JP2024002278A - テストステロン分泌促進剤 - Google Patents

Abstract

【課題】新規なテストステロン分泌促進剤を提供する。【解決手段】本発明のテストステロン分泌促進剤は、カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を含む。斯かるテストステロン分泌促進剤により、テストステロンの分泌が促進され、テストステロン値の上昇、テストステロン値の維持等をもたらすことができる。本発明のテストステロン分泌促進剤は、飲食品組成物の形態、栄養補助食品組成物の形態で又は食品添加剤の形態であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、テストステロン分泌促進剤に関する。

テストステロンは、男性ホルモンの１つであり、精神的／肉体的な元気さの維持、性機能、記憶力、認知力などに大きく影響を与えるものであり、また、男性のみならず女性においても重要なホルモンであることから近年、多くの関心が寄せられている。テストステロンは、加齢によってその値が低下する傾向にあり、これにより筋量低下、活力減退等の問題が生じ、長期的には、糖尿病、メタボリックシンドローム等の代謝疾患を引き起こし得る。この観点から、テストステロン値を向上させるためのテストステロン分泌促進剤の開発が広く行われている（例えば、特許文献１等）。

特開２０１３－１８１０３１号公報

上記事情より、新規なテストステロン分泌促進剤が求められているところ、本発明は、新規なテストステロン分泌促進剤を提供することを課題とする。

本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物がテストステロン分泌促進を有することを初めて見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項１
カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を含む、テストステロン分泌促進剤。
項２
飲食品組成物の形態である、請求項１に記載のテストステロン分泌促進剤。
項３
栄養補助食品組成物の形態である、請求項１に記載のテストステロン分泌促進剤。
項４
食品添加剤の形態である、請求項１に記載のテストステロン分泌促進剤。
項５
前記項１～４のいずれか１項に記載のテストステロン分泌促進剤を製造するためのカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物の使用。
項６
テストステロン分泌促進が必要な対象にカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を投与する方法。
項７
テストステロン分泌促進における使用のためのカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物。

本発明によれば、テストステロン分泌促進剤を提供することができる。斯かるテストステロン分泌促進剤により、テストステロンの分泌が促進され、テストステロン値の上昇、テストステロン値の維持等をもたらすことができる。

摂取前後のテストステロン濃度の測定結果を示し、（ａ）は男性の被験者の摂取後のテストステロン濃度変化、（ｂ）は女性の被験者の摂取後のテストステロン濃度変化を示している。 年代別のテストステロン濃度変化であって、（ａ）は男性、（ｂ）は女性の年代別のテストステロン濃度変化を示すグラフである。

以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。

本発明は、カイコハナサナギタケ又はその抽出物を含むテストステロン分泌促進剤を包含する。

本発明のテストステロン分泌促進剤は、カイコハナサナギタケを必須成分とし、あるいは、カイコハナサナギタケの抽出物を必須成分とする。本発明のテストステロン分泌促進剤は、カイコハナサナギタケ及びその抽出物の両方を含むこともできる。テストステロン分泌促進剤において、カイコハナサナギタケ又はその抽出物は有効成分である。

カイコハナサナギタケは、カイコに寄生して生育したハナサナギタケ（Ｐ．ｔｅｎｕｉｐｅｓ、「冬虫夏草」とも称される）である。カイコハナサナギタケは、カイコ蛹を宿主として得られる。

カイコハナサナギタケは、例えば、市販品から入手することができ、あるいは、栽培により入手することもできる。カイコハナサナギタケを栽培する方法は特に限定されず、例えば、公知の栽培方法を広く適用することができる。

カイコハナサナギタケの具体的な栽培方法としては、カイコの幼虫やカイコの蛹を加熱滅菌処理した後、冬虫夏草の菌を植菌して育成する方法が例示される。

また、特開２００５－２３７２０１号公報に開示される方法でカイコハナサナギタケを栽培することもできる。この公報に記載される方法では、繭を形成する前のカイコの幼虫又はカイコの蛹を煮沸し、次いで、乾燥させ、これにより得られるカイコ乾燥粉末と、豆類、穀類、海藻類及びキノコ類からなる群より選ばれる少なくとも１種の乾燥粉末とを混合して食物乾燥粉末を調製する。この食物乾燥粉末に培養液を加えて混練してから育成箱の底部に敷き詰めて培地を作成し、この培地を、植菌袋に封入して加熱滅菌処理した後、培地に冬虫夏草の菌を接種して、カイコハナサナギタケを育成することができる。前記食物乾燥粉末において、カイコ乾燥粉末は５０～９０質量％とすることができる。

テストステロン分泌促進剤がカイコハナサナギタケの粉末を含む場合、斯かる粉末を得る方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を広く採用することができる。例えば、カイコハナサナギタケを凍結乾燥させ、粉砕することで、カイコハナサナギタケの粉末を得ることができる。ハナサナギタケの子実体のみを用いてカイコハナサナギタケの粉末を得ることができ、子実体および宿主（例えば、カイコ）を用いてカイコハナサナギタケの粉末を得ることが好ましい。

テストステロン分泌促進剤がカイコハナサナギタケの抽出物を含む場合、斯かる抽出物を得る方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を広く採用することができる。例えば、カイコハナサナギタケの抽出方法としては、カイコハナサナギタケをそのまま、裁断、粉砕及び／又は乾燥し、搾取又は適宜の溶媒による抽出を行うことで、カイコハナサナギタケの抽出物を得る方法が挙げられる。

抽出に使用する溶媒の種類は特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、１，３－ブチレングリコール等の多価アルコール；アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル；ジオキサン；アセトニトリル；酢酸エチルエステル等のエステル類、その他、ジメチルスルホキシド、キシレン、ベンゼン、クロロホルム等が挙げられる。一実施形態において好ましい溶媒は、水であり、好ましくは熱水である。熱水は、６０℃以上であってもよく、７０℃以上であってもよく、８０℃以上であってもよく、９０℃以上であってもよい。

カイコハナサナギタケの抽出物を得る好ましい方法として、前記熱水を用いた抽出である。この方法では、カイコハナサナギタケの乾燥粉末に、水又は前記熱水を加え、６０℃以上８０℃以下の温度で所定の時間、例えば、１時間以上５時間以下の時間で撹拌して抽出液を調製し、この抽出液を濾過して得られた濾液を乾燥（例えば、スプレー噴霧）することにより、カイコハナサナギタケの抽出物を得ることができる。

斯かる抽出方法において、前記乾燥粉末は、例えば、カイコハナサナギタケを凍結乾燥することで得ることができる。前記乾燥粉末と水又は熱水との混合割合は特に限定されず、例えば、乾燥粉末１質量部に対して水又は熱水を５～２０質量部使用することができ、好ましくは７～１５質量部である。

テストステロン分泌促進剤がカイコハナサナギタケの抽出物を含む場合、カイコハナサナギタケの抽出物中の水分量は特に限定されず、例えば、２０質量％以下とすることができ、１０質量％以下が好ましく、８質量％以下がより好ましく、５質量％以下がさらに好ましい。

テストステロン分泌促進剤は、カイコハナサナギタケの粉末又はその抽出物以外に、任意の他の成分を含むことができる。他の成分の種類は、例えば、公知のテストステロン分泌促進剤に含まれ得る各種添加剤を挙げることができ、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤剤、流動化剤、保存剤、界面活性剤、安定剤、希釈剤、溶解剤、等張化剤、殺菌剤、防腐剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料等が例示される。テストステロン分泌促進剤は、カイコハナサナギタケの粉末又はその抽出物以外に公知のテストステロン分泌促進剤も含むことができる。

テストステロン分泌促進剤に含まれる、カイコハナサナギタケ又はその抽出物の含有割合は特に限定されず、例えば、固形分換算で、０．１質量％以上１００質量％以下の範囲で設定することができる。前記含有割合の下限は、例えば、１質量％以上、２質量％以上、５質量％以上、１０質量％以上、１５質量％以上、２０質量％以上、３０質量％以上、４０質量％以上、５０質量％以上、６０質量％以上または７０質量％以上とすることができ、上限は９９質量％以下、９５質量％以下、９０質量％以下、８０質量％以下、７０質量％以下、又は６０質量％以下とすることができる。これらの下限及び上限は任意に組み合わせられる。

本発明のテストステロン分泌促進剤の形態は特に限定されず、例えば、半固形、固形、液状等が挙げられる。具体的な形態は、粉末状、細粒状、顆粒状、錠剤状、カプセル状、トローチ、チュアブル、ゲル状、クリーム状、ペースト状、ムース状、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ等が例示される。

本発明のテストステロン分泌促進剤は、例えば、経口摂取されるものであることが好ましく、また、これ以外の摂取であってもよい。

本発明のテストステロン分泌促進剤は、ヒト又は動物（ヒトを除く。以下同じ。）への摂取又は投与が可能であり、テストステロンの分泌を促進させてテストステロン値を上昇させることができ、あるいは、テストステロン値の維持をもたらすことができる。従って、本発明のテストステロン分泌促進剤は、テストステロン値を制御する用途に好適に使用することができる。

本発明のテストステロン分泌促進剤の摂取（投与）量は、目的とする効果が奏される限り特に限定されず、対象者（又は対象動物）の体格、年齢、症状、適用形態、使用目的等に応じて適宜設定することができる。例えば、１日当たりのテストステロン分泌促進剤の摂取（投与）量は、体重６０ｋｇの成人を基準として、カイコハナサナギタケ又はその抽出物の乾燥重量換算として、１ｍｇ～８０００ｍｇ、１０ｍｇ～４０００ｍｇ、１００ｍｇ～３０００ｍｇ、５００ｍｇ～２０００ｍｇ等の範囲で設定することができる。摂取（投与）回数は任意であり、例えば、１日あたり単回摂取（投与）であってもよく複数回摂取（投与）であってもよい。

本発明のテストステロン分泌促進剤は、飲食品組成物の形態とすることができる。すなわち、本発明は、テストステロン分泌促進剤を含む飲食品組成物も包含する。斯かる飲食品組成物は、テストステロン分泌促進用に好適に用いられるものである。飲食品には、一般食品だけでなく、保健機能食品（具体的には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品）、病者用食品、サプリメント等が含まれる。

飲食品組成物は、例えば、液状、ゲル状あるいは固形状の食品に好ましく適用できる。具体的には、飲料類（例えば、果汁飲料、野菜ジュース、清涼飲料、アルコール飲料、炭酸飲料、スポーツドリンク、滋養強壮ドリンク、栄養ドリンク等）、菓子類（例えば、スナック菓子、米菓、チョコレート、グミ、キャンディー、ゼリー、プリン、和菓子、洋菓子等）、調味料類（例えば、醤油、味噌、みりん風調味料、ミックススパイス、たれ、つゆ、ソース、ケチャップ等）、ドレッシング類、麺類（例えば、うどん、そば、スパゲッティ等）、畜肉魚肉加工食品類（例えば、ソーセージ、ウインナー、ハム、ハンバーグ等）、乳製品類（ヨーグルト、牛乳、チーズ、クリーム、バター等）等の食品を挙げることができる。

本発明のテストステロン分泌促進剤は、栄養補助食品の形態とすることができる。すなわち、本発明は、テストステロン分泌促進剤を含む栄養補助食品組成物も包含する。斯かる栄養補助食品組成物は、テストステロン分泌促進用に好適に用いられるものである。栄養補助食品組成物は、例えば、サプリメントに使用でき、いわゆるドクターズサプリメントに好適である。

本発明のテストステロン分泌促進剤は、食品添加剤の形態とすることができる。すなわち、本発明は、テストステロン分泌促進剤を含む食品添加剤も包含する。斯かる食品添加剤は、テストステロン分泌促進用に好適に用いられるものである。食品添加剤における食品は、前述の飲食品組成物における食品等同様の種類が例示される。

本発明のテストステロン分泌促進剤は、上述の食品用（健康食品及び健康増進剤を包含する）、栄養補助食品用、食品添加剤の他、医薬、化粧品、飼料などとしても用いることができる。

本発明のテストステロン分泌促進剤が医薬の形態である場合（例えば、医薬組成物である場合）は、カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物と共に必要に応じて薬学的に許容可能な賦形剤を組み合わせることができる。

本発明は、カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物の使用も包含する。すなわち、本発明は、前記テストステロン分泌促進剤を製造するためのカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物の使用（又は使用方法）を包含する。

また、本発明はカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を投与する方法を包含する。すなわち、本発明は、テストステロン分泌促進が必要な対象にカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を投与する方法を包含する。斯かる方法におけるカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物は、本発明のテストステロン分泌促進剤に含まれるカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物と同様である。テストステロン分泌促進が必要な対象は、ヒト又はヒト以外の動物である。

また、本発明はテストステロン分泌促進における使用のためのカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を包含する。斯かるカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物は、本発明のテストステロン分泌促進剤に含まれるカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物と同様である。

本開示に包含される発明を特定するにあたり、本開示の各実施形態で説明した各構成（性質、構造、機能等）は、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各構成のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。

以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。

（実施例１）
カイコ蛹を宿主として得られるハナサナギタケ（カイコハナサナギタケ）を凍結乾燥し、ミキサーで粉砕することによりカイコハナサナギタケ粉末を得た。得られたカイコハナサナギタケ粉末２００ｍｇをハードカプセルへ充填することで、テストステロン分泌促進剤サンプルとして調製した。

（試験例）
テストステロン濃度の測定は、スクリーニングにより選定した被験者２０名（男性１４人、女性６人）の唾液採取により、ホルモンテスティング合同会社所有の検査キット（ＨＰテスティング）を用いて測定した。本検査は、唾液検体から遊離テストステロンの濃度を測定するものであり、血液中濃度と相関があることが知られた検査法である。試験デザインは、非盲検非対称試験（プラセボ設定なし）とした。まず、テストステロン分泌促進剤の摂取前のテストステロン濃度を記録し、その後、翌週から４週間にわたって、被験者に実施例１で得られたサンプルを一日２回摂取させ、１回あたりの摂取では４カプセル（カイコハナサナギタケ粉末として１日摂取量１，６００ｍｇ）とした。摂取開始から２週目及び４週目の各被験者のテストステロン濃度を測定し、テストステロン分泌促進について評価した。具体的には、摂取を開始する前（０週目）は、月曜日、水曜日及び金曜日の計３回テストステロン濃度を測定し、その後、最初の月曜日に摂取を開始し（１週目）、次の月曜日、水曜日及び金曜日の計３回テストステロン濃度を測定して平均値を算出し、摂取開始２週目の測定値とした。次いで、３週目は測定をせず、４週目の月曜日、水曜日及び金曜日の計３回テストステロン濃度を測定して平均値を算出し、摂取開始４週目の測定値とした。

図１は、男性の被験者の摂取後のテストステロン濃度変化（図１（ａ））及び女性の被験者の摂取後のテストステロン濃度変化（図１（ｂ））を示している。なお、図１において、縦軸はテストステロン濃度であり、「ｂａｓｅ」は、テストステロン分泌促進剤の摂取前のテストステロン濃度を意味する。

図２は、年代別のテストステロン濃度変化であって、（ａ）は男性、（ｂ）は女性の年代別のテストステロン濃度変化を示すグラフである。なお、図２のグラフでは、横軸の各年代における３つの棒グラフは左から順に摂取前、摂取開始から２週目、摂取開始から４週目のテストステロン濃度を示している。

図１及び図２の結果から、カイコハナサナギタケ抽出物を含むテストステロン分泌促進剤にはテストステロン値を上昇させる作用が存在することが確認された。３０代から７０代までの各年代のテストステロン値の平均値（２０名ないし１０名のデータをランダムに抽出して平均値を算出）が男性で１１６（３０代）、１０１（４０代）、９２（５０代）、６１（７０代）、女性で２９（４０代）、３１（５０代）、１８（６０代）であることを考えれば、カイコハナサナギタケ抽出物を含むテストステロン分泌促進剤は、テストステロン値を上昇させる作用が有意に見られた。

以上の結果は、本発明のテストステロン分泌促進剤は、テストステロン値の上昇又はテストステロン値の維持をもたらすことができることを支持している。

Claims (4)

1. カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を含む、テストステロン分泌促進剤。
2. 飲食品組成物の形態である、請求項１に記載のテストステロン分泌促進剤。
3. 栄養補助食品組成物の形態である、請求項１に記載のテストステロン分泌促進剤。
4. 食品添加剤の形態である、請求項１に記載のテストステロン分泌促進剤。

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