JP2023548078A - リチウムイオン電池の熱保護 - Google Patents

リチウムイオン電池の熱保護 Download PDF

Info

Publication number
JP2023548078A
JP2023548078A JP2023524996A JP2023524996A JP2023548078A JP 2023548078 A JP2023548078 A JP 2023548078A JP 2023524996 A JP2023524996 A JP 2023524996A JP 2023524996 A JP2023524996 A JP 2023524996A JP 2023548078 A JP2023548078 A JP 2023548078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermal runaway
tube
control valve
temperature
way control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023524996A
Other languages
English (en)
Inventor
エル.ロビン マーク
Original Assignee
ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー filed Critical ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
Publication of JP2023548078A publication Critical patent/JP2023548078A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A62LIFE-SAVING; FIRE-FIGHTING
    • A62CFIRE-FIGHTING
    • A62C3/00Fire prevention, containment or extinguishing specially adapted for particular objects or places
    • A62C3/16Fire prevention, containment or extinguishing specially adapted for particular objects or places in electrical installations, e.g. cableways
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A62LIFE-SAVING; FIRE-FIGHTING
    • A62CFIRE-FIGHTING
    • A62C35/00Permanently-installed equipment
    • A62C35/02Permanently-installed equipment with containers for delivering the extinguishing substance
    • A62C35/023Permanently-installed equipment with containers for delivering the extinguishing substance the extinguishing material being expelled by compressed gas, taken from storage tanks, or by generating a pressure gas
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A62LIFE-SAVING; FIRE-FIGHTING
    • A62CFIRE-FIGHTING
    • A62C35/00Permanently-installed equipment
    • A62C35/58Pipe-line systems
    • A62C35/68Details, e.g. of pipes or valve systems
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A62LIFE-SAVING; FIRE-FIGHTING
    • A62CFIRE-FIGHTING
    • A62C37/00Control of fire-fighting equipment
    • A62C37/08Control of fire-fighting equipment comprising an outlet device containing a sensor, or itself being the sensor, i.e. self-contained sprinklers
    • A62C37/10Releasing means, e.g. electrically released
    • A62C37/11Releasing means, e.g. electrically released heat-sensitive
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A62LIFE-SAVING; FIRE-FIGHTING
    • A62DCHEMICAL MEANS FOR EXTINGUISHING FIRES OR FOR COMBATING OR PROTECTING AGAINST HARMFUL CHEMICAL AGENTS; CHEMICAL MATERIALS FOR USE IN BREATHING APPARATUS
    • A62D1/00Fire-extinguishing compositions; Use of chemical substances in extinguishing fires
    • A62D1/0028Liquid extinguishing substances
    • A62D1/0057Polyhaloalkanes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A62LIFE-SAVING; FIRE-FIGHTING
    • A62DCHEMICAL MEANS FOR EXTINGUISHING FIRES OR FOR COMBATING OR PROTECTING AGAINST HARMFUL CHEMICAL AGENTS; CHEMICAL MATERIALS FOR USE IN BREATHING APPARATUS
    • A62D1/00Fire-extinguishing compositions; Use of chemical substances in extinguishing fires
    • A62D1/0092Gaseous extinguishing substances, e.g. liquefied gases, carbon dioxide snow
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Business, Economics & Management (AREA)
  • Emergency Management (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Mounting, Suspending (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させる方法。本開示はまた、熱暴走を示すリチウムイオン電池によって発生する火災を消火するためのシステムを提供する。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月29日出願の米国特許仮出願第63/107,052号に対する優先権を主張し、当該出願は参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本開示は、炎の消火及び熱暴走の停止を含む熱的事象からのリチウムイオン電池の保護に関する。
FM-200(商標)(HFC-227ea、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びNovec(商標)1230(FK-5-1-12、ペルフルオロエチルイソプロピルケトン)などのガス浄化消火剤は、現在利用可能な方法及びシステムにおけるリチウムイオン電池(LIB)火災に関連する熱暴走、特にカスケード熱暴走を停止させることができず、LIBに関連する液体電解質火災の消火のみに限定されることが、特殊消火業界内で一般に受け入れられている。例えば、Ingramは、「Lithium-Ion Batteries:A Potential Fire Hazard」(Data Center Journal、2013年)に、「Gaseous agents will extinguish flames due to burning leaked electrolyte but have little or no effect on mitigating or preventing a thermal runaway occurring within Li-ion cells」を開示している。より最近では、Ingramは、2019年のFire Suppression System Associationの年次総会で発表された「Fire Suppression for Lithium Ion Battery Fires」で「熱暴走は、いかなる抑制システムによっても制御することができない」と開示している。
米国特許出願公開第2010/0078182号は、燃料電池、通常の電池、又は充電式電池などの電気的又は機械的エネルギーを生成及び貯蔵するためのデバイス、並びに火災回避のための方法を開示している。電気的又は機械的エネルギーを生成又は貯蔵する働きをするデバイスの少なくとも1つの要素は、封入体内に配置される。難燃性物質を貯蔵する容器は、封入体と接触している。複数のセルが存在する場合、システムは、他のセルへの損傷を防ぐために、セルを互いに分離しない。更に、このシステムは、裸火の存在下で作動させる方法を有していない。米国特許出願公開第2010/0078182号は、炎の消火を記載しているが、熱暴走の停止に対処していない。
中国特許出願公開第206167681号は、自動車内のリチウムイオン電池を火災から保護するためのデバイスを開示しており、このデバイスは、電池を封入する電池ケース内に配置された火災検知/送達管の使用を伴う。消火剤は、ヘプタフルオロプロパンとすることができる。圧力信号センサは、電池ケース内の消火剤搬送・火災検知管に設置される。中国特許出願公開第206167681号は消火を記載しているが、熱暴走の停止に対処していない。
米国特許第7823650号は、火災などの危険の検知に応じて消火剤を送達するための危険制御システムを開示している。システムは、熱への曝露に応答して漏出するように構成される圧力管を使用してもよい。システムの要素は、(1)制御ユニットと、(2)消火剤と、(3)危険検知システムと、(4)危険領域と、(5)危険領域に消火剤を送達する送達システムと、を含む。危険検知システムは、圧力管内の圧力の変化などの危険の検知に応答して信号を生成する。米国特許第7823650号は、火災制御システムを記載しているが、いかにして火災を消火か、又は熱暴走を停止させるかに対処していない。
米国特許仮出願第63/107,052号 米国特許出願公開第2010/0078182号 中国特許出願公開第206167681号 米国特許第7823650号
リチウムイオン電池に関連する熱保護の必要性に対処する必要性が依然として存在しており、熱暴走の停止、炎の消火、並びに消火された火の再発火の防止を含む。本発明は、これらの要求を満たす。
本開示は、リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法を提供する。本方法は、(a)筐体を提供するステップと、(b)筐体内に配置されたデバイスを提供するステップであって、デバイスが、リチウムイオン電池を備え、リチウムイオン電池によって電力供給される、ステップと、(c)熱暴走停止剤の供給源を提供するステップであって、供給源が容器及び二方制御弁を含み、容器が熱暴走停止剤を収容し、二方制御弁が容器の開口に取り付けられ、熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、ステップと、(d)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管を提供するステップであって、管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が二方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)管が筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)管がリチウムイオン電池に近接して配置される、ステップと、(e)炎を発生させ熱暴走を開始させる熱刺激を提供するステップであって、感温管が破裂すると、感温管に開口(「熱刺激形成開口」)が形成され、感温管内の不活性ガス又は熱暴走停止剤が感温管の熱刺激形成開口を通って筐体内に放出され、その結果、感温管内の圧力が低下し、二方制御弁を作動させて熱暴走停止剤を貯蔵容器から二方制御弁を通って感温管に送達し、感温管の熱刺激形成開口から出て筐体内に送達するステップと、を含み、熱暴走停止剤の送達が、放出時間、熱暴走停止剤濃度、及び保持時間によって特徴付けられ、それによって炎を消火し、熱暴走を停止させ、炎の消火後の再発火を防止する。
また、リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させる方法が提供され、当該方法は、(a)筐体を提供するステップと、(b)筐体内に配置されたデバイスを提供するステップであって、デバイスが、リチウムイオン電池を備え、リチウムイオン電池によって電力供給される、ステップと、(c)熱暴走停止剤の供給源を提供するステップであって、供給源が容器及び三方制御弁を含み、容器が熱暴走停止剤を収容し、三方制御弁が容器の開口に取り付けられ、熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、ステップと、(d)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管を提供するステップであって、管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が三方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)管が筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)管がリチウムイオン電池に近接して配置される、ステップと、(e)一方の端部で三方制御弁と連通し、他方の端部でリチウムイオン電池に近接するノズルで終端するノズル接続管を提供するステップと、(f)炎を発生させ熱暴走を開始させる熱刺激を提供するステップであって、感温管が破裂すると、感温管に開口(「熱刺激形成開口」)が形成され、感温管内の不活性ガス又は熱暴走停止剤が感温管の熱刺激形成開口を通って筐体内に放出され、その結果、感温管内の圧力が低下し、三方制御弁を作動させて熱暴走停止剤を貯蔵容器から三方制御弁を通ってノズル接続管に送達し、それにより、ノズルから筐体内へ熱暴走停止剤を放出する、ステップと、を含み、熱暴走停止剤の送達が、放出時間、熱暴走停止剤濃度、及び保持時間によって特徴付けられ、それによって炎を消火し、熱暴走を停止させ、炎の消火後の再発火を防止する。
筐体内の熱暴走停止剤の濃度、放出時間、及び保持時間は、既存のシステムに対して以下の利点を提供する。(1)いったん炎が発生すると炎を消火する、(2)単一セルリチウムイオン電池又は複数セルリチウムイオン電池又はリチウムイオン電池バンクにおいて発生する熱暴走を停止させる、(3)炎が消えた後に再発火が発生するのを防止する。
また、防火システムが提供され、当該防火システムは、(a)筐体と、(b)筐体内に配置されたデバイスであって、リチウムイオン電池を備え、リチウムイオン電池によって電力供給される、デバイスと、(c)熱暴走停止剤の供給源であって、容器及び二方制御弁を含み、容器が熱暴走停止剤を収容し、二方制御弁が容器の開口に取り付けられ、熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、熱暴走停止剤の供給源と、(d)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管であって、管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が二方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)管が筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)管がリチウムイオン電池に近接して配置され、管が閾値温度を感知すると破裂可能である、感温管と、を備える。
また、防火システムが提供され、当該防火システムは、(a)筐体と、(b)筐体内に配置されたデバイスであって、リチウムイオン電池を備え、リチウムイオン電池によって電力供給される、デバイスと、(c)熱暴走停止剤の供給源であって、容器及び三方制御弁を含み、容器が熱暴走停止剤を収容し、三方制御弁が容器の開口に取り付けられ、熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、熱暴走停止剤の供給源と、(d)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管であって、2つの端部を有し、(i)一方の端部が三方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)感温管が筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)感温管がリチウムイオン電池に近接して配置され、感温管が閾値温度を感知すると破裂可能である、感温管と、(e)一方の端部で三方制御弁と連通し、他方の端部でリチウムイオン電池に近接するノズルで終端するノズル接続管と、を備える。
他の特徴は、本開示に基づいて当業者には明らかであろう。
本開示は、消火剤が熱暴走を停止させることができず、いかなる抑制システムによっても熱暴走停止させることができないというリチウムイオン電池の問題に対処する。特定の熱暴走停止剤を選択し、リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイス内で特定の放出時間にわたって特定の濃度及び保持時間でその薬剤を投与することによって、デバイス内の炎を消火する(初期消火)だけでなく、熱暴走を停止させ、炎の初期消火後の再発火を防止する。
本開示のLIB保護システムの一実施形態の図である。 本開示のLIB保護システムの一実施形態の図である。 本開示のLIB保護システムの第2の実施形態の図である。 本開示のLIB保護システムの第3の実施形態の図である。 本開示のLIB保護システムの第4の実施形態の図である。 典型的なリチウムイオン電池(LIB)の図である。
炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法
実施形態1
本開示の特定の実施形態では、デバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法が提供され、本方法は、(a)筐体を提供するステップと、(b)筐体内に配置されたデバイスを提供するステップであって、デバイスが、リチウムイオン電池を備え、リチウムイオン電池によって電力供給される、ステップと、(c)熱暴走停止剤の供給源を提供するステップであって、供給源が容器及び二方制御弁を含み、容器が熱暴走停止剤を収容し、二方制御弁が容器の開口に取り付けられ、熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、ステップと、(d)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管を提供するステップであって、管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が二方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)管が筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)管がリチウムイオン電池に近接して配置される、ステップと、(e)炎を発生させ熱暴走を開始させる熱刺激を提供するステップであって、感温管が破裂すると、管に開口(熱刺激形成開口)が形成され、感温管内の不活性ガス又は熱暴走停止剤が感温管の熱刺激形成開口を通って筐体内に放出され、その結果、感温管内の圧力が低下し、二方制御弁を作動させて熱暴走停止剤を貯蔵容器から二方制御弁を通って感温管に送達し、感温管の熱刺激形成開口から出て筐体内に送達するステップと、を含み、熱暴走停止剤の送達が、放出時間、熱暴走停止剤濃度、及び保持時間によって特徴付けられ、それによって炎を消火し、熱暴走を停止させ、炎の消火後の再発火を防止する。
二方制御弁は、感温管とセンサ通信している。本実施形態では、感温管は、二方制御弁が作動されると、熱暴走停止剤が感温管に送達されるように、二方制御弁を通じて供給源と流体連通している。本実施形態では、感温管は、熱刺激を検知するとともに、熱暴走停止剤を筐体内に送達するように作用する。
実施形態1の1つの方法では、ステップ(d)において、感温管は不活性ガスを収容する。実施形態1の別の方法では、ステップ(d)において、感温管は熱暴走停止剤を収容する。
実施形態2
また、リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を開口させる方法が提供され、当該方法は、(a)筐体を提供するステップと、(b)筐体内に配置されたデバイスを提供するステップであって、デバイスが、リチウムイオン電池を備え、リチウムイオン電池によって電力供給される、ステップと、(c)熱暴走停止剤の供給源を提供するステップであって、供給源が容器及び三方制御弁を含み、容器が熱暴走停止剤を収容し、三方制御弁が容器の開口に取り付けられ、熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、ステップと、(d)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管を提供するステップであって、感温管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が三方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)感温管が筐体内に配置され、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)感温管がリチウムイオン電池に近接して配置される、ステップと、(e)一方の端部で三方制御弁と連通し、他方の端部でリチウムイオン電池に近接するノズルで終端するノズル接続管を提供するステップと、(f)炎を発生させ熱暴走を開始させる熱刺激を提供するステップであって、感温管が破裂すると、感温管に開口(「熱刺激形成開口」)が形成され、感温管内の不活性ガス又は熱暴走停止剤が感温管の熱刺激形成開口を通って筐体内に放出され、その結果、感温管内の圧力が低下し、三方制御弁を作動させて熱暴走停止剤を貯蔵容器から三方制御弁を通ってノズル接続管に送達し、それにより、ノズルから筐体内へ熱暴走停止剤を放出する、ステップと、を含み、熱暴走停止剤の送達が、放出時間、熱暴走停止剤濃度、及び保持時間によって特徴付けられ、それによって炎を消火し、熱暴走を停止させ、炎の消火後の再発火を防止する。
三方制御弁は、感温管とセンサ通信している。本実施形態では、感温管は供給源と流体連通しており、三方制御弁が作動されると、熱暴走停止剤が、リチウムイオン電池に近接するノズルで終端するノズル接続管を通じて送達され、熱暴走停止剤をノズルを通じて筐体内に放出する。本実施形態では、感温管は熱刺激を検知するように作用し、ノズル接続管は熱暴走停止剤を筐体内に送達するように作用する。
実施形態2の1つの方法では、ステップ(d)において、感温管は不活性ガスを収容する。実施形態2の代替方法では、ステップ(d)において、感温管は熱暴走停止剤を収容する。
リチウムイオン電池のための防火システム
実施形態3
本開示の特定の実施形態では、防火システムが提供され、当該防火システムは、(a)筐体と、(b)筐体内に配置されたデバイスであって、リチウムイオン電池を備え、リチウムイオン電池によって電力供給される、デバイスと、(c)熱暴走停止剤の供給源であって、供給源が容器及び二方制御弁を含み、容器が熱暴走停止剤を収容し、二方制御弁が容器の開口に取り付けられ、熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、熱暴走停止剤の供給源と、(c)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管であって、管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が二方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)管が筐体内に配置され、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)感温管がリチウムイオン電池に近接して配置され、感温管が閾値温度を感知すると破裂可能である、感温管と、を備える。
本実施形態では、二方制御弁は、感温管とセンサ通信している。更に、本実施形態では、感温管は、二方制御弁が作動されたときに熱暴走停止剤が感温管に送達されるように、供給源と流体連通している。本実施形態では、感温管は、熱刺激を検知するとともに、熱暴走停止剤を筐体内に送達するように作用する。
実施形態3の1つの防火システムでは、構成要素(c)の感温管は不活性ガスを収容する。実施形態3の代替防火システムにおいて、構成要素(c)の感温管は、熱暴走停止剤を収容する。
実施形態4
また、防火システムが提供され、当該防火システムは、(a)筐体と、(b)筐体内に配置されたデバイスであって、リチウムイオン電池を備え、リチウムイオン電池によって電力供給される、デバイスと、(c)熱暴走停止剤の供給源であって、供給源が容器及び三方制御弁を含み、容器が熱暴走停止剤を収容し、三方制御弁が容器の開口に取り付けられ、熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、熱暴走停止剤の供給源と、(d)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管であって、管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が三方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)管が筐体内に配置され、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)感温管がリチウムイオン電池に近接して配置され、感温管が閾値温度を感知すると破裂可能である、感温管と、(e)一方の端部で三方制御弁と連通し、他方の端部でリチウムイオン電池に近接するノズルで終端するノズル接続管と、を備える。
三方制御弁は、本実施形態では、感温管とセンサ通信している。更に、本実施形態では、三方制御弁は、三方制御弁が作動されると、熱暴走停止剤がノズル接続管に送達されるように、ノズル接続管と流体連通している。本実施形態では、感温管は、温度センサ及びアクチュエータ又は三方制御弁の作動(起動)デバイスの機能を果たすが、熱暴走停止剤の筐体内への送達管としての機能を果たさない。ノズル接続管は、本実施形態では送出管の機能を果たす。
実施形態4による1つの防火システムでは、構成要素(c)の感温管は不活性ガスを収容する。実施形態4の代替防火システムにおいて、構成要素(c)の感温管は、熱暴走停止剤を収容する。
特定の意味で本明細書において使用される用語を以下に提示する。
「センサ通信」とは、本明細書では、制御弁が、感温管によって生成された信号を受信することができ、その結果、制御弁を作動させて容器を開放し、容器から熱暴走停止剤を放出することを意味する。制御弁は、実施形態に応じて、二方制御弁又は三方制御弁である。信号は、例えば、空気圧式であってもよく、又は電子式であってもよい。
実施形態1及び3では、二方制御弁は、感温管とセンサ通信している。実施形態2及び4では、三方制御弁は、感温管とセンサ通信している。
本明細書で使用される場合、二方制御弁は、少なくとも2つのポートを有する制御弁である。したがって、当業者であれば、二方制御弁が3つ以上のポートを有してもよいことを理解するであろう。なお、実施形態1及び3において、二方制御弁とは、少なくとも3つのポートを有する制御弁を含むことを意味する。例えば、第3のポートを有する二方制御弁が使用されてもよく、この場合、第3のポートは、容器内容物のサンプルを取り出すための選択肢を提供する。
同様に、三方制御弁は、少なくとも3つのポートを有する制御弁である。したがって、三方制御弁が4つ以上のポートを有してもよいことは、当業者によって理解される。なお、実施形態2及び4では、三方制御弁とは、少なくとも4つのポートを有する制御弁を含むことを意味する。例えば、第4のポートを有する三方制御弁が使用されてもよく、この場合、第4のポートは、容器内容物のサンプルを取り出すための選択肢を提供する。
「流体連通」とは、流体が、容器から制御弁を通って、遮断されることなく、感温管又はノズル接続管のいずれかに流れることができることを意味する。
実施形態1及び3では、二方制御弁は、容器及び感温管と流体連通している。実施形態2及び4では、三方制御弁は、容器及びノズル接続管と流体連通している。
より具体的には、実施形態1では、ステップ(e)における感温管の破裂は、熱暴走停止剤の容器から二方制御弁を通って感温管への流れ、及び筐体内への流れをもたらす。より具体的には、実施形態2では、ステップ(f)における感温管の破裂は、熱暴走停止剤の容器から三方制御弁を通ってノズル接続管へ、及びリチウムイオン電池に近接するノズルを通って筐体内への流れをもたらす。
センサ通信及び流体通信は、供給源が筐体の内側に配置されるか外側に配置されるかに関係なく行われる。
デバイス
リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスは、1つ又は複数のリチウムイオン電池によって電力供給される任意のデバイスである。本明細書に開示される方法及びシステムに適したリチウムイオン電池式デバイスの例としては、データロガー、電気通信機器、個人用電子機器、電動工具、エネルギー貯蔵システム、データセンター、電気自動車、及び電気自転車が挙げられる。個人用電子機器は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、及びゲームシステムを含む。
電池
本明細書で使用される「電池」は、化学エネルギーが電気に変換され、電力源として使用される、少なくとも1つのセルを含む容器を意味する。「セル」は、電圧及び電流を生成するために使用される電解質によって分離された単一のアノード及びカソードを含む。「電池バンク」又は「電池パック」では、2つ以上の電池が、並列に、直列に、又は3つ以上の電池が存在する場合には両方の組み合わせで配置され得る。
リチウムイオン電池
本明細書で使用される「リチウムイオン電池」又は「LIB」は、リチウムイオン化学作用を利用し、リチウム塩電解質を有する電解セルを含む電池を意味する。リチウムイオン電池は、単一セル電池若しくは複数セル電池、又は2つ以上のリチウムイオン電池を含む電池バンクであってもよい。
LIBは、アノードを含むアノードチャンバと、カソードを含むカソードチャンバと、アノードチャンバをカソードチャンバから分離する半透膜と、を備える。アノードは、固体電解質界面(SEI)層で保護されたグラファイトから構成される。カソードは、LiCoO、LiFePO、LiMn、又はLiNiMnCoOなどのリチウム金属酸化物から構成される。アノードチャンバ及びカソードチャンバはそれぞれ液体電解質で満たされている。液体電解質は、典型的には、エチレンカーボネート又はジエチルカーボネートなどの可燃性有機カーボネートである。液体電解質は、LiPF、LiAsF、LiClO、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を含む。
筐体
リチウムイオン電池式デバイスは、筐体内に配置される。筐体は、電池から発生した炎を筐体内に封じ込めるのに十分な温度及び圧力に耐える材料で構成される。筐体は、LIB式デバイスと筐体を取り囲む領域との間に物理的障壁を形成する。
熱暴走停止剤の供給源
熱暴走停止剤の供給源が提供される。供給源は、通常動作中に熱暴走停止剤を貯蔵する貯蔵容器を含む。供給源は、容器に取り付けられた制御弁を更に備える。制御弁は、実施形態に応じて、二方制御弁又は三方制御弁とすることができる。
本明細書に開示される実施形態のうちのいずれにおいても、供給源は筐体内に配置され得る。
代替的に、本明細書に開示される実施形態のうちのいずれにおいても、供給源は筐体の外側に配置され得る。そのような実施形態では、筐体は、感温管と制御弁との間のセンサ通信を提供する開口を有する。本実施形態が実施形態1又は実施形態3である場合、筐体はまた、熱暴走停止剤を筐体内に送達するために、二方制御弁と感温管との間に流体連通を提供する開口を有する。本実施形態が実施形態2又は実施形態4である場合、筐体はまた、三方制御弁とノズル接続管との間の流体連通を提供する開口を有する。筐体内のセンサ通信及び流体連通のための開口は、熱刺激の場合に筐体の一体性を維持するために密封される。
制御弁
実施形態1及び実施形態3を含む特定の実施形態では、LIB火災からの炎によって引き起こされる過剰な熱に起因して感温管が破裂すると、二方制御弁が、熱暴走停止剤を容器から感温管を通じて筐体内に放出することを可能にする。
二方制御弁は、感温管とセンサ通信している。二方制御弁は、感温管から信号を受信し、その信号によって作動することができる任意のタイプの弁とすることができる。信号は、熱刺激による破裂時に感温管内で生成される。作動時に、二方制御弁は、容器から弁を通り感温管への流体連通を開放し、熱暴走停止剤をリチウムイオン電池の近位に送達する。
そのような実施形態では、熱暴走停止剤は、感温管に形成された熱刺激形成開口を通じて筐体内に送達される。そのような実施形態では、二方制御弁は、感温管とセンサ通信するとともに流体連通する。
実施形態2及び実施形態4を含む特定の実施形態では、LIB火災からの炎によって引き起こされる過剰な熱に起因して感温管が破裂すると、三方制御弁は、熱暴走停止剤が容器から弁を通ってノズル接続管へ、及び筐体内へ放出されることを可能にする。
三方制御弁は、感温管とセンサ通信している。三方制御弁は、感温管から信号を受信し、その信号によって作動することができる任意のタイプの弁とすることができる。信号は、熱刺激による破裂時に感温管内で生成される。作動時に、三方制御弁は、容器から弁を通るノズル接続管への流体連通を開放し、リチウムイオン電池に近接するノズルを通って熱暴走停止剤を送達する。
そのような実施形態では、熱暴走停止剤は、ノズル接続管を通じて筐体内に送達される。そのような実施形態では、三方制御弁は、感温管とセンサ通信し、ノズル接続管と流体連通している。
不活性ガス
本明細書で使用される不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びそれらの混合物から選択されるガスを含む。任意選択的に、不活性ガスは、熱暴走停止剤を更に含む。
熱暴走停止剤
熱暴走停止剤は、筐体に送達されたときに少なくとも17%v/v(体積/体積)のHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン又は単にHFC-227ea)を含む。好ましい実施形態では、熱暴走停止剤は、筐体に送達されたときに少なくとも20%v/vのHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む。
熱暴走停止剤は、1つ又は複数の不活性ガスを更に含み得る。不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びこれらの混合物から選択され得る。
HFC-227ea/不活性ガス混合物の全圧は、70°Fで120~600psig(21℃で0.8~4MPa)であることが好ましい。より高い圧力が使用されてもよく、上限は他の理由の中でも特に実用性に基づく。
熱暴走停止剤は、1つ又は複数のハロカーボンガスを更に含み得る。ハロカーボンガスは、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、ヨードトリフルオロメタン(CFI)、トリフルオロメタン(CFH)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロエタン(HFC-236fa)、E-若しくはZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(E-又はZ-HCFO-1233zd)、E-若しくはZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(E-若しくはZ-HFO-1234ze)、E-若しくはZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(E若しくはZ-1224yd)、又はペルフルオロエチルペルフルオロイソプロピルケトン(FK-5-1-12、(CFCFC(O)CFCF)から選択され得る。
感温管
感温管は、筐体内に配置されている。感温管は圧力管であり、これは、管が所定の圧力で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容するか、又はそれらで充填されていることを意味する。感温管は、例えば、ルクセンブルクのRotarexから市販されている。
感温管内の不活性ガス又は熱暴走停止剤に提供される所定の圧力は、異なる管破裂温度をもたらすように変化させてもよい。圧力が高いほど、より低い温度で管破裂がもたらされる一方、圧力が低いほど、より高い温度で管破裂がもたらされる。
「管破裂」とは、管内の不活性ガス又は熱暴走停止剤の圧力の上昇が、熱刺激の発生時に管の破裂を引き起こすことを意味する。換言すれば、感温管は、閾値温度を感知すると「破裂可能」である。
閾値温度は、感温管が破裂する温度である。閾値温度は、感温管内の不活性ガス又は熱暴走停止剤に対して提供される所定の圧力によって、及び感温管の特定の配合に基づいて決定される。すなわち、感温管の詳細な組成を変化させて、管破裂に対する異なる閾値温度を提供することができる。
本明細書において以下で更に説明されるように、熱刺激は、外部加熱源又は内部加熱源から筐体に加えられた熱の結果であり得る。
外部熱源は、筐体の外部に物理的に位置する高温エンジン又は外部炎などの任意の熱源である。
内部熱源は、LIB自体であってもよく、機械的事象又は電気的事象又は欠陥事象に起因する過熱であってもよく、それが発生すると、筐体内で熱を発生させる。更なる情報を以下に提供する。
管が破裂すると、管は、予め内部に収容されていた不活性ガス又は熱暴走停止剤を放出する。更に、当業者であれば、管が破裂すると、感温管内の不活性ガス又は熱暴走停止剤が筐体内に放出されることを理解するであろう。
感温管は、熱刺激から放出される熱が管の破裂をもたらすように、筐体内のデバイス内のリチウムイオン電池に近接して配置される。
感温管が破裂すると、感温管に開口が形成され、通常動作中に感温管内に維持されていた不活性ガス又は熱暴走停止剤が筐体内に放出される。破裂はまた、例えば、感温管内の圧力損失から信号を生成し、この信号は制御弁に中継される。
実施形態1では、信号は、二方制御弁を作動させて、熱暴走停止剤を貯蔵容器から、二方制御弁を通じて、感温管内へ、及び感温管の熱刺激形成開口を通じて外へ放出し、炎の消火及び熱暴走の停止を提供し、炎の初期消火後の再発火を防止する。本実施形態では、感温管は、温度センサ、二方制御弁のアクチュエータ又は作動デバイス、及び熱暴走停止剤を筐体内に送達するための送達管の機能を果たす。
実施形態2では、管の破裂によって生成された信号は、三方制御弁に中継され、三方制御弁を作動させて、熱暴走停止剤を容器から三方制御弁を通じてノズル接続管に放出する。ノズル接続管は、感温管から分離されている。本実施形態では、ノズル接続管は、筐体の内側の三方制御弁から遠位の端部にノズルを有する。本実施形態では、感温管は、温度センサ及びアクチュエータ又は三方制御弁の作動デバイスの機能を果たすが、熱暴走停止剤の筐体内への送達管としての機能を果たさない。ノズル接続管は、本実施形態では送達管の機能を果たす。
通常動作条件
「通常動作条件」とは、本明細書では、リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスが、感温管を破裂させない温度、圧力、及び環境要因の条件下で動作していることを意味する。
熱刺激
熱刺激は、LIBが発火してデバイス内に炎及び熱暴走をもたらすように、筐体内に発熱を引き起こす事象である。熱刺激は、機械的事象、熱的事象、電気的事象、又は欠陥事象であり得る。
典型的なLIB熱暴走事象の説明は、「Lithium-Ion Battery Chemistries」、John T.Warner[Elsevier 2019]の第3.9.3章に見出すことができる。正確な温度はセル設計及び化学的性質に依存するので、この説明において示される温度は正確な数ではないが、熱暴走に関与する事象の順序は、以下に説明するように、LIBの異なる設計について同様であることが当業者によって理解される。
熱暴走は、LIBセル内の温度が通常動作条件の温度を超えて上昇したときに発生し、その結果、制御されない温度上昇及び酸素発生に起因して自動的に継続する連鎖反応がセル内で開始される。
Warnerによれば、セルの温度が約80℃に達すると、アノード上の保護固体電解質界面(SEI)層が分解し始め、リチウムと電解質溶媒との反応による発熱反応(熱を発生させる)で分解する。約100℃~120℃で、電解質(典型的には、可燃性である有機炭酸塩)は、別の発熱反応で分解し始め、次に、セル内でCO及び炭化水素などの様々なガスを発生させる。温度が120℃~130℃に近づくにつれて、アノードとカソードとの間のセパレータが溶融し、アノードとカソードとの間の接触を可能にし、内部短絡を引き起こし、より多くの熱を発生させる。温度が上昇し続けると、約130℃~150℃で、カソードは、電解質との別の発熱化学反応で分解し始め、酸素も発生させる。
カソードの絶縁破壊からの酸素の放出及び可燃性電解質との接触は、セル内に火災(炎)を発生させる。カソードの絶縁破壊はまた、かなりの量の熱を発生させ、セルを最終的な故障に向けて駆動し続け、セルにおける火災を更に増強させる高度な発熱反応である。
温度が150℃~180℃を超えて上昇すると、セルが発生した熱を急速に放散することができない場合、連鎖反応は自動継続するようになる可能性がある。この時点で、セルは、温度が上昇するにつれて「熱暴走」と呼ばれる状態にあり、酸素発生が火災を自動継続させる。ガスがセル内に蓄積し続ける場合、セルが破裂するか、又は安全弁を通じてガスを逃すことができる。セルは、この時点で、破裂するか、又は可燃性炭化水素ガス及びハイドロフルオロカーボン電解質を排出することができる。スパークの導入は、電解質及びガスを発火させ、炎、火災、及び潜在的に爆発を引き起こす可能性がある。
「機械的事象」とは、鋭利な物体又は鈍い物体による貫通、重量物による破砕、自動車衝突などのLIBへの物理的損傷があることを意味する。
「熱的事象」とは、LIBがLIBの劣化を引き起こす温度に曝露されることを意味する。温度の供給源は、LIBを内部から過熱させる緩い接続などの内部的なもの、又は近くの熱源、外部炎、若しくは環境制御領域内の環境制御の喪失などの外部的なものであり得る。
「電気的事象」とは、LIBが、短絡又は過充電などに起因して、LIBを通る電子の正常な流れを妨害又は遮断する問題を経験することを意味する。
「欠陥事象」とは、LIBの設計又は製造(例えば、不十分な品質管理、不十分な絶縁、緩い接続)が、通常動作中に短絡又は発熱からLIBを保護することができない欠陥を導入したことを意味する。
機械的事象、熱的事象、電気的事象、又は欠陥事象のうちの2つ以上が結合されて、熱刺激を引き起こし得る。例えば、一実施形態では、短絡(電気的事象)は、LIBを過熱させ(熱的事象)、熱刺激としての結合事象をもたらし得る。別の実施形態では、LIBの穿孔又は貫通等の機械的事象は、熱刺激として急速な加熱(熱的事象)につながる短絡(電気的事象)を引き起こし得る。別の実施形態では、緩い接続(欠陥事象)は、熱刺激としての過熱(熱的事象)につながり得る。上述の実施形態は単なる例であり、網羅的であることを意図するものではない。
熱刺激が発生すると、感温管が破裂し、不活性ガス又は熱暴走停止剤を筐体内に放出し得る。
熱暴走停止剤は、指定された放出時間、薬剤濃度、及び保持時間で放出され、それによって炎及び熱暴走の両方を停止させ、炎の初期消火後の再発火を防止する。薬剤濃度、放出時間、及び保持時間の一般的に受け入れられている定義は、https://www.nfpa.org/codes-and-standards/all-codes-and-standards/list-of-codes-and-standards/detail?code=2001で入手可能なClean Agent Fire Protection SystemsのNFPA2001規格で提供されているように、当業者によって理解されている。
熱暴走停止剤は、指定された放出時間、薬剤濃度、及び保持時間で筐体内に放出され、それぞれ、存在する可能性がある炎を消火するだけでなく、熱暴走を停止させるのに十分である。熱暴走停止剤の放出はまた、保持時間が、再発火を防止するのに十分な温度まで筐体及びLIBを冷却するのに十分であるように提供される。
好ましい実施形態では、熱暴走停止剤は、筐体に送達されたときに17%~30%v/vの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む。別の実施形態では、熱暴走停止剤は、18%~28%v/vの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む。別の実施形態では、熱暴走停止剤は、20%~23%v/vの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む。
好ましい実施形態では、放出時間は、18秒~180秒、又は25~120秒、及び/又は45~120秒の範囲である。「放出時間」とは、本明細書では、筐体内への薬剤送達の開始から、薬剤の95%が筐体内に送達された時間までの時間を意味する。
好ましい実施形態では、保持時間は、10~15分、又は15~30分、又は30~60分の範囲である。「保持時間」とは、本明細書では、筐体内の薬剤濃度が所望の濃度のままである期間を意味する(時間とともに、薬剤は、筐体内の小さな開口、例えば、開孔、放熱孔などからゆっくりと漏出する可能性がある)。
一実施形態では、放出時間は少なくとも18秒であり、熱暴走停止剤は、少なくとも17%v/vのHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含み、炎を消火し、単一又は複数のセル構成における熱暴走を停止させ、再発火を防止するのに十分な冷却を提供する。より長い放出時間及びより高い濃度が使用されてもよく、上限は他の理由の中でも特に実用性に基づく。
図面の詳細な説明
図1a及び図1bは、本明細書に開示されるリチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法において使用される、本明細書に開示されるLIB保護システムの図である。筐体101は、リチウムイオン電池(LIB)式デバイス103内に位置するLIB102から発生するリチウムイオン電池火災を経験し得る危険領域である。LIB防火システムは、熱暴走停止剤容器105と、熱暴走停止剤容器105及び感温管107に接続された二方制御弁106と、を含む熱暴走停止剤供給源104を含む。感温管107は、管端部シール108を介して密封された端部を有する。感温管107は、不活性ガス又は熱暴走停止剤で所望の圧力まで加圧される。LIB式デバイス103から発生する炎109の場合、感最大熱(閾値温度)が検知された感温管107の部分が破裂して(図1b参照)、熱刺激形成開口110を形成し、感温管107内から不活性ガス又は熱暴走停止剤を筐体101内へ放出し、同時に感温管107内の圧力降下をもたらし、それが制御弁106を作動させ、熱暴走停止剤を熱暴走停止剤貯蔵容器105から制御弁106を通って感温管107内へ送達し、熱刺激形成開口110(図1bを参照)から出て、感温管107へ、及び筐体101内へ送達する。筐体101への熱暴走停止剤の放出は、LIB式デバイス103における炎の消火及び熱暴走の停止をもたらし、炎の初期消火後の再発火を防止する。
図1bは、図1aと同じであるが、図1bでは、炎109に起因して感温管107が破裂しており、熱刺激形成開口110が見られる。
図1a及び図1bに示されるLIB防火システムにおいて、感温管107は、温度センサ(火災検知デバイスとも考えられる)、二方制御弁のアクチュエータ又は作動デバイス(システム起動デバイスとも考えられる)、及び熱暴走停止剤を筐体内に送達するための送達管の機能を果たす。
図2は、本明細書に開示されるリチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法において使用される、本明細書に開示されるLIB保護システムの図である。筐体201は、リチウムイオン電池(LIB)式デバイス203の内部に位置するLIB202から発生するLIB火災を経験し得る危険領域である。LIB防火システムは、熱暴走停止剤容器205と、熱暴走停止剤容器205及び感温管207に接続された三方制御弁206と、を備える熱暴走停止剤供給源204を含み、感温管の端部は管端部シール208を介して密封されている。感温管207は、不活性ガス又は熱暴走停止剤で所望の圧力まで加圧される。ノズル接続管211は、三方制御弁206に接続し、送達ノズル212で終端する。LIB式デバイス203で発生する火災の場合、最大熱(閾値温度)が検知される感温管207の部分が破裂し、感温管207内の不活性ガス又は熱暴走停止剤を筐体201内に放出し、同時に感温管207内の圧力低下をもたらし、これが三方制御弁206を作動させて、流れを感温管207からノズル接続管211に迂回させ、熱暴走停止剤を熱暴走停止剤貯蔵容器205から三方制御弁206を通じてノズル接続管211内に送達し、送達ノズル212から外に送達する。筐体201への熱暴走停止剤の放出は、LIB式デバイス203における炎の消火及び熱暴走の停止をもたらし、炎の初期消火後の再発火を防止する。
図2に示されるLIB防火システムにおいて、感温管207は、温度センサ(火災検知デバイスとも考えられる)、制御弁206のアクチュエータ又は作動デバイス(システム起動デバイスとも考えられる)の機能を果たすが、熱暴走停止剤を筐体201内に送達するための送達管の機能を果たさない。ノズル接続管211は、送達ノズル212を有する送達管の機能を果たす。
図3は、本明細書に開示されるようなリチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法において使用される本明細書に開示されるLIB保護システムの図であり、熱暴走停止容器は、筐体の外側に位置するのではなく、筐体301の内側に位置する。筐体301は、リチウムイオン電池(LIB)式デバイス303の内部に位置するLIB302から発生するLIB火災を経験し得る危険領域である。LIB防火システムは、熱暴走停止剤容器305と、熱暴走停止剤容器305及び感温管307に接続された二方制御弁306と、を備える熱暴走停止剤供給源304を含み、感温管の端部は管端部シール308を介して密封されている。感温管307は、不活性ガス又は熱暴走停止剤で所望の圧力まで加圧される。LIB式デバイス303で火が発生した場合、最大熱(閾値温度)が検知される感温管307の部分が破裂し、開口を形成し、不活性ガス又は熱暴走停止剤を感温管307内から筐体301内に放出し、同時に感温管307内の圧力低下をもたらし、それが二方制御弁306を作動させて、熱暴走停止剤を熱暴走停止剤貯蔵容器305から二方制御弁306を通って感温管307内に、感温管の熱刺激で形成開口から出て筐体301内に送達する。筐体301への熱暴走停止剤の放出は、LIB式デバイス303における炎の消火及び熱暴走の停止をもたらし、炎の初期消火後の再発火を防止する。
図3は、図1a及び1bと類似している。図3に示されるLIB防火システムにおいて、感温管307は、温度センサ(火災検知デバイスとも考えられる)、制御弁のアクチュエータ又は作動デバイス(システム起動デバイスとも考えられる)、及び熱暴走停止剤を筐体内に送達するための送達管の機能を果たす。
図4は、本明細書に開示されるようなリチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法において使用される本明細書に開示されるLIB保護システムの図であり、熱暴走停止容器は、筐体の外側に位置するのではなく、筐体401の内側に位置する。
筐体401は、リチウムイオン電池(LIB)式デバイス403の内部に位置するLIB402から発生するLIB火災を経験し得る危険領域である。LIB防火システムは、熱暴走停止剤容器405と、熱暴走停止剤容器405及び感温管407に接続された三方制御弁406と、を備える熱暴走停止剤供給源404を含み、感温管の端部は管端部シール408を介して密封されている。感温管407は、不活性ガス又は熱暴走停止剤で所望の圧力まで加圧される。ノズル接続管411は、三方制御弁406に接続し、送達ノズル412で終端する。LIB式デバイス403で発生する火災の場合、最大熱(閾値温度)が検知される感温管407の部分が破裂し、感温管407内の不活性ガス又は熱暴走停止剤を筐体401内に放出し、同時に感温管407内の圧力低下をもたらし、これが三方制御弁406を作動させて、流れを感温管407からノズル接続管411に迂回させ、熱暴走停止剤を熱暴走停止剤貯蔵容器405から三方制御弁406を通じてノズル接続管411内に送達し、送達ノズル412から外に送達する。筐体401への熱暴走停止剤の放出は、LIB式デバイス403における炎の消火及び熱暴走の停止をもたらし、炎の初期消火後の再発火を防止する。
図4は図2と類似している。図4に示されるLIB防火システムにおいて、感温管407は、温度センサ(火災検知デバイスとも考えられる)、制御弁406のアクチュエータ又は作動デバイス(システム起動デバイスとも考えられる)の機能を果たすが、熱暴走停止剤を筐体401内に送達するための送達管の機能を果たさない。ノズル接続管411は、送達ノズル412を有する送達管の機能を果たす。
図5は、典型的なリチウムイオン電池(LIB)の概略図である。LIBは、外側ケーシング520から構成され、ケーシング内で、アノード521がLIBのアノードチャンバ522内に位置し、カソード523がLIBのカソードチャンバ524内に位置する。アノードチャンバ522及びカソードチャンバ524は、半透膜セパレータ525によって分離される。アノード521は、アノード-負荷接続527を介して負荷526に接続され、カソード523は、カソード-負荷接続528を介して負荷526に接続される。アノード521は、固体電解質界面(SEI)層529で保護される。アノードチャンバ522及びカソードチャンバ524は両方とも、図示されていない液体電解質で満たされている。
材料
6700mAhリチウムイオンパワーパック及びアルミニウムケース3.2V直流LiFePOリチウムイオンポリマー電池は、Duracell、Ravpower、及びTenergyなどの複数の供給元から市販されている。Chemours FM-200(商標)消火剤(HFC-227ea)は、The Chemours Company FC,LLC(デラウェア州、ウィルミントン)から入手可能である。Rotarex直接低圧バルブ、Rotarex圧力スイッチ、Rotarex FireDETEC感温管、及び終端アダプタは全て、ルクセンブルクのRotarex S.A.から入手可能である。Harbin CoslightモデルGYFP4875Tデータロガーは、中国黒龍江省のHarbin Coslight Storage Battery Co.,Ltd.から入手可能である。
実施例1(比較例)。フリーバーン試験:機械的故障によるパワーパックの熱暴走の開始
プラスチックケース入りの6700mAhリチウムイオンパワーパックにおいて、熱暴走を機械的損傷により開始させた。穿孔先端部を備えた重り付きプランジャを、観察窓閉回路テレビ(CCTV)を備えた1.15m鋼試験筐体内に配置されたパワーパック上にガイドパイプを通じて落とした。電池を穿孔すると、炎及び熱暴走が発生し、これは約15分間続いた。
実施例2(比較例)。フリーバーン試験:機械的故障による3.2V DC LiFEPO4電池における熱暴走の開始。
実施例1の手順を繰り返して、アルミニウムケース入りの3.2V DC LiFePOリチウムイオンポリマー電池において熱暴走を開始させた。電池を穿孔すると、炎及び熱暴走が発生し、これは約15分間続いた。
実施例3。リチウムイオン電池の火災及び熱暴走の抑制:機械的損傷
試験筐体内に設置された保護システムを追加して、実施例2の手順を繰り返した。保護システムは、(1)2kgのChemours FM-200(商標)消火剤(19.3%の濃度のFM-200の送達用)を含有する消火剤貯蔵容器、(2)貯蔵シリンダ上に配置されたRotarex直接低圧バルブ、(3)低圧バルブ上に配置されたRotarex圧スイッチ、(4)リチウムイオン電池の上方約6インチに配置された窒素ガスで15バールに加圧されたある長さのRotarex FireDETEC感温管、及び(5)感温管の端部に固定されたRotarex終端ラインアダプタから構成した。重り付きプランジャデバイスによって電池を穿孔すると、炎によって実証されるように熱暴走が発生した。熱暴走の開始から22秒で、システムは自動で始動し、FM-200(商標)剤を放出し、全ての炎が2秒以内に消火された。放出時間は約2分であった。15分の保持時間後に再発火は起こらず、試験筐体を開いて試験筐体の内容物を空気に曝露しても再発火は起こらなかった。
実施例4。リチウムイオン電池の火災及び熱暴走の抑制:過充電/過熱電池
直列に接続された12個のアルミニウムケース入りの3.2V直流LiFePOリチウムイオンポリマー電池からなる電池パックによって電力供給される、Harbin CoslightモデルGYFP4875Tデータロガー内で発生するリチウムイオン電池発火に対して、抑制試験を行った。データロガーを、観察窓及び保護システムを備えた1m 2ベイの屋外キャビネット(ODC)内に配置した。保護システムは、(1)2kgのChemours FM-200(商標)消火剤(21.6%v/vのFM-200の送達用)を含有する消火剤貯蔵容器、(2)貯蔵シリンダ上に配置されたRotarex直接低圧バルブ、(3)低圧バルブ上に配置されたRotarex圧スイッチ、(4)リチウムイオン電池の上方約6インチに配置された窒素ガスで15バールに加圧されたある長さのRotarex FireDETEC感熱管、及び(5)感温管の端部に固定されたRotarex終端ラインアダプタから構成した。11個の電池を100%充電状態まで充電し、1個の電池を3.4~3.6ボルト(100~110A)の印加によって過充電した。11分間の過充電後、過充電されたセル上に配置されたヒータをオンにして、燃焼によって実証される熱暴走が始まるまで追加の加熱を行った。2分後、システムは自動で始動し、FM-200(商標)剤を放出し(放出時間2分)、全ての炎が20秒以内に消火された。15分の保持時間後に再発火は起こらず、試験筐体を開いて試験筐体の内容物を空気に曝露しても再発火は起こらなかった。

Claims (49)

  1. リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法であって、(a)筐体を提供するステップと、(b)前記筐体内に配置されたデバイスを提供するステップであって、前記デバイスが、リチウムイオン電池を備え、前記リチウムイオン電池によって電力供給される、ステップと、(c)熱暴走停止剤の供給源を提供するステップであって、前記供給源が容器及び二方制御弁を含み、前記容器が前記熱暴走停止剤を収容し、前記二方制御弁が前記容器の開口に取り付けられ、前記熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、ステップと、(d)デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管を提供するステップであって、前記管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が前記制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)前記管が前記筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)前記管が前記リチウムイオン電池に近接して配置される、ステップと、(e)炎を発生させ熱暴走を開始させる熱刺激を提供するステップであって、前記感温管が破裂すると、前記感温管に開口が形成され、前記感温管内の前記不活性ガス又は熱暴走停止剤が前記感温管の前記熱刺激形成開口を通って前記筐体内に放出され、その結果、前記感温管内の圧力が低下し、前記制御弁を作動させて前記熱暴走停止剤を前記貯蔵容器から前記制御弁を通って前記感温管に送達し、前記感温管の前記熱刺激形成開口から出て前記筐体内に送達するステップと、を含み、前記熱暴走停止剤の前記送達が、放出時間、熱暴走停止剤濃度、及び保持時間によって特徴付けられ、それによって前記炎を消火し、熱暴走を停止させ、前記炎の消火後の再発火を防止する、方法。
  2. 前記ステップ(d)において、前記感温管が不活性ガスを収容する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びそれらの混合物から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記不活性ガスが、前記熱暴走停止剤を更に含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ステップ(d)において、前記感温管が熱暴走停止剤を収容する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記二方制御弁が、少なくとも3つのポートを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記二方制御弁が、前記容器の内容物からサンプルを取り出すための選択肢を提供する第3のポートを有する、請求項6に記載の方法。
  8. リチウムイオン電池によって電力供給されるデバイスにおいて炎を消火し、熱暴走を停止させるための方法であって、(a)筐体を提供するステップと、(b)前記筐体内に配置されたデバイスを提供するステップであって、前記デバイスが、リチウムイオン電池を備え、前記リチウムイオン電池によって電力供給される、ステップと、(c)熱暴走停止剤の供給源を提供するステップであって、前記供給源が容器及び三方制御弁を含み、前記容器が前記熱暴走停止剤を収容し、前記三方制御弁が前記容器の開口に取り付けられ、前記熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、ステップと、(d)前記デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管を提供するステップであって、前記管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が前記三方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)前記管が前記筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)前記管が前記リチウムイオン電池に近接して配置される、ステップと、(e)一方の端部で前記三方制御弁と連通し、他方の端部で前記リチウムイオン電池に近接するノズルで終端するノズル接続管を提供するステップと、(f)炎を発生させ熱暴走を開始させる熱刺激を提供するステップであって、前記感温管が破裂すると、前記感温管に開口(「熱刺激形成開口」)が形成され、前記感温管内の前記不活性ガス又は熱暴走停止剤が前記感温管の前記熱刺激形成開口を通って前記筐体内に放出され、その結果、前記感温管内の圧力が低下し、前記三方制御弁を作動させて前記熱暴走停止剤を前記貯蔵容器から前記三方制御弁を通って前記ノズル接続管に送達し、それにより、前記ノズルから前記筐体内へ前記熱暴走停止剤を放出する、ステップと、を含み、前記熱暴走停止剤の前記送達が、放出時間、熱暴走停止剤濃度、及び保持時間によって特徴付けられ、それによって前記炎を消火し、熱暴走を停止させ、前記炎の消火後の再発火を防止する、方法。
  9. ステップ(d)において、前記感温管が不活性ガスを収容する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びそれらの混合物から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記不活性ガスが、前記熱暴走停止剤を更に含む、請求項10に記載の方法。
  12. ステップ(d)において、前記感温管が熱暴走停止剤を収容する、請求項8に記載の方法。
  13. 前記三方制御弁が、少なくとも4つのポートを有する、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記三方制御弁が、前記容器の内容物からサンプルを取り出すための選択肢を提供する第4のポートを有する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記デバイスが、データロガー、電気通信機器、個人用電子機器、電動工具、エネルギー貯蔵システム、データセンター、電気自動車、及び電気自転車から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記デバイスが、携帯電話、ラップトップコンピュータ、及びゲームシステムから選択される個人用電子機器である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記リチウムイオン電池が、アノードを含むアノードチャンバと、カソードを含むカソードチャンバと、前記アノードチャンバを前記カソードチャンバから分離する半透膜と、を含み、前記アノードが、固体電解質界面層で保護されたグラファイトから構成され、前記カソードが、LiCoO、LiFePO、LiMn又はLiNiMnCoOから選択されるリチウム金属酸化物から構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記アノードチャンバと前記カソードチャンバの各々が、LiPF、LiAsF、LiClO、LiBF、又はLiCFSOから選択されるリチウム塩を含有する、エチレンカーボネート又はジエチルカーボネートから選択される可燃性有機カーボネートである液体電解質で充填される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記熱暴走停止剤が、前記筐体に送達されたときに少なくとも17%v/v(体積/体積)のHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記熱暴走停止剤が、前記筐体に送達されたときに少なくとも20%v/vのHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記熱暴走停止剤が、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びそれらの混合物から選択される1つ又は複数の不活性ガスを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記熱暴走停止剤が、1つ又は複数のハロカーボンガスを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記ハロカーボンガスが、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、ヨードトリフルオロメタン(CFI)、トリフルオロメタン(CFH)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロエタン(HFC-236fa)、E-若しくはZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(E-若しくはZ-HCFO-1233zd)、E-若しくはZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(E-若しくはZ-HFO-1234ze)、E-若しくはZ-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(E若しくはZ-1224yd)、又はペルフルオロエチルペルフルオロイソプロピルケトン(FK-5-1-12、(CFCFC(O)CFCF)から選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記熱刺激が、外部供給源から前記筐体に加えられた熱の結果である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記熱刺激が、内部供給源から前記筐体に加えられた熱の結果である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記内部供給源が、機械的事象又は電気的事象又は欠陥事象による前記LIBの過熱によるものである、請求項25に記載の方法。
  27. 機械的事象、熱的事象、電気的事象、又は欠陥事象のうちの2つ以上が結合されて、前記熱刺激を引き起こす、請求項26に記載の方法。
  28. 前記熱暴走停止剤が、前記筐体に送達されたときに17%~30%v/vのHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記熱暴走停止剤が、前記筐体に送達されたときに18%~28%v/vのHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記熱暴走停止剤が、前記筐体に送達されたときに20%~23%v/vのHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む、請求項28に記載の方法。
  31. 前記放出時間が、18秒~180秒の範囲である、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記放出時間が、25~120秒の範囲である、請求項31に記載の方法。
  33. 前記放出時間が、45~120秒の範囲である、請求項31に記載の方法。
  34. 前記保持時間が、10~15分の範囲である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記保持時間が、15~30分の範囲である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記保持時間が、30~60分の範囲である、請求項34に記載の方法。
  37. 前記放出時間が少なくとも18秒であり、前記熱暴走停止剤が、少なくとも17%v/vのHFC-227eaの濃度を提供するのに十分な量のHFC-227eaを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  38. 防火システムであって、(a)筐体と、(b)前記筐体内に配置されたデバイスであって、リチウムイオン電池を備え、前記リチウムイオン電池によって電力供給される、デバイスと、(c)熱暴走停止剤の供給源であって、容器及び二方制御弁を含み、前記容器が前記熱暴走停止剤を収容し、前記二方制御弁が前記容器の開口に取り付けられ、前記熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、熱暴走停止剤の供給源と、(d)前記デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管であって、前記管が2つの端部を有し、(i)一方の端部が二方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)前記管が前記筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)前記管が前記リチウムイオン電池に近接して配置され、前記管が前記閾値温度を感知すると破裂可能である、感温管と、を備える、防火システム。
  39. 構成要素(c)の感温管が、不活性ガスを収容する、請求項38に記載の防火システム。
  40. 前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びそれらの混合物から選択される、請求項39に記載の方法。
  41. 前記不活性ガスが、前記熱暴走停止剤を更に含む、請求項39に記載の方法。
  42. 構成要素(c)の感温管が、熱暴走停止剤を収容する、請求項38に記載の防火システム。
  43. 防火システムであって、(a)筐体と、(b)前記筐体内に配置されたデバイスであって、リチウムイオン電池を備え、前記リチウムイオン電池によって電力供給される、デバイスと、(c)熱暴走停止剤の供給源であって、容器及び三方制御弁を含み、前記容器が前記熱暴走停止剤を収容し、前記三方制御弁が前記容器の開口に取り付けられ、前記熱暴走停止剤がHFC-227eaを含む、熱暴走停止剤の供給源と、(d)前記デバイスの通常動作条件に適した所定の圧力及び温度で不活性ガス又は熱暴走停止剤を収容する感温管であって、2つの端部を有し、(i)一方の端部が三方制御弁と連通し、他方の端部が覆われ、(ii)前記感温管が前記筐体内に位置し、閾値温度を検知するための温度センサを備え、(iii)前記感温管が前記リチウムイオン電池に近接して配置され、前記感温管が前記閾値温度を感知すると破裂可能である、感温管と、(e)一方の端部で前記三方制御弁と連通し、他方の端部で前記リチウムイオン電池に近接するノズルで終端するノズル接続管と、を備える、防火システム。
  44. 構成要素(c)の感温管が、不活性ガスを収容する、請求項43に記載の防火システム。
  45. 前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、及びそれらの混合物から選択される、請求項44に記載の方法。
  46. 前記不活性ガスが、前記熱暴走停止剤を更に含む、請求項44に記載の方法。
  47. 構成要素(c)の前記感温管が、熱暴走停止剤を収容する、請求項43に記載の防火システム。
  48. 前記デバイスが、データロガー、電気通信機器、個人用電子機器、電動工具、エネルギー貯蔵システム、データセンター、電気自動車、及び電気自転車から選択される、請求項38~47のいずれか一項に記載の防火システム。
  49. 前記デバイスが、携帯電話、ラップトップコンピュータ、及びゲームシステムから選択される個人用電子機器である、請求項48に記載の防火システム。
JP2023524996A 2020-10-29 2021-10-28 リチウムイオン電池の熱保護 Pending JP2023548078A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063107052P 2020-10-29 2020-10-29
US63/107,052 2020-10-29
PCT/US2021/056948 WO2022094013A1 (en) 2020-10-29 2021-10-28 Thermal protection of lithium ion batteries

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023548078A true JP2023548078A (ja) 2023-11-15

Family

ID=78725668

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023524996A Pending JP2023548078A (ja) 2020-10-29 2021-10-28 リチウムイオン電池の熱保護

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20230398384A1 (ja)
EP (1) EP4237102A1 (ja)
JP (1) JP2023548078A (ja)
KR (1) KR20230093309A (ja)
CN (1) CN116490245A (ja)
CA (1) CA3199626A1 (ja)
TW (1) TW202218713A (ja)
WO (1) WO2022094013A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102633584B1 (ko) * 2023-07-13 2024-02-05 예림홀딩스(주) Ess 배터리 화재진압장치
CN117470358B (zh) * 2023-12-26 2024-03-19 中国华能集团清洁能源技术研究院有限公司 锂离子电池热失控释放一氧化碳质量的确定方法及装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE540728T1 (de) 2007-07-13 2012-01-15 Firetrace Usa Llc Verfahren und vorrichtung zur risikokontrolle
DE102008040863A1 (de) 2008-07-30 2010-02-04 Robert Bosch Gmbh Vorrichtung zur Erzeugung oder Speicherung elektrischer oder mechanischer Energie und Verfahren zur Brandvermeidung
CN206167681U (zh) 2016-10-12 2017-05-17 徐州克林斯曼安防科技有限公司 汽车锂电池箱自动探测灭火装置
CN206560619U (zh) * 2017-01-19 2017-10-17 深圳市兴舞消防设备有限公司 具有抽样检查装置的七氟丙烷灭火剂瓶组及其容器阀
CN206995642U (zh) * 2017-06-22 2018-02-13 哲弗智能系统(上海)有限公司 一种以七氟丙烷和二氧化碳灭火的电池灭火装置
CN110600638B (zh) * 2018-06-12 2022-05-17 北京好风光储能技术有限公司 一种具有安全保护装置的电池
CN109718490B (zh) * 2018-12-19 2021-03-09 中国科学技术大学 一种扑救锂离子电池火灾的灭火剂用量筛选方法
CN210503141U (zh) * 2019-07-12 2020-05-12 珠海云航智能技术有限公司 一种电池柜及船艇

Also Published As

Publication number Publication date
TW202218713A (zh) 2022-05-16
US20230398384A1 (en) 2023-12-14
WO2022094013A1 (en) 2022-05-05
CA3199626A1 (en) 2022-05-05
CN116490245A (zh) 2023-07-25
KR20230093309A (ko) 2023-06-27
EP4237102A1 (en) 2023-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2023548078A (ja) リチウムイオン電池の熱保護
US10991923B2 (en) Lithium ion battery suppression system
JP2020047606A (ja) 二次電池の火災防止システム
JP5218967B2 (ja) 二次電池
Peiyan et al. Combustion characteristics of lithium–iron–phosphate batteries with different combustion states
JP2024510691A (ja) リチウムイオン電池の熱保護
JP2024512173A (ja) リチウムイオン電池の熱保護
Yuan et al. Experimental investigation of a micelle encapsulator F-500 on suppressing lithium ion phosphate batteries fire and rapid cooling
JP2002141112A (ja) 電池装置
CN216536631U (zh) 动力电池及两轮电动车
Välisalo Firefighting in case of Li-Ion battery fire in underground conditions: Literature study
CN114377321A (zh) 电池组件的消防方法、电池组件的消防装置和储能设备
Un et al. Thermal runaway and fire suppression for electric vehicle batteries
CN220984629U (zh) 一种锂电池保护装置
Prithviraj Fire hazards in lithium-ion batteries under overcharging and safety strategies
CN218923625U (zh) 一种微型非储压全氟己酮灭火装置
CN117374453A (zh) 一种锂电池保护装置及方法
Okeke Flame propagation between battery cells: Effect of distance
KR20240071439A (ko) 배터리 화재진화장치
JP2024511347A (ja) 安全性が向上したバッテリーパック
KR20220107726A (ko) 소화약제가 진공 팩에 수납된 고체에어로졸 소화기 및 그 제조 방법
GB2618826A (en) A device for battery fire safety
CN117065256A (zh) 防护装置及电池组
CN116315289A (zh) 一种设有安全防护装置的新能源电池及控制系统
JP2010147004A (ja) 二次電池ユニット