JP2024003505A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルクーラを備えた車両用駆動装置を、車両用駆動装置が大型化することを抑制しつつ構成する。【解決手段】車両用駆動装置は、回転電機1と出力部材と伝達機構とケース9とオイルクーラ8とを備える。ケース9の内部には、回転電機収容室98と伝達機構収容室99とが形成されている。オイルクーラ8は、ケース9の内面の一部である特定内面97を用いてケース9の内部に形成されたオイル貯留室7と、特定内面97を形成するケース9の部分である特定部96に設けられて冷媒が流通する冷媒路81とを備える。オイル貯留室7は、伝達機構収容室99の内部であって、軸方向Lに沿う軸方向視で回転電機1と重複する位置に配置されている。【選択図】図3

Description

本発明は、回転電機と、出力部材と、回転電機と出力部材との間で駆動力を伝達する伝達機構と、回転電機及び伝達機構を収容するケースと、オイルクーラとを備えた車両用駆動装置に関する。
上記のような車両用駆動装置においては、回転電機や伝達機構が油によって潤滑(冷却を含む)されることが多い。潤滑に用いられた油は、回転電機や伝達機構との熱交換によってその温度が上昇するため、当該油を冷却するためにオイルクーラが設けられる場合がある。国際公開第2018/030343号には、そのようなオイルクーラを備えた車両用駆動装置(モータユニット(1))が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。このモータユニット(1)は、モータユニット(1)のケース(ハウジング(6))の外周面に固定されたオイルポンプ(96)及びオイルクーラ(97)を備えている。
国際公開第2018/030343号
一般的にオイルクーラは、形状の自由度が小さく、例えば側面視の形状が矩形状であることも多い。回転部材が収容される車両用駆動装置のケースでは、ケースの外形が円弧状となることが多いため、直方体状のオイルクーラをケースの外周面に配置する場合には、デッドスペースが発生し易く、車両用駆動装置の外形が大きくなり易い。
上記背景に鑑みて、オイルクーラを備えた車両用駆動装置を、車両用駆動装置が大型化することを抑制しつつ構成することが望まれる。
上記課題に鑑みた車両用駆動装置は、回転電機と、一対の車輪にそれぞれ駆動連結される一対の出力部材と、前記回転電機と一対の前記出力部材との間で駆動力を伝達する伝達機構と、前記回転電機及び前記伝達機構を収容するケースと、オイルクーラと、を備えた車両用駆動装置であって、前記回転電機と一対の前記出力部材とは、互いに平行な2つの軸に分かれて配置され、前記伝達機構は、一対の前記出力部材と同軸上に配置されて前記回転電機からの駆動力が伝達される差動入力ギヤと、前記差動入力ギヤに伝達された駆動力を一対の前記出力部材に分配する差動歯車機構と、を備え、前記ケースの内部には、前記回転電機が収容される回転電機収容室と、前記伝達機構が収容される伝達機構収容室と、が形成され、前記回転電機のロータの回転軸心に沿う方向を軸方向として、前記回転電機収容室と前記伝達機構収容室とは、前記軸方向に並んで配置され、前記オイルクーラは、前記ケースの内面の一部である特定内面を用いて前記ケースの内部に形成されたオイル貯留室と、前記特定内面を形成する前記ケースの部分である特定部に設けられて冷媒が流通する冷媒路と、を備え、前記オイル貯留室は、前記伝達機構収容室の内部であって、前記軸方向に沿う軸方向視で前記回転電機と重複する位置に配置されている。
本構成によれば、ケースの特定部を用いて冷媒路が形成されていると共に当該特定部の内面に当たる特定内面を用いてケースの内部にオイル貯留室が形成されている。このため、冷媒路を通る冷媒によってオイル貯留室の油を冷却することができる。従って、本構成によれば、別途オイルクーラをケースの外部又は内部に設ける場合に比べて、車両用駆動装置の構造の簡素化及び小型化を図り易い。即ち、本構成によれば、オイルクーラを備えた車両用駆動装置を、車両用駆動装置が大型化することを抑制しつつ構成することができる。
車両用駆動装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
車両用駆動装置の一例を示す軸方向断面図 車両用駆動装置のスケルトン図 車両用駆動装置のケースの一例を示す斜視図 第3ケース部を外した状態で軸方向第2側から見た車両用駆動装置の模式的な平面図 軸方向第1側から見た第3ケース部の模式的な平面図
以下、車両用駆動装置の実施形態を図面に基づいて説明する。本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、遊星歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、遊星歯車機構における複数の回転要素が、互いに他の回転要素を介することなく連結されている状態を指すものとする。
また、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
図1及び図2に示すように、車両用駆動装置100は、回転電機1と、一対の車輪Wにそれぞれ駆動連結される一対の出力部材2と、回転電機1と一対の出力部材2との間で駆動力を伝達する伝達機構3と、回転電機1及び伝達機構3を収容するケース9とを備えている。回転電機1と一対の出力部材2とは、互いに平行な2つの軸(第1軸A1及び第2軸A2)に分かれて配置されている。回転電機1は、第1軸A1上に配置されている。ケース9の内部には、回転電機1が収容される回転電機収容室98と、伝達機構3が収容される伝達機構収容室99とが形成されている。
伝達機構3は、一対の出力部材2と同軸上(第2軸A2上)に配置されて回転電機1からの駆動力が伝達される差動入力ギヤ41と、差動入力ギヤ41に伝達された駆動力を一対の出力部材2に分配する差動歯車機構4とを少なくとも備えている。尚、差動入力ギヤ41は、差動歯車機構4に含まれると考えてもよい。即ち、伝達機構3は、差動入力ギヤ41を備えた差動歯車機構4を備えると考えてもよい。本実施形態では、伝達機構3は、差動入力ギヤ41と、差動歯車機構4と、回転電機1と同軸上(第1軸A1上)に配置されて回転電機1からの駆動力を差動入力ギヤ41へ伝達するギヤ機構部30とを備えている。後述するように、本実施形態においてギヤ機構部30は、遊星歯車機構31と、伝達ギヤ32とを備えている。
車輪Wの駆動力源として機能する回転電機1は、ステータ11及びロータ12を備えている。ロータ12の回転は、伝達機構3を介して出力部材2に伝達される。回転電機1は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、回転電機1は、バッテリやキャパシタ等の不図示の蓄電装置と電気的に接続されている。回転電機1は、蓄電装置に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、回転電機1は、車輪Wの側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置を充電する。
ロータ12、遊星歯車機構31、及び伝達ギヤ32は、それらの軸心としての第1軸A1上に配置されている。また、出力部材2、差動入力ギヤ41及び差動歯車機構4は、それらの軸心としての第2軸A2上に配置されている。
以下の説明では、第1軸A1及び第2軸A2に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」と称する。本実施形態では、軸方向Lにおいて、遊星歯車機構31に対してロータ12が配置される側を軸方向第1側L1とし、その反対側を軸方向第2側L2としている。また、第1軸A1及び第2軸A2のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合や、どの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。また、車両搭載状態において、鉛直方向に沿う方向を上下方向Vとして、上下方向Vに沿って上方を上側V1、下方を下側V2と称する。本実施形態では、車両搭載状態において、軸方向Lは水平方向に沿い、軸方向Lと上下方向Vとは直交しているものとする。また、図3から図5に示すように、軸方向L及び上下方向Vに直交する方向を前後方向Hとし、第2軸A2に対して第1軸A1が配置される方向を前後方向第1側H1、その反対方向を前後方向第2側H2と称する。
上述したように、車両用駆動装置100は、回転電機1及び伝達機構3を収容するケース9を備えている。尚、本実施形態では、ケース9は、出力部材2も収容している。本実施形態では、ケース9は、第1ケース部91と、当該第1ケース部91に対して軸方向第1側L1から接合された第2ケース部92と、第1ケース部91に対して軸方向第2側L2から接合された第3ケース部93とを備えている。第1ケース部91は、ケース本体、第2ケース部92は、回転電機側カバーケース、第3ケース部93は、伝達機構側カバーケースということもできる。
図1及び図3に示すように、第1ケース部91は、第1周壁部91aと、第2周壁部91bと、区画壁部91cとを備えている。第1周壁部91aは、回転電機1の径方向Rの外側を覆うように形成されている。第2周壁部91bは、ギヤ機構部30(遊星歯車機構31、伝達ギヤ32)及び差動歯車機構4の径方向Rの外側を覆うように形成されている。区画壁部91cは、第1周壁部91aの内部空間(回転電機収容室98)と第2周壁部91bの内部空間(伝達機構収容室99)とを軸方向Lに区画するように形成されている。本実施形態では、区画壁部91cに対して軸方向第1側L1に第1周壁部91aが配置され、区画壁部91cに対して軸方向第2側L2に第2周壁部91bが配置されている。図3に示すように、ケース9における前後方向第1側H1においては、回転電機収容室98と伝達機構収容室99とは、区画壁部91cを挟んで軸方向Lに並んで配置されている。ケース9における前後方向第2側H2においては、軸方向Lの全域に亘って、伝達機構収容室99が配置されている。
第2ケース部92は、第1側壁部92aを備えている。第1側壁部92aは、回転電機1の軸方向第1側L1を覆うように形成されている。本実施形態では、第1周壁部91aの軸方向第1側L1の開口が第1側壁部92aにより塞がれるように、第2ケース部92が第1ケース部91に対して軸方向第1側L1から接合されている。
第3ケース部93は、第2側壁部93aを備えている。第2側壁部93aは、伝達機構3及び差動歯車機構4の軸方向第2側L2を覆うように形成されている。本実施形態では、第2周壁部91bの軸方向第2側L2の開口が第2側壁部93aにより塞がれるように、第3ケース部93が第1ケース部91に対して軸方向第2側L2から接合されている。
尚、本実施形態では、第1ケース部91の上側V1において第1周壁部91aが切り欠かれた開口部が形成されている。この開口部は、不図示の第4ケース部によって塞がれる。
図1に示すように、回転電機1のステータ11は、非回転部材(ここではケース9の第1周壁部91a)に固定された円筒状のステータコア11aを備えている。ステータコア11aには、ステータコア11aに対して軸方向Lの両側に突出した一対のコイルエンド部11bが形成されるように、ステータコイルが巻装されている。本実施形態の回転電機1は、インナロータ型の回転電機である。回転電機1のロータ12は、ステータコア11aに対して径方向内側R1に配置された円筒状のロータコア12aを備えている。本実施形態では、ロータ12は、ロータコア12aと一体的に回転するように連結されたロータ軸12bをさらに備えている。ロータ軸12bは、ロータ軸受B1により回転可能に支持されている。また、図示は省略するが、ロータコア12aには、永久磁石が設けられている。
本実施形態では、ロータ軸12bは、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。また、本実施形態では、ロータ軸12bは、ロータコア12aから軸方向Lの両側に突出するように配置されている。そして、ロータ軸12bにおけるロータコア12aから軸方向第1側L1に突出した部分は、第1ロータ軸受B11を介して、ケース9の第1側壁部92aに対して回転自在に支持されている。一方、ロータ軸12bにおけるロータコア12aから軸方向第2側L2に突出した部分は、第2ロータ軸受B12を介して、ケース9の区画壁部91cに対して回転自在に支持されている。
上述したように、ギヤ機構部30は、遊星歯車機構31と伝達ギヤ32とを備えている。遊星歯車機構31は、ロータ12の回転を減速して、伝達ギヤ32に伝達する。伝達ギヤ32は、遊星歯車機構31により減速されたロータ12の回転を、ロータ12及び遊星歯車機構31が配置された第1軸A1とは異なる第2軸A2に配置された差動入力ギヤ41に伝達する。
遊星歯車機構31は、サンギヤSGと、キャリヤCRと、リングギヤRGと、を備えている。サンギヤSGは、ロータ12と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、サンギヤSGは、入力軸5を介して、ロータ軸12bと一体的に回転するように連結されている。入力軸5は、軸方向Lに沿って延在するように形成されている。本実施形態では、入力軸5は、サンギヤSGから軸方向第1側L1に延出するように形成されている。図1に示すように本実施形態では、入力軸5は、サンギヤSGと一体的に形成されている。
また、図1に示すように、本実施形態では、入力軸5は、連結部51と、拡径部52とを備えている。連結部51は、ロータ軸12bと一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、連結部51は、ケース9の区画壁部91cを軸方向Lに貫通するように配置されている。そして、連結部51は、ロータ軸12bに対して径方向Rの内側に配置され、ロータ軸12bとスプライン係合により連結されている。拡径部52は、連結部51よりも大径に形成されている。本実施形態では、拡径部52は、区画壁部91cに対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、拡径部52と区画壁部91cとの軸方向Lの間に、入力軸5を軸方向Lに支持する第1スラスト軸受B3が配置されている。
キャリヤCRは、互いに一体的に回転する第1ピニオンギヤPG1と第2ピニオンギヤPG2とを回転自在に支持している。第1ピニオンギヤPG1は、サンギヤSGに噛み合っている。第2ピニオンギヤPG2は、リングギヤRGに噛み合っている。第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1よりも小径に形成されている。本実施形態では、第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1よりも軸方向第1側L1に配置されている。第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2のそれぞれは、自己の軸心回りに回転(自転)すると共に、キャリヤCRと共にサンギヤSGを中心として回転(公転)する。第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2のそれぞれは、自己の公転軌跡に沿って、互いに間隔を空けて複数設けられている。キャリヤCRは、伝達ギヤ32と一体的に回転するように連結されている。また、リングギヤRGは、ケース9の第2周壁部91bに固定されている。
本実施形態では、遊星歯車機構31は、回転電機1に対して軸方向第2側L2であって、伝達ギヤ32に対して軸方向第1側L1に配置されている。つまり、本実施形態では、ロータ12、遊星歯車機構31、及び伝達ギヤ32が、第1軸A1上に、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって記載の順に配置されている。
伝達ギヤ32は、第1支持軸受B2を介して、ケース9に対して回転自在に支持されている。第1支持軸受B2は、伝達ギヤ32に対して径方向Rの内側であって、径方向Rに沿う径方向視で伝達ギヤ32と重複する位置に配置されている。本実施形態では、伝達ギヤ32は、第2スラスト軸受B4及び第3スラスト軸受B5により、ケース9に対して軸方向Lに支持されている。
差動入力ギヤ41は、伝達ギヤ32に噛み合っている。そして、差動入力ギヤ41は、後述する差動ケース40と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、差動入力ギヤ41は、伝達ギヤ32よりも大径に形成されている。そのため、本実施形態では、キャリヤCRの回転が、伝達ギヤ32と差動入力ギヤ41との間で減速されて差動ケース40に伝達される。本実施形態では、差動入力ギヤ41は、第2支持軸受B6を介して、ケース9に対して回転自在に支持されている。第2支持軸受B6は、差動入力ギヤ41に対して径方向Rの内側であって、径方向Rに沿う径方向視で差動入力ギヤ41と重複する位置に配置されている。
差動歯車機構4は、差動ケース40と、一対のピニオンギヤ42と、一対のサイドギヤ45(第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44)とを備えている。ここでは、一対のピニオンギヤ42、並びに第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44は、いずれも傘歯車である。差動ケース40は、一対のピニオンギヤ42、並びに第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44を収容する中空の部材である。差動ケース40は、差動入力ギヤ41と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、差動ケース40は、差動軸受B7を介して、ケース9に対して回転自在に支持されている。
一対のピニオンギヤ42は、第2軸A2を基準とした径方向Rに間隔を空けて、互いに対向するように配置されている。そして、一対のピニオンギヤ42は、差動ケース40と一体的に回転するように支持されたピニオンシャフト42aに取り付けられている。一対のピニオンギヤ42のそれぞれは、ピニオンシャフト42aを中心として回転(自転)可能、かつ、第2軸A2を中心として回転(公転)可能に構成されている。
第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44は、一対のピニオンギヤ42に噛み合っている。第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44は、第2軸A2を回転軸心として回転するように配置されている。第1サイドギヤ43は、ピニオンシャフト42aに対して軸方向第1側L1に配置されている。そして、第2サイドギヤ44は、ピニオンシャフト42aに対して軸方向第2側L2に配置されている。
一対のサイドギヤ45は、一対のドライブシャフトDS(図2参照)に連結されている。本実施形態では、第1サイドギヤ43は、軸方向Lに沿って延在する伝達軸21を介して、軸方向第1側L1の車輪Wに駆動連結された第1ドライブシャフトDS1(図2参照)と一体的に回転するように連結されている。図1に示す例では、第1サイドギヤ43に対して径方向Rの内側に、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2へ向かって伝達軸21が挿入され、それらがスプライン係合によって互いに連結されている。また、第2サイドギヤ44は、軸方向第2側L2の車輪Wに駆動連結された第2ドライブシャフトDS2(図2参照)と一体的に回転するように連結されている。図1に示す例では、第2サイドギヤ44に対して径方向Rの内側に、軸方向第2側L2から軸方向第1側L1へ向かって第2ドライブシャフトDS2が挿入され、それらがスプライン係合によって互いに連結されている。ドライブシャフトDSに駆動連結される第1サイドギヤ43及び第2サイドギヤ44は、出力部材2に相当する。尚、伝達軸21が出力部材2に含まれてもよい。
このような車両用駆動装置100においては、回転電機1や伝達機構3が油によって潤滑(冷却を含む)されることが多く、本実施形態の車両用駆動装置100も油によって潤滑される。本実施形態では、ケース9の下側V2に形成された油溜まりに溜まった油が差動入力ギヤ41によって掻き上げられて軸受等の潤滑対象箇所に供給される。また、不図示のオイルポンプ等により油溜まりに溜まった油が吐出されて回転電機1のステータコイルを冷却してもよい。
差動入力ギヤ41によって掻き上げられた油を適切に潤滑対象箇所に導くためには、掻き上げられた油を一時的に貯留することが好ましい。このため、本実施形態の車両用駆動装置100は、いわゆるキャッチタンクとして機能して、ケース9内の油を一時的に貯留するオイル貯留室7を備えている。図3から図5に示すように、オイル貯留室7は、区画壁部91cと、第2周壁部91b(周壁部)と、第2周壁部91bに対してケース9の内側から対向するように配置されて伝達機構3と第2周壁部91bとの間を区画する第1対向壁部91d(対向壁部)とに囲まれた領域に形成されている。
尚、上述したように、第1ケース部91は、軸方向第2側L2において第3ケース部93と接合される。図1に示すように第3ケース部93には、第2側壁部93aの上下方向V及び前後方向Hの端部から軸方向Lに沿って延在する第3周壁部93bが形成されている。第1ケース部91の第2周壁部91bの軸方向第2側L2の端部と、第3ケース部93の第3周壁部93bの軸方向第1側L1の端部とが当接することによって、第1ケース部91と第3ケース部93とが接合される。
図5に示すように、第3ケース部93は、第3周壁部93bに対して第3ケース部93の内側から対向するように配置されて伝達機構3と第3周壁部93bとの間を区画する第2対向壁部93dを備えている。オイル貯留室7は、第2側壁部93aと、第3周壁部93bと、第3周壁部93bに対してケース9の内側から対向するように配置されて伝達機構3と第3周壁部93bとの間を区画する第2対向壁部93dとに囲まれた領域にも形成される。第1ケース部91と第3ケース部93とが接合されると、第1対向壁部91dと第2対向壁部93dとが当接することによって、連続した対向壁部が形成される。従って、オイル貯留室7は、区画壁部91cと、周壁部(第2周壁部91b及び第3周壁部93b)と、周壁部に対してケース9の内側からそれぞれ対向するように配置されて伝達機構3と周壁部との間を区画する対向壁部(第1対向壁部91d及び第2対向壁部93d)と、第2側壁部93aとに囲まれた領域に形成されているということもできる。
尚、ここでは第1対向壁部91d及び第2対向壁部93dが、ケース9と一体的に形成されている形態を例示しているが、第1対向壁部91d又は第2対向壁部93dを構成する別部材が、ケース9に取り付けられている構造であってもよい。
図1及び図4に示すように、ギヤ機構部30は、回転電機1よりも小径である。そして、図4に示すように、オイル貯留室7は、伝達機構収容室99の内部であって、軸方向Lに沿う軸方向視で回転電機1と重複する位置に配置されている。回転電機1よりも小径なギヤ機構部30の径方向Rの周囲には、ケース9内における空間を確保し易い。従って、例えばギヤ機構部30の上側V1のデッドスペースになり易い空間を利用してオイル貯留室7を配置することで、車両用駆動装置100の外形の大型化を抑制しつつ、ケース9の内部にオイル貯留室7を適切に配置することができる。
オイル貯留室7は、ギヤ機構部30の上側V1において差動入力ギヤ41の側に開口する開口部73(図4等参照)と、回転電機1及び伝達機構3の少なくとも一方における潤滑必要箇所に油を供給するための供給油路74(第1供給油路74a、第2供給油路74b、第3供給油路74c)に連通する連通部75(図5参照)とを備えている。これにより、差動入力ギヤ41により掻き上げられた油を開口部73からオイル貯留室7に適切に導き入れることができ、連通部75及び供給油路74を介して、オイル貯留室7に貯留された油を潤滑必要箇所に供給することができる。
図4に示すように、本実施形態では、差動入力ギヤ41の上端H41が、ギヤ機構部30の上端H30よりも上側V1に配置されている。そして、開口部73は、差動入力ギヤ41の上端H41が位置する側に開口している。
本実施形態のように、互いに異なる軸上に配置されたギヤ機構部30と差動歯車機構4とについて、差動入力ギヤ41の上端H41を、ギヤ機構部30の上端H30よりも上側V1に配置すると、ギヤ機構部30と差動歯車機構4とが車両搭載状態で横並びに(ここでは前後方向Hに並んで)配置されることになる。従って、車両用駆動装置100の上下方向Vの寸法の小型化を図り易い。また、ギヤ機構部30の上側V1にはオイル貯留室7が配置され、オイル貯留室7において差動入力ギヤ41の側に開口する開口部73も、ギヤ機構部30の上側V1に配置されている。この開口部73が、差動入力ギヤ41の上端H41が位置する側に開口していることで、差動入力ギヤ41により掻き上げられた油をオイル貯留室7に導き易い。
図4に示すように、オイル貯留室7は、ギヤ機構部30の上側V1から連続して、ギヤ機構部30における差動歯車機構4の側とは反対側(前後方向第1側H1)を囲むように配置されている。つまり、オイル貯留室7は、ギヤ機構部30の上側V1に配置された第1領域7aと、ギヤ機構部30の前後方向第1側H1に配置された第2領域7bとを少なくとも含む。これにより、オイル貯留室7の開口部73をギヤ機構部30の上側V1に設けつつ、当該ギヤ機構部30の上側V1の空間と、ギヤ機構部30に対して差動歯車機構4の側とは反対側の空間とを利用して、オイル貯留室7の容積を確保することができる。
尚、本実施形態では、オイル貯留室7は、ギヤ機構部30の上側V1から、ギヤ機構部30における差動歯車機構4の側とは反対側を通り、ギヤ機構部30の下側V2まで連続し、ギヤ機構部30の周囲を囲むように配置されている。つまり、オイル貯留室7は、ギヤ機構部30の上側V1に配置された第1領域7aと、ギヤ機構部30の前後方向第1側H1に配置された第2領域7bと、ギヤ機構部30の下側V2に配置された第3領域7cとを含む。オイル貯留室7が、ギヤ機構部30よりも下側V2にも配置されることで、オイル貯留室7の容積を大きくし易い。ギヤ機構部30は、回転部材を中心として構成されているため、軸方向視での外形は円状である。ケース9は、ギヤ機構部30の外形に沿って形成されるが、車両への搭載性を考慮すると、部分的には直線状に形成される。従って、ケース9の内面とギヤ機構部30との間には、空間が生じることになるが、当該空間を利用してオイル貯留室7を効率よく形成することができる。
供給油路74は、上述した各種軸受に油を供給するように構成されている。図1に示すように、第1支持軸受B2、第1スラスト軸受B3、第2スラスト軸受B4、第3スラスト軸受B5は、伝達機構収容室99に収容されているため、これらの軸受には、オイル貯留室7から供給油路74を介して比較的容易に油を供給することができる。しかし、ロータ軸受B1(特に第1ロータ軸受B11)については、軸方向Lにおいてオイル貯留室7から離れているため、例えばロータ軸12bの内部に形成された油路(ロータ軸内油路12c:図1参照)を介して油が供給されると好適である。図示は省略するが、ロータ軸内油路12cに油を導くために、入力軸5にも軸内油路が形成されていてもよい。このように、供給油路74は、ロータ12と一体的に回転するロータ軸12bを支持する軸受(ロータ軸受B1)、ギヤ機構部30の回転軸を支持する軸受(第1支持軸受B2、第1スラスト軸受B3、第2スラスト軸受B4、第3スラスト軸受B5)、ロータ軸12bの内部に形成された油路(ロータ軸内油路12c)の少なくとも1つ以上に油を供給するように構成されている。
オイル貯留室7に貯留された油は、連通部75を介して供給油路74へ流出する。そして、流出した油は、潤滑対象箇所を潤滑した後、落下して油溜まりに貯留される。本実施形態では、油は、このような供給油路74を通った経路以外にも、オイル貯留室7から直接油溜まりに戻る経路も通るように構成されている。図4に示すように、オイル貯留室7の下部(第3領域7c)は、ギヤ機構部30より下側V2に配置されている。そして、オイル貯留室7から油を排出するための排出部79が、当該下部(第3領域7c)に設けられている。
上述したように、オイル貯留室7が、ギヤ機構部30よりも下側V2の第3領域7cを有して配置されることで、オイル貯留室7の容積を大きくし易い。また、オイル貯留室7に油を貯留することで、排出部79を介していわゆる油溜まりに戻る油の量を制限することができるため、差動入力ギヤ41によって油溜まりの油を掻き上げる際の攪拌抵抗を減少させることもできる。
ところで、このように潤滑に用いられた油は、回転電機1や伝達機構3との熱交換によってその温度が上昇する。このため、本実施形態の車両用駆動装置100には、熱交換により温度が上昇した油を冷却するための冷却機構が備えられている。図3に示すように、内側にオイル貯留室7が形成される周壁部(第2周壁部91b)には冷媒が流通する冷媒路81が設けられている。本実施形態では、第2周壁部91bにおける軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2に、上下方向Vに沿ってそれぞれ第1冷媒路81a及び第2冷媒路81bが設けられている。尚、図3に示す例では、第1ケース部91における第2領域7bに対して前後方向第1側H1に位置する部分に、開口部が形成されており、この開口部は、不図示のケース部(第2周壁部91bの一部を構成するケース部)によって塞がれる。この例のように、第2周壁部91bは、単一のケース部(ここでは、第1ケース部91)ではなく、複数のケース部(ここでは、第1ケース部91と他の1つ以上のケース部)を用いて形成されても良い。
オイル貯留室7を形成する周壁部(第2周壁部91b)に冷媒が流通する冷媒路81が設けられていることにより、オイル貯留室7に貯留された油と冷媒との熱交換によってオイル貯留室7の油を冷却することができる。即ち、オイル貯留室7及び冷媒路81に、いわゆる冷却機構の機能を持たせることができる。本実施形態では、オイル貯留室7と冷媒路81とにより、オイルクーラ8が構成されている。オイル貯留室7は、ケース9内の油を一時的に貯留するキャッチタンクの機能と、油を冷却するオイルクーラ8の機能とを有している。
ここで、オイルクーラ8は、ケース9の内面の一部である特定内面97を用いてケース9の内部に形成されたオイル貯留室7と、特定内面97を形成するケース9の部分である特定部96に設けられて冷媒が流通する冷媒路81とを備えて構成されているということもできる(図3から図5参照)。特定内面97は、上述した周壁部(第2周壁部91b及び第3周壁部93b、特に第2周壁部91b)に相当するケース9の内面(第2周壁部91bの内面91e及び第3周壁部93bの内面93e)である。特定部96は、特定内面97を形成するケース9の周壁部(本実施形態では第2周壁部91b)において、上下方向Vに沿った部分に相当する。
そして、上述したように、オイル貯留室7は、特定内面97(周壁部(第2周壁部91b及び第3周壁部93b))に対向するように配置されて伝達機構3との間を区画する対向壁部(第1対向壁部91d及び第2対向壁部93d)と、特定内面97との間に形成されている。対向壁部(第1対向壁部91d及び第2対向壁部93d)は、図4及び図5に示すように、ギヤ機構部30の外周に沿って配置されている。上述したように、ケース9の内面とギヤ機構部30との間に生じる空間を利用してオイル貯留室7を形成する際、対向壁部がギヤ機構部30の外周に沿って形成されることにより、十分な容積のオイル貯留室7を簡素な構造により形成し易い。
以上説明したように、本実施形態の車両用駆動装置100は、回転電機1と、一対の出力部材2と、伝達機構3と、ケース9と、オイルクーラ8とを備えている。回転電機1と一対の出力部材2とは、互いに平行な2つの軸に分かれて配置され、伝達機構3は、一対の出力部材2と同軸上に配置された差動入力ギヤ41と差動歯車機構4とを備えている。ケース9の内部には、回転電機1が収容される回転電機収容室98と、伝達機構3が収容される伝達機構収容室99とが形成され、回転電機収容室98と伝達機構収容室99とは、軸方向Lに並んで配置されている。オイルクーラ8は、ケース9の内面の一部である特定内面97を用いてケース9の内部に形成されたオイル貯留室7と、特定内面97を形成するケース9の部分である特定部96に設けられて冷媒が流通する冷媒路81とを備える。オイル貯留室7は、伝達機構収容室99の内部であって、軸方向視で回転電機1と重複する位置に配置されている。
尚、オイル貯留室7は、本実施形態では差動入力ギヤ41により掻き上げられた油を貯留するように構成されているが、掻き上げ以外の方法、例えば不図示のオイルポンプから供給される油を貯留する形態であってもよい。即ち、車両用駆動装置100がオイルクーラ8を備えて構成され、オイルクーラ8が、オイル貯留室7と冷媒路81とを備えて構成されている形態であれば、オイル貯留室7への油の供給源はギヤによる掻き上げに限らず、オイルポンプ等であってもよい。
本実施形態によれば、ケース9の特定部96を用いて冷媒路81が形成されていると共に当該特定部96の内面に当たる特定内面97を用いてケース9の内部にオイル貯留室7が形成されている。このため、冷媒路81を通る冷媒によってオイル貯留室7の油を冷却することができる。従って、別途オイルクーラ8をケース9の外部又は内部に設ける場合に比べて、車両用駆動装置100の構造の簡素化及び小型化を図り易い。
また、本実施形態では、伝達機構3は、回転電機1と同軸上に配置されて回転電機1からの駆動力を差動入力ギヤ41へ伝達するギヤ機構部30を備えている。そして、オイル貯留室7は、ギヤ機構部30における、差動歯車機構4の側とは反対側(前後方向第1側H1)及び上側V1を囲むように配置されている。
と好適である。
この構成によれば、ギヤ機構部30の上側V1の空間と、ギヤ機構部30に対して差動歯車機構4の側とは反対側の空間とを利用して、オイル貯留室7の容積を確保することができる。従って、車両用駆動装置100の外形の大型化を抑制しつつ、ケース9の内部に十分な容積のオイル貯留室7を配置し易い。
また、本実施形態では、オイル貯留室7が、ギヤ機構部30における、差動歯車機構4の側とは反対側(前後方向第1側H1)及び上側V1を囲むように配置され、オイル貯留室7は、特定内面97(第2周壁部91bの内面91e、第3周壁部93bの内面93e)に対向するように配置されて伝達機構3との間を区画する対向壁部(第1対向壁部91d、第2対向壁部93d)と、特定内面97との間に形成され、対向壁部(第1対向壁部91d、第2対向壁部93d)は、ギヤ機構部30の外周に沿って配置されている。
上述したように、車両用駆動装置100には、ケース9の内面とギヤ機構部30との間に生じる空間を利用してオイル貯留室7を形成することができる。この時、対向壁部がギヤ機構部30の外周に沿って形成されることにより、十分な容積のオイル貯留室7を簡素な構造により形成し易い。
また、本実施形態では、オイル貯留室7は、ギヤ機構部30の上側V1において差動入力ギヤ41の側に開口する開口部73と、回転電機1及び伝達機構3の少なくとも一方における潤滑必要箇所に油を供給するための供給油路74に連通する連通部75とを備えている。
このような構成により、差動入力ギヤ41により掻き上げられた油を開口部73からオイル貯留室7に導き入れることができ、連通部75及び供給油路74を介して、オイル貯留室7に貯留された油を潤滑必要箇所に供給することができる。つまり、オイルクーラ8のオイル貯留室7を、潤滑必要箇所に供給する油を一時的に貯留するキャッチタンクとして利用することができる。このように、オイルクーラ8とキャッチタンクとを兼ねた構成とすることができるため、車両用駆動装置100の外形の大型化を抑制しつつ、ケース9の内部にオイルクーラ8とキャッチタンクとを設けることができる。
また、本実施形態では、供給油路74が、ロータ12と一体的に回転するロータ軸12bを支持する軸受(ロータ軸受B1)、ギヤ機構部30の回転軸を支持する軸受(第1支持軸受B2、第1スラスト軸受B3、第2スラスト軸受B4、第3スラスト軸受B5)、ロータ軸12bの内部に形成された油路(ロータ軸内油路12c)の少なくとも1つ以上に油を供給するように構成されている。
軸受は、車両用駆動装置100の中において重要な潤滑の必要箇所である。また、ロータ軸12bの内部に形成された油路は、軸方向Lにおいてギヤ機構部30とは反対側に配置されたロータ軸12bの軸受(ロータ軸受B1)にも油を導き易い。本実施形態によれば、供給油路74によって、適切に潤滑必要箇所に油を導き易い。
また、本実施形態では、オイル貯留室7の下部(第3領域7c)が、ギヤ機構部30より下側V2に配置されており、オイル貯留室7から油を排出するための排出部79が、当該下部(第3領域7c)に設けられている。
オイル貯留室7が、ギヤ機構部30よりも下側V2にも配置されることで、オイル貯留室7の容積を大きくし易い。また、多くの油を、オイルクーラ8を構成するオイル貯留室7に貯留できることで、多くの油を冷却することができる。そして、排出部79がオイル貯留室7の下部(第3領域7c)に設けられていることにより、オイル貯留室7において冷却後の油をケース内で循環させることができる。また、オイル貯留室7に油を貯留することで、排出部79を介していわゆる油溜まりに戻る油の量を制限することができるため、例えばギヤによって油溜まりの油を掻き上げる際の攪拌抵抗を減少させることもできる。
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記においては、伝達機構3が、差動入力ギヤ41と、差動歯車機構4と、ギヤ機構部30とを備えている形態を例示した。しかし、ギヤ機構部30を備えない構成、具体的には遊星歯車機構31を備えない構成を妨げるものではない。例えば、第1軸A1上に配置されて、差動入力ギヤ41と噛み合う入力ギヤ(伝達ギヤ32に対応するギヤ)のみが備えられる形態であってもよい。
(2)上記においては、ギヤ機構部30が遊星歯車機構31を備える構成を例示した。しかし、第1軸A1及び第2軸A2に加えて、これらに平行な別軸である第3軸を備え、当該第3軸上に例えばカウンタギヤ機構が配置される構成であってもよい。
(3)上記においては、遊星歯車機構31の構成について、キャリヤCRが伝達ギヤ32と一体的に回転するように連結され、リングギヤRGがケース9に固定されている形態を例示した。しかし、リングギヤRGが伝達ギヤ32と一体的に回転するように連結され、キャリヤCRがケース9に固定されている形態であってもよい。
(4)上記においては、オイル貯留室7が、ギヤ機構部30における、差動歯車機構4の側とは反対側(前後方向第1側H1)及び上側V1を囲むように配置されている形態を例示した。しかし、オイル貯留室7は、冷媒路81と共にオイルクーラ8を構成できれば良く、例えば、図3及び図4等に例示するように冷媒路81が上下方向Vに沿って配置される場合には、少なくともギヤ機構部30における差動歯車機構4の側とは反対側(前後方向第1側H1)に配置されていればよい。また、冷媒路81が前後方向Hに沿って配置される場合(不図示)には、例えばギヤ機構部30における上側V1や下側V2に、少なくともオイル貯留室7が配置されていればよい。
(5)上記においては、第2周壁部91bにおける軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2に、上下方向Vに沿ってそれぞれ第1冷媒路81a及び第2冷媒路81bが設けられており、それぞれケース9の外部と接続される形態を例示している。しかし、第1冷媒路81a及び第2冷媒路81bの双方、又は何れか一方が、ケース9内に配置された不図示の別の冷媒の流路とケース9内で接続され、冷媒を共有する形態であってもよい。例えば、ケース9内、或いはケース9に隣接して回転電機1を駆動するインバータ(不図示)が配置される場合、当該インバータを冷却するために配置される冷媒の流路と、少なくとも何れか一方の冷媒路81とが接続されていてもよい。同様に、回転電機1を冷却した後の冷媒の流路と、少なくとも何れか一方の冷媒路81とが接続されていてもよい。
(6)上記においては、オイル貯留室7が、ギヤ機構部30の外周に沿って配置されている形態を例示した。しかし、オイル貯留室7は、冷媒路81と共にオイルクーラ8を構成できれば良く、ギヤ機構部30の外周に沿って配置されていなくてもよい。
(7)上記においては、オイル貯留室7が、差動入力ギヤ41の側に開口する開口部73と、供給油路74に連通する連通部75とを備えている形態を例示した。しかし、オイル貯留室7が差動入力ギヤ41から掻き上げられる油を受け入れる開口部73を備えていなくてもよい。差動入力ギヤ41により掻き上げられる油を受け止める油受け部と、当該油受け部が受け止めた油をオイル貯留室7に導く油路とが設けられている形態であってもよい。また、オイル貯留室7から供給油路74に連通していなくてもよく、別のキャッチタンクに油を供給し、当該別のキャッチタンクから油路等を介して潤滑対象箇所に油が供給される形態であってもよい。
(8)供給油路74からの油が供給される先は、ロータ軸受B1、第1支持軸受B2、第1スラスト軸受B3、第2スラスト軸受B4、第3スラスト軸受B5、ロータ軸内油路12cの少なくとも1つに限らず、オイルポンプやステータコイル等であってもよい。
(9)上記においては、オイル貯留室7の下部の第3領域7cに、オイル貯留室7から油を排出するための排出部79が設けられている形態を例示した。しかし、例えば供給油路74等から充分に油が流出する場合などでは、そのような排出部79が設けられていなくてもよい。
1:回転電機、2:出力部材、3:伝達機構、4:差動歯車機構、7:オイル貯留室、7c:第3領域(オイル貯留室の下部)、8:オイルクーラ、9:ケース、12:ロータ、12b:ロータ軸、12c:ロータ軸内油路(ロータ軸の内部に形成された油路)、30:ギヤ機構部、41:差動入力ギヤ、73:開口部、74:供給油路、75:連通部、79:排出部、81:冷媒路、91d:第1対向壁部(対向壁部)、91e:内面、93d:第2対向壁部(対向壁部)、93e:内面、96:特定部、97:特定内面、98:回転電機収容室、99:伝達機構収容室、100:車両用駆動装置、A1:第1軸、A2:第2軸、B1:ロータ軸受(ロータ軸を支持する軸受)、B11:第1ロータ軸受(ロータ軸を支持する軸受)、B12:第2ロータ軸受(ロータ軸を支持する軸受)、B2:第1支持軸受(ギヤ機構部の回転軸を支持する軸受)、B3:第1スラスト軸受(ギヤ機構部の回転軸を支持する軸受)、B4:第2スラスト軸受(ギヤ機構部の回転軸を支持する軸受)、B5:第3スラスト軸受(ギヤ機構部の回転軸を支持する軸受)、L:軸方向、L1:軸方向第1側、L2:軸方向第2側、V:上下方向、V1:上側、V2:下側、W:車輪

Claims (6)

  1. 回転電機と、
    一対の車輪にそれぞれ駆動連結される一対の出力部材と、
    前記回転電機と一対の前記出力部材との間で駆動力を伝達する伝達機構と、
    前記回転電機及び前記伝達機構を収容するケースと、
    オイルクーラと、を備えた車両用駆動装置であって、
    前記回転電機と一対の前記出力部材とは、互いに平行な2つの軸に分かれて配置され、
    前記伝達機構は、一対の前記出力部材と同軸上に配置されて前記回転電機からの駆動力が伝達される差動入力ギヤと、前記差動入力ギヤに伝達された駆動力を一対の前記出力部材に分配する差動歯車機構と、を備え、
    前記ケースの内部には、前記回転電機が収容される回転電機収容室と、前記伝達機構が収容される伝達機構収容室と、が形成され、
    前記回転電機のロータの回転軸心に沿う方向を軸方向として、前記回転電機収容室と前記伝達機構収容室とは、前記軸方向に並んで配置され、
    前記オイルクーラは、前記ケースの内面の一部である特定内面を用いて前記ケースの内部に形成されたオイル貯留室と、前記特定内面を形成する前記ケースの部分である特定部に設けられて冷媒が流通する冷媒路と、を備え、
    前記オイル貯留室は、前記伝達機構収容室の内部であって、前記軸方向に沿う軸方向視で前記回転電機と重複する位置に配置されている、車両用駆動装置。
  2. 前記伝達機構は、前記回転電機と同軸上に配置されて前記回転電機からの駆動力を前記差動入力ギヤへ伝達するギヤ機構部を備え、
    前記オイル貯留室は、前記ギヤ機構部における、前記差動歯車機構の側とは反対側及び上側を囲むように配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記オイル貯留室は、前記特定内面に対向するように配置されて前記伝達機構との間を区画する対向壁部と、前記特定内面との間に形成され、
    前記対向壁部は、前記ギヤ機構部の外周に沿って配置されている、請求項2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記オイル貯留室は、前記ギヤ機構部の上側において前記差動入力ギヤの側に開口する開口部と、前記回転電機及び前記伝達機構の少なくとも一方における潤滑必要箇所に油を供給するための供給油路に連通する連通部と、を備えている、請求項2又は3に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記供給油路は、前記ロータと一体的に回転するロータ軸を支持する軸受、前記ギヤ機構部の回転軸を支持する軸受、前記ロータ軸の内部に形成された油路、の少なくとも1つ以上に油を供給するように構成されている、請求項4に記載の車両用駆動装置。
  6. 前記オイル貯留室の下部は、前記ギヤ機構部より下側に配置されており、前記オイル貯留室から油を排出するための排出部が、前記下部に設けられている、請求項2又は3に記載の車両用駆動装置。
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