JP2023552194A - 省スペースな統合型3路分岐ユニットスイッチモジュール - Google Patents
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Abstract
本開示の態様は、海中用途に適した統合型3路分岐ユニットスイッチモジュールを対象としたシステム、方法及び構造を説明する。【選択図】図9
Description
本開示は、一般に、光通信システム、方法及び構造に関する。より具体的には、特に海底用途に適用できる、省スペースな統合型3路分岐ユニットスイッチモジュールについて記載する。
光通信技術において知られているように、海底光通信の設備及びケーブルは、インターネットを含む世界的な規模の通信のますます重要なコンポーネントになっている。分岐ユニットは、このような海底設備の特に重要なコンポーネントである。この重要性を考慮すると、分岐ユニットの改良は当該技術分野における歓迎すべき追加となるであろう。
特に海底用途に好適な省スペースな統合型3路分岐ユニットスイッチモジュールを対象とする本開示の態様によって、当該技術分野の進歩がもたらされる。
従来技術とは明らかに対照的に、本開示によるシステム、方法及び構造は、第1、第2及び第3の光ケーブルに接続されるように構成され、各光ケーブルのそれぞれが地上局A、BまたはCとそれぞれ光通信する海底光通信用の3路の分岐ユニットスイッチモジュールであって、モジュールは、第1の光ケーブルと光通信するスイッチの第1のペアと、第2の光ケーブルと光通信するスイッチの第2のペアと、第3の光ケーブルと光通信するスイッチの第3のペアとを有し、スイッチの第1、第2及び第3のペアは、それらのペアの一方のスイッチがスイッチの他の2つのペアの一方とそれぞれ光通信し、スイッチの第1、第2及び第3のペアは、それらのペアの他方のスイッチがスイッチの他の2つのペアの他方とそれぞれ光通信する、3路の分岐ユニットスイッチモジュールを対象とする。
本開示のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって実現され得る。
例示的な実施形態は、図面及び詳細な説明によってさらに十分に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は、様々な形態で具体化することが可能であり、図面及び詳細な説明に記載された特定のまたは例示的な実施形態に限定されない。
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。したがって、当業者であれば、本明細書で明示的に説明または図示されていなくても、本開示の主旨及び範囲に含まれる、本開示の原理を具体化する様々な構成を考え出すことができることを理解されたい。
さらに、本明細書で挙げる全ての実施例及び条件付き用語は、本開示の原理及び本技術を促進するために本発明者らが提示する概念の理解を助ける教育目的のためだけであることを意味し、具体的に挙げられた実施例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。
さらに、本開示の原理、態様及び実施形態、並びにその特定の実施例で挙げる本明細書の全てのステートメントは、その構成及び機能の均等物の両方を含むことを意味する。さらに、そのような均等物には、現在知られている均等物と、将来開発される均等物、すなわち構成に関係なく同じ機能を実現する、開発された要素の両方を含むことを意味する。
したがって、例えば、本明細書の任意のブロック図は、本開示の原理を実施する回路の実例を示す概念図であることが当業者に理解されよう。
本明細書では、特に明記しない限り、図を含む図面は、正確な縮尺率で描かれていない。
図を用いて説明するように、本開示の態様は、当該技術分野で提供されているものよりもはるかに小さい筐体ユニットを含む、省スペースな設計を有利に示しながら接続性の向上と共にパスの多様性を提供する水中通信ケーブル(すなわち、海底)分岐ユニット(BU)を含む。
追加の背景として、図1を参照すると、以下のことが挙げられる。図1は、当該技術分野で一般的に知られている例示的な海底光ファイバ通信ケーブルシステムの概略図である。図1で示すように、送信されるデータはいずれか1つのケーブル局から発信される。それは海底ケーブルを介して海を越えた他のケーブル局に送られる。
当業者であれば容易に理解できるように、またこの図を見ることで観察できるように、海底ケーブルは主として(1)ケーブルスパン及び(2)リピータの2つの部位を有する。ケーブルスパンは40kmから150km、あるいはそれ以上になる場合もあるが、通常は50~80kmの範囲である。多くの場合、そのようなケーブルスパンは、当該技術分野では単にスパンと呼ばれる。
ケーブルスパンには図示するようないくつかの要素が含まれるが、本明細書の目的のため、我々の関心の主要な部分は光ファイバケーブルに関するものである。当該技術分野で知られているように、光ファイバは、低損失で光を導くことができる非常に細いガラスのストランドである。光ファイバは、非常に細く、通常、直径はわずか約250ミクロンである。
一般に、光ファイバは、略円筒状の純石英ガラスから成る。光は、クラッドで囲まれた、ドープされた中心コアを通して導かれる。通常、コアの直径は5~12マイクロメートル程度であり、クラッドの直径は約125マイクロメートルである。ガラス部分は保護するためにさらにポリマーでコーティングされており、通常、全体の直径は250マイクロメートルになる。
一般に、光ファイバケーブルは、多数の個別のファイバを含んでいる。個々のファイバは追加のデータを伝送できる。したがって、データ容量はケーブルにおけるファイバの数にほぼ比例する。
光ファイバは非常に細いため、原理的には、より多くのファイバを追加することでケーブル容量を大きく増大させることができる。しかしながら、光ファイバケーブルを使用する光ファイバ伝送システムの電力制限のため、これは該当しない。ファイバは低損失であり、そのような低損失の結果として、わずか1スパンの後に光パワーが1%に低下することがある。したがって、1スパンの後、ファイバを通過する光を増幅する必要がある。
増幅は、一般に中継器と呼ばれる海底ケーブルシステムの別の主要なコンポーネントに収容されるアクティブ増幅器のコンポーネントによって行われる。リピータ内には、通常、各ファイバ専用の増幅器が1つある。ケーブルシステムでサポートできるファイバの数に対する制限の1つは、リピータに収容できる増幅器の数である。もう1つの制限は、海底システムに存在する電力が限られていることである。
知られているように、各増幅器は電力を用いて光パワーを増幅する。そのような電力は、数千キロメートルにも及ぶ海底ケーブルシステムの両端から必然的に供給しなければならない。
図1において、当該技術分野で分岐ユニット(BU)として知られている要素にさらに注目されたい。これらの分岐ユニットは、通常、海底に設置される。これらは、トラフィックを複数の方向へ送信できるようにするコンポーネントを含む。このような方向付け/方向変更は、通常、波長選択性の有無にかかわらずスイッチによって実現される。当業者には容易に理解され、認識されるように、バス等のコンポーネントは、それらを海底環境から保護する筐体内に配置される。
一般に、水中に設置できる筐体の最大サイズには制限があり、これはコストにも関係することに留意されたい。一般に、筐体が大きくなるとコストも上昇するため、スイッチング設計のサイズは小さい方が有利である。筐体のサイズに影響するもう1つの要因は、ケーブルにおけるファイバペアの数である。スイッチング機能を持たせる必要があるファイバペアの数が増えるほど、より多くのスイッチングコンポーネントを筐体内に配置する必要があり、筐体のサイズを大きくする必要がある。
これから図示して説明するように、本明細書で開示する発明のコンセプトは、リンクの一部に障害または損傷がある場合に、改良されたパスの多様性を有する光ファイバケーブル伝送システムを提供する。本アプローチは、これを達成すると同時に、システム全体のコストを最小限に抑制しつつ、達成可能な最大の容量を維持する。
本開示に関連するのは、典型的には水中に位置する分岐ユニット(BU)である。分岐ユニットには、通常、光通信のトラフィックをいずれかのアームに向けることを可能にする、幾つかの「アーム」とコンポーネントが含まれている。このような機能は、通常、波長選択性の有無にかかわらず、BU内のスイッチを含むコンポーネントによって提供される。これらのコンポーネントは、環境から保護される防水/頑丈なBU筐体に配置されている。このようなBU筐体の例示的な例が図1に示されている。
当業者であれば、水中に設置できるBU筐体の最大のサイズには実務的な制限があり、これはコストにも関係することを容易に理解し、認識するであろう。一般に、より大きな筐体ほどコストが高くなる。したがって、スイッチングユニットのサイズは小さいことが望ましい。筐体のサイズに寄与するさらなる別の要因は、海底ケーブルにおけるファイバペアの数である。スイッチング機能を持たせる必要があるファイバペアの数が増えるほど、より多くのスイッチングコンポーネントを筐体内に配置する必要があり、筐体のサイズを大きくする必要がある。
さらに、当業者であれば理解されるように、海中/海底光ケーブル伝送システムは、障害が発生した場合の予測不能な事例に対して十分な/改良されたパスの多様性を示さなければならない。このような多様性は、比較的低コストで達成可能な最大容量(接続性)を維持しながら提供される必要がある。
図2は、本開示の態様による分岐ユニットによってパスの多様性が達成される例示的な海底光ファイバ通信ケーブルシステムの概略図である。図に示されており、当業者には容易に理解されるように、この図は、パスの多様性が接続性の向上に役立つ例を示している。具体的には、殆んどのトラフィックで必要となる地上局Aを地上局Bのみに接続する代わりに、BUを用いて2つのパスに分割し、AをBとCの両方に接続し、BをCに接続する。
もちろん、場合によっては、BとCの間のコネクションが海底ケーブルまたは地上ネットワークを介して既に存在している可能性がある。BUとBとの間、BUとCとの間、BとCとの間等の高リスク領域で損傷が発生した場合、代替ルートを利用して修復中に接続を維持できる。この機能を実現するには、BUでトラフィックをAからB、またはAからC、またはBからCに転送できる必要がある。このような機能を3路スイッチング(3WS)と呼ぶ。
上述したように、海底システムの海底ケーブルは、通常、複数のファイバペアを有する。ペアにおける各ファイバは、同じ2つのエンドポイント間で反対方向にトラフィックを転送する。いくつかの構成では、BUに接続されている3本のケーブル全てに同じ数のファイバペアが接続されている。これは、コストを考慮することやケーブルに収容できるファイバペアの最大数の制限が理由である。
BUとBとの間に損傷がある状況では、全てのトラフィックがAとCの間に接続される可能性がある。しかし、損傷がない場合、ケーブル事業者は、状況に応じて、AB、AC及びBC間のトラフィック負荷に応じてトラフィックを再配分する。当業者であれば、コネクション間にどのくらいの容量を割り当てるかを制御することが好ましいが、達成可能な総容量は設定に依存する可能性があることを容易に理解するであろう。
図3は、本開示の態様による、各実線がファイバペアに対応し、破線が考えられるコネクションパスを示す、BU接続を示す概略図である。
図3は、4ファイバペアシステムでこの機能を実現できる接続図を示している。この図を参照すると、例として、Aからのファイバペア1のトラフィックは、Bのファイバペア1またはCのファイバペア2のいずれかに接続できる。Bからのファイバペア1のトラフィックは、Aのファイバペア1またはCのファイバペア1のいずれかに接続できる。Cからのファイバペア1のトラフィックは、Bのファイバペア1またはAのファイバペア2のいずれかに接続できる。Aからのファイバペア2のトラフィックは、Bのファイバペア2またはCのファイバペア1のいずれかに接続できる。Cからのファイバペア2のトラフィックは、Aのファイバペア1またはBのファイバペア2のいずれかに接続できる。ファイバペア3と4のコネクションを見つけるには、1を3に置き換え、2を4に置き換えればよい。
図3における接続図は、スイッチングが2つのファイバペアに限定されることに留意すれば、この設計がさらに簡素化できることを示している。例えば、図3の例では、スイッチングはファイバペア1と2の間に限定され、別のスイッチングはファイバペア3と4の間に限定されるなどである。ケーブルに多数のファイバペア(例えば24または36)がある場合でも、スイッチングは2つのファイバペアのグループ間でのみ発生する。ここからは、これらをスイッチンググループと称す。
図4(A)及び図4(B)は、スイッチを備えず、地上局Aとの接続側に1×2スイッチが接続されているBUに関するBU接続を示す概略図である。1×2スイッチが示されており、実線はBU内の占有パスを示し、点線はBU内の占有されていないパスを示し、グレー表示されたファイバはトラフィックを伝送していないファイバを示す。
この図から、BU内でスイッチを用いることの利点が推測される。図4(A)で示すように、スイッチは存在しない。コネクションは様々な方法で設定できるが、所望であるなら、この場合は最大の接続を実現できる。最大の接続とは、全てのファイバペアが接続されて、トラフィックを伝送できることを意味する。この4ファイバペアシステムの例では、トラフィックを伝送するコネクションが合計6つある。但し、残念ながら、この構成には大きな欠点がある。いずれかのコネクションで障害が発生した場合、6つのコネクションのうちの4つが失われる。このようなシナリオからシステムを守る方法は無い。例えば、BUと地上局Cとの間で障害が発生した場合、理想的には全てのトラフィックをリンクACに方向変更したいと考えるが、それはできない。多くの場合、パスの1つが他のパスよりも優先される。例えば、地上局がBUよりもBまたはCと比べてかなり遠い場合がある。このような場合、トラフィックがBまたはCのいずれかに接続されていることを確認することが重要である。これは、図4(B)で示すようにスイッチを追加することで達成できる。ここで、スイッチとは、最も信頼性が高く、コスト及びスペースを節約する傾向がある、1×2スイッチである。このようなスイッチを設置すると、BUとBの間、またはBUとCの間のいずれかで損傷があった場合、修復が完了するまで全てのトラフィックを健全なサイドに切り替えることができる。但し、欠点は、損傷がない場合、最大接続数が4コネクションのみに制限されることである。図4(B)からわかるように、他の分岐で障害が発生した場合に備えて、4ファイバペアは接続無しで待機する必要がある。
図5(A)、図5(B)及び図5(C)は、本開示の態様による、スイッチの異なる状態における3路スイッチを備えたBUに関するBU接続を示す概略図である。これらの図を参照すると、全ての地上局からの全てのファイバペアにスイッチを追加することで、全てのファイバペアの3路スイッチング機能を実現できることが分かる。この場合、接続は、図4(A)及び図4(B)で示した両方の利点を提供するように構成できる。
実際、図5(A)は、図4(A)と同じ接続を示し、図5(B)は、図4(B)と同じ接続を示す。さらに、図5(C)で示すように、地上局Aからのトラフィックだけでなく、どの地上局でもトラフィックの完全な保護を実現できる。但し、3路の接続を実現するこの方法の大きな課題と欠点は、3倍のスイッチ数が必要になることである。
我々の開示は、低コストで信頼性の高いスイッチを使用して3WS機能を実現する方法を説明する。これから説明するように、異なる利点を備えた2つの設計を紹介する。第1の設計は、全体的な挿入損失が最も低い、1×2スイッチを使用する。第2の設計は、2×2スイッチに基づくものであり、挿入損失はわずかに高くなるが、使用するスイッチの数が半分になるため、費用対効果が高く、占有スペースも小さくなる。
図6は、本開示の態様による、本発明の1×2アーキテクチャのトポロジを示す概略図である。各ファイバペアを単一の線で表した先の図とは異なり、図6ではファイバペアにおける各ファイバを明示的に示していることに留意されたい。ここでは、3つの局からの2つのファイバペアで構成されるスイッチンググループに注目しているため、合計で12本のファイバがある。1×2スイッチを各ファイバに接続することは、12台の1×2スイッチを意味する。これらのスイッチは、同一かつ双方向にしてもよく、単一方向にしてもよい。その場合、送信機側に接続されたスイッチは単一のサークルポートで信号を受信し、受信機側に接続されたスイッチは2つのサークルポートの一方から信号を受信する。各スイッチには、他のスイッチから独立した2つの状態がある。したがって、モジュールは合計で
通りの異なる構成が可能である。これら4096の状態のうち、4つの異なる状態を達成することに関心を向ける。これらの4つの状態は表1にまとめられている。表1では、地上局間で固有の設定を構成できる、スイッチの個別の設定としての状態が定義されている。一例として、状態1は各地上局間に1つのコネクションを提供し、状態2は地上局AとBとの間に2つのコネクションを実現するが、地上局AとCとの間及び地上局BとCとの間等には何も実現しない。
さらに図6を参照すると、図6は、図中の六角形がXnYとしてラベル付けされてスイッチに接続されたファイバペアを示している。ここで、Xは、接続されている地上局に対応するA、BまたはCであり、nはファイバペアの番号1または2であり、Yは送信機を表すTまたは受信機を表すRである。例えば、A1Rは、スイッチを地上局Aの受信機に接続するファイバペア1のファイバに対応する。C2Tは、信号を地上局Cの送信機からスイッチに送るファイバペア2のファイバである。図中の各長方形は1つの1×2スイッチに対応する。各スイッチ内の3つの黒丸はスイッチングノードを表す。背面の1つの円は、一度に前面のいずれかの円へのコネクションを確立する。
図7は、12台の1×2スイッチを用いるアーキテクチャで考えられる4つのモジュールの状態を示す概略図である。コネクションで伝送するトラフィックは太い色付けされた矢印で示され、トラフィックを伝送しないコネクションは細い線/矢印で示されている。この図で示すように、12台の1×2スイッチアーキテクチャが、表1で概説される4つの状態全てをどのように達成できるのかが分かる。矢印は、その設定におけるトラフィックとトラフィックを伝送しないコネクションの方向を示し、太い矢印はトラフィックを伝送するコネクションとその方向を示す。このアーキテクチャでは、状態1を実現する方法が2つある。代替設定を図4に示す。このアーキテクチャでは、全てのコネクションのトラフィックが一方向であることに留意されたい。
図8は、本開示の態様による、状態1を達成するための例示的な代替設定を示す概略図である。
図9は、本開示の態様による、6台の1×2スイッチ及び6台のサーキュレータを含む例示的なスイッチ及びサーキュレータ設計の概略図であり、サーキュレータは円として示され、矢印は各コネクションにおけるトラフィックの方向を示す。この設計では、アクティブなコンポーネントの数が半分に減り、モジュール全体の信頼性が向上する。スペースも小さくなる。図9は、この設計のアーキテクチャを示している。
本開示の態様による、6台の1×2スイッチ及び6台のサーキュレータを用いるアーキテクチャの4つの考えられるモジュール状態を示す概略図である図10で観察できるように、SwCは表1で示される4つの状態全てを達成できることに留意されたい。コネクションで伝送されるトラフィックは太い矢印で示され、トラフィックを伝送しないコネクションは線/矢印で示されている。
当業者であれば、サーキュレータが、どのポートで光を受け取るか、どの方向に光を導く受動部品であるかを理解するであろう。一例として、図10における状態=1の構成においてCR3とマークされたサーキュレータ3を見ると、B1Tから到達する光はスイッチに接続されたポートに向けられる。スイッチからサーキュレータに到達する光は、B1Rとマークされたファイバに接続されたポートに向けられる。12スイッチ設計とSwCとを比較すると、アクティブコンポーネント(スイッチはアクティブコンポーネント)の数が半分に減ったことが分かる。受動部品は故障し難いため、SwC設計の信頼性が高くなることが期待される。さらに、サーキュレータはスイッチと比べて小型になることが期待されるため、スイッチとサーキュレータを同じパッケージに統合することも可能である。結果として、この設計は従来技術と比べて省スペースという有利な点を有することになる。
一方、この設計には2つの欠点がある。第1に、SwCではサーキュレータとスイッチが直列に配置されている。したがって、トラフィックは両方のコンポーネントで挿入損失が発生する(2回、合計で4つのコンポーネント)。これに対して、12スイッチ構成では、トラフィックは2つのスイッチのみで挿入損失が発生する。第2に、黒い矢印で示されているように、一部のコネクションではトラフィックを両方向に同時に伝送する。これは、一般的に、一部のシステムではコヒーレント干渉を引き起こす可能性があるため、望ましくない特徴である。
12スイッチ構成の場合と同様に、SwCのケースにおいて、状態1の構成を実現するには2つの考えられる方法がある。代替えの構成を図11に示す。
ここでは、表1の4つの状態を達成するために6台の2×2スイッチのみを必要とする第3の設計について説明し、これを6スイッチ設計(6S)と称す。この設計では、アクティブなコンポーネントの数をわずか6つに減らし、サーキュレータを追加する必要がないため、サーキュレータによる余分な損失を回避しつつ、完全な単一方向のトラフィックも実現する。
図12は、本開示の態様による、2×2スイッチングアーキテクチャの例示的なトポロジを示す概略図である。図中の六角形は、XnYにラベル付けされたスイッチに接続されるファイバペアを示す。Xは、接続されている地上局に対応するA、BまたはCである。nは、ファイバペアの番号であり、1または2であり、Yは送信機を表すTまたは受信機を表すRである。例えば、A1Rは、スイッチを地上局Aの受信機に接続するファイバペア1のファイバに対応する。C2Tは、信号を地上局Cの送信機からスイッチに届けるファイバペア2のファイバである。図中の各茶色の長方形は1つの2×2スイッチに対応する。各スイッチ内の4つの黒丸はスイッチングノードを表す。4つのスイッチングノードはいずれかに接続されている。
表1における4つの状態を達成するためのコネクションは、6台の2×2スイッチのみを使用するアーキテクチャについて示された4つの考えられるモジュール状態を示す概略図である図13に概略的に示されている。
表1において4つの状態の全てをどのように達成するかをより詳細に説明する。状態1、すなわちAとBの間、AとCの間、並びにBとCの間でそれぞれ1つのコネクションを実現するため、赤い線はA1TからB2Rへのトラフィックフローを示している(A1Tは送信機が地上局Aのファイバペア1に接続され、B2Rは受信機が地上局Bのファイバペア2に接続されている)。一方、明るい赤色の矢印は、B2TからA1Rへの戻りトラフィックを示している。緑色の矢印はA2TからC2Rへのトラフィックフローを示し、薄緑色の矢印はC2TからA2Rへの戻りトラフィックを示す。青い矢印はC1TからB1Rへのトラフィックフローを示し、水色の矢印はB1TからC1Rへの戻りトラフィックを示す。
同様に、状態2、すなわち地上局Cへのコネクションを持たないAとBの間の2つのコネクションを達成するため、この場合、Cの地上局へのコネクションは確立されていないが、地上局Cに接続されたファイバペアに接続されたスイッチを引き続き利用する。状態2を説明するためにスイッチにラベルを付与した。状態1と同様に、青い矢印で示されているように、トラフィックはA1Tからsw1及びsw6を経由してB2Rに送られる。水色の矢印で示す戻りパスでは、B2Tがsw6及びsw1を介してA1Rに接続される。地上局AとBの間には2つのコネクションが確立されている必要があるため、第2のコネクションが必要である。このコネクションは、A2TをB1Rに接続し、B2TをA1Rに接続する必要がある。但し、A2Tに接続されているsw2とB1Rに接続されているsw5の間にはダイレクトコネクションが無い。したがって、地上局が接続されていないため、sw2とsw5を、sw3を経由して接続できる。同様に、sw4を介してsw1とsw6の間のコネクションをパッチして、B1TをA2Rに接続できるようにする。
状態2、3及び4の場合、一部のコネクションは、12台の1×2スイッチを有する第1の設計のように、2つのスイッチだけではなく、合計で3つのスイッチを通過しなければならないことに留意されたい。
6台の2×2スイッチを備えたこの最後の設計構成を使用することの別の利点は、地上局が他の地上局に接続されていない場合、トラフィックが自動的に戻されることである。例えば、地上局Cが切断されている状態2の場合、C1TからのトラフィックはC1Rに戻され、C2TからのトラフィックはC2Rに戻される。これを、12台の1×2スイッチを備えた最初の設計と比較する。状態2の場合、C1T及びC2Tからのトラフィックがスイッチでブロックされ、C1R及びC2Rに戻るトラフィックは無い。海底システムでは、通常、リンク内の全ての増幅器は常にオンで保たれており、特に増幅器とリンクを適切に監視するために、設計された動作に対して特定の入力電力を持つように構成されている。その結果、設計6Sの場合、設計電力レベルまたはそれに近いレベルで受信機に接続されたリンクを通過するトラフィックが常に存在する。
ここで、設計3をさらに統合する方法を示して説明する。但し、この統合を行う最も効果的な方法を説明するため、設計3は似ているが、少し異なる方法でキャストする。
図14は、本開示の態様による、6台の2×2スイッチのみを用いるアーキテクチャについて示される4つの考えられるモジュール状態を示す概略図である。スイッチ内部のコネクションとスイッチ間のコネクションを示す。
図15(A)は、本開示の態様による、図13で使用される2×2スイッチの構成の2つの状態を示す概略図であり、図15(B)は、本開示の態様による、図14で使用される2×2スイッチの構成の2つの状態を示す概略図である。
図13と図14のアーキテクチャが類似している理由をさらに理解しやすくするため、図15(A)及び図15(B)に、これら2つのケースで使用される2×2スイッチの機能図を示す。どちらの場合も、2×2スイッチには通過または反射という2つの状態が考えられる。この図では、通過状態にクロスオーバーがあり、これはスイッチの設計選択に応じて発生する可能性があるが、どちらのファイバが左側のどちらの端に接続されているかを反転することで、一方を他方に変換できるため、これら2つのスイッチが同じ機能を実行することが明確に確認できる。
図14は、スイッチンググループのコネクションが2つのばらばらなグループに分割できることを明確に示している。上のグループには、3つのスイッチsw1、sw2、sw3で互いに接続されたA1T、A2R、B2T、B1R、C2T及びC1Rが含まれ、下のグループは、残りの3つのスイッチsw4、sw5、sw5で接続されたA1R、A2T、B2R、B1T、C1R及びC1Tで構成される。これら3つのグループ間のコネクションは実質的に同じであるため、最初に3つのスイッチからなるこれら2つのグループの統合に焦点を当てればよい。基本的には3台の2×2スイッチを統合することを中心に考える。
先に強調したように、2×2スイッチを備える設計構成の場合、図14で示すスイッチ間の全てのコネクションは、4つの状態全てでトラフィックを運んでいる。さらに、統合設計を推進する上で重要なのは、スイッチ間のコネクションが固定されていることである。これにより、統合の最初のレベルが実現され、3つのスイッチ間のファイバピグテールの長さを可能な限り短くできる。実際、スイッチの入力または出力のファイバピグテールの十分な保護を提供するだけで、最大のスペースの1つが無駄になる。ここからは、これを第1レベルの統合と称す。この統合の主な特徴は、ファイバピグテールがスイッチ間で十分に短く保たれているため、保護スリーブが不要で除外されていることである。
次に、第2の、より深い統合レベルにどのように移行できるかについて説明する。本質的に、我々が行うことは、sw1、sw2及びsw3間のコネクションが固定されているため、不要に繰り返されるファイバ結合ステージを除外できることを認識することである。これをさらに説明するため、図16において、図15で示す機能が可能な2×2スイッチの例示的な図を示す。
図16を参照すると、図16は、本開示の態様による、2×2スイッチの一例を示す概略図であり、上部の2つの入力と下部の2つの出力がファイバ結合されており、2つの状態間でトラフィックを切り替える切り替え可能なゲートを含む。2本の入力ファイバからの光は、切り替え可能なゲートを通過した後、下部の2本の出力ファイバに結合される。ゲートは様々なメカニズムで作成できるが、最も単純な例は、光をパスに挿入したり、光をパスから外したりできる透過面と隣接する両反射面である。このようなゲートの一例を図17に概略的に示す。
図17は、本開示の態様による、透過領域に隣接する両反射面を有する切り替え可能なゲートの一例を示す概略図であり、点線が透過セクションに対応し、実線が反射セクションに対応する。
図16及び図17を見ると、ミラーを光のパスの外へ移動することで、スイッチを図15で示した透過状態と反射状態とに切り替え可能なことが分かる。補足すると、この例では、ミラーに入射する光の角度は表面の法線に対して30°であるが、全てのファイバが適切に位置合わせされている限り、角度はほぼ任意に選択できる。
図18は、本開示の態様による、第1のレベルで容易に統合できるように、単純な方法で構成された、図14で示した3つのスイッチsw1、sw2及びsw3を示す概略図である。見て分かるように、図18では、図16の例示的なスイッチ構成をどのように組み合わせて、図14の3つのスイッチsw1、sw2及びsw3の機能を得ることができるかを示している。これと同じ構成を用いて、スイッチsw4、sw5及びsw6の機能を実現できることは明らかである。図18の構成を第1のレベルの統合にどのように使用できるかが分かる。図18で示される例示的な構成では、スイッチを互いに接続する入力及び出力ファイバが保持される。これらのファイバの長さは指定されていない。但し、ファイバ保護スリーブが不要となるように、十分に短くして統合スイッチの筐体内で保護することができるため、大幅なスペースの節約を達成できる。さらに、これらのファイバは十分に保護されて短いため、信頼性が高くなる。
図18で示す構成を見ると、スイッチ間のファイバから光を結合する必要はなく、図19で示す第2のレベルの統合を達成するためにスイッチを除去できることを明らかにするはずである。
図14の3つのスイッチsw1、sw2及びsw3を図19に示す形式で統合することで、3路スイッチに必要な機能を実現できることが分かる。上述したように、必要な6台のスイッチは、同じ構成の3台のスイッチから成る2つのグループに低減する。
本開示の態様によれば、3台のスイッチは、図19で示される構成に置き換えることができる。3台のミラーを光路の内外に移動させるだけで、3路スイッチの機能を実現できることが分かる。第1のレベルの統合から第2のレベルへ、すなわち図18で示した構成から図19で示す構成に変更すると、全てのファイバ及びファイバ結合コンポーネントを除去できるため、スイッチをよりコンパクトにできることが明らかである。これにより、使用するコンポーネントが少なくなり、サイズが縮小し、挿入損失が減少して、信頼性が向上する。
図19で示す設計は、図20に示すものと同様の方法で構成できることに留意されたい。唯一の違いは、どのコネクションでミラーからの反射が複数回発生するかと、どのコネクションで反射が全く発生しないか、または1回のみの反射が発生するかということである。これらは、様々なアプリケーションにとって有利であることが判明している。
図16で示される構成を説明する際に、スイッチは様々な方法で構成できること、特にミラー面の法線との入射角を変更できることを述べた。特に重要な入射角の1つは45°である。これは、位置合わせやその他の目的でこの角度の方が容易であることが判明しているためである。この構成は多くの異なる角度に拡張できるが、図21は45°の入射角を有する特定の例を示している。
図21は、本開示の態様による、45°の入射角を有し、上部に固定ミラーを含む統合型スイッチの構成を示す概略図である。なお、図19と図20の関係と同様に、図21も同様の設計が可能である。
一般に、3路スイッチを実現するには1×3スイッチを設計できるが、そのようなスイッチは2×2スイッチと比較してより複雑であることに留意されたい。これらは、より多くのゲート(ミラー等)を調整するか、複数の角度でゲートを調整する必要がある。この選択により、上述した例のアプリケーションに対するコンポーネントの信頼性が低下する。これは、ラッチ機能が必要な場合に特に該当し、上述した例のアプリケーションにも該当する。ラッチ機能とは、電力が失われた場合に、スイッチが最後の設定を保持するか、予め決められた設定に戻ることを意味する。我々は、ゲートをオン(この例ではミラーイン)またはオフの位置(この例では光路からミラーアウト)に調整する必要があるシンプルさを主要部とする例を選択した。このようなシンプルさにより、必要なレベルの信頼性が得られる。
さらに、ゲート機能の例としてミラーを用いたものを示したが、他の形式であってもよく、我々の設計は3つのスイッチを組み合わせてファイバ結合部品を除去することに依存するため、発明の原理は依然として変わらないことに留意されたい。最後のポイントを別の方法で繰り返す。スイッチの最もシンプルで信頼性の高いバージョンは1×2である。但し、最近では、ラッチ機能を備えた2×2スイッチもますます入手可能になってきており、そのほとんどは、非常に簡単なセットアップでこの機能を実現できるという事実に基づいている。シンプルな幾何学的配置とスイッチ間のコネクションが固定されているという事実を利用することで、基礎となるシンプルなメカニズムが何であっても、ファイバ結合部品を取り除くことでさらに簡単に統合できる。切り替えメカニズムは既にシンプルで十分な信頼性があるため、統合バージョンも同様の信頼性があり、使用するコンポーネントが少ないため、さらに信頼性が高くなる。
ここでは、いくつかの具体的な例を用いて本開示を示したが、当業者であれば本教示がそれらに限定されないことを認識するであろう。したがって、本開示は本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
Claims (9)
- 第1、第2及び第3の光ケーブルに接続されるように構成され、各光ケーブルのそれぞれが地上局A、BまたはCとそれぞれ光通信する海底光通信用の3路の分岐ユニットスイッチモジュールであって、
前記モジュールは、
前記第1の光ケーブルと光通信するスイッチの第1のペアと、
前記第2の光ケーブルと光通信するスイッチの第2のペアと、
前記第3の光ケーブルと光通信するスイッチの第3のペアと、
を有し、
前記スイッチの第1、第2及び第3のペアは、それらのペアの一方のスイッチが前記スイッチの他の2つのペアの一方とそれぞれ光通信し、
前記スイッチの第1、第2及び第3のペアは、それらのペアの他方のスイッチが前記スイッチの他の2つのペアの他方とそれぞれ光通信する、分岐ユニットスイッチモジュール。 - 前記スイッチのそれぞれは、3つのポートを有する1×2スイッチである、請求項1に記載の分岐ユニットスイッチモジュール。
- 各スイッチの1つのポートは、光学的に接続される光ケーブルの個々の光ファイバに光学的に接続される、請求項2に記載の分岐ユニットスイッチモジュール。
- 各スイッチの2つのポートは、前記スイッチ毎に1ポートずつ、他の2つのスイッチに個別に光学的に接続される、請求項3に記載の分岐ユニットスイッチモジュール。
- 前記スイッチの第1、第2及び第3のペアの各ペアは、それぞれの光ケーブルの送信ファイバ及び受信ファイバに接続される、請求項4に記載の分岐ユニットスイッチモジュール。
- 各スイッチは、前記光ケーブルの各光ファイバを各ポートに光学的に接続するサーキュレータを含む、請求項5に記載の分岐ユニットスイッチモジュール。
- 各サーキュレータは、前記光ケーブルの送信及び受信ファイバと、それぞれのスイッチとに光学的に接続される、請求項6に記載の分岐ユニットスイッチモジュール。
- 前記スイッチのそれぞれは2×2スイッチである、請求項2に記載の分岐ユニットスイッチモジュール。
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