JP2024002816A - ロータリ圧縮機及び冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧室における過大な圧力上昇を抑制できるロータリ圧縮機を提供する。【解決手段】ロータリ圧縮機は、一体化されたピストン72及びブレード74を有する揺動部材70と、ピストンが旋回するピストン空間とブレード74が出入りするブレード空間64とが形成されているシリンダと、1対のブッシュ80と、を備える。ブレードは、ピストン空間のうち、ブレードよりフロントヘッドの吐出ポート側に配置される高圧室に面する第3面を有する。ブレードの第3面には、第2油路78が形成されている。第2油路は、クランク角が所定角度α°以上となる際、ブレードの第3面と対向するブッシュに形成されている第1油路84と連通する。第1油路と第2油路とが連通した際、ブレードの第2端部74bの周囲の空間であるブレード空間の第2空間64bと、高圧室とが、第1油路と第2油路とを介して連通する。【選択図】図12

Description

ロータリ圧縮機、及び、ロータリ圧縮機を備える冷凍サイクル装置に関する。
特許文献1(特開2004-293558号公報)のように、一般に、ロータリ圧縮機では、潤滑のため、シリンダのピストンが旋回する空間(ピストン空間)に冷凍機油が供給される。
冷凍機油は、圧縮されないため(非圧縮性であるため)、圧縮室において、冷凍機油が過度に存在する状況で冷媒の圧縮が進むと、吐出ポートと連通する圧縮室(高圧室)で圧力が過度に上昇し、圧縮機効率が低下するおそれがある。
特許文献1(特開2004-293558号公報)のロータリ圧縮機では、シリンダのブッシュを支持する部分に切り欠きを設けているため、切り欠きに冷凍機油が流入させることで、圧縮室における圧力の過度な上昇を抑制できる可能性がある。しかし、このようなシリンダに切り欠きを設ける構造では、ブッシュを支えるシリンダの強度が低下するおそれがある。
第1観点のロータリ圧縮機は、揺動部材と、シリンダと、第1部材及び第2部材と、1対のブッシュと、を備える。揺動部材は、環状のピストンと、ピストンの外周面から延びるブレードと、を有する。ピストンとブレードとは、一体化されている。シリンダは、両端が開口している。シリンダには、ピストン空間と、ブレード空間と、が形成されている。ピストン空間では、ピストンが旋回する。ブレード空間は、ピストン空間と連通し、ブレードが出入りする。第1部材及び第2部材は、シリンダの両端の開口を塞ぐ。ブッシュは、半円筒形状である。1対のブッシュは、ブレード空間の第1空間に配置される。1対のブッシュは、ブレードを挟んでブレードを揺動可能に支持する。ブレードは、第1面と、第2面と、第3面と、を有する。ブレードの第1面は、第1部材と摺動する。ブレードの第2面は、第2部材と摺動する。ブレードの第3面は、ブレードの第1面及びブレードの第2面と直交する。ブレードの第3面は、ピストン空間のうち、ブレードよりも吐出ポート側に配置される高圧室に面する。吐出ポートは、第2部材又はシリンダに形成されている。ブレードの第3面には、第2油路が形成されている。ブレードの第3面の第2油路は、ピストンが上死点にある時を0度とするクランク角が所定角度以上となる際、ブレードの第3面と対向するブッシュに形成されている第1油路と連通する。第1油路と第2油路とが連通した際、第2空間と、高圧室とは、第1油路と第2油路とを介して連通する。第2空間は、ブレードの第2端部の周囲の空間である。ブレードの第2端部は、ブレードのピストンの外周面と接続される第1端部とは反対側の、ピストンの外周面に対する遠位側の端部である。
第1観点のロータリ圧縮機では、クランク角が所定角度以上となり、高圧室で冷凍機油の液圧縮が起こり、高圧室において過大な圧力上昇が生じ得る状況で、高圧室内の冷凍機油を第2空間へと排出して、高圧室における過大な圧力上昇を抑制できる。
また、第1観点のロータリ圧縮機では、シリンダのブッシュの支持部分に切り欠きを設ける場合に比べ、ブッシュを支えるシリンダの強度低下を抑制できる。
第2観点のロータリ圧縮機は、第1観点のロータリ圧縮機であって、前記の所定角度は、高圧室において急激な圧力上昇が生じる角度である。
第2観点のロータリ圧縮機では、高圧室に過剰量の冷凍機が存在するとすれば急激な圧力上昇が生じやすくなるタイミングで、高圧室を第2空間と連通させることで、高圧室における過大な圧力上昇の原因となる高圧室内の冷凍機油を第2空間に排出できる。
第3観点のロータリ圧縮機は、第1観点又は第2観点のロータリ圧縮機であって、前記の所定角度は270度以上の角度である。
第3観点のロータリ圧縮機では、高圧室における過大な圧力上昇が生じやすくなるタイミングで、高圧室を第2空間と連通させることで、高圧室における過大な圧力上昇の原因となる高圧室内の冷凍機油を第2空間へと排出できる。
第4観点のロータリ圧縮機は、第1観点から第3観点のいずれかのロータリ圧縮機であって、クランク角が、180度と所定角度との間の角度である間は、第1油路と第2油路とは非連通である。
第4観点のロータリ圧縮機では、高圧室における過大な圧力上昇が起こり得るタイミングまでは、高圧室と第2空間とが連通しないので、死容積の増加によるロータリ圧縮機の効率低下を抑制できる。
第5観点のロータリ圧縮機は、第1観点から第4観点のいずれかのロータリ圧縮機であって、第2空間は、ブレードの第2端部が出入りする、第1空間と隣接する空間である。
第6観点のロータリ圧縮機は、第1観点から第5観点のいずれかのロータリ圧縮機であって、第2油路の容量は、0.1cc以下である。
本開示のロータリ圧縮機は、ブレードの第2油路に冷凍機油を貯留することで高圧室の過大な圧力上昇を抑制する構造ではない。そのため、本開示のロータリ圧縮機では、死容積となる(ロータリ圧縮機の性能低下の原因となる)ブレードの第2油路の容積を0.1cc以下に抑制しても、高圧室の過大な圧力上昇を抑制できる。
第7観点のロータリ圧縮機は、第1観点から第6観点のいずれかのロータリ圧縮機であって、第2油路は、ブレードの第3面の、ブレードの第1面とブレードの第2面との間の中央部に形成されている。
第7観点のロータリ圧縮機では、第3面の中央部に第2油路が設けられるので、ブレードやブレードと接続されるピストンの挙動に与える影響は抑制しつつ、高圧室の過大な圧力上昇を抑制できる。
第8観点のロータリ圧縮機は、第1観点から第6観点のいずれかのロータリ圧縮機であって、第2油路は、第3面と第1面との境界部、及び、第3面と第2面との境界部とに形成されている。
第8観点のロータリ圧縮機では、第3面の両端に第2油路が設けられるので、ブレードやブレードと接続されるピストンの挙動に与える影響を抑制しつつ、高圧室の過大な圧力上昇を抑制できる。
第9観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第8観点のいずれかのロータリ圧縮機と、凝縮器と、蒸発器と、膨張機構と、を有する冷媒回路を備える。
第9観点の冷凍サイクル装置では、ロータリ圧縮機の高圧室における圧力の過度な上昇を抑制して、効率のよい冷凍サイクル装置を実現できる。
冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。 一実施形態に係るロータリ圧縮機の概略縦断面図である。 図2のIII-III矢視の、ロータリ圧縮機の圧縮機構の概略断面図である。 図2のロータリ圧縮機の揺動部材のブレードの概略斜視図である。 図2のロータリ圧縮機の圧縮工程を説明するための図であり、クランク角が0°の時の揺動部材の状態を描画した断面図である。 図2のロータリ圧縮機の圧縮工程を説明するための図であり、クランク角が90°の時の揺動部材の状態を描画した断面図である。 図2のロータリ圧縮機の圧縮工程を説明するための図であり、クランク角が180°の時の揺動部材の状態を描画した断面図である。 図2のロータリ圧縮機の圧縮工程を説明するための図であり、クランク角が270°の時の揺動部材の状態を描画した断面図である。 図2のロータリ圧縮機の第2ブッシュの概略斜視図である。 図2のロータリ圧縮機の他の例の揺動部材のブレードの第3面を描画した概略側面図である。 図2のロータリ圧縮機の他の例のブッシュの対向面を描画した概略側面図である。 第2ブッシュの第1油路とブレードの第2油路とが連通し始めたタイミングの圧縮機構の要部を描画した図である。 クランク角が0°(360°)の時の圧縮機構の要部を描画した図であり、クランク角が0°(360°)の時の、第2ブッシュの第1油路とブレードの第2油路との連通状態を説明するための図である。 クランク角が180°の時の圧縮機構の要部を描画した図であり、クランク角が180°の時の、第2ブッシュの第1油路とブレードの第2油路との配置を説明するための図である。 クランク角と高圧室の圧力との関係を示す概念図であり、実線は通常時の高圧室の圧力を、破線は液圧縮時の(高圧室に過剰に冷凍機油が存在する場合の)高圧室の圧力をそれぞれ示している。
本開示のロータリ圧縮機及び、本開示のロータリ圧縮機を備える冷凍サイクル装置の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
以下では、ロータリ圧縮機における位置や向きを説明するため、「上」、「下」等の表現を用いる場合がある。これらの表現は、説明の便宜上用いるものであって、本開示の内容を限定するものではない。
また、以下では、「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」等の表現を用いる場合があるが、これらの表現は、厳密な意味で「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」である場合に限定されない。「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」等の表現は、実質的に「平行」、「直交」、「水平」、「垂直」、「同一」である場合を含む意味で用いられる。
(1)冷凍サイクル装置の構成
一実施形態に係る、ロータリ圧縮機100を備えた空気調和装置1000について、図1を参照しながら説明する。図1は、冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置1000の概略構成図である。
冷凍サイクル装置は、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用して、温度調整対象を冷却したり、加熱したりする装置である。冷凍サイクル装置の一例に係る空気調和装置1000は、温度調整対象としての空調対象空間の空気を冷却したり加熱したりする。ここでは、冷凍サイクル装置が空気調和装置1000である場合を例に、冷凍サイクル装置を説明する。ただし、本開示の冷凍サイクル装置の種類は、空気調和装置に限定されるものではなく、給湯装置、床暖房装置、冷蔵装置等であってもよい。
空気調和装置1000は、図1のように、主として冷媒回路600を備える。冷媒回路600は、図1のように、ロータリ圧縮機100、流路切換機構200、熱源熱交換器300、利用熱交換器400、及び膨張機構500を有する。冷媒回路600では、ロータリ圧縮機100と、流路切換機構200と、熱源熱交換器300と、利用熱交換器400と、膨張機構500と、が、冷媒配管により接続されている。
ロータリ圧縮機100は、冷凍サイクルにおける低圧(以後、単に低圧と呼ぶ場合がある)のガス冷媒を吸入して圧縮し、冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒(以後、単に高圧と呼ぶ場合がある)として吐出する装置である。ロータリ圧縮機100についての詳細は後述する。
流路切換機構200は、冷媒回路600の状態を、冷房状態と、暖房状態と、の間で切り換える機構である。限定するものではないが、流路切換機構200は、四路切換弁である。冷媒回路600が冷房状態にある時、冷媒は、ロータリ圧縮機100、流路切換機構200、熱源熱交換器300、膨張機構500、利用熱交換器400、流路切換機構200、ロータリ圧縮機100の順に冷媒回路600を流れる(図1の流路切換機構200内の実線参照)。冷媒回路600が暖房状態にある時、冷媒は、ロータリ圧縮機100、流路切換機構200、利用熱交換器400、膨張機構500、熱源熱交換器300、流路切換機構200、ロータリ圧縮機100の順に冷媒回路600を流れる(図1の流路切換機構200内の破線参照)。
熱源熱交換器300は、熱源となる媒体(例えば水や空気)と冷媒との間で熱交換を行わせる熱交換器である。
利用熱交換器400は、温度調整対象(ここでは、空調対象空間の空気)と冷媒との間で熱交換を行わせる熱交換器である。
膨張機構500は、膨張機構500を通過する高圧の冷媒(主に液体の冷媒)を減圧し、低圧の冷媒(液体と気体とからなる二相の冷媒)にする。膨張機構500は、例えば電子膨張弁や、感温筒を有する温度自動膨張弁や、キャピラリチューブである。
空気調和装置1000の行う冷房運転と暖房運転とについて説明する。
空気調和装置1000が冷房運転を行う場合、ロータリ圧縮機100は、低圧のガス冷媒を吸入して加圧し、高圧のガス冷媒として吐出する。ロータリ圧縮機100が吐出する高圧のガス冷媒は、流路切換機構200を通過して、凝縮器(放熱器)として機能する熱源熱交換器300に供給される。熱源熱交換器300は、熱源となる媒体と高圧のガス冷媒とを熱交換させて、高圧のガス冷媒を凝縮させ、高圧の液冷媒にする。熱源熱交換器300から流出する高圧の液冷媒は、膨張機構500を通過して低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器(吸熱器)として機能する利用熱交換器400に供給される。利用熱交換器400は、空調対象空間の空気と低圧の気液二相冷媒とを熱交換させて、気液二相冷媒に含まれる液冷媒を蒸発させ、低圧のガス冷媒にする。この際、空調対象空間の空気は、冷媒により冷却される。利用熱交換器400から流出する低圧のガス冷媒は、流路切換機構200を通過し、ロータリ圧縮機100に再び吸入される。
空気調和装置1000が暖房運転を行う場合、ロータリ圧縮機100は、低圧のガス冷媒を吸入して加圧し、高圧のガス冷媒として吐出する。ロータリ圧縮機100が吐出する高圧のガス冷媒は、流路切換機構200を通過して、凝縮器(放熱器)として機能する利用熱交換器400に供給される。利用熱交換器400は、空調対象空間の空気と高圧のガス冷媒とを熱交換させて、高圧のガス冷媒を凝縮させ、高圧の液冷媒にする。この際、空調対象空間の空気は、冷媒により加熱される。利用熱交換器400から流出する高圧の液冷媒は、膨張機構500を通過して低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器(吸熱器)として機能する熱源熱交換器300に供給される。熱源熱交換器300は、熱源となる媒体と低圧の気液二相冷媒とを熱交換させて、気液二相冷媒に含まれる液冷媒を蒸発させ、低圧のガス冷媒にする。熱源熱交換器300から流出する低圧のガス冷媒は、流路切換機構200を通過し、ロータリ圧縮機100に再び吸入される。
なお、ここでは、冷凍サイクル装置の一例としての空気調和装置1000が、冷房運転と暖房運転とを実行する装置である場合を例に説明したが、空気調和装置1000は、冷房運転と暖房運転との一方だけを行う装置であってもよい。この場合、空気調和装置1000は、流路切換機構200を有していなくてもよい。
(2)ロータリ圧縮機の全体構成
ロータリ圧縮機100の全体構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、ロータリ圧縮機100の概略縦断面図である。図3は、ロータリ圧縮機100の圧縮機構50の、図2のIII-III矢視の概略断面図である。
ロータリ圧縮機100は、空気調和装置1000の冷媒回路600から低圧の冷媒を吸入して圧縮し、高圧になった冷媒を冷媒回路600に吐出する機器である。ロータリ圧縮機100では、冷媒として例えばR32が使用される。ただし、冷媒の種類は、R32に限定されるものではなく、例えば、R32以外のハイドロフルオロカーボン系の冷媒や、ハイドロフルオロオレフィン系の冷媒や、CO2等であってもよい。
ロータリ圧縮機100は、ケーシング20と、モータ30と、クランク軸40と、圧縮機構50と、を主に有する。ケーシング20には、モータ30と、クランク軸40と、圧縮機構50と、が収容されている。ケーシング20内には、モータ30がケーシング20の上下方向における中央部付近に配置されており、モータ30の下方に圧縮機構50が配置されている。
圧縮機構50は、後述するシリンダ60、フロントヘッド52、リアヘッド54、揺動部材70、及びブッシュ80を主に有する(図2及び図3参照)。
(3)ロータリ圧縮機の詳細構成
(3-1)ケーシング
ケーシング20は、上下の端部が閉じられた、縦型円筒状の容器である。
ケーシング20は、円筒部材22と、碗状の、上蓋24a及び下蓋24bと、を主に有する(図2参照)。円筒部材22は、上下が開口した円筒状の部材である。上蓋24aは、円筒部材22の上端に設けられ、円筒部材22の上側の開口端を閉じる。下蓋24bは、円筒部材22の下端に設けられ、円筒部材22の下側の開口端を閉じる。円筒部材22と、上蓋24a及び下蓋24bとは、気密を保つように溶接により固定されている。
円筒部材22の下部には、吸入管26が設けられている(図2参照)。吸入管26は、圧縮機構50と、空気調和装置1000の冷媒回路600の配管と、を連通させる。冷媒回路600における低圧の冷媒は、冷媒回路600から、吸入管26を介して、圧縮機構50内に(具体的には、後述する圧縮機構50の圧縮室C1の低圧室C1aに)供給される。
上蓋24aには、吐出管28が設けられている(図2参照)。吐出管28は、ケーシング20内の高圧空間S1と、冷媒回路600の配管と、を連通させる。ケーシング20内の高圧空間S1は、圧縮機構50により圧縮された高圧の冷媒が吐出される空間である。圧縮機構50により圧縮された高圧の冷媒は、高圧空間S1及び吐出管28を介して、冷媒回路600に吐出される。
ケーシング20の下部には、油溜空間25が形成される(図2参照)。油溜空間25には、圧縮機構50等を潤滑するための冷凍機油が貯留される。
(3-2)モータ
モータ30は、圧縮機構50を駆動する。
モータ30は、図2に示すように、ケーシング20の上下方向における中央部に収容されている。モータ30は、圧縮機構50の上方に配置される。
モータ30は、主として、ステータ32と、ロータ34とを有する。
ステータ32は、筒状に形成されている。ステータ32は、その外周面が、円筒部材22の内面とスポット溶接により固定されている。ただし、ステータ32と円筒部材22との固定方法は例示であって、これに限定されるものではない。
ロータ34は、円筒状の部材である。ロータ34は、環状に形成されたステータ32の内側に、ステータ32とわずかな隙間を隔てて配置される。ロータ34の中空部には、クランク軸40が挿嵌されている。ロータ34は、ステータ32に巻き付けられた巻線36に電流が流されることで発生する回転磁界により回転する。ロータ34が回転すると、クランク軸40が回転し、クランク軸40を介して、モータ30から圧縮機構50に駆動力が付与される。
(3-3)クランク軸
クランク軸40は、上下方向に延び、圧縮機構50とモータ30のロータ34とを連結する(図2参照)。
クランク軸40は、図2に示すように、その上部がモータ30のロータ34と連結されている。また、クランク軸40は、図2に示すように、モータ30の下方で、圧縮機構50と連結されている。具体的には、クランク軸40は、クランク軸40の軸心Oに対して偏心している偏心部42を有する。偏心部42は、後述する圧縮機構50の揺動部材70のピストン72と連結されている(図2参照)。より具体的には、偏心部42は、モータ30の力を伝達可能な状態で、円筒状のピストン72の内部に嵌っている。
クランク軸40は、後述する圧縮機構50の、フロントヘッド52の上部軸受部52a及びリアヘッド54の下部軸受部54aによって、回転自在に支持されている。
クランク軸40は、モータ30が駆動されると、軸心O周りに回転する。軸心Oに対して偏心している偏心部42は、軸心Oに対して偏心回転し、圧縮機構50のピストン72を公転させる。
クランク軸40の下端部には、油溜空間25の冷凍機油を汲み上げるための油ポンプ44が固定されている。クランク軸40の内部には、油ポンプ44によって汲み上げられた冷凍機油が流れる給油通路46が形成されている(図2参照)。給油通路46は、クランク軸40に沿って上下方向に延びる主給油通路46aを有する(図2参照)。また、給油通路46は、主給油通路46aからクランク軸40の径方向外方へ延びる複数の副給油通路(図示せず)を有する。副給油通路は、上部軸受部52aの下端付近、下部軸受部54aの上端付近、及び偏心部42においてクランク軸40の側面に開口し、複数の給油口46bを形成する(図2参照)。油溜空間25から油ポンプ44によって汲み上げられた冷凍機油は、主給油通路46a及び副給油経路を通過して、給油口46bから、クランク軸40と上部軸受部52a及び下部軸受部54aとの摺動部や、圧縮機構50の摺動部に供給される。
(3-4)圧縮機構
圧縮機構50は、吸入管26を介して吸入する冷媒を圧縮する機構である。
圧縮機構50は、シリンダ60、フロントヘッド52、リアヘッド54、揺動部材70、及びブッシュ80、を主に有する(図2及び図3参照)。揺動部材70は、環状のピストン72と、ブレード74と、を含む。ピストン72及びブレード74は、一体に形成されている。ブレード74は、ピストン72の外周面72aから、環状のピストン72の径方向に延びる。
(3-4-1)シリンダ
シリンダ60は、その内部を揺動部材70のピストン72が旋回する部材である。
シリンダ60の中央部には、円形状のシリンダ孔61が形成されており、両端が開口している。言い換えれば、シリンダ60の中央部には、シリンダ60を貫通するように、シリンダ孔61が形成されている。シリンダ60のシリンダ孔61は、シリンダ60に形成されるピストン空間62の側方を囲む。クランク軸40の軸方向視において、シリンダ60のシリンダ孔61の内周面は、ピストン空間62の境界を規定する。ピストン空間62には、揺動部材70のピストン72が収容される。ピストン72は、ピストン空間62を旋回する。シリンダ60は、両端の開口が上方及び下方に配置されるように、ケーシング20の内部に配置される。
シリンダ60のシリンダ孔61の中心から見て、シリンダ孔61の外周側には、第1孔63aが形成されている(図3参照)。第1孔63aは、シリンダ孔61と隣接して配置され、第1空間64aを形成する。クランク軸40の軸方向視において、第1孔63aの内周面は、第1空間64aの境界の少なくとも一部を規定する。また、シリンダ孔61の中心から見て、第1孔63aの外周側には、第2孔63bが形成されている(図3参照)。第2孔63bは、第1孔63aと隣接して配置され、第2空間64bを形成する。クランク軸40の軸方向視において、第2孔63bの内周面は、第2空間64bの境界の少なくとも一部を規定する。
第1空間64aには、ブッシュ80が配置される。第1孔63aは、第1空間64aに配置されるブッシュ80を揺動可能に保持する。
第1空間64a及び第2空間64bは、ブレード空間64として機能する。ブレード空間64は、ピストン空間62と連通する空間である。後述するように、揺動部材70が揺動し、ピストン72がピストン空間62内で公転する時に、ブレード空間64には、第1空間64aに配置されるブッシュ80により揺動可能に支持される揺動部材70のブレード74が出入りする。
また、シリンダ60には、クランク軸40の軸方向と交差する方向に、シリンダ60の外周面からシリンダ孔61まで延びる吸入通路66が形成されている(図3参照)。吸入通路66は、ピストン空間62と連通する。吸入通路66には、吸入管26の先端部が挿入される。冷媒回路600における低圧の冷媒は、吸入管26及び吸入通路66を介して、ピストン空間62(特には、ピストン空間62内に形成される後述の低圧室C1a)へと導かれる。
(3-4-2)フロントヘッド
フロントヘッド52は、図2に示すように、シリンダ60の上方に配置される。
フロントヘッド52は、シリンダ60の一方の(上方の)開口を塞ぐ。具体的には、フロントヘッド52は、シリンダ60のシリンダ孔61、第1孔63a、第2孔63bの上方の開口を塞ぐ。フロントヘッド52は、圧縮室C1の天面を形成する。圧縮室C1は、シリンダ孔61の内周面と、ピストン空間62に配置されるピストン72の外周面72aと、フロントヘッド52と、リアヘッド54と、に囲まれて形成される空間である。
フロントヘッド52には、フロントヘッド52を貫通して延び、圧縮室C1と連通する吐出ポート53が形成されている。吐出ポート53は、図3に二点鎖線で描画される位置に形成されている。
なお、以下の説明では、圧縮室C1のうち、吐出ポート53の配置される側の空間(言い換えれば、吐出ポート53と連通する空間)を高圧室C1bと呼ぶ。また、圧縮室C1のうち、吐出ポート53の配置されない側の空間(言い換えれば、吐出ポート53とは連通しない空間)を低圧室C1aと呼ぶ。吸入通路66から圧縮室C1に導かれる冷媒は、まず低圧室C1aに流入する。その後、冷媒は、ピストン72の回転に伴って高圧室C1bに流入する。低圧室C1a及び高圧室C1bについては、後程、更に詳しく説明する。
フロントヘッド52には、吐出ポート53の上方に吐出弁(図示省略)が設けられている。吐出弁は、高圧室C1bの圧力が後述するマフラ空間S2の圧力より高くなると圧力差により開き、吐出ポート53からマフラ空間S2へと冷媒を吐出させる。
フロントヘッド52の上面には、マフラ56が取り付けられている。マフラ56は、フロントヘッド52の上方にマフラ空間S2を形成する。吐出ポート53は、マフラ空間S2と連通している。圧縮室C1で圧縮された冷媒は、吐出ポート53を介してマフラ空間S2に流入する。マフラ56には、マフラ空間S2とマフラ56の周囲の高圧空間S1とを連通するマフラ吐出孔(図示省略)が形成されている。圧縮室C1で圧縮された冷媒(高圧室C1bの高圧の冷媒)は、吐出ポート53及びマフラ空間S2を介して、高圧空間S1に流入する。
フロントヘッド52は、圧縮室C1の天面を形成するとともに、クランク軸40を軸支する軸受としても機能する。具体的には、フロントヘッド52の上部には、クランク軸40が挿通される、円筒状の上部軸受部52aが形成されている。上部軸受部52aは、クランク軸40を回転自在に支持する。
(3-4-3)リアヘッド
リアヘッド54は、図2に示すように、シリンダ60の下方に配置される。
リアヘッド54は、シリンダ60の一方の(下方の)開口を塞ぐ。具体的には、リアヘッド54は、シリンダ60のシリンダ孔61、第1孔63a、第2孔63bの下方の開口を塞ぐ。リアヘッド54は、圧縮室C1の底面を形成する。
リアヘッド54は、圧縮室C1の底面を形成すると共に、クランク軸40を軸支する軸受としても機能する。具体的には、リアヘッド54の上部には、クランク軸40が挿通される、円筒状の下部軸受部54aが形成されている。下部軸受部54aは、クランク軸40を回転自在に支持する。
(3-4-4)揺動部材
図2~図3に加え、図4~図8を更に参照しながら揺動部材70について説明する。図4は、揺動部材70のブレード74の概略斜視図である。図5~図8は、ロータリ圧縮機100の圧縮工程を説明するための図である。図5~図8のそれぞれは、クランク角が、0°、90°、180°、270°の時の揺動部材70の状態を描画した断面図である。
揺動部材70は、ピストン72とブレード74とが一体化された部材である。揺動部材70は、クランク軸40が回転により揺動する。
ピストン72は、クランク軸40の軸方向視において、環状に形成されている部材である。ピストン72の内部には、クランク軸40の偏心部42が嵌め込まれている(図2参照)。
ピストン72、シリンダ60、フロントヘッド52、及びリアヘッド54と共に、圧縮室C1を形成する。圧縮室C1は、ピストン72の外周面72aと、シリンダ60のシリンダ孔61の内周面と、フロントヘッド52の下面と、リアヘッド54の上面と、により囲まれた空間である。クランク軸40が回転すると、ピストン72は、シリンダ孔61の内周面に沿って偏心回転運動を行い(シリンダ孔61の内周面に沿って公転し)、シリンダ60の吸入通路66を介して圧縮室C1に吸入される冷媒を圧縮する。
ブレード74は、ピストン72と一体に形成された板状の部材である。ブレード74は、ピストン72の自転を規制する機能を有する。ブレード74は、環状のピストン72の外周面72aと接続される第1端部74aから、第2端部74bへと、環状のピストン72の径方向外側に延びる。ブレード74の第2端部74bは、第1端部74aとは反対側の、ピストン72の外周面72aに対する遠位側の端部である。ブレード74は、シリンダ60に形成される第1空間64aに配置された1対のブッシュ80により挟み込まれ、ブッシュ80により揺動可能に支持される。
ブレード74は、圧縮室C1を、低圧室C1aと高圧室C1bとに区画する。低圧室C1aは、圧縮室C1のうち、ブレード74よりも吸入通路66側に配置される空間である。言い換えれば、低圧室C1aは、圧縮室C1のうち、吸入通路66と連通する空間である。高圧室C1bは、圧縮室C1のうち、ブレード74よりもフロントヘッド52に形成されている吐出ポート53側に配置される空間である。言い換えれば、高圧室C1bは、圧縮室C1のうち、吐出ポート53と連通する空間である。
クランク軸40が回転し、揺動部材70が揺動すると、ブッシュ80により支持されるブレード74も揺動し、ピストン72の公転に応じて、ブレード74はブレード空間64を出入りする。ブレード74の第2端部74bは、クランク軸40が360°回転する間に、少なくとも一時的に第2孔63b内に配置される。言い換えれば、ブレード74の第2端部74bは、クランク軸40が360°回転する間に、少なくとも一時的に第2空間64bに配置される。特に、後程説明するクランク角が、後述の所定角度α°以上360°以下である間は、ブレード74の第2端部74bは第2孔63b内に配置される。
ブレード74は、第1面76aと、第2面76bと、第3面76cと、第4面76dと、を有する。第1面76aは、シリンダ60のシリンダ孔61の一方の開口を塞ぐフロントヘッド52と対向し、フロントヘッド52と摺動する。第2面76bは、シリンダ60のシリンダ孔61の一方の開口を塞ぐリアヘッド54と対向し、リアヘッド54と摺動する。第3面76cは、第1面76a及び第2面76bと直交する面である。第3面76cは、ピストン空間62のうち、ブレード74よりも、吐出ポート53側に配置される高圧室C1bに面する。なお、第3面76cが高圧室C1bに面するという表現は、第3面76cの全体が高圧室C1bに面することを意味するものではなく、第3面76cの少なくとも一部が高圧室C1bに面することを意味する。また、第3面76cが高圧室C1bに面するという表現は、第3面76cが常に高圧室C1bに面することを意味するものではなく、揺動部材70が揺動し、ピストン72がピストン空間62を1回公転する間に、少なくとも一時的に第3面76cが高圧室C1bに面することを意味する。第4面76dは、低圧室C1aに面する面である。なお、第4面76dが低圧室C1aに面するという表現は、第4面76dの全体が低圧室C1aに面することを意味するものではなく、第4面76dの少なくとも一部が低圧室C1aに面することを意味する。また、第4面76dが低圧室C1aに面するという表現は、第4面76dが常に低圧室C1aに面することを意味するものではなく、揺動部材70が揺動し、ピストン72がピストン空間62を1回公転する間に、少なくとも一時的に第4面76dが低圧室C1aに面することを意味する。
ブレード74の第3面76cは、クランク角により対向する位置が変化するが、その一部が、揺動部材70を揺動可能に支持する一対のブッシュ80の一方(第1ブッシュ80aと呼ぶ)と常に対向する。また、第4面76dは、クランク角により対向する位置が変化するが、その一部が、揺動部材70を揺動可能に支持する一対のブッシュ80の一方(第2ブッシュ80bと呼ぶ)と常に対向する。
第3面76cには、第2油路78が形成されている。第2油路78は、クランク角が所定角度範囲にある時に、第3面76cと対向する第1ブッシュ80aに形成されている第1油路84と連通する溝である。
なお、クランク角とは、クランク軸40の回転角度を意味する。ここでは、図5のようにピストン72が上死点にある時のクランク角を0°と定義する。クランク軸40が回転していくと(クランク角が大きくなっていくと)、ピストン72は、図6に描画される位置を経て、図7のように下死点に至る。ピストン72が下死点にある時のクランク角は180°である。クランク軸40が更に回転していくと(クランク角が更に大きくなっていくと)、ピストン72は、図8の状態を経て、再び図5の状態に戻る。
(3-4-5)ブッシュ
図2~図3に加え、図9を更に参照しながらブッシュ80について説明する。図9は、第1ブッシュ80a(1対のブッシュ80の一方)の概略斜視図である。
圧縮機構50は、1対のブッシュ80を有する(図3参照)。ブッシュ80は、ブレード74を挟んで揺動可能に支持する部材である。
ブッシュ80は、ブレード空間64の第1孔63aに配置される。各ブッシュ80は、半円筒形状(円柱を軸方向に沿って概ね2つに分割した形状)の部材である。1対のブッシュ80は、その間でブレード74を挟み、ブレード74を揺動可能に支持する。
ブッシュ80は、ブレード74の第3面76cと対向する第1ブッシュ80aと、ブレード74の第4面76dと対向する第2ブッシュ80bと、を有する。第1ブッシュ80aは、ブレード74の第3面76cと対向する対向面82を有する。対向面82には、クランク角が所定角度範囲にある時に、ブレード74の第3面76cに形成されている第2油路78と連通する第1油路84が形成されている。
第1油路84と第2油路78との配置、構造及び機能の詳細について別途説明する。
(4)ロータリ圧縮機の動作
ロータリ圧縮機100の運転動作について説明する。
ロータリ圧縮機100では、モータ30が運転され、ロータ34が回転すると、クランク軸40が回転し偏心部42が偏心回転する。その結果、偏心部42が内部に嵌め込まれたピストン72がシリンダ60のシリンダ孔61に沿って公転する。ピストン72の自転は、ピストン72と一体に形成されたブレード74によって規制される。
公転するピストン72の動きにより、以下のように、冷媒が、ロータリ圧縮機100の外部から吸入され、圧縮される。
まず、吸入行程について説明する。ピストン72が上死点にある図5の状態から回転すると、吸入通路66から、低圧室C1aへの冷媒の吸入が開始される。クランク軸40の回転角が大きくなると、次第に、低圧室C1aの容積が増大し(図6~図8参照)、低圧室C1aへ吸入される冷媒量が増加する。
その後、吐出行程へと移行する。具体的には、低圧室C1aにおける冷媒の吸入が開始され、ピストン72が上死点まで回転すると、低圧室C1aにおける冷媒の閉じ込みが完了し、吸入通路66に連通していた低圧室C1aが、フロントヘッド52に形成された吐出ポート53と連通する高圧室C1bとなる。高圧室C1bの冷媒の圧力は、ピストン72が回転し、高圧室C1bの体積減少に伴って上昇する。高圧室C1bの圧力とマフラ空間S2との圧力が所定の圧力関係になると、吐出ポート53に設けられた図示しない吐出弁が開き、高圧室C1bの冷媒は、マフラ空間S2に吐出される。マフラ空間S2に吐出された冷媒は、マフラ56に形成されている図示しない吐出通路を介して高圧空間S1に吐出され、最終的に、吐出管28を介してロータリ圧縮機100の外部へと吐出される。
(5)第1油路及び第2油路
第1油路84と第2油路78との配置、構造及び機能について説明する。
ブレード74の第3面76cには、前述のように第2油路78としての溝が形成されている。第2油路78としての溝は、図4のように1つであってもよいし、複数であってもよい。第2油路78は、ブレード74の第3面76cを、ブレード74の第1端部74a側から第2端部74b側へと延びる。第2油路78は、環状のピストン72の径方向に沿って(本実施形態であれば水平に)、直線的に延びる溝である。ただし、これに限定されるものではなく、後述する機能を発揮可能であれば、第2油路78は、第1端部74a側から第2端部74b側に向かって、かつ、ピストン72の径方向とは交差する方向に(本実施形態であれば、第1端部74a側から第2端部74b側に向かって斜め上方に又は斜め下方に)延びる溝であってもよい。以下では、第2油路78が延びる方向を第1方向と呼ぶ。なお、第2油路78は、直線的に延びる溝である必要はない。ただし、第2油路78を直線的に延びる単純な形状の溝とすることで、第2油路78の加工が容易となる。
なお、好ましくは、第2油路78は、ブレード74の第1面76aと第2面76bとの間の中央部に形成されている。言い換えれば、第2油路78は、好ましくは、高さ方向において第3面76cの中央部に形成されている。さらに言い換えれば、第2油路78は、好ましくは、クランク軸40の軸方向において、第3面76cの中央部に形成されている。なお、クランク軸40の軸方向において、第2油路78は、ブレード74の第3面76cの中央部以外に形成されてもよい。ただし、揺動部材70の挙動(ブレード74の動作のバランス)の観点からは、第2油路78は、クランク軸40の軸方向において中央部に形成されることが好ましい。
図4では、第2油路78は、ブレード74の第1端部74aとは離れた位置から、第2端部74b側に向かって、第1端部74aと第2端部74bとの中間部(第2端部74bとは離れた位置)まで延びる。ただし、これに限定されるものではなく、第2油路78は、ブレード74の第1端部74a(ブレード74とピストン72の外周面72aとの接続部)から、第2端部74b側に向かって、第1端部74aと第2端部74bとの中間部まで延びるものであってもよい。ただし、揺動部材70の強度等の観点からは、第2油路78は、ブレード74の第1端部74aとは離れた位置から、第2端部74b側に向かって、第1端部74aと第2端部74bとの中間部まで延びる溝であることが好ましい。
第1ブッシュ80aの対向面82には、前述のように第1油路84としての溝が形成されている。第1油路84としての溝は、図9のように1つであってもよいし、複数であってもよい。第1油路84は、第1ブッシュ80aの対向面82を、対向面82のピストン空間62側(圧縮室C1側)の第1端部82aから、ブレード空間64の第2空間64b側の第2端部82bへと延びる。第1油路84は、例えば、環状のピストン72の径方向に沿って(本実施形態であれば水平に)、直線的に延びる溝である。ただし、これに限定されるものではなく、後述する機能を発揮可能であれば、第1油路84は、第1端部82a側から第2端部82b側に向かって、かつ、ピストン72の径方向とは交差する方向に(本実施形態であれば、第1端部82a側から第2端部82b側に向かって斜め上方に又は斜め下方に)延びる溝であってもよい。なお、第1油路84は、直線的に延びる溝である必要はない。ただし、第1油路84を直線的に延びる単純な形状の溝とすることで、第1油路84の加工が容易となる。
第1油路84は、図9のように、対向面82を、第1端部82aと第2端部82bとの中間部(第1端部82aとは離れた位置)から、第2端部82bまで延びる。
第1油路84は、後述するタイミングで第2油路78と連通可能となるような位置に配置される。例えば、第1油路84が図9のように水平方向に延びる溝であり、第2油路78が図4のように水平方向に延びる溝である場合には、第1油路84は、上下方向において、言い換えればクランク軸40の軸方向において、第2油路78と同じ位置に配置されている。
第1油路84と第2油路78との機能について説明する。
第1油路84及び第2油路78は、高圧室C1bに存在する過剰な冷凍機油を、高圧室C1bの外部に排出するための油の流路である。具体的には、第1油路84と第2油路78とは、クランク角が所定の角度範囲にある際に連通し、ブレード74の第2端部74bの周囲の第2空間64b(ブレード空間64の第2空間64b)と、高圧室C1bとを、第1油路84と第2油路78とを介して連通させる。第2空間64bは、ブレード74の第2端部74bが出入りする、ブッシュ80の配置される第1空間64aと隣接する空間である。このように第1油路84と第2油路78とが連通する結果、高圧室C1bに存在する過剰な冷凍機油を、第2空間64bに排出することができる。第2空間64bに排出された冷凍機油は、最終的には、ケーシング20の下部の油溜空間25に排出される。
第1油路84及び第2油路78のような油の流路を設ける理由を説明する。
高圧室C1bに過剰に冷凍機油が存在しない場合(この状態を通常時と呼ぶ)、圧縮室C1の圧力(高圧室C1bの圧力)は、図15に実線で示すように、クランク角が0°から大きくなるに連れて上昇し、180°を少し超える頃に最大となって、その後は、クランク角が0°(360°)になるまでほとんど変化しない。
これに対し、高圧室C1bに過剰な冷凍機油が存在する場合(液圧縮を起こす状態にある時)の、圧縮室C1の圧力(高圧室C1bの圧力)の変化は、クランク角がある角度になるまでは、通常時とほぼ同様である。しかし、本願開示者は、高圧室C1bに過剰な冷凍機油が存在する場合、高圧室C1bの圧力が、クランク角がある角度を超えた後に、図15に破線で示すように急上昇することを見出した。このような高圧室C1bの圧力上昇は、ロータリ圧縮機100の効率を低下させるおそれがある。また、高圧室C1bの過度な圧力上昇は、ロータリ圧縮機100の損傷につながるおそれもある。
なお、液圧縮を抑制する手段としては、シリンダのブッシュを支持する部分に切り欠きを設け、切り欠きに冷凍機油を流入させるという手段が考えられる。しかし、このようなシリンダに切り欠きを設ける構造で液圧縮による圧縮室の圧力上昇を抑制しようとすれば、比較的大きな切り欠きが必要となる。その結果、シリンダに切り欠きを設ける構造では、ブッシュを支えるシリンダの強度が低下するおそれがある。また、シリンダに切り欠きを設ける構造では、死容積の増加によりロータリ圧縮機の効率が低下するおそれがある。
これに対し、本願開示のロータリ圧縮機100では、高圧室C1bで液圧縮が発生する前に、高圧室C1bに存在する過剰な冷凍機油を、第1油路84及び第2油路78を介して高圧室C1bの外部に排出できるため、死容積の増大は抑制しつつ、高圧室C1bでの液圧縮の発生を抑制できる。
なお、第2油路78の溝の部分の容量(容積)は、死容積となり得る。したがって、第2油路78の溝の容量は、0.1cc(0.1cm3)以下であることが好ましい。第2油路78は、冷凍機油を収容する目的で設けられているわけではなく、第2空間64bに冷媒を導く目的で設けられているので、第2油路78の溝の容量が0.1cc(0.1cm3)以下であっても、その目的を果たすことができる。
第1油路84と第2油路78とは、クランク角が所定角度α°以上となると連通を開始し(図12参照)、その後、例えば、クランク角が360°になるまで連通し続ける(図13参照)。
ただし、第1油路84と第2油路78とが連通するクランク角の所定角度範囲は、所定角度α°と360°との間に限定されるものではない。例えば、第1油路84と第2油路78とが連通するクランク角の所定角度範囲は、所定角度α°と、360°より小さい角度β°(α°<β°<360°)との間の範囲であってもよい。これを実現するため、例えば、ブレード74には、以下のような第2油路78が形成される。
図4の例では、第2油路78は、ピストン72(第1端部74a)の近傍を始点X1として、終点X2へと向かって第2端部74b側に延びる。これに代えて、例えば、第2油路78の始点X1をピストン72(第1端部74a)から所定距離だけ離すことで、クランク角度がβ°となるタイミングで、第2油路78の始点X1をブッシュ80の対向面82と対向させ、クランク角度がβ°となるタイミングで第2油路78を高圧室C1bとは非連通とすることができる。言い換えれば、例えば、第2油路78の始点X1をピストン72(第1端部74a)から所定距離だけ離すことで、クランク角度がβ°となるタイミングで、第2油路78の始点X1をブッシュ80の対向面82と対向させ、ブッシュ80の対向面82で第2油路78を閉鎖し、第2油路78を高圧室C1bとは非連通とすることができる。
なお、第1油路84と第2油路78とが連通するクランク角の所定角度範囲の大きさ(例えば、第1油路84と第2油路78が、クランク角がα°とβ°との間にある際に連通するとすれば、β°-α°の値)は、10°以上であることが好ましい。より好ましくは、第1油路84と第2油路78とが連通するクランク角の所定角度範囲の大きさは、20°以上である。さらに好ましくは、第1油路84と第2油路78とが連通するクランク角の所定角度範囲の大きさは、30°以上である。所定角度範囲を10°以上、より好ましくは20°以上、さらに好ましくは30°以上とすることで、高圧室C1bの冷凍機油が第2空間64bに排出されやすい。一方で、第1油路84と第2油路78とが連通するクランク角の所定角度範囲の大きさは、180°より小さく、好ましくは120°以下であり、さらに好ましくは90°以下である。第1油路84と第2油路78とが連通するクランク角の所定角度範囲の大きさを大きくし過ぎないことで、圧縮室C1と第2空間64bとの連通に伴う死容積の増加による効率低下を抑制できる。
第1油路84と第2油路78とが連通し始める所定角度α°は、例えば、高圧室C1bに冷凍機油が過剰に存在すると想定した時に、圧縮室において急激な圧力上昇が生じる角度である。
なお、高圧室C1bに過剰な冷凍機油が存在する場合に、急激な圧力上昇が生じる角度は、圧縮機の設計や、運転条件により変化する。そこで、所定角度α°は、例えば、設計しようとするロータリ圧縮機(ただし、第1油路84及び第2油路78は設けていないロータリ圧縮機)を、想定され得る油圧縮が起こり得る運転条件(実際に運転される可能性のある、高循環量・高回転数条件)で運転し、実際に高圧室C1bの圧力を測定し、その結果、通常時に比べ、圧力の上昇開始が見られるクランク角(例えば、図15の例であれば、"A"で示すクランク角)を所定角度α°と決定する。
なお、このような所定角度α°の決定方法は一例に過ぎない。例えば、所定角度α°は、ある程度の余裕を見て、圧力の上昇開始が見られるクランク角(図15の例であれば"A"で示すクランク角)よりも若干小さな角度とされてもよい。また、例えば、所定角度α°は、圧力の上昇開始が見られるクランク角(図15の例であれば"A"で示すクランク角)ではなく、圧力の急上昇が見られるクランク角(図15の例であれば"B"で示すクランク角より大きなクランク角)を、所定角度α°としてもよい。また、所定角度α°は実際にロータリ圧縮機を運転した上で決定されるものでは無くてもよく、ロータリ圧縮機の設計条件や運転条件を指定して行われる、コンピュータ上でのシミュレーション結果に基づいて決定されてもよい。
なお、所定角度α°は、180°よりは大きな角度であり、好ましくは270°よりも大きな角度である。
第1油路84と第2油路78とが連通を開始する所定角度α°(第1油路84と第2油路78とが図12の状態になる角度)は、数値を限定するものではないが、例えば315°である。
なお、第1油路84と第2油路78とは、クランク角が180°(ピストン72が下死点に配置されるクランク角)を超えて所定角度α°になるまでは非連通であることが好ましい。例えば、本実施形態のロータリ圧縮機100では、クランク角が180°である時には、図14のように、第1油路84と第2油路78とは非連通状態にある。このように構成することで、高圧室C1bにおける過大な圧力上昇が起こり得るタイミングまでは、高圧室C1bと第2空間64bとを非連通とできる。その結果、不要なタイミングで高圧室C1bと第2空間64bとが連通してしまい、死容積の増加によってロータリ圧縮機100の効率が低下する事態を抑制できる。
なお、以上では、第2油路78を、ブレード74の第3面76cであって、ブレード74の第1面76aと第2面76bとの間の中央部に形成する場合について説明した。しかしながら、第2油路(ここでは符号“78a”で表す)は、図10のように、ブレード74の第3面76cであって、第3面76cと第1面76aとの境界部、及び、第3面76cと第2面76bの境界部に形成されてもよい。この場合には、第1ブッシュ80aの対向面82に形成される第1油路(ここでは符号“84a”で表す)も、第1ブッシュ80aの対向面82であって、上下方向(クランク軸40の軸方向)において、第2油路78に対応する位置に形成されればよい(図11参照)。このように構成すれば、第3面76cのブレード74の厚み方向(クランク軸40の軸方向)における両端に第2油路78が設けられることになるので、ブレード74の挙動に与える影響を抑制しつつ、高圧室C1bの過大な圧力上昇を抑制できる。
(6)特徴
(6-1)
上記実施形態のロータリ圧縮機100は、揺動部材70と、シリンダ60と、第1部材の一例としてのリアヘッド54及び第2部材の一例としてのフロントヘッド52と、1対のブッシュ80と、を備える。揺動部材70は、環状のピストン72と、ピストン72の外周面72aから延びるブレード74と、を有する。ピストン72とブレード74とは、一体化されている。シリンダ60は、両端が開口している。シリンダ60には、ピストン空間62と、ブレード空間64と、が形成されている。ピストン空間62では、ピストン72が旋回する。ブレード空間64は、ピストン空間62と連通し、ブレード74が出入りする。リアヘッド54及びフロントヘッド52は、シリンダ60の両端の開口を塞ぐ。ブッシュ80は、半円筒形状である。1対のブッシュ80は、ブレード空間64の第1空間64aに配置される。1対のブッシュ80は、ブレード74を挟んでブレード74を揺動可能に支持する。ブレード74は、第1面76aと、第2面76bと、第3面76cと、を有する。ブレード74の第1面76aは、リアヘッド54と摺動する。ブレード74の第2面76bは、フロントヘッド52と摺動する。ブレード74の第3面76cは、ブレード74の第1面76a及びブレード74の第2面76bと直交する。ブレード74の第3面76cは、ピストン空間62のうち、ブレード74よりも吐出ポート53側に配置される高圧室C1bに面する。吐出ポート53は、フロントヘッド52又はシリンダ60に形成されている。ブレード74の第3面76cには、第2油路78が形成されている。ブレード74の第3面76cの第2油路78は、ピストン72が上死点にある時を0度とするクランク角が所定角度α°以上となる際、ブレード74の第3面76cと対向するブッシュ80(第1ブッシュ80a)に形成されている第1油路84と連通する。第1油路84と第2油路78とが連通した際、第2空間64bと、高圧室C1bとは、第1油路84と第2油路78とを介して連通する。第2空間64bは、ブレード74の第2端部74bの周囲の空間である。ブレード74の第2端部74bは、ブレード74のピストン72の外周面72aと接続される第1端部74aとは反対側の、ピストン72の外周面72aに対する遠位側の端部である。
ロータリ圧縮機100では、クランク角が所定角度α°以上となり、高圧室C1bで冷凍機油の液圧縮が起こり、高圧室C1bにおいて過大な圧力上昇が生じ得る状況で、高圧室C1b内の冷凍機油を第2空間64bへと排出して、高圧室C1bにおける過大な圧力上昇を抑制できる。
また、このロータリ圧縮機100では、シリンダ60のブッシュ80の支持部分に切り欠きを設ける場合に比べ、ブッシュ80を支えるシリンダ60の強度低下を抑制できる。
また、シリンダ60等に切り欠きを設け、圧力上昇を十分に抑制しようとする場合には、切り欠きが大型化して死容積が増大しがちで、ロータリ圧縮機100の性能に悪影響を与えるおそれがある。これに対し、このロータリ圧縮機100では、所定のタイミングでブッシュ80の第1油路84とブレード74の第2油路78とを連通させて冷凍機油を高圧室C1bから第2空間64bへと排出する構造のため、死容積は抑制しつつ、高圧室C1bにおける過大な圧力上昇を抑制できる。
(6-2)
ロータリ圧縮機100では、所定角度α°は、高圧室C1bにおいて急激な圧力上昇が生じる角度である。
ロータリ圧縮機100では、高圧室C1bに過剰量の冷凍機が存在するとすれば急激な圧力上昇が生じやすくなるタイミングで、高圧室C1bを第2空間64bと連通させることで、高圧室C1bにおける過大な圧力上昇の原因となる高圧室C1b内の冷凍機油を第2空間64bに排出できる。
(6-3)
ロータリ圧縮機100では、所定角度α°は、270度以上の角度である。
このロータリ圧縮機100では、高圧室C1bにおける過大な圧力上昇が生じやすくなるタイミングで、高圧室C1bを第2空間64bと連通させることで、高圧室C1bにおける過大な圧力上昇の原因となる高圧室C1b内の冷凍機油を第2空間64bへと排出できる。
(6-4)
ロータリ圧縮機100では、クランク角が、180度と所定角度α°との間の角度である間は、第1油路84と第2油路78とは非連通である。
このロータリ圧縮機100では、高圧室C1bにおける過大な圧力上昇が起こり得るタイミングまでは、高圧室C1bと第2空間64bとが連通しないので、死容積の増加によるロータリ圧縮機100の効率低下を抑制できる。
(6-5)
このロータリ圧縮機100では、第2油路78の容量は、0.1cc以下である。
本開示のロータリ圧縮機100は、ブレード74の第2油路78だけを利用して(第2油路78に冷凍機油を貯留することで)高圧室C1bの過大な圧力上昇を抑制する構造ではない。そのため、このロータリ圧縮機100では、死容積となる(ロータリ圧縮機100の性能低下の原因となる)ブレード74の第2油路78の容積を0.1cc以下に抑制しても、高圧室C1bの過大な圧力上昇を抑制できる。
(6-6)
ロータリ圧縮機100の一の例では、第2油路78は、ブレード74の第3面76cの、ブレード74の第1面76aとブレード74の第2面76bとの間の中央部に形成されている。
このロータリ圧縮機100では、ブレード74の第3面76cの、ブレード74の厚み方向(クランク軸40の軸方向)における中央部に第2油路78が設けられるので、ブレード74やブレード74と接続されるピストン72の挙動に与える影響は抑制しつつ、高圧室C1bの過大な圧力上昇を抑制できる。
(6-7)
ロータリ圧縮機100の他の例では、第2油路78は、第3面76cと第1面76aとの境界部、及び、第3面76cと第2面76bとの境界部とに形成されている。
このロータリ圧縮機100では、ブレード74の第3面76cの、ブレード74の厚み方向(クランク軸40の軸方向)における両端に第2油路78が設けられるので、ブレード74やブレード74と接続されるピストン72の挙動に与える影響を抑制しつつ、高圧室C1bの過大な圧力上昇を抑制できる。
(6-8)
本実施形態の空気調和装置1000は、ロータリ圧縮機100と、凝縮器として機能する熱源熱交換器300又は利用熱交換器400と、蒸発器として機能する利用熱交換器400又は熱源熱交換器300と、膨張機構500と、を有する冷媒回路600を備える。
空気調和装置1000では、ロータリ圧縮機100の圧縮室C1における圧力の過度な上昇を抑制して、効率のよい空気調和装置1000を実現できる。
(7)変形例
以下に、本実施形態の変形例を示す。なお、各変形例は、矛盾しない範囲で、他の変形例と適宜組み合わされてもよい。
(7-1)変形例A
上記実施形態では、ロータリ圧縮機100は、図2に示すように、シリンダを1つだけ有する1段圧縮機である。ただし、本開示のロータリ圧縮機は、複数のシリンダを有する多段圧縮機でもよい。ロータリ圧縮機100が多段圧縮機である場合にも、上記の配置、構造及び機能の油路をブッシュ及び揺動部材のブレードに設けることで、圧縮室における液圧縮の発生を抑制できる。
(7-2)変形例B
上記実施形態では、クランク軸40の軸方向が上下方向と一致する縦型のロータリ圧縮機を例に本開示のロータリ圧縮機を説明しているが、本開示のロータリ圧縮機は、縦型のロータリ圧縮機に限定されない。本開示のロータリ圧縮機は、クランク軸の軸方向が水平方向と一致する横型のロータリ圧縮機であってもよい。
(7-3)変形例C
上記実施形態のロータリ圧縮機では、フロントヘッド52に吐出ポート53が形成されている。ただし、これに限定されるものではなく、本開示のロータリ圧縮機は、シリンダ60に吐出ポートが形成されるロータリ圧縮機であってもよい。このような構造のロータリ圧縮機においても、上記実施形態で説明した構造の揺動部材70やブッシュ80を利用できる。詳細な説明は省略する。
<付記>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
本開示の内容は、ロータリ圧縮機に広く適用でき有用である。
52 フロントヘッド(第2部材)
53 吐出ポート
54 リアヘッド(第1部材)
60 シリンダ
62 ピストン空間
64 ブレード空間
64a 第1空間
64b 第2空間
70 揺動部材
72 ピストン
72a 外周面
74 ブレード
74a 第1端部
74b 第2端部
76a 第1面
76b 第2面
76c 第3面
78,78a 第2油路
80 ブッシュ
80a 第1ブッシュ
84,84a 第1油路
100 ロータリ圧縮機
300 熱源熱交換器(凝縮器、蒸発器)
400 利用熱交換器(蒸発器、凝縮器)
500 膨張機構
600 冷媒回路
1000 空気調和装置(冷凍サイクル装置)
C1b 高圧室
α 所定角度
特開2004-293558号公報

Claims (9)

  1. 環状のピストン(72)と、前記ピストンの外周面(72a)から延びるブレード(74)とが一体化された揺動部材(70)と、
    前記ピストンが旋回するピストン空間(62)と、前記ピストン空間と連通し、前記ブレードが出入りするブレード空間(64)と、が形成されている、両端が開口したシリンダ(60)と、
    前記シリンダの両端の開口を塞ぐ第1部材(54)及び第2部材(52)と、
    前記ブレード空間の第1空間(64a)に配置され、前記ブレードを挟んで前記ブレードを揺動可能に支持する1対の半円筒形状のブッシュ(80)と、
    を備え、
    前記ブレードは、前記第1部材と摺動する第1面(76a)と、前記第2部材と摺動する第2面(76b)と、前記第1面及び前記第2面と直交し、前記ピストン空間のうち、前記ブレードよりも、前記第2部材又は前記シリンダに形成されている吐出ポート(53)側に配置される高圧室(C1b)に面する第3面(76c)と、を有し、
    前記第3面には、前記ピストンが上死点にある時を0度とするクランク角が所定角度(α)以上となる際に、前記第3面と対向する前記ブッシュに形成されている第1油路(84,84a)と連通する、第2油路(78,78a)が形成され、
    前記第1油路と前記第2油路とが連通した際、前記ブレードの前記ピストンの前記外周面と接続される第1端部(74a)とは反対側の、前記ピストンの前記外周面に対する遠位側の前記ブレードの第2端部(74b)の周囲の第2空間(64b)と、前記高圧室とは、前記第1油路と前記第2油路とを介して連通する、
    ロータリ圧縮機(100)。
  2. 前記所定角度は、前記高圧室において急激な圧力上昇が生じる角度である、
    請求項1に記載のロータリ圧縮機。
  3. 前記所定角度は、270度以上の角度である、
    請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
  4. 前記クランク角が、180度と前記所定角度との間の角度である間は、前記第1油路と前記第2油路とは非連通である、
    請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
  5. 前記第2空間は、前記ブレードの前記第2端部が出入りする、前記第1空間と隣接する空間である、
    請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
  6. 前記第2油路の容量は、0.1cc以下である、
    請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
  7. 前記第2油路は、前記第3面の、前記第1面と前記第2面との間の中央部に形成されている、
    請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
  8. 前記第2油路は、前記第3面と前記第1面との境界部、及び、前記第3面と前記第2面との境界部に形成されている、
    請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
  9. 請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機と、凝縮器(300,400)と、蒸発器(400,300)と、膨張機構(500)と、を有する冷媒回路(600)を備える、
    冷凍サイクル装置(1000)。
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