JP2023553671A - D1陽性アロステリック調節因子としての置換テトラヒドロイソキノリン誘導体 - Google Patents

D1陽性アロステリック調節因子としての置換テトラヒドロイソキノリン誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)による化合物に関し、【化1】JPEG2023553671000018.jpg3547これは、D1の陽性アロステリック調節因子であり、したがって、D1受容体が関与する疾患の治療のための医薬品として有益である。

Description

本発明は、テトラヒドロイソキノリン誘導体及び治療におけるその使用に関する。とくに、本発明は、薬理学的に活性な置換テトラヒドロイソキノリン誘導体に関する。
この化合物は、D1陽性アロステリック調節因子として作用し、したがって、D1受容体が関与する疾患の治療のための医薬品として有益である。
モノアミンドーパミンは、GPCRの2つのファミリーを介して作用し、運動機能、報酬機構、認知プロセス及び他の生理学的機能を調節する。具体的には、ドーパミンは、主にGs Gタンパク質に結合し、それによってcAMP産生を刺激する受容体であるドーパミンD1及びD5を含むD1様受容体、並びにGi/qGタンパク質に結合し、cAMP産生を減弱させる受容体であるD2、D3及びD4を含むD2様受容体を介してニューロンに作用している。これらの受容体は、異なる脳領域で広く発現される。とくに、D1受容体は、多数の生理学的機能及び行動プロセスに関与している。D1受容体は、例えば、シナプス可塑性、認知機能及び目標指向性運動機能に関与しているが、報酬プロセスにも関与している。生理学的/神経学的プロセスにおける関わりのため、D1受容体は、統合失調症における認知症状及び陰性症状、神経弛緩療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病及び他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、薬物嗜癖、睡眠障害、アパシー、外傷性脊髄損傷又は神経障害性疼痛を含む様々な障害に関与している。
D1受容体を標的とする、経口的に生物学的に利用可能な小分子を開発することは困難であることは周知の事実である。これまでに開発されたD1アゴニストは、一般にカテコール部分を特徴とするため、その臨床的使用は侵襲的治療に限定されてきた。十分な選択性を達成することも、ドーパミン受容体サブタイプ間(例えば、ドーパミンD1及びD5)のリガンド結合部位における高度の相同性のために困難であった。また、D1アゴニストは、ジスキネジア及び血圧低下を非限定的な例とする潜在的に制限的な副作用に関連している。
したがって、D1受容体を調節することができる新しい薬剤を設計する必要がある。
受容体機構を理解するためのツールとして、及び潜在的な治療薬としての両方で、GPCRのアロステリック調節因子の同定が大いなる関心を集めている。GPCRは、細胞表面受容体の最大ファミリーを表し、多数の市販薬は、これらの受容体によって媒介されるシグナル伝達経路を直接活性化又は遮断する。しかしながら、いくつかのGPCR(例えばペプチド受容体)では、サブタイプ間(例えば、ドーパミンD1及びD5又はD2及びD3)のリガンド結合部位における高度の相同性のために、小分子を開発すること、又は十分な選択性を達成することは困難であることが明らかになっている。したがって、多くの薬物研究は、オルソステリック天然アゴニストとは異なる部位を標的とする小分子の同定に移行している。
これらの部位に結合するリガンドは、GPCRのコンフォメーション変化を誘導し、それによって受容体機能をアロステリックに調節する。アロステリックリガンドは、親和性及び/又は有効性に影響を及ぼすことによって、内因性リガンドの効果を増強(陽性アロステリック調節因子、PAM)又は減弱(陰性アロステリック調節因子、NAM)する能力を含む多様な範囲の活性を有する。サブタイプ選択性と同様に、アロステリック調節因子は、直接的な効果又は固有の有効性の欠如、放出された場合及び放出されたときにおける天然の伝達物質の効果のみの増強、アゴニストへの常時曝露から生じる脱感作を誘導する傾向の減少、並びに標的関連副作用を誘導する傾向の減少、などの創薬の観点から他の潜在的な利点を示す可能性がある。
本発明による化合物は、アロステリック機構を介してD1受容体に対するD1アゴニスト又は内因性リガンドの効果を増強するところ、それゆえに、D1陽性アロステリック調節因子(D1 PAM)である。
D1 PAMである本発明による化合物は、D1受容体が関与する疾患及び障害の治療及び/又は予防に有益である。そのような疾患には、統合失調症における認知症状及び陰性症状、神経弛緩療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病及び他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、薬物嗜癖、睡眠障害、アパシー、外傷性脊髄損傷又は神経障害性疼痛が含まれる。
国際特許出願のWO2014/193781A1は、パーキンソン病又は統合失調症に関連する認知障害の治療に有用な特定の3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル誘導体を開示している。
国際特許出願のWO2017/178377は、D1陽性アロステリック調節因子として有用な特定の置換3,4-ジヒドロイソキノル-2(1H)-イル誘導体及びその類似体を開示している。
WO2021/001288として公開された国際特許出願第PCT/EP2020/068183は、2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを開示している。
かような状況ではあるが、代替的かつ強力なD1陽性アロステリック調節因子を開発する必要性が依然として存在する。
本発明により、式(I)の2-(3,5-ジクロロ-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノン

又はその薬学的に許容される塩が提供される。
本発明はまた、治療に用いるための、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
上記のように、特定のD1 PAM化合物が先行技術で開示されているが、当該化合物の正確な構造はこれまでに開示されていない。
別の態様では、本発明は、D1受容体が関与する疾患及び/又は障害の治療に用いるための、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩も提供する。
別の態様では、本発明は、統合失調症における認知症状及び陰性症状、神経弛緩療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病及び他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、薬物嗜癖、睡眠障害、アパシー、外傷性脊髄損傷又は神経障害性疼痛の治療及び/又は予防に用いるための、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
この態様の特定の実施形態では、本発明は、パーキンソン病及び他の運動障害、アルツハイマー病、又は統合失調症における認知症状及び陰性症状の治療に用いるための、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
したがって、特定の一態様では、本発明は、パーキンソン病及び他の運動障害の治療に用いるための、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
さらなる態様では、本発明は、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の、D1受容体が関与する疾患及び/又は障害の治療及び/又は予防に有用な医薬品の製造のための、使用を提供する。
別のさらなる態様では、本発明は、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の、統合失調症における認知症状及び陰性症状、神経弛緩療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病及び他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、薬物嗜癖、睡眠障害、アパシー、外傷性脊髄損傷又は神経障害性疼痛の治療及び/又は予防に有用な医薬品の製造のための、使用を提供する。
この態様の特定の実施形態では、本発明は、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の、パーキンソン病及び他の運動障害、アルツハイマー病、又は統合失調症における認知症状及び陰性症状の治療に有用な医薬品の製造のための、使用を提供する。
特定の一態様では、本発明は、上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の、パーキンソン病及び他の運動障害の治療に有用な医薬品の製造のための、使用を提供する。
本発明はまた、D1陽性アロステリック調節因子の投与が指定されている(indicated)障害の治療及び/又は予防のための方法であって、有効量の上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、統合失調症における認知症状及び陰性症状、神経弛緩療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病及び他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、薬物嗜癖、睡眠障害、アパシー、外傷性脊髄損傷又は神経障害性疼痛の治療及び/又は予防のための方法であって、有効量の上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
この態様の特定の実施形態では、本発明は、パーキンソン病及び他の運動障害、アルツハイマー病、又は統合失調症における認知症状及び陰性症状の治療のための方法であって、有効量の上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
特定の一態様では、本発明は、パーキンソン病及び他の運動障害の治療のための方法であって、有効量の上記で定義される式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
医薬において使用する場合、式(I)の化合物の塩は、薬学的に許容される塩になる。一方、他の塩も、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の調製において有用である可能性がある。薬学的に許容される塩の選択及び調製の基礎である標準的な原理は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,ed.P.H.Stahl&C.G.Wermuth,Wiley-VCH,2002に記載されている。式(I)の化合物の好適な薬学的に許容される塩には、式(I)の化合物の溶液を薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって例えば形成されてよい酸付加塩が含まれる。
式(I)の原子又は以下に示される式に存在する個々の原子は、実際にはいずれのその天然に存在する同位体の形態で存在してもよく、最も豊富な同位体が好ましいことを理解されたい。したがって、例えば、式(I)又は以下に示される式に存在する個々の水素原子は、H、H(重水素)又はH(トリチウム)原子、好ましくはHとして存在してよい。同様に、例えば、式(I)又は以下に示される式に存在する個々の炭素原子は、12C、13C又は14C原子、好ましくは12Cとして存在してよい。
本発明は、その範囲内に上記式(I)の化合物の溶媒和物を含む。そのような溶媒和物は、一般的な有機溶媒又は水を用いて形成されてよい。
本発明はまた、その範囲内に上記式(I)の化合物の共結晶を含む。「共結晶」の技術用語は、中性分子成分が一定の化学量論比で結晶性化合物内に存在する状態を描写するために使用される。薬学的共結晶の調製は、薬学的活性成分の結晶形態に修飾を行うことを可能にし、これにより、意図された生物学的活性を損なうことなく、その物理化学的特性を変化させることができる(Pharmaceutical Salts and Co-crystals,ed.J.Wouters&L.Quere,RSC Publishing,2012を参照)。
本発明による化合物は、異なる多形体で存在してよい。上記の式に明示の記載により示されていないが、かかる形態は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
本発明による特定の態様では、式(I)の化合物は、例にさらに記載されるように、一水和物の形態で単離される。
本発明はまた、その範囲内に、式(I)の化合物のプロドラッグの形態並びに同化合物の種々の部分からなる下位の範囲(sub-scopes)及び下位グループ(sub-groups)を包含する。
上記の治療適応症又は障害のいずれかにおける活性は、特定の適応症について当業者に公知の方法で好適な臨床試験を実施することによって、及び/又は一般的な臨床試験の設計において、決定され得ることは論を俟たない。
疾患を治療するために、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効な一日投与量で用いて、医薬組成物の形態で投与してよい。
したがって、本発明はまた、上記の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩とともに1つ又は2つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明による医薬組成物の調製においては、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の1つ又は2つ以上を、当業者に公知の従来の医薬配合技術により、医薬希釈剤又は担体とよく混合する。
好適な希釈剤及び担体の形態は、多様なものとすることができ、投与経路、例えば、経口、直腸、非経口又は鼻腔内、といった企図される投与経路に応じた形態であってよい。
本発明による医薬組成物は、例えば、経口、非経口、すなわち静脈内、筋肉内又は皮下、髄腔内、吸入又は鼻腔内投与され得る。
経口投与に好適な医薬組成物は、固体又は液体であり得、例えば、錠剤、丸剤、糖衣錠、ゼラチンカプセル、溶液、シロップ、チューインガムなどの形態であり得る。
この目的のために、前記活性成分は、不活性希釈剤又は非毒性の薬学的に許容される担体、例えばデンプン又はラクトースと混合されてよい。任意に、これらの医薬組成物はまた、微結晶セルロース、トラガカントゴム若しくはゼラチンなどの結合剤、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤、スクロース若しくはサッカリンなどの甘味剤、又は着色剤又はペパーミント若しくはサリチル酸メチルなどの香味剤を含有することができる。
本発明はまた、制御された様式で活性物質を放出することができる組成物を企図する。非経口投与のために使用され得る医薬組成物は、アンプル、使捨てシリンジ、ガラス若しくはプラスチックバイアル又は注入容器に一般に含まれる水性又は油性の溶液又は懸濁液などの従来の形態である。
活性成分に加えて、これらの溶液又は懸濁液は、場合により、滅菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水溶液、油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒、抗菌剤、例えばベンジルアルコール、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩及び浸透圧を調整するための薬剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロースも含有することができる。
これらの医薬形態は、薬剤師によって日常的に使用される方法を使用して調製される。
特定の状態の予防又は治療に必要な本発明で使用される化合物の量は、選択される化合物及び治療される患者の状態に応じて変動する。しかしながら、一般に、一日投与量は、非経口組成物については0.05~3000mg、典型的には0.5mg~1000mgの範囲であってよい。
本発明による化合物又はその薬学的に許容される塩は、単独で(単独療法)又はL-ドパと組み合わせて(併用療法)投与されてよい。単独で、又は患者の運動機能障害を改善するのに必要なL-ドパ用量の一部と組み合わせて、本発明による式(I)の化合物又はその薬学的な許容される塩は、L-ドパの投与に関連するジスキネジアの治療に有用である可能性がある。例えば、本発明による式(I)の化合物を、患者に与えられるL-ドパ用量の一部と共に使用するか、又はL-ドパを置換するために単独で使用する場合、本発明による式(I)の化合物は、厄介なジスキネジアを誘発することなく運動機能障害に対して有効であると考えられる。したがって、本発明による化合物は、運動障害及びレボドパ誘発性ジスキネジア(LID)の治療に有用である可能性があると考えられる。
したがって、特定の一態様では、本発明はまた、レボドパ誘発性ジスキネジア(LID)の治療に有用な式(I)の化合物を提供する。
式(I)の化合物は、式(II)の中間体を式(III)の中間体と反応させることに続いて脱保護工程を含む二段階方法によって調製されてよい。式中、P1及びP2は、それぞれtert-ブチルジメチルシリル及びトリメチルシリルなどの保護基である。
中間体(III)は、最初に、好適な溶媒、例えばジメチルホルムアミド中、過剰量の塩基、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミンと共に、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウム ヘキサフルオロホスファート(COMU)又は当業者に公知の別のカップリング剤の存在下で、式(II)の中間体と好都合に反応させてよい。得られた中間体は、THF中のテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)などのフッ化物系試薬を使用して、又は当業者に公知の任意の方法に従って、直接脱保護されてよい。
式(III)の中間体は、式(IV)の中間体の反応を含む方法によって調製してよい。

上記式中、
Zは、ハロゲン又は1-ヒドロキシ-1-メチルエチルを表す;
は、tert-ブチルジメチルシリルを表す;及び
は、水素又はtert-ブトキシカルボニルを表す。
第1の工程では、式(IV)の中間体、式中、Zはブロモを表し、Rは水素を表し、以下、中間体(IVa)という、を、当業者に公知の方法に従って、適切な保護基で保護して、式(IV)の化合物を得てよい。式中、Zはブロモを表し、Rはtert-ブトキシカルボニルを表し、以下、中間体(IVb)という。
第2の工程では、金属-ハロゲン交換反応を、例えば、好適な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中、n-BuLiの存在下で、低温で、連続流下、乾燥アセトンの存在下で、添付の例に記載される方法に従って行い、上記の対応する中間体(IV)を得てよい。式中、Zは1-ヒドロキシ-1-メチルエチルを表し、以下、中間体(IVc)という。
次いで、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基(R)を、当業者に公知の方法に従って、又は添付の例にさらに記載されるように最初に脱保護して、中間体(III)を得てよい。
式(IVa)の中間体は、式(V)の中間体の反応を含む方法によって調製されてよい。Yはハロゲン、例えばブロモであり、Rは、式(IV)の中間体について上記で定義されている。

前記反応は、好適な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中、塩化メチルマグネシウムの存在下で、低温で行うことができる。
式(V)の中間体は、式(VI)の中間体の反応を含む二段階方法によって調製されてよい。

式中、Yは、式(V)の中間体について上記で定義される通りであり、Rは、水素又はtert-ブチル-ジメチルシリルを表す。
第1の工程では、中間体(VI)(式中、Rは水素を表す)を、好適な塩基、例えば4-ジメチルアミノ-ピリジンの存在下で、室温でtert-ブチルジメチルシリル クロリドと反応させて、中間体(VI)を得る。式中、Rはtert-ブチル-ジメチルシリルを表す。
第2の工程では、中間体(VI)を、好適な溶媒、例えばTHF中、N-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて、中間体(V)を得る。式中、Rはtert-ブチル-ジメチルシリルを表す。
中間体(VI)として、Rが水素を表すものは、式(VII)の中間体としてYが中間体(V)について上記で定義される通りであるものを含む方法によって調製されてよい。

当該反応は、好適な溶媒、例えばエタノールと水の混合物中、強塩基、例えば水酸化ナトリウムの存在下で、高温で好都合に行われる。
式(VII)の中間体は、中間体(VIII)の反応を含む方法によって調製されてよい。

式中、Yは、式(V)の中間体について本明細書で上記で定義される通りである。
当該反応は、好適な溶媒、例えばジクロロメタン中、トリメチルシリルトリフラート及びパラホルムアルデヒドの存在下で問題なく行われる。
中間体(VIII)は、市販の中間体(IX)を含む二段階の方法によって調製されてよい。

式中、Yは、中間体(V)について上記で定義される通りである。
当該反応は、添付の例に記載される方法に従って、又は当業者に公知の方法に従って、問題なく行われる。
式(II)の中間体は、式(X)の中間体の塩素化によって調製されてよい。
この反応は、室温で、又は当業者に公知の任意の方法に従って、DMFなどの極性溶媒混合物中、N-クロロスクシンイミドなどの塩素化剤を使用して好都合に行われる。
生成物の混合物が本発明による化合物の調製のための上記の方法のいずれかから得られる場合、所望の生成物は、分取HPLC、又は、例えば、適切な溶媒系と組み合わせたシリカ及び/若しくはアルミナを利用するカラムクロマトグラフィーなどの従来の方法によって適切な段階でそこから分離され得る。
本発明による化合物の調製のための上記の方法が立体異性体の混合物を生じさせる場合、これらの異性体は従来の技術によって分離されてよい。とくに、式(I)の化合物の特定のエナンチオマーを得ることが所望される場合、これは、エナンチオマーを分割するための任意の好適な従来の手順を使用して、エナンチオマーの対応する混合物から生成されてよい。したがって、例えば、ジアステレオマー誘導体、例えば塩は、式(I)のエナンチオマー、例えばラセミ体と適切なキラル化合物、例えばキラル塩基との混合物の反応によって生成されてよい。次いで、ジアステレオマーを、任意の好都合な手段によって、例えば結晶化によって分離してもよく、所望のエナンチオマーを、例えばジアステレオマーが塩である場合には酸による処理によって回収してよい。
別の分割方法において、式(I)のラセミ体をキラルHPLCを用いて分離してよい。さらに、所望であれば、特定のエナンチオマーを、上記の方法の1つにおいて適切なキラル中間体を使用することによって得てよい。あるいは、特定のエナンチオマーを、エナンチオマー特異的酵素生体内変換、例えばエステラーゼを用いたエステル加水分解を行い、次いで、エナンチオマー的に純粋な加水分解された酸のみを未反応のエステル対掌体から精製することによって得てよい。クロマトグラフィー、再結晶化及び他の従来の分離手順を、本発明の特定の幾何異性体を得ることが望ましい場合、中間体又は最終生成物と共に使用してよい。あるいは、非所望のエナンチオマーを、当業者に公知の方法に従って、又は添付の例に記載される方法に従って、酸又は塩基の存在下で、所望のエナンチオマーにラセミ化してよい。
上記の合成順序のいずれかの間、関係する分子のいずれかの感受性基又は反応性基を保護することが必要なかつ/又は望ましい場合がある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973、及びT.W.Greene&P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons,3rd edition,1999に記載されているものなどの従来の保護基によって達成されてよい。保護基は、当技術分野で公知の方法を利用して、任意の好都合な後続の段階で除去されてよい。
本発明による式(I)の化合物は、ドーパミンD1受容体を直接活性化しないが、アロステリック機構を介してD1受容体、ドーパミンに対するD1アゴニスト又は内因性リガンドの効果を増強し、したがってD1陽性アロステリック調節因子(D1 PAM)である。
ドーパミン及び他のD1アゴニストは、それ自体でドーパミンD1受容体を直接活性化する。
アッセイは、ドーパミンの非存在下(「活性化アッセイ」)及びドーパミンの存在下(「増強アッセイ」)で本発明による化合物の効果を測定するように設計されている。
活性化アッセイは、均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイにおける環状アデノシンモノホスファート(cAMP)の産生の刺激を測定し、内因性アゴニストであるドーパミンの濃度の増加によるcAMPの最大増加を100%活性化として定義する。
試験において、本発明による式(I)の化合物は、10μMの濃度で存在する場合、活性化の程度は(ドーパミン最大応答との対比で)20%未満であるため、有意な直接的なアゴニスト様の効果を欠いている。
増強アッセイは、化合物が低閾値濃度のドーパミンによって産生されるcAMPのレベルを増加させる能力を測定する。使用されるドーパミンの濃度([EC20])は、ドーパミンの濃度の増加と共に見られる最大応答(100%)と比較して20%の刺激をもたらすように設計されている。この増強を測定するために、ドーパミンの[EC20]を有する化合物の増加する濃度をインキュベートし、増強をcAMP産生の増加として測定し、cAMPレベルの増強の50%を生じる化合物の濃度を測定する。
cAMP HTRFアッセイで試験した場合、本発明による式(I)の化合物は、約7.5超のpEC50の値を示し、これは、それがD1陽性アロステリック調節因子であることを示す。
GABA受容体阻害は、発作及びてんかんに密接に関連することが知られている。したがって、D1陽性アロステリック調節因子であり、同時にそのような効果を最小限に抑える化合物を開発することが望ましい。
したがって、本明細書に記載のGABA-A受容体阻害アッセイによる試験において、式(I)の化合物は、10μMの式(I)の化合物の濃度で測定した場合に、約5%未満のGABA受容体の阻害率を示すことが望ましい。
cAMP HTRFアッセイ
本発明の化合物の試験における条件を以下に特定して記載する。
a.方法 D1細胞培養
細胞を、5%COの加湿雰囲気下、37℃で培養した。細胞を、10%ウシ胎児血清(BioWhittaker(登録商標)、Lonza、ベルビエ、ベルギー)、400μg/mLのジェネティシン(GIBCO(登録商標))、100IU/mLのペニシリン及び100IU/mLのストレプトマイシン(Pen-Strep溶液、BioWhittaker(登録商標))を含有するDMEM-F12+GlutaMAX(商標)-I培地(GIBCO(登録商標)、Invitrogen、メレルベーケ、ベルギー)中で増殖させた。ドーパミンD1受容体を発現するLMtk(Ltk-)マウス線維芽細胞(BioSignal Inc、モントリオール、カナダ、現在はPerkin Elmer)を、それらは効率的に結合し、堅牢な機能的応答を与えることが示されているので、使用した(Watts et al,1995)。
b.cAMPアッセイ
細胞内環状アデノシンモノホスファート(cAMP)の変化の測定は、CisBio(コドレ、フランス)製のHTRF cAMP動的アッセイキットを使用して決定された。均一時間分解蛍光技術を使用して、アッセイは、細胞によって産生された天然cAMPと色素d2で標識されたcAMPとの間の競合に基づく。トレーサー結合は、クリプタートで標識された抗cAMP抗体によって決定される。ドーパミンの非存在下でアッセイを行うことによって化合物単独の効果(アゴニズム)を決定し、一方、陽性アロステリック調節因子(PAM)としての化合物の効果をEC20濃度のドーパミンの存在下で決定した。細胞(ウェルあたり2万個)を、ドーパミン(最終1.1nM)の存在下及び非存在下で、イソブチルメチルキサンチン(Sigma、最終0.1mM)、様々な濃度の試験化合物(典型的には10-9.5M~10-4.5M)を含有する最終容量20μLのHBSS(Lonza、カルシウム、マグネシウム及びHEPES緩衝液20mM、pH7.4を含む)中、室温で1時間、384プレート中でインキュベートする。次いで、反応を終了させ、製造業者の説明書に従って、溶解緩衝液(10μL)中のd2検出試薬及び溶解緩衝液(10μL)中のクリプタート試薬を添加することによって細胞を溶解させる。次いで、これを室温でさらに60分間インキュベートし、レーザ励起を伴うEnvisionプレートリーダ(Perkin Elmer、ザベンテム、ベルギー)を使用して、製造業者の説明書に従ってHTRF蛍光発光比の変化を決定する。全てのインキュベーションを二重反復で行い、結果をドーパミンに対する濃度効果曲線と比較した。(10-11M~10-6M)。
c.データ解析
Excel及びPRISM(GraphPad Software)を使用してデータを分析して、4パラメータロジスティック方程式(DeLean et al,1978)を使用してpEC50及びErelを得た。ここで、Erelは、試験化合物の適合最大応答から基底値を引いたものであり、ドーパミンを用いて得られたものに対する百分率として表され、これを100%と定義した。
化合物のpEC50は、cAMPレベルの増強の50%を生じる化合物の濃度の-log10である。
Erelは、ドーパミンの濃度の増加によってもたらされる最大応答(Erel 1=ドーパミン最大応答)と比較した、化合物によってもたらされる最大増強%として定義される相対的有効性であり、これを測定した。
上記のアッセイで試験した場合、式(I)の化合物は、約8.2のpEC50の値及び約62%のErel値を示す。
GABA 受容体細胞に関する自動パッチクランプ試験
ヒトGABA受容体α1、β2及びγ2サブユニットを安定に発現するCHO-K1細胞を使用した。トリプシンを用いて細胞を回収し、室温の無血清培地中で維持した。細胞を洗浄し、試験前に細胞外溶液に再懸濁した。
パッチクランプ試験
ヒトGABA(αβγ)チャネルに関する実験を、自動パッチクランプアッセイ(IonFlux(商標)HT)を使用して行った。化合物を3~4個の細胞において3つの濃度(0.1、1、及び10μM)で試験した。GABA電流を記録するための外部溶液は、塩化ナトリウム137mM、塩化カリウム4mM、塩化カルシウム1.8mM、塩化マグネシウム1mM、HEPES 10mM、及びグルコース10mMから構成された。外部溶液及び内部溶液の両方をNaOH又はKOHで滴定して、それぞれ7.35又は7.3のpHを得た。内部ピペット溶液は、フッ化カリウム70mM、塩化カリウム60mM、塩化ナトリウム70mM、HEPES 5mM、EGTA 5mM、及びマグネシウムATP 4mMを含有していた。化合物を希釈するために使用したビヒクルの最終濃度は、各ウェルにおいて0.33%DMSOであった。ビククリン(0.032~100μM)を陽性対照阻害剤として使用した。GABA(15μM)をアゴニストとして使用した。全ての記録は、-60mVの保持電位から得た。
化合物添加順序は、以下の通りであった。EC80濃度のGABAを1回添加してベースライン応答を確立した。各濃度の化合物を30秒間適用し、続いて化合物の存在下で15μM GABAを2秒間添加した。次の上昇濃度の化合物を用いて方法を繰り返した。単一濃度の化合物の存在下でのGABA添加に応答したピーク内向き電流を測定した。全ての化合物データを、15μM GABAの2秒間の添加によって誘導されたベースラインピーク電流に対して正規化した。
上記のアッセイで試験した場合、10μMの濃度で、式(I)で表される化合物は、10μMの式(I)の化合物の濃度で測定された約0.1%未満のGABA受容体の阻害率を示す。
以下の例は、本発明による式(I)の化合物の調製を説明する。


略語/繰り返し用いられる試薬
ACN:アセトニトリル
ブライン:飽和塩化ナトリウム水溶液
nBu:n-ブチル
tBu:tert-ブチル
COMU:(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウム ヘキサフルオロホスファート
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EC20/50:最大応答の20%/50%をもたらす濃度
Erel:相対的有効性
ES:エレクトロスプレー正イオン化
Et:エチル
EtOH:エタノール
EtO:ジエチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
h:時間
HPLC:高圧液体クロマトグラフィー
HTRF:均一時間分解蛍光
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析
MeOH:メタノール
min.:分
NCS:N-クロロスクシンイミド
NMR:核磁気共鳴
iPrOH:イソプロパノール
rt:室温
SFC:超臨界流体クロマトグラフィー
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
cAMP:環状アデノシンモノホスファート
IUPAC名は、Biovia Drawバージョン19.1(2019)又は20.1(2020)のいずれかを使用して生成されている。
分析方法

空気又は感湿試薬を含む全ての反応は、乾燥溶媒及びガラス器具を使用して窒素又はアルゴン雰囲気下で行った。市販の溶媒及び試薬は、一般に、さらに精製することなく使用され、適切な場合には無水溶媒(一般に、Aldrich Chemical Company製のSure-Seal(商標)製品又はACROS Organics製のAcroSeal(商標))が含まれる。全体として、反応の後に薄層クロマトグラフィー、HPLC又は質量分析を行った。
LCMSモードでの質量分析測定は、以下のように異なる方法及び機器を使用して行われる。

-塩基性LCMS方法1:
QDA Waters単純(simple)四重極質量分析計をLCMS分析に使用する。この分析計は、ESI源及びダイオードアレイ検出器(210~400nm)を備えたUPLC Acquity Classicを備えている。データは、塩基性溶出を用いた正/負モードでm/z70~800のフルMSスキャンで取得される。塩基性溶出のためにWaters Acquity UPLC BEH C18 1.7μm(2.1×50mm)カラムで逆相分離を45℃で行う。勾配溶出を、HO/ACN/ギ酸アンモニウム(95/5/63mg/L)+100μL/L NHOH(溶媒A)及びACN/HO/ギ酸アンモニウム(95/5/63mg/L)+100μL/L NHOH(溶媒B)を用いて行う。注入量:1μL。MSにおける全流量。
-酸性LCMS方法1:
QDA Waters単純四重極質量分析計をLCMS分析に使用する。この分析計は、ESI源及びダイオードアレイ検出器(200~400nm)を備えたUPLC Acquityを備えている。データは、酸性溶出を用いた正/負モードでm/z70~800のフルMSスキャンで取得される。酸性溶出のためにWaters Acquity UPLC HSS T3 1.8μm(2.1×50mm)カラムで逆相分離を45℃で行う。勾配溶出を、HO/ACN/TFA(95/5/0.05%)(溶媒A)及びACN(溶媒B)を用いて行う。
いくつかの反応混合物を、Isolute(登録商標)分離器相カートリッジ(Biotage製)、酸性カラム又は捕捉及び放出SPE(固相抽出)カートリッジを使用して処理することができた。粗物質を、順相クロマトグラフィー、分取TLC、(酸性又は塩基性)逆相クロマトグラフィー、キラル分離、トリチル化又は再結晶化によって精製することができた。
順相クロマトグラフィーは、シリカゲルカラム(100:200メッシュシリカゲル又は順相カラムクロマトグラフィーシステム用のカートリッジ、例えばBiotage(登録商標)のIsolera(商標)Four又はTeledyne Isco CombiNormal相カラム(登録商標))を使用して行った。
生成物は、一般に、最終分析及び生物学的試験に供する前に真空下で乾燥させた。
NMRスペクトルを、Topspin3.2ソフトウェアを実行するWindows 7 Professionalワークステーション及び5mm二重共鳴ブロードバンドプローブ(PABBI 1H/19F-BB Z-GRD Z82021/0075)又は1mm三重共鳴プローブ(PATXI 1H/D-13C/15N Z-GRD Z868301/004)を装備したBRUKER AVANCEIII 400MHz-Ultrashield NMR分光計で記録した。
化学シフトは、重水素化溶媒(DMSO-d6、MeOH-d4又はCDCl3)の残留プロトンに由来するシグナルを基準とする。化学シフトは百万分率(ppm)で示され、カップリング定数(J)はヘルツ(Hz)で示される。スピン多重度は、ブロード(br)、一重項(s)、二重項(d)、三重項(t)、四重項(q)及び多重項(m)として示される。
全ての最終生成物を、以下のように、塩基性モード及び酸性モードの両方でLCMSによって分析した。
-塩基性LCMS方法2:

QDA Waters単純四重極質量分析計をLCMS分析に使用する。この分析計は、ESI源及びダイオードアレイ検出器(210~400nm)を備えたUPLC Acquity Classicを備えている。データは、塩基性溶出を用いた正/負モードでm/z70~800のフルMSスキャンで取得される。塩基性溶出のためにWaters Acquity UPLC BEH C18 1.7μm(2.1×100mm)カラムで逆相分離を45℃で行う。勾配溶出を、HO/ACN/ギ酸アンモニウム(95/5/63mg/L)+100μL/L NHOH(溶媒A)及びACN/HO/ギ酸アンモニウム(95/5/63mg/L)+100μL/L NHOH(溶媒B)を用いて行う。注入量:1μL。MSにおける全流量。
-酸性LCMS方法2:
QDA Waters単純四重極質量分析計をLCMS分析に使用する。この分析計は、ESI源及びダイオードアレイ検出器(210~400nm)を備えたUPLC Acquity Hclassを備えている。データは、酸性溶出を用いた正/負モードでm/z70~800のフルMSスキャンで取得される。酸性溶出のためにWaters Acquity UPLC HSS T3 1.8μm(2.1×100mm)カラムで逆相分離を45℃で行う。勾配溶出を、HO/ACN/TFA(95/5/0.05%)(溶媒A)及びACN(溶媒B)を用いて行う。
1.式(II)の中間体の調製-2-(3,5-ジクロロ-1H-インダゾール-4-イル)酢酸

DMF(10mL)中の2-(5-クロロ-1H-インダゾール-4-イル)酢酸X(CAS:1904662-08-3、WO2016055479、2.1g、10mmol)の溶液に、室温でNCS(1.5g、11mmol)を少しずつ加え、混合物を一晩撹拌した。100mLの水を滴下することによって反応混合物をクエンチした。1時間撹拌した後、生成物が沈殿した。固体を濾過し、母液相で2回及び水(50mL)で2回洗浄した。次いで、固体を真空下45℃で一晩乾燥させて2-(3,5-ジクロロ-1H-インダゾール-4-イル)酢酸(2.0g、7.62mmol、純度93%、収率76%)を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用する。
酸性LCMS方法2(ES):245/247/249(M+H)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 13.52 (s, 1H), 7.52 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.21 (s, 2H)
2.式(I)の化合物の調製

2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノン
2.1.中間体(IX)の調製
(2R)2-アミノ-3-(2-ブロモフェニル)プロパン-1-オール -a6

(2R)2-アミノ-3-(2-ブロモフェニル)プロパン酸a5(34.0kg、139mol)及びTHF(238L)を反応器に投入する。水素化ホウ素ナトリウム(15.6kg、413mol)を20~30℃でゆっくり添加する。乾燥THF(20.0L)中のヨウ素(35.3kg、139mol)の溶液を0~10℃でゆっくり添加し、反応混合物を70℃で12時間撹拌する。反応物を0℃でメタノール(70.0L)でクエンチし、30分間80℃に加熱した。混合物を冷却し、真空下で濃縮し、残渣をNaOH(30.0L、2N)に懸濁し、次いで濾過した。濾過ケークを真空下で乾燥させて、(2R)-2-アミノ-3-(2-ブロモフェニル)プロパン-1-オールa6を白色固体(31.0kg、135mol、収率96.7%)として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用する。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.57 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.21 - 7.29 (m, 2H), 7.07 - 7.15 (m, 1H), 3.66 (dd, J = 10.5, 3.6 Hz, 1H), 3.41 (dd, J = 10.5, 7.2 Hz, 1H), 3.18 - 3.29 (m, 1H), 2.95 (dd, J = 13.5, 5.5 Hz, 1H), 2.70 (dd, J = 13.5, 8.2 Hz, 1H), 1.51 - 1.91 (m, 3H).
2.2.式(VIII)の中間体の調製
(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オン -a7

(2R)2-アミノ-3-(2-ブロモフェニル)プロパン-1-オールa6(31.0kg、135mol)及びジクロロメタン(220L)を反応器に投入する。トリホスゲン(13.9kg、47.1mol)を室温で添加し、次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(39.1kg、303mol)を0~10℃でゆっくり添加する。反応混合物を0~10℃で1時間撹拌し、次いで、水(50.0L)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンa7をジクロロメタン中溶液として得、これを次の工程で直接使用する。
2.3.中間体(VII)の調製

(10aR)-9-ブロモ-1,5,10,10a-テトラヒドロオキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オン a8

ジクロロメタン(220L)中の(4R)-4-[(2-ブロモフェニル)メチル]オキサゾリジン-2-オンa7(135mol)の溶液を反応器に投入し、0~5℃に冷却する。トリメチルシリルトリフラート(35.9kg、162mol)及びパラホルムアルデヒド(13.3kg、148mol)を0~5℃で添加し、次いで、15~20℃で2時間撹拌する。水(170L)を混合物に添加し、次いで、ジクロロメタン(50.0L)で2回抽出する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。石油エーテル:酢酸エチル(1:1、45.0L)の混合物を添加し、混合物を室温で6時間撹拌し、濾過する。固体を乾燥させて、(10aR)-9-ブロモ-1,5,10,10a-テトラヒドロオキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンa8を灰白色固体(29.0kg、収率80.2%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.45 - 7.52 (m, 1H), 7.08 - 7.14 (m, 2H), 4.83 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 4.62 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 4.36 (d, J = 17.0 Hz, 1H), 4.21 (dd, J = 8.6, 4.9 Hz, 1H), 3.91 - 3.99 (m, 1H), 3.25 (dd, J = 16.3, 4.2 Hz, 1H), 2.67 (dd, J = 16.1, 11.0 Hz, 1H).
2.4.中間体(VI)の調製

2.4.1.[(3R)-5-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノール a9

エタノール(120L)及び水(60.0L)を反応器に混合する。(10aR)-9-ブロモ-1,5,10,10a-テトラヒドロオキサゾロ[3,4-b]イソキノリン-3-オンa8(29.7kg、111mol)を添加し、次いで、水酸化ナトリウム(13.3kg、332mol)を15~20℃でゆっくり添加する。反応混合物を90℃で2時間撹拌し、次いで、室温に冷却する。水(300L)を混合物に添加し、これを遠心分離する。遠心分離ケークを循環オーブン内で乾燥させて、[(3R)-5-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノールa9を白色固体(23.7kg、収率88.3%)として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用する。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.37 - 7.47 (m, 1H), 6.95 - 7.08 (m, 2H), 4.00 - 4.10 (m, 2H), 3.85 (dd, J = 10.9, 3.7 Hz, 1H), 3.57 (dd, J = 10.9, 7.9 Hz, 1H), 3.06 (ddt, J = 11.3, 7.6, 4.1, 4.1 Hz, 1H), 2.79 (dd, J = 17.1, 4.4 Hz, 1H), 2.40 (dd, J = 17.1, 10.9 Hz, 1H), 1.93 (br s, 2H).
2.4.2.[(3R)-5-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン a10

[(3R)-5-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メタノールa9(23.7kg、97.8mol)及びジクロロメタン(240L)を反応器に投入する。DMAP(120g、0.98mol)及びイミダゾール(13.3kg、196mol)を添加する。tert-ブチルジメチルシリル=クロリド(TBSCl)(17.7kg、117mol)を15~20℃でゆっくり添加し、混合物を12時間撹拌する。塩化アンモニウム(100L)を混合物に添加する。有機相を分離し、水(50.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、[(3R)-5-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シランa10を黄色油状物(37.6kg、純度86%、収率93%)として得、これをさらに精製することなく次の工程に使用する。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36 - 7.45 (m, 1H), 7.01 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 4.01 - 4.13 (m, 2H), 3.84 (dd, J = 9.9, 3.7 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 9.8, 7.2 Hz, 1H), 2.96 - 3.08 (m, 1H), 2.75 (dd, J = 17.0, 4.2 Hz, 1H), 2.44 (dd, J = 17.0, 10.8 Hz, 1H), 1.76 - 2.20 (m, 2H), 0.89 - 0.97 (m, 9H), 0.08 - 0.14 (m, 6H).
2.5.中間体(V)の調製
[(3R)-5-ブロモ-3,4-ジヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン
a11
[(3R)-5-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シランa10(3.42kg、8.31mol)及びTHF(30.0L)を反応器に投入する。N-クロロスクシンイミド(NCS)(1.17kg、8.73mol)を室温でゆっくり添加し、混合物を25℃で30分間撹拌する。乾燥メタノール(7.00L)中のKOH(1.52kg、27.1mol)の溶液を室温でゆっくり添加し、反応物を25℃で1時間撹拌する。反応物を水(10.0L)でクエンチし、石油エーテル:酢酸エチル(1:2、5.00L)で抽出する。有機層を分離し、ブライン(10.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。この全体的な手順を同じサイズの10のバッチに対して並行して行い、10の反応濾液を合わせ、真空下で濃縮して、[(3R)-5-ブロモ-3,4-ジヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シランa11を褐色油状物として得(28.0kg、粗製)、これをさらに精製することなく次の工程で使用する。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.24 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 7.8, 1.2 Hz, 1H), 7.12 - 7.25 (m, 2H), 4.03 (dd, J = 9.5, 4.0 Hz, 1H), 3.67 - 3.77 (m, 2H), 3.07 (dd, J = 17.0, 6.2 Hz, 1H), 2.68 (dd, J = 17.1, 10.9 Hz, 1H), 0.88 - 0.91 (m, 9H), 0.07 (d, J = 1.5 Hz, 6H).
2.6.式(IV)の中間体の調製
2.6.1.[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン(IVa)

[(3R)-5-ブロモ-3,4-ジヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シランa11(3.10kg、8.75mol)及びTHF(20.0L)を反応器に投入する。混合物を0℃に冷却し、塩化メチルマグネシウム(3M、11.6L)を添加する。混合物を20℃で12時間撹拌する。反応物を塩化アンモニウムの飽和溶液でクエンチする。相を分離し、水層を石油エーテル:酢酸エチル(3:1、5.00L)で2回抽出する。合わせた有機相をブライン(10.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。この全体的な手順を、同じサイズの9つのバッチに対して並行して行い、9つの反応濾液を合わせ、真空下で濃縮する。粗混合物を、石油エーテル:酢酸エチル(10:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン(IVa)を褐色油状物(4.60kg、純度99.7%、収率15.7%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.41 (dd, J=7.7, 0.9 Hz, 1H), 7.12 - 7.18 (m, 1H), 7.03 - 7.11 (m, 1H), 4.12 (q, J=6.8 Hz, 1H), 3.62 (d, J=5.7 Hz, 2H), 3.07 - 3.17 (m, 1H), 2.67 - 2.76 (m, 1H), 2.26 (dd, J=16.9, 10.0 Hz, 1H), 2.12 (br s, 1H), 1.32 (d, J=6.8 Hz, 3H), 0.84 - 0.93 (m, 9H), 0.07 (d, J=0.9 Hz, 6H).
2.6.2.tert-ブチル(1S,3R)-5-ブロモ-3-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボキシラート(IVb)

[(1S,3R)-5-ブロモ-1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン(IVa)(1.85kg、4.99mol)及びジクロロメタン(13.0L)を反応器に投入する。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.94kg、14.9mol)及びジ-tert-ブチル ジカーボネート(1.14kg、5.24mol)を室温で添加し、混合物を12時間撹拌する。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(10.0L)で2回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過する。この全体的な手順を、同じサイズの2つのバッチに対して並行して行い、2つの反応濾液を合わせ、真空下で濃縮する。粗混合物を石油エーテル:酢酸エチル(30:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、tert-ブチル(1S,3R)-5-ブロモ-3-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボキシラート(IVb)を黄色油状物(4.00kg、純度99.5%、収率85.2%)として得る。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.50 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.22 (br d, J = 6.7 Hz, 1H), 7.06 - 7.18 (m, 1H), 4.84 (br s, 1H), 4.12 (br s, 1H), 3.46 (br d, J = 15.4 Hz, 2H), 2.94 (br dd, J = 15.8, 5.2 Hz, 1H), 2.71 (br t, J = 9.5 Hz, 1H), 1.45 (s, 9 H), 1.28 (br s, 3H), 0.81 (s, 9H), -0.08 (s, 6H).
2.6.3.tert-ブチル(1S,3R)-3-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボキシラート(IVc)

乾燥THF(0.5M溶液)中のtert-ブチル(1S,3R)-5-ブロモ-3-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボキシラート(IVb)(42.5g、90.3mmol)の溶液及びヘキサン中のn-ブチリチウムの市販溶液(1.6M溶液)を、それぞれ6.0ml/分(1.0当量)及び2.46mL/分(1.3当量)でポンプ輸送し、-40℃に冷却したガラスマイクロチップ内で混合した。混合フローストリームをマイクロチップ(0.3mL)の反応ゾーン1を通してポンプ輸送し、次いで、6.0mL/分(27当量)でポンプ輸送した乾燥アセトンの溶液(13.5M)と合わせた。次いで、得られたストリームを-40℃でマイクロチップ(0.7mL)の反応ゾーン2に通した。最後に、反応器を出る全体的なフローストリームを回収し、塩化アンモニウム水溶液の飽和溶液中で室温でクエンチした。全ての供給溶液を消費し、二層反応混合物を得た。水層を有機層から分離した後、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。黄色油状物を得て(46.5g)、GreenSep Nitroカラム(CO 98%/EtOH2%溶離液を使用した10μ、5×22.3)でのSFCクロマトグラフィーによって精製した。溶媒を真空下で除去して、白色固体tert-ブチル(1S,3R)-3-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボキシラート(IVc)(25g、56mmol、収率62%)を得た。
UPLC_MS塩基性:3.83分で1ピーク(ES+):350(M-Boc+H)、332(M-Boc-HO+H)、純度100%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.44 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.19 (dt, J = 8.1, 5.2 Hz, 1H), 7.09 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 4.99 (s, 1H), 4.87 (dq, J = 13.4, 6.4 Hz, 1H), 4.11 (s, 1H), 3.96 (t, J = 14.9 Hz, 1H), 3.48 (dd, J = 9.4, 4.1 Hz, 1H), 2.98 (dd, J = 16.5, 5.0 Hz, 1H), 2.89 (t, J = 9.6 Hz, 1H), 1.65 (s, 3H), 1.58 (s, 3H), 1.55 (d, J = 2.5 Hz, 9H), 1.34 (dd, J = 20.5, 6.6 Hz, 3H), 0.90 (s, 9H), 0.08 (d, J = 7.2 Hz, 3H), -0.00 (s, 3H).
2.7.中間体(III)の調製 tert-ブチル-ジメチル-[[(1S,3R)-1-メチル-5-(1-メチル-1-トリメチルシリルオキシ-エチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ]シラン

tert-ブチル(1S,3R)-3-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-カルボキシラート(IVc)(148g、純度87%、287mmol)を1000mLのジクロロメタンに溶解し、2リットルの二重壁反応器に移す。2,6-ルチジン(100mL、860mmol)を添加し、ジャケット温度を-2℃に設定する。トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(154g、129mL、692mmol)を添加漏斗を介して40分間にわたって添加する。添加開始から2時間後、650mLのクエン酸水溶液(1M)を添加して反応をクエンチし、混合物の温度を20℃に戻す。クエンチの開始から1時間後に、層を分離する。有機層を350mLのクエン酸水溶液(1M)で2回洗浄する。有機層を750mLの炭酸ナトリウム水溶液(10%w/w)と共に10分間撹拌した後、層を分離する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。次いで、有機層を濾過し、濾液を真空下40℃で濃縮して、tert-ブチル-ジメチル-[[(1S,3R)-1-メチル-5-(1-メチル-1-トリメチルシリルオキシ-エチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ]シラン(III)の黄色油状物(128g)を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用する。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.19 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.07 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.24 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.75 (dd, J = 9.7, 4.4 Hz, 1H), 3.60 (dd, J = 9.7, 7.0 Hz, 1H), 3.54 (dd, J = 16.3, 3.5 Hz, 1H), 3.15 (ddt, J = 10.9, 7.4, 4.0 Hz, 1H), 2.52 (dd, J = 16.3, 10.9 Hz, 1H), 1.66 (d, J = 14.6 Hz, 6H), 1.52 - 1.43 (m, 3H), 0.92 (q, J = 1.2 Hz, 9H), 0.14 (q, J = 1.2 Hz, 2H), 0.09 (d, J = 1.1 Hz, 6H), 0.00 (q, J = 1.2, 0.8 Hz, 9H).
2.8.式(I)の化合物の調製 2-(3,5-ジクロロ-1H-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノン

室温のDMF(2.00mL)中の2-(3,5-ジクロロ-1H-インダゾール-4-イル)酢酸(II)(200mg、0.82mmol)の溶液に、tert-ブチル-ジメチル-[[(1S,3R)-1-メチル-5-(1-メチル-1-トリメチルシリルオキシ-エチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-イル]メトキシ]シラン(413mg、0.98mmol)、DIPEA(405μL、2.44mmol)及びCOMU(398mg、0.90mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をEtOAc及び水で希釈し、層を分離し、水層をEtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層を水(3回)、飽和NaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、褐色残渣を得た。粗生成物をシリカ(ヘプタン:EtOAc 100:0~0:100の勾配での25g SFARシリカゲルカラム)で濾過して、1-[(1S,3R)-3-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-1-メチル-5-(1-メチル-1-トリメチルシリルオキシ-エチル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-2-(3,5-ジクロロ-1H-インダゾール-4-イル)エタノンと1-[(1S,3R)-3-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-2-(3,5-ジクロロ-1H-インダゾール-4-イル)エタノンの(1:1)混合物を黄色油状物(320mg)として得、これを室温でTHF(3mL)に直接溶解した後、TBAF(1.02mL、1.02mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をEtOAc及び水で希釈し、層を分離し、有機層を水で洗浄し(3回)、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して無色油状物を得た。粗生成物を塩基性条件(水/NHOH中20%~100%のCHCNの勾配でのC18
SNAP 60gゲルカラム、1.0gずつ)で逆相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Fourによって精製して、2-(3,5-ジクロロ-1H-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノン(I)(37.0mg、0.08mmol、収率10%)を白色固体として得た。
塩基性LCMS方法2:3.72分で1ピーク(ES):462[M+H]、純度98%。酸性LCMS方法2:4.14分で1ピーク(ES):462[M+H]、純度98%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.54 - 7.49 (m, 1H), 7.49 - 7.43 (m, 1H), 7.40 (dd, J = 7.5, 1.8 Hz, 0.3H), 7.35 (dd, J = 7.9, 1.3 Hz, 0.7H), 7.23 - 7.04 (m, 2H), 5.31 (q, J = 6.6 Hz, 0.3H), 5.14 (s, 0.3H), 5.12 (s, 0.7H), 5.05 (q, J = 6.4 Hz, 0.7H), 4.96 (t, J = 5.5 Hz, 0.7H), 4.64 - 4.30 (m, 3H), 4.17 (q, J = 5.4 Hz, 0.3H), 4.10 -3.98 (m, 1H), 3.30 (tt, J = 9.8, 5.0 Hz, 1H), 3.05 (dd, J = 16.1, 4.4 Hz, 1H), 2.97 (p, J = 7.8, 6.3 Hz, 1H), 1.57 (d, J = 9.6 Hz, 6H), 1.53 (s, 1H), 1.24 (d, J = 6.5 Hz, 2H).

Claims (10)

  1. 式(I)の2-(3,5-ジクロロ-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノン又はその薬学的に許容される塩。
  2. 治療に用いるための、請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  3. D1受容体が関与する疾患及び/又は障害の治療及び/又は予防に用いるための、請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  4. 統合失調症における認知症状及び陰性症状、神経弛緩療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病及び他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病薬物嗜癖、睡眠障害、アパシー、外傷性脊髄損傷又は神経障害性疼痛の治療及び/又は予防に用いるための、請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  5. パーキンソン病及び他の運動障害、アルツハイマー病、又は統合失調症における認知症状及び陰性症状の治療に用いるための、請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
  6. 請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の、D1受容体が関与する疾患及び/又は障害の治療及び/又は予防に有用な医薬品の製造のための、使用。
  7. 請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の、統合失調症における認知症状及び陰性症状、神経弛緩療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病及び他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、薬物嗜癖、睡眠障害、アパシー、外傷性脊髄損傷又は神経障害性疼痛の治療及び/又は予防に有用な医薬品の製造のための、使用。
  8. D1陽性アロステリック調節因子の投与が指定されている障害の治療及び/又は予防のための方法であって、有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
  9. 統合失調症における認知症状及び陰性症状、神経弛緩療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病及び他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、薬物嗜癖、睡眠障害、アパシー、外傷性脊髄損傷又は神経障害性疼痛の治療及び/又は予防のための方法であって、有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
  10. 請求項1に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体とともに含む、医薬組成物。

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