JP2023546866A - 臨床判断サポートを提供するためのシステムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

システムは、医療プロトコルについての患者の適格性を判定する。このシステムは、複数の医療プロトコルに関する情報を収容する医療プロトコルライブラリを含む。この情報は、複数の医療プロトコルについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む。また、このシステムは、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、患者データを受信するように構成されたセンサインタフェースおよび医療装置インタフェースも含む。患者データは、医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する。また、このシステムは、医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての患者の適格性を、受信された患者データの関数として判定するように構成されたプロトコル適格性モジュールも含む。さらに、このシステムは、患者がプロトコルに対して適格であるという指示を表示するように構成されたユーザインタフェースを含む。

Description

関連出願の相互参照
この出願は、2021年8月13日付にて出願された米国特許出願第17/402256号明細書の一部継続出願である。米国特許出願第17/402256号明細書は、その全体が参照により本明細書に援用される。
また、この出願は、2021年10月14日付にて出願された米国特許出願第17/501978号明細書の一部継続出願でもある。米国特許出願第17/501978号明細書はその全体が参照により本明細書に援用される。
この出願は、2021年5月18日付にて出願された米国仮特許出願第63/190070号明細書、2021年5月4日付にて出願された同第63/183979号明細書、2021年4月28日付にて出願された同第63/180881号明細書、2020年10月14日付にて出願された同第63/091493号明細書、2020年10月14日付にて出願された同第63/091427号明細書の利益を主張する。これらの出願はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
技術分野
本発明の例示的な実施形態は、一般的には、患者のモニタリングのためのシステムおよび方法に関する。とりわけ、例示的な実施形態は、患者が医療プロトコルへの適性を有するか否かの判定に関する。
新たなセンサおよび治療の導入により、医学の実践はますます複雑になってきている。その結果、臨床医は患者データの殺到に直面している。こうした患者データは、患者のリスクを低減しながら、多数の利用可能な選択肢から最適な治療を処方するために評価されて十分に理解される必要がある。情報のこうした殺到がますます問題になっている1つの環境は、集中治療ユニット(ICU)である。そこでは、主治医の経験および利用可能な生理学的情報を理解する医師の能力は、臨床アウトカムに顕著な影響を及ぼす。24時間体制の熟練した集中治療医を維持していない病院では、スタッフを完全配置したセンターでの死亡率が6.0%であるのに対し、死亡率が14.4%となっている。全てのICUで平均的に熟練した医師のレベルまでケアのレベルを上げることにより、年間160000人を助け、43億ドルを節約することができると推定されている。2012年現在、集中治療医は不足しているが、見通しとして不足は悪化するばかりであり、2020年までに35%のレベルに達すると推定されている。
救急救命における経験の価値は、最も有能な医師が吸収することのできる速度よりもはるかに速い速度でICUにおける臨床データが提供されるという事実により説明することができ、研究から、情報過負荷の条件下でのエラーは6倍となるおそれがあり、重大な時間不足は11倍となるおそれがあることが示された。さらに、ICUにおける治療決定は、直接に測定可能ではなく他の生理学的情報から推測される臨床徴候に大きく依存する。このため、臨床医の専門知識および背景は、刻々と変わる意思決定プロセスにおいてより重要な役割を果たす。
本発明の実施形態によれば、医療プロトコルについての患者の適格性およびコンプライアンスを判定するためのシステムは、複数の医療プロトコルに関する情報を収容する医療プロトコルライブラリを含む。この情報は、複数の医療プロトコルそれぞれについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む。各コンプライアンス規則は、1つ以上のパラメータを有する。このシステムは、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、患者データを受信するように構成されたセンサインタフェースおよび医療装置インタフェースを有する。受信された患者データは、医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する。プロトコル適格性モジュールは、少なくとも1つのプロトコルについての患者の適格性を、受信された患者データおよび少なくとも1つのプロトコルに関する適格性規則の関数として判定するように構成されている。少なくとも1つのプロトコルは、患者がプロトコル適格性モジュールにより適格であると判定されたときに適格なプロトコルであると定義される。プロトコルコンプライアンスモジュールは、少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録された後、有効なプロトコルについての少なくとも1名の患者の動的一致率(dynamic concordance rate)を、受信された患者データおよび有効なプロトコルに関するコンプライアンス規則の関数として判定するように構成されている。動的一致率は、患者データが有効なプロトコルのコンプライアンス規則と一致する率として定義される。
別の実施形態によれば、方法は、医療プロトコルに患者を登録する。この方法は、複数の医療プロトコルについての適格性規則およびコンプライアンス規則を受信する。各コンプライアンス規則は1つ以上のパラメータを有する。1つ以上のセンサおよび/または医療装置から、患者データがリアルタイムに受信される。受信された患者データは、医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に直接にまたは間接的に関連する。この方法は、適格性規則ならびに1つ以上のセンサおよび/または医療装置からのリアルタイム患者データの関数として、患者が少なくとも1つのプロトコルに対して適格であると判定する。少なくとも1つのプロトコルは、患者が適格であると判定されたときに適格なプロトコルであると定義される。患者は、適格なプロトコルに登録される。患者を登録することにより、有効なプロトコルが定義される。この方法は、有効なプロトコルについての動的一致率を、受信された患者データの関数として計算する。
種々の実施形態は、コンプライアンス規則の個々のパラメータおよび/またはコンプライアンス規則全体の動的一致率を判定する場合がある。
本発明のさらに別の実施形態によれば、方法は、医療プロトコルについての患者の適格性および/またはコンプライアンスを表示する。この方法は、複数の患者についての各患者識別子を示すディスプレイを用意する。この方法は、複数の医療プロトコルに関する情報を受信する。この情報は、複数の医療プロトコルそれぞれについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む。この方法は、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から患者データを受信する。受信された患者データは、医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する。ディスプレイは、少なくとも1名の患者が適格なプロトコルに対して適格であることおよび少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録されていることを示す。
種々の実施形態では、この方法は、有効なプロトコルに登録されている少なくとも1名の患者についての動的一致率を計算する。さらに、ディスプレイは、有効なプロトコルに登録されている少なくとも1名の患者についての動的一致率を示す。
とりわけ、ディスプレイは、少なくとも1名の患者が適格なプロトコルに対して適格であった適格期間の長さおよび少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録されていた有効期間の長さを示す場合がある。動的一致率が最初に計算された第1の時点より遅い第2の時点における動的一致率を計算することにより、動的一致率を更新することができる。この方法は、有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者についての更新された動的一致率を表示する場合がある。
種々の実施形態では、動的一致率が少なくとも毎分更新される。一部の実施形態では、動的一致率は、患者データが受信されるたびに更新される。その目的で、患者データを、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置からストリーミングすることができる。
ディスプレイは、少なくとも1名の患者について、更新された動的一致率が、以前の動的一致率と比較して、向上したかまたは低下したかまたは定常であるかの指示を提供する場合がある。更新された動的一致率が定常であるか否かの指示は、動的一致率が所望の動的一致率を上回るかまたは下回るかをさらに示す場合がある。ディスプレイは、少なくとも1名の患者がプロトコルを完了したことをさらに示す場合がある。
とりわけ、ディスプレイは、対話型ユーザインタフェースを含む場合がある。対話型ユーザインタフェースにより、適格なプロトコルに対して適格である少なくとも1名の患者および/または有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択が可能となる。少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択は、患者識別子、少なくとも1名の患者が適格なプロトコルに対して適格であるという指示、少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録されているという指示、動的一致率の指示および/または更新された動的一致率の指示の選択を含む場合がある。適格なプロトコルに対して適格である少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択により、ディスプレイに、プロトコルを開始するためのユーザ選択可能オプションを示させることができる。代替的にまたは付加的に、有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択により、ディスプレイに、コンプライアンス規則中の個々の変数についての動的一致率を示させることができる。
適格なプロトコルに対して適格である少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択および/または有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択により、ディスプレイに、適格なプロトコルおよび/または有効なプロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則を示させることができる。有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択により、ディスプレイに、選択された有効なプロトコルに関連する受信された患者データを示させることができる。ディスプレイは、プロトコルパラメータアップデータのための指示を含む場合がある。この指示のユーザ入力選択によりアップデータが表示され、このアップデータにより、ユーザが所定のプロトコルに関するパラメータ値を上書きすることが可能となる。
種々の実施形態では、受信された患者データを、1つ以上の対話型チャートとして表示することができる。受信された患者データは、ノンコンプライアント期間を含む場合がある。ノンコンプライアント期間はコンプライアントデータから視覚的に区別可能に示されうる。とりわけ、1つ以上の対話型チャート中のユーザ入力に応答して、タイムスタンプラインを表示することができる。1つ以上の対話型チャートが、臨床リスクレベルに寄与する内部状態変数を示す臨床リスクグラフを含む場合がある。
別の実施形態によれば、システムは、医療プロトコルについての患者の適格性およびコンプライアンスを判定する。このシステムは、複数の医療プロトコルに関する情報を収容する医療プロトコルライブラリを含む。この情報は、複数の医療プロトコルそれぞれについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む。このシステムは、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、患者データを受信するように構成されたセンサインタフェースおよび医療装置インタフェースを含む。受信された患者データは、医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する。このシステムは、少なくとも1つのプロトコルについての患者の適格性を、受信された患者データおよび少なくとも1つのプロトコルに関する適格性規則の関数として判定するように構成されたプロトコル適格性モジュールを含む。少なくとも1つのプロトコルは、患者がプロトコル適格性モジュールにより適格であると判定されたときに適格なプロトコルであると定義される。このシステムは、少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録された後、この有効なプロトコルについての少なくとも1名の患者の動的一致率を、受信された患者データおよび有効なプロトコルに関するコンプライアンス規則の関数として判定するように構成されたプロトコル一致モジュールを含む。動的一致率は、患者データが有効なプロトコルのコンプライアンス規則と一致する率として定義される。
また、このシステムは、複数の患者それぞれについての患者識別子を表示するように構成されたユーザインタフェースも含む場合がある。また、このシステムは、複数の患者それぞれが(a)適格なプロトコルおよび適格期間に適格でありかつ/または(b)有効なプロトコルに登録されているという対応する指示ならびに有効なプロトコルについての動的一致率を表示するように構成されている場合もある。
種々の実施形態では、ユーザインタフェースは、プロトコルに対して適格でなくかつプロトコルに有効に登録されていない患者についての患者識別子を表示するようにさらに構成されている場合がある。複数の医療プロトコルは、少なくとも1つの親プロトコルおよび少なくとも1つの子プロトコルを含む場合がある。
とりわけ、このシステムは、適格期間を判定するように構成された品質報告モジュールを含む場合がある。適格期間は、少なくとも1名の患者が適格なプロトコルに対して適格となったときから医療プロトコルに入る時点までの経過時間の長さである。また、このシステムは、加入に関連付けられたユーザを判定するように構成された患者追跡モジュールも含む場合がある。ユーザは、ユーザデバイスを有する場合がある。患者追跡モジュールは、患者通知をユーザデバイスに送信しかつ/または患者情報をユーザデバイスに表示するようにさらに構成されている場合がある。
さらに別の実施形態によれば、システムは、医療プロトコルについての患者の適格性および/またはコンプライアンスを判定する。システムは、複数の医療プロトコルに関する情報を収容する医療プロトコルライブラリを含む。当該情報は、複数の医療プロトコルについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む。複数の医療プロトコルは、少なくとも1つの親プロトコルおよび少なくとも1つの子プロトコルを含む場合がある。システムは、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、患者データを受信するように構成されたセンサインタフェースおよび医療装置インタフェースをさらに含む。当該インタフェースはまた、医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する患者データも受信する。プロトコル適格性モジュールは、少なくとも1つの親プロトコルについての患者の適格性を、受信された患者データの関数として判定するように構成されている。
ユーザインタフェースは、少なくとも1名の患者が少なくとも1つの親プロトコルに対して適格であるという指示を表示するように構成されている場合がある。このシステムは、少なくとも1名の患者が親プロトコルに入った後、親プロトコルについての少なくとも1名の患者の動的一致率を、受信された患者データおよびコンプライアンス規則の関数として判定するように構成されたプロトコル一致モジュールを含む場合がある。動的一致率は、患者データが親プロトコルのコンプライアンス規則と一致する率として定義される。プロトコル適格性モジュールは、少なくとも1つの子プロトコルについての患者の適格性を、少なくとも1つの親プロトコルの動的一致率の関数として判定するようにさらに構成されている場合がある。また、ユーザインタフェースは、少なくとも1名の患者についての親プロトコルの動的一致率を表示するようにもさらに構成されている場合がある。
種々の実施形態では、ユーザインタフェースは、選択された患者のユーザ選択に応答して、選択された患者が入っている対応するプロトコルの適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する受信された患者データの全てを表示するように構成されている。ユーザインタフェースにおいて、受信されたデータのノンコンプライアント部分はデータのコンプライアント部分から視覚的に区別可能である。
このシステムは、複数のプロトコルについて動作する場合がある。例えば、医療プロトコルは、抜管準備試験である場合がある。プロトコルについての患者の適格性を、複数の条件および/または患者変数を満たす関数として判定することができる。その目的で、プロトコル適格性モジュールは、患者の適格性を、隠れ状態変数の関数として判定するように構成されている場合がある。子プロトコルについての適格性規則は、親プロトコルについての動的一致率の閾値を含む場合がある。とりわけ、プロトコル適格性モジュールは、患者の適格性を患者の電子医療記録の関数として判定するように構成されている場合がある。
また、このシステムは、プロトコル適格期間を判定するように構成された品質報告モジュールも含む場合がある。プロトコル適格期間は、少なくとも1名の患者が医療プロトコルに対して適格となったときから医療プロトコルに入る時点までの経過時間の長さである。一部の実施形態では、ユーザインタフェースは、少なくとも1名の患者についての適格期間を表示するようにさらに構成されている。
さらに別の実施形態によれば、方法は、医療プロトコルに患者を入れる。この方法は、複数の医療プロトコルについての適格性規則およびコンプライアンス規則を受信する。複数の医療プロトコルは、親プロトコルおよび子プロトコルを含む。この方法は、1つ以上のセンサおよび/または医療装置から、患者データをリアルタイムに受信する。患者データは、親プロトコルおよび/または子プロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に直接にまたは間接的に関連する。この方法は、適格性規則ならびに1つ以上のセンサおよび/または医療装置からのリアルタイム患者データの関数として、患者が親プロトコルに対して適格であると判定する。患者が親プロトコルに対して適格であることの指示が提供される。親プロトコルについての動的一致率を計算する。この方法は、患者が親プロトコルの動的一致率の関数として、子プロトコルに対して適格であると判定する。
また、この方法は、患者がプロトコルに対して適格であることが示された後にも、医療プロトコルに患者を入れる場合がある。付加的にまたは代替的に、この方法は、患者がプロトコルに対して適格であるという指示を表示する場合がある。種々の実施形態では、患者の適格性を判定することは、患者の電子医療記録の関数として行われる。患者が適格であることが判定された後、この方法は、適格な患者をプロトコルに自動的に移行させる場合がある。
とりわけ、この方法は、プロトコルに対して適格でありかつ/またはプロトコルに現在登録されている複数の患者を、ユーザインタフェース上に表示することができる。また、この方法は、患者がプロトコルに対して適格となってからの時間および/または患者がプロトコルに登録されてからの時間を追跡することもできる。また、この方法は、医療プロトコルの動的一致率も追跡することができる。患者がプロトコルに対して適格となってからの時間、患者がプロトコルに登録されてからの時間および/または医療プロトコルの動的一致率を、ユーザインタフェース上に表示することができる。
この方法は、所定のプロトコルのユーザ選択に応答して、選択されたプロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する受信された患者データを表示する場合がある。受信された患者データを隠れ状態変数の判定に使用することができる。とりわけ、選択されたプロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則は、隠れ状態変数リスクを含む場合がある。
本発明の例示的な実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可用媒体を有するコンピュータプログラム製品として実装される。コンピュータ可読コードを、従来のプロセスに従って、コンピュータシステムにより読み取ることができ、利用することができる。
この特許または出願書類には、色彩を付して制作された少なくとも1つの図面が含まれている。彩色図面を伴うこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な手数料の納付によって、特許庁により提供される。
当業者であれば、直下に要約する図面を参照して検討される以下の「例示的な実施形態の説明」から、本発明の種々の実施形態の利点をより十分に理解するはずである。
本発明の例示的な実施形態に係る臨床患者環境を模式的に示す図である。 本発明の例示的な実施形態に係るシステムの詳細を模式的に示す図である。 本発明の例示的な実施形態に係る、ユーザが患者の適格性を確認し、コンプライアンス規則をカスタマイズすることができる通知を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る抜管準備試験プロトコルの例についての適格性規則およびコンプライアンス規則を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、患者が医療プロトコルに対して適格であることを判定する方法を示す図である。 例示的な実施形態に係る、各種の適格性規則、コンプライアンス規則およびプロトコルトリガを有し、実行可能な医療プロトコル構成の一般的な例を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、各種の適格性規則、コンプライアンス規則およびプロトコルトリガを有する抜管準備試験のための医療プロトコルの例を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係るプロトコルについてのコンプライアンスを追跡するためのユーザインタフェースを示す図である。 例示的な実施形態に係る複数の患者についてのプロトコルコンプライアンスおよびプロトコルに入っている期間を示すためのインタフェースを模式的に示す図である。 本発明の例示的な実施形態に係るプロトコルについての施設全体のコンプライアンスを示す、品質報告モジュールにより生成された報告を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る入れ子状のプロトコルのプロセスを示す図である。 例示的な実施形態に係る、各種の適格性規則、コンプライアンス規則およびプロトコルトリガを有する入れ子状の医療プロトコルの例を模式的に示す図である。 本発明の例示的な実施形態に係るユーザインタフェースに情報を表示する方法を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る患者プロトコル情報を閲覧するためのインタフェースを模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る患者プロトコル情報を閲覧するためのインタフェースを模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る患者プロトコル情報を閲覧するためのインタフェースを模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る患者プロトコル情報を閲覧するためのインタフェースを模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る患者プロトコル情報を閲覧するためのインタフェースを模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る患者プロトコル情報を閲覧するためのインタフェースを模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る患者プロトコル情報を閲覧するためのインタフェースを模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る医療リスクベースのモニタリング環境を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る医療リスクベースのモニタリング環境を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る生理学的オブザーバモジュールの実施形態の基本的な模式図を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る予測モジュールの実施形態を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る更新モジュールの実施形態を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、生理学的オブザーバモジュールにより生成された選択ISVのための確率密度関数の例示的なグラフを概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、生理学的オブザーバモジュールにより生成された選択ISVのための確率密度関数の例示的なグラフを概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、生理学的オブザーバモジュールにより生成された選択ISVのための確率密度関数の例示的なグラフを概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る生理学的オブザーバモジュールの動作方法の実施形態を説明するフローチャートである。 例示的な実施形態に係る生理学的オブザーバプロセスの非限定的な例を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る生理学的オブザーバプロセスの非限定的な例を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る推定されたISV PDFにおいてより良好な精度を達成するために、生理学的オブザーバモジュールを通して断続的な実験室データを適用する方法を示す図である。 例示的な実施形態に係るタイムラインを概念的に示す図であり、ここでは、バックプロパゲーションが、情報の組み込みに使用される。 例示的な実施形態に係る平均動脈圧(ABPm)に関する方法の例を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る再サンプリングの例を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、ISVの結合確率密度関数を使用し、種々の患者状態の確率を計算するために状態確率推定を実行する、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールの実施形態を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る臨床トラジェクトリインタープリタモジュールの動作方法の実施形態を示すフローチャートである。 例示的な実施形態に係る、「測定寄与」プロセスを介したリスク判定に対する少なくとも1つの内部状態変数の相対寄与を判定するために、ISVの結合確率密度関数を使用する臨床トラジェクトリインタープリタモジュールの実施形態を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、「測定寄与」プロセスを介したリスク判定に対する少なくとも1つの内部状態変数の相対寄与を判定するために、ISVの結合確率密度関数を使用する臨床トラジェクトリインタープリタモジュールの実施形態を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る測定寄与を評価する方法の実施形態のフローチャートである。 例示的な実施形態に係る患者の臨床リスクに対する内部状態変数の影響を示すディスプレイの実施形態を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る臨床トラジェクトリインタープリタモジュールにより利用される患者状態の定義の非限定的な例を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールが患者状態の定義をどのように利用して、患者が特定の時点における4つの可能性のある患者状態それぞれに分類されうる確率を割り当てることができるのかの非限定的な例を概念的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、ISVの結合確率密度関数を使用し、種々の患者状態の確率を計算するために状態確率推定を実行する、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールの別の実施形態を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る内部状態変数の確率密度関数を使用して、患者状態を判定する方法を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る内部状態変数の確率密度関数を使用して、患者状態を判定する方法を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る内部状態変数の確率密度関数を使用して、患者状態を判定する方法を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る内部状態変数の確率密度関数を使用して、患者状態を判定する方法を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る内部状態変数の確率密度関数を使用して、患者状態を判定する方法を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、導出された変数を利用可能なセンサデータと関連させることに使用できる観察モデルの実施形態を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、ISVのPDFのガウス表現およびEKF推論エンジン実装の概略図を模式的に示す図である。 例示的な実施形態に係る、ISVのPDFのガウス表現およびEKF推論エンジン実装の概略図を模式的に示す図である。
例示的な実施形態において、システムにより、患者に関する各種のデータに基づいて、1つ以上のプロトコルについての患者の適格性のリアルタイム追跡が可能となる。その目的で、このシステムは、プロトコル内の患者の適格性についての各種の医療プロトコルおよびパラメータ/規則に関するデータへのアクセスを有する。各プロトコルは、医療手技、医療処置または医療介入(一般的には、行動方針と称される)に関連付けられている。このシステムは、プロトコルについての患者のリアルタイム適格性を判定するために、患者データを自動的にストリーミングし、収集する。(プロトコルの開始または始動とも称される)医療行動方針の開始に先立って、種々の変数についての適格性コンプライアンスの期間が、動的な様式で追跡される。患者が、所定のプロトコルを開始した後、このシステムは、種々の変数についてのプロトコルコンプライアンスを動的な様式で追跡する。
例示的な実施形態により、高度なプロトコルがさらに可能となる。例えば、幾つかのプロトコルは、患者の適格性および/またはコンプライアンスを判定するために、リスク分析(例えば、隠れ内部状態変数)を使用することができる。さらに、例示的な実施形態により、付加的にまたは代替的に、入れ子状のプロトコルが可能となる。この場合、第1のプロトコル(またはそれ以上)についてのコンプライアンスは、第2のプロトコルについての適格性基準である。このようにして、本発明者らは、別のプロトコルの動的一致率を、適格性規則および/またはコンプライアンス規則として使用して、新たなプロトコルを作成することができることを発見した。
また、例示的な実施形態により、プロトコルにおける患者の能力についての視覚化を提供する、医師のための対話型ディスプレイも提供される。このディスプレイは、医師によるケア中の全ての患者または特定のユニット内の全ての患者のリストを提供し、さらに、各患者についてのプロトコルステータスの詳細を提供する。例えば、例示的な実施形態は、患者がプロトコルに関連付けられた行動方針に適格であるか否かおよび患者が適格であった期間の長さの視覚的指示を提供する。患者が、プロトコルに参加している場合、例示的な実施形態は、患者がどのくらい長くプロトコルに参加しているかおよび患者がどのくらいプロトコルにコンプライアントであったかの視覚的指示を提供する。一部の実施形態は、各患者についてのプロトコルの個々のパラメータ毎のコンプライアンス率の視覚的指示を提供することができる。この視覚的指示を選択した後に、ディスプレイは、特定のプロトコルに対する患者の能力変数を示す。例示的な実施形態の詳細を以下に説明する。
図1に、本発明の例示的な実施形態に係る臨床患者環境を模式的に示す。この環境は、医療関係者、例えば、医師、看護師または他の医療提供者に対して患者データを提供するためのセンサ102(モニタ102とも称される)を含む。この目的で、患者101は、患者の種々の生理学的パラメータをモニタリングすることができる1つ以上の生理学的センサ102またはベッドサイドモニタ102に接続されていることができる。患者101は、ヒトであってもよくまたはヒトでなくてもよい(非ヒト、例えば、獣医学的患者、例えば、イヌ)ことに留意されたい。
センサ102は、とりわけ、血液酸素濃度計、血圧測定装置、脈拍測定装置、グルコース測定装置、1種以上の検体の測定装置、心電図記録装置を含むことができるが、これらに限定されない。加えて、患者101に、日常的な検査および試験を施すことができ、そのデータを、電子医療記録(EMR)103(図2に示す)に記憶することができる。電子医療記録103は、記憶された情報、例えば、ヘモグロビン、動脈および静脈酸素含有量、乳酸、体重、年齢、性別、ICD-10コード、毛細血管再充満時間、主観的臨床医観察、患者自己評価、処方薬、投薬計画、遺伝学、試験結果、アレルギー等を含むことができるが、これらに限定されない。
加えて、患者101は、患者に治療を施すように構成された1つ以上の治療装置104に接続されていることができる。一部の実施形態では、1つ以上の治療装置104を、例えば、トラジェクトリインタープリタモジュールからの患者状態または医学的状態を定義する出力に応答して、本明細書に開示されたシステム100により制御することができる。種々の実施形態では、治療装置104は、体外膜型酸素化装置、機械的ベンチレータ、薬剤注入ポンプ、埋め込み型心室補助装置等を含むことができる。
例示的な実施形態は、センサおよび周辺装置から直接に取得されたデータに少なくとも部分的に基づいて、患者101が医療プロトコルの行動方針に対して適格である(一般的には、プロトコルに対して適格であると称される)か否かのリアルタイム自動判定を提供する。リアルタイム判定は、医師が共通点のない患者データ報告をレビューし、データを分析して、患者101がプロトコルに対して適格であるか否かを判定することを必要とする先行技術の方法より有利である。さらに、医師は、一般的には患者の適格性を散発的にチェックするが、こうした方式では、患者101に最適な医療処置がプロトコルの早期開始を必要とする場合に、最適ではない臨床アウトカムがもたらされる。同様に、散発的な適格性チェックでは、患者の適格性の動的一致を考慮に入れることができない。なぜならば、測定が静的な瞬間に行われるためである。
システム100は、患者変数が設定された適格性基準をどれだけ長く従っているかを追跡することができ、最新の静的データ点を使用するプロトコルとは対照的に、縦断的(例えば、持続時間基準)基準を有する新たなプロトコルを可能にすることにより、医療プロトコル技術を有利に改善する。したがって、例示的な実施形態では、動的一致またはプロトコルが開始された後のプロトコルの要件と患者の生理学的データとが一致する率が追跡される。これにより、医師は、患者データを、持続時間当たりのコンプライアンス割合(例えば、プロトコル開始から3時間で60%の動的一致)として視覚化することが有利に可能となる。さらに、適格期間を追跡することにより、医師は、長期間適格であった患者に優先順位を付けることが有利に可能となり、これにより、処方されたプロトコル治療を患者が長期間受けていないという事実から生じる何らかのリスクを軽減することが可能となる。
また、患者変数の縦断的測定値に基づく動的一致計算も、測定基準を実行可能な治療標的として使用し、その結果、患者の一致率を上昇させることを目標とした治療を施すことを支持する。さらに、本発明者らは、所望の動的一致率を達成する患者がより低い一致率を有する患者と比較して、より良好なアウトカムを経験することができることを示す予備データを有する。
患者のトラジェクトリがプロトコル指定経路に従って進行しているか否かの連続的なリアルタイム評価を提供することにより、動的一致は、患者を最も有利な方針に保つために、より集中的で時宜を得た介入を提供し、これは、現在の技術により可能であるものと比較して顕著な改善である。一致率により測定されるように、患者が所望のトラジェクトリ内で費やす時間が長いほど、患者が合併症を経験せず、最適な可能性のある臨床アウトカムを達成するであろう可能性が高くなる。逆に、一致率により測定されるように、患者が所望のトラジェクトリ内で費やす時間が短いほど、患者が合併症を経験して最適な臨床アウトカムを達成しない可能性が高くなる。
この目的で、一般的には、本明細書においてシステム100と称する患者のプロトコル適格性およびコンプライアンスシステムは、センサ102からのリアルタイム情報、電子医療記録103からのEMR患者情報、治療装置104からの情報、例えば、換気設定、注入速度、薬剤の種類含む患者関連情報および他の患者関連情報を受信するように構成されていることができる。他の患者関連情報は、患者の病歴、以前の治療計画、以前および現在の実験室作業からの結果、アレルギー情報、種々の状態に対する傾向ならびに作成することが関連すると考えることができる任意の他の情報を含むことができる。
システム100は、リアルタイムプロトコル適格性の更新を提供する。さらに、例示的な実施形態は、患者101がプロトコルに対して適格である期間の範囲を判定することができる。したがって、医師は、医師の能力により判断される定量化可能な基準(例えば、適格性からプロトコル開始までの時間、プロトコルコンプライアンス率等)を有することができる。
この目的で、システム100は、(例えば、システム100に接続された)ディスプレイを含むことができる。種々の実施形態では、ディスプレイは、特定のプロトコルについての適格性および/またはコンプライアンスに対する患者の能力の容易な視覚化を提供する対話型ディスプレイであることができる。種々の実施形態では、ディスプレイは、医師によるケア中の全ての患者または特定のユニット内の全ての患者のリストを提供し、さらに、各患者についてのプロトコルステータスの詳細を提供する。例えば、例示的な実施形態は、患者がプロトコルに関連付けられた行動方針に対して適格であるか否かおよび患者が適格であった期間の長さの視覚的指示を提供する。患者が、プロトコルに参加中である場合、例示的な実施形態は、患者がどのくらい長くプロトコルに参加しているかおよび患者がどのくらいプロトコルにコンプライアントであったかの視覚的指示を提供する。一部の実施形態は、各患者についてのプロトコルの個々のパラメータ毎のコンプライアンス率の視覚的指示を提供することができる。この視覚的指示を選択した後に、ディスプレイは、特定のプロトコルに対する患者の能力変数を示す。
図2に、本発明の例示的な実施形態に係るシステム100の詳細を模式的に示す。システム100は、1つ以上のセンサ102および/または1つ以上の医療装置104と通信するように構成されたセンサインタフェース/医療装置インタフェース106を含む。便宜上、例示的な実施形態では、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置からデータを受信することを、概して、センサ102からデータを受信すると称する場合がある。ただし、センサ102からデータを受信することの説明は、医療装置104からデータを受信することも含むことを意図していると理解されたい。
繰り返しになるが、インタフェース106は、センサ102からリアルタイム患者データを受信する/ストリーミングする。インタフェース106は、各種センサ102、例えば、とりわけ、血液酸素濃度計、血圧測定装置、脈拍測定装置、グルコース測定装置、1種以上の検体の測定装置および/または心電図記録装置からデータを受信することができる。一部の実施形態では、インタフェース106は、複数のセンサ102および/または医療装置と同時に通信する。したがって、インタフェース106は、種々の受信された患者データを集約しかつ/または編集することができる。
システム100は、先に記載された患者EMR103へのアクセスを有するデータベース105を含む。また、データベース105も、リアルタイムデータがインタフェース106を介して受信されるときに、リアルタイムデータを記憶するために、センサインタフェース106と通信することができる。また、システム100は、複数の医療プロトコルに関する情報を収容する医療プロトコルライブラリ108も含む。例として、医療プロトコルは、抜管準備試験プロトコル、換気血管作動性(vasoactive)ウィーニングプロトコル、敗血症管理プロトコル、術後回復強化(ERAS)プロトコルおよび/または他の病院プロトコルを含むことができる。ライブラリ108中の情報は、プロトコルそれぞれについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含み、これらについては、以下でさらに詳細に説明する。また、ライブラリ108は、各プロトコルについての特定の加入規則および/または通知規則も含むことができ、これらについては、以下でさらに詳細に説明する。
プロトコル適格性および一致モジュール110は、医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての患者の適格性を、受信された患者データの関数として判定するように構成されている。さらに、適格性および一致モジュール110は、データベース105からの履歴データおよび/またはEMR103にアクセスして、患者の適格性を判定することができる。この目的で、適格性および一致モジュール110は、とりわけ、インタフェース106、データベース105およびライブラリ108と通信することができる。また、適格性および一致モジュール110は、適格性モジュール110および/または一致モジュール110と称されることもある。
一般的には、患者の適格性は、ライブラリ108に記憶されたプロトコルの要件(例えば、特定のFiO2および/またはBPM測定値)に従って、閾値ステータス(例えば、所定の閾値を上回るもしくは下回る、または特定の範囲内にある)を満たす患者データの1つ以上の測定値により決まる。患者101が、プロトコルに対して適格である場合、適格性モジュール110は、患者101が適格であるという指示をトリガする。一部の実施形態では、適格性モジュール110は、警告を鳴らしかつ/またはユーザインタフェース112と通信して、患者が適格であることを視覚的に示す。例えば、適格性モジュール110は、医師のデバイス(例えば、スマートフォン)上に、患者がプロトコルに対して適格であることを示す通知を促すことができる。一部の実施形態では、ユーザインタフェース112は、患者が適格であった期間の長さも通信する。このため、例示的な実施形態は、患者の適格性ステータスに関するリアルタイム更新を有利に提供する。
リアルタイムデータ収集および適格性更新は、医師が複数の静的患者パラメータをチェックし、収集し、集約し、分析して、プロトコル適格性を判定することに依存する先行技術の方法とは対照的である。特定のプロトコルに関する適格性規則および/またはコンプライアンス規則は、治療施設により異なる場合がある(例えば、抜管準備試験は、病院毎に異なる適格性基準を有する場合がある)。さらに、医師は、特定のシフトで働く時間により制限され、彼らの注意のほとんどは多くの患者101を検査することに割かれる。患者に接続された装置102からの複数のデータストリームのリアルタイム収集および集約を提供することにより、例示的な実施形態は、有利には、潜在的に命を救う臨床応答速度を提供する。種々の実施形態では、システム100により待機中であり、特定の患者を受け持っていると判定された1名以上の医師に、リアルタイムな適格性(またはコンプライアンス状態)を通知することができる。したがって、患者101のアウトカムを改善するために、迅速な行動をとることができる。付加的にまたは代替的に、種々の実施形態では、患者101をプロトコルに自動的に登録することができる。
適格性の判定は、測定閾値、イベント、および/または他のバイナリ変数の収集に基づいている。例えば、血管作動性ウィーニングプロトコルについての適格性規則は、患者が(病院ADTストリームまたはEMRにより判定された)心臓サービスを受けていること、薬剤点滴中であること(別のイベント)、IDO2インデックスが閾値未満であることおよび血圧が別の閾値より高いことを含むことができる。
システム100は、ユーザが患者の適格性を確認する(例えば、医師が通知と対話する)まで、患者の適格性から経過した期間を追跡する品質報告モジュール114を含むことができる。図3に、本発明の例示的な実施形態に係る、ユーザが(例えば、ユーザインタフェース112を介してタッチスクリーンディスプレイ上で)患者の適格性を確認することができるポップアップ通知を模式的に示す。代替的にまたは付加的に、品質報告モジュール114は、医師が患者101に対して適格なプロトコルに関連付けられた行動方針を開始するまで、患者の適格性から経過した期間を追跡することができる。この情報を追跡することにより、医師の能力(例えば、どの医師が最も速い応答者であり、所定のプロトコルについての患者101の臨床アウトカムに対する応答時間に何かしらの影響があるか)を客観的に測定することができる。
また、システム100は、適格性および一致モジュール110に、患者101のコンプライアンスデータの追跡を開始するように命令するプロトコルトリガモジュール116を含むこともできる。プロトコルトリガモジュール116は、プロトコル120における行動方針の開始に関する情報を受信するように構成されている。種々の実施形態では、医師は、(例えば、患者101が適格であることを示す適格性モジュール110からのフィードバックに基づいて)行動方針を開始し、行動方針の開始をプロトコルトリガモジュール116に(例えば、ユーザインタフェース112を通じて)通知することができる。一部の実施形態では、プロトコルトリガモジュール116は、(例えば、医師がユーザインタフェースを介して開始を承認した後に)治療装置104と通信することにより、行動方針を自動的に開始するように構成されている。他の実施形態では、プロトコルトリガモジュール116は、医師が行動方針を開始したことを自動的に検出し、一致データの追跡を開始することができる。例えば、ERTプロトコルでは、システム100が、ベンチレータモードが変更されたことを検出すると、これを使用してERTプロトコルの開始を検出し、プロトコルについての動的一致の追跡をトリガすることができる。
プロトコルについての行動方針が開始された後に、一致モジュール110は、同じセンサ102、異なるセンサ102または追加のセンサ102と通信し続けて、プロトコルについての患者101のコンプライアンスを判定することができる。一致モジュール110は、医療プロトコルについての患者101の動的一致を、新たに受信された患者データおよびライブラリ108中のコンプライアンス規則の関数として判定することができる。特定の適格性規則またはコンプライアンス規則についてのコンプライアンスを、計算し、比較し、測定しかつ/または他の方法で、患者パラメータが特定のプロトコルについてのライブラリ108中の基準を満たすか否か(例えば、条件が満たされるか否か)を判定することにより判定することができる。この目的で、種々の実施形態では、患者変数が、ライブラリ108中のプロトコルについてのコンプライアンス規則のレベルまたは範囲と比較される。種々の実施形態では、動的一致率は、(例えば、測定された、かつ/または隠れ内部状態変数が計算された、かつ/または他の方式で判定された)患者データが経時的にプロトコルのコンプライアンス規則124と一致する率である。このため、全体的な動的一致率を、プロトコルに参加している患者について判定することができる。一部の実施形態では、パラメータ特有の動的一致率を、コンプライアンス規則124の各パラメータ(例えば、図4のコンプライアンス規則124中の4つのパラメータ)について計算することができる。
さらに、一致モジュール110は、リアルタイム患者動的一致ステータスを計算し、(例えば、ユーザインタフェース112を介して)視覚的に示すことができる。図4に、例示的な実施形態に係る抜管準備試験プロトコルの例についての適格性規則122およびコンプライアンス規則124を模式的に示す。図4に示されているように、適格性について追跡されたパラメータは、コンプライアンスについて追跡されたパラメータとは異なる場合があると理解されたい。図4の例では、適格性規則122は、4つの別個の変数/パラメータを有する。同時に、コンプライアンス規則124も、4つの別個の変数/パラメータを有する。一致モジュール110は、コンプライアンス規則124全体についての動的一致率を計算することができる。付加的にまたは代替的に、一致モジュール110は、個々のパラメータ毎の動的一致率を計算することができる。一致モジュール110は、動的一致率を表示するユーザインタフェース112に、動的一致率を送信する。したがって、行動を必要とする(例えば、低いまたは傾向的な下向きの動的一致率を有する)患者101に医師の注意を引きつけることができる。
品質報告モジュール114は、患者101が医療プロトコルにコンプライアントであった期間の割合として、動的一致率を追跡することができる。また、品質報告モジュール114は、患者の適格期間も追跡することができる。さらに、品質報告モジュール114は、特定の患者および/または特定の医師の患者が患者集団と比較してどの程度うまく行ったかを見るために、患者の一致率および/または適格期間を遡及的に調べることができる。さらに、報告モジュール114は、受信された患者データを表示し、受信されたデータのノンコンプライアント部分をマークするように構成されていることができる。このようにして、品質報告モジュール114により、医療施設および/またはスタッフは、患者がどの程度うまく遡及的に管理されたかを評価することが可能となる。例えば、適格期間が非常に長い場合に、医師がそのことを認識するようになる。これは、病院政策の形成を支援し、また、医療スタッフによる迅速な行動を確保することを支援する。
このシステムは、加入規則128および通知規則130ならびにプロトコル適格性および一致モジュール110からの患者ステータス情報を受信するように構成された患者追跡モジュール118を含むことができる。規則130が満たされると、追跡モジュール118は、その加入レベルに従って、種々の加入ユーザに通知を送信する。例えば、適格性ステータスが変更されたとき、行動方針が開始されたとき(プロトコル登録とも称される)および/または患者がコンプライアンス外であるとき、通知を送信することができる。
図2のシステムは、ベッドサイドモニタ102、電子医療記録103、治療装置104からのデータおよび患者の臨床的リスクに関する情報に基づいた評価を行うことに関連すると考えることができる任意の他の情報ならびに前述の要素の任意の組み合わせを受信するように構成されたリスクベースのモニタリングエンジン1000(「リスクエンジン1000」とも称される)を含むことができる。
例示的な実施形態では、リスクエンジン1000は、複数の測定値を利用し、事前に定義された生理学的モデルに従って、患者の治療および状況に関連する生理学の構成要素を記述する内部状態変数(ISV)の確率密度関数(PDF)を推定する生理学的オブザーバモジュール119を含むことができる。ISVは、ノイズを伴って直接に観察可能であり(非限定的な例として、心拍数は、直接に観察可能なISVである)、隠れており(非限定的な例として、大動脈を通る酸素飽和血液の流れとして定義される酸素供給(DO2)は、直接に測定することができず、このため、隠れている)または断続的に測定することができる(非限定的な例として、完全血球計数試験から測定されるヘモグロビン濃度は、断続的に観察可能なISVである)。
一部の実施形態では、生理学的オブザーバモジュール119が所定の時間ステップ(例えば、tk;tk+1;一般的には、tk+n)においてISVのセットを評価するとき、システム100は、その所定の時間ステップと同時に、ISV測定の完全なセットを有しない場合がある。例えば、システム100は、幾つかの内部状態変数について、その所定の時間ステップについての測定値を有する場合があるが、幾つかの他の内部状態変数について、その所定の時間ステップについての測定値を有しない場合がある(例えば、間欠的ISVについての同時測定は、所定の時間ステップには利用可能でない場合がある)。その結果、その間欠的ISVは、所定の時間ステップでISVを評価する目的で、隠れISVである。ただし、それにもかかわらず、(本明細書に記載された)生理学的オブザーバモジュール119によるISVのセットの評価は、本明細書に記載された実施形態に従って可能である。なぜならば、ISVの予測されたPDF211は、その間欠的ISVの過去の測定値の影響をその中に保持しており、その結果、例示的な実施形態では、ISVのそれらの予測されたPDF211は、生理学的オブザーバモジュール119のための十分な入力であるためである。
一実施形態では、全ての変数を、誤差なしに確定的に推定することができると仮定する代わりに、本開示の生理学的オブザーバモジュール119は、確率密度関数を出力として提供する。生理学的オブザーバモジュール119に関する更なる詳細は、本明細書で提供される。
臨床トラジェクトリインタープリタモジュール123は、例えば、複数の可能性のある患者状態で構成されていることができ、それらの患者状態のうちのどれである可能性があるかと、内部状態変数の推定確率密度関数を参照して、確率がどれくらいであるのかを判定することができる。特定の患者状態の例は、とりわけ、洞性頻脈を伴う低血圧、心筋抑制を伴う低酸素症、代償性循環ショック、心停止、出血を含むが、これらに限定されない。加えて、これらの患者状態は、特定の医学的状態に特有である場合があり、患者状態それぞれの境界を、種々の生理学的変数およびデータの閾値により定義することができる。種々の実施形態では、臨床トラジェクトリインタープリタモジュール123は、参考資料から収集された情報、医療提供者により提供された情報、他の情報源のいずれかを使用して、患者を分類することができる患者状況を判定することができる。
参考資料を、例えば、ネットワークインタフェース113を介してリスクベースのモニタリングアプリケーション1020にアクセス可能なデータベース105または他の記憶デバイスに記憶させることができる。これらの参考資料は、参考書、医学文献、専門家の調査、医師により提供された情報および患者に医療を提供するための参考として使用することができる任意の他の資料から統合された資料を含むことができる。一部の実施形態では、臨床トラジェクトリインタープリタモジュール123は、まず、モニタリングされる対象患者に類似する患者集団を特定することができる。そうすることにより、臨床トラジェクトリインタープリタモジュール123は、可能性のある患者状態の判定に役立てるために、特定された患者集団に基づく関連履歴データを使用することが可能である。
また、臨床トラジェクトリインタープリタモジュール123は、生理学的オブザーバモジュール119により提供される内部状態変数の推定された確率密度関数を参照して、患者が現在分類されている場合がある、可能性のある患者状態を判定することも可能である。このようにして、可能性のある患者状態それぞれに、0から1までの確率値が割り当てられる。患者状態とその確率の組み合わせは、患者に対する臨床リスクと定義される。
リスクベースの患者モニタリングエンジン1000および隠れ内部状態変数の計算に関する更なる詳細は、米国特許出願第17/033591号明細書および同第17/501978号明細書に記載されている。これらの出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
上記のコンポーネントはそれぞれ、任意の従来の相互接続機構により動作可能に接続されている。図2に、コンポーネントのそれぞれを通信するバスを単純に示す。当業者であれば、この一般化された表現を、他の従来の直接にまたは間接的な接続を含むように修正することができると理解されたい。したがって、バスの説明は、種々の実施形態を限定することを意図するものではない。
実際、図2は、これらのコンポーネントそれぞれを模式的に示しているに過ぎないことに留意されたい。当業者であれば、これらのコンポーネントそれぞれを、各種の従来の方式で、例えば、1つ以上の他の機能的コンポーネントにわたって、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用することにより実装することができると理解されたい。例えば、品質報告モジュール114を、ファームウェアを実行する複数のマイクロプロセッサを使用して実装することができる。別の例として、プロトコル適格性および一致モジュール110を、1つ以上の特定用途向け集積回路(すなわち、「ASIC」)および関連ソフトウェアまたはASIC、個別の電子コンポーネント(例えば、トランジスタ)、およびマイクロプロセッサの組み合わせを使用して実装することができる。したがって、図2の単一のボックス内のコンポーネントの表現は、単純化の目的でしかない。
一部の実施形態では、システムのコンポーネントを、異なるコンポーネントに分離することができる。例えば、プロトコル適格性および一致モジュールを、2つの異なるモジュール、例えば、プロトコル適格性モジュールおよびプロトコル一致モジュールに分割することができる。さらに、図2の種々のコンポーネント、例えば、センサインタフェース/医療装置インタフェース106は、必ずしも同じ筐体またはシャーシ内ではなく、複数の異なる機械にわたって分散させることができる。
さらに、一部の実施形態では、別個として示されるコンポーネント(例えば、図2における適格性および一致モジュール110ならびに品質報告モジュール114)を、単一のコンポーネントにより置き換えることができる。例示的な実施形態は、本明細書に明示的に示されていない追加のモジュールを含むことができる。さらに、図2における特定のコンポーネントおよびサブコンポーネントは任意である。例えば、一部の実施形態は、プロトコルトリガモジュール116を含まない場合がある。
図2の表現は、システム100の大幅に簡略化された表現であることを繰り返すべきである。当業者であれば、このようなデバイスが、他の物理的コンポーネントおよび機能的コンポーネント、例えば、中央処理ユニット、他のパケット処理モジュールおよび短期メモリを有することができると理解されたい。実際、種々の実施形態では、システム100は、以下:プロセッサ、プロセッサに接続されたメモリ、システムがネットワークを介して他のデバイスと通信することを可能にするように構成されたネットワークインタフェースのうちの1つ以上を含む。加えて、このシステムは、コンピュータ実行可能命令を含むことができるリスクベースのモニタリングアプリケーション1020を含むことができる。このコンピュータ実行可能命令は、プロセッサ111により実行される際に、システムに、患者、例えば、患者101のリスクベースのモニタリングの提供を可能にさせる。したがって、この説明は、図2がシステム100の要素の全てを表すことを示唆することを意図するものではない。
図5に、患者101が医療プロトコルに対して適格であることを判定する方法500を示す。この方法は、通常使用することができるより複雑な方法の単純化されたバージョンであることができることに留意されたい。したがって、この方法は、説明されていない追加のステップを有する場合がある。加えて、幾つかのステップは、任意である場合があり、異なる順序でまたは互いに並行して実行される場合がある。したがって、この方法の説明は例示的なものであり、本発明の種々の実施形態を限定することを意図するものではない。最後に、この方法は、医療プロトコルに1名の患者を入れることに関して説明されているが、図5の方法を、同時に1つ以上の医療プロトコルに複数の患者を入れるための方法をカバーするように拡張することができる。したがって、方法500は、本発明の例示的な実施形態に係る1つの方法の単なる例示でしかない。したがって、当業者であれば、必要に応じてこの方法を修正することができる。
この方法は、ステップ502で開始する。ステップ502では、1つ以上のプロトコルについての適格性規則およびコンプライアンス規則を受信する。例示的な実施形態では、適格性規則およびコンプライアンス規則を、医療プロトコルライブラリ108から受信する。前述のように、プロトコルライブラリ108は、複数の医療プロトコルに関する情報を収容している。
図6に、例示的な実施形態に係る、各種の適格性規則122、コンプライアンス規則124、プロトコルトリガ126、加入規則128および通知規則130を有する医療プロトコル120の一般的な例を模式的に示す。適格性規則122、コンプライアンス規則124、プロトコルトリガ126、加入規則128および通知規則130は、単一のプロトコル120の一部として示されているが、一部の実施形態では、プロトコル適格性規則122、コンプライアンス規則124、プロトコルトリガ126、加入規則128および/または通知規則130を、図5の方法500における異なる時点で受信することができる。さらに、一部の実施形態では、医療プロトコル120は、加入規則128、通知規則130、コンプライアンス規則124および/またはプロトコルトリガ126を含まない場合がある。
適格性規則122は、患者101がプロトコル120に対して適格であるために満たされなければならない1つ以上の条件(例えば、真または偽)を含むことができる。適格性モジュール110は、データベース105および/またはEMR103中のデータを、規則122と比較して、規則122が満たされているか否かを判定することができる。付加的にまたは代替的に、適格性規則122は、満たされなければならない1つ以上のパラメータ条件(例えば、特定の変数が、特定の値より大きい)を含むことができる。適格性モジュール110は、インタフェース106から患者データを受信して、患者101が適格である(例えば、規則122が満たされている)か否かを判定することができる。
同様に、コンプライアンス規則124は、患者101がプロトコル120にコンプライアントであるために満たされなければならない各種の条件(例えば、真または偽)を含むことができる。一致モジュール110は、データベース105および/またはEMR103中のデータを、規則122と比較して、規則122が満たされているか否かを判定することができる。付加的にまたは代替的に、コンプライアンス規則124は、満たされなければならない各種のパラメータ条件(例えば、特定の変数が、特定の値より大きい)を含むことができる。一致モジュール110は、インタフェース106から患者データを受信して、患者がプロトコル120にコンプライアントである(例えば、規則124が満たされている)か否かを判定することができる。
さらに、一部の実施形態では、プロトコル120は、満たされたときに、行動方針の開始を自動的にトリガする1つ以上の条件を含むプロトコルトリガ126を定義することができる。一部の実施形態では、この条件は、所定のプロトコルまたは親プロトコルの動的一致率を含むことができる。プロトコルトリガモジュール116は、これらの条件が満たされた時点を検出することができ、1つ以上の医療装置104と通信しかつ/またはそれを制御して、行動方針を開始することができる。付加的にまたは代替的に、プロトコルトリガモジュール116は、プロトコルトリガモジュール116に、一致モジュール110を起動するように命令する指示を(例えば、医療装置104からまたはユーザインタフェースを介して医師から)受信することができる。ついで、一致モジュール110は、動的一致の追跡を開始する。
種々の実施形態では、プロトコル120は、加入規則128および通知規則130をさらに含むことができる。加入規則128は、種々の医師に種々の加入レベルを割り当てる。例えば、直接ケアチームは、加入レベル1であることができ、一方、管理チームは、加入レベル2であることができる。加入規則128を、通知規則130において使用することができる。したがって、異なる加入者は、異なる通知および/または異なる理由のための通知を受信することができる。
ついで、この方法は、ステップ504に進む。ステップ504では、患者データを直接にまたは間接的に受信する。患者データを、センサ102および/または医療装置から、リアルタイムに直接に受信する(例えば、ストリーミングする)ことができる。患者データは、患者の治療および/または状態に生理学的に関連する患者の生理機能のパラメータである内部状態変数(または「ISV」)を含むことができる。ISVは、ノイズを伴って直接に観察可能であり(非限定的な例として、心拍数は、直接に観察可能なISVである)、隠れており(非限定的な例として、大動脈を通る酸素飽和血液の流れとして定義される酸素供給(DO2)は、直接に測定することができず、このため、隠れている)または断続的に測定することができる(非限定的な例として、完全血球計数試験から測定されるヘモグロビン濃度は、断続的に観察可能なISVである)。ISVの他の例は、肺血管抵抗(PVR)、心拍出量(CO)、ヘモグロビンおよびヘモグロビン産生/損失の割合を含むが、これらに限定されない。
さらに、一部の実施形態では、関連する患者データを、間接的に受信することができる(例えば、直接に観察可能/測定可能ではない場合がある)。隠れ内部状態変数は、患者101に接続されたセンサ102により直接に測定されないISVを意味する。一部の隠れISVは、センサにより直接に測定することができない。一部の実施形態では、このモジュールは、センサデータに加えてまたはセンサデータの代わりに、隠れ内部状態変数が特定の状態にある確率により示されるように、患者が特定の有害な医学的状態を患っているリスクを表すデータを受信することができる。一部の隠れISVには、例えば、患者から採取されたサンプル(例えば、血液)の実験室分析が必要である。隠れ内部状態変数に関する更なる詳細は、米国特許出願第17/033591号明細書に記載されている。この出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
とりわけ、受信された患者データは、呼気CO2、呼気終末CO2測定値(EtCO2)、動脈CO2、分時換気量、ベンチレータモード、薬剤注入速度、呼吸数、PaCO2動脈血液ガス、ヘモグロビンHb、心拍数HR、肺静脈酸素飽和度SpvO2、動脈酸素飽和度SaO2、全身静脈酸素飽和度SvO2、肺静脈酸素飽和度SpO2、平均動脈圧、中心静脈圧、左心房圧、右心房圧、患者の体重、患者の年齢、患者の身長および/または患者の病歴を含むことができる。
図5に戻って、この方法は、ステップ506に進む。ステップ506では、患者101がプロトコル120に対して適格であるか否かを判定する。プロトコル適格性および一致モジュール110は、種々の患者データを適格性規則122と比較して、患者101がプロトコル120に対して適格であるか否かを判定する。
図7に、例示的な実施形態に係る、各種の適格性規則122、コンプライアンス規則124およびプロトコルトリガ126を有する、抜管準備試験のための医療プロトコル120の例を模式的に示す。この例では、適格性規則122は、3つの条件:(1)FiO2が0.5以下でなければならないこと、(2)PEEPが7cm HO未満でなければならないこと、(3)患者が機械的に換気されなければならないことを有する。これらの3つの条件のいずれかが満たされない場合には、この方法は、ステップ504に戻り、患者データを受信し続ける。
代替的には、適格性規則122が満たされた場合、この方法は、状況に応じてステップ507に進む。ステップ507では、適格期間が追跡される。例示的な実施形態では、品質報告モジュール114が、患者101がプロトコル120に対して適格となった時点および適格期間から所定のイベントまでの期間を追跡する。所定のイベントは、例えば、医師が患者の適格性(例えば、ユーザインタフェース112を介したタッチスクリーンディスプレイ上のポップアップ通知)を認めた時点または適格なプロトコルについての行動方針が開始された時点であってよい。図3に、ユーザがプロトコルを開始する準備が整ったことを示すタッチスクリーン上のポップアップ通知を模式的に示す。付加的にまたは代替的に、システム100は、行動方針に関連する周辺装置、例えば、機械的ベンチレータから受信されたデータを自動的に検出し、医師がプロトコルに関連付けられた行動方針を開始した(例えば、ベンチレータの設定が遷移した)と判定することができる。
ステップ507と同時に、この方法は、ステップ508に進むことができる。ステップ508では、適格な患者が医師に通知される。医師は、プロトコル120の加入規則128および通知規則130の一部をなすことができる。例えば、医師は、患者101を担当する看護師である場合があり、また、患者101が適格となったときにシフト勤務している場合がある。この目的で、システム100は、(ステップ507により追跡された)患者の適格性および/または患者の適格期間を示す通知を、ユーザインタフェース112を介して提供することができる。
ついで、この方法は、ステップ510に進む。ステップ510では、プロトコルに関連付けられた行動方針を開始する(患者101をプロトコルに入れるとも称される)。一部の実施形態では、行動方針は、医療装置104を制御するシステム100により自動的に入力される。したがって、プロトコル120が自動的にトリガされるため、ステップ507をスキップすることができる(例えば、なぜならば、プロトコル120の適格性と開始との間に時間がないためである)。一方、一部の他の実施形態では、患者101が行動方針に対して適格であるという指示(例えば、通知または警告)が、医師に(例えば、ユーザインタフェースを介して)提供される。医師は、システムによる行動方針の自動的開始を(例えば、ユーザインタフェースを介して)承認することによりまたは行動方針を手動で開始することにより、行動方針を開始することができる。ついで、患者101は、プロトコル120に入る。例えば、患者101は、抜管準備試験プロトコル120に入ることができる。一部の実施形態では、プロトコル120は、患者101をプロトコル120に自動的に入れるトリガ126を含むことができる。
行動方針が開始された後、プロトコルトリガモジュール116は、一致モジュール110と通信して、プロトコル120についての患者コンプライアンスの追跡を開始する。一部の実施形態では、トリガ126は、一致モジュール110を自動的に起動する。代替的には、プロトコルトリガモジュール116は、医師により(例えば、承認またはユーザインタフェースへの手動入力を通じて)、一致モジュールにデータの追跡を開始するよう命令するように命令される。
ついで、この方法は、ステップ512に進む。ステップ512では、患者101の動的一致が追跡される。前述のように、動的一致率は、患者の生理学的データがプロトコルのコンプライアンス規則124と一致する率である。図7の例に示されているように、プロトコル120は、1つ以上のコンプライアンス規則124を含むことができる。図7の例では、コンプライアンス規則は、(1)SpO2が88%超であること、(2)一回換気量が5ml/kg超であること、(3)(EtCo2-EtCo2@ベースライン)/EtCo2@ベースラインが1.2未満であること、(4)(HR-HR@ベースライン)/HR@ベースラインが1.2未満であること、および(5)患者が圧支持換気中であることを含む。これらの条件のいずれかが満たされない場合には、プロトコル120全体がコンプライアントでないと言うことができる。品質報告モジュール114は、動的一致率を判定するために、プロトコル120がコンプライアントでない期間および時間を追跡する。
例示の目的で、動的条件、例えばベースラインにおける心拍数の計算を説明する。プロトコルが手動または自動のいずれかでトリガされると、システム100は、トリガにつながる幾つかの期間において、測定値の平均をとる。この期間は、例えば、トリガの1分前、1時間前または2時間前であることができる。種々の実施形態では、この平均は、ベースラインを構成する。医師は、システム100により計算されたベースラインを(例えば、ユーザインタフェース112を介して)受信し、提供者の優先度または患者状態の詳細を考慮して、ベースライン値を(例えば、ユーザインタフェース112を介して)調整することができる。種々の実施形態では、システム100は、所定の期間にわたって種々の患者パラメータを追跡し、患者ベースラインパラメータを自動的に計算することができる。
一部の実施形態では、システム100は、患者101がプロトコル120についての閾値一致率を下回ると判定する。ステップ514において、システム100は、動的一致関連パラメータを表示する。例えば、システム100は、患者が閾値一致率を下回っているかつ/または動的一致が下向きの傾向にあるという指示を、(例えば、通知または警告を通じて)医師に提供することができる。この指示は、医師に、患者101を確認しまたは再評価して、ノンコンプライアントな理由を特定し、緩和するように促す。
ついで、医師は、ユーザインタフェース112における縦断的データをレビューし、ノンコンプライアントな理由を診断することができる。適切かつ可能であれば、医師は、動的一致率を向上させるために、介入行動をとることができる。非限定的な例として、急性呼吸窮迫症候群の治療中の患者を、7ml/kg未満の一回換気量および30mmHg未満の最大吸気圧を必要とするプロトコルに従って換気することができる。一致率の低下は、これらの条件のうちの1つが満たされていないことを示す。システム100は、一致率の低下を医師に知らせる通知を医師に送信する。医師は、どの条件が満たされていないかを特定するために、当該データをレビューし、肺損傷のリスクが低くそれぞれより良好な期待患者アウトカムを有する最適な換気が提供されるように、換気設定を調整することができる。
図8に、プロトコル120についてのコンプライアンスを追跡するためのユーザインタフェースを示す。リアルタイムで追跡される複数の患者データが患者101について示されている。図8の例では、HR、SpO2、TVおよびetCO2が追跡されている。例示的な実施形態は、パラメータレベルでコンプライアンスを追跡することができる。さらに、ユーザインタフェース112は、(例えば、患者データの陰影領域により表される)ノンコンプライアント期間140を表示するように構成されていることができる。
図9に、本発明の例示的な実施形態に係る、複数の患者101についてのプロトコルコンプライアンスおよびプロトコル120上の時間を示すためのインタフェースを模式的に示す。示されているように、一部の患者101は、1つ以上のプロトコル(例えば、ARDSおよびERTプロトコル120)に対して適格であるかまたは積極的に関与しうる。さらに、インタフェース112は、プロトコル期間(例えば、Flintstone,Wilmaについては1時間および15分)および適格期間(例えば、Bunyan,Paulについては3時間)を示すことができる。また、インタフェースは、完了したプロトコルおよび/または有効なプロトコルについての全体的な一致率を示すこともできる。
例示的な実施形態は、医師が施設全体のコンプライアンスを理解することを支援するための定期的な報告を提供することができる。図10に、本発明の例示的な実施形態に係る、品質報告モジュール114により生成された、プロトコルについての施設全体のコンプライアンスを示す報告を模式的に示す。この報告は、とりわけ、プロトコルに登録された適格な患者の割合、全体的なコンプライアンス、成功率、登録された患者の経時的な人数、ノンコンプライアンスにつながったパラメータの要約、コンプライアンスの平均期間および登録までの平均時間に関する情報を含むことができる。したがって、報告中の情報を、患者101の治療を経時的に改善するのに役立つように、また、医師が最適な臨床アウトカムのために、どの領域/パラメータをより厳密にモニタリングする必要があるかを追跡するのに役立つように使用することができる。プロトコルが完了した(例えば、患者がうまく抜管された)かまたは何らかの方法で終了した後、ついで、方法500は終了する。
図5の方法500には明示的に示されていないが、この方法全体を通じて、通知を、関連する医療スタッフに提供することができると理解されたい。この目的で、患者追跡モジュール118は、加入規則128および通知規則130ならびにプロトコル適格性および一致モジュール110からの患者ステータス情報を受信することができる。規則130が満たされると、追跡モジュール118は、加入レベルに従って、種々の加入ユーザに通知を送信する。例えば、適格性ステータスが変更されたとき、行動方針が開始されたとき(プロトコル登録とも称される)かつ/または患者がコンプライアンス外であるときに、通知を送信することができる。
さらに、異なる加入レベルは、異なる通知タイプを受信する場合がある。例えば、「通知1」は、ユーザインタフェース112を介した受動的な通知、例えば警告を含むことができ、「通知2」は、段階の上がった受動的な通知、例えばテキストおよび/または電子メールを含むことができ、「通知3」は、能動的通知、例えば医療スタッフの呼び出しを含むことができる。
加入規則128は、プロトコルベースであることができる。したがって、特定の医師を、特定のプロトコル上の全ての患者101についての通知に加入させることができる。付加的にまたは代替的に、加入は、患者ベースであることができる。患者ベースの加入者は、所定の患者101に関連する任意および全てのプロトコルに関する通知を受信する。また、例示的な実施形態により、医師が、プロトコルベースまたは患者ベースの通知に限定されない通知プロトコルを手動で調整しまたは作成することが可能となる。
例示的な実施形態は、スケジューリングシステム(例えば、病院スケジューリングシステム)と通信して、どの患者がどの医師のケア下にいるかおよび医師に関する他の情報(例えば、ユニット、作業スケジュールデータ、医療専門分野等)を判定することができる。例えば、このシステムは、患者のJohn Smithがベッドサイド看護師のJackey、集中治療医のDr Smithおよび呼吸療法士のJohnsonのケアを受けている可能性があることを示すデータを受信することができる。したがって、通知システムは、加入規則128に従って誰に通知するかに関する適切な情報を受信することができる。
入れ子状のプロトコル
図11に、本発明の例示的な実施形態に係る入れ子状のプロトコルの方法1100を示す。この方法は、通常使用することのできる、より複雑な方法の単純化されたバージョンであることができることに留意されたい。したがって、この方法は、説明されていない追加のステップを有する場合がある。加えて、幾つかのステップは、任意である場合があり、異なる順序でまたは互いに並行して実行される場合がある。したがって、この方法の説明は例示的なものであり、本発明の種々の実施形態を限定することを意図するものではない。最後に、この方法は、医療プロトコルに1名の患者を入れることに関して説明されているが、図11の方法を、同時に1つ以上の医療プロトコルに複数の患者を入れるための方法をカバーするように拡張することができる。したがって、方法1100は、本発明の例示的な実施形態に係る1つの方法の単なる例示に過ぎない。したがって、当業者であれば、必要に応じてこの方法を修正することができる。
ステップ1102~1112はそれぞれ、図5のステップ502~512と実質的に同じであり、したがって、これらのステップの説明は、再度より詳細には繰り返さない。ステップ1102~1112は、一般的には、患者が第1のプロトコルに対して適格であるか否かを判定し、プロトコルの行動方針が開始された後に、患者の動的一致率を追跡する方法を説明する。
図12に、例示的な実施形態に係る各種の適格性規則、コンプライアンス規則およびプロトコルトリガを有する入れ子状の医療プロトコルの例を模式的に示す。図12の例に示されているように、換気ウィーニングプロトコル120Bの適格性規則122は、換気プロトコル120Aからの特定のアウトカムにより決まる。説明の目的で、従属プロトコル120Bは、子プロトコル120Bと称される場合がある。一方、子プロトコル120Bが従属するプロトコル120Aは、親プロトコル120Aと称される場合がある。この命名法の使用にもかかわらず、子プロトコル120Bはそれ自体が、次に、異なるプロトコル(例えば、第3のプロトコル120C)のための親プロトコルとなる場合があると理解されたい。さらに、この例には示されていないが、子プロトコル120Bは、それが従属する複数の親プロトコル120Aを有する場合がある。同様に、親プロトコルは、複数の子プロトコルを有することができ、各子は、親プロトコルに関連付けられた異なる条件によりトリガされる(例えば、異なる動的一致率により、異なる子プロトコルがトリガされる場合がある)。
図6の先に記載されたプロトコル120と同様に、図12におけるプロトコル120A~120Cはそれぞれ、適格性規則122、行動方針またはトリガ126およびコンプライアンス規則124の各セットを有する。図11の方法では、ステップ1102~1112は、例えば、第1のプロトコル120Aに関することができる。
ステップ1110では、第1のプロトコル120Aの適格性規則122が満たされたときに行動方針(例えば、換気)が開始する。行動方針が開始された後、ステップ1112において、種々のコンプライアンス規則124についての動的一致率が追跡される。
ステップ1114では、第2のプロトコル120Bについての適格性規則122およびコンプライアンス規則124を受信する。ステップ1114は、ステップ1112の後に生じるものとして示されているが、実際には、このステップは、方法1100においてより早く(例えば、1102と同時に)生じる場合がある。
ステップ1116では、この方法は、第1のプロトコル120A(親プロトコルとも称される)の動的一致率を含む患者データを受信する。ステップ1118では、方法1100は、患者が第2のプロトコルに対して適格であるか否かを判定する。ステップ1118は、ステップ1116からの受信されたデータを、プロトコル120Bについての適格性規則122と比較する。とりわけ、子プロトコル120B(入れ子状のプロトコル)についての適格性規則122は、別のプロトコル(例えば、親プロトコル120A)からの動的一致率を含むことができる。例示的な実施形態では、システム100により、各プロトコル120A~120Cのステータスを追跡し続け、動的一致率を連続的に計算することによって、入れ子状のプロトコルの使用が可能となる。
図12の例では、第2のプロトコル120Bは、換気プロトコル120Aについて、3時間超の間、90%以上の動的一致を必要とする。システム100は、第1のプロトコル120Aのコンプライアンス124に関する関連データの全てを追跡し、動的一致率を計算する。適格性規則は、単一の親プロトコル(すなわち、換気プロトコル120A)のみに依存することを示すが、プロトコルについての適格性規則122は、複数の他のプロトコルからの動的一致率(または他の変数)を含む場合があると理解されたい。このため、単一の子プロトコル120Bは、複数の親プロトコル120Aを有する場合がある。
さらに、例示的な実施形態により、種々の入れ子状の適格性規則122および/またはコンプライアンス規則124の使用が可能となる。例えば、規則122および124は、1つ以上の親プロトコル120Aについての全体的な動的一致率、1つ以上の親プロトコル120Aについての直近の期間についての動的一致率(例えば、直近の3時間に90%以上)、閾値動的一致率を上回る合計最短時間(例えば、閾値を上回る2時間、閾値を下回る1時間および閾値を上回る1時間)および/または複数の親プロトコル120Aの関数である動的一致率(複数の親プロトコル120Aについての平均動的一致率が、所定の閾値を上回る)に依拠する場合がある。種々の実施形態は、適格性規則122および/またはコンプライアンス規則124にブール演算子(例えば“and”,“or”,“not”)を含むことができる。
図11に戻って、患者101が第2のプロトコル120Bに対して適格であると判定された後に、方法1100は、ステップ1120に進む。ステップ1120では、第2のプロトコル120Bについての適格時間の追跡を開始する。ステップ1108と同様に、ステップ1118では、病院スタッフの能力の定量的な測定値を提供し、また、ユニット内の患者の治療(および/または特定の患者に対する医師の注目)に優先順位を付けることに使用することのできる情報を医師に提供する。
明示的には示されていないが、図11の方法全体を通して、プロトコルの加入規則128および通知規則130に従い、通知を医療スタッフに送信することができる。例えば、第2のプロトコルについての患者の適格性の通知は、担当の病院スタッフに送信される。例示的な実施形態は、第2のプロトコルに対して適格な患者101の開始までの不必要な未決定適格期間を有利に短縮する。さらに、例示的な実施形態により、第2のプロトコル120Bについての適格性要件として、第1のプロトコル120Aからの動的一致率の使用が有利に可能となる。
本発明者らは、これらの特徴の両方(すなわち、未決定の適格期間の短縮、および一致率に基づくアウトカムに焦点を当てたこと)により、患者のアウトカムの向上につながると考えている。その理由は、このようにすることで医師がケアを提供することが可能となり、患者が最適な進行経路に保たれ、これによりICU中での回復までの時間が短縮されるからである。図11の例では、患者は、患者が換気に対して適格であるというタイムリーな通知により早期に挿管される。換気の動的一致率により、医師は、患者が最適な換気および酸素供給を受けているか否かを縦断的に追跡し、必要に応じて適時に介入することが可能となる。迅速な介入により、臓器不全のリスクが低下する。患者が安定化された後、システム100は、医師に、ウィーニングを開始するように促す。これにより、患者101が換気に過度の時間を費やし、ベンチレータに関連する肺損傷を受けるリスクが、効果的に軽減される。これはさらに、下流の子プロトコル、例えばERTプロトコルの適時性に影響を及ぼす。システム100により、臨床医が、患者101が特定のプロトコル(例えば、抜管試験)に対して適格であった可能性がある期間がどれくらいであったかを知ることが可能となり、このため、医師にプロトコルを開始するよう促す。この試験が完了した後、システム100は、回診または他の患者ケア計画行動中に、動的一致率を臨床チーム全体に提供し、したがって、チームが別のプロトコルおよび/または行動方針(例えば、抜管)の開始の決定を適時に行うことができる。
ステップ1122では、第2のプロトコル120Bの行動方針を開始する(すなわち、患者101が、プロトコルに登録される)。第2のプロトコル120Bを開始した後、患者の動的一致を追跡する。ついで、この方法は、ステップ1126に進む。ステップ1126では、さらにプロトコルが存在するどうかを尋ねる。答えが、「イエス」である場合には、更なる患者データを受信する。図12の例に戻って、第3のプロトコル120Cは、先のプロトコル120Bに関する適格性規則を有する。したがって、ステップ1114~1124を、第3のプロトコル120Cについて繰り返す。この方法を、必要なだけ多くのプロトコルについて繰り返すことができる。最終的に、追加の入れ子状のプロトコルが存在しなくなった場合、この方法は終了する。
隠れ状態変数
種々のプロトコル120は、適格性規則122を含むことができかつ/またはコンプライアンス規則124は、隠れ状態変数を参照する条件(例えば、真または偽、特定の変数が特定の値より大きい等)を含むことができる。以下でさらに説明するように、これらの隠れ状態変数条件125は、条件を直接に測定するのとは対照的に、特定の条件が存在するリスクを計算する。このため、ステップ1104および1116は、患者データを受信することを記載しているが、この患者データは、測定された患者データの関数である計算された隠れ状態変数を含む場合もある。特定の患者状態についてのリスク確率を計算することの詳細は、同時係属中の米国特許出願第63/091427号にさらに詳細に記載されている。この出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
インタフェース
病院環境では、医療スタッフは、複数の患者101を担当する可能性が高い。そこでは、例示的な実施形態が、医師による患者プロトコルの管理のための直感的なユーザインタフェースを有利に提供する。
図13Aに、本発明の例示的な実施形態に係るユーザインタフェース112に医療プロトコルについての患者の適格性および/またはコンプライアンス状態を表示する方法を模式的に示す。この方法は、通常使用することができるより複雑な方法の単純化されたバージョンであることができることに留意されたい。したがって、この方法は、説明されていない追加のステップを有する場合がある。加えて、幾つかのステップは、任意である場合があり、異なる順序でまたは互いに並行して実行される場合がある。したがって、この方法の説明は例示的なものであり、本発明の種々の実施形態を限定することを意図するものではない。最後に、図13の方法を、同時に1つ以上の医療プロトコルに複数の患者を入れるための方法をカバーするように拡張することができる。したがって、方法1300は、本発明の例示的な実施形態に係る1つの方法の単なる例示でしかない。したがって、当業者であれば、必要に応じてこの方法を修正することができる。
この方法は、ステップ1302で開始する。ステップ1302では、複数のプロトコルについての適格性規則、複数のプロトコルについてのコンプライアンス規則、および患者データを受信する。種々の実施形態では、複数のプロトコルは、適格性規則およびコンプライアンス規則について同じであることができる。さらに、患者データを、数多くのセンサおよび/または医療装置から受信することができる。種々の実施形態では、患者データは、複数の患者からの患者データを含む。
ついで、この方法は、ステップ1304に進む。ステップ1304では、複数の患者101についての患者識別子(例えば、図13Bにおける氏名、ベッドおよび/またはMRN)を表示する。患者識別子により、医師が1つ以上のプロトコルに関連付けられた患者101を識別することが可能となる。
図13Bに、例示的な実施形態に係る患者プロトコル120情報を閲覧するためのインタフェース112を模式的に示す。患者101の医療イベント履歴ならびに進行中のプロトコル、完了したプロトコル、および/またはプロトコル適格性履歴を、インタフェース112において医師が閲覧することができる。とりわけ、インタフェースは、患者のベッド番号(Bed)、氏名、ステータス、医療記録番号(MRN)、性別(Sex)、年齢(Age)、最近の行動(Recent Activity)、MAP行動132、および/または他のパラメータ値を示すことができる。
ついで、この方法は、ステップ1306に進む。ステップ1306では、適格なプロトコルに対して適格である1名以上の患者および/またはプロトコルに登録されている1名以上の患者を表示する。例示的な実施形態は、複数の患者101に関する患者情報を表示するように構成された単一のユーザインタフェース112を提供する。複数の患者101は、特定の病院フロアにいる、特定の病院ユニットにいる、特定のプロトコル120に関連する、かつ/または特定の医師のケア下にある患者101の全てであることができる。同じユーザインタフェース112において、各患者101のプロトコル行動132が示され、記載される。例えば、患者101Aについては、ERTプロトコル120について適格である(例えば、適格性アイコン131)であることおよび適格期間(すなわち、患者101Aについて1日と17時間)が示されている。患者101Bについては、ERTプロトコル120を完了したこと(例えば、完了アイコン133)および完了したプロトコルの合計時間(すなわち、患者101Bについて2時間と0分)が示されている。患者101Cについては、ERTプロトコル120に現在登録されている/進行中であること(例えば、登録アイコン137)、および患者101Cがプロトコルに参加していた合計時間(すなわち、患者101Cについて1時間と19分)が示されている。
ついで、この方法は、ステップ1308に進む。ステップ1308では、動的一致率を計算する。プロトコル適格性および一致モジュール110は、前述のように、動的一致率を計算することができる。
ついで、この方法は、ステップ1310に進む。ステップ1310では、動的一致率を表示する。図13Bに示されているように、場合により、例示的な実施形態は、患者101がプロトコル120に参加しているかまたは参加していた時間の長さ、および動的一致率135を表示することができる。
ついで、この方法は、ステップ1312に進む。ステップ1312では、一致率を更新する。種々の実施形態では、動的一致率を、リアルタイムに、またはセンサおよび/もしくは医療装置から新たなデータが受信されるにつれて更新することができる。一部の実施形態は、所定のスケジュール(例えば、30秒毎、1分毎等)で、動的一致率を更新することができる。動的一致率を、それが更新されるときに表示することができる。種々の実施形態では、品質報告モジュール114は、プロトコル適格性および一致モジュール110から動的一致率を連続的または定期的に受信することができる。品質報告モジュール114は、動的一致率がどの方向に向いているかを判定することができる。例示的な実施形態では、傾向情報を、ユーザインタフェース上に表示することができる。例えば、動的一致インジケータアイコン139は、動的一致率が上昇傾向にある(例えば、緑色矢印アイコン139A)か、下降傾向にある(例えば、赤色矢印アイコン139B)か、または事前定義された時間枠内で定常である(例えば、一致全体が閾値を上回る場合、水平緑色矢印139C、または一致全体が閾値を下回る場合、水平赤色矢印139D)か否かを示すことができる。
システム100は、ユーザインタフェース112上にチェックマークを伴う完了したプロトコルを視覚的に示すことができる。これらの視覚化により、ある医師から別の医師への臨床ケアの移行を単純化することが可能となり、したがって、より良好な患者アウトカムをもたらす。例えば、抜管決定は、通常、前のシフト中に完了した抜管準備試験に基づいて、朝の回診中にケアチームにより行われる。回診中のチームは、どの患者がERTを完了したかをレビューし、ついで、全体的高い一致を有する全ての患者を抜管する決定を下すことができる。より低い一致を有する患者についての縦断的データをより詳細にレビューして、ノンコンプライアントな理由を判定し、この理由が抜管失敗の許容できないリスクを示すか否かを評価することができる。さらに、実際には、プロトコル120が完了する時間までに、患者を担当していた医師にシフト交替があったかもしれない。例示的な実施形態は、後続の臨床医のために、患者の医療のための優先順位付けを単純化する視覚化を提供する。
ついで、この方法は、ステップ1314に進む。ステップ1314では、所定のプロトコルおよび/または患者に関するユーザ入力選択(選択とも称される)を受信し、選択されたプロトコルおよび/または患者に関連する表示を提供する。図13Cに、例示的な実施形態に係る患者プロトコル120情報を閲覧するためのインタフェース112を模式的に示す。図13Cのインタフェースは、図13Bのインタフェースと実質的に同一であり、特定のプロトコルに対して適格である患者に関する複数の行動を有するインタフェース適格性メニュー907を追加したことを特徴とする。一部の実施形態では、医師は、システムがコンプライアンスの追跡を開始するように、プロトコルが開始したことを手動で選択することができる。一部の他の実施形態では、このシステムは、ユーザがプロトコルに入れられたことを自動的に検出し、コンプライアンスの追跡を開始することができる。
適格性メニュー907は、プロトコルに参加している患者の管理および/または治療を簡略化する数多くの有用な機能を、インタフェース112において医師に提供する。例えば、このメニューは、プロトコルコンプライアンスおよび/または適格性に関するパラメータを調整する能力を医師に提供する、パラメータ調整ボタン908を含むことができる。また、このメニューは、医師が適格性をスヌーズする(したがって、適格性および/または適格となった以降の期間の追跡に関する通知を遅延させまたは停止する)ことを可能にする適格性スヌーズボタン909を含むことができる。例えば、医師は、その医療判断において、患者パラメータは範囲内にあるけれども患者がプロトコルには入っていないと考える場合がある。例えば、患者パラメータは患者がERTについての適格性を示す最小換気設定にあることを示すが、身体検査により患者が咳反射を有さないことが示される場合がある。これにより、医師は、所定の期間にわたって適格性をスヌーズすることになる。さらに、除外ボタン910は、特定のプロトコルから患者を完全に除外する能力を医師に提供する。例えば、患者が慢性換気にある場合、患者は、その特定のユニットにおいて全く抜管されない場合がある。これらの特徴は、医療スタッフが何らかの方法で送信されうる通知を管理しかつ/または不正確な品質情報の追跡を停止するのに役立つ。
図13Bおよび図13Cに記載された特徴は、別個のスクリーンショットで示されているが、これらの図を参照して説明する関連する全ての特徴を単一のユーザインタフェース112において組み合わせることができると理解されたい。
ついで、この方法は、ステップ1316に進む。ステップ1316では、動的一致率135に関するユーザ入力選択を受信し、動的一致率に関連付けられた関連情報を表示する。
図13Dに、本発明の例示的な実施形態に係る図13Bおよび図13Cのユーザインタフェース112を模式的に示す。医師は、所定のプロトコルの動的一致率135をクリックして、一致率135を判定する個々のパラメータのコンプライアンスを示す新たなコンプライアンスボックス920を表示させることができる。示される特定の例では、一致率を知らせるパラメータのうちの2つ(IDO2およびIVCO2)は、特定の状態にある隠れ内部状態変数のリスクである。
ついで、この方法は、ステップ1318に進む。ステップ1318では、ユーザインタフェース112へのユーザ入力がさらにあるか否かを尋ねる。イエスの場合、この方法はステップ1314に戻る。
図13Eに、図13Bのインタフェースにおけるオーバーレイとしてプロトコル120を模式的に示す。インタフェース112へのユーザ入力により、システム100は、選択されたプロトコル120についての適格性規則122および/またはコンプライアンス規則124を表示する(例えば、ユーザは、「ERT」の名称のプロトコル120を選択する)。例えば、患者101Bは、抜管準備試験中である。適格性規則122は、患者が自発呼吸していること、PEEP<=7cm H2O、およびFiO2<=50%、のそれぞれである。コンプライアンス基準124は、SpO2>=目標SpO2、正規化TV>5mL/kg、RRがベースラインRRを20%上回っては上昇していない、HRがベースラインHrを20%上回っては上昇していない、のそれぞれである。
図13Bのセンサスビューに戻ると、インタフェース112へのユーザ入力により、システム100は、選択されたプロトコル120(例えば、ユーザが、患者が適格である時間の長さ、患者がプロトコルに参加している時間の長さ、および/または動的一致率135を選択する)について受信された関連データを表示する。
図13Fに、図13Bにおいて選択されたプロトコル120に関する受信された患者データを模式的に示す。したがって、ユーザインタフェース112は、複数の患者101のセンサスビューをもはや示さないが、代わりに、特定の選択された患者101Bに関連するデータを表示する。特に、患者101Bは、プロトコル120(例えば、ERT)を既に完了しているため、ユーザインタフェース112は、コンプライアンス規則124に関する患者データを表示する。同様に、患者が現在プロトコル120に参加している場合、ユーザインタフェース112は、コンプライアンス規則124に関する患者データを表示する。代替的には、患者101がプロトコル120に対して適格である場合、ユーザインタフェース112は、適格性規則122に関する患者データを表示する。
受信された患者データを、データ点が収集されるように、センサ102および/または周辺装置104から連続的に(またはほぼ連続的に)ストリーミングする。図13Eに示されているように、例示的なプロトコルは、SpO2、正規化された一回換気量(mL/kgで正規化されたTV)、呼吸数、および心拍数に関するコンプライアンス規則124を有する。このため、図13Fにおけるユーザインタフェース112は、コンプライアンス規則124に関連する全てのデータを表示する。ユーザインタフェース112は、視覚的に区別可能な形式で、(例えば、患者データの陰影領域により表される)ノンコンプライアント期間140を示す。有利には、医師は、プロトコル120に関する関連患者データ(例えば、コンプライアンス規則124および/または適格性規則122)の全てを閲覧することができ、問題のある患者データが視覚的に強調される。患者101が完了したプロトコルの長さ(例えば、2時間)にわたってコンプライアントにあった時間の長さを判定する動的一致率(例えば、67%)を計算する。一方、進行中のプロトコルでは、動的一致率を、プロトコルが進行した期間について計算する。
さらに、ユーザインタフェース112は、表示されたデータに対するプロトコルの開始時間を示すプロトコル開始指示899を表示することができる。同様に、例示的な実施形態は、表示データに対するプロトコルの終了時間を示すプロトコル終了指示900を表示することができる。ユーザインタフェース112は、プロトコル開始指示899に隣接するユーザ選択可能マーカー901を含むことができる。マーカー901を選択することにより、インタフェース112は、(例えば、患者101Bが評価される)プロトコルの正確な時間および/またはプロトコルの開始時に計算されたベースラインに関する情報を有するテキストボックス902を表示する。必要に応じて、医師は、更新アイコン903を選択して、プロトコルの前、最中または後のいずれかでベースラインを更新することができる。
図13Gに、例示的な実施形態に係る、更新アイコン903が選択されたときにユーザインタフェース112に表示されるオーバーレイウィンドウ911を模式的に示す。ベースライン心拍数904は、プロトコル120の開始前の期間(例えば、1分、2分、1時間または2時間)の平均に基づいて自動的に計算される。これにより、ベースラインパラメータが設定される。一方、上書きボックス905により、医師は(例えばベースラインパラメータを使用するプロトコル120がプロトコル120にとって十分でないベースラインを有すると医師が考える場合)これらのパラメータを上書きし、新たなパラメータを入れることが可能となる。さらに、他のパラメータ906を、医師により手作業で入力する、または上書きすることができる。
図13Hに、図13Fの特定の瞬間の選択されたデータのタイムスタンプを模式的に示す。タイムスタンプ線136により示されているように、特定の瞬間における特定の患者データ値を閲覧することができる。さらに、患者の臨床リスクに対する内部状態変数の影響も可視化される。例えば、図13Hは、測定された心拍数、呼吸数およびrSO2に基づく、患者の低IVCO2の臨床リスクへの影響を示す。
この例では、IVCO2インデックスは、特定のプロトコルの一部ではないが、追加コンテキストのために提供される。これは、このシステムの特徴であり、この場合、特定のプロトコルビューに関連する傾向の全てが規則であるわけではない。これらのうちの幾つかが、コンテキストを提供し、なぜ規則に反するのかの解釈を容易にするために表示される。
IVCO2は隠れ状態変数の例として示されているが、この基本方式が、臨床リスクおよびその関連付けられた内部状態変数の任意の表示に適用される。示されているように、図3Dに、患者の臨床リスクに対する内部状態変数の影響または内部状態変数の測定の表示の一実施形態を示す。ユーザインタフェース112は、図の上部の、時間に対する棒グラフとしてプロットされた臨床リスクと、リスク棒グラフの下部の、時間に対するプロットされた患者についてのモニタリングされた測定値とを示す。ユーザが、臨床リスクグラフ871上でとどまっていると、その時点で臨床リスクレベルに寄与している測定値またはISVが、ボックス879に表示される。図中のボックス879は、表示されたリスクレベルに対する各寄与因子の影響の量に基づいて、順に列挙された上位3つの寄与因子の非限定的な例を表示する。時間軸のみをスクロールすることにより、上位3つの寄与因子が刻々と変化しうる。さらに、一部の実施形態では、3つより多いまたは3つより少ない寄与因子が表示されうる。
図13B~図13Hは、数多くの方法で表示することができるユーザインタフェース112を提供する。例えば、インタフェース112は、任意の従来のインタフェース(例えば、モニタ、タッチスクリーンディスプレイ等)上に提供することができる。さらに、インタフェース112は、病院ネットワーク内に共同設置することができ、または(例えば、クラウドから)遠隔アクセスすることのできるサーバ上に記憶することができる。一部の実施形態では、専用デバイスが、ユーザインタフェース112を表示することができる。このデバイスは、タッチスクリーンディスプレイ、無線インターネット接続性を有することができかつ/または病院ベッドに取り付けるように構成されていることができる。
この方法は、ステップ1318に戻って継続する。ステップ1318では、追加のユーザ入力をチェックする。追加のユーザ入力がない場合、この方法は終了する。
例示的な実施形態により、有利には、数多くの改善された医療用途が可能となり、さらに、患者パラメータのリアルタイム追跡がなければ不可能であるはずの改善された医療アウトカムが提供されると理解されたい。最新技術では、患者パラメータを静的に(例えば、特定の患者スケジュールに基づいてまたは医師のスケジュールに基づいて)チェックする。一方、本発明者らは、適格期間が短くなった場合および/または動的一致率が高レベルに維持される場合、患者の臨床アウトカムがはるかに改善されると決定した。適格期間および/または動的一致率をリアルタイムで可視化することにより、患者を適格なプロトコルにより迅速に入らせることができ、また、患者をより迅速に治療して動的一致率を高く維持するのに役立てることもできる。さらに、動的一致率についての特定の問題をリアルタイムに視覚化することができ、特定の低いコンプライアンスパラメータを医師により容易に判定することができる。
本発明の例示的な実施形態により実装することのできる数多くのプロトコルが存在する。プロトコルの非限定的な例は、次のものを含む。
・急性呼吸窮迫症候群患者の換気。適格性規則を、SF(SpO2/FIO2)またはPF(PaO2/FIO2)比が300を下回ることにより定義することができる。コンプライアンスを、適切なベンチレータ設定を示す特定のパラメータ、例えば、
・一回換気量が8ml/kg未満、
・最大呼吸圧が30cm H2O未満、
により定義することができる。
・血管作動性支持のウィーニング。適格性規則を、米国特許出願第17/033591号(その全体が参照により本明細書に援用される)におけるシステムおよび方法により評価されるように、患者が不適切な酸素供給状態にあることについての低リスクにより定義することができる。血管作動性支持のウィーニング開始後、コンプライアンスを、
・各連続する時間についてのVISスコアの低下率が所定の閾値を上回る、
・不適切な酸素供給についてのリスクが所定の閾値を上回らない、
・平均動脈圧が患者および年齢別の特定の閾値を下回って低下しない、
・乳酸が4mmol/Lを上回って増加しない、
のように定義することができる。
先に言及したように、種々のプロトコル120は、適格性規則122を含むことができかつ/またはコンプライアンス規則124は、隠れ状態変数を参照する条件(例えば、真または偽、特定の変数が特定の値より大きい等)を含むことができる。特定の患者状態についてのリスク確率を計算する詳細は、同時係属中の米国特許出願第63/091427号にさらに詳細に記載されている。この出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
本発明の種々の実施形態を、少なくとも部分的に、任意の従来のコンピュータプログラミング言語で実装することができる。例えば、一部の実施形態を、プロシージャプログラミング言語(例えば、「C」)において、ビジュアルプログラミング処理としてまたはオブジェクト指向プログラミング言語(例えば、「C++」)において実装することができる。本発明の他の実施形態を、予め構成されたスタンドアローンハードウェア要素としてかつ/もしくは予めプログラムされたハードウェア要素(例えば、特定用途向け集積回路、FPGAおよびデジタル信号プロセッサ)または他の関連する構成要素として実装することができる。
代替的な実施形態では、開示された装置および方法(例えば、上記の方法を参照のこと)を、コンピュータシステムと共に使用するためのコンピュータプログラム製品として実装することができる。このような実装形態は、有形の非一時的媒体、例えば、コンピュータ可読媒体(例えば、フロッピーディスク、CD-ROM、ROMまたは固定ディスク)のいずれかに固定された一連のコンピュータ命令を含むことができる。一連のコンピュータ命令は、システムに関して本明細書で前述された機能の全部または一部を具現化することができる。
当業者であれば、このようなコンピュータ命令を、多くのコンピュータアーキテクチャまたはオペレーティングシステムと共に使用するための数多くのプログラミング言語で記述することができるものと理解されたい。さらに、このような命令を、任意のメモリデバイス、例えば、半導体、磁気、光または他のメモリデバイスに記憶させることができ、任意の通信技術、例えば、光、赤外線、マイクロ波または他の送信技術を使用して送信することができる。
他の方法の中でも、このようなコンピュータプログラム製品を、添付の印刷文書もしくは電子文書(例えば、シュリンクラップされたソフトウェア)を伴うリムーバブル媒体として配布し、コンピュータシステム(例えば、システムROMまたは固定ディスク上)にプレロードする、またはネットワーク(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)を介してサーバもしくは電子掲示板から配布することができる。実際、一部の実施形態を、ソフトウェア・アズ・ア・サービスモデル(「SAAS」)またはクラウドコンピューティングモデルにおいて実装することができる。当然、本発明の一部の実施形態を、ソフトウェア(例えば、コンピュータプログラム製品)とハードウェア(例えば、プロセッサ)との両方の組み合わせとして実装することができる。本発明のさらに他の実施形態は、完全にハードウェアとしてまたは完全にソフトウェアとして実装される。
上記の説明により、本発明の種々の例示的な実施形態が開示されているが、当業者であれば、本発明の真の範囲から逸脱することなく、本発明の利点の一部を達成するであろう種々の修正を行うことができるのは明らかなはずである。
種々の例示的な実施形態により、内部状態変数および/または隠れ内部状態変数を計算することができる。以下に提供されるこの説明は、本発明の一部の実施形態に係る本説明の添付書類である。この添付書類は、2021年10月14日付にて出願された国際特許出願第PCT/US21/55094号からの説明および図を含む。この出願は、参照により援用される。
例示的な実施形態は、個々の患者のリスクベースの患者モニタリングを改善するためのシステムおよび方法を、臨床人員に提供する。
例示的な実施形態により、患者リスクを特定し、開示するためのシステムおよび方法の能力が改善される。患者の身体を、内部状態変数を有する複雑なシステムまたは機械と考えることができ、内部状態変数のうちの幾つかは、直接に測定可能であり(例えば、それらを、センサで測定することができる)、内部状態変数のうちの幾つかは隠されている。
多変量分析により、隠れ内部状態変数を直接に測定しない複数の測定値を組み合わせて、特定の有害な生理学的状態にある患者のリスク評価を提供することができる。ただし、このような分析は、患者の健康または特定の患者状態にある患者のリスクに対するこのような測定の所定の1つ(またはそれ以上)の影響を定性的かつ/または定量的に評価する方法を欠いている。すなわち、(センサにより直接に測定可能な)他の内部状態変数の定量化された測定値に基づく内部状態変数の分析(隠れ内部状態変数の分析を含むが、これに限定されない)では、臨床医は、どの定量化された測定値が患者の特定の有害な生理学的状態に定量的に最大の影響を及ぼすかを判定しまたは知ることができない。
どの定量化された測定値が患者の特定の有害な生理学的状態に定量的に最大の影響を及ぼすかを知ることにより、臨床医は、利用可能な治療のセットの中から、患者の特定の有害な生理学的状態に定量的に最大の影響を及ぼす定量化された測定値により測定された内部状態変数に対処するために、どの治療を適用するかを判定することが可能となる。
こうした欠点に対処するために、本明細書に開示されたシステムおよび方法は、1つ以上の内部状態変数の1つ以上の測定値の(本明細書に記載された)患者の臨床リスクの判定に対する影響の定量的指示を生成する。
本明細書に記載された技術を、種々のベッドサイドモニタ、電子医療記録および他の患者固有の情報からのデータを組み合わせて、患者に対する現在のリスクおよび将来のリスクを評価する、救命治療のためのモニタリングシステムとして具現化することができる。また、この技術を、患者固有のリスクが所定の閾値を通過した場合、標準化された医療計画に従って特定の行動をユーザに促す決定支援システムとしても具現化することができる。記載された技術のさらに別の実施形態は、患者のリスクプロファイルを生成し、その臨床トラジェクトリを連続的に追跡し、訪問または追加の検査をいつスケジュールするかに関して、臨床医に決定支援を提供するために、患者および家族評価を投薬計画および医師評価についての情報と共に組み合わせる、外来患者のモニタリングシステムである。
定義
この説明および添付の特許請求の範囲で使用する場合、以下の用語は、文脈により何らかの方法で要求されない限り、示される意味を有するものとする。
「臨床リスク」なる用語は、例えば、特定の期間において、患者が特定の患者状態にある確率を意味する。
「臨床トラジェクトリ」なる用語は、患者の臨床経過中に、患者において進展する患者状態の経緯を意味する。
「隠れ」なる用語は、内部状態変数に関して、患者に接続されたセンサにより直接に測定されないISVを意味する。一部の隠れISVは、患者に接続されたセンサにより直接に測定することができない。一部の隠れISVは、患者から採取されたサンプル(例えば、血液)の実験室分析を必要とする。以下で説明するように、一部の隠れISVを、隠されていないISVの測定値から生成することができ、「生成された内部状態変数」と呼ぶことができる。
「内部状態変数」(または「ISV」)なる用語は、患者の治療および状態のうちの1つに生理学的に関連する患者の生理機能のパラメータを意味する。
ISVの例は、ノイズを伴って直接に観察可能なISV(非限定的な例として、心拍数は、直接に観察可能なISVである)、隠れISV(非限定的な例として、大動脈を通る酸素飽和血液の流れとして定義される酸素供給(DO2)である肺胞死腔は直接に測定することができず、このため隠れている)または断続的に測定されるISV(非限定的な例として、完全血球計数試験から測定されるヘモグロビン濃度は、断続的に観察可能なISVである)を含むが、これらに限定されない。ISVの他の例は、肺血管抵抗(PVR);心拍出量(CO);ヘモグロビンおよびヘモグロビン産生/損失の割合を含むが、これらに限定されない。
患者についてのデータに関する「名目上の」なる用語は、患者が属する集団の名目上の値を意味する。例えば、患者が属する患者を、同じ年齢の患者の集団および/または同じ性別の患者の集団として定義することができる。
患者についてのデータに関する「ヌル」なる用語は、空の測定値を意味する。実測データの値にヌル値を代入することは、実測データがシステムにより受信されなかったシナリオをシミュレーションする。
「患者状態」なる用語は、患者の臨床経過の特定の時点での患者の生理機能の定性的説明を意味し、この定性的説明は、定量化された証拠(例えば、患者の内部状態変数のうちの1つ以上の測定値)から導出され、この定性的説明は、医療行為により認識可能であり、臨床的意思決定に影響を及ぼしうる。患者状態は、例えば、医学的状態、例えば有害な医学的状態であるとすることができる。「患者状態」なる用語は、患者の意識状態(例えば、覚醒および/または睡眠等)を含まない。
特定の患者状態の例は、とりわけ有害な医学的状態、例えば、酸素の不適切な供給、二酸化炭素の不適切な換気、高乳酸血症、アシドーシスを含むが、これらに限定されない。加えて、これらの患者状態は、特定の医学的状態に特有である場合があり、患者状態のそれぞれの境界を、種々の生理学的変数およびデータの閾値により定義することができる。
「セット」は、少なくとも1つのメンバを含む。
システムモジュールおよび対話
ここから図を参照して、図14Aおよび図14Bに、本開示の種々の実施形態に係る、健康提供者、例えば医師、看護師または他の医療提供者に、リスクベースのモニタリングを提供するための医療リスクベースのモニタリング環境1010の実施形態を示す。患者A101を、患者の種々の生理学的パラメータをモニタリングすることのできる1つ以上の生理学的センサまたはベッドサイドモニタA102に接続することができる。患者はヒトであってよく、またはヒトでなくてよい(非ヒトであってよい)ことに留意されたい。
これらの生理学的センサは、とりわけ、血液酸素濃度計、血圧測定装置、脈拍測定装置、グルコース測定装置、1種以上の検体の測定装置、心電図記録装置を含むことができるが、これらに限定されない。加えて、患者に、日常的な検査および試験を施すことができ、そのデータを電子医療記録(EMR)103に記憶することができる。電子医療記録A103は、記憶された情報、例えば、ヘモグロビン、動脈および静脈酸素含有量、乳酸、体重、年齢、性別、ICD-9コード、毛細血管再充満時間、主観的臨床医観察、患者自己評価、処方薬、投薬計画、遺伝学等を含むことができるが、これらに限定されない。加えて、患者101は、患者に治療を施すように構成された1つ以上の治療装置A104に接続されていることができる。一部の実施形態では、1つ以上の治療装置A104を、例えば、トラジェクトリインタープリタモジュールからの患者状態または医学的状態を定義する出力に応答して、本明細書に開示されたシステムA100により制御することができる。種々の実施形態では、治療装置A104は、体外膜型酸素化装置、ベンチレータ、薬剤注入ポンプ等を含むことができる。
本開示により、患者101は、既存の方法より改善されたリスクベースのモニタリングの提供を受けることができる。本明細書において、システムA100と一般的に称される患者固有のリスクベースのモニタリングシステムは、ベッドサイドモニタA102からのリアルタイム情報、電子医療記録A103からのEMR患者情報、治療装置A104からの情報、例えば、設定、注入速度、薬剤の種類を含む患者関連情報、および他の患者関連情報を受信するように構成されていてよく、当該他の患者関連情報は、患者の病歴、以前の治療計画、以前および現在の実験室作業からの結果、アレルギー情報、種々の状態に対する傾向、ならびに生じうる患者の状況および状態の情報に基づく評価を行うことに関連すると考えられる任意の他の情報およびこれに関連する確率を含むことができる。簡易にする目的で、上記にて列記した種々のタイプの情報を、一般的には、以下において、「患者固有情報」と称するものとする。加えて、このシステムは、受信された情報を利用し、臨床リスクを判定し、ついで、臨床リスクを、医師、看護師または他のタイプの臨床医を含む(が、これらに限定されない)医療提供者に提示することができるように構成されていることができる。
種々の実施形態では、このシステムは、プロセッサA111、プロセッサA111に接続されたメモリA112、システムがネットワークを介して他のデバイスと通信することを可能にするように構成されたネットワークインタフェースA113、のうちの1つ以上を含む。加えて、このシステムは、コンピュータ実行可能命令を含むことができるリスクベースのモニタリングアプリケーション1020を含むことができる。このコンピュータ実行可能命令は、プロセッサA111により実行される際に、システムに、患者、例えば患者101のリスクベースのモニタリングを実現させるためのものである。
リスクベースのモニタリングアプリケーション1020は、例えば、データ受信モジュールA121、生理学的オブザーバモジュールA122、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123(または一部の実施形態では、リスク計算エンジンA123)、ならびに可視化およびユーザ対話モジュールA124を含む。例示的な実施形態では、データ受信モジュールA121は、ベッドサイドモニタA102、電子医療記録A103、治療装置A104からのデータ、および患者の臨床リスクに関する情報に基づく評価の実行に関連すると考えられる任意の他の情報、ならびに前述の要素のそれらの任意の組み合わせを受信するように構成されていることができる。
生理学的オブザーバモジュールA122は、複数の測定値を利用して、所定の生理学的モデルに従って、患者の治療および状態に関連する生理機能の構成要素を記述する内部状態変数を含む、内部状態変数(ISV)の確率密度関数(PDF)を推定する。ISVは、ノイズを伴って直接に観察可能であり(非限定的な例として、心拍数は、直接に観察可能なISVである)、隠れており(非限定的な例として、大動脈を通る酸素飽和血液の流れとして定義される酸素供給(DO)は直接に測定することができず、このため隠れている)または断続的に測定することができる(非限定的な例として、完全血球計数試験から測定されるヘモグロビン濃度は、断続的に観察可能なISVである)。一部の実施形態では、生理学的オブザーバモジュールA122が所定の時間ステップ(例えば、t;tk+1;一般的には、tk+n)においてISVのセットを評価するとき、システムA100は、その所定の時間ステップと同時に、ISV測定の完全なセットを有しない場合がある。例えば、システムA100は、幾つかの内部状態変数について、その所定の時間ステップについての測定値を有する場合があるが、幾つかの他の内部状態変数について、その所定の時間ステップについての測定値を有しない場合がある(例えば、間欠的ISVについての同時測定は、所定の時間ステップには利用可能でない場合がある)。その結果、その間欠的ISVは、所定の時間ステップでISVを評価する目的で、隠れISVである。ただし、これらのことにもかかわらず、(本明細書に記載された)生理学的オブザーバモジュールA122によるISVのセットの評価は、本明細書に記載された実施形態に従って可能である。なぜならば、ISVの予測されたPDF A211はその間欠的ISVの過去の測定値の影響を内部に保持しており、その結果、例示的な実施形態では、ISVの当該予測されたPDF A211が生理学的オブザーバモジュールA122のための十分な入力となるためである。
例示的な実施形態では、全ての変数を、誤差なしに確定的に推定することができると仮定する代わりに、本開示の生理学的オブザーバモジュールA122は、確率密度関数を出力として提供する。生理学的オブザーバモジュールA122に関する更なる詳細は、本明細書で提供される。
臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、例えば、複数の可能性のある患者状態で構成されていることができ、これらの患者状態のうちのどの患者状態である可能性があるか、および内部状態変数の推定確率密度関数を参照して、確率がどれくらいであるのかを判定することができる(すなわち、所定の患者状態にある患者の確率を、患者が所定の患者状態にあるリスクと称することができる)。特定の患者状態の例は、とりわけ、洞性頻脈を伴う低血圧、心筋抑制を伴う低酸素症、代償性循環ショック、心停止、出血を含むが、これらに限定されない。加えて、これらの患者状態は、特定の医学的状態に特有である場合があり、患者状態のそれぞれの境界を、種々の生理学的変数およびデータの閾値により定義することができる。種々の実施形態では、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、参照資料から収集された情報、医療提供者により提供された情報、他の情報源のいずれかを使用して、患者を分類することができる患者状態を判定することができる。参考資料を、例えば、ネットワークインタフェースA113を介してリスクベースのモニタリングアプリケーション1020にアクセス可能なデータベースまたは他の記憶デバイスA130に記憶させることができる。これらの参考資料は、参考書、医学文献、専門家の調査、医師により提供された情報、および患者に医療を提供するための参考として使用することができる任意の他の資料から統合された資料を含むことができる。一部の実施形態では、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、まず、モニタリングされる対象患者に類似する患者集団を特定することができる。そうすることにより、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、可能性のある患者状態の判定に役立てるために、特定された患者集団に基づく関連履歴データを使用することが可能である。
また、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、生理学的オブザーバモジュールA122により提供される内部状態変数の推定された確率密度関数を参照して、患者が現在分類されている場合がある、可能性のある患者状態を判定することも可能である。このようにして、可能性のある患者状態のそれぞれに0から1までの確率値が割り当てられる。患者状態とその確率との組み合わせは、患者に対する臨床リスクと定義される。臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123に関する更なる詳細は、本明細書で提供される。
視覚化およびユーザ対話モジュールA124は、データ受信モジュールA121、生理学的オブザーバモジュールA122、および臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123の出力を取得し、それらを医師に提示するように備えられていることができる。視覚化およびユーザ対話モジュールA124は、現在の患者リスク、それらの経時的進展、時間の関数としての内部状態変数の確率密度関数、ならびに副産物として2つのモジュールA122およびA123により計算され、医療行為に有益である他の特徴を示すことができる。さらに、視覚化およびユーザ対話モジュールA124により、ユーザは、患者状態確率に基づいてアラームを設定し、それらのアラームを他のユーザと共有し、患者リスクに関するメモをとり、このメモを他のユーザと共有し、患者の医療履歴の他の要素を閲覧することが可能となる。視覚化およびユーザ対話モジュールA124に関する更なる詳細は、本明細書で提供される。
I.生理学的オブザーバモジュールA122
図2Aに、患者の生理機能の2つのモデルすなわち動的モデル(または動的モジュール)A212および観察モデル(または観察モジュール)A221を利用する生理学的オブザーバモジュールA122の基本的な模式図を示す。動的モデルA212は、ある時間tにおける内部状態変数と、別の近い後続の時間tk+1との間に生じる関係を捕捉し、それにより、現在の状態がシステムの可能性のある将来の進展についての情報を有するシステムとしての患者の生理機能のモデル化が可能となる。患者の生理機能が、自己調節を通じてホメオスタシスを維持する傾向にあり、物理的法則が人体の種々の過程、例えば、流体力学、化学反応を導くことを考慮すると、現在の状態から将来の状態へのシステムの進展を捕捉する動的方程式を導入する明確な理論的根拠がある。
観測モデルA221は、測定された生理学的変数と他の内部状態変数との間の関係を捕捉することができる。このようなモデルの例は、a)収縮期動脈圧と拡張期動脈圧との間の差(脈圧とも称される)の一回拍出量への依存、b)測定された心拍数と実際の心拍数との間の関係、c)パルスオキシメトリと動脈酸素飽和度との間の関係、およびd)測定可能な、したがって観察可能なパラメータと内部状態変数との間の任意の他の依存、を含む。
生理学的オブザーバモジュールA122は、以前の測定値からの情報を利用して、内部状態変数の予測および可能性のある後続の測定値(すなわち、以前の測定値に対する将来の測定値)の可能性を生成し、ついで、それらを後続の測定値(例えば、最も最近取得された測定値)と比較することにより、再帰フィルタとして機能する。具体的には、生理学的オブザーバモジュールA122は、予測ステップまたはモードA210において、動的モデルA212を利用し、更新ステップまたはモードA220において、観測モデルA221を利用する。以下の例示的な例では、連続する時間ステップにわたる生理学的オブザーバモジュールA122の動作を、図15Bおよび図15Cを使用して説明する。これらの図における説明の目的で、先の時間ステップをtと表記するものとし、後続の時間ステップをtk+1と表記するものとする。先の時間ステップt自体に対して、前の時間ステップtk-1がより先行していることに留意されたい。このため、当該例示的な実施形態における時間ステップは、tk-1~t~tk+1のように進行する。
A.予測モジュールA210{図15B}
予測モードA210の間、時間ステップtにおいてかつ時間ステップt後かつ時間ステップtk+1より前に、生理学的オブザーバモジュールA122は、時間ステップtでのISV A213の推定確率密度関数(PDF)(前の時間ステップtk-1からのデータに部分的に基づいて、時間ステップtで生成され、時間ステップtについての事後確率と称することができる)を取得し、それらを動的モデルA212に供給し、これは、次の時間ステップtk+1についてのISV A211の確率密度関数の予測を生成する。
これは、次式、すなわち
Figure 2023546866000002
を使用して達成される。式中、
ISV(t)={ISV(t),ISV(tk),ISV(t),...ISV(t)}であり、M(t)は、時間tまでの全測定値のセットである。
確率P(ISVs(tk+1)|ISVs(t))は、推定されたPDFが経時的にどのように進展するかを定義する動的モデルA212を記述する遷移尤度カーネルを定義する。
確率P(ISVs(t)|M(t))は、推論エンジンA222により提供され、前の時間ステップtk-1において取得された測定値を参照したISVの事後確率である。
B.更新モジュールA220
生理学的オブザーバモジュールA122の更新モードA220の間、ISVの予測確率密度関数(すなわち、予測モジュールA210と先の時間ステップtでの密度関数を使用して生成された予測確率密度関数)が、観察モデルA221を用いてデータ受信モジュールA121から(時間tk+1において)受信された測定値と比較され、その結果、ISVが、新たに利用可能となった情報を反映するように更新される。観察モデルA221のプロセスを以下でより詳細に説明する。
1.観察モデル{A221}
観察モデルA221は、条件付き尤度カーネルA230[例えば[P(m(tk+1),m(tk+1),...m(tk+1)|ISV(tk+1))]を生成し、条件付き尤度カーネルA230を推論エンジンA222に提供する。観察モデルA221により提供される条件付き尤度カーネルA230は、現在受信されている測定値に現在予測されているISV(すなわち、直前の時間ステップにおいて予測モジュールA210により生成されたISVの予測されたPDF)が与えられる可能性がどれだけ高いかを判定する。現在受信されている測定値に現在予測されているISVが与えられる可能性がどれだけ高いかを判定するための基準は、設計者が直面する特定の適用に基づいて、システムの設計者の裁量により確立することができる。
観察モデルA221は、2つの入力と1つの出力とを有することが留意される。入力は、(1)データ受信モジュールA121から受信された測定値、および(2)推論エンジンA222により提供され、推論エンジンA222から観察モジュールA221に向かう矢印により表されるISVの予測確率密度関数A211[例えば、P(ISVs(tk+1)|M(tk))]である。観察モデルA221の出力は、条件付き尤度カーネルA230である。
2.観察モデル{A221}の動作
観察モデルA221のプロセスを、以下に説明する。
データ受信モジュールA121で受信された測定値は、別々の時点における個々の定量的測定値であるが、後続の処理ステップ(例えば、推論エンジンA222におけるベイズ理論および臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123の動作)は、このような個々のデータ点ではなく、入力としてPDF(確率密度関数)上で動作することが留意される。その結果、観察モデルA221の機能の1つは、内部状態変数の別々の定量的測定値を取り込み、PDFを出力することである。この機能については、以下で説明する。
(a).受信された測定値とISVの予測されたPDF A211との比較
生理学的オブザーバモジュールA122の更新モードA220の間に、ISVの予測されたPDF A211(予測モジュールを使用して生成されたもの、および先の時間ステップtからのISVのPDF)を、観察モデルA221の助けを借りて、データ受信モジュールA121からの後続の時間ステップ(tk+1)において受信された測定値と比較し、その結果、ISVは、新たに利用可能な情報を反映するように更新される。
上記にて言及したように、特定の測定値、例えば、ヘモグロビンは、未知量の待ち時間でシステムに利用可能である。これは、測定値が現時点およびデータ通信リンクを介して到着する時点に対して過去に有効であることを意味する。生理学的オブザーバモジュールA122は、バックプロパゲーションを使用して、このような順序が狂った測定値を処理することができ、この場合、ISVの現在の推定値は、測定値の有効期限まで経時的に戻って予測され、その結果、潜在的測定からの情報を正確に組み込むことができる。図18に、このようなタイムラインを示す。図18では、ヘモグロビンが現在のシステム時間tに到達するが有効であり、時間Tk-2でISV(DO2)に戻って関連付けられる。バックプロパゲーションは、現在のISVの確率推定値P(ISVs(t)|M(t))を、現在時間m(tk-n)に対して潜在的である測定値で更新する方法である。バックプロパゲーションは、先に記載された予測方法と同様の方法で達成される。遷移確率カーネルP(ISV(tk-n)|ISVs(t))が存在する。これは、現在の確率がどのように経時的に逆方向に進展するかを定義する。ついで、これは、
Figure 2023546866000003
のように、潜在測定値を除外する測定値の現在のセットを参照して、時間tk-nにおけるISVの確率を計算することに使用できる。
これらの確率が計算されると、潜在的な測定情報は、ベイズの規則を使用して、標準的な更新、すなわち
Figure 2023546866000004
に組み込まれる。
ついで、更新された確率が、前述の予測ステップを使用して、現時点tに伝播される。バックプロパゲーションを使用して情報を組み込むことができる。
生理学的オブザーバモジュールA122の別の機能は、平滑化を含む。システムA100を使用する医療提供者は、過去のある時点における患者状態に関心がある場合がある。平滑化により、生理学的オブザーバモジュールA122は、システムがその時間以降に受信した新たな測定値の全てを組み込むことにより、過去のその時点における患者のISVのより正確な推定値を提供することができ、その結果、その時点における全体的な患者状態の元のフィルタリングされた推定値より良好な推定値をユーザに提供し、P(ISVs(tk-n)|M(t))を計算する。これは、バックプロパゲーションの第1のステップステップを使用して達成される。バックプロパゲーションにおいて、時間tにおける、その時間までの全ての測定値を組み込んだ確率推定値は、定義された遷移確率カーネルを使用して、関心対象である時間tk-nまで後方に進展する。これは、図18にも示されており、ユーザは、tk-nにおける患者状態に関心があり、推定値は、その時間に戻って平滑化される。
加えて、生理学的オブザーバモジュールA122は、生理学的モデルおよび統計学的モデルに基づいて、システムA100に利用可能な測定値それぞれの推定値を維持するため、モジュールA122は、測定値に含まれる実際の情報に関係しない測定値のアーチファクトをフィルタリングすることができる。これは、新たに取得された測定値を、以前の測定値が与えられた可能性のある測定値の予測された尤度と比較することにより実行される。新たな測定値がモデルにより非常に可能性が低いと考えられる場合、これらは当該推定に組み込まれない。測定値をそれらの予測された尤度と比較するプロセスは、アーチファクトを効果的にフィルタリングし、ノイズを低減する。図6に、平均動脈圧(ABPm)を含むこのようなプロセスの例を示す。図19に、特定された測定アーチファクトを有する生理学的オブザーバモジュールA122により処理される前の未加工のABPm測定値、および生理学的オブザーバモジュールA122により処理された後のフィルタリングされた測定値を示す。図からわかるように、測定アーチファクトは除去されており、真の信号が残されている。
(b).条件付き尤度カーネルの作成
「条件付き尤度カーネル」A230[P(m(tk+1),m(tk+1).・・・m(tk+1)|ISVs(tk+1))]は、現在受信されている測定値に現在予測されているISVが与えられる可能性がどれくらいあるかを判定する。前述の式からわかるように、条件付き尤度カーネルA230は、時間ステップtk+1について予測されたISVを仮定する(またはそれに基づく)、測定値{時間tk+1におけるm}の確率密度関数(すなわち、時間ステップtにおいて生成された時間ステップtk+1についてのISVの予測されたPDF A211)のセットを含む。この点から前方へは、アルゴリズムは、もはや、データ受信モジュールA121自体からの別々の測定値に対して動作しないことが留意される。
一般的には、ISVの確率密度関数(すなわち、条件付き尤度カーネルA230の構成要素)の作成を、「推論スキーム」により行う。例えば、正確な推論スキームを含む複数のこのような推論スキームが存在する。
種々の実施形態では、生理学的オブザーバモジュールA122は、推定または推論のために、数多くのアルゴリズムを利用することができる。使用される生理学的モデルに応じて、生理学的オブザーバモジュールA122は、正確な推論スキーム、例えばジャンクションツリーアルゴリズムまたはモンテカルロサンプリング、例えば粒子フィルタを使用する近似推論スキーム、もしくはガウス近似アルゴリズム、例えばカルマンフィルタまたはその変形形態のいずれかを使用することができる。
説明しているように、生理学的オブザーバモジュールA122により使用される生理学的モデルを、動的ベイズネットワークとして公知の確率的フレームワークを使用して実装することができる。動的ベイズネットワークは、システムのISV間の因果関係および確率的関係を単一の時間および経時の両方でグラフィカルに捕捉する。柔軟性のために、このタイプのモデル表現を与え、生理学的オブザーバモジュールA122は、数多くの異なる推論アルゴリズムを利用することができる。アルゴリズムの選択は、使用される生理学的モデルの仕様、用途に必要とされる推論の精度、およびシステムに利用可能な計算リソースにより決まる。この場合に使用される精度は、正確な推論スキームを使用するかまたは近似推論スキームを使用するかを指す。生理学的オブザーバモデルが限られた複雑さのものである場合、正確な推論アルゴリズムを使用することが可能となりうる。そうでない場合、より複雑な生理学的オブザーバモデルについて閉形式推論解は存在せず、または存在しても利用可能なリソースを考慮すると計算上扱うことができない。この場合、近似推論スキームを使用することができる。
正確な推論を使用することができる最も単純な場合は、生理学的モデル中のISVの全てが連続変数であり、モデル中のISV間の関係が線形ガウス関係に制限される場合である。この場合、推論を行うために、標準的なカルマンフィルタアルゴリズムを使用することができる。このようなアルゴリズムでは、ISVの確率密度関数は、多変量ガウス分布であり、平均および共分散行列で表される。
モデル内のISVの全てが離散変数であり、グラフの構造がチェーンまたはツリーに制限される場合、生理学的オブザーバモジュールA122はそれぞれ、推論のために、順方向-逆方向アルゴリズムまたは確率伝播アルゴリズムのいずれかを使用することができる。ジャンクションツリーアルゴリズムは、基礎となるグラフ構造にかかわらず使用することができるこれらの2つのアルゴリズムの一般化であり、したがって、生理学的オブザーバモジュールA122は、推論のためにこのアルゴリズムを使用することもできる。ジャンクションツリーアルゴリズムは、用途に受け入れられない場合がある追加の計算コストがかかる。離散変数の場合、確率分布関数を表形式で表すことができる。モデルが線形ガウス関係を有する連続変数のみからなる場合、これらのアルゴリズムを推論に使用することもできるが、この場合、これらのアルゴリズムがカルマンフィルタと等価であることが示されうるため、例示的なアルゴリズムとしてカルマンフィルタが使用されることに留意されたい。
生理学的モデルが、変数間の非線形関係を有する連続ISVと離散ISVの両方からなる場合、正確な推論解は不可能である。この場合、生理学的オブザーバモジュールA122は、サンプリング技術に依存する近似推論スキームを使用することができる。このタイプのアルゴリズムの最も単純なバージョンは、粒子フィルタアルゴリズムである。このアルゴリズムは、連続重要度サンプリングを使用する。マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)サンプリング法も、より効率的なサンプリングに使用することができる。複雑かつ非線形の生理学的関係を考慮すると、このタイプの近似推論スキームが、最大の柔軟性を与える。当業者であれば、生理学的オブザーバモジュールにより利用されるモデルおよび推論スキームが上記の任意の組み合わせであることができ、または他の同等のモデリングおよび推論技術を含むことができることを認識する。
粒子フィルタリング法を使用する場合、リサンプリングスキームが、粒子退化を回避することにとって望ましい。生理学的オブザーバは、アダプティブリサンプリングスキームを利用することができる。本明細書で詳細に説明しているように、ISV状態空間の領域を、異なる患者状態および患者に対する異なるレベルの危険性に関連付けることができる。数が多いほど、特定の状況が患者の健康にとってより危険であることを意味する。特定の患者状態の確率の正確な推定を確実にするために、領域内に十分な数のサンプリングされた粒子を有することが必要である場合がある。高い危険レベルの領域の確率の正確な推定を維持することが最も重要である場合があり、したがって、アダプティブリサンプリングアプローチは、十分な粒子が状態空間の高い危険領域でサンプリングされることを保証する。図20に、2つの内部状態変数(「ISV-X」および「ISV-Y」)に基づくこのリサンプリングの例を示す。これらの内部状態変数は、患者の任意の内部状態変数であることができ、本明細書に記載された内部状態変数のいずれかを含むが、これらに限定されない。状態1および状態2は、最も高い危険レベルを有する。左のプロットは、標準的なリサンプリングから生成されたサンプルを示す。状態1および状態2の領域には、当然、より多くの粒子が存在することが留意される。なぜならば、これらの状態が最も可能性があるためである。右のプロットは、アダプティブリサンプリングの影響を示す。最高リスクの領域におけるサンプル数がどれくらい顕著に増加したかが留意される。
以下でさらに説明する図24Aに、「HLHSステージ1」の例(「HLHS」は、左心低形成症候群である)の文脈における条件付き尤度カーネルA230を作成する例を示す。
図24Aに関連して説明するように、観察モデルA221では、DBNに対する推論が、拡張カルマンフィルタ(「EKF」)を使用して行われる。拡張カルマンフィルタは、基礎となるモデルが非線形関係を有する用途で使用するための推論エンジンアルゴリズムを拡張するカルマンフィルタの変形形態である。この拡張は、モデルの非線形関係のテイラー級数展開を使用して達成される。この近似により、アルゴリズムがシステムに提供される測定値を考慮して、事後密度に対するガウス近似を分析的に計算することが可能となる。
図24Bに、P(ISVs(tk+1)|M(tk+1))についてのこのガウス近似を示す。示された密度は多変量ガウス分布であり、この多変量ガウス分布は、現時点でのISVの条件付き平均
Figure 2023546866000005
およびISVの条件付き共分散行列Σ(tk+1|tk+1)を使用して完全に表すことができる。これらの量は、現在の時間ステップまでの利用可能な測定値の全てを条件とする。
図24Cに、現在の実装に関するEKFの計算ステップを示す。第1のステップでは、密度を、患者集団規範または医学文献の情報に基づくことができる、ISVについての仮定された初期平均および共分散条件を使用して初期化する。初期化後、密度を、ISV密度が現在の測定の時間の前に予測される予測ステップに渡す。この予測は、生理学的オブザーバモジュールで指定された動的モデルを使用して時系列的に条件付き平均を予測し、かつ動的モデルにおける不確実性を説明するための「プロセスノイズ」の付加を伴うこの動的モデルの線形化を利用して条件付き共分散行列を予測することにより達成される。これは、特にガウス密度を除いて、生理学的オブザーバモジュールの予測モジュールにおいて記載されたものと同じ計算であることが留意される。EKFアルゴリズムは、この計算に組み込まれた予測ステップを有するため、生理学的オブザーバは、この予測方法を処理の一部として利用することが可能である。
上記の拡張カルマンフィルタは、「HLHSステージ1」の文脈における条件付き尤度カーネルA230を作成する際の使用に限定されないことに留意されたい。むしろ、拡張カルマンフィルタを、本開示によりサポートされる任意の条件付き尤度カーネルA230を作成するために使用することができる。
現在の測定時点に対するPDFの予測後に、事後密度が、現在の測定値m(tk+1)により提供される新たな情報を更新ステップにおいて先に予測されたPDFと組み合わせるベイズ規則を使用して計算される。ガウス近似のため、この計算は、分析的に扱いやすく、事後条件付き平均および事後条件付き共分散行列を計算することのみを含む。これらの量が更新された後、全体の密度を計算することができる。
更新ステップでは、生理学的オブザーバで指定された観察モデルを、入力として受け取る。このモデルを使用して、計算において、まず、カルマンゲイン(K)を計算する。カルマンゲインは、事後条件付き平均および事後条件付き共分散行列が、新たなデータに対して与えられる前からどれだけ変化するかを決定する。カルマンゲインは、先の条件付き共分散行列、測定値に関連付けられた期待ノイズ、およびオブザーバにより提供される観察モデルの線形化の関数である。カルマンゲインが計算されると、事後条件付き平均は、測定値とこのゲインによりスケーリングされた期待測定値との間の差を使用して、事前平均から更新される。事後条件付き共分散は同様の手法で事前に更新され、これにより、基礎となるISVにつき測定により提供される情報の量に比例する全体的な不確実性が低減される。当該ステップ後に、条件付き密度は予測方法A210に戻され、そこで、次の(すなわち、後続の)測定ステップに対して予測される。また、条件付き密度は、生理学的オブザーバモジュールにも戻される。
3.推論エンジン{A222}
生理学的オブザーバモジュールA122の推論エンジンA222は、ISVの予測確率密度関数A211を事前確率として使用することによりこの更新を達成する。予測確率密度関数A211は、ISVの現在の(時間tk+1における)確率密度関数A213を反映する事後確率を達成するために、データ受信モジュールA121から受信された測定値の統計値(すなわち条件付き尤度カーネルA230)で更新される。推論エンジンA222は、ベイズの定理である次式、すなわち
Figure 2023546866000006
で、更新ステップA220を達成する。式中、
P(ISVs(tk+1)|M(tk+1))は、条件付き確率として表される、時間ステップtk+1における「事後確率」A250であり、
P(m(tk+1),m(tk+1),...m(tk+1)|ISVs(tk+1))は、現在受信されている測定値に現在予測されているISV(すなわち、先の時間ステップtについて作成されたISVの予測PDF A211)が与えられる可能性がどれだけ高いかを判定する、観察モデルA221により提供される条件付き尤度カーネルであり、
P(ISVs(tk+1)|M(t))は、先の時間ステップtで予測モデルにおいて生成されたISVの予測PDF A211であり(例えば、図15Bを参照のこと)、
P(m(tk+1),m(tk+1),...m(tk+1)|M(t))は、その時間ステップまでに受信された測定値を参照して、時間ステップで受信された測定値の予測PDFである。
ISVの確率密度関数の現在の推定値が利用可能でない場合の初期化時点(例えば、t=0またはt=tinit)において、生理学的オブザーバモジュールA122は、初期推定値A240を利用することができる。初期推定値A240を、ISVのための可能性のある値の正確性の高い推測または以前に収集された患者データの統計分析から導出することができる。
ここから、図15Aを参照して、時間ステップtk+1における推論エンジンA222の出力(すなわち、時間ステップtk+1の「事後確率」)が、2つの方向に送られることがわかる。
第1の方向において、推論エンジンA222の出力は、予測モジュールA210に提供される。予測モジュールA210では、この出力は、「ISVのPDFの現在の推定値」A213と称される場合がある(例えば、図15Bおよびその関連する説明を参照のこと)。
第2の方向において、時間ステップtk+1における推論エンジンA222の出力(単に確率として図中に表される)は、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123に提供される。臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123では、その出力は、「生理学的オブザーバモジュールからのISVの結合確率密度関数」および/または「事後確率」A250と称される場合がある。臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123の動作を、本明細書でさらに説明する(例えば図15Cおよびその関連する説明ならびに例えば図21Aを参照のこと)。
II.臨床トラジェクトリインタープリタモジュール{A123}{患者状態の判定}
時間ステップtk+1についての推論エンジンA222からの事後確率(A250)を使用して、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、状態確率推定801を行って、1つ以上の異なる患者状態の確率(すなわち、リスク)を計算する。
ここから、図21Aを参照して、臨床トラジェクトリインタープリタA123は、生理学的オブザーバモジュールA122からISVの結合確率密度関数A250を取得し、状態確率推定801を行って、1つ以上の患者状態の確率を計算する。
図21Bは、臨床トラジェクトリインタープリタA123の動作方法820を高レベルで示すフローチャートである。ステップ821において、臨床トラジェクトリインタープリタA123は、生理学的観察モジュールA122により生成された結合確率密度関数(「事後確率」としても公知)を取得しまたは受信し、ステップ822において、臨床トラジェクトリインタープリタA123は、患者についての1つ以上の患者状態の状態確率推定を行う。このような患者状態毎について推定された確率は、患者が前記患者状態にあるリスクと称される場合がある。
ISVの結合確率密度関数A250を、図15D、図15Eおよび図15Fに示されているように、閉形式、例えば、多次元ガウス分布260で定義するかまたは粒子270をヒストグラム280に近似させることができる。両方の場合において、ISVの確率密度関数を、(ISV1(t),ISV2(t),...,ISVn(t))と称することができる。式中、tは、ISVの確率密度関数が参照している時間である。
患者状態の判定(すなわち、「患者が特定の状態Siにある確率の判定」)を、各種の方法で行うことができる。
一般的には、ISVのPDFはドメインを定義する。例示的な実施形態では、ドメインは象限に分割されており、各象限は患者状態を表す。患者が4つの患者状態のうちの所定の1つにある確率は、所定の象限内に位置するISVのPDFの量により判定される。
これを、以下のように記述することができる。
(i)内部状態変数が跨がっているドメインを異なる領域に分割し、各領域が別々の患者状態を定義する、
(ii)各特定の患者状態に対応する領域にわたって確率密度関数を積分して、前記可能性のある患者状態のそれぞれの下で患者を分類することができる確率を生成する。
図15D:多次元ガウス分布260
データが、多次元ガウス分布260の形態である場合、積分を直接に行うことができる。すなわち、
Figure 2023546866000007
となる。
図15Eおよび図15F:粒子270のヒストグラム
推論エンジンA222の出力A250が、粒子270のヒストグラム280に近似され、P(S|ISV,ISV,...,ISV)が、ISV,ISV,...,ISVが跨がっている空間を図9に示された領域に分割することにより定義される場合、確率P(S(t))を、各領域における粒子270の割合を計算することにより計算することができる。
図15Gは、例示的な実施形態に係る時間ステップ2k+1における生理学的オブザーバモジュールA122の動作方法A250の実施形態を説明するフローチャートである。
ステップ251は、先の時間ステップ(t)において生成された内部状態変数の予測確率密度関数(A211)を、時間ステップtk+1において生理学的オブザーバモジュールA122により使用するために取得することを含む。
ステップ252は、データ受信モジュールA121により、時間ステップtk+1における内部状態変数の測定値を取得することを含む。
ステップ253は、観察モジュールA221により条件付き尤度カーネルを生成することを含む。
ステップ254は、推論エンジン222により、内部状態変数の結合確率密度関数(「事後確率」とも称される)を生成することを含む。
ステップ255は、内部状態変数の確率密度関数の現在(すなわち、この例では、時間ステップtk+1)の推定値A213として、事後確率A250を使用して、後続の時間ステップ(tk+2)で使用するための内部状態変数の予測確率密度関数(A211)を計算することを含む。
また、図15Gは、図21Bでさらに説明されるステップ820も含む。
図16に、本開示に係る生理学的オブザーバを可能にするモデルの非限定的な例を示す。直接に観察することはできないが、酸素供給DO2の管理は、救命救急の重要な部分である。したがって、DO2の正確な推定により、改善された診療を知らせることができる。図示の例では、この推定は、ヘモグロビン濃度(Hg)、心拍数(HR)、拡張期動脈圧および収縮期動脈圧、ならびにSpO2の測定により達成される。動的モデルA212は、酸素供給が確率的撹乱に対してそれを安定化するフィードバックプロセスにより駆動されると仮定する。同様に、ヘモグロビン濃度は、15mg/dLの標準値付近で制御される。観察モデルA221は、動脈血酸素飽和度SpO2、ヘモグロビン濃度および動脈血酸素含有量CaO2間の関係、収縮期ABPsと拡張期ABPdとの動脈圧(脈圧とも称される)の間の一回拍出量の差の依存性、ならびに心拍数HR、一回拍出量SVおよび心拍出量間の関係を考慮している。2つのモデルは、動的ベイズネットワーク(DBN)として抽象化され、生理学的オブザーバモジュールA122は、酸素供給を連続的に追跡するためにDBNを利用する。動的ベイズネットワークは、頂点が変数(観察可能および観察不可能)を意味し、エッジが因果関係を示すグラフに関して統計的依存性を表す系統的方法である。DO2推定のための例示的なDBNの更なる説明を、2012年9月11日付にて出願されたSYSTEMS AND METHODS FOR EVALUATING CLINICAL TRAJECTORIES AND TREATMENT STRATEGIES FOR OUTPATIENT CAREなるタイトルの米国仮出願第61/699492号(Attorney Docket No.3816/10301)、および2012年8月17日付にて出願されたSYSTEM AND METHODS FOR PROVIDING RISK ASSESSMENT IN ASSISTING CLINICIANS WITH EFFICIENT AND EFFECTIVE BLOOD MANAGEMENTなるタイトルの米国仮出願第61/684241号(Attorney Docket No.3816/10101)に見出すことができる。これらの出願の優先権を主張し、これらの出願の開示が参照により本明細書に援用されるものとする。
図17Aに、DO2を追跡する上記の生理学的オブザーバの非限定的な例を示すが、これは、より長い時間隔、すなわち4つの時間ステップにわたっている。ここでのオブザーバにおいて、主な隠れISVは酸素供給変数(DO2)である。2つのタイプの測定値であるヘモグロビン(Hg)およびオキシメトリ(SpO2)は、図17Aにおいて破線の円である。SpO2は、生理学的オブザーバモジュールA122が情報を連続的に報告するセンサ、例えば、ベッドサイドモニタA102および患者101に接続された治療装置A104から受信する連続的または周期的測定値の例である。ヘモグロビン(Hg)は、散発的および不規則的にオブザーバが利用可能であり、現在のシステム時間に対して時には潜在的である、患者の実験室作業から抽出された断続的または非周期的な測定値の例である。生理学的オブザーバモジュールA122は、両方のタイプの測定値を処理することが可能である。なぜならば、隠れISV、例えばDO2を追跡すると同時に、モジュールA122は、測定値が存在しない場合でも、全てのタイプの測定値について観察された値の推定値も継続的に維持するためである。図17Aに、SpO2およびHgの場合についてのこれらの推定値を示す。見て取れるように、SpO2の測定値は、各時間ステップにおいて定期的に利用可能であるが、Hgは、時間ステップのうちの2つにおいてのみ利用可能である。
図17Bに、推定されたISV PDFにおいてより良好な精度を達成するために、生理学的オブザーバモジュールを通して断続的な実験室データを適用する方法を示す。具体的な例は、PaCO2 ISVのPDFの推定された平均がこの内部状態変数を直接に測定する動脈血ガスを組み込んでいないこと、および動脈血ガス測定がシステムに導入されるにつれて、この推定値がどのように変化するかを示す。具体的には、PaCO2 ISVの推定された平均は、これらの測定値が入力として組み込まれた場合、実際の測定されたPaCO2に非常に近くなる。
このことは、以下のようにして達成される。すなわち、
・生理学的オブザーバモジュールは、肺換気により血液からCO2を効率的に除去することができないことを考慮に入れた、肺胞死腔と称される隠れISVを含む。すなわち、肺胞死腔が高いほど、呼気終末CO2測定値(EtCO2)により測定される呼気CO2と、PaCO2動脈血ガスにより測定される動脈CO2との間の差が大きくなる。
・このISVのPDFは、患者から取得される種々の測定値の予測に使用され、そのうちの幾つかは、分時換気量、呼気終末CO2およびPaCO2動脈血ガスを含むことができる。
・非限定的な例として、分時換気量および呼気終末CO2が、時間tk+1毎に連続的に取得される測定値である場合、推論エンジンは、ベイズの定理を使用して、種々のISVのPDFを更新することができる。そのうちの1つはPaCO2である。すなわち、式
Figure 2023546866000008
において、mおよびmは、EtCO2および分時換気量の測定された値である。
呼気終末EtCO2および分時換気量の測定と連動して、次の時間tk+2において、PaCO2血液ガス測定値が取得されると、測定値のベクトルは、PaCO2の測定値により大きくなり、上記の式は、
Figure 2023546866000009
となる。式中、再度、mおよびmは、EtCO2および分時換気量の測定された値である。mは、PaCO2の測定値である。
・この追加情報は、2つの方法で利用される。第1に、動脈血ガスにより提供されるPaCO2のより正確な直接の観察を考慮すると、PaCO2 ISV PDFにおける不確実性が低減される(図17Bを参照のこと)。第2に、PaCO2およびEtCO2の測定値が、同時に観察されるため、組み合わせられた情報は、肺胞死腔をより正確に推定するために、生理学的オブザーバにより使用される。
・肺胞死腔の新たに推定されたPDFが、動的モデルにより時系列的に伝播されると、PaCO2測定値であるmが存在しなくても、推定されたPaCO2 PDFの精度は改善される。
測定値の寄与度
図21Cおよび図21Dに、生理学的オブザーバモジュールA122により生成された事後確率(すなわち、ISVの結合確率密度関数)A250を使用して、リスク判定に対する少なくとも1つの内部状態変数の測定値の相対的寄与を判定する臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123の実施形態を模式的に示す。より具体的には、生理学的オブザーバモジュールA122は、その時間ステップからの内部状態変数の利用可能な測定値を使用して、時間ステップtk+1において患者が特定の患者状態にあるリスク(「参照リスク」)を計算し、ついで、その時間ステップからの内部状態変数の修正された測定値をそれぞれ使用して、時間ステップtk+1において患者が特定の患者状態にある代替リスクを計算する。
図21Cに、測定寄与度モジュール860を有する臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123の実施形態を模式的に示し、図21Dに、測定寄与度モジュール860の動作の実施形態を模式的に示す。説明の目的で、このような臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123の動作を、1つ以上の先の時間ステップ、例えばt、tk-1、1k-2、tk-3等に続く時間ステップtk+1において以下に説明する。
測定寄与度モジュール860は、現在の(時間ステップtk+1における)リスク計算または指標を上昇させている患者の履歴における測定値を特定する。提示された技術により利用されるベイズのフレームワークでは、各測定値およびその履歴を、患者状態の確率に寄与する独立した証拠とみなすことができる。寄与度モジュール860は、患者状態に対する1つ以上の測定値の重要性、または重みもしくは影響を評価する。一般的には、これは、証拠がリスク計算に組み込まれる再帰的ベイズ更新プロセスを逆にし、1つ以上の測定値(それぞれの測定値を「関心対象である測定値」と称することができる)のセットの除去後のリスクにおける変化を評価すること、または関心対象である各測定値を異なる値と置き換えること、およびその履歴を評価することにより達成される。一部の実施形態では、1つ以上の測定値のセットは、現在の測定値のセット(例えば、時間ステップtk+1における内部状態変数のセットの測定値)であり、他の実施形態では、1つ以上の測定値のセットは、過去における特定の指定された期間にわたる(例えば、特定の内部状態変数の)測定値のセットまたは列である。
具体的には、図21Dに模式的に示されているように、測定寄与度モジュール860は、入力861として、時間ステップtk+1について生理学的オブザーバモジュールA122により生成された内部状態変数の確率密度A250(「第1の事後確率」)を受け取る。この確率密度は、その時間ステップtk+1(この時間ステップは、一部の実施形態では、「現時点」と称される場合がある)までに利用可能な測定データの全てを使用して作成されている。第1の事後確率に基づいて、システムA100は、臨床リスクを生成するための上記のプロセスおよび方法に従って、患者101についての第1のセットの臨床リスク867(「以前に計算された臨床リスク」)を計算する。
関心対象である測定値毎に、測定寄与度モジュール860により実装される方法により、862において、(i)密度に対するその関心対象である測定値の影響を除去すること863、または(ii)関心対象である測定値の元の値を、基礎となる内部状態変数の名目上の値に等しい測定値(「代替測定値」)で置換すること864(すなわち、除去することおよび置き換えること)のいずれかにより、内部状態変数の確率密度A250のうちの1つ以上が変更される。
測定値の除去および代替臨床リスクの計算(ステップ863およびステップ865)
一部の実施形態では、以前の臨床リスクの生成に使用された1つの測定値を除去することにより、または以前の臨床リスクの生成に使用された1つの測定値をヌル値に置換することにより、患者が特定の患者状態にある代替臨床リスクを計算し、その以前の臨床リスクの生成に使用されたデータの残りを使用して代替臨床リスクを計算する。
測定値の置換および代替臨床リスクの計算(ステップ864およびステップ865)
一部の実施形態では、以前の臨床リスクの生成に使用された1つの測定値を前記測定値の名目上の値で置き換え、その以前の臨床リスクの生成に使用されたデータの残りを使用して代替臨床リスクを計算することにより、患者が特定の患者状態にある代替臨床リスクを計算する。
862において、内部状態変数の確率密度A250のうちの1つ以上を変更した後、この方法では、内部状態変数の修正された確率密度A250(「第2の事後確率」)が計算される。その結果、いずれかの選択肢863,864により、新たな密度推定値がもたらされる。
この新たな密度推定値を使用して、ついで、計算により、臨床リスクを生成するための上記のプロセスおよび方法に従って、患者101についての代替リスク(「代替臨床リスク」)のセットが計算される865。
次に、測定寄与度モジュール860は、これらの代替臨床リスクを、時間ステップtk+1について計算された以前に計算されたリスク867(「参照リスク」または「実際の」リスクまたは「現在のリスク」と称される場合がある)と866で比較する。代替臨床リスクと以前に計算された臨床リスク867との間の差異は、関心対象である測定値のセットの重要性の定量的尺度である。
868において、測定寄与度モジュール860は、862および865を繰り返すことにより別の代替リスク計算を生成し、866において別のリスク比較を生成する。
重要度の定量的尺度が判定されると、測定値の重要度のランクまたは順序が、重要度値を最大値から最小値にソートすることにより、868で判定される。当該重要度値およびランクは、ディスプレイおよび通知A124システムモジュールに送信される。
対応する確率密度関数に対する、最終的には臨床リスクに対する関心対象である測定値の影響の除去863を、各種の方法で達成することができる。
1つの方法は、測定値履歴の手作業による再処理およびデータ列から除去された関心対象である測定値による密度の再計算である。
一部の例示的な実施形態により利用されるアプローチである別の方法は、密度推定値から測定値(「関心対象である測定値」)の影響を除去する分析計算である。除去される関心対象である測定値は、患者について収集された最新のデータセットからのものであることができ、または患者の過去のある時点で収集されたもの、例えば、数時間前に収集された実験室血液サンプルであることができる。また、一部の実施形態により、関心対象であるデータの一連の特定の測定値、例えば、30分間の連続SpO2測定値を除去することも可能となる。
動作863の分析方法は、以下のとおりである。第1に、基礎となるモデルにより利用される条件付き独立性に基づいて、現時点までのデータM(tk+1)の全てを条件とする、tk+1における現在のISVと、過去の幾つかtk+1-LにおけるISVとの結合分布は、
Figure 2023546866000010
により与えられる。
同様に、M(tk+1)\m(tk+1-L)を、m(tk+1-L)で除算された、関心対象である測定値についての現時点までの測定値M(tk+1)の列として定義して、M(tk+1)\m(tk+1-L)を条件とする、tk+1における現在のISVと過去の幾つかtk+1-LにおけるISVとの結合分布を、
Figure 2023546866000011
のように記述することができる。
ここで、基礎となるモデルおよびベイズの規則の条件付き独立性を利用して、P(ISVs(tk+1),ISVs(tk+1-L)|M(tk+1))を、
Figure 2023546866000012
のように書き換えることができる。
ここでの式および前掲の式から、以下に示すように、関心対象である測定値の影響を結合分布から除去することは、測定値の尤度で除算して正規化で乗算することにより達成できることがわかる。すなわち、
Figure 2023546866000013
である。
当該結合分布から、測定値の影響を受けずに再計算された密度を、マージナリゼーションにより、
Figure 2023546866000014
のように回復することができる。
L=0の場合、すなわち、現在の計算時点で、関心対象である測定値が取得された場合、上記の計算は、
Figure 2023546866000015
のように単純化される。
関係する積分のために、上記にて概説した計算は、特定のクラスの密度、例えば、連続変数に対するガウス密度、および基礎となる変数が全て離散的である密度についてのみ正確に計算することが可能である。提示された技術では、ガウス密度が、カルマンフィルタ(拡張版)と併せて使用されるため、上記の計算は扱いやすい。
まず、tk+1における現在のISVと過去のある時点tk+1-LにおけるISVとの結合密度は、遅延状態増強と称されるメソッドを介して形成される。遅延状態増強では、過去の内部状態変数を表す状態情報の複製は、現時点での内部状態変数のセット、すなわち、ISVs(tk+1)={ISVs(tk+1),ISVs(tk+1-L)}に増大される。ここで、生理学的オブザーバモジュールA122により計算される確率密度は、現在のISVの密度と過去の増強されたISVの密度の両方を表すように拡張される。生理学的オブザーバモジュールA122により使用されるカルマンフィルタは、ISV確率密度を、
Figure 2023546866000016
として表し、式中、
Figure 2023546866000017
は、その時点までの測定値の全てを条件とする、現時点(tk+1)での状態推定値を表し、
Figure 2023546866000018
は、対応する共分散行列である。密度拡張は、現在の状態推定値を過去の状態推定値と連結させ、対応する現在および過去の状態共分散行列を連結することにより達成され、すなわち、
Figure 2023546866000019
である。
連結時に、現在の状態は、過去の状態に等しく、したがって、状態推定値は、完全に相関することが留意される。また、これらの増強された内部状態変数の密度は静的であるため経時的には伝播されないが、密度推定値に組み込まれるため、新たな測定値で更新されることも留意される。
増強後、測定値除去プロセスは、関心対象である測定値
Figure 2023546866000020
なしに、次の式
Figure 2023546866000021
を介して、状態推定値および共分散行列を計算することにより達成される。
これらの式を、(Jazwinski, p.197)に詳細に提示されているカルマンフィルタ更新方程式の情報形式から導出することができることが留意される。ここで、これらの量を計算すると、測定寄与度計算により、現在のリスクとの比較のための代替リスクを計算し、現在のリスクレベルに対する関心対象である測定値、すなわち関心対象である測定値m(tk+1-L)の重要性を理解することができる。
測定値置換864の場合、元の測定値の影響を除去し、新たな名目上の値を、
Figure 2023546866000022
に提示される式を操作することにより、推定値に再適用することが問題となる。
図21Eは、患者が特定の患者状態にあるという判定に対する測定値寄与度を評価する方法880の実施形態のフローチャートである。
ステップ881は、生理学的オブザーバモジュールA122に関連して上記したように、現在の時間ステップにおいて、特定の患者についての内部状態変数のセットの第1の結合確率関数(または第1の事後確率)A250を生成することを含む。内部状態変数のセットの第1の結合確率関数(または第1の事後確率)A250は、一般的には、複数の第1の結合確率関数を含み、各結合確率関数は、例えば、データ受信モジュールA121により患者から取得された内部状態変数に対応する確率密度関数である。
例:不適切な酸素供給
例えば、対応する隠れISVが混合静脈血酸素飽和度である患者における不適切な酸素供給の患者状態を評価するために、データ受信モジュールA121は、患者から、(心拍数センサを使用して)患者の心拍数および(パルスオキシメータを使用して)患者のSpO2を取得し、その情報を観察モデルA221に渡し、生理学的オブザーバモジュールA122および臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、上記したように動作する。
例:二酸化炭素の不適切な換気
別の例として、対応する隠れISVが二酸化炭素血液の動脈分圧(PaCO2)である二酸化炭素の不適切な換気(IVCO2インデックス)を評価する場合、データ受信モジュールA121は、患者から、(心拍数センサを使用して)患者の心拍数および(パルスオキシメータを使用して)患者のSpO2、ならびに(呼吸数センサを使用して)患者の呼吸数を取得し、その情報を観察モデルA221に渡し、生理学的オブザーバモジュールA122および臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、上記したように動作する。
例:アシドーシス
別の例として、隠れ内部状態変数が動脈血pHであるアシドーシスの患者状態を評価する場合、データ受信モジュールA121は、患者から、心拍数、SpO2レベルおよび呼吸数を取得し、その情報を観察モデルA221に渡し、生理学的オブザーバモジュールA122および臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、上記したように動作する。
例:高乳酸血症
別の例として、隠れ内部状態変数が動脈乳酸レベル(または一部の実施形態では、全血乳酸レベル)である高乳酸血症の患者状態(LAインデックス)を評価する場合、データ受信モジュールA121は、患者から、心拍数およびSpO2レベルを取得し、その情報を観察モデルA221に渡し、生理学的オブザーバモジュールA122および臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、上記したように動作する。
ステップ882は、第1の結合確率関数A250を入力として使用して、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123に関連して上記したように、患者が特定の患者状態にある臨床リスクを生成することを含む。
ステップ883は、現在の時間ステップにおいて、特定の患者についての内部状態変数のセットの第1の結合確率関数(または第1の事後確率)A250の代替セットを生成することを含む。ステップ883を、複数の異なる方法で実装することができる。
例えば、一実施形態では、方法880は、ステップ884において、データ受信モジュールA121により取得された測定値のうちの1つ以上を変更し、ついで、生理学的観察モジュールA122および臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123が上記したように動作して、代替臨床リスクを生成することが可能となる。
例えば、データ受信モジュールA121により取得され、ステップ881およびステップ882の動作に使用される患者の心拍数が、毎分70拍であった場合、一部の実施形態により、心拍数データが別の値(幾つかの例を挙げると、「変更された」値、例えば別の固定回数(例えば50bpm、60bpm、80bpm、90bpmなど)に変更される。他の実施形態により、幾つかの例を挙げると、心拍数変数が、別の心拍数、例えば、現在の患者についての平均心拍数または現在の患者と同じ年齢の患者についての平均(または名目上の)心拍数に変更される。データ受信モジュールA121は、上記したように動作するが、ステップ884において、この患者について測定された心拍数が、代替条件付き尤度カーネルA230を生成するための変更された値であると仮定し、オブザーバモジュールA122および臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、最終的に代替臨床リスクを生成するように、上記したように動作する。
幾つかの変形形態
他の実施形態により、データ受信モジュールA121により取得された測定値のうちの1つ以上を変更することによるのではなく(またはこのことに加えて)、生理学的オブザーバモジュールA122の動作に使用される1つ以上の確率密度関数を変更することにより、代替臨床リスクが生成される。例えば、一部の実施形態により、関心対象である測定値に対応する確率密度関数を条件付き尤度カーネルA230から削除することによって、観察モデルA221により生成される(すなわち、データ受信モジュールA121により提供される測定データおよび予測ステップA210において生成される内部状態変数の予測確率密度関数の予測確率密度関数A211を使用して)条件付き尤度カーネルA230における確率関数のうちの1つ以上が変更される(例えば、編集される)。他の実施形態により、条件付き尤度カーネルA230において、関心対象である測定値に対応する確率密度関数を、関心対象である測定値に対応する代替確率密度関数で置き換えることによって、観察モデルA221により生成される条件付き尤度カーネルA230における確率関数のうちの1つ以上が変更される(例えば、編集される)。
他の実施形態により、内部状態変数の予測確率密度関数A211から、関心対象である測定値に対応する確率密度関数を削除することによって、内部状態変数の予測確率密度関数A211の確率関数のうちの1つ以上が変更される(例えば、編集される)。
他の実施形態により、内部状態変数A211の予測確率密度関数のうち、関心対象である測定値に対応する確率密度関数を、関心対象である測定値に対応する代替確率密度関数に置き換えることによって、内部状態変数の予測確率密度関数A211における確率関数のうちの1つ以上が変更される(例えば、編集される)。
さらに他の実施形態により、データ受信モジュールA121により取得された測定値のうちの1つ以上を変更することによるのではなく(またはこのことに加えて)、生理学的オブザーバモジュールA122により生成された第1の結合確率関数A250の1つ以上の確率密度関数を変更することにより、代替臨床リスクが生成される。例えば、一部の実施形態により、関心対象である測定値に対応する確率密度関数を、第1の結合確率関数A250から削除することにより、第1の結合確率関数A250の確率関数のうちの1つ以上が変更される(例えば、編集される)。他の一部の実施形態により、第1の結合確率関数A250において、関心対象である測定値に対応する確率密度関数を、関心対象である測定値に対応する代替確率密度関数に置き換えることにより、第1の結合確率関数の確率関数のうちの1つ以上が変更される(例えば、編集される)。
代替臨床リスク
一部の実施形態により、ステップ883およびステップ884を繰り返す(ステップ885)際に、1つ以上の追加の代替臨床リスクが生成され、その都度、関心対象である異なる測定値が変更される。
例えば、患者状態が、(測定された内部状態変数が、心拍数およびSpO2である)不適切な酸素供給である場合、一部の実施形態により、患者から取得された、測定された心拍数測定値を、他の心拍数データ(例えば、幾つか例を挙げると、50bpm、60bpm、70bpm、80bpm、90bpm)で(測定された心拍数および測定されたSpO2を使用して生成された患者状態に対して)置き換え、その置き換え心拍数データおよび測定されたSpO2データを使用して、患者状態を生成することにより、第1の代替患者状態が生成される。一部の実施形態により、患者から取得された、測定されたSpO2測定値を、他のSpO2データ(例えば、幾つか例を挙げると、ヌル値または名目上の値)で(測定された心拍数および測定されたSpO2を使用して生成された患者状態に対して)置き換え、その置き換えSpO2データおよび測定された心拍数データを使用して、患者状態を生成することにより、第2の代替患者状態が生成される。
別の例として、患者状態が、二酸化炭素の不適切な換気(IVCO2インデックス)である場合、一部の実施形態により、患者から取得された、測定された心拍数測定値を、他の心拍数データ(例えば、幾つかの例を挙げると、50bpm、60bpm、70bpm、80bpm、90bpm)で(測定された心拍数および測定されたSpO2を使用して生成された患者状態に対して)置き換え、その置き換え心拍数データならびに測定されたSpO2データおよび測定された呼吸数データを使用して、患者状態を生成することにより、第1の代替患者状態が生成される。一部の実施形態により、患者から取得された、測定されたSpO2データを、他のSpO2データ(例えば、幾つか例を挙げると、ヌル値または名目上の値)で(測定された心拍数および測定されたSpO2を使用して生成された患者状態に対して)置き換え、その置き換えSpO2データならびに測定された心拍数データおよび測定された呼吸数を使用して、患者状態を生成することにより、第2の代替患者状態が生成される。一部の実施形態により、患者から取得された、測定された呼吸数データ測定値を、他の呼吸数データ(例えば、幾つか例を挙げると、ヌル値または名目上の値)で(測定された心拍数および測定されたSpO2を使用して生成された患者状態に対して)置き換え、その置き換え呼吸数データならびに測定された心拍数データおよび測定されたSpO2データを使用して、患者状態を生成することにより、第3の代替患者状態が生成される。
ステップ886では、上記のように生成された臨床リスクの中から種々の臨床リスクを比較して、臨床リスクに対する関心対象である測定値の影響を評価する。例えば、一部の実施形態では、ステップ886では、(a)データ受信モジュールA121により取得されたデータを使用して生成された、代替を含まない臨床リスク(「参照」臨床リスクと称される場合がある)を、(b)ステップ883およびステップ884毎に生成された関心対象である測定値に対応する代替臨床リスクと比較する。例えば、このような比較では、1つのこのような臨床リスクを別のものから差し引いて、それらの間の量的差(または「デルタ」)を判定することができる。一部の実施形態により、それらの間の量的差の絶対値がさらに計算されて、その差の大きさを判定する。
一部の実施形態により、2つ以上の代替臨床リスク(例えば、それぞれ、ステップ883およびステップ884により生成される)を、データ受信モジュールA121により取得された、代替を含まないデータを使用して生成された臨床リスク(「参照」臨床リスクと称される場合がある)と比較する。ついで、ステップ886では、例えば、このような差の大きさに基づいて、このような比較から生じる量的差を順序付けることができる。最小の大きさを有する差は、対応する代替リスクを生成することに使用される関心対象である測定値が患者状態に対して最小の効果または影響を有する測定値であることを示す。最大の大きさを有する差は、対応する代替リスクを生成することに使用される関心対象である測定値が患者状態に対して最大の効果または影響を有する測定値であることを示す。
ついで、ステップ887では、計算された患者状態(ステップ882で生成される)だけでなく、どの内部状態変数が患者状態に対して最大の効果または影響を有するかおよび/またはどの内部状態変数が患者状態に対して最小の効果または影響を有するかを、ユーザに知らせるために、結果を表示する。一部の実施形態は、患者状態に対する複数の内部状態変数のそれぞれの各効果(または影響)を、最も大きい影響から最も小さい影響までまたは最も小さい影響から最も大きい影響までの順に示す。例えば、図21Fに、患者の患者状態871と、複数の変数:心拍数(874)、SpO2(875)およびmmHgの3つの値(876,877および878)のグラフのそれぞれのその患者状態への影響とを模式的に示す。これらのグラフは、このような各変数が患者状態に及ぼす影響の上から下への順序で表示される。また、一部の実施形態は、それらの内部状態変数を列記するドロップダウンメニュー879も含む。

以下の例は、上記のシステムの動作を示す。
例1(2つのISVの測定)。生成された内部状態変数に基づいて、患者の測定データを特定の患者状態のためのデータに変換する方法は、
対応する複数の内部状態変数V[B=1,2,...C]を測定するために、少なくとも第1のセンサおよび第2のセンサを含み、患者に物理的に取り付けられている複数のセンサを用意することと、
コンピュータにより、一連の時間ステップt[K=0,1,...Z]にわたって、患者に接続された複数のセンサから、時間ステップtk+1での第1の内部状態変数(V)についての第1の実測データ(m)と、時間ステップtk+1での第2の内部状態変数(V)についての第2の実測データ(m)とを含む、内部状態変数の実測データm[S=1,2]のセットを実質的に連続的に取得することと、
コンピュータにより、時間ステップtk+1からの実測データ(m,m)のセットと、それぞれが時間ステップtk+1での前記患者の特定の患者状態に生理学的に関連するパラメータを記述する、時間ステップtk+1についての内部状態変数Vの確率密度関数のセットを含む、時間tk+1での内部状態変数Vについての参照条件付き尤度カーネルとを使用して、参照リスクを生成することと、
コンピュータを使用し、ベイズの定理を使用して、時間tk+1での内部状態変数Vについての参照条件付き尤度カーネル、および時間ステップtk+1に対して先の時間ステップtから予測される内部状態変数Vのそれぞれの予測確率密度関数を参照して、時間ステップtk+1についての複数の内部状態変数Vについての参照事後予測条件付き確率密度関数を生成することと、
参照事後予測条件付き確率密度関数から、生成された内部状態変数の参照関数を生成することと、
コンピュータを使用して、生成された内部状態変数の参照関数から、患者が特定の患者状態にあるという参照リスクを特定することと、
第1の代替リスクを、
第1の実測データ(m)を、第1の実測データ(m)の実測値とは異なる第1の代替データ値で置き換えることにより実測データのセットを編集して、第1の代替データ(m1A)を生成し、第2の実測データ(m)および第1の代替データ(m1A)を含む第1の代替データセットを生成すること、
コンピュータにより、第1の代替データセットを使用して、時間ステップtk+1に対して先の時間ステップtから予測される内部状態変数Vの確率密度関数の第1の代替セットを含む、時間tk+1での内部状態変数Vについての第1の代替条件付き尤度カーネルを生成すること、
コンピュータを使用し、ベイズの定理を使用して、時間tk+1での内部状態変数Vについての第1の代替条件付き尤度カーネル、および時間ステップtk+1についての内部状態変数Vのそれぞれの予測確率密度関数を参照して、時間ステップtk+1についての複数の内部状態変数Vについての第1の代替事後予測条件付き確率密度関数を生成すること、
第1の代替事後予測条件付き確率密度関数から、生成された内部状態変数の第1の代替関数を生成すること、ならびに
コンピュータにより、生成された内部状態変数の第1の代替関数から、時間ステップtk+1において、患者が特定の患者状態にあり、前記第1の内部状態変数Vに関連付けられた第1の代替リスクを特定すること
により、生成することと、
第2の代替リスクを、
第2の実測データ(m)を、第2の実測データ(m)についての実測値とは異なる第2の代替データ値で置き換えることにより実測データのセットを編集して、第2の代替データ(m2A)を生成し、第1の実測データ(m)および第2の代替データ(m2A)を含む第2の代替データセットを生成すること、
コンピュータにより、第2の代替データセットを使用して、時間ステップtk+1に対して先の時間ステップtから予測される内部状態変数Vの確率密度関数の第2の代替セットを含む、時間tk+1での内部状態変数Vについての第2の代替条件付き尤度カーネルを生成すること、
コンピュータを使用し、ベイズの定理を使用して、時間tk+1での内部状態変数Vについての第2の代替条件付き尤度カーネルおよび時間ステップtk+1についての内部状態変数Vのそれぞれの予測確率密度関数を参照して、時間ステップtk+1についての複数の内部状態変数Vについての第2の代替事後予測条件付き確率密度関数を生成すること、ならびに
第2の事後予測条件付き確率密度関数から、生成された内部状態変数の第2の代替関数を生成すること、ならびに
コンピュータにより、生成された内部状態変数の第2の代替関数から、時間ステップtk+1において、患者が特定の患者状態にあり、前記第2の内部状態変数(V)に関連付けられた第2の代替リスクを特定すること
により、生成することと、
実測データの中から、どの実測データが参照リスク(患者が時間ステップtk+1において特定の患者状態にあること)に対して定量的に最大の影響を有するのかを:
患者が特定の患者状態にあるという第1の代替リスクを、参照リスクと比較して、第1の内部状態変数に関連付けられた第1のデルタを生成することによりかつ
患者が特定の患者状態にあるという第2の代替リスクを、参照リスクと比較して、第2の内部状態変数に関連付けられた第2のデルタを生成することにより判定すること(参照リスクに対して定量的に最大の影響を有する実測データは、第1のデルタおよび第2のデルタのうちの大きい方に関連付けられた実測データである)と、
グラフィカルユーザインタフェース上に、時間ステップtk+1において、患者が特定の患者状態にあるという参照リスク、および時間ステップtk+1での参照リスクに対して定量的に最大の影響を有する実測データの識別子を表示することと
を含む。
例21(3つのISVの測定):生成された内部状態変数に基づいて、患者の測定データを特定の患者状態についてのデータに変換する方法は、
対応する複数の内部状態変数V[B=1,2,3...C]を測定するために、少なくとも第1のセンサおよび第2のセンサおよび第3のセンサを含み、患者に物理的に取り付けられている複数のセンサを用意することと、
コンピュータにより、一連の時間ステップt[K=0,1,...Z]にわたって、患者に接続された複数のセンサから、時間ステップtk+1での第1の内部状態変数(V)についての第1の実測データ(m)と、時間ステップtk+1での第2の内部状態変数(V)についての第2の実測データ(m)と、時間ステップtk+1での第3の内部状態変数(V)についての第3の実測データ(m)とを含む、内部状態変数の実測データm[S=1,2,3]のセットを実質的に連続的に取得することと、
コンピュータにより、時間ステップtk+1からの実測データ(m,m,m)のセットと、それぞれが時間ステップtk+1での前記患者の特定の患者状態に生理学的に関連するパラメータを記述する、時間ステップtk+1についての内部状態変数Vの確率密度関数のセットを含む、時間tk+1での内部状態変数Vについての参照条件付き尤度カーネルとを使用して、参照リスクを生成することと、
コンピュータを使用し、ベイズの定理を使用して、時間tk+1での内部状態変数Vについての参照条件付き尤度カーネル、および時間ステップtk+1に対して先の時間ステップtから予測される内部状態変数Vのそれぞれの予測確率密度関数を参照して、時間ステップtk+1についての複数の内部状態変数Vについての参照事後予測条件付き確率密度関数を生成することと、
参照事後予測条件付き確率密度関数から、生成された内部状態変数の参照関数を生成することと、
コンピュータを使用して、生成された内部状態変数の参照関数から、患者が特定の患者状態にあるという参照リスクを特定することと、
第1の代替リスクを、
第1の実測データ(m)を、第1の実測データ(m)の実測値とは異なる第1の代替データ値で置き換えることにより実測データのセットを編集して、第1の代替データ(m1A)を生成し、第2の実測データ(m)および第1の代替データ(m1A)を含む第1の代替データセットを生成すること、
コンピュータにより、第1の代替データセットを使用して、時間ステップtk+1に対して先の時間ステップtから予測される内部状態変数Vの確率密度関数の第1の代替セットを含む、時間tk+1での内部状態変数Vについての第1の代替条件付き尤度カーネルを生成すること、
コンピュータを使用し、ベイズの定理を使用して、時間tk+1での内部状態変数Vについての第1の代替条件付き尤度カーネル、および時間ステップtk+1についての内部状態変数Vのそれぞれの予測確率密度関数を参照して、時間ステップtk+1についての複数の内部状態変数Vについての第1の代替事後予測条件付き確率密度関数を生成すること、
第1の代替事後予測条件付き確率密度関数から、生成された内部状態変数の第1の代替関数を生成すること、ならびに
コンピュータにより、生成された内部状態変数の第1の代替関数から、時間ステップtk+1において、患者が特定の患者状態にあり、前記第1の内部状態変数Vに関連付けられた第1の代替リスクを特定すること
により、生成することと、
第2の代替リスクを、
第2の実測データ(m)を、第2の実測データ(m)についての実測値とは異なる第2の代替データ値で置き換えることにより実測データのセットを編集して、第2の代替データ(m2A)を生成し、第1の実測データ(m)および第2の代替データ(m2A)を含む第2の代替データセットを生成すること、
コンピュータにより、第2の代替データセットを使用して、時間ステップtk+1に対して先の時間ステップtから予測される内部状態変数Vの確率密度関数の第2の代替セットを含む、時間tk+1での内部状態変数Vについての第2の代替条件付き尤度カーネルを生成すること、
コンピュータを使用し、ベイズの定理を使用して、時間tk+1での内部状態変数Vについての第2の代替条件付き尤度カーネル、および時間ステップtk+1についての内部状態変数Vのそれぞれの予測確率密度関数を参照して、時間ステップtk+1についての複数の内部状態変数Vについての第2の代替事後予測条件付き確率密度関数を生成すること、ならびに
第2の事後予測条件付き確率密度関数から、生成された内部状態変数の第2の代替関数を生成すること、ならびに
コンピュータにより、生成された内部状態変数の第2の代替関数から、時間ステップtk+1において、患者が特定の患者状態にあり、前記第2の内部状態変数(V)に関連付けられた第2の代替リスクを特定すること
により、生成することと、
第3の代替リスクを、
第3の実測データ(m)を、第3の実測データ(m)についての実測値とは異なる第3の代替データ値で置き換えることにより実測データのセットを編集して、第3の代替データ(m3A)を生成し、第1の実測データ(m)、第3の実測データ(m)および第3の代替データ(m3A)を含む第3の代替データセットを生成すること、
コンピュータにより、第3の代替データセットを使用して、時間ステップtk+1に対して先の時間ステップtから予測される内部状態変数Vの確率密度関数の第3の代替セットを含む、時間tk+1での内部状態変数Vについての第3の代替条件付き尤度カーネルを生成すること、
コンピュータを使用し、ベイズの定理を使用して、時間tk+1での内部状態変数Vについての第3の代替条件付き尤度カーネル、および時間ステップtk+1についての内部状態変数Vのそれぞれの予測確率密度関数を参照して、時間ステップtk+1についての複数の内部状態変数Vについての第3の代替事後予測条件付き確率密度関数を生成すること、ならびに
第3の事後予測条件付き確率密度関数から、生成された内部状態変数の第3の代替関数を生成すること、ならびに
コンピュータにより、生成された内部状態変数の第3の代替関数から、時間ステップtk+1において、患者が特定の患者状態にあり、前記第3の内部状態変数(V)に関連付けられた第3の代替リスクを特定すること
により、生成することと、
実測データの中から、どの実測データが参照リスク(患者が時間ステップtk+1において特定の患者状態にあること)に対して定量的に最大の影響を有するのかを、
患者が特定の患者状態にあるという第1の代替リスクを、参照リスクと比較して、第1の内部状態変数に関連付けられた第1のデルタを生成することによりかつ
患者が特定の患者状態にあるという第2の代替リスクを、参照リスクと比較して、第2の内部状態変数に関連付けられた第2のデルタを生成することにより判定すること(参照リスクに対して定量的に最大の影響を有する実測データは、第1のデルタおよび第2のデルタのうちの大きい方に関連付けられた実測データである)と、
グラフィカルユーザインタフェース上に、時間ステップtk+1において、患者が特定の患者状態にあるという参照リスク、および時間ステップtk+1での参照リスクに対して定量的に最大の影響を有する実測データの識別子を表示することと
を含む。
図21Fに、患者の臨床リスクに対する内部状態変数の影響を示すディスプレイ870の実施形態を模式的に示す。この特定の実施形態は、低IDO2の患者の臨床リスクに対する特定の内部状態変数の影響を示す。具体的には、この例示的な実施形態は、低IDO2の患者のリスクに対する心拍数(「HR」)、SpO2、SAP、MAPおよびDAPの影響を示しているが、この基本方式が、臨床リスクの任意の表示およびその関連する内部状態変数に適用される。示されているように、図21Fに、患者の臨床リスクに対する内部状態変数の影響または内部状態変数の測定値の表示の一実施形態870を示す。ディスプレイ870は、図の上部に、時間に対する棒グラフ(871)としてプロットされた臨床リスクと、リスク棒グラフ871の下の時間に対するプロットされた患者についてのモニタリングされた測定値(874,875,876,877,878)を示す。ユーザが、臨床リスクグラフ871上でとどまっていると、その時点で臨床リスクレベルに寄与している測定値またはISVが、ボックス879に表示される。図中のボックス879は、各寄与因子が表示されたリスクレベルに対して与えた影響量に基づいて、順に列挙された上位3つの寄与因子の非限定的な例を表示している。
例:図22
図22に、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123により利用することができる患者状態の定義の非限定的な例を示す。具体的には、関数P(S|ISV,ISV,...,ISV)を、内部状態変数ISV,ISV,...,ISVが跨がっているドメインを分割することにより定義することができると仮定する。特定の例は、患者の生理機能が2つの内部状態変数:肺血管抵抗(PVR)および心拍出量(CO)により説明されると仮定する。これらの2つのISVにより捕捉することができる特定のリスクおよび各病因は、循環における肺血管抵抗の上昇の影響から生じる。具体的には、高PVRは、右心不全を引き起こし、その結果、心拍出量を減少させる場合がある。したがって、2つの変数についての閾値を割り当てることにより、PVRを使用して、正常PVRおよび高PVRの属性を定義し、COを使用して、正常COおよび低COの属性を定義することができる。これらの属性を組み合わせることにより、4つの別々の状態、すなわち、状態1:低CO,正常PVR、状態2:低CO,高PVR、状態3:正常CO,高PVR、状態4:正常CO,正常PVRを定義することができる。
例:図23A
図23Aに、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123が患者状態の定義をどのように利用して、患者を特定の時点における4つの可能性のある患者状態のそれぞれの下で分類することができる確率を割り当てることができるかという非限定的な例を示す。この例では、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、心拍出量、肺血管抵抗のP(CO(Tk)、PVR(Tk))の結合確率密度関数を受け取り、それを、P(S1(Tk))、P(S2(Tk))、P(S3(Tk))およびP(S4(Tk))を生成する各特定の状態に対応する領域にわたって積分する。このようにして、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、生理学的オブザーバモジュールA122により提供される情報を参照して、特定の患者状態が進行中である確率を割り当てる。生理学的オブザーバモジュールA122の出力が閉形式関数260ではなく粒子270のヒストグラム280である場合、臨床インタープリタは積分を行わず、各領域内の粒子270の相対割合を計算するだけとなることが留意される。
図23Bに、リスク計算モジュールと称される場合がある臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123の実施形態を示す。示されたリスク計算により、主要なバイオマーカー、例えば、SvO2またはPaCO2を表す特定の内部状態変数が異常である、すなわち、特定の時間(例えば、例示的な実施形態と一致して、時間tk+1)において特定の事前に定義された臨床的に明らかな値を上回る確率または下回る確率が計算される。このリスク計算は、図21Aの動作危険レベル割り当て802とは異なり、区別可能である。具体的には、リスク計算は、特定の時間ステップについて、生理学的オブザーバモジュールA122により推定された連続確率密度A250を、入力として受け取り、それぞれがリスクとして表される場合がある、関心対象である累積確率が計算される。図23Bの実施形態において計算された4つの確率は、1)IDO2インデックスとも称される、40%未満の混合静脈血酸素飽和度(SvO2)として定義される不適切な酸素供給の確率(または患者が不適切な酸素供給の患者状態にあるリスク)、2)IVCO2インデックスとも称される、50mmHg超の動脈分圧として定義される二酸化炭素の不適切な換気の確率(または患者が二酸化炭素の不適切な換気の患者状態にあるリスク)、3)ACインデックスとも称される、7.25未満の血液pHとして定義されるアシドーシスの確率(または患者がアシドーシスの患者状態にあるリスク)、および4)LAインデックスとも称される、4.0mmol/L超の乳酸血中濃度として定義される高乳酸血症の確率(または患者が高乳酸血症の患者状態にあるリスク)である。
種々の患者状態(有害な医学的状態)、それらの関連する内部状態変数、および患者測定値をシステムA100に供給するセンサのセットに含まれるセンサを、次の表1に列記する。
Figure 2023546866000023
不適切な酸素供給の実施形態
非限定的な例として、不適切な酸素供給の患者状態を、例示的な実施形態により、以下の方法で、心拍数およびSpO2センサから推論することができる。生理学的オブザーバモジュールA122は、以下の理解に基づいて、ISVデータを継続的に解釈する。すなわち、
・患者のパルスオキシメトリが低下し、心拍数が上昇した場合、生理学的モデルは、乳酸上昇の判定可能な確率が存在すると推論する。
・この例における生理学的オブザーバによるモデルにより、動脈飽和(SpO2により測定される)および心拍数(心拍数センサにより測定される)のISVと、混合静脈血酸素飽和度の隠れISVとの間の関係が明確に捕捉される。
・その結果、毎回、生理学的オブザーバは、混合静脈血酸素飽和度のISVのPDFを更新し、心拍数の推論される上昇および動脈飽和度の低下のために、PDFは、ISV SvO2のより低い値についてより高い確率を示唆する。
・次に、これは、臨床インタープリタモジュールA123により、不適切な酸素供給についてのリスクの上昇と解釈される。患者が不適切な酸素供給の患者状態にあるリスクは、
Figure 2023546866000024
の計算により計算することができる。
上記の式において、閾値は、40パーセント(40%)であるが、例示的な実施形態は、全ての実施形態を限定するものではないことが留意される。閾値を、臨床医またはシステム開発者またはオペレータにより決定することができる。
高乳酸血症の実施形態
同様に、別の非限定的な例は、高乳酸血症の状態を同じセンサセットによりどのようにして計算することができるかである。すなわち、
・生理学的オブザーバにおけるモデルは、嫌気性代謝の可能性のある開始として、SvO2のISVにより反映されるように、不十分な酸素供給の状態に関連する場合がある。
・このモデルは、患者が嫌気性代謝を経験している可能性が高いほど、乳酸産生の可能性が高いことを考慮に入れている。これは、各更新により、乳酸のISVのPDFが乳酸についてのより高い可能性のある値を示すようになることを意味する。
次に、臨床トラジェクトリインタープリタモジュールA123は、患者が高乳酸血症の患者状態にあるリスクを、
Figure 2023546866000025
のように計算する。
上記の式において、閾値は、4mmol/Lであるが、例示的な実施形態は、全ての実施形態を限定するものではないことが留意される。閾値を、臨床医またはシステム開発者またはオペレータにより決定することができる。
二酸化炭素の不適切な換気の実施形態
同様に、さらに別の非限定的な例は、SpO2および心拍数センサに加えて、呼吸数センサを使用して、患者が二酸化炭素の不適切な換気状態にある確率を判定することである。この例では、動脈飽和が同じままである間の呼吸数および心拍数の上昇は、生理学的オブザーバモジュールA122におけるモデルにより、動脈二酸化炭素の可能性のある上昇の生理学的応答として解釈される場合がある。この推論は、PaCO2のISVのより高い可能性のある値により反映され、ついで、患者が二酸化炭素状態の不適切な換気の患者状態にあるリスクを、
Figure 2023546866000026
により計算することができる。
上記の式において、動脈分圧についての閾値は50mmHgであるが、例示的な実施形態は、全ての実施形態を限定するものではないことが留意される。閾値を、臨床医またはシステム開発者またはオペレータにより決定することができる。
アシドーシスの実施形態
最後に、別の非限定的な例は、患者がアシドーシスの状態にある確率の計算である。アシドーシスは、PaCO2の上昇または乳酸の上昇の両方により引き起こされる場合がある。ついで、この関係を捕捉する生理学的オブザーバのモデルにおける追加の効果により、乳酸およびPaCO2のISVの可能性のある値の上昇を、このISVのPDFにより捕捉される動脈pHの可能性のある値の低下として推論することができる。その結果、患者がアシドーシスの患者状態にある確率を、
Figure 2023546866000027
により与えることができる。
上記の式において、閾値は、pH7.25であるが、例示的な実施形態は、全ての実施形態を限定するものではないことが留意される。閾値を、臨床医またはシステム開発者またはオペレータにより決定することができる。
変数SvO2、PaCO2、pHおよび乳酸は全て、内部状態変数であるかまたは内部状態変数に関連する。内部状態変数について、生理学的オブザーバモジュールA122は、確率密度を計算する。図23Bにおいて、破線のコールアウトボックスはこの計算の例をグラフィック表示していることが留意される。
図23Cに、「p(X)」と称されるISVのPDFについて、この計算の一般的な実施形態を模式的に示す。有害な患者状態(S)(例えば、有害な医学的状態)の確率1050は、閾値1051を上回る(または一部の実施形態では、下回る)曲線A1040下面積と定義される。この場合、曲線A1040は、内部状態変数を表す。この内部状態変数は、一部の実施形態では、隠れ内部状態変数である。より具体的な実施形態は、以下で説明される図23D、図23E、図23Fおよび図23Gで提示される。一般的には、このような実施形態それぞれにおける閾値は、例えば、どの有害な医学的状態が臨床医により疑われるかに基づいて、システムA100のユーザ(例えば、臨床医、例えば、医師、看護師等)により指定される場合がある。
確率を、それぞれ(方程式に示されているように)同時測定データ(例えば、時間ステップtk+1について受信された測定値)を条件とするかまたは測定データを条件としないかのいずれかで密度から計算することができることに留意されたい。これにより、システムが、データ利用可能性レベルにかかわらず、これらの量を生成することが可能となる。計算を、標準的な数値積分技術により行うことができ、または基礎となる密度の関数形式がより複雑である場合、モンテカルロ積分技術を使用することができる。現在の実装では、密度はガウスであり、したがって、これらの量を計算するための標準ソフトウェアパッケージが利用可能である。
計算されると、これらのリスク量は、ディスプレイデバイス上に表示するために、ディスプレイおよび通知システムモジュールA124に送信される。

図23D:二酸化炭素の不適切な換気
図23Dに、動脈血CO2分圧(PaCO2)のISVに基づく二酸化炭素の不適切な換気の状態の評価を示す。このISVは、曲線A1040により表される。非限定的な例として、この状態の確率1050は、50mmHg閾値より大きいp(PaCO2)の累積分布として計算される。得られた臨床リスクを、瞬時値が
Figure 2023546866000028
により与えられるインデックスとして表示することができる。
図23Dの例における閾値1051は、異なる実施形態において異なる値を有する。例えば、他の実施形態では、臨床医により選択されまたは指定されるように、50mmHgまたは60mmHgの閾値が使用される場合がある。
図23E:高乳酸血症
図23Eに、全血乳酸のISVに基づく高乳酸血症の状態の評価を示す。このISVは、曲線A1040により表される。非限定的な例として、この状態の確率1050は、全血乳酸[p(Lactate)]の累積分布が2mmol/Lの閾値1051または一部の実施形態では、4mmol/Lの閾値1051を上回ると計算される。得られた臨床リスクを、瞬時値が
Figure 2023546866000029
により与えられるインデックスとして表示することができる。
図23Eの例における閾値1051は異なる実施形態において異なる値を有する。例えば、他の実施形態では、臨床医により選択されまたは指定される2mmol/Lの閾値1051が使用されうる。
図23F:不適切な酸素供給
図23Fに、混合静脈血酸素飽和度(SvO2)のISVに基づく不適切な酸素供給の状態の評価を示す。このISVは、曲線A1040により表される。非限定的な例として、この状態の確率1050は、40%の閾値1051未満のp(SvO2)の累積分布として計算される。得られた臨床リスクを、瞬時値が
Figure 2023546866000030
により与えられるインデックスとして表示することができる。
図23Fの例における閾値1051は、異なる実施形態において異なる値を有する。例えば、他の実施形態では、臨床医により選択されまたは指定される30%または50%の閾値1051が使用されうる。
図23G:アシドーシス
図23Gに、動脈血のpHのISVに基づくアシドーシスの状態の評価を示す。このISVは、曲線A1040により表される。非限定的な例として、この状態の確率は、pH7.25の閾値1051未満の動脈pH[p(pH)]の累積分布として計算される。得られた臨床リスクを、瞬時値が
Figure 2023546866000031
与えられるインデックスとして表示することができる。
図23Gの例における閾値1051は、異なる実施形態において異なる値を有する。例えば、他の実施形態では、臨床医により選択されまたは指定されるとおり、幾つか例を挙げるとpH7.00または7.10または7.3または7.4または7.5のpHの閾値1051が使用されうる。
特定の参照符号のリストを、以下に示す。
A100 患者モニタリングシステム
A101 患者
A102 ベッドサイドモニタ
A103 電子医療記録
A104 治療装置
A105 実験室情報システム
A111 コンピュータプロセッサ
A112 コンピュータメモリ(例えば、非一時的)
A113 ネットワークインタフェース
A121 データ受信モジュール
A122 生理学的オブザーバモジュール
A123 臨床トラジェクトリインタープリタモジュール
A124 表示および通知
A130 参考資料
A210 予測モデル(または予測モジュール)
A211 内部状態変数の予測確率密度関数
A212 動的モデル
A213 内部状態変数の確率密度関数の推定値
A220 更新モデル(または更新モジュール)
A221 観察モデル
A230 条件付き尤度カーネル
A240 内部状態変数の確率密度関数の初期推定値
A250 生理学的オブザーバモジュールからのISVの結合確率密度関数(「事後確率」としても公知)
A1040 内部状態変数のグラフ(曲線)。
本開示の種々の実施形態を、少なくとも部分的に、任意の従来のコンピュータプログラミング言語で実装することができる。例えば、一部の実施形態を、手続き型プログラミング言語(例えば、「C」)でまたはオブジェクト指向プログラミング言語(例えば、「C++」)で、またはPython、R、Java、LISPもしくはPrologで実装することができる。本開示の他の実施形態を、予めプログラムされたハードウェア要素(例えば、特定用途向け集積回路、FPGAおよびデジタル信号プロセッサ)、または他の関連する構成要素として実装することができる。
代替的な実施形態では、開示された装置および方法を、コンピュータシステムと共に使用するためのコンピュータプログラム製品として実装することができる。このような実装形態は、有形の媒体、例えば、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、フロッピーディスク、CD-ROM、ROM、フラッシュメモリまたは固定ディスク)のいずれかに固定された一連のコンピュータ命令を含むことができる。一連のコンピュータ命令は、システムに関して本明細書で前述された機能の全部または一部を具現化することができる。
当業者であれば、このようなコンピュータ命令を、多くのコンピュータアーキテクチャまたはオペレーティングシステムと共に使用するための数多くのプログラミング言語で記述することができると理解されたい。さらに、このような命令を、任意のメモリデバイス、例えば半導体、磁気、光または他のメモリデバイスに記憶させることができ、任意の通信技術、例えば光、赤外線、マイクロ波または他の送信技術を使用して送信することができる。
他の方法の中でも、このようなコンピュータプログラム製品を、添付の印刷文書もしくは電子文書(例えば、シュリンクラップされたソフトウェア)を伴うリムーバブル媒体として配布し、コンピュータシステム(例えば、システムROMまたは固定ディスク上)にプレロードし、またはネットワーク(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)を介してサーバもしくは電子掲示板から配布することができる。当然、本開示の一部の実施形態を、ソフトウェア(例えば、コンピュータプログラム製品)とハードウェアとの両方の組み合わせとして実装することができる。本開示のさらに他の実施形態は、完全にハードウェアとしてまたは完全にソフトウェアとして実装される。
本明細書で先に記載された機能の全てまたは一部を実装するコンピュータプログラムロジックを、単一のプロセッサ上で異なるタイミングで(例えば、同時に)実行することができ、または複数のプロセッサ上で同じかもしくは異なるタイミングで実行することができ、単一のオペレーティングシステムプロセス/スレッド下でまたは異なるオペレーティングシステムプロセス/スレッド下で実行することができる。このため、「コンピュータプロセス」なる用語は、一般的には、異なるコンピュータプロセスが同じプロセッサ上で実行されるかまたは異なるプロセッサ上で実行されるかにかかわらず、かつ異なるコンピュータプロセスが同じオペレーティングシステムプロセス/スレッド下で実行されるかまたは異なるオペレーティングシステムプロセス/スレッド下で実行されるかにかかわらず、コンピュータプログラム命令のセットの実行を指す。
上記の実施形態は、単に例示的なものに過ぎないことが意図されており、多数の変形形態および修正が当業者に明らかであろう。全てのこのような変形形態および修正は、添付の特許請求の範囲に定義された本開示の範囲内であることが意図される。
本開示と一致する種々の例示および実施形態は、上で詳述されている。本開示のこれらの例示および実施形態は、例示および例示目的のためにのみ提供されると理解されたい。当業者であれば、添付の特許請求の範囲に定義された本開示の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対して、種々の修正および変更を行うことができる。

Claims (70)

  1. 医療プロトコルについての患者の適格性およびコンプライアンスを判定するためのシステムであって、前記システムは、
    少なくとも1つの親プロトコルおよび少なくとも1つの子プロトコルを含む複数の医療プロトコルに関する、前記複数の医療プロトコルについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む情報を収容する医療プロトコルライブラリと、
    1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、前記医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する患者データを受信するように構成されたセンサインタフェースおよび医療装置インタフェースと、
    前記少なくとも1つの親プロトコルについての患者の適格性を、受信された前記患者データの関数として判定するように構成されたプロトコル適格性モジュールと、
    少なくとも1名の患者が前記少なくとも1つの親プロトコルに対して適格であるという指示を表示するように構成されたユーザインタフェースと、
    前記少なくとも1名の患者が前記親プロトコルに入った後、前記親プロトコルについての前記少なくとも1名の患者の、前記患者データが前記親プロトコルのコンプライアンス規則と一致する率として定義される動的一致率を、受信された前記患者データおよび前記コンプライアンス規則の関数として判定するように構成されたプロトコルコンプライアンスモジュールと
    を備え、
    前記プロトコル適格性モジュールは、前記少なくとも1つの子プロトコルについての患者の適格性を、前記少なくとも1つの親プロトコルの動的一致率の関数として判定するようにさらに構成されており、
    前記ユーザインタフェースは、前記少なくとも1名の患者についての前記親プロトコルの動的一致率を表示するようにさらに構成されている、
    システム。
  2. 前記システムは、適格期間を判定するように構成された品質報告モジュールをさらに備え、
    前記適格期間は、前記少なくとも1名の患者が前記医療プロトコルに対して適格となったときから前記医療プロトコルに入る時点までの経過時間の長さであり、前記ユーザインタフェースは、前記少なくとも1名の患者についての前記適格期間を表示するようにさらに構成されている、
    請求項1記載のシステム。
  3. 前記プロトコル適格性モジュールは、患者の適格性を隠れ状態変数の関数として判定するように構成されている、
    請求項1記載のシステム。
  4. 前記子プロトコルについての適格性規則は、前記親プロトコルについての動的一致率を含む、
    請求項1記載のシステム。
  5. 前記プロトコル適格性モジュールは、患者の適格性を患者の電子医療記録の関数として判定するように構成されている、
    請求項1記載のシステム。
  6. 前記ユーザインタフェースは、選択された患者のユーザ選択に応答して、選択された患者が参加している対応するプロトコルの適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する受信された前記患者データの全てを表示するように構成されている、
    請求項1記載のシステム。
  7. 受信された前記患者データのノンコンプライアント部分は、前記患者データのコンプライアント部分から視覚的に区別可能である、
    請求項6記載のシステム。
  8. 前記患者の適格性は、複数の状態変数および/または患者変数を満たすことの関数として判定される、
    請求項1記載のシステム。
  9. 前記医療プロトコルは、抜管準備試験プロトコルである、
    請求項1記載のシステム。
  10. 医療プロトコルに患者を入れるための方法であって、前記方法は、
    親プロトコルおよび子プロトコルを含む複数の医療プロトコルについての適格性規則およびコンプライアンス規則を受信することと、
    1つ以上のセンサおよび/または医療装置から、前記親プロトコルおよび/または前記子プロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に直接にまたは間接的に関連する患者データをリアルタイムに受信することと、
    前記適格性規則ならびに前記1つ以上のセンサおよび/または医療装置からのリアルタイム患者データの関数として、前記患者が前記親プロトコルに対して適格であると判定することと、
    前記患者が前記親プロトコルに対して適格であることを示すことと、
    前記親プロトコルについての動的一致率を計算することと、
    前記患者が前記親プロトコルの動的一致率の関数として、前記子プロトコルに対して適格であることを判定することと、
    を含む方法。
  11. 前記方法は、前記患者が前記プロトコルに対して適格であることが示された後、前記医療プロトコルに前記患者を入れることをさらに含む、
    請求項10記載の方法。
  12. 前記方法は、
    前記プロトコルに対して適格でありかつ/または前記プロトコルに現在登録されている複数の患者をユーザインタフェース上に表示することと、
    前記患者が前記プロトコルに対して適格となってからの時間および/または前記患者が前記プロトコルに登録されてからの時間を追跡することと、
    前記医療プロトコルの動的一致率を追跡することと、
    前記患者が前記プロトコルに対して適格となってからの時間、前記患者が前記プロトコルに登録されてからの時間、および前記医療プロトコルの動的一致率を、前記ユーザインタフェース上に表示することと、
    をさらに含む、
    請求項11記載の方法。
  13. 前記方法は、所定のプロトコルのユーザ選択に応答して、選択された前記プロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する受信された前記患者データを表示することをさらに含む、
    請求項12記載の方法。
  14. 受信された前記患者データを隠れ状態変数の判定に使用する、
    請求項13記載の方法。
  15. 選択された前記プロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則は、隠れ状態変数リスクを含む、
    請求項14記載の方法。
  16. 患者の適格性を判定することは、患者の電子医療記録の関数として行われる、
    請求項11記載の方法。
  17. 前記方法は、前記患者が前記プロトコルに対して適格であるという指示を表示することをさらに含む、
    請求項10記載の方法。
  18. 前記医療プロトコルは、抜管準備試験プロトコルである、
    請求項11記載の方法。
  19. 医療プロトコルについての適格性およびコンプライアンスを判定するためにコンピュータシステム上で使用されるコンピュータプログラム製品であって、
    前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読プログラムコードを有する有形の非一時的コンピュータ可用媒体を含み、前記コンピュータ可読プログラムコードは、
    親プロトコルおよび子プロトコルを含む複数の医療プロトコルについての適格性規則およびコンプライアンス規則を受信するためのプログラムコードと、
    1つ以上のセンサおよび/または医療装置から、前記親プロトコルおよび/または前記子プロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に直接にまたは間接的に関連する患者データをリアルタイムに受信するためのプログラムコードと、
    前記適格性規則ならびに前記1つ以上のセンサおよび/または医療装置からのリアルタイム患者データの関数として、患者が前記親プロトコルに対して適格であると判定するためのプログラムコードと、
    前記患者が前記親プロトコルに対して適格であることを示すためのプログラムコードと、
    前記親プロトコルについての動的一致率を計算するためのプログラムコードと、
    前記患者が前記親プロトコルの動的一致率の関数として、前記子プロトコルに対して適格であることを判定するためのプログラムコードと
    を含むコンピュータプログラム製品。
  20. 前記コンピュータプログラム製品は、
    前記プロトコルに対して適格でありかつ/または前記プロトコルに現在登録されている複数の患者を、ユーザインタフェース上に表示するためのプログラムコードと、
    前記患者が前記プロトコルに対して適格となってからの時間および/または前記患者が前記プロトコルに登録されてからの時間を追跡するためのプログラムコードと、
    前記医療プロトコルの動的一致率を追跡するためのプログラムコードと、
    前記ユーザインタフェース上に、前記患者が前記プロトコルに対して適格となってからの時間、前記患者が前記プロトコルに登録されてからの時間および前記医療プロトコルの動的一致率を表示するためのプログラムコードと、
    をさらに含む、
    請求項19記載のコンピュータプログラム製品。
  21. 医療プロトコルについての患者の適格性および/またはコンプライアンスを表示するための方法であって、前記方法は、
    複数の患者についての各患者識別子を示すディスプレイを用意することと、
    複数の医療プロトコルに関する、前記複数の医療プロトコルそれぞれについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む情報を受信することと、
    1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、前記医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関連する患者データを受信することと、
    前記ディスプレイにおいて、少なくとも1名の患者が適格なプロトコルに対して適格であることを示すことと、
    前記ディスプレイにおいて、前記少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録されていることを示すことと、
    を含む方法。
  22. 前記方法は、前記ディスプレイにおいて、前記少なくとも1名の患者が適格なプロトコルに対して適格であった適格期間の長さを示すことをさらに含む、
    請求項21記載の方法。
  23. 前記方法は、前記ディスプレイにおいて、前記少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録されていた有効期間の長さを示すことをさらに含む、
    請求項21記載の方法。
  24. 前記方法は、
    前記有効なプロトコルに登録されている前記少なくとも1名の患者についての動的一致率を計算することと、
    前記ディスプレイにおいて、前記有効なプロトコルに登録されている前記少なくとも1名の患者についての動的一致率を示すことと、
    前記動的一致率が最初に計算された第1の時点より遅い第2の時点における前記動的一致率を計算することにより、前記動的一致率を更新することと、
    前記ディスプレイにおいて、前記有効なプロトコルに登録されている前記少なくとも1名の患者についての更新された前記動的一致率を示すことと、
    をさらに含む、
    請求項21記載の方法。
  25. 前記動的一致率を少なくとも毎分更新する、
    請求項24記載の方法。
  26. 前記動的一致率を、患者データが受信されるたびに更新する、
    請求項24記載の方法。
  27. 前記患者データは、1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置からストリーミングされる、
    請求項26記載の方法。
  28. 前記方法は、前記少なくとも1名の患者について、更新された前記動的一致率が以前の動的一致率と比較して向上したかまたは低下したかまたは定常であるかの指示を提供することをさらに含む、
    請求項24記載の方法。
  29. 更新された前記動的一致率が定常であるか否かの指示は、前記動的一致率が所望の動的一致率を上回るかまたは下回るかをさらに示す、
    請求項28記載の方法。
  30. 前記方法は、前記ディスプレイにおいて、前記少なくとも1名の患者がプロトコルを完了したことを示すことをさらに含む、
    請求項21記載の方法。
  31. 前記ディスプレイは、対話型ユーザインタフェースを含み、前記対話型ユーザインタフェースにより、前記適格なプロトコルに対して適格である前記少なくとも1名の患者および/または前記有効なプロトコルに登録された前記少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択が可能となる、
    請求項21記載の方法。
  32. 前記少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択は、患者識別子、前記少なくとも1名の患者が前記適格なプロトコルに対して適格であるという指示、前記少なくとも1名の患者が前記有効なプロトコルに登録されているという指示、動的一致率の指示、および/または更新された前記動的一致率の指示の選択を含む、
    請求項31記載の方法。
  33. 前記適格なプロトコルに対して適格である少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択により、前記ディスプレイに、前記プロトコルを開始するためのユーザ選択可能オプションを示させる、
    請求項31記載の方法。
  34. 前記有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択により、前記ディスプレイに、前記コンプライアンス規則中の個々の変数についての動的一致率を示させる、
    請求項31記載の方法。
  35. 前記適格なプロトコルに対して適格である少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択および/または前記有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択により、前記ディスプレイに、前記適格なプロトコルおよび/または前記有効なプロトコルについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則を示させる、
    請求項31記載の方法。
  36. 前記有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択により、前記ディスプレイに、選択された前記有効なプロトコルに関連付けられた受信された前記患者データを示させる、
    請求項31記載の方法。
  37. 受信された前記患者データを1つ以上の対話型チャートとして表示する、
    請求項36記載の方法。
  38. 受信された前記患者データは、ノンコンプライアント期間を含み、前記ノンコンプライアント期間は、コンプライアントデータから視覚的に区別可能に示される、
    請求項36記載の方法。
  39. 前記方法は、プロトコルパラメータアップデータのための指示を提供することをさらに含み、
    前記指示のユーザ入力選択によりアップデータを表示させ、前記アップデータにより、ユーザが所定のプロトコルに関する値を上書きすることが可能となる、
    請求項36記載の方法。
  40. 前記方法は、前記1つ以上の対話型チャート中のユーザ入力に応答して、タイムスタンプラインを表示することをさらに含む、
    請求項37記載の方法。
  41. 前記1つ以上の対話型チャートは、臨床リスクレベルに寄与する内部状態変数を示す臨床リスクグラフを含む、
    請求項37記載の方法。
  42. 医療プロトコルについての患者の適格性およびコンプライアンスを判定するためのシステムであって、前記システムは、
    複数の医療プロトコルに関する、前記複数の医療プロトコルそれぞれについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む情報を収容する医療プロトコルライブラリと、
    1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、前記医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する患者データを受信するように構成されたセンサインタフェースおよび医療装置インタフェースと、
    前記少なくとも1つのプロトコルについての患者の適格性を、受信された前記患者データおよび前記患者がプロトコル適格性モジュールにより適格であると判定されたときに適格なプロトコルであると定義される少なくとも1つのプロトコルに関する適格性規則の関数として判定するように構成されたプロトコル適格性モジュールと、
    ユーザインタフェースと、
    を備え、
    前記ユーザインタフェースは、
    複数の患者それぞれについての患者識別子と、
    対応する指示と、
    を表示するように構成され、
    前記複数の患者それぞれは、
    (a)適格なプロトコルおよび適格期間に対して適格である、
    かつ/または
    (b)有効なプロトコルに登録されている、
    システム。
  43. 前記システムは、前記少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録された後、前記有効なプロトコルについての前記少なくとも1名の患者の、前記患者データが前記有効なプロトコルのコンプライアンス規則と一致する率として定義される動的一致率を、受信された前記患者データおよび有効なプロトコルに関するコンプライアンス規則の関数として判定するように構成されたプロトコル一致モジュールをさらに備え、
    前記ユーザインタフェースは、前記有効なプロトコルについての動的一致率を表示するように構成されている、
    請求項42記載のシステム。
  44. 前記ユーザインタフェースは、プロトコルに対して適格ではなくかつプロトコルに有効に登録されていない患者についての患者識別子を表示するようにさらに構成されている、
    請求項42記載のシステム。
  45. 前記複数の医療プロトコルは、少なくとも1つの親プロトコルおよび少なくとも1つの子プロトコルを含む、
    請求項42記載のシステム。
  46. 前記システムは、前記適格期間を判定するように構成された品質報告モジュールをさらに備え、前記適格期間は、前記少なくとも1名の患者が前記適格なプロトコルに対して適格となったときから前記医療プロトコルに入る時点までの経過時間の長さである、
    請求項42記載のシステム。
  47. 前記プロトコル適格性モジュールは、前記少なくとも1つの子プロトコルについての患者の適格性を、前記少なくとも1つの親プロトコルの動的一致率の関数として判定するようにさらに構成されており、
    前記ユーザインタフェースは、前記少なくとも1名の患者についての親プロトコルの動的一致率を表示するようにさらに構成されている、
    請求項43記載のシステム。
  48. 前記システムは、ユーザデバイスを有するユーザを判定するように構成された患者追跡モジュールをさらに備え、前記ユーザは、加入に関連付けられ、前記患者追跡モジュールは、患者通知を前記ユーザデバイスに送信しかつ/または患者情報を前記ユーザデバイスに表示するようにさらに構成されている、
    請求項42記載のシステム。
  49. 医療プロトコルについての患者の適格性および/またはコンプライアンスを表示するためにコンピュータシステム上で使用されるコンピュータプログラム製品であって、
    前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読プログラムコードを有する有形の非一時的コンピュータ可用媒体を含み、前記コンピュータ可読プログラムコードは、
    複数の患者についての各患者識別子を示す表示を提供するためのプログラムコードと、
    複数の医療プロトコルに関する、前記複数の医療プロトコルそれぞれについての適格性規則およびコンプライアンス規則を含む情報を受信するためのプログラムコードと、
    1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、前記医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する患者データを受信するためのプログラムコードと、
    ディスプレイにおいて、少なくとも1名の患者が適格なプロトコルに対して適格であることを示すためのプログラムコードと、
    前記ディスプレイにおいて、前記少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録されていることを示すためのプログラムコードと、
    前記有効なプロトコルに登録されている前記少なくとも1名の患者についての動的一致率を計算するためのプログラムコードと、
    前記ディスプレイにおいて、前記有効なプロトコルに登録されている前記少なくとも1名の患者についての動的一致率を示すためのプログラムコードと、
    を含むコンピュータプログラム製品。
  50. 前記コンピュータプログラム製品は、前記動的一致率が最初に計算された第1の時点より遅い第2の時点における動的一致率を計算することにより、前記動的一致率を更新するためのプログラムコードをさらに含み、
    前記ディスプレイは、対話型ユーザインタフェースを含み、前記対話型ユーザインタフェースにより、前記適格なプロトコルに対して適格である少なくとも1名の患者および/または前記有効なプロトコルに登録された少なくとも1名の患者に関連付けられたユーザ入力選択が可能となる、
    請求項49記載のコンピュータプログラム製品。
  51. 医療プロトコルについての患者の適格性およびコンプライアンスを判定するためのシステムであって、前記システムは、
    複数の医療プロトコルに関する、前記複数の医療プロトコルそれぞれについての適格性規則およびそれぞれが1つ以上のパラメータを有するコンプライアンス規則を含む情報を収容する医療プロトコルライブラリと、
    1つ以上のセンサおよび/または1つ以上の医療装置から、前記医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に関する患者データを受信するように構成されたセンサインタフェースおよび医療装置インタフェースと、
    前記少なくとも1つのプロトコルについての患者の適格性を、受信された前記患者データおよび前記患者がプロトコル適格性モジュールにより適格であると判定されたときに適格なプロトコルであると定義される前記少なくとも1つのプロトコルに関する適格性規則の関数として判定するように構成されたプロトコル適格性モジュールと、
    前記少なくとも1名の患者が有効なプロトコルに登録された後、前記有効なプロトコルについての前記少なくとも1名の患者の、前記患者データが前記有効なプロトコルのコンプライアンス規則と一致する率として定義される動的一致率を、受信された前記患者データおよび前記有効なプロトコルに関するコンプライアンス規則の関数として判定するように構成されたプロトコルコンプライアンスモジュールと、
    を備えるシステム。
  52. 前記システムは、適格期間を判定するように構成された品質報告モジュールをさらに備え、
    前記適格期間は、前記少なくとも1名の患者が前記適格なプロトコルに対して適格となったときから前記適格なプロトコルに登録されるまでの経過時間の長さであり、前記患者を前記適格なプロトコルに登録することにより、前記適格なプロトコルが有効なプロトコルであると定義される、
    請求項51記載のシステム。
  53. 前記プロトコル適格性モジュールは、子プロトコルについての患者の適格性を親プロトコルの動的一致率の関数として判定するようにさらに構成されている、
    請求項51記載のシステム。
  54. 前記プロトコル適格性モジュールは、患者の適格性を隠れ状態変数の関数として判定するように構成されている、
    請求項51記載のシステム。
  55. 子プロトコルについての前記適格性規則は、親プロトコルについての動的一致率を含む、
    請求項51記載のシステム。
  56. 前記プロトコル適格性モジュールは、患者の適格性を患者の電子医療記録の関数として判定するように構成されている、
    請求項51記載のシステム。
  57. 前記システムは、ユーザインタフェースをさらに備え、患者のベースラインパラメータは、上書き可能である、
    請求項51記載のシステム。
  58. 前記プロトコルコンプライアンスモジュールは、前記コンプライアンス規則の個々のパラメータの動的一致率を判定するように構成されている、
    請求項51記載のシステム。
  59. 医療プロトコルに患者を登録するための方法であって、前記方法は、
    複数の医療プロトコルについての適格性規則およびそれぞれが1つ以上のパラメータを有するコンプライアンス規則を受信することと、
    1つ以上のセンサおよび/または医療装置から、前記医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての適格性規則および/またはコンプライアンス規則に直接にまたは間接的に関連する患者データをリアルタイムに受信することと、
    前記適格性規則ならびに前記1つ以上のセンサおよび/または医療装置からのリアルタイム患者データの関数として、前記患者が適格であると判定されたときに適格なプロトコルであると定義される少なくとも1つのプロトコルに対して前記患者が適格であると判定することと、
    前記患者を前記適格なプロトコルに登録し、前記患者を登録することにより有効なプロトコルを定義することと、
    前記有効なプロトコルの動的一致率を、受信された前記患者データの関数として計算することと、
    を含む方法。
  60. 前記有効なプロトコルは、親プロトコルであり、
    前記方法は、患者が前記子プロトコルに対して適格であることを、前記親プロトコルの動的一致率の関数として判定することをさらに含む、
    請求項59記載の方法。
  61. 前記方法は、患者の適格性を隠れ状態変数の関数として判定することをさらに含む、
    請求項59記載の方法。
  62. 前記子プロトコルについての適格性規則は、前記親プロトコルについての動的一致率を含む、
    請求項59記載の方法。
  63. 前記方法は、患者の適格性を患者の電子医療記録の関数として判定することをさらに含む、
    請求項59記載の方法。
  64. 前記方法は、前記コンプライアンス規則の個々のパラメータの動的一致率を判定することをさらに含む、
    請求項59記載の方法。
  65. 患者を医療プロトコルに登録するためのコンピュータシステム上で使用されるコンピュータプログラム製品であって、
    前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読プログラムコードを有する有形の非一時的コンピュータ可用媒体を含み、前記コンピュータ可読プログラムコードは、
    複数の医療プロトコルについての適格性規則、およびそれぞれが1つ以上のパラメータを有するコンプライアンス規則を受信するためのプログラムコードと、
    1つ以上のセンサおよび/または医療装置から、前記医療プロトコルのうちの少なくとも1つについての前記適格性規則および/または前記コンプライアンス規則に直接にまたは間接的に関連する患者データをリアルタイムに受信するためのプログラムコードと、
    前記適格性規則ならびに前記1つ以上のセンサおよび/または医療装置からのリアルタイム患者データの関数として、患者が適格であると判定されたときに適格なプロトコルであると定義される少なくとも1つのプロトコルに対して前記患者が適格であると判定するためのプログラムコードと、
    前記患者を前記適格なプロトコルに登録し、前記患者を登録することにより有効なプロトコルを定義するためのプログラムコードと、
    前記有効なプロトコルについての動的一致率を、受信された前記患者データの関数として計算するためのプログラムコードと、
    を含むコンピュータプログラム製品。
  66. 前記コンピュータプログラム製品は、前記適格な患者を、前記適格なプロトコルに自動的に登録するためのプログラムコードをさらに含む、
    請求項65記載のコンピュータプログラム製品。
  67. 前記コンピュータプログラム製品は、前記動的一致率が閾値を下回って低下したときに医師に通知するためのプログラムコードをさらに含む、
    請求項65記載のコンピュータプログラム製品。
  68. 前記コンピュータプログラム製品は、隠れ内部状態変数の動的一致率を計算するためのプログラムコードをさらに含む、
    請求項65記載のコンピュータプログラム製品。
  69. 前記コンピュータプログラム製品は、前記コンプライアンス規則の個々のパラメータの動的一致率を判定するためのプログラムコードをさらに含む、
    請求項65記載のコンピュータプログラム製品。
  70. 前記コンピュータプログラム製品は、子プロトコルについての患者の適格性を、親プロトコルの動的一致率の関数として判定するためのプログラムコードをさらに含む、
    請求項65記載のコンピュータプログラム製品。
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