JP2023548100A - 非晶質固体分散体及び活性医薬成分安定化用医薬組成物の製造方法 - Google Patents

非晶質固体分散体及び活性医薬成分安定化用医薬組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ポリマーマトリックス中の少なくとも1つの活性医薬成分の非晶質固体分散体を製造する方法に関するものである。本発明は更に、賦形剤としてポリマーを使用する医薬組成物に関し、特に、加水分解度の異なるポリビニルアルコールグレードを含む、活性医薬成分を安定化するのに適した改良型医薬組成物に関する。

Description

本発明は、ポリマーマトリックス中の少なくとも1つの活性医薬成分の非晶質固体分散体を製造する方法に関するものである。本発明は更に、賦形剤としてポリマーを使用する医薬組成物に関し、特に、加水分解度の異なるポリビニルアルコールグレードを含む、活性医薬成分を安定化するのに適した改良型医薬組成物に関する。
ポリビニルアルコール(PVA)のような親水性ポリマーを医薬組成物のポリマーマトリックスに使用することは、広く開示されている。
特許文献1は、活性医薬成分(API)を含む医薬組成物、特に難溶性(API)と非晶質固体分散体を形成する圧縮錠剤において、ポリマーマトリックスとして改善された特性を有する粉末状PVAを開示する。しかし、極性が高いため、ほぼ完全に加水分解された、すなわち99%又は98%加水分解PVAや88%加水分解PVAのような親水性ポリマーは、難溶性APIと非晶質分散体を形成できず、マトリックスの溶解後に難溶性APIを溶液中に保持できないことが多い。その結果、望ましくない二相系の形成や再結晶が起こり、APIのバイオアベイラビリティを低下させる可能性がある。バイオアベイラビリティの低下は、医薬組成物、特に溶解度の低いAPIを含む医薬組成物の開発において遭遇する大きな問題である。更に、極性の高いポリマーは、溶液中で素早く膨潤・溶解するため、APIの放出速度が速くなる傾向がある。このようなポリマーを含む医薬用マトリックスの放出プロファイルを延長するためには、しばしば、徐放コーティング等の追加の処理工程が必要になる。そのため、APIの特定の溶解特性や放出要件に容易に適応できる可変特性を有するポリマーマトリックスが必要とされている。
WO2018/083285A1
PVAを含むポリマーマトリックス中のAPIの安定な非晶質固体分散体は、第1の加水分解度を有する第1のPVA、及び第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度を有する第2のPVAを、第1のPVA、第2のPVA及びAPIが溶融状態にある昇温温度にてAPIと混合することにより得られることが意外にも判明した。
互いに20ポイント以上異なる加水分解度を有するPVAでも、個々のPVAは溶解特性が大きく異なるにもかかわらず、溶融状態で非常に良好な均質混和性を示すことが示された。親水性/親油性特性が異なるPVAの存在により、溶融状態での賦形剤中のAPIの非晶質固体分散液の形成が容易になる。より低い加水分解度を有するより親油性のPVAの存在は、ポリマーマトリックス中のAPIの非晶質固体分散体の形成と安定性を改善するだけでなく、非晶質固体分散体を含む経口剤形の望ましい放出特性を改善することができる。
従って、本発明は、異なる加水分解グレードを有するPVAを組み合わせることにより、PVAポリマーマトリックスの親水性/親油性特性を、APIの溶解性及び所望の放出動態に関する特定の要件に変化及び適合させるための方法を提供するものである。
本発明によれば、「第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度」とは、2つのPVAの加水分解度の差を意味し、第1のPVAの加水分解度は、第2のPVAの第2の加水分解度よりも少なくとも1重量%ポイント高くなる。好ましくは、第1のPVAの第1の加水分解度は、第2のPVAの第2の加水分解度よりも、少なくとも5重量%ポイント、10重量%ポイント又は20重量%ポイント高い。
第1のPVAと第2のPVAの比率が、剤形におけるAPIの徐放特性を決定することが判明している。従って、本発明の好ましい実施形態によれば、経口剤形のためのポリマーマトリックスは、好ましくは、1:1~1:10の間の重量比で第1のPVA及び第2のPVAを含む。難溶性APIの即時放出のために、第1のPVAと第2のPVAの好ましい重量比は、1:2~1:8である。APIの徐放のために、第1のPVAと第2のPVAの好ましい重量比は、1:1~1:2である。
本発明に係る方法は、水に難溶性のAPIの非晶質固体分散体を得るのに特に適している。加水分解度の低いPVAの存在により、放出プロファイルが延長され、水溶液中の親油性APIの相分離防止に寄与する。従って、患者に対するAPIのバイオアベイラビリティを向上させることができる。
本発明の別の態様では、第1の加水分解度を有する第1のポリビニルアルコール、及び第2の加水分解度を有する第2のポリビニルアルコールを含む薬学的に許容できるポリマーマトリックス中の少なくとも1つの活性医薬成分の非晶質固体分散体(ここで、前記非晶質固体分散体は、本発明による方法によって得ることができる)、を含む、経口投与のための医薬組成物が提供される。
ポリマーマトリックス内にAPIの非晶質固体分散体を製造するのに適した混合及び加熱ステップを含む経口剤形の好ましい製造方法は、熱溶融押出、溶融押出、射出成形、圧縮成形、又は付加製造(additive manufacturing)である。これらの方法は、製薬業界において、賦形剤、特にポリマーに埋め込まれたAPIを含む製剤の調製に用いられる一般的に知られた処理技術である。
別の態様において、本発明は、錠剤、ビーズ、顆粒、ペレット、カプセル、懸濁液、乳剤、ゲル又はフィルムの形態で本発明の医薬組成物を含む経口投与形態に関係する。
発明の詳細な説明
本発明は、ポリマーマトリックス中の少なくとも1つの活性医薬成分の非晶質固体分散体を製造する方法であって、前記ポリマーマトリックスはポリビニルアルコールを含有し、
第1の加水分解度を有する第1のポリビニルアルコールを選択する工程、
第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度を有する第2のポリビニルアルコールを選択する工程、
前記第1のポリビニルアルコール、前記第2のポリビニルアルコール、及び任意で更に薬学的に許容される成分並びに前記活性医薬成分を、前記ポリマーマトリックスのガラス転移温度又は融解温度(melting temperature)以上の温度で混合し、それによって活性医薬成分の非晶質固体分散体を形成する工程を含む、方法を開示する。
好ましくは、前記温度は、少なくともAPIの融解温度である。
前記非晶質固体分散体は、任意に、更に薬学的に許容される成分を含むことができる。
別の態様では、本発明は、第1の加水分解度を有する第1のPVA、及び第2の加水分解度を有する第2のPVAを含む薬学的に許容されるポリマーマトリックス中の少なくとも1つのAPIの非晶質固体分散体を含む経口投与用の医薬組成物を開示し、ここで、非晶質固体分散体は、本発明に係る方法を用いることによって得ることができる。
本明細書で使用する場合、「非晶質固体分散体(amorphous solid dispersion)」という用語は、ポリマーマトリックス中の非晶質APIの分散体である。好ましくは、非晶質APIはポリマーマトリックス内に分子的に分散した状態で分布している。この場合、固体分散体は、固溶体である。溶解時、非晶質固体分散体を含む製剤は、結晶性APIよりも水性媒体中で高い溶解度に達することができる。
ポリビニルアルコール(PVA)は、理想式[CHCH(OH)]nを有する合成水溶性高分子である。PVAは、良好なフィルム形成性、接着性及び乳化性を有する。PVAは、ポリ酢酸ビニルから調製され、官能性酢酸基が部分的又は完全に加水分解されてアルコール官能基となる。完全に加水分解されていない場合、PVAはビニルアルコール繰り返し単位-[CHCH(OH)]-と酢酸ビニル繰り返し単位-[CHCH(OOCCH)]-からなるランダム共重合体である。PVAの極性は、その分子構造と密接な関係がある。PVAの分子特性は、加水分解度と分子量によって決定する。酢酸基の加水分解度が高くなると、ポリマーの水性媒体への溶解度、またポリマーの結晶化度や融解温度が高くなる。しかし、88%を超える高い加水分解度では、PVAの溶解度は再び低下する。PVAは一般に水に溶けるが、一部のエタノールを除くほとんどの有機溶媒にほとんど溶けない。
典型的なPVAの命名法は、20℃における4%溶液の粘度とポリマーの加水分解度を示す。例えば、PVA4-88は、88%が加水分解された、すなわち、88%のビニルアルコール繰り返し単位と12%の酢酸ビニル繰り返し単位を有する4mPasの粘度を有するPVAグレードである。当業者は、例えば88%の加水分解グレードと4mPasの粘度は、一般的な四捨五入法による87.50%から88.49%の計算加水分解グレードと3.50mPasから4.49mPas%の計算粘度を包含すると認識している。本発明に係る粘度は、USP 39のMonograph “Polyvinyl Alcohol”に記載されているように、Viscosity-Rotational Method(912)の方法で測定される。本発明に係る加水分解度は、例えばUSP 39のMonograph “Polyvinyl Alcohol”の”Degree of Hydrolysis”に記載されているように、ポリビニルアルコールのケン化価を決定することにより(by determining)、測定される(is measured)。
加水分解度:
サンプル:1gのポリビニルアルコール、予め110℃で乾燥させて定重量にしたもの
分析:
試料を、250mlの広口コニカルフラスコに移し、適当なガラス製ジョイントで還流冷却器を取り付ける。35mlの希釈メタノール(5分の3)を加え、穏やかに混合し、固体が完全に濡れるようにする。フェノールフタレインTSを3滴加え、必要に応じて0.2N塩酸又は0.2N水酸化ナトリウムを加え、中和する。25.0mlの0.2N水酸化ナトリウムVSを加え、ホットプレート上で静かに1時間還流する。10mlの水でコンデンサーを洗浄し、洗浄液をフラスコに集め、冷却後、0.2N塩酸VSで滴定する。同時に、同じ量の0.2N水酸化ナトリウムVSを用いて、同じ方法でブランク判定を行う。
ケン化価の算出:
ケン化価を算出する:
結果(Result)=[(V-V)×N×Mr]/W
=ブランクの滴定に消費された0.2N塩酸VSの体積(ml)
=サンプル溶液の滴定に消費された0.2N塩酸VSの量(ml)
N=塩酸の実測値VS
Mr=水酸化カリウムの分子量、56.11
W=ポリビニルアルコールを採取した部分の重量(g)
加水分解度を算出する:
ポリ酢酸ビニルの加水分解率で表される加水分解度を算出する:
結果=100-[7.84×S/(100-0.075×S)])
S=ポリビニルアルコールのケン化価
本発明に係る好ましいポリマーマトリックスは、好ましくは、欧州薬局方の要件に従って72.2%を超える範囲、又は米国薬局方に従って85~89%の範囲の加水分解度、及び14000g/mol~250000g/molの範囲の分子量を有する薬学的に許容できるPVAを含む。分子量の増加に伴い、PVAの水溶液の粘度は増加する。
本発明において、3mPa・s~18mPa・Sの粘度を有するPVAが好ましく、3mPa・s~10mPa・sの粘度を有するPVAが特に好ましく、3mPa・s~5mPa・sの粘度を有するPVAが最も好ましい。
本発明に係るポリマーマトリックスは、任意のPVAグレードを含むことができる。
好ましいPVAグレードは、PVA15-99、PVA28-99、PVA2-98、PVA3-98、PVA4-98、PVA5-98、PVA6-98、PVA10-98、PVA15-98PVA20-98、PVA30-98、PVA30-92、PVA3-88、PVA4-88、PVA5-88、PVA6-88、PVA8-88、PVA13-88、PVA18-88、PVA23-88、PVA26-88、PVA32-88、PVA40-88、PVA3-85、PVA4-85、PVA5-85、PVA3-83、PVA4-83、PVA5-83、PVA3-82、PVA4-82、PVA5-82、PVA3-81、PVA4-81、PVA5-81、PVA3-80、PVA4-80、PVA5-80、PVA26-80、PVA32-80、PVA15-79、PVA3-75、PVA3-74、PVA3-73、PVA3-72、PVA4-75、PVA4-74、PVA4-73、PVA4-72、PVA5-75、PVA5-74、PVA5-73、PVA5-72又はPVA30-75からなる群から選択される。
本発明に係るポリマーマトリックスは、第1の加水分解度を有する第1のPVAと、第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度を有する第2のPVAとを含む。好ましくは、第1のPVAアルコールの第1の加水分解度は、第2のPVAの第2の加水分解度よりも少なくとも5重量%ポイント高い。
一つの態様では、PVAの組み合わせは、高い加水分解度を有する第1のPVAとして、88%~99%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~50mPasを有するPVA、好ましくは88%~90%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が3mPas~40mPasであるPVAと、低い加水分解度を有する第2のPVAとして、70%~83%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~50mPasであるPVA、好ましくは88%~90%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が3mPas~40mPasであるPVAを含む。
PVAの典型的な組み合わせは、高い加水分解度を有する第1のPVAとして、PVA3-88、PVA4-88、PVA5-88、PVA6-88、PVA8-88、PVA13-88、PVA18-88、PVA23-88、PVA26-88、PVA32-88又はPVA40-88と、加水分解度の低い第2のPVAとして、PVA3-83、PVA4-83、PVA5-83、PVA3-82、PVA4-82、PVA5-82、PVA3-81、PVA4-81、PVA5-81、PVA3-80、PVA4-80、PVA5-80、PVA26-80、PVA32-80、PVA3-79、PVA4-79、PVA5-79、PVA15-79、PVA3-75、PVA3-74、PVA3-73、PVA3-72、PVA4-75、PVA4-74、PVA4-73、PVA4-72、PVA5-75、PVA5-74、PVA5-73、PVA5-72又はPVA30-75と、を含む。
より好ましくは、第1のPVAアルコールの第1の加水分解度は、第2のPVAの第2の加水分解度よりも少なくとも10重量%ポイント高い。
一つの態様では、PVAの組み合わせは、高い加水分解度を有する第1のPVAとして、98%~99%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~50mPas、好ましくは98%~99%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~30mPasのPVAと、加水分解度の低い第2PVAとして、70%~88%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~50mPasであり、好ましくは72%~88%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が3mPas~40mPasのPVAと、を含む。
PVAの典型的な組み合わせは、高い加水分解度を有する第1のPVAとして、PVA15-99、PVA28-99、PVA2-98、PVA3-98、PVA4-98、PVA6-98、PVA10-98、PVA15-98、PVA20-98又はPVA30-98と、加水分解度の低い第2のPVAとして、PVA3-88、PVA4-88、PVA5-88、PVA6-88、PVA8-88、PVA13-88、PVA18-88、PVA23-88、PVA26-88、PVA32-88、PVA40-88、PVA3-85、PVA4-85、PVA5-85、PVA3-83、PVA4-83、PVA5-83、PVA3-82、PVA4-82、PVA5-82、PVA3-81、PVA4-81、PVA5-81、PVA3-80、PVA4-80、PVA5-80、PVA26-80、PVA32-80、PVA3-79、PVA4-79、PVA5-79、PVA15-79、PVA3-75、PVA3-74、PVA3-73、PVA3-72、PVA4-75、PVA4-74、PVA4-73、PVA4-72、PVA5-75、PVA5-74、PVA5-73、PVA5-72又はPVA30-75と、を含む。
PVAの組み合わせの別の典型的なグループは、一方で、高い加水分解度を有する第1のPVAとして、PVA3-88、PVA4-88、PVA5-88、PVA6-88、PVA8-88、PVA13-88、PVA18-88、PVA23-88、PVA26-88、PVA32-88、又はPVA40-88と、他方で、加水分解度の低い第2のPVAとして、PVA3-75、PVA4-75、PVA5-74、PVA30-75、PVA3-74、PVA4-74、PVA5-74、PVA3-72、PVA4-72又はPVA5-72と、を含む。
本発明の特に好ましい実施形態では、第1のPVAの第1の加水分解度は、第2のPVAの第2の加水分解度よりも少なくとも20重量%ポイント高い。
一つの態様では、PVAの組み合わせは、高い加水分解度を有する第1のPVAとして、98%~99%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~50mPas、好ましくは98%~99%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~30mPasであるPVAと、低い加水分解度を有する第2PVAとして、70%~75%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~50mPasであり、好ましくは72%~75%の加水分解度を有し、20℃における4%溶液の粘度が3mPas~30mPasであるPVAとを、含む。
PVAの典型的な組み合わせは、高い加水分解度を有する第1のPVAとして、PVA15-99、PVA28-99、PVA2-98、PVA3-98、PVA4-98、PVA6-98、PVA10-98、PVA15-98、PVA20-98及びPVA30-98と、第2のPVAとして、PVA3-75、PVA3-74、PVA3-73、PVA3-72、PVA4-75、PVA4-74、PVA4-73、PVA4-72、PVA5-75、PVA5-74、PVA5-73、PVA5-72又はPVA30-75と、を含む。
本発明の更に特に好ましい実施形態では、第1のPVAの第1の加水分解度は、第2のPVAの第2の加水分解度よりも少なくとも30又は40重量%ポイント高い。
本発明に係る非晶質固体分散体中の活性医薬成分(API)は、弱塩基、弱酸又は中性分子の形態である生物学的活性剤である。前記APIは、その1つ若しくはそれ以上の薬学的に許容される塩、エステル、誘導体、類似体、プロドラッグ及び溶媒和物の形態であってもよい。前記非晶質固体分散液は、複数のAPIを含んでいてもよい。
本明細書で使用する場合、「難溶性API(poorly soluble API)」、「難水溶性API(poorly water-soluble API)」及び「親油性API(lipophilic API)」という用語は、生物薬剤分類システム(BCS)クラス2及び4による低溶解性の定義に従って、個人に投与される特定のAPIの最高治療用量がpH1~8の水性媒体250mlに溶解できないほどの溶解性を有するAPIを指す。弱塩基性又は弱酸性の特性を持つ難溶性APIは、pHに依存した溶解度プロファイルを持ち、消化管の水性環境において広い範囲の溶解度を持つことができる。BCSクラス2又は4に該当するAPIは、それぞれ当業者によく知られている。BCSクラス2の難溶性APIの典型例として、イトラコナゾール(ITZ)が挙げられる。
本発明の医薬組成物に含まれるAPIは、治療上有効な量を有している。あるAPIについて、治療上有効な量は一般に知られているか、当業者であれば容易に入手可能である。典型的には、APIは、APIとポリマーマトリックスの重量比が1:99~(90:10)の範囲、好ましくは5:95~60:40、最も好ましくは10:90~30:70で医薬組成物中に存在し得る。
高い加水分解グレードのPVAと低い加水分解グレードのPVAは、溶融状態では親水性/親油性が異なるにもかかわらず、均質なポリマーマトリックスを形成することが可能であることが驚くべきことに判明した。
本発明によれば、第1のPVA、第2のPVA及び任意にさらなる薬学的に許容される成分の組み合わせを含むポリマーマトリックスは、昇温温度でAPIと混合される。溶融状態のPVAの組み合わせに混合しながら添加したAPIは、このような昇温かつ剪断力下でPVAポリマーマトリックス中にAPIの非晶質固体分散体を形成することを見出した。本発明によれば、APIの非晶質固体分散体を得るための最低作業温度は、第1のPVA及び第2のPVAを含むポリマーマトリックスが溶融状態にある温度以上、すなわち一般に第1のPVA及び第2のPVAのガラス転移温度又は溶融温度以上の温度である。ポリマーマトリックス中に、APIの均一な分布、好ましくは非晶質状態を形成することを容易にするために、作業温度は、好ましくは少なくともAPIの融解温度である。APIが溶融ポリマーマトリックスに可溶化する場合、作業温度はAPIの融解温度以下とすることも可能である。
水性媒体中でのPVAの親水性は、加水分解度の増加とともに向上するが、同時に結晶性や融点(melting point)も上昇する。ガラス転移温度及び融点は、加水分解度によって変化する。完全加水分解、すなわち98~99%加水分解PVAは230℃以上の温度で分解する傾向がある。従って、PVAポリマーマトリックス中のAPIの非晶質固体分散体を得るための典型的な作業温度は、140℃~230℃、特に180℃~200℃である。
本発明のさらなる実施形態では、非晶質固体分散体は、2つの別々の溶融工程で製造することができる。第1の工程は、ポリマー混合物のガラス転移温度又は融解温度を超える温度で、第1のPVAと第2のPVA及び任意に追加の薬学的に許容できる成分を混合することである。固化した後、得られたポリマー混合物を粉砕する。そして、第2の工程は、ポリマーマトリックスのガラス転移温度又は融解温度以上の温度、好ましくは少なくともAPIの融解温度である温度で、固化し粉砕したポリマー混合物とAPIを混合することである。APIは任意に、押出前に固化・粉砕したポリマー混合物と混合することができ、又はAPIは、ポリマー混合物の押出中に添加することもできる。
本発明は、加水分解の異なるグレードを有する第1のPVA及び第2のPVAを含むポリマーマトリックス中の少なくとも1つのAPIの安定した非晶質固体分散体を製造するための方法を提供する。この方法は、ポリマーマトリックス内にAPIの非晶質固体分散体を製造するのに適した混合・加熱工程と、それに続く固化工程を含む、経口剤用医薬組成物を製造するための一般的に知られた製造方法に採用することができる。これらのステップを採用した製造方法は、例えば、熱溶融押出、溶融押出、射出成形、圧縮成形又は付加製造である。
更に、本発明は、ポリビニルアルコールを含むポリマーマトリックス中の活性医薬成分の非晶質形態を安定化する方法であって、前記方法は、第1の加水分解度を有する第1のポリビニルアルコール、第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度を有する第2のポリビニルアルコール及び活性医薬成分をポリマーマトリックスのガラス転移温度又は融解温度以上の温度で混合し、それによって活性医薬成分の非晶質固体分散体を形成する工程を含む、方法を提供する。好ましくは、第1のPVAと第2のPVAとの重量比は、1:1~1:10、より好ましくは1:1~1:8である。好ましくは、温度は少なくとも活性医薬成分の溶融温度である。
更に、本発明は、上記のような非晶質形態の安定化方法であって、第1のPVAと第2のPVAとを上記のような重量比から外れる比率で含む非晶質固体分散体中の活性医薬成分の非晶質形態の安定性と比較して、非晶質固体分散体中の活性医薬成分の非晶質形態の安定性が向上する、方法を提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、第1の加水分解度を有する第1のポリビニルアルコールと、前記第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度を有する第2のポリビニルアルコールと、前記活性医薬成分を、前記ポリマーマトリックスのガラス転移温度又は融解温度以上の温度で混合し、それによって前記活性医薬成分の非晶質固体分散体を形成することにより、非晶質固体分散体中の活性医薬成分の非晶質形態を安定化する、
第1及び第2のポリビニルアルコールを含むポリマー混合物の使用を提供する。
好ましくは、第1のPVAと第2のPVAとの重量比は、1:1~1:10、より好ましくは1:1~1:8、最も好ましくは1:3,5~1:8である。好ましくは、温度は、少なくとも活性医薬成分の溶融温度である。
更に、実施例3で説明し、図3に示したように、第1の加水分解度を有する第1のPVAと第2の加水分解度を有する第2のPVAの重量比を1:1から1:8、好ましくは1:3,5から1:8の間で変化させることにより、8:1から1:1の重量比を有するサンプルとは反対に、90分の溶解時間内に80%以上のAPIの調製放出(tailored release)が達成できることが驚くべきことに判明した。好ましくは、第1のポリビニルアルコールの第1の加水分解度は、第2のポリビニルアルコールの第2の加水分解度よりも少なくとも5重量%ポイント高い。
非晶質固体分散体の製造方法について上述したすべての好ましい実施形態、第1及び第2のポリビニルアルコールの好ましいPVAグレード、API、又は第1のPVA及び第2のPVAの重量比が含まれ、これらに限定されないが、ポリマー混合物の安定化のための方法及び使用に対しても好ましい。
異なるグレードのPVAの存在により、均質で安定した非晶質固体分散体を製造することができる。イトラコナゾールのような低溶解APIの場合、低加水分解PVAの存在は非晶質状態を安定させる効果がある。可塑剤や熱潤滑剤等のような更なる安定化処理剤の使用は避けることができる。従って、このような添加物は、得られる医薬組成物の薬物放出特性に影響を与えることはできない。
X線回折分析により、第1のPVA(加水分解度が高い)と第2のPVA(加水分解度が低い)の重量比が1:1~1:10である三元マトリックスにおいて、検出可能な結晶性物質を実質的に含まない難溶性APIの非晶質固体分散体が得られることが明らかになった。ポリマーマトリックス中に結晶性のAPIが存在しないことは、生体内でのAPIの高い吸収のために非常に望ましい。
ポリマーマトリックス中、加水分解度の異なるPVAグレードを組み合わせることで、APIの徐放性に望ましい効果が期待できることが溶解実験により示された。第1のPVA(加水分解度が高い)と第2のPVA(加水分解度が低い)の重量比が1:1~1:3.5、好ましくは1:1~1:2であると、APIの放出の遅延が生じることがわかった。
徐放性経口剤形は、あらかじめ決められた制御された方法でAPIを剤形から放出することにより、APIを継続的に体内に投与し、治療上有効なAPIの血中濃度を長時間にわたって提供する。このような遅延型医薬組成物の利点は、APIの望ましくない毒性を示す可能性のある血漿中濃度の回避と、投与剤形の投与頻度の低減による患者のコンプライアンスの改善である。
従って、ポリマーマトリックス中に異なるグレードのPVAを異なる比率で使用することは、APIが長期間にわたって均一に放出されるような、API放出の延長された固形経口医薬剤形の製剤化に特に興味深い。このような経口剤形は、口腔内又は消化管内のような水溶液中では直接溶解せず、膨潤し、拡散によってのみ徐々に薬物が放出されると想定される。ポリマーマトリックス中の加水分解度の高い第1のPVAと加水分解度の低い第2のPVAの比率を変化させることにより、ポリマーマトリックスの化学的性質を調整し、所望の投与形態に応じて多かれ少なかれ様々なAPI放出特性を達成することができる。
更に、APIの非晶質固溶体を含むポリマーマトリックスにおいて、高加水分解PVAと低加水分解PVAの特定の重量比が、水溶液中でのAPIの過飽和溶解をサポートし得ることが溶解実験で明らかになった。難溶性APIの迅速かつ実質的な完全放出を得るための高加水分解PVAと低加水分解PVAの好ましい重量比は、1:2~1:8の範囲である。水溶液中に、より親油性の低いグレードのPVAと親水性のより高いグレードのPVAの混合物が存在することで、水溶性の低いAPIの水性媒体中での結晶化、相分離を防ぐことができると推測される。一般にAPIの低い水溶性は、医薬製剤での投与後の低いバイオアベイラビリティを伴うので、本発明に係る医薬組成物は、水溶性の低いAPIのバイオアベイラビリティを改善することにも寄与する。
本明細書で使用する場合、「バイオアベイラビリティ(bioavailability)」という用語は、患者の体内に投与された後、薬物が標的組織で利用可能となる程度を意味する用語である。
本発明の方法に従って、異なる加水分解グレードのPVAをポリマーマトリックスに配合することで、製剤開発者は、得られる医薬組成物の特定の特性を微調整することができる。特に、適切なPVAグレードを選択・組み合わせ、それによってポリマーマトリックスの極性を変化させることにより、あるAPIの放出プロファイルを、対象とするAPIの溶解度特性及び望ましい投与形態に適合させることができる。
PVA5-74のような低グレードPVAの割合が増えると、PVAポリマーマトリックス中の親油性APIの可溶化をサポートし、非晶質固体分散体を安定化させる一方、PVA4-98のような高グレードPVAは水性媒体へのAPIの放出を保証することが判明した。
異なる加水分解グレードのPVAを含むポリマーマトリックスは、他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることができる。特に、本発明に係る医薬組成物は、追加の薬学的に許容される親水性ポリマー又は親油性ポリマーを含んでいてもよい。医薬組成物は、当業者によく知られている薬学的に許容される充填剤、可塑剤、界面活性剤、及び他の適切な成分を含むこともできる。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」という語句は、一般的にヒトに投与した場合にアレルギー反応又は類似の不快な反応を生じない、溶媒、分散媒体、賦形剤、キャリア、コーティング、活性剤、等張剤及び吸収遅延剤等のすべての化合物を指す。医薬組成物におけるこのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野でよく知られている。
図1は、PVA5-74とPVA4-98と親油性モデルAPIとしてイトラコナゾール(ITZ)の比率を変えたモデル三元マトリックスシステムを調製するための押出パラメータをまとめた表である。 図2は、PVA5-74とPVA4-98の比率を変え、モデルAPIであるイトラコナゾール(ITZ)を10重量%の一定荷重で押出したマトリックスのX線回折図である。 図3は、PVA4-98、PVA5-74、ITZを含む三元システムの溶解プロファイルを示したものである。
実施例1:三元組成物の調製
PVA4-98(Poval4-98、Kuraray Europe GmbH)とPVA5-74(Poval5-74、Kuraray Europe GmbH)の異なる比率からなる5つの三元組成物と、ポリマーマトリックスとしてPVA4-98又はPVA 5-74のみからなる比較組成物を、以下の表1に従って10重量%のイトラコナゾール(ITZ)と熱溶融押出により調製した。
Figure 2023548100000001
表1及び図1に示す重量比に従って、総質量200gの粉末混合物に必要な第1のポリビニルアルコールPoval4-98、第2のポリビニルアルコールPoval5-74及び活性成分イトラコナゾール(ITZ)の量を1L混合容器に計量し、試験管ミキサー(tubular mixer)により5分間混合した。
次に、前記粉末混合物をBrabender KETSE 12/36押出機の重量式二軸スクリューフィーダーに充填し、最大供給速度の決定を実施した。
図1に示すように、加熱ゾーンはそれぞれの目標温度で加熱された。
加熱ゾーンがそれぞれの温度に達した後、粉末混合物の速度及び類似の投与速度を、それぞれ200rpm及び200.0g/hの目標速度及び目標投与速度に到達するまで、50の単位で段階的に増加させた。ノズル圧とトルクが安定するまで約5分間、押出物を廃棄した。その後、押出物を、コンベアベルト上で室温で冷却し、それによってペレタイザーに搬送し、Brabenderペレタイザーを用いて押出物を粉砕して1.5mmのペレットとした。この工程は、フィーダー内の混合粉が使い切られるまで続けた。これは、投与速度の切迫した変動に反映された。その後、吐出を停止し、スクリュー回転数を徐々に10rpmまで落として更に10分間保持し、押出機バレルから残留ポリマーを供給し、これを廃棄した。
このようにして得られた押出三元組成物ペレットは、さらなるX線回折分析及び溶解実験に使用された。
実施例2:三元組成物のX線回折分析(XRD)
実施例1に従って得られた押出ポリマーマトリックスは、X線回折分析によって更に特徴付けられた。X線回折は、薬学において確立された技術であり、APIの多形やポリマーの残存結晶性を特定するために使用することができる。
サンプルは、透過モード、40KV及び40mAで測定した。1.54060Aの波長で陽極材料として銅を用いた。ステップサイズは、0.015、15.0秒/stepであった。
低加水分解PVA5-74のITZの非晶質状態に対する安定化効果を評価した。押出成マトリックスのX線回折図を図2に示す。純粋なPVA4-98ベースのポリマーマトリックスでは、ITZの結晶ピークがまだ検出されることが確認された。ポリマーマトリックス中のPVA4-98とPVA5-74の重量比が8:1~1:8とPVA5-74の割合が増加すると、結晶ピークはますます減少し、PVA4-98とPVA5-74が1:1の重量比を有する三元組成物は、2つのマイナーピークしか示さなかった。PVA4-98とPVA5-74の重量比が1:3.5~1:8である三元組成物は、明確な結晶ピークを示さなかった。この結果から、ポリマーマトリックス中の低加水分解PVA5-74の割合が増加することによって誘導される酢酸基の量が増加すると、ITZの非晶質状態の安定性が向上することが確認できる。このように、PVA5-74をPVA4-98とPVA5-74の重量比1:1から1:8で添加すると、ポリマーマトリックスの結晶含有量を効果的に減らすのに十分で、ポリマーマトリックス内の非晶質ITZの安定化に成功したことを示している。
実施例3:三元組成物の薬物放出性
実施例1に従って得られた押出ポリマーマトリックスを用いて、薬物放出実験を実施した。
サンプルの調製:
三元組成物の押出物を、IKA Tubemill 100に40mlの使い捨て粉砕カップを装着し、25000rpmで20秒間粉砕した。各押出物のサンプルを3つ用意した。各サンプルについて、50mgのITZに相当する500mgの押出物を秤量した。
溶解法:
三元組成物の押出物からのITZの溶解速度は、オンラインAgilent光度計8453を備えたSotax AT7スマート測定システム(smart measuring system)を用いて測定した。サンプルは、37±0.5℃の温度に平衡化した900mLのSGF.sp(20gのNaCl、800mLの0.1M HClを、10.0Lの脱イオン水に添加)を含む溶解容器に入れ、パドルを75rpmで回転させた。5、20、35、50、65、95、125、155、185、240分の時点でサンプルを採取し、ろ過してHPLCで分析した。
溶解データから、PVA4-98とPVA5-74の重量比が1:3.5~1:8の三元組成物の放出プロファイルは非常に類似しており、溶解時間90分以内にITZを80%以上放出することが示された。
従って、PVA4-98とPVA5-74の重量比を変化させることで、調製放出製剤(tailored release formulation)が可能となる。

Claims (15)

  1. ポリマーマトリックス中の少なくとも1つの活性医薬成分の非晶質固体分散体を製造する方法であって、前記ポリマーマトリックスはポリビニルアルコールを含有し、
    第1の加水分解度を有する第1のポリビニルアルコールを選択する工程、
    第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度を有する第2のポリビニルアルコールを選択する工程、
    前記第1のポリビニルアルコール、前記第2のポリビニルアルコール及び前記活性医薬成分を、前記ポリマーマトリックスのガラス転移温度又は融解温度以上の温度で混合し、それによって活性医薬成分の非晶質固体分散体を形成する工程を含む、方法。
  2. 前記加水分解度が、ポリビニルアルコールのけん化価を決定することによって測定される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記温度は、少なくとも活性医薬成分の融解温度である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記非晶質固体分散体が、熱溶融押出、溶融押出、射出成形、圧縮成形又は付加製造によって製造される、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
  5. 前記第1のポリビニルアルコールの前記第1の加水分解度が、前記第2のポリビニルアルコールの前記第2の加水分解度よりも少なくとも5重量%ポイント高い、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記第1のポリビニルアルコールが、加水分解度98%~99%、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~50mPasのポリビニルアルコールであり、前記第2のポリビニルアルコールが、加水分解度70%~88%、20℃における4%溶液の粘度が2mPas~50mPasのポリビニルアルコールである、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記第1のポリビニルアルコールと第2のポリビニルアルコールとの重量比が、1:1~1:8である、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記第1のポリビニルアルコールと前記第2のポリビニルアルコールの重量比が、1:3.5~1:8である、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
  9. 前記活性医薬成分が水に難溶性である、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
  10. 経口投与のための医薬組成物であって、
    第1の加水分解度を有する第1のポリビニルアルコール及び第2の加水分解度を有する第2のポリビニルアルコールを含む薬学的に許容されるポリマーマトリックス中の少なくとも1つの活性医薬成分の非晶質固体分散体を含み、前記非晶質固体分散体が請求項1~10の何れか1項に記載の方法によって得ることができる医薬組成物。
  11. 請求項10に記載の医薬組成物を、錠剤、ビーズ、顆粒、ペレット、カプセル、懸濁液、乳剤、ゲル又はフィルムの形態で含む経口投与剤。
  12. ポリビニルアルコールを含むポリマーマトリックス中の活性医薬成分の非晶質形態を安定化する方法であって、
    前記方法は、第1の加水分解度を有する第1のポリビニルアルコールと、前記第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度を有する第2のポリビニルアルコールと、前記活性医薬成分を、前記ポリマーマトリックスのガラス転移温度又は融解温度以上の温度で混合し、それによって前記活性医薬成分の非晶質固体分散体を形成する工程を含み、第1のPVAと第2のPVAの重量比が、1.1~1:10の間である方法。
  13. 前記温度は、少なくとも前記活性医薬成分の融解温度である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記非晶質固体分散体中の前記活性医薬成分の非晶質形態の安定性が、第1のPVAと第2のPVAとを1:1~1:10の間の重量比から外れる比率で含む非晶質固体分散体中の活性医薬成分の非晶質形態の安定性と比較して向上する、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 第1の加水分解度を有する第1のポリビニルアルコールと、前記第1の加水分解度よりも低い第2の加水分解度を有する第2のポリビニルアルコールと、前記活性医薬成分を、前記ポリマーマトリックスのガラス転移温度又は融解温度以上の温度で混合し、それによって前記活性医薬成分の非晶質固体分散体を形成することにより、非晶質固体分散体中の活性医薬成分の非晶質形態を安定化する、
    第1及び第2のポリビニルアルコールを含むポリマー混合物の使用であって、
    前記第1のPVAと第2のPVAの重量比は、1.1~1:10である、使用。
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