JP2023546125A - Glp-1rアゴニストの結晶形態およびその使用 - Google Patents

Glp-1rアゴニストの結晶形態およびその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2023546125A
JP2023546125A JP2023523059A JP2023523059A JP2023546125A JP 2023546125 A JP2023546125 A JP 2023546125A JP 2023523059 A JP2023523059 A JP 2023523059A JP 2023523059 A JP2023523059 A JP 2023523059A JP 2023546125 A JP2023546125 A JP 2023546125A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
disease
crystalline form
compound
powder diffraction
ray powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023523059A
Other languages
English (en)
Inventor
チョン,ウェンジ
グオ,ウェイ
リー,チェン・ジェーン
ジアン,シャーウェイ
チェン,ペンギュアン
Original Assignee
キル・レガー・セラピューティクス・インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by キル・レガー・セラピューティクス・インコーポレーテッド filed Critical キル・レガー・セラピューティクス・インコーポレーテッド
Publication of JP2023546125A publication Critical patent/JP2023546125A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D405/00Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom
    • C07D405/14Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing three or more hetero rings
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07BGENERAL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY; APPARATUS THEREFOR
    • C07B2200/00Indexing scheme relating to specific properties of organic compounds
    • C07B2200/13Crystalline forms, e.g. polymorphs

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Thiazole And Isothizaole Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

TIFF2023546125000019.tif2881以下の構造式により表される化合物(A)の結晶形態、およびそれらの対応する医薬組成物が開示される。結晶形態は、様々な特性および物理的測定値により特徴づけられる。特定の結晶形態を調製する方法も開示される。本開示は、対象における2型糖尿病、糖尿病前症、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、および心血管疾患などの疾患または状態を治療または予防する方法も提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月14日申請の国際特許出願第PCT/CN2020/120814号に対する優先権の利益を主張する。前述の出願の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
GLP-1は、食物摂取に応答して腸のL細胞により分泌される、30アミノ酸長のインクレチンホルモンである。GLP-1は、生理的かつグルコース依存的にインスリン分泌を刺激し、グルカゴン分泌を減少させ、胃排出を阻害し、食欲を減退させ、ベータ細胞の増殖を刺激することが示されている。非臨床実験において、GLP-1は、グルコース依存的インスリン分泌にとって重要な遺伝子の転写を刺激すること、およびベータ細胞新生を促進することにより、継続的なベータ細胞反応能を促進する(Meierら、Biodrugs.17(2):93~102、2013)。
健康な個体では、GLP-1は、膵臓によるグルコース依存的インスリン分泌を刺激して、末梢におけるグルコース吸収の増大を引き起こすことにより、食後血糖レベルを調節する重要な役割を果たす。GLP-1はさらにグルカゴン分泌を抑制し、肝臓のグルコース放出の低減をもたらす。さらに、GLP-1は胃排出を遅延させ、小腸運動を遅くして食物吸収を遅延させる。T2DMの人々では、GLP-1の正常な食後の上昇がないかまたは低減する(Vilsbollら、Diabetes.50:609~613、2001)。
Hoist(Physiol.Rev.87:1409、2007)およびMeier(Nat. Rev. Endocrinol.8:728、2012)は、GLP-1、リラグルチドおよびエキセンジン-4などのGLP-1受容体アゴニストが、空腹時および食後グルコース(FPGおよびPPG)を低減させることにより、T2DMの患者における血糖コントロールを改善するための、3つの主要な薬理活性:(i)グルコース依存的インスリン分泌の増大(第1および第2相の改善)、(ii)高血糖状態下でのグルカゴン抑制活性、(iii)食事由来グルコースの吸収の遅れをもたらす胃排出速度の遅延を有することを記載する。
国際特許出願第PCT/CN2020/084203号は、その教示全体が参照により本明細書に組み込まれ、非常に有力なGLP-1アゴニストを開示する。そこで開示される1つのアゴニストの構造は、本明細書では「化合物A」と呼ばれ、以下に示される。
Figure 2023546125000002
化合物Aの化学名は、(S)-2-(4-(6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フルオロベンジル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸である。
化合物Aなどの薬学的に活性な薬剤の開発の成功には、通常、合成後の容易な単離および精製を可能にし、大規模製造に改変可能であり、最小限の水の吸収、分解または他の固体形態への変換で長期にわたり保存可能であり、製剤化に好適であり、対象への投与後容易に吸収されうる(例えば、水および胃液に可溶な)特性を有する固体形態の同定が必要である。
所望の結晶形態をもたらすための明確に定義された条件下で、化合物A遊離酸の3種の新規の結晶形態が得られることも今や判明した(実施例2、および5~7を参照のこと)。これらの4つの形態は高い融点を有する。中でも、化合物A遊離酸の結晶形態Iはわずかに吸湿性であり、60℃/蓋をした状態および40℃/75%RH(蓋をしない状態)で12日間物理的におよび化学的に安定である。
一態様において、本開示は、化合物A遊離酸の結晶形態Iを提供する。
別の態様において、本開示は、化合物A遊離酸の結晶形態IIを提供する。
別の態様において、本開示は、化合物A遊離酸の結晶形態IIIを提供する。
別の態様において、本開示は、化合物A遊離酸の結晶形態IVを提供する。
別の態様において、本開示は、化合物A遊離酸の結晶形態I(または化合物A遊離酸の結晶形態IIまたは化合物A遊離酸の結晶形態III)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
本開示は、心血管代謝および関連する疾患を治療し、治療有効量の、本明細書で開示される結晶形態(形態I、II、III、またはIV)または対応する医薬組成物を、そのような治療を必要とする対象に投与する方法を提供する。
本開示は、先に記載された本開示の方法のいずれかにおける、本開示の結晶形態(形態I、II、III、またはIV)または結晶形態を含むその医薬組成物の使用も提供する。一実施形態において、本明細書に記載される本開示の方法のいずれかにおける使用のための、本開示の結晶形態(形態I、II、III、またはIV)または結晶形態を含むその医薬組成物が提供される。別の実施形態において、記載される本開示の方法のいずれかのための医薬の製造のための、本開示の結晶形態(形態I、II、III、またはIV)または結晶形態を含むその医薬組成物の使用が提供される。
本開示は、化合物Aおよびその結晶形態(形態I、II、III、またはIV)を調製するための方法も提供する。
本開示の実施形態がいずれも、実施例もしくは請求項にのみ、または本明細書の一部分にのみ記載されるものを含めて、本開示の1つまたは複数のさらなる実施形態と、そのような組み合わせが明確に放棄されないかまたは不適切となる程度まで組み合わされてよいことが理解されるべきである。
化合物A遊離酸の結晶形態IのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態Iの熱重量分析(TGA)サーモグラムおよび示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態Iの動的水蒸気吸着(DVS)結果を示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態IIのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態IIの熱重量分析(TGA)サーモグラムおよび示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態IIIのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態IIIの熱重量分析(TGA)サーモグラムおよび示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態IVのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態IVの示差走査熱量測定分析(DSC)サーモグラムを示す図である。 化合物A遊離酸の結晶形態IVの熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す図である。
本開示は、化合物A遊離酸の新規の結晶形態を対象としている。
「水和形態」は、固体または結晶の一体化した部分として、化学量論比(例えば、化合物A:水のモル比1:1、1:1.5、または1:2)で水が化合物(A)遊離酸と組み合わされた、化合物A遊離酸の結晶形態を指す。「非水和形態」は、水と化合物Aの遊離酸との間に化学量論比を有さず、水が固体形態中に実質的に(例えば、Karl Fischer分析により10重量%未満)存在しない形態を指す。本開示において開示される新規の固体形態は、水和形態および非水和形態を含む。
本明細書で使用される場合、「結晶」は、個々の分子が高度に均一の規則的な三次元配置を有する結晶構造を有する固体を指す。
開示される結晶化合物A遊離酸は、単結晶形態の結晶であっても、様々な単結晶形態の結晶の混合物であってもよい。単結晶形態は、化合物A遊離酸が、単結晶、または各結晶が同じ結晶形態を有する複数の結晶であることを意味する。
本明細書で開示される化合物A遊離酸の結晶形態では、少なくとも特定の重量パーセンテージの化合物A遊離酸が単結晶形態である。特定の重量パーセンテージは、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%を含むか、または重量パーセンテージ70重量%~75重量%、75重量%~80重量%、80重量%~85重量%、85重量%~90重量%、90重量%~95重量%、95重量%~100重量%、70~80重量%、80~90重量%、90~100重量%の化合物A遊離酸が単結晶形態である。これらの値および範囲の間の全ての値および範囲が、本開示により包含されることが意図されることが理解されるべきである。
結晶化合物A遊離酸が、指定されたパーセンテージの、化合物A遊離酸の1つの特定の結晶形態と定義される場合、残りは非晶質形態、および/または指定された1つもしくは複数の特定の形態以外の結晶形態でできている。単結晶形態の例は、本明細書で論じられる1つまたは複数の特性により特徴づけられる、化合物A遊離酸の形態I、化合物A遊離酸の形態II、化合物A遊離酸の形態III、および化合物A遊離酸の形態IVを含む。
化合物Aはキラル中心を有する。本明細書で開示される化合物A遊離酸の結晶形態は、他の立体異性体と比較して、すなわち、全ての立体異性体の重量に対するその立体異性体の重量の比が、少なくとも80重量%、90重量%、99重量%または99.9重量%純度である。
化合物A遊離酸の結晶形態Iの特性決定
一実施形態において、1:1化合物A遊離酸は、2θで11.4°、12.7°、18.1°、および18.3°±0.2でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる単結晶形態、形態Iである。別の実施形態において、形態Iは、2θで4.9°、11.8°および21.5°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態Iは、2θで15.8°、18.8°および23.0°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態Iは、2θで4.9°、11.4°、11.8°、12.7°、15.8°、18.1°、18.3°、18.8°、21.5°および23.0°±0.2でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態Iは、図1と実質的に同様のX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。
別の実施形態において、化合物A遊離酸の形態Iは、示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度200±3℃(例えば、199.7℃)により特徴づけられる。
化合物A遊離酸の結晶形態IIの特性決定
一実施形態において、化合物A遊離酸は、2θで11.4°、12.0°、12.9°、18.6°および20.4°でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる単結晶形態、形態IIである。別の実施形態において、形態IIは、2θで25.9°±0.2でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。別の実施形態において、形態IIは、2θで4.9°、7.7°、15.8°および25.9°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態IIは、2θで4.9°、7.7°、11.4°、12.0°、12.9°、15.8°、18.6°、20.4°および25.9°でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。別の実施形態において、形態IIは、X線粉末回折パターンが2θで18.1°±0.2でのピークを含まない、X線粉末回折パターンにより特徴づけられる。別の実施形態において、形態IIは、X線粉末回折パターンが2θで21.5°±0.2でのピークを含まない、X線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態IIは、図4と実質的に同様のX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。
別の実施形態において、化合物A遊離酸の形態IIは、示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度205±3℃(例えば、204.6℃)により特徴づけられる。
化合物A遊離酸の結晶形態IIIの特性決定
一実施形態において、化合物A遊離酸は、2θで9.8°、13.3°、 17.3°および18.1°でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる単結晶形態、形態IIIである。別の実施形態において、形態IIIは、2θで11.7°、14.2°、24.7°、26.3および27.7°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態IIIは、2θで9.8°、11.7°、13.3°、14.2°、17.3°、18.1°、24.7°、26.3°および27.7°でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態IIIは水和物である。化合物A:水のモル比は1:1~1:2、例えば1:1.5である。さらに別の実施形態において、形態IIIは、図6と実質的に同様のX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。
別の実施形態において、化合物A遊離酸の形態IIIは、示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度204±3℃(例えば、204.4℃)により特徴づけられる。
化合物A遊離酸の結晶形態IVの特性決定
一実施形態において、化合物A遊離酸は、2θで10.8°、11.8°、13.2°、17.8°、18.6°および19.7°でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる単結晶形態、形態IVである。別の実施形態において、形態IVは、2θで10.8°、11.8°、13.2°、17.8°、18.6°、19.7°、22.9°および26.6°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態IVは、2θで10.8°、11.8°、13.2°、17.8°、18.6°、19.7°、22.9°、26.6°、28.2°および28.4°でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。さらに別の実施形態において、形態IVは水和物である。さらに別の実施形態において、形態IVは、図8と実質的に同様のX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。
別の実施形態において、化合物A遊離酸の形態IVは、示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度196±3℃(例えば、196.8℃)により特徴づけられる。
任意の所与の結晶形態について、角度ピーク位置が、温度変動、試料変位および内部標準の有無などの因子によりわずかに変動しうることが、結晶学分野において周知である。本開示では、角度ピーク位置の変動性は2θで±0.2である。さらに、所与の結晶形態についての相対的ピーク強度は、XRPD分析用の試料調製における微結晶サイズおよび非ランダム微結晶方位の差により変動しうる。この変動性が、結晶形態の明確な同定を妨げることなく上記因子の説明となることが、当技術分野で周知である。
医薬組成物
別の実施形態において、本明細書で開示されるのは医薬組成物である。そのような医薬組成物は、本明細書に記載される化合物A遊離酸の結晶形態および薬学的に許容される担体を含む。他の薬理学的に活性な物質も存在してよい。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤および生理的に適合する類似物を含む。薬学的に許容される担体の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールおよび類似物、さらにそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数を含み、組成物中に、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールもしくはソルビトールなどのポリアルコールを含んでいてよい。抗体または抗体部分の保存期間または有効性を向上させる、薬学的に許容される物質、例えば湿潤剤、または湿潤剤もしくは乳化剤、保存料もしくは緩衝液などの少量の補助物質。
本開示の組成物は様々な形態であってよい。これらは、例えば、液体、半固体および固体剤形、例えば液剤(例えば、注射用および注入用溶液)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソームおよび坐剤を含む。形態は、投与および治療適用の所期の様式によって決まる。
典型的な組成物は、注射用または注入用溶液の形態、例えば、一般に抗体によるヒトの受動免疫に使用されるものと同様の組成物である。投与の一様式は非経口(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。別の実施形態において、抗体は、静脈内注入または注射により投与される。さらに別の実施形態において、抗体は、筋肉内または皮下注射により投与される。
固体投与形態の経口投与は、例えば、独立した単位、例えば硬または軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、トローチ剤、または錠剤として提供されてよく、各々が、所定の量の本開示の少なくとも1種の化合物を含有する。別の実施形態において、経口投与は、散剤または顆粒剤形態であってよい。別の実施形態において、経口投与形態は舌下、例えばトローチ剤である。そのような固体剤形では、先に記載された式のうちのいずれか1つの化合物が通常、1つまたは複数の補助剤と組み合わされる。そのようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有していてよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤を含んでいてもよく、腸溶コーティングとともに調製されてもよい。
別の実施形態において、経口投与は液体投与形態であってよい。経口投与のための液体剤形は、例えば、当技術分野で一般的に使用される不活性な希釈液(例えば、水)を含有する、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。そのような組成物は、補助剤、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば、甘味剤)、および/または香料も含んでいてよい。
別の実施形態において、本開示は非経口投与形態を含む。
「非経口投与」は、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内、筋肉内注射、胸骨内注射および注入を含む。注射用調製物(すなわち、無菌の注射用水性または油性懸濁剤)は、好適な分散、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用して、既知の技術によって製剤化されてよい。
別の実施形態において、本開示は局所投与形態を含む。
「局所投与」は、例えば経皮貼付剤もしくはイオントフォレシス装置などによる経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与を含む。局所投与のための組成物は、例えば、局所ゲル、スプレー、軟膏およびクリームも含む。局所製剤は、皮膚または他の患部を介する活性成分の吸収または浸透を向上させる化合物を含んでいてよい。本開示の化合物が経皮装置により投与される場合、投与は、リザーバーおよび多孔質膜型、または各種固体マトリックスのいずれかの貼付剤を使用して遂行される。この目的のための典型的な製剤は、ゲル剤、ハイドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、ドレッシング剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚貼付剤、ウェハー剤、埋め込み剤、スポンジ剤、繊維剤、包帯剤およびマイクロ乳剤を含む。リポソームも使用されてよい。典型的な担体は、アルコール、水、ミネラルオイル、液体ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを含む。浸透促進剤が組み込まれてよく、例えば、FinninおよびMorgan、J. Pharm. Sci.、88:955~958、1999を参照のこと。
目に対する局所投与に好適な製剤は、例えば点眼薬を含み、本開示の化合物が好適な担体中に溶解または懸濁されている。目または耳への投与に好適な典型的な製剤は、等張の、pH調整された無菌生理食塩水中の、微粒子化された懸濁剤または液剤の液滴の形態であってよい。目および耳への投与に好適な他の製剤は、軟膏剤、生分解性(すなわち、吸収性ゲルスポンジ剤、コラーゲン)および非生分解性(すなわち、シリコーン)埋め込み剤、ウェハー剤、レンズおよび粒子または小胞系、例えばニオソームまたはリポソームを含む。ポリマー、例えば架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ジェランガム(gelan gum)が、保存料、例えば塩化ベンザルコニウムとともに組み込まれてよい。そのような製剤は、イオントフォレシスにより送達されてもよい。
鼻腔内投与または吸入による投与では、本開示の化合物は、患者により絞り出されるかもしくは汲み上げられる、ポンプスプレー容器からの液剤もしくは懸濁剤の形態で、または好適な噴射剤の使用による、圧力容器もしくはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示として好都合に送達される。鼻腔内投与に好適な製剤は、乾燥散剤吸入器からの乾燥散剤(単独、混合物のいずれか、例えば、ラクトースとの乾燥混和物として、または例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)の形態で、または好適な噴射剤、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンの使用有りでもしくは無しで、圧力容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは細かい霧を生成するために電気流体力学を使用するアトマイザー)、もしくはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして通常投与される。鼻腔内使用では、散剤は、生体接着性薬剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでいてよい。
別の実施形態において、本開示は直腸投与形態を含む。そのような直腸投与形態は、例えば坐剤の形態であってよい。ココアバターは伝統的な坐剤基剤であるが、各種代替品が必要に応じて使用されてよい。
医薬分野において既知の他の担体物質および投与様式も使用されてよい。本開示の医薬組成物は、薬学の周知の技法のうちのいずれか、例えば有効な製剤化および投与手順により調製されてよい。
有効な製剤化および投与手順に関しての上記考慮事項は当技術分野で周知であり、標準的な教科書に記載される。薬物の製剤化は、例えば、Hoover、John E.、Remington‘s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1975;Libermanら、Eds.、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980;およびKibbeら、Eds.、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999において論じられる。
治療の方法
「対象」は哺乳動物、好ましくはヒトであるが、獣医学的治療を必要とする動物、例えば、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコおよび類似物)、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマおよび類似物)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットおよび類似物)であってもよい。
有効量の本開示の化合物による対象の「治療」レジメンは、単回投与からなっていてもよく、代わりに一連の適用を含んでいてもよい。治療期間の長さは、様々な因子、例えば疾患の重症度、対象の年齢、濃度および本開示の化合物の活性またはそれらの組み合わせによって決まる。治療または予防に使用される化合物の有効な投薬量が、特定の治療または予防レジメンの経過にわたって増加または減少しうることも理解されるはずである。投薬量の変化は、当技術分野で既知の標準的な診断アッセイにより生じ、明らかとなりうる。一部の例では、慢性投与が必要となりうる。
一態様において、本開示は、例えば、T2DM、糖尿病前症、NASHおよび心血管疾患を含む、本明細書で論じられる心血管代謝および関連する疾患の予防および/または治療における使用のための、本明細書に記載される化合物A遊離酸の結晶形態を提供する。
別の態様において、本開示は、治療有効量の、本明細書に記載される化合物A遊離酸の結晶形態を対象に投与することを含む、GLP-1Rのアゴニストが適応される疾患または状態の予防および/または治療を必要とする対象における、GLP-1Rのアゴニストが適応される疾患または状態を治療する方法を提供する。
別の態様において、本開示は、GLP-1Rのアゴニストが適応される疾患または状態を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載される化合物A遊離酸の結晶形態の使用を提供する。
別の態様において、本開示は、GLP-1Rのアゴニストが適応される疾患または状態の治療における使用のための、本明細書に記載される化合物A遊離酸の結晶形態を提供する。
別の態様において、本開示は、本明細書に記載される化合物A遊離酸の結晶形態を含む、GLP-1Rのアゴニストが適応される疾患または状態の治療のための医薬組成物を提供する。
本開示は、T2DM、糖尿病前症、NASHおよび心血管疾患を含む、本明細書で論じられる心血管代謝および関連する疾患の治療および/または予防における使用のための、本明細書に記載される化合物A遊離酸の結晶形態を含む医薬組成物も提供する。
別の態様において、本開示は、糖尿病(T1Dおよび/またはT2DM、糖尿病前症を含む)、特発性T1D(1b型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症T2DM(EOD)、若年発症異型糖尿病(YOAD)、若年発症成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠糖尿病、高血糖、インスリン抵抗性、肝インスリン抵抗性、耐糖能異常、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管機能障害、近位尿細管への炎症性変化)、糖尿病性網膜症、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、睡眠時無呼吸、肥満(視床下部性肥満および単一遺伝子性肥満を含む)および関連並存疾患(例えば、変形性関節症および尿失禁)、摂食障害(過食症候群、神経性過食症および症候性肥満、例えばPrader-WilliおよびBardet-Biedl症候群を含む)、他の薬剤の使用による体重増加(例えば、ステロイドおよび向精神病薬の使用による)、過剰な糖渇望、脂質異常症(脂質異常症、高トリグリセリド血症、総コレステロールの増加、高LDLコレステロールおよび低HDLコレステロールを含む)、高インスリン血症、NAFLD(脂肪肝、NASH、線維症、肝硬変および肝細胞癌などの関連疾患を含む)、心血管疾患、粥状硬化症(冠動脈疾患を含む)、末梢血管疾患、高血圧、内皮機能障害、血管コンプライアンス障害、うっ血性心不全、心筋梗塞(例えばネクローシスおよびアポトーシス)、脳卒中、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、肺高血圧、血管形成術後の再狭窄、間欠性跛行、食後脂血症、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、骨粗しょう症、パーキンソン病、左室肥大、末梢動脈疾患、黄斑変性症、白内障、糸球体硬化症、慢性腎不全、メタボリックシンドローム、シンドロームX、月経前症候群、狭心症、血栓症、粥状硬化症、一過性脳虚血発作、血管再狭窄、糖代謝異常、空腹時血漿血糖異常の状態、高尿酸血症、痛風、勃起障害、皮膚および結合組織障害、乾癬、足部潰瘍、潰瘍性大腸炎、高アポBリポタンパク血症、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害、炎症性腸疾患、短腸症候群、クローン病、大腸炎、過敏性腸症候群、多嚢胞性卵巣症候群の予防または治療および依存症(例えば、アルコールおよび/または薬物乱用)の治療を含む、心血管代謝および関連する疾患の治療および/または治療における使用のための、本明細書に記載される化合物A遊離酸の結晶形態を提供する。
ある特定の実施形態において、疾患または障害は、肥満、摂食障害、他の薬剤の使用による体重増加、過剰な糖渇望および脂質異常症である。
ある特定の実施形態において、疾患または障害は肥満である。
ある特定の実施形態において、疾患または障害は糖尿病前症である。
ある特定の実施形態において、疾患または障害はT2DMである。
ある特定の実施形態において、疾患または障害はNASHである。
ある特定の実施形態において、疾患または障害はNAFLDである。
ある特定の実施形態において、疾患または障害は高血圧などの心血管(cardiovescular)疾患である。
別の態様において、本開示は、本明細書に記載される実施形態のうちのいずれか1つにおいて定義される、先に記載された式(例えば、式I、II-A、III-AおよびIV-A)のうちのいずれか1つの化合物、その溶媒和物または水和物を投与することを含む、β-アレスチン/アレスチン-2誘引の低減を伴うGLP-1R媒介性のcAMPシグナル伝達を向上させるかまたは刺激する方法を提供する。これは、本開示の化合物が、GLP-1R媒介性cAMPシグナル伝達の完全アゴニストである一方、本開示の化合物による活性化GLP-1Rへの最大のβ-アレスチン誘引が、天然GLP-1RリガンドGLP-1による最大のβ-アレスチン誘引より小さいという点において、GLP-1と比較して、活性化GLP-1Rへのβ-アレスチン誘引の部分アゴニストであるという驚くべき発見に一部基づく。そのような、cAMPシグナル伝達についてのGLP-1Rの部分および/または偏ったアゴニストは、有効性の向上および副作用の低下のための、より持続するcAMPシグナル伝達活性をもたらしうる。
このように、本開示の方法は、本明細書に記載される疾患または状態のいずれか、例えばII型糖尿病(T2D)および関連疾患の治療に有利に使用されてよい。
ある特定の実施形態において、治療は、GI副作用、例えば悪心、嘔吐、または下痢の付随する増加、または少なくとも低減した増加なしに、血糖での恩恵を引き出す。ある特定の実施形態において、治療は、正常なまたは向上したβ-アレスチン誘引(例えばGLP-1によるβ-アレスチン誘引)を有する対照治療と比較して、忍容性の増大を有する。
投与および投薬
通常、本開示の化合物は、本明細書に記載される状態を治療するのに有効な量で投与される。
本開示の化合物は、任意の好適な経路により、そのような経路に適合させた医薬組成物の形態で、所期の治療に有効な用量で投与される。本開示の化合物は、経口的に、直腸的に、経膣的に、非経口的に、または局所的に投与されてよい。
本開示の化合物は、経口的に投与されてよい。経口投与は、化合物が消化管に入るように嚥下を伴っていてもよく、化合物が口から直接血流に入る頬側または舌下投与が利用されてもよい。
別の実施形態において、本開示の化合物は、血流、筋肉、または内臓に直接投与されてもよい。非経口投与のための好適な手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を含む。非経口投与のための好適な装置は、針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器および注入技法を含む。
別の実施形態において、本開示の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、つまり皮膚にまたは経皮的に投与されてもよい。別の実施形態において、本開示の化合物は、鼻腔内にまたは吸入により投与されてもよい。別の実施形態において、本開示の化合物は、直腸的にまたは経膣的に投与されてよい。別の実施形態において、本開示の化合物は、目または耳に直接投与されてもよい。
本開示の化合物および/または前記化合物を含有する組成物についての投薬レジメンは、患者の種類、年齢、体重、性別および医学的状態、状態の重症度、投与経路、ならびに利用される特定の化合物の活性を含む様々な因子に基づく。このように、投薬レジメンは広く変動しうる。一実施形態において、本開示の化合物の1日の総用量は通常、本明細書で論じられる適応状態の治療に対して約0.001~約100mg/kg(すなわち、体重1kgあたりの本開示の化合物mg)である。別の実施形態において、本開示の化合物の1日の総用量は約0.01~約30mg/kgであり、別の実施形態において約0.03~約10mg/kgであり、さらに別の実施形態において約0.1~約3mg/kgである。本開示の化合物の投与が1日に複数回(通常4回以下)繰り返されることは珍しいことではない。1日あたりの複数回用量は通常、必要に応じて、1日の総用量を増加させるために使用されうる。ある特定の実施形態において、患者はヒト、例えば本明細書の他の箇所で記載される治療可能な疾患適応症または障害のうちの1つを有するヒトである。
経口投与では、組成物は、患者への投薬量の対症的調節のため、活性成分0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、30.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250および500ミリグラムを含有する錠剤の形態で提供されてよい。医薬は通常、活性成分約0.01mg~約500mg、または別の実施形態において活性成分約1mg~約100mgを含有する。静脈内に、用量は、定速注入中約0.01~約10mg/kg/分の範囲であってよい。
本開示による好適な対象または患者は、ヒト、または非ヒト哺乳動物、例えば霊長類、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスター、ウサギなど)を含む哺乳動物対象を含む。一実施形態において、ヒトが好適な対象である。ヒト対象は、いずれの性別でもよく、発達の任意の段階であってよい。ある特定の実施形態において、ヒトは、18才未満、15才未満または14才頃、12才頃、10才頃、または5才未満の子供である。
共投与
本開示の化合物は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて使用されてよい。本開示は、本明細書で定義される使用、方法または組成物のうちのいずれかを提供し、本明細書で先に記載された式のうちのいずれか1つの任意の実施形態の化合物、または前記化合物の薬学的に許容される溶媒和物が、本明細書で論じられる1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて使用される。
「組み合わせた」2つ以上の化合物の投与は、化合物の全てが、それぞれが同じ時間枠内で生物学的効果を生じうる、十分に近い時間で投与されることを意味する。1つの薬剤の存在が、他の化合物の生物学的効果を変質させることがある。2つ以上の化合物が、同時に、並行してまたは順次投与されてよい。さらに、同時投与は、投与前に化合物を混合させることにより、または同じ時点で、ただし同じまたは異なる投与部位で別個の剤形として化合物を投与することにより実施されてよい。
句「併用投与」、「共投与」、「同時投与」および「同時に投与される」は、化合物が組み合わせて投与されることを意味する。
別の実施形態において、本開示は、1つまたは複数の他の医薬品と組み合わせて、本開示の化合物を投与することを含む治療方法を提供し、1つまたは複数の他の医薬品は、本明細書で論じられる薬剤から選択されてよい。
一実施形態において、本開示の化合物は、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、スルホニル尿素(例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、またはグリピジド)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、またはロベグリタゾン)、グリタザル(例えば、サログリタザル、アレグリタザル、ムラグリタザルまたはテサグリタザル)、メグリチニド(例えば、ナテグリニド、レパグリニド)、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、ゲミグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、デュトグリプチン、またはオマリグリプチン)、グリタゾン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、リボグリタゾン、またはロベグリタゾン)、ナトリウム-グルコース結合輸送体2(SGLT2)阻害剤(例えば、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、イプラグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、エタボン酸セルグリフロジン、エタボン酸レモグリフロジン、またはエルツグリフロジン)、SGLTL1阻害剤、GPR40アゴニスト(FFAR1/FFA1アゴニスト、例えばファシグリファム)、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)およびそのアナログ、アルファグルコシダーゼ阻害剤(例えばボグリボース、アカルボース、またはミグリトール)、またはインスリンまたはインスリンアナログを、具体的に指定された薬剤の薬学的に許容される塩、ならびに前記薬剤および塩の薬学的に許容される溶媒和物を含めて、含むがこれらに限定されない抗糖尿病薬剤とともに投与される。
別の実施形態において、本開示の化合物は、ペプチドYYまたはそのアナログ、ニューロペプチドY受容体2型(NPYR2)アゴニスト、NPYR1またはNPYR5アンタゴニスト、カンナビノイド受容体1型(CB1R)アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット)、ヒト前膵島ペプチド(human proislet peptide)(HIP)、メラノコルチン受容体4アゴニスト(例えば、セトメラノチド)、メラニン凝集ホルモン受容体1アンタゴニスト、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト(例えばオベチコール酸)、ゾニサミド、フェンテルミン(単独でまたはトピラマートと組み合わせて)、ノルエピネフリン/ドーパミン再取り込み阻害剤(例えば、ブプロピオン(buproprion))、オピオイド受容体アンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン)、ノルエピネフリン/ドーパミン再取り込み阻害剤およびオピオイド受容体アンタゴニストの組み合わせ(例えば、ブプロピオンおよびナルトレキソンの組み合わせ)、GDF-15アナログ、シブトラミン、コレシストキニンアゴニスト、アミリンおよびそのアナログ(例えば、プラムリンチド)、レプチンおよびそのアナログ(例えば、メトロレプチン)、セロトニン作動性薬剤(例えば、ロルカセリン)、メチオニンアミノペプチダーゼ2(MetAP2)阻害剤(例えば、ベロラニブまたはZGN-1061)、フェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、ベンズフェタミン、SGLT2阻害剤(例えば、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、イプラグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、エタボン酸セルグリフロジン、エタボン酸レモグリフロジン、またはエルツグリフロジン)、SGLTL1阻害剤、二重SGLT2/SGLT1阻害剤、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)調節因子、AMP-活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性化因子、ビオチン、MAS受容体調節因子、またはグルカゴン受容体アゴニスト(単独でまたは別のGLP-1Rアゴニスト、例えば、リラグルチド、エキセナチド、デュラグルチド、アルビグルチド、リキシセナチド、もしくはセマグルチドと組み合わせて)を、具体的に指定された薬剤の薬学的に許容される塩、ならびに前記薬剤および塩の薬学的に許容される溶媒和物を含めて、含むがこれらに限定されない抗肥満剤とともに投与される。
別の実施形態において、本開示の化合物は、PF-05221304、FXRアゴニスト(例えば、オベチコール酸)、PPARα/δアゴニスト(例えば、エラフィブラノール)、合成脂肪酸-胆汁酸抱合体(例えば、アラムコール)、カスパーゼ阻害剤(例えば、エムリカサン)、抗リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)モノクローナル抗体(例えば、シムツズマブ)、ガレクチン3阻害剤(例えば、GR-MD-02)、MAPK5阻害剤(例えば、GS-4997)、ケモカイン受容体2(CCR2)およびCCR5の二重アンタゴニスト(例えば、セニクリビロク)、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)アゴニスト(例えば、BMS-986036)、ロイコトリエンD4(LTD4)受容体アンタゴニスト(例えば、チペルカスト)、ナイアシンアナログ(例えば、ARI3037MO)、ASBT阻害剤(例えば、ボリキシバット)、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤(例えば、NDI010976)、ケトヘキソキナーゼ(KHK)阻害剤、ジアシルグリセリルアシルトランスフェラーゼ2(DGAT2)阻害剤、CB1受容体アンタゴニスト、抗CB1R抗体、またはアポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)阻害剤を、具体的に指定された薬剤の薬学的に許容される塩、ならびに前記薬剤および塩の薬学的に許容される溶媒和物を含めて、含むがこれらに限定されない、NASHを治療するための薬剤とともに投与される。
これらの薬剤および本開示の化合物は、薬学的に許容される媒体、例えば生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液および類似物と組み合わされてよい。具体的な投薬レジメン、すなわち、用量、タイミングおよび反復は、具体的な個人およびその個人の病歴によって決まる。
許容される担体、賦形剤、または安定剤は、利用される投薬量および濃度でレシピエントにとって無毒であり、緩衝液、例えばリン酸、クエン酸および他の有機酸;塩、例えば塩化ナトリウム;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、またはIg;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;単糖、二糖およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)を含んでいてよい。これらの薬剤および/または本開示の化合物を含有するリポソームが、例えば米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載される、当技術分野で既知の方法により調製される。向上した循環時間を有するリポソームが、米国特許第5,013,556号において開示される。特に有用なリポソームが、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG-誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いて、逆相蒸発法により生成可能である。リポソームは、所望の直径を有するリポソームを産生するための、規定のポアサイズのフィルターを通って押し出される。
これらの薬剤および/または本開示の化合物は、例えば、コアセルベーション技法または界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれコロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルション中の、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に封入されていてもよい。そのような技法は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000)において開示される。
持続性放出調製物が使用されてよい。持続性放出調製物の好適な例は、先に記載された式のうちのいずれか1つの化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、マトリックスは、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。持続性放出マトリックスの例は、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、または‘ポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸およびL-グルタミン酸7エチルのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射用マイクロスフェア)に使用されるもの、イソ酪酸酢酸スクロースおよびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
静脈内投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、例えば、無菌の濾過膜を介した濾過により容易に遂行される。本開示の化合物は概して、無菌のアクセス口を有する容器、例えば、皮下注射針により貫通可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に配置される。
好適な乳剤は、市販の脂肪乳剤、例えばIntralipud(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)を使用して調製されてよい。活性成分は、予め混合された乳剤組成物中に溶解されてもよく、代わりに、油(例えば、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油またはアーモンド油)中に溶解されてもよく、リン脂質(例えば、卵リン脂質、ダイズリン脂質またはダイズレシチン)および水と混合させると乳剤が形成される。乳剤の浸透圧を調節するため、他の成分、例えばグリセロールまたはグルコースが添加されてよいことが理解されるはずである。好適な乳剤は通常、最大20%の油、例えば、5~20%を含有する。脂肪乳剤は、0.1~1.0μm、特に0.1~0.5μmの脂肪滴を含んでいてよく、5.5~8.0の範囲のpHを有していてよい。
乳剤組成物は、本開示の化合物を、Intralipid(商標)またはその成分(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混合させることにより調製されるものであってよい。
吸入または吹送用の組成物は、薬学的に許容される水性または有機溶媒またはそれらの混合物中の液剤および懸濁剤、および散剤を含む。液体または固体組成物は、先に示された好適な薬学的に許容される賦形剤を含有していてよい。一部の実施形態において、組成物は、局所または全身効果のため、経口または経鼻呼吸経路により投与される。好ましくは無菌の薬学的に許容される溶媒中の組成物は、気体の使用により噴霧されてよい。噴霧溶液が噴霧装置から直接呼吸されてもよく、噴霧装置が顔用マスク、テントまたは間欠的陽圧呼吸器に取り付けられてもよい。液剤、懸濁剤または散剤組成物は、適切な方式で製剤を送達する装置から、好ましくは経口的にまたは経鼻的に投与されてよい。
キット
本開示の別の態様は、先に記載された化合物A遊離酸の結晶形態、または本開示の先に記載された化合物A遊離酸の結晶形態を含む医薬組成物を含むキットを提供する。キットは、本開示の、先に記載された式のうちのいずれか1つの化合物、またはその医薬組成物に加えて、診断用薬剤または治療剤を含んでいてよい。キットは、診断または治療方法における使用のための説明書も含んでいてよい。一部の実施形態において、キットは、先に記載された式のうちのいずれか1つの化合物、またはその医薬組成物および診断用薬剤を含む。他の実施形態において、キットは、先に記載された式のうちのいずれか1つの化合物、またはその医薬組成物を含む。
さらに別の実施形態において、本開示は、本明細書に記載される治療方法の実施における使用に好適なキットを含む。一実施形態において、キットは、本開示の方法を実施するのに十分な量の、本開示の化合物のうちの1つまたは複数を含む第1の剤形を含有する。別の実施形態において、キットは、本開示の方法を実施するのに十分な量の、1つまたは複数の本開示の化合物、および投薬のための容器を含む。
調製
先に記載された式のうちのいずれか1つの化合物は、合成有機化学の当業者の共通の一般知識を使用して、以下に記載される一般的および具体的な方法により調製されてよい。そのような共通の一般知識は、標準的な参考書、例えばComprehensive Organic Chemistry, Ed. BartonおよびOllis、Elsevier;Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations、Larock、John WileyおよびSons;ならびにCompendium of Organic Synthetic Methods、I~XII巻(Wiley-Interscienceにより出版)で確認できる。本明細書で使用される出発物質は市販されており、当技術分野で既知の通常の方法により調製されてもよい。
先に記載された式のうちのいずれか1つの化合物の調製において、本明細書に記載される調製方法のうちのいくつかが、離れた官能性(例えば、上記の前駆体で記載された式のうちのいずれか1つにおける一級アミン、二級アミン、カルボキシル)の保護を必要とする場合があることに留意されたい。そのような保護の必要性は、離れた官能性の性質および調製方法の条件次第で変動する。そのような保護の必要性は、当業者により容易に決定される。そのような保護/脱保護方法の使用は、当技術分野の技術の範囲内でもある。保護基およびそれらの使用についての概要に関しては、Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、New York、1991を参照のこと。
例えば、特定の化合物は一級アミンまたはカルボン酸官能性を含有し、これらは、保護されないままであれば、分子の他の部位での反応を妨害する場合がある。したがって、そのような官能性は適切な保護基により保護されてよく、保護基はそれに続くステップで除去されてよい。アミンおよびカルボン酸保護に好適な保護基は、ペプチド合成に一般的に使用される保護基(例えば、アミンについては、N-t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)、ならびにカルボン酸については低級アルキルまたはベンジルエステル)を含み、これらは概して、記載される反応条件下で化学反応性でなく、通常、上記の化合物で記載された式のうちのいずれか1つにおける他の官能性を化学的に変質させることなく除去可能である。
以下に記載される方式は、本開示の化合物の調製に利用される方法体系の概要を提供することを意図される。本開示の化合物のうちのいくつかは、立体化学名称(R)または(S)を有する単一または複数のキラル中心を含有しうる。物質がエナンチオマーに富んでいてもラセミでも、合成変換の全てが同様の方式で実行されうることが、当業者には明らかである。さらに、所望の光学活性物質への分割が、周知の方法、例えば本明細書および化学文献に記載される方法を使用して、一連の流れにおける任意の所望の時点で行われてよい。
本明細書に記載される方法により調製されるアミン化合物は、化合物を送達するための極性非プロトン溶媒、例えば以下に限定されないがDMF、DMAc、DMSOまたはNMP中で、好適な塩基、例えばKCO、EtN、NaHまたはLiHMDSの存在下で、保護された2-ブロモアセテートによりアルキル化されてよい。酸をもたらすために標準的なエステル加水分解が実施されてよい。Pgがt-ブチルであれば、標準的な酸による脱保護法、例えばTFA/DCM、HCl/1,4-ジオキサン、HCl/EtOAcまたは他の好適な条件が、酸を送達するのに使用されてよい。
実験
溶媒の省略形が以下の表に列挙される。
Figure 2023546125000003
分析条件
X線粉末回折(XRPD)
X線回折計(PANalytical Empyrean)を用いてXRPDパターンを特定した。装置はPIXcel1D検出器を備えていた。試料を、3~40°2θまで、ステップサイズ0.013°2θでスキャンした。管電圧および電流は、それぞれ45KVおよび40mAであった。
Figure 2023546125000004
示差走査熱量測定(DSC)
Discovery DSC250(TA Instruments、US)を使用してDSCを実施した。試料をアルミニウムピンホール気密パン内に配置し、重量を正確に記録した。次いで試料を、25℃~最終温度まで10℃/minの速度で加熱した。
熱重量分析(TGA)
Discovery TGA55(TA Instruments、US)でTGAを実施した。試料を、風袋重量を測定したアルミニウムパン内に配置し、自動的に秤量し、TGAファーナスに挿入した。試料をRT~最終温度まで10℃/minの速度で加熱した(重量安定化プログラムは設定せずピンホールを有する蓋をした)。
動的水蒸気吸着(DVS)
Vsorp動的水分吸着分析装置(ProUmid GmbH & Co. KG、ドイツ)で水分吸着/脱着データを収集した。試料を、風袋重量を測定した試料チャンバー内に配置し、自動的に秤量した。
偏光顕微法(PLM)
偏光顕微鏡ECLIPSE LV100POL(Nikon、JPN)を使用して光学顕微法を実施した。
H-核磁気共鳴分光法(H-NMR)
オートサンプラー(Sample Xpress 60)を備えるBruker AVANCE III HD 300/400を使用してH-NMRを実施した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
Agilent HPLC 1260シリーズ機器を用いてHPLC分析を実施した。安定性および溶解度試験のためのHPLC法が、以下の表に列挙される。
Figure 2023546125000005
実施例1.(S)-2-(4-(6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フルオロベンジル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸(化合物A)の合成
調製方法A
Figure 2023546125000006
ステップ1.
0~10℃の、2-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)アセトニトリル(2.0g、9.34mmol)のMeOH(2.7mL)溶液の撹拌された溶液に、DCM(10mL)を添加した。反応混合物を0~10℃で撹拌し、二塩化オキサリル(9.49g、74.75mmol、6.50mL)を2h添加し、TLCによる判断で反応が完了すると、直接真空乾燥して粗生成物メチル2-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)エタンイミデート(2.2g、1.43mmol、15.3%収率)を得た。LCMS:[M+H]=246;HPLC保持時間(0.01%TFA)=1.14min。
ステップ2.
メチル2-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)エタンイミデート(4.5g、3.11mmol)のMeOH(20mL)中混合物を、反応が完了したとLCMSにより示されるまで、N保護下でrtで24h撹拌した。セライトのパッドを通してPEとともに反応混合物を濾過した。真空乾燥後、粗生成物を得た。PEを添加し、固体を濾過して濾液を得た。固体が得られなくなるまで数回繰り返した。生成物4-ブロモ-2-フルオロ-1-(2,2,2-トリメトキシエチル)ベンゼン(4.0g、2.87mmol、92.2%収率)を無色の液体として得た。HPLC保持時間(0.01%TFA)=1.89min。
ステップ3.
4-ブロモ-2-フルオロ-1-(2,2,2-トリメトキシエチル)ベンゼン(2.10g、7.16mmol)、tert-ブチル4-アミノ-3-[[(2S)-オキセタン-2-イル]メチルアミノ]ベンゾエート(1.00g、3.59mmol)、4-メチルベンゼンスルホン酸(185.6mg、1.08mmol)のCHCN(10mL)中混合物を、反応が完了したとLCMSにより示されるまで、N保護下で60℃で2h撹拌した。セライトのパッドを通してEtOAcとともに反応混合物を濾過し、組み合わされた有機層を真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=8:1)により精製して、所望の生成物tert-ブチル(S)-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキシレート(1.13g、2.38mmol、66.2%収率)を淡黄色固体として得た。
LCMS:[M+H]=475;HPLC保持時間(10mM NHHCO)=2.05min。
ステップ4.
tert-ブチル(S)-2-(4-ブロモ-2-フルオロベンジル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキシレート(21.0g、44.18mmol)の1,4-ジオキサン(30mL)中懸濁液に、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(13.46g、53.01mmol)、シクロペンチル(ジフェニル)ホスファンジクロロパラジウム鉄(9.70g、13.25mmol)および酢酸カリウム(8.67g、88.36mmol、5.52mL)を添加した。混合物をN下で100℃で2h撹拌した。LCMSによる判断で反応が完了した後、反応混合物を次のステップに直接使用した。LCMS:[M+H]=523.0;HPLC保持時間(10mM NHHCO)=2.17min。
ステップ5.
tert-ブチル(S)-2-(2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンジル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキシレート(80.0mg、52.07μmol)、2-ブロモ-6-[(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メトキシ]ピリジン(24.7mg、78.10μmol)、炭酸二セシウム(50.9mg、156.20 μmol)およびシクロペンチル(ジフェニル)ホスファンジクロロパラジウム鉄(3.81mg、5.21μmol)の1,4-ジオキサン(8mL)HO(1mL)中混合物を、N下で90℃で3h撹拌した。反応が完了したとLCMSにより示されるまで、セライトのパッドを通してDCMとともに反応混合物を濾過した。組み合わされた有機層を真空下で濃縮して、所望の粗生成物tert-ブチル(S)-2-(4-(6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フルオロベンジル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキシレート(40mg、18.98μmol、36.5%収率)を淡黄色固体として得た。LCMS:[M+H]=632;HPLC保持時間(0.01%TFA)=1.90min。
ステップ6.
tert-ブチル(S)-2-(4-(6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フルオロベンジル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキシレート(40mg、63.28μmol)、2,2,2-トリフルオロ酢酸(36.08mg、316.41μmol、24.38μL)のDCM(8mL)中混合物を、反応が完了したとLCMSにより示されるまで、N下でrtで2h撹拌し、セライトのパッドを通してEtOAcとともに反応混合物を濾過し、組み合わされた有機層を真空下で濃縮した。反応が完了した後、所望の生成物(S)-2-(4-(6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)-2-フルオロベンジル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸(4.1mg、7.12μmol、11.3%収率)を淡白色固体として得た。LCMS:[M+H]=575.8;HPLC保持時間(10mM NHHCO)=1.65min。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.25-8.24 (brs, 1H), 7.96 - 7.75 (m, 4H), 7.69 - 7.57 (m, 3H), 7.50 (dd, J = 10.0, 2.0 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.32 (dd, J = 8.2, 1.8 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.52 (s, 2H), 5.04 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.73 (dd, J = 15.5, 7.0 Hz, 1H), 4.60 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 4.54 - 4.46 (m, 2H), 4.37 (ddd, J = 18.5, 11.9, 11.3 Hz, 2H), 2.70 (dd, J = 12.1, 6.1 Hz, 1H), 2.41 - 2.29 (m,1 H).
調製方法B
Figure 2023546125000007
ステップ1:
2-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)酢酸(100g、429.12mmol)のメタノール(300mL)中溶液に、5℃の硫酸(11.5mL、98%純度)を添加した。溶液を加熱して8h還流させた。混合物をr.t.に冷却し、明らかな留出物がなくなるまで40℃で減圧下で溶媒を濃縮し、EA(500mL)で希釈し、水(200mL)で2回、かつ飽和NaHCO溶液で洗浄して、HSOを完全に中和した。組み合わされた有機をブラインで洗浄し、NaSOおよびMgSOで乾燥させた。シリカゲルの短いパッドを通して有機層を濾過し、組み合わされた有機濾液を濃縮して、さらなる精製なしに所望のエステル(104g、98.1%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.30 - 7.25 (m, 2H), 7.20 (t, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.63 (s,1 H).
ステップ2:
三口ビンに、メチル2-(4-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)アセテート(150g、607.14mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(185.01g、728.57mmol)、酢酸カリウム(119.17g、1.21mol)およびシクロペンチル(ジフェニル)ホスファン;ジクロロパラジウム;鉄(6.66g、9.11mmol)を順次添加した。ビンを吸引し、Nで2回膨張させた。1,4-ジオキサン(750mL)を添加し、混合物を吸引しNで1回膨張させた後、100℃で2h加熱した。反応混合物をr.t.に冷却し、セライトのパッドを通して濾過し、次いで明らかな留出物がなくなるまで35℃で真空下で濃縮した。残渣をPE/EA=4/1(600mL/150mL)で希釈し、シリカゲルのパッド(200メッシュ)を通して濾過し、PE/EA=4/1(360mL/90mL)で洗浄した。濾液を明らかな留出物がなくなるまで濃縮して、粗製Bpinエステル(純度158.9g、89%収率と算出)を得、さらなる精製なしに直接使用した。
LCMS:[M+H]=294.9
ステップ3:
(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メタノール(100g、622.77mmol)(1.0当量)、2-ブロモ-6-フルオロ-ピリジン(109.60g、622.77mmol、64.09mL)のTHF(500mL)中溶液に、N保護下で25±5℃で、水酸化ナトリウム(32.38g、809.60mmol、15.20mL)を添加した。混合物を16h撹拌した。HOAc(0.3当量)を系に0.5h添加した。DMF(500mL)を系に添加し、明らかな留出物がなくなるまで真空下で40℃で濃縮した。水(500mL)を系に添加し、濾過し、ケーキを水(300mL)で洗浄し、フィルターケーキを収集した。ケーキを45±5℃で真空下で16h乾燥させた。生成物を他色交じりの白色~白色固体(182.3g、92.5%)として得た。
LCMS:[M+H]=317.6
ステップ4:
三口ビンに、2-ブロモ-6-[(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メトキシ]ピリジン(171.0g、0.54mol)、炭酸二セシウム(352.1g、1.1mol)およびシクロペンチル(ジフェニル)ホスファン;ジクロロパラジウム;鉄(3.95g、5.4mmol)を順次添加した。ビンを吸引し、Nで2回膨張させた。上記の調製されたBpinエステルの1,4-ジオキサン(780mL)および水(195mL)中溶液を連続して添加し、混合物を吸引しNで1回膨張させた後、90℃で3h加熱した。反応混合物をr.t.に冷却し、セライトのパッドを通して濾過した。生じた混合物をEtOAc(3×1000mL)で抽出した。
組み合わされた有機相をブライン(400mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。真空下での揮発性物質の除去後、残渣をPE/EA=3/1(600mL/200mL)で希釈し、シリカゲルのパッド(2W、200メッシュ)を通して濾過し、PE/EA=4/1(800mL/200mL)で洗浄した。濾液を濃縮して、さらなる精製のための粗製エステルを得た。
LCMS:[M+H]=403.7
ステップ5:
メチル2-[4-[6-[(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メトキシ]-2-ピリジル]-2-フルオロ-フェニル]アセテート(150g、371.47mmol)のTHF/EtOH=900mL/300mL中撹拌溶液に、温度を25℃に維持して水酸化ナトリウム(29.72g、742.93mmol)の水(300mL)溶液を液滴で添加した。反応混合物を25℃で2h撹拌した後、25℃のHOAc(42.5mL)の水(300mL)溶液で処理した。生じた懸濁液を、明らかな留出物(distill)がなくなるまで濃縮した。白色固体を濾過し、水(2×600mL)で洗浄し、DMF/水=1/1(450mL/450mL)でスラリーにして所望の酸(137.5g、94.8%)を得た。
LCMS:[M+H]=389.7
ステップ6:
2-[4-[6-[(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メトキシ]-2-ピリジル]-2-フルオロ-フェニル]酢酸(117.8g、272.00mmol)、メチル4-アミノ-3-[[(2S)-オキセタン-2-イル]メチルアミノ]ベンゾエート(67.65g、272.00mmol)およびベンゾトリアゾル-1-イルオキシ(トリピロリジン-1-イル)ホスホニウム;ヘキサフルオロホスフェート(162.78g、312.80mmol)のDCM(590mL)中撹拌懸濁液に、10℃のN-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン(52.73g、408.00mmol、71.06mL)のDCM(120mL)中溶液を添加した。反応混合物を25℃まで徐々に温め、12h撹拌した後、5%水性NaHCO(480mL)でクエンチし、2h撹拌した。有機相をブライン(240mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液をシリカゲルのパッド(200メッシュ)に通し、PE/EA=2/1(200mL/100mL)で洗浄し、真空下で濃縮した。残渣をPE/EA=3/1(300mL/100mL)でスラリーにし、濾過してアミノ化生成物(165.4g、90.0%)を得た。
LCMS:[M+H]=607.7
ステップ7:
メチル4-[[2-[4-[6-[(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メトキシ]-2-ピリジル]-2-フルオロ-フェニル]アセチル]アミノ]-3-[[(2S)-オキセタン-2-イル]メチルアミノ]ベンゾエート(15.8g、25.99mmol)のジオキサン(75mL)中懸濁液を60℃に加熱して溶液を得た。溶液に60℃の酢酸(7.80g、129.93mmol、7.43mL)のジオキサン(15mL)中溶液を添加した。生じた溶液を60℃で24h加熱した後、25℃に冷却し、5%水性NaHCO(218mL)でクエンチした。生じた沈殿物をジオキサン/水系中で4hスラリーにし、濾過して粗製環化生成物を得た。78℃から25℃に冷却した後、粗生成物をEtOAc/PE=1/2(50mL/100mL)中で再結晶させて、純粋な生成物(14.6g、95.2%)を得た。
LCMS:[M+H]=589.7
ステップ8:
メチル2-[[4-[6-[(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)メトキシ]-2-ピリジル]-2-フルオロ-フェニル]メチル]-3-[[(2S)-オキセタン-2-イル]メチル]ベンゾイミダゾール-5-カルボキシレート(20g、33.90mmol)のTHF/MeOH=120mL/40mL中撹拌溶液に、温度を22℃に維持して、水酸化ナトリウムの水(40mL)溶液を液滴で添加した。反応混合物を22℃で12h撹拌した後、22℃のHOAc(7.9mL)の水(40mL、2V)溶液で処理した。生じた白色固体を濾過し、水(2×100mL)で洗浄し、THF/水=2/1(200mL/100mL)で結晶化させて、所望の酸化合物A(19.0g、97.3%)を得た。化合物Aを22℃で48h、アセトン中でスラリーにし、濾過し、次いで45±5℃で真空下で48h乾燥させて、化合物Aの形態Iを得た。
LCMS:[M+H]=575.7
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.23 (brs, 1H), 7.96 - 7.75 (m, 4H), 7.76 - 7.56 (m, 3H), 7.50 (dd, 1H), 7.42 (t, 1H), 7.31 (dd, 1H), 6.87 (d, 1H), 5.51 (s, 2H), 5.04 (d, 1H), 4.71 (dd, 1H), 4.58 (d, 1H), 4.56 - 4.45 (m, 2H), 4.42-4.35 (m, 2H), 2.71-2.66 (m, 1H), 2.39 - 2.36 (m,1 H).
実施例2.化合物A遊離酸の結晶形態Iの調製および特性決定
2.1.1 調製方法1
化合物Aの遊離酸(非晶質)約300mgをアセトン12mLに添加して懸濁液を形成した。懸濁液を20mLバイアル中で約20℃で約40時間撹拌し続けた(磁気撹拌)。固体を濾過により収集し、真空下で40℃で4時間乾燥させた。遊離酸形態I約250mgを得た。
2.1.2 調製方法2
化合物Aの遊離酸(非晶質)約20mgを溶媒(アセトン、トルエン、エタノールまたはメチルtert-ブチルエーテル)1mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約20℃で3日間撹拌し続けた(磁気撹拌)。固体試料を濾過により収集し、形態Iを得た。
2.1.3 調製方法3
化合物Aの遊離酸(非晶質)約20mgをメチルエチルケトン0.5mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約22℃で1週間撹拌し続けた(磁気撹拌)。固体試料を濾過により収集し、形態Iを得た。
2.1.4 調製方法4
化合物Aの遊離酸(非晶質)約20mgを2-メチルテトラヒドロフラン0.5mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約22℃で1週間撹拌し続けた(磁気撹拌)。固体試料を濾過により収集し、形態Iを得た。
2.1.5 調製方法5
化合物Aの遊離酸(非晶質)約20mgをIPA0.5mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約50℃で1週間撹拌し続けた(磁気撹拌)。固体試料を濾過により収集し、形態Iを得た。
2.2 特性決定
調製方法1から得られた生成物を、XRPD(図1)、TGA、DSC(図2)、DVS(図3)およびH-NMRにより特性決定した。
これは、遊離酸形態Iが無水物であることを示す。H-NMRにより有機溶媒は検出されなかった。TGAは、150℃までで顕著な重量喪失を示さなかった。DSCは200℃で1つの吸熱ピークを示し、これは試料の融解と関連していた。DVSデータ(図3)は、0~80%RHおよび0.6%~90%RHで約0.3%の重量変化を示し、遊離酸形態Iがわずかに吸湿性であることを示唆した。遊離酸形態Iの結晶形態は、DVS試験後も変化しないままであった。遊離酸形態Iの特性決定結果が表1に要約される。XRPDピークが表2に要約される。
Figure 2023546125000008
Figure 2023546125000009
実施例3.化合物A遊離酸の結晶形態Iの溶解度測定
遊離酸形態Iの溶解度を、生体関連媒体(模擬胃液(SGF)、空腹状態模擬腸液(FaSSIF)および満腹状態模擬腸液(FeSSIF))中で、37℃で最大24時間試験した。試料約15mgを秤量して試料バイアルに入れ、次いで生体関連媒体5.0mLを添加して懸濁液を作製した。調製された懸濁液を全て、QQMSC-100振とう機を用いて600rpmで37℃で振とうした。0.5、2および24時間時点で、各懸濁液約1000μLを濾過し、希釈し、次いで濾液をHPLCにより分析して溶解度を試験した。濾液のpHを測定し、フィルターケーキをXRPDにより分析した。
遊離酸形態IはSGFに不溶であった。溶解度研究は、FaSSIFおよびFeSSIF中の遊離酸の濃度が、0.5h時点で約5および10μg/mLであることを示した。遊離酸形態IのXRPDパターンは、溶解度研究後も変化しなかった。結果が表3に要約される。
Figure 2023546125000010
実施例4.化合物A遊離酸の結晶形態Iの固体状態の安定性研究
遊離酸形態I約25mgを、60℃/蓋をした状態および40℃/75%RH(蓋をしない状態)条件で最大12日間配置した。0および7日目、試料を希釈液に溶解させて、HPLC純度分析用の0.5mg/mL溶液を調製した。固体試料をXRPDにより分析して、12日目の結晶形態を調べた。
結果が表4に要約される。遊離酸形態Iは、60℃/蓋をした状態および40℃/75%RHで12日間物理的におよび化学的に安定であった。
Figure 2023546125000011
実施例5.化合物A遊離酸の結晶形態IIの調製および特性決定
5.1.1 調製方法1
化合物Aの遊離酸(非晶質)約20mgをアセトニトリル1mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約20℃で3日間撹拌し続けた。固体試料を濾過により収集し、形態IIを得た。
5.1.2 調製方法2
化合物Aの遊離酸(非晶質)約20mgを酢酸イソプロピル0.5mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約50℃で1週間撹拌し続けた、固体試料を濾過により収集し、形態IIを得た。
5.2 特性決定(Charterization)
得られた生成物を、XRPD(図4)、TGA、DSC(図5)、DVSおよびH-NMRにより特性決定した。
これは、遊離酸形態IIが無水物であることを示す。100℃までの重量喪失はほとんどなかった。約205℃での吸熱ピークが検出され、これは試料の融解と関連していた。XRPDピークが表5に要約される。
Figure 2023546125000012
実施例6.化合物A遊離酸の結晶形態IIIの調製および特性決定
6.1.1 調製方法1
化合物Aの遊離酸(非晶質)約20mgをメタノール1mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約20℃で3日間撹拌し続けた。固体試料を濾過により収集し、形態IIIを得た。
6.1.2 調製方法2
化合物Aの遊離酸(非晶質)約20mgを水1mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約20℃で3日間撹拌し続けた。固体試料を濾過により収集し、形態IIIを得た。
6.1.3 調製方法3
化合物A遊離酸の形態I約20mgをDMF0.2mLに溶解させて透明な溶液を得た。濾過後、薬物溶液を水1mLに液滴で添加した。固体試料を濾過により収集し、形態IIIを得た。
6.2特性決定
得られた生成物を、XRPD(図6)、TGA、DSC(図7)およびH-NMRにより特性決定した。
これは、遊離酸形態IIIが水和物であることを示す。0.1%MeOHのみがNMRにより検出された。130℃までで約4.9%の重量喪失があり(約1.6当量HO)、これは脱水によるものである可能性がある。複数の熱イベントがDSC曲線で観察された。約160℃での発熱ピーク後に吸熱ピークが検出され、加熱時の相転移を示した。XRPDピークが表6に要約される。
Figure 2023546125000013
Figure 2023546125000014
実施例7.化合物A遊離酸の結晶形態IVの調製および特性決定
7.1 調製方法
化合物A遊離酸の形態I約30mgをEA0.4mLに添加して懸濁液を作製した。懸濁液を約50℃で5日間撹拌し続けた。固体試料を濾過により収集し、形態IVを得た。
7.2 特性決定
得られた生成物を、XRPD(図8)、DSC(図9)、TGA(図10)およびH-NMRにより特性決定した。
これは、遊離酸形態IVが無水物であることを示す。H-NMRにより有機溶媒は検出されなかった。TGAは、150℃までで顕著な重量喪失を示さなかった。DSCは196.8℃で1つの吸熱ピークを示し、これは試料の融解と関連していた。XRPDピークが表7に要約される。
Figure 2023546125000015

Claims (21)

  1. 化合物Aの結晶形態Iであって、
    Figure 2023546125000016
    2θで11.4°、12.7°、18.1°、および18.3°±0.2から選択されるピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンにより特徴づけられる、結晶形態I。
  2. X線粉末回折パターンが、2θで4.9°、11.8°、および21.5°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含む、請求項1に記載の結晶形態I。
  3. X線粉末回折パターンが、2θで15.8°、18.8°、および23.0°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含む、請求項1または2に記載の結晶形態I。
  4. X線粉末回折パターンが、2θで4.9°、11.4°、11.8°、12.7°、15.8°、18.1°、18.3°、18.8°、21.5°、および23.0°±0.2でのピークを含む、請求項1に記載の結晶形態I。
  5. 示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度200±3℃により特徴づけられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶形態I。
  6. 化合物Aの少なくとも90重量%が結晶形態Iである、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形態I。
  7. 化合物Aの結晶形態IIであって、
    Figure 2023546125000017
    2θで11.4°、12.0°、12.9°、18.6°、および20.4°±0.2から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる、結晶形態II。
  8. X線粉末回折パターンが、2θで18.1°および/または21.5°±0.2でのピークを含まない、請求項7に記載の結晶形態II。
  9. X線粉末回折パターンが、2θで4.9°、7.7°、15.8°、および25.9°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含む、請求項7または8に記載の結晶形態II。
  10. 2θで4.9°、7.7°、11.4°、12.0°、12.9°、15.8°、18.6°、20.4°、および25.9°±0.2でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる、請求項7から9のいずれか一項に記載の結晶形態II。
  11. 示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度205±3℃により特徴づけられる、請求項7から10のいずれか一項に記載の結晶形態II。
  12. 化合物Aの少なくとも90重量%が結晶形態IIである、請求項7から11のいずれか一項に記載の結晶形態II。
  13. 化合物Aの結晶形態IIIであって、
    Figure 2023546125000018
    2θで9.8°、13.3°、17.3°、および18.1°±0.2から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる、結晶形態III。
  14. X線粉末回折パターンが、2θで11.7°、14.2°、24.7°、26.3および27.7°±0.2での1つまたは複数のピークをさらに含む、請求項13に記載の結晶形態III。
  15. 2θで9.8°、11.7°、13.3°、14.2°、17.3°、18.1°、24.7°、26.3°、および27.7°±0.2でのピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられる、請求項13に記載の結晶形態III。
  16. 示差走査熱量計(DSC)ピーク相転移温度204±3℃により特徴づけられる、請求項13から15のいずれか一項に記載の結晶形態III。
  17. 水和物である、請求項13から16のいずれか一項に記載の結晶形態III。
  18. 化合物Aの少なくとも90重量%が結晶形態IIIである、請求項13から17のいずれか一項に記載の結晶形態III。
  19. 請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物Aの結晶形態、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  20. 疾患または状態を治療または予防する方法であって、治療有効量の、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物Aの結晶形態、またはその医薬組成物を、治療を必要とする対象に投与するステップを含み、疾患または状態が、T1D、T2DM、糖尿病前症、特発性T1D、LADA、EOD、YOAD、MODY、栄養不良関連糖尿病、妊娠糖尿病、高血糖、インスリン抵抗性、肝インスリン抵抗性、耐糖能異常、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、腎疾患、糖尿病性網膜症、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、睡眠時無呼吸、肥満、摂食障害、他の薬剤の使用による体重増加、過剰な糖渇望、脂質異常症、高インスリン血症、NAFLD、NASH、線維症、肝硬変、肝細胞癌、心血管疾患、粥状硬化症、冠動脈疾患、末梢血管疾患、高血圧、内皮機能障害、血管コンプライアンス障害、うっ血性心不全、心筋梗塞、脳卒中、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、肺高血圧、血管形成術後の再狭窄、間欠性跛行、食後脂血症、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、骨粗しょう症、パーキンソン病、左室肥大、末梢動脈疾患、黄斑変性症、白内障、糸球体硬化症、慢性腎不全、メタボリックシンドローム、シンドロームX、月経前症候群、狭心症、血栓症、粥状硬化症、一過性脳虚血発作、血管再狭窄、糖代謝異常、空腹時血漿血糖異常の状態、高尿酸血症、痛風、勃起障害、皮膚および結合組織障害、乾癬、足部潰瘍、潰瘍性大腸炎、高アポBリポタンパク血症、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害、炎症性腸疾患、短腸症候群、クローン病、大腸炎、過敏性腸症候群、多嚢胞性卵巣症候群、または依存症である、方法。
  21. 疾患または状態を治療するための医薬を必要とする対象における疾患または状態を治療するための医薬の製造における、治療有効量の、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物Aの結晶形態、またはその医薬組成物の使用であって、疾患または状態が、T1D、T2DM、糖尿病前症、特発性T1D、LADA、EOD、YOAD、MODY、栄養不良関連糖尿病、妊娠糖尿病、高血糖、インスリン抵抗性、肝インスリン抵抗性、耐糖能異常、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、腎疾患、糖尿病性網膜症、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、睡眠時無呼吸、肥満、摂食障害、他の薬剤の使用による体重増加、過剰な糖渇望、脂質異常症、高インスリン血症、NAFLD、NASH、線維症、肝硬変、肝細胞癌、心血管疾患、粥状硬化症、冠動脈疾患、末梢血管疾患、高血圧、内皮機能障害、血管コンプライアンス障害、うっ血性心不全、心筋梗塞、脳卒中、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、肺高血圧、血管形成術後の再狭窄、間欠性跛行、食後脂血症、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、骨粗しょう症、パーキンソン病、左室肥大、末梢動脈疾患、黄斑変性症、白内障、糸球体硬化症、慢性腎不全、メタボリックシンドローム、シンドロームX、月経前症候群、狭心症、血栓症、粥状硬化症、一過性脳虚血発作、血管再狭窄、糖代謝異常、空腹時血漿血糖異常の状態、高尿酸血症、痛風、勃起障害、皮膚および結合組織障害、乾癬、足部潰瘍、潰瘍性大腸炎、高アポBリポタンパク血症、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害、炎症性腸疾患、短腸症候群、クローン病、大腸炎、過敏性腸症候群、多嚢胞性卵巣症候群、または依存症である、使用。
JP2023523059A 2020-10-14 2021-10-13 Glp-1rアゴニストの結晶形態およびその使用 Pending JP2023546125A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CNPCT/CN2020/120814 2020-10-14
CN2020120814 2020-10-14
PCT/CN2021/123387 WO2022078352A1 (en) 2020-10-14 2021-10-13 Crystal forms of glp-1r agonists and uses thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023546125A true JP2023546125A (ja) 2023-11-01

Family

ID=78401981

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023523059A Pending JP2023546125A (ja) 2020-10-14 2021-10-13 Glp-1rアゴニストの結晶形態およびその使用

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20230382899A1 (ja)
EP (1) EP4228753A1 (ja)
JP (1) JP2023546125A (ja)
CN (1) CN116710446A (ja)
AU (1) AU2021359493A1 (ja)
CA (1) CA3195264A1 (ja)
TW (1) TW202227421A (ja)
WO (1) WO2022078352A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114761395A (zh) * 2019-12-02 2022-07-15 现代药品株式会社 Glp-1受体激动剂
CN117362282A (zh) * 2022-07-07 2024-01-09 杭州德睿智药科技有限公司 Glp-1r激动剂的盐及其制备方法和应用
WO2024017266A1 (zh) * 2022-07-18 2024-01-25 德睿智药(苏州)新药研发有限公司 一种glp-1r激动剂的多晶型物及其制备方法与用途

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3773919A (en) 1969-10-23 1973-11-20 Du Pont Polylactide-drug mixtures
US4485045A (en) 1981-07-06 1984-11-27 Research Corporation Synthetic phosphatidyl cholines useful in forming liposomes
US4544545A (en) 1983-06-20 1985-10-01 Trustees University Of Massachusetts Liposomes containing modified cholesterol for organ targeting
US5013556A (en) 1989-10-20 1991-05-07 Liposome Technology, Inc. Liposomes with enhanced circulation time
KR102314286B1 (ko) * 2016-12-16 2021-10-21 화이자 인코포레이티드 Glp-1 수용체 작용제 및 이의 용도
PE20220143A1 (es) * 2019-04-12 2022-01-27 Qilu Regor Therapeutics Inc Agonistas de glp-1r y usos de los mismos

Also Published As

Publication number Publication date
CA3195264A1 (en) 2022-04-21
CN116710446A (zh) 2023-09-05
WO2022078352A1 (en) 2022-04-21
EP4228753A1 (en) 2023-08-23
US20230382899A1 (en) 2023-11-30
AU2021359493A1 (en) 2023-06-15
TW202227421A (zh) 2022-07-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230203023A1 (en) Salt and crystal forms of glp-1r agonists and uses thereof
RU2740135C1 (ru) Агонисты рецептора glp-1 и их применение
CN113227068B (zh) Glp-1r激动剂及其用途
JP2023546125A (ja) Glp-1rアゴニストの結晶形態およびその使用
TWI809334B (zh) 2-((4-((S)-2-(5-氯吡啶-2-基)-2-甲基苯并〔d〕〔1,3〕二氧呃-4-基)哌啶-1-基)甲基)-1-(((S)-氧呾-2-基)甲基)-1H-苯并〔d〕咪唑-6-羧酸1,3-二羥基-2-(羥基甲基)丙烷-2-胺鹽之固體形式
TW202214622A (zh) Glp-1r促效劑及其用途
TWI839416B (zh) Glp-1r促效劑及其用途
WO2023164050A1 (en) Compounds as glp-1r agonists
JP2023035972A (ja) 2-[(4-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-2-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2s)-オキセタン-2-イルメチル]-1h-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸、1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-アミン塩の固体形態
WO2023111817A1 (en) Crystalline forms of [(1r,5s,6r)-3-{2-[(2s)-2-methylazetidin-1-yl]-6-(trifluoromethyl) pyrimidin-4-yl}-3-azabicyclo[3.1.0]hex-6-yl]acetic acid
KR20240068737A (ko) Glp-1r 효능제로서의 벤즈이미다졸 카복실산