JP2024007285A - 埋込磁石型回転子および回転電機 - Google Patents

埋込磁石型回転子および回転電機 Download PDF

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Abstract

Figure 2024007285000001
【課題】高速回転時に遠心力に対する強度を確保しつつ、誘起電圧を抑制できる埋込磁石型回転子を提供する。
【解決手段】鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石型回転子であって、鉄心の各々の磁極には、主磁石を収容する磁石孔が形成され、主磁石の回転子内周側に臨む第1面と磁石孔の間には、主磁石に沿って延びる空隙部が形成され、主磁石の回転子外周側に臨む第2面は磁石孔と面接触する。
【選択図】図2

Description

本発明は、埋込磁石型回転子および回転電機に関する。
従来から、コイルが巻回された固定子と、固定子の内側において固定子に対して回転軸周りに回転自在に設けられ回転子を備える回転電機が利用されている。この種の回転電機に適用される埋込磁石型回転子として、周方向に延在する第1の磁石と、径方向外側に広がるように傾斜配置された一対の第2の磁石を1つの磁極に配置する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2では、鉄心の磁石挿入孔の外壁側と内壁側に空隙を設け、無負荷誘起電圧を低減して回転電機の高トルク化を図ることが提案されている。
特開2017-147810号公報 国際公開2019/087747号公報
例えば、自動車向けの主機モータに適用される回転電機には高出力密度化が要求されている。回転電機の高出力密度化の手法としては、回転電機の回転速度を高めて同出力を得るために必要なトルクを低減し、鉄心体格を小型化することが挙げられる。
上記のような高速回転化に適した回転電機の設計では、回転子の周速が高まるため、回転子の耐遠心力強度の確保が重要となる。また、埋込磁石型回転子は、固定磁束となる永久磁石を有するため、その回転に伴って誘起電圧が発生する。誘起電圧は回転子の回転数に比例して高まるため、誘起電圧をインバータの耐圧よりも抑制する必要もある。
特に高速回転化に適した回転電機の設計では、より高速な回転速度を許容できることが小型に直結する。そのため、遠心力に対する強度を確保しつつ、誘起電圧を抑制することが非常に重要となる。
一方、上記の特許文献2の場合、磁石挿入孔の外壁面に空隙を設けるため、鉄心と磁石の接触面が極端に狭くなる。これにより、回転子に回転遠心力がかかると磁石挿入孔の外壁側で磁石との狭い接触面に応力が集中するので、現実には高速回転に対応することが困難である。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、高速回転時に遠心力に対する強度を確保しつつ、誘起電圧を抑制できる埋込磁石型回転子を提供する。
本発明の一態様は、鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石型回転子であって、鉄心の各々の磁極には、主磁石を収容する磁石孔が形成され、主磁石の回転子内周側に臨む第1面と磁石孔の間には、主磁石に沿って延びる空隙部が形成され、主磁石の回転子外周側に臨む第2面は磁石孔と面接触する。
上記の埋込磁石型回転子において、主磁石および磁石孔は磁極中心に配置されてもよい。また、主磁石の第1面および空隙部は、磁極中心と直交する方向に延在してもよい。
上記の埋込磁石型回転子において、主磁石および磁石孔は磁極中心を隔ててテーパー状に対向配置されてもよい。また、主磁石の第1面および空隙部は、磁極中心の直交方向に対して傾いて延在してもよい。
本発明の他の態様の回転電機は、固定子と、上記の埋込磁石型回転子とを備える。
本発明の一態様によれば、高速回転時に遠心力に対する強度を確保しつつ、誘起電圧を抑制できる埋込磁石型回転子を提供できる。
本実施形態の回転電機の横断面図である。 本実施形態における1磁極分のロータおよびステータを示す図である。 図2のロータの鉄心を示す図である。 第1磁石の内周側長辺に臨む空隙部の幅および高さを示す概要図である。 (a)は、空隙部の高さに対する電機子鎖交磁束の変化を示すグラフである。(b)は、空隙部の高さに対するd軸q軸間のインダクタンス差の変化を示すグラフである。 (a)は、空隙部の幅に対する電機子鎖交磁束の変化を示すグラフである。(b)は、空隙部の幅に対するd軸q軸間のインダクタンス差の変化を示すグラフである。 空隙部の高さに対する誘起電圧、マグネットトルク、リラクタンストルクおよびトルクの変化率を示すグラフである。 空隙部の幅に対する誘起電圧、マグネットトルク、リラクタンストルクおよびトルクの変化率を示すグラフである。 (a)は、実施例のロータの応力分布を示す図である。(b)は、比較例のロータの応力分布を示す図である。 実施例および比較例における無負荷時のギャップ磁束密度の基本波成分を示すグラフである。 最大トルク電流を印加したときの実施例と比較例の平均トルクを示す図である。 実施例と比較例における磁石の減磁率の変化を示すグラフである。 本実施形態の第1変形例における1磁極分のロータおよびステータを示す図である。 図13のロータの鉄心を示す図である。 本実施形態の第2変形例における1磁極分のロータおよびステータを示す図である。 図15のロータの鉄心を示す図である。 本実施形態の第3変形例における1磁極分のロータおよびステータを示す図である。 図17のロータの鉄心を示す図である。 本実施形態の第4変形例における1磁極分のロータおよびステータを示す図である。 図19のロータの鉄心を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
図1は、本実施形態の回転電機における回転軸Axに直交する方向の横断面を示す断面図である。
図1に示す回転電機1は、インナーロータ型モータであり、例えば車両用モータなどの高出力密度を要求される埋込磁石型同期型モータ(IPMSM)である。回転電機1は、埋込磁石型回転子の一例であるロータ2と、ロータ2の外周に配置される円筒形状のステータ3とを有する。図1において、回転電機1の回転軸Axの延長方向は紙面垂直方向である。
ロータ2の外周には、エアギャップを隔ててステータ3が配置される。回転電機1においては、コイル3bの電流制御によりステータ3の磁界を順番に切り替えることで、ロータ2の磁界との吸引力または反発力により、回転軸Axを中心としてロータ2が回転する。
ステータ3は、回転軸Axを中心とする中央の空間部分にロータ2を収容する。ステータ3の内周側には、それぞれ回転軸Axに向けて径方向内側に突出するティース3aが周方向に等間隔をおいて複数並んで設けられている。隣り合うティース3aの間には、それぞれスロットが形成される。ステータ3のスロットには、ロータ2の外周に沿ってコイル3bが装着される。
ロータ2は、鉄心4と、シャフト5と、永久磁石である第1磁石6および第2磁石7を有する。
ロータ2の鉄心4は、例えば、打ち抜き加工された珪素鋼板を軸方向に積層して形成される円筒状の部材である。鉄心4を構成する個々の珪素鋼板の間には絶縁性接着剤が介在しており、個々の珪素鋼板は互いに絶縁状態にある。そして、鉄心4の軸心部には、回転軸Axに沿ってシャフト5が嵌入されている。回転電機1において、シャフト5は軸受(不図示)により回転自在に支持されている。
本実施形態のロータ2は8極ロータであり、ロータ2の鉄心4には、周方向に沿って等間隔に8つの磁極が構成されるように所定の配列で第1磁石6、第2磁石7が配置される。なお、ロータ2において周方向に隣り合う磁極は、それぞれ逆の極性となるように第1磁石6、第2磁石7が配置される。なお、第1磁石6および第2磁石7は、軸方向に交差する断面形状がいずれも矩形状である。
図2は、本実施形態における1磁極分のロータ2およびステータ3を示す図である。図3は、図2のロータ2の鉄心4を示す図である。
ここで、鉄心4の1磁極では、図1のロータ2の軸心(回転軸Ax)と、マグネットトルクを生成する磁極中心を結ぶ軸がd-q軸座標のd軸となる。また、上記のd軸と電気角で直交する軸がd-q軸座標のq軸となる。ロータ2のうち、互いに隣り合う一対のq軸の間の部分は、リアクタンストルクを生成する補助磁極部となる。
鉄心4のd軸上には、外径側に第1磁石孔11が形成されている。また、鉄心4には、第1磁石孔11よりも内径側に一対の第2磁石孔12が形成されている。第1磁石孔11および第2磁石孔12は、それぞれ回転軸Axの延長方向(軸方向)に沿って鉄心4を貫通して形成されている。
第1磁石孔11には、主磁石としての第1磁石6が嵌入され、第2磁石孔12には、第2磁石7が嵌入されている。第1磁石6および第2磁石7は、回転軸Axと直交する平面において磁石の長辺と直交する方向に磁化されている。そして、同一磁極における第1磁石6および第2磁石7は、外周側に臨む磁極面がいずれも同一の磁気極性(S極またはN極)に揃えられている。
第1磁石孔11は、鉄心4の外周近傍に形成され、回転軸Axと直交する平面においてd軸と直交する方向に延びている。第1磁石孔11は、第1磁石6の配置領域11aと、当該配置領域11aに連通する空隙部11b、11cを有している。第1磁石孔11の空隙部11bは第1磁石6の内周側の面(第1面)6aに臨み、空隙部11cは第1磁石6の長辺両端にそれぞれ臨む。空隙部11bは、外周側よりも内周側の幅が小さい台形状をなしている。これらの空隙部11b、11cは、磁束の流れを円滑化してトルクの向上や磁石の損失を低減するフラックスバリアとして機能する。
これにより、第1磁石孔11に嵌入された第1磁石6は、d軸と直交方向に延在して配置され、空隙部11bも第1磁石6に沿ってd軸と直交方向に延在して形成される。一方、第1磁石6の外周側には空隙部が形成されておらず、第1磁石6の外周側の面(第2面)6bは両端を除いて第1磁石孔11と面接触している。
一対の第2磁石孔12は、d軸を隔てて対向し、鉄心4の外周に近づくにつれて互いの間隔が広がるテーパー状のパターンで鉄心4に形成されている。第2磁石孔12は、第2磁石7の配置領域12aを中心に有し、第2磁石7の長辺両端にはそれぞれフラックスバリアを形成する空隙部12bが臨んでいる。
以下、本実施形態における第1磁石6に臨む空隙部11bの作用について詳細に説明する。
(鎖交磁束および誘起電圧)
図4は、第1磁石6に臨む空隙部11bの幅wおよび高さhを示す概要図である。空隙部11bにおいて、第1磁石6の内周側の面6aに沿った部位の長さwを空隙部11bの幅と称し、空隙部11bの幅と直交方向の長さ(高さ)hを空隙部11bの高さと称する。なお、図4の例では、主磁石である第1磁石6の寸法は高さ3mm、幅12mmに設定されるものとする。
図5(a)は、空隙部11bの高さに対する電機子鎖交磁束ψの変化を示すグラフである。図5(b)は、空隙部11bの高さに対するd軸q軸間のインダクタンス差|L-L|の変化を示すグラフである。図5(a)、(b)の横軸は図4の空隙部11bの高さhを示す。図5(a)の縦軸は電機子鎖交磁束ψを示し、図5(b)の縦軸はインダクタンス差|L-L|を示す。
また、図6(a)は、空隙部11bの幅に対する電機子鎖交磁束ψの変化を示すグラフである。図6(b)は、空隙部11bの幅に対するd軸q軸間のインダクタンス差|L-L|の変化を示すグラフである。図6(a)、(b)の横軸は図4の空隙部11bの幅wを示す。図6(a)の縦軸は電機子鎖交磁束ψを示し、図6(b)の縦軸はインダクタンス差|L-L|を示す。
図5(a)、図6(a)から、主磁石に臨む空隙部11bの寸法が大きくなると電機子鎖交磁束ψは低下する傾向を示す。また、図5(b)、図6(b)から、主磁石に臨む空隙部11bの寸法が大きくなるとインダクタンス差|L-L|は拡大する傾向を示す。
ここで、誘起電圧V0uvは、下記の式(1)から角速度ωと電気子鎖交磁束ψの積となるため、誘起電圧V0uvの大きさは電気子鎖交磁束ψの大きさに比例する。
Figure 2024007285000002
本実施形態では、上記のように第1磁石6に臨む空隙部11bによって鎖交磁束が低下するので、誘起電圧を低減できる。
(マグネットトルクおよびリラクタンストルク)
次に、上記の空隙部11bを形成したロータ2のトルク特性について説明する。一般に、IPMSMで発生するトルクTは下記の式(2)で表される。式(2)の第1項は磁石磁束によるマグネットトルクを示し、式(2)の第2項はインダクタンス差によるリラクタンストルクを示す。
Figure 2024007285000003
マグネットトルクは、式(2)に示すように、極対数P、電気子鎖交磁束ψおよび線電流のq軸成分(i)の積となるため、マグネットトルクの大きさは電気子鎖交磁束ψに比例する。本実施形態では、上記のように第1磁石6に臨む空隙部11bによって鎖交磁束が低下するので、マグネットトルクも低下する。
その一方で、本実施形態では、上記の空隙部11bによってd軸のインダクタンスが低下するとともにq軸のインダクタンスが増加し、d軸q軸間のインダクタンス差(L-L)が大きくなる。そのため、本実施形態の構成ではリラクタンストルクが大きくなるため、マグネットトルクの低下分をリラクタンストルクで補うことができる。したがって、本実施形態の構成によれば、上記の空隙部11bを有しない構成(後述の比較例)とほぼ同等のトルクを維持できる。
図7は、空隙部11bの高さhに対する誘起電圧、マグネットトルクTmag、リラクタンストルクTreおよびトルクTの変化率を示すグラフである。図8は、空隙部11bの幅wに対する誘起電圧、マグネットトルクTmag、リラクタンストルクTreおよびトルクTの変化率を示すグラフである。図7の横軸は図4の空隙部11bの高さhを示し、図8の横軸は図4の空隙部11bの幅wを示す。図7、図8の縦軸は、誘起電圧に関しては誘起電圧の低減率(図中左側の縦軸)を示し、トルクに関してはトルクの増加率(図中右側の縦軸)を示す。なお、図7、図8では、トルクに関して所定の電流振幅および電流位相を用いて計算している。
誘起電圧の要因となる電気子鎖交磁束ψを低減するには、空隙部11bによる磁気抵抗を考慮する必要がある。電気子鎖交磁束ψはギャップ磁束に比例し、ギャップ磁束は磁石磁束からブリッジ部の漏洩磁束と上記の空隙部11bによる空隙磁束を差し引いた値として求めることができる。そして、上記の空隙部11bによる空隙磁束はその磁気抵抗に反比例する。したがって、上記の空隙部11bの高さが高くなると、空隙磁束が大きくなってギャップ磁束および電気子鎖交磁束ψが低減する。なお、上記の空隙部11bは、使用する永久磁石の磁力と寸法、許容されるトルク値もしくは要求される誘起電圧の低減率などのパラメータにより寸法の仕様が決定される。
(耐遠心力強度)
図9は、実施例および比較例のロータにおける遠心力に対する応力分布を示す図である。
図9(a)は、上記実施形態の図2の構成に対応する実施例のロータの応力分布を示す図であり、図9(b)は、比較例のロータの応力分布を示す図である。図9(a)、(b)は、いずれも回転速度30,000min-1のときの応力分布を示す。また、図9(b)の比較例は、図9(a)の実施例から第1磁石6の内周側の面6aに臨む空隙部11bを除いた構成(空隙部11bが鉄心4で埋められている構成)に相当する。
また、回転速度30,000min-1のときの実施例と比較例のミーゼス応力値を表1に示す。表1において、センターリブとは図9(a)、(b)において破線で囲んだ領域(第2磁石孔12の内径側端部に挟まれた領域)である。また、最大ミーゼス応力は、ロータ外径部に生じる応力の最大値である。
Figure 2024007285000004
実施例および比較例を比較すると、上記の空隙部11bの有無によって応力分布はほとんど変化せず、実施例の構成で局所的な応力集中も生じていない。そのため、実施例の構成の対遠心力強度は、比較例の構成の対遠心力強度とほぼ同等であるといえる。
(無負荷特性)
図10は、実施例および比較例における無負荷時のギャップ磁束密度の基本波成分を示すグラフである。図10の横軸は電気角を示し、図10の縦軸はギャップ磁束密度の基本波の振幅を示す。図10では、比較例の基本波成分の最大値を1として、実施例の基本波成分を正規化して示している。さらに、実施例および比較例における無負荷特性の算出結果を表2に示す。
Figure 2024007285000005
実施例の構成では、上記の空隙部11bによって電気子鎖交磁束が低下する。これにより、図10に示すように、実施例では比較例と比べてギャップ磁束密度が低下し、以下の効果を得ることができる。
第1に、実施例ではギャップ磁束密度の低減に比例して、誘起電圧も低減する。第2に、実施例ではギャップ磁束密度の低減によりトルク脈動の振幅が減少し、これによりコギングトルクが低減する。第3に、実施例ではギャップ磁束密度の低減により、無負荷時のステータ鉄損も低減する。
(最大トルク特性)
図11は、最大トルクが得られる電流(最大トルク電流)をコイルに印加したときの実施例と比較例の平均トルクを示す図である。図11の横軸は電流位相を示し、図11の縦軸は平均トルクを示す。また、実施例および比較例において、最大トルク電流をコイルに印加したときの平均トルクとトルクリプルの算出結果を表3に示す。
Figure 2024007285000006
実施例と比較例の電流位相が0[deg]のときの平均トルクを参照すると、実施例の場合、上記の空隙部11bによって電気子鎖交磁束が低下することで、比較例よりもマグネットトルクが低下することが分かる。また、実施例と比較例の電流位相が50[deg]のときの平均トルクを参照すると、実施例ではリラクタンストルクの増加により、実施例と比較例の平均トルクはほぼ同様となることが分かる。また、最大トルク電流をコイルに印加したときのトルクリプルは、実施例と比較例でほぼ同様である。そのため、最大トルクの回転領域において、実施例の構成による影響はほとんど生じない。
(耐減磁性)
図12は、実施例と比較例における磁石の減磁率の変化を示すグラフである。図12では、実施例および比較例のロータの第1磁石孔にネオジム焼結磁石を収容し、各磁石温度(保磁力)のときの反磁界による減磁を解析により確認した結果を示している。図12の横軸は磁石温度を示し、図12の縦軸は減磁率を示す。なお、減磁率は、反磁界を与える前の誘起電圧基本波成分に対する減少率を意味する。図12から、実施例の減磁率は、比較例の減磁率とほぼ同様の傾向を示す。そのため、上記の空隙部11bによって耐減磁性が損なわれないことが分かる。
(まとめ)
以上のように、本実施形態のロータ2の鉄心4には、主磁石としての第1磁石6を収容する第1磁石孔11が形成され、第1磁石孔11と第1磁石6の内周側の面6aの間には、第1磁石6に沿って延びる空隙部11bが形成される。本実施形態では、上記の空隙部11bの形成により、ロータ2の誘起電圧を抑制して低誘起電圧化を図りつつ、コギングトルクおよび無負荷鉄損を低減できる。なお、上記の空隙部11bを第1磁石6の内周側に形成した場合においても、ロータ2のトルク特性、耐遠心力強度および耐減磁性を損なうことはない。
また、本実施形態のロータ2は、第1磁石6の外周側の面6bが第1磁石孔11と面接触するので、遠心力が作用するロータ2の外周側において、第1磁石6と鉄心4の接触面積を十分に広くすることができる。第1磁石6の外周側の面6bと鉄心4の接触面が大きいほど、遠心力による荷重を受ける面積が大きくなることから、ロータ2に生じる応力は小さくなる。そのため、本実施形態では、高速回転時に遠心力に対するロータ2の強度を確保することが容易となる。
さらに、上記の空隙部11bをロータ2に形成して低誘起電圧化するときの副次的な効果として、低誘起電圧化によりインバータ素子の耐圧に余裕が生じるので、回転電機1のさらなる高速回転を許容できるようになる。
<実施形態の変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。各変形例の説明において、上記実施形態と同様の構成には同じ符号を付して重複説明を省略する。
図13は、本実施形態の第1変形例における1磁極分のロータ2およびステータ3を示す図である。図14は、図13のロータ2の鉄心4を示す図である。
第1変形例は、ロータ2に第1磁石6のみを配置した例であり、図2のロータ2から第2磁石孔12および第2磁石7を取り除いた構成に相当する。第1変形例も、第1磁石6の内周側には第1磁石孔11による空隙部11bが形成されるとともに、第1磁石6の外周側の面6bは鉄心4と面接触しているので、上記実施形態と同様の効果を奏する。
図15は、本実施形態の第2変形例における1磁極分のロータ2およびステータ3を示す図である。図16は、図15のロータ2の鉄心4を示す図である。第2変形例は、一対の第1磁石6がテーパー状に配置される構成例である。
第2変形例では、磁極中心から線対称をなすように一対の第1磁石孔11がロータ2の鉄心4に形成されている。一対の第1磁石孔11は、d軸を隔てて対向し、鉄心4の外周に近づくにつれて互いの間隔が広がるテーパー状のパターンで配置されている。第1磁石孔11は、第1磁石6の配置領域11aと、当該配置領域11aに連通する空隙部11b、11cを有している。空隙部11bは第1磁石6の内周側の面6aに臨み、空隙部11cは第1磁石6の長辺両端にそれぞれ臨む。第2変形例では、第1磁石6の内周側の面6aと空隙部11bはd軸およびその直交方向に対して傾いて延在している。
第2変形例においても、第1磁石6の内周側には第1磁石孔11による空隙部11bが形成されるとともに、第1磁石6の外周側の面6bは鉄心4と面接触しているので、上記実施形態と同様の効果を奏する。
図17は、本実施形態の第3変形例における1磁極分のロータ2およびステータ3を示す図である。図18は、図17のロータ2の鉄心4を示す図である。第3変形例は、第1磁石6と第2磁石7がそれぞれ一対ずつテーパー状に配置される構成例である。
第3変形例では、磁極中心から線対称をなすように第1磁石孔11および第2磁石孔12がそれぞれ一対ずつロータ2の鉄心4に形成されている。第1磁石孔11および第2磁石孔12は、d軸を隔てて対向し、鉄心4の外周に近づくにつれて互いの間隔が広がるテーパー状のパターンでそれぞれ配置されている。
第3変形例の第1磁石孔11は、第1磁石6の配置領域11aと、当該配置領域に連通する空隙部11b、11cを有している。空隙部11bは第1磁石6の内周側の面6aに臨み、に臨み、空隙部11cは第1磁石6の長辺両端にそれぞれ臨む。
第3変形例の第2磁石孔12は、第1磁石孔11よりも内径側に形成されている。それぞれの第2磁石孔12は、第2磁石7の配置領域12aを中心部に有し、第2磁石7の長辺両端にはそれぞれフラックスバリアを形成する空隙部12bが臨んでいる。第3変形例では、第1磁石6の内周側の面6aと空隙部11bはd軸およびその直交方向に対して傾いて延在している。
第3変形例においても、第1磁石6の内周側には第1磁石孔11による空隙部11bが形成されるとともに、第1磁石6の外周側の面6bは鉄心4と面接触しているので、上記実施形態と同様の効果を奏する。
図19は、本実施形態の第4変形例における1磁極分のロータ2およびステータ3を示す図である。図20は、図19のロータ2の鉄心4を示す図である。第4変形例は、1磁極に第1磁石6と径方向に延びるスポーク磁石8が配置される構成例である。
第4変形例のロータ2の鉄心4は、外周側の第1ブロック4aと内周側の第2ブロック4bを有し、第1ブロック4aと第2ブロック4bの間には空隙が形成されている。第1ブロック4aと第2ブロック4bは径方向に延びるブリッジ4cで接続されている。
第1ブロック4aには、磁極中心から線対称をなすように一対の第1磁石孔11が形成されている。第1磁石孔11は、d軸を隔てて対向し、第1ブロック4aの外周に近づくにつれて互いの間隔が広がるテーパー状のパターンで配置されている。第1磁石孔11は、第1磁石6の配置領域11aと、当該配置領域11aに連通する空隙部11b、11cを有している。空隙部11bは第1磁石6の内周側の面6aに臨み、空隙部11cは第1磁石6の長辺両端にそれぞれ臨む。第4変形例では、第1磁石6の内周側の面6aと空隙部11bはd軸およびその直交方向に対して傾いて延在している。
また、第1ブロック4aのq軸上には径方向に延びる溝4dが形成されている。溝4dには、径方向に延びるスポーク磁石8がそれぞれ嵌合される。スポーク磁石8は、永久磁石であって、回転軸Axと直交する平面において磁石の短辺と直交する方向(径方向)に磁化されている。
第4変形例においても、第1磁石6の内周側には第1磁石孔11による空隙部11bが形成されるとともに、第1磁石6の外周側の面6bは鉄心4と面接触しているので、上記実施形態と同様の効果を奏する。なお、図19では、第1ブロック4aに一対の主磁石をテーパー状に配置した例を示しているが、第4変形例の第1ブロック4aには、d軸と直交方向に延びるように1つの主磁石を配置してもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
上記の実施形態では8極ロータでの構成例を説明したが、ロータ2の極数は上記の実施形態には限定されない。また、上記実施形態ではモータの構成例を説明したが、本発明の埋込磁石型回転子は、発電機のロータとして適用されてもよい。また、本発明の埋込磁石型回転子をモータに適用する場合、モータの用途は電動車両に限定されない。
また、上記の実施形態および変形例では、ロータ2の各空隙部は空間である例を示したが、これらの空隙部内には、非磁性で透磁率の低い金属(例えば、アルミニウムや真鍮など)や、接着剤、ワニス、樹脂等が充填されていてもよい。
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…回転電機、2…ロータ、3…ステータ、4…鉄心、5…シャフト、6…第1磁石、6…内周側の面、6b…外周側の面、7…第2磁石、8…スポーク磁石、11…第1磁石孔、11a…配置領域、11b,11c…空隙部、12…第2磁石孔

Claims (4)

  1. 鉄心の周方向に磁極を複数形成した埋込磁石型回転子であって、
    前記鉄心の各々の前記磁極には、主磁石を収容する磁石孔が形成され、
    前記主磁石の回転子内周側に臨む第1面と前記磁石孔の間には、前記主磁石に沿って延びる空隙部が形成され、
    前記主磁石の回転子外周側に臨む第2面は前記磁石孔と面接触する
    埋込磁石型回転子。
  2. 前記主磁石および前記磁石孔は磁極中心に配置され、
    前記主磁石の前記第1面および前記空隙部は、前記磁極中心と直交する方向に延在する
    請求項1に記載の埋込磁石型回転子。
  3. 前記主磁石および前記磁石孔は磁極中心を隔ててテーパー状に対向配置され、
    前記主磁石の前記第1面および前記空隙部は、前記磁極中心の直交方向に対して傾いて延在する
    請求項1に記載の埋込磁石型回転子。
  4. 固定子と、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の埋込磁石型回転子と
    を備える回転電機。

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