JP2023542142A - 5’-ヌクレオチダーゼ変形タンパク質を暗号化するがん治療のためのポリヌクレオチド - Google Patents

5’-ヌクレオチダーゼ変形タンパク質を暗号化するがん治療のためのポリヌクレオチド Download PDF

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Abstract

新規がん治療のためのポリヌクレオチドであって、CD47に結合するバインダと複合体を形成するリポソーム型ナノ粒子に捕集された形態で使用され、がん細胞の代謝脆弱性(metabolic vulnerability)を極大化してがん細胞を死滅するメカニズムを有するがん治療のためのポリヌクレオチドが開示される。本発明は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を暗号化するがん治療のためのポリヌクレオチドを提供する。

Description

本発明はがん治療のためのポリヌクレオチドに関し、より詳しくは、薬物伝達物質に捕集された形態で使用されるがん治療のためのポリヌクレオチドに関する。
がん細胞は、免疫細胞がCD47のような他の細胞を破壊することを防ぐために一般哺乳類生化学で使用される信号を濫用する。このような「私を食うな(dont’ eat me)」という信号を妨害することは、様々な種類のがんを標的にする効果的ながん治療法の開発に相当な利益をもたらした。
一般に、マクロファージと呼ばれる免疫細胞はがん細胞を感知した後、それらを呑み込んで食いつくす。研究者らは、最近数年間にわたって、細胞表面のタンパク質がマクロファージに自らを食うか破壊するなという信号を送るという事実を発見した。これは免疫システムが正常な細胞を攻撃しないように保護するのに有用であるが、がん細胞をそれを利用して免疫システムを回避するためにこのような「私を食うな」という信号を使用している。研究者らは、以前、タンパク質PD-L1と主要な組織適合性1級複合体のβ2-マイクログロブリンサブユニットが、がん細胞が免疫細胞から自らを保護するのに活用しているという事実を明らかにした。CD47を遮断する抗体は現在臨床試験中であり、PD-L1またはPDL1受容体をターゲットにするがんの治療法が患者の治療に活用されている。
この研究は、多くのがんが正常細胞と周辺組織に比べCD47を豊富に生産するということを示した。最近の研究では、研究者らは、主要に浸透するマクロファージがSirpαという受容体を介してCD47信号を感知するという事実を明らかにした。彼らはまた、皿に患者のがん細胞とマクロファージを混ぜてCD47とSirpαの相互作用を遮断するとマクロファージががん細胞を食いつくし始めるという事実も示した。最後に、彼らはマウスにヒト乳がん細胞を移植した。CD47信号が遮断されたら、マウス免疫系のマクロファージががんを攻撃した。特に注目すべきことは、CD47信号を遮断して血液がんとトリプルネガティブ乳がんに大きな影響を及ぼすという発見であった。
韓国公開特許 第2006-0121150号(2006.11.28.)
本発明はがん治療のための新規ポリヌクレオチドであって、CD47に結合するバインダと複合体を形成するリポソーム型ナノ粒子に捕集された形態で使用され、がん細胞の代謝脆弱性(metabolic vulnerability)を極大化してがん細胞を死滅するメカニズムを有するがん治療のためのポリヌクレオチドを提供しようとする。
前記課題を解決するために、本発明は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を暗号化するがん治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
また、前記ポリヌクレオチドはmRNAであることを特徴とするがん治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
また、前記mRNAはがん細胞に進入して核酸代謝を阻害することを特徴とする治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
また、前記核酸代謝はdTTP生合成代謝であることを特徴とするがん治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
また、前記ポリヌクレオチドは、配列番号19で表される5’-UTRと、配列番号20で表される3’-UTRとを更に含むことを特徴とするがん治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
また、前記ポリヌクレオチドは、配列番号23で表される核位置信号(NLS)を暗号化する核酸配列を更に含むことを特徴とするがん治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
また、前記ポリヌクレオチドは、配列番号24で表されるミトコンドリア位置信号(MLS)を暗号化する核酸配列を更に含むことを特徴とするがん治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
また、前記がんは大腸がんまたは乳がんであることを特徴とするがん治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
本発明はCD47に結合するバインダと複合体を形成するリポソーム型ナノ粒子に捕集された形態で使用され、がん細胞の代謝脆弱性を極大化してがん細胞を死滅するメカニズムを有するがん治療のためのポリヌクレオチドであって、ヒト細胞内に伝達された際に非特異的マイクロRNA(microRMA)として作用する部位を最小化し、発現を最大化するように遺伝子配列が最適化された治療のためのポリヌクレオチドを提供する。
Sirpα、SV1、及びSV4のアミノ酸配列を比較して示す図である。太字は部分的に保存されていない残基を示す。シーケンス整列はClustalWで行われ、画像はBioEditシーケンス整列編集プログラムで生成された。 正しい方向性のためのSV1の突然変異を説明する図であって、SVドメイン(実線ボックス)がCD47(点線ボックス)ドメインと結合されており、図2AのモデルではSVドメイン(実線ボックス)はリシン残基が正しい方向性に影響を及ぼしていることが分かり、SV4はCD47に対する正しい結合に妨害されていない残基(下線)を選択して変位したことを示す図である。図2Bは正しい方向性のためのSV1の突然変異を説明する図であって、DSPE-コンジュゲートされたSV1及びSV4の質量分析法(Mass spectrometry analysis)を利用して変位によってDSPE-コンジュゲートが単純化された分析結果を示す図である。 T001及びヒトNT5Mの保存性モチーフを示す図である。T001及びヒトNT5Mのシーケンス整列であって、ヒトNT5M及びT001の配列上の類似性を確認するためにClustalWを介して配列した。整列に使用されたシーケンスのSwiss-Prot/TrEMBLアクセション番号はヒトNT5M及びT001である。反転されたフィールドは完全に保存されたアミノ酸残基を示し、ホックすフィールドは類似した生化学的機能を有する部分的に保存されたアミノ酸残基を示す。シーケンス整列はClustalWで行われ、画像はESPriptサーバで生成された。 T001及びNT5Mの構造を比較して示すモデルである。細胞質T001(CT)とdTMP-結合ヒトNT5Mを重畳して示しており、殆どの鎖は構造的に非常に類似しているが、結合ループ部位はNT5Mには存在せずCTにのみ存在することを示す。 T001の最適発現のためのUTRスクリーニングの候補構造を示す模式図である。 T001の最適発現のためのUTRスクリーニングにおいて、FACS分析結果を示す写真及びグラフである。分析条件は以下のようである:GFP fluorescence、HCT-116、6well(5×105 cell/well)、24h mRNA transfection、10% FBS、2mM Gln MEM media。 は、mStrawberryのN-末端及びC-末端のシーケンスを示す模式図である。推定されるインポート信号(import signal)は図7に示したように位置する。 蛍光顕微鏡で表されたmStrawberry-NLS及びmStrawberry-MLSの細胞内作用位置を示す写真である。白色の矢印は核の位置を示し、黒色の矢印はミトコンドリアの位置を示す。 がん細胞におけるターゲット代謝の作用モード(MOA)及び経路を示す図である。 MCF7細胞株におけるmRNAトランスフェクション後の生存検査(live and dead assay)結果を示す写真である。蛍光顕微鏡を使用して5μg/wellのmRNAを処理した後、MCF7細胞の細胞生存性を観察した。トランスフェクション後24時間で細胞生存性は効果的に減少されたが、この効果は時間依存的であるか容量依存的であった。 MCF7細胞株におけるmRNAトランスフェクション後のMTT分析結果を示すグラフである。 MCF7細胞株におけるmRNAトランスフェクション後のAnnexin V染色によるアポトーシス分析結果を示すグラフである。初期アポトーシス部分(右下の象限)はmRNAトランスフェクション後持続的に増加しており、後期アポトーシス部分(右上の象限)も増加していた。 T001とNT5Mトランスフェクションによる細胞毒性及び細胞成長抑制の比較結果を示すグラフである。 CT及びNT5Mトランスフェクションで誘導されたアポトーシスの結果を示すグラフである。 T001トランスフェクションによる細胞周期の停止を示すグラフである。 大腸がん細胞株HCT-116における濃度によるアポトーシス誘発細胞の比率を示すグラフである。 T001のsiRNA処理によるT001相殺効果を示すグラフである。 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における濃度によるアポトーシス誘発細胞の比率を示すグラフである。 トリプルネガティブ乳がんに対してCT処理した後のDNA損傷マーカのウェスタンブロット分析結果を示す写真である。 SV4バインダ及びT001薬物を利用した抗がん剤を示す模式図である。 T001 mRNAの構成を概略的に示す模式図である。 NLS-mStrawberry mRNAを含む免疫-リポソーム(iLP)で複合されたカルボキシブルオレセイン-DSPE(carboxy fluorescein-DSPE)に対する体外(in vitro)分析結果を説明する模式図及び写真である。MCF7細胞株において、蛍光感知によって核トランスフェクションによって各翻訳されたmStrawberryタンパク質の位置とmRNAの位置を確認した。Aは2.5μgのNLS-mStrawberry mRNAであり、Bは5μgのNLS-mStrawberry mRNAである。 は体外及び体内(in vivo)におけるCD47マスキング分析(masking assay)結果を示す写真である。 SV4-コンジュゲートiLP-NIR RFP mRNAの静脈注射(IV)後のMCF7異種移植マウスの分布を示す写真である。Aは異種移植マウス、Bは注射後1時間、Cは注射後3時間、Dは注射後6時間、Eは切断されたがん組織を示す。 体内におけるiLPD静脈注射後の期間別腫瘍の体積を示すグラフ及び腫瘍の写真である。 iLPD処理によるマウス臓器の毒性検査の結果を示すグラフである。 本発明によるSV4バインダを利用した抗がん剤のメカニズムを示す模式図である。 SIRPα及びSV1のDNA配列を比較して示す図である。 DSPE-PEG2000-NHSとSV4タンパク質のコンジュゲーション過程を説明する図である。
以下、実施例を介して本発明を詳細に説明する。その前に、本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語や単語は通常的であるか辞書的な意味に限って解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るとの原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。よって、本明細書に記載された実施例の構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願の時点において、これらを代替し得る多様な均等物と変形例が存在し得るということを理解すべきである。
本願に使用された用語は以下のように理解される。
本願において、用語「CD47」は特に制限されず、任意の動物、好ましくは哺乳類から由来したものであり、より好ましくはヒトCD47である。ヒトCD47のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は既に公知である(J.Cell.Biol.,123,485-496,(1993),Journal of Cell Science,108,3419-3425,(1995),GenBank:Z25521)。
本願において、用語「バインダ」は受容体、特にCD47に結合するタンパク質であって、バインダは特にがん細胞でCD47と結合し、細胞-伝達物質の認識及び/または相互作用を可能にする。
本願において、用語「コンジュゲートされた」または「コンジュゲート」は、2つまたはそれ以上の化合物が一つまたはそれ以上の化学結合またはリンカと結合して結合される化学的化合物を意味する。本発明の一具体例において、バインダとリポソームはコンジュゲートを形成する。
本願において、用語「PEG化(PEGylation)」は対象物質にポリエチレングリコール(PEG)を接合して安定性を上げるための技術であって、本発明ではPEG化されたリン脂質が使用されるが、例えば、DSPE-PEG2000などが使用される。DSPE-PEG2000は、約2000の数平均分子量を有するPEGが付着されたDSPEを意味する。
本願において、用語「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」は、一般にRNAまたはDNA、または変形されたRNAまたはDNAである、単一鎖または二重鎖形態に存在するデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの重合体を意味する。本発明の一具体例において、ポリヌクレオチドは合成された短鎖mRNAである。
本願において、用語「5’-UTR(5’-Untranslated Region)」は通常mRNAの特定部分と理解され、mRNAのタンパク質暗号化領域(つまり、開放解読枠(ORF))の5’に位置する。通常、5’-UTRは転写開始領域から始まって開放解読枠の開始コドンから1ヌクレオチドの前で終結する。
本願において、用語「3’-UTR」は、通常mRNAの開放解読枠(ORF)とポリA配列との間に位置するmRNAの一部である。mRNAの3’-UTRはアミノ酸配列に翻訳されない。3’-UTR配列は、通常遺伝子発現過程でそれぞれのmRNAに転写される遺伝子によって暗号化される。
本願において、用語「NLS(nuclear localization signal、核位置信号)」及び「MLS(mitochondrial localizatin signal、ミトコンドリア位置信号)」は、それぞれタンパク質や核酸のような特定物質を細胞核及びミトコンドリア内に運ぶ役割をするアミノ酸配列を意味する。
本願において、用語「トランスフェクション」は、細胞外部のポリヌクレオチドが伴う物質があるまたはない状態で宿主細胞、特に、がん細胞に入る過程を意味する。「トランスフェクションされた細胞」は、例えば、細胞外部のmRNAが細胞内に導入されて細胞外部mRNAを有している細胞を意味する。
本発明は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を暗号化するがん治療のためのポリヌクレオチドを開示する。
本発明によるがん治療のためのポリヌクレオチドは、一具現例によると、CD47に結合するバインダと複合体を形成するリポソーム型ナノ粒子に捕集された形態で使用され、がん細胞の代謝脆弱性を極大化してがん細胞を死滅するメカニズムを有するがん治療のためのポリヌクレオチドであって、ヒト細胞内に伝達された際に非特異的マイクロRNAとして作用する部位を最小化し、発現を最大化するように遺伝子配列が最適化されている。
本発明の一具現において、前記バインダは、がん細胞で過発現するCD47に結合するバインダとして、配列番号1または配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む。
本発明において、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むバインダは「SV1」と命名しており、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むバインダは「SV4」と命名している。
まず、SV1(Sirpα-variant-version1)は、本来(original)CD47リガンドの受容性ドメインである純水Sirpα(アミノ酸配列(配列番号25)参照)から由来する突然変異ライブラリから選別された。SV1突然変異の選別過程は以下のようである。
CD47と結合するSIRPαの結合力が改善されたタンパク質をWeiskopf K et al.(Weiskopf,K.,et al.(2013)。「Engineered SIRPalpha variants as immunotherapeutic adjuvants to anticancer antibodies.」Science(New York, N.Y.)341(6141):88-91.)を参照して、SIRPαの単一14-kD結合ドメインを合成し遺伝子を確保した。Wild-type SIRPαから変更されたアミノ酸はそれぞれ以下のようである。6番目に位置するバリン(valine)をイソロイシン(isoluecine)に、27番目に位置するバリンをイソロイシンに、31番目に位置するイソロイシンをフェニルアラニン(phenylalanine)に、47番目に位置するグルタミン酸(glutamate)をバリンに、53番目に位置するリシン(lysine)をアルギニン(arginine)に、54番目に位置するグルタミン酸をグルタミン(glutamine)に、56番目に位置するヒスチジン(histidine)をプロリン(proline)に、66番目に位置するセリン(serine)をトレオニン(threonine)に、92番目に位置するバリンをイソロイシンに置換した。タンパク質の大腸菌における発現のために、従来の核酸配列をコドン最適化によって変形してSV1を製造しており、図28にSIRPα配列(配列番号26)及びSV1のDNA配列(配列番号27)を比較して示した。
一方、SV1のC-末端にCRM197タンパク質を添加したタンパク質であるSV1-(C)CRM197、N-末端にCRM197タンパク質を添加したCRM197(N)-SV1、そしてSV1端末質を製作し、SV1のN-末端とC-末端のタンパク質添加の影響をSPR(Surface Plasmon Resonance)分析によって確認した。各資料はBiacore X100機器を利用してSPRのbinding kineticsによって分析した。この際、分析のためのChipとしてRecombinant CD47タンパク質を500RUになるようにProtein G表面に接合したChipを使用しており、HBS-Pは5μl/minの流速で分析した。各センソグラム(sensogram)の結果は1:1バインディングモデル及びグローバルフィッティングを使用してBiaEvaluationソフトウェアで分析したが、その結果を下記表1に示す。
表1を参照すると、SPR分析結果において、C-末端にCRM197が挿入されたSV1-CRM197はSV1に比べK値が大きく異なっていないが、N-末端にCRM197が挿入されたCRM197-SV1のような場合はaffinityがK値が19.9nMまで約2倍ぐらい上昇して、親和力が減少したことを確認した。よって、SV1のN-末端にタンパク質を添加する場合、SVがCD47に正しく結合することを妨害して発生する立体障害(steric hindrance)のため、CD47に対する親和度がSV1に比べ減少することを確認した。
以下、本発明によるSV4バインダ、前記バインダとコンジュゲートされるリポソームに関する具体的な実施例を詳細に説明した後、本発明によるバインダ-コンジュゲートリポソームに捕集されるT001薬物と、SV4バインダ及びT001薬物を利用した抗がん剤に関する具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
SV4-コンジュゲートリポソーム
脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle)に基づく薬物伝達システムは、相当な長所を有するため普遍的に使用されてきた。資質ナノ粒子は、高い薬容量(drug capacity)、高い安定性(stability)、高い特異性(specificity)を有しており、放出時点(release point)を制御することができる。薬物として使用される遺伝物質のため、正イオン性リポソームは標的がんに薬物を伝達するのに使用されていた。正電荷に荷電されたリポソームは、遺伝的薬物(genetic drug)を引き寄せて薬物が標的に遇うまで保護するために薬物を覆う球状コンプレックス(spherical complex)を形成する。
本発明において、正イオン性リポソームを形成するために、プロリポソーム(Pro-liposome)は正イオン性リン脂質、DOTAP、及びコレステロールのうち一つを使用して用意された。また、血管を介してターゲットに薬物を伝達する間に血清安定性を上げようと、PEG化リポソームを用意するためにプロリポソームにPEG1000-DSPEを追加に添加した。PEG化リポソーム以外にも、NHS活性化DSPE-PEG2000とSV4タンパク質をコンジュゲートしてDSPE-PEG2000-SV4を用意した。SV4コンジュゲートリポソームを用意するための最後のステップとして、mRNAカプセルかプロリポソームとDSPE-PEG2000-SV4を混合した。具体的なSV4-コンジュゲートリポソームの製造過程は以下のようである。
リポソームはドライフィルム方式で用意された。DOTAP(Avanti Polar Lipids)とコレステロール(Sigma)(1:1モル比、10mM)で構成された正イオン性リポソームとPEG-DSPE1000(1mM;Avanti Polar Lipids)が添加された。正イオン性リポソームは丸底ガラスフラスコでクロロホルムとメタノール(2:2(v/v))に溶解された。脂質乾燥は50℃で回転蒸発器で真空状態で行われた。クロロホルムとメタノールを完全に除去するために、脂質膜を一晩冷凍乾燥させた。蒸発後、脂質膜は50℃で最大1時間までヌクレアーゼフリー水(nuclease free water)で再水化(rehydrated)された。水化された脂質膜を音波処理して単一層小胞(unilamellar vesicle)を形成した。最後に、100nm空隙を有する膜を利用してミニ圧出器(Avanti Polar Lipids)で資質を圧出した。
DSPE-PEG2000-NHSとSV4タンパク質のコンジュゲーションは以下のように用意された(図20を参照)。DSPE-PEG2000-NHSはドライフィルム方式で用意した。クロロホルムに溶解されたDSPE-PEG2000-NHSは丸底ガラスフラスコで蒸発された。30℃で真空状態で1時間回転蒸発器によって脂質の乾燥を行った。蒸発後、脂質膜は30℃で1時間までヌクレアーゼフリー水に溶解されたSV4タンパク質に再水化された。コンジュゲートされていない残りのDSPE-PEG2000-NHSを除去するために、pH6.8のPBSで透析カセット10,000 MWCO(Thermo Scientific)を一晩行った。
カプセル化された薬物と結合リガンドを含有したリポソームを上述したように用意した。正イオン性リポソーム3mg、プロタミン(protamine)25μg、及びジエチルピロカボネート水(diethylpyrocarbonate water)を混合して溶液Aに、mRNA 50μg及びジエチルピロカボネート水を混合して溶液Bにした。溶液AとBはジエチルピロカボネート水で体積を同じにして30分間培養された。次に、30分間混合及び培養してカプセル化された薬物にリポソームを形成した。DSPE-PEG2000-NHSコンジュゲートSV4リガンドの結合のために、カプセル化された薬物を含有したリポソーム(1:100モル比)を50℃で15分間混合した。
コンジュゲーションターゲットとしてのSV1
自然界に存在するSirpαの配列を変形してCD47との結合力が向上されたSV1を突然変異によって選定し、それに対してリポソーム剤形を製作する際に正しい方向に挿入されて反応し得るSV4を突然変異によって確保した(図1を参照)。SV4突然変異の製作は以下のような方法で行われた。前記確保されたSV1配列において、CD47との正しい方向結合のために11番目と104番目のリシンをロイシン(leucine)に置換した。置換のためにSV1遺伝子をpET28aベクトルに挿入したプラスミドを利用して、11番目と104番目に当たる配列で点突然変異(point-mutation)されるようにプライマ(下記表2を参照)を製作し、Quickchange II site-directed mutagenesis kit(Agilent)の方法に従ってそれぞれ或いは同時に置換させた突然変異遺伝子を製作した。
SV1タンパク質はN-末端アミノ基以外に6つのリシン残基を有している(図2Aを参照)。SV1をリポソームとコンジュゲーションすることで連結してCD47との結合によって薬物を伝達するためには、結合力の向上が必要である。NHSコンジュゲーションによってDSPEを連結する化学反応で作用する残基のうちCD47との結合を妨害しないながらも正しい方向(correct orientation)に作用する残基を選定し、これらの残基以外の残基をロイシンに置換することで、結合活性を損傷することなく変形することができる。図2に示したように、置換によってDSPEに結合する残基の場合の数を減らして、単純な結合によってDSPE-コンジュゲートされたSV4を製造した。
一方、SV4の正しい方向のためのリシン置換効果を確認するために、SV1と比較するためにDSPE-コンジュゲーションの形態及びリポソームに挿入された形態をそれぞれ製造し、CD47との親和力をSPR(Surface Plasmon Resonance)によって分析した。分析のために、CM5 Chipを利用してCD47を接合した後、SV1、DSPE-SV1、LPD-SV1、SV4、DSPE-SV4、及びLPD-SV4の会合(association)と解離(dissociation)を測定してK値を比較した。詳しくは、組換え(recombinant)CD47タンパク質をEDC-NHS反応によって250RUの標的SPR反応でCM5チップの表面に接合させて使用しており、HBS-Pは30μl/minの流速で3分会合及び10分解離の過程によって確保したセンソグラムを1:1バインディングモデル及びグローバルフィッティングを使用してBiaEvaluationソフトウェアで分析した。分析資料の特性によって解離バッファ(dissociation buffer)として、SV1及びSV4タンパク質に対しては10mMグリシン(glycine)pH2.0を、脂肪酸が付着された試料に対しては2.0M MgClを使用した。
SPR分析結果において、SV1はSirpα(wt)に比べK値が280nMから0.87nMに大きく向上された(図3を参照)。SV1の親和力(affinity)は大きく向上されたが、NHSコンジュゲーション反応によってSV1-DSPEを製造した場合は0.87nMから2.67nMにK値が上昇したため親和力が減少した。また、リポソームに挿入したSV1-iLPの場合は更に親和力が減少し、K値が10.9nMまで上昇した。それに対し、NHS反応残基である2カ所のリシンをロイシンに置換したSV4の場合、タンパク質自体の親和力は多少減少したが、正しい方向性のためDSPEとコンジュゲーションした場合とリポソームに挿入されたときさえ大きく減少されずに誤差範囲で結合活性が維持されることを確認した(表3を参照)。
バインダ-コンジュゲートリポソーム捕集薬物
以下、上述したバインダ(SV4)-コンジュゲートリポソームに捕集される薬物の具現例について説明する。
ヒト5’-ヌクレオチダーゼ(Human 5’-nucleotidase)と類似した活性を有するが、異例的に異なる核酸に対しては特異性がないながらもdTMP、dUMPに対してのみ高い特異性を有するPBS2パージ(Bacteriophage PBS2)由来のチミジル酸5’-ホスホヒドロラーゼを、がん細胞の代謝脆弱性(metabolic vulnerability)を極大化してがん細胞を死滅するメカニズムを有する薬物候補物質として選定し、ヒト細胞内に伝達された際に非特異的マイクロRNA(microRNA)として作用する部位を最小化し発現を最大化するように、遺伝子配列を最適化して「T001」(配列番号3)と命名した。T001の配列最適化過程は以下のようである。
DNA配列を哺乳類細胞発現(mammalian cell expression)のためのコドン最適化しようと、自然コドン(natural codon)を以下の最適コドンに代替した:alanine (GCC)、arginine (CGC)、asparagine (AAC)、aspartic acid (GAC)、cysteine (TGC)、glutamic acid (GAG)、glutamine (CAG)、glycine (GGC)、histidine (CAC)、isoleucine (ATC)、leucine (CTG)、lysine (AAG)、methionine (ATG)、phenylalanine (TTC)、proline (CCC)、serine (TCC)、threonine (ACC)、tryptophan (TGG)、tyrosine (TAC)、and valine (GTG)。Runs of Cs and Gsを回避してPCR条件だけでなくオリゴヌクレオチド合成を簡略化した。
T001類似したヒト細胞内核酸代謝に関与する酵素は5’-ヌクレオチダーゼであって、作用位置によって3つ、つまり、NT5C(cytoplasm)、NT5M(mitochondria)、NT5E(extracellular membrane)が知られている。この3つの酵素は作用位置だけでなく、NMPまたはdUMPのリン酸基を加水分解する活性及び構造的差のたの好みの基質核酸種が異なり、殆どのNMPまたはdUMPに対する広範囲の特異性を有していると知られている。このうちNT5M(配列番号32を参照)は、T001とアミノ酸配列の低い類似性に比べ、タンパク質の構造においてはほぼ類似していると推定されている(図3を参照)。特に、配列の差にも関わらず作用部位に対する配列は保存されており、HADスーパーファミリ(haloalkanoic acid dehalogenase superfamily)に属すると確認された。
構造的相同性にもかかわらず、NT5MとT001の構造的差は、T001はNT5Mに存在しない特異のバインディングループ(binding loop)構造を有しているということであり、この点が最も大きい特徴的差である(図4を参照)。
前記バインディングループはNT5MとT001の基質結合部位と密接な関係があり、基質の特異性に関連すると推定される。現在まで前記バインディングループの機能に対しては殆ど知られていないが、本発明では、前記バインディングループのためNT5Mに比べdTMPに対してより高い親和性を有し、高いdTMP分解能を有することを一部確認した(表4を参照)。
表4に示したように、現在まで知られている他の5’-デオキシリボヌクレオチダーゼのうち最もdTMPに対する親和度が高いと知られている。現在までの報告によると、他の酵素の場合、本発明で提示したT001に比べdTMPに対する親和度が低いだけでなく、相対的に広範囲の基質特性を示すことが分かる。特に、構造的に類似したhuman NT5Mに比べても基質に対するスペクトルが異なり、dTMPに対する親和度も表4によると30倍程度引くことが分かる。このような差はNT5Mには存在しない結合ループがT001には存在するためであると推定される。
T001 mRNA薬物-ローカリゼーション(localization)及びmRNAの構造
T001の最終薬物の形態はmRNAの形態であって、発現に必要な各構成要素を最適化してUTR(untranslated region)及びKozak配列を最適化した。そのために、レポータ(reporter)遺伝子としてGFP(Green Fluorescent Protein)を使用し、図5のような候補構造を選定して発現効率を決定した。各使用したUTRの配列情報は下記表5のようである。






各UTRに対する発現効率をGFP蛍光程度によってFACSで分析した。FACS分析方法は以下のようである。
6空洞細胞培養プレートの各空洞当たり5×10個の細胞を入れ、37℃、5%CO条件の細胞培養器で24時間培養してプレートの底に付着した後、各UTR構造を有する緑色蛍光を発現するEGFP mRNAをlipofectamine messengerMAX試薬を使用してトランスフェクションした。まず、微細試験管に125μlのOPTI-MEM培地と3.5μlの試薬を混ぜて常温で10分間培養した後、他の微細試験管で125μl培地と各UTR構造を有するmRNA 1.25μgを入れて混ぜたmRNA希釈培地を前記試薬に入れて混ぜてから5分間追加培養した後、各空洞の細胞に投与した。4時間後、各空洞の細胞をリン酸緩衝生理食塩水で軽く洗浄し、細胞培養培地に入れ替えてから20時間追加培養した後、蛍光顕微鏡及びフローサイトメトリで各UTRのEGFP mRNAの緑色の蛍光タンパク質の発現程度を比較分析した。対照群としては、TriLink BioTechnologiesから購入したEGFP mRNAを使用した。まず、培養が終わった細胞の緑色蛍光の強度を蛍光顕微鏡によって画像で比較分析した後、対照群を含むそれぞれのUTRを有するEGFP mRNAを処理した細胞をトリプシン酵素でプレートの底から取り外して、微細遠沈管に集めた後、リン酸緩衝生理食塩水に希釈した。このように希釈した細胞をフローサイトメトリによって対照群に比べ緑色蛍光を発現する細胞群の分布を、強度によって強、中、弱の3段階に比較した。
FACS分析の結果、UTRの長さを減らした形態として最終発現形態を UTR9番の形態に確定した(図6を参照)。
UTR9番に基づいて細胞内作用位置を多様化するために、核酸合成経路が存在する核、細胞質、及びミトコンドリアに位置させるために図7のような位置信号配列(NLS:配列番号23、MLS:配列番号24)を添加してレポータ遺伝子mStrawberryを位置信号配列によって発現させた後、蛍光でタンパク質の位置を確認した(図8を参照)。位置信号配列による蛍光位置確認試験(mRNA transfection:lipofectamine)の具体的な過程は以下のようである。
6空洞細胞培養プレートの各空洞に共焦点顕微鏡観察用のカバーガラスを一つ入れ、5×10個の細胞を37℃、5%CO条件の細胞培養器で24時間培養して、カバーガラスの上に付着させる。それぞれの位置信号配列と赤い蛍光タンパク質を発現するmStrawberryレポータ遺伝子配列が連結されたmRNAをlipofectamine messengerMAXを使用してトランスフェクションする。まず、微細試験管に125μlのOPTI-MEM培地と3.5μlの試薬を混ぜて常温で10分間培養した後、他の微細試験管で125μl培地と各位置信号配列を有するレポータ遺伝子mRNA 1.25μgを入れて混ぜたmRNA希釈培地を前記試薬に入れて混ぜてから5分間追加培養した後、各空洞の細胞に投与した。4時間後、各空洞の細胞をリン酸緩衝生理食塩水で軽く洗浄し、細胞培養培地に入れ替えた後、20時間追加に培養して、共焦点顕微鏡観察のための試料を製作した。試料を製作するために4%パラホルムアルデヒド試薬を添加し10分間培養して細胞を固定した後、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄してから、スライドグラスの上に保存液20μlを入れ、その上に固定及び洗浄が終わったカバーガラスを載せて、乾かないように周辺を仕上げた後、共焦点顕微鏡の赤い蛍光で、位置信号配列がよく作動してmStrawberryタンパク質が細胞核及びミトコンドリアに位置したのかを確認した。
T001 mRNAの合成は以下のように行われた。
鋳型DNAの用意:IVT(In Vitro Transcribed) mRNAを合成するためのベクトルはpIRESベクトルから修正された。簡略に、5’UTR-T001-3’UTR cassetteはpIRESベクトルのMCSにクローニングした。IVTテンプレート(template)を生成するために、プラスミドでSacI/HpaI酵素で処理して線形鎖を形成し、T7プロモータとT7カセット(cassette)が含まれた1.5kbの線形鎖を純水にカラム精製して、PCRのためのテンプレートとして使用した。正方向プライマ(gtgcttctgacacaacagtctcgaacttaagc;配列番号37)と逆方向プライマ(gaaGCGGCCGCCTTCCTACTCAGGCTTTATTC;配列番号38)をPCR反応に使用しており、全てのPCR反応はPfu重合酵素を使用して1分間95℃で、1分間61℃;72℃で3分、計30周期の間にPCRを行った。PCR産物はアガロースゲルで実行されており、追加処理の前にQiagenクリーンアップキットを使用して抽出された。
IVT mRNAの合成:PCRの後、遺伝子情報はHiScribe(登録商標)T7 ARCA mRNAキット(New England Biolabs,Cat.#.E2065)を使用してDNAからmRNAに試験管内で転写される。反応液は、10μg NTP/キャップアナログ混合物、1μg Template DNA、2μl 1×T7 RNA重合酵素混合物を添加して20μlのIVT反応混合物を調製した。IVT反応混合物は30分間37℃で培養された。鋳型DNAを除去するために1μl DNaseをIVT反応混合物に添加し、37℃で15分間培養した。ポリ(A)テーリングのために、5μlの10×ポリ(A)ポリメラーゼ反応緩衝液、5μlのポリ(A)ポリメラーゼ、及び20μlのヌクレアーゼがない水を添加し、20μlのIVT反応混合物を製造して40分間37℃で培養した。次に、RNeasy Mini Kit(Qiagen、Hilden、Germany)を使用して精製した後、89μlのヌクレアーゼがない水でスピンカラム膜で溶出して合成されたmRNAを精製した。次に、南極ホスファターゼ1μlを30分間37℃で処理して5’-ホスフェートを除去した後、再度RNeasy Mini Kit(Qiagen、Hilden、Germany)を使用して精製した後、50μlのヌクレアーゼがない水でスピンカラム膜で溶出して合成されたmRNAを回収した。次の実験のために、最終濃度が500ng/μlになるように合わせた後、分注して-80℃で保管した。
がん細胞におけるターゲット代謝
TS(Thymidylate synthase)は、DNA合成及び復旧のためのチミジレート(dTMP)の唯一のデノボ(de novo)源泉(source)である。TSタンパク質をターゲットとする薬物はがん治療の主軸をなしているが、標的外効果と毒性のため使用が制限されている。TK1(cytosolic thymidine kinase)とTK2(mitochondrial thymidine kinase)は腫瘍環境からチミジンを回復させることで代替dTMPの生成経路に寄与し、TSターゲッティング薬物に対する抵抗を調節する。siRNAを有するTKsの下向き調節(downregulation)で腫瘍細胞を感知するTS siRNAの容量を従来のTSタンパク質ターゲッティング薬物(5FUdR及びpemetrexed)に比べ増加させたという報告があったため、本発明ではdTTP生合成代謝に焦点を合わせた。
このような酵素の複合下向き調節は、TSターゲット抗がん治療を強化するためには魅力的な戦略であるが、正常細胞毒性とがん薬物に対する耐性が問題になる恐れがある。このような欠陥を避ける代案は高いdTMP特異的加水分解酵素を得ることであるが、すなわちT001である。T001は他のdNMP(deoxynucleotide mono phosphate)を加水分解せず、dTMPをチミジンに加水分解する。細胞の不均衡なヌクレオチドプールはdTTPの欠乏によって引き起こされ、細胞の成長と増殖に深刻な損傷をもたらす恐れがある。基質選択性とT001の活性を考慮して、以下のような仮説を立てた:(1)不均衡なヌクレオチドプールはヒト腫瘍細胞を誘導して損傷を累積させ、(2)T001の過発現は不均衡なヌクレオチドプールを引き起こし、(3)不均衡なヌクレオチドプールは過度な復旧周期(repair frequency)によるアポトーシスを引き起こす 可能性がある。
がん細胞にT001 mRNAsトランスフェクションによる生存細胞数の減少
まず、各T001 mRNAをトランスフェクションした後、腫瘍細胞の成長を評価するために各グループの細胞数を推定し、生存検査で培養細胞の成長を分析した(図10を参照)。生存検査は以下のように行われた。
6空洞細胞培養プレートの一空洞当たりに5×10個の細胞を入れ、37℃、5%CO条件の細胞培養器で24時間培養して底に付着した。24時間後、それぞれのmRNAバージョン別にリポフェクタミン(lipofectamine)を使用してトランスフェクションし、更に24時間培養した。実験群それぞれの細胞を回収し、生存検査分析試薬である2μM calcein AM、4μM EthD-1を回収した細胞に処理して30分間反応した後、細胞を蛍光顕微鏡を介して確認した。calcein AMは細胞内に入って生きている細胞の酵素によって分解された後、緑色蛍光を示し、EthD-1は死んでいる細胞の細胞内に入った後、核を染色して赤色蛍光を示す。
図10に示したように、トランスフェクション後24時間における生存細胞は対照群に比べ著しく減少しており、mRNAバージョン(NT、MT、及びCT)の間には差がなかった。
がん細胞にT001 mRNAsトランスフェクションによる生存細胞の増殖抑制
細胞生存能を定量化するためにMTT分析を行った。MTT分析方法は以下のようである。
96空洞細胞培養プレートに一空洞当たりに10,000個の細胞を入れ、37℃、5%CO条件の細胞培養器で24時間培養して底に付着した。24時間後、各mRNAバージョン別、濃度別にlipofectamine reagentを作ってトランスフェクションし、更に24時間、48時間、72時間培養した後、それぞれ時間別に細胞活性分析実験を行った。各時間別サンプルに細胞活性分析試薬であるEZ-Cytoxを細胞培養した各空洞当たり10μl投与して24時間反応した後、プレートリーダを利用して450nm波長の吸光値を測定する。対照群に比べ各バージョン別mRNA処理群の値を比較して、処理時間と濃度別の細胞生存能を分析した。
MTT分析結果、対照群に比べT001 mRNAにトランスフェクションした細胞の増殖はトランスフェクション後24時間で著しく抑制されており、抑制効果は最大72時間まで維持されて、各細胞の生存性が持続的に減少されると示された。細胞生存性は容量によって異なるように示された(図11を参照)。
がん細胞にT001 mRNAsトランスフェクションによるアポトーシスの誘導
前記実験結果によって、Annexin V染色後フローサイトメトリ分析(Flow cytometric analysis)を行って、T001がアポトーシスを誘導して細胞数の減少または細胞増殖の抑制を誘発するのかを調べた。具体的な分析方法は以下のようである。
6空洞細胞培養プレートの各空洞当たり5×10個の細胞を入れ、37℃、5%CO条件の細胞培養器で24時間培養してプレートの底に付着した後、各バージョン別mRNAをlipofectamine messengerMAX試薬を使用してトランスフェクションした。まず、微細試験管に125μlのOPTI-MEM培地と3.5μlの試薬を混ぜて常温で10分間培養した後、他の微細試験管で125μl培地と各UTR構造を有するmRNA 1.25μgを入れて混ぜたmRNA希釈培地を前記試薬に入れて混ぜてから5分間追加培養した後、各空洞の細胞に投与した。4時間後、各空洞の細胞をリン酸緩衝生理食塩水で軽く洗浄し、細胞培養培地に入れ替えた後、20時間追加培養してから、トリプシン酵素でプレートの底から取り外して微細遠沈管に集めた後、リン酸緩衝生理食塩水に希釈した。各微細遠沈管ごとに3μlのAnnexin V染色試薬とPropidium Iodide染色試薬を入れ、15分間常温で反応した後、フローサイトメトリ分析器によってT001のバージョン別アポトーシスが誘導された細胞群の程度を比較した。対照群としては、mRNAがないlipofectamine messengerMAX試薬を使用した。Annexin V試薬はアポトーシスが進行される細胞の細胞膜を染色し、Propidium Iodideは死んだ細胞の細胞内核を染色する。よって、フローサイトメトリグラフ上でアポトーシスが行われない細胞は第3象限に分布し、アポトーシスの進行程度によって細胞群の位置は第4象限から第1象限に移動する。
分析結果、全てのバージョンでアポトーシスは互いに類似していた。対照群のアポトーシス率は3.75%であり、NT、MT、及びCTでトランスフェクションした細胞の初期アポトーシス率はそれぞれ21.59%、25.11%、及び24.65%と示された。NT、MT、及びCTと共に転移された細胞のアポトーシス率はそれぞれ9.85%、8.42%、11.47%に示された(図12を参照)。アポトーシス率は容量依存的に増加しており、それぞれのT001バージョンの間で若干の差を示した。
大腸がん細胞(HCT-116)に対するT001とNT5Mの細胞毒性の比較
T001はMT5Mとは異なる構造的差のため核酸Tにより特異的である。よって、全般的な核酸の損失よりdTTPの損失による核酸の不均衡はがん細胞の代謝に大きな影響を及ぼし、そのためがん細胞の成長を阻害することができる。それを照明するために、ヒトNT5Mの成熟型(mature form)とイントロン(intron)が含まれた非成熟型(non-mature form)を細胞質T001(CT)と細胞生存能及び細胞成長抑制効果を比較し、各酵素間の基質特異性によって細胞にいかなる影響を及ぼすのかを調べた。各mRNAを大腸がん細胞株HCT-116にトランスフェクションし、24時間後にトリパンブルー分析(Trypan blue assay)を行ってHCT-116細胞生存能と細胞成長抑制結果を図13に示した。具体的な実験方法は以下のようである。
HCT-116細胞に非成熟型NT5Mと成熟型NT5M、CT mRNAをそれぞれ1.25μgずつトランスフェクションする。24時間後トリプシン(trypsin)を処理し、遠心分離機を利用して細胞を収集(harvest)した。収集した細胞を1×DPBSで再浮遊(resuspension)した後、一定量の細胞をトリパンブルー試薬と1:1に混ぜた。室温(RT)で2分間インキュベーション(incubation)した後、血球計算盤(hemocytometer)を利用して細胞数を計数した。トリパンブルー試薬に染色された細胞と染色されていない細胞の数を求めて、生存細胞(viable cell)と非生存細胞(non-viable cell)の数を求めた後、総細胞数で割って生存度(viability)を求めた。各実験は3回以上繰り返して有意性を評価した。
図13のように、dTMPに対する親和度と活性が高いT001の場合、類似した活性を有するヒトNT5Mに比べ細胞に及ぼす影響が大きく示された。
特に、細胞に示された毒性は主にアポトーシス(apoptosis)誘導によって示されることを確認した(図14を参照)。HCT-116細胞に非成熟型NT5M、成熟型NT5M、及びCT mRNAをそれぞれ1.25μgずつトランスフェクションした細胞を24時間培養した後、アポトーシスの程度を測定して分析した結果、2種類のNT5M mRNAは対照群(control)に比べSub G1基が約12%増加したのに対し、CT mRNAは対照群に比べ約25%が増加したことを確認した。T001発現によって引き起こされるアポトーシスは、細胞内核酸欠乏による細胞周期の変化から由来すると判断され、基質のうち特定核酸及びdTTPの選択的欠乏が細胞周期の停止(arrest)を引き起こし、この過程が深化したら、結局アポトーシスが誘発されると推定される(図15を参照)。
前記結果で示されたアポトーシス誘発効果は、大腸がん細胞株でCTの処理濃度によって濃度依存的な傾向が示されたことからすると、CTの活性が直接アポトーシスに関与したという事実を示す(図16を参照)。
このようながん細胞のアポトーシスがT001の効果であるのかを確認するために、CTに対するsiRNAを使用してT001をノックダウン(knock down)させた後、アポトーシスの程度の変化を確認した。T001をターゲットにする2種類のsiRNAを製作してHCT-116細胞にトランスフェクションした後、CT mRNAをトランスフェクションし、24時間後にAnnexin V/PI染色によってアポトーシスの程度を確認した。具体的な実験方法は以下のようである。
T001をターゲットにするsiRNAを2種類に製作して、RNAiMAX reagentを使用してトランスフェクションし、1時間後CT mRNAをトランスフェクションした。24時間後、細胞を収集し、FITC Annexin V Apoptosis Detection Kit Iを使用して染色した。20分間室温でインキュベーションした後、フローサイトメトリを使用して蛍光の程度を分析した。各サンプル当たり10,000個の細胞を分析した。使用されたsiRNAの配列は以下のようである。
[siT001-1]
sense(配列番号33):CGAGAAGAAGUCAGAUUACAUCAAG
antisense(配列番号34):CUUGAUGUAAUCUGACUUCUUCUCG
[siT001-2]
sense(配列番号35):CGCAAAUUCAUUGAAACCUUCCUGA
antisense(配列番号36):UCAGGAAGGUUUCAAUGAAUUUGCG
分析の結果、CT mRNA単独でトランスフェクションしたグループに比べ、siRNAをトランスフェクションしてからCT mRNAをトランスフェクションしたグループでアポトーシスが減少することを確認した(図17を参照)。
トリプルネガティブ誘発のがん種におけるT001の濃度依存的阻害効果
T001の作用メカニズム上、大腸がん以外のがん種でもがん細胞のアポトーシスを誘発することができると考えられ、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対して同じ試験を行ってアポトーシス誘発能を確認した。具体的な試験方法は以下のようである。
MDA-MB-231、MDA-MB-468cellをそれぞれ5×10cells/wellで分注(seeding)した後、CT mRNAをそれぞれ0、0.625、1.25、2.5μgずつトランスフェクションした。24時間後、細胞を収集し、FITC Annexin V Apoptosis Detection Kit Iを使用して染色した。20分間室温でインキュベーションした後、フローサイトメトリを使用して蛍光の程度を分析した。各サンプル当たり10,000個の細胞を分析した。3回繰り返し実験し、有意性を評価した。
細胞質T001(CT) mRNAを濃度別にトリプルネガティブ乳がんの2種に対して処理した後、24時間培養細胞をAnnexin V/PI染色によってFACS分析を行った結果、CT mRNAの濃度に比例して試験したがん種でも同じくアポトーシス細胞の割合が増加することを確認した(図18を参照)。
アポトーシスの源信に対するタンパク質レベルの分析のために、CT mRNAをTNBC細胞株であるMDA-MB-231及びMDA-MB-46に1.25μgをトランスフェクションした後、18時間後ウェスタンブロット(Western blot)を行った。具体的な分析方法は以下のようである。
CT mRNAをトランスフェクションし、18時間後に細胞を収集した。RIPA buffer(+protease inhibitor、phosphatase inhibitor)を使用して氷で細胞を30分間溶菌(lysis)した後、4℃遠心分離機を15分間利用してタンパク質を分離した。分離されたタンパク質を定量し、アクリルアミドゲル(acrylamide gel)に10乃至20μgのタンパク質をローディングした。ゲルをPVDF膜に転移(transfer)した後、5%脱脂粉乳(skim milk)でRTで1時間ブロッキング(blocking)した。各1’抗体(antibody)を入れ、4℃で一晩保管した。0.1% TBSTで洗浄(wash)した後、2’抗体を入れてRTで1時間インキュベーションした。0.1% TBSTで洗浄した後、ECL溶液を利用してタンパク質を検出した。ChemiDoc XRS+を利用してタンパク質の発現を分析した。
分析結果、図19に示したように、アポトーシスマーカであるPARPの切断(cleavage)とDNA損傷(damage)マーカであるgamma-H2AXの発現増加を確認した。CT mRNAの処理の際、dTTPの欠乏のためDNA損傷が発生することを確認したが、それによってアポトーシスが誘発されるという事実を確認した。
SV4バインダ及びT001薬物を利用した抗がん剤
以下、SV4バインダ及びT001薬物を利用した抗がん剤の具現例について説明する。
SV4バインダ及びT001薬物を利用した抗がん剤は、がん細胞の表面で過発現するCD47を1次的に探知して結合し、2次的にがん細胞に進入したmRNA型核酸代謝阻害薬物ががん細胞の過度な核酸合成代謝を感知し阻害することで、がん細胞の免疫回避及び代謝脆弱性を標的にして正常細胞の副作用を革新的に減らした4世代ターゲット型代謝抗がん剤である。一般に、がん細胞特異的表面タンパク質の場合は正常細胞にも分布することが多く、特異的表面タンパク質を認識する標的タンパク質と毒性物質を結合する場合、正常細胞の被害は避けられない。しかし、認識だけでは毒性を与えず、過度に核酸の合成を試みるがん細胞の代謝を標的にする場合、がん細胞に対する認識率が高いため正常細胞の被害を減らすことができる。つまり、CD47を認識してT001 mRNAが細胞内に流入されても、成長のために核酸を増幅しない大部分の正常細胞は核酸に対する要求が少ないため被害が殆どないが、過度な核酸を合成しなければ成長できないがん細胞の場合、dTMPの欠乏による核酸の不均衡のため大きな被害を受ける。よって、がん細胞の高発現CD47を認識する過程で一部の正常細胞のうち比較的高いCD47レベルを有する細胞を標的にしても、内部に流入された核酸代謝の標的によってがん細胞に更に大きな被害を与えることで、がん細胞の認識率を上げて正常細胞の被害を減らすことができる。
図20に示したように、SV4バインダを利用した抗がん剤の構成は、外部にCD47認識タンパク質を有し、内部にmRNA型核酸代謝阻害薬物にがん種によって位置信号(核内、細胞質内、またはミトコンドリア内)を異なるようにして組み合わせたmRNAを捕集したリポソーム型ナノ粒子の形態になっている。図27は、本発明によるSV4バインダを利用した抗がん剤のメカニズムを示す模式的に示している。
抗がん剤の構成要素
(1)CD47バインダ(SV4)
Sirpα由来のタンパク質をを変形した高親和性CD47結合体とそれにDSPEとのコンジュゲーションの際に正しい方向にリポソームの外部に位置するように変形したSV4をCD47バインダ(binder)として使用したが、SV4の推定構造を図1Aに示した。DSPEと結合した資料、それをリポソームに挿入した資料それぞれのK値を比較した結果、配列変位によってリポソーム形態から改善されたことが分かった(前記表1を参照)。
(2)リポソーム基盤の薬物伝達体構成物質
リポソームは正電荷に荷電して標的まで円滑な薬物伝達を行うために使用された物質として、正イオン性リン脂質(DSPE-PEG1000)、DOTAP、及びコレステロールの構造をそれぞれ下記化学式1乃至3に示した。
(3)薬物
上述したように、核内、細胞質内、及びミトコンドリア内で発現可能なmRNAとして、図21にT001 mRNAの構成を概略的に示した。
位置信号で融合されたmStrrawberry mRNAによって翻訳されたタンパク質のポジショニング
位置信号がよく作動したのかを確認するために、mRNAを核及びミトコンドリア位置信号でMCF7にトランスフェクションした。mStrrawberry蛍光を検出し、各mRNAの成功的なトランスフェクションと位置を確認した(図22を参照)。具体的な実験方法は以下のようである。
6空洞細胞培養プレートの各空洞当たりに5×10個の細胞を入れ、37℃、5%CO条件の細胞培養器で24時間培養してプレートの底に付着した。カルボキシフルオレセインコンジュゲート(carboxyfluorescein conjugated)DSPEを使用して構築したリポソームに実験室で合成した細胞内細胞質位置信号が連結された赤色の蛍光タンパク質を生成するmStrrawberry mRNAを捕集し、24時間培養が終わったMCF-7細胞に処理してトランスフェクションした。24時間更に培養した後、共焦点レーザ蛍光顕微鏡の緑色波長でリポソームのカルボキシフルオレセインが発生する緑色蛍光の細胞上での位置を確認し、赤色波長でトランスフェクションされたmRNAがmStrrawberryタンパク質を生成し細胞質に位置することを確認した。
CD47媒介の薬物伝達の確認
薬物の伝達がCD47を媒介に引き起こされるのかを確認するために、MCF-7細胞にエピルビシン(epirubicin)薬物が捕集されたSV4が結合されたiLPを処理した。この際、CD47の媒介可否を確認するために、CD47抗体(polyclonal)を処理した実験群と処理していない実験群を比較した。具体的なCD47 masking assay方法は以下のようである。
6空洞細胞培養プレートの各空洞当たりに5×10個の細胞を入れ、37℃、5%CO条件の細胞培養器で24時間培養してプレートの底に付着した後、一つの細胞サンプルにのみ最終濃度5μg/mlのCD47抗体を入れて4時間反応し、細胞表面のCD47を遮断する。ここにエピルビシンを捕集しSV4が結合されたリポソーム(iLP)を各細胞ごとにエピルビシンの最終濃度が10μMになるようにiLP処理して24時間培養した。24時間後、蛍光顕微鏡を介して細胞内に導入されて細胞核で赤色蛍光を示すエピルビシンの蛍光程度を比較分析した。この際、対照群としてはエピルビシンを直接処理した細胞サンプルを使用した(図23Aを参照)。MCF-7異種移植マウスの100μgのSV4タンパク質を先に投与し飽和させてマウス体内のがん細胞のCD47を遮断した状態と同じ体積のリン酸緩衝生理食塩水を投与して、がん細胞のCD47を遮断していない状態にする。ここにSV4-DSPEと近赤外線領域の赤い蛍光を示すCyanine 5.5-DSPEが同時に挿入されているT001 mRNAを捕集させたリポソームを血管注射によってマウス体内に100μl(mRNA 5μg/Liposome 0.5mg)を投与して、CD47を媒介にしたターゲットに対する接近性を確認した。
実験結果、図23Aに示したように、CD47を遮断(blocking)した処理群ではエピルビシンの蛍光が示されなかったが、遮断していない実験群ではエピルビシンの蛍光が示された。
また、体内でのCD47媒介の薬物伝達能を確認するためのMCF-7異種移植マウスモデル実験において、血液細胞に存在するCD47によって全般的なノイズが観察されたが、SV4で遮断したマウスでより遮断していないマウスのがん細胞でより強い薬物の伝達が確認された(図23Bを参照)。
MCF7異種移植(xenograft)マウスモデルにおいて、近赤外線蛍光タンパク質(Near Infrared Red Fluorescence Protein、NIR RFP)mRNAを含むSV4-コンジュゲートiLPを静脈注射によって注入した後、時間別に蛍光画像を分析したが、その結果を図24に示した。具体的な実験方法は以下のようである。
ヒト乳がん細胞株であるMCF7をは移用してヌードマウスに異種移植した。NIR-RFP(Near Infrared-Red Fluorescence Protein) mRNAが捕集されたSV4-iLPを静脈注射によって25gマウス当たり5μg mRNAが投与されるように調節して投与した後、in vivo optical imaging systemを使用して注射した試料の蛍光程度を追跡した。
図24を参照すると、mRNAの伝達が一部血液細胞のCD47を介して引き起こされるが、比較的高いレベルでがん細胞に発現が蓄積される現象を観察した。
MCF7異種移植マウスIVがん成長制御効能試験(28日)を行ったが、詳しくは、MCF7を培養してヌードマウスに皮下注射(subcutaneous injection)した。腫瘍(tumor)が成長したヌードマウスをランダムに分類した後、静脈(intravenous、IV)にそれぞれPBS、Liposome、Liposome-NT、Liposome-MT(Lipsome 20 mpk、10μg mRNA/mg liposome)を処理した。各mRNAは5μgを処理しており、3日間隔に28日間、計5回処理した。3日間隔に腫瘍の体積(volume)を調査してグラフで示した。28日目にヌードマウスを犠牲し、腫瘍を分離して体積を測定して、その結果を図25に示した。
図25を参照すると、iLPD-NT及びiLPD-MTグループにおける腫瘍の成長率が2つの対照群グループ(P=0.03)に比べ著しく減少していた。また、PBSとVoid Liposome注入試料との間には若干の差があった。
体内でのmRNAの毒性効果を評価するために、実験期間の間マウスの体重を測定したが、全てのグループでマウスの体重は全体実験期間にわたって若干増加しており、対照群に比べ試料注入後の体重の変化は大きくないと示された。図25のように、実験完了後に犠牲されたマウスから採取した腫瘍組織の最終大きさを比較して示した。
実験完了後に犠牲されたマウスから採取した血液と組織で血液学的及び組織学的検査を実施し、その結果を図26に示した。図26を参照すると、対照群に比べ試料を処理したマウスの血液と肝臓でWBCの数を除外したら有意味な毒性効果は殆ど見られなかった。
これまで説明した本発明の好ましい実施例は技術的課題を解決するために開示されたものであって、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば本発明の思想及び範囲内で多様な修正、変更、付加などが可能なはずであり、このような修正変更などは以下の特許請求の範囲に属するとみなすべきである。

Claims (8)

  1. 配列番号3で表されるアミノ酸配列を暗号化するがん治療のためのポリヌクレオチド。
  2. 前記ポリヌクレオチドはmRNAであることを特徴とする請求項1に記載のがん治療のためのポリヌクレオチド。
  3. 前記mRNAはがん細胞に進入して核酸代謝を阻害することを特徴とする請求項2に記載のがん治療のためのポリヌクレオチド。
  4. 前記核酸代謝はdTTP生合成代謝であることを特徴とする請求項3に記載のがん治療のためのポリヌクレオチド。
  5. 前記ポリヌクレオチドは、配列番号19で表される5’-UTRと、配列番号20で表される3’-UTRとを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のがん治療のためのポリヌクレオチド。
  6. 前記ポリヌクレオチドは、配列番号23で表される核位置信号(NLS)を暗号化する核酸配列を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のがん治療のためのポリヌクレオチド。
  7. 前記ポリヌクレオチドは、配列番号24で表されるミトコンドリア位置信号(MLS)を暗号化する核酸配列を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のがん治療のためのポリヌクレオチド。
  8. 前記がんは大腸がんまたは乳がんであることを特徴とする請求項1に記載のがん治療のためのポリヌクレオチド。
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