JP2024003100A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Sakiko Suzuki
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Shunta Shiraishi
広道 杉山
Hiromichi Sugiyama
祐作 高嶋
Yusaku Takashima
祝也 福長
Noriya FUKUNAGA
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Abstract

【課題】絶縁信頼性およびパターニング性に優れた感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、光酸発生剤と、を含む、バンプ保護膜に用いる感光性樹脂組成物であって、光酸発生剤が、トリアリールスルホニウムカチオンとガレートアニオンとを有するオニウムガレート塩を含むものである。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物に関するものである。
これまで感光性樹脂組成物において様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、感光性樹脂組成物において、露光後ベークにより発生した酸を発生させ、当該酸により硬化反応を促進させる光感応性酸発生剤として、トリアリールスルホニウムボレート塩を使用することが記載されている(特許文献1の表1)。
特開2016-188987号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載の感光性樹脂組成物において、絶縁信頼性およびパターニング性の点で改善の余地があることが判明した。
近年、解像度を高める観点から、高い触媒能を有する強酸を発生可能な光酸発生剤(PAG)を使用する傾向にある。トリアリールスルホニウムボレート塩は強酸性PAGの代表例である。しかしながら、経時的に使用した場合、露光時に生じた酸が配線の腐食などを引き起こし、金属マイグレーションによる配線ショートが生じる恐れが高くなることが判明した。
このような事情を踏まえて、本発明者はPAGについてさらに検討したところ、PAGの中に、熱により弱酸化する、というPAGの熱解離性(PAG特性)があることを見出し、この熱解離性PAGを使用することにより、配線ショートを抑制できることを見出した。このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、熱解離性PAGとして、トリアリールスルホニウムカチオンとガレートアニオンとを有するオニウムガレート塩を使用することにより、感光性樹脂組成物のパターニング性を向上させつつも、感光性樹脂組成物を加熱処理してなる樹脂膜において絶縁信頼性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
[1]
エポキシ樹脂と、
フェノキシ樹脂と、
光酸発生剤と、を含む、バンプ保護膜に用いる感光性樹脂組成物であって、
前記光酸発生剤が、トリアリールスルホニウムカチオンとガレートアニオンとを有するオニウムガレート塩を含む、感光性樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、以下に示す感光性樹脂組成物が提供される。
[2]
[1]に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記トリアリールスルホニウムカチオンは、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含む、感光性樹脂組成物。
Figure 2024003100000001
(上記一般式(1)中、R~Rは、互いに独立して、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、結合先のベンゼン環と縮合して縮合多環炭化水素骨格を形成する基、置換または無置換のシリル基及びアミノ、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、a、b、c、dはそれぞれR~Rの個数を表し、aは1~5の整数、c及びdは0~5の整数、bは0~4の整数である。)
[3]
[1]または[2]に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記ガレートアニオンは、下記一般式(5)で表される化合物を含む、感光性樹脂組成物。
Figure 2024003100000002
(上記一般式(5)中、R13~R16に独立して、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アシル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる基で置換または無置換のフェニル基又はパーフルオロアルキル基を表す。)
[4]
[1]~[3]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記光酸発生剤の含有量は、当該感光性樹脂組成物の固形分全体に対して、0.3質量%以上5.0質量%以下である、感光性樹脂組成物。
[5]
[1]~[4]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂は、分子内に3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂を含む、感光性樹脂組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物であって、
前記フェノキシ樹脂の重量平均分子量が、10000~100000である、感光性樹脂組成物。
[7]
[1]~[6]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物であって、
界面活性剤を含む、感光性樹脂組成物。
[8]
[1]~[7]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物であって、
密着助剤を含む、感光性樹脂組成物。
[9]
[1]~[8]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物であって、
溶剤を含む、感光性樹脂組成物。
本発明によれば、絶縁信頼性およびパターニング性に優れた感光性樹脂組成物が提供される。
本実施形態の半導体装置の構成の一例を示す縦断面図である。 図2は、図1の鎖線で囲まれた領域の部分拡大図である。 図1に示す半導体装置を製造する方法を示す工程図である。 図1に示す半導体装置を製造する方法を説明するための図である。 図1に示す半導体装置を製造する方法を説明するための図である。 図1に示す半導体装置を製造する方法を説明するための図である。 実施形態に係る半導体装置の第1変形例を示す部分拡大断面図である。 実施形態に係る半導体装置の第2変形例を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
本実施形態の感光性樹脂組成物の概要を示す。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、光酸発生剤と、を含むものである。当該感光性樹脂組成物中において、光酸発生剤は、トリアリールスルホニウムカチオンとガレートアニオンとを有するオニウムガレート塩を含むものである。
本発明者の知見によれば、熱解離性PAGとして、トリアリールスルホニウムカチオンとガレートアニオンとを有するオニウムガレート塩を使用することにより、感光性樹脂組成物のパターニング性を向上させつつも、感光性樹脂組成物を加熱処理してなる樹脂膜において絶縁信頼性を向上できることが見出された。
本実施形態の感光性樹脂組成物によれば、絶縁信頼性およびパターニング性を高められるため、接続信頼性に優れた半導体装置やそれを用いた電子装置を実現できる。
本実施形態の感光性樹脂組成物の樹脂膜は、電気・電子機器(電子装置)において、例えば永久膜、保護膜、絶縁膜、再配線材料などとして用いられる。この樹脂膜は、加熱により硬化処理された硬化膜を含む。
ここで、「電気・電子機器」とは、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路、テレビ受像機やモニター等のディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術を応用した素子、デバイス、最終製品、その他電気に関係する機器一般のことをいう。
この中でも、本実施形態の感光性樹脂組成物は、例えば、バンプ保護膜用感光性樹脂組成物に好適に用いることができる。バンプ、ランド、配線等の電気接続要素の周囲に設けられる樹脂膜のことを総称して「バンプ保護膜」という。バンプ保護膜用感光性樹脂組成物は、バンプ保護膜を形成するために用いられる樹脂組成物を指す。
なお、バンプ保護膜の具体例としては、例えば電気接続要素の周囲に設けられるパッシベーション膜、オーバーコート膜、層間絶縁膜等が挙げられる。また、樹脂膜は、半導体チップ上に設けられるものであるが、半導体チップに近接して設けられるものであってもよく、再配線層やビルドアップ配線層のように半導体チップから離れた位置に設けられるものであってもよい。
次に、本実施形態の感光性樹脂組成物の詳細を説明する。
(エポキシ樹脂)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。これにより、感光性樹脂組成物の樹脂膜における膜物性や加工性を高めることができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
上記エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する固形エポキシ樹脂を含むことができる。上記固形エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有しており、25℃(室温)において固形であるものを使用することができる。これにより、感光性樹脂組成物の樹脂膜における機械的特性を高めることができる。
また、エポキシ樹脂としては、分子内に3官能以上の多官能エポキシ樹脂(つまり、1分子中にエポキシ基が3個以上を有する多官能エポキシ樹脂)を含むことができる。
3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、およびテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましく、ノボラック型エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。これにより、樹脂膜の耐熱性を高めつつ、適切な熱膨張係数を実現できる。
また、エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂を含むことができる。当該液状エポキシ樹脂は、フィルム化剤として機能し、感光性樹脂組成物の樹脂膜の脆性を改善することができる。
上記液状エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有しており、室温25℃において液状であるエポキシ化合物を用いることができる。この液状エポキシ樹脂の25℃における粘度は、例えば、1mPa・s~8000mPa・sであり、好ましくは5mPa・s~1500mPa・sであり、より好ましくは10mPa・s~1400mPa・sとすることができる。
上記液状エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、アルキルジグリシジルエーテルおよび脂環式エポキシからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、現像後のクラック低減の観点から、アルキルジグリシジルエーテルを用いることができる。
上記液状エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、100g/eq以上200g/eq以下であり、好ましくは105g/eq以上180g/eq以下であり、さらに好ましくは110g/eq以上170g/eq以下である。これにより、樹脂膜の脆性を改善することができる。
上記液状エポキシ樹脂の含有量の下限値は、感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、例えば、5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上である。これにより、最終的に得られる硬化膜の脆性を改善することができる。一方、液状エポキシ樹脂の含有量の上限値は、感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、例えば、40質量%以下であり、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。これにより、硬化膜の膜特性のバランスを図ることができる。
上記エポキシ樹脂の含有量の下限値は、感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、例えば、40質量%以上であり、好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。これにより、最終的に得られる硬化膜の耐熱性や機械的強度を向上させることができる。一方、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、例えば、90質量%以下であり、好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。これにより、パターニング性を向上させることができる。
本実施形態において、感光性樹脂組成物の不揮発成分とは、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、感光性樹脂組成物のうちの溶媒を除く不揮発成分全体に対する含有量を指す。
なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂以外の他の熱硬化性樹脂を含有してよい。他の熱硬化性樹脂としては、例えば、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ビスマレイミド化合物等のマレイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ジアリルフタレート樹脂;シリコーン系樹脂;ベンゾオキサジン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のシアネート樹脂等のシアネートエステル樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(フェノキシ樹脂)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂を含む。これにより、感光性樹脂組成物の樹脂膜の可撓性を高めることができる。
上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、10000~100000であるのが好ましく、20000~80000であるのがより好ましい。このような比較的高分子量のフェノキシ樹脂が用いられることにより、樹脂膜に対して良好な可撓性を付与するとともに、溶媒への十分な溶解性を付与することができる。
なお、本実施形態において、重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法のポリスチレン換算値として測定される。
また、フェノキシ樹脂としては、分子鎖両末端または分子鎖内部にエポキシ基等の反応性基を有してもよい。フェノキシ樹脂中の反応性基は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と架橋反応可能なものである。このようなフェノキシ樹脂を使用することにより、樹脂膜中の耐溶剤性や耐熱性を高めることができる。
また、フェノキシ樹脂としては、25℃で固形であるものが好ましく用いられる。具体的には、不揮発分が90質量%以上であるフェノキシ樹脂が好ましく用いられる。このようなフェノキシ樹脂を用いることにより、硬化物の機械的特性を良好にすることができる。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂とビスフェノールS型フェノキシ樹脂との共重合フェノキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。この中でも、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂が好ましく用いられる。
上記フェノキシ樹脂の含有量の下限値は、エポキシ樹脂の含有量に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。これにより、可撓性を高めることができる。一方で、上記フェノキシ樹脂の含有量の上限値は、例えば、60質量部以下、好ましくは55質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。これにより、フェノキシ樹脂の溶解性を高め、塗布性に優れた感光性樹脂組成物を実現できる。
なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記フェノキシ樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有してよい。この熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン等)、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(光酸発生剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、光酸発生剤を含む。これにより感度や解像度などパターニング時における加工性を高めることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、光酸発生剤から発生した酸を触媒として利用する化学増幅型感光性樹脂組成物であり、ネガ型感光性樹脂組成物として用いることができる。
上記光酸発生剤は、トリアリールスルホニウムカチオンとガレートアニオンとを有するオニウムガレート塩を含むものである。これにより、絶縁信頼性とともにパターニング性を向上させることができる。
上記トリアリールスルホニウムカチオンは、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含むことができる。
Figure 2024003100000003
上記一般式(1)中、R~Rは、互いに独立して、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、結合先のベンゼン環と縮合して縮合多環炭化水素骨格を形成する基、置換または無置換のシリル基及びアミノ、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、a、b、c、dはそれぞれR~Rの個数を表し、aは1~5の整数、c及びdは0~5の整数、bは0~4の整数である。
~Rの置換基としては、上記一般式(1)中、R~Rにおいて、上記に挙げられた基と同様のものが用いられる。
上記一般式(1)中、R~Rにおける、アルキル基としては、炭素数1~18の直鎖アルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル及びn-オクタデシル等)、炭素数3~18の分枝鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、イソヘキシル及びイソオクタデシル)、及び炭素数3~18のシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及び4-デシルシクロヘキシル等)等が挙げられる。
上記一般式(1)中、R~Rにおける、アルコキシ基としては、炭素数1~18の直鎖アルコキシ基、又は炭素数3~18の分枝鎖アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。
一般式(1)中、R~Rにおける、アリール基としては、炭素数6~10のアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル及びナフチル等)等が挙げられる。
一般式(1)中、縮合多環炭化水素骨格としては、2環以上とすることができ、6環以下、好ましくは4環以下、より好ましくは3環以下としてもよい。縮合多環炭化水素骨格は、5員環や6員環などの環数が異なる環状炭化水素が互いに縮合してもよい。このような縮合多環炭化水素骨格の一例として、フルオレン骨格およびフルオレン骨格の誘導体が挙げられる。ェナントレン骨格の9位に、アルキル基等の上述の置換基が1個または2個結合していてもよい。
上記ガレートアニオンは、下記一般式(5)で表される化合物を含むことができる。
Figure 2024003100000004
上記一般式(5)中、R13~R16に独立して、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アシル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる基で置換または無置換のフェニル基又はパーフルオロアルキル基を表す。
上記一般式(5)中、パーフルオロアルキル基の炭素数は1~8、好ましくは1~4である。パーフルオロアルキル基の具体例としてはトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロオクチルなどの直鎖パーフルオロアルキル基;ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロイソブチル、ノナフルオロ-sec-ブチル、ノナフルオロ-tert-ブチルなどの分岐パーフルオロアルキル基;さらにパーフルオロシクロプロピル、パーフルオロシクロブチル、パーフルオロシクロペンチル、パーフルオロシクロヘキシルなどのパーフルオロシクロアルキル基などが挙げられる。
上記一般式(5)中、パーフルオロアルコキシ基の炭素数は1~8、好ましくは1~4である。パーフルオロアルコキシ基の具体例としてはトリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、ノナフルオロブトキシ、パーフルオロペンチルオキシ、パーフルオロオクチルオキシなどの直鎖パーフルオロアルコキシ基;ヘプタフルオロイソプロポキシ、ノナフルオロイソブトキシ、ノナフルオロ-sec-ブトキシ、ノナフルオロ-tert-ブトキシなどの分岐パーフルオロアルコキシ基などが挙げられる。
上記一般式(5)中、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記一般式(5)中、カチオン重合性能の観点から、R13~R16は、パーフルオロアルキル基及びフッ素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されたフェニル基が好ましい。
上記ガレートアニオンの一例としては、例えば、(CGa、((CFGa、(CFGa、(CGaF 、CGaF 、(CGa等が挙げられる。これにより、高い熱解離性を実現することができる。
上記オニウムガレート塩は、加熱により、ガレートアニオン(Ga)において熱解離が生じる。具体的な一例としては、感光性樹脂組成物の樹脂膜に対する加熱による硬化処理により、オニウムガレート塩を熱解離可能である。
本実施形態に係るオニウムガレート塩は、対アニオンとして、ボレートアニオン、スルホネートアニオン、リン系アニオン、アンチモン系アニオンを用いた場合として、比較的高い熱解離を有するものである。
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いた製造工程において、露光後における加熱処理(例えば、硬化処理)の温度を、熱解離を生じさせる温度以上に設定することにより、感光性樹脂組成物のプロセス適合性を高めることができる。
上記光酸発生剤の含有量は、当該感光性樹脂組成物の固形分全体に対して、例えば、0.3質量%~5.0質量%、好ましくは0.5質量%~4.5質量%、より好ましくは1.0質量%~4.0質量%である。上記下限値以上とすることにより、パターニング性を高めることができる。一方、上記下限値以下とすることにより、絶縁信頼性を高めることができる。
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
上記オニウムガレート塩の含有量は、上記光酸発生剤全体中に対して、例えば、70質量%~100質量%、好ましくは80質量%~100質量%、より好ましくは90質量%~99質量%でもよい。これにより、接続信頼性およびパターニング性を向上させることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記光酸発生剤の他の感光剤を含有してもよい。他の感光剤としては、例えば、オニウム塩化合物が挙げられる。より具体的には、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩等のヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩のようなスルホニウム塩、トリアリールビリリウム塩、ベンジルピリジニウムチオシアネート、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキルヒドロキシフェニルホスホニウム塩のようなカチオン型光重合開始剤等が挙げられる。
(界面活性剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤を含むことにより、塗工時における濡れ性を向上させ、均一な樹脂膜そして硬化膜を得ることができる。界面活性剤は、たとえば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アルキル系界面活性剤、およびアクリル系界面活性剤等が挙げられる。
上記界面活性剤は、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含む界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、均一な樹脂膜を得られること(塗布性の向上)や、現像性の向上に加え、接着強度の向上にも寄与する。このような界面活性剤としては、例えば、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤として使用可能な市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
上記界面活性剤の含有量は、感光性樹脂組成物の不揮発性成分の全量を基準として、例えば、0.001~1質量%、好ましくは0.005~0.5質量%とすることができる。
(密着助剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、密着助剤を含むことができる。これにより、無機材料との密着性を一層向上させることができる。
上記密着助剤は、とくに限定されないが、たとえばアミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、ウレイドシラン、またはスルフィドシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エポキシシラン(すなわち、1分子中に、エポキシ部位と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)を用いることがより好ましい。
アミノ基含有カップリング剤としては、例えばビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基含有カップリング剤としては、例えばγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アクリル基含有カップリング剤またはメタクリル基含有カップリング剤としては、例えばγ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基含有カップリング剤としては、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニル基含有カップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基含有カップリング剤としては、例えば3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
スルフィド基含有カップリング剤としては、例えばビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
酸無水物含有カップリング剤としては、例えば3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3-ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。
なお、ここではシランカップリング剤を列挙したが、チタンカップリング剤やジルコニウムカップリング剤等であってもよい。
上記密着助剤の含有量は、感光性樹脂組成物の不揮発性成分の全量を基準として、例えば、好ましくは0.3~5質量%であるのが好ましく、0.4~4%であるのがより好ましく、0.5~3質量%とすることができる。
(添加剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物には、上記の成分に加えて、必要に応じて、その他の添加剤が添加されていてもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、シリカ等の充填材、増感剤、フィルム化剤等が挙げられる。
(溶剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、溶剤を含むことができる。溶剤として、有機溶剤を含むことができる。上記有機溶剤としては、感光性樹脂組成物の各成分を溶解可能なもので、且つ、各構成成分と化学反応しないものであれば特に制限なく用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロプレングリコールメチルーn-プロピルエーテル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。これらは単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分全量の濃度が、例えば、30~75質量%となるように用いられることが好ましい。この範囲とすることで、各成分を十分に溶解させることができ、また、良好な塗布性を担保することができる。また、不揮発成分の含有量を調整することにより、感光性樹脂組成物の粘度を適切に制御できる。
ワニス状の感光性樹脂組成物の25℃における粘度は、例えば、10cP~6000cP、好ましくは20cP~5000cP、より好ましくは30cP~4000cPである。粘度を上記数値範囲内とすることにより、塗布膜の厚みを適切に制御できる。例えば、例えば、1μm~100μm、好ましくは3μm~80μm、より好ましくは5μm~50μmの厚みを実現できる。
次に、本実施形態の半導体装置および電子機器について説明する。
図1は、本実施形態の半導体装置の一例を示す縦断面図である。また、図2は、図1の鎖線で囲まれた領域の部分拡大図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す半導体装置1は、貫通電極基板2と、その上に実装された半導体パッケージ3と、を備えた、いわゆるパッケージオンパッケージ構造を有する。
貫通電極基板2は、絶縁層21と、絶縁層21の上面から下面を貫通する複数の貫通配線221と、絶縁層21の内部に埋め込まれた半導体チップ23と、絶縁層21の下面に設けられた下層配線層24と、絶縁層21の上面に設けられた上層配線層25と、下層配線層24の下面に設けられた半田バンプ26と、を備えている。
半導体パッケージ3は、パッケージ基板31と、パッケージ基板31上に実装された半導体チップ32と、半導体チップ32とパッケージ基板31とを電気的に接続するボンディングワイヤー33と、半導体チップ32やボンディングワイヤー33が埋め込まれた封止層34と、パッケージ基板31の下面に設けられた半田バンプ35と、を備えている。
そして、貫通電極基板2上に半導体パッケージ3が積層されている。これにより、半導体パッケージ3の半田バンプ35と、貫通電極基板2の上層配線層25と、が電気的に接続されている。
このような半導体装置1では、貫通電極基板2においてコア層を含む有機基板のような厚い基板を用いる必要がないため、低背化を容易に図ることができる。このため、半導体装置1を内蔵する電子機器の小型化にも貢献することができる。
また、互いに異なる半導体チップを備えた貫通電極基板2と半導体パッケージ3とを積層しているため、単位面積当たりの実装密度を高めることができる。このため、小型化と高性能化との両立を図ることができる。
以下、貫通電極基板2および半導体パッケージ3についてさらに詳述する。
図2に示す貫通電極基板2が備える下層配線層24および上層配線層25は、それぞれ絶縁層、配線層および貫通配線等を含んでいる。これにより、下層配線層24および上層配線層25は、内部や表面に配線を含むとともに、絶縁層21を貫通する貫通配線221を介して相互の電気的接続が図られる。
下層配線層24に含まれる配線層は、半導体チップ23や半田バンプ26と接続されている。このため、下層配線層24は半導体チップ23の再配線層として機能するとともに、半田バンプ26は半導体チップ23の外部端子として機能する。
図2に示す貫通配線221は、前述したように、絶縁層21を貫通するように設けられている。これにより、下層配線層24と上層配線層25との間が電気的に接続され、貫通電極基板2と半導体パッケージ3との積層が可能になるため、半導体装置1の高機能化を図ることができる。
図2に示す上層配線層25に含まれる配線層253は、貫通配線221や半田バンプ35と接続されている。このため、上層配線層25は、半導体チップ23と電気的に接続されることとなり、半導体チップ23の再配線層として機能するとともに、半導体チップ23とパッケージ基板31との間に介在するインターポーザーとしても機能する。
貫通配線221が絶縁層21を貫通していることにより、絶縁層21を補強する効果が得られる。このため、下層配線層24や上層配線層25の機械的強度が低い場合でも、貫通電極基板2全体の機械的強度の低下を避けることができる。その結果、下層配線層24や上層配線層25のさらなる薄型化を図ることができ、半導体装置1のさらなる低背化を図ることができる。
また、図1に示す半導体装置1は、貫通配線221の他に、半導体チップ23の上面に位置する絶縁層21を貫通するように設けられた貫通配線222も備えている。これにより、半導体チップ23の上面と上層配線層25との電気的接続を図ることができる。
絶縁層21は、半導体チップ23を覆うように設けられている。これにより、半導体チップ23を保護する効果が高められる。その結果、半導体装置1の信頼性を高めることができる。また、本実施形態に係るパッケージオンパッケージ構造のような実装方式にも容易に適用可能な半導体装置1が得られる。
貫通配線221の直径W(図2参照)は、特に限定されないが、1~100μm程度であるのが好ましく、2~80μm程度であるのがより好ましい。これにより、絶縁層21の機械的特性を損なうことなく、貫通配線221の導電性を確保することができる。
図1に示す半導体パッケージ3は、いかなる形態のパッケージであってもよい。例えば、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、LF-BGA(Lead Flame BGA)等の形態が挙げられる。
半導体チップ32の配置は、特に限定されないが、一例として図1では複数の半導体チップ32が積層されている。これにより、実装密度の高密度化が図られている。なお、複数の半導体チップ32は、平面方向に併設されていてもよく、厚さ方向に積層されつつ平面方向にも併設されていてもよい。
パッケージ基板31は、いかなる基板であってもよいが、例えば図示しない絶縁層、配線層および貫通配線等を含む基板とされる。このうち、貫通配線を介して半田バンプ35とボンディングワイヤー33とを電気的に接続することができる。
封止層34は、例えば公知の封止樹脂材料で構成されている。このような封止層34を設けることにより、半導体チップ32やボンディングワイヤー33を外力や外部環境から保護することができる。
なお、貫通電極基板2が備える半導体チップ23と半導体パッケージ3が備える半導体チップ32は、互いに近接して配置されることになるため、相互通信の高速化や低損失化等のメリットを享受することができる。かかる観点から、例えば、半導体チップ23と半導体チップ32のうち、一方をCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、AP(Application Processor)等の演算素子とし、他方をDRAM(Dynamic Random Access Memory)やフラッシュメモリー等の記憶素子等にすれば、同一装置内においてこれらの素子同士を近接して配置することができる。これにより、高機能化と小型化とを両立した半導体装置1を実現することができる。
<半導体装置の製造方法>
次に、図1に示す半導体装置1を製造する方法について説明する。
図3は、図1に示す半導体装置1を製造する方法を示す工程図である。また、図4~図6は、それぞれ図1に示す半導体装置1を製造する方法を説明するための図である。
半導体装置1の製造方法は、基板202上に設けられた半導体チップ23および貫通配線221、222を埋め込むように絶縁層21を得るチップ配置工程S1と、絶縁層21上および半導体チップ23上に上層配線層25を形成する上層配線層形成工程S2と、基板202を剥離する基板剥離工程S3と、下層配線層24を形成する下層配線層形成工程S4と、半田バンプ26を形成し、貫通電極基板2を得る半田バンプ形成工程S5と、貫通電極基板2上に半導体パッケージ3を積層する積層工程S6と、を有する。
このうち、上層配線層形成工程S2は、絶縁層21上および半導体チップ23上に感光性樹脂ワニス5(ワニス状の感光性樹脂組成物)を配置し、感光性樹脂層2510を得る第1樹脂膜配置工程S20と、感光性樹脂層2510に露光処理を施す第1露光工程S21と、感光性樹脂層2510に現像処理を施す第1現像工程S22と、感光性樹脂層2510に硬化処理を施す第1硬化工程S23と、配線層253を形成する配線層形成工程S24と、感光性樹脂層2510および配線層253上に感光性樹脂ワニス5を配置し、感光性樹脂層2520を得る第2樹脂膜配置工程S25と、感光性樹脂層2520に露光処理を施す第2露光工程S26と、感光性樹脂層2520に現像処理を施す第2現像工程S27と、感光性樹脂層2520に硬化処理を施す第2硬化工程S28と、開口部424(貫通孔)に貫通配線254を形成する貫通配線形成工程S29と、を含む。
以下、各工程について順次説明する。なお、以下の製造方法は一例であり、これに限定されるものではない。
[1]チップ配置工程S1
まず、図4(a)に示すように、基板202と、基板202上に設けられた半導体チップ23および貫通配線221、222と、これらを埋め込むように設けられた絶縁層21と、を備えるチップ埋込構造体27を用意する。
基板202の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、金属材料、ガラス材料、セラミック材料、半導体材料、有機材料等が挙げられる。また、基板202には、シリコンウエハーのような半導体ウエハー、ガラスウエハー等を用いるようにしてもよい。
半導体チップ23は、基板202上に接着されている。本製造方法では、一例として、複数の半導体チップ23を互いに離間させつつ同一の基板202上に併設する。複数の半導体チップ23は、互いに同じ種類のものであってもよいし、互いに異なる種類のものであってもよい。また、ダイアタッチフィルムのような接着剤層(図示せず)を介して基板202と半導体チップ23との間を固定するようにしてもよい。
なお、必要に応じて、基板202と半導体チップ23との間にインターポーザー(図示せず)を設けるようにしてもよい。インターポーザーは、例えば半導体チップ23の再配線層として機能する。したがって、インターポーザーは、後述する半導体チップ23の電極と電気的に接続させるための図示しないパッドを備えていてもよい。これにより、半導体チップ23のパッド間隔や配列パターンを変換することができ、半導体装置1の設計自由度をより高めることができる。
このようなインターポーザーには、例えば、シリコン基板、セラミック基板、ガラス基板のような無機系基板、樹脂基板のような有機系基板等が用いられる。
絶縁層21は、例えば感光性樹脂組成物の成分として挙げたような熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を含む樹脂膜(有機絶縁層)であってもよく、半導体の技術分野で用いる通常の封止材であってもよい。
貫通配線221、222の構成材料としては、例えば銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、金または金合金、銀または銀合金、ニッケルまたはニッケル合金等が挙げられる。
なお、上記とは異なる方法で作製したチップ埋込構造体27を用意するようにしてもよい。
[2]上層配線層形成工程S2
次に、絶縁層21上および半導体チップ23上に、上層配線層25を形成する。
[2-1]第1樹脂膜配置工程S20
まず、図4(b)に示すように、絶縁層21上および半導体チップ23上に感光性樹脂ワニス5を塗布する(配置する)。これにより、図4(c)に示すように、感光性樹脂ワニス5の液状被膜が得られる。感光性樹脂ワニス5については、本実施形態の感光性樹脂組成物であって、感光性を有するワニスである。
感光性樹脂ワニス5の塗布は、例えば、スピンコーター、バーコーター、スプレー装置、インクジェット装置等を用いて行われる。
感光性樹脂ワニス5の粘度は、特に限定されないが、10cP~6000cP、好ましくは20cP~5000cP、より好ましくは30cP~4000cPである。感光性樹脂ワニス5の粘度が前記範囲内であることにより、より薄い感光性樹脂層2510(図4(d)参照)を形成することができる。その結果、上層配線層25をより薄くすることができ、半導体装置1の薄型化が容易になる。
なお、感光性樹脂ワニス5の粘度は、例えば、コーンプレート型粘度計(TV-25、東機産業製)を用いて回転速度100rpmの条件で測定された値とされる。
次に、感光性樹脂ワニス5の液状被膜を乾燥させる。これにより、図4(d)に示す感光性樹脂層2510を得る。
感光性樹脂ワニス5の乾燥条件は、特に限定されないが、例えば80~150℃の温度で、1~60分間加熱する条件が挙げられる。
なお、本工程では、感光性樹脂ワニス5を塗布するプロセスに代えて、感光性樹脂ワニス5をフィルム化してなる感光性樹脂フィルムを配置するプロセスを採用するようにしてもよい。感光性樹脂フィルムは、本実施形態の感光性樹脂組成物であって、感光性を有する樹脂フィルムである。
感光性樹脂フィルムは、例えば感光性樹脂ワニス5を各種塗布装置によってキャリアーフィルム等の下地上に塗布し、その後、得られた塗膜を乾燥させることによって製造される。
このようにして感光性樹脂層2510を形成した後、必要に応じて、感光性樹脂層2510に対して露光前加熱処理を施す。露光前加熱処理を施すことにより、感光性樹脂層2510に含まれる分子が安定化して、後述する第1露光工程S21における反応の安定化を図ることができる。また、その一方、後述するような加熱条件で加熱されることで、加熱による光酸発生剤への悪影響を最小限に留めることができる。
露光前加熱処理の温度は、好ましくは70~130℃とされ、より好ましくは75~120℃とされ、さらに好ましくは80~110℃とされる。露光前加熱処理の温度が前記下限値を下回ると、露光前加熱処理による分子の安定化という目的が果たされないおそれがある。一方、露光前加熱処理の温度が前記上限値を上回ると、光酸発生剤の動きが活発になりすぎ、後述する第1露光工程S21において光が照射されても酸が発生しにくくなるという影響が広範囲化してパターニングの加工精度が低下するおそれがある。
また、露光前加熱処理の時間は、露光前加熱処理の温度に応じて適宜設定されるが、前記温度において好ましくは1~10分間とされ、より好ましくは2~8分間とされ、さらに好ましくは3~6分間とされる。露光前加熱処理の時間が前記下限値を下回ると、加熱時間が不足するため、露光前加熱処理による分子の安定化という目的が果たされないおそれがある。一方、露光前加熱処理の時間が前記上限値を上回ると、加熱時間が長すぎるため、露光前加熱処理の温度が前記範囲内に収まっていたとしても、光酸発生剤の作用が阻害されてしまうおそれがある。
また、加熱処理の雰囲気は、特に限定されず、不活性ガス雰囲気や還元性ガス雰囲気等であってもよいが、作業効率等を考慮すれば大気下とされる。
また、雰囲気圧力は、特に限定されず、減圧下や加圧下であってもよいが、作業効率等を考慮すれば常圧とされる。なお、常圧とは、30~150kPa程度の圧力のことをいい、好ましくは大気圧である。
[2-2]第1露光工程S21
次に、感光性樹脂層2510に露光処理を施す。
まず、図4(d)に示すように、感光性樹脂層2510上の所定の領域にマスク412を配置する。そして、マスク412を介して光(活性放射線)を照射する。これにより、マスク412のパターンに応じて感光性樹脂層2510に露光処理が施される。
なお、図4(d)では、感光性樹脂層2510がいわゆるネガ型の感光性を有している場合を図示している。この例では、感光性樹脂層2510のうち、マスク412の遮光部に対応する領域に対して、現像液に対する溶解性が付与されることとなる。
一方、マスク412の透過部に対応する領域では、感光剤の作用によって例えば酸が発生する。発生した酸は、後述する工程において、熱硬化性樹脂の反応の触媒として作用する。
また、露光処理における露光量は、特に限定されないが、100~2000mJ/cmであるのが好ましく、200~1000mJ/cmであるのがより好ましい。これにより、感光性樹脂層2510における露光不足および露光過剰を抑制することができる。その結果、最終的に高いパターニング精度を実現することができる。
その後、必要に応じて、感光性樹脂層2510に露光後加熱処理を施す。
露光後加熱処理の温度は、特に限定されないが、好ましくは50~150℃とされ、より好ましくは50~130℃とされ、さらに好ましくは55~120℃とされ、特に好ましくは60~110℃とされる。このような温度で露光後加熱処理を施すことにより、発生した酸の触媒作用が十分に増強され、熱硬化性樹脂をより短時間でかつ十分に反応させることができる。温度を前記範囲内とすることにより、酸拡散の促進によるパターニングの加工精度の低下を抑制できる。
なお、露光後加熱処理の温度を前記下限値以上とすることにより、熱硬化性樹脂の反応率を高められ、生産性を高めることができる。一方、露光後加熱処理の温度を前記上限値以下とすることにより、酸拡散の促進によるパターニングの加工精度の低下を抑制できる。
一方、露光後加熱処理の時間は、露光後加熱処理の温度に応じて適宜設定されるが、前記温度において好ましくは1~30分間とされ、より好ましくは2~20分間とされ、さらに好ましくは3~15分間とされる。このような時間で露光後加熱処理を施すことにより、熱硬化性樹脂を十分に反応させることができるとともに、酸の拡散を抑えてパターニングの加工精度が低下するのを抑制することができる。
また、露光後加熱処理の雰囲気は、特に限定されず、不活性ガス雰囲気や還元性ガス雰囲気等であってもよいが、作業効率等を考慮すれば大気下とされる。
また、露光後加熱処理の雰囲気圧力は、特に限定されず、減圧下や加圧下であってもよいが、作業効率等を考慮すれば常圧とされる。これにより、比較的容易に露光前加熱処理を施すことができる。なお、常圧とは、30~150kPa程度の圧力のことをいい、好ましくは大気圧である。
[2-3]第1現像工程S22
次に、感光性樹脂層2510に現像処理を施す。これにより、マスク412の遮光部に対応した領域に、感光性樹脂層2510を貫通する開口部423が形成される(図5(e)参照)。
現像液としては、例えば、有機系現像液、水溶性現像液等が挙げられる。
[2-4]第1硬化工程S23
現像処理の後、感光性樹脂層2510に対して硬化処理(現像後加熱処理)を施す。硬化処理の条件は、特に限定されないが、160~250℃程度の加熱温度で、30~240分程度の加熱時間とされる。これにより、半導体チップ23に対する熱影響を抑えつつ、感光性樹脂層2510を硬化させ、有機絶縁層251を得ることができる。
[2-5]配線層形成工程S24
次に、有機絶縁層251上に配線層253を形成する(図5(f)参照)。配線層253は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等の気相成膜法を用いて金属層を得た後、フォトリソグラフィー法およびエッチング法によりパターニングされることによって形成される。
なお、配線層253の形成に先立ち、プラズマ処理のような表面改質処理を施すようにしてもよい。
[2-6]第2樹脂膜配置工程S25
次に、図5(g)に示すように、第1樹脂膜配置工程S20と同様にして感光性樹脂層2520を得る。感光性樹脂層2520は、配線層253を覆うように配置される。
その後、必要に応じて、感光性樹脂層2520に対して露光前加熱処理を施す。処理条件は、例えば第1樹脂膜配置工程S20で記載した条件とされる。
[2-7]第2露光工程S26
次に、感光性樹脂層2520に露光処理を施す。処理条件は、例えば第1露光工程S21で記載した条件とされる。
その後、必要に応じて、感光性樹脂層2520に対して露光後加熱処理を施す。処理条件は、例えば第1露光工程S21で記載した条件とされる。
[2-8]第2現像工程S27
次に、感光性樹脂層2520に現像処理を施す。処理条件は、例えば第1現像工程S22で記載した条件とされる。これにより、感光性樹脂層2510、2520を貫通する開口部424が形成される(図5(h)参照)。
[2-9]第2硬化工程S28
現像処理の後、感光性樹脂層2520に対して硬化処理(現像後加熱処理)を施す。硬化条件は、例えば第1硬化工程S23で記載した条件とされる。これにより、感光性樹脂層2520を硬化させ、有機絶縁層252を得る(図6(i)参照)。
なお、本実施形態では、上層配線層25が有機絶縁層251と有機絶縁層252の2層を有しているが、3層以上を有していてもよい。この場合、第2硬化工程S28の後、配線層形成工程S24から第2硬化工程S28までの一連の工程を繰り返し追加するようにすればよい。
[2-10]貫通配線形成工程S29
次に、開口部424に対し、図6(i)に示す貫通配線254を形成する。
貫通配線254の形成には、公知の方法が用いられるが、例えば以下の方法が用いられる。
まず、有機絶縁層252上に、図示しないシード層を形成する。シード層は、開口部424の内面(側面および底面)とともに、有機絶縁層252の上面に形成される。
シード層としては、例えば、銅シード層が用いられる。また、シード層は、例えばスパッタリング法により形成される。
また、シード層は、形成しようとする貫通配線254と同種の金属で構成されていてもよいし、異種の金属で構成されていてもよい。
次いで、図示しないシード層のうち、開口部424以外の領域上に図示しないレジスト層を形成する。そして、このレジスト層をマスクとして、開口部424内に金属を充填する。この充填には、例えば電解めっき法が用いられる。充填される金属としては、例えば銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、金または金合金、銀または銀合金、ニッケルまたはニッケル合金等が挙げられる。このようにして開口部424内に導電性材料が埋設され、貫通配線254が形成される。
次いで、図示しないレジスト層を除去する。さらに、有機絶縁層252上の図示しないシード層を除去する。これには、例えばフラッシュエッチング法を用いることができる。
なお、貫通配線254の形成箇所は、図示の位置に限定されない。
[3]基板剥離工程S3
次に、図6(j)に示すように、基板202を剥離する。これにより、絶縁層21の下面が露出することとなる。
[4]下層配線層形成工程S4
次に、図6(k)に示すように、絶縁層21の下面側に下層配線層24を形成する。下層配線層24は、いかなる方法で形成されてもよく、例えば上述した上層配線層形成工程S2と同様にして形成されてもよい。
このようにして形成された下層配線層24は、貫通配線221を介して上層配線層25と電気的に接続される。
[5]半田バンプ形成工程S5
次に、図6(L)に示すように、下層配線層24に半田バンプ26を形成する。また、上層配線層25や下層配線層24には、必要に応じてソルダーレジスト層のような保護膜を形成するようにしてもよい。
以上のようにして、貫通電極基板2が得られる。
なお、図6(L)に示す貫通電極基板2は、複数の領域に分割可能になっている。したがって、例えば図6(L)に示す一点鎖線に沿って貫通電極基板2を個片化することにより、複数の貫通電極基板2を効率よく製造することができる。なお、個片化には、例えばダイヤモンドカッター等を用いることができる。
[6]積層工程S6
次に、個片化した貫通電極基板2上に半導体パッケージ3を配置する。これにより、図1に示す半導体装置1が得られる。
このような半導体装置1の製造方法は、大面積の基板を用いたウエハーレベルプロセスやパネルレベルプロセスに適用することが可能である。これにより、半導体装置1の製造効率を高め、低コスト化を図ることができる。
<半導体装置の変形例>
次に、実施形態に係る半導体装置の変形例について説明する。
(第1変形例)
まず、第1変形例について説明する。
図7は、実施形態に係る半導体装置の第1変形例を示す部分拡大断面図である。
以下、第1変形例について説明するが、以下の説明では、図1、2に示す実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図1、2と同様の構成については、図7において同じ符号を付している。
図7に示す半導体装置1Aは、下層配線層の構造が異なる以外、図1、2に示す半導体装置1と同様である。すなわち、図7に示す半導体装置1Aは、ランド231が設けられている半導体チップ23と、下層配線層24Aと、半田バンプ26と、を備えている。そして、下層配線層24Aの構造が、図1、2に示す下層配線層24の構造と相違している。
具体的には、図7に示す下層配線層24Aは、半導体チップ23の下面に設けられた有機絶縁層240と、有機絶縁層240の下方に設けられた有機絶縁層241と、を備えている。これらの有機絶縁層240、241の少なくとも一方は、バンプ保護膜用感光性樹脂組成物を用いて形成されている。そして、半導体チップ23の下面は、有機絶縁層240、241で覆われている。
また、図7に示す下層配線層24Aは、ランド231および半田バンプ26の双方と電気的に接続されているバンプ密着層245を備えている。
このような第1変形例の製造に際して、バンプ保護膜用感光性樹脂組成物を用いることにより、パターニング精度が高く、ランド231やバンプ密着層245に含まれる金属の劣化を抑制することができる。このため、信頼性の高い半導体装置1Aが得られる。
(第2変形例)
次に、第2変形例について説明する。
図8は、実施形態に係る半導体装置の第2変形例を示す部分拡大断面図である。
以下、第2変形例について説明するが、以下の説明では、図1、2に示す実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図1、2と同様の構成については、図8において同じ符号を付している。
図8に示す半導体装置1Bは、下層配線層の構造が異なる以外、図1、2に示す半導体装置1と同様である。すなわち、図8に示す半導体装置1Bは、ランド231が設けられている半導体チップ23と、下層配線層24Bと、半田バンプ26と、を備えている。そして、下層配線層24Bの構造が、図1、2に示す下層配線層24の構造と相違している。
具体的には、図8に示す下層配線層24Bは、半導体チップ23の下面に設けられた有機絶縁層240と、有機絶縁層240の下方に設けられた有機絶縁層241と、有機絶縁層241の下方に設けられた有機絶縁層242と、を備えている。これらの有機絶縁層240、241、242の少なくとも1つは、バンプ保護膜用感光性樹脂組成物を用いて形成されている。
また、図8に示す下層配線層24Bは、ランド231と電気的に接続されている配線層243と、配線層243および半田バンプ26の双方と電気的に接続されているバンプ密着層245と、を備えている。そして、半導体チップ23と配線層243との間には、有機絶縁層240、241が介挿され、配線層243の下面は、有機絶縁層242で覆われている。
このような第2変形例の製造に際して、バンプ保護膜用感光性樹脂組成物を用いることにより、パターニング精度が高く、ランド231や配線層243、バンプ密着層245に含まれる金属の劣化を抑制することができる。このため、信頼性の高い半導体装置1Bが得られる。
<電子装置>
本実施形態に係る電子装置は、前述した本実施形態に係る半導体装置を備えている。
本実施形態に係る電子装置は、このような半導体装置を備えるものであれば、特に限定されないものの、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パソコンのような情報機器、サーバー、ルーターのような通信機器、ロボット、工作機械のような産業機器、車両制御用コンピューター、カーナビゲーションシステムのような車載機器等が挙げられる。
以上、本発明を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の半導体装置の製造方法は、前記実施形態に任意の目的の工程が付加されたものであってもよい。
また、本発明の感光性樹脂組成物、半導体装置および電子装置は、前記実施形態に任意の要素が付加されたものであってもよい。
また、感光性樹脂組成物は、半導体装置の他、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)や各種センサーのバンプ保護膜、液晶表示装置、有機EL装置のような表示装置のバンプ保護膜等にも適用可能である。
また、半導体装置のパッケージの形態は、図示した形態に限定されず、いかなる形態であってもよい。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(感光性樹脂組成物の調製)
表1に従い配合された各成分の原料をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させて混合溶液を得た。その後、混合溶液を0.2μmのポリプロピレンフィルターで濾過し、25℃で、粘度が約100cPのワニス状の感光性樹脂組成物を得た。感光性樹脂組成物の粘度は、コーンプレート型粘度計(TV-25、東機産業製)を用いて回転速度100rpmと設定して測定した。
表1における各成分の原料の詳細は下記のとおりである。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EOCN-1020-55、日本化薬社製、25℃で固形、n=3~6)
Figure 2024003100000005
(フェノキシ樹脂)
・フェノキシ樹脂1:ビスフェノールA/ビスフェノールF型フェノキシ樹脂(YP-70、新日鉄住金化学社製、Mw:約41,000))
Figure 2024003100000006
(シランカップリング剤)
・シランカップリング剤1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学社製)
Figure 2024003100000007
(界面活性剤)
・界面活性剤1:含フッ素基・親油性基含有オリゴマー(R-41、DIC社製)
(光酸発生剤)
〔合成例1〕リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレートの合成の合成
窒素雰囲気下で十分に乾燥させた125mL4つ口フラスコに超脱水ジエチルエーテル360部及び1-ブロモ-3,4,5-トリフルオロベンゼン25.6部仕込み、これをドライアイス/アセトン浴を用いて-78℃に冷却した。2.5mol/Lのn-ブチルリチウムヘキサン溶液70部を10分かけて滴下し、その後、-78℃で30分撹拌した。これに、塩化ガリウム(III)5部を溶解させたジエチルエーテル溶液68部を10分かけて滴下し、-78℃で3時間撹拌した。反応液を徐々に室温に戻しながら攪拌し、室温に戻してから更に5時間撹拌した。析出した固体をろ過し、反応液をエバポレーターに移し、溶媒を留去することにより、灰白色の生成物を得た。生成物を超脱水ヘキサン50部で4回洗浄した後、一晩真空乾燥させ、リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレートを得た。生成物は19F-NMRにて同定した。
〔合成例2〕リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレートの合成
1-ブロモ-3,4,5-トリフルオロベンゼン25.6部をブロモペンタフルオロベンゼン30部に変更した以外、合成例1と同様にして、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレートを得た。生成物は19F-NMRにて同定した。
〔合成例3〕リチウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガレートの合成
1-ブロモ-3,4,5-トリフルオロベンゼン25.6部を1-ブロモ-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン22.5部に変更した以外、合成例1と同様にして、リチウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガレートを得た。生成物は19F-NMRにて同定した。
〔合成例4〕光酸発生剤(A-1)の合成
4-[(2-メチルフェニル)スルフィニル]ビフェニルを51%と4-[(2-メチルフェニル)チオ]ビフェニルを49%含む混合物2.0部、4-[(2-メチルフェニル)チオ]ビフェニル0.24部、無水酢酸1.2部、トリフルオロメタンスルホン酸0.72部及びアセトニトリル6.5部を均一混合し、60℃で2時間反応させた。反応溶液を室温(約25℃)まで冷却し、イオン交換水30部中に投入し、ジクロロメタン30部で抽出し、水層のpHが中性になるまで水で洗浄した。有機層をロータリーエバポレーターに移し、溶媒を留去し、生成物を得た。これに酢酸エチル10部を加え、60℃の水浴中で溶解させた後、ヘキサン30部を加え撹拌した後、冷蔵庫(約5℃)で30分間静置してから上澄みを除く操作を2回行い、生成物を洗浄した。これをロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去した。残渣をジクロロメタン27部中に溶解させ、合成例1で合成したリチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.8部、イオン交換水20部を投入し、室温で1時間撹拌した。水層を除去し、有機層をイオン交換水20部で3回洗浄した後、有機層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより、A-1を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000008
〔合成例5〕光酸発生剤(A-2)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.8部を合成例2で合成したリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート3.5部に変更したこと以外、合成例4と同様にして、A-2を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000009
〔合成例6〕光酸発生剤(A-3)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.8部を合成例3で合成したリチウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガレート4.3部に変更したこと以外、合成例4と同様にして、A-3を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000010
〔合成例7〕光酸発生剤(A-4)の合成
4-[(2-メチルフェニル)スルフィニル]ビフェニルを51%と4-[(2-メチルフェニル)チオ]ビフェニルを49%含む混合物2.0部を4-[(2-メトキシフェニル)スルフィニル]ビフェニルを51%と4-[(2-メトキシフェニル)チオ]ビフェニルを49%含む混合物2.0部に変更した以外、合成例4と同様にして、A-4を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000011
〔合成例8〕光酸発生剤(A-5)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.8部を合成例2で合成したリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート3.5部に変更したこと以外、合成例7と同様にして、A-5を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000012
〔合成例9〕光酸発生剤(A-6)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.8部を合成例3で合成したリチウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガレート4.3部に変更したこと以外、合成例7と同様にして、A-6を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000013
〔合成例10〕光酸発生剤(A-7)の合成
4-[(2-メチルフェニル)スルフィニル]ビフェニルを51%と4-[(2-メチルフェニル)チオ]ビフェニルを49%含む混合物2.0部を4-[(フェニル)スルフィニル]ビフェニルを55%と4-(フェニルチオ)ビフェニルを45%含む混合物2.0部に変更した以外、合成例4と同様にして、A-7を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000014
〔合成例11〕光酸発生剤(A-8)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.8部を合成例2で合成したリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート3.5部に変更したこと以外、合成例10と同様にして、A-8を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000015
〔合成例12〕光酸発生剤(A-9)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.8部を合成例3で合成したリチウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガレート4.3部に変更したこと以外、合成例10と同様にして、A-9を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000016
〔合成例13〕光酸発生剤(B-1)の合成
2-(フェニルスルフィニル)-フルオレンを48%と2-(フェニルチオ)-フルオレンを52%含む混合物2.0部、無水酢酸3.1部及びメタンスルホン酸1.6部を均一混合し、65℃で3時間反応させた。反応溶液を室温(約25℃)まで冷却し、イオン交換水5.0部中に投入し、ジクロロメタン5.0部で抽出し、水層のpHが中性になるまで水で洗浄した。これにシクロヘキサン15部を加え、撹拌した後、30分間静置してから上澄みを除く操作を2回行い、生成物を洗浄した。残渣をジクロロメタン15.0部に溶解させ、合成例1で合成したリチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.0部、イオン交換水10部を投入し、室温で1時間撹拌した。水層を除去し、有機層をイオン交換水10部で3回洗浄した後、有機層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより、B-1を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000017
〔合成例14〕光酸発生剤(B-2)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.0部を合成例2で合成したリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート2.4部に変更したこと以外、合成例13と同様にして、B-2を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000018
〔合成例15〕光酸発生剤(B-3)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.0部を合成例3で合成したリチウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガレート3.0部に変更したこと以外、合成例13と同様にして、B-3を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000019
〔合成例16〕光酸発生剤(B-4)の合成
2-(フェニルスルフィニル)-フルオレンを48%と2-(フェニルチオ)-フルオレンを52%含む混合物2.0部を2-(フェニルスルフィニル)-9,9-ジメチルフルオレンを48%と2-(フェニルチオ)-9,9-ジメチルフルオレンを52%含む混合物2.0部に変更したこと以外、合成例13と同様にして、B-4を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000020
〔合成例17〕光酸発生剤(B-5)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.0部を合成例2で合成したリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート2.4部に変更したこと以外、合成例16と同様にして、B-5を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000021
〔合成例18〕光酸発生剤(B-6)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.0部を合成例3で合成したリチウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガレート3.0部に変更したこと以外、合成例16と同様にして、B-6を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000022
〔合成例19〕光酸発生剤(B-7)の合成
2-(フェニルスルフィニル)-フルオレンを48%と2-(フェニルチオ)-フルオレンを52%含む混合物2.0部を2-(フェニルスルフィニル)-9,9-ジエチルフルオレンを48%と2-(フェニルチオ)-9,9-ジエチルフルオレンを52%含む混合物2.0部に変更したこと以外、合成例13と同様にして、B-7を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000023
〔合成例20〕光酸発生剤(B-8)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.0部を合成例2で合成したリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート2.4部に変更したこと以外、合成例19と同様にして、B-8を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000024
〔合成例21〕光酸発生剤(B-9)の合成
リチウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレート2.0部を合成例3で合成したリチウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガレート3.0部に変更したこと以外、合成例19と同様にして、B-9を得た。生成物はH-NMR、19F-NMRにて同定した。
Figure 2024003100000025
・光酸発生剤(C-1):トリアリールスルホニウムボレート塩(サンアプロ社製、CPI-310B)
Figure 2024003100000026
得られた感光性樹脂組成物について、以下の評価項目に基づいて評価を実施した。
<絶縁性信頼性の評価>
(評価用試験片の作製)
基材として耐熱塩化ビニル樹脂シートを準備した。その基材上に、幅30μm、ピッチ20μm、厚さ10~15μmの櫛歯型のCuめっき膜(Cu電極)を形成し、Cu配線基板を得た。
続いて、当該Cu配線基板上に、得られた感光性樹脂組成物をスピンコートして、スピンコート膜(液状被膜)を形成した。液状被膜を100℃で3分間加熱して乾燥させ、厚さ30μmの感光性樹脂膜を得た。
続いて、得られた感光性樹脂膜に対し、自動露光機を用いて、波長365nmのi線を600mJ/cmの露光量で全面露光した。
続いて、Cu配線基板を、大気中でホットプレートにて70℃、5分間加熱した。
続いて、Cu配線基板を、PGMEA中に20秒間浸漬した。
その後、Cu配線基板を、窒素雰囲気において170℃、180分間加熱して、感光性樹脂膜を硬化させ、評価用試験片を得た。
(Bias-HAST試験(試験時間:100時間))
上記の(評価用試験片の作製)で得られた評価用試験片を、B-HAST装置内に配置した。続いて、B-HAST装置の配線と評価用試験のCu電極とを半田接続した。なお、B-HAST装置は、バイアス付き高度加速ストレス試験装置である。
次に、装置内温度を130℃、装置内相対湿度を85%に設定し、互いに離間しているCu電極間に3.5Vのバイアスを印加した。続いて、印加開始から6分間隔で、Cu電極間の絶縁抵抗値を自動的に計測した。そして、印加開始からリーク発生(絶縁破壊)までの経過時間(リーク発生時間)を計測した。なお、リーク発生とは、計測された絶縁抵抗値が1.0×10Ω以下に低下した場合を指す。
次に、計測したリーク発生時間を、以下の評価基準に照らして評価した。評価結果を表1に示す。
リーク発生時間の評価基準:
◎:リーク発生時間が100時間以上である
〇:リーク発生時間が50時間以上100時間未満である
×:リーク発生時間が50時間未満である
<パターニング性の評価>
得られた感光性樹脂組成物を、8インチシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した。塗布後、大気中でホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、膜厚約9.0μmの塗膜を得た。
この塗膜に、凸版印刷社製マスク(幅1.0~100μmの残しパターンおよび抜きパターンが描かれている)を通して、i線を照射した。照射には、i線ステッパー(ニコン社製・NSR-4425i)を用いた。
露光後、ウエハーをホットプレートに置き、大気中で80℃、5分間のベーク処理を行った。
その後、現像液としてPGMEAを用い、30秒間スプレー現像を行うことによって未露光部を溶解除去した。
その後、得られた塗膜サンプル上の幅100μmのビアパターンの断面を卓上SEM(日立ハイテクノロジーズ)を用いて観察し、アンダーカットの発生の有無を確認した。評価結果を表1に示す。
パターニング性の評価基準:
〇:アンダーカットが未発生
×:アンダーカットが発生
<引張伸度評価>
・硬化膜の作製
(1)実施例1、8、12および比較例2の感光性樹脂組成物をそれぞれ基板上に、スピンコートによって乾燥後膜厚が10μmになるように塗布し、120℃で5分乾燥して感光性樹脂膜を形成した。
(2)上記(1)で得られた感光性樹脂膜に対して、自動露光機を用いて、600mJ/cmで全面露光した。
(3)上記(2)の後、基板を、ホットプレートで100℃、5分、露光後加熱した。
(4)上記(3)の後、170℃で180分、窒素下で硬化させ、評価用の硬化膜を得た。
・伸び率測定
上記で得られた評価用の硬化膜からサンプルを切り出し、膜厚10μm、幅6.5mm、サンプルを固定するチャック間距離20mmの測定サンプルについてテンシロン万能材料測定機RTA-100(株式会社エー・アンド・デイ)により、100Nのロードセルを用いて、引張速さ5mm/分の条件で測定した。
各実施例においては、10サンプルを測定し、最も良い伸び率、2番目に良い伸び率、最も悪い伸び率および2番目に悪い伸び率の4サンプルを除いた6サンプルについての平均値(%)を下記の表2に記載した。
Figure 2024003100000027
実施例1~18の感光性樹脂組成物は、比較例1、2と比べて、絶縁信頼性に優れること分かった。また、実施例1~18の感光性樹脂組成物は、比較例2と比べて、パターニング性(パターン形状)が良好であることが分かった。このような実施例1~18の感光性樹脂組成物は、配線層の絶縁膜などに好適に用いられることが期待される。
1 半導体装置
1A 半導体装置
1B 半導体装置
2 貫通電極基板
3 半導体パッケージ
5 感光性樹脂ワニス
21 絶縁層
23 半導体チップ
24 下層配線層
24A 下層配線層
24B 下層配線層
25 上層配線層
26 半田バンプ
27 チップ埋込構造体
31 パッケージ基板
32 半導体チップ
33 ボンディングワイヤー
34 封止層
35 半田バンプ
202 基板
221 貫通配線
222 貫通配線
231 ランド
240 有機絶縁層
241 有機絶縁層
242 有機絶縁層
243 配線層
245 バンプ密着層
251 有機絶縁層
252 有機絶縁層
253 配線層
254 貫通配線
412 マスク
423 開口部
424 開口部
2510 感光性樹脂層
2520 感光性樹脂層
S1 チップ配置工程
S2 上層配線層形成工程
S20 第1樹脂膜配置工程
S21 第1露光工程
S22 第1現像工程
S23 第1硬化工程
S24 配線層形成工程
S25 第2樹脂膜配置工程
S26 第2露光工程
S27 第2現像工程
S28 第2硬化工程
S29 貫通配線形成工程
S3 基板剥離工程
S4 下層配線層形成工程
S5 半田バンプ形成工程
S6 積層工程
W 直径

Claims (1)

  1. エポキシ樹脂と、
    フェノキシ樹脂と、
    光酸発生剤と、を含む、バンプ保護膜に用いる感光性樹脂組成物であって、
    前記光酸発生剤が、トリアリールスルホニウムカチオンとガレートアニオンとを有するオニウムガレート塩を含む、感光性樹脂組成物。
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