JP2024006438A - パーティション、固定体付きパーティション及び建物 - Google Patents

パーティション、固定体付きパーティション及び建物 Download PDF

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Miki Kazama
淳一 松永
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達也 大橋
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Abstract

【課題】光の反射を効果的に抑制するとともに、透明積層フィルムの側縁及び下縁がむき出しにならないパーティション、固定体付きパーティション及び建物を提供することを目的とする。
【解決手段】パーティション10は、光の反射率が3%以下の透明積層フィルム30と、透明積層フィルム30を支持するフィルム支持部70と、を備える。透明積層フィルム30は、上縁30b1と、下縁30b2と、一対の側縁30aと、を有する。フィルム支持部70は、上縁30b1に取り付けられるとともに、固定体に吊り下げられて透明積層フィルム30を支持する上縁取付部71と、各々の側縁30aをそれぞれ保護する一対の側縁保護材72と、を有する。
【選択図】図1A

Description

本開示は、パーティション、固定体付きパーティション及び建物に関する。
従来より、対面する者同士の間での、くしゃみや咳による唾液等の飛沫の移動を防止するためのパーティションが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、透明なアクリル板製の仕切りパネルと、仕切りパネルを直立状態に支持するスタンドと、を備えるパーティションが開示されている。このようなパーティションは、対面する者同士の間に置かれて、対面する者同士の間での唾液等の飛沫の移動を防止する。
登録実用新案第3232184号公報
ところで、このようなパーティションにおいて、仕切りパネルの代わりに透明なフィルムを用いることが求められる場合がある。特に、パーティションに、光の反射が抑制された透明積層フィルムを用いることが求められる場合がある。この場合、使用者等が透明積層フィルムに映り込むことが抑制されて、パーティションを挟んで対面する者同士が互いの姿を見にくくなることを抑制できる。ここで、パーティションに透明積層フィルムを用いるときに、透明積層フィルムの縁部、特に側縁及び下縁がむき出しにならないようにすることが求められる場合がある。例えば、透明積層フィルムの縁部は、平滑ではなくギザギザとした形状を有する場合があり、この場合に、パーティションの使用者が透明積層フィルムの縁部に接触すると、使用者がちくちくとした触感を感じるおそれがあった。例えば、使用者がこのような触感を感じることを抑制するために、透明積層フィルムの側縁及び下縁がむき出しにならないようにすることが求められる場合があった。
本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、光の反射を効果的に抑制するとともに、透明積層フィルムの側縁及び下縁がむき出しにならないパーティション、固定体付きパーティション及び建物を提供することを目的とする。
本開示の第1の態様は、光の反射率が3%以下の透明積層フィルムと、
前記透明積層フィルムを支持するフィルム支持部と、を備え、
前記透明積層フィルムは、上縁と、下縁と、一対の側縁と、を有し、
前記フィルム支持部は、前記上縁に取り付けられるとともに、固定体に吊り下げられて前記透明積層フィルムを支持する上縁取付部と、各々の前記側縁をそれぞれ保護する一対の側縁保護材と、を有する、パーティションである。
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様によるパーティションにおいて、前記フィルム支持部は、前記下縁を保護する下縁保護材をさらに有してもよい。
本開示の第3の態様は、上述した第2の態様によるパーティションにおいて、前記側縁保護材及び前記下縁保護材は、金属製又は樹脂製の部材であってもよい。
本開示の第4の態様は、上述した第2の態様又は上述した第3の態様によるパーティションにおいて、前記側縁保護材は、前記側縁に接着されていてもよく、
前記下縁保護材は、前記下縁に接着されていてもよい。
本開示の第5の態様は、上述した第2の態様又は上述した第3の態様によるパーティションにおいて、前記側縁保護材は、前記側縁を挟むことによって前記側縁に取り付けられていてもよく、
前記下縁保護材は、前記下縁を挟むことによって前記下縁に取り付けられていてもよい。
本開示の第6の態様は、上述した第2の態様から上述した第5の態様のそれぞれによるパーティションにおいて、前記側縁保護材は、前記透明積層フィルムが位置する平面と交差するように前記側縁から両側に延びる側縁延長部を有していてもよく、
前記下縁保護材は、前記透明積層フィルムが位置する平面と交差するように前記下縁から両側に延びる下縁延長部を有していてもよい。
本開示の第7の態様は、上述した第6の態様によるパーティションにおいて、前記側縁延長部は、前記透明積層フィルムが位置する平面と交差するように前記側縁から両側に延びる側縁延長部フィルムを含んでいてもよく、
前記下縁延長部は、前記透明積層フィルムが位置する平面と交差するように前記下縁から両側に延びる下縁延長部フィルムを含んでいてもよく、
前記側縁延長部フィルム及び前記下縁延長部フィルムは、それぞれ、光の反射率が3%以下であってもよい。
本開示の第8の態様は、上述した第6の態様によるパーティションにおいて、前記側縁保護材は、前記側縁延長部に連結されるとともに、前記透明積層フィルムが位置する平面に平行な板状の側縁本体部を更に有していてもよく、
前記下縁保護材は、前記下縁延長部に連結されるとともに、前記透明積層フィルムが位置する平面に平行な板状の下縁本体部を更に有していてもよい。
本開示の第9の態様は、上述した第6の態様から上述した第8の態様のそれぞれによるパーティションにおいて、前記側縁延長部の先端と前記透明積層フィルムとの間の、前記透明積層フィルムと直交する方向の幅W1は10mm以上であり、
前記下縁延長部の先端と前記透明積層フィルムとの間の、前記透明積層フィルムと直交する方向の幅W2は10mm以上であってもよい。
本開示の第10の態様は、上述した第1の態様から上述した第9の態様のそれぞれによるパーティションにおいて、前記側縁保護材は、粘着テープを含み、
前記粘着テープは、前記一対の側縁を覆っていてもよい。
本開示の第11の態様は、上述した第10の態様によるパーティションにおいて、前記粘着テープは、透明であってもよい。
本開示の第12の態様は、上述した第10の態様によるパーティションにおいて、前記粘着テープは、アルミニウムの蒸着層を含んでいてもよい。
本開示の第13の態様は、上述した第1の態様から上述した第12の態様のそれぞれによるパーティションにおいて、前記透明積層フィルムは、第1面反射防止層と、第1面反射防止層の反対側に位置する第2面反射防止層とを含んでもよい。
本開示の第14の態様は、上述した第1の態様から上述した第13の態様のそれぞれによるパーティションと、
前記上縁取付部が吊り下げられる前記固定体とを備え、
前記固定体は、台座部と、前記台座部から上方へ延びる柱部と、前記柱部から水平方向に延びる吊り下げ部とを有する、固定体付きパーティションである。
本開示の第15の態様は、上述した第1の態様から上述した第13の態様のそれぞれによるパーティションを備える、建物である。
本開示によれば、光の反射を効果的に抑制するとともに、透明積層フィルムの側縁及び下縁がむき出しにならないパーティション、固定体付きパーティション及び建物を提供できる。
図1Aは、一実施の形態によるパーティションを示す斜視図である。 図1Bは、図1Aに示すパーティションの垂直断面図(図1AのIB-IB線断面図)である。 図1Cは、図1Aに示すパーティションの水平断面図(図1AのIC-IC線断面図)である。 図2Aは、一実施の形態による保護フィルム付き透明積層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。 図2Bは、一実施の形態による保護フィルム付き透明積層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。 図2Cは、一実施の形態による保護フィルム付き透明積層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。 図2Dは、一実施の形態による保護フィルム付き透明積層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。 図2Eは、一実施の形態による保護フィルム付き透明積層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。 図2Fは、一実施の形態による保護フィルム付き透明積層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。 図3Aは、一実施の形態によるパーティションの第1変形例を示す斜視図である。 図3Bは、一実施の形態によるパーティションの側縁保護材の第1変形例を示す断面図(図3AのIIIB-IIIB線断面図)である。 図3Cは、一実施の形態によるパーティションの側縁保護材の第1変形例を示す断面図である。 図4Aは、一実施の形態によるパーティションの第2変形例の一例を示す斜視図である。 図4Bは、一実施の形態によるパーティションの第2変形例の一例を示す正面図である。 図4Cは、一実施の形態によるパーティションの第2変形例の一例を示す正面図である。 図5Aは、一実施の形態によるパーティションの第3変形例を示す斜視図である。 図5Bは、図5Aに示すパーティションの水平断面図(図5AのVB-VB線断面図)である。 図5Cは、図5Aに示すパーティションの垂直断面図(図5AのVC-VC線断面図)である。 図6Aは、一実施の形態によるパーティションの第4変形例を示す斜視図である。 図6Bは、図6Aに示すパーティション10の側縁延長部フィルムを示す側面図である。 図7は、一実施の形態によるパーティションの第5変形例を示す正面図である。 図8は、実施例及び比較例による飛沫防止機能評価試験を説明する図である。
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。図1A乃至図2Fは本実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
パーティション
まず、パーティション10について説明する。図1Aは、本実施の形態によるパーティション10の一例を示している。図1Bは、図1Aに示すパーティション10を、後述する透明積層フィルム30の第1面301及び後述する水平面Gに垂直な面において切断した断面を示す垂直断面図である。図1Cは、図1Aに示すパーティション10を、後述する水平面Gに平行な面において切断した断面を示す水平断面図である。なお、本明細書中、「上」及び「下」とは、それぞれパーティション10を正立させた状態(図1A及び図1B)における上方及び下方のことをいう。
パーティション10は、例えば会議室や打合せスペースなどの部屋R内に置かれる。このパーティション10は、部屋Rの空間を区画するために使用され得る。パーティション10は、部屋Rに配置された机Tの上方に配置されてもよい。パーティション10は、机Tの上方において、例えば、使用者H1と、使用者H1に対面する使用者H2との間に配置され得る。パーティション10は、唾液等の飛沫が使用者H1と使用者H2との間を移動することを防止する役割を果たす。図1Aに示す例において、パーティション10は、部屋Rの内部に置かれる机Tの上方に、互いに対向する使用者H1、H2の前方を遮るように置かれている。図1Aに示す例において、パーティション10は、机Tの上方の、机Tの上面から離間した位置に配置されている。図示はしないが、パーティション10は机Tの上面に接触して配置されていてもよい。
図1A乃至図1Cに示すように、パーティション10は、透明積層フィルム30と、透明積層フィルム30を支持するフィルム支持部70とを備える。
透明積層フィルム30の形状は特に限定されず、パーティション10によって仕切られる空間の形状などに応じて適宜定められる。図1Aに示す例において、透明積層フィルム30は、矩形の形状を有する。透明積層フィルム30は、第1面301及び第1面301の反対側に位置する第2面302を有する。第1面301と第2面302とは、互いに平行である。また、透明積層フィルム30は、上縁30b1と、下縁30b2と、一対の側縁30aとを有する。一対の側縁30aは、水平面G(図1B参照)に垂直となっている。上縁30b1及び下縁30b2は、水平面Gに平行となっている。そして、一対の側縁30aは、上縁30b1と下縁30b2との間に延びている。透明積層フィルム30のその他の構成については、後述する。
次に、フィルム支持部70について説明する。
(フィルム支持部)
上述したように、フィルム支持部70は、透明積層フィルム30を支持する。図1Aにおいて、フィルム支持部70は、透明積層フィルム30を載置面の上方で支持している。フィルム支持部70は、透明積層フィルム30を平坦化した状態で支持することが好ましい。これにより、透明積層フィルム30における光の反射を効果的に抑制できる。
図1Aにおいて、フィルム支持部70は、上縁取付部71と、一対の側縁保護材72を有する。図1Aにおいて、フィルム支持部70は、下縁保護材73をさらに有する。側縁保護材72は、上縁取付部71と下縁保護材73との間を延びている。上縁取付部71は、水平面Gに垂直かつ直線状に、上縁30b1の延びる方向に延びている。下縁保護材73は、水平面Gに垂直かつ直線状に、下縁30b2の延びる方向に延びている。一対の側縁保護材72は、水平面Gに平行かつ直線状に、側縁30aの延びる方向に延びている。
上縁取付部71は、透明積層フィルム30の上縁30b1に取り付けられるとともに、固定体に吊り下げられて透明積層フィルム30を支持している。本実施形態による上縁取付部71は、上縁30b1に接着されることによって、上縁30b1に取り付けられている。なお、本明細書における「接着」は、粘着層の作用によって粘着層を介して複数の部材を接合することや、接着剤による作用によって複数の部材を接合することが含まれる。本実施形態による上縁取付部71は、粘着層を形成する粘着テープ81を介して上縁30b1に接着されている。図1Bにおいて、上縁取付部71は、透明積層フィルム30の第1面301に接着される上縁第1部分71aと、透明積層フィルム30の第2面302に接着される上縁第2部分71bと、を有する。上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bは、板状の部材から構成されている。上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bは、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板面をもつ。なお、本実施形態において、透明積層フィルム30が位置する平面とは、透明積層フィルム30の第1面301及び第2面302に平行な面である。上縁第1部分71aは、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第1面301に接着されている。上縁第2部分71bは、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第2面302に接着されている。上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bは、上縁30b1が上縁第1部分71aと上縁第2部分71bとの間に挟まれるように、透明積層フィルム30に接着されている。これによって、上縁30b1は、上縁取付部71により、むき出しにならないように保護されている。言い換えれば、正面視又は背面視において、上縁30b1は、上縁取付部71によって覆われている。なお、図示はしないが、上縁取付部71は、上縁30b1を保護していなくてもよい。すなわち、上縁30b1が、むき出しになっていてもよい。
図1Aにおいて、上縁取付部71は、上方へ突出する複数の突起部71eを有する。各々の突起部71eには、貫通孔71dが設けられている。貫通孔71dには、紐Cが通されている。
図1Aにおいて、上縁取付部71が吊り下げられる固定体は、パーティション10が置かれる部屋Rの壁Wに取り付けられた棒状の部材Dである。上縁取付部71は、紐Cを介して、固定体である棒状の部材Dに吊り下げられている。図示はしないが、上縁取付部71は、紐C以外の部材を介して固定体に吊り下げられてもよいし、上縁取付部71が直接固定体に取り付けられることによって固定体に吊り下げられてもよい。また、固定体は、壁Wに取り付けられた棒状の部材Dに限られない。固定体として、上縁取付部71を吊り下げることのできる物品を、特に限られず用い得る。図示はしないが、固定体は、パーティション10が置かれる部屋Rの天井、壁又は梁であってもよい。すなわち、上縁取付部71は、天井、壁又は梁から吊り下げられてもよい。
上縁取付部71が、透明積層フィルム30の上縁30b1に取り付けられるとともに、固定体に吊り下げられていることによって、パーティション10が固定体に吊り下げられて、机Tの上方に配置される。この場合、パーティション10と机Tとの間に、隙間が形成されていてもよい。あるいは、パーティション10が、机Tに接触していてもよい。
上縁取付部71の材料は、上縁30b1に取り付けられ得て、且つ固定体に吊り下げられ得る限り、特に限られない。上縁取付部71は、例えば金属製又は樹脂製の部材であってもよい。一例として、上縁取付部71の材料は、後述する側縁保護材72及び下縁保護材73の材料の少なくともいずれか一方の材料と同様であってもよい。
上縁取付部71は、反射率が、後述する透明積層フィルム30の反射率よりも大きい部分を含んでいてもよい。これによって、使用者が、パーティション10の上方の端部を視認しやすくなる。また、上縁取付部71は、全光線透過率(JISK7361-1:1997)が、透明積層フィルム30の全光線透過率よりも小さい部分を含んでいてもよい。これによっても、使用者が、パーティション10の上方の端部を視認しやすくなる。
一対の側縁保護材72は、各々の側縁30aをそれぞれ保護する。図1Aにおいて、フィルム支持部70は、一対の側縁保護材72として、図1Aの左方に位置する第1の側縁保護材72と、図1Aの右方に位置する第2の側縁保護材72と、を有している。第1の側縁保護材72は、透明積層フィルム30の、図1Aの左方に位置する第1の側縁30aを保護している。第2の側縁保護材72は、図1Aの右方に位置する第2の側縁30aを保護している。
本実施形態による側縁保護材72は、透明積層フィルム30の側縁30aに取り付けられて、側縁30aがむき出しにならないように側縁30aを保護する。本実施形態による側縁保護材72は、側縁30aに接着されている。図1Cにおいて、一対の側縁保護材72の各々は、透明積層フィルム30の第1面301に接着される側縁第1部分72aと、透明積層フィルム30の第2面302に接着される側縁第2部分72bと、を有する。側縁第1部分72a及び側縁第2部分72bは、板状の部材から構成されている。側縁第1部分72a及び側縁第2部分72bは、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板面をもつ。側縁第1部分72aは、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第1面301に接着されている。側縁第2部分72bは、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第2面302に接着されている。側縁第1部分72a及び側縁第2部分72bは、側縁30aが側縁第1部分72aと側縁第2部分72bとの間に挟まれるように、透明積層フィルム30に接着されている。これによって、側縁30aは、側縁保護材72により、むき出しにならないように保護されている。言い換えれば、正面視又は背面視において、側縁30aは、側縁保護材72によって覆われている。このため、パーティション10の側方の端部は、側縁保護材72によって構成されている。
図示はしないが、側縁保護材72は、側縁第1部分72aを有し、側縁第2部分72bを有しなくてもよい。この場合、側縁30aが、透明積層フィルム30の第1面301側からの観察において側縁第1部分72aに覆われるように、第1面301に側縁第1部分72aを接着してもよい。これによって、透明積層フィルム30の第1面301側に位置する使用者から見て側縁30aがむき出しにならないように、側縁30aを保護できる。このため、透明積層フィルム30の第1面301側に位置する使用者がパーティション10に触れようとする場合に、使用者が側縁30aに触れることを抑制できる。また、図示はしないが、側縁保護材72は、側縁第2部分72bを有し、側縁第1部分72aを有しなくてもよい。この場合、側縁30aが、透明積層フィルム30の第2面302側からの観察において側縁第2部分72bに覆われるように、第2面302に側縁第2部分72bを接着してもよい。これによって、透明積層フィルム30の第2面302側に位置する使用者から見て側縁30aがむき出しにならないように、側縁30aを保護できる。このため、透明積層フィルム30の第2面302側に位置する使用者がパーティション10に触れようとする場合に、使用者が側縁30aに触れることを抑制できる。
下縁保護材73は、下縁30b2を保護する。図1A及び図1Bに示すように、本実施形態による下縁保護材73は、透明積層フィルム30の下縁30b2に取り付けられて、下縁30b2がむき出しにならないように下縁30b2を保護する。本実施形態による下縁保護材73は、下縁30b2に接着されている。図1Bにおいて、下縁保護材73は、透明積層フィルム30の第1面301に接着される下縁第1部分73aと、透明積層フィルム30の第2面302に接着される下縁第2部分73bと、を有する。下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bは、板状の部材から構成されている。下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bは、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板面をもつ。下縁第1部分73aは、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第1面301に接着されている。下縁第2部分73bは、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第2面302に接着されている。下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bは、下縁30b2が下縁第1部分73aと下縁第2部分73bとの間に挟まれるように、透明積層フィルム30に接着されている。これによって、下縁30b2は、下縁保護材73により、むき出しにならないように保護されている。言い換えれば、正面視又は背面視において、下縁30b2は、下縁保護材73によって覆われている。このため、パーティション10の下方の端部は、下縁保護材73によって構成されている。
図示はしないが、下縁保護材73は、下縁第1部分73aを有し、下縁第2部分73bを有しなくてもよい。この場合、下縁30b2が、透明積層フィルム30の第1面301側からの観察において下縁第1部分73aに覆われるように、第1面301に下縁第1部分73aを接着してもよい。これによって、透明積層フィルム30の第1面301側に位置する使用者から見て下縁30b2がむき出しにならないように、下縁30b2を保護できる。このため、透明積層フィルム30の第1面301側に位置する使用者がパーティション10に触れようとする場合に、使用者が下縁30b2に触れることを抑制できる。また、図示はしないが、下縁保護材73は、下縁第2部分73bを有し、下縁第1部分73aを有しなくてもよい。この場合、下縁30b2が、透明積層フィルム30の第2面302側からの観察において下縁第2部分73bに覆われるように、第2面302に下縁第2部分73bを接着してもよい。これによって、透明積層フィルム30の第2面302側に位置する使用者から見て下縁30b2がむき出しにならないように、下縁30b2を保護できる。このため、透明積層フィルム30の第2面302側に位置する使用者がパーティション10に触れようとする場合に、使用者が下縁30b2に触れることを抑制できる。また、図示はしないが、フィルム支持部70は、下縁保護材73を有していなくてもよい。
上述したように、側縁30aは、側縁保護材72の側縁第1部分72aと側縁第2部分72bとの間に挟まれている。このため、側縁保護材72は、透明積層フィルム30の側縁30aが曲がることを抑制する。また、下縁30b2は、下縁保護材73の下縁第1部分73aと下縁第2部分73bとの間に挟まれている。このため、下縁保護材73は、透明積層フィルム30の下縁30b2が曲がることを抑制する。このために、側縁保護材72及び下縁保護材73によって、透明積層フィルム30を、平坦化された状態で支持できる。特に、本実施形態による後述する透明積層フィルム30は、一般的なパーティションに用いられるアクリル板よりも曲がりやすいと考えられるところ、このような透明積層フィルム30を、平坦化された状態で支持できる。これによって、後述する透明積層フィルム30を用いて光の反射を抑制するとともに透明性を向上させつつ、透明積層フィルム30の曲がりを抑制できる。以上より、透明積層フィルム30の曲げに起因する、透明積層フィルム30の表面おけるシワ(波打ち形状)の発生を抑制できる。このため、使用者H1、H2同士が互いの姿を視認しにくくなることを抑制できる。
ここで、透明積層フィルム30を、平坦化された状態で支持する観点からは、側縁保護材72及び下縁保護材73の剛性は大きいことが好ましい。一例として、側縁保護材72及び下縁保護材73は、金属製又は樹脂製の部材であることが好ましい。金属製又は樹脂製の側縁保護材72及び下縁保護材73によれば、十分な大きさの剛性を得やすい。これによって、側縁保護材72及び下縁保護材73の剛性を十分に大きくして、透明積層フィルム30を、安定的に平坦化された状態で支持できる。側縁保護材72及び下縁保護材73を金属製の部材とする場合、側縁保護材72及び下縁保護材73の材料は、例えばアルミニウムや鉄、チタンなどの金属やステンレスなどの合金であってもよい。より具体的には、側縁保護材72及び下縁保護材73は、アルミニウム製の部材であってもよい。これによって、より安定的に、透明積層フィルム30を、平坦化された状態で支持できる剛性が得られる。また、下縁保護材73が金属製の部材である場合、下縁保護材73が重りとしての役割を果たすことができる。これにより、透明積層フィルム30が安定的に平坦化されるようにできる。
側縁保護材72及び下縁保護材73を樹脂製の部材とする場合、側縁保護材72及び下縁保護材73の材料は、例えばアクリル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂であってもよい。なお、側縁保護材72及び下縁保護材73の材料は、透明積層フィルム30の曲げ応力などに応じて選択されてもよい。
側縁保護材72及び下縁保護材73は、反射率が、後述する透明積層フィルム30の反射率よりも大きい部分を含んでいてもよい。これによって、使用者が、パーティション10の側方の端部及び下方の端部を視認しやすくなる。また、側縁保護材72及び下縁保護材73は、全光線透過率(JISK7361-1:1997)が透明積層フィルム30の全光線透過率よりも小さい部分を含んでいてもよい。これによっても、使用者が、パーティション10の側方の端部及び下方の端部を視認しやすくなる。
図1Aにおいて、一対の側縁保護材72は、上端において上縁取付部71と接触している。また、一対の側縁保護材72は、下端において下縁保護材73と接触している。これによって、透明積層フィルム30の上縁30b1、下縁30b2及び一対の側縁30aの全体が、上縁取付部71、一対の側縁保護材72及び下縁保護材73によって保護されている。また、フィルム支持部70は、全体として矩形の枠状の形状を有している。図1Aにおいて、一対の側縁保護材72と上縁取付部71とは、直接連結されてはいない。一対の側縁保護材72と上縁取付部71とは、一対の側縁保護材72が一対の側縁30aに取り付けられ、上縁取付部71が上縁30b1に取り付けられることで、透明積層フィルム30を介して連結されている。図1Aにおいて、一対の側縁保護材72と下縁保護材73とは、直接連結されてはいない。一対の側縁保護材72と下縁保護材73とは、一対の側縁保護材72が一対の側縁30aに取り付けられ、下縁保護材73が下縁30b2に取り付けられることで、透明積層フィルム30を介して連結されている。図示はしないが、一対の側縁保護材72と上縁取付部71とは、直接連結されていてもよい。また、一対の側縁保護材72と下縁保護材73とは、直接連結されていてもよい。
(透明積層フィルム)
次に、透明積層フィルム30の詳細について説明する。透明積層フィルム30は、上述したように、パーティション10に用いられる。パーティション10に用いられる前の透明積層フィルム30には、第1面301または第2面302を保護する保護フィルムが取り付けられていてもよい。ここでは、まず、透明積層フィルム30に保護フィルムが取り付けられた保護フィルム付き透明積層フィルム60について説明する。図2A乃至図2Fは、保護フィルム付き透明積層フィルム60の層構成の一例を示している。図2A乃至図2Fに示すように、保護フィルム付き透明積層フィルム60は、本実施の形態による透明積層フィルム30と、透明積層フィルム30の第1面301を保護する第1面保護フィルム61と、透明積層フィルム30の第2面302を保護する第2面保護フィルム62とを備えている。
このうち第1面保護フィルム61及び第2面保護フィルム62は、それぞれ透明積層フィルム30の第1面301及び第2面302に傷が付くことを抑制するとともに、第1面301及び第2面302が異物等によって汚染されることを抑制する役割を果たす。この第1面保護フィルム61及び第2面保護フィルム62は、それぞれ着脱自在に透明積層フィルム30に取り付けられている。第1面保護フィルム61及び第2面保護フィルム62は、それぞれ図示しない接合層を含み、この接合層により、透明積層フィルム30に取り付けられていてもよい。なお、接合層の粘着力は、例えば、0.05N/25mm以上5N/25mm以下程度であってもよい。また、上述したパーティション10を使用する際には、第1面保護フィルム61及び第2面保護フィルム62は、それぞれ透明積層フィルム30から剥がされる。第1面保護フィルム61及び第2面保護フィルム62の材料は、例えば、ポリエステル樹脂やポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンからなるフィルムであってもよい。
次に、本実施の形態による透明積層フィルム30の層構成について説明する。図2A乃至図2Fに示すように、透明積層フィルム30は、第1面反射防止層40と、第1面反射防止層40の反対側に位置する第2面反射防止層50とを含む。図2A乃至図2Fにおいて、第1面反射防止層40は、第1面301を構成する。第2面反射防止層50は、第2面302を構成する。また、図2A及び図2Bに示すように、透明積層フィルム30は、第1面反射防止層40と第2面反射防止層50とを互いに接着する透明接着層31を更に含んでもよい。
具体的には、図2A及び図2Bに示すように、透明積層フィルム30は、第1面301から第2面302に向かって、第1面反射防止層40と、透明接着層31と、第2面反射防止層50とをこの順に備えている。この場合、透明積層フィルム30において、第1面反射防止層40が、第1面301側から外方に露出する。また、透明積層フィルム30において、第2面反射防止層50が、第2面302側から外方に露出する。
また、図2A及び図2Bに示す例においては、第1面反射防止層40は、第1面301から第2面302に向かって順に配置された第1面反射防止機能層41と、第1面透明基材層42とを有している。また、第1面反射防止機能層41は、第1面301から第2面302に向かって順に配置された第1面屈折層43と、第1面ハードコート層44とを含んでいる。更に、第1面屈折層43は、第1面301から第2面302に向かって順に配置された第1面低屈折率層45と、第1面高屈折率層46とを含んでいる。ここで、第1面高屈折率層46は、図2Bに示すように、第1面301から第2面302に向かって順に配置された第1の第1面高屈折率層47と、第2の第1面高屈折率層48とを含んでいてもよい。
また、図2A及び図2Bに示す例においては、第2面反射防止層50は、第2面302から第1面301に向かって順に配置された第2面反射防止機能層51と、第2面透明基材層52とを有している。また、第2面反射防止機能層51は、第2面302から第1面301に向かって順に配置された第2面屈折層53と、第2面ハードコート層54とを含んでいる。更に、第2面屈折層53は、第2面302から第1面301に向かって順に配置された第2面低屈折率層55と、第2面高屈折率層56とを含んでいる。ここで、図2Bに示すように、第2面高屈折率層56は、第2面302から第1面301に向かって順に配置された第1の第2面高屈折率層57と、第2の第2面高屈折率層58とを含んでいてもよい。
更に、図2C及び図2Dに示すように、透明積層フィルム30は、第1面反射防止層40と第2面反射防止層50との間に位置するコア層32を更に含んでもよい。この場合、透明積層フィルム30は、第1面反射防止層40とコア層32とを互いに接着する第1透明接着層31aと、コア層32と第2面反射防止層50とを互いに接着する第2透明接着層31bとを更に含んでもよい。
具体的には、図2C及び図2Dに示すように、透明積層フィルム30は、第1面301から第2面302に向かって、第1面反射防止層40と、第1透明接着層31aと、コア層32と、第2透明接着層31bと、第2面反射防止層50とをこの順に備えている。この場合においても、透明積層フィルム30において、第1面反射防止層40が、第1面301側から外方に露出する。また、透明積層フィルム30において、第2面反射防止層50が、第2面302側から外方に露出する。
また、図2C及び図2Dに示す例においても、第1面反射防止層40は、第1面301から第2面302に向かって順に配置された第1面反射防止機能層41と、第1面透明基材層42とを有している。また、第1面反射防止機能層41は、第1面301から第2面302に向かって順に配置された第1面屈折層43と、第1面ハードコート層44とを含んでいる。更に、第1面屈折層43は、第1面301から第2面302に向かって順に配置された第1面低屈折率層45と、第1面高屈折率層46とを含んでいる。ここで、第1面高屈折率層46は、図2Dに示すように、第1面301から第2面302に向かって順に配置された第1の第1面高屈折率層47と、第2の第1面高屈折率層48とを含んでいてもよい。
また、図2C及び図2Dに示す例においても、第2面反射防止層50は、第2面302から第1面301に向かって順に配置された第2面反射防止機能層51と、第2面透明基材層52とを有している。また、第2面反射防止機能層51は、第2面302から第1面301に向かって順に配置された第2面屈折層53と、第2面ハードコート層54とを含んでいる。更に、第2面屈折層53は、第2面302から第1面301に向かって順に配置された第2面低屈折率層55と、第2面高屈折率層56とを含んでいる。ここで、図2Dに示すように、第2面高屈折率層56は、第2面302から第1面301に向かって順に配置された第1の第2面高屈折率層57と、第2の第2面高屈折率層58とを含んでいてもよい。
上述したように、図2A乃至図2Dに示す例において、第1面反射防止層40は、第1面透明基材層42上に第1面高屈折率層46及び第1面低屈折率層45を有する基本構成からなる。また、上述したように、第2面反射防止層50は、第2面透明基材層52上に第2面高屈折率層56及び第2面低屈折率層55を有する基本構成からなる。第1面高屈折率層46(第2面高屈折率層56)及び第1面低屈折率層45(第2面低屈折率層55)は、光学干渉機能により反射防止機能を付与する役割を果たす。
第1面反射防止層40(第2面反射防止層50)は、更に中屈折率層を設ける等して3層以上の光学干渉機能による反射防止機能を付与してもよいが、あまりに多層構造にすると費用対効果の点から好ましくない。したがって、本実施の形態による第1面反射防止層40(第2面反射防止層50)は、第1面高屈折率層46(第2面高屈折率層56)及び第1面低屈折率層45(第2面低屈折率層55)の2層で光学干渉機能による反射防止機能を付与する構成であることが好ましい。なお、第1面反射防止層40(第2面反射防止層50)は、第1面ハードコート層44(第2面ハードコート層54)を中屈折率化して、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の3層で光学干渉機能による反射防止機能を付与してもよい。
また、図2E及び図2Fに示すように、第1面屈折層43は、第1面高屈折率層46を含んでいなくてもよい。また、図2E及び図2Fに示すように、第2面屈折層53は、第2面高屈折率層56を含んでいなくてもよい。
以下、透明積層フィルム30の各層について説明する。
<第1面反射防止層及び第2面反射防止層>
第1面反射防止層40は、透明積層フィルム30の第1面301側から入射する光の反射を抑制するための層である。透明積層フィルム30が第1面反射防止層40を備えていることにより、透明積層フィルム30の第1面301における光の反射を抑制できる。これにより、例えば透明積層フィルム30の第1面301側に居る使用者H1が、透明積層フィルム30の第2面302側に居る使用者H2を視認した際に、使用者H2の姿の視認性を向上できる。より具体的には、使用者H1が使用者H2を視認した際に、透明積層フィルム30の第1面301に使用者H1自身の顔などが映り込むことを抑制できる。これにより、使用者H1から使用者H2の姿が視認しにくくなることが抑制される。このため、例えば使用者H1から見た使用者H2の表情や口元の動きの視認性を向上できる。これによって、使用者H1と使用者H2との間において、円滑なコミュニケーションを図れる。また、使用者H1が、透明積層フィルム30の第1面301において反射する光によって、不快感や疲労感を覚えることを抑制できる。
一方、第2面反射防止層50は、透明積層フィルム30の第2面302側から入射する光の反射を抑制するための層である。透明積層フィルム30が第2面反射防止層50を備えていることにより、透明積層フィルム30の第2面302における光の反射を抑制できる。これにより、例えば透明積層フィルム30の第2面302側に居る使用者H2が、透明積層フィルム30の第1面301側に居る使用者H1を視認した際に、使用者H1の姿の視認性を向上できる。より具体的には、使用者H2が使用者H1を視認した際に、透明積層フィルム30の第2面302に使用者H2自身の顔などが映り込むことを抑制できる。これにより、使用者H2から使用者H1の姿が視認しにくくなることが抑制される。このため、例えば使用者H2から見た使用者H1の表情や口元の動きの視認性を向上できる。これによって、使用者H1と使用者H2との間において、円滑なコミュニケーションを図れる。また、使用者H2が、透明積層フィルム30の第2面302において反射する光によって、不快感や疲労感を覚えることを抑制できる。
第1面反射防止層40は、上述したように、第1面反射防止機能層41と、第1面透明基材層42とを有している。また、第2面反射防止層50は、上述したように、第2面反射防止機能層51と、第2面透明基材層52とを有している。ここでは、まず、第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52について説明する。
[第1面透明基材層及び第2面透明基材層]
第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52は、例えば、第1面反射防止機能層41や第2面反射防止機能層51を支持するとともに、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50の全体の強度を高めるための層である。第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52の材料は、一般的なフィルムの基材として用いられる透明な材料であれば特に限定されないが、材料コスト、生産性等の観点から、好ましくはプラスチックフィルム、プラスチックシート等を、用途に応じて適宜選択できる。
プラスチックフィルム又はプラスチックシートの材料としては、各種の合成樹脂からなる材料が挙げられる。合成樹脂としては、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、セロファン等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;低密度ポリエチレン樹脂(線状低密度ポリエチレン樹脂を含む)、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、エチレンαオレフィン共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーあるいは、これらの混合物等のポリオレフィン樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹脂等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;又はポリイミド樹脂等が好ましく挙げられる。また、第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52の材料は、シクロオレフィンポリマー(COP)系樹脂、シクロオレフィンコポリマー(COC)系樹脂であってもよい。
第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52としては、上記したプラスチックフィルム、プラスチックシートの中から単独で、又は2種以上を選んで混合物として使用できるが、柔軟性、強靭性、透明性などの観点から、第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52の材料としては、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂がより好ましい。また、柔軟性、強靭性、透明性などの観点から、第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52は、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレートを含んでいることが好ましい。
第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52の厚みについては、特に制限はなく、用途に応じて適宜選択される。第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52の厚みは、それぞれ5μm以上130μm以下程度であってもよく、耐久性やハンドリング性等を考慮すると、10μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、各層の厚みは、それぞれ、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から3箇所の厚みを測定し、3箇所の値の平均値から算出できる。測定する膜厚がμmオーダーの場合、SEMを用いることが好ましく、nmオーダーの場合、STEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は1kV以上10kV以下とすることが好ましく、STEMの場合、加速電圧は10kV以上30kV以下とすることが好ましい。なお、以下に説明する各層についても、各層の膜厚は、第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52の膜厚と同様の方法によって測定できる。
[第1面反射防止機能層及び第2面反射防止機能層]
次に、第1面反射防止機能層41及び第2面反射防止機能層51について説明する。第1面反射防止機能層41及び第2面反射防止機能層51は、それぞれ第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50に対して、光の反射を抑制する機能を付与する役割を果たす。
また、第1面反射防止機能層41は、第1面透明基材層42上にコーティングされたコーティング層であってもよく、第2面反射防止機能層51は、第2面透明基材層52上にコーティングされたコーティング層であってもよい。このように、第1面反射防止機能層41及び第2面反射防止機能層51がコーティング層であることにより、第1面反射防止機能層41及び第2面反射防止機能層51の厚みを容易に制御でき、透明積層フィルム30の光の反射率や全光線透過率といった所望の機能を容易に制御できる。
第1面反射防止機能層41及び第2面反射防止機能層51は、それぞれアクリルモノマーを含む硬化物からなることが好ましい。これにより、短時間の加工によっても均一性が高い第1面反射防止機能層41及び第2面反射防止機能層51を形成できる。
ここで、第1面反射防止機能層41は、上述したように、第1面屈折層43と、第1面ハードコート層44とを含んでいる。また、第2面反射防止機能層51は、上述したように、第2面屈折層53と、第2面ハードコート層54とを含んでいる。第1面ハードコート層44は、第1面透明基材層42上にコーティングされたコーティング層であってもよく、第1面屈折層43は、第1面ハードコート層44上にコーティングされたコーティング層であってもよい。また、第2面ハードコート層54は、第2面透明基材層52上にコーティングされたコーティング層であってもよく、第2面屈折層53は、第2面ハードコート層54上にコーティングされたコーティング層であってもよい。このように、第1面屈折層43、第1面ハードコート層44、第2面屈折層53及び第2面ハードコート層54がコーティング層であることにより、各層の厚みを容易に制御でき、透明積層フィルム30の光の反射率や全光線透過率、場合により色味といった所望の機能を容易に制御できる。
次に、第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54について説明する。
{第1面ハードコート層及び第2面ハードコート層}
第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54は、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50の耐擦傷性を向上させる役割を果たす。ここで、ハードコートとは、JISK5600-5-4:1999で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示す性質をいう。第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54は、例えば、硬化性樹脂組成物を含むハードコート層塗布液から形成できる。硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられ、耐擦傷性の観点から電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも使用できる。なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有する電磁波又は荷電粒子線を意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているモノマーでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたモノマーでもよい。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることが好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、透明導電膜形成時や結晶化工程の熱により残留した光重合開始剤が昇華し、透明導電膜の低抵抗化が損なわれることを防止できる。後述する高屈折率層及び低屈折率層で光重合開始剤を用いる際も同様である。また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速められる材料であり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54の厚みは、それぞれ0.1μm以上100μm以下の範囲にあることが好ましく、0.8μm以上20μm以下の範囲にあることがより好ましい。第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54の厚みが、それぞれ上記範囲内にあれば、充分なハードコート性能が得られ、外部からの衝撃に対してクラック等の発生もなく割れにくくなる。
第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54の屈折率は、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56の屈折率より小さいことが好ましく、1.45以上1.70以下であることがより好ましく、1.45以上1.60以下であることが更に好ましい。第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54の屈折率がこのような範囲にあれば、第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54が、それぞれ中屈折率層としての役割を有する。これにより、第1面ハードコート層44、第1面高屈折率層46及び第1面低屈折率層45の3層による干渉作用、及び、第2面ハードコート層54、第2面高屈折率層56及び第2面低屈折率層55の3層による干渉作用が可能となる。このため、光の反射を効果的に抑制できる。また、干渉縞を抑制する観点からは、第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54の屈折率と、第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52の屈折率との差を小さくすることが好ましい。
第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54に中屈折率層としての役割を付与する手段としては、ハードコート層塗布液に屈折率の高い樹脂を配合する手段と、屈折率の高い粒子を配合する手段が挙げられる。屈折率の高い粒子を配合した場合、該粒子の凝集による白化や塗布欠陥が生じる場合があることから、前者の手段(屈折率の高い樹脂を配合)が好ましい。屈折率の高い樹脂としては、上述した熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性化合物に硫黄、リン、臭素を含有する基や芳香環等を導入した樹脂が挙げられる。屈折率の高い粒子としては、後述する第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56に用いる高屈折率粒子と同様の粒子を使用できる。
第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54等の各層の屈折率は、例えば、反射光度計により測定した反射スペクトルと、フレネル係数を用いた多層薄膜の光学モデルから算出した反射スペクトルとのフィッティングにより算出できる。
第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54は、上述した硬化性樹脂組成物、必要に応じて配合する紫外線吸収剤やレベリング剤等の添加剤及び希釈溶剤によってハードコート層形成用塗布液を調整し、当該塗布液を透明基材上に従来公知の塗布方法によって塗布、乾燥、必要に応じて電離放射線を照射して硬化することにより形成できる。
{第1面屈折層及び第2面屈折層}
次に、第1面屈折層43及び第2面屈折層53について説明する。第1面屈折層43及び第2面屈折層53は、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50の光の反射率を低下させる役割を果たす。第1面屈折層43は、上述したように、第1面低屈折率層45と、第1面高屈折率層46とを含んでいる。また、第2面屈折層53は、上述したように、第2面低屈折率層55と、第2面高屈折率層56とを含んでいる。ここでは、まず、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55について説明する。
(第1面低屈折率層及び第2面低屈折率層)
第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55は、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56上に設けられる層であり、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56との屈折率の差を用いて、干渉作用により第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50の光の反射率を低下させる役割を果たす。第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55は、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50を超低反射率とするために、屈折率が1.26以上1.40以下であることが好ましく、1.28以上1.38以下であることがより好ましく、1.30以上1.32以下であることが更に好ましい。第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の屈折率を低くすれば低くするほど、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56の屈折率をそれほど高くしなくても第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50の屈折率を低くできる。その一方、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の屈折率を低くし過ぎると、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の強度が低下する傾向にある。このため、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の屈折率をそれぞれ上記範囲とすることにより、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の強度を保ちつつ、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56の後述する高屈折率粒子の添加量を抑えることができ、色味及び白化を抑制につながる点で好適である。また、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の厚みは、それぞれ80nm以上120nmであることが好ましく、85nm以上110nmであることがより好ましく、90nm以上105nmであることが更に好ましい。また、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55は、それぞれ上記屈折率の範囲を満たす複数の層から形成してもよいが、費用対効果の観点から、2層以下が好ましく、単層がより好ましい。
第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55を形成する手法としては、ウェット法とドライ法とに大別できる。ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率の樹脂を塗工して形成する手法、樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。ウェット法は生産効率の点で優れており、本実施の形態においては、ウェット法の中でも、樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液により形成することが好ましい。
低屈折率粒子は、その屈折率を低下させるため、すなわち反射防止特性を向上させる目的で、好ましく用いられ、シリカやフッ化マグネシウムなどの無機系、又は有機系のいずれであっても制限なく使用できるが、反射防止特性をより向上させ、かつ良好な表面硬度を確保する観点から、それ自身が空隙を有する構造の粒子が好ましく用いられる。
それ自身が空隙を有する構造をもつ粒子は、微細な空隙を内部に有しており、例えば、屈折率1.0の空気などの気体が充填されているので、それ自身の屈折率が低い粒子となっている。このような空隙を有する粒子としては、無機系、又は有機系の多孔質粒子、中空粒子などが挙げられ、例えば、多孔質シリカ、中空シリカ粒子、又はアクリル樹脂などが用いられた多孔質ポリマー粒子や中空ポリマー粒子が挙げられる。無機系の粒子としては、特開2001-233611号公報で開示される技術を用いて調製した空隙を有するシリカ粒子などが好ましい一例として挙げられる。また、有機系の粒子としては、特開2002-80503号公報で開示される技術を用いて調製した中空ポリマー粒子などが好ましい一例として挙げられる。上記のような空隙を有するシリカ、又は多孔質シリカは、それらの屈折率が1.18以上1.44以下の範囲にあり、屈折率が1.45程度である一般的なシリカ粒子よりも屈折率が低いため、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の低屈折率化を図る観点から好ましい。
中空状シリカ粒子は、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の塗膜強度を保持しつつ、その屈折率を下げる機能を有する粒子である。本実施の形態で用いる中空状シリカ粒子は、内部に空洞を有する構造のシリカ粒子である。中空状シリカ粒子は、シリカ粒子本来の屈折率(屈折率n=1.45程度)に比べて、内部の空洞の占有率に反比例して屈折率が低下するシリカ粒子である。このため、中空状シリカ粒子の粒子全体としての屈折率は1.18以上1.44以下となる。
中空状シリカ粒子としては、特に限定されず、例えば、外殻を有し、その内部が多孔質または空洞になっている粒子であり、特開平6-330606号公報、特開平7-013137号公報、特開平7-133105号公報、特開2001-233611号公報で開示されている技術を用いて調製したシリカ粒子が挙げられる。
低屈折率粒子の一次粒子の平均粒子径は、5nm以上200nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上80nm以下であることが更に好ましい。一次粒子の平均粒子径が上記範囲内にあれば、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の透明性を損なうことがなく、良好な粒子の分散状態が得られる。特に、低屈折率粒子として中空状粒子を用い、該中空状粒子の平均粒子径が70nm以上80nm以下の粒子は、強度不足とならない外殻の厚みを保持しつつ空隙率を上げて屈折率を低下でき、かつ反射率を低くするための、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の理想的な厚み(約100nm)とのバランスにも優れる点で好適である。
本実施の形態で用いられる低屈折率粒子は、表面処理された粒子であることが好ましい。低屈折率粒子の表面処理としては、シランカップリング剤を用いた表面処理がより好ましく、この中で、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いた表面処理を行うことが好ましい。低屈折率粒子に表面処理を施すことにより、後述するバインダー樹脂との親和性が向上し、粒子の分散が均一となり、粒子同士の凝集が生じにくくなるので、凝集由来の大粒子化による第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の透明化の低下や、層形成用組成物の塗布性、該組成物の塗膜強度の低下が抑制される。
また、シランカップリング剤が(メタ)アクリロイル基を有した場合、該シランカップリング剤は電離放射線硬化性を有するため、後述するバインダー樹脂と容易に反応するので、層形成用組成物の塗膜中において、低屈折率粒子がバインダー樹脂に良好に固定される。すなわち、低屈折率粒子がバインダー樹脂中で架橋剤としての機能を有することになる。これにより、該塗膜全体の引き締め効果が得られ、バインダー樹脂が本来有する柔軟性を残したまま、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55に優れた表面硬度を付与することが可能となる。従って、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55がそれ自体の柔軟性をいかして変形することにより、外部衝撃に対する吸収力や、復元力を有するため、傷の発生が抑制されて、耐擦傷性に優れた高い表面硬度を有する層となる。
低屈折率粒子の表面処理において好ましく用いられるシランカップリング剤としては、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等を例示できる。
第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55における低屈折率粒子の含有量は、それぞれ第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55の樹脂100質量部に対して10質量部以上250質量部以下であることが好ましく、50質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上180質量部以下であることが更に好ましい。低屈折率粒子の含有量が上記範囲内にあれば、良好な反射防止特性と表面硬度とが得られる。また、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55に含まれる全低屈折率粒子に占める中空粒子及び/又は多孔質粒子の割合は、それぞれ70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上95質量%以下であることが更に好ましい。
層形成用塗布液に含まれる樹脂組成物としては、まず硬化性樹脂組成物が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54の説明で例示した材料と同様の材料を用いることができ、電離放射線硬化性樹脂組成物が好適である。また、樹脂組成物として、それ自体が低屈折率性を示す含フッ素ポリマーやフッ素モノマーも好ましく用いられる。含フッ素ポリマーは、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物の重合体であり、防汚性及び滑り性を付与できる点で好適である。含フッ素ポリマーは、分子中に反応性基を有して硬化性樹脂組成物として機能するポリマーであることが好ましく、電離放射線硬化性反応性基を有して電離放射線硬化性樹脂組成物として機能するポリマーであることがより好ましい。
含フッ素ポリマーとしては、低屈折率層表面の汚れをはじくだけではなく、はじいた汚れの拭取り性を付与するために、フッ素とともにケイ素を含むポリマーであることが好ましく、例えば、共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体が好ましく挙げられる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサンや、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。なかでも、シリコーン成分としては、ジメチルシロキサン構造を有する成分が好ましい。
第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55は、例えば、低屈折率粒子、樹脂組成物、必要に応じて配合する紫外線吸収剤やレベリング剤等の添加剤及び希釈溶剤によって層形成用塗布液を調整し、当該塗布液を第1面高屈折率層46または第2面高屈折率層56上に従来公知の塗布方法によって塗布、乾燥、必要に応じて電離放射線を照射して硬化することにより形成できる。
(第1面高屈折率層及び第2面高屈折率層)
第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56は、第1面低屈折率層45及び第2面低屈折率層55との屈折率の差を用いて、干渉作用により第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50の光の反射率を低下させる役割を果たす。第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56は、それぞれ、例えば、硬化性樹脂組成物及び高屈折率粒子を含む層形成用塗布液から形成できる。
第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56は、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50を超低反射率化する観点からは屈折率を高くすることが好ましいが、屈折率を高くするには多量の高屈折率粒子が必要となり、高屈折粒子の凝集を招き、白化の原因となる。このため、屈折率は1.55以上1.85以下とすることが好ましく、1.56以上1.70以下とすることがより好ましい。また、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56の厚みは、200nm以下であることが好ましく、50nm以上180nm以下であることがより好ましい。なお、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56が、それぞれ後述する2層構成からなる場合、2層の合計厚みが前記値を満たすことが好ましい。また、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56は、上記屈折率の範囲を満たす複数の層から形成してもよいが、費用対効果の観点から、2層以下が好ましく、単層がより好ましい。
高屈折率粒子としては、五酸化アンチモン(1.79)、酸化亜鉛(1.90)、酸化チタン(2.3以上2.7以下)、酸化セリウム(1.95)、スズドープ酸化インジウム(1.95以上2.00以下)、アンチモンドープ酸化スズ(1.75以上1.85以下)、酸化イットリウム(1.87)及び酸化ジルコニウム(2.10)等が挙げられる。なお、上記かっこ内は、各粒子の材料の屈折率を示す。これら高屈折率粒子の中では、少量の添加で上記の好適な屈折率を達成する観点から、屈折率が2.0を超える粒子が好ましい。また、五酸化アンチモン、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等の導電性を有する高屈折率粒子は、プラズマ振動数が近赤外域にある自由電子を有し、該自由電子のプラズマ振動を原因として、可視光域の光も一部吸収ないしは反射され、色味を抑制しづらくなる場合がある。このため、高屈折率粒子は非導電性の粒子であることが好ましい。以上のことから、上記に例示した高屈折率粒子の中では、酸化チタン及び酸化ジルコニウムが好適であり、更に耐光性等の耐久安定性が高いという観点から、酸化ジルコニウムが最適である。なお、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50に帯電防止性を付与したい場合は、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56を後述のように2層構成として、一方の層に導電性の高屈折率粒子を含有させることが好ましい。
高屈折率粒子の一次粒子の平均粒子径は、5nm以上200nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上80nm以下であることが更に好ましい。高屈折率粒子及び後述する低屈折率粒子の一次粒子の平均粒子径は、以下の(1)~(3)の作業により算出する。
(1)粒子そのもの、または粒子の分散液を透明基材上に塗布乾燥させた材料について、SEM、TEMまたはSTEMの表面像を撮像する。
(2)表面像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。なお、長径は、画面上において最も長い径とし、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離とする。
(3)同じサンプルの別画面の撮像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子の粒子径の数平均から得られる値を平均粒子径とする。
なお、粒子の平均粒子径を算出する際において、算出する平均粒子径がμmオーダーの場合、SEMを用いることが好ましく、算出する平均粒子径がnmオーダーの場合、透過型電子顕微鏡(TEM)又はSTEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は1kV以上10kV以下とすることが好ましく、TEM又はSTEMの場合、加速電圧は10kV以上30kV以下とすることが好ましい。
高屈折率粒子の含有量は、高屈折率化、色味抑制及び白化抑制のバランスの観点から、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、30質量部以上400質量部以下であることが好ましく、50質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、80質量部以上150質量部以下であることが更に好ましい。
第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56は、高屈折粒子の過度な凝集を抑制するために、分散安定化することが好ましい。分散安定化の手段としては、例えば、ベースとなる高屈折粒子に対して、該粒子よりも表面電荷量が少ない別の高屈折率粒子を添加する手段が挙げられる。該手段によれば、該別の高屈折率粒子の周りにベースとなる高屈折率粒子が適度に集まり、ベースとなる高屈折粒子が過度に凝集することを抑制できる。また、別の分散安定化の手段として、高屈折率粒子として表面処理された粒子を用いたり、層形成用塗布液中に分散剤を添加したりする手段が挙げられる。
第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56を形成する硬化性樹脂組成物としては、第1面ハードコート層44及び第2面ハードコート層54の説明で例示した材料と同様の材料を用いることができ、電離放射線硬化性樹脂組成物が好適である。また、高屈折率粒子の添加量を過度にすることなく上述した屈折率を得るために、屈折率の高い硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。硬化性樹脂組成物の屈折率は1.54以上1.70以下程度が好ましい。
ここで、上述したように、第1面高屈折率層46は、第1の第1面高屈折率層47と、第2の第1面高屈折率層48とを含んでいてもよい。この場合、第1の第1面高屈折率層47の屈折率は、第2の第1面高屈折率層48の屈折率よりも高くすることが好ましい。これにより、第1面高屈折率層46と第1面低屈折率層45との間の屈折率差を大きくでき、第1面反射防止層40の反射率を低くできるとともに、第1面高屈折率層46と第1面ハードコート層44との屈折率差を小さくでき、干渉縞の発生を抑制できる。
また、上述したように、第2面高屈折率層56は、第1の第2面高屈折率層57と、第2の第2面高屈折率層58とを含んでいてもよい。この場合、第1面高屈折率層46の場合と同様に、第1の第2面高屈折率層57の屈折率は、第2の第2面高屈折率層58の屈折率よりも高くすることが好ましい。これにより、第2面高屈折率層56と第2面低屈折率層55との間の屈折率差を大きくでき、第2面反射防止層50の反射率を低くできるとともに、第2面高屈折率層56と第2面ハードコート層54との屈折率差を小さくでき、干渉縞の発生を抑制できる。
また、第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56をそれぞれ2層構成とする場合、第1の第1面高屈折率層47及び第1の第2面高屈折率層57の屈折率は、それぞれ1.60以上1.85以下であることが好ましく、第2の第1面高屈折率層48及び第2の第2面高屈折率層58の屈折率は、それぞれ1.55以上1.70以下であることが好ましい。更に、上記2層構成において、一方の層に導電性の高屈折率粒子を含有させ、他方の層に非導電性の高屈折率粒子を含有させ、かつ、[導電性高屈折率粒子を含有する層の厚み<非導電性高屈折率粒子を含有する層の厚み]とすることが好ましい。当該構成とすることにより、色味の原因となり得る導電性高屈折率粒子の添加量を抑えつつ帯電防止性を付与できる。また、導電性高屈折率粒子は、層内でネットワーク化させることにより、少ない添加量で帯電防止性を付与し、ひいては色味及び白化を抑制し得る点で好ましい。
第1面高屈折率層46及び第2面高屈折率層56は、高屈折率粒子、硬化性樹脂組成物、必要に応じて配合する紫外線吸収剤やレベリング剤等の添加剤及び希釈溶剤によって層形成用塗布液を調整し、当該塗布液を第1面ハードコート層44または第2面ハードコート層54上に従来公知の塗布方法によって塗布、乾燥、必要に応じて電離放射線を照射して硬化することにより形成できる。
[透明接着層並びに第1透明接着層及び第2透明接着層]
透明接着層31、第1透明接着層31a及び第2透明接着層31bといった透明接着層は、第1面反射防止層40、第2面反射防止層50、コア層32などを互いに接着するための層である。ここで、本明細書における「透明接着層」は、透明粘着層を含む概念である。透明接着層は、一般に粘着剤として用いられる様々な材料を用いて形成できる。例として、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、オレフィン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤が挙げられる。透明性が高く粘着力を大きくできるアクリル系粘着剤が好ましい。
上記の各粘着剤は、透明度を阻害しない範囲で各種の機能化剤や安定化剤等を含有できる。また、粘着付与剤を配合して粘着力を高めることもできる。また、それぞれの樹脂に合わせてイソシアネート、エポキシ、二重結合含有化合物などの架橋剤を用いて架橋構造を形成できる。
透明接着層は、両面を剥離フィルムでラミネートしてあるタイプの粘着剤(OCA、Optical Clear Adhesive)を用いて形成することもできる。透明接着層として市販品を使用することもできる。透明接着層として使用できる市販品としては、例えば、光学用透明粘着シートLUCIACSシリーズ(日東電工株式会社製)、高透明両面テープ5400Aシリーズ(積水化学工業株式会社製)、光学粘着シートOpteriaシリーズ(リンテック株式会社製)、SANCUARYシリーズ(株式会社サンエー化研製)、光学透明粘着OADシリーズ(東洋包材株式会社製)、光学用芯無両面テープRAシリーズ(株式会社スミロン製)、パナクリーンシリーズ PD-S1(パナック株式会社製)等が挙げられる。これら粘着剤の粘着力は一般的に10N/25mm以上である。
透明接着層の厚みは、特に限定されないが、例えば、2μm以上200μm以下となっていることが好ましい。透明接着層の膜厚が2μm以上であれば、第1面反射防止層40と第2面反射防止層50等とを確実に接合でき、また透明接着層の膜厚が200μm以下であれば、透明性(光透過性)を維持できる。透明接着層の膜厚の下限は、5μm以上、10μm以上、または15μm以上であることがより好ましく、上限は、150μm以下、160μm以下、または170μm以下であることがより好ましい。
透明接着層の形成方法としては、特に限定されず、粘着テープ等の製造に用いられる公知の方法を採用できる。具体的には、上記の透明接着層を形成する各成分を適当な有機溶剤または水に溶解または分散させた粘着剤組成物の塗料を、基材の表面に塗工し、乾燥及び硬化する方法、上記の透明接着層を形成する各成分、二重結合含有モノマー、オリゴマー、架橋剤等を無溶剤で基材に塗工した後、放射線等で架橋する方法、押し出しラミネート方法などの任意の方法で形成できる。
OCAを用いる場合は、OCAの軽剥離側の剥離フィルムを剥がして粘着面を基材に貼り合わせるという方法で透明接着層を形成できる。
[コア層]
コア層32は、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50を支持する役割を果たす。コア層32の材料としては、上述した第1面透明基材層42及び第2面透明基材層52の材料と同様の材料を使用できる。
コア層32の厚みについては、特に制限はなく、用途に応じて適宜選択される。コア層32の厚みは、5μm以上130μm以下程度であってもよく、耐久性やハンドリング性等を考慮すると、10μm以上100μm以下であることが好ましい。
上述した透明積層フィルム30の厚みは、300μm以下であることが好ましい。透明積層フィルム30の厚みが300μm以下であることにより、透明積層フィルム30の透明性を向上できる。透明性を向上し且つ会話を聞こえやすくする観点からは、透明積層フィルム30の厚みは、260μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましい。
透明積層フィルム30の厚みを小さくする観点からは、図2C及び図2Dに示したようにコア層32を含む透明積層フィルム30よりも、図2A及び図2Bに示したようにコア層32を含まない透明積層フィルム30が好ましい。図2A及び図2Bに示したようなコア層32を含まない透明積層フィルム30によれば、特に透明積層フィルム30の厚みを200μm以下にすることが容易となる。
なお、透明積層フィルム30の厚みの上限値を上述したように制限すると、透明積層フィルム30は曲がりやすくなる。その一方で、風などによって透明積層フィルム30の表面にシワ(波打ち形状)が生じることを抑制する観点からは、透明積層フィルム30は一定以上曲がりにくいことが好ましい。透明積層フィルム30の表面(第1面301、第2面302)にシワ(波打ち形状)が生じることが抑制されることで、シワ(波打ち形状)のために使用者H1、H2同士が互いの姿を視認しにくくなることが抑制される。
透明積層フィルム30の厚みは、例えば60μm以上300μm以下であってもよい。透明積層フィルム30の厚みが60μm以上であることにより、透明積層フィルム30の表面にシワ(波打ち形状)が生じることが抑制される程度に、透明積層フィルム30が曲がりにくくなる。また、透明積層フィルム30の厚みが60μm以上であることにより、パーティション10を挟んで対面する使用者H1、H2同士の間での唾液等の飛沫の移動を効果的に抑制できる。また、透明積層フィルム30の厚みが300μm以下であることにより、パーティション10越しに対話する場合に、対話している相手の発言をさらに聞き取りやすくできる。
また、透明積層フィルム30の高さ(上下方向距離)は、例えば300mm以上900mm以下であってもよく、450mm以上700mm以下であることが好ましい。また、透明積層フィルム30の幅(水平方向距離)は、例えば300mm以上1800mm以下であってもよく、450mm以上1200mm以下であることが好ましい。
上記した透明積層フィルム30は、例えば曲げ応力が6N/20mm以下である。
上述したような透明積層フィルム30をパーティション10に用いることによって、パーティション10における光の反射が抑制される。例えば、一般的なアクリル板製の仕切りパネルを用いたパーティションと比較して光の反射が抑制される。また、上述したような透明積層フィルム30をパーティション10に用いることによって、パーティション10の透明性が向上する。例えば、一般的なアクリル板製の仕切りパネルを用いたパーティションと比較して、パーティション10の透明性が向上する。
透明積層フィルム30の光の反射率は、3%以下である。ここで、透明積層フィルム30について光の反射率とは、透明積層フィルム30の第1面301側から入射する光の反射率と、透明積層フィルム30の第2面302側から入射する光の反射率との両方を意味する。すなわち、光の反射率が3%以下とは、透明積層フィルム30の第1面301側から入射する光の反射率が3%以下であり、且つ透明積層フィルム30の第2面302側から入射する光の反射率が3%以下であることを意味する。これにより、透明積層フィルム30を第1面301側から見た場合の視認性と、第2面302側から見た場合の視認性とを、更に向上できる。光の反射率は、1%以下であることがより好ましい。
透明積層フィルム30の光の反射率は、以下のようにして測定する。まず、透明積層フィルム30から、20mm×20mmサイズのサンプルを切り出す。次に、サンプルの裏面に黒色の樹脂板を密着させる。次いで、サンプルの表面に対して、入射角が5°となるように光を照射する。このとき、光の波長を550nmとして、サンプルの表面に対して光を照射する。そして、分光光度計(日本分光株式会社社製、V-7100)を用いて、光の反射スペクトルを測定し、光の反射率を算出する。
また、透明積層フィルム30の全光線透過率(JISK7361-1:1997)が90%以上であることが好ましい。透明積層フィルム30の全光線透過率は、以下のようにして測定する。まず、透明積層フィルム30から、20mm×20mmサイズのサンプルを切り出す。次に、サンプルの表面に対して、入射角が90°となるように光を照射する。分光光度計(日本分光株式会社社製、V-7100)を用いて、光の透過スペクトルを測定し、全光線透過率を算出する。これにより、透明積層フィルム30を第1面301側から見た場合の視認性を更に向上させつつ、透明積層フィルム30を第2面302側から見た場合の視認性を更に向上できる。また、透明積層フィルム30は、全光線透過率が、92%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましい。また、透明積層フィルム30は、ヘイズ(JISK7136:2000)が3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.5%以下であることが更に好ましい。
上述した透明積層フィルム30において、第1面301及び第2面302の算術平均粗さRa(JISB0601:1994)は、それぞれ10nm以下であることが好ましく、1nm以上8nm以下であることがより好ましい。また、第1面301及び第2面302の十点平均粗さRz(JISB0601:1994)は、160nm以下であることが好ましく、50nm以上155nm以下であることがより好ましい。Ra、Rzが上記範囲であれば、第1面301及び第2面302が平滑性を有し、耐擦傷性が向上する。
このようなパーティション10は、上述したように、会議室や打合せスペースなどの部屋R内に置かれ、部屋Rの空間を区画するために使用され得る(図1A参照)。本実施の形態においては、このようなパーティション10を備える、建物Bも提供する。
透明積層フィルム及びパーティションの製造方法
次に、本実施の形態による透明積層フィルム30及びパーティション10の製造方法について説明する。ここでは、まず、透明積層フィルム30の製造方法について説明する。
まず、第1面反射防止層40を作製する。この際、例えば、まず、第1面透明基材層42を構成する樹脂フィルムを準備する。次に、樹脂フィルム上に、ハードコート層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、第1面ハードコート層44を形成する。次いで、この第1面ハードコート層44上に、高屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、第1面高屈折率層46を形成する。次いで、この第1面高屈折率層46上に、低屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、第1面低屈折率層45を形成する。このようにして、第1面反射防止層40を得られる。
また、第2面反射防止層50を作製する。この際、例えば、まず、第2面透明基材層52を構成する樹脂フィルムを準備する。次に、樹脂フィルム上に、ハードコート層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、第2面ハードコート層54を形成する。次いで、この第2面ハードコート層54上に、高屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、第2面高屈折率層56を形成する。次いで、この第2面高屈折率層56上に、低屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、第2面低屈折率層55を形成する。このようにして、第2面反射防止層50を得られる。
そして、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50を、透明接着層31を介して互いに接着させて透明積層フィルム30を作製する。このようにして、透明積層フィルム30を作製できる。
次に、得られた透明積層フィルム30の第1面301に第1面保護フィルム61を取り付けるとともに、第2面302に第2面保護フィルム62を取り付ける。この際、第1面保護フィルム61及び第2面保護フィルム62は、それぞれ図示しない接合層を含み、この接合層により、透明積層フィルム30に取り付けられていてもよい。このようにして、保護フィルム付き透明積層フィルム60を作製できる。なお、第1面保護フィルム61及び第2面保護フィルム62は、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50が透明接着層31を介して互いに接合される前に、第1面反射防止層40及び第2面反射防止層50にそれぞれ別個に取りつけられてもよい。
次いで、パーティション10を作製する。
この際、まず、保護フィルム付き透明積層フィルム60を所定の形状に加工する。図1Aに示すパーティション10を作製する場合には、保護フィルム付き透明積層フィルム60を、上縁30b1と、下縁30b2と、一対の側縁30aとを有する矩形の形状に切り出す。
次に、所定の形状に加工された保護フィルム付き透明積層フィルム60から、第1面保護フィルム61及び第2面保護フィルム62を取り外す。これにより、所定の形状に加工された透明積層フィルム30が得られる。
その後、フィルム支持部70によって、透明積層フィルム30を支持する。この際、透明積層フィルム30は、第1面301及び第2面302が平坦化された状態でフィルム支持部70に支持される。また、フィルム支持部70の上縁取付部71を、固定体に吊り下げる。これによって、パーティション10を作製して、図1Aに示すように部屋R内に配置し得る。
以上のように本実施の形態によれば、パーティション10が、光の反射率が3%以下の透明積層フィルム30と、透明積層フィルム30を支持するフィルム支持部70と、を備える。これにより、パーティション10において、光の反射を効果的に抑制できる。とりわけ、透明積層フィルム30の光の反射率が3%以下に抑えられている。このような透明積層フィルム30によれば、図1Aに示す使用者H1が使用者H2を視認した際に、透明積層フィルム30の第1面301に使用者H1自身の顔などが映り込むことを抑制できる。これによって、使用者H1と使用者H2との間において、円滑なコミュニケーションを図れる。また、使用者H1が、透明積層フィルム30の第1面301において反射する光によって、不快感や疲労感を覚えることを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、透明積層フィルム30は、上縁30b1と、下縁30b2と、一対の側縁30aと、を有する。フィルム支持部70は、上縁30b1に取り付けられるとともに、固定体に吊り下げられて透明積層フィルム30を支持する上縁取付部71と、各々の側縁30aをそれぞれ保護する一対の側縁保護材72と、下縁30b2を保護する下縁保護材73と、を有する。このため、透明積層フィルム30の側縁30a及び下縁30b2が、むき出しにならないように保護される。これによって、パーティション10の使用者が側縁30a又は下縁30b2に接触することを抑制できる。特に、側縁30a又は下縁30b2がギザギザとした形状を有する場合に、使用者が側縁30a又は下縁30b2に触れてちくちくとした触感を感じることを抑制できる。特に、使用者が側縁30a又は下縁30b2に触れることで切り傷を負うことを、効果的に抑制できる。
また、上述したように、側縁保護材72及び下縁保護材73によって、透明積層フィルム30の側縁30a及び下縁30b2が、むき出しにならないように保護される。このため、パーティション10において、透明積層フィルム30が側縁保護材72及び下縁保護材73に覆われる部分と、透明積層フィルム30が側縁保護材72及び下縁保護材73に覆われることなく、透明積層フィルム30がむき出しになっている部分との見え方が変わる。これによって、使用者が、側縁保護材72及び下縁保護材73によって構成される、パーティション10の側方の端部及び下方の端部を視認しやすくなる。特に、側縁保護材72及び下縁保護材73が、反射率が透明積層フィルム30の反射率よりも大きい部分を含むか、全光線透過率が透明積層フィルム30の全光線透過率よりも小さい部分を含む場合、使用者が、パーティション10の側方の端部及び下方の端部を特に視認しやすくなる。これによって、使用者がパーティション10の存在やパーティション10の側方の端部及び下方の端部の位置を認識しやすくなる。このため、使用者が、誤ってパーティション10に衝突するような事態を抑制できる。
特に、本実施形態による透明積層フィルム30は、光の反射率が3%以下に抑えられている。その一方で、このような透明積層フィルム30を備えるパーティション10では、使用者が、透明積層フィルム30の存在や透明積層フィルム30の側方の端部及び下方の端部の位置を認識することは難しい。このため、使用者が、パーティション10の存在を認識することが難しくなる可能性がある。これに対して、本実施の形態によれば、パーティション10の側方の端部が、側縁保護材72によって構成され、かつ、パーティション10の下方の端部が、下縁保護材73によって構成されている。これにより、透明積層フィルム30の光の反射率が3%以下に抑えられている場合であっても、使用者に、パーティション10の存在やパーティション10の側方の端部及び下方の端部の位置を容易に認識させ得る。
なお、本実施形態によるパーティション10においては、上縁取付部71が、透明積層フィルム30の上縁30b1がむき出しにならないように、透明積層フィルム30の上縁30b1を保護している。これによって、パーティション10の使用者が上縁30b1に接触することを抑制できる。特に、上縁30b1がギザギザとした形状を有する場合に、使用者が上縁30b1に触れてちくちくとした触感を感じることを抑制できる。また、パーティション10において、透明積層フィルム30が上縁取付部71に覆われる部分と、透明積層フィルム30が上縁取付部71に覆われることなく、透明積層フィルム30がむき出しになっている部分との見え方が変わる。これによって、使用者が、上縁取付部71によって構成される、パーティション10の上方の端部を視認しやすくなる。特に、上縁取付部71が、反射率が透明積層フィルム30の反射率よりも大きい部分を含むか、全光線透過率が透明積層フィルム30の全光線透過率よりも小さい部分を含む場合、使用者が、パーティション10の上方の端部を特に視認しやすくなる。これによって、使用者がパーティション10の存在やパーティション10の上方の端部の位置を認識しやすくなる。このため、使用者が、意図せずにパーティション10に接触するような事態を効果的に抑制できる。特に、使用者が誤ってパーティション10に衝突するような事態を効果的に抑制できる。
また、本実施形態によれば、側縁保護材72及び下縁保護材73が、金属製又は樹脂製の部材である。この場合、側縁保護材72及び下縁保護材73が、十分な大きさの剛性を得やすい。これによって、側縁保護材72及び下縁保護材73の剛性を十分に大きくして、透明積層フィルム30を安定的に平坦化された状態で支持できる。
また、本実施形態によれば、側縁保護材72は、側縁30aに接着されており、下縁保護材73は、下縁30b2に接着されている。これによって、側縁保護材72及び下縁保護材73を安定的に透明積層フィルム30に取り付けて、側縁保護材72によって側縁30aを保護し、且つ下縁保護材73によって下縁30b2を保護し得る。
また、本実施形態によれば、透明積層フィルム30は、第1面反射防止層40と、第1面反射防止層40の反対側に位置する第2面反射防止層50とを含む。これにより、透明積層フィルム30の第1面301側から入射する光の反射、及び透明積層フィルム30の第2面302側から入射する光の反射を抑制できる。このため、透明積層フィルム30を第1面301側から見た場合の視認性と、第2面302側から見た場合の視認性とを向上できる。これにより、パーティション10を挟んで対面する使用者H1、H2同士が互いの姿を視認しやすくできる。このため、使用者H1と使用者H2との間において、円滑なコミュニケーションを図れる。また、使用者H1、H2が透明積層フィルム30の第1面301または第2面302において反射する光によって不快感や疲労感を覚えることを抑制できる。
変形例
次に、パーティションの変形例について説明する。
(第1変形例)
図3Aは、第1変形例によるパーティション10の一例を示す斜視図である。図3Aにおいて、側縁保護材72は、側縁30aに接着されていない。また、図3Aにおいて、下縁保護材73は、下縁30b2に接着されていない。図3Aにおいて、側縁保護材72は、側縁30aを挟むことによって側縁30aに取り付けられている。下縁保護材73は、下縁30b2を挟むことによって下縁30b2に取り付けられている。
図3Bは、図3Aに示すパーティション10の側縁保護材72を、図3AのIIIB-IIIB線で切断した断面(側縁保護材72を、側縁30aの延びる方向に垂直な面で切断した断面)を示す断面図である。図3Bにおいて、側縁保護材72は、基部72cと、基部72cから延び出す第1挟持部72d及び第2挟持部72eと、を有する。側縁保護材72の基部72cは、板状の部材である。基部72cは、上下方向に平行、且つ透明積層フィルム30の厚み方向に平行な板面をもつ。側縁保護材72の第1挟持部72dは、基部72cの一端から、透明積層フィルム30の中心に向かって延び出している。側縁保護材72の第2挟持部72eは、基部72cの他端から、透明積層フィルム30の中心に向かって延び出している。なお、基部72cの一端及び他端は、透明積層フィルム30の厚み方向における端部を意味する。図3Bにおいて、側縁30aは、側縁保護材72の第1挟持部72dと第2挟持部72eとの間に挟まれている。第1挟持部72d及び第2挟持部72eには、それぞれ、透明積層フィルム30に向かって突出する突出部721、722が形成されている。この突出部721、722は、透明積層フィルム30の厚みが厚い場合に、透明積層フィルム30に接触することにより、側縁保護材72が透明積層フィルム30から意図せずに取り外されることを抑制する役割を果たす。
図3Cは、図3Bに示す側縁保護材72の第1挟持部72dと第2挟持部72eとの間から、透明積層フィルム30を取り去った場合の、側縁保護材72の様子の一例を示す断面図である。図3Cに示す例では、第1挟持部72dと第2挟持部72eとの間から透明積層フィルム30を取り去った状態において、第1挟持部72dと第2挟持部72eとが先端において接触している。図示はしないが、第1挟持部72dと第2挟持部72eとの間から透明積層フィルム30を取り去った状態において、第1挟持部72dと第2挟持部72eとが透明積層フィルム30の厚みよりも小さな幅だけ離間してもよい。
側縁保護材72は、図3Bに示すように第1挟持部72dと第2挟持部72eとの間で側縁30aを挟むことによって、第1挟持部72d及び第2挟持部72eの復元力により、側縁30aを保持できる。これによって、側縁保護材72を側縁30aに取り付け得る。
図示はしないが、第1変形例の下縁保護材73を下縁30b2の延びる方向に垂直な面で切断した断面は、図3Bに示す側縁保護材72を側縁30aの延びる方向に垂直な面で切断した断面と同様である。すなわち、下縁保護材73は、基部72cと同様な基部と、第1挟持部72d及び第2挟持部72eと同様な第1挟持部及び第2挟持部と、を有する。下縁保護材73は、第1挟持部と第2挟持部との間で下縁30b2を挟むことによって、第1挟持部及び第2挟持部の復元力により、下縁30b2を保持できる。これによって、下縁保護材73を下縁30b2に取り付け得る。
また、図3Aにおいて、上縁取付部71は、上縁30b1に接着されていない。上縁取付部71は、上縁30b1を挟むことによって上縁30b1に取り付けられている。図示はしないが、第1変形例の上縁取付部71を上縁30b1の延びる方向に垂直な面で切断した断面は、図3Bに示す側縁保護材72を側縁30aの延びる方向に垂直な面で切断した断面と同様である。すなわち、上縁取付部71は、基部72cと同様な基部と、第1挟持部72d及び第2挟持部72eと同様な第1挟持部及び第2挟持部と、を有する。上縁取付部71は、第1挟持部と第2挟持部との間で上縁30b1を挟むことによって、第1挟持部及び第2挟持部の復元力により、上縁30b1を保持できる。これによって、上縁取付部71を上縁30b1に取り付け得る。
第1変形例における下縁保護材73、側縁保護材72及び上縁取付部71の材料は、透明積層フィルム30を安定的に保持し得る復元力を第1挟持部72d及び第2挟持部72e等に生じさせることを考慮して、選択されてもよい。第1変形例において、下縁保護材73、側縁保護材72及び上縁取付部71は、例えば樹脂製の部材であってもよい。
以上のように第1変形例によれば、側縁保護材72は、側縁30aを挟むことによって側縁30aに取り付けられている。下縁保護材73は、下縁30b2を挟むことによって下縁30b2に取り付けられている。このような側縁保護材72及び下縁保護材73によっても、側縁30a及び下縁30b2がむき出しにならないように保護できる。また、このような側縁保護材72及び下縁保護材73によれば、側縁保護材72及び下縁保護材73を透明積層フィルム30から容易に取り外し得る。また、第1変形例によれば、上縁取付部71は、上縁30b1を挟むことによって上縁30b1に取り付けられている。このため、上縁取付部71を透明積層フィルム30から容易に取り外し得る。これによって、パーティション10を解体して収納したり、パーティション10の側縁保護材72、下縁保護材73、上縁取付部71及び透明積層フィルム30のいずれか1つを新品に交換したりすることが容易となる。
(第2変形例)
図4Aは、第2変形例によるパーティション10の一例を示す斜視図である。図4Bは、第2変形例によるパーティション10の一例を示す正面図である。図4Bは、図4Aに示すパーティション10を、透明積層フィルム30の厚み方向から観察した様子を示す図に相当する。図4A及び図4Bにおいて、側縁保護材72は、粘着テープ72iを含む。図4A及び図4Bにおいて、側縁保護材72は、粘着テープ72iからなっている。粘着テープ72iは、一対の側縁30aを覆っている。図4Aにおいて、側縁保護材72に含まれる粘着テープ72iは、透明積層フィルム30に貼り付けられることで透明積層フィルム30に固定されて、一対の側縁30aの端面を覆っている。このような側縁保護材72によっても、側縁30aがむき出しにならないように保護できる。
側縁保護材72の粘着テープ72iは、透明積層フィルム30に貼り付けることができ、側縁30aを保護できる限り、特に限られない。
粘着テープ72iは、アルミニウムの蒸着層を含んでいてもよい。粘着テープ72iがアルミニウムの蒸着層を含むことによって、使用者が、粘着テープ72iによって構成される、パーティション10の側方の端部を、特に視認しやすくなる。これによって、使用者がパーティション10の存在やパーティション10の側方の端部の位置を認識しやすくなり、使用者が、誤ってパーティション10に衝突するような事態を効果的に抑制できる。
粘着テープ72iは、透明であってもよい。粘着テープ72iが透明な場合であっても、透明積層フィルム30のうち、粘着テープ72iに覆われた部分と覆われていない部分とでは、反射率や全光線透過率などに差が生じ、使用者からの見え方にも差が生じる。このため、粘着テープ72iが透明な場合であっても、使用者がパーティション10の存在やパーティション10の側方の端部の位置を認識しやすくなる。特に、一般的に、透明な粘着テープ72iの反射率は、本実施の形態による透明積層フィルム30の反射率よりも大きい。このため、使用者は、粘着テープ72iにおいて反射した光を視認することによって、パーティション10の存在やパーティション10の側方の端部の位置を容易に認識し得る。
粘着テープ72iとして、カプトン(登録商標)テープを用いてもよい。カプトン(登録商標)テープとしては、例えば黄色の色彩を呈するとともに一部の光を通過させる、半透過性のテープを用いてもよい。側縁保護材72に含まれる粘着テープ72iとして、黒色のテープを用いてもよい。黒色のテープとしては、例えば黒色のビニールテープを用いてもよい。
図4A及び図4Bにおいて、下縁保護材73は、粘着テープ73iを含む。図4A及び図4Bにおいては、粘着テープ73iが、透明積層フィルム30の第1面301側及び第2面302側の両側から、下縁30b2に貼り付けられている。図4A及び図4Bにおいて、粘着テープ73iは、下縁30b2がむき出しにならないように保護するとともに、透明積層フィルム30と後述する重り82とを連結している。
粘着テープ73iは、透明積層フィルム30に貼り付けることができ、下縁30b2を保護できる限り、特に限られない。粘着テープ73iは、例えば側縁保護材72の粘着テープ72iと同様の粘着テープであってもよい。
図4A及び図4Bにおいて、フィルム支持部70は、透明積層フィルム30の下縁30b2に取り付けられた重り74をさらに有している。重り74の形状及び材料等は、透明積層フィルム30の側縁30a及び下縁30b2の変形を抑制し得る重量を有する限り、特に限られない。図4A及び図4Bにおいて、重り74は、下縁30b2の延びる方向に延びている。図示された例においては、重り74は、下縁30b2の長さと等しい長さを有する棒状の部材である。なお、重り74の長さは、下縁30b2よりも長くてもよく、短くてもよい。重り74は、粘着テープ73iを介して下縁30b2に取り付けられている。具体的には、重り74は、粘着テープ73iの一部が下縁30b2に貼り付けられ、他の一部が重り74に貼り付けられていることによって、粘着テープ73iを介して下縁30b2に取り付けられている。重り74によって、透明積層フィルム30の側縁30a及び下縁30b2の変形を抑制し得るため、透明積層フィルム30を安定的に平坦化された状態で支持できる。特に、側縁保護材72や下縁保護材73の剛性が比較的小さい場合であっても、重り74によって、透明積層フィルム30を安定的に平坦化された状態で支持できる。
図4A及び図4Bにおいて、上縁取付部71は、粘着テープ71iを含む。図4A及び図4Bにおいては、粘着テープ71iが、透明積層フィルム30の第1面301側及び第2面302側の両側から、上縁30b1に貼り付けられている。図4A及び図4Bにおいて、粘着テープ71iは、上縁30b1がむき出しにならないように保護するとともに、透明積層フィルム30と固定体である棒状の部材Dとを連結している。透明積層フィルム30は、粘着テープ71iの一部が上縁30b1に貼り付けられ、他の一部が棒状の部材Dに貼り付けられていることによって、粘着テープ71iを介して棒状の部材Dに取り付けられている。この状態も、上縁取付部71が固定体である棒状の部材Dに吊り下げられ、且つ透明積層フィルム30を支持しているとみなせる。
上縁取付部71の粘着テープ71iは、透明積層フィルム30に貼り付けることができる限り、特に限られない。粘着テープ71iは、例えば粘着テープ72iと同様の粘着テープであってもよい。
図4Cは、第2変形例によるパーティション10の、図4A及び図4Bとは異なる別の一例を示す正面図である。図4Cに示すように、側縁保護材72が粘着テープ72iを含み、且つ下縁保護材73が粘着テープ73iを含むパーティション10において、フィルム支持部70が重り74を有しなくてもよい。図4Cにおいて、粘着テープ73iは、下縁30b2を覆っている。特に、下縁保護材73である粘着テープ73iは、透明積層フィルム30に貼り付けられることで透明積層フィルム30に固定されて、下縁30b2の端面を覆っている。このような下縁保護材73によっても、下縁30b2を保護できる。
以上のように第2変形例によれば、側縁保護材72は、粘着テープ72iを含み、粘着テープ72iは、一対の側縁30aを覆う。このように、側縁保護材72が粘着テープ72iを含んでいることにより、側縁保護材72によって側縁30aを容易に保護できる。
また、第2変形例の一例として、粘着テープ72iは、透明である。ここで、一般的に、透明な粘着テープ72iの反射率は、本実施の形態による透明積層フィルム30の反射率よりも大きい。このため、側縁保護材72が透明な粘着テープ72iである場合であっても、使用者がパーティション10の存在やパーティション10の側方の端部の位置を認識しやすくなる。
また、第2変形例の一例として、粘着テープ72iは、アルミニウムの蒸着層を含む。側縁保護材72がアルミニウムの蒸着層を含む粘着テープ72iである場合、使用者が、側縁保護材72に含まれる粘着テープ72iが位置するパーティション10の側方の端部を、特に視認しやすくなる。これによって、使用者がパーティション10の存在やパーティション10の側方の端部の位置を認識しやすくなる。
また、第2変形例の一例として、下縁保護材73は、粘着テープ73iを含む。また、上縁取付部71は、粘着テープ71iを含む。このような下縁保護材73及び上縁取付部71によっても、下縁30b2及び上縁30b1がむき出しにならないように保護できる。
(第3変形例)
図5Aは、第3変形例によるパーティション10の一例を示す斜視図である。図5Bは、図5Aに示すパーティション10を、図5AのVB-VB線で切断した断面図である。図5A及び図5Bに示すように、第3変形例によるパーティション10において、側縁保護材72は、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように側縁30aから両側に延びる側縁延長部72fを有する。特に図5A及び図5Bにおいて、側縁延長部72fは、透明積層フィルム30が位置する平面と直交するように延びている。図5A及び図5Bにおいて、側縁延長部72fは、板状の部材である。側縁延長部72fは、上下方向に平行、且つ透明積層フィルム30の厚み方向に平行な板面をもつ。
図5A及び図5Bにおいて、側縁保護材72は、側縁延長部72fに連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の側縁本体部72gを更に有している。
上述したように、フィルム支持部70は、一対の側縁保護材72を有している。そして、一対の側縁保護材72の各々が、側縁延長部72fと側縁本体部72gとを有している。
図5A及び図5Bにおいて、一対の側縁保護材72の各々は、上述した側縁第1部分72aと、上述した側縁第2部分72bとによって構成されている。本変形例では、図5Bに示すように、側縁第1部分72aは、側縁第1延長部72f1及び側縁第1本体部72g1を有する。側縁第2部分72bは、側縁第2延長部72f2及び側縁第2本体部72g2を有する。
側縁第1延長部72f1及び側縁第2延長部72f2は、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように側縁30aから延びている。特に図5Bにおいて、側縁第1延長部72f1及び側縁第2延長部72f2は、透明積層フィルム30が位置する平面と直交するように延びている。図5Bにおいて、側縁第1延長部72f1と側縁第2延長部72f2とが、側縁延長部72fをなしている。
側縁第1本体部72g1は、側縁第1延長部72f1に連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の部分である。側縁第2本体部72g2は、側縁第2延長部72f2に連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の部分である。図5Bにおいて、側縁第1本体部72g1と側縁第2本体部72g2とが、側縁本体部72gをなしている。
側縁第1延長部72f1は、側縁第1本体部72g1の、透明積層フィルム30の中心から遠ざかる側の端部に連結されている。側縁第2延長部72f2は、側縁第2本体部72g2の、透明積層フィルム30の中心から遠ざかる側の端部に連結されている。図5Bにおいて、側縁第1延長部72f1と側縁第1本体部72g1とは、一体として成形されている。また、側縁第2延長部72f2と側縁第2本体部72g2とは、一体として成形されている。
図5Bにおいて、側縁第1本体部72g1が、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第1面301に接着されている。側縁第2本体部72g2が、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第2面302に接着されている。側縁第1本体部72g1及び側縁第2本体部72g2は、側縁30aが側縁第1本体部72g1と側縁第2本体部72g2との間に挟まれるように、透明積層フィルム30に接着されている。これによって、側縁30aは、側縁本体部72gにより、むき出しにならないように保護されている。
側縁延長部72fの先端と透明積層フィルム30との間の、透明積層フィルム30と直交する方向(透明積層フィルム30の厚み方向)の幅W1は、例えば10mm以上である。より具体的には、側縁延長部72fの第1面301側の先端と透明積層フィルム30の第1面301との間の、透明積層フィルム30と直交する方向の幅W3、及び側縁延長部72fの第2面302側の先端と透明積層フィルム30の第2面302との間の、透明積層フィルム30と直交する方向の幅W4の、少なくともいずれか一方が、10mm以上であってもよい。幅W3及び幅W4のいずれもが10mm以上であってもよい。
図5Cは、図5Aに示すパーティション10を、図5AのVC-VC線で切断した断面図である。図5A及び図5Cに示すように、第3変形例によるパーティション10において、下縁保護材73は、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように下縁30b2から両側に延びる下縁延長部73fを有する。特に、図5A及び図5Cにおいて、下縁延長部73fは、透明積層フィルム30が位置する平面と直交するように延びている。図5A及び図5Cにおいて、下縁延長部73fは、板状の部材である。下縁延長部73fは、上下方向に垂直な板面をもつ。
図5A及び図5Cにおいて、下縁保護材73は、下縁延長部73fに連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の下縁本体部73gを更に有している。
図5A及び図5Cにおいて、下縁保護材73は、上述した下縁第1部分73aと、上述した下縁第2部分73bとによって構成されている。本変形例では、図5Cに示すように、下縁第1部分73aは、下縁第1延長部73f1及び下縁第1本体部73g1を有する。下縁第2部分73bは、下縁第2延長部73f2及び下縁第2本体部73g2を有する。
下縁第1延長部73f1及び下縁第2延長部73f2は、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように下縁30b2から延びている。特に図5Cにおいて、下縁第1延長部73f1及び下縁第2延長部73f2は、透明積層フィルム30が位置する平面と直交するように延びている。図5Cにおいて、下縁第1延長部73f1と下縁第2延長部73f2とが、下縁延長部73fをなしている。
下縁第1本体部73g1は、下縁第1延長部73f1に連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の部分である。下縁第2本体部73g2は、下縁第2延長部73f2に連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の部分である。図5Cにおいて、下縁第1本体部73g1と下縁第2本体部73g2とが、下縁本体部73gをなしている。
下縁第1延長部73f1は、下縁第1本体部73g1の上側の端部に連結されている。下縁第2延長部73f2は、下縁第2本体部73g2の上側の端部に連結されている。図5Cにおいて、下縁第1延長部73f1と下縁第1本体部73g1とは、一体として成形されている。また、下縁第2延長部73f2と下縁第2本体部73g2とは、一体として成形されている。
図5Cにおいて、下縁第1本体部73g1が、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第1面301に接着されている。下縁第2本体部73g2が、粘着テープ81を介して透明積層フィルム30の第2面302に接着されている。下縁第1本体部73g1及び下縁第2本体部73g2は、下縁30b2が下縁第1本体部73g1と下縁第2本体部73g2との間に挟まれるように、透明積層フィルム30に接着されている。これによって、下縁30b2は、下縁本体部73gにより、むき出しにならないように保護されている。
下縁延長部73fの先端と透明積層フィルム30との間の、透明積層フィルム30と直交する方向(透明積層フィルム30の厚み方向)の幅W2は、例えば10mm以上である。より具体的には、下縁延長部73fの第1面301側の先端と透明積層フィルム30の第1面301との間の、透明積層フィルム30と直交する方向の幅W5、及び下縁延長部73fの第2面302側の先端と透明積層フィルム30の第2面302との間の、透明積層フィルム30と直交する方向の幅W6の、少なくともいずれか一方が、10mm以上であってもよい。幅W5及び幅W6のいずれもが10mm以上であってもよい。
第3変形例によるパーティション10において、上縁取付部71は、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように上縁30b1から両側に延びる上縁延長部71fを有する。特に、図5A及び図5Cにおいて、上縁延長部71fは、透明積層フィルム30が位置する平面と直交するように延びている。図5A及び図5Cにおいて、上縁延長部71fは、上下方向に垂直な板面をもつ、板状の部分である。
図5A及び図5Cにおいて、上縁取付部71は、上縁延長部71fに連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の上縁本体部71gを更に有している。
図5A及び図5Cにおいて、上縁取付部71は、上述した上縁第1部分71aと、上述した上縁第2部分71bとによって構成されている。本変形例では、図5Cに示すように、上縁第1部分71aは、上縁第1延長部71f1及び上縁第1本体部71g1を有する。上縁第2部分71bは、上縁第2延長部71f2及び上縁第2本体部71g2を有する。
図5A及び図5Cに示す上縁第1部分71aの形態は、上縁第1本体部71g1に突起部71eが設けられており、上縁30b1の延びる方向における長さが異なる以外は、図5A及び図5Cに示す下縁第1部分73aの形態と同様である。下縁第1部分73a、下縁第1延長部73f1及び下縁第1本体部73g1に関する説明は、矛盾しない限り、上縁第1部分71a、上縁第1延長部71f1及び上縁第1本体部71g1にも適用できる。また、図5A及び図5Cに示す上縁第2部分71bの形態は、上縁第2本体部71g2に突起部71eが設けられており、上縁30b1の延びる方向における長さが異なる以外は、図5A及び図5Cに示す下縁第2部分73bの形態と同様である。下縁第2部分73b、下縁第2延長部73f2及び下縁第2本体部73g2に関する説明は、矛盾しない限り、上縁第2部分71b、上縁第2延長部71f2及び上縁第2本体部71g2にも適用できる。
図5Cにおいて、上縁第1本体部71g1及び上縁第2本体部71g2は、上縁30b1が上縁第1本体部71g1と上縁第2本体部71g2との間に挟まれるように、透明積層フィルム30に接着されている。これによって、上縁30b1は、上縁本体部71gにより、むき出しにならないように保護されている。
以上のように第3変形例によれば、側縁保護材72は、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように側縁30aから両側に延びる側縁延長部72fを有する。また、下縁保護材73は、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように下縁30b2から両側に延びる下縁延長部73fを有する。このため、側縁延長部72f及び下縁延長部73fによって、パーティション10を挟んで対面する使用者H1、H2同士の間での飛沫の移動を、効果的に抑制できる。特に、下縁延長部73fによれば、パーティション10が机Tの上面から離間した位置に配置されている場合など、パーティション10の下方に隙間がある場合であっても、当該隙間を通して使用者H1、H2同士の間で飛沫が移動することを効果的に抑制できる。
また、第3変形例によるパーティション10において、側縁保護材72は、側縁延長部72fに連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の側縁本体部72gを更に有する。また、下縁保護材73は、下縁延長部73fに連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の下縁本体部73gを更に有する。このため、側縁本体部72gによって側縁30aを保護しつつ、側縁延長部72fを設けられる。また、下縁本体部73gによって下縁30b2を保護しつつ、下縁延長部73fを設けられる。
また、第3変形例によるパーティション10において、側縁延長部72fの先端と透明積層フィルム30との間の、透明積層フィルム30と直交する方向の幅W1は10mm以上である。また、下縁延長部73fの先端と透明積層フィルム30との間の、透明積層フィルム30と直交する方向の幅W2は10mm以上である。これにより、幅W1及び幅W2の大きさを十分に確保し、側縁延長部72f及び下縁延長部73fによって、パーティション10を挟んで対面する使用者H1、H2同士の間での飛沫の移動を、より効果的に抑制できる。
また、第3変形例によるパーティション10において、上縁取付部71は、上縁延長部71fを有する。このため、上縁延長部71fによって、パーティション10の上方を通して使用者H1、H2同士の間で飛沫が移動することを効果的に抑制できる。
(第4変形例)
図6Aは、第4変形例によるパーティション10の一例を示す斜視図である。図6Aに示すように、第4変形例による側縁保護材72は、第3変形例による側縁保護材72と同様に、側縁延長部72fを有する。また、第4変形例による下縁保護材73は、第3変形例による下縁保護材73と同様に、下縁延長部73fを有する。ここで、図6Aに示すように、側縁延長部72fは側縁延長部フィルム72hを含んでいる。また、下縁延長部73fは下縁延長部フィルム73hを含んでいる。
図6Aにおける上縁取付部71の形態は、上縁30b1の延びる方向において、上縁30b1よりも大きな長さを有する以外は、図1Aに示した上述の実施形態における上縁取付部71と同様である。上縁取付部71は、上縁30b1の延びる方向の一方において、一対の側縁30aの一方の位置を越えて延びている。また、上縁取付部71は、上縁30b1の延びる方向の他方において、一対の側縁30aの他方の位置を越えて延びている。
図6Aにおける下縁保護材73は、下縁延長部フィルム73hを含むとともに、上述した下縁第1部分73aと下縁第2部分73bとを有している。下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bの形態は、下縁30b2の延びる方向において、下縁30b2よりも大きな長さを有する以外は、図1Aに示した上述の実施形態における下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bと同様である。下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bは、下縁30b2の延びる方向の一方において、一対の側縁30aの一方の位置を越えて延びている。また、下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bは、下縁30b2の延びる方向の他方において、一対の側縁30aの他方の位置を越えて延びている。下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bは、自身の重さによって透明積層フィルム30の側縁30a及び下縁30b2の変形を抑制する、重りの役割を果たしてもよい。これにより、透明積層フィルム30を安定的に平坦化された状態で支持できる。
図6Bは、図6Aに示すパーティション10の側縁延長部フィルム72hを、上縁30b1の延びる方向から観察した様子を示す側面図である。図6Bにおいて、側縁延長部フィルム72hには、孔部72h1と、切欠き72h2とが設けられている。側縁延長部フィルム72hは、孔部72h1に上縁取付部71を通し、切欠き72h2に下縁保護材73の下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bを噛み合わせることによって、図6Aに示すように、上縁取付部71及び下縁保護材73に取り付けられ得る。
図6Aにおいて、側縁延長部フィルム72hは、上縁30b1及び下縁30b2の延びる方向から、側縁30aの端面に重なっている。これにより、側縁30aは、側縁延長部フィルム72hによってむき出しにならないように保護されている。なお、図6Aにおいて、側縁保護材72は、側縁延長部フィルム72hを含むとともに、第2変形例において上述した粘着テープ72iを含んでいる。図6Aにおいて、粘着テープ72iは、側縁30aと側縁延長部フィルム72hとの間に位置して、一対の側縁30aを覆っている。側縁保護材72が側縁延長部フィルム72hを含むとともに粘着テープ72iを含むことによって、より安定的に側縁30aを保護できる。
側縁延長部フィルム72hは、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように側縁30aから両側に延びている。図6Aにおいて、側縁延長部フィルム72hは、透明積層フィルム30が位置する平面と直交するように延びている。
図示はしないが、側縁延長部72fは、側縁延長部フィルム72hを支持して平面状に維持する側縁延長フィルム支持部を有してもよい。側縁延長フィルム支持部は、例えば、側縁延長部フィルム72hを囲う枠状の形状を有していてもよい。側縁延長部72fが側縁延長フィルム支持部を有する場合、側縁延長フィルム支持部は、上縁取付部71及び下縁保護材73の少なくともいずれか一方に固定されていてもよい。
側縁延長部フィルム72hの、透明積層フィルム30の厚み方向における縁部は、上述の実施の形態及び各変形例のいずれかについて説明した側縁保護材72によって側縁30aを保護する方法と同様の方法によって、保護されていてもよい。図6Aにおいて、側縁延長部フィルム72hの、透明積層フィルム30の厚み方向における縁部は、粘着テープ72h3に覆われることで保護されている。粘着テープ72h3は、例えば第2変形例において上述した側縁30aを覆う粘着テープ72iと同様である。
図6Aにおいて、下縁延長部フィルム73hは、下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bの下面に取り付けられている。図示はしないが、下縁延長部フィルム73hは、例えば粘着テープを介して、下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bの下面に接着されている。
下縁延長部フィルム73hは、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように下縁30b2から両側に延びている。図6Aにおいて、下縁延長部フィルム73hは、透明積層フィルム30が位置する平面と直交するように延びている。
図示はしないが、下縁延長部73fは、下縁延長部フィルム73hを支持して平面状に維持する下縁延長フィルム支持部を有してもよい。下縁延長フィルム支持部は、例えば、下縁延長部フィルム73hを囲う枠状の形状を有していてもよい。下縁延長部73fが側縁延長フィルム支持部を有する場合、下縁延長フィルム支持部は、下縁保護材73に対して固定されていてもよい。
下縁延長部フィルム73hの、透明積層フィルム30の厚み方向における縁部は、上述の実施の形態及び各変形例のいずれかについて説明した側縁保護材72によって側縁30aを保護する方法と同様の方法によって、保護されていてもよい。図6Aにおいて、下縁延長部フィルム73hの、透明積層フィルム30の厚み方向における縁部は、粘着テープ73h3に覆われることで保護されている。粘着テープ73h3は、例えば第2変形例において上述した側縁30aを覆う粘着テープ72iと同様の粘着テープであってもよい。
一例として、側縁延長部フィルム72h及び下縁延長部フィルム73hは、それぞれ、光の反射率が3%以下である。側縁延長部フィルム72h及び下縁延長部フィルム73hは、透明積層フィルム30と同様の層構成を有するフィルムであってもよい。側縁延長部フィルム72h及び下縁延長部フィルム73hと、透明積層フィルム30とが、同一のフィルムから構成されていてもよい。これにより、透明積層フィルム30と同様に、側縁延長部フィルム72h及び下縁延長部フィルム73hにおける光の反射率を小さくできる。
以上のように第4変形例によれば、側縁延長部72fは、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように側縁30aから両側に延びる側縁延長部フィルム72hを含む。また、下縁延長部73fは、透明積層フィルム30が位置する平面と交差するように下縁30b2から両側に延びる下縁延長部フィルム73hを含む。側縁延長部フィルム72h及び下縁延長部フィルム73hは、それぞれ、光の反射率が3%以下である。このような側縁延長部72f及び下縁延長部73fによっても、パーティション10を挟んで対面する使用者H1、H2同士の間での飛沫の移動を、効果的に抑制できる。
また、側縁延長部72fが側縁延長部フィルム72hを含み、下縁延長部73fが下縁延長部フィルム73hを含むため、パーティション10の使用者H1、H2は、側縁延長部フィルム72hや下縁延長部フィルム73hを介して、側縁延長部72fや下縁延長部73fの先を視認できる。このため、使用者H1、H2の視界を大きく遮ることなく、側縁延長部72f及び下縁延長部73fを設けることができる。特に、側縁延長部フィルム72h及び下縁延長部フィルム73hの光の反射率が3%以下であるため、側縁延長部フィルム72h及び下縁延長部フィルム73hに使用者H1、H2自身の顔などの像が映り込むことが抑制される。これによって、側縁延長部フィルム72h及び下縁延長部フィルム73hへの像の映り込みによって使用者H1、H2の視界が遮られることを抑制できる。
(第5変形例)
図7は、第5変形例によるパーティション10の一例を示す正面図である。図7に示すように、第5変形例によるパーティション10において、透明積層フィルム30は、矩形の形状を有しない。図7において、透明積層フィルム30は、矩形の形状を有するフィルム第1部分30cと、フィルム第1部分30cの下側に位置し且つ矩形の形状を有するフィルム第2部分30dと、が一体となった形状を有する。上縁30b1の延びる方向において、フィルム第1部分30cの幅は、フィルム第2部分30dの幅よりも大きい。このように、透明積層フィルム30が矩形の形状を有しない場合、透明積層フィルム30の上縁取付部71が取り付けられる縁部を、透明積層フィルム30の上縁30b1とみなし得る。また、透明積層フィルム30の最も下方に位置する辺を構成する縁部を、透明積層フィルム30の下縁30b2とみなし得る。また、透明積層フィルム30の上縁30b1と下縁30b2との間に位置する縁部を、透明積層フィルム30の側縁30aとみなし得る。
図7において、側縁保護材72は、第2変形例において上述した粘着テープ72iからなっている。粘着テープ72iは、一対の側縁30aを覆うことにより、一対の側縁30aを保護している。また、下縁保護材73は、第2変形例において上述した粘着テープ73iからなっている。粘着テープ73iは、下縁30b2を覆うことにより、下縁30b2を保護している。
図7において、上縁取付部71は、複数のクリップ71cを有している。具体的には、上縁取付部71は、2つのクリップ71cを有している。また、上縁取付部71が吊り下げられる固定体は、スタンド90である。スタンド90は、机の上面などの載置面上に置かれる板状の台座部91と、台座部91の上方へと上下方向に延びる円柱状の柱部92と、柱部92の上端から水平方向に延びる円柱状の吊り下げ部93と、を有している。複数のクリップ71cは、吊り下げ部93に回転可能に支持されている。
図7において、複数のクリップ71cが上縁30b1を挟んで保持している状態を、上縁取付部71が上縁30b1に取り付けられている状態とみなし得る。また、固定体であるスタンド90の吊り下げ部93に複数のクリップ71cが支持された状態を、上縁取付部71が固定体に吊り下げられている状態とみなし得る。
図7に示すような、パーティション10と、パーティション10の上縁取付部71が吊り下げられる固定体とを併せて、固定体付きパーティション100とも称する。第5変形例においては、このような、パーティション10と、上縁取付部71が吊り下げられる固定体とを備え、固定体は、台座部91と、台座部91から上方へ延びる柱部92と、柱部92から水平方向に延びる吊り下げ部93とを有する、固定体付きパーティション100も提供する。
第5変形例のパーティション10及び固定体付きパーティション100においても、透明積層フィルム30の側縁30a及び下縁30b2がむき出しにならないように保護できる。また、側縁保護材72及び下縁保護材73によって、使用者がパーティション10の存在やパーティション10の側方の端部の位置を認識しやすくなり、使用者がパーティション10の存在や位置を認識できずにパーティション10に衝突するような事態を効果的に抑制できる。
次に、上記実施の形態における具体的実施例について述べる。
(実施例1)
まず、図2Cに示す透明積層フィルム30を作製した。この際、まず、第1面反射防止層40を作製した。第1面反射防止層40を作製する際、まず、第1面透明基材層42として、厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.49)を準備した。次に、トリアセチルセルロースフィルム上に、下記処方のハードコート層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、厚み7.3μm、屈折率1.54、鉛筆硬度2Hの第1面ハードコート層44を形成した。次いで、この第1面ハードコート層44上に、下記処方の高屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、厚み150nm、屈折率1.63の第1面高屈折率層46を形成した。次いで、この第1面高屈折率層46上に、下記処方の低屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、厚み100nm、屈折率1.30の第1面低屈折率層45を形成し、第1面反射防止層40を得た。
<ハードコート層形成用塗布液の調製>
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア127、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン)を1.6質量部、希釈溶剤(メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン=8/2)を58.3質量部入れ、溶け残りがなくなるまで撹拌した。ここに光硬化樹脂(荒川化学社製、ビームセット577)を20質量部、及び高屈折率樹脂(DIC株式会社製、ポリライトRX-4800)を20質量部入れ撹拌し、溶け残りがなくなるまで撹拌した。最後にレベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10-28(MB))を0.1質量部入れ撹拌し、ハードコート層形成用塗布液を調製した。
<高屈折率層形成用塗布液の調製>
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア127)0.1質量部、希釈溶剤(メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン=4/2/4)を92.6質量部入れ、溶け残りがなくなるまで撹拌した。ここに光硬化樹脂(荒川化学社製、ビームセット577)を1.25質量部入れ、溶け残りがなくなるまで撹拌した。更に酸化ジルコニウム(住友大阪セメント社製、MZ-230X、固形分32.5質量%、平均一次粒子径15~50nm)を6質量部、レベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10-28(MB))0.05質量部をそれぞれ入れ撹拌し、高屈折率層形成用塗布液を調製した。
<低屈折率層形成用塗布液の調製>
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア127)0.2質量部、希釈溶剤(MIBK/AN=7/3)を91.1質量部入れ、溶け残りがなくなるまで撹拌した。ここに光硬化樹脂(日本化薬社製、KAYARAD-PET-30)1.0質量部、中空シリカ粒子(固形分20質量%、平均一次粒子径60nm)7.6質量部、レベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10-28(MB))0.1質量部をそれぞれ入れ撹拌し、低屈折率層形成用塗布液を調製した。
次に、第2面反射防止層50を作製した。第2面反射防止層50を作製する際、まず、第2面透明基材層52として、厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.49)を準備した。次に、トリアセチルセルロースフィルム上に、上記処方のハードコート層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、厚み7.3μm、屈折率1・54、鉛筆硬度2Hの第2面ハードコート層54を形成した。次いで、この第2面ハードコート層54上に、上記処方の高屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、厚み150nm、屈折率1.63の第2面高屈折率層56を形成した。次いで、この第2面高屈折率層56上に、上記処方の低屈折率層形成用塗布液を塗布、乾燥及び紫外線照射し、厚み100nm、屈折率1.30の第2面低屈折率層55を形成し、第2面反射防止層50を得た。
次に、第1面反射防止層40および第2面反射防止層50を、透明接着層(パナック株式会社製、パナクリーンシリーズ PD-S1、厚み25μm)と、厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルムと、透明接着層(パナック株式会社製、パナクリーンシリーズ PD-S1、厚み25μm)と、を介して互いに接着させて透明積層フィルム30を作製した。得られた透明積層フィルム30の層構成は、以下の通りである。
低屈/高屈/ハードコート/TAC/粘/TAC/粘/TAC/ハードコート/高屈/低屈
上記において、「低屈」は、第1面低屈折率層または第2面低屈折率層を意味している(以下同様)。また、「高屈」は、第1面高屈折率層または第2面高屈折率層を意味している(以下同様)。また、「ハードコート」は、第1面ハードコート層または第2面ハードコート層を意味している(以下同様)。また、「TAC」は、トリアセチルセルロースフィルムを意味している(以下同様)。更に、「粘」は透明接着層を意味している。実施例1による透明積層フィルム30の厚みは、245.1μmであった。
次に、作製された透明積層フィルム30を用いて、図4Aに示すパーティション10を作製した。この際、まず、透明積層フィルム30を、矩形の形状に加工した。透明積層フィルム30の上縁30b1及び下縁30b2の長さは、600mmとした。透明積層フィルム30の側縁30aの長さは、900mmとした。
次に、フィルム支持部70によって、透明積層フィルム30を支持させた。側縁保護材72としては、図4Aに示すような粘着テープ72iを用いた。側縁保護材72の粘着テープ72iとしては、カプトン(登録商標)テープを用いた。カプトン(登録商標)テープとしては、10mmの幅を有する株式会社寺岡製作所製のカプトン(登録商標)粘着テープNo650Sを用いた。粘着テープ72iを、幅方向の中央を側縁30aの端部に当てて折ることで、側縁30aの第1面301と第2面302とに幅5mmずつ貼り付けた。これにより、側縁30aの粘着テープ72iによって覆われる部分の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、5mmとなった。これにより、側縁保護材72の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、5mmとなった。実施例1において、側縁保護材72の幅は、側縁30aの粘着テープ72iによって覆われる部分の幅に対応する。下縁保護材73としては、ファースト製のタペストリーバーF20を幅600mmにカットして使用した。上縁取付部71としては、株式会社友屋製の、幅600mmのPOPハンガーD2を用いた。すなわち、POPハンガーD2を、透明積層フィルム30の上縁30b1に取り付け、この状態のPOPハンガーD2の2か所を、長さ100mm長の紐Cを用いて天井から吊り下げた。
(1)反射率測定試験
次に、透明積層フィルム30に対して反射率測定試験を実施した。
この際、まず、得られた透明積層フィルム30から、20mm×20mmサイズのサンプルを切り出した。次に、サンプルの裏面に黒色の樹脂板を密着させた。次いで、サンプルの表面に対して、入射角が5°となるように光を照射した。このとき、光の波長を550nmとして、サンプルの表面に対して光を照射した。そして、分光光度計(日本分光株式会社社製、V-7100)を用いて、光の反射スペクトルを測定し、光の反射率を算出した。
(2)側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験
また、透明積層フィルム30のうち側縁30aの側縁保護材72に覆われた部分の透過率測定試験を実施した。
この際、まず、側縁30aの側縁保護材72に覆われた部分から、20mm×5mmサイズのサンプルを切り出した。実施例1においては、サンプルとして、側縁30aの粘着テープ72iに覆われた部分の一部を切り出した。次に、サンプルの表面に対して、入射角が90°となるように光を照射した。このとき、光の波長を550nmとして、サンプルの表面に対して光を照射した。そして、分光光度計(日本分光株式会社社製、V-7100)を用いて、光の透過スペクトルを測定し、各波長での光の透過率を算出した。
(3)パーティションの使用感の官能評価試験
また、パーティション10の使用感の官能評価試験を実施した。
パーティション10の使用感の官能評価試験においては、パーティション10を、天井に蛍光灯の照明のある明るい部屋に、上縁30b1が床面から2m上に位置するように吊り下げた。次に、10人の被験者に、透明積層フィルム30が位置する平面に垂直な方向の、透明積層フィルム30から3m離れた位置に立たせた。この状態において、パーティション10の使用感について、ヒアリングした。特に、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさについて、ヒアリングした。
この際、各被験者に対して、透明積層フィルム30に映り込みが生じることなく、透明積層フィルム30を介してパーティション10の先を円滑に視認できたか否かについて、ヒアリングした。そして、透明積層フィルム30に映り込みが生じることなくパーティション10の先を円滑に視認できたと回答した被験者が5人以下であった場合には、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさが不十分と判定した。透明積層フィルム30に映り込みが生じることなくパーティション10の先を円滑に視認できたと回答した被験者が6人以上7人以下であった場合には、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさが十分に大きいと判定した。透明積層フィルム30に映り込みが生じることなくパーティション10の先を円滑に視認できたと回答した被験者が8人以上であった場合には、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさが特に大きいと判定した。
(4)パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験
次に、パーティション10の位置の認識しやすさの官能評価試験を実施した。特に、被験者がパーティション10に接近するときの、パーティション10の位置の認識しやすさの官能評価試験を実施した。
パーティション10の位置の認識しやすさの官能評価試験においては、透明積層フィルム30が位置する平面に垂直な方向の、透明積層フィルム30から3m離れた位置に立たせた10人の被験者に、透明積層フィルム30が位置する平面に垂直な方向の、透明積層フィルム30から1m離れた位置まで歩かせた。そして、透明積層フィルム30から1m離れた位置まで歩くまでに、パーティション10の位置を認識できるかについて、ヒアリングした。また、透明積層フィルム30から1m離れた位置まで歩くまでに、他に気付いたことがないかヒアリングを行った。
この際、パーティション10の位置を認識できたと回答した被験者が5人以下であった場合には、パーティション10の位置の認識しやすさが不十分と判定した。パーティション10の位置を認識できたと回答した被験者が6人以上7人以下であった場合には、パーティション10の位置の認識しやすさが十分に大きいと判定した。パーティション10の位置を認識できたと回答した被験者が8人以上であった場合には、パーティション10の位置の認識しやすさが特に大きいと判定した。
(5)パーティションの端部の触感試験
次に、パーティション10の端部の触感試験を実施した。
パーティション10の端部の触感試験においては、パーティション10を、上縁30b1が床面から2m上に位置するように吊り下げた。次に、人差し指に、フィルムとしてパラフィルム(登録商標)を巻いた。次に、フィルムを巻いた人差し指で、パーティション10の側方を20cmにわたってなぞった。このように、人差し指にフィルムを巻いてパーティション10の側方をなぞる操作を、5回繰り返した。ここで、パラフィルム(登録商標)とは、Bemis Flexible Packagingが製造しているプラスチックパラフィンフィルムである。パラフィルム(登録商標)は、柔らかい伸び性のあるフィルムである。パラフィルム(登録商標)を巻いた指でパーティション10の側方をなぞってパラフィルム(登録商標)に切れ目が生じれば、使用者が指で直接パーティション10の側方に触れた場合に、使用者がちくちくとした触感を感じやすいと考えられる。
パーティション10の端部の触感試験においては、上記の操作の5回の繰り返しにおいて、フィルムに切れ目が生じたのが1回以下であれば、使用者がちくちくとした触感を感じることが十分に抑制されていると判定した。フィルムに切れ目が生じたのが2回以上であれば、使用者がちくちくとした触感を感じることが十分に抑制されていないと判定した。
(6)飛沫防止機能評価試験
次に、パーティション10に対して飛沫防止機能評価試験を実施した。
図8は、飛沫防止機能評価試験における、パーティション10、並びに後述するエアパーティクルセンサ103及びスプレーボトル105を、上方から見た位置関係を示す図である。図8においては、パーティション10において、透明積層フィルム30及び側縁保護材72の概形のみを示している。飛沫防止機能評価試験においては、まず、図8に示すように、室内の机T上にパーティション10を配置した。机Tの上面は、床面から800mmだけ高い位置にあった。パーティション10は、机Tの上面から250mmだけ離間した位置に吊り下げられた。また、机T上に、エアパーティクルセンサ103(オムロン社製、粗大エアパーティクルセンサZN-PD-S)を配置した。エアパーティクルセンサ103は、透明積層フィルム30の厚み方向において、透明積層フィルム30の第2面302側に配置した。透明積層フィルム30の厚み方向における、透明積層フィルム30とエアパーティクルセンサ103の吸引部104の中心との距離d1は、250mmとした。また、エアパーティクルセンサ103は、上縁30b1及び下縁30b2の延びる方向において、側縁保護材72よりも、透明積層フィルム30の中心から遠ざかる位置に配置した。上縁30b1及び下縁30b2の延びる方向における、パーティション10の側方の端部とエアパーティクルセンサ103の吸引部104の中心との距離d2は、100mmとした。また、パーティション10の周囲1m以内には、試験に関連する物品以外の物品を配置しないようにした。
また、レバーを引くことにより、噴霧口から手動で液体を噴出できるスプレーボトル105を準備した。スプレーボトル105の容量は30mLであった。次に、このスプレーボトル105内にイオン交換水を30mL収容した。次に、透明積層フィルム30の第1面301側に、スプレーボトル105の噴霧口が透明積層フィルム30側を向くように、スプレーボトル105を配置した。机Tの上面から、スプレーボトル105の噴霧口までの高さは、7000mmとした。透明積層フィルム30とスプレーボトル105の噴霧口との距離d3は、500mmとした。上縁30b1及び下縁30b2の延びる方向における、エアパーティクルセンサ103が位置する側のパーティション10の側方の端部とスプレーボトル105の噴霧口の中心との距離d4は、150mmとした。
次に、スプレーボトル105のレバーを引き、イオン交換水の粒子をパーティション10に向けて噴射した。そして、エアパーティクルセンサ103に粒径5μm以上の粒子をカウントさせ、単位体積あたりの粒子数を求めた。エアパーティクルセンサ103に粒子を検出させる時間は、5秒間とした。スプレーボトル105のレバーを引いて、エアパーティクルセンサ103に粒子をカウントさせて単位体積あたりの粒子数を求める操作は、12回繰り返した。当該操作の12回の繰り返しによって得られた単位体積あたりの粒子数から最大値と最小値を除き、残る10回分の粒子数の平均値を求めた。この平均値を、平均粒子数(個/cf)とした。
(実施例2)
側縁保護材72として用いる粘着テープ72iとして、黒色のテープを用いた。粘着テープ72iは、19mmの幅を有し、0.2mmの厚みを有するスリーエムジャパン株式会社製の電気絶縁用ビニールテープ117スコッチ(登録商標)であった。粘着テープ72iを、幅方向の中央を側縁30aの端部に当てて折ることで、側縁30aの第1面301と第2面302とに幅9mmずつ貼り付けた。これにより、側縁30aの粘着テープ72iによって覆われる部分の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、9mmとなった。これにより、側縁保護材72の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、9mmとなった。上記以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
(実施例3)
側縁保護材72として用いる粘着テープ72iとして、透明なテープを用いた。粘着テープ72iは、ニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標)CT-12であった。粘着テープ72iを、幅方向の中央を側縁30aの端部に当てて折ることで、側縁30aの第1面301と第2面302とに幅6mmずつ貼り付けた。これにより、側縁30aの粘着テープ72iによって覆われる部分の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、6mmとなった。これにより、側縁保護材72の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、6mmとなった。上記以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
(実施例4)
側縁保護材72として用いる粘着テープ72iとして、アルミニウムの蒸着層を含むテープを用いた。粘着テープ72iは、19mmの幅を有し、0.2mmの厚みを有する積水化学工業株式会社製のシャインテープ#25 12x30ギンT25S01であった。粘着テープ72iを、幅方向の中央を側縁30aの端部に当てて折ることで、側縁30aの第1面301と第2面302とに幅6mmずつ貼り付けた。これにより、側縁30aの粘着テープ72iによって覆われる部分の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、6mmとなった。これにより、側縁保護材72の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、6mmとなった。上記以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
(実施例5)
側縁保護材72を、図1Aに示す板状の部材から構成される側縁第1部分72aを有し、側縁第2部分72bは有しないものとした。側縁第1部分72aとしては、清水株式会社製のアルミフラットバー2.0x10x2000シルバーを、900mm長さにカットしたものを用いた。側縁30aが、透明積層フィルム30の第1面301側からの観察において側縁第1部分72aに覆われるように、第1面301に側縁第1部分72aを接着した。このとき、側縁第1部分72aの側方の端部が、側縁30aの端面よりも、透明積層フィルム30の中心から1mmだけ遠ざかる位置に配置されるように、側縁第1部分72aの位置を定めた。また、下縁保護材73を、図1Aに示す板状の部材から構成される下縁第1部分73aを有し、下縁第2部分73bは有しないものとした。下縁第1部分73aとしては、清水株式会社製のアルミフラットバー2.0x10x2000シルバーを、582mm長さにカットしたものを用いた。下縁30b2が、透明積層フィルム30の第1面301側からの観察において下縁第1部分73aに覆われるように、第1面301に下縁第1部分73aを接着した。このとき、下縁第1部分73aの下方の端部が、下縁30b2の端面よりも、透明積層フィルム30の中心から1mmだけ遠ざかる位置に配置されるように、下縁第1部分73aの位置を定めた。側縁第1部分72a及び下縁第1部分73aの、透明積層フィルム30への接着には、ニチバン株式会社製のナイスタック一般タイプ10mmx20mNW-10を使用した。これにより、側縁保護材72の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、10mmとなった。上記以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
(実施例6)
側縁保護材72を、図3Aに示すような、基部72cと、基部72cから延び出す第1挟持部72d及び第2挟持部72eと、を有するものとした。基部72cと第1挟持部72d及び第2挟持部72eとを有する側縁保護材72としては、ハヤノ産業製ポスタークリップA型 A-91のレール部を、900mm長さにカットしたものを用いた。第1挟持部72dと第2挟持部72eとの間で側縁30aを挟むことによって、側縁保護材72を側縁30aに取り付けた。また、下縁保護材73を、図3Aに示すような、基部と、基部から延び出す第1挟持部及び第2挟持部と、を有するものとした。基部と第1挟持部及び第2挟持部とを有する下縁保護材73としては、ハヤノ産業製ポスタークリップA型 A-60のレール部を、560mm長さにカットしたものを用いた。第1挟持部と第2挟持部との間で下縁30b2を挟むことによって、下縁保護材73を下縁30b2に取り付けた。これにより、側縁保護材72の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、20mmとなった。上記以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
(実施例7)
側縁保護材72を、図6Aに示すような、側縁延長部72fを有するものとした。特に、図6Aに示すような側縁延長部フィルム72hを含む側縁延長部72fを有するものとした。また、下縁保護材73を、図6Aに示すような、板状の部材から構成される下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bを有するものとした。
下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bとしては、清水株式会社製のアルミフラットバー2.0x10x2000シルバーを、610mm長さにカットしたものを用いた。下縁30b2が下縁第1部分73aと下縁第2部分73bとの間に挟まれるように、第1面301に下縁第1部分73aを接着し、第2面302に下縁第2部分73bを接着した。このとき、下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bの下方の端部が、下縁30b2の端面よりも、透明積層フィルム30の中心から1mmだけ遠ざかる位置に配置されるように、下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bの位置を定めた。また、下縁30b2の延びる方向の両側において、下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bの端部が、下縁30b2の位置する範囲から5mmだけ飛び出すように、下縁第1部分73a及び下縁第2部分73bの位置を定めた。また、上縁取付部71を、図6Aに示すような、板状の部材から構成される上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bを有するものとした。上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bとしては、清水株式会社製のアルミフラットバー2.0x10x2000シルバーを、610mm長さにカットしたものを用いた。このとき、上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bの上方の端部が、上縁30b1の端面よりも、透明積層フィルム30の中心に10mmだけ近い位置に配置されるように、上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bの位置を定めた。また、上縁30b1の延びる方向の両側において、上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bの端部が、上縁30b1の位置する範囲から5mmだけ飛び出すように、上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bの位置を定めた。下縁第1部分73a及び下縁第2部分73b、並びに上縁第1部分71a及び上縁第2部分71bの、透明積層フィルム30への接着には、ニチバン株式会社製のナイスタック一般タイプ10mmx20mNW-10を使用した。
側縁延長部フィルム72hは、以下の方法によって作製した。実施例1において透明積層フィルム30を作製した方法と同様の方法によって、図2Cに示す層構成のフィルムを作製した。作製したフィルムを加工して、図6Bに示すような、孔部72h1と切欠き72h2とが設けられた2枚の側縁延長部フィルム72hを作製した。側縁延長部フィルム72hの水平方向における寸法は、20mmとした。側縁延長部フィルム72hの上下方向における寸法は、90mmとした。孔部72h1は、孔部72h1の上端が、側縁延長部フィルム72hの上辺よりも10mmだけ下方に位置するように設けた。切欠き72h2は、側縁延長部フィルム72hの下辺に接続するように設けた。孔部72h1及び切欠き72h2は、水平方向における中心が、側縁延長部フィルム72hの水平方向における中心に位置するように設けた。孔部72h1及び切欠き72h2の水平方向における寸法は、2mmとした。孔部72h1及び切欠き72h2の上下方向における寸法は、10mmとした。
そして、側縁延長部フィルム72hの孔部72h1に、上縁取付部71の上縁30b1の位置する範囲から飛び出した部分を通した。また、側縁延長部フィルム72hの切欠き72h2に、下縁保護材73の下縁30b2の位置する範囲から飛び出した部分を噛み合わせた。これによって、側縁延長部フィルム72hを上縁取付部71及び下縁保護材73に取り付けて、側縁延長部72fを形成した。側縁延長部72fの先端と透明積層フィルム30との間の、透明積層フィルム30と直交する方向(透明積層フィルム30の厚み方向)の幅W1は、10mmであった。上記以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
(実施例8)
側縁保護材72を、図5Aに示すような、側縁延長部72fを有するものとした。特に、図5Aに示すような、側縁延長部72fに連結されるとともに、透明積層フィルム30が位置する平面に平行な板状の側縁本体部72gを更に有するものとした。特に、側縁保護材72が側縁第1部分72a及び側縁第2部分72bを有し、側縁第1部分72aが側縁第1延長部72f1及び側縁第1本体部72g1を有し、側縁第2部分72bが側縁第2延長部72f2及び側縁第2本体部72g2を有するものとした。側縁第1延長部72f1及び側縁第1本体部72g1を有する側縁第1部分72a、並びに側縁第2延長部72f2及び側縁第2本体部72g2を有する側縁第2部分72bとしては、光モール株式会社製のホワイトアングル品番1527を900mm長にカットしたものを用いた。側縁30aが側縁第1本体部72g1と側縁第2本体部72g2との間に挟まれるように、第1面301に側縁第1本体部72g1を接着し、第2面302に側縁第2本体部72g2を接着した。このとき、側縁第1本体部72g1及びに側縁第2本体部72g2の側方の端部が、側縁30aの端面よりも、透明積層フィルム30の中心から1mmだけ遠ざかる位置に配置されるように、側縁第1部分72a及び側縁第2部分72bの位置を定めた。また、側縁第1延長部72f1が、側縁第1本体部72g1の、透明積層フィルム30の中心から遠ざかる側の端部に連結され、側縁第2延長部72f2が、側縁第2本体部72g2の、透明積層フィルム30の中心から遠ざかる側の端部に連結されるように、側縁第1部分72a及び側縁第2部分72bの位置を定めた。側縁延長部72fの先端と透明積層フィルム30との間の、透明積層フィルム30と直交する方向(透明積層フィルム30の厚み方向)の幅W1は、15mmであった。これにより、側縁保護材72の幅(側縁30aの延びる方向に直交する方向における長さ)は、15mmとなった。上記以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
(比較例1)
透明積層フィルム30に代えて、市販のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、ルミラー188U48)を用いたこと、及び側縁保護材72を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
(比較例2)
側縁保護材72を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、反射率測定試験、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験、パーティションの使用感の官能評価試験、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験、パーティションの端部の触感試験及び飛沫防止機能評価試験を行った。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2024006438000002
上記表1の「反射率(%)」の欄は、反射率測定試験における、透明積層フィルム30の反射率の測定結果を示している。
上記表1の「透過率(%)」の欄は、側縁の側縁保護材に覆われた部分の透過率測定試験における、透明積層フィルム30のうち側縁30aの側縁保護材72に覆われた部分の透過率の測定結果を示している。
上記表1の「使用感」の欄において、「〇」は、パーティションの使用感の官能評価試験の結果、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさが特に大きいと判定されたことを意味する。すなわち、透明積層フィルム30に映り込みが生じることなくパーティション10の先を円滑に視認できたと回答した被験者が8人以上であったことを意味する。「×」は、パーティションの使用感の官能評価試験の結果、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさが不十分と判定されたことを意味する。すなわち、透明積層フィルム30に映り込みが生じることなくパーティション10の先を円滑に視認できたと回答した被験者が5人以下であったことを意味する。
上記表1の「認識しやすさ」の欄において、「〇」は、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験の結果、パーティション10の位置の認識しやすさが特に大きいと判定されたことを意味する。すなわち、パーティション10の位置を認識できたと回答した被験者が8人以上であったことを意味する。「△」は、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験の結果、パーティション10の位置の認識しやすさが十分に大きいと判定されたことを意味する。すなわち、パーティション10の位置を認識できたと回答した被験者が6人以上7人以下であったことを意味する。「×」は、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験の結果、パーティション10の位置の認識しやすさが不十分と判定されたことを意味する。すなわち、パーティション10の位置を認識できたと回答した被験者が5人以下であったことを意味する。
上記表1の「触感」の欄において、「〇」は、パーティションの端部の触感試験の結果、使用者がちくちくとした触感を感じることが十分に抑制されていると判定されたことを意味する。すなわち、人差し指にフィルムを巻いてパーティション10の側方をなぞる操作の5回の繰り返しにおいて、フィルムに切れ目が生じたのが1回以下であったことを意味する。「×」は、パーティションの端部の触感試験の結果、使用者がちくちくとした触感を感じることが十分に抑制されていないと判定されたことを意味する。すなわち、人差し指にフィルムを巻いてパーティション10の側方をなぞる操作の5回の繰り返しにおいて、フィルムに切れ目が生じたのが2回以上であったことを意味する。
上記表1の「平均粒子数(個/cf)」の欄は、飛沫防止機能評価試験における、平均粒子数(個/cf)の測定結果を示している。
この結果、表1に示すように、比較例1においては、波長が550nmの光の反射率が、8%であった。これに対して、実施例1乃至実施例8及び比較例2においては、波長が550nmの光の反射率が、比較例1における反射率よりも小さく、特に3%以下であった。このように、実施例1乃至実施例8及び比較例2による透明積層フィルム30では、波長が550nmの光の反射率を3%以下に低減できた。
また、表1に示すように、パーティションの使用感の官能評価試験において、比較例1においては、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさが不十分であった。これに対して、実施例1乃至実施例8及び比較例2においては、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさが特に大きかった。このように、実施例1乃至実施例8及び比較例2による透明積層フィルム30を有するパーティション10では、透明積層フィルム30を介したパーティション10の先の視認しやすさを大きくできた。
また、表1に示すように、パーティションの位置の認識しやすさの官能評価試験において、比較例2においては、パーティション10の位置の認識しやすさが不十分であった。これに対して、実施例1乃至実施例8においては、パーティション10の位置を十分に認識しやすくできた。特に、被験者がパーティション10に近づくときに、パーティション10の位置を十分に認識しやすくできた。
また、表1に示すように、パーティションの端部の触感試験において、比較例1及び比較例2においては、使用者がちくちくとした触感を感じることが十分に抑制されていなかった。これに対して、実施例1乃至実施例8においては、使用者がちくちくとした触感を感じることが十分に抑制されていた。このように、実施例1乃至実施例8においては、側縁保護材72によって、パーティション10の側方に触れた使用者がちくちくとした触感を感じることを、十分に抑制できた。
また、表1に示すように、飛沫防止機能評価試験において、側縁保護材72が板状の部材から構成される側縁第1部分72a及び側縁第2部分72bを有する実施例5、側縁保護材72が基部72cと第1挟持部72d及び第2挟持部72eとを有する実施例6、並びに側縁保護材72が側縁延長部72fを有する実施例7及び実施例8によるパーティション10で、平均粒子数を140(個/cf)以下まで低減できた。特に、側縁保護材72が側縁延長部72fを有する実施例7及び実施例8によるパーティション10で、平均粒子数を80(個/cf)以下まで低減できた。
上記各実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
10 パーティション
30 透明積層フィルム
30a 側縁
30b1 上縁
30b2 下縁
40 第1面反射防止層
50 第2面反射防止層
70 フィルム支持部
71 上縁取付部
72 側縁保護材
72f 側縁延長部
72g 側縁本体部
72h 側縁延長部フィルム
72i 粘着テープ
73 下縁保護材
73f 下縁延長部
73g 下縁本体部
73h 下縁延長部フィルム
73i 粘着テープ
90 スタンド
100 固定体付きパーティション

Claims (15)

  1. 光の反射率が3%以下の透明積層フィルムと、
    前記透明積層フィルムを支持するフィルム支持部と、を備え、
    前記透明積層フィルムは、上縁と、下縁と、一対の側縁と、を有し、
    前記フィルム支持部は、前記上縁に取り付けられるとともに、固定体に吊り下げられて前記透明積層フィルムを支持する上縁取付部と、各々の前記側縁をそれぞれ保護する一対の側縁保護材と、を有する、パーティション。
  2. 前記フィルム支持部は、前記下縁を保護する下縁保護材をさらに有する、請求項1に記載のパーティション。
  3. 前記側縁保護材及び前記下縁保護材は、金属製又は樹脂製の部材である、請求項2に記載のパーティション。
  4. 前記側縁保護材は、前記側縁に接着されており、
    前記下縁保護材は、前記下縁に接着されている、請求項2に記載のパーティション。
  5. 前記側縁保護材は、前記側縁を挟むことによって前記側縁に取り付けられており、
    前記下縁保護材は、前記下縁を挟むことによって前記下縁に取り付けられている、請求項2に記載のパーティション。
  6. 前記側縁保護材は、前記透明積層フィルムが位置する平面と交差するように前記側縁から両側に延びる側縁延長部を有し、
    前記下縁保護材は、前記透明積層フィルムが位置する平面と交差するように前記下縁から両側に延びる下縁延長部を有する、請求項2に記載のパーティション。
  7. 前記側縁延長部は、前記透明積層フィルムが位置する平面と交差するように前記側縁から両側に延びる側縁延長部フィルムを含み、
    前記下縁延長部は、前記透明積層フィルムが位置する平面と交差するように前記下縁から両側に延びる下縁延長部フィルムを含み、
    前記側縁延長部フィルム及び前記下縁延長部フィルムは、それぞれ、光の反射率が3%以下である、請求項6に記載のパーティション。
  8. 前記側縁保護材は、前記側縁延長部に連結されるとともに、前記透明積層フィルムが位置する平面に平行な板状の側縁本体部を更に有し、
    前記下縁保護材は、前記下縁延長部に連結されるとともに、前記透明積層フィルムが位置する平面に平行な板状の下縁本体部を更に有する、請求項6に記載のパーティション。
  9. 前記側縁延長部の先端と前記透明積層フィルムとの間の、前記透明積層フィルムと直交する方向の幅W1は10mm以上であり、
    前記下縁延長部の先端と前記透明積層フィルムとの間の、前記透明積層フィルムと直交する方向の幅W2は10mm以上である、請求項6に記載のパーティション。
  10. 前記側縁保護材は、粘着テープを含み、
    前記粘着テープは、前記一対の側縁を覆う、請求項1に記載のパーティション。
  11. 前記粘着テープは、透明である、請求項10に記載のパーティション。
  12. 前記粘着テープは、アルミニウムの蒸着層を含む、請求項10に記載のパーティション。
  13. 前記透明積層フィルムは、第1面反射防止層と、第1面反射防止層の反対側に位置する第2面反射防止層とを含む、請求項1に記載のパーティション。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のパーティションと、
    前記上縁取付部が吊り下げられる前記固定体とを備え、
    前記固定体は、台座部と、前記台座部から上方へ延びる柱部と、前記柱部から水平方向に延びる吊り下げ部とを有する、固定体付きパーティション。
  15. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のパーティションを備える、建物。
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