JP2024007138A - Mems走査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】映像生成や照明に使用する可視光の強度を高めつつ、走査領域内の物体の測距を確保し、さらに、MEMSミラーの温度変化による往復回動の共振周波数の変化を抑制することができるMEMS走査装置を提供することである。【解決手段】MEMS走査装置10は、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16を制御するLD駆動回路12を備えている。LD駆動回路12は、中央領域24aに対してはRGBレーザー光源14からの可視レーザー光で走査し、外周領域24bに対しては赤外光レーザー光源16からの赤外レーザー光で走査する。各共振走査サイクルにおいて可視レーザー光のパワー量と赤外レーザー光のパワー量とは相互に等しい。【選択図】図1A

Description

本発明は、可視光及び赤外光の両方のレーザー走査光を出射するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)走査装置に関する。
特許文献1は、回動ミラーの共振駆動信号と回動角の検出信号との位相差に基づいて回動ミラーの最大振れ角を検出するMEMS走査装置を開示する。このMEMS走査装置では、MEMS走査装置が出力する走査光は可視光(具体的には、R,G,Bの3色の可視光)のみであるとともに、回動軸の回りの回動ミラーの回動範囲の両端の回動速度が0に近い部分では、可視光の照射を中止している。
一方、可視光及び赤外光の両方の走査光を出射するMEMS走査装置が知られている。このMEMS走査装置では、可視光及び赤外光の走査光の両方が照射領域の同一点を同時に照射しつつ照射領域を走査して、映像の生成と同時に物体の測距を行っている。
特開2021-117273号公報
レーザー光照射領域において人が浴びるレーザー光の強度は、許容値以下に保持する必要がある。従来のMEMS走査装置では、可視光及び赤外光の両方が照射領域の同一点を同時に照射しつつ走査しているので、人に照射されるレーザー光の強度は、可視光及び赤外光の強度(パワー)の合計となる。したがって、可視光の最大強度は、人が浴びるレーザー光の強度の許容値から赤外光の強度を引いた強度となり、許容値より相当、低くする必要がある。
一方、赤外光の走査を中止してしまうと、照射領域内においてレーザー光走査装置から所定距離以下である制限照射領域に人が侵入したことが検出できなくなってしまう。
さらに、MEMSミラーが回転軸の回りを共振周波数で往復回動しているとき、MEMSミラーの温度が変化すると、これに伴い、MEMSミラーの共振周波数が変化する。これは、MEMS走査装置が生成する映像の品質の低下原因になる。
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、レーザー光照射領域において人が浴びるレーザー光の強度を許容値以下に保持しつつ、可視光及び赤外光の強度を高めて、照射領域の照度及び測距距離の増大を図ることができるMEMS走査装置を提供することである。
本発明のMEMS走査装置は、
可視光を出射する可視光レーザー光源と、
赤外光を出射する赤外光レーザー光源と、
第1軸及び第2軸の回りにそれぞれ共振周波数及び該共振周波数より低い非共振周波数で往復回動して、前記可視光レーザー光源及び前記赤外光レーザー光源からの入射光を反射して走査光を出射するMEMSミラーと、
中央領域と、該中央領域を包囲する外周領域とから構成される走査領域に対する走査において、前記中央領域は前記可視光が走査し、前記外周領域は前記赤外光が走査するように、前記可視光レーザー光源及び前記赤外光レーザー光源を制御するとともに、前記中央領域と前記外周領域との間にいずれの光も出射しない非発光領域を設けることができるように、前記可視光レーザー光源及び前記赤外光レーザー光源の出力を制御する光源制御装置と、
を備えている。
本発明によれば、中央領域と外周領域との間にいずれの光も出射しない非発光領域を設けることができるように、可視光レーザー光源及び赤外光レーザー光源の出力を制御することにより、不要な発光を抑えつつ、各走査点のレーザーパワーを低下させて、安全性向上と消費電力低減を図ることができる。
また、半導体レーザーを制御する駆動回路の性能等(特に安価な回路を利用する場合など)によっては、駆動回路では、可視光レーザー光源及び赤外光レーザー光源を同時に点灯しないように切替駆動しても、可視光レーザー及び赤外光レーザーの点灯が瞬時に切り替わらず、現実には同時点灯してしまう可能性がある。本発明によれば、中央領域と外周領域との間にいずれの可視光レーザー及び赤外光レーザーのいずれも光を出射しない非発光領域を設けることにより、可視光レーザと赤外光レーザが同時に照射されるタイミングを確実に除去することができる。
さらに、非発光領域を設けることにより、非照射領域の幅、つまり非照射期間の長さを調整して、MEMSミラーの温度制御を行うことも可能になる。
MEMS走査装置の全体模式図である。 RGBレーザー光源及び赤外光レーザー光源からMEMS光偏向器までの光学系の詳細な構成図である。 MEMS光偏向器の斜視図である。 MEMS走査装置の詳細な構成図である。 仮想スクリーンにおける走査領域及び走査線の説明図である。 共振走査サイクルにおける水平駆動信号強度等についての説明図である。 共振走査サイクルの中央領域及び外周領域の走査期間のMEMS走査装置における光源制御のフローチャートである。 MEMS走査装置が走査領域への侵入物を探知する探知方法のフローチャートである。 映像生成期間の第2共振走査サイクルにおける赤外光パルスの出射についての説明に関し、垂直駆動信号強度と各レーザー光との関係を示す図である。 映像生成期間の第2共振走査サイクルにおける赤外光パルスの出射についての説明に関し、水平駆動信号強度と各レーザー光との関係を示す図である。 MEMS走査装置がMEMS光偏向器のMEMSミラーに対する赤外レーザー光の照射を回帰期間にも実施する場合の回帰期間における赤外光パルスの説明に関し、垂直駆動信号強度と各レーザー光との関係を示している図である。 MEMS走査装置がMEMS光偏向器のMEMSミラーに対する赤外レーザー光の照射を回帰期間にも実施する場合の回帰期間における赤外光パルスの説明に関し、水平駆動信号強度と赤外光パルスの出射との関係を示している図である。 横軸及び縦軸をそれぞれω/ωo及びφとしたときの両者の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、実施形態に限定されないことは言うまでもない。なお、複数の実施形態間で共通する構成要素については、全図を通して同一の符号を使用する。
(MEMS走査装置)
図1Aは、MEMS走査装置10の全体模式図である。MEMS走査装置10は、画像等を投影表示するためのプロジェクタ装置に適用されている。図1Aにおいて、スクリーン26は、MEMS走査装置10の構成要素には含まれない。
LD駆動回路12は、光源制御装置としてRGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16に駆動信号を供給する。RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16は、それぞれ可視光及び赤外光を光学装置18に向けて出射する。可視光とは、実施形態では、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の3色の可視光である。以下、実施形態の説明において、可視レーザー光を適宜、「RGB光」ともいう。また、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16を実施形態においてそれぞれ適宜、簡略して「RGBレーザー」及び「赤外光レーザー」ともいう。
光学装置18は、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16のそれぞれから入射して来た可視光及び赤外光の向きを、MEMS光偏向器20のMEMSミラー231の方へ変更する。赤外光レーザー光源16からの赤外光の出射は、典型的には、連続出射でなく、赤外光パルスの不連続出射で実施される。RGBレーザー光源14からの可視光の出射は、RGBレーザー光源14の間欠点灯により生成したパルス形態でもよいし、RGBレーザー光源14の連続点灯により生成したアナログの連続光であってもよい。
MEMS光偏向器20は、MEMSミラー231を備えている。MEMSミラー231には、光学装置18からの可視光及び赤外光が入射光Laとして入射する。MEMSミラー231は、図3で後述するように、直交関係のAx軸及びAy軸の2つの回転軸の回りに往復回動し、入射光Laを2軸走査の走査光Lbに変換して、走査領域24に出射する。
図1Aに図示されている走査領域24は、走査光Lbの走査範囲の平面図である。走査光Lbは、水平方向と垂直方向の2軸方向に走査するので、走査領域24は、平面図で表わされる上方視と、後述の図4のスクリーン26上の水平視との両方から示すことができる。
平面図における走査領域24(図1A)は、MEMS走査装置10が搭載されているプロジェクタ装置の前方のスクリーンに対する走査光Lbの走査領域となっている。なお、図1Aでは、説明を単純化するために、MEMS光偏向器20からの走査光Lbが直接、走査領域24を照射するようになっているが、プロジェクタ装置としてのMEMS走査装置10の実際の適用では、走査光LbがMEMS光偏向器20から出射後、所定の光学系を通過してから、装置前方の照射領域へ向かう。
走査光Lbは、上方視の走査領域24上に人25等の物体が存在するときは、当該物体に照射され、存在しないときのみ、スクリーン26に到達して、スクリーン26上を水平方向及び垂直方向に走査線49(図4)を走査する。
図1Aにおいて、Daは、走査領域24の上方視の中心線に沿って人25とスクリーン26との間の距離を示している。Daについては、後述の図6Bのフローチャートにおいて、走査領域24における人25の立ち入り制限区域に関連して、説明する。
走査領域24は、図1Aにおいて、幅方向の中央を占める中央領域24aと、幅方向に中央領域24aの両外側の縁部の外周領域24bとに区分される。中央領域24a及び外周領域24bの詳細は、図4で説明する。走査光Lb、詳細には赤外光の走査光Lbが外周領域24b内に存在する人25等の物体に照射されると、反射光Lcとなって、MEMS走査装置10の方へ戻る。
集光レンズ30は、MEMS走査装置10の方へ戻って来た反射光Lcを受光器32に集光する。距離計測回路34は、受光器32が検出した反射光Lcの検出時刻と、その反射光Lcが由来する赤外光が赤外光レーザー光源16を出射した出射時刻、実際には、当該赤外光を生成した駆動信号をLD駆動回路12が赤外光レーザー光源16に出力した時刻との差分Δtに基づいてMEMS走査装置10から反射物体までの距離を測距する。なお、MEMS走査装置10までの距離Lの算出式は、例えば、次の(1)式である。ただし、cは光速である。
(1)式:L=(c・Δt)/2
図1Bは、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16からMEMS光偏向器20までの光学系の詳細な構成図である。RGBレーザー光源14は、それぞれR(赤色)、G(緑色)及びB(青色)のレーザー光を出射する赤色レーザー光源14a、緑色レーザー光源14b及び青色レーザー光源14cを備えている。赤色レーザー光源14a、緑色レーザー光源14b及び青色レーザー光源14c並びに赤外光レーザー光源16から出射されたレーザー光は、集光レンズ15を経て、光学装置18内のそれぞれのハーフミラーやハーフプリズム等により向きを変更して、入射光LaとなってMEMS光偏向器20のMEMSミラー231に入射する。
(MEMS光偏向器)
図2は、MEMS光偏向器20の斜視図である。MEMS光偏向器20は、中心に円形のMEMSミラー231を備え、正面視が矩形になっている。1対のトーションバー232は、MEMS光偏向器20の短辺に平行にMEMSミラー231の両側から延び出している。Ax軸及びAy軸は、MEMSミラー231の表面上に定義され、MEMSミラー231の中心を原点Oとする直交座標系の座標軸である。Ay軸は、トーションバー232に沿って延在している。Ax軸及びAy軸は、それぞれMEMSミラー231が共振周波数(例:約36kHz)及び非共振周波数(例:60Hz)で往復回動するときの回転軸に一致する。Ax軸及びAy軸は、MEMSミラー231が真正面を向いた時は、MEMS光偏向器20の長辺及び短辺に平行になる。
1対の内側圧電アクチュエータ233は、MEMSミラー231を外側から包囲する楕円形の環状体を形成するように、Ax軸方向の両側からトーションバー232に結合している。可動枠部234は、1対の内側圧電アクチュエータ233を外側から包囲するとともに、内周側においてAx軸に沿って延在する結合部を介して各内側圧電アクチュエータ233に結合している。
1対の外側圧電アクチュエータ235は、可動枠部234と固定枠部236との間に介在して、可動枠部234を固定枠部236の長辺に平行な回転軸の回りに回動自在に支持している。各外側圧電アクチュエータ235は、ミアンダパターンの配列で直列結合されている複数のカンチレバーから構成され、可動枠部234を固定枠部236の長辺に平行な回転軸の回りに往復回動させることによりMEMSミラー231をAx軸の回りに非共振周波数で往復回動させる。
MEMS光偏向器20は、後述の制御装置100(図3)から内側圧電アクチュエータ233及び外側圧電アクチュエータ235の駆動電圧を受ける。これにより、内側圧電アクチュエータ233及び外側圧電アクチュエータ235は、それぞれ共振周波数及び共振周波数より低い非共振周波数で、MEMSミラー231をそれぞれAy軸及びAx軸の回りに往復回動させる。
図3は、MEMS走査装置10の詳細な構成図である。図3において、図1A及び図2の要素に対応する要素は、それに付けた符号の後の括弧内に図1A及び図2の対応要素の符号を記載している。
制御装置100は、システム制御部102、距離計測部104、レーザーパワー計測部106、光源駆動部108、共振駆動信号生成部110、非共振駆動信号生成部112及び共振センサ信号処理部114を備えている。システム制御部102は、制御装置100内の複数の要素を統括し、所定の要素から入力したデータを処理して送信データを生成し、生成したデータを対応する要素に出力する。
距離計測部104は、受光素子152からの信号に基づいて走査領域24内に存在する人25等の測距対象の測距を行う。レーザーパワー計測部106は、レーザー受光部150が計測したレーザーパワー信号を受信して、レーザーパワー(RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16の出力)を計測する。光源駆動部108は、半導体光源120,122に駆動信号としての赤外パルス信号及び画像データ信号をそれぞれ出力する。
共振駆動信号生成部110及び非共振駆動信号生成部112は、MEMSスキャニングミラーデバイス126の内側圧電アクチュエータ233及び外側圧電アクチュエータ235(図2)にそれぞれ共振駆動信号及び非共振駆動信号を供給する。共振センサ信号処理部114は、MEMSスキャニングミラーデバイス126から、MEMSミラー231の振動数の検出信号としての共振センサ信号を受信する。
半導体光源120,122は、それぞれ赤外光及び可視光(RGB)を出射する。出射された赤外光及び可視光は、ハーフミラー140,142により向きをMEMSスキャニングミラーデバイス126のMEMSミラーの方に変更する。MEMSスキャニングミラーデバイス126から赤外光及び可視光の走査光は、スクリーン128に投影される。ジャイロセンサ124は、MEMS走査装置10が搭載されているプロジェクタ装置等の相対位置の変化を検出し、システム制御部102に出力する。システム制御部102は、入力した加速度信号などに基づくプロジェクタ装置の移動をトリガーとしてRGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16の挙動を制御する。
(走査線)
図4は、スクリーン26における走査領域24及び走査線49の説明図である。図1の走査領域24が上方視であるのに対し、図4の走査領域24は、MEMS走査装置10から正対して見た正面視であり、水平視でもある。走査領域24は、中央領域24aと、中央領域24aを外側から包囲する外周領域24bとに区分される。走査領域24は、横方向には左から順番に横範囲46a,46b,46cに分割され、縦方向には上から順番に縦範囲48a,48b,48cに分割されている。
中央領域24aは、横範囲46bと縦範囲48bとが相互に重なる領域として定義される。外周領域24bは、横範囲46a及び横範囲46cの全領域と、縦範囲48a及び縦範囲48cの全領域とから成る。
走査線49(破線)は、走査領域24の上辺の中心から出発して、走査領域24の左辺と右辺とを往復しながら下降し、走査領域24の下辺の中心に至っている。走査線49は、可視光走査線49aと赤外光走査線49bとから構成されている。中央領域24aの走査線49は、可視光走査線49aのみから成り、外周領域24bの走査線49は、赤外光走査線49bのみから成るように、LD駆動回路12(図1)は、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16への駆動電流を制御する。なお、可視光走査線49aと赤外光走査線49bとの間は、隙間が空いていてもよい。言い換えれば、中央領域24aと外周領域bとの間にRGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16のいずれも照射されない領域があっても良い。
スクリーン26における映像の生成は、可視光走査線49aによって行われるので、走査線49が中央領域24aを走査している期間は、「投影期間」と呼ぶことにする。また、可視光走査線49aの走査が行われない外周領域24bを走査線49が走査している期間は、「非投影期間」と呼ぶことにする。
なお、前述したように、典型的には、RGBレーザー光源14からの可視光の出射は、RGBレーザー光源14の連続点灯による連続出射である。これに対し、赤外光レーザー光源16からの赤外光の出射は、パルス形態で行われる。したがって、中央領域24a内の走査線49としての可視光走査線49aは、連続した走査線となる。これに対し、外周領域24b内の走査線49としての赤外光走査線49bは、連続線とならず、不連続線となる。図4におけるt1,t2,t3,t4,t5については、次の図5において説明する。
図5は、共振走査サイクルにおける水平駆動信号強度Vh等についての説明図である。共振走査サイクルとは、MEMS光偏向器20のMEMSミラー231がAy軸の回りを共振周波数で往復回動するときに走査線49が水平方向に往復するサイクルを意味する。共振走査サイクルの開始時刻は、1サイクル中の任意の時刻(位相)を選択することができるが、図5及び前述の図4では、説明の便宜上、共振走査サイクルは、走査線49がスクリーン26において横範囲46aから横範囲46bへ進入した時刻t1から次に再び横範囲46aから横範囲46bへ進入した時刻t5までを1サイクルとする。なお、前述の図4におけるt1~t5は、図5の時刻t1~t5における走査点の位置を示している。
時刻t1-時刻t2は、往路のRGBレーザー照射期間として、MEMS走査装置10は、中央領域24aにおいて左から右へ走査する可視光走査線49aを生成する。この期間において、赤色レーザー光源14a、緑色レーザー光源14b及び青色レーザー光源14cから出射されるレーザー光の合計パワーPaの平均値Pa1は、次の(2)式により表わされる。
(2)式:Pa1={∫t1 t2(Pr+Pg+Pb)dt}/Ta
ただし、Pr,Pg,Pbは、可視光の出射期間の各時点における赤色レーザー光源14a、緑色レーザー光源14b及び青色レーザー光源14cがそれぞれ出射する赤色レーザー光、緑色レーザー光及び青色レーザー光のパワーである。したがって、時刻t1-時刻t2におけるそれらのパワー量(パワー×時間)Waは、次の(3)式で表わされる。なお、本明細書では、パワー及びパワー量をそれぞれ「出力|及び「出力量」ということもある。また、パワー量はエネルギーでもある。
(3)式:パワー量Wa=Pa1×Ta
時刻t2-時刻t3は、1回目のブランク期間(走査線49が横範囲46cと縦範囲48bとの重なる領域を走査している期間)である。赤外光は、この1回目のブランク期間の赤外光走査線49b上の所定箇所(例:ブランク期間の中心時刻に赤外光走査線49bが位置する箇所)で赤外光パルスQpとして赤外光レーザー光源16から出射される。このブランク期間において、赤外光パルスQpのパワー量Wbは、次の式(4)で表わされる。
(4)式:パワー量Wb=Pb1×Tb
ただし、Pb1は、時刻t2-時刻t3における赤外光レーザー光源16から出射されるレーザー光の出射パワーPbの値である。
このMEMS走査装置10では、1つの赤外光パルスQpのパルス幅としてのTbは固定されている。また、赤外光パルスQpの出射パワーPbは赤外レーザー光の出射中、一定値を維持する。したがって、LD駆動回路12は、(4)式のWbがWb=Waとなるように、出射パワーPb1を算出して、赤外光レーザー光源16の駆動信号を制御する。
この結果、MEMSミラー231にRGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16からそれぞれ時刻t1-時刻t2及び時刻t2-時刻t3においてそれぞれ出射する可視光及び赤外光のパワー量は等しくなる。換言すると、MEMSミラー231が入射光Laから吸熱する吸熱量は、時刻t1-時刻t2の期間と、時刻t2-時刻t3の期間とで相互に等しくなる。このことは、後述するように、MEMSミラー231の温度変化を抑制し、Ay軸の回りのMEMSミラー231の共振周波数の変化を低減し、スクリーン26において可視レーザー光により生成される映像の品質を向上させる。
時刻t3-時刻t4及び時刻t4-時刻t5は、それぞれ時刻t1-時刻t3の共振走査サイクルと同一の共振走査サイクルにおける復路のRGBレーザー照射期間、及び2回目のブランク期間である。換言すると、時刻t1-時刻t3と時刻t3-時刻t5とは、それぞれ同一の共振走査サイクルの前半及び後半の半サイクルである。
LD駆動回路12は、後半の半サイクルでは、前半の半サイクルと同様に、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16を制御する。具体的には、LD駆動回路12は、前述の(2)式~(4)式のPa1、Pb1をPa2,Pb2に置き換えて、後半の半サイクルおける可視レーザー光の合計出射パワーの平均値Pa2及び赤外光パルスQpの出射パワーPbの値Pb2を算出する。そして、LD駆動回路12は、出射パワーPbがPb2と等しくなるように、時刻t4-時刻t5の期間の赤外光レーザー光源16の駆動信号を制御する。
この結果、後半の半サイクルにおいても、MEMSミラー231にRGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16からそれぞれ時刻t3-時刻t4及び時刻t4-時刻t5においてそれぞれ出射する可視光及び赤外光のパワー量は等しくなる。換言すると、MEMSミラー231は、中央領域24aに対する可視光走査線49aによる走査が含まれる共振走査サイクルでは、MEMSミラー231が入射レーザー光から受けるパワーの変動が抑制される。
(走査線制御方法)
図6Aは、共振走査サイクルの中央領域24a及び外周領域24bの走査期間のMEMS走査装置10における光源制御のフローチャートである。なお、第1共振走査サイクルの光源制御とは、図4のスクリーン26において、走査線49が縦方向に縦範囲48bを走査している期間の光源制御に相当する。図4のスクリーン26において、走査線49が縦方向に縦範囲48a,48cを走査している期間の光源制御は、図7A-図8Bで別途説明する。MEMS走査装置10におけるRGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16の制御は、具体的には制御装置100のシステム制御部102が所定のソフトウェアを使って実施する。
STEP101では、システム制御部102は、投影期間(走査線49が中央領域24aを走査している期間)が開始されたか否かを判定し、判定結果が肯定的であれば、STEP102の処理に進み、判定結果が否定的であれば、判定結果が肯定的となるまで、STEP101を繰り返す。投影期間の開始時刻はブランク期間(走査線49が中央領域24aに対して横方向へ一側又は他側の外周領域24bを走査している期間)の終了時刻でもある。
STEP102では、システム制御部102は、現時点のRGBレーザー光源14の合計出射パワーを検出して記録する。
STEP103では、システム制御部102は、投影期間が終了したか否かを判定し、判定結果が肯定的であれば、STEP104の処理に進み、否定的であれば、STEP102に戻る。
STEP104では、システム制御部102は、投影期間中のRGBレーザー光源14の合計のパワー量Waを算出する。システム制御部102は、合計のパワー量Waを算出するために、例えば前述の(3)式に基づいて計算する。
STEP105では、システム制御部102は、パワー量Waの赤外光パルスQpを赤外光レーザー光源16から出射する。システム制御部102は、その後、STEP101の処理へ戻る。
これにより、第1共振走査サイクルの各半サイクルにおいて、MEMSミラー231に入射する可視レーザー光の入射パワー量Pwは、可視光走査線49aによる投影期間と赤外光走査線49bによるブランク期間とで相互に等しくなる。すなわち、MEMSミラー231の温度変化が抑制される。この結果、MEMSミラー231の温度変化によるMEMSミラー231の共振周波数の変動が抑制されるため、可視レーザー光が中央領域24aに生成する画像品質が向上する。
(異常状態判定方法)
図6Bは、MEMS走査装置10が走査領域24への侵入物を探知する探知方法のフローチャートである。図6BのSTEP111において、システム制御部102は、現在が非投影期間か否かを判定し、判定結果が肯定的であれば、STEP112の処理に進み、否定的であれば、全処理を終了する。なお、非投影期間とは、図5のブランク期間を意味する。
STEP112では、システム制御部102は、赤外光パルスQpの出射の有無を判定し、判定結果が有りであれば、STEP113の処理に進み、無しであれば、全処理を終了する。
STEP113では、システム制御部102は、反射光Lcの受光の有無を判定し、判定結果が有りであれば、処理をSTEP114へ進め、無しであれば、全処理を終了する。詳細には、システム制御部102は、STEP113で赤外光パルスQpの出射有りと判定した時刻から所定時間(現実にはほぼ瞬時)を待って、該時間内に反射光Lcを受光器32が受光したときのみ、反射光Lc有りと判定し、所定時間待っても、受光器32が反射光Lcを受光しないときは、反射光Lc無しと判定する。
STEP114では、システム制御部102は、反射光Lcの反射元の対象物の測距を行う。具体的な計算は、前述の(1)式が用いられる。
STEP115では、システム制御部102は、STEP114で測距した対象物までの距離Lが基準値未満であるか否かを判定し、判定結果が肯定的であれば、STEP116に処理を進め、否定的であれば、全処理を終了する。
基準値は、人25が浴びるレーザー光の強度の許容レベルに対応する距離として設定されている。したがって、MEMS走査装置10から人25までの距離が基準値以上であれば、人25が浴びるレーザー光の強度は、許容レベル以下であることを意味する。また、MEMS走査装置10から人25までの距離が基準値未満であれば、人25が浴びるレーザー光の強度は、許容レベルを超えていることを意味する。
MEMS走査装置10から走査領域24に出射したレーザー光のパワーは、レーザー光が遠くに行くにつれて、弱まっていく。前述の図1Aでは、走査領域24においてスクリーン26からMEMS光偏向器20の手前の方に距離Daの範囲内が安全領域と定められ、距離Da以上、離れた範囲は危険領域と設定されている。すなわち、スクリーン26からMEMS光偏向器20の手前の方に距離Daの箇所が距離Lの基準値と定められている。
MEMS走査装置10では、赤外レーザー光による対象物までの測距は、外周領域24bの対象物に対してのみ実施され、中央領域24aの対象物に対しては実施されない。しかしながら、MEMS走査装置10の作動開始は、走査領域24内に人25が立ち入っていないことを運転者等のMEMS走査装置10のユーザが目視で確認してから実施される。したがって、もし走査領域24内に人が立ち入っているとしたら、MEMS走査装置10の作動開始後のことであり、また、走査領域24内への人の侵入は、中央領域24aより先に外周領域24bに立ち入る必要がある。この結果、中央領域24a内の人25の存否を判定しなくても、外周領域24bのみへの人25の侵入を監視するだけで、走査領域24全体の人25の存否を判断することができる。
STEP116では、システム制御部102は、異常事態の対応処理を実行する。対応処理には、例えば、MEMS走査装置10の作動停止、すなわち、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16からのレーザー光の出射停止が含まれる。さらに、基準値を第1基準値Lr1と、第2基準値Lr2(ただし、Lr2<Lr1)との2つ設定し、L<Lr2のときは、MEMS走査装置10の作動を直ちに停止し、Lr2≦L<Lr1であるときは、所定時間、人25又は運転手に対して警告音を鳴らし、人25が自発的に走査領域24から立ち去るか、運転手がMEMS走査装置10を手操作で停止させるかしなかったときのみ、MEMS走査装置10の作動を自動停止させることもできる。
(第2共振サイクルにおける赤外光パルスの出射)
図7A及び図7Bは、映像生成期間の第2共振走査サイクルにおける赤外光パルスの出射についての説明に関し、図7Aは、垂直駆動信号強度Vvと各レーザー光との関係を示し、図7Bは、水平駆動信号強度Vhと各レーザー光との関係を示している。
図7Aにおいて、縦縞の領域は、第1共振走査サイクルを示し、途中でRGBレーザ-(RGBレーザー光源14)の照射と赤外光レーザー(赤外光レーザー光源16)の照射とを切り替える共振走査サイクルを示している。これに対し、横縞の領域は、途中でRGBレーザ-の照射と赤外光レーザーの照射とを切り替えることなく、赤外光レーザーの照射のみを行う第2共振走査サイクルを示している。
前述したように、MEMS光偏向器20のMEMSミラー231は、Ax軸の回りを非共振周波数で往復動する。この往復動により、走査線49は、スクリーン26において縦方向(垂直方向)に往復する。走査線49がスクリーン26の縦方向に1往復するサイクルを非共振走査サイクルとする。非共振走査サイクルは、走査線49がスクリーン26において上辺から下辺へ下降する下降期間と、下辺から上辺へ上昇する上昇期間とに分割される。
このMEMS走査装置10では、可視光走査線49aは、走査線49の下降期間のみ生成されるので、下降期間を映像生成期間と呼び、走査線49上昇期間は、走査線49を次の映像生成期間の映像生成のために走査線49を戻すだけで映像は生成しない期間であるので、回帰期間と呼ぶ。
図7Aにおいて、Tfa,Tfbは、それぞれ映像生成期間及び回帰期間を示している。Tva及びTvbは、図4のスクリーン26において、走査線49がそれぞれ縦範囲48a,48cを走査している期間である。
時刻t11,t12,t13,t14,t15,t16,t17,t18は、それら時刻に対応するTva又はTvbの開始時刻又は終了時刻を示す。図に示すように、回帰期間Tfbの長さ<映像生成期間Tfaの長さに設定されている。これは、制御装置100からMEMS光偏向器20の外側圧電アクチュエータ235に供給する駆動電圧を二等辺三角形型の三角波ではなく、のこぎり波の波形にすることで実現される。
図7Aにおいて、赤外レーザー光照射としての赤外光パルスQr照射は、回帰期間Tfbにおいて停止されている。これにより、MEMSミラー231は、回帰期間Tfbに可視レーザー光及び赤外レーザー光に関係なくレーザー光の照射が全面的に停止することになる。しかしながら、回帰期間Tfbにおける垂直駆動信号強度Vvの変化速度を早めれば、この停止期間を十分に短くすることができ、MEMSミラー231の温度低下に因るMEMSミラー231の共振周波数の変化を抑制することができる。
図7Bにおいて、時刻tn1,tn2は、映像生成期間Tfaにおいての可視光走査線49aと赤外光走査線49bとの両方を含む第1共振走査サイクルのうちの最後の共振走査サイクルにおける復路側の可視レーザー光照射期間の開始時刻及び終了時刻をそれぞれ示している。なお、映像生成期間Tfaにおいての可視光走査線49aと赤外光走査線49bとの両方を含む共振走査サイクルを第1共振走査サイクルと呼び、映像生成期間Tfaにおいて可視光走査線49aを含まない共振走査サイクルを第2共振走査サイクルと呼ぶ。Tuは、第1共振走査サイクルの周期である。
各第2共振サイクルでは、図7Bに示すように、Tu/4の周期で赤外光パルスQrが赤外光レーザーから出射される。赤外光パルスQrの出射パワー量(出力)は、最初の第2共振サイクルの前で最後の第1共振サイクルの2つあるうちの後の方のブランク期間の赤外光パルスQrの出射パワー量に等しくされている。こうして、第2共振サイクルが連続する期間中、MEMSミラー231は、当該最後の第1共振サイクルの終わりの半サイクルにおける入射光Laから単位時間当たりに吸熱した吸熱量を維持し、温度を一定に維持する。これは、MEMSミラー231の共振周波数が維持されることを意味する。
(回帰期間の赤外光パルスQpの出射)
図8A及び図8Bは、MEMS走査装置10がMEMS光偏向器20のMEMSミラー231に対する赤外レーザー光の照射を回帰期間にも実施する場合の回帰期間における赤外光パルスQpの説明に関し、図8Aは、垂直駆動信号強度Vvと各レーザー光との関係を示し、図8Bは、水平駆動信号強度Vhと赤外光パルスQpの出射との関係を示している。
図8Aでは、横縞の領域が図7Aの横縞の領域に対して回帰期間にも追加されている。すなわち共振走査サイクルが赤外光レーザー(赤外光レーザー光源16)の照射のみを含む回帰期間にも実施される。
図8Aでは、赤外レーザー光照射としての赤外光パルスQrの照射が、所定の出射パワー量と所定の周期Tu/4とで回帰期間Tfbにおいても継続的に実施されている。これにより、MEMSミラー231は、回帰期間Tfbにおける赤外光パルスQrの継続的な入射により温度低下を抑制されつつ、すなわち共振周波数を当該回帰期間Tfbの1つ前の映像生成期間Tfaの値に維持しつつ、1つ後の映像生成期間はTfaに移る。なお、当該1つ後の映像生成期間の第1共振サイクルの前に連続する第2共振サイクルにおいても、当該回帰期間Tfbにおける所定の出射パワー量と所定の周期Tu/4とによる赤外光パルスQrの出射が継続される。
補足すると、回帰期間Tfbにおける全部の共振サイクルでは、映像の生成はないので、可視レーザー光の出射はまったくない。一方、赤外光パルスQrの出射は、所定の出射パワー量と所定の周期Tu/4で継続的に実施される。所定の出射パワー量とは、回帰期間Tfbの1つ前の映像生成期間Tfaの最後の第2共振サイクルにおいて赤外光レーザー光源16が出射した赤外光パルスQrの出射パワー量に等しい出射パワー量である。また、最後の第2共振サイクルにおける赤外光パルスQrの出射パワー量は、図7Bで示した最初の第2共振サイクルの赤外光パルスQrから継続している出射パワー量である。
こうして、回帰期間Tfbにおいても、MEMSミラー231が入射光Laから吸熱する単位時間当たりの吸熱量は一定に維持される。この結果、MEMSミラー231は、温度を維持し、これにより、共振周波数も回帰期間Tfbにおいても当該回帰期間Tfbの1つ前の映像生成期間の共振周波数に維持される。
(MEMSミラーの温度と共振周波数との関係)
MEMSミラーの共振周波数の変動が共振周波数の共振軸(MEMS光偏向器20では、Ay軸)の回りの位相の遅れに与える影響は、次の(I1)式の位相遅れφにより表わされる。
Figure 2024007138000002
図9は、横軸及び縦軸をそれぞれω/ω及びφとしたときの両者の関係を示すグラフである。図9から、共振周波数(=ω)と駆動周波数(=ω)とが一致しているときは、φ=90°で安定するが、差が生じると、φが大きく変化する。MEMS走査装置10は、φ=90°に固定されているとして、RGBレーザー光源14から可視レーザー光を出射するので、φが90°からずれることは、MEMS走査装置10が生成する映像の品質を低下させてしまう。そして、MEMSミラー231は、φ=90°になる設定温度で共振周波数が設定されているので、MEMSミラー231の温度は、設定温度に維持されることが望まれる。
第1共振走査サイクルにおけるMEMSミラー231への可視レーザー光の入射期間と赤外レーザー光入射期間(ブランク期間)との入射エネルギー量(入射パワー量)が均衡させること、すなわちMEMSミラー231がレーザー光から吸熱する熱量を両期間で均衡させる条件について説明する。
まず、レーザー光の入射レーザー光の照射エネルギーの可視光走査線49aの走査期間と赤外光走査線49bの走査期間(ブランク期間)とでRGBレーザーの消灯により共振周波数が変動することを実験で確認できた。次に、(a)全面白色(RGBレーザー光源14の最大出力)の映像投影(白色投影)を行う場合と、(b)全面黒色(RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16の全消灯に因る出力ゼロの状態を意味する。)の映像投影(黒色投影)を行う場合とを比較実験を行った。
比較実験において、共振周波数は、白色投影では36,055Hz、黒色投影では36,059Hzとなり、両者で4Hzの差が生じることが確認できた。
レーザー出力については、白色投影は66.1mW、黒色投影は0Wとしている。ブランク期間を3%に設定した場合の消灯期間は、次式で計算される。
(1 / 36055)× 0.03= 0.83μs
ブランク期間のRGBレーザー消灯で生じるエネルギーの消失を補うためには、パワー66.1mW 、パルス幅0.83μsで赤外レーザーのパルス発光を行った。
ブランク期間を設定した場合の共振周波数は、RGBレーザー点灯と消灯とを繰り返しているため、全面白色と全面黒色で生じる差の範囲内で細かく変動した。また、共振周波数の差とブランク期間の長さとは、線形関係にならない。点灯・消灯の直後から周波数は大きく動き、その後は比較的ゆっくりとした変化となる。なお、変化は、構造や周囲環境で大きく左右される。
光の波長とMEMSミラーの反射率との関係については、一般的にMEMSミラーによって反射される光はその波長によって反射率が異なる。MEMSミラーの反射率が低いほど熱に変換される光の量が多くなることを考慮して、RGB光と赤外光で同等のエネルギーを加えるための調整を行う必要がある。
以下の値は実験用機材を用いた場合の一例であり、使用機材・環境により数値は大きく異なる。レーザー光の波長とMEMSミラーの反射率との関係は次のとおりである。
赤外光(波長/905nm):反射率=84.3%
赤色光(波長/640nm):反射率=93.7 %
緑色光(波長/520nm):反射率=95.1 %
青色光(波長/450nm):反射率=94.1 %
この場合、RGB光の平均反射率を94.3%とし、反射されずに熱に変換される光の量を同等にすることを考え、前項での白色投影時の出力66.1mWに当てはめると、結果は次のようになる。
(100-84.3)/(100-94.3)=15.7/5.7 = 2.754
赤外光で熱に変換されるエネルギー(パワー量):(66.1/2.754)* 0.157= 24.0* 0.157 = 3.768mW
RGB光で熱に変換されるエネルギー: 66.1 * 0.057 = 3.768mW
赤外光を24.0mWで発光するとRGB光と同等の熱になる。
(変形例)
MEMS走査装置10の走査線49では、水平方向走査において走査線49は、中央領域24aと外周領域24bとの境において可視光走査線49aと赤外光走査線49bとに一瞬で切り替わるように説明しているが、本発明のMEMS走査装置では、徐々に切り替わるようにしたり、中央領域24aと外周領域bとの間にRGBレーザー光源14のRGB光及び赤外光レーザー光源16の赤外光のいずれも照射されないように、すなわち非発光領域を設けられるように、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16を駆動信号を制御してもよい。
非発光領域を設けることも効果は次のとおりである。
(a)不要な発光を抑えつつ、各走査点のRGB光と赤外光との合計のレーザーパワー(RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16の出力)を低下させて、安全性向上と消費電力低減を図ることができる。
(b)半導体レーザーを制御する駆動回路の性能等(特に安価な回路を利用する場合など)によっては、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16の駆動回路では、RGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16を同時に点灯しないように切替駆動しても、現実はRGBレーザー光源14及び赤外光レーザー光源16の点灯と消灯とが瞬時に切り替わらず、同時点灯状態の可能性がある。これに対し、中央領域24aと外周領域24bとの間にRGB光及び赤外光のいずれも出射しない非発光領域を駆動信号段階で制御しておくようにしておけば、RGBレーザー光源14のRGB光及び赤外光レーザー光源16の赤外光が同時に照射される事態を確実に除去することができる。
(c)非発光領域を設けることにより、非照射領域の幅(走査線49上の非照射の長さ)、つまり非照射期間の長さを調整して、MEMSミラー231の温度制御を行うことも可能になる。
本発明に実施形態のMEMS走査装置10は、車両用灯具に適用されている。本発明のMEMS走査装置は、車両用灯具以外にも、投影装置(プロジェクタ)や、車両に搭載されない屋内又は屋外の照明装置等にも適用可能である。
MEMS走査装置10では、赤外光パルスQpのパワー量は、出射パワーPbのみで調整している。本発明のMEMS走査装置では、赤外パルスのパワー量を出射パワーPbとパルス幅との少なくとも一方で調整することができる。
10・・・MEMS走査装置、12・・・LD駆動回路14・・・RGBレーザー光源、14a・・・赤色レーザー光源、14b・・・緑色レーザー光源、14c・・・青色レーザー光源、16・・・赤外光レーザー光源、20・・・MEMS光偏向器、24・・・走査領域、24a・・・中央領域、24b・・・外周領域、25・・・人、32・・・受光器、34・・・距離計測回路、49・・・走査線、49a・・・可視レーザー光走査線、49b・・・赤外光走査線、100・・・制御装置、231・・・MEMSミラー。

Claims (7)

  1. 可視光を出射する可視光レーザー光源と、
    赤外光を出射する赤外光レーザー光源と、
    第1軸及び第2軸の回りにそれぞれ共振周波数及び該共振周波数より低い非共振周波数で往復回動して、前記可視光レーザー光源及び前記赤外光レーザー光源からの入射光を反射して走査光を出射するMEMSミラーと、
    中央領域と、該中央領域を包囲する外周領域とから構成される走査領域に対する走査において、前記中央領域は前記可視光が走査し、前記外周領域は前記赤外光が走査するように、前記可視光レーザー光源及び前記赤外光レーザー光源を制御するとともに、前記中央領域と前記外周領域との間にいずれの光も出射しない非発光領域を設けることができるように、前記可視光レーザー光源及び前記赤外光レーザー光源の出力を制御する光源制御装置と、
    を備えることを特徴とするMEMS走査装置。
  2. 請求項1記載のMEMS走査装置において、
    前記光源制御装置は、前記赤外光レーザー光源からの前記赤外光の出射を赤外光パルスで行うことを特徴とするMEMS走査装置。
  3. 請求項2記載のMEMS走査装置において、
    前記光源制御装置は、前記MEMSミラーの共振往復回動サイクルに対応する共振走査サイクルのうち前記中央領域の走査が含まれない第2共振走査サイクルでは、該第2共振走査サイクルより前の最後の第1共振走査サイクルの最後の外周領域走査において前記赤外光レーザー光源が出射した赤外光パルスのパワー量に等しいパワー量の赤外光パルスを複数回、前記赤外光レーザー光源から出射させることを特徴とするMEMS走査装置。
  4. 請求項2記載のMEMS走査装置において、
    前記光源制御装置は、
    前記第2軸の回りの前記MEMSミラーの非共振往復回動サイクルに対応する非共振走査サイクルは、前記MEMSミラーが前記第2軸の回りをそれぞれ一方及び他方の方向に回動する期間に対応する映像生成期間及び回帰期間の2つの期間から構成され、各回帰期間の共振走査サイクルでは、該回帰期間が後続する映像生成期間における最後の第2共振走査サイクルの複数の前記赤外光パルスの合計出射パワー量に等しい合計出射パワー量となる複数の前記赤外光パルスを前記赤外光レーザー光源から出射させることを特徴とするMEMS走査装置。
  5. 請求項2~4のいずれか1項に記載のMEMS走査装置において、
    さらに、
    前記赤外光レーザー光源から出射された前記赤外光パルスの反射パルスを受光する受光部と、
    前記赤外光パルスの出射時刻と前記受光部が前記赤外光パルスの前記反射パルスを受光した受光時刻との差分に基づいて前記反射パルスの反射元の物体までの距離を測定する測距部と、
    を備えていることを特徴とするMEMS走査装置。
  6. 請求項1記載のMEMS走査装置において、
    前記MEMSミラーの共振往復回動サイクルに対応する共振走査サイクルのうち、前記中央領域の走査が含まれる第1共振走査サイクルでは、前記MEMSミラーが前記入射光から吸熱する熱量が前記中央領域の走査期間と前記外周領域の走査期間とで等しくなるように、前記可視光レーザー光源及び前記赤外光レーザー光源の出力を制御する光源制御装置、
    を備えることを特徴とするMEMS走査装置。
  7. 請求項1記載のMEMS走査装置において、
    前記MEMSミラーが前記入射光から吸熱する熱量が前記中央領域の走査期間と前記外周領域の走査期間とで等しくなるように前記非発光領域を設けることができる、
    前記可視光レーザー光源及び前記赤外光レーザー光源の発光期間を制御する光源制御装置、
    を備えることを特徴とするMEMS走査装置。
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