JP2023542490A - Pd-1阻害剤を投与することによりがん疼痛を処置する方法 - Google Patents

Pd-1阻害剤を投与することによりがん疼痛を処置する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、それを必要とする患者におけるがん疼痛を処置または阻害する方法であって、がんを伴う患者を選択する工程と、患者へと治療有効量のプログラム死1(PD-1)阻害剤を投与する工程とを含む方法を提示する。本開示はまた、それを必要とする患者における鎮痛薬の使用を低減する方法であって、PD-1阻害剤の投与前に基礎鎮痛療法で処置されている、がんを伴う患者を選択する工程と、患者へと治療有効量のPD-1阻害剤を投与する工程とを含む方法を提示する。一部の実施形態では、本開示の方法は、腫瘍の退縮、疼痛の低減、および鎮痛療法の使用の低減を同時にもたらす。【選択図】図1

Description

本開示は、一般に、それを必要とする患者におけるがん疼痛を処置または阻害する方法であって、がんを伴う患者を選択する工程と、患者へと治療有効量のプログラム死1(PD-1)阻害剤を投与する工程とを含む方法に関する。本開示はまた、それを必要とする患者におけるオピオイドの使用を低減する方法であって、鎮痛療法で処置されている、がんを伴う患者を選択する工程と、患者へと治療有効量のPD-1阻害剤を投与する工程とを含む方法に関する。
疼痛は、患者と臨床医の両方の観点から、がんの管理における重要な症状である。がん疼痛は、疾患自体により、または処置により引き起こされることがあり、がんを伴う患者に非常によく見られる。多くのがん患者は、処置を受ける間に疼痛を被り、殆どの患者ががんの進行期で疼痛を被る。がん疼痛は、疾患の段階および疼痛に対する患者の忍容性のような多くの様々な要因に依存しうる。がん疼痛は、原発性がん自体に由来する場合も、またはがんが広がった(転移)体内の他の場所に由来する場合もある。腫瘍が増殖すると、神経、骨、または他の臓器を圧迫し、疼痛を引き起こしうる。疼痛は、骨折、感染症、または疾患に関連する炎症から生じることもある。がん疼痛は、体のある領域に及ぼすがんの物理的作用から生じることがあるだけでなく、がん細胞および/または組織から分泌される化学物質によって引き起こされることもある。がん疼痛のタイプも、例えば、急性痛、慢性痛、または突出痛を含めて様々でありうる。がん疼痛は、各回の疼痛発症の持続期間、その重症度、およびその発生頻度も様々でありうる。
がん疼痛は、通常、オピオイド(例えば、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、コデイン、モルフィン)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、アセトアミノフェンなどのような鎮痛薬で処置される。オピオイドは、鎮静、眩暈、悪心、嘔吐、便秘、身体依存、耐性、および呼吸抑制のような副作用を引き起こすことが知られている。加えて、オピオイドの長期的な悪影響としてとして、精神的嗜癖および乱用を挙げることができる(非特許文献1)。よって、がん疼痛の緩和のためにオピオイドを繰り返し使用すると、他の危険性および望ましくない副作用の中でも特に、オピエートの乱用、耐性、および依存症に至るおそれがある。
Benyaminら、2008、Pain Physician、11:S105~S120
したがって、がんを伴う患者におけるがん疼痛を治療または阻害し、そのような疼痛の処置における鎮痛薬の使用(例えば、オピオイドの使用)を低減するための、安全かつ効果的な治療が必要とされている。
一態様では、開示される技術は、がん疼痛を処置または阻害する方法であって、(a)がんを伴う患者を選択する工程と;(b)患者へと治療有効量のプログラム死1(PD-1)阻害剤を投与する工程とを含む方法に関する。一部の実施形態では、がんは、肛門がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、脳がん、子宮頚がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、および子宮がんから選択される。一部の実施形態では、がんは皮膚がんである。一部の実施形態では、皮膚がんは非黒色腫皮膚がんである。一部の実施形態では、皮膚がんは、皮膚扁平上皮癌(CSCC)または基底細胞癌(BCC)である。一部の実施形態では、CSCCは、転移性CSCCまたは切除不能な局所進行性CSCCである。一部の実施形態では、BCCは、局所進行性BCC(laBCC)または転移性BCCである。一部の実施形態では、BCCはヘッジホッグ阻害剤(HHI)療法時に進行したか、またはBCC患者はヘッジホッグ阻害剤(HHI)療法に非忍容性であった。一部の実施形態では、患者の機能および生活の質は、EORTC QLQ-C30およびSKINDEX-16で測定したときに、ベースラインから改善されるまたは維持される。一部の実施形態では、患者は、PD-1阻害剤の投与前に鎮痛療法を基礎治療薬(background medication)として施されている。一部の実施形態では、鎮痛療法は、オピオイド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド、アセトアミノフェン、およびそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、鎮痛療法は、オピオイドを含む。
がん疼痛を処置または阻害する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、患者による鎮痛療法の使用の低減をもたらす。一部の実施形態では、本方法は、PD-1阻害剤の投与後1年以内に患者に施される鎮痛療法の量を20%以上低減する工程をさらに含む。一部の実施形態では、疼痛は、PD-1阻害剤の投与後1年以内に約20%以上低減される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減と腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、鎮痛薬の使用の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、オピオイドの使用の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、患者において疼痛を低減し、鎮痛療法に対する必要性を低減し、腫瘍の退縮を促進し、腫瘍細胞負荷を低減し、腫瘍量を低減し、腫瘍の再発を防止し、かつ/または患者の生存を延長する。
がん疼痛を処置または阻害する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、放射線、手術、がんワクチン、イミキモド、抗ウイルス剤、光力学療法、HHI療法、PD-L1阻害剤、LAG3阻害剤、CTLA-4阻害剤、GITRアゴニスト、TIM3阻害剤、BTLA阻害剤、TIGIT阻害剤、CD38阻害剤、CD47阻害剤、IDO阻害剤、CD28活性化剤、VEGFアンタゴニスト、Ang2阻害剤、TGFβ阻害剤、EGFR阻害剤、腫瘍特異性抗原に対する抗体、がんワクチン、GM-CSF、腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、サイトカイン、抗体薬物コンジュゲート、抗炎症性薬、および栄養補助食品から選択される第2の治療剤または治療と組み合わせて投与される。
がん疼痛を処置または阻害する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片、および抗PD-L2抗体またはその抗原結合性断片から選択される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である。
がん疼痛を処置または阻害する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)を含む重鎖可変領域(HCVR)と、3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)とを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片であり、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を有し;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を有し;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を有し;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を有し;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を有し;LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、HCVRは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、LCVRは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1/2の、HCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含み、軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を有し、軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を有する。
がん疼痛を処置または阻害する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、配列番号1に対する、90%、95%、97%または98%の配列同一性を伴うHCVRを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、配列番号2に対する、90%、95%、97%または98%の配列同一性を伴うLCVRを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、配列番号1に対する、90%、95%、97%または98%の配列同一性を伴うHCVRと、配列番号2に対する、90%、95%、97%または98%の配列同一性を伴うLCVRとを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である。
がん疼痛を処置または阻害する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、セミプリマブまたはその生物学的同等物である。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MEDI0608、BI 754091、PF-06801591、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、JNJ-63723283、およびMCLA-134からなる群から選択される抗PD-1抗体である。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、REGN3504、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、MDX-1105、LY3300054、FAZ053、STI-1014、CX-072、KN035、およびCK-301からなる群から選択される抗PD-1抗体である。
がん疼痛を処置または阻害する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、5mg~1500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、200mg、250mg、350mg、600mg、700mg、または1050mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg~20mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg、3mg、または10mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg、3mg、または10mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、1回またはそれ以上の回数の投与として投与され、各回の投与は、直前の投与から2週間、3週間、4週間、5週間、または6週間後に投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、静脈内投与、皮下投与、または腹腔内投与される。
別の態様では、開示される技術は、がんを伴う患者におけるがん疼痛を処置または阻害するための、プログラム死1(PD-1)阻害剤を、治療有効量のPD-1阻害剤を使用するための指示書と組み合わせて含むキットに関する。一部の実施形態では、キットは、腫瘍の増殖を処置または阻害するために治療有効量のPD-1阻害剤を使用するための指示書をさらに含む。一部の実施形態では、がんは、肛門がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、脳がん、子宮頚がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、および子宮がんから選択される。
開示される技術の別の態様は、がん患者による鎮痛療法の使用を低減する方法であって、(a)PD-1阻害剤の投与前に基礎治療薬として鎮痛療法を施されている、がんを伴う患者を選択する工程と;(b)患者へと治療有効量のプログラム死1(PD-1)阻害剤を投与する工程とを含む方法に関する。一部の実施形態では、がんは、肛門がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、脳がん、子宮頚がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、および子宮がんから選択される。一部の実施形態では、がんは皮膚がんである。一部の実施形態では、がんは、転移性皮膚扁平上皮癌(CSCC)または切除不能な局所進行性CSCCである。
がん患者による鎮痛療法の使用を低減する本開示の方法の一部の実施形態では、鎮痛療法は、オピオイド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド、アセトアミノフェン、およびそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、鎮痛療法はオピオイドを含む。一部の実施形態では、患者に施される鎮痛療法の量は、PD-1阻害剤の投与前に患者に施されていた鎮痛療法の量と比較して、PD-1阻害剤の投与後1年以内に少なくとも20%低減される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、鎮痛薬の使用の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、オピオイドの使用の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減と、オピオイドの使用の低減と、RECIST基準を使用して決定される、安定(SD)、部分奏効(PR)、および完全奏効(CR)からなる群から選択される腫瘍応答とを同時にもたらす。
がん患者による鎮痛療法の使用を低減する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、放射線、手術、がんワクチン、イミキモド、抗ウイルス剤、光力学療法、HHI療法、PD-L1阻害剤、LAG3阻害剤、CTLA-4阻害剤、GITRアゴニスト、TIM3阻害剤、BTLA阻害剤、TIGIT阻害剤、CD40阻害剤、CD47阻害剤、IDO阻害剤、CD28活性化剤、VEGFアンタゴニスト、Ang2阻害剤、TGFβ阻害剤、EGFR阻害剤、腫瘍特異性抗原に対する抗体、がんワクチン、GM-CSF、腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、サイトカイン、抗体薬物コンジュゲート、抗炎症性薬、および栄養補助食品から選択される第2の治療剤または治療と組み合わせて投与される。
がん患者による鎮痛療法の使用を低減する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片、および抗PD-L2抗体またはその抗原結合性断片から選択される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)を含む重鎖可変領域(HCVR)と、3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)とを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片であり、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を有し;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を有し;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を有し;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を有し;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を有し;LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を有する。
がん患者による鎮痛療法の使用を低減する本開示の方法の一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、5mg~1500mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、200mg、250mg、350mg、600mg、700mg、または1050mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg~20mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg、3mg、または10mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、1回またそれ以上の回数の投与として投与され、各回の投与は、直前の投与から2週間、3週間、4週間、5週間、または6週間後に投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、静脈内投与、皮下投与、または腹腔内投与される。
本開示の他の実施形態は、以降の詳細な説明から明らかとなろう。
本明細書の実施例1に記載される試験に関連する、QLQ-C30の疼痛尺度のベースラインおよびベースライン後評価を有していた患者の中での、QLQ-C30の疼痛スコアのベースラインからの変化をサイクルごとに示す図である。 本明細書の実施例1に記載される試験に関連する、QLQ-C30の疼痛尺度のベースラインおよびベースライン後評価を有していた患者の中での、オピオイドの累積日数を経時的に示す図である。 図3Aは、本明細書の実施例1に記載される試験で評価された患者における、疼痛スコアの臨床的に意味のある最初の改善までの時間のカプラン-マイヤー(KM)生存解析を示す図である。 図3Bは、本明細書の実施例1に記載される試験で評価された患者における、最初の腫瘍応答までの時間のKM生存解析を示す図である。 図4Aは、本明細書の実施例1に記載される試験で評価された患者における、疼痛スコアの臨床的に意味のある最初の増悪までの時間のKM生存解析を示す図である。(PFS)までの時間のKM生存解析を示す図である。 図4Bは、本明細書の実施例1に記載される試験で評価された患者における、無進行生存(PFS)までの時間のKM生存解析を示す図である。 本明細書の実施例1に記載される試験における、全般的健康/HRQoL、機能尺度、および症状の臨床的に意味のある変化を報告する患者の割合を示す図である。 図6A~6Dは、本明細書の実施例2に記載される試験における、ベースラインおよび少なくとも1つのベースライン後の値を有していた最大の解析対象集団の患者におけるQLQ-C30についてのベースラインスコアおよび全体でのベースラインからの変化(MMRM)を示す図である。図6Aは、QLQ-C30の機能尺度についてのベースラインスコアを示す図である。図6Bは、QLQ-C30の症状尺度についてのベースラインスコアを示す図である。図6Cは、QLQ-C30の機能尺度についての全体での最小二乗(LS)平均変化を示す図である。図6Dは、QLQ-C30の症状尺度についての全体での最小二乗(LS)平均変化を示す図である。ベースラインに対してP<0.05;†臨床的に意味のある変化。CI、信頼区間;SD、標準偏差。 図6-1の続き。 本明細書の実施例2に記載される試験における、ベースラインおよび少なくとも1つのベースライン後の値を有していた最大の解析対象集団の患者における処置サイクルごとのベースラインからの変化のMMRM分析を示す図である。 本明細書の実施例2に記載される試験における、2サイクル目および9サイクル目でQLQ-C30についての臨床的に意味のある改善、増悪、または維持を報告する患者の割合を示す図である。 図9Aは、本明細書の実施例2に記載される試験における、SKINDEX-16の下位尺度についてのベースラインおよび少なくとも1つのベースライン後の評価を有していた最大の解析対象集団の患者における、ベースラインスコア(MMRM)を示す図であり、図9Bは、全体でのベースラインからの変化(MMRM)を示す図である。ベースラインに対してP<0.05;†臨床的に意味のある変化。 本明細書の実施例2に記載される試験における、SKINDEX-16について2サイクル目および9サイクル目に臨床的に意味のある改善、臨床的に意味のある増悪、または維持を報告する患者の割合を示す図である。 実施例3に記載される、一次解析と比較した経時的なCR率を示すグラフである。第1群の一次解析の時点で、事前に特定された第2群の中間解析を実施した。この事前特定中間解析に含まれていた23例のlaCSCC患者の中で、完全奏効はなかった。 図12Aは、実施例3に記載される試験に含まれる患者の応答持続期間(DOR)についてのKM曲線を示す図である。図12Bは、実施例3に記載される試験に含まれる患者の無進行生存(PFS)についてのKM曲線を示す図である。図12Cは、実施例3に記載される試験に含まれる患者の全生存(OS)についてのKM曲線を示す図である。 図12Bは、実施例3に記載される試験に含まれる患者の無進行生存(PFS)についてのKM曲線を示す図である。 図12Cは、実施例3に記載される試験に含まれる患者の全生存(OS)についてのKM曲線を示す図である。 図13Aは、実施例3に記載される試験に含まれる患者についての、全般的健康/生活の質スコアのベースラインからの変化を示すグラフである。 図13Bは、実施例3に記載される試験に含まれる患者についての、疼痛スコアのベースラインからの変化を示すグラフである。p<0.0001。ベースラインから≧10ポイント増加すれば臨床的に意味のある改善と見なし、一方、ベースラインから≧10ポイント減少すれば臨床的に意味のある増悪と見なす。データは、各サイクルの1日目について示している。質問表調査は、各処置サイクルの1日目に行った(処置サイクルは、第1群および第2群では8週間、第3群では9週間と規定される)。同等の月数を示す。 実施例3に記載される、6サイクル目および12サイクル目での臨床的に意味のある変化(≧10ポイントの変化)を報告する、応答した患者の割合を示す図である。質問表調査は、各処置サイクルの1日目に行った(処置サイクルは、第1群および第2群では8週間、第3群では9週間と規定される)。
本開示は、そのような方法および条件は、変動しうるので、記載される、特定の方法および実験条件に限定されないことが理解されるものとする。また、本開示の範囲は、付属の特許請求の範囲だけにより限定されるので、本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態だけについて記載することを目的とするものであり、限定的であることを意図されるものではないことも理解されるものとする。そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書で使用される、全ての技術用語および学術用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本開示の実施または試験では、本明細書で記載される方法および材料と同様または同等である、任意の方法および材料を使用することができるが、ここでは、好ましい方法および材料について記載される。そうでないことが言明されない限りにおいて、本明細書で言及される全ての刊行物を、参照によってそれらの全体において本明細書に組み入れる。
本開示は、一般に、がん患者におけるがん疼痛を処置または阻害する方法であって、がんおよび疼痛を患う患者を選択する工程と、患者へと治療有効量のプログラム死1(PD-1)阻害剤を投与する工程とを含む方法に関する。本開示はまた、腫瘍の増殖を処置または阻害し、がん疼痛を処置または阻害する方法であって、がんおよび疼痛を患う患者を選択する工程と、患者へと治療有効量のPD-1阻害剤を投与する工程とを含む方法に関する。一部の実施形態では、本開示の方法は、腫瘍の退縮と疼痛の低減とを同時にもたらす。すなわち、この場合、そのような利益はほぼ同じ時間で達成される。本開示全体を通して、特定の抗PD-1抗体への言及は、代表的なPD-1阻害剤を例示するために示されており、本開示の範囲を限定するものではない。
がん疼痛を処置または阻害する方法
本開示は、がん疼痛を処置または阻害する方法であって、それを必要とする、がんを伴う患者を選択する工程と;患者へと、PD-1、PD-L1、および/もしくはPD-L2に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合性断片、または本明細書で記載される他の任意の「PD-1阻害剤」を投与する工程とを含む方法を含む。
本明細書で使用される、疼痛に関する「~を処置すること」、「~を処置する」などの用語は、少なくとも1つの症状もしくは徴候の重症度を緩和もしくは低減すること、一時的にもしくは恒常的に症状の因果関係を消失させること、疼痛を阻害すること、疼痛を低減すること、および/またはオピオイドまたは他の鎮痛薬の必要性を低減することを意味する。疼痛(「がん疼痛」と称されることもある)は、患者の原発性がん自体に由来する場合も、またはがんが広がった(転移)患者の体内の他の場所に由来する場合もある。がん疼痛は、傷害、感染症、またはがんに関連する炎症から生じうる。がん疼痛は、患者の体のある領域に及ぼすがんの物理的作用から生じることも、またはがん自体および/もしくはがん治療に起因してがん細胞および/もしくは組織から分泌される化学物質によって引き起こされることもある。がん疼痛は、急性痛、慢性痛、および/または突出痛を含みうる。関連する実施形態では、腫瘍の増殖に関する「~を処置すること」、「~を処置する」などの用語は、少なくとも1つの症状もしくは徴候の重症度を緩和もしくは低減すること、腫瘍の増殖を遅延させるか、もしくは阻害すること、腫瘍細胞負荷もしくは腫瘍量を低減すること、腫瘍の退縮を促進すること、腫瘍の縮小、壊死、および/もしくは消失を引き起こすこと、腫瘍の再発を防止すること、転移を防止もしくは阻害すること、転移性腫瘍の増殖を阻害すること、放射線もしくは手術に対する必要性を消失させること、対象の生存期間を延長すること、ならびに/または安定(SD)、部分奏効(PR)、もしくは完全奏効(CR)(RECIST基準を使用して決定される)をもたらすことを意味する。多くの実施形態では、「腫瘍」、「病変」、「腫瘍病変」、「がん」、および「悪性腫瘍」という用語は、互換的に使用され、1つまたそれ以上のがん性増殖を指す。
本明細書で使用される、がん疼痛を処置または阻害することに関する「それを必要とする対象」という表現は、がんを有し、かつ疼痛の1つまたそれ以上の症状または徴候を呈し、このための処置を必要とする、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を意味する。「対象」という用語は、「患者」という用語と互換的に使用しうる。一部の実施形態では、この表現は、疼痛を有し、かつ/または疼痛のための処置を必要とし、かつまた、固形腫瘍、例えば、肛門がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、脳がん、子宮頚がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、皮膚がん(CSCCおよびBCC)、胃がん、精巣がん、および子宮がんを有し、かつ/またはそれらのための処置を必要とするヒト対象を含む。
関連する実施形態では、この表現は、原発性または転移性腫瘍(進行性悪性腫瘍)を伴う対象を含む。例えば、ヒト対象は、原発性または転移性腫瘍を伴うと診断され、および/または、限定するものではないが、疼痛、説明できない体重減少、全身の脱力感、持続的な疲労感、食欲減退、発熱、寝汗、骨痛または筋肉痛、息切れ、腹部膨満、胸痛/胸部圧迫感、脾臓肥大、およびがん関連バイオマーカーのレベルの上昇を含めた1つまたはそれ以上の症状もしくは徴候を有すると診断される。
患者の疼痛の重症度は、European Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)のがん特有の30項目の質問表(QLQ-C30)の生活の質尺度(Osobaら、J Clin Oncol.1998;16:139~144)、Pain Intensity Numerical Rating Scale(NRS)スコア、Roland Morris Disability Questionnaire(RMDQ)合計スコア、または疼痛スコアのPatient Global Assessment(PGA)(Mannionら、Nat.Clin.Pract.Rheumatol.、2007、3:610~618)のような、当業者に公知の標準的な方法を使用して評価することができる。疼痛強度を測定するのに使用することができる他の方法として、以下を挙げることができる:視覚的アナログ尺度(VAS)、口頭式評価尺度(VRS)、および数値化尺度(NRS)(Von Korffら、2000、Spine、25:3140~51;Zanoliら、2000、Spine 25:3178~85;Haefeliら、2006、Eur Spine J、15(補遺1):S17~S24;McGuire、1999、Instruments for Health-Care Research、528~561(Frank-StromborgおよびOlsen編);Ogonら、1996、Pain、64:425~428;Haggら、2003、Eur Spine J、12:12~20;Jensenら、1986、Pain、27:117~126)。
EORTC QLQ-C30は、新たながん療法を評価するために腫瘍学で使用される標準的な手段の一つであり、がん患者により関連すると特定される主な健康関連QoL次元(身体機能、心理、認知、役割、および社会機能、全般的QoL)、ならびに症状および毒性の影響の総合的評価を提示する。スコアは0~100の範囲であり;機能ドメインのスコアが高いほど、そして症状のスコアが低いほど、より良好な転帰を反映する。ベースラインから絶対値で少なくとも10ポイントの変化があれば、臨床的に意味があると見なされる(Osobaら、J Clin Oncol、1998;16:139~144)。
SKINDEX-16は、皮膚疾患が過去1週間に患者の健康関連QoLに及ぼした影響を評価するものであり、結果は3つの下位尺度(症状、心理、および機能)について報告される。SKINDEX-16は、皮膚科学に特定した尺度であり、皮膚疾患に関連する疾患負荷の特定のドメインに焦点を当てたものである。下位尺度のスコアは0~100の範囲であり;スコアが低いほど、疾患の影響がより少ないことを反映する。≧10ポイントの変化は、臨床的に意味があると見なされる(Hanssonら、Eur J Dermatol.、2018;28:775~783)。
一部の実施形態では、がん疼痛を処置または阻害する本開示の方法は、以下の作用のうちの1つまたそれ以上をもたらす:疼痛の低減、生活の質の改善、オピオイドのような鎮痛薬(併用または基礎鎮痛療法を含む)の使用の低減、および腫瘍細胞の低減。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、固形腫瘍を伴う対象において使用される。本明細書で使用される、「固形腫瘍」という用語は、通常、嚢胞または液体部分を含まない、異常な組織塊を指す。固形腫瘍は、良性(がんではない)であっても、悪性(がん)であってもよい。本開示の目的に関して、「固形腫瘍」という用語は、悪性の固形腫瘍を意味する。この用語は、それらを形成する細胞型から名づけられた異なるタイプの固形腫瘍、すなわち、肉腫、がん腫、およびリンパ腫を含む。しかし、この用語は白血病を含まない。様々な実施形態では、「固形腫瘍」という用語は、結合組織または支持組織(例えば、骨または筋肉)から生じるがん(肉腫と称される)、体の腺細胞および体組織に沿って並ぶ上皮細胞から生じるがん(がん腫と称される)、ならびにリンパ器官、例えば、リンパ節、脾臓、および胸腺のがん(リンパ腫と称される)を含む。リンパ系細胞は体の殆ど全ての組織に存在し、したがってリンパ腫は多種多様な臓器に発症しうる。ある特定の実施形態では、「固形腫瘍」という用語は、BCC、CSCC、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頚がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、および骨髄腫を含めたがんを含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、「固形腫瘍」という用語は、肝細胞癌、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん癌、基底細胞癌、乳癌、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、血管肉腫、胆管癌、軟部肉腫、結腸直腸がん、黒色腫、メルケル細胞癌、および多形性神経膠芽細胞腫を含めたがんを含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、「固形腫瘍」という用語は、処置を必要とする対象における、互いに離れて位置する1個超の固形腫瘍病変、例えば、2個、2個超、5個超、10個超、15個超、20個超、または25個超の病変を含む。ある特定の実施形態では、1個超の病変は、同じ臓器において互いに遠位に位置する。ある特定の他の実施形態では、腫瘍病変は、異なる臓器に位置することがある。
ある特定の実施形態に従い、本開示は、がん患者における疼痛を処置または阻害する方法を含む。一部の実施形態では、本開示の方法は、患者によるオピオイドの使用を低減する。一部の実施形態では、本開示の方法は、患者における疼痛を低減すると同時に、腫瘍の増殖を処置または阻害する。
ある特定の実施形態では、本方法は、治療有効量のPD-1阻害剤を鎮痛療法と組み合わせて投与する工程を含む。鎮痛療法として、オピオイド(例えば、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、コデイン、モルフィン、メペリジン、メタドン)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、アセトアミノフェン、ステロイド、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、鎮痛療法はオピオイドを含む。
ある特定の実施形態では、本方法は、治療有効量のPD-1阻害剤を鎮痛療法および抗腫瘍治療と組み合わせて投与する工程を含む。抗腫瘍療法として、従来の抗腫瘍療法、例えば、化学療法、放射線、手術、および他の抗腫瘍療法が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態に従う、本開示の方法は、対象へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を、追加の治療剤または治療と組み合わせて投与する工程を含む。追加の治療剤または治療は、疼痛を低減するために、抗腫瘍効能を増大させるために、1つもしくはそれ以上の治療の毒性作用を低減するために、かつ/または1つもしくはそれ以上の治療の投与量を低減するために投与することができる。多様な実施形態では、追加の治療剤または治療は、放射線、手術、がんワクチン、イミキモド、抗ウイルス剤(例えば、シドフォビル)、光力学療法、HHI療法(例えば、ビスモデギブ、ソニデジブ、プログラム死リガンド1(PD-L1)阻害剤(例えば、抗PD-L1抗体)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤(例えば、抗LAG3抗体)、細胞障害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤(例えば、イピリムマブ)、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM3)阻害剤、BおよびTリンパ球減衰因子(BTLA)阻害剤、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD38阻害剤、CD47阻害剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、CD28活性化因子、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト[例えば、アフリベルセプトのような「VEGF-トラップ」、または抗VEGF抗体もしくはその抗原結合性断片(例えば、ベバシズマブ、またはラニビズマブ)、またはVEGF受容体の低分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、またはパゾパニブ)]、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤、形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、表皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、腫瘍特異性抗原[例えば、CA9、CA125、黒色腫関連抗原3(MAGE3)、がん胎児性抗原(CEA)、ビメンチン、腫瘍-M2-PK、前立腺特異性抗原(PSA)、ムチン-1、MART-1、およびCA19-9]に対する抗原、ワクチン(例えば、カルメット-ゲラン桿菌)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤(例えば、ペメトレキセド、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トポテカン、イリノテカン、ビノレルビン、およびビンクリスチン)、ビスモデギブ、ソニデジブ、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、サイトカイン、例えば、IL-2、IL-7、IL-12、IL-21、およびIL-15、抗体薬物コンジュゲート、腫瘍溶解性ウイルス、副腎皮質ステロイドのような抗炎症性薬、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、ならびに抗酸化剤のような栄養補助食品、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含みうる。
本明細書で使用される、「~と組み合わせて」という表現は、本明細書で開示されるPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)と第2の治療剤または治療との対象への共投与を指す。一部の実施形態では、共投与は同時である。他の実施形態では、PD-1阻害剤は、追加の治療剤または治療の前に投与される。他の実施形態では、PD-1阻害剤は、追加の治療剤または治療の後に投与される。
ある特定の実施形態では、本開示は、疼痛を処置または阻害する方法であって、(a)疼痛を患うがん患者を選択する工程であって、以下の属性:(i)患者がCSCCを有する;(ii)患者が、1つまたそれ以上の腫瘍病変を有する;(iii)腫瘍が切除不能である;(iv)患者が、手術および/または放射線療法に適した候補ではない;(v)患者が、転移性または局所進行性CSCCを有する;(vi)患者が、1つ未満のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスを有する;(vii)患者が、標準治療の鎮痛薬(例えば、オピオイド)を継続中である;(viii)患者が、Quolity of Life(QoL)質問表において、疼痛について高スコアを呈する;ならびに(ix)腫瘍がUV誘導性DNA損傷を含む;のうちの1つまたはそれ以上に基づいて患者が選択される工程と;(b)それを必要とする患者へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を投与する工程とを含む方法を含む。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を投与する工程を含み、ここで、PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減をもたらす。ある特定の実施形態では、疼痛は、PD-1阻害剤を投与される前に患者が経験した疼痛のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、またはそれ以上低減される。ある特定の実施形態では、疼痛は、PD-1阻害剤の投与後2カ月間、4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも50%低減される。ある特定の実施形態では、疼痛は、PD-1阻害剤の投与後2カ月間、4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも60%低減される。ある特定の実施形態では、疼痛は、PD-1阻害剤の投与後2カ月間、4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも70%低減される。ある特定の実施形態では、疼痛は、PD-1阻害剤の投与後2カ月間、4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも80%低減される。ある特定の実施形態では、疼痛は、PD-1阻害剤の投与後2カ月間、4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも90%低減される。本明細書で使用される、「PD-1阻害剤の投与」は、PD-1阻害剤の投与レジメン(例えば、本明細書で記載される1回またそれ以上の回数の投与またはサイクル)の開始を指すことができる。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を投与する工程を含み、ここで、PD-1阻害剤の投与は、以下のうちの1つまたそれ以上をもたらす:(i)腫瘍の増殖を処置もしくは阻害する;(ii)腫瘍の退縮を促進する;(iii)腫瘍細胞負荷もしくは腫瘍量を低減する;(iv)腫瘍の再発を防止する;(v)RECIST基準を使用して決定される、部分奏効(PR)もしくは完全奏効(CR);(vi)全生存もしくは無進行生存の延長;(vii)患者における疼痛をベースラインと比較して約20%、30%、40%、50%、もしくはそれ以上低減する;(viii)患者による鎮痛療法の使用の低減をもたらす;および/または(ix)QoL質問表解析によって決定される生活の質を増大する。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を投与する工程を含み、ここで、PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減(例えば、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の低減)と、腫瘍細胞の全てのエビデンスの完全な消失(「完全奏効」)とを同時にもたらす。ある特定の実施形態では、抗PD-1抗体の投与は、がん疼痛の低減(例えば、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の低減)と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少(「部分奏効」)とを同時にもたらす。腫瘍の低減は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、X線、陽電子放出断層法(PET)、コンピュータ断層法(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、細胞像、組織像、または分子遺伝子解析により測定することができる。本明細書で使用される、「同時に」という用語は、疼痛の処置または阻害の利益が、腫瘍の増殖の処置または阻害の利益と同時に生じることを指し、この場合、両方のタイプの利益は、ほぼ同時に、例えば、互いに1週間、2週間、3週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、または6カ月間以内に達成される。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、疼痛を伴うがん患者を選択する工程と、患者へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を投与する工程とを含み、ここで、PD-1阻害剤の投与は、「標準治療」(SOC)の鎮痛療法(例えば、オピオイドまたはNSAID)を投与された患者と比較して、患者の全生存(OS)または無進行生存(PFS)の延長をもたらす。ある特定の実施形態では、PFSは、いずれか1つまたそれ以上のSOC療法を投与された患者と比較して、少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、少なくとも7カ月間、少なくとも8カ月間、少なくとも9カ月間、少なくとも10カ月間、少なくとも11カ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間延長される。ある特定の実施形態では、OSは、いずれか1つまたそれ以上のSOC療法を投与された患者と比較して、少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、少なくとも7カ月間、少なくとも8カ月間、少なくとも9カ月間、少なくとも10カ月間、少なくとも11カ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、または少なくとも3年間延長される。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を投与する工程を含み、ここで、対象はがん患者であり、PD-1阻害剤の投与は、がん患者によるオピオイドの使用の低減をもたらす。ある特定の実施形態では、オピオイドの使用は、非処置の対象または別の抗腫瘍療法を投与された対象と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、または約50%低減される。ある特定の実施形態では、オピオイドの使用は、PD-1阻害剤の初回投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも20%低減される。ある特定の実施形態では、オピオイドの使用は、PD-1阻害剤の初回投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも30%低減される。ある特定の実施形態では、オピオイドの使用は、PD-1阻害剤の初回投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも40%低減される。ある特定の実施形態では、オピオイドの使用は、PD-1阻害剤の初回投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも50%低減される。
本開示はまた、本明細書で記載される治療的使用のためのPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を含むキットも提示する。キットは、典型的に、キットの内容物の意図される使用を表示するラベルと、使用のための指示書とを含む。本明細書で使用される、「ラベル」という用語は、任意の書面、またはキット上で、キット内に、もしくはキットと共に供給されるか、もしくは他の形でキットに付随する記録素材を含む。したがって、本開示は、がんに罹患し、疼痛を患う対象を処置するためのキットであって、(a)治療有効投与量のPD-1阻害剤抗体と;(b)本明細書で開示される方法のうちのいずれかにおいてPD-1阻害剤を使用するための指示書とを含むキットを提示する。ヒト患者を処置するためのある特定の実施形態では、キットは、本明細書で開示されるPD-1阻害剤、例えば、セミプリマブ、ニボルマブ、またはペムブロリズマブを含む。一部の実施形態では、指示書は、PD-1阻害剤を投与して疼痛を処置または阻害するための指示を含む。
鎮痛薬の使用を低減する方法
本開示は、鎮痛薬(例えば、オピオイド)の使用を低減する方法であって、患者の疼痛を管理するための鎮痛療法で(すなわち、基礎治療薬として)処置されている、疼痛を患うがん患者を選択する工程と;患者へと、PD-1、PD-L1、および/もしくはPD-L2に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合性断片、または本明細書で記載される他の任意の「PD-1阻害剤」を投与する工程とを含む方法を含む。一部の実施形態では、本方法は、患者の疼痛を低減することにより、患者の鎮痛薬の使用を低減するか、または鎮痛療法に対する必要性を低減する。一般に、鎮痛薬の使用の低減は、PD-1阻害剤の投与前の最初のベースラインでの使用を、PD-1阻害剤の投与後の時点(例えば、投与レジメン(例えば、本明細書で記載される1回またそれ以上の回数の投与またはサイクル)の開始後)と比較したものとして測定される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤で処置されているがん患者に施される鎮痛療法の量は、PD-1阻害剤で処置されていないがん患者に施される鎮痛療法の量より少ない。
一部の実施形態では、鎮痛薬の使用を低減する本開示の方法は、疼痛を管理するための併用または基礎治療薬としての鎮痛療法を施されている、がんを伴う患者を選択する工程と;患者へと治療有効量のPD-1阻害剤を投与する工程とを含む方法を含む。一般に、鎮痛療法は、患者の疼痛を管理するために、例えば、PD-1阻害剤の投与前に投与される。一部の実施形態では、鎮痛療法はオピオイドである。一部の実施形態では、本開示の方法は、PD-1阻害剤の投与前に患者に施される鎮痛療法のベースラインの量と比較して、患者に施される鎮痛療法の量を、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上低減する。本明細書で使用される、「PD-1阻害剤の投与」は、PD-1阻害剤の投与レジメン(例えば、本明細書で開示される1回またはそれ以上の回数の投与またはサイクル)の開始を指すことができる。一部の実施形態では、鎮痛療法の量は、PD-1阻害剤の継続的な投与のレジメンを維持している間に、PD-1阻害剤の投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に20%、30%、40%、50%、またはそれ以上低減される。一部の実施形態では、鎮痛薬の使用を低減する本開示の方法は、PD-1阻害剤の継続的な投与のレジメンを維持している間に、患者に施す鎮痛療法を少なくしつつ、がん疼痛の低減をもたらす。一実施形態では、鎮痛療法の使用は、1回またそれ以上の回数のPD-1阻害剤の投与時に、不要になるか、または中止される。
一部の実施形態では、本開示の方法は、オピオイド、NSAID、アセトアミノフェン、ステロイド、およびそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上から選択される鎮痛薬の使用を低減することを含む。一部の実施形態では、鎮痛薬はオピオイドを含む。一部の実施形態では、オピオイドは、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、コデイン、モルフィン、メペリジン、およびメタドンから選択される。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を投与する工程を含み、ここで、対象はがん患者であり、PD-1阻害剤の投与は、がん患者によるオピオイドの使用の低減をもたらす。ある特定の実施形態では、オピオイドの使用は、非処置の対象または別の抗腫瘍療法を投与された対象と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、または約50%低減される。ある特定の実施形態では、オピオイドの使用は、PD-1阻害剤の初回投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも20%低減される。ある特定の実施形態では、オピオイドの使用は、PD-1阻害剤の初回投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも30%低減される。オピオイドの使用は、PD-1阻害剤の初回投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも40%低減される。オピオイドの使用は、PD-1阻害剤の初回投与後4カ月間、6カ月間、8カ月間、10カ月間、または1年間以内に少なくとも50%低減される。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、それを必要とする対象へと治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を投与する工程を含み、ここで、PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減(例えば、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の低減)と、腫瘍細胞の全てのエビデンスの完全な消失(「完全奏効」)とを同時にもたらす。ある特定の実施形態では、抗PD-1抗体の投与は、がん疼痛の低減(例えば、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の低減)と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少(「部分奏効」)とを同時にもたらす。腫瘍の低減は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、X線、陽電子放出断層法(PET)、コンピュータ断層法(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、細胞像、組織像、または分子遺伝子解析により測定することができる。本明細書で使用される、「同時に」という用語は、疼痛の処置または阻害の利益が、腫瘍の増殖の処置または阻害の利益と同時に生じることを指し、この場合、両方のタイプの利益は、ほぼ同時に、例えば、互いに1週間、2週間、3週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、または6カ月間以内に達成される。
本開示はまた、本明細書で記載される治療的使用のためのPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)を含むキットも提示する。キットは、典型的に、キットの内容物の意図される使用を表示するラベルと、使用のための指示書とを含む。本明細書で使用される、「ラベル」という用語は、任意の書面、またはキット上で、キット内に、もしくはキットと共に供給されるか、もしくは他の形でキットに付随する記録素材を含む。したがって、本開示は、がんおよび疼痛を患う対象を処置するためのキットであって、(a)治療有効投与量のPD-1阻害剤抗体と;(b)本明細書で開示される方法のうちのいずれかにおいてPD-1阻害剤を使用するための指示書とを含むキットを提示する。ヒト患者を処置するためのある特定の実施形態では、キットは、本明細書で開示されるPD-1阻害剤、例えば、セミプリマブ、ニボルマブ、またはペムブロリズマブを含む。一部の実施形態では、指示書は、PD-1阻害剤を投与して疼痛を処置または阻害し、腫瘍の増殖を処置または阻害するための指示を含む。
PD-1阻害剤
本明細書で開示される方法は、治療有効量のPD-1阻害剤を投与する工程を含む。本明細書で使用される、「PD-1阻害剤」とは、PD-1の活性または発現を阻害するか、遮断するか、妨げるか、またはこれに干渉することが可能な、任意の分子を指す。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、抗体、低分子化合物、核酸、ポリペプチド、またはこれらの機能的断片もしくは変異体でありうる。適切なPD-1阻害剤抗体の非限定例は、抗PD-1抗体およびその抗原結合性断片、抗PD-L1抗体およびその抗原結合性断片、ならびに抗PD-L2抗体およびその抗原結合性断片を含む。適切なPD-1阻害剤の、他の非限定例は、抗PD-1 RNAi分子、抗PD-L1 RNAi、および抗PD-L2 RNAiのようなRNAi分子、抗PD-1アンチセンスRNA、抗PD-L1アンチセンスRNA、および抗PD-L2アンチセンスRNAのようなアンチセンス分子、ならびにPD-1ドミナントネガティブタンパク質、PD-L1ドミナントネガティブタンパク質、およびPD-L2ドミナントネガティブタンパク質のようなドミナントネガティブタンパク質を含む。前出のPD-1阻害剤の一部の例については、PD-1阻害剤を同定するそれらの一部を、参照によって本明細書に組み入れる、例えば、US9308236、US10011656、およびUS20170290808において記載されている。
本明細書で使用される、「抗体」という用語は、ジスルフィド結合により相互接続された、2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖である、4つのポリペプチド鎖から構成される免疫グロブリン分子(すなわち、「完全抗体分子」)の他、その多量体(例えば、IgM)またはその抗原結合性断片を指すことを意図する。各重鎖は、重鎖可変領域(「HCVR」または「V」)と、重鎖定常領域(ドメインである、CH1、CH2、およびCH3から構成される)とから構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(「LCVR」または「V」)と、軽鎖定常領域(CL)とから構成される。V領域およびV領域は、フレームワーク領域(FR)と称する、より保存的な領域を散在させた、相補性決定領域(CDR)と称する、超可変性領域へと、さらに細分することができる。各Vおよび各Vは、アミノ末端から、カルボキシ末端へと以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された、3つのCDRと、4つのFRとから構成される。ある特定の実施形態では、抗体(またはその抗原結合性断片)のFRは、ヒト生殖細胞系列配列と同一である場合もあり、天然で、または人工的に修飾されている場合もある。アミノ酸のコンセンサス配列は、2つまたはそれ以上のCDRについての比較対照解析に基づき、規定することができる。本明細書で使用される、「抗体」という用語はまた、完全抗体分子の抗原結合性断片も含む。
本明細書で使用される、抗体の「抗原結合性断片」、抗体の「抗原結合性部分」などの用語は、抗原に特異的に結合して、複合体を形成する、任意の、天然に存在するか、酵素により得られるか、合成によるか、または遺伝子操作される、ポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合性断片は、例えば、タンパク質分解性酵素、または抗体の可変ドメインと、場合により、定常ドメインとをコードするDNAの操作(manipulation)および発現を伴う、組換え遺伝子操作(engineering)法のような、任意の適切な標準的技法を使用して、完全抗体分子から導出することができる。このようなDNAは、公知であり、かつ/または例えば、市販の供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーを含む)から、たやすく入手可能であるか、または合成することができる。DNAは、シーケンシングし、化学的に操作するか、または分子生物学法を使用することにより操作して、例えば、1つもしくはそれ以上の可変ドメインおよび/もしくは定常ドメインを、適切な立体配置へと配置するか、またはコドンを導入するか、システイン残基を創出するか、アミノ酸を修飾するか、付加するか、もしくは欠失させるなどすることができる。
抗原結合性断片の非限定例は、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる、最小認識単位(例えば、CDR3ペプチドのような、単離相補性決定領域(CDR))、またはFR3-CDR3-FR4ペプチドを含む。ドメイン特異性抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、ミニボディー、ナノボディー(例えば、一価ナノボディー、二価ナノボディーなど)、低分子モジュラー型免疫医薬(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインのような、他の操作分子もまた、本明細書で使用される、「抗原結合性断片」という表現の内に包含される。
抗体の抗原結合性断片は、典型的に、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成であることが可能であり、一般に、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列と隣接するか、またはこれとインフレームの位置にある、少なくとも1つのCDRを含む。Vドメインを、Vドメインと会合させた、抗原結合性断片内では、Vドメインと、Vドメインとを、互いと比べて、任意の適切な配置に置くことができる。例えば、可変領域は、二量体であることが可能であり、V-V二量体を含有する場合もあり、V-V二量体を含有する場合もあり、V-V二量体を含有する場合もある。代替的に、抗体の抗原結合性断片は、単量体のVドメインを含有する場合もあり、単量体Vドメインを含有する場合もある。
ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合性断片は、少なくとも1つの定常ドメインへと、共有結合的に連結された、少なくとも1つの可変ドメインを含有しうる。本開示の抗体の抗原結合性断片内で見出すことができる、可変ドメインおよび定常ドメインの、非限定で例示的な構成は、(i)V-C1;(ii)V-C2;(iii)V-C3;(iv)V-C1-C2;(v)V-C1-C2-C3;(vi)V-C2-C3;(vii)V-C;(viii)V-C1;(ix)V-C2;(x)V-C3;(xi)V-C1-C2;(xii)V-C1-C2-C3;(xiii)V-C2-C3;および(xiv)V-Cを含む。上記で列挙された例示的構成のうちのいずれかを含む、可変ドメインおよび定常ドメインの、任意の立体配置では、可変ドメインと、定常ドメインとは、互いと、直接連結することもでき、完全ヒンジ領域もしくは完全リンカー領域、または部分的ヒンジ領域もしくは部分的リンカー領域により連結することもできる。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子内で隣接する、可変ドメインおよび/または定常ドメインの間に、可撓性の連結または半可撓性の連結を結果としてもたらす、少なくとも2つの(例えば、5、10、15、20、40、60またはそれ以上の)アミノ酸からなりうる。さらに、本開示の抗体の抗原結合性断片は、互いと、かつ/または1つもしくはそれ以上の、単量体Vドメインもしくは単量体Vドメインと、非共有結合的に(例えば、ジスルフィド結合(複数可)により)会合させた、上記で列挙された可変ドメイン/定常ドメイン構成のうちのいずれかの、ホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含みうる。
本明細書で開示される方法で使用される抗体は、ヒト抗体でありうる。本明細書で使用される、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を指す。それにもかかわらず、本開示のヒト抗体は、例えば、CDR内、特に、CDR3内に、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroにおいて、ランダム突然変異誘発もしくは部位特異性突然変異誘発により導入された突然変異、またはin vivoにおける体細胞突然変異)を含む。しかし、本明細書で使用される、「ヒト抗体」という用語は、マウスのような、別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列へとグラフトされた抗体を含むことを意図しない。
本明細書で開示される方法で使用される抗体は、組換えヒト抗体でありうる。本明細書で使用される、「組換えヒト抗体」という用語は、宿主細胞へとトランスフェクトされた組換え発現ベクター(下記でさらに記載される)を使用して発現される抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(下記でさらに記載される)から単離される抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)(例えば、Taylorら(1992)、Nucl.Acids Res.、20:6287~6295を参照されたい)から単離される抗体、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の、他のDNA配列へのスプライシングを伴う、他の任意の手段により調製されるか、発現されるか、創出されるか、もしくは単離される抗体のような組換え手段により、調製されるか、発現されるか、創出されるか、または単離される、全てのヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。しかし、ある特定の実施形態では、このような組換えヒト抗体を、in vitro突然変異誘発(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックである動物を使用する場合は、in vivo体細胞突然変異誘発)にかけるので、組換え抗体のV領域およびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のV配列およびV配列に由来し、これらと類縁であるが、in vivoのヒト抗体生殖細胞系列レパートリー内に、天然では存在することができない配列である。
抗PD-1抗体およびその抗原結合性断片
一部の実施形態では、本明細書で開示される方法において使用されるPD-1阻害剤は、PD-1に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性断片である。「~に特異的に結合する」などという用語は、抗体またはその抗原結合性断片が、抗原と共に、生理学的条件下で、比較的安定な複合体を形成することを意味する。当技術分野では、抗体が、抗原に特異的に結合するのかどうかを決定するための方法が周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、本開示の文脈で使用される、PD-1「に特異的に結合する」抗体は、PD-1またはその一部に、表面プラズモン共鳴アッセイで測定される通り、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、または約0.5nM未満のKで結合する抗体を含む。しかし、ヒトPD-1に特異的に結合する単離抗体は、他の(非ヒト)種に由来するPD-1分子のような、他の抗原との交差反応性を有する場合がある。
ある特定の例示的な実施形態に従い、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片を、参照によってその全体において本明細書に組み入れる、US9987500において明示されている抗PD-1抗体のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、および/または相補性決定領域(CDR)を含む。ある特定の例示的な実施形態では、本開示の文脈で使用される、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む。ある特定の実施形態に従い、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)と、3つのLCDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)とを含み、この場合、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1を含むHCVRと、配列番号2を含むLCVRとを含む。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、抗PD-1抗体の使用を含み、この場合、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、例示的な抗体は、セミプリマブとして公知の(また、REGN2810;LIBTAYO(登録商標)としても公知である)、完全ヒト抗PD-1抗体である。
ある特定の例示的な実施形態に従い、本開示の方法は、セミプリマブまたはその生物学的同等物の使用を含む。本明細書で使用される、「生物学的同等物」という用語は、単回投与であれ、複数回投与であれ、同じモル用量、同様の実験条件下で投与される場合に、その吸収の速度および/または範囲が、参照抗体(例えば、セミプリマブ)の吸収の速度および/または範囲と、著明な差違を示さない、医薬同等物または医薬代替物である、抗PD-1抗体もしくはPD-1結合性タンパク質またはこれらの断片を指す。本開示の文脈では、「生物学的同等物」という用語は、PD-1に結合し、安全性、純度、および/または効力に関して、セミプリマブと、臨床的に有意味な差違を有さない、抗原結合性タンパク質を含む。
本開示のある特定の実施形態に従い、抗ヒトPD-1またはその抗原結合性断片は、配列番号1に対する、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有するHCVRを含む。
本開示のある特定の実施形態に従い、抗ヒトPD-1またはその抗原結合性断片は、配列番号2に対する、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有するLCVRを含む。
本開示のある特定の実施形態に従い、抗ヒトPD-1またはその抗原結合性断片は、5つ以下のアミノ酸置換を有する、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRを含む。本開示のある特定の実施形態に従い、抗ヒトPD-1またはその抗原結合性断片は、2つ以下のアミノ酸置換を有する、配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
配列同一性は、当技術分野で公知の方法(例えば、GAP、BESTFIT、およびBLAST)により測定することができる。
本開示はまた、がんを処置する方法における、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片の使用も含み、この場合、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、1つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換を有する、本明細書で開示される、HCVR、LCVR、および/またはCDRのアミノ酸配列のうちのいずれかの変異体を含む。例えば、本開示は、本明細書で開示される、HCVR、LCVR、および/またはCDRのアミノ酸配列のうちのいずれかと比べて、例えば、10以下、8つ以下、6つ以下、4つ以下などの保存的アミノ酸置換を有する、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片の使用を含む。
本開示の方法の文脈で使用することができる、他の抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MEDI0608、ピジリズマブ、BI 754091、スパルタリズマブ(また、PDR001としても公知である)、カムレリズマブ(また、SHR-1210としても公知である)、JNJ-63723283、MCLA-134と称し、当技術分野でも公知の抗体、または米国特許第6808710号、同第7488802号、同第8008449号、同第8168757号、同第8354509号、同第8609089号、同第8686119号、同第8779105号、同第8900587号、および同第9987500号、ならびにWO2006121168およびWO2009114335で明示されている抗PD-L1抗体のうちのいずれかを含む。抗PD-1抗体を同定する、前述の公報の一部または全部を、参照によって本明細書に組み入れる。
本開示の方法の文脈で使用される、抗PD-1抗体は、pH依存性の結合特徴を有しうる。例えば、本開示の方法における使用のための抗PD-1抗体は、酸性pHにおける、中性pHにおける場合と比較した、PD-1への結合の低減を呈しうる。代替的に、本発明の抗PD-1抗体は、酸性pHにおける、中性pHと比較した、その抗原への結合の増強を呈しうる。「酸性pH」という表現は、約6.2未満、例えば、約6.0、5.95、5.9、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0以下のpH値を含む。本明細書で使用される、「中性pH」という表現は、約7.0~約7.4のpHを意味する。「中性pH」という表現は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、および7.4のpH値を含む。
ある特定の場合に、「酸性pHにおける、中性pHにおける場合と比較した、PD-1への結合の低減」は、酸性pHにおける、抗体の、PD-1への結合のK値の、中性pHにおける、抗体の、PD-1への結合のK値に対する比との関係で表される(または逆も成り立つ)。例えば、抗体またはその抗原結合性断片が、約3.0またはそれ以上の酸性/中性K比を呈する場合、抗体またはその抗原結合性断片は、本開示の目的で、「酸性pHにおける、中性pHと比較した、PD-1への結合の低減」を呈すると考えることができる。ある特定の例示的な実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片についての、酸性/中性のK比は、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、20.0、25.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、100.0以上でありうる。
pH依存性の結合特徴を伴う抗体は、例えば、抗体の集団を、酸性pHにおける、特定の抗原への結合の、中性pHにおける場合と比較した低減(または増強)についてスクリーニングすることにより得ることができる。加えて、抗原結合性ドメインの、アミノ酸レベルにおける修飾は、pH依存性特徴を伴う抗体をもたらしうる。例えば、抗原結合性ドメインの(例えば、CDR内の)、1つまたはそれ以上のアミノ酸を、ヒスチジン残基で置換することにより、酸性pHにおいて、抗原結合性が、中性pHと比べて低減される抗体を得ることができる。本明細書で使用される、「酸性pH」という表現は、6.0以下のpHを意味する。
抗PD-L1抗体およびその抗原結合性断片
一部の実施形態では、本明細書で開示される方法において使用されるPD-1阻害剤は、PD-L1に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合性断片である。例えば、本開示の文脈で使用される、PD-L1「に特異的に結合する」抗体は、PD-L1またはその一部に、約1×10-8M以下のK(例えば、より小さなKは、より緊密な結合を表す)で結合する抗体を含む。「高アフィニティー」の抗PD-L1抗体とは、表面プラズモン共鳴、例えば、BIACORE(商標)または液体アフィニティーELISAにより測定される、少なくとも10-8M、好ましくは10-9M、より好ましくは10-10M、さらにより好ましくは10-11M、さらにより好ましくは10-12MのKとして表される、PD-L1に対する結合アフィニティーを有するmAbを指す。しかし、ヒトPD-L1に特異的に結合する単離抗体は、他の(非ヒト)種に由来するPD-L1分子のような、他の抗原との交差反応性を有する場合がある。
ある特定の例示的な実施形態に従い、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片を、参照によってその全体において本明細書に組み入れる、US9938345において明示されている抗PD-L1抗体のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、および/または相補性決定領域(CDR)を含む。ある特定の例示的な実施形態では、本開示の文脈で使用することができる、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)と、配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む。配列番号11のHCVRと、配列番号12のLCVRとを含む、例示的な抗PD-L1抗体は、REGN3504である。
本開示のある特定の実施形態に従い、抗ヒトPD-L1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号11に対する、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有するHCVRを含む。本開示のある特定の実施形態に従い、抗ヒトPD-L1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号12に対する、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有するLCVRを含む。
本開示のある特定の実施形態に従い、抗ヒトPD-L1抗体またはその抗原結合性断片は、5つ以下のアミノ酸置換を有する、配列番号11のアミノ酸配列を含むHCVRを含む。本開示のある特定の実施形態に従い、抗ヒトPD-L1抗体またはその抗原結合性断片は、2つ以下のアミノ酸置換を有する、配列番号12のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
配列同一性は、当技術分野で公知の方法(例えば、GAP、BESTFIT、およびBLAST)により測定することができる。
本開示はまた、がんを処置する方法における、抗PD-L1抗体の使用も含み、この場合、抗PD-L1抗体は、1つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換を有する、本明細書で開示される、HCVR、LCVR、および/またはCDRのアミノ酸配列のうちのいずれかの変異体を含む。例えば、本開示は、本明細書で開示される、HCVR、LCVR、および/またはCDRのアミノ酸配列のうちのいずれかと比べて、例えば、10以下、8つ以下、6つ以下、4つ以下などの保存的アミノ酸置換を有する、抗PD-L1抗体の使用を含む。
本開示の方法の文脈で使用することができる、他の抗PD-L1抗体は、例えば、MDX-1105、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(商標))、デュルバルマブ(IMFINZI(商標))、アベルマブ(BAVENCIO(商標))、LY3300054、FAZ053、STI-1014、CX-072、KN035(Zhangら、Cell Discovery、3、170004(2017年3月))、CK-301(Gorelik ら、American Association for Cancer Research Annual Meeting(AACR)、2016年4月4日、抄録、4606)と称し、当技術分野でも公知の抗体、または特許公報である、US7943743、US8217149、US9402899、US9624298、US9938345、WO2007005874、WO2010077634、WO2013181452、WO2013181634、WO2016149201、WO2017034916もしくはEP3177649で明示されている、他の抗PD-L1抗体のうちのいずれかを含む。PD-L1抗体を同定する、前述の公報の一部または全部を、参照によって本明細書に組み入れる。
医薬組成物および投与
本開示は、本明細書で開示されるPD-1阻害剤を含む、治療用医薬組成物を提示する。このような医薬組成物は、適切な移入、送達、許容量耐性などをもたらす、適切な、薬学的に許容される担体、賦形剤、緩衝剤、および他の薬剤と共に製剤化することができる。全ての創薬化学者に公知の処方集:「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Company、Easton、PAでは、多数の適切な製剤を見出すことができる。これらの製剤は、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、蝋、油、脂質、小胞を含有する脂質(カチオン性またはアニオン性)(LIPOFECTIN(商標)のような)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油エマルジョンおよび油中水エマルジョン、エマルジョンであるCarbowax(多様な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびCarbowaxを含有する半固体混合物を含む。また、Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」、PDA、J Pharm Sci Technol、52:238~311(1998)も参照されたい。
PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)の用量は、投与される対象の年齢および体格、標的の疾患、状態、投与経路などに応じて変動しうる。本開示のPD-1阻害剤が、がん疼痛を処置もしくは阻害し、かつ/または腫瘍の増殖を処置もしくは阻害するために使用される場合、PD-1阻害剤を、体重1kg当たり約0.1~約100mg/kgの単回投与で投与することが有利でありうる。状態の重症度に応じて、処置の頻度および持続期間を調整することができる。ある特定の実施形態では、本開示のPD-1阻害剤は、少なくとも約0.1mg~約1500mg、約1~約1200mg、約5~約1000mg、または約10~約800mgの初回投与として投与することができる。ある特定の実施形態では、初回投与に続き、PD-1阻害剤の、2回目または後続する複数回の投与を、ほぼ初回投与の量以下の量で行うことができ、この場合、後続の投与は、少なくとも1日間~3日間;少なくとも1週間、少なくとも2週間;少なくとも3週間;少なくとも4週間;少なくとも5週間;少なくとも6週間;少なくとも7週間;少なくとも8週間;少なくとも9週間;少なくとも10週間;少なくとも12週間;または少なくとも14週間隔てられる。
多様な送達システム、例えば、リポソーム内、マイクロ粒子内、マイクロカプセル内の封入、突然変異体ウイルスを発現させることが可能な組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wuら(1987)、J.Biol.Chem.、262:4429~4432を参照されたい)が公知であり、本開示の医薬組成物を投与するのに使用することができる。導入の方法は、皮内経路、経皮経路、筋内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路、鼻腔内経路、硬膜外経路、および経口経路を含むがこれらに限定されない。組成物は、任意の好都合な経路により、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または皮膚粘膜の内膜(例えば、経口粘膜、直腸内粘膜、腸粘膜など)を介する吸収により投与することができ、他の生物学的に活性の薬剤と併せて投与することができる。医薬組成物はまた、小胞、特に、リポソームによっても送達することができる(例えば、Langer(1990)、Science、249:1527~1533を参照されたい)。
本明細書では、本開示のPD-1阻害剤を送達するための、ナノ粒子の使用もまた想定される。抗体コンジュゲートナノ粒子は、治療適用および診断的適用のいずれにも使用することができる。抗体コンジュゲートナノ粒子ならびに調製法および使用法については、Arrueboら、2009、「Antibody-conjugated nanoparticles for biomedical applications」、J.Nanomat.、2009巻、論文ID:439389、24頁により、詳細に記載されている。ナノ粒子は、細胞をターゲティングするように開発し、医薬組成物中に含有される抗体へとコンジュゲートさせることができる。薬物送達のためのナノ粒子についてもまた、例えば、US8257740またはUS8246995において記載されている。
ある特定の状況では、医薬組成物は、制御放出システムにより送達することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施形態では、制御放出システムは、組成物の標的の近傍に設置することができるので、全身用量のうちの一部しか要求しない。
注射用調製物は、静脈内注射、皮下注射、頭蓋内注射、腹腔内注射、および筋内注射、点滴注入などのための剤形を含みうる。これらの注射用調製物は、一般に公知の方法により調製することができる。
本開示の医薬組成物は、標準的な注射針およびシリンジにより、皮下送達することもでき、静脈内送達することもできる。加えて、皮下送達に関して、ペン型送達デバイスは、本開示の医薬組成物の送達において、たやすく適用される。このようなペン型送達デバイスは、再使用可能な場合もあり、ディスポーザブルの場合もある。再使用可能ペン型送達デバイスは、一般に、交換可能な医薬組成物を含有するカートリッジを利用する。カートリッジ内の医薬組成物の全てが投与され、カートリッジが空になったら、空のカートリッジは、たやすく廃棄し、医薬組成物を含有する、新たなカートリッジで交換することができる。次いで、ペン型送達デバイスを、再使用することができる。ディスポーザブルのペン型送達デバイスでは、交換可能なカートリッジが存在しない。そうではなく、ディスポーザブルのペン型送達デバイスは、デバイス内のレザバーに保持された医薬組成物をあらかじめ充填される。レザバーの医薬組成物が空になったら、全デバイスが廃棄される。
上記で記載された経口使用または非経口使用のための医薬組成物は、有効成分の用量に適合するように、適切な単位用量の剤形へと調製されると有利である。単位用量にある、このような剤形は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル、注射剤(アンプル)、坐剤などを含む。含まれる抗体の量は、一般に、剤形当たり単位用量に約5~約500mgであり、とりわけ注射の形態では、抗体が約5~約300mg、他の剤形では約10~約300mg含まれることが好ましい。
ある特定の実施形態では、本開示は、治療量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物または製剤を提示する。本開示の文脈で使用することができる抗PD-1抗体を含む医薬組成物の非限定例は、US20190040137において開示されている。
投与レジメン
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法は、例えば、具体的な治療用投与レジメンの一部としての、それを必要とする対象への、治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)の複数回投与を含む。例えば、治療用投与レジメンは、PD-1阻害剤の、対象への、およそ毎日1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、4日ごとに1回、5日ごとに1回、6日ごとに1回、毎週1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回、6週間ごとに1回、8週間ごとに1回、12週間ごとに1回、毎月1回、2カ月間ごとに1回、3カ月間ごとに1回、4カ月間ごとに1回、毎日2回、2日ごとに2回、3日ごとに2回、4日ごとに2回、5日ごとに2回、6日ごとに2回、毎週2回、2週間ごとに2回、3週間ごとに2回、4週間ごとに2回、5週間ごとに2回、6週間ごとに2回、8週間ごとに2回、12週間ごとに2回、毎月2回、2カ月間ごとに2回、3カ月間ごとに2回、4カ月間ごとに2回、毎日3回、2日ごとに3回、3日ごとに3回、4日ごとに3回、5日ごとに3回、6日ごとに3回、毎週3回、2週間ごとに3回、3週間ごとに3回、4週間ごとに3回、5週間ごとに3回、6週間ごとに3回、8週間ごとに3回、12週間ごとに3回、毎月3回、2カ月間ごとに3回、3カ月間ごとに3回、4カ月間ごとに3回の頻度、もしくはそれ未満の頻度、または治療応答が達成される限りで必要に応じた頻度における、1回またはそれ以上の回数の投与を含みうる。一実施形態では、PD-1阻害剤の、1回またはそれ以上の回数の投与は、3週間ごとに1回投与される。
ある特定の実施形態では、1回またはそれ以上の回数の投与は、少なくとも1つの処置サイクルで投与される。この態様に従う方法は、それを必要とする対象へと、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれ以上の回数の、PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)の投与を含む、少なくとも1つの処置サイクルを投与する工程を含む。一実施形態では、処置サイクルは、12回にわたるPD-1阻害剤の投与を含む。一実施形態では、処置サイクルは、24回にわたるPD-1阻害剤の投与を含む。一実施形態では、処置サイクルは、24回にわたるPD-1阻害剤の投与を含む。一部の実施形態では、それを必要とする対象へと、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれ以上の回数の処置サイクルを投与してもよい。
ある特定の実施形態では、PD-1阻害剤の1回またそれ以上の回数の投与は、直前の投与から1~12週間後、例えば、直前の投与から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間後に投与される。
投与量
本明細書で開示される方法に従い、対象へと投与されるPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)の量は、一般に、治療有効量である。本明細書で使用される、「治療有効量」という用語は、(a)疼痛の重症度の軽減もしくは持続期間の短縮;(b)疼痛の阻害;(c)鎮痛療法(例えば、オピオイド)の使用もしくはそれに対する必要性の低減もしくは消失;(d)がんの症状もしくは徴候(例えば、腫瘍病変)の重症度の軽減もしくは持続期間の短縮;(e)腫瘍の増殖の阻害、もしくは腫瘍壊死、腫瘍縮小、および/もしくは腫瘍消失の増大;(f)腫瘍の増殖および発症の遅延;(g)腫瘍転移の阻害;(h)腫瘍の増殖の再発の防止;(i)がん疼痛を伴う患者の生存の延長;または(j)従来の抗がん療法の使用もしくはこれに対する必要性の低減(例えば、手術に対する必要性の消失、または化学療法剤もしくは細胞障害剤の使用の低減もしくは消失)のうちの1つまたはそれ以上を結果としてもたらす、PD-1阻害剤の量を意味する。
ある特定の実施形態では、治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)は、約0.05mg~約1500mg、約1mg~約1000mg、約10mg~約850mg、約50mg~約600mg、約75mg~約400mg、または約100mg~約350mgの抗体でありうる。例えば、多様な実施形態では、PD-1阻害剤の量は、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、約800mg、約810mg、約820mg、約830mg、約840mg、約850mg、約860mg、約870mg、約880mg、約890mg、約900mg、約910mg、約920mg、約930mg、約940mg、約950mg、約960mg、約970mg、約980mg、約990mg、約1000mg、約1010mg、約1020mg、約1030mg、約1040mg、約1050mg、約1060mg、約1070mg、約1080mg、約1090mg、約1200mg、約1210mg、約1220mg、約1230mg、約1240mg、約1250mg、約1260mg、約1270mg、約1280mg、約1290mg、約1300mg、約1310mg、約1320mg、約1330mg、約1340mg、約1350mg、約1360mg、約1370mg、約1380mg、約1390mg、約1400mg、約1410mg、約1420mg、約1430mg、約1440mg、約1450mg、約1460mg、約1470mg、約1480mg、約149mg、または約1500mgである。
個々の投与内に含有されるPD-1阻害剤の量は、対象の体重1キログラム当たりの抗体ミリグラム(すなわち、mg/kg)との関係で表すことができる。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法において使用されるPD-1阻害剤は、対象へと、対象の体重1kg当たり約0.0001~約100mgの用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、患者の体重1kg当たり約0.1mg~約20mgの用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片)の、患者の体重1kg当たり約1mg~3mg、1mg~5mg、1mg~10mg、1mg、3mg、5mg、または10mgの用量における投与を含む。
ある特定の実施形態では、各回の投与は、対象の体重1kg当たり0.1~10mg(例えば、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kg)を含む。ある特定の他の実施形態では、各回の投与は、5~600mgのPD-1阻害剤(抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片のような)、例えば、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、45mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、または500mgのPD-1阻害剤を含む。
以下の実施例は、当業者に、本開示の方法および組成物を、どのようにして作り、使用するのかについての、完全な開示および記載を与えるために明示されるものであり、本発明者らが、それらの発明であると考えるものの範囲を限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で記載される、任意の特定の好ましい実施形態に限定されない。実際、本明細書を読めば、当業者には、実施形態の改変および変形形態が明らかな場合があり、その精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、これらを行うことができる。使用される数(例えば、量、温度など)に関して、精度を確認するように努めているが、一部の実験の誤差および偏差については、説明するものとする。そうでないことが指し示されない限りにおいて、部分比は、重量部であり、分子量は、平均分子量であり、温度は、摂氏度であり、室温は、約25℃であり、圧力は、大気圧であるか、または大気圧近傍の圧力である。
進行性CSCCを伴う患者におけるセミプリマブの臨床試験
本実施例は、手術または放射線療法を適用できない侵襲性CSCCを伴う成人患者に投与されるセミプリマブのフェーズ2、非無作為化、単一アームの国際共同臨床試験について説明する。本試験の結果から、疼痛の意味のある低減までの時間と腫瘍応答との関連性が確定される。
セミプリマブは、PD-1の、PD-L1およびPD-L2との相互作用を強力に遮断する、PD-1受容体に対する、高アフィニティーの、ヒンジ安定化IgG4ヒトモノクローナル抗体である。セミプリマブは、本明細書で記載される、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖;配列番号1/2を含む、HCVR/LCVRアミノ酸配列対;ならびに配列番号3~8を含む、重鎖CDR配列および軽鎖CDR配列(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、LCDR3)をそれぞれ含む。また、US9987500も参照されたい。
試験集団
本試験は、193例のCSCC患者を含んでおり、115例の患者は転移性CSCC(mCSCC)を伴っており、78例の患者は局所進行性CSCC(laCSCC)を伴っていた。
組入れ基準:本試験に包含するのに適格な患者は、以下の基準を満たすものであった:手術または放射線療法を適用できない侵襲性CSCCを伴い、≧1つの病変、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス≦1、および予測平均余命>12週間も有する成人。
表1に要約するように、人口学的特徴は、処置群間で概ね類似していた。殆どの患者は男性であり(n=161、83.4%)、年齢中央値は72.0(範囲、38~96)歳であった。殆どの患者は、頭頸部の原発性がん部位を有していた(n=131、67.9%)。追跡の持続期間中央値は、全患者中で15.7カ月間(範囲0.6~36.1)であり;第1群では18.5カ月間(範囲:1.1~36.1)、第2群では15.5カ月間(範囲:0.8~35.6)、第3群では17.3カ月間(範囲:0.6~26.3)であった。曝露の持続期間中央値は51.1週間(範囲、2.0~109.3)であり、投与回数中央値は18(範囲、1~48)であった。セミプリマブが第一選択療法である患者数は128例(66.3%)であった。先行全身療法を伴う患者数は65例(33.7%)であった。
Figure 2023542490000002
試験処置
オープンラベルのセミプリマブを、滅菌、単回使用バイアル中の液体として供給した。各バイアルは、50mg/mLの濃度でセミプリマブを含むものであった。患者(N=193)に、静注(IV)でセミプリマブ3mg/kgを2週間ごと(Q2W)(mCSCC n=59;第1群;laCSCC n=78;第2群)に12処置サイクル、または350mgを3週間ごと(Q3W)(mCSCC n=56;第3群)に6処置サイクルで施した。
主要有効性評価項目は、完全奏効または部分奏効を伴う患者の割合として規定される客観的奏効率であった。
完全奏効(CR):全ての標的病変の消失。あらゆる病理学的リンパ節(標的であれ、非標的標的であれ)は、短軸が<10mm(<1cm)へと低減されなければならない。
部分奏効(PR):ベースラインの合計の直径を、参照としたときの、標的病変の直径の合計の、少なくとも30%の減少。
応答持続期間(DOR)および健康関連の生活の質(HRQoL)に関してデータを収集した。
疼痛解析
European Organization for Research and Treatment of cancer(EORTC)のがん特有の30項目の質問表(QLQ-C30)の生活の質尺度調査を、ベースライン時および各処置サイクルの1日目に患者に対して行った。
QLQ-C30は、疼痛を具体的に査定する症状の下位尺度を含んでおり、スコアは0~100の範囲である。スコアが低いほど、疼痛がより少ないことを示している。
QLQ-C30はまた、5つの機能ドメイン(身体、心理、社会、役割、および認知)、7つの他の症状(疲労感、悪心/嘔吐、便秘、下痢、不眠症、呼吸困難、および食欲減退)、ならびに全般的健康/健康関連の生活の質および財政的困窮を含む(Aaronsonら、J Natl Cancer Inst.1993;85:365~376)。参加者は、「全くない」から「非常にある」までの4ポイントの尺度について回答し、項目は「過去1週間」の想起期間を使用する。全ての尺度についての生スコアは0~100の尺度に線形変換され、スコアが高いほど、機能のレベルがより高く、症状負荷がより高いことを反映する。
混合効果反復測定モデルを使用して、ベースラインおよびベースライン後評価を有していた患者における疼痛スコアのベースラインからの変化の有意性を評価した。このモデルは、処置、来院、処置×来院間交互作用、および疼痛スコアのベースライン値の固定効果を含むものであった。結果は、最小二乗(LS)平均および標準誤差(SE)として表した。
ベースラインからの臨床的に意味のある疼痛の変化は、QLQ-C30についての≧10ポイントの疼痛スコアの変化として規定した(Osobaら、J Clin Oncol.1998;16:139~144)。患者内変化に対するこの閾値は、効果量を0.5と見なす分布ベースの方法を使用して決定した(McLeodら、Expert Rev Pharmacoecon Outcomes Res.2011;11:163~169;Revickiら、J Clin Epidemiol.2008;61:102~109)。
カプラン-マイヤー(KM)生存解析(脱落時に打切る)を使用して、少なくとも10ポイントの変化が可能であるベースライン疼痛スコアを有していた患者における、QLQ-C30の疼痛スコアの臨床的に意味のある最初の低減(改善)または増加(増悪)までの時間を査定した。併用鎮痛薬の使用量(用量、開始および終了日)のデータは、試験中にAnatomical Therapeutic Chemical(ATC)分類法を使用して収集した。特に、オピオイドは、各処置サイクルの査定時点で、処置群を固定因子、患者の処置の曝露持続期間をオフセット変数としてPoisson回帰を使用し、持続期間を調整して患者当たり1年のオピオイドの累積日数を算出して解析した。
臨床応答までの時間
臨床応答者は、Response Evaluation Criteria In Solid Tumors(RECIST)の完全+部分腫瘍奏効(客観的奏効率)により規定した。臨床非応答者は、安定または進行を伴うものであった。KM解析を使用して、臨床応答および無進行生存(PFS)までの時間を決定した。
結果
図1に示すように、ベースライン疼痛評価とベースライン後疼痛評価を両方有する患者の中で、統計的に有意であり、臨床的に意味のある疼痛の低減が観察された。水平の破線は、臨床的に意味のある変化の閾値を示している。疼痛スコアの有意な低減が早くも2サイクル目に観察され、3サイクル目までに、改善は臨床的にも意味があるものであった(≧10ポイント)。3サイクル目の後にさらなる改善が観察され、12サイクル目まで維持された。
臨床応答者は、臨床非応答者とは対象的に、早くも2サイクル目にベースラインからの臨床的に意味のある疼痛の低減を報告した(P<0.0001)(図1)。これらの臨床応答者の中には、連続的な治療サイクルで持続するさらなる疼痛の低減があった。対照的に、臨床非応答者の中でのベースラインからの変化は、統計的に有意ではなく、臨床的にも意味がない大きな変動が示された。
図2に示すように、全集団および臨床応答者の中での低減は、オピオイド鎮痛薬の使用とは無関係であった。臨床応答者の間の中でのオピオイドの累積日数から、セミプリマブ処置のサイクルが進むにつれて、オピオイドの使用の比率が着実に低減することが示された。
セミプリマブで処置したCSCCを伴う患者の中での、臨床的に意味のある疼痛の変化と臨床応答との関係性を表3に要約する。「n」という値は、QLQ-C30の疼痛尺度についてのベースラインおよびベースライン後評価スコアを有していた患者の例数を反映する。
Figure 2023542490000003
全患者における臨床的に意味のある最初の疼痛改善までの時間の中央値は2.1カ月間であり、臨床応答者について推定される最初の腫瘍応答までの時間の中央値である2.0カ月間と近似していた(表2)。これらの結果は、臨床的に意味のある疼痛改善までの時間を示す図3A、および最初の腫瘍応答までの時間を示す図3Bにも示されている。図3Aおよび3Bにおいて、水平の破線(生存確率50%)が曲線と交差する時点が応答までの時間の中央値を示している。
臨床応答者の中では、臨床的に意味のある最初の疼痛改善までの時間の中央値は2.1カ月間であった。最初の腫瘍応答時の疼痛スコアのベースラインからのLS平均(SE)変化は、応答者の中では-15.2(1.5)、非応答者の中では-3.9(2.1)であり、-11.3(-16.3、-6.3;P<0.0001)である統計的かつ臨床的に意味のあるLS平均(95%CI)差が得られた。
臨床的に意味のある最初の疼痛増悪までの時間の中央値は14.8カ月間であり、無進行生存(PFS)の時間の中央値である18.4カ月間と近似していた(表2)。これらの結果は、臨床的に意味のある最初の疼痛スコアの増悪までの時間を示す図4A、およびPFSの時間を示す図4Bにも図示されている。臨床応答者の中では、臨床的に意味のある最初の疼痛増悪までの時間の中央値は20.6カ月間であった(表2)。図4Aおよび4Bにおいて、水平の破線(生存確率50%)が曲線と交差する時点が応答までの時間の中央値を示している。
全奏効率(ORR)は46.1%(95%CI:38.9~53.4)であり;全体では、患者の16.1%がCRを達成した(表3)。ORRは、第1群では50.8%(95%CI:37.5~64.1)であり、第2群では44.9%(95%CI:33.6~56.6)であり、第3群では42.9%(95%CI:29.7~56.8)であった。ORRは、先行抗がん全身療法を施されなかった患者(n=128)では48.4%であり、先行抗がん全身療法を施された患者(n=65)の中では41.5%であった。
DCR、持続的DCR、DOR中央値、およびDORのKM12カ月推定値を表3に示す。1年間の追加の追跡で、DOR中央値は未到達であった(観察されたDOR範囲:1.9~34.3カ月間)。応答している患者において、12カ月で応答が継続中の患者の推定割合は87.8%(95%CI:78.5~93.3)であった。推定PFS中央値は、全患者では18.4カ月間(95%CI:10.3~24.3)であった。24カ月での無進行のKM推定確率は44.2%(95%CI:36.1~52.1)であった。24カ月でのOSのKM推定確率は73.3%(95%CI:66.1~79.2)であった。
Figure 2023542490000004
完全奏効(CR)率は、第1群、第2群、および第3群でそれぞれ20.3%、12.8%、および16.1%であった。CRまでの時間の中央値は11.2カ月間であった。12カ月での応答が継続中の患者の推定割合は87.8%(95%CI:78.5~93.3)であり、DOR中央値は未到達であった。24カ月での全生存(OS)のKM推定確率は73.3%(95%CI:66.1~79.2)であり、OS中央値は未到達であった。全般的健康/HRQoLの改善が早くも4カ月で観察された。臨床的に意味のある最初の疼痛改善までの時間の中央値のKM推定値は、全体では2.1カ月間(95%CI:2.0~3.7)であった。新たな安全性の懸念は観察されなかった。
健康関連の生活の質:QLQ-C30についてのベースラインスコアは、概して中等度~高レベルの機能、および中等度~低い症状負荷を示した。全般的健康/HRQoLについては、4カ月から改善が観察され、6カ月でベースラインからの統計的に有意な改善が観察された(最小二乗(LS)平均[標準誤差(SE)]変化7.8[1.6];P<0.0001)。全般的健康/HRQoLにおける改善は、24カ月までに臨床的に意味のある閾値(≧10ポイントの変化)に到達した(LS平均[SE]変化11.1[2.6];P<0.0001)。機能尺度の中で、心理機能および社会機能尺度に6カ月および24カ月で有意な改善が観察された。身体機能、役割機能、および認知機能は、ベースラインに対して増悪せず、安定を保った。症状に関しても、疼痛、不眠症、食欲減退、および便秘の症状では6カ月までに、疼痛では早くも4カ月でベースラインからの有意な改善が観察された。これらの症状は全て、24カ月までに臨床的に意味のある閾値(≧10ポイントの変化)に達した。機能尺度および症状尺度の全てにわたって、臨床的に意味のある増悪を伴う患者の割合は、6カ月と24カ月の両方で概して低かった。
12カ月までに、臨床的に意味のある変化(≧10ポイントの変化)を報告する全患者の中で、殆どの患者が、全般的健康/HRQoL(83%)、機能尺度(68~85%)、および症状(68~95%)の臨床的に意味のある改善または安定化を経た(図5)。全体で、応答者の91%が24カ月で全般的健康/HRQoLスコアの臨床的に意味のある改善または安定化を経て、大多数の患者が、機能尺度(77~86%)および症状(74~95%)の全てにわたって24カ月までに持続する改善および安定化を示した。機能尺度の臨床的に意味のある増悪を伴う患者の割合は、査定した両方の時点で概して低かった。
結論
セミプリマブで処置されたCSCC患者では、早期の迅速な疼痛の低減が観察され、最初の腫瘍応答までの時間(2カ月間)に近似していた。疼痛の改善は、臨床的に意味があり、後続する処置サイクルでも持続した。臨床的に意味のある疼痛増悪(すなわち、悪化)はPFSに近似していた。これらの結果から、疼痛の変化が臨床腫瘍応答と相関することが示される。
セミプリマブを施されている進行性CSCCを伴う患者は、経時的に応答が深まった。これは、一次解析と比較してCR率が増加したことにより証明される。セミプリマブに対する臨床応答はまた、QoLの測定可能な改善をもたらした。これらの最新のDORおよびCRの結果から、進行性CSCCに対するセミプリマブの効能が、あらゆる進行性固形腫瘍型に対する他の免疫チェックポイント阻害剤で観察された効能を凌いでいることのさらなるエビデンスが提示される。
局所進行性基底細胞癌(laBCC)を伴う患者におけるセミプリマブの臨床試験
BCCは一般に、外科的にまたは他の局所的なモダリティで処置されるが、ごく一部の患者はlaBCCを発症し、ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤(HHI)のような全身療法を必要とする。しかし、HHIに対して非忍容性および耐性であることが一般的である。BCCを有する患者は、疼痛を含めた疾患関連の症状が、健康関連の生活の質(QoL)、日常機能、および心理的安寧に悪影響を及ぼすと報告している。セミプリマブ-rwlcは、米国においてlaBCCを伴う患者に対する完全な承認を受け、そしてHHI後の、またはHHIが適切でない人に対する、転移性BCCに対する迅速承認を受けた、初めての免疫療法である。
本実施例は、ヘッジホッグ阻害剤(HHI)療法時に進行したか、またはHHI療法に非忍容性であったLaBCCを伴う成人患者に投与されるセミプリマブのフェーズ2臨床試験について説明する(NCT03132636)。全奏効率(完全+部分)は31.0%であり、48.8%は安定を有していた。laBCCを伴う患者ではQoLが損なわれているため、これらの患者において健康関連の生活の質(QoL)を査定した。患者が報告する健康関連QoLは、臨床試験において事前に規定された副次的評価項目であった。本試験の結果により、laBCC患者における臨床的に意味のある疼痛改善が確定される。
方法
セミプリマブの本フェーズII、単一アーム、多施設、ピボタル試験に組み入れるために、患者は、BCCの組織学的確定診断を伴う成人(≧18歳)であること、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスが≦1であること、および先行HHI療法での疾患進行もしくは先行HHI療法への非忍容性、またはHHI療法を続けて9カ月後に安定にすぎないためにさらなるHHI療法の候補ではないことが必要とされた。
患者に、IVでセミプリマブ350mgを3週間ごと(Q3W)に最大9処置サイクルで施した。ベースライン(BL)時および各サイクルの1日目(C)に、患者は、全般的健康(GHS)/QoL、機能、およびlaBCCの症状を評価するEORTC QLQ-C30(Aaronsonら、J Natl Cancer Inst、1993;85:365~376)およびSKINDEX-16(Chrenら、J Cutan Med Surg.、2001;5:105~110)質問表に記入した(Bottomleyら、Eur J Cancer、2005;41(12):1697~709;Athertonら、Support Care Cancer、2012年8月;20(8):1729~1735)。QLQ-C30のスコアは0~100の範囲であり、GHS/QoL尺度および機能ドメインについてのスコアが高いほどより良好な転帰を示し、症状のスコアが低いほどより良好な転帰を示す。SKINDEX-16については、スコアが低いほど、心理、機能、および症状を評価する3つの下位尺度に及ぼす疾患の影響がより少ないことを示す。QLQ-C30およびSKINDEX-16について少なくとも10ポイント変化すると、臨床的に意味があると見なした。追跡評価は、患者が早期に中断したならば、最後の試験処置投与後28~42日目に行った。
解析は、本試験に適格と見なされた全ての登録患者から構成される、最大の解析対象集団について行った。混合モデル反復測定(MMRM)解析を使用して、ベースラインおよび少なくとも1つのベースライン後の値を伴う患者の全ての尺度について、処置の間の(すなわち、C2からC9にわたる)BLからの最小二乗(LS)平均(標準誤差[SE])変化を推定した。QLQ-C30およびSKINDEX-16の各々について、≧|10|ポイントの変化をこれらのモデルでは臨床的に意味があると見なした。BLから欠落のないデータを伴う患者において応答者分析を行って、のQLQ-C30およびSKINDEX-16についてC2およびC9での臨床的に意味のある改善もしくは増悪、またはベースラインからの維持(安定性)を有する割合を決定した。両方の手段で、10ポイントの閾値を臨床的に意味があると見なした。維持は、臨床的に意味のある改善でも増悪でもないと規定した。
結果
本試験には、合計84例のlaBCCを伴う患者が登録され、年齢中央値は70歳であった(表4)。大多数の患者において頭頚部領域が原発腫瘍部位であり(89.3%);患者の60%のECOGは0であった。
Figure 2023542490000005
ベースラインのQLQ-C30スコアは、中等度~高レベルの機能および低い症状負荷を示していた(図6A、6B)。MMRM解析では、全試験期間にわたるベースラインからの変化は、疲労感の悪化を除き(LS平均[SE]変化12.5[3.9];P<0.05)、GHS/QoLおよび全ての他の尺度の維持(変化<10ポイント)を示した(図6C、6D)。
QLQ-C30のGHS/QoLスコアの変化からも、全体での健康関連QoLが試験期間にわたって概して維持されていたことが示唆された(図7)。
応答者解析では、大多数の患者が、全ての機能および症状尺度についてC2での臨床的に意味のある改善または維持を報告した(図8)。鍵となる症状である疼痛については、患者の31%が臨床的に意味のある改善を報告し、44%が維持を報告した。C9での結果は、概してC2で観察されたものと符合しており;大多数の患者が、全てのQLQ-C30の機能尺度および鍵となる症状である疼痛について臨床的に意味のある改善または維持を報告したが、疲労感についてはそうではなかった(図8)。
SKINDEX-16について、MMRM解析から、全体でのベースラインからの変化の臨床的に意味のある改善が心理下位尺度(LS平均[SE]変化-13.2[3.9];P<0.05)に、維持が症状および機能下位尺度に示された(図9A、9B)。応答者解析から、大多数の患者が、SKINDEX-16下位尺度全体にわたる臨床的に意味のある改善または維持をC2で報告したことが示された(図10)。同様の結果がC9で観察され、患者の70~80%が臨床的に意味のある改善または維持を報告した(図10)。
結論
患者は、ベースライン時に高レベルの機能および低い症状負荷を有していた。このセミプリマブのピボタル臨床試験から、セミプリマブが、laBCCを伴う患者において第二選択の状況で実質的な抗腫瘍活性を提示するのに加えて、全体での健康関連QoLおよび機能の有意な改善または維持を大多数の患者にもたらすことが示された。SKINDEX-16の心理尺度については特に、患者の60%近くがセミプリマブでの臨床的に意味のある改善を報告した。患者は、疲労感以外の低い症状負荷の維持も報告した。疲労感の存在が大きいにもかかわらず、機能状態は全試験期間にわたって維持された。
進行性CSCCを伴う患者におけるセミプリマブの追跡解析
本実施例は、実施例1に記載される進行性CSCCにおけるセミプリマブのフェーズ2臨床試験に関するものであり、該試験に含まれる以下の3つの患者群からの長期的プールデータを提示する:第1群(3mg/kgをQ2W、IVで最大96週間施されたmCSCC患者、n=59);第2群(3mg/kgをQ2W、IVで最大96週間施されたlaCSCC患者、n=78);および第3群(350mgをQ3W、IVで最大54週間施されたmCSCC患者、n=56)。
フェーズ2データ(NCT02760498)の一次解析において、第1群および第2群は、実質的な抗腫瘍活性、持続的応答の新たなエビデンス、および許容可能な安全性プロファイルを呈し(Migdenら、2020;Migdenら、2018);第3群の一次解析および第1群の11カ月の追跡データは、同様の活性を示した(Rischinら、2020)。本実施例で提示される第1群、第2群、および第3群からの追加プールデータは、最新の応答持続期間(DOR)および完全奏効(CR)率、ならびに疼痛コントロールおよびQoLの持続性に及ぼすセミプリマブの影響を含む。
背景
CSCCは、米国において二番目に多い皮膚がんであり、発生率は増加している(Queら、2018)。殆どの症例は、完全な外科的切除により治癒する(Cranmerら、2010;National Comprehensive Cancer Network、2020)。しかし、少ないが実質的な数の患者が、治癒的手術または治癒的放射線を適用できないmCSCCまたはlaCSCC(総称して、「進行性CSCC」)を共に示すかまたはその後発症し、それは予後不良を有する(Kariaら、2014;Weinbergら、2007;Schmultsら、2013)。
進行性CSCC、特に頭頚部の原発部位を伴うCSCCの処置は、生活の質(QoL)の低減をもたらすおそれがある(Arunachalamら、2011;Katzら、2003;Rheeら、2005)。CSCCに対する手術は、相当な病的状態をもたらすおそれがあり、例えば、ある患者は眼窩内容除去を必要とし(Gerringら、2017)、それにより、不安および意気消沈の増大、運転困難、幻痛、および幻覚を含めて、QoLが著しく低減する(Yeら、2015;Kondoら、2013)。放射線療法には、線維化、リンパ浮腫、皮膚壊死、および機能障害を含めた、実質的な毒性が伴う(Brookら、2020;Stratigosら、2015)。さらに、疼痛は、QoLを損なうことに関連する一般的な症状であり、特に治癒的手術が選択肢ではないCSCCを伴うものではそうである(Millsら、2012)。
評価
主要有効性評価項目はORRであった。副次的評価項目は、DOR、PFS、OS、CR率、安全性および忍容性、ならびにQoLを含んでいた。≧105日間の応答または安定を伴う患者の割合として規定される、持続的病勢コントロール率(DCR)を検査した。先行全身療法による探索的臨床活性分析を実施した。
EORTC Quality of Life Questionnaire Core 30(QLQ-C30)(Aaronsonら、1993)を使用して、セミプリマブが症状および機能に及ぼす影響を査定した。QLQ-C30は、GHS/QoL、経済的影響、機能ドメイン(身体、心理、社会、役割、および認知)、および症状(疼痛、疲労感、悪心/嘔吐、便秘、下痢、不眠症、呼吸困難、および食欲減退)を含む。GHS/QoLの場合、この尺度は2つの質問を含む(「あなたは自分の健康全般をどのように評価しますか?」および「あなたは自分のQoL全般をどのように評価しますか?」)。参加者は、過去一週間にわたる各尺度の影響について「全くない」から「非常にある」までの4ポイントの尺度について回答し、全ての尺度についての生スコアは0~100の尺度に線形変換される(スコアが高いほど、機能のレベルがより高く、症状負荷のレベルがより高いことを反映する)。質問表調査は、各処置サイクルの1日目に行った(処置サイクルは、第1群および第2群では8週間、第3群では9週間と規定される)。解析には、GHS/QoL、機能状態、および疼痛を含む症状に及ぼすセミプリマブの縦断的効果を含めた。サイクルまたは時間当たりの評価は類似していたため、サイクルで報告する。臨床的に意味のある最初の疼痛改善までの時間、および臨床的に意味のある最初の疼痛増悪までの時間の解析も実施した。安全性評価には、処置によって生じる有害事象(TEAE)、検査室検査、バイタルサイン、および身体診察を含めた。
結果
全体で、193例の患者のうち89例が治療に応答し、ORRでは46.1%(95%信頼区間[CI]:38.9、53.4)であり;全体で、患者の16.1%がCRを達成した(実施例1、表3を参照されたい)。この解析でのCR率は、第1群、第2群、および第3群で、それぞれ20.3%、12.8%、および16.1%であった。経時的なCR率(一次解析と比較したもの)を図11に提示する。31例の完全奏効者の中で、CRまでの時間の中央値は11.2カ月間(四分位数間範囲:7.4~14.8)であった。ORRは、全患者では54.4%(95%CI:47.1~61.6);第1群では50.8%(95%CI:37.5~64.1)、第2群では56.4%(95%CI:44.7~67.6)、および第3群では55.4%(95%CI:41.5~68.7)であった。
第1群でのCR率は、一次解析での6.8%から最初の追跡解析での16.9%に増加し、その後の本追跡解析では20.3%に増加した。第2群では、中間解析時にはCRはなかったが、一次解析時にはCR率は12.8%であり、本追跡解析時では変化しなかった。第3群では、CR率は、一次解析時の5.4%から本追跡解析時の16.1%に増加した。CRまでの時間の中央値は11.2カ月間であった。
DCR、持続的DCR、DOR中央値、およびICR当たりのDORのKM12カ月推定値を実施例1、表3に示す。1年の追加の追跡で、DOR中央値は未到達であった(観察されたDORの範囲:1.9~34.3カ月間)。応答している患者において、12カ月で応答が継続中の患者の推定割合は87.8%(95%CI:78.5~93.3)であった(図12A)。推定PFS中央値は、全患者では18.4カ月間(95%CI:10.3~24.3)であった。24カ月での無進行のKM推定確率は44.2%(95%CI:36.1~52.1)であった(図12B)。24カ月でのOSのKM推定確率は73.3%(95%CI:66.1~79.2)であった(図12C)。OS中央値は未到達であった。
生活の質:QLQ-C30についてのベースラインスコアは、概して中等度~高レベルの機能、および中等度~低い症状負荷を示した(表5)。GHS/QoLについては、2サイクル目から改善が観察され、3サイクル目でベースラインからの統計的に有意な改善が観察された(最小二乗(LS)平均[標準誤差(SE)]変化7.8[1.6];p<0.0001)。GHS/QoLにおける改善は、12サイクル目までに臨床的に意味のある閾値(≧10ポイントの変化)に到達した(LS平均[SE]変化11.1[2.6];p<0.0001)(図13A)。機能尺度の中で、心理機能および社会機能尺度に3サイクル目および12サイクル目で有意な改善が観察された(表5)。身体機能、役割機能、および認知機能は、ベースラインに対して増悪せず、安定を保った(表5)。症状に関しても、悪心、疼痛、不眠症、食欲減退、および便秘の症状では3サイクル目までに(表5)、疼痛では早くも2サイクル目でベースラインからの有意な改善が観察された(図13A)。これらの症状は全て、12サイクル目までに臨床的に意味のある閾値(≧10ポイントの変化)に達した(表5)。機能尺度および症状尺度の全てにわたって、臨床的に意味のある増悪を伴う患者の割合は、3サイクル目と12サイクル目の両方で概して低かった。
Figure 2023542490000006
疼痛コントロールの早期開始および持続性:臨床的に意味のある最初の疼痛改善までの時間の中央値のKM推定値(95%CI)は、全体はで2.1(2.0~3.7)カ月間であった。臨床的に意味のある最初の疼痛増悪までの時間の中央値のKM推定値(95%CI)は、全体では14.8(9.2~評価不能[NE])カ月間であった。疼痛スコアのベースラインからのLS平均(SE)変化は、3サイクル目で-11.5(1.9)、12サイクル目で-14.3(3.1)であった(図13B)。最初の腫瘍応答時の疼痛スコアのベースラインからのLS平均(SE)変化は、客観的奏効を伴う患者では-15.2(1.5)であり、客観的奏効を伴わない患者では-3.86(2.1)であった。疼痛スコアのベースラインからのLS平均(SE)変化(95%CI)の非応答者に対する応答者の差は、-11.3(-16.3~-6.3;p<0.0001)であった。客観的奏効を伴う患者の中では、臨床的に意味のある最初の疼痛改善までの時間の中央値のKM推定値(95%CI)は2.1(1.9~2.1)カ月間であり、臨床的に意味のある最初の疼痛悪化までの時間の中央値のKM推定値(95%CI)は20.6(9.2~NE)カ月間であった。
かなりの割合の患者が処置から利益を得た。6サイクル目までに臨床的に意味のある変化(≧10ポイントの変化)を報告している全患者の中で、殆どの患者が、GHS/QoL(83%)、機能尺度(68~85%)、および症状(68~95%)の臨床的に意味のある改善または安定性を経た(図14)。全体で、応答者の91%が、12サイクル目でGHS/QoLスコアの臨床的に意味のある改善または安定性を経て、殆どの患者が、機能尺度(77~86%)および症状(74~95%)の全てにわたって12サイクル目まで持続する改善および安定化を示した(図14)。機能尺度の臨床的に意味のある増悪を伴う患者の割合は、査定した両方の時点で概して低かった(図14)。
安全性:合計して、192例(99.5%)の患者が、属性にかかわらず、いずれかのグレードの少なくとも1つのTEAEを経た。中断に至るTEAEは少なかった(いずれかのグレード:n=19、9.8%;グレード≧3:n=14、7.3%)。最も一般的なTEAE(全グレード)は、疲労感(n=67、34.7%)、下痢(n=53、27.5%)、および悪心(n=46、23.8%)であった。全体で、94例(48.7%)の患者が、属性にかかわらず、少なくとも1つのグレード≧3のTEAEを経た。最も一般的なグレード≧3のTEAEは、高血圧(n=9;4.7%)、貧血、および蜂巣炎(各n=8;4.1%)であった。本長期追跡において、いずれの群でも、以前の報告と比較して死亡をもたらす新たなTEAEまたは処置関連有害事象(TRAE)は報告されなかった。グレード≧3のTRAEが33例(17.1%)の患者において報告され;最も一般的であったのは、間質性肺炎(n=5、2.6%)、自己免疫性肝炎(n=3;1.6%)、貧血、大腸炎、および下痢(全てn=2;1.0%)であった。合計して、57例の患者(29.5%)がいずれかのグレードの少なくとも1つの免疫関連有害事象(irAE)を経て、18例の患者(9.3%)が少なくとも1つのグレード≧3のirAEを経た。最も一般的なグレード≧3のirAEは、間質性肺炎(n=5、2.6%)、自己免疫性肝炎(n=2、1.0%)、および下痢(n=2、1.0%)であった。
考察
本明細書で提示されるプール解析は、CSCCにおけるセミプリマブに対する応答の持続性、経時的なCR率の増加を裏付け、進行性CSCCを伴う患者におけるセミプリマブの実質的な抗腫瘍活性を確定するものである。応答者の推定87.8%が12カ月で進行していなかった。DOR中央値は1年の追加の追跡後でも未到達であり、本解析は、以前に広く受け入れられる標準治療を有していなかった患者集団におけるセミプリマブの活性に対する支持を強化するものである。さらに、DORおよびOSは、他の薬剤について以前に記載されているもの(Osobaら、1998)より長い。加えて、本解析は、セミプリマブ処置がGHS/QoLおよび疼痛スコアを改善することを裏付ける。
疼痛は、進行性CSCCを伴う患者にとって、特に切除不能な疾患を伴うものにとって鍵となる問題である(Millsら、2012)。セミプリマブを施される進行性CSCCを伴う患者の平均(標準偏差)ベースライン疼痛スコアである29.8(30.4)は、進行性頭頸部癌を伴う患者(24.9[26.3];p<0.05;n=1,722)および母集団(20.9[27.6];p<0.0001;n=7,802)によって報告されるものより有意に悪かった(Scottら、2008)。ここでは、観察された臨床応答は疼痛改善とよく相関し、患者のQoLにプラスの影響を及ぼした。セミプリマブは、2サイクル目までに疼痛の低減をもたらし、3サイクル目からは臨床的に意味のある低減(≧10ポイント)をもたらし、12サイクル目までずっと維持した。臨床的に意味のある最初の疼痛改善までの時間の中央値のKM推定値(95%CI)は全体で2.1カ月間であり、これは14.8カ月まで持続し、セミプリマブの疼痛コントロールの持続性を裏付けた。GHS/QoLの改善は、早くも3サイクル目に観察され、臨床的に意味のある改善は12サイクル目まで見られた。6サイクル目までに、殆どの患者は、低い症状負荷を維持しながら、GHS/QoLおよび機能状態の臨床的に意味のある改善または安定性を経た。
セミプリマブに観察された新たな安全性シグナルまたは毒性のタイプはなかった。
本解析は、一次解析と比較して改善された経時的なCR率、および進行性CSCCを伴う患者における鍵となるランドマークでのKM推定値に基づいた印象的なDORの延長の所見を含めた、セミプリマブの実質的な臨床活性を確定するものである。加えて、セミプリマブ処置は、臨床的に意味のある疼痛の低減を早くも2サイクル目にもたらし、12サイクル目まで維持した。さらに、セミプリマブへの臨床応答は、疼痛の改善に関連した。殆どの患者は、GHS/QoL、機能、および症状の臨床的に意味のある改善または維持を経た。
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本開示は、本明細書で記載される、具体的な実施形態により、範囲を限定されない。実際、当業者には、前出の記載および任意の付属の図面から、本明細書で記載される実施形態に加えて、本発明の多様な改変が明らかとなろう。このような改変は、付属の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。

Claims (66)

  1. がん疼痛を処理または阻害する方法であって、
    (a)がんを伴う患者を選択する工程と;
    (b)患者へと治療有効量のプログラム死1(PD-1)阻害剤を投与する工程と
    を含む方法。
  2. がんは、肛門がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、脳がん、子宮頚がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、および子宮がんから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. がんは皮膚がんである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 皮膚がんは非黒色腫皮膚がんである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 皮膚がんは、皮膚扁平上皮癌(CSCC)または基底細胞癌(BCC)である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. CSCCは、転移性CSCCまたは切除不能な局所進行性CSCCである、請求項5に記載の方法。
  7. BCCは、局所進行性BCC(laBCC)または転移性BCCである、請求項5に記載の方法。
  8. BCCはヘッジホッグ阻害剤(HHI)療法時に進行したか、またはBCC患者はヘッジホッグ阻害剤(HHI)療法に非忍容性であった、請求項7に記載の方法。
  9. EORTC QLQ-C30およびSKINDEX-16によって測定される患者の機能および生活の質は、ベースラインから改善または維持される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 患者は、PD-1阻害剤の投与前に鎮痛療法を施される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 患者は、PD-1阻害剤と組み合わせて鎮痛療法を投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 鎮痛療法は、オピオイド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド、アセトアミノフェン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項10または11に記載の方法。
  13. 鎮痛療法はオピオイドを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. PD-1阻害剤の投与は、患者による鎮痛療法の使用の低減をもたらす、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. PD-1阻害剤の投与後1年以内に患者に施される鎮痛療法の量を20%以上低減する工程をさらに含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 疼痛は、PD-1阻害剤の投与後1年以内に約20%以上低減される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. PD-1阻害剤の投与は、鎮痛薬の使用の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. PD-1阻害剤の投与は、オピオイドの使用の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. PD-1阻害剤の投与は、患者において疼痛を低減し、鎮痛療法に対する必要性を低減し、腫瘍の退縮を促進し、腫瘍細胞負荷を低減し、腫瘍量を低減し、腫瘍の再発を防止し、かつ/または患者の生存を延長する、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. PD-1阻害剤は、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、放射線、手術、がんワクチン、イミキモド、抗ウイルス剤、光力学療法、HHI療法、PD-L1阻害剤、LAG3阻害剤、CTLA-4阻害剤、GITRアゴニスト、TIM3阻害剤、BTLA阻害剤、TIGIT阻害剤、CD38阻害剤、CD47阻害剤、IDO阻害剤、CD28活性化剤、VEGFアンタゴニスト、Ang2阻害剤、TGFβ阻害剤、EGFR阻害剤、腫瘍特異性抗原に対する抗体、がんワクチン、GM-CSF、腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、サイトカイン、抗体薬物コンジュゲート、抗炎症性薬、および栄養補助食品から選択される追加の治療剤または治療と組み合わせて投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片、および抗PD-L2抗体またはその抗原結合性断片から選択される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
  23. PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. PD-1阻害剤は、3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)を含む重鎖可変領域(HCVR)と、3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)とを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片であり、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を有し;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を有し;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を有し;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を有し;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を有し;LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を有する、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. HCVRは、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の方法。
  26. LCVRは、配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の方法。
  27. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1/2の、HCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む、請求項24に記載の方法。
  28. 抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を有する、請求項23~27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含み、該軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を有する、請求項23~27のいずれか1項に記載の方法。
  30. 抗PD-1抗体は、重鎖および軽鎖を含み、該重鎖は、配列番号9のアミノ酸配列を有し、該軽鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を有する、請求項23~27のいずれか1項に記載の方法。
  31. PD-1阻害剤は、配列番号1に対する、90%、95%、97%または98%の配列同一性を伴うHCVRを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
  32. PD-1阻害剤は、配列番号2に対する、90%、95%、97%、または98%の配列同一性を伴うLCVRを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
  33. PD-1阻害剤は、配列番号1に対する、90%、95%、97%、または98%の配列同一性を伴うHCVRと、配列番号2に対する、90%、95%、97%、または98%の配列同一性を伴うLCVRとを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
  34. PD-1阻害剤は、セミプリマブまたはその生物学的同等物である、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
  35. PD-1阻害剤は、セミプリマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MEDI0608、BI 754091、PF-06801591、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、JNJ-63723283、およびMCLA-134からなる群から選択される抗PD-1抗体である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
  36. PD-1阻害剤は、REGN3504、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、MDX-1105、LY3300054、FAZ053、STI-1014、CX-072、KN035、およびCK-301からなる群から選択される抗PD-L1抗体である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
  37. PD-1阻害剤は、5mg~1500mgの用量で投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
  38. PD-1阻害剤は、200mg、250mg、または350mgの用量で投与される、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
  39. PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg~20mgの用量で投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
  40. PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg、3mg、または10mgの用量で投与される、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
  41. PD-1阻害剤は、1回またそれ以上の回数の投与として投与され、各回の投与は、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、または6週間ごとに投与される、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
  42. PD-1阻害剤は、静脈内投与または皮下投与される、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
  43. キットであって、がんを伴う患者におけるがん疼痛を処置または阻害するための治療有効量のPD-1阻害剤を使用するための指示書と組み合わせて、プログラム死1(PD-1)阻害剤を含むキット。
  44. 腫瘍の増殖を処置または阻害するための治療有効量のPD-1阻害剤を使用するための指示書をさらに含む、請求項43に記載のキット。
  45. がんは、肛門がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、脳がん、子宮頚がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、および子宮がんから選択される、請求項43または44に記載のキット。
  46. がん患者による鎮痛療法の使用を低減する方法であって、
    (a)プログラム死(PD-1)阻害剤の投与前に基礎治療薬として鎮痛療法を施されている、がんを伴う患者を選択する工程と;
    (b)患者へと治療有効量のPD-1阻害剤を投与する工程と
    を含む方法。
  47. がんは、肛門がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、脳がん、子宮頚がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、および子宮がんから選択される、請求項46に記載の方法。
  48. がんは皮膚がんである、請求項46または47に記載の方法。
  49. がんは、転移性皮膚扁平上皮癌(CSCC)または切除不能な局所進行性CSCCである、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 鎮痛療法は、オピオイド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド、アセトアミノフェン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項46~49のいずれか1項に記載の方法。
  51. 鎮痛療法はオピオイドを含む、請求項46~50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 患者に施される鎮痛療法の量は、PD-1阻害剤の投与前に患者に施されていた鎮痛療法の量と比較して、PD-1阻害剤の投与後1年以内に少なくとも20%低減される、請求項46~51のいずれか1項に記載の方法。
  53. PD-1阻害剤の投与は、鎮痛薬の使用の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす、請求項46~52のいずれか1項に記載の方法。
  54. PD-1阻害剤の投与は、オピオイドの使用の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす、請求項46~53のいずれか1項に記載の方法。
  55. PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減と、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%の減少とを同時にもたらす、請求項46~54のいずれか1項に記載の方法。
  56. PD-1阻害剤の投与は、がん疼痛の低減と、オピオイドの使用の低減と、RECIST基準を使用して決定される、安定(SD)、部分奏効(PR)、および完全奏効(CR)からなる群から選択される腫瘍応答とを同時にもたらす、請求項46~55のいずれか1項に記載の方法。
  57. PD-1阻害剤は、鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、放射線、手術、がんワクチン、イミキモド、抗ウイルス剤、光力学療法、HHI療法、PD-L1阻害剤、LAG3阻害剤、CTLA-4阻害剤、GITRアゴニスト、TIM3阻害剤、BTLA阻害剤、TIGIT阻害剤、CD40阻害剤、CD47阻害剤、IDO阻害剤、CD28活性化剤、VEGFアンタゴニスト、Ang2阻害剤、TGFβ阻害剤、EGFR阻害剤、腫瘍特異性抗原に対する抗体、がんワクチン、GM-CSF、腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、サイトカイン、抗体薬物コンジュゲート、抗炎症性薬、および栄養補助食品から選択される追加の治療剤または治療と組み合わせて投与される、請求項46~56のいずれか1項に記載の方法。
  58. PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片、抗PD-L1抗体またはその抗原結合性断片、および抗PD-L2抗体またはその抗原結合性断片から選択される、請求項46~57のいずれか1項に記載の方法。
  59. PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片である、請求項46~58のいずれか1項に記載の方法。
  60. PD-1阻害剤は、3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)を含む重鎖可変領域(HCVR)と、3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)を含む軽鎖可変領域(LCVR)とを含む抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片であり、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を有し;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を有し;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を有し;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を有し;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を有し;LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を有する、請求項46~59のいずれか1項に記載の方法。
  61. PD-1阻害剤は、5mg~1500mgの用量で投与される、請求項46~60のいずれか1項に記載の方法。
  62. PD-1阻害剤は、200mg、250mg、または350mgの用量で投与される、請求項46~61のいずれか1項に記載の方法。
  63. PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg~20mgの用量で投与される、請求項46~60のいずれか1項に記載の方法。
  64. PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg、3mg、または10mgの用量で投与される、請求項46~60のいずれか1項に記載の方法。
  65. PD-1阻害剤は、1回またはそれ以上の回数の投与として投与され、各回の投与は、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、または6週間ごとに投与される、請求項46~64のいずれか1項に記載の方法。
  66. PD-1阻害剤は、静脈内投与または皮下投与される、請求項46~65のいずれか1項に記載の方法。
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