JP2023544698A - ペットフード組成物のための天然ヒドロコロイド系、それを含むペットフード組成物、及びその調製物 - Google Patents

Abstract

天然ヒドロコロイド系は、例えばペットフード組成物に使用することができる。本開示の別の態様は、このような天然ヒドロコロイド系を含むペットフード組成物、及びその調製方法である。ヒドロコロイド系は、柑橘類繊維及びリンゴ繊維などの果実繊維、並びに／又は、サイリウム、オクラ、チア、亜麻仁、若しくは海藻などの植物系多糖類のブレンドを使用することができ、既存のグレイビーに匹敵する機能性を有するグレイビー及び更にはゼリーも提供することができる。ブレンドは、現在使用されているヒドロコロイドに取って代わることができ、天然のクリーンラベルを用いて新しいレシピで使用することができる。
【選択図】 図１

Description

関連出願の相互参照
[0001]本願は、２０２０年１０月２日に出願された米国特許仮出願第６３／０８６，６２９号の優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。

[0002]本開示は、全般的に、ペットフード、特にウェットペットフードを製造するために使用することができるグレイビー／ゲルのための植物系多糖類及び果実繊維の相乗効果を使用する、組成物及び方法に関する。

[0003]ヒドロコロイド系を用いる市販のペットフード組成物、例えば、チャンク・イン・ゼリーのキャットフード組成物の多くでは、ゼリーのテクスチャーを加工性及び嗜好性の両方に関して望むものにするために、カッパカラギーナン、アルギネート、アガー、又はジェランガムなどの、ゲル化するヒドロコロイドを単独で又は組み合わせて用いている。他の市販のペットフード組成物は、増粘剤としてグアーガム及びキサンタンガム単独などのヒドロコロイド系を使用する。

[0004]更に、ペットフードは、栄養を充足するものである必要があり、また消化についての問題を全く生じさせないものである必要がある。ペットフードに含まれる大量のヒドロコロイドは、消化に有害な影響（例えば、低糞便スコア）を及ぼすことが知られている。

[0005]消費者は、望ましくない添加物の使用に関してますます懸念を抱くようになっている。しかしながら、現在、化学修飾ヒドロコロイドなどの化学添加剤の量を、製品品質に悪影響を及ぼさずに低減するための人工的でない（ｎａｔｕｒａｌ）解決策はほとんどない。欠点としては、缶内でのチャンクの沈降、並びに缶が充填されたときのグレイビー及びチャンクの量のばらつき（ｉｎｃｏｎｓｉｓｔｅｎｃｉｅｓ）が挙げられる。

［発明の概要］
[0006]本発明者らは、製品の外観、テクスチャー、及び嗜好性に関して同様の又は向上した品質をもたらす、ウェットペットフード製品に使用される既存のヒドロコロイド系に対する天然の原材料代替物を開発する必要があることについて認識した。結果として、本発明者らは、特にゲル化、増粘及び粘度の機能を有し、化学添加剤に取って代わる新しい天然代替物を開発した。

[0007]本開示は、全般的に、植物系多糖類の特性と果実繊維の特性との相乗効果を使用して、ペットフード、特にウェットペットフードの製造に使用することができるグレイビー／ゲルに高粘度をもたらすことに関する。開発した製品及び方法は、現在利用可能なレシピと同じテクスチャー特性をもたらし、新しい工場設備又はプロセスは回避して、通常と同じ方法で処理することができる。開発した製品及び方法では、添加剤とみなされずにクリーンラベルを提供し、栄養及び健康特性並びに良好な消費者受容を有する、天然原材料を使用する。

[0008]したがって、全般的実施形態において、本開示は、ヒドロコロイド系の調製方法を提供する。本方法は、果実繊維を水に可溶にして、果実繊維溶液を調製することと、植物系多糖類を水に可溶にして、多糖類溶液を調製することと、果実繊維溶液と多糖類溶液とを混合して、果実繊維と植物系多糖類とを含むヒドロコロイド系を調製することと、を含んでもよい。果実繊維及び／又は植物系多糖類を水に可溶にすることは、高剪断ミキサーを用いて、例えば、約５０００～７０００ｒｐｍで行うことができる。果実繊維溶液と多糖類溶液との混合は、果実繊維溶液を多糖類溶液に注ぎ入れることを含んでもよい。ヒドロコロイド系は、熱処理などによって滅菌することができる。

[0009]いくつかの実施形態において、果実繊維溶液中の果実繊維の濃度は、約０．１重量％～約２重量％、約０．７５重量％～約１．５重量％又は約１重量％である。

[0010]いくつかの実施形態において、多糖類溶液中の植物系多糖類の濃度は、約０．１重量％～約１重量％、又は約０．４重量％～約０．５重量％である。

[0011]一実施形態において、果実繊維は、柑橘類繊維又はリンゴ繊維のうちの少なくとも１つを含む。

[0012]一実施形態において、植物系多糖類は、サイリウム、オクラ、海藻、チア、亜麻仁、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む。

[0013]いくつかの実施形態において、植物系多糖類は海藻を含む。いくつかの実施形態において、海草は、ユーケウマ・コットニー（Ｅｕｃｈｅｕｍａ ｃｏｔｔｏｎｉｉ）、ユーケウマ・スピノサム（Ｅｕｃｈｅｕｍａ ｓｐｉｎｏｓｕｍ）、オゴノリ（Ｇｒａｃｉｌａｒｉａ ｖｅｒｒｕｃｏｓａ）、コンドラス・クリスパス（Ｃｈｏｎｄｒｕｓ ｃｒｉｓｐｕｓ）、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む。一実施形態において、海藻はユーケウマ・コットニーである。

[0014]一実施形態において、ヒドロコロイド系はカルシウム源を更に含む。

[0015]別の実施形態において、本開示は、果実繊維及び植物系多糖類を含む、ヒドロコロイド系を提供する。

[0016]別の実施形態において、本開示は、ペットフード組成物を調製する方法を提供する。本方法は、ヒドロコロイド系を含むグレイビー又はゼリーを調製することと、食品チャンクを調製することと、食品チャンクをグレイビー又はゼリーに混合して、ペットフード組成物を調製することと、を含んでもよい。

[0017]一実施形態において、ペットフード組成物は、約２５重量％～約７５重量％のグレイビー又はゼリー、及び約２５重量％～約７５重量％の食品チャンクを含む。別の実施形態において、ペットフード組成物は、約６０重量％のグレイビー又はゼリー、及び約４０重量％のペットフードチャンクを含む。

[0018]別の実施形態において、本開示は、ヒドロコロイド系及び食品チャンクを含むグレイビー又はゼリーを含む、ペットフード組成物を提供する。

[0019]本開示の利点は、様々な食品用途において一般的に使用される安定剤及び水結合剤に対する天然のクリーンラベル代替物を提供することである。

[0020]本開示の別の利点は、既存のヒドロコロイドに対するクリーンラベル代替物を提供することである。

[0021]本開示の更に別の利点は、クリーンな天然原材料を使用する、ペットフード製品などの組成物を提供することである。

[0022]本開示の更なる利点は、健康上の利益をもたらす、ペットフード製品などの組成物を提供することである。

[0023]本開示の別の利点は、消費者にとってより訴求力のある、ペットフード製品などの組成物を提供することである。

[0024]本開示の別の利点は、クリーンな天然原材料を使用する、ペットフード製品などの組成物を調製するためのプロセスを提供することである。

[0025]本開示の更に別の利点は、健康上の利益をもたらす、ペットフード製品などの組成物を調製するためのプロセスを提供することである。

[0026]追加の特徴及び利点は、以降の発明の詳細な説明及び図面に記載され、これらにより明らかとなろう。

ＣａＣｌ_２及びＫＣｌを用いる場合と用いない場合の、柑橘類繊維、サイリウム及びこれらの組み合わせを含む、チャンク・イン・グレイビー製品を示す。 ＣａＣｌ_２及びＫＣｌを用いる場合と用いない場合の、柑橘類繊維と紅藻との組み合わせを含む、チャンク・イン・グレイビー製品を示す。

[0029]パーセンテージは全て、特に明記しない限り組成物の総重量に対する重量によるものとする。同様に、比は全て、特に明記しない限り重量によるものとする。ｐＨについての参照がなされる場合には、値は標準的な装置により２５℃にて測定されるｐＨに相当する。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値のある範囲内、例えば、参照数字の－１０％から＋１０％の範囲内、好ましくは参照数字の－５％から＋５％の範囲内、より好ましくは、参照数字の－１％から＋１％の範囲内、最も好ましくは参照数字の－０．１％から＋０．１％の範囲内の数を指すものと理解される。

[0030]更に、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数（ｉｎｔｅｇｅｒｓ）、整数（ｗｈｏｌｅ）又は分数、を含むものと理解されたい。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、１～１０という開示は、１～８、３～７、１～９、３．６～４．６、３．５～９．９などの範囲をサポートするものと解釈されたい。

[0031]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、別途文脈が明らかに示していない限り、単数形の単語は複数形を含む。したがって、「１つの」、「ある」、及び「当該」（「ａ」、「ａｎ」及び「ｔｈｅ」）の言及には、概してそれぞれの用語の複数形が包含される。例えば、「原材料（ａｎ ｉｎｇｒｅｄｉｅｎｔ）」又は「方法（ａ ｍｅｔｈｏｄ）」への言及には、複数のこのような「原材料」又は「方法」が含まれる。「Ｘ及び／又はＹ（Ｘ ａｎｄ／ｏｒ Ｙ）」の文脈にて使用される用語「及び／又は（ａｎｄ／ｏｒ）」は、「Ｘ」又は「Ｙ」又は「Ｘ及びＹ」と解釈されるべきである。

[0032]同様に、「含む（ｃｏｍｐｒｉｓｅ）」、「含む（ｃｏｍｐｒｉｓｅｓ）」、及び「含んでいる（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」という単語は、排他的にではなく、他を含み得るものであると解釈されるべきである。同様にして、用語「含有する（ｉｎｃｌｕｄｅ）」、「含有する（ｉｎｃｌｕｄｉｎｇ）」及び「又は（ｏｒ）」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を含み得るものであると解釈されるべきである。しかしながら、本開示により提供される実施形態は、本明細書で具体的に開示されない任意の要素を含まない場合がある。したがって、用語「含んでいる／から構成される（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」を用いて規定される実施形態の開示は、開示される構成要素「から本質的になる」、及び「からなる」実施形態の開示でもある。本明細書で使用するとき、用語「例（ｅｘａｍｐｌｅ）」は、特に、後に用語の列挙が続く場合には、単に例示的なものであり、また説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであるとみなすべきではない。本明細書で開示される全ての実施形態は、特に明示的に示されない限り、本明細書で開示される任意の別の実施形態と組み合わせることができる。

[0033]本明細書で表される全てのパーセンテージは、本明細書に明記されているように、グレイビー、剪断されたゲルグレイビー、ペットフード組成物、又はチャンク・イン・ゼリーのペットフード組成物における総重量％を指す。最終組成物は、特に明記しない限り、水を含む。実施例におけるレシピは、どの程度の重量％であるのかについて当業者が理解するための例を示す。「量」は、参照された成分の、組成物１食分当たりの総量若しくは組成物の別個の単位当たりの総量であってよく、及び／又は参照された構成成分の、乾燥重量による重量％であってよい。更に、「量」は、ゼロを含み；例えば、化合物の量の記述は、ゼロを除外する範囲を伴わない限り、化合物が存在することを必ずしも意味しない。

[0034]「動物」には、齧歯類、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの飼育動物、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマなどの家畜、並びにヒトを含むがこれらに限定されない哺乳動物が含まれるが、これらに限定されない。「動物」、「哺乳動物」、又はこれらの複数形が用いられる場合、これらの用語には、本節の文脈により効果が示され得る、又は示されるように意図され得るあらゆる動物が当てはまる。

[0035]用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」とは、動物による摂取を意図し、その動物に少なくとも１種の栄養素を提供する、製品又は組成物を意味する。更に、この点において、これらの用語は、当該製品又は組成物が、摂取の準備が整った形態であること、及びそれを元に摂取可能な製品又は組成物が作られる単なる中間製品ではないこと、を意味しているものの、いくつかの実施形態において、他の食品組成物を加えることができる。用語「ペットフード」又は「ペットフード組成物」とは、ペットによる摂取が意図される任意の食品組成物を意味する。用語「ペット」とは、本開示により提供される組成物から恩恵を得られる、又はかかる組成物を堪能することのできる、任意の動物を意味する。例えば、ペットは、鳥類、ウシ科動物、イヌ科動物、ウマ科動物、ネコ科動物、ヤギ、オオカミ科動物、ネズミ、ヒツジ又はブタといった動物であってもよいが、ペットは任意の好適な動物であり得る。本明細書に記載の多くの実施形態を含む本開示の組成物は、本明細書に記載の必須成分（ｅｓｓｅｎｔｉａｌ ｅｌｅｍｅｎｔｓ）及び制限に加え、本明細書に記載の、又はそうでなければ食事療法に有用な、任意の追加の若しくは任意選択的な原材料、構成成分、又は制限を含んでよく、これらから構成されてよく、又は本質的にこれらから構成されてよい。

[0036]本明細書で使用するとき、「完全栄養」は、その組成物が投与される動物にとって、唯一の栄養源とするのに十分な、十分な種類及び量の主要栄養素（タンパク質、脂肪及び炭水化物）及び微量栄養素を含有する。個体は、そのような完全栄養組成物から、当該個体の栄養必要量の１００％を受容可能である。用語「完全かつバランスのとれた」は、食品組成物について言及する場合、動物栄養学の分野で認められた権威の推奨に基づき、既知の必要な栄養素の全てを、適切な量及び割合で含有しており、したがって、栄養補給源を追加せずとも、生命を維持し、又は生産を促進するための食餌摂取の唯一の供給源としての役割を果たすことができる、食品組成物を意味する。栄養バランスのとれたペットフード及び動物の食餌組成物は公知であり、当該技術分野において広く利用されており、例えば、米国飼料検査官協会（ＡＡＦＣＯ）によって確立された基準に従って配合された、完全かつバランスのとれた食品組成物がある。

[0037]「ウェットフード」とは、含水率が約５０％～約９０％、一態様では約７０％～約９０％であるペットフードを意味する。「ドライフード」とは、含水率が約２０％未満、一態様では約１５％未満、特定の態様では約１０％未満であるペットフードを意味する。「セミモイストフード」とは、含水率が約２０％～約５０％、一態様では約２５％～約３５％であるペットフードを意味する。

[0038]「グレイビー」は、熱処理後の冷却時にゼリーになる、粘稠な液体を指す。本明細書で使用するとき、用語「チャンク・イン・ゼリー」は、食品チャンクから構成されており、おおよその比を２５／７５～約６０／４０としてゼリーと混合された、食品製品を指す。本明細書で使用するとき、「ヒドロコロイド系」は、グレイビー、ゼリー、及び他の半固形組成物を指す。本明細書で使用するとき、用語「半固形」は、物理的特性が液体のそれと固体のそれとの間にある材料を指す。

[0039]本明細書で使用するとき、用語「チャンク・イン・ゼリーのペットフード組成物」は、食品チャンクから構成されており、おおよその比を２５／７５～約６０／４０としてゼリーと混合された、ペットフード製品を指す。

[0040]本明細書で使用するとき、用語「機械的に破砕された海藻」は、典型的には、すりつぶされた海藻、粉砕された海藻、切断された海藻を指す。好ましくは、すりつぶし、粉砕し、又は切断した後のそれぞれの海藻片の最大平均径（ｔｈｅ ｍａｘｉｍｕｍ ａｖｅｒａｇｅ ｌｏｎｇｅｓｔ ｄｉａｍｅｔｅｒ）は、１５０μｍ～３ｍｍの間である。いずれも化学的に変性された、例えばアルカリ処理された、カラギーナン及び／又は半精製カラギーナンとは対照的に、海藻は水洗されている。機械的に破砕された海藻は、化学的に変性されたものではない。

[0041]用語「カリウム源」は、カリウムイオンを含有する任意の化合物を指す。一実施形態において、カリウム源は、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。

[0042]用語「カルシウム源」は、カルシウムイオンを含有する任意の化合物を指す。一実施形態において、カルシウム源は、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。

[0043]本明細書で使用するとき、用語「容器」は、缶、パウチ、又はトレーを指すことがある。

[0044]用語「植物性タンパク質」は、当該技術分野において既知の植物由来のタンパク質を指す。一実施形態において、植物性タンパク質は、小麦グルテン、エンドウ豆タンパク質、卵タンパク質、大豆タンパク質、及びこれらの混合物からなる群から選択される。

[0045]「シネレシス」という用語は、多糖類ヒドロゲルの構造から水が自然に放出される現象を指す。

[0046]本明細書で使用するとき、用語「粘着性」は、グレイビー又はゼリーが組成物の他の構成成分に接着する能力を指す。粘着性は、溶液を指で試験することによって実験により評価した。粘着性は１～５の尺度で評価し、１は粘着性がなく、５は非常に粘着性があるとした。

[0047]「ゲル」という用語は、１つ以上の多糖類と水との相互作用によって形成される固形又は半固形マトリックスを意味し、少なくとも数分の時間スケールにわたって自立し、変形力を受けると弾性的に部分的に変形する（弾性ゲル）。脆性ゲルは、圧力が加えられたときに（部分的に変形するのではなく）壊れるゲルである。より技術的な用語では、ゲル化点は、１Ｈｚの振動数でＧ’（貯蔵弾性率）＝Ｇ’’（粘性率）であるときに達成され、組成物は、１Ｈｚの振動数でＧ’＞Ｇ’’であるときにゲル構造を達成する。

[0048]本明細書では、食品チャンクとして用いられる肉及び肉副産物は、屠殺された温血動物の、新鮮な状態の又は適切な処理によって保存されたあらゆる肉質部分、及び温血動物の体又は体の部分の加工から生じたあらゆる製品及び副産物であることを意味すると理解される。肉は特に、鶏、ウサギ、ウシ、又は羊からの肉、及び臓物を意味すると理解される。臓物は、肺葉、及び肝臓又は腎臓を意味すると理解される。肉副産物は、上述の動物の枝肉から得られたミール／粉を意味すると理解される。本明細書では、魚及び魚副産物は、肉及び肉副産物の定義に含まれると見なされる。魚及び魚副産物は、新鮮な状態の、又は適切な処理によって保存された、魚又は魚の部分、及びそれらの加工の副産物を意味すると理解される。サケ又はイワシは、魚として用いることができ、魚粉は、副産物として用いることができる。

[0049]本明細書で説明される実施形態は、製品と方法とで互換的に用いることができる。例えば、ヒドロコロイド系の製造方法、又はチャンク・イン・ゼリー配合物の製造方法などの方法の文脈で説明されるヒドロコロイド増粘剤はまた、製品、例えば、グレイビー系、チャンク・イン・ゼリー系、又はヒドロコロイド系の文脈においても用いることができる。

[0050]本明細書で開示される組成物には、本明細書にて具体的に開示されない任意の要素が存在しない場合がある。したがって、「含んでいる／備えている／から構成される（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「から本質的になる（ｃｏｎｓｉｓｔｉｎｇ ｅｓｓｅｎｔｉａｌｌｙ ｏｆ）」実施形態、及び特定されている構成要素「からなる（ｃｏｎｓｉｓｔｉｎｇ ｏｆ）」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示される方法には、本明細書において具体的に開示されない任意の工程が存在しない場合がある。したがって、「含んでいる／から構成される」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「から本質的になる」実施形態、及び特定されている工程「からなる」実施形態の開示を含む。別途記載のない限り及び直接的に明言のない限り、本明細書に開示される任意の実施形態を、本明細書に開示される任意の他の実施形態と組み合わせることもできる。

[0051]別途記載のない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語、並びにいかなる略語も、本発明の属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同様の意味を有する。本明細書に記載のものに類似又は等価の任意の組成物、方法、製品、又はその他の手法若しくは材料を本発明の実施に使用できるが、好ましい組成物、方法、製品、又はその他の手法若しくは材料が本明細書に記載される。

[0052]本開示の別の態様は、ヒドロコロイド系を調製する方法である。本方法は、果実繊維を水に可溶にして、果実繊維溶液を調製することと、植物系多糖類を水に可溶にして、多糖類溶液を調製することと、果実繊維溶液と多糖類溶液とを混合して、果実繊維と植物系多糖類とを含むヒドロコロイド系を調製することと、を含んでもよい。果実繊維及び／又は植物系多糖類を水に可溶にすることは、高剪断ミキサーを用いて、例えば、約５０００～７０００ｒｐｍで行うことができる。果実繊維溶液と多糖類溶液との混合は、果実繊維溶液を多糖類溶液に注ぎ入れることを含んでもよい。ヒドロコロイド系は、熱処理などによって滅菌することができる。滅菌（レトルト処理）後、粘度ゲル化特性及び他の特性は機能的に残っていた。

[0053]あるいは、ヒドロコロイド系を調製する方法は、果実繊維及び植物系多糖類を同じ水に可溶にすることと、高剪断ミキサーを用いて、例えば約５０００～７０００で混合することと、を含んでもよい。水は、冷水であっても熱水であってもよい。得られた溶液を５～１０分間煮沸してもよい。

[0054]調製されたヒドロコロイド系は、２０００ｍＰａ・ｓ超、２０００～６０００ｍＰａ・ｓ、例えば２０００～４０００ｍＰａ・ｓ、３０００～５０００ｍＰａ・ｓ、４０００～６０００ｍＰａ・ｓ、２０００～３０００ｍＰａ・ｓ、３０００～４０００ｍＰａ・ｓ、４０００～５０００ｍＰａ・ｓ、５０００～６０００ｍＰａ・ｓ、２０００～２５００ｍＰａ・ｓ、２５００～３０００ｍＰａ・ｓ、３０００～３５００ｍＰａ・ｓ、３５００～４０００ｍＰａ・ｓ、４０００～４５００ｍＰａ・ｓ、４５００～５０００ｍＰａ・ｓ、５０００～５５００ｍＰａ・ｓ、５５００～６０００ｍＰａ・ｓ、６０００～６５００ｍＰａ・ｓ、６５００～７０００ｍＰａ・ｓ、７０００～７５００ｍＰａ・ｓ、７５００～８０００ｍＰａ・ｓ、８０００～８５００ｍＰａ・ｓ．８５００～９０００ｍＰａ・ｓ、９０００～９５００ｍＰａ・ｓ、９５００～１０，０００ｍＰａ・ｓの粘度を有し得る。

[0055]いくつかの実施形態において、ヒドロコロイド系がチャンク・アンド・ゼリー又はチャンク・アンド・グレイビー製品に使用される場合、所望の粘度は容器充填プロセスに応じて異なる。例えば、２ステップ充填プロセスを使用する場合、２０００ｍＰａ・ｓ未満、又は１０００ｍＰａ・ｓ未満の粘度を有することが望ましい場合がある。２ステップ充填プロセスでは、最初にチャンク組成物を容器に入れ、続いてグレイビー組成物又はゼリー組成物を添加する。粘性の低い組成物により、流動が容易になる。１ステップ充填プロセスでは、チャンク及びグレイビー又はチャンク及びゼリーを、組み合わせ、混合した後、容器に充填する。この実施形態において、グレイビー又はゼリーがチャンクと同様の粘度を有することが望ましい場合があり、したがって粘度＞２０００ｍＰａ・ｓが好ましい場合がある。

[0056]果実繊維溶液中の果実繊維の濃度は、約０．１重量％～約２重量％、例えば、約１．５重量％又は約２重量％、約０．７５重量％～約１．５重量％又は約１重量％であってもよい。多糖類溶液中の植物系多糖類の濃度は、約０．１重量％～約１重量％、例えば約０．４重量％～約０．５重量％、約０．４重量％、又は約０．５重量％であってもよい。

[0057]果実繊維は、冷水中に可溶にされてもよい。冷水の温度は、約１５℃～約３０℃、例えば２５℃であってもよい。植物系多糖類は、熱水中に可溶にされてもよい。熱水の温度は、約７０℃～約９０℃、例えば８０℃であってもよい。あるいは、果実繊維及び植物系多糖類は、同じ冷水又は熱水中に可溶にされてもよい。

[0058]果実繊維は、柑橘類繊維又はリンゴ繊維のうちの少なくとも１つを含んでもよい。いくつかの実施形態において、果実繊維は柑橘類繊維を含む。植物系多糖類は、サイリウム、オクラ、海藻、チア、亜麻仁、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つから構成されてもよい。

[0059]いくつかの実施形態において、サイリウム、オクラ、海藻、チア、亜麻仁、又はこれらの組み合わせを含む植物性多糖類は、デンプン、例えば、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、又はコメデンプンを更に含んでもよい。

[0060]一実施形態において、植物系多糖類は海藻を含む。いくつかの実施形態において、海草は、ユーケウマ・コットニー、ユーケウマ・スピノサム、オゴノリ、コンドラス・クリスパス、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む。一実施形態において、海藻はユーケウマ・コットニーである。

[0061]海藻を、機械的に破砕してもよい。多糖類溶液中の海藻の濃度は、約０．１重量％～約２重量％、約０．１５重量％～約０．５重量％、約０．１５重量％、又は約０．５重量％であってもよい。

[0062]一実施形態において、植物系多糖類は、海藻及びタピオカデンプンなどのデンプンを含む。多糖類溶液中のタピオカデンプンの濃度は、約０．１重量％～約１重量％、例えば０．５重量％であってもよい。

[0063]一実施形態において、植物系多糖類は、ユーケウマ・コットニー、ユーケウマ・スピノサム、オゴノリ、コンドラス・クリスパス、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む。

[0064]多糖類溶液は、カルシウム源を含んでもよい。いくつかの実施形態において、多糖類溶液中のカルシウム源の濃度は、約０．１重量％～約１重量％、例えば、約０．２～０．８重量％、約０．３～０．７重量％、約０．４～０．６重量％、又は約０．５重量％である。いくつかの実施形態において、カルシウム源は、ＣａＣｌ_２又はＣａＣＯ_３を含む。一実施形態において、多糖類溶液は、サイリウム及びＣａＣＯ_３などのカルシウム源を含む。

[0065]一実施形態において、植物系多糖類はサイリウムを含む。

[0066]いくつかの実施形態において、サイリウムが多糖類溶液中に存在する場合、多糖類溶液中のサイリウムの濃度は、約０．１重量％～約１重量％、例えば約０．７５重量％又は約０．５重量％である。

[0067]一実施形態において、植物系多糖類はオクラを含む。いくつかの実施形態において、多糖類中のオクラの濃度は、約０．１重量％～約２重量％、例えば、約０．５重量％、約１重量％、約２重量％、約０．５～１重量％、約１～２重量％、又は約０．５～１．５重量％である。

[0068]いくつかの実施形態において、ヒドロコロイド系中のカリウム源の濃度は、約０．１重量％～約２重量％、例えば約０．１７重量％である。一実施形態において、カリウム源は塩化カリウムである。別の実施形態において、カリウム源はＫ_２ＣＯ_３を含む。

[0069]本開示の別の態様は、本明細書に開示される果実繊維及び植物系多糖類を含む、ヒドロコロイド系である。ヒドロコロイド系は、本明細書に開示されるように調製することができる。

[0070]いくつかの実施形態において、果実繊維は、柑橘類繊維又はリンゴ繊維のうちの少なくとも１つを含む。一実施形態において、果実繊維は、柑橘類繊維又はリンゴ繊維から本質的になる。一実施形態において、果実繊維は柑橘類繊維を含む。

[0071]いくつかの実施形態において、植物系多糖類は、サイリウム、オクラ、海藻、チア、亜麻仁、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む。別の実施形態において、植物系多糖類は、サイリウム、オクラ、海藻、チア、亜麻仁、又はこれらの組み合わせから本質的になる。

[0072]一実施形態において、植物系多糖類は海藻を含む。いくつかの実施形態において、海草は、ユーケウマ・コットニー、ユーケウマ・スピノサム、オゴノリ、コンドラス・クリスパス、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む。別の実施形態において、海草は、ユーケウマ・コットニー、ユーケウマ・スピノサム、オゴノリ、コンドラス・クリスパス、又はこれらの組み合わせから本質的になる。別の実施形態において、海藻を機械的に破砕してもよい。

[0073]一実施形態において、植物系多糖類は、海藻及びタピオカデンプンなどのデンプンを含む。

[0074]一実施形態において、ヒドロコロイド系はカルシウム源を含む。いくつかの実施形態において、カルシウム源は、ＣａＣＯ_３又はＣａＣｌ_２を含む。いくつかの実施形態において、植物系多糖類は、サイリウム及びＣａＣＯ_３などのカルシウム源を含む。

[0075]一実施形態において、植物系多糖類はサイリウムを含む。

[0076]一実施形態において、植物系多糖類はオクラを含む。

[0077]いくつかの実施形態において、ヒドロコロイド系はカリウム源を含む。一実施形態において、カリウム源は塩化カリウムを含む。一実施形態において、カリウム源は炭酸カリウムを含む。

[0078]一実施形態において、ヒドロコロイド系は、２０００ミリパスカル秒（ＭＰａ・ｓ）超の粘度を有する。一実施形態において、粘度は約２０００～約６０００ｍＰａ・ｓ、例えば約２０００～約４０００ｍＰａ・ｓ、約３０００～約５０００ｍＰａ・ｓ、約４０００～約６０００ｍＰａ・ｓ、約２０００～約３０００ｍＰａ・ｓ、約３０００～約４０００ｍＰａ・ｓ、約４０００～約５０００ｍＰａ・ｓ、約５０００～約６０００ｍＰａ・ｓ、約２０００～約２５００ｍＰａ・ｓ、約２５００～約３０００ｍＰａ・ｓ、約３０００～約３５００ｍＰａ・ｓ、約３５００～約４０００ｍＰａ・ｓ、約４０００～約４５００ｍＰａ・ｓ、約４５００～約５０００ｍＰａ・ｓ、約５０００～約５５００ｍＰａ・ｓ、約５５００～６０００約ＭＰａ・ｓ、６０００～６５００ｍＰａ・ｓ、６５００～７０００ｍＰａ・ｓ、７０００～７５００ｍＰａ・ｓ、７５００～８０００ｍＰａ・ｓ、８０００～８５００ｍＰａ・ｓ、８５００～９０００ｍＰａ・ｓ、９０００～９５００ｍＰａ・ｓ、９５００～１０，０００ｍＰａ・ｓである。

[0079]いくつかの実施形態において、ヒドロコロイド系は２ステップ充填プロセスに使用され、約２０００ｍＰａ・ｓ未満又は約１０００ｍＰａ・ｓ未満の粘度を有する。別の実施形態において、ヒドロコロイド系は１ステップ充填プロセスに使用され、２０００ｍＰａ・ｓ超の粘度を有する。別の実施形態において、ヒドロコロイドは、１ステップ充填プロセスに使用され、約３０００ｍＰａ・ｓ～約５０００ｍＰａ・ｓの粘度を有する。

[0080]本開示の別の態様は、ペットフード組成物を調製する方法である。一実施形態において、本方法は、本明細書に開示されるヒドロコロイド系を含むグレイビー又はゼリーを調製することと、食品チャンクを調製することと、食品チャンクをグレイビー又はゼリーに混合して、ペットフード組成物を調製することと、を含む。別の実施形態において、次いで、ペットフード組成物は容器に充填され、これは次いでレトルト処理されてもよい。一実施形態において、ペットフード組成物はチャンク・イン・ゼリー（ｃｈｕｎｋ－ｉｎ－ｊｅｌｌｙ）ペットフード組成物である。別の実施形態において、ペットフード組成物はチャンク・イン・グレイビー（ｃｈｕｎｋ－ｉｎ－ｇｒａｖｙ）ペットフード組成物である。

[0081]本開示の更に別の態様は、ペットフード組成物である。ペットフード組成物は、本明細書に開示されるように調製することができる。ペットフード組成物は、本明細書に開示されるヒドロコロイド系を含むグレイビー又はゼリー、及び食品チャンクを含んでもよい。

[0082]いくつかの実施形態において、ペットフード組成物は、約２５重量％～約７５重量％のグレイビー又はゼリー、及び約２５重量％～約７５重量％の食品チャンクを含む。一実施形態において、ペットフード組成物は、約６０重量％のグレイビー又はゼリー、及び約４０重量％の食品チャンクを含む。

[0083]食品チャンクは、肉、グルテン、植物性タンパク質源、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。

[0084]柑橘類及びリンゴ繊維などの天然食物繊維は、可溶性及び不溶性（主にセルロース及びペクチン）繊維から構成される。柑橘類繊維は、ベーカリー、肉、乳製品、飲料、ソース及びデザートなどの様々な食品用途において一般的に使用される安定剤及び水結合剤に対する天然のクリーンラベル代替物である。繊維懸濁液によって得られる粘度及び構造は、十分に分散された個々の繊維間の絡み合い及び相互作用に由来する。柑橘類繊維の安定化特性は、より大きな表面積を作り出すことに大きく依存しており、その結果、細孔がより小さくなり、水が適所に保持される。したがって、柑橘類繊維の機能的属性は、分散及び活性化に大きく依存する。本明細書に開示されるヒドロコロイド系は、それらが高剪断ミキサーによる活性化後に最高の粘度及び保水容量を達成したので、既存のヒドロコロイドに対するクリーンラベル代替物であり得る。

[0085]実施例１－１：原料
[0086]柑橘類及びリンゴ繊維を原料として使用した。これらの原料には、ＨＥＲＢＡＦＯＯＤ （ドイツ）製のＨＥＲＢＡＣＥＬ ＡＱ Ｐｌｕｓ Ｃｉｔｒｕｓ ０１（粉末）、ＨＥＲＢＡＣＥＬ ＡＱ Ｐｌｕｓ Ｃｉｔｒｕｓ ０７（粉末）、ＨＥＲＢＡＣＥＬ ＰＬＵＳ ＣＩＴＲＵＳ Ｎ（粉末）、ＨＥＲＢＡＣＥＬ ＡＱ ＰＬＵＳ ＣＩＴＲＵＳ Ｆ （粉末）、ＨＥＲＢＡＣＥＬ ＡＱ ＰＬＵＳ ＡＰＰＬＥ ０９（粉末）を含んだ。

[0087]サイリウム、Ｐ９５Ｔ ＶＩＴＡＣＥＬを、ＪＲＳ ＲＥＴＴＥＮＭＡＩＥＲから購入した。

[0088]海藻原料には、ＭＡＲＣＥＬユーケウマ・コットニー（フレーク、５９０ｍＭ）及びＮＵＷＥＮコンドラス・クリスパス（粉末）が含まれた。ＡＶＥＢＥ製のタピオカデンプン粉末を使用した。

[0089]柑橘類原材料及びリンゴ繊維原材料の溶液を冷水中１重量％、１．５重量％、及び２重量％で調製し、Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＲＶＴ粘度計を２０ｒｐｍ及び２５℃で使用して、０時間、１時間、及び１２時間で経時的に粘度（ｃｐｓ）を測定した。結果を表１ａに示す。

[0090]柑橘類及びリンゴ繊維は、リンゴピューレと同様のテクスチャーを示した。組成物は粘性であり、粘着性ではなかった。柑橘類繊維は淡黄色であり、強いにおいはなかった。リンゴ繊維組成物は、カラメル着色剤と同様に褐色であり、リンゴのにおいがあった。組成物の粘度及び色により、組成物は、食品用途に現在使用されている化学修飾ヒドロコロイド系に対して良好な代替物となる。

[0091]実施例１－２：ＣａＣｌ_２又はＫＣｌを用いる場合と用いない場合の、柑橘類繊維、サイリウム及びこれらの組み合わせ
[0092]柑橘類繊維、サイリウム及びこれらの組み合わせを含む組成物を、塩化カルシウム又は塩化カリウムを用いる場合と用いない場合とで調製した。概して、組成物を、粉末を熱水（８０℃）に添加し、高剪断で３分間混合することによって調製した。各試料の粘度を、Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＲＶＴ粘度計（２０ｒｐｍ、２５℃、スピンドル４又はスピンドル５）を使用して、調製日（Ｄ）及び調製後の日（Ｄ＋１）に測定した。

[0093]柑橘類繊維とサイリウムとのブレンドは、いずれかの原材料単独よりも高い粘度を有する。塩化カルシウムの添加により、いくつかの場合において組成物の粘度が上昇し、塩化カリウムは、粘度に対して更に大きな押し上げをもたらす。

[0094]実施例１－３：チャンク・イン・グレイビー組成物の調製
[0095]表１ｂの組成物の各々を、チャンク・イン・グレイビー組成物用のグレイビーとして使用した。チャンク・アンド・グレイビーのチャンク部分を、商業的に購入したチャンク・アンド・グレイビー製品（例えば、ＰＵＲＩＮＡ ＧＯＵＲＭＥＴ ＰＥＲＬＥ）からのチャンクを洗浄及び乾燥することによって得た。

[0096]グレイビー及びチャンクを上記のように調製した後、チャンク及びグレイビーを組み合わせて混合した。缶に組成物を充填し、秤量し、蓋をし、密封し、１２０℃で４５分間レトルト処理した。各缶は、８５ｇ（±１ｇ）の重量を有し、６０％のグレイビー（５１ｇ）及び４０％のチャンク（３４ｇ）を有していた。

[0097]柑橘類繊維とサイリウムとの組み合わせは、良好な外観（ｃｏｓｍｅｔｉｃ）を有する均質な輝きのある製品を提供し、グレイビーはチャンクに粘着し、シネレシスはないか、又はわずかなシネレシスのみであった。図１を参照されたい。

[0098]柑橘類繊維とサイリウムとのブレンドの大部分は、グアー及びキサンタンから構成される市販のグレイビー製品と比較した場合、同様であるか、又は改善されていた。ブレンドは十分な粘度（＞１０００）を提供しただけでなく、粘着性も有し、パラメータに応じてゲルを形成した。

[0099]実施例１－４：デンプンを用いた、柑橘類繊維、サイリウム及びそれらの組み合わせ
[0100]柑橘類繊維、サイリウム、及びこれらの組み合わせを含む組成物を、デンプンを用いて調製した。概して、組成物を、粉末を熱水（８０℃）に添加し、高剪断で３分間混合することによって調製した。各試料の粘度を、Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＲＶＴ粘度計（２０ｒｐｍ、２５℃、スピンドル４又はスピンドル５）を使用して、調製日（Ｄ）及び調製後の日（Ｄ＋１）に測定した。結果を表１ｃに示す。

[0101]ブレンドへのデンプンの添加により粘度が上昇するとともに、また粘着性も得られ、及び／又はシネレシスが減少した。

[0102]実施例１－５：ＫＣｌ及び／又はＣａＣｌ_２を用いる場合と用いない場合の柑橘類繊維、海藻及びこれらの組み合わせ
[0103]柑橘類繊維及び海藻を含む組成物を、ＣａＣｌ_２及び／又はＫＣｌを用いる場合と用いない場合とで調製した。概して、柑橘類繊維を冷水（２５℃）に添加し、海藻粉末を熱水（８０℃）に添加し、各々を高剪断で３分間混合することによって組成物を調製した。冷溶液（６０％の総最終溶液）を熱溶液（４０％の総最終溶液）に添加し、泡立て器でブレンドした。各試料の粘度を、Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＲＶＴ粘度計（２０ｒｐｍ、２５℃、スピンドル４又はスピンドル５）を使用して、調製日（Ｄ）及び調製後の日（Ｄ＋１）に測定した。結果を表１ｄに示す。

[0104]塩化カリウム及び塩化カルシウムは、ほとんどの場合、柑橘類繊維と紅藻とのブレンドについてＤ＋１の粘度の上昇をもたらした。少なくとも１つの例、１％の柑橘類繊維＋０．２％のＥ．コットニー＋０．１５％ＣａＣｌ_２の添加は、塩化カルシウムの添加により必要とされる海藻の量が減少し得ることの裏付けを提供する。

[0105]表１ｄに列挙された組成物をまた、チャンク・アンド・グレイビー（ｃｈｕｃｋ ａｎｄ ｇｒａｖｙ）製品を調製するためにも使用した。製品を前述のように調製し、それらの外観特性について評価した。全ての海藻及び柑橘類繊維の組み合わせ（ＣａＣｌ_２又はＫＣｌを用いる場合又は用いない場合）は、良好な外観をもたらし、グレイビーがチャンクに粘着し、シネレシスはなかった。図２。

[0106]実施例１－５：柑橘類繊維、サイリウム及び海藻の組み合わせ
[0107]柑橘類繊維、サイリウム及び海藻の組み合わせを調製した。粘度、粘着性及びゲル形成を評価した。結果を表１ｅに示す。

[0108]柑橘類繊維、サイリウム及び海藻のブレンドは、組成物に高い粘度及び粘着性をもたらした。等しい濃度の柑橘類繊維及びサイリウムを含む組成物は、最高の粘度のうちのいくつかを与えた。全体として、柑橘類繊維、サイリウム及び紅藻のブレンドは、粘性（テクスチャー）、粘着性特性をもたらし、シネレシスはほとんど又は全くなく、パラメータに応じてゲルを形成した。その結果、ブレンドは、クリーンラベル及び栄養強調表示を有する新世代のヒドロコロイド供給材料のために使用することができる。

[0109]表１ｅに列挙した組成物を用いたチャンク・イン・グレイビー製品を、前述のように調製した。全ての組成物は、商業的標準に匹敵する外観の結果をもたらした。

[0110]実施例２－１：原料
[0111]乾燥ライムパルプから得られた市販の柑橘類繊維をＨＥＲＢＡＦＯＯＤから購入した。フィリピン産の紅藻であるユーケウマ・コットニーをＭＡＲＣＥＬから購入した。フランス産の紅藻であるコンドラス・クリスパスをＮＵＷＥＮから購入した。プランタゴ・オバタ（Ｐｌａｎｔａｇｏ ｏｖａｔａ）の種子殻由来のＰｓｙｌｌｌｉｕｍ Ｐ９５ ＶｉｔａｃｅｌをＪＲＳから購入した。Ｏｋｒａ ＮＩＧ００５２（オクラＡ）をＨＡＲＭ ＦＯＯＤＳから購入した。Ｏｋｒａ ＩＮＧ６０３８（オクラＢ）をＮＥＳＴＬＥから入手した。亜麻（Ｌｉｎｕｍ ｕｓｉｔａｔｉｓｓｉｍｕｍ）種子由来の亜麻仁（ＩＮＧ５０７９）、サルビア・ヒスパニカ（Ｓａｌｖｉａ ｈｉｓｐａｎｉｃａ）由来のチア（ＩＮＧ５１３４）、及びオクラ抽出物を、ＮＥＳＴＬＥから入手した。

[0112]Ｓｉｌｖｅｒｓｏｎ高剪断ミキサーを約５０００～７０００ｒｐｍの速度で３分間使用して、各原料の粉末を冷水（２０～２５℃）又は熱水（８０℃）中に可溶にすることによって柑橘類繊維及び多糖類溶液を調製した。各溶液の粘度を、Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＲＶＴ粘度計（２０ｒｐｍ、２５℃、スピンドル４）を使用して測定した。

[0113]表２ａは、冷水（約２５℃）及び熱水（約８０℃）中に可溶にした異なる濃度の２つの異なる柑橘類繊維試料についての粘度測定の結果を示している。

[0114]表２ｂは、粘度測定の結果、並びに冷水（約２５℃）及び熱水（約８０℃）中に可溶にしたオクラ、亜麻仁及びチア種子の官能特性を示している。

[0115]オクラ及びチアは、冷水に良好な可溶性を有した。４％溶液は、十分な粘度及び興味深いテクスチャーをもたらした。いくつかの場合では、温度及び時間も粘度に影響を及ぼした。非常に微細な花粉様粉末として提供された原材料では、多くの場合、剪断中に望ましくない塊又は不均一な溶液が生じた。更に、冷水中のチア種子は、完全に分散させることが難しく、塊を含む不均一な混合物も与えた。熱水中のオクラＢ及び亜麻仁も、分散させるのが難しく、及び／又は不均一性を示した。

[0116]表２ｃ及び表２ｄは、サイリウム溶液の粘度測定値を示している。試料を冷水又は熱水で調製し、冷水中で調製したいくつかの試料を、この溶液の調製後に、８０℃に加熱し、温度の影響を評価した。

[0117]サイリウム溶液は、褐色－カラメル色を示し、心地よいにおいを有した。テクスチャーは非常に粘着性であり（４／５又は５／５）、ゲルの形成をもたらした。調製した全ての溶液により、同様の外観が得られた。２％未満のサイリウム濃度を有する溶液は十分に粘性ではなく、５％超の濃度を有する溶液は粘性が高すぎ、更には固形であり、容易に崩れない均質な強い弾性の粘着性ペーストであった。その結果、２～３重量％の濃度のサイリウム単独は、グレイビー又はゼリーで最も有用な用途を提供することができる。より低い濃度のサイリウムは、果実繊維などの他の原材料とのブレンドで使用される場合に有用な場合がある。２～３重量％のサイリウムを含む組成物は、冷溶液においてゲルを形成した。弱いゲルは脆い。ゲルが崩されたとき、粘度は減少しなかった。冷溶液を加熱すると、粘度が大幅に上昇した。

[0118]この結果に基づくと、サイリウムは、グレイビー又はゼリー食品の用途におけるデンプンの代替物として機能することができ、またカラメル着色剤を添加する必要性を排除することもできる。

[0119]実施例２－２：柑橘類繊維オクラのブレンド
[0120]柑橘類繊維とオクラとのブレンドを評価して、それらがウェットペットフードに使用される現在のグレイビーと同様のテクスチャー（粘度）、粘着性及び外観をもたらし得るかどうかを調べた。冷水（Ｔ＝１５～３０℃）及び熱水（Ｔ＝７５～９５℃）中に柑橘類繊維及びオクラを含有する組成物の粘度を表２ｅに報告する。Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＲＶＴ粘度計を２０ｒｐｍ及び２５℃（スピンドル４）で使用して粘度を測定した。

[0121]冷水中２％のオクラＡと２％の柑橘類繊維とのブレンドは、オクラ／柑橘類繊維ブレンドの中で最高の粘度を示したが、表２ｅのブレンドのいずれについてもゲル形成は見られなかった。溶液は、ハーブ香及び３／５程度の粘着性を有する黄緑色の溶液であった。オクラ／柑橘類繊維ブレンドの特性に基づくと、それらは、例えば、ペットフード、飲料又は菓子用途において、ゼリーではなくグレイビーに使用するのに最も適している。

[0122]実施例２－３：柑橘類繊維とサイリウムとのブレンド
[0123]柑橘類繊維とサイリウムとのブレンドを調製し、混合物の物理的特性を評価した。柑橘類繊維粉末及びサイリウム粉末を冷水又は熱水に添加し、Ｓｉｌｖｅｒｓｏｎ高剪断ミキサーを用いて約５０００～７０００ｒｐｍの速度で１～３分間混合した。いくつかの溶液を沸騰水中に約１０分間入れ、次いで室温まで約５～１０分間かけて冷却した。粘度の結果（２５℃で測定）を表２ｆに示す。

[0124]サイリウムと柑橘類繊維との組み合わせは、サイリウム又は柑橘類繊維のいずれか単独よりも粘性であった。２重量％の柑橘類繊維と０．５重量％のサイリウムとのブレンドは、粘着性の溶液を提供し、並びにゲルを形成し、このゲルは冷水では脆く、熱水では弾性であるが容易に崩れた。熱水では粘度が高くなり、弾性ゲル形成が強くなった。最終的な成果物は、強いにおいはなくリンゴピューレのテクスチャーを有する、粘着性の黄褐色組成物であった。

[0125]実施例２－４：柑橘類繊維とサイリウム及びＣａＣＯ_３とのブレンド
[0126]柑橘類繊維／サイリウムブレンドに対するＣａＣＯ_３添加の効果を評価した。両方の粉末を熱水又は冷水に同時進行で添加し、続いて高剪断ミキサーを用いて可溶にすることによって、試料を調製した。いくつかの冷水試料も沸騰水中に１０分間入れ、次いで室温で５～１０分間放冷した。Ｂｒｏｏｋｆｉｅｌｄ ＲＶＴ粘度計を用いて２０ｒｐｍ、２５℃でスピンドル４又はスピンドル５を使用して各溶液の粘度を測定した。粘度の測定結果を表２ｇ及び表２ｈに報告する。

[0127]サイリウムとＣａＣＯ_３とのブレンドは、ＣａＣＯ_３を含まないサイリウム溶液と比較して粘度の上昇を示した。冷水では脆性ゲルが形成され、熱水では、強い弾性ゲルが形成された。溶液はまた粘着性であった（４／５又は５／５）。溶液を沸騰水中に１０分間入れると、全ての場合で粘度が上昇した。

[0128]柑橘類繊維とＣａＣＯ_３とのブレンドは、ＣａＣＯ_３が存在しない場合よりも高い粘度を示した。柑橘類繊維は、ＣａＣＯ_３の有無にかかわらずゲル形成を全く示さなかった。

[0129]柑橘類繊維、サイリウム及びＣａＣＯ_３のブレンドを評価した。ブレンドを調製するために、柑橘類繊維粉末、サイリウム粉末及びＣａＣＯ_３を同時進行で冷水又は熱水に添加し、次いで高剪断を用いて１～３分間可溶にした。粘度を先の実験について記載したように測定した。結果を表２ｉに報告する。

[0130]柑橘類繊維＋サイリウム＋ＣａＣＯ_３のブレンドは、試験した濃度でゲル形成をもたらさなかった。更に、時間も温度も、粘度に影響を与えないとみられた。

[0131]実施例３－１チャンク・アンド・グレイビー製品における果実繊維、植物多糖類、及びブレンド
[0132]果実繊維、植物多糖類及びこれらの組み合わせを、チャンク・アンド・グレイビーペットフード組成物用のヒドロコロイド系として試験した。果実繊維及び植物多糖類を単独で使用するグレイビー組成物、並びに果実繊維と植物多糖類とのブレンドを有するグレイビー組成物を調製し、それらの物理的特性及び官能特性について評価した。グレイビーを、概して上記のように調製し、粉末を単独で又は組み合わせて冷水又は熱水中に可溶にし、いくつかの場合では、粉末を冷水及び熱水に別々に可溶にし、次いで冷水溶液を熱水溶液に添加し、最後にいくつかの場合では、粉末を冷水又は熱水に可溶にした。チャンク・アンド・グレイビーのチャンク部分を、商業的に購入したチャンク・アンド・グレイビー製品（例えば、ＰＵＲＩＮＡ ＧＯＵＲＭＥＴ ＰＥＲＬＥ）からのチャンクを洗浄及び乾燥することによって得た。

[0133]グレイビー及びチャンクを上記のように調製した後、チャンク及びグレイビーを組み合わせて混合した。缶に組成物を充填し、秤量し、蓋をし、密封し、１２０℃で４５分間レトルト処理した。各缶は、８５ｇ（±１ｇ）の重量を有し、６０％のグレイビー（５１ｇ）及び４０％のチャンク（３４ｇ）を有していた。

[0134]上記のようにチャンクと混合する前に調製したグレイビーの粘度、粘着性及び官能特性を、表３ａに示す。

[0135]グレイビー２、グレイビー３、グレイビー４、グレイビー５、及びグレイビー６は、市販のチャンク・アンド・グレイビー製品と同様の機能性を有する良好なグレイビーの外観をもたらす。

[0136]更なるグレイビーレシピを調製し、上記のように評価した。結果を表３ｂに示す。

[0137]グレイビー１は、チャンクへの良好な接着性を有する弾性ゲルを形成した。グレイビー２は、いくらかのシネレシスを有していた。グレイビー３は、粘性がはるかに低かった。グレイビー４はいくらかのシネレシスを有し、リンゴの臭いを有していなかった。

[0138]チャンクと混合され、レトルト処理されたグレイビーにより、柑橘類／リンゴ繊維とサイリウムとの相乗効果が確認され、かかるグレイビーは、グアー及びキサンタンから構成されるＧｏｕｒｍｅｔ Ｐｅｒｌｅ ＧＩＧ標準と同様の良好な粘度、粘着性及び外観で製品に使用することができる。その結果、柑橘類繊維とサイリウムとのブレンドは、２つのヒドロコロイド、キサンタン及びグアーに取って代わることができた。

[0139]したがって、柑橘類繊維及びリンゴ繊維などの果実繊維を、サイリウム、オクラ、チア又は亜麻仁などの植物系多糖類とともに使用することにより、機能性に関して現在のグレイビーと遜色のない性能を有するグレイビー及び更にはゼリーも提供することができる。結果として、これらのブレンドは、現在使用されているヒドロコロイドに取って代わることができ、天然のクリーンラベルを有する新しいレシピに使用することができる。

Claims (44)

1. ヒドロコロイド系を調製するための方法であって、
   果実繊維を第１の水に可溶にして、果実繊維溶液を調製することと、
   植物系多糖類を第２の水に可溶にして、多糖類溶液を調製することと、
   前記果実繊維溶液と前記多糖類溶液とを混合して、前記果実繊維及び前記植物系多糖類を含む前記ヒドロコロイド系を調製することと、
   を含む、方法。
2. 前記果実繊維の前記第１の水における前記可溶化が、高剪断ミキサーを用いて約５０００～７０００ｒｐｍで行われる、請求項１に記載の方法。
3. 前記果実繊維溶液中の前記果実繊維の濃度が、約０．５重量％～約２重量％である、請求項１に記載の方法。
4. 前記多糖類溶液中の前記植物系多糖類の濃度が、約０．２５重量％～約１重量％である、請求項１に記載の方法。
5. 前記第１の水が、約１５℃～約３０℃の温度を有する、請求項１に記載の方法。
6. 前記第２の水が、約７５℃～約９５℃の温度を有する、請求項１に記載の方法。
7. 前記果実繊維溶液と前記多糖類溶液との前記混合が、前記果実繊維溶液を前記多糖類溶液に注ぎ入れることを含む、請求項１に記載の方法。
8. 前記ヒドロコロイド系を滅菌することを更に含む、請求項１に記載の方法。
9. 前記果実繊維が、柑橘類繊維又はリンゴ繊維のうちの少なくとも１つを含む、請求項１に記載の方法。
10. 前記植物系多糖類が、サイリウム、オクラ、海藻、チア、亜麻仁、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む、請求項１に記載の方法。
11. 前記植物系多糖類が海藻を含み、前記海藻が、ユーケウマ・コットニー、ユーケウマ・スピノサム、オゴノリ、コンドラス・クリスパス、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む、請求項１に記載の方法。
12. 前記多糖類溶液中の前記海藻の濃度が、約０．１重量％～約２重量％である、請求項１１に記載の方法。
13. 前記多糖類溶液がカルシウム源を更に含む、請求項１に記載の方法。
14. 前記カルシウム源が、ＣａＣｌ_２及びＣａＣＯ_３からなる群から選択される、請求項１３に記載の方法。
15. 前記カルシウム源の濃度が約０．１％～約１％である、請求項１４に記載の方法。
16. 前記植物系多糖類がサイリウムを含み、前記多糖類溶液中の前記サイリウムの濃度が約０．１重量％～約２重量％である、請求項１に記載の方法。
17. 前記植物系多糖類がオクラを含む、請求項１に記載の方法。
18. 前記多糖類溶液中の前記オクラの濃度が、約０．５重量％～約４重量％である、請求項１８に記載の方法。
19. カリウム源を前記ヒドロコロイド系に添加することを更に含む、請求項１に記載の方法。
20. 前記ヒドロコロイド系中の前記カリウム源の濃度が、約０．１～約２重量％である、請求項２０に記載の方法。
21. 前記カリウム源が、塩化カリウム及び炭酸カリウムからなる群から選択される、請求項２１に記載の方法。
22. 前記ヒドロコロイド系が２０００ｍＰａ・ｓ以上の粘度を有する、請求項１に記載の方法。
23. 前記ヒドロコロイド系が約２０００ｍＰａ・ｓ～約６０００ｍＰａ・ｓの粘度を有する、請求項１に記載の方法。
24. 果実繊維及び植物系多糖類を含む、ヒドロコロイド系。
25. 前記果実繊維が、柑橘類繊維又はリンゴ繊維のうちの少なくとも１つを含む、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
26. 前記植物系多糖類が、サイリウム、オクラ、海藻、チア、亜麻仁、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを含む、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
27. 前記植物系多糖類が海藻を含む、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
28. 前記海草が、ユーケウマ・コットニー、ユーケウマ・スピノサム、オゴノリ、コンドラス・クリスパス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
29. カルシウム源を更に含む、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
30. 前記カルシウム源が、ＣａＣＯ_３及びＣａＣｌ_２からなる群から選択される、請求項２９に記載のヒドロコロイド系。
31. 前記植物系多糖類が、サイリウム、オクラ、チア、亜麻仁、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも１つを更に含む、請求項２８に記載のヒドロコロイド系。
32. 前記植物系多糖類がオクラを含む、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
33. カリウム源を更に含む、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
34. 前記ヒドロコロイド系中の前記カリウム源の濃度が、約０．１重量％～約２重量％である、請求項３３に記載のヒドロコロイド系。
35. 前記カリウム源が塩化カリウムを含む、請求項３３に記載のヒドロコロイド系。
36. 前記ヒドロコロイド系が２０００ｍＰａ・ｓ超の粘度を有する、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
37. 前記ヒドロコロイド系が約２０００～約６０００ｍＰａ・ｓの粘度を有する、請求項２４に記載のヒドロコロイド系。
38. ペットフード組成物を調製するための方法であって、
    請求項１～２４のいずれか一項に記載のヒドロコロイド系を含むグレイビー又はゼリーを調製することと、
    食品チャンクを前記グレイビー又はゼリーに混合して、前記ペットフード組成物を調製することと、
    を含む、方法。
39. 前記グレイビー又はゼリーが前記ペットフード組成物の約５５重量％～約６５重量％であり、前記食品チャンクが約３５原子％～約４５重量％である、請求項３８に記載の方法。
40. 前記食品チャンクが、肉、グルテン、植物性タンパク質源、及びそれらの混合物からなる群から選択される原材料を含む、請求項３８に記載の方法。
41. 前記ペットフード組成物が、チャンク・イン・ゼリーのペットフード組成物である、請求項３８に記載の方法。
42. 請求項１～２４のいずれか一項に記載のヒドロコロイド系を含むグレイビー又はゼリーと、
    前記グレイビー又はゼリー中に分散した食品チャンクと、
    を含む、ペットフード組成物。
43. 前記グレイビー又はゼリーが前記ペットフード組成物の約５５重量％～約６５重量％であり、前記食品チャンクが前記ペットフード組成物の約３５重量％～約４５重量％である、請求項４２に記載のペットフード組成物。
44. 前記食品チャンクが、肉、グルテン、植物性タンパク質源、及びこれらの混合物からなる群から選択される原材料を含む、請求項４２に記載のペットフード組成物。
    
    

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