(5mppy-d(mbfpypy-d)は、配位子のピリジン環に重水素化メチル基を有することから、配位子のピリジン環に重水素化されていないメチル基を有する場合と比較して、メチル基内の水素-炭素結合の振動による結合の切断が起こりにくく、より安定化した金属錯体である。このような金属錯体の安定性および信頼性の高さが、発光デバイスの信頼性の向上につながった。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイスに用いることのできる第1の有機化合物について計算により解析を行った結果について図33乃至図35を用いて説明する。
第1の有機化合物の具体例の一である8mpTP-4mDBtPBfpm(構造式(200))、構造式(216)で表される有機化合物、および比較例である8BP-4mDBtPBfpmについて、HOMOの分布、LUMOの分布、および最低三重項励起状態の局在の解析を行った。
<計算方法>
HOMOおよびLUMOの分布の解析は、化合物の一重項基底状態(S)に関して、S準位が最も低くなる最安定構造における振動(スピン密度)解析により行った。最低三重項励起状態の局在の解析は、化合物の最低三重項励起状態(T)に関して、T準位が最も低くなる最安定構造におけるスピン密度解析により行った。計算方法は密度汎関数法(DFT:Density Functional Theory)を用いた。DFTで算出される全エネルギーは、ポテンシャルエネルギー、電子間静電エネルギー、電子の運動エネルギーと複雑な電子間の相互作用を全て含む交換相関エネルギーの和で表される。DFTでは、電子密度で表現された一電子ポテンシャルの汎関数(関数の関数の意)で交換相関相互作用を近似しているため、計算は高速である。ここでは、混合汎関数であるB3LYPを用いて、交換相関エネルギーに係る各パラメータの重みを規定した。また、基底関数として、6-311G(d,p)を用いた。計算プログラムには、Gaussian 09を用いた。
8mpTP-4mDBtPBfpmの解析結果を図33に、構造式(216)で表される有機化合物の解析結果を図34に、8BP-4mDBtPBfpmの解析結果を図35に示す。図33乃至図35において、図中の球は、化合物を構成する原子を表しており、原子の周辺に存在する雲状物は、同密度値を0.003としたときのスピン密度分布を表すものである。図33(A)、図34(A)および図35(A)において、雲状物は、当該分子におけるLUMOの分布を示す。図33(B)、図34(B)および図35(B)において、雲状物は、当該分子におけるHOMOの分布を示す。図33(C)、図34(C)および図35(C)において、雲状物は、当該分子における最低三重項励起状態の局在を示す。
図33および図34より、8mpTP-4mDBtPBfpmおよび構造式(216)で表される有機化合物において、最低三重項励起状態は、第1の有機化合物の第1の置換基に相当するターフェニル基に局在しており、LUMOは電子輸送性骨格に相当する[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン環および第2の置換基に相当する3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル基の一部に分布している。従って、8mpTP-4mDBtPBfpmおよび構造式(216)で表される有機化合物においては、LUMOの分布する位置と、最低三重項励起状態の局在する位置とが、それぞれ異なることがわかった。
一方で、図35より、8BP-4mDBtPBfpmの最低三重項励起状態は、第1の有機化合物の第1の置換基に相当する1,1’-ビフェニル-4-イル基だけでなく、電子輸送性骨格に相当する[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン環にも分布しており、LUMOは電子輸送性骨格に相当する[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン環および第2の置換基に相当する3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル基の一部に分布している。従って、8BP-4mDBtPBfpmにおいては、最低三重項励起状態の局在する位置と、LUMOの分布位置と、が重なってしまうことが分かった。
以上の結果より、実施の形態1で説明したとおり、第1の有機化合物の第1の置換基を、置換または無置換のo-フェニレン基および置換または無置換のm-フェニレン基のいずれかに、置換または無置換の芳香環および置換または無置換の複素芳香環のいずれかが連結した基とすることにより、最低三重項励起状態を、第1の置換基に分布させることができるとわかった。
本実施例では、第1の有機化合物として用いることのできる有機化合物の2-メチルテトラヒドロフラン(2Me-THF)溶液を液体窒素により冷却して発光スペクトル及び発光量子収率を測定した結果を示す。
まず、8mpTP-4mDBtPBfpm(構造式(200))と、8mpTP-4mDBtPBfpmの第1の置換基および第2の置換基を重水素置換した化合物である8-(1,1’:4’,1’’-テルフェニル-3-イル-2,4,5,6,2’,3’,5’,6’,2’’,3’’,4’’,5’’,6’’-d13)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル-1,2,3,6,7,8,9-d)フェニル-2,4,6-d]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8mpTP-4mDBtPBfpm-d23)(構造式(219))を試料として測定を行った。なお、実施例2で示した8mpTP-4mDBtPBfpmのT準位の測定方法と同様の方法にて、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23のT準位を測定したところ、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の発光スペクトル(りん光スペクトル)の最も短波長に位置するピークは、501nm(2.48eV)であり、最も短波長に位置する発光端は、484nm(2.56eV)であった。
発光スペクトル及び発光量子収率の測定には、絶対PL量子収率測定装置((株)浜松ホトニクス製 C11347-01)を用い、グローブボックス((株)ブライト製 LABstarM13(1250/780))にて、窒素雰囲気下で各試料の2Me-THF脱酸素溶液(0.120mmol/L)を石英セルに入れ、密栓し、液体窒素により冷却して測定を行った。
8mpTP-4mDBtPBfpmおよび8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の発光スペクトルの測定結果を図36に示す。横軸は波長、縦軸は発光強度を表す。
図36に示す通り、いずれの試料においても、蛍光と燐光が混ざった状態の発光スペクトルが観測された。351nm~455nm付近のスペクトルは室温測定及び発光寿命測定結果より、蛍光であることを確認した。また、455nm~660nm付近のスペクトルは低温の測定のみで観測されることから、燐光に由来することを確認した。
また、発光量子収率の測定結果より、8mpTP-4mDBtPBfpmにおいて、低温(液体窒素で冷却した温度)における、蛍光成分(351nm~455nm)の量子収率(Φ(H))は8.5%であることがわかった。また、燐光成分(455nm~660nm)の量子収率(Φ(H))は10%であることがわかった。
また、発光量子収率の測定結果より、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23において、低温(液体窒素で冷却した温度)における、蛍光成分(351nm~455nm)の量子収率(Φ(D))は8.5%であることがわかった。また、燐光成分(455nm~660nm)の量子収率(Φ(D))は15%であることがわかった。
すなわち、低温(液体窒素で冷却した温度)において、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の燐光成分の量子収率は、8mpTP-4mDBtPBfpmの燐光成分の量子収率の1.5倍の大きさであり、蛍光成分の量子収率はほぼ同じであったことがわかった。
また、8mpTP-4mDBtPBfpmと、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23それぞれの2Me-THF溶液(0.120mmol/L)を液体窒素により冷却して発光寿命を測定した結果を示す。
発光寿命の測定には、蛍光光度計((株)日本分光製 FP-8600)を用いた。大気下で試料溶液を石英セルに入れ、液体窒素により冷却して測定を行った。本測定においては、励起光の波長を320nm、測定する光の波長を515nmとし、溶液の入った石英セルに励起光を30秒程度照射し、励起光をシャッターで遮断してから減衰していく発光の強度を10ms間隔で測定することにより時間分解測定を行った。なお、励起光および測定光のバンド幅は10nmとした。得られた時間減衰曲線を図39に示す。横軸は時間、縦軸は発光強度を表す。
図39に示す通り、発光強度は単一指数関数的に減衰していることがわかった。得られた減衰曲線から発光寿命を算出した。8mpTP-4mDBtPBfpmの発光寿命は2.8sであった。8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の発光寿命は5.3sであった。発光寿命を測定した光の波長は515nmであることから、これらは、燐光成分の発光寿命であると言える。従って、低温(液体窒素で冷却した温度)において、重水素化体の方が非重水素化体よりも1.9倍、燐光の発光寿命が長いことがわかった。
ここで、燐光発光量子収率(Φ)および燐光発光寿命(τ)は有機化合物の最低三重項励起状態(T)からの輻射遷移速度定数krpと無輻射遷移速度定数knrp、および最低一重項励起状態(S)から最低三重項励起状態(T)への項間交差の量子収率(Φisc)から、下記式(1)、および式(2)のように表すことができる。
この式より、krpおよびknrpは、Φおよびτを用いて各々下記式(3)、および式(4)のように表すことができる。
ここで、上記測定結果より、重水素化された8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の燐光量子収率Φ(D)は、重水素化されていない8mpTP-4mDBtPBfpmの燐光量子収率Φ(H)の1.5倍、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の燐光発光寿命τ(D)は、8mpTP-4mDBtPBfpmの燐光発光寿命τ(H)の1.9倍であることがわかっている。また、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の蛍光量子収率Φ(D)と、8mpTP-4mDBtPBfpmの蛍光量子収率Φ(H)は、ほぼ同じであった。
なお、液体窒素で冷却した温度において、蛍光の無輻射遷移の速度定数は輻射遷移および項間交差の速度定数と比較して非常に小さいため、8mpTP-4mDBtPBfpmおよび8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の項間交差の量子収率Φisc(H)およびΦisc(D)は、それぞれの物質の蛍光量子収率(Φ(H)、Φ(D))を用いて、
Φisc(H)=1-Φ(H)
Φisc(D)=1-Φ(D)
と各々表すことができ、Φ(H)およびΦ(D)はほぼ同じ値であったため、Φisc(H)およびΦisc(D)は同じとみなすことができる。
すなわち、8mpTP-4mDBtPBfpmの燐光量子収率をΦ(H)、速度定数をτ(H)、項間交差の量子収率をΦisc(H)、輻射遷移の速度定数をkrp(H)、無輻射遷移の速度定数をknrp(H)であるとし、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の燐光量子収率をΦ(D)、速度定数をτ(D)、項間交差の量子収率をΦisc(D)、輻射遷移の速度定数をkrp(D)、無輻射遷移の速度定数をknrp(D)とすると、krp(H)は、下式(3-1)、krp(D)は、下式(3-2)、knrp(H)は、下式(4-1)、knrp(D)は、下式(4-2)のように表すことができる。
このように、knrp(D)は、knrp(H)の0.50倍であり、knrp(D)<knrp(H)となり、krp(D)は、krp(H)の0.79倍であり、krp(D)<krp(H)となり、8mpTP-4mDBtPBfpmと比較して、重水素化された8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の無輻射遷移の速度定数および輻射遷移の速度定数のどちらも小さくなることがわかったが、輻射遷移の速度定数よりも無輻射遷移の速度定数がより小さくなるため、輻射遷移よりも無輻射遷移の方がより抑制されていることがわかった。
このように、重水素化された有機化合物は、輻射遷移の速度定数と無輻射遷移の速度定数が小さくなるが、無輻射遷移の方がより抑制されることから、結果として生成した三重項励起子をより多く輻射遷移させることができるようになる。輻射遷移は、エネルギー移動に関わる遷移であることから、重水素化された有機化合物は重水素化されていない有機化合物と比較して、励起エネルギーを他の化合物(ここではゲスト材料である燐光発光物質)へ移動させるエネルギー移動効率が向上する。エネルギー移動効率が向上することにより、当該重水素化された有機化合物が劣化することを抑制することが可能となり、当該有機化合物をホスト材料として用いた発光デバイスは、ホスト材料の劣化が抑制され、信頼性の良好な発光デバイスとすることができる。
なお、低温(液体窒素で冷却した温度)において、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23の輻射遷移の速度定数krp(D)は、8mpTP-4mDBtPBfpmの輻射遷移の速度定数krp(H)の0.79倍となっているが、無輻射遷移の速度定数knrp(D)はknrp(H)の0.50倍となり、相対的に無輻射遷移の速度定数knrp(D)の方が減少幅が大きい。そのため、輻射遷移の速度定数krp(D)の減少を考慮しても、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23において輻射遷移する三重項励起子の割合は大きくなることから、重水素化することでエネルギー移動効率が向上すると言うことができる。
また、蛍光量子収率に関しては、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23と、8mpTP-4mDBtPBfpmにおいてほとんど差がなかった。また、77Kの低温における無輻射遷移の速度定数は輻射遷移および項間交差の速度定数と比較して非常に小さい。このことから、重水素化することによる8mpTP-4mDBtPBfpm-d23と、8mpTP-4mDBtPBfpmの蛍光発光過程における輻射遷移および無輻射遷移の速度定数には有意差はなく、重水素化を行ったことに関する効果は主として三重項励起子の挙動に影響を及ぼしていると言うことができる。
ここで、8mpTP-4mDBtPBfpmの第1の置換基のみを重水素置換した8mpTP-4mDBtPBfpm-d13(構造式(223))および第2の置換基のみを重水素置換した8mpTP-4mDBtPBfpm-d10(構造式(225))について、同様に測定を行った。
8mpTP-4mDBtPBfpm-d13の発光スペクトルの測定結果を図37に示し、8mpTP-4mDBtPBfpm-d10の発光スペクトルの測定結果を図38に示す。横軸は波長、縦軸は発光強度を表す。
図37および図38に示す通り、8mpTP-4mDBtPBfpm-d13(構造式(223))は8mpTP-4mDBtPBfpm-d23と同等の、8mpTP-4mDBtPBfpm-d10(構造式(225))は8mpTP-4mDBtPBfpmと同等の結果であった。
8mpTP-4mDBtPBfpm-d23と同等の結果を示した8mpTP-4mDBtPBfpm-d13は、第1の有機化合物の第1の置換基のみを重水素置換した有機化合物である。従って、第1の有機化合物は、第1の置換基のみの重水素置換により、りん光発光過程の無輻射遷移を抑制することができることが明らかとなった。これは、第1の有機化合物においては第1の置換基にTが局在することから、第1の置換基を重水素化することにより、最低三重項励起状態における分子内振動が抑制された結果、第1の有機化合物のTからの無輻射遷移を抑制することができるためと考えられる。
また、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー移動効率φETの観点から考えると、エネルギー移動効率φETは以下の数式(5)で表され、エネルギー移動効率φETを高くするためには、エネルギー移動の速度定数kh*→gが大きくなり、他の競合する速度定数k+knr(=1/τ)が相対的に小さくなれば良いことがわかる。
なお、数式(5)において、kは、ホスト材料の発光過程(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光)の速度定数を表し、knrは、ホスト材料の非発光過程(熱失活および項間交差)の速度定数を表し、τは、実測されるホスト材料の励起状態の寿命を表す。また、kh*→gはエネルギー移動(フェルスター機構またはデクスター機構)の速度定数を表す。
エネルギー移動の速度定数kh*→gは、重水素化されている有機化合物(8mpTP-4mDBtPBfpm-d23)とされていない有機化合物(8mpTP-4mDBtPBfpm)では、分子の原子配置、スペクトル形状などがほぼ変わらないことから、当該2材料ではほぼ同一である(下記式(6)または(7)参照)。このため、重水素化されている有機化合物とされていない有機化合物との比較においては、発光寿命(りん光寿命)τに大きく影響されることがわかる。
上記のように低温(液体窒素で冷却した温度)で測定された燐光寿命は、重水素化されている有機化合物(8mpTP-4mDBtPBfpm-d23)がされていない有機化合物(8mpTP-4mDBtPBfpm)の1.9倍であった。室温においても重水素化されている有機化合物とされていない有機化合物の燐光寿命に差があると仮定すると、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー移動効率φETの式(5)からも、重水素化されている有機化合物(8mpTP-4mDBtPBfpm-d23)をホスト材料に用いた発光デバイスは、されていない有機化合物(8mpTP-4mDBtPBfpm)をホスト材料に用いた発光デバイスよりもエネルギー移動効率が向上するということができる。
エネルギー移動効率が向上することにより、当該重水素化された有機化合物が劣化することを抑制することが可能となる。これにより、重水素化されている有機化合物をホスト材料として用いた発光デバイスは、重水素化されていない有機化合物をホスト材料に用いた発光デバイスよりもホスト材料の劣化が抑制され、信頼性の良好な発光デバイスとすることができる。
数式(6)はフェルスター機構の、数式(7)はデクスター機構の速度定数kh*→gの式である。
数式(6)において、νは、振動数を表し、f’(ν)は、ホスト材料の規格化された発光スペクトル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光スペクトル)を表し、ε(ν)は、ゲスト材料のモル吸光係数を表し、Nは、アボガドロ数を表し、nは、媒体の屈折率を表し、Rは、ホスト材料とゲスト材料の分子間距離を表し、τは、実測される励起状態の寿命(蛍光寿命または燐光寿命)を表し、φは、発光量子収率(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光量子収率、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光量子収率)を表し、Kは、ホスト材料とゲスト材料の遷移双極子モーメントの配向を表す係数(0~4)である。なお、ランダム配向の場合はK=2/3である。
数式(7)において、hは、プランク定数であり、Kは、エネルギーの次元を持つ定数であり、νは、振動数を表し、f’(ν)は、ホスト材料の規格化された発光スペクトル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光スペクトル)を表し、ε’(ν)は、ゲスト材料の規格化された吸収スペクトルを表し、Lは、実効分子半径を表し、Rは、ホスト材料とゲスト材料の分子間距離を表す。
なお、三重項励起子のエネルギーが高い場合、当該励起子の寿命が長いと劣化が促進されてしまう場合がある。しかし、本発明の一態様においては第1の有機化合物はT準位が比較的低い材料であることから、三重項励起子の寿命が長くなったことに対する信頼性への影響は小さい。さらに、第1の有機化合物(ホスト材料)における第1の置換基および第2の置換基を重水素化した物質が、無輻射遷移を抑制することから、当該物質から発光材料へのエネルギー移動効率が高まり、発光デバイスの信頼性を向上させることができることがわかった。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイスである発光デバイス9と、発光デバイス10とをそれぞれ作製し、各発光デバイスの特性比較を行った結果を示す。以下に、発光デバイス9および発光デバイス10に用いた有機化合物の構造式を示す。また、発光デバイス9および発光デバイス10の素子構造を表6に示す。
《発光デバイス9の作製》
発光デバイス9は、第2の電子輸送層の膜厚が、実施例2で示した発光デバイス3と異なる発光デバイスである。すなわち、発光デバイス9は、第2の電子輸送層の膜厚を10nmとした点で、発光デバイス3と異なり、そのほかは発光デバイス3と同様に作製した。
《発光デバイス10の作製》
発光デバイス10は、発光デバイス9において発光層の第1の有機化合物として用いた8mpTP-4mDBtPBfpmを、8mpTP-4mDBtPBfpm-d23に置き換えた発光デバイスであり、そのほかは発光デバイス9と同様に作製した。
発光デバイス9および発光デバイス10の輝度-電流密度特性を図40に、電流効率-輝度特性を図41に、輝度-電圧特性を図42に、電流-電圧特性を図43、発光スペクトルを図44に示した。また、1000cd/cm付近における電圧、電流、電流密度、CIE色度、電流効率の値を以下に示した。なお、輝度、CIE色度、及び発光スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用い、常温で測定した。
図40乃至図44より、発光デバイス9と発光デバイス10は、いずれも良好な特性を有する発光デバイスであることがわかる。
続いて、発光デバイス9と発光デバイス10の電流密度50mA/cmにおける定電流駆動時の駆動時間に対する輝度の変化を測定した結果を図45に示す。図45より、発光デバイス9と発光デバイス10はいずれも良好な信頼性を有する発光デバイスであることがわかった。
さらに、発光デバイス10は発光デバイス9より長寿命な発光デバイスであることがわかった。すなわち、第1の有機化合物の第1の置換基および第2の置換基を重水素化した8mpTP-4mDBtPBfpm-d23を用いた発光デバイスは、非重水素化体である8mpTP-4mDBtPBfpmを用いた発光デバイスと比べて信頼性が向上したことがわかった。これは、実施例4で示した通り、第1の有機化合物(ホスト材料)における第1の置換基および第2の置換基を重水素化した物質が無輻射遷移を抑制することから、当該物質から発光材料へのエネルギー移動効率が高まり、発光デバイスの信頼性がより向上したといえる。
GD 回路
IR 副画素
MS 配線
PS 副画素
REG レジストマスク
RES 配線
SE1 配線
SE 距離
TX 配線
VG 配線
VS 配線
101 第1の電極
102 第2の電極
103 EL層
103a EL層
103b EL層
103B EL層
103G EL層
103R EL層
103PS 受光層
104B ホール注入・輸送層
104G ホール注入・輸送層
104R ホール注入・輸送層
104PS ホール注入・輸送層
105 発光層
105B 発光層
105G 発光層
105R 発光層
105PS 活性層
106 電荷発生層
106a 電荷発生層
106b 電荷発生層
107 絶縁層
108 電子輸送層
108B 電子輸送層
108G 電子輸送層
108R 電子輸送層
108PS 電子輸送層
109 電子注入層
110B 犠牲層
110G 犠牲層
110R 犠牲層
110PS 犠牲層
111 正孔注入層
111a 正孔注入層
111b 正孔注入層
112 正孔輸送層
112a 正孔輸送層
112b 正孔輸送層
113 発光層
113a 発光層
113b 発光層
113c 発光層
114 電子輸送層
114a 電子輸送層
114b 電子輸送層
115 電子注入層
115a 電子注入層
115b 電子注入層
130 接続部
400 基板
401 第1の電極
403 EL層
404 第2の電極
405 シール材
406 シール材
407 封止基板
412 パッド
420 ICチップ
501C 絶縁膜
501D 絶縁膜
504 導電膜
506 絶縁膜
508 半導体膜
508A 領域
508B 領域
508C 領域
510 第1の基板
512A 導電膜
512B 導電膜
516 絶縁膜
516A 絶縁膜
516B 絶縁膜
518 絶縁膜
520 機能層
524 導電膜
528 隔壁
528a 樹脂膜
530S 画素回路
530X 画素回路
550 発光デバイス
550X 発光デバイス
550S 受光デバイス
550B 発光デバイス
550G 発光デバイス
550R 発光デバイス
550PS 受光デバイス
551 電極
551B 電極
551C 接続電極
551G 電極
551R 電極
551PS 電極
552 電極
580 間隙
591S 配線
591X 配線
700 受発光装置
701 表示領域
702G 副画素
702PS 副画素
702R 副画素
702IR 副画素
702B 副画素
703 画素
704 回路
705 絶縁層
706 配線
710 基板
711 基板
712 IC
713 FPC
720 装置
770 基板
800 基板
801a 電極
801b 電極
802 電極
803a EL層
803b 受光層
805a 発光デバイス
805b 受光デバイス
810 受発光装置
5200B 電子機器
5210 演算装置
5220 入出力装置
5230 表示部
5240 入力部
5250 検知部
5290 通信部
8001 シーリングライト
8002 足元灯
8003 シート状照明
8004 照明装置
8005 電気スタンド
8006 光源

Claims (11)

  1. 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、
    前記発光層は、前記陽極と、前記陰極との間に位置し、
    前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、
    前記発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であり、
    前記配位子の少なくとも一は、環Aと、ピリジン環と、が結合した骨格を有し、
    前記環Aは、芳香環または複素芳香環を表し、
    前記ピリジン環は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基を有し、
    前記配位子は、前記環Aの有するいずれかの原子および前記ピリジン環の窒素において前記中心金属に配位し、
    前記第1の有機化合物は、電子輸送性骨格と、それぞれ前記電子輸送性骨格に結合する第1の置換基と、第2の置換基と、を有し、
    前記電子輸送性骨格は、2以上の窒素を有する複素芳香環を有し、
    前記第1の置換基は、芳香環および複素芳香環の一方または双方を有する基であり、
    前記第2の置換基は、正孔輸送性を有する骨格を有し、
    前記第1の有機化合物の最低三重項励起状態が、前記第1の置換基に局在する、発光デバイス。
  2. 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、
    前記発光層は、前記陽極と、前記陰極との間に位置し、
    前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、
    前記発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であり、
    前記配位子の少なくとも一は、一般式(L1)で表される構造を有し、
    前記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デバイス。

    (ただし、一般式(L1)において、*は前記中心金属への結合手を表し、破線は前記中心金属への配位を表し、環Aは芳香環または複素芳香環を表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表す。また、一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、ArおよびArは各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、αおよびβは各々独立に、置換または無置換のフェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。)
  3. 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、
    前記発光層は、前記陽極と、前記陰極との間に位置し、
    前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、
    前記発光物質は、一般式(G1)で表される有機金属錯体であり、
    前記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デバイス。

    (ただし、一般式(G1)において、Mは中心金属を表し、破線は配位を表し、環Aおよび環Aは各々独立に芳香環または複素芳香環を表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表し、R乃至Rは各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表し、kは0乃至2の整数を表す。また、一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、ArおよびArは各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、αおよびβは各々独立に置換または無置換のフェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。)
  4. 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、
    前記発光層は、前記陽極と、前記陰極との間に位置し、
    前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、
    前記発光物質は、一般式(G2)で表される有機金属錯体であり、
    前記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デバイス。

    (ただし、一般式(G2)において、Mは中心金属を表し、破線は配位を表し、Qは酸素または硫黄を表し、X乃至Xはそれぞれ独立に、窒素および炭素(CHを含む)のいずれかを表し、R乃至Rのうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を表し、R乃至R14は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を表し、kは0乃至2の整数を表す。また、一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、ArおよびArは各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、αおよびβはは各々独立に、置換または無置換のフェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。)
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギーは、前記有機金属錯体の最低三重項励起エネルギーより大きい、発光デバイス。
  6. 請求項5において、
    前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギーと、前記有機金属錯体の最低三重項励起エネルギーとの差が0eVより大きく0.40eV以下である、発光デバイス。
  7. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    前記中心金属は、イリジウムである、発光デバイス。
  8. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    前記2以上の窒素を有する複素芳香環は、構造式(B-1)乃至(B-32)のいずれかである、発光デバイス。
  9. 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の発光デバイスと、トランジスタ、または、基板と、を有する発光装置。
  10. 請求項9に記載の発光装置と、検知部、入力部、または、通信部と、を有する電子機器。
  11. 請求項9に記載の発光装置と、筐体と、を有する照明装置。
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