JP2024000504A - Hmgb1の発現制御剤;急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬、あるいはそれらの改善方法 - Google Patents

Hmgb1の発現制御剤;急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬、あるいはそれらの改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微小粒子由来のmiRNAを用いてHMGB1の発現制御をできる、新規なHMGB1の発現制御剤の提供。【解決手段】HMGB1の発現制御剤であって、発現制御剤が微小粒子を含み、微小粒子がHMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含む、HMGB1の発現制御剤;急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬;および急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の改善方法【選択図】図1

Description

本発明は、HMGB1の発現制御剤;急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬;および急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の改善方法に関する。
HMGB1(High-Mobility Group Box 1)タンパク質は、全ての有核細胞の壊死に際して、また樹状細胞、マクロファージなどからは生細胞活の常態の性化によって細胞外に放出される。HMGB1は通常ではほとんどが核内に蓄積しているが、細胞がリポ多糖刺激を受けたりバクテリアの感染を受けたりすると細胞質内に放出され、炎症応答や感染に際しては細胞外にまで放出される。
マイクロRNA(miRNA)の研究が進み、HMGB1に関与するmiRNAの機能や対象遺伝子がわかってきている(非特許文献1~2参照)。
非特許文献1には、miR-142-3pがHMGB1を介したNF-kBシグナル伝達経路を阻害することにより、変形性関節症における軟骨細胞のアポトーシスと炎症を阻害することが記載されている。
非特許文献2には、miR-22-3pの発現はヒト閉塞性動脈硬化症(ASO)組織におけるHMGB1の発現と負の相関があること、miR-22-3pがHMGB1を標的としてヒト動脈血管平滑筋細胞(HASMC)の増殖と移動を調節する重要な分子であり、miR-22-3pとHMGB1がヒト閉塞性動脈硬化症(ASO)の治療における治療標的となることが記載されている。
ここで、HMGB1は、急性肺損傷や敗血症に関与することが知られている。例えば、非特許文献3には、HMGB1は敗血症、悪性腫瘍、および免疫疾患に関連する後期炎症性メディエーターであることや、HMGB1とオートファジーが急性肺損傷(ALI)を含む多くの肺疾患の病因に関与していることが記載されている。
一方、単離されたエクソソームが急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)または敗血症に関与することが知られている。例えば、特許文献1には、単離されたエクソソームであって、(i)ALIX、TSG101、TGFBR2、SMAD1、SMAD2、SMAD3、SMAD5およびCD105からなる群から選択される1個以上のマーカーを含み;および/または(ii)FLOT1、CD9、CD81、CAV1、EGFR、AKT1およびAKT2からなる群から選択される1個以上のマーカーを含まない、単離されたエクソソームが記載されている。
特開2021-020908号公報
inflammation, (2016) 39, 1718-1728 Cell. Physiol. Biochem., (2017) 42, 2492-2506 Med Sci Monit, (2019) 25: 1828-1837
特許文献1には、HMGB1について記載がなかった。
非特許文献1~2にはHMGB1の血管炎に関連するmiRNAの機能や対象遺伝子などが記載されているものの、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の治療薬としてこれらのmiRNAを投与することについて記載がなかった。
非特許文献3にはHMGB1と急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の関連性が記載されているものの、微小粒子やmiRNAとの関係について記載がなかった。
本発明が解決しようとする課題は、微小粒子由来のmiRNAを用いてHMGB1の発現制御をできる、新規なHMGB1の発現制御剤を提供することである。
本発明者らは、特定のマイクロRNAを含む微小粒子が、HMGB1タンパク質および/またはHMGB1遺伝子(Hmgb1)の発現を制御(抑制や阻害など)できることを見出した。
具体的に、本発明および本発明の好ましい構成は、以下のとおりである。
[1] HMGB1の発現制御剤であって、
発現制御剤が微小粒子を含み、
微小粒子がHMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含む、
HMGB1の発現制御剤。
[2] 微小粒子がエクソソームである、[1]に記載のHMGB1の発現制御剤。
[3] HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAが下記HMGB1関連miRNA群のうち少なくとも1種類を含む、[1]に記載のHMGB1の発現制御剤。
HMGB1関連miRNA群:
hsa-let-7b-5p、hsa-let-7e-5p、hsa-let-7g-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-103a-3p、hsa-miR-106b-5p、hsa-miR-107、hsa-miR-1179、hsa-miR-1183、hsa-miR-1236-3p、hsa-miR-1237-3p、hsa-miR-1247-3p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-1304-3p、hsa-miR-1307-3p、hsa-miR-141-3p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-142-5p、hsa-miR-145-5p、hsa-miR-148a-3p、hsa-miR-148b-3p、hsa-miR-150-5p、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-181d-5p、hsa-miR-186-3p、hsa-miR-186-5p、hsa-miR-18a-3p、hsa-miR-1913、hsa-miR-193b-3p、hsa-miR-1976、hsa-miR-204-5p、hsa-miR-205-5p、hsa-miR-206、hsa-miR-20a-5p、hsa-miR-20b-5p、hsa-miR-211-5p、hsa-miR-212-5p、hsa-miR-218-5p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-26b-5p、hsa-miR-300、hsa-miR-302c-3p、hsa-miR-324-3p、hsa-miR-328-3p、hsa-miR-329-3p、hsa-miR-340-5p、hsa-miR-34a-5p、hsa-miR-362-3p、hsa-miR-373-3p、hsa-miR-381-3p、hsa-miR-410-3p、hsa-miR-4275、hsa-miR-4284、hsa-miR-4324、hsa-miR-4460、hsa-miR-4532、hsa-miR-4638-5p、hsa-miR-4673、hsa-miR-4691-5p、hsa-miR-4707-3p、hsa-miR-4727-3p、hsa-miR-4793-5p、hsa-miR-495-3p、hsa-miR-505-3p、hsa-miR-512-3p、hsa-miR-5193、hsa-miR-5196-3p、hsa-miR-520a-3p、hsa-miR-520d-3p、hsa-miR-520h、hsa-miR-539-3p、hsa-miR-582-5p、hsa-miR-652-3p、hsa-miR-660-3p、hsa-miR-665、hsa-miR-92a-3p、hsa-miR-93-5p。
[4] HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAがhsa-let-7b-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-34a-5pおよびhsa-miR-92a-3pのうち少なくとも1種類を含む、[1]に記載のHMGB1の発現制御剤。
[5] HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAがhsa-let-7b-5pを少なくとも含む、[1]に記載のHMGB1の発現制御剤。
[6] 微小粒子が、歯髄由来幹細胞の培養上清よりも高い濃度で、HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含む、[1]に記載のHMGB1の発現制御剤。
[7] 微小粒子が歯髄由来幹細胞の培養上清から精製されて単離された微小粒子であり、
微小粒子が、歯髄由来幹細胞の培養上清からエクソソームを除いた成分を含まない、[1]に記載のHMGB1の発現制御剤。
[8] [1]に記載のHMGB1の発現制御剤を有効成分とする、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬。
[9] 有効量の[1]に記載のHMGB1の発現制御剤、あるいは有効量の[8]に記載の急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬を、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症を発症した対象に投与することを含む、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の改善方法。
本発明によれば、微小粒子由来のmiRNAを用いてHMGB1の発現制御をできる、新規なHMGB1の発現制御剤を提供することができる。
図1は、HMGB1の発現に関する遺伝子をtargetとする歯髄由来幹細胞の培養上清から精製したエクソソーム(実施例1のHMGB1の発現制御剤)に発現するmiRNAの発現量を示したヒートマップである。 図2は、各例で定量されたHMGB1遺伝子発現量のグラフである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[HMGB1の発現制御剤]
本発明のHMGB1の発現制御剤は、HMGB1の発現制御剤であって、発現制御剤が微小粒子を含み、微小粒子がHMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含む。
本発明のHMGB1の発現制御剤は、微小粒子由来のmiRNAを用いてHMGB1の発現制御をできる。その結果、本発明のHMGB1の発現制御剤は、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症を改善できることが好ましく、予防または治療できることがより好ましい。
以下、本発明のHMGB1の発現制御剤の好ましい態様を説明する。
<急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群、敗血症>
急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、敗血症や肺炎などの経過中や、誤嚥や多発外傷(体の複数の箇所に損傷を受けた状態)などの後に、急に息切れや呼吸困難が出現し、胸部のエックス線写真で左右の肺に(浸潤)影がみられる病態を言う。動脈血液中の酸素分圧が低下し(低酸素血症)、その程度に応じて、急性肺損傷または急性呼吸窮迫症候群と呼ばれる。
敗血症は、ウイルスや細菌の感染などにより、血液中に細菌などが入って増殖する状態であり、臓器障害が進行して死に至る可能性もある疾患である。敗血症の有効性の高い治療法は、まだ確立していない。
<微小粒子>
本発明のHMGB1の発現制御剤は、微小粒子を含む。
本発明では、微小粒子がHMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含む。
微小粒子は、例えば、歯髄由来幹細胞等の間葉系幹細胞からの分泌、出芽または分散などにより、歯髄由来幹細胞等から導き出され、細胞培養培地に浸出、放出または脱落するものである。微小粒子は、歯髄由来幹細胞等の培養上清に含まれることが好ましく、歯髄由来幹細胞の培養上清に由来する微小粒子であることがより好ましい。ただし、歯髄由来幹細胞の培養上清に由来する微小粒子は、必ずしも歯髄由来幹細胞の培養上清から取得する必要がない。例えば、歯髄由来幹細胞の内部の微小粒子を任意の方法で単離したものであっても、歯髄由来幹細胞の培養上清から単離できる微小粒子と同じものであれば、歯髄由来幹細胞の培養上清に由来する微小粒子と言える。
歯髄由来幹細胞等の培養上清に由来する微小粒子は、培養上清に含まれた状態で用いてもよく、または培養上清から精製した状態で用いてもよい。微小粒子が培養上清から精製された微小粒子であることが好ましい。
微小粒子の由来は、公知の方法で判別することができる。例えば、微小粒子は、J Stem Cell Res Ther (2018) 8:2に記載の方法で、歯髄由来幹細胞、脂肪由来幹細胞、骨髄由来幹細胞、臍帯由来幹細胞などのいずれの幹細胞に由来するか判別することができる。具体的には、微小粒子のmiRNAパターンに基づいて、それぞれの微小粒子の由来を判別することができる。
(miRNA)
本発明では、微小粒子がHMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含む。
本発明において、miRNA(MicroRNAs)は、例えば21~25塩基(ヌクレオチド)のRNA分子である。miRNAは、標的遺伝子(target;ターゲット)mRNAの分解または解読段階における抑制により遺伝子発現を調節できる。
本発明において、miRNAとは、例えば、一本鎖(一量体)でもよいし、二本鎖(二量体)であってもよい。また、本発明において、miRNAは、Dicer等のリボヌクレアーゼにより切断された成熟型miRNAが好ましい。
なお、hsa-let-7b-5pなどの本明細書に記載のmiRNAの配列は公知のデータベース(例えば、miRBase database)にアクセッション番号と関連づけられて登録されており、当業者であれば配列を一義的に定めることができる。例えば、hsa-let-7b-5pのアクセッション番号はMIMAT0000063であり、miRBase databaseに配列が登録されている。以下、各miRNAのアクセッション番号は省略する。
ただし、本明細書におけるmiRNAは、hsa-let-7b-5pなどの成熟型miRNAに対して1~5個程度の塩基が異なるバリアントも含む。また、本明細書における各miRNAは、各miRNA(例えばhsa-let-7b-5p)の塩基配列と同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド、または、それらの相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、本発明におけるmiRNAの機能を有するポリヌクレオチドを含む。「同一性」とは、比較する配列同士を適切にアライメントしたときの同一の程度であり、前記配列間のアミノ酸の正確な一致の出現率(%)を意味する。アライメントは、例えば、BLAST等の任意のアルゴリズムの利用により行うことができる。同一性は、例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または約99%である。同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドは、例えば、miRNAの塩基配列において、点変異、欠失および/または付加を有してもよい。前記点変異等の塩基数は、例えば、1~5個、1~3個、1~2個、または1個である。また、相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドは、例えば、miRNAの塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、本発明におけるmiRNAの機能を有するポリヌクレオチドを含む。ストリンジェントな条件としては、特に限定されないが、例えば、特開2017-184642号公報の[0028]に記載の条件を挙げることができ、この公報の内容は参照して本明細書に組み込まれる。
本発明では、微小粒子が、歯髄由来幹細胞の培養上清よりも高い濃度で、HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含むことが好ましい。以下、微小粒子が含むmiRNAの好ましい態様を説明する。
-HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNA-
HMGB1は、全ての有核細胞の壊死に際して、また樹状細胞、マクロファージなどからは生細胞活の常態の性化によって細胞外に放出される。細胞外に遊離したHMGB1は局所的、一過性の場合には自然免疫、止血など生体防御的な反応を誘導し、また修復にも重要な役割を果たしているものと考えられる。しかし、HMGB1が全身的に作用すると、ショックや播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)のメディエーターとなる。
HMGB1は主に核内に存在し、クロマチンの構造の安定化、遺伝子の転写反応に役割を担うタンパク質として同定されていた。HMGB1の一部が細胞質内にも存在し、細胞外から取りこまれた核酸の認識やオートファジーの誘導に関与している。さらに、HMGB1はリポ多糖などの炎症性刺激によって、または細胞死に伴って、核内から細胞外にまで放出される。特に、細胞外に放出されたHMGB1は、Toll様受容体を始めとする自然免疫受容体によって認識されることから、敗血症や自己免疫疾患、虚血性再還流や臓器移植の際の炎症に関与する。実際、HMGB1中和抗体の投与はこれらの疾患病態を軽減できる。細胞質内のHMGB1がリポ多糖誘導性(LPS)により誘導された敗血症およびリステリア菌感染症の抑制に重要である(PNAS (2013) vol. 110、 no. 51、 20699-20704)。
ここで、miR-142-3pがHMGB1を介したNF-kBシグナル伝達経路を阻害することにより、変形性関節症における軟骨細胞のアポトーシスと炎症を阻害する(inflammation, (2016) 39, 1718-1728)。
miR-22-3pの発現はヒト閉塞性動脈硬化症(ASO)組織におけるHMGB1の発現と負の相関がある。miR-22-3pがHMGB1を標的としてヒト動脈血管平滑筋細胞(HASMC)の増殖と移動を調節する重要な分子であり、miR-22-3pとHMGB1がヒト閉塞性動脈硬化症(ASO)の治療における治療標的となる(Cell. Physiol. Biochem., (2017) 42, 2492-2506)。
炎症性メディエーターであるHMGB1は、miR-129-5pの直接の標的である。miR-129-5pがHMGB1//TLR4/NF-κB経路を介してアポトーシスと炎症反応を抑制する(Biosci Rep. (2020) 40 (3))。
一方、非特許文献3(Med Sci Monit, (2019) 25: 1828-1837)には、HMGB1は敗血症、悪性腫瘍、および免疫疾患に関連する後期炎症性メディエーターであることや、HMGB1とオートファジーが急性肺損傷(ALI)を含む多くの肺疾患の病因に関与していることが記載されている。そのため、HMGB1の発現阻害剤は、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群の予防薬または治療薬として用いることができる。
敗血症は、病原体が体内に侵入し、全身に炎症が引き起こされることで始まる。この炎症反応には「糖化したタンパク質であるAGEがはまり込む鍵穴(RAGE:レイジ)」が関わる。病原体の侵入は、HMGB1の産生を引き起こし、RAGEを刺激することで敗血症が進展する。すなわち、病原体やウイルスに感染すると、体内で生産されたHMGB1が鍵穴(RAGE)に結合し、敗血症を発症する。RAGEアプタマーという物質は、RAGEに蓋をすることで鍵穴を塞ぎ、RAGEに蓋をしてHMGB1とRAGEとの結合を阻害することで、動物の敗血症による死亡を抑制することができる(Oxidative Medicine and Cellular Longevity、(2021) Article ID 9932311)。
HMGB1の放出を血漿Histidine-rich glycoprotein (HRG)は強く抑え、過剰な炎症性サイトカイン類の産生を抑制する。HRGの血管内皮細胞保護作用は敗血症治療法の開発につながる(J.isci.(2020) Volume 23, Issue 6, 101180)。
そのため、HMGB1の発現阻害剤は、敗血症の予防薬または治療薬として用いることができる。
以上より、HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNA(下記HMGB1関連miRNA群)は、血管炎の治療薬としても有効であるため、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬としても有効となる。
HMGB1関連miRNA群:
hsa-let-7b-5p、hsa-let-7e-5p、hsa-let-7g-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-103a-3p、hsa-miR-106b-5p、hsa-miR-107、hsa-miR-1179、hsa-miR-1183、hsa-miR-1236-3p、hsa-miR-1237-3p、hsa-miR-1247-3p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-1304-3p、hsa-miR-1307-3p、hsa-miR-141-3p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-142-5p、hsa-miR-145-5p、hsa-miR-148a-3p、hsa-miR-148b-3p、hsa-miR-150-5p、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-181d-5p、hsa-miR-186-3p、hsa-miR-186-5p、hsa-miR-18a-3p、hsa-miR-1913、hsa-miR-193b-3p、hsa-miR-1976、hsa-miR-204-5p、hsa-miR-205-5p、hsa-miR-206、hsa-miR-20a-5p、hsa-miR-20b-5p、hsa-miR-211-5p、hsa-miR-212-5p、hsa-miR-218-5p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-26b-5p、hsa-miR-300、hsa-miR-302c-3p、hsa-miR-324-3p、hsa-miR-328-3p、hsa-miR-329-3p、hsa-miR-340-5p、hsa-miR-34a-5p、hsa-miR-362-3p、hsa-miR-373-3p、hsa-miR-381-3p、hsa-miR-410-3p、hsa-miR-4275、hsa-miR-4284、hsa-miR-4324、hsa-miR-4460、hsa-miR-4532、hsa-miR-4638-5p、hsa-miR-4673、hsa-miR-4691-5p、hsa-miR-4707-3p、hsa-miR-4727-3p、hsa-miR-4793-5p、hsa-miR-495-3p、hsa-miR-505-3p、hsa-miR-512-3p、hsa-miR-5193、hsa-miR-5196-3p、hsa-miR-520a-3p、hsa-miR-520d-3p、hsa-miR-520h、hsa-miR-539-3p、hsa-miR-582-5p、hsa-miR-652-3p、hsa-miR-660-3p、hsa-miR-665、hsa-miR-92a-3p、hsa-miR-93-5p。
HMGB1関連miRNA群のうち、上記したmiR-142-3p、miR-22-3pおよびhsa-miR-129-5p以外にも、以下の特定のmiRNAが血管炎の改善をできることが知られているため、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬としても有効となる。
(1-1)hsa-let-7b-5p関連
let-7aおよびlet-7bを過剰発現させると、oxLDLによる内皮細胞のアポトーシス、NO欠乏、活性酸素過剰生成、LOX-1の発現上昇、内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)のダウンレギュレーションを抑制する。let-7aおよびlet-7bは酸化低密度リポタンパク質による内皮細胞傷害に対する保護作用がある(Plos one (2014) 9, (9): e106540)。
分泌されたエクソソームmiR(miR-210, miR-23a-3p, miR-424, let-7f, miR-30b, miR-30c, miR-126, miR-21, miR-132, miR-130a-3p, miR-214, miR-378, miR-126, miR-133 , let-7b-5pは、心臓の血管新生と血管再生を誘導し、虚血心筋への血流量を増加させることにより、心筋虚血から保護する(Heart Failure Revies, (2021) 26 (1), 205-213)。
(1-2)hsa-miR-100-5p関連
hucMSC-exoに濃縮されたmiR-100-5pは、FOXO3発現を抑制してNLRP3インフラマソームの活性化を抑制し、サイトカイン放出を抑制したため、心筋細胞をH/R誘発パイロプシスおよび損傷から保護することができた(Front. Bioeng. Biotechnol. (2021) 8. 615850)。
miR-100-5pはFZD5を標的として、その発現を負に制御する。hUCMSC-Ex-miR-100-5pは好酸球のFZD5を制御することにより細胞増殖および炎症反応を抑制した。hUCMSC-Ex-miR-100-5pは好酸球のWnt/β-カテニン経路を介した細胞増殖と炎症反応を抑制した。hUCMSC-Ex-miR-100-5pは、マウスの動脈硬化性プラーク面積と炎症を減少させた(Acta. Biochim. Biophys. sin. (2021) 53 (9): 1166-1176)。
(1-3)hsa-miR-92a-3p関連
miR-92a-3pはSIRT6を標的とする。miR-92a-3pをノックダウンするとSIRT6の発現が促進されるとともにMAPKシグナル伝達経路が不活性化される。miR-92a-3pはSIRT6/MAPKシグナル伝達経路を調節することによりox-LDLによるHUVECsのアポトーシスを促進する(Brazilian Journal of Medical and Biological Research (2021) 54 (3): e9386)。
プロアテローム刺激により、再生可能なシグナルを運ぶメッセンジャーとしてmiR-92a-3pを含むEMVの放出が促され、それが血中のさらに下流の標的細胞に取り込まれて血管新生を促進することが、血管損傷の状況下で推測される(Circ. Res. (2019);124: 575-587)。
内皮細胞でmiR-92aを強制的に過剰発現させると、in vitroおよびin vivoで血管新生が阻害された。四肢虚血や心筋梗塞のマウスモデルでは、miR-92aを阻害するように設計されたアンチゴミアを全身投与することで、血管の成長が促進され、損傷した組織の機能回復につながった(Science (2009) 324 (5935): 1710-1713)。
miR-92aを阻害すると、in vitroでの内皮増殖および遊走が増加し、in vivoでの血管損傷後の新生内膜増殖が抑制される(Basic Res. Cardiol. (2012) 107: 296)。
(1-4)hsa-miR-34a-5p関連
miR-34aはSirt1を阻害することによって老化を誘導し、EPC(内皮前駆細胞)による血管新生を阻害する(Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab. (2010) 299: E110-E116)。
miR-34aを阻害することで、加齢による心筋細胞死と機能低下をin vivoで抑制する。miR-34aは急性心筋梗塞後に誘導され、その阻害は急性心筋梗塞後の心筋収縮力の回復を促進する(Nature (2013) 495, 107-110)。
本発明において、微小粒子がHMGB1の発現に関する遺伝子(好ましくは、HMGB1遺伝子)を標的遺伝子とするmiRNAを含む場合、好ましくはHMGB1の発現に関する遺伝子の発現制御剤として機能する。微小粒子は、HMGB1の発現抑制剤であることがより好ましい。
この場合、本発明では、微小粒子がhsa-let-7b-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-34a-5pおよびhsa-miR-92a-3pのうち少なくとも1種類を含むことが好ましく、hsa-let-7b-5pを少なくとも含むことがより好ましく、hsa-let-7b-5p、hsa-miR-100-5pおよびhsa-miR-92a-3pを含むことが特に好ましく、hsa-let-7b-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-34a-5pおよびhsa-miR-92a-3pをすべて含むことがより特に好ましい。
微小粒子はHMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAのうち少なくとも1種類を、IMOTAを用いた解析で得られるリードカウント数のLog2Ratioとして、2.0以上含むことが好ましく、4.0以上含むことがより好ましく、6.0以上含むことが特に好ましい。微小粒子は、IMOTAを用いた解析で得られるリードカウント数のLog2Ratioとして、hsa-let-7b-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-34a-5pおよびhsa-miR-92a-3pをそれぞれ独立に4.0以上含むことが好ましく、10.0以上含むことがより好ましく、12.0以上含むことが特に好ましく、15.0以上含むことがより特に好ましい。hsa-let-7b-5p、hsa-miR-100-5pおよびhsa-miR-92a-3pをいずれも12.0以上含むことがより好ましい。
微小粒子は、脂肪由来幹細胞の培養上清から得られるエクソソームまたは臍帯由来幹細胞の培養上清から得られるエクソソームと比較して、hsa-let-7b-5pの発現量が1.1倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましく、2倍以上であることが特に好ましい。
HMGB1の発現抑制剤は、任意の細胞内におけるHMGB1の遺伝子の発現を通常の(未処理の細胞の場合の)0.8倍以下に抑制できることが好ましく、0.6倍以下に抑制できることがより好ましく、0.55倍以下に抑制できることが特に好ましい。
(miRNAの種類)
ここで、歯髄由来幹細胞の培養上清に由来する微小粒子には、約2600種類のsmall RNAが含まれる。このうちの約1800種類がmiRNAである。これらのmiRNAのうち、含有量が多いmiRNAは180~200種類である。歯髄由来幹細胞に由来する微小粒子における含有量が多いmiRNAは、脳神経疾患や血管炎に治療に関連するマイクロRNAが多い点が特徴であり、従来知られておらず、本発明者が新たに見出した知見である。この特徴は、その他の間葉系幹細胞の微小粒子における含有量が多いmiRNAの種類とは大きく異なる。例えば、脂肪由来幹細胞の微小粒子や臍帯由来幹細胞の微小粒子における含有量が多いmiRNAには、脳神経疾患や血管炎に治療に関連するマイクロRNAはほとんど含まれない。
微小粒子は、HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAとして2種類以上を含むことが好ましく、10種類以上を含むことがより好ましく、30種類以上を含むことがより好ましく、50種類以上を含むことが特に好ましく、100種類以上を含むことがより特に好ましい。
(微小粒子の種類)
微小粒子は、エクソソーム(exosome)、微小胞、膜粒子、膜小胞、エクトソーム(Ectosome)およびエキソベシクル(exovesicle)、またはマイクロベシクル(microvesicle)からなる群から選択される少なくとも1種類であることが好ましく、エクソソームであることがより好ましい。
微小粒子の直径は、10~1000nmであることが好ましく、30~500nmであることがより好ましく、50~150nmであることが特に好ましい。
また、微小粒子の表面には、CD9、CD63、CD81などのテトラスパニンという分子が存在することが望ましく、それはCD9単独、CD63単独、CD81単独でもよく、あるいはそれらの2つないしは3つのどの組み合わせでも良い。
以下、微小粒子として、エクソソームを用いる場合の好ましい態様を説明することがあるが、本発明に用いられる微小粒子はエクソソームに限定されない。
エクソソームは、原形質膜との多胞体の融合時に細胞から放出される細胞外小胞であることが好ましい。
エクソソームの表面は、歯髄由来幹細胞の細胞膜由来の脂質およびタンパク質を含むことが好ましい。
エクソソームの内部には、核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)およびタンパク質など歯髄由来幹細胞の細胞内の物質を含むことが好ましい。
エクソソームは、ある細胞から別の細胞への遺伝情報の輸送による、細胞と細胞とのコミュニケーションのために使用されることが知られている。エクソソームは、容易に追跡可能であり、特異的な領域に標的化され得る。
(微小粒子の含有量)
微小粒子組成物における、微小粒子の含有量は特に制限はない。微小粒子組成物は、微小粒子を0.5×10個以上含むことが好ましく、1.0×10個以上含むことがより好ましく、2.0×10個以上含むことが特に好ましく、2.5×10個以上含むことがより特に好ましく、1.0×10個以上含むことがさらにより特に好ましい。
また、微小粒子組成物における、微小粒子の含有濃度は特に制限はない。微小粒子組成物は、微小粒子を1.0×10個/mL以上含むことが好ましく、2.0×10個/mL以上含むことがより好ましく、4.0×10個/mL以上含むことが特に好ましく、5.0×10個/mL以上含むことがより特に好ましく、2.0×10個/mL以上含むことがさらにより特に好ましい。
本発明のHMGB1の発現制御剤の好ましい態様は、微小粒子をこのように多量または高濃度で含むことにより、HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAの量を高く維持できる。
<その他の成分>
微小粒子組成物は、微小粒子の他に、投与する対象の動物の種類や目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、栄養成分、抗生物質、サイトカイン、保護剤、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤などを挙げられる。
栄養成分としては、例えば、脂肪酸等、ビタミン等を挙げることができる。
抗生物質としては、例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン等が挙げられる。
担体としては、薬学的に許容可能な担体として公知の材料を挙げることができる。
微小粒子組成物は、歯髄由来幹細胞の培養上清それ自体または微小粒子それ自体であってもよく、薬学的に許容可能な担体や賦形剤などをさらに含む医薬組成物であってもよい。医薬組成物の目的は、投与対象への微小粒子の投与を促進することである。
薬学的に許容可能な担体は、投与対象に対して顕著な刺激性を引き起こさず、投与される化合物の生物学的活性および特性を抑止しない担体(希釈剤を含む)であることが好ましい。担体の例は、プロピレングリコール;(生理)食塩水;エマルション;緩衝液;培地、例えばDMEMまたはRPMIなど;フリーラジカルを除去する成分を含有する低温保存培地である。
微小粒子組成物は、従来公知の急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の治療薬の有効成分を含んでいてもよい。当業者であれば用途や投与対象などにあわせて適切に変更することができる。
一方、微小粒子組成物は、所定の物質を含まないことが好ましい。
例えば、微小粒子組成物は、歯髄由来幹細胞を含まないことが好ましい。
また、微小粒子組成物は、MCP-1を含まないことが好ましい。ただし、MCP-1以外のサイトカインを含んでいてもよい。その他のサイトカインとしては、特開2018-023343号公報の[0014]~[0020]に記載のもの等が挙げられる。
また、微小粒子組成物は、シグレック9を含まないことが好ましい。ただし、シグレック9以外のその他のシアル酸結合免疫グロブリン様レクチンを含んでいてもよい。
なお、微小粒子組成物は、血清(ウシ胎仔血清、ヒト血清、羊血清等)を実質的に含まないことが好ましい。また、微小粒子組成物は、Knockout serum replacement(KSR)などの従来の血清代替物を実質的に含まないことが好ましい。
微小粒子組成物は、上記したその他の成分の含有量(固形分量)がいずれも1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましい。
<微小粒子の製造方法>
微小粒子の製造方法は、特に制限はない。
歯髄由来幹細胞等の培養上清を調製し、続けて歯髄由来幹細胞の培養上清から微小粒子を精製して、本発明のHMGB1の発現制御剤を調製してもよい。あるいは、商業的に購入して入手した歯髄由来幹細胞の培養上清から微小粒子を精製して、本発明のHMGB1の発現制御剤を調製してもよい。さらには、廃棄処理されていた歯髄由来幹細胞の培養上清を含む組成物を譲り受けて(またはその組成物を適宜精製して)、そこから微小粒子を精製して、本発明のHMGB1の発現制御剤を調製してもよい。
(歯髄由来幹細胞等の培養上清の調製方法)
歯髄由来幹細胞等の培養上清は、特に制限はない。
歯髄由来幹細胞等の培養上清は、血清を実質的に含まないことが好ましい。例えば、歯髄由来幹細胞等の培養上清は、血清の含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましい。
歯髄由来幹細胞は、ヒト由来であっても、ヒト以外の動物由来であってもよい。ヒト以外の動物としては、後述する本発明のHMGB1の発現制御剤を投与する対象の動物(生物種)と同様のものを挙げることができ、哺乳動物が好ましい。
培養上清に用いられる歯髄由来幹細胞としては、特に制限はない。脱落乳歯歯髄幹細胞(stem cells from exfoliated deciduous teeth)や、その他の方法で入手される乳歯歯髄幹細胞や、永久歯歯髄幹細胞(dental pulp stem cells;DPSC)を用いることができる。ヒト乳歯歯髄幹細胞やヒト永久歯歯髄幹細胞の他、ブタ乳歯歯髄幹細胞などのヒト以外の動物由来の歯髄由来幹細胞を用いることができる。
歯髄由来幹細胞は、エクソソームに加え、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)-1および-3、TGF-α、KGF、HBEGF、SPARC、その他の成長因子、ケモカイン等の種々のサイトカインを産生し得る。また、その他の多くの生理活性物質を産生し得る。
本発明では、歯髄由来幹細胞の培養上清に用いられる歯髄由来幹細胞が、多くのタンパク質が含まれる歯髄由来幹細胞であることが特に好ましく、乳歯歯髄幹細胞を用いることが好ましい。すなわち、本発明では、乳歯歯髄幹細胞の培養上清を用いることが好ましい。
本発明に用いられる歯髄由来幹細胞は、目的の処置を達成することができれば、天然のものであってもよく、遺伝子改変したものであってもよい。
特に本発明では、歯髄由来幹細胞の不死化幹細胞を用いることができる。実質的に無限増殖が可能な不死化幹細胞を用いることで、幹細胞の培養上清中に含まれる生体因子の量と組成を、長期間にわたって安定させることができる。歯髄由来幹細胞の不死化幹細胞としては、特に制限はない。不死化幹細胞は、癌化していない不死化幹細胞であることが好ましい。歯髄由来幹細胞の不死化幹細胞は、歯髄由来幹細胞に、以下の低分子化合物(阻害剤)を単独または組み合わせて添加して培養することにより、調製することができる。
TGFβ受容体阻害薬としては、トランスフォーミング増殖因子(TGF)β受容体の機能を阻害する作用を有するものであれば特に限定されることはなく、例えば、2-(5-ベンゾ[1,3]ジオキソール-4-イル-2-tert-ブチル-1H-イミダゾール-4-イル)-6-メチルピリジン、3-(6-メチルピリジン-2-イル)-4-(4-キノリル)-1-フェニルチオカルバモイル-1H-ピラゾール(A-83-01)、2-[(5-クロロ-2-フルオロフェニル)プテリジン-4-イル]ピリジン-4-イルアミン(SD-208)、3-[(ピリジン-2-イル)-4-(4-キノニル)]-1H-ピラゾール、2-(3-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1,5-ナフチリジン(以上、メルク社)、SB431542(シグマアルドリッチ社)などが挙げられる。好ましくはA-83-01が挙げられる。
ROCK阻害薬としては、Rho結合キナーゼの機能を阻害する作用を有するものであれば特に限定されない。ROCK阻害薬としては、例えば、GSK269962A(Axonmedchem社)、Fasudil hydrochloride(Tocris Bioscience社)、Y-27632、H-1152(以上、富士フイルム和光純薬株式会社)などが挙げられる。好ましくはY-27632が挙げられる。
GSK3阻害薬としては、GSK-3(Glycogen synthase kinase 3,グリコーゲン合成酵素3)を阻害するものであれば特に限定されることはなく、A 1070722、BIO、BIO-acetoxime(以上、TOCRIS社)などが挙げられる。
MEK阻害薬としては、MEK(MAP kinase-ERK kinase)の機能を阻害する作用を有するものであれば特に限定されることはなく、例えば、AZD6244、CI-1040(PD184352)、PD0325901、RDEA119(BAY86-9766)、SL327、U0126-EtOH(以上、Selleck社)、PD98059、U0124、U0125(以上、コスモ・バイオ株式会社)などが挙げられる。
本発明のHMGB1の発現制御剤を再生医療に用いる場合、再生医療等安全性確保法の要請から、歯髄由来幹細胞またはこれらの不死化幹細胞の培養上清や、それに由来する微小粒子を含む組成物は、歯髄由来幹細胞等以外のその他の体性幹細胞を含有しない態様とする。微小粒子組成物は、歯髄由来幹細胞等以外の間葉系幹細胞やその他の体性幹細胞を含有していてもよいが、含有しないことが好ましい。
間葉系幹細胞以外のその他の体性幹細胞の例としては、真皮系、消化系、骨髄系、神経系等に由来する幹細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。真皮系の体性幹細胞の例としては、上皮幹細胞、毛包幹細胞等が含まれる。消化系の体性幹細胞の例としては膵臓(全般の)幹細胞、肝幹細胞等が含まれる。(間葉系幹細胞以外の)骨髄系の体性幹細胞の例としては、造血幹細胞等が含まれる。神経系の体性幹細胞の例としては、神経幹細胞、網膜幹細胞等が含まれる。
微小粒子組成物は、体性幹細胞以外の幹細胞を含有していてもよいが、含有しないことが好ましい。体性幹細胞以外の幹細胞としては、胚性幹細胞(ES細胞)、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性癌腫細胞(EC細胞)が含まれる。
歯髄由来幹細胞またはこの不死化幹細胞の培養上清の調製方法としては特に制限はなく、従来の方法を用いることができる。
歯髄由来幹細胞等の培養上清は、歯髄由来幹細胞を培養して得られる培養液である。例えば歯髄由来幹細胞の培養後に細胞成分を分離除去することによって、本発明に使用可能な培養上清を得ることができる。各種処理(例えば、遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩、保存等)を適宜施した培養上清を用いることにしてもよい。
歯髄由来幹細胞の培養上清を得るための歯髄由来幹細胞は、常法により選別可能であり、細胞の大きさや形態に基づいて、または接着性細胞として選別可能である。脱落した乳歯や永久歯から採取した歯髄細胞から、接着性細胞またはその継代細胞として選別することができる。歯髄由来幹細胞の培養上清には、選別された幹細胞を培養して得られた培養上清を用いることができる。
なお、「歯髄由来幹細胞等の培養上清」は、歯髄由来幹細胞等を培養して得られる細胞そのものを含まない培養液であることが好ましい。本発明で用いる歯髄由来幹細胞の培養上清は、その一態様では全体としても細胞(細胞の種類は問わない)を含まないことが好ましい。当該態様の組成物はこの特徴によって、歯髄由来幹細胞自体は当然のこと、歯髄由来幹細胞を含む各種組成物と明確に区別される。この態様の典型例は、歯髄由来幹細胞を含まず、歯髄由来幹細胞の培養上清のみで構成された組成物である。
本発明で用いる歯髄由来幹細胞の培養上清は、乳歯歯髄由来幹細胞および大人歯髄由来幹細胞の両方の培養上清を含んでいてもよい。本発明で用いる歯髄由来幹細胞の培養上清は、乳歯歯髄由来幹細胞の培養上清を有効成分として含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことが好ましい。本発明で用いる歯髄由来幹細胞の培養上清は、乳歯歯髄由来幹細胞の培養上清のみで構成された組成物であることがより特に好ましい。
培養上清を得るための歯髄由来幹細胞の培養液には基本培地、或いは基本培地に血清等を添加したもの等を使用可能である。なお、基本培地としてはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の他、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(GIBCO社等)、ハムF12培地(HamF12)(SIGMA社、GIBCO社等)、RPMI1640培地等を用いることができる。また、培地に添加可能な成分の例として、血清(ウシ胎仔血清、ヒト血清、羊血清等)、血清代替物(Knockout serum replacement(KSR)など)、ウシ血清アルブミン(BSA)、抗生物質、各種ビタミン、各種ミネラルを挙げることができる。
但し、血清を含まない「歯髄由来幹細胞の培養上清」を調製するためには、全過程を通して或いは最後または最後から数回の継代培養についは無血清培地を使用するとよい。例えば、血清を含まない培地(無血清培地)で歯髄由来幹細胞を培養することによって、血清を含まない歯髄由来幹細胞の培養上清を調製することができる。1回または複数回の継代培養を行うことにし、最後または最後から数回の継代培養を無血清培地で培養することによっても、血清を含まない歯髄由来幹細胞等の培養上清を得ることができる。一方、回収した培養上清から、透析やカラムによる溶媒置換などを利用して血清を除去することによっても、血清を含まない歯髄由来幹細胞の培養上清を得ることができる。
培養上清を得るための歯髄由来幹細胞の培養には、通常用いられる条件をそのまま適用することができる。歯髄由来幹細胞の培養上清の調製方法については、幹細胞の種類に応じて幹細胞の単離および選抜工程を適宜調整する以外は、後述する細胞培養方法と同様とすればよい。歯髄由来幹細胞の種類に応じた歯髄由来幹細胞の単離および選抜は、当業者であれば適宜行うことができる。
また、歯髄由来幹細胞の培養には、エクソソームなどの微小粒子を多量に生産させるために、特別な条件を適用してもよい。特別な条件として、例えば、低温条件、低酸素条件、微重力条件など、何らかの刺激物と共培養する条件などを挙げることができる。
本発明でエクソソームなどの微小粒子の調製に用いる歯髄由来幹細胞の培養上清は、歯髄由来幹細胞の培養上清の他にその他の成分を含んでいてもよいが、その他の成分を実質的に含まないことが好ましい。
ただし、エクソソームの調製に使用する各種類の添加剤を、歯髄由来幹細胞の培養上清に添加してから保存しておいてもよい。
(微小粒子の調製)
歯髄由来幹細胞等の培養上清から、微小粒子を精製して、微小粒子を調製することができる。
微小粒子の精製は、歯髄由来幹細胞の培養上清から微小粒子を含む画分の分離であることが好ましく、微小粒子の単離であることがより好ましい。
微小粒子は、微小粒子の特性に基づいて非会合成分から分離されることにより、単離され得る。例えば、微小粒子は、分子量、サイズ、形態、組成または生物学的活性に基づいて単離され得る。
本発明では、歯髄由来幹細胞の培養上清を遠心処理して得られた、微小粒子を多く含む特定の画分(例えば沈殿物)を分取することにより、微小粒子を精製することができる。所定の画分以外の画分の不要成分(不溶成分)は除去してもよい。微小粒子組成物からの、溶媒および分散媒、ならびに不要成分の除去は完全な除去でなくてもよい。遠心処理の条件を例示すると、100~20000gで、1~30分間である。
本発明では、歯髄由来幹細胞の培養上清またはその遠心処理物を、ろ過処理することにより、微小粒子を精製することができる。ろ過処理によって不要成分を除去することができる。また、適切な孔径のろ過膜を使用すれば、不要成分の除去と滅菌処理を同時に行うことができる。ろ過処理に使用するろ過膜の材質、孔径などは特に限定されない。公知の方法で、適切な分子量またはサイズカットオフのろ過膜でろ過をすることができる。ろ過膜の孔径はエクソソームを分取しやすい観点から、10~1000nmであることが好ましく、30~500nmであることがより好ましく、50~150nmであることが特に好ましい。
本発明では、歯髄由来幹細胞の培養上清またはその遠心処理物あるいはそれらのろ過処理物を、ラムクロマトグラフィーなど、さらなる分離手段を用いて分離することができる。例えば様々なカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用できる。カラムは、サイズ排除カラムまたは結合カラムを使用できる。
各処理段階におけるそれぞれの画分中で、微小粒子(またはその活性)を追跡するために、微小粒子の1つ以上の特性または生物学的活性を使用できる。例えば、微小粒子を追跡するために、光散乱、屈折率、動的光散乱またはUV-可視光検出器を使用できる。または、それぞれの画分中の活性を追跡するために、特定の酵素活性などを使用できる。
微小粒子の精製方法として、特表2019-524824号公報の[0034]~[0064]に記載の方法を用いてもよく、この公報の内容は参照して本明細書に組み込まれる。
微小粒子組成物の最終的な形態は、特に制限はない。例えば、微小粒子組成物は、微小粒子を溶媒または分散媒とともに容器に充填してなる形態;微小粒子をゲルとともにゲル化して容器に充填してなる形態;微小粒子を凍結および/または乾燥して固形化して製剤化または容器に充填してなる形態などが挙げられる。容器としては、例えば凍結保存に適したチューブ、遠沈管、バッグなどが挙げられる。凍結温度は、例えば-20℃~-196℃とすることができる。
本発明のHMGB1の発現制御剤は、従来の急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の治療薬または予防薬として用いることができる組成物と比較して、大量生産しやすい、従来は産業廃棄物等として廃棄されていた幹細胞の培養液を利活用できる、幹細胞の培養液の廃棄コストを減らせる等の利点がある。特に歯髄由来幹細胞の培養上清が、ヒト歯髄由来幹細胞の培養上清である場合は、本発明のHMGB1の発現制御剤をヒトに対して適用する場合に、免疫学上などの観点での安全性が高く、倫理性の問題も少ないという利点もある。歯髄由来幹細胞の培養上清が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の患者からの歯髄由来幹細胞の培養上清である場合は、本発明のHMGB1の発現制御剤をその患者に対して適用する際により安全性が高まり、倫理性の問題も少なくなるであろう。
本発明のHMGB1の発現制御剤が、歯髄由来幹細胞の培養上清に由来する場合、修復医療の用途にも用いられる。特に歯髄由来幹細胞等の培養上清に由来する微小粒子を含む組成物は、修復医療の用途に好ましく用いられる。ここで、幹細胞移植を前提とした再生医療において、幹細胞は再生の主役ではなく、幹細胞の産生する液性成分が自己の幹細胞とともに臓器を修復させる、ということが知られている。従来の幹細胞移植に伴うがん化、規格化、投与方法、保存性、培養方法などの困難な問題が解決され、歯髄由来幹細胞の培養上清またはそれに由来する微小粒子を用いた組成物により修復医療が可能となる。幹細胞移植と比較すると、本発明のHMGB1の発現制御剤を用いた場合は細胞を移植しないために腫瘍化などが起こりにくく、より安全と言えるだろう。また、本発明のHMGB1の発現制御剤は一定に規格化した品質のものを使用できる利点がある。大量生産や効率的な投与方法を選択することができるので、低コストで利用ができる。
[急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬]
本発明の急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬は、本発明のHMGB1の発現制御剤を有効成分とする。
本明細書において「予防」とは、疾患(本明細書では急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症)の発症を未然に防ぐことをいう。また、本明細書において「治療」とは、発症した疾患における症状の進行を緩和し、抑制し、又は阻止すること、及び症状を改善することをいう。
[急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の改善方法]
本発明の急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の改善方法は、有効量の本発明のHMGB1の発現制御剤、あるいは有効量の本発明の急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬を、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症を発症した対象に投与することを含む。
本発明のHMGB1の発現制御剤などを、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症を発症した対象に投与する工程は特に制限はない。
投与方法は、口腔、鼻腔または気道への噴霧または吸引、点滴、局所投与、点鼻薬などを挙げることができ、侵襲が少ないことが好ましい。局所投与の方法としては、注射が好ましい。また、皮膚表面に電圧(電気パルス)をかけることにより細胞膜に一時的に微細な穴をあけ、通常のケアでは届かない真皮層まで有効成分を浸透させられるエレクトロポレーションも好ましい。局所投与する場合、静脈内投与、動脈内投与、門脈内投与、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与などを挙げることができ、動脈内投与、静脈内投与、皮下投与または腹腔内投与であることがより好ましい。
また、種々の製剤化技法を用い、微小粒子のインビボ分布を変えることができる。インビボ分布を変える多数の方法が当業者に既知である。そのような方法の例には、たとえば、タンパク質、脂質(たとえば、リポソーム)、炭水化物または合成ポリマーのような物質で構成される小胞におけるエクソソームの保護が挙げられる。
急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症を発症した対象に投与された本発明のHMGB1の発現制御剤は対象の体内を循環し、所定の組織に到達してもよい。
投与回数および投与間隔は、特に制限はない。投与回数は1週間当たり1回以上とすることができ、5回以上であることが好ましく、6回以上であることがより好ましく、7回以上であることが特に好ましい。投与間隔は、1時間~1週間であることが好ましく、半日間~1週間であることがより好ましく、1日(毎日1回)であることが特に好ましい。ただし、投与対象の生物種や投与対象の症状に応じて、適宜調整することができる。
本発明のHMGB1の発現制御剤は、微小粒子を治療有効期間にわたって1週間に1回以上、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症を発症した対象に投与する用途であることが好ましい。投与対象がヒトである場合は、1週間当たりの投与回数は多い方が好ましく、治療有効期間にわたって1週間に5回以上投与することが好ましく、毎日投与することが好ましい。
2.0×10個/mlの濃度の歯髄由来幹細胞の培養上清を用いる場合、マウスモデルでは、マウス1匹(約25g)当たり0.1~5mlであることが好ましく、0.3~3mlであることがより好ましく、0.5~1mlであることがより特に好ましい。
0.1×10個/μgの濃度の微小粒子を用いる場合、マウスモデルでは、マウス1匹(約25g)当たり1~50μgであることが好ましく、3~30μgであることがより好ましく、5~25μgであることがより特に好ましい。
その他の動物への体重当たりの投与量の好ましい範囲は、モデルマウスへの体重(約25g)当たりの投与量から比例関係を用いて計算することができる。ただし、投与対象の症状に応じて、適宜調整することができる。
本発明のHMGB1の発現制御剤を投与する対象の動物(生物種)は、特に制限はない。本発明のHMGB1の発現制御剤を投与する対象の動物は、哺乳動物、鳥類(ニワトリ、ウズラ、カモなど)、魚類(サケ、マス、マグロ、カツオなど)であることが好ましい。哺乳動物としては、ヒトであっても、非ヒト哺乳動物であってもよいが、ヒトであることが特に好ましい。非ヒト哺乳動物としては、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ハムスターであることがより好ましい。
本発明のHMGB1の発現制御剤は、従来公知の急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の治療薬と併用してもよい。具体的には、例えば従来公知のステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤(トリシズマブ、TNF阻害剤など)、抗血小板薬、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などと併用してもよい。
以下に実施例と比較例または参考例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<歯髄由来幹細胞の培養上清の調製>
DMEM/HamF12混合培地の代わりにDMEM培地を用い、その他は特許第6296622号の実施例6に記載の方法に準じて、ヒト乳歯歯髄幹細胞の培養上清を調製して、培養上清を分取した。初代培養ではウシ胎仔血清(FBS)を添加して培養し、継代培養では初代培養液を用いて培養した継代培養液の上清をFBSが含まれないように分取し、乳歯歯髄幹細胞の培養上清を調製した。なお、DMEMはダルベッコ改変イーグル培地であり、F12はハムF12培地である。
<エクソソームの調製>
得られた歯髄由来幹細胞の培養上清から、歯髄由来幹細胞のエクソソームを以下の方法で精製した。
乳歯歯髄幹細胞の培養上清(100mL)を0.22マイクロメーターのポアサイズのフィルターで濾過したのち、その溶液を、60分間、4℃で100000×gで遠心分離した。上清をデカントし、エクソソーム濃縮ペレットをリン酸緩衝食塩水(PBS)中に再懸濁した。再懸濁サンプルを、60分間100000×gで遠心分離した。再度ペレットを濃縮サンプルとして遠心チューブの底から回収した(およそ100μl)。タンパク濃度は、マイクロBSAタンパク質アッセイキット(Pierce、Rockford、IL)によって決定した。エクソソームを含む組成物(濃縮溶液)は、-80℃で保管した。
歯髄由来幹細胞の培養上清から精製したエクソソームを含む組成物を、実施例1の発現制御剤(微小粒子組成物サンプル)とした。
実施例1の発現制御剤に含まれる微小粒子の平均粒径、濃度をナノ粒子解析システムNanoSight(ナノサイト)(日本カンタム・デザイン株式会社製)を用いて評価した。
実施例1の発現制御剤に含まれる微小粒子の平均粒径は50~150nmであった。
実施例1の発現制御剤は1.0×10個/ml以上の高濃度エクソソーム溶液であり、具体的には2.0×10個/mlの高濃度エクソソーム溶液であった。
また、得られた実施例1の発現制御剤の成分を公知の方法で分析した。その結果、実施例1の発現制御剤は、歯髄由来幹細胞の幹細胞を含まず、MCP-1を含まず、シグレック9も含まないことがわかった。そのため、間葉系幹細胞の培養上清の有効成分であるMCP-1およびシグレック9ならびにこれらの類縁体とは異なる有効成分が、実施例1の発現制御剤の有効成分であることがわかった。
[比較例1]
<臍帯由来幹細胞の培養上清の調製>
乳歯歯髄幹細胞の代わりに、ヒト臍帯由来幹細胞を用いた以外は実施例1に準じて、臍帯由来幹細胞の培養上清を調製し、臍帯由来幹細胞から精製したエクソソームを含む組成物(比較例1の微小粒子組成物)を調製した。
[試験例1]:エクソソームで発現するマイクロRNA
実施例1の微小粒子組成物に含まれるsmall RNAを次世代シーケンシング(NGS)解析により解析した。NGS解析により、実施例1の微小粒子組成物(歯髄由来幹細胞のエクソソーム)に含まれるmiRNAが1787個同定された。得られた結果を下記表1に示す。
Figure 2024000504000002
[試験例2]:疾患に関わるマイクロRNAの探索
疾患に関わるマイクロRNAを探索した。疾患に関連するmiRNAの抽出はIMOTA(Interactive Multi-Omics-Tissue Atlas)を用いた。IMOTAは、各組織や細胞におけるmiRNAやmRNA、タンパク質の相互作用や発現量について調べることができる対話型のマルチオミクスアトラスである(Nucleic Acids Research, Volume 46, Issue D1, 4 January 2018, Pages D770-D775, "IMOTA: an interactive multi-omics tissue atlas for the analysis of human miRNA-target interactions")。ここでは、急性肺損傷または敗血症に関連するタンパク質および/または遺伝子を制御するマイクロRNAが含まれているか、または、治療薬のターゲットとなるタンパク質および/または遺伝子を制御しているマイクロRNAが含まれているかを探索した。この試験例2では、HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを探索した。
HMGB1の発現に関する遺伝子をtargetとする歯髄由来幹細胞の培養上清から精製したエクソソームに発現するmiRNAは、下記のHMGB1関連miRNA群(78種類)であった。
HMGB1関連miRNA群:
hsa-let-7b-5p、hsa-let-7e-5p、hsa-let-7g-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-103a-3p、hsa-miR-106b-5p、hsa-miR-107、hsa-miR-1179、hsa-miR-1183、hsa-miR-1236-3p、hsa-miR-1237-3p、hsa-miR-1247-3p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-1304-3p、hsa-miR-1307-3p、hsa-miR-141-3p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-142-5p、hsa-miR-145-5p、hsa-miR-148a-3p、hsa-miR-148b-3p、hsa-miR-150-5p、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-181d-5p、hsa-miR-186-3p、hsa-miR-186-5p、hsa-miR-18a-3p、hsa-miR-1913、hsa-miR-193b-3p、hsa-miR-1976、hsa-miR-204-5p、hsa-miR-205-5p、hsa-miR-206、hsa-miR-20a-5p、hsa-miR-20b-5p、hsa-miR-211-5p、hsa-miR-212-5p、hsa-miR-218-5p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-26b-5p、hsa-miR-300、hsa-miR-302c-3p、hsa-miR-324-3p、hsa-miR-328-3p、hsa-miR-329-3p、hsa-miR-340-5p、hsa-miR-34a-5p、hsa-miR-362-3p、hsa-miR-373-3p、hsa-miR-381-3p、hsa-miR-410-3p、hsa-miR-4275、hsa-miR-4284、hsa-miR-4324、hsa-miR-4460、hsa-miR-4532、hsa-miR-4638-5p、hsa-miR-4673、hsa-miR-4691-5p、hsa-miR-4707-3p、hsa-miR-4727-3p、hsa-miR-4793-5p、hsa-miR-495-3p、hsa-miR-505-3p、hsa-miR-512-3p、hsa-miR-5193、hsa-miR-5196-3p、hsa-miR-520a-3p、hsa-miR-520d-3p、hsa-miR-520h、hsa-miR-539-3p、hsa-miR-582-5p、hsa-miR-652-3p、hsa-miR-660-3p、hsa-miR-665、hsa-miR-92a-3p、hsa-miR-93-5p。
そのため、本発明の発現制御剤は、HMGB1の発現制御剤として用いられることがわかった。
歯髄由来幹細胞のエクソソームに発現するmiRNAの発現量を比較した結果を図1のヒートマップに示す。ヒートマップの濃度は、リードカウント値のlog ratioで示したものである。
図1より、本発明の発現抑制剤は、HMGB1に関するmiRNAを高濃度で含むことがわかった。そのため、本発明の発現抑制剤は、HMGB1および/またはHMGB1遺伝子(Hmgb1)の発現を制御できる。
[試験例3]:HMGB1の発現抑制の確認
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の血管炎モデルを用いて、HMGB1の発現抑制を以下の方法で確認した。
HUVEC細胞を播種後、37℃,5%CO条件下で18時間培養した。その後、HUVEC細胞をBBL GasPakTM嫌気システム(Becton Dickinson Microbiology Systems, Cockeysville,MD,USA)に密封し、24時間、低酸素で培養した。これによりHUVEC細胞の培養環境は酸素濃度が2%になる。
その24時間後に、実施例1の発現制御剤(歯髄由来幹細胞から精製したエクソソーム)または比較例1で調製した微小粒子組成物(臍帯由来幹細胞から精製したエクソソーム)を、HUVEC細胞あたりエクソソームとして10000個投与した。
48時間後に、以下のプライマーセットを用いて、HMGB1遺伝子発現量をqPCRにて定量した。
HMGB1:
HMG1(HMGB1) Human qPCR Primer Pair (NM_002128)
GCGAAGAAACTGGGAGAGATGTG/GCATCAGGCTTTCCTTTAGCTCG
[参考例1]:低酸素未処理
HUVEC細胞を低酸素で24時間培養する処理を37℃,5%CO条件下24時間培養に置き換え、微小粒子組成物を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、HMGB1遺伝子発現量をqPCRにて定量した。
[参考例2]:低酸素培養後に微小粒子なし
微小粒子組成物を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、HMGB1遺伝子発現量をqPCRにて定量した。
図2は、各例で定量されたHMGB1遺伝子発現量のグラフである。図2より、本発明のHMGB1の発現抑制剤は、顕著にHMGB1遺伝子発現量を抑制できることがわかった。

Claims (9)

  1. HMGB1の発現制御剤であって、
    前記発現制御剤が微小粒子を含み、
    前記微小粒子がHMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含む、
    HMGB1の発現制御剤。
  2. 前記微小粒子がエクソソームである、請求項1に記載のHMGB1の発現制御剤。
  3. 前記HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAが下記HMGB1関連miRNA群のうち少なくとも1種類を含む、請求項1に記載のHMGB1の発現制御剤。
    HMGB1関連miRNA群:
    hsa-let-7b-5p、hsa-let-7e-5p、hsa-let-7g-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-103a-3p、hsa-miR-106b-5p、hsa-miR-107、hsa-miR-1179、hsa-miR-1183、hsa-miR-1236-3p、hsa-miR-1237-3p、hsa-miR-1247-3p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-1304-3p、hsa-miR-1307-3p、hsa-miR-141-3p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-142-5p、hsa-miR-145-5p、hsa-miR-148a-3p、hsa-miR-148b-3p、hsa-miR-150-5p、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-181d-5p、hsa-miR-186-3p、hsa-miR-186-5p、hsa-miR-18a-3p、hsa-miR-1913、hsa-miR-193b-3p、hsa-miR-1976、hsa-miR-204-5p、hsa-miR-205-5p、hsa-miR-206、hsa-miR-20a-5p、hsa-miR-20b-5p、hsa-miR-211-5p、hsa-miR-212-5p、hsa-miR-218-5p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-26b-5p、hsa-miR-300、hsa-miR-302c-3p、hsa-miR-324-3p、hsa-miR-328-3p、hsa-miR-329-3p、hsa-miR-340-5p、hsa-miR-34a-5p、hsa-miR-362-3p、hsa-miR-373-3p、hsa-miR-381-3p、hsa-miR-410-3p、hsa-miR-4275、hsa-miR-4284、hsa-miR-4324、hsa-miR-4460、hsa-miR-4532、hsa-miR-4638-5p、hsa-miR-4673、hsa-miR-4691-5p、hsa-miR-4707-3p、hsa-miR-4727-3p、hsa-miR-4793-5p、hsa-miR-495-3p、hsa-miR-505-3p、hsa-miR-512-3p、hsa-miR-5193、hsa-miR-5196-3p、hsa-miR-520a-3p、hsa-miR-520d-3p、hsa-miR-520h、hsa-miR-539-3p、hsa-miR-582-5p、hsa-miR-652-3p、hsa-miR-660-3p、hsa-miR-665、hsa-miR-92a-3p、hsa-miR-93-5p。
  4. 前記HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAがhsa-let-7b-5p、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-129-5p、hsa-miR-142-3p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-34a-5pおよびhsa-miR-92a-3pのうち少なくとも1種類を含む、請求項1に記載のHMGB1の発現制御剤。
  5. 前記HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAがhsa-let-7b-5pを少なくとも含む、請求項1に記載のHMGB1の発現制御剤。
  6. 前記微小粒子が、歯髄由来幹細胞の培養上清よりも高い濃度で、前記HMGB1の発現に関する遺伝子を標的遺伝子とするmiRNAを含む、請求項1に記載のHMGB1の発現制御剤。
  7. 前記微小粒子が歯髄由来幹細胞の培養上清から精製されて単離された微小粒子であり、
    前記微小粒子が、前記歯髄由来幹細胞の培養上清から前記エクソソームを除いた成分を含まない、請求項1に記載のHMGB1の発現制御剤。
  8. 請求項1に記載のHMGB1の発現制御剤を有効成分とする、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬。
  9. 有効量の請求項1に記載のHMGB1の発現制御剤、あるいは有効量の請求項8に記載の急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の予防薬または治療薬を、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症を発症した対象に投与することを含む、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群または敗血症の改善方法。

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