JP2023551116A - 治療薬としてのコハク酸塩及びその結晶形 - Google Patents

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Abstract

N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの塩及びそれらの多形が開示され、上記塩及びそれらの多形は、プロテインキナーゼ、特にサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)の阻害剤であり、がんなどの増殖性障害及びプロテインキナーゼ/CDK活性に関連する他の疾患の治療に使用することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的塩及びその結晶形に関し、それらは、CDK4/6などのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤であり、がんなどの増殖性障害の治療に使用することができる。
優先権書面
本出願は、「選択的CDK4/6阻害剤としてのコハク酸塩及びその結晶形」を発明の名称とし、2020年11月10日に出願の、中国特許出願第202011249267.6号の優先権を主張し、上記出願の内容は、本記述をもってその全体が援用される。
がんを含む増殖性疾患及び疾病を治療するための新規化合物の特定ならびに開発に対する継続的なニーズが存在する。検討中の潜在的な抗増殖性化合物にとっての多数の「標的」の中には、プロテインキナーゼとして知られる酵素の群がある。
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)はプロテインキナーゼの一種である。サイクリン依存性キナーゼは、さまざまなサイクリンサブユニットと関連し、細胞周期制御、アポトーシス、神経生理学、分化、及び転写などの、細胞中のさまざまな重要な調節経路の調節において極めて重要な役割を果たすことが知られている。20種を超えるCDKがあり、それらの機能を反映した2つの主要な群、すなわち、細胞周期調節因子CDK及び転写調節因子CDKに分類することができる。細胞周期調節因子CDKの群としては、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、及びCDK6が挙げられ、それらのサイクリンパートナー(例えば、サイクリンA、B、D1、D2、D3、E、及びF)と共に機能して、細胞周期の促進を調節する。転写調節因子CDKの群としては、CDK7、CDK8、CDK9、及びCDK11が挙げられ、これらは、サイクリンC、H、K、L1、L2、T1、及びT2と共に作用して、転写調節における役割を果たす傾向がある。これら2つのCDK群の機能を仮定すれば、CDKが細胞増殖疾患及び疾病、特にがんに関与していることはおそらく驚くことではない。細胞増殖は、細胞分裂周期の直接的または間接的な調節解除の結果であり、CDKはこの周期のさまざまな段階の調節において重要な役割を果たす。したがって、CDK及びそれらの関連するサイクリンの阻害剤は、がん治療の有用な標的であると考えられている。
これまで、特定のピリミジン系化合物、例えば、4-チアゾール-2-ピリジニルアミノピリミジン及び5-置換-4-チアゾールピリミジンが、がんを含む増殖性細胞疾患及び疾病の治療に使用するために研究されてきた(それぞれ、国際特許公開WO2005/012298及びWO2013/156780を参照のこと)。これらの化合物は、複数のプロテインキナーゼ、特に、CDK1/サイクリンB、CDK2/サイクリンE、CDK2/サイクリンA、CDK4/サイクリンD1、CDK7/サイクリンH、及びCDK9/サイクリンT1を含むCDKを阻害する。
国際特許WO2017/020065A1は、CDK4及び/またはCDK6の活性を阻害して細胞増殖を阻害する一群の化合物を開示する。本発明者らはさらに検討を行い、好ましい化合物N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミン(以下、本明細書において「化合物A」と呼ぶ)が、傑出した活性を有し、新世代のCDK4/6キナーゼ阻害剤として使用することができることを見出した。
上述の化合物は公開番号CN108349964A号の中国特許にも記載されており、この文書の関連する内容を、本出願において引用文献として使用することができる。
しかしながら、薬物研究の過程で、本発明者らは、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの溶解性、安定性、経口による生物学的利用能、及びその他の側面が不十分であることに気が付いた。本発明者らは努力を重ね、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンを対応する薬学的に許容される塩に変換することにより、この問題を解決することができることを見出した。
本発明の第1の態様は、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩に関する。本明細書に記載の態様のいずれかにおいて、上記薬学的に許容される塩は無機塩であってもよい。上記無機塩は、好ましくは、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、または臭化水素酸塩である。本明細書に記載の態様のいずれかにおいて、上記薬学的に許容される塩は有機塩であってもよい。上記有機塩は、好ましくは、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、1,2-エタンジスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、馬尿酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、マロン酸塩、ゲンチジン酸塩、ニコチン酸塩、L-リンゴ酸塩、L-酒石酸塩、またはDL-乳酸塩である。上記薬学的に許容される塩がコハク酸塩であることが特に好ましい。
本発明の第2の態様は、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩の調製方法に関する。上記方法は、以下のステップ、すなわち、
(1)化合物A

及びコハク酸を秤量することであって、化合物Aとコハク酸のモル比が1:1~1.1である上記秤量することと、
(2)ステップ(1)の化合物A及びコハク酸が入った容器にエタノールを添加することであって、エタノールの量が、化合物A及びコハク酸の総質量の1~100倍である上記添加することと、
(3)ステップ(2)で形成された混合物を還流条件下で撹拌し、冷却し、ろ過して、上記コハク酸塩を得ることと
を含む。
ステップ(1)における化合物Aとコハク酸のモル比は、1:1~1.05であってもよい。ステップ(2)における添加されるエタノールの量は、化合物A及びコハク酸の総質量の3~20倍であってもよい。ステップ(3)における撹拌時間は2~96時間であってもよい。
本発明の第3の態様は医薬剤形に関し、上記医薬剤形は、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩と、1種以上の薬学的に許容される担体とを含む。
本発明の第4の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病を治療するための薬剤の製造における、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩の使用に関する。
本発明の第5の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の治療方法であって、上記方法を必要とする患者に、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩を投与することを含む、上記方法に関する。
本発明の第6の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の治療に使用するための、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩に関する。
上記N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩は、プロテインキナーゼの阻害による抗腫瘍効果を有する可能性がある。
本発明の第7の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病を治療するための薬剤の製造における、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の使用に関する。
本発明の第8の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の治療方法であって、上記方法を必要とする患者に、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩を投与することを含む、上記方法に関する。
本発明の第9の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の治療に使用するための、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩に関する。
本発明の第10の態様は、以下、すなわち、約4.33、12.98、16.91、18.19、19.08、19.69、21.12、26.21、及び27.38の2θ値の位置にあるピークをもつ粉末X線回折パターン、ならびに221.0℃に鋭い吸熱ピークをもつDSCサーモグラムの1つ以上を特徴とする、結晶形Aと呼ばれるN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩に関する。
上記N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の結晶形Aの粉末X線回折パターンは、図10に示す粉末X線回折パターンであってもよい。
本発明の第11の態様は、上記N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の結晶形Aと、1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬製剤に関する。
本発明の第12の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病を治療するための薬剤の製造における、上記N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の結晶形Aの使用に関する。
本発明の第13の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の治療方法であって、上記方法を必要とする患者に、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の結晶形Aを投与することを含む、上記方法に関する。
本発明の第14の態様は、増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の治療に使用するためのN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の結晶形Aに関する。
本明細書に記載の態様のいずれかにおいて、上記増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病はがんであってもよい。上記がんは、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、神経内分泌癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、前立腺癌、または脳癌であってもよい。上記がんは、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、または脳癌であってもよい。上記がんは、脳癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、または前立腺癌であってもよい。上記がんは、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、または脳癌であってもよい。
本発明の第15の態様は、プロテインキナーゼを阻害するための薬剤の製造における、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩、またはその結晶形Aの使用に関する。
本発明の第16の態様は、プロテインキナーゼの阻害方法であって、上記方法を必要とする患者に、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩、またはその結晶形Aを投与することを含む、上記方法に関する。
本発明の第17の態様は、プロテインキナーゼの阻害に使用するための、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩、またはその結晶形Aに関する。
本発明の第18の態様は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤の調製における、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩、またはその結晶形Aの使用に関する。上記阻害剤はCDK4/6阻害剤であってよい。
コハク酸塩には、遊離塩基及び塩酸塩、メタンスルホン酸塩、リン酸塩などを含む他の塩形態との対比で多くの利点がある。コハク酸塩の水溶性は遊離塩基と比較して40倍向上し、生物学的溶媒FaSSIFへの溶解性も同様に向上し、上記溶解性の増加は、吸湿性の有意な増加を伴わない。コハク酸塩の吸湿性は他の塩の種類よりも有意に低く、遊離塩基よりもさらに低い。
上記コハク酸塩の動物における生物学的利用能は、化合物Aと比較して、溶解度の増加により優位に改善されている。上記及びその他の利点は、選択的CDK4/6キナーゼ阻害剤を含む医薬品の開発が直面するさまざまな課題を克服するのに有利である。
本発明のさまざまな特徴、利点、及び他の用途は、以下の説明及び添付の図面を参照することにより、より明らかになろう。
化合物AのH NMRスペクトルである。 化合物AのXRPDパターンである。 化合物A塩酸塩のH NMRスペクトルである。 化合物Aリン酸塩のH NMRスペクトルである。 化合物Aコハク酸塩のH NMRスペクトルである。 化合物Aメシル酸塩のH NMRスペクトルである。 雄のカニクイザルにおける化合物Aの薬物動態を示すグラフである。 雄のカニクイザルにおける化合物Aコハク酸塩の薬物動態を示すグラフである。 雌のカニクイザルにおける化合物Aコハク酸塩の薬物動態を示すグラフである。 化合物Aコハク酸塩の結晶形AのXRPDパターンである。 化合物Aコハク酸塩の結晶形BのXRPDパターンである。 化合物Aコハク酸塩の結晶形A及びBのXRPDの重ね描きパターンである。
本発明を実施形態との関連で以下にさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
定義
本開示に従って治療することができる、増殖性疾患または障害によって引き起こされる疾患及び疾病としては、胆道癌、脳癌及び中枢神経系(CNS)の他のがん(神経膠芽腫及び髄芽腫を含む)、神経芽細胞腫、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌(上皮細胞、間質細胞、生殖細胞、及び間葉系細胞から発生するものを含む)、絨毛癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、肝臓癌、肺癌、食道癌、胃癌、血液腫瘍(急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、AIDS関連リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、及びリンパ球性リンパ腫を含む)を含む)、上皮内腫瘍(ボーエン病及びパジェット病を含む)、口腔癌(扁平上皮癌を含む)、膵臓癌、前立腺癌、肉腫(平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、骨肉腫を含む)、皮膚癌(黒色腫、カポジ肉腫、基底細胞癌、及び扁平上皮癌を含む)、精巣癌(セミノーマ、非セミノーマ奇形腫、及び絨毛癌などの胚性腫瘍を含む)、間質腫瘍、胚細胞腫瘍、甲状腺癌(甲状腺腺癌及び髄質癌を含む)、ならびに腎癌(腺癌及びウィルムス腫瘍を含む)などのがんが挙げられる。
いくつかの実施形態において、上記増殖性疾患または障害によって引き起こされる疾患及び疾病は、プロテインキナーゼ、特にCDK4/6などのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の調節活性に依存する。
用語「がん」としては、以下のがん、すなわち、白血病、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌、精巣癌、食道癌、胃癌、皮膚癌、肺癌、骨癌、結腸癌、膵臓癌、甲状腺癌、胆道癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、結腸直腸癌、直腸癌、脳・中枢神経系癌、悪性神経膠腫、膀胱癌、肝臓癌、腎臓癌、リンパ腫などが挙げられるが、これらに限定はされない。上記がんは、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、神経内分泌癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、前立腺癌、または脳癌であってもよい。上記がんは、乳癌、脳癌、子宮頸癌、肝臓癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、または膵臓癌であってもよい。上記がんは、脳癌、結腸癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、または前立腺癌であってもよい。上記がんは、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、または脳癌であってもよい。
本出願において、化合物の化学名が構造式と矛盾する場合には、構造式に明らかな誤りがある場合を除き、構造式が優先されるものとする。
本明細書では、用語「治療すること」とは、疾病の確立された症状の緩和を指す。したがって、疾患または疾病を「治療すること」の行為は、(1)上記疾患もしくは疾病に罹患している対象において発症している上記疾患または疾病の臨床症状の出現を遅延させること、(2)上記疾患または疾病を抑制すること(すなわち、疾患もしくは疾病の発症または再発(維持療法の場合)またはその少なくとも1つの臨床的もしくは潜在性症状を抑止、軽減、あるいは遅延させること)、及び(3)上記疾患もしくは疾病を緩和するまたは減弱化すること(すなわち、上記疾患もしくは疾病、またはその少なくとも1つの臨床的もしくは潜在性症状を退行を引き起こすこと)を含む。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」とは、化合物Aの所望の生物学的活性を保持する塩を指し、薬学的に許容される酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。かかる無機酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、及び臭化水素酸である。適当な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式カルボン酸及びスルホン酸群の有機酸から選択することができ、それらの例は、ギ酸、酢酸、アジピン酸、馬尿酸、グルタル酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ゲンチジン酸、ニコチン酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸である。薬学的に許容される塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition, Mack Publishing Co., Easton, PA 1995に記載されている。
N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩、ならびにN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩及びその結晶形Aは、薬学的に許容される担体と共に医薬組成物に製剤化されてもよい。好適な担体の例は当業者に周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA 1995に記載されている。好適な担体の例としては、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。担体の選択は、意図する投与経路及び標準的な薬務に関して行うことができる。
本発明に係る医薬組成物は、任意且つ好適な結合剤、滑沢剤、懸濁剤、コーティング剤、及び可溶化剤をさらに含んでいてもよい。好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、グルコースなどの天然糖、無水ラクトース、フリーフローラクトース、ベータラクトース、トウモロコシ甘味料、アラビアガム、トラガント、またはアルギン酸ナトリウムなどの天然及び合成ガム、カルボキシメチルセルロース、及びポリエチレングリコールが挙げられる。好適な滑沢剤の例としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。防腐剤、安定剤、色素、さらには香味料が上記医薬組成物に添加されてもよい。防腐剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。酸化防止剤及び懸濁剤が使用されてもよい。
本発明に係る医薬組成物は、経口、経直腸、経膣、非経口、筋肉内、腹腔内、動脈内、髄腔内、気管支内、皮下、皮内、静脈内、鼻腔、頬側、または舌下経路の投与に適合させることができる。経口投与の場合、圧縮成型錠剤、丸剤、錠剤、gellule、ドロップ剤、及びカプセル剤を特に使用することができる。他の投与形態の場合、医薬組成物は、静脈内、動脈内、髄腔内、皮下、皮内、腹腔内、または筋肉内で注射することができ、滅菌溶液もしくは滅菌可能な溶液から調製される溶液または乳化液を含んでいてもよい。本発明に係る医薬組成物はまた、座剤、ペッサリー剤、懸濁液剤、乳化液剤、ローション剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、スプレー剤、溶液または粉剤の形態であってもよい。医薬組成物は、単位剤形で(すなわち、単位用量、または複数回分の単位用量もしくは単位用量のサブユニットを含む別個の小部分の形態で)製剤化されていてもよい。
N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の「結晶形A」の新規多形体に関し、これは、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の総量を基準として、25~100重量%、特に50~100重量%の上記新規形態を含有することが好ましい。上記新規多形体のかかる量は、75~100重量%、特に90~100重量%であることが好ましい。95~100重量%の量が非常に好ましい。
当業者であれば、N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩、及び/またはN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩もしくはその結晶形Aは、有益なまたは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量で投与または使用されることになることを理解しよう。この有効量は、1回以上の投与で投与することができる。一般的には、有効量は、疾患または疾病を治療するのに十分であるか、あるいは、例えば増殖性障害によって引き起こされる疾患もしくは疾病などの疾患または疾病の進行を緩和、改善、安定化、反転、減速、または遅延するのに十分である。ほんの一例として、有効量は、1日当たり約0.1~約250mg/kg-体重、より好ましくは1日当たり約0.1~約100mg/kg-体重、さらにより好ましくは約0.1~約25mg/kg-体重を含んでいてもよい。但し、上記にもかかわらず、当業者であれば、上記有効量は変化し、特定の化合物の活性、特定の化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、性別、健康状態、投与の経路及び時間、特定の化合物の排泄速度、ならびに例えば、治療を受ける増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の重症度を含む多様な因子に依存する場合があることを理解しよう。
上記N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩、及び/またはN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩もしくはその結晶形Aは、一般的にはヒト患者の治療に適用される。但し、上記患者はまた、例えば、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、及びヤギ)、伴侶動物(例えば、イヌ及びネコ)、ならびに外来動物(例えば、非ヒト霊長動物、トラ、ゾウなど)から選択されてもよい。)。
当業者であれば、上記N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩、及び/またはN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩もしくはその結晶形Aは、がんなどの増殖性疾患または障害によって引き起こされる疾患及び疾病を治療するための1種以上のさらなる薬剤との併用で投与されてもよいことを理解しよう。例えば、上記N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンの薬学的に許容される塩、及び/またはN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩もしくはその結晶形Aは、がん細胞の抗がん療法(例えば、他の抗がん剤による治療、化学療法、放射線療法、標的療法、免疫療法、またはそれらの併用)に対する感受性をより高めるように、2つ以上のがんシグナル伝達経路を同時に阻害するために、他の抗がん剤と併用されてもよい。
本明細書における先行技術への言及は、かかる先行技術が共通の一般知識の一部を形成することを自認するものではなく、または何れの形態においてもそのことを示唆すると解釈されるべきものではない。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される用語「含む」(comprise)及び「含む」(include)、ならびにそれらの派生語(例えば、含む(comprises)、含む(comprising)、含む(includes)、含む(including)のいずれも、当該の用語が指す特徴を含むと解釈すべきものであり、且つ別段の明示がない限り、さらなる特徴の存在を排除することを意図しないことが理解されよう。
例1
化合物Aの薬学的に許容される塩の調製
化合物A塩酸塩
5gの化合物Aと80mLのアセトンの混合物に、835μLの塩酸溶液(37%溶液)をゆっくりと添加し、この反応混合物を室温で2日間撹拌し、遠心分離して固形物を分離し、50℃で3時間真空下で乾燥し、4.0gの化合物A塩酸塩を得た。
化合物Aリン酸塩
3.75gの化合物Aと60mLのエタノールの懸濁液に、517.5μLのリン酸溶液をゆっくりと添加し、この反応混合物を室温で2日間撹拌し、遠心分離して固形分を分離し、50℃で3時間真空下で乾燥し、2.2gの化合物Aリン酸塩を得た。
化合物Aコハク酸塩
3.07Lのエタノール中の106gの化合物Aと25.4gのコハク酸の混合物を加熱還流し、4時間撹拌した。この混合物を冷却後にろ過した。ろ過ケーキをエタノール(20mL×2)で洗浄し、乾燥し、122gの化合物Aコハク酸塩を得た。
化合物Aメシル酸塩
582mgのメタンスルホン酸及び50mLの酢酸エチルの溶液に、3.0gの化合物Aを添加し、この反応混合物を室温で2日間撹拌し、固形分を遠心分離により分離し、50℃で5時間真空下で乾燥し、2.5gの化合物Aメタンスルホン酸塩を得た。
化合物Aの塩形態の物理化学的特性
生体体液FaSSIF(模擬的な絶食状態の腸液)中及び水中での化合物A及び選択された塩形態の動的溶解度(1、2、4、及び24時間)を37℃で測定し、結果を表2にまとめる。全体として、FaSSIF中及び水中の両方における化合物Aの塩酸塩、コハク酸塩、ならびにメタンスルホン酸塩の塩形態の溶解度は、化合物A遊離塩基の溶解度と比較して有意に増加する。
化合物A塩及び化合物Aの、25℃/相対湿度60%及び40℃/相対湿度75%の条件下での固体状態での安定性を試験した。14日後に、試料をHPLCによって分析した結果、化合物A塩及び化合物Aは安定であることが示された(表3)。
動的水分吸着(DVS)を使用して、25℃及び相対湿度80%の条件下で化合物A及び塩形態の吸湿性を評価した。結果を表4に示す。化合物Aコハク酸塩は最小の吸湿性を示した。
例2 化合物Aコハク酸塩のインビトロ抗増殖活性
チミジン取り込み(3H-TdR)アッセイを使用して、腫瘍細胞株に対する化合物Aコハク酸塩の抗増殖効果を評価した。細胞を一連の濃度の化合物Aコハク酸塩で24時間処理し、3H-TdRを添加し、細胞をさらに48時間インキュベーター中に置き続けた。シンチレーション液を添加し、液体シンチレーションカウンターで読み取り、表5に示す50%の細胞増殖の阻害(IC50)を算出した。
例3 化合物Aコハク酸塩のインビボ抗腫瘍効力
化合物Aコハク酸塩の皮下異種移植片におけるインビボ抗腫瘍活性も評価した。簡単に説明すると、雌のBALB/cヌードマウスにA2780卵巣癌細胞を接種し、平均腫瘍体積が150~200mmに達した時点で、動物を群に無作為化した。動物(群当りn=8)を、ビヒクル(超純水)、化合物Aコハク酸塩(62.5、125、もしくは250mg/kg)、またはパルボシクリブ(75mg/kg)で、1日1回、連続した14日間、経口投与によって治療した。マウスの毒性の徴候及び体重減少を毎日観測し、腫瘍体積を隔日で測定した。腫瘍の寸法を自動式ノギスで測定し、式:体積=0.52×L×W(式中、L及びWは直交するように測定した直径であり、L≧W)を使用して体積を算出した。化合物Aコハク酸塩により、14日目に、62.5、125、及び250mg/kgの用量において、ビヒクル処置と比較してそれぞれ44.8、70.8、及び86.2%の腫瘍増殖阻害率(T/C率)で、腫瘍増殖が顕著に低下した。パルボシクリブは75mg/kgで有効であり、42.8%のT/Cの結果となった(表6)。
化合物Aコハク酸塩の別個の検討を、COLO 205結腸直腸腫瘍異種移植片において実施した。担がんマウス(n=8)を、ビヒクル(超純水)または化合物Aコハク酸塩(50もしくは100mg/kg)で、1日1回、21日間、経口投与によって治療した。陽性対照として、化学療法剤5-FU(15mg/kg)を腹腔内投与した。化合物Aコハク酸塩は、21日目に、50及び100mg/kgの用量において、それぞれT/C率=36.3%及び74.7%の顕著な抗腫瘍効力を示した。5-FUもT/C=47.2%で有効であった(表7)。
例4 薬物動態(PK)の検討
2群の雄のカニクイザル(群当りn=3)に、5mg/kgの単回静脈内注射(i.v.)または50mg/kgの胃内投与(i.g.)によって化合物Aを投与した。さまざまな時点で血液試料を採取した。血漿試料中の化合物Aの曝露をLC-MS/MS法によって測定し、Phoenix WinNonlin 8.0ソフトウェアを使用してPKパラメータ(表8)を計算した。
別個の検討において、4頭のカニクイザルを2群に分け(群当りn=2)、化合物Aコハク酸塩を、2mg/kgで静脈内投与、及び24mg/kgで胃内投与した。血漿試料を採取し、分析し、PKパラメータを上記のように算出した。化合物Aコハク酸塩は、化合物Aと比較して改善されたPKプロファイルを示しており、雌及び雄のカニクイザルにおける化合物Aコハク酸塩の生物学的利用能は、50mg/kgでの化合物A遊離塩基のF=21.8%と比較して、F=72.8%及び54.9%(表9)であった。
例5 化合物Aコハク酸塩の結晶形
化合物Aコハク酸塩の多形のスクリーニングを行った。化合物Aをコハク酸と共にアセトン中に懸濁させ、これを撹拌することによって化合物Aコハク酸塩の結晶形Aを調製した。化合物Aコハク酸塩は2種の異なる結晶形、すなわち、結晶形Aと結晶形Bで存在することができることが判明した。結晶形A、結晶形Bの粉末X線回折(XRPD)パターン、及び結晶形A/BのXRPDパターンの重ね描きを、それぞれ図10、11、及び12に示す。
結晶形Aの調製
エタノール中の化合物Aの混合物(1:23.25、w/w)に、コハク酸(化合物Aの0.24倍、w/w)を添加し、4時間加熱還流した。5~10℃に冷却したところで、この混合物をろ過した。固形分を適量のエタノールで洗浄し、60±5℃で乾燥して、化合物Aコハク酸塩の結晶形Aを灰白色固体として得た。
結晶形Bの調製
結晶形Bは、結晶形Aから、MeOH/CHCl(1:6、v/v)の混合物中で温度をゆっくりと下げ、溶媒を蒸発させることにより変換される。試料のXRPDデータを取得し、TGA/DSCの結果は、室温から110℃に加熱すると、試料が1.3%の重量減少を示すこと(一水和物の理論上の重量減少は約2.8%であり、半水和物の理論上の重量減少は約1.4%である)、ならびに、91.8℃(ピーク温度)にブロードな吸熱ピーク、149.4℃(ピーク温度)に弱くブロードな発熱ピーク、及び220.9℃(ピーク温度)に鋭い吸熱ピークが観測されることを示している。H NMRは、化合物Aコハク酸と化合物A遊離塩基のモル比が1:1であることを示した。
結晶形A及び結晶形Bの熱力学的安定性を、EtOH及びTHF中、それぞれ室温及び50℃で試験した。結果は、全ての実験において結晶形Bは結晶形Aに変換されたことを示した。室温のEtOH/HOの混合物中または水中においても、結晶形Bは結晶形Aに変換された。この検討により、無水の結晶形Aは、室温~50℃において、結晶形Bと比較して熱力学的により安定であることが実証された。
本発明者らは、驚くべきことに、コハク酸塩が溶解性、吸湿性、及び生物学的利用能の観点で向上した性能を有していること、ならびに結晶形Aが熱力学的に安定な結晶形であることを見出した。
本発明において言及するすべての引用文書は、それぞれの引用文書が個別に援用されるのと同様に、本出願に援用される。
当業者であれば、本開示がその使用において特定の用途または記載される用途に限定されないことを理解しよう。本開示はいずれも、本明細書に記載もしくは描出される特定の要素及び/または特徴に関して、その好ましい実施形態に限定されるものではない。本開示は、開示される1つ以上の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記載及び規定される範囲から逸脱することなく、多くの再編成、修正、及び置換が可能であることが理解されよう。

Claims (24)

  1. N-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩。
  2. 前記コハク酸塩の結晶形Aであり、約4.33、12.98、16.91、18.19、19.08、19.69、21.12、26.21、及び27.38の2θ値の位置にあるピークをもつ粉末X線回折パターン、ならびに221.0℃に鋭い吸熱ピークをもつDSCサーモグラムを有する、請求項1に記載のコハク酸塩。
  3. 前記粉末X線回折パターンが図10によって表される通りである、請求項2に記載のコハク酸塩。
  4. 以下のステップ、すなわち、
    (1)化合物A

    及びコハク酸を秤量することであって、化合物Aとコハク酸のモル比が1:1~1.1である前記秤量することと、
    (2)ステップ(1)の前記化合物A及び前記コハク酸が入った容器にエタノールを添加することであって、エタノールの量が、化合物A及びコハク酸の総質量の1~100倍である前記添加することと、
    (3)ステップ(2)で形成された混合物を還流条件下で撹拌し、冷却し、ろ過して、前記コハク酸塩を得ることと
    を含む、請求項1に記載のコハク酸塩の調製方法。
  5. ステップ(1)における化合物Aとコハク酸のモル比が1:1~1.05である、請求項4に記載の方法。
  6. ステップ(2)における添加されるエタノールの量が、化合物A及びコハク酸の総質量の3~20倍である、請求項4に記載の方法。
  7. ステップ(3)における撹拌時間が2~96時間である、請求項4に記載の方法。
  8. 請求項1に記載のコハク酸塩と、1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬製剤。
  9. 増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病を治療するための薬剤の製造における、請求項1に記載のコハク酸塩の使用。
  10. 前記疾患または前記疾病ががんである、請求項9に記載の使用。
  11. 前記がんが、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、神経内分泌癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、前立腺癌、または脳癌である、請求項10に記載の使用。
  12. 増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の治療方法であって、前記方法を必要とする患者に、請求項1に記載のコハク酸塩を投与することを含む、前記方法。
  13. 前記疾患または前記疾病ががんである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記がんが、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、前立腺癌、または脳癌である、請求項13に記載の方法。
  15. 増殖性障害によって引き起こされる疾患または疾病の治療に使用するための、請求項1に記載のコハク酸塩。
  16. 前記疾患または前記疾病ががんである、請求項15に記載のコハク酸塩。
  17. 前記がんが、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、神経内分泌癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、前立腺癌、または脳癌である、請求項16に記載のコハク酸塩。
  18. サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤の調製におけるN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の使用。
  19. 前記阻害剤がCDK4/6阻害剤である、請求項18に記載の使用。
  20. 請求項2または請求項3に記載のコハク酸塩の結晶形Aと、1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬製剤。
  21. 増殖性障害によって引き起こされる疾患もしくは疾病の治療に使用するための、請求項2または請求項3に記載のコハク酸塩の結晶形A。
  22. 前記疾患または前記疾病ががんである、請求項21に記載のコハク酸塩の結晶形A。
  23. 前記がんが、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、肝臓癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、前立腺癌、または脳癌である、請求項22に記載のコハク酸塩の結晶形A。
  24. プロテインキナーゼを阻害するための薬剤の製造における、請求項2または請求項3に記載のN-シクロペンチル-5-(2-((5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-4-メチルチアゾール-2-アミンコハク酸塩の結晶形Aの使用。
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