JP2023540759A - SARS-CoV-2に対するヒトモノクローナル抗体及びその使用 - Google Patents

SARS-CoV-2に対するヒトモノクローナル抗体及びその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2023540759A
JP2023540759A JP2023514983A JP2023514983A JP2023540759A JP 2023540759 A JP2023540759 A JP 2023540759A JP 2023514983 A JP2023514983 A JP 2023514983A JP 2023514983 A JP2023514983 A JP 2023514983A JP 2023540759 A JP2023540759 A JP 2023540759A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino acid
chain variable
seq
cov
acid sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023514983A
Other languages
English (en)
Inventor
コビー,ジェームズ
ウォルター,マーク・アール
ピーペンブリンク,マイケル
デシュパンデ,アスレシャ
ゴープフェルト,ポール
エルドマン,ナサニエル
マルティネス-ソブリド,ルイス
バス,マデュバンチ
サルカール,サンギータ
オラドゥンニ,ファタイ
パーク,ジュン-ギュ
Original Assignee
ザ・ユー・エイ・ビー・リサーチ・ファウンデーション
テキサス バイオメディカル リサーチ インスティチュート
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ・ユー・エイ・ビー・リサーチ・ファウンデーション, テキサス バイオメディカル リサーチ インスティチュート filed Critical ザ・ユー・エイ・ビー・リサーチ・ファウンデーション
Publication of JP2023540759A publication Critical patent/JP2023540759A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/08Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses
    • C07K16/10Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses from RNA viruses
    • C07K16/1002Coronaviridae
    • C07K16/1003Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 [SARS‐CoV‐2 or Covid-19]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • A61K2039/507Comprising a combination of two or more separate antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/54Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the route of administration
    • A61K2039/541Mucosal route
    • A61K2039/544Mucosal route to the airways
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/21Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin from primates, e.g. man
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/33Crossreactivity, e.g. for species or epitope, or lack of said crossreactivity
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/76Antagonist effect on antigen, e.g. neutralization or inhibition of binding
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/92Affinity (KD), association rate (Ka), dissociation rate (Kd) or EC50 value

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本開示は、少なくとも部分的に、SARS-CoV-2に対して、予測外の広範な中和活性を有する、ある特定のヒトモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に基づく。開示された抗体及び/又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2感染を処置するための治療剤であり、個体を、SARS-CoV-2感染から保護する治療法における使用に適するものである。

Description

コロナウイルス(CoV)は、コロナウイルス科(Coronaviridae)のメンバーである。コロナウイルス科は、各属が、1つ以上の亜属を有する、4つの個別の属である、アルファコロナウイルス属(Alphacoronavirus)、ベータコロナウイルス属(Betacoronavirus)、デルタコロナウイルス属(Deltacoronavirus)及びガンマコロナウイルス属(Gammacoronavirus)を有する。アルファコロナウイルス属及びベータコロナウイルス属は、主に、コウモリに感染するが、また、ヒト、ラクダ、ウサギ、イヌ及びハクビシンなど、他の種にも感染する。CoVは、26~32キロベースの範囲の長さの、極めて大型の一本鎖RNAゲノムを有するエンベロープウイルスである。CoVは、歴史的に、ごく軽微な疾患を引き起こすに過ぎない病原体と考えられていた。現在、少なくとも7つのCoV種が、ヒトにおいて、疾患を引き起こすことが公知である。HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63及びHCoV-HKU1は、一般に、ごく軽微な一般的感冒の症状を引き起こす。重度の疾病は、各々が、ベータコロナウイルス属に属する、残りの3つのウイルスにより引き起こされる場合がある。SARS-CoVは、2002年及び2003年に、重度急性呼吸器症候群(SARS)を結果としてもたらした。MERS-CoVは、2012年に出現し、ラクダにおいて、依然として発症している中東呼吸器症候群(MERS)の一因となった。MERS-CoVの小流行は、2020年6月2日に、サウジアラビアにおいて報告された(5例の死亡例と共に、9例が報告された)。最後に、2019年12月に、中国武漢州において出現し、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2である。COVID-19のパンデミックは、事実上、世界中のあらゆる国に影響を与え、緩和の目先観を許さない。米国は、現在のところ、世界中において、感染者の数において抜きん出ており、症例の増加が間近に迫っている。
SARSについての致死率が、約10%であり、致死性転帰に対する危険性が、年齢と共に増大したのに対し、SARS-CoV-2感染の死亡率は、約1.5~10%であると推定され、致死性転帰に対する危険性は、年齢及びある特定の併存疾患と共に増大した。MERS-CoVについての致死率は、約37%であった。加えて、SARS-CoV-2の基本再生産数(R)が、3.3~5.5であり、これが、SARS-CoV及びMERS-CoVのR(2.7~3.9)より高値であることは、他のヒトコロナウイルスより高度な、SARS-CoV-2の伝染性を指し示す。各々、個体への感染が、10,000例未満であったSARS及びMERSと異なり、COVID 19は、現在のところ、16,000,000例を超える個体に感染しており、世界中において、650,000例を超える死亡例の一因となっている。
現在のところ、SARS-CoV-2感染を含む、CoV感染の処置のために承認された処置は存在しない。したがって、当技術分野は、CoV感染、特に、SARS-CoV-2感染の処置のための、新たな治療法を必要としている。
本開示は、とりわけ、SARS-CoV-2感染を含む、CoV感染のために、新たな治療をもたらすことにより、当技術分野の欠落に対する解決策を提示する。
組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質への結合についての、本開示の抗体の、ELISAによる結合プロファイルを示す図である。 SARS-CoV-2感染細胞への、本開示の抗体の結合を示す図である。 SARS-CoV-2スパイク受容体結合ドメインに対する、ある特定のmAbの高アフィニティーを描示する図である。SARS-CoV-2 RBDへの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)により決定した。 合理的にデザインされ、中和活性を増大させた、1212C2 mAb変異体を描示する図である。図4Aは、1212C2 mAb及びその変異体の配列を示す。 合理的にデザインされ、中和活性を増大させた、1212C2 mAb変異体を描示する図である。図4Bは、1212C2 mAbによる、ウイルスの中和を示す。 合理的にデザインされ、中和活性を増大させた、1212C2 mAb変異体を描示する図である。図4Cは、1212C2-V1 mAbによる、ウイルスの中和を示す。 合理的にデザインされ、中和活性を増大させた、1212C2 mAb変異体を描示する図である。図4Dは、1212C2-V2 mAbによる、ウイルスの中和を示す。 SARS-CoV-2感染ハムスターにおける、1212C2 hmAbの、予防活性及び治療活性を示す図である。(図5A)2×10のPFU SARS-CoV-2による、鼻腔内(i.n.)における抗原投与の6時間前に、ゴールデンシリアハムスターを、10mg/kgの、表示のhmAb又はPBSにより、腹腔内において予防処置した。各記号は、個々の動物を表す。両側t検定により決定されたp値である。 SARS-CoV-2感染ハムスターにおける、1212C2 hmAbの、予防活性及び治療活性を示す図である。(図5B)SARS-CoV-2による、鼻腔内における抗原投与の6時間後に、ゴールデンシリアハムスターを、25mg/kgの、表示のhmAb又はPBSにより、腹腔内(i.p.)注射を介して治療処置した。鼻甲介及び肺において存在するウイルスは、プラークアッセイにより決定した。点線は、検出限界を指し示す。各記号は、個々の動物を表す。両側t検定により決定されたp値である。 SARS-CoV-2感染ハムスターにおける、1212C2 hmAbの、予防活性及び治療活性を示す図である。(C)予防処置された動物において、ImageJを使用して、圧密化、うっ血及び肺病変を含む、病理学的病変の分布を測定し、全肺表面積に対する百分率として表した。各記号は、個々の動物を表す。両側t検定により決定されたp値である。 SARS-CoV-2感染ハムスターにおける、1212C2 hmAbの、予防活性及び治療活性を示す図である。(D)治療処置された動物において、ImageJを使用して、圧密化、うっ血及び肺病変を含む、病理学的病変の分布を測定し、全肺表面積に対する百分率として表した。各記号は、個々の動物を表す。両側t検定により決定されたp値である。 SARS-CoV-2感染ハムスターにおける、吸入型1212C2 hmAbの治療活性を示す図である。ゴールデンシリアハムスターの鼻腔内に、2×10PFUのSARS-CoV-2を感染させ、12時間後に、腹腔内投与又は吸入投与を介して、表示のhmAbにより処置した。鼻甲介及び肺において存在するウイルスは、感染の2日後において、プラークアッセイにより決定した。点線は、検出限界を指し示す。腹腔内PBS処置群と比較して、両側t検定により決定された、p<0.0055及び**p<0.00055である。 SARS-CoV-2感染ハムスターにおける、吸入型1212C2 hmAbの治療活性を示す図である。ゴールデンシリアハムスターの鼻腔内に、2×10PFUのSARS-CoV-2を感染させ、12時間後に、腹腔内投与又は吸入投与を介して、表示のhmAbにより処置した。鼻甲介及び肺において存在するウイルスは、感染の4日後において、プラークアッセイにより決定した。点線は、検出限界を指し示す。腹腔内PBS処置群と比較して、両側t検定により決定された、p<0.0055及び**p<0.00055である。 SARS-CoV-2感染ハムスターにおける、吸入型1212C2 hmAbの治療活性を示す図である。ゴールデンシリアハムスターの鼻腔内に、2×10PFUのSARS-CoV-2を感染させ、12時間後に、腹腔内投与又は吸入投与を介して、表示のhmAbにより処置した。(図6C)ImageJを使用して、病理学的病変の分布を測定し、全肺表面積に対する百分率として表した。腹腔内PBS処置群と比較して、両側t検定により決定された、p<0.0055及び**p<0.00055である。 SARS-CoV-2感染ハムスターの吸入治療処置による、体重の保存を示す図である。 SARS-CoV-2を感染させたマウスにおける、1212C2の予防活性を示す図である。図8A及び8Bに示された通り、5週齢のK18 hACE2トランスジェニックマウスに、アイソタイプIgG対照又は1212C2 MAbを注射し、処置の12時間後に、マウスに、(マウス1匹当たり10PFUの)組換えSARS-CoV-2/Nluc-2A(Nluc-2A)を感染させた。モック処置及びモック感染マウスを、対照として組み入れた。感染の1、2、4及び6日後に、マウスに麻酔をかけ、Nluc基質を、眼窩後注入した。Nlucの発現は、IVISシステムを使用して決定した。 SARS-CoV-2を感染させたマウスにおける、1212C2の予防活性を示す図である。図8A及び8Bに示された通り、5週齢のK18 hACE2トランスジェニックマウスに、アイソタイプIgG対照又は1212C2 MAbを注射し、処置の12時間後に、マウスに、(マウス1匹当たり10PFUの)組換えSARS-CoV-2/Nluc-2A(Nluc-2A)を感染させた。モック処置及びモック感染マウスを、対照として組み入れた。感染の1、2、4及び6日後に、マウスに麻酔をかけ、Nluc基質を、眼窩後注入した。Nlucの発現は、Auraプログラムにより、定量的に解析した。 SARS-CoV-2を感染させたマウスにおける、1212C2の予防活性を示す図である。感染の1、2、4及び6日後に、肺を切り出して撮像した。 SARS-CoV-2を感染させたマウスにおける、1212C2の予防活性を示す図である。感染の1、2、4及び6日後に、肺表面上の肉眼的病変を、ImageJにより、定量的に解析した。ns:非有意である。 SARS-CoV-2を感染させたマウスにおける、1212C2の予防活性を示す図である。感染マウスに由来する、鼻甲介(左)、肺(中)及び脳(右)における、Nluc活性は、マルチプレートリーダーを使用して測定した(図8E)。 SARS-CoV-2を感染させたマウスにおける、1212C2の予防活性を示す図である。鼻甲介(左)、肺(中)及び脳(右)におけるウイルス力価は、プラークアッセイにより決定した(図8F)。 SARS-CoV-2を感染させたマウスにおける、1212C2の予防活性を示す図である。5週齢のK18 hACE2トランスジェニックマウスに、アイソタイプIgG対照又は1212C2 MAbを注射し、処置の12時間後に、マウスに、(マウス1匹当たり10PFUの)rSARS-CoV-2/Nluc-2A(Nluc-2A)を感染させた。モック処置及びモック感染マウスを、対照として組み入れた。マウスを、体重の変化について、12日間にわたりモニタリングした。 SARS-CoV-2を感染させたマウスにおける、1212C2の予防活性を示す図である。5週齢のK18 hACE2トランスジェニックマウスに、アイソタイプIgG対照又は1212C2 mAbを注射し、処置の12時間後に、マウスに、(マウス1匹当たり10PFUの)rSARS-CoV-2/Nluc-2A(Nluc-2A)を感染させた。モック処置及びモック感染マウスを、対照として組み入れた。マウスを、生存について、12日間にわたりモニタリングした。 K18 hACE2トランスジェニックマウスにおける、SARS-CoV-2 WT株及びSARS-CoV-2ベータ株(南アフリカ(SA)株)に対する、1212C2及び1213H7の予防活性を示す図である。6~8週齢の雌K18 hACE2トランスジェニックマウス(n=5)を、25mg/kgの、IgGアイソタイプ対照、hmAbである1212C2又はhmAbである1213H7により(腹腔内)処置し、10PFUの、rSARS-CoV-2 Venus(左)、rSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)(中)又はrSARS-CoV-2 Venus及びrSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)の両方(右)を感染させた。マウスを、体重の変化について、12日間にわたりモニタリングした。データは、個々のマウスについて決定された結果の、平均値及びSDを表す。 K18 hACE2トランスジェニックマウスにおける、SARS-CoV-2 WT株及びSARS-CoV-2ベータ株(南アフリカ(SA)株)に対する、1212C2及び1213H7の予防活性を示す図である。6~8週齢の雌K18 hACE2トランスジェニックマウス(n=5)を、25mg/kgの、IgGアイソタイプ対照、hmAbである1212C2又はhmAbである1213H7により(腹腔内)処置し、10PFUの、rSARS-CoV-2 Venus(左)、rSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)(中)又はrSARS-CoV-2 Venus及びrSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)の両方(右)を感染させた。マウスを、生存について、12日間にわたりモニタリングした。データは、個々のマウスについて決定された結果の、平均値及びSDを表す。 1212C2及び1213H7による、マウスにおける、SARS-CoV-2の肺内ウイルス負荷の阻害を示す図である。6~8週齢の雌K18 hACE2トランスジェニックマウス(n=3)に、25mg/kgのIgGアイソタイプ対照、mAbである1212C2又はmAbである1213H7を腹腔内注射し、10PFUの、rSARS-CoV-2 Venus(上)、rSARS-CoV-2 mCherry SA(中)又はrSARS-CoV-2 Venus及びrSARS-CoV-2 mCherry SAの両方(ベータ)(下)を感染させた。感染後2及び4日目に、Ami HTイメージングシステムを使用して、Venus及びmCherryによる蛍光発現を決定するように、肺を回収した。BF:明視野である。 1212C2及び1213H7による、マウスにおける、SARS-CoV-2の肺内ウイルス負荷の阻害を示す図である。Venus及びmCherryの放射輝度値は、マウス肺内の目的の領域についての平均値に基づき定量した。平均値は、各時点のモック感染マウスにおける自己蛍光に照らして正規化し、誘導倍数を計算するのに使用した。モック感染K18 hACE2トランスジェニックマウス及びrSARS-CoV-2感染K18 hACE2トランスジェニックマウスの肺における、肉眼的病理学スコアは、感染罹患肺の面積%に基づき計算した。 1212C2 mAb又は1213H7 mAbにより処置され、rSARS-CoV-2 WT株及びrSARS-CoV-2ベータを感染させられた、K18 hACE2トランスジェニックマウスの肺、鼻甲介及び脳におけるウイルス力価を示す図である。6~8週齢の雌K18 hACE2トランスジェニックマウス(n=3)に、25mg/kgのIgGアイソタイプ対照、mAbである1212C2又はmAbである1213H7を腹腔内注射し、10PFUの、rSARS-CoV-2 Venus(WT)を感染させた。感染後2及び4日目の、肺(上)、鼻甲介(中)及び脳(下)におけるウイルス力価は、Vero E6細胞内のプラークアッセイにより決定した。バーは、肺内ウイルス力価についての、平均値及びSDを指し示す。点線は、検出限界を指し示す。 1212C2 mAb又は1213H7 mAbにより処置され、rSARS-CoV-2 WT株及びrSARS-CoV-2ベータを感染させられた、K18 hACE2トランスジェニックマウスの肺、鼻甲介及び脳におけるウイルス力価を示す図である。6~8週齢の雌K18 hACE2トランスジェニックマウス(n=3)に、25mg/kgのIgGアイソタイプ対照、mAbである1212C2又はmAbである1213H7を腹腔内注射し、10PFUの、rSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)を感染させた。感染後2及び4日目の、肺(上)、鼻甲介(中)及び脳(下)におけるウイルス力価は、Vero E6細胞内のプラークアッセイにより決定した。バーは、肺内ウイルス力価についての、平均値及びSDを指し示す。点線は、検出限界を指し示す。 1212C2 mAb又は1213H7 mAbにより処置され、rSARS-CoV-2 WT株及びrSARS-CoV-2ベータを感染させられた、K18 hACE2トランスジェニックマウスの肺、鼻甲介及び脳におけるウイルス力価を示す図である。6~8週齢の雌K18 hACE2トランスジェニックマウス(n=3)に、25mg/kgのIgGアイソタイプ対照、mAbである1212C2又はmAbである1213H7を腹腔内注射し、10PFUの、rSARS-CoV-2 Venus(WT)及びrSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)の両方を感染させた。感染後2及び4日目の、肺(上)、鼻甲介(中)及び脳(下)におけるウイルス力価は、Vero E6細胞内のプラークアッセイにより決定した。バーは、肺内ウイルス力価についての、平均値及びSDを指し示す。点線は、検出限界を指し示す。 1212C2 mAb又は1213H7 mAbにより処置され、rSARS-CoV-2 WT株及びrSARS-CoV-2ベータを感染させられた、K18 hACE2トランスジェニックマウスの肺、鼻甲介及び脳におけるウイルス力価を示す図である。図11Dは、感染後2及び4日目における、rSARS-CoV-2 Venus(WT)及びrSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)の両方を共感染させられたマウスに由来する肺(上)、鼻甲介(中)及び脳(下)における、rSARS-CoV-2 Venus(WT)及びrSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)についての定量を示す。 RBD変異株への、mAbの結合を示す図である。SARS-CoV-2 RBD変異株(50nM)を、Biacoreチップ上に捕捉されたmAb上に注入し、それらの結合レベルを測定し、参照(WT)Wuhan-1株RBDに対する結合反応に照らして正規化した。実験の開始時及び終了時に、2回のWT RBD結合実験を実施し、アッセイの再現性について検証した。mAbの結合は、WTへの結合に対する%として、行列により提示する。 mAbについてのエピトープマッピングを示す図である。SPRを、既に記載された変異体解析と組み合わせて使用する、競合エピトープマッピングを使用して、mAbの結合エピトープを規定した。図13A~13Cは、異なるエピトープクラスである、C1、C1D、C2又はC4へと割り当てられたhmAbにより実施された、3つの、顕著に異なる競合マッピング実験を表す。 mAbについてのエピトープマッピングを示す図である。SPRを、既に記載された変異体解析と組み合わせて使用する、競合エピトープマッピングを使用して、mAbの結合エピトープを規定した。図13A~13Cは、異なるエピトープクラスである、C1、C1D、C2又はC4へと割り当てられたhmAbにより実施された、3つの、顕著に異なる競合マッピング実験を表す。 mAbについてのエピトープマッピングを示す図である。SPRを、既に記載された変異体解析と組み合わせて使用する、競合エピトープマッピングを使用して、mAbの結合エピトープを規定した。図13A~13Cは、異なるエピトープクラスである、C1、C1D、C2又はC4へと割り当てられたhmAbにより実施された、3つの、顕著に異なる競合マッピング実験を表す。 mAbについてのエピトープマッピングを示す図である。SPRを、既に記載された変異体解析と組み合わせて使用する、競合エピトープマッピングを使用して、mAbの結合エピトープを規定した。図13Dは、エピトープマッピングデータ及び変異体結合データを説明する、mAb/RBD複合体についての構造モデルを示す。図中において、mAb/RBD複合体をモデル化するのに使用された、Protein Data Bank(PDB)の登録項目に、下線を付す。 SARS-CoV-2 mAbについての、MARM解析を示す図である。Vero E6細胞に、SARS-CoV-2 WA-1株を感染させ、濃度を減少させるmAbと共にインキュベートした。免疫蛍光アッセイを使用して、表示のmAbに対する耐性を出現させたウイルスを、mAbによる認識について調べた(上)。MARMのスパイクをシーケンシングし、突然変異について注記した。RBD内の突然変異を、太字により指し示す(下)。 2020-20研究の結果、特に、IV経路、IN経路及びIH経路による投与後のマウスの、投与の0.5、6、12及び24時間後の、血清、気管支組織及び肺における、IgG mAbの、示差的な生体内分布及び力価を示す図である。 1212C2(A)による処置を伴う、中和抗体アッセイについて、処理前及び処理後における、ウイルス感染パーセントに対してプロットされた、代表的ウェル及びmAb用量を示す図である。 1213H7(B)による処置を伴う、中和抗体アッセイについて、処理前及び処理後における、ウイルス感染パーセントに対してプロットされた、代表的ウェル及びmAb用量を示す図である。 1215D1(C)による処置を伴う、中和抗体アッセイについて、処理前及び処理後における、ウイルス感染パーセントに対してプロットされた、代表的ウェル及びmAb用量を示す図である。 1212C2+1213H7(D)による処置を伴う、中和抗体アッセイについて、処理前及び処理後における、ウイルス感染パーセントに対してプロットされた、代表的ウェル及びmAb用量を示す図である。 1213H7+1215D1(E)による処置を伴う、中和抗体アッセイについて、処理前及び処理後における、ウイルス感染パーセントに対してプロットされた、代表的ウェル及びmAb用量を示す図である。 1212C2+1215D1(F)による処置を伴う、中和抗体アッセイについて、処理前及び処理後における、ウイルス感染パーセントに対してプロットされた、代表的ウェル及びmAb用量を示す図である。 1212C2+1213H7+1215D1(G)による処置を伴う、中和抗体アッセイについて、処理前及び処理後における、ウイルス感染パーセントに対してプロットされた、代表的ウェル及びmAb用量を示す図である。
本開示は、広範に中和性である抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体及びその抗原結合断片を提示する。本開示は、本開示の抗体を含む医薬組成物及び本開示の抗体を使用する方法をさらに提示する。本開示の抗体は、SARS-CoV-2感染の防止のほか、SARS-CoV-2感染の処置においても有効であることが示されている。本開示の抗体は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質内のエピトープに結合する。ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の、受容体結合ドメイン(RBD)内のエピトープに結合する。ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の、受容体結合部分(RBM)内のエピトープに結合する。ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS1領域内のエピトープに結合する。ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS2領域内のエピトープに結合する。
ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、SARS-CoV-2の、標的細胞への結合を低減する。ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、SARS-CoV-2と標的細胞との細胞融合を低減する。ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、感染性SARS-CoV-2の、感染細胞からの放出を低減する。ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、SARS-CoV-2による、標的細胞の感染を低減する。
本明細書において、より詳細に論じられた通り、本開示の抗体は、SARS-CoV-2感染が記録された対象であって、その後、SARS-CoV-2感染から回復した対象から単離された。したがって、対象は、SARS-CoV-2感染に対する、有効な免疫学的応答を惹起した。SARS-CoV-2に対する中和抗体は、単一細胞免疫グロブリンクローニングを使用して、対象から単離された。
定義
定義、主題の免責又は否認を除き、かつ、組み込まれた材料が、本明細書における明白な開示と整合しない場合、本開示における表現に従うが、こうした場合を除き、本明細書において引用された、全ての特許出願、特許及び公報書面は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書において使用された、「約」という用語は、所与の値又は範囲の、10%以内、好ましくは、5%以内を指し、より好ましくは、1%以内を指す。代替的に、「約」という用語は、当業者により検討された場合に、平均値の許容可能な標準誤差の範囲内を指す。
本明細書において使用された、「アフィニティー」という用語は、抗体又は他の分子の、単一の結合性部位と、その結合パートナー(抗原などであるが、これらに限定されない)との間の非共有結合的相互作用の強度の総計を指す。そうでないことが指し示されない限りにおいて、「結合アフィニティー」という用語は、抗体と抗原との間の1:1の相互作用又は結合性対のメンバーの間の1:1の相互作用を反映する、内因性結合アフィニティーを指す。アフィニティーは、一般に、解離定数(KD)により表される。
本明細書において使用された、「抗体」という用語は、全抗体及びその任意の抗原結合断片を含む。抗体の例は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの抗体又はそれらの抗原結合断片から形成された、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、キメラ抗体、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、イントラボディー及び前出のもののうちのいずれかの抗原結合断片を含むが、これらに限定されず、全抗体は、ジスルフィド結合により相互接続された、少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む、糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変(V)領域及び重鎖定常(C)領域から構成される。C領域は、CH1、CH2、CH3及びCH4である、3つ~4つのドメインから構成される。各軽鎖は、軽鎖可変(V)領域及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインである、Cから構成される。V領域及びV領域は、フレームワーク領域(FR)と称するより保存的な領域を散在させた、相補性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域へとさらに細分されうる。各V及び各V領域は、アミノ末端からカルボキシ末端へと、以下の順序で配置される、3つのCDR及び4つのFR:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4から構成される。V領域及びV領域は、抗原と、抗原特異的に相互作用する結合性ドメインを形成する。C領域及びC領域は、抗体の、宿主組織又は免疫系の多様な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、細胞又は因子への結合を媒介する。抗体は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgYを含む、任意の種類の抗体であることが可能であり、クラスである、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を含む、任意のクラス又はサブクラスの抗体でありうる。
本明細書において使用された、「抗原結合断片」又は「抗原結合性部分」という用語は、本明細書において記載された抗体(親抗体)に由来する1つ以上の断片であって、親抗体と同じ抗原に特異的に結合する能力を保持する断片を指す。結合性断片の例は、Fab断片(Vドメイン、Vドメイン、Cドメイン及びCH1ドメインからなる一価断片)、F(ab)2断片(ヒンジ領域において、ジスルフィド架橋により連結された、2つのFab断片を含む二価断片)、Fab’断片(ヒンジ領域の部分を含むFab断片)、F(ab’)2断片(ヒンジ領域において、ジスルフィド架橋により連結され、ヒンジ領域の部分を含有する、2つのFab断片を含む二価断片)、Fd断片(Vドメイン及びCH1ドメインからなる一価断片)、Fv断片(抗体の単一アームのVドメイン及びVドメインからなる一価断片)、ジスルフィド連結型Fv(sdFv)、dAb断片(Vドメインからなる単量体断片)、単離CDR、ナノボディー又は単一ドメイン抗体(単一の抗体可変ドメインからなる、単量体断片)、単一のCDR及び2つのFRを含有する、V領域の部分、単一のCDR及び2つのFRを含有する、V領域の部分、ダイアボディー(2つの抗原結合性部位を伴う抗体断片;このようなダイアボディーは、二価又は二特異性でありうる)、トリアボディー(3つの抗原結合性部位を伴う抗体断片;このようなトリアボディーは、三価又は三特異性でありうる)及びテトラボディー(4つの抗原結合性部位を伴う抗体断片;このようなテトラボディーは、4価又は4特異性でありうる)を含むが、これらに限定されない。用語はまた、V遺伝子と、V遺伝子とを、合成リンカーにより、組換え接続することにより創出され、単一のポリペプチドとして発現された単鎖Fv(scFv)も含む。scFvの例は、scFv-FC、scFv-CH、scFab及びscFv-ジッパーを含むが、これらに限定されない。本明細書において記載された抗原結合断片は、当技術分野において公知である、常套的な方法を使用して得られる場合があり、常套的な全抗体についてなされる通り、結合について調べられうる。適切な抗原結合断片については、Pluckthun(「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies」、113巻、Rosenburg及びMoore編(Springer-Verlag、New York)、269~315頁(1994))、Hudsonら、Nat.Med.、9:129~134(2003)、WO93/16185、米国特許第5,571,894号明細書及び同第5,587,458号明細書において記載されている。
本明細書において使用された、「本開示の抗体」という用語は、本明細書において開示された抗体を意味し、薬学的に許容される塩、水和物及び/又は溶媒和物などであるが、これらに限定されない、その薬学的に許容される形態を含む。ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、抗原結合断片である。
本明細書において使用された、「抗体変異体」という用語は、親抗体と比べた、1つ以上の置換、欠失又は挿入を有する抗体及びタンパク質部分又は非タンパク質部分へと連結された抗体などであるが、これらに限定されない、本明細書において記載された抗体の、任意の修飾形態を指す。
抗体に言及して、本明細書において使用された、「エピトープに結合する」又は「エピトープを認識する」という用語は、抗体が結合するエピトープを指す。用語は、抗体が、エピトープ内の、あらゆるアミノ酸に、直接接触することを要求しない。
2つ以上の抗体に言及して、本明細書において使用された、「同じエピトープに結合する」という用語は、このようなアミノ酸が、連続セグメントであれ、不連続セグメントであれ、抗体が、同じアミノ酸又は重複するアミノ酸に結合することを意味する。用語は、抗体が、正確に同じアミノ酸に結合又は接触することを要求しない。抗体が接触する、正確なアミノ酸は、異なりうる。一例において、第1の抗体は、第2の抗体が結合するアミノ酸の群により、完全に包含された、アミノ酸の群に結合しうる。別の例において、第1の抗体は、第2の抗体が結合するアミノ酸の群と重複する、アミノ酸の群に結合しうる。
本明細書において使用された、「キメラ抗体」という用語は、可変領域配列のうちの、少なくとも一部(CDR配列及びFR配列又はCDR配列だけを含む)が、1つの種(例えば、ラット)に由来し、定常領域配列が、別の種(例えば、ヒト)に由来する抗体を指す。用語はまた、その可変領域配列又はCDR(複数可)が、1つの供給源(例えば、IgA1抗体)に由来し、定常領域配列又はFcが、異なる供給源(例えば、IgG抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体又はIgM抗体など、異なる抗体)に由来する抗体も含む。キメラ抗体については、米国特許第4,816,567号明細書及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851~6855(1984)において記載されている。
本明細書において使用された、「検出用標識」という用語は、対象又は放射性同位体、蛍光化合物、化学発光化合物、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド、挿入色素などを含むが、これらに限定されないアッセイにおける検出が可能な分子を指す。
本明細書において使用された、「エピトープ」という用語は、抗体分子の可変領域内の、特異的抗原結合性部位(パラトープ)と相互作用する(これが結合する)抗原決定基を指す。単一の抗原(ポリペプチドなどであるが、これらに限定されない)は、1つを超えるエピトープを有しうる。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なるエピトープに結合する場合があり、どのエピトープに結合するのかに応じて、異なる生物学的効果を及ぼしうる。「エピトープ」という用語はまた、B細胞及び/又はT細胞が応答する、抗原上の部位も指す。「エピトープ」という用語はまた、抗体が結合する、抗原の領域も指す。エピトープは、構造エピトープ(抗体のCDRループが接触する、抗原決定基の部分)又は機能エピトープ(構造エピトープの中心に配置され、抗体-エピトープ間相互作用のアフィニティーに直接寄与する活動性残基を含む、構造エピトープのサブセット)として規定されうる。エピトープは、抗原の断片化又は変性の後において、免疫学的に結合可能となる場合もある(クリプトトープ)。エピトープは、直鎖状エピトープの場合もあり、コンフォメーションエピトープの場合もある(折りたたまれた3次元構造にまとめられた非直鎖状アミノ酸により構成される)。エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基又はスルホニル基など、化学的に活性な表面分子の群分けである残基を含む場合があり、特異的三次元構造的特徴及び/又は特異的電荷特徴を有しうる。エピトープは、典型的に、少なくとも3つ~15のアミノ酸を含む。
本明細書において使用された、「エピトープマッピング」という用語は、抗体-抗原間の認識のための、エピトープの同定工程を指す。
本明細書において開示された抗体に言及して、本明細書において使用された、「機能的同等物」という用語は、本明細書において開示された親抗体の、1つ以上の特徴(同じエピトープへの結合などであるが、これらに限定されない)を保持する、親抗体の抗体変異体を指す。機能的同等物は、親抗体の、1つ以上の特徴(結合アフィニティー、ADCC及び/又はCDCなどであるが、これらに限定されない)において、任意選択的に異なりうる。
本明細書において使用された、「ヒト抗体」という用語は、フレームワーク領域及びCDR領域のいずれもが、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を指す。さらに、抗体が、定常領域を含有する場合、定常領域もまた、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(インビトロにおいて、ランダム突然変異誘発又は部位特異的突然変異誘発により導入された突然変異又はインビボにおいて、体細胞突然変異により導入された突然変異など)を含みうる。本明細書において使用された、ヒト抗体という用語は、CDR配列が、ヒトフレームワーク配列及び/又はヒト定常領域へとグラフトされた、マウスなど、別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来する抗体を含むことが意図されない。
本明細書において使用された、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒトから得られたモノクローナル抗体を指す。
本明細書において使用された、「免疫応答」という用語は、外来病原体に対する、脊椎動物内部の生体応答であって、脊椎動物を、少なくとも部分的に、外来病原体及び外来病原体により引き起こされた疾患に対して防御する応答を指す。免疫応答は、浸潤性の外来病原体、外来病原体により感染させられた細胞又は組織の選択的ターゲティング、これらへの結合、これらに対する損傷、これらの破壊及び/又はこれらの、脊椎動物の体内からの消失を結果としてもたらす、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞又は好中球)及びこれらの細胞のうちのいずれか又は肝臓により産生された可溶性高分子(抗体、サイトカイン及び補体を含む)の作用により媒介される。好ましい実施形態において、本明細書において使用された、「免疫応答」という用語は、自己抗原に対する応答を含まない。
本明細書において使用された、「単離された抗体」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。単離された抗体は、任意選択的に、他の細胞素材及び/又は試薬を、実質的にさらに含まない場合がある。
本明細書において使用された、「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体クラス(IgG1~IgG4を含むIgG、IgM並びにIgA1及びIgA2を含むIgA、IgD並びにIgE)を指す。
本明細書において使用された、「Kassoc」又は「K」という用語は、特定の抗体-抗原間相互作用の会合速度を指す。
本明細書において使用された、「Kdis」又は「K」という用語は、特定の抗体-抗原間相互作用の解離速度を指す。
本明細書において使用された、「K」という用語は、Kの、Kに対する比から得られ、モル濃度(M)として表された解離定数を指す。
本明細書において使用された、「モノクローナル抗体」という用語は、抗体分子の各々が、所与のエピトープに対して、単一の結合特異性及び結合アフィニティーを提示するように、単一の分子組成を有する抗体分子を指す。
本明細書において使用された、「薬学的に許容される」という用語は、本開示の抗体又は組成物の他の成分と適合性であり、本開示の抗体又は組成物を施される対象に対して有害でない化合物を指す。一部の実施形態において、「薬学的に許容される」という用語は、動物における使用及び、より特定すると、ヒトにおける使用について、米国連邦政府若しくは州政府の規制機関により承認されている、又は米国薬局方若しくは他の一般に認知された薬局方において収載されていることを意味する。
本明細書において使用された、「薬学的に許容される担体又は賦形剤」という用語は、本開示の抗体又は組成物の他の有効成分の有効性に干渉せず、投与された濃度において、対象に対して毒性でない、担体媒体又は賦形剤を指す。用語は、溶媒、安定化剤、可溶化剤、張性増強剤、構造形成剤、懸濁剤、分散剤、キレート剤、乳化剤、消泡剤、軟膏基剤、湿潤剤、皮膚保護剤、ゲル形成剤、増粘剤、pH調整剤、保存剤、浸透増強剤、複合体化剤、滑沢剤、鎮痛剤、粘性増強剤、生態接着性ポリマー又はこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。薬学的活性物質を製剤化するための、このような薬剤の使用は、当技術分野において周知である(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martin、18版、1990、Mack Publishing Co.:Easton、Pa.を参照されたい)。
本明細書において使用された、「薬学的に許容される塩」という用語は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ナフタレン-2-スルホン酸及び他の酸を含む、無機酸又は有機酸に由来する塩を指す。薬学的に許容される塩形態はまた、塩を含む分子の比が、1:1ではない形態も含みうる。例えば、塩は、抗体分子1つ当たり、2つの塩酸分子など、抗体分子1つ当たり、1つを超える無機酸又は有機酸分子を含みうる。別の例として述べると、塩は、酒石酸分子1つ当たり、2つの抗体化合物分子など、抗体分子1つ当たり、1つ未満の無機酸又は有機酸分子を含みうる。塩はまた、溶媒和物又は水和物としても存在しうる。
「医薬組成物」とは、本開示の抗体のうちの1つ以上の、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤などであるが、これらに限定されない、他の成分との混合物を指す。医薬組成物の目的は、本開示の化合物の投与を容易とすることである。
本明細書において使用された、「組換え抗体」という用語は、トランスジェニック若しくはトランスクロモソーマルである動物又はこれらから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞(トランスフェクトーマ)から単離された抗体、組換え抗体ライブラリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体及び免疫グロブリン遺伝子配列の、他のDNA配列へのスプライシングを伴う、任意の手段により調製又は創出された抗体などであるが、これらに限定されない、組換え手段により、調製された、発現された、創出された、又は単離された、全ての抗体を含む。このような組換え抗体は、ヒト組換え抗体でありうる。このような組換え抗体は、インビトロにおける突然変異誘発にかけられる場合もあり、インビボにおける体細胞突然変異誘発にかけられる場合もある。
本明細書において使用された、「対象」という用語は、動物を指す。好ましくは、動物は、哺乳動物である。対象はまた、例えば、霊長動物(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類なども指す。好ましい実施形態において、対象は、ヒトである。
本明細書において使用された、「治療有効量」という用語は、臨床結果を含む、有益な結果又は所望の結果を達成するのに十分な、本開示の抗体の量を指す。したがって、「治療有効量」は、例えば、SARS-CoV-2感染若しくは1つ以上のその症状の重症度及び/若しくは持続期間を低減若しくは改善する、SARS-CoV-2感染と関連する、1つ以上の症状の再発、発症若しくは発生を防止する、SARS-CoVの複製若しくは繁殖を防止若しくは低減する、SARS-CoV-2粒子の産生及び/若しくは放出を防止若しくは低減する又はSARS-CoV-2感染の処置において使用された、別の治療の予防効果若しくは治療効果(複数可)を増強する、若しくは他の形において改善するのに十分でありうる。ある特定の実施形態において、「治療有効量」は、望ましくない副作用を回避する、又は実質的に和らげる、本開示の抗体の量である。
ある特定の実施形態において、SARS-CoV-2感染の文脈における、「治療有効量」とは、SARS-CoV-2の生活環の、以下のステップ:ウイルス粒子の、細胞へのドッキング、ウイルス遺伝情報の、細胞への導入、ウイルスタンパク質の発現、ウイルスRNAの翻訳、ウイルスRNAの転写、ウイルスRNAの複製、新たなウイルスRNAの合成、新たなウイルス粒子の産生及び細胞からのウイルス粒子の放出のうちの1つ以上を低減するのに十分な量である。前出のもののうちのいずれかの、このような低減は、少なくとも5%、好ましくは、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%の低減でありうる。一部の実施形態において、SARS-CoV-2感染の文脈における、「治療有効量」は、ウイルスの複製、繁殖又は蔓延を、少なくとも5%、好ましくは、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%低減する。一部の実施形態において、SARS-CoV-2感染の文脈における、「治療有効量」は、感染対象の生存率を、少なくとも5%、好ましくは、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%上昇させる。前出の各々において、増大の低減が特定される場合、このような増大の低減は、本開示の抗体により処置されなかった対象及びSARS-CoV-2感染を診断された対象に関して決定されうる。
本明細書において使用された、「~を処置すること」又は「処置」という用語は、臨床結果を含む、有益な結果又は所望の結果を得るための手法を意味する。SARS-CoV-2感染の文脈における、有益な結果又は所望の臨床結果は、1つ以上の症状又は状態の軽減又は改善、疾患の程度の減弱、疾患状態の安定化(すなわち、非増悪)、疾患の蔓延の防止、疾患進行の遅速化又は緩徐化、疾患状態の改善又は緩和及び、検出可能であれ、検出不能であれ(部分的であれ、全体的であれ)、寛解を含むが、これらに限定されない。「処置」又は「~を処置すること」とはまた、処置を施されなかった場合に予測された生存と比較した、生存の延長も意味しうる。
本明細書において使用された、「ある(a)」及び「ある(an)」及び「その」という用語、並びに本開示の文脈において(とりわけ、特許請求の範囲の文脈において)使用された同様の用語は、本明細書においてそうでないことが指し示されない、又は文脈により明確に逆のことが指示されない限り、単数及び複数の両方を対象とするように解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の列挙は、範囲内に収まる各個別の値に、個々に言及することの縮約法として用いられることだけが意図される。本明細書においてそうでないことが指し示されない限り、各個別の値は、本明細書において個別に列挙された場合と同様に、本明細書へと組み込まれる。本明細書においてそうでないことが指し示されない、又は文脈により明確に逆のことが指示されない限り、本明細書において記載された全ての方法は、任意の適切な順序において実施されうる。本明細書において提示された、任意の例及び全ての例又は例示のための表現(例えば、「など」)の使用は、本開示をよりよく例示することだけが意図され、他の形において特許請求されている、本発明の範囲に、限定を課するものではない。本明細書におけるいかなる表現も、本発明の実施に不可欠な、任意の、特許請求されていない要素を指し示すとは解釈されないものとする。
ヒト中和抗体
本開示は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する、以下のSARS-CoV-2中和抗体:1212C2、1212F5、1213H7、1212F2、1206D1、1212D5、1207B4、1213F2、1212D4、1206A5、1212D6、1206D12、1207F10、1206G12、1212C8、1212E9、1214E9及び1215D1を提示する。ある特定の実施形態において、抗体である、1212C2、1212F5、1213H7、1212F2、1206D1、1212D5、1207B4、1213F2、1212D4、1206A5、1212D6、1206D12、1207F10、1206G12、1212C8、1212E9、1214E9及び1215D1の抗原結合断片が提供される。ある特定の実施形態において、抗体は、ヒトモノクローナル抗体であり、かつ/又は抗原結合断片は、ヒトモノクローナル抗体に由来する。表1は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のヌクレオチド(NT)配列、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸(AA)配列、重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3のアミノ酸配列並びに軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3のアミノ酸配列についての配列番号を提示する。
Figure 2023540759000002
Figure 2023540759000003
本開示の抗体の50%中和力価(NT50)は、0.050μg/ml~1.61μg/ml未満の範囲である。好ましくは、本開示の抗体のNT50値は、10μg/ml以下、8μg/ml以下、6μg/ml以下、4μg/ml以下、3μg/ml以下、2μg/ml以下又は1μg/ml以下である。より好ましくは、本開示の抗体のNT50値は、0.5μg/ml以下、0.25μg/ml以下、0.1μg/ml以下、0.075μg/ml以下、0.05μg/ml以下、0.025μg/ml以下又は0.01μg/ml以下である。本開示の目的のために、NT50値は、本開示の実施例4において記載された通りに決定される。
第1の実施形態において、本開示は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
1.(i)それぞれ、配列番号38~40のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号42~44のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212C2);
2.(i)それぞれ、配列番号46~48のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号50~52のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1215F5);
3.(i)それぞれ、配列番号54~56のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号58~60のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1213H7);
4.(i)それぞれ、配列番号62~64のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号66~68のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212F2);
5.(i)それぞれ、配列番号70~72のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号74~76のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1206D1);
6.(i)それぞれ、配列番号78~80のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号82~84のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212D5);
7.(i)それぞれ、配列番号86~88のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号90~92のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1207B4);
8.(i)それぞれ、配列番号94~96のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号98~100のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1213F2);
9.(i)それぞれ、配列番号102~104のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号106~108のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212D4);
10.(i)それぞれ、配列番号110~112のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号114~116のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1206A5);
11.(i)それぞれ、配列番号118~120のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号122~124のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212D6);
12.(i)それぞれ、配列番号126~128のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号130~132のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1206D12);
13.(i)それぞれ、配列番号134~136のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号138~140のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1207F10);並びに
14.(i)それぞれ、配列番号142~144のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号146~148のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1206G12);
又は薬学的に許容される塩、溶媒和物及び/若しくは水和物などであるが、これらに限定されない、前出のもののうちのいずれかの、薬学的に許容される形態
を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提示する。
第2の実施形態において、本開示は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
1.(i)配列番号37のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号41のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212C2);
2.(i)配列番号45のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号49のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1215F5);
3.(i)配列番号53のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号57のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1213H7);
4.(i)配列番号61のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号65のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212F2);
5.(i)配列番号69のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号73のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1206D1);
6.(i)配列番号77のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号81のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212D5);
7.(i)配列番号85のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号89のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1207B4);
8.(i)配列番号93のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号97のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1213F2);
9.(i)配列番号101のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号105のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212D4);
10.(i)配列番号109のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号113のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1206A5);
11.(i)配列番号117のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号121のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212D6);
12.(i)配列番号125のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号129のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1206D12);
13.(i)配列番号133のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号137のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1207F10);
14.(i)配列番号141のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号145のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1206G12);
15.(i)配列番号149のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号150のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1215D1);
16.(i)配列番号151のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号152のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1214E9);
17.(i)配列番号153のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号154のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212E9);並びに
18.(i)配列番号155のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号156のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212C8);
又は薬学的に許容される塩、溶媒和物及び/若しくは水和物などであるが、これらに限定されない、前出のもののうちのいずれかの、薬学的に許容される形態
を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提示する。
第3の実施形態において、本開示は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、(i)それぞれ、配列番号158、39及び159のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号42、43及び161のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212の変異体)又は薬学的に許容される塩、溶媒和物及び/若しくは水和物などであるが、これらに限定されない、前出のもののうちのいずれかの、薬学的に許容される形態を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提示する。
第3の実施形態についての一側面において、配列番号158の3位におけるアミノ酸は、Thr(T)又はIle(I)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸は、Thr(T)又はAla(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸は、Leu(L)又はPhe(F)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸は、Asn(N)又はSer(S)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸は、Val(V)又はPhe(F)である。
第3の実施形態についての一側面において、配列番号158の3位におけるアミノ酸は、Thr(T)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸は、Ala(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸は、Leu(L)又はPhe(F)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸(好ましくは、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)又はMet(M))であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸は、Asn(N)又はSer(S)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸は、Val(V)である。
第3の実施形態についての一側面において、配列番号158の3位におけるアミノ酸は、Thr(T)又はIle(I)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸は、Thr(T)又はAla(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸は、Leu(L)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸は、Asn(N)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸は、Phe(F)又はVal(V)である。
第3の実施形態についての一側面において、配列番号158の3位におけるアミノ酸は、Thr(T)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸は、Ala(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸は、Leu(L)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸(好ましくは、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)又はMet(M))であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸は、Asn(N)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸は、Val(V)である。
第3の実施形態についての一側面において、配列番号158の3位におけるアミノ酸は、Ile(I)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸は、Ala(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸は、Phe(F)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸は、Ser(S)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸は、Val(V)である。
第3の実施形態についての一側面において、配列番号158の3位におけるアミノ酸は、Ile(I)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸は、Ala(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸は、Phe(F)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸(好ましくは、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、又はMet(M))であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸は、Ser(S)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸は、Val(V)である。
第4の実施形態において、本開示は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、(i)配列番号157のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号160のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212の変異体)又は薬学的に許容される塩、溶媒和物及び/若しくは水和物などであるが、これらに限定されない、前出のもののうちのいずれかの、薬学的に許容される形態を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提示する。
第4の実施形態についての一側面において、配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸は、下記の表2Aから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸は、下記の表2Bから選択される。
Figure 2023540759000004
第4の実施形態についての一側面において、配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸は、下記の表2Cから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸は、下記の表2Dから選択される。
Figure 2023540759000005
第4の実施形態についての一側面において、配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸は、下記の表2Eから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸は、下記の表2Fから選択される。
Figure 2023540759000006
第4の実施形態についての一側面において、配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸は、下記の表2Gから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸は、下記の表2Hから選択される。
Figure 2023540759000007
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、薬学的に許容される塩として提供される。
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の、RBD内のエピトープに結合する。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のRBM内のエピトープに結合する。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS1領域内のエピトープに結合する。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS2領域内のエピトープに結合する。
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、SARS-CoV-2の、標的細胞への結合を低減する。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、SARS-CoV-2と標的細胞との細胞融合を低減する。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、感染性SARS-CoV-2の、感染細胞からの放出を低減する。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、SARS-CoV-2による、標的細胞の感染を低減する。
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、抗体変異体である。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、親抗体と比べた、1つ以上の置換、欠失及び/又は挿入を含む、抗体変異体である。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、親抗体と比べた、1つ以上の置換を含む、抗体変異体である。
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、対象のインビボにおける半減期が、親抗体と比べて長い、対象のインビボにおける免疫原性が、親抗体と比べて小さい、又は前出のものの組合せを有する抗体変異体である。
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、変異体Fc定常領域を含む。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、タンパク質部分又は非タンパク質部分が、Fc定常領域へと連結された、変異体Fc定常領域を含む。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、水溶性ポリマーが、Fc定常領域へと連結された、変異体Fc定常領域を含む。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、ポリエチレングリコールポリマーが、Fc定常領域へと連結された、変異体Fc定常領域を含む。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、ポリオキサゾリンポリマーが、Fc定常領域へと連結された、変異体Fc定常領域を含む。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、変異体Fc定常領域を含み、この場合、変異体Fc定常領域は、対象のインビボにおける半減期が、親抗体と比べて長い、対象のインビボにおける免疫原性が、親抗体と比べて小さい、又は前出のものの組合せをもたらす。
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、ヒト抗体である。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、キメラ抗体である。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、クラススイッチ抗体である。
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、治療剤へと連結されている。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、検出用標識へと連結されている。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、酵素へと連結されている。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、酵素阻害剤へと連結されている。
第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、抗原結合断片である。第1の実施形態~第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、Fab断片、F(ab)2断片、Fab’断片、Fd断片、Fv断片、ジスルフィド連結型Fv(sdFv)、dAb断片、単離CDR、ナノボディー又は単一ドメイン抗体、単一の可変ドメインと、2つの定常ドメインとを含有する、V領域の部分、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、scFv、scFv-FC、scFv-CH、scFab及びscFv-ジッパーからなる群から選択される抗原結合断片である。
第2の実施形態又は第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、アミノ酸配列は、参照配列に対する、少なくとも85%の相同性、参照配列に対する、少なくとも90%の相同性、参照配列に対する、少なくとも95%の相同性、参照配列に対する、少なくとも96%の相同性、参照配列に対する、少なくとも97%の相同性、参照配列に対する、少なくとも98%の相同性又は参照配列に対する、少なくとも99%の相同性を有する。
第2の実施形態又は第4の実施形態による抗体のうちのいずれかについての一側面において、抗体は、CDRにわたり、参照配列と100%相同であり、アミノ酸配列は、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも85%の相同性を有し、アミノ酸配列は、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも85%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも90%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも95%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも96%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも97%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも98%の相同性又はFRにわたる、参照配列に対する、少なくとも99%の相同性を有する。
抗体断片
ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、抗原結合断片である。抗原結合断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab)2、F(ab’)2、Fv、Fd、sdFv、dAb、scFv断片(scFv-FC、scFv-CH、scFab及びscFv-ジッパーを含むが、これらに限定されない)、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、ナノボディー及び本明細書において記載された他の断片を含むが、これらに限定されない。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボにおける半減期を延長した、Fab断片及びF(ab)断片に対する議論について、米国特許第5,869,046号明細書を参照されたい。
抗体断片は、無傷抗体のタンパク質分解性消化のほか、組換え宿主細胞による産生を含むが、これらに限定されない、本明細書において記載された多様な技法、又は当技術分野において公知の多様な技法により作製されうる。
キメラ抗体
ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、キメラ抗体である。一実施形態において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、若しくはサル又は他の非ヒト霊長動物に由来する可変領域)と、ヒト定常領域とを含む。別の実施形態において、キメラ抗体は、抗体のクラス又はサブクラスが、親抗体のクラス又はサブクラスから変化させられた、「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。ある特定の実施形態において、キメラ抗体は、ヒト化キメラ抗体である。
ヒト抗体
ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野において公知である、多様な技法を使用して、又は本明細書において記載された技法を使用して作製されうる。ヒト抗体については、一般に、van Dijk及びvan de Winkel、Curr.Opin.Pharmacol.、5:368~74(2001)並びにLonberg、Curr.Opin.Immunol.、20:450~459(2008)において記載されている。ヒト抗体は、免疫源を、抗原投与に応答して、無傷ヒト抗体又はヒト可変領域を伴う無傷抗体を産生するように改変された、トランスジェニック動物へと投与することにより調製されうる。このような動物は、典型的に、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置きかえる、又は染色体外に存在する、又は動物の染色体に、ランダムに組み込まれた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有する。このようなトランスジェニック動物において、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般に、不活化されている。ヒト抗体を、トランスジェニック動物から得るための方法について、Lonberg、Nat.Biotech.23:1117~1125(2005);米国特許第6,075,181号明細書及び同第6,150,584号明細書;米国特許第5,770,429号明細書;米国特許第7,041,870号明細書並びに米国特許出願公開第US2007/0061900号明細書を参照されたい。このような動物により作出された無傷抗体に由来するヒト可変領域は、異なるヒト定常領域との組合せなどであるが、これらに限定されない手段により、さらに修飾されうる。
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマベースの方法によっても作製されうる。ヒトモノクローナル抗体を産生するための、ヒト骨髄腫細胞系及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞系は、当技術分野において公知である(Kozbor、J.Immunol.、133:3001(1984);Brodeurら、「Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications」、51~63頁(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987);並びにBoernerら、J.Immunol.、147:86(1991))。当技術分野において、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して作出されたヒト抗体もまた公知である(Liら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:3557~3562(2006))。さらなる方法は、米国特許第7,189,826号明細書;Ni、Xiandai Mianyixue、26(4):265~268(2006);Vollmers及びBrandlein、Histology and Histopathology、20(3):927~937(2005);並びにVollmers及びBrandlein、Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology、27(3):185~91(2005)において記載された方法を含む。ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローンの可変ドメイン配列を単離することによっても作出されうる。次いで、このような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わされうる。
抗体変異体
本開示はまた、開示された抗体の変異体も提示する。ある特定の実施形態において、本明細書において提示された抗体の、アミノ酸配列変異体が想定される。このような変異体は、抗体の結合アフィニティーを改善する、抗体の生物学的特性(半減期などであるが、これらに限定されない)を改善する、又は前出のものの組合せをもたらすのに使用されうる。抗体のアミノ酸変異体は、適切な修飾を、抗体をコードするヌクレオチド配列に導入することにより調製される場合もあり、このようなアミノ酸変化を直接組み込む、ペプチド合成により調製される場合もある。抗体変異体は、本開示の抗体、1つ以上のアミノ酸の置換、1つ以上のアミノ酸の欠失、1つ以上のアミノ酸の挿入及び前出のものの任意の組合せを含む融合タンパク質を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、抗体変異体は、同じエピトープに結合する能力を保持する。
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換が導入される場合、置換は、任意の所望の位置において施されうる。置換突然変異誘発を目的とする部位は、V領域、V領域、重鎖CDR、軽鎖CDR及び/又はFR領域を含む。このような置換は、保存的置換の場合もあり、非保存的置換の場合もある。保存的置換は、本明細書において規定されている。
ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、保存的アミノ酸置換を含む。このような保存的アミノ酸置換は、V領域、V領域、重鎖CDR、軽鎖CDR及び/又はFR領域において施されると適切でありうる。ある特定の実施形態において、本開示は、配列番号37~156のポリペプチドのうちの1つ以上の抗体変異体を提示する。ある特定の実施形態において、本開示は、配列番号37~156のポリペプチドのうちの1つ以上の保存的置換を含む、1つ以上の置換を含む、抗体変異体を提示する。ある特定の実施形態において、本開示は、配列番号37~156のポリペプチドのうちの1つ以上の、重鎖可変領域(CDR1~CDR3を含む)及び/又は軽鎖可変領域(CDR1~CDR3を含む)の保存的置換を含む、1つ以上の置換を含む、抗体変異体を提示する。
前出のもののうちのいずれかについての、一実施形態において、抗体変異体は、親抗体と、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である、アミノ酸配列を有する。
本開示の目的のために、2つのアミノ酸配列の間の相同性パーセントは、2つの配列の間の同一性パーセントと同義である。2つの配列の間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮に入れた、配列により共有された、同一な位置の数の関数(相同性%=(同一な位置の数/位置の総数)×100)である。2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、好ましくは、ギャップ長ペナルティーを12とし、ギャップペナルティーを4として、PAM120重み付け残基表を使用する、ALIGNプログラム(version 2.0)へと組み込まれた、E.Meyers及びW.Miller(Comput.Appl.Biosci.、4:11~17(1988))によるアルゴリズムを使用して決定される。
一実施形態において、抗体変異体は、保存的修飾を含む。本明細書において使用された、「保存的修飾」という用語は、保存的修飾を含有する抗体の結合特徴に著明な影響を及ぼさない、又はこれを著明に変更しないアミノ酸修飾を指す。このような保存的修飾は、アミノ酸の置換、付加及び欠失を含む。
一実施形態において、抗体変異体は、保存的アミノ酸置換を含有する。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基により置きかえられた、アミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において規定されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(リシン、アルギニン及びヒスチジン)、酸性側鎖(アスパラギン酸及びグルタミン酸)、非帯電極性側鎖(グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン及びトリプトファン)、非極性側鎖(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン及びメチオニン)、ベータ分枝状側鎖(トレオニン、バリン及びイソロイシン)及び芳香族側鎖(チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン及びヒスチジン)を伴うアミノ酸を含む。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスのうちの1つのメンバーと交換することを伴う。
例えば、保存的アミノ酸置換は、その位置におけるアミノ酸残基の極性、立体バルク性、電荷、疎水性及び/又は親水性に、ほとんど又は全く影響を及ぼさないように、天然アミノ酸残基の、非天然残基による置換を伴いうる。保存的アミノ酸置換はまた、典型的に、生体系における合成ではなく、化学的ペプチド合成により組み込まれた、天然に存在しないアミノ酸残基も包含する。これらは、アミノ酸部分のペプチド模倣体、他の反転形態又は逆位形態を含む。当業者により、本明細書において記載されたポリペプチドは、化学合成されうるほか、組換え手段によっても作製されうることが理解される。
本明細書において記載されたアミノ酸置換を施す場合、アミノ酸のハイドロパシー指数が検討されうる。各アミノ酸は、その疎水性及び荷電特徴に基づき、ハイドロパシー指数を割り当てられている。ハイドロパシー指数値は、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リシン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)により提示される。
当技術分野において、相互作用性の生物学的機能を、タンパク質へと付与する場合における、アミノ酸のハイドロパシー指数の重要性が理解されている(Kyteら、J.Mol.Biol.、157:105~131、1982)。ある特定のアミノ酸は、同様のハイドロパシー指数又はハイドロパシースコアを有する、他のアミノ酸により置換されうるが、なおも、同様の生物活性を保持することが公知である。一実施形態において、ハイドロパシー指数に基づき、変化を施す場合、それらのハイドロパシー指数が±1以内であるアミノ酸置換、代替的実施形態において、ハイドロパシー指数は、±0.5以内であり、別の代替的実施形態において、ハイドロパシー指数は、±0.25以内である。
本明細書において記載されたアミノ酸置換を施す場合、親水性もまた検討されうる。ある特定の実施形態において、その隣接するアミノ酸の親水性により統御された、ポリペプチドの、最大局所平均親水性は、タンパク質の生物学的特性と相関する。アミノ酸残基へは、以下の親水性指数値:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)が割り当てられている。
一実施形態において、同様の親水性値に基づき、変化を施す場合、それらの親水性値が±1以内であるアミノ酸置換が含まれ、代替的実施形態において、親水性値は、±0.5以内であり、別の代替的実施形態において、親水性値は、±0.25以内である。
当業者は、当技術分野において公知の技法を使用して、配列番号37~156のうちのいずれかに明示されたポリペプチドの、それらの組合せを含む、適切な置換、挿入及び欠失を決定することが可能である。活性を破壊せずに変化させられうる、ポリペプチドの適切な領域を同定するために、当業者は、活性に重要でないと考えられる領域をターゲティングしうる。例えば、同じ種又は他の種に由来し、活性が同様である、相同なポリペプチドが公知で場合、当業者は、相同なポリペプチドを、本明細書において記載されたポリペプチドのアミノ酸配列と比較しうる。このような比較により、同様のポリペプチドの間において保存された、分子の残基及び部分を同定することができる。このような相同なポリペプチドと比べて保存されていない、本明細書において記載されたポリペプチドの領域内の変化は、本明細書において記載されたポリペプチドの生体活性及び/又は構造に有害な影響を及ぼす可能性が小さいことが理解される。当業者はまた、保存が相対的である領域内においてもなお、活性を保持しながら、化学的に類似するアミノ酸により、天然に存在する残基を置換しうることも承知している(例えば、保存的アミノ酸置換)。したがって、生体活性又は構造に重要でありうる領域であってもなお、生体活性を破壊したり、ポリペプチド構造に有害な影響を及ぼしたりせずに、このようなアミノ酸置換にかけられうる。
欠失、挿入及び置換は、所望のポリペプチド変異体を作出するように、当業者に公知の通りに選択されうる。例えば、ポリペプチドの非機能的領域内における、欠失、挿入及び置換は、活性を変更しないことが予測される。同様に、保存的アミノ酸置換及び/又は親水性指数値及び/又はハイドロパシー指数値が同様であるアミノ酸の置換は、保存的領域内において許容されることが予測され、ポリペプチド活性は、このような置換により保存されうる。
例示的な置換変異体は、Hoogenboomら、「Methods in Molecular Biology」、178:1~37(O’Brienら編、Humana Press、Totowa、N.J.、(2001)において記載されているアフィニティー成熟法など、ファージディスプレイベースのアフィニティー成熟法を使用して作出されうると好都合である、アフィニティー成熟抗体である。アミノ酸配列の挿入は、1残基~100残基以上を含有するポリペプチドの長さの範囲である、アミノ末端融合体及び/又はカルボキシル末端融合体のほか、単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、N末端メチオニル残基を伴う抗体を含む。抗体分子の、他の挿入変異体は、抗体のN末端又はC末端の、酵素又はポリペプチドとの融合体であって、抗体の血清半減期を延長する融合体を含む。
抗体変異体は、エピトープへの結合の保持、エピトープへの結合の改善、免疫原性の低下、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)の改善又は前出のものの任意の組合せを含むが、これらに限定されない所望の活性についてスクリーニングされうる。
本開示の抗体は、さらなるタンパク質部分及びタンパク質ベースではない、さらなる部分を含有するように改変されうる。一実施形態において、非タンパク質ベースの部分は、ポリマー、好ましくは、水溶性ポリマーである。適切な水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキサゾリン(POZ)、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はコポリマーとしての)及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチル化ポリオール(グリセロールなど)、ポリビニルアルコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、酸化プロピレンとエチレンオキシドとのコポリマー並びに前出のもののうちのいずれかの混合物を含むが、これらに限定されない。水溶性ポリマーが、コポリマーである場合、コポリマーは、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーとして存在しうる。アミノ酸置換は、水溶性ポリマーの、抗体への接合のための部位を導入するのに使用されうる。
水溶性ポリマーは、任意の分子量の水溶性ポリマーであることが可能であり、デンドリマーの場合もあり、分枝状ポリマーの場合もあり、非分枝状ポリマーの場合もある。抗体へと接合されたポリマーの数は、変動しうる。一実施形態において、水溶性ポリマー平均分子量数は、2,500~75,000Da、5,000~50,000Da、7,500~40,000Da又は10,000~30,000Daである。一実施形態において、1つ~10の水溶性ポリマー鎖が接合される。1つを超える水溶性ポリマーが接合される場合、水溶性ポリマーは、同じ場合もあり、異なる場合もあり、平均分子量数が同じ場合もあり、異なる場合もある。一実施形態において、水溶性ポリマーは、本開示の抗体の半減期を延長し、かつ/又は本開示の抗体の免疫原性を減少させる。水溶性ポリマーは、ポリマー上及び抗体上における、常套的な反応性基を使用して、本開示の抗体へと連結されうる。例えば、POZポリマー及びPEGポリマーなどであるが、これらに限定されない、水溶性ポリマーは、アシル化アルキル化反応を使用して、抗体へと連結されうる。水溶性ポリマーは、抗体へと、部位特異的に連結される場合もあり、ランダムに連結される場合もある(例えば、リシン残基のεアミノ基又はシステイン残基のチオール基は、水溶性ポリマー上の、適切な官能基とのコンジュゲーション反応において使用されうる)。ある特定の実施形態において、非天然アミノ酸は、抗体へと導入される場合があり、水溶性ポリマーを、抗体へと連結するのに使用されうる。例えば、セレノシステイン残基は、適切な官能基(例えば、マレイミド基又はヨードアセトイミド基)を含有する水溶性ポリマーとの反応のために、抗体へと導入されうる。ある特定の実施形態において、水溶性ポリマーは、本明細書において記載された、治療剤、検出用標識、酵素又は酵素阻害剤へと連結されうる。
当技術分野において、水溶性ポリマーを、タンパク質へと連結するための方法が公知であり、本開示の抗体へと、直接適用されうる(EP0154316)。
別の実施形態において、非タンパク質ベースの部分は、治療剤、例えば、本明細書において記載された、SARS-CoV-2感染の処置に有用な治療剤又は細胞傷害剤である。別の実施形態において、非タンパク質ベースの部分は、検出用標識である。別の実施形態において、非タンパク質ベースの部分は、酵素である。別の実施形態において、非タンパク質ベースの部分は、酵素阻害剤、例えば、TMPRSS2阻害剤などであるが、これらに限定されない、セリンプロテアーゼ阻害剤である。
グリコシル化変異体
ある特定の実施形態において、本開示の抗体は、抗体がグリコシル化された程度を、増大又は減少させるように変更される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は抗体からのグリコシル化部位の欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が、創出又は除去されるように、アミノ酸配列を変更することにより達せられると、好都合でありうる。例えば、非グリコシル化抗体が作製されうる。グリコシル化は、抗体の、抗原に対するアフィニティーの増大を含むが、これらに限定されない、様々な目的のために変更されうる。一実施形態において、抗体の、抗原に対するアフィニティーを増大させうる、1つ以上のFRグリコシル化部位の消失を結果としてもたらす、1つ以上のアミノ酸置換が、施されうる。このような手法については、米国特許第5,714,350号明細書及び同第6,350,861号明細書において、さらに詳細に記載されている。定常領域内のグリコシル化部位もまた、消失させられうる。例えば、IgG1において、Fc部分内のN297が、別の残基(例えば、アラニン)により置換され、これにより、N297におけるグリコシル化を低減する場合もあり、かつ/又は隣接するアミノ酸が、突然変異され、これにより、N297におけるグリコシル化を低減する場合もある。
加えて、又は代替的に、フコシル残基の量を低減した低フコシル化抗体又は二分枝型GlcNac構造を増大させた抗体など、グリコシル化の種類を変化させた抗体が作製されうる。このようなグリコシル化パターンの変更は、抗体のADCC能を増大させることが裏付けられている。このような炭水化物修飾は、例えば、グリコシル化機構を変更した宿主細胞内において、抗体を発現させることにより達せられうる(このような細胞は、EP1,176,195;PCT公開第WO03/035835号;Shields,R.L.ら(2002)、J.Biol.Chem.、277:26733~26740;PCT公開第WO99/54342号;Umanaら(1999)、Nat.Biotech.、17:176~180において記載されている)。
Fc領域変異体
本明細書において論じられた、Fc領域内の残基の番号付けは、KabatによるEUインデックスの番号付け(PCT公開第WO2000/42072号)である。本明細書において記載された抗体の可変領域は、任意のアロタイプ又はイソアロタイプ(IgG1について:G1m、G1m1(a)、G1m2(x)、G1m3(f)、G1m17(z);IgG2について:G2m、G2m23(n);IgG3について:G3m、G3m21(g1)、G3m28(g5)、G3m11(b0)、G3m5(b1)、G3m13(b3)、G3m14(b4)、G3m10(b5)、G3m15(s)、G3m16(t)、G3m6(c3)、G3m24(c5)、G3m26(u)、G3m27(v);IgAについて:A2M、A2m1及びA2m2;並びにKについて:Km、Km1、Km2、Km3を含む)でありうる、Fc領域(IgG1 Fc、IgG2 Fc、IgG3 Fc又はIgG4 Fcなどであるが、これらに限定されない)へと連結されうる(Jefferiesら(2009)、mAb 1(4)、323~338)。ある特定の実施形態において、本明細書において記載された抗体の可変領域は、1つ以上の活性化Fc受容体(FcR)に結合し、これにより、ADCCを刺激するFcへと連結される。ある特定の実施形態において、本明細書において記載された抗体の可変領域は、広範にわたるFc受容体にエンゲージするように最適化されたFc領域へと連結される。ガンマ以外のアイソタイプに対するFc受容体は、特定の白血球上に存在する。FcγRI及びFcαRIなど、複数のFc受容体と相互作用しうるFc領域を創出することにより、エフェクター細胞にエンゲージする新規の能力を拡張された抗体が創出されうる。好中球は、体内において最も豊富な白血球であり、FcαRIを介して、IgA抗体のFcにエンゲージする。
ある特定の実施形態において、本明細書において記載された、抗体の可変領域は、典型的に、血清半減期、補体への結合、Fc受容体への結合、ADCC及び/又はCDCなど、抗体の、1つ以上の機能的特性を変更するように、1つ以上の修飾を含むFcへと連結されうる。
Fc領域は、抗体の定常領域に由来するドメインを包含する。適切な免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2並びにIgD、IgE及びIgMなど、他のクラスを含む。抗体の定常領域は、抗体のC末端領域と相同な、天然に存在するポリペプチド又は合成により作製されたポリペプチドとして規定され、個別の、又は組合せにおける、CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、CH3ドメイン又はCH4ドメインを含みうる。一部の実施形態において、本開示の抗体は、野生型IgA1のFc領域以外のFc領域を有する。本開示の抗体は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)又はIgA2、IgD、IgE及びIgMなど、他のクラスのFc領域に由来するFc領域を有しうる。本開示の抗体は、野生型IgA1の置換、欠失又は挿入を含有するFc領域を有しうる。
抗体のFcは、FcRへの結合及び補体への結合を含む、多くの重要な機能の一因となる。各々が、アイソタイプにより指定された、特徴的なエフェクター機能を伴う、IgA、IgG、IgD、IgE及びIgMとして分類された、重鎖定常領域の、5つの主要なクラスが存在する。抗体の血清半減期は、この抗体が、FcRに結合する能力の影響を受ける。
抗体分子は、複数のクラスの細胞内受容体と相互作用する。IgG分子は、抗体のIgGクラスに特異的な、FcγRの3つのクラス、すなわち、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa及びFcγRIIIbと相互作用する。IgGの、FcγR受容体への結合に重要な配列は、CH2ドメイン及びCH3ドメインに配置されていることが報告されている。
ある特定の実施形態において、Fc領域は、(i)ADCCの増大若しくは低下;(ii)CDCの増大若しくは低下;(iii)C1qに対するアフィニティーの増大若しくは低下及び/又は(iv)FcRに対するアフィニティーの増大若しくは低下(親Fcと比べた、前出の各々)を含むが、これらに限定されない、所望の構造特色及び/又は生体活性をもたらすように、親Fc配列と比べた、変異体Fc領域(アミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入などにより修飾されたFc配列)である。このようなFc領域変異体は、一般に、Fc領域内の、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を含む。ある特定の実施形態において、Fc領域は、1つ~6つのアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入(好ましくは、置換)を含有する。
変異体Fc領域はまた、ジスルフィド結合の形成に関与するアミノ酸が、除去された、又は別のアミノ酸により置きかえられた、配列の修飾も含みうる。他の実施形態において、Fc領域は、それを、選択された宿主細胞と適合性とするように改変されうる。例えば、プロリンイミノペプチダーゼなど、E.コリー(E.coli)における消化酵素により認知されうる、典型的な天然Fc領域のN末端近傍のPA配列を除去することができる。他の実施形態において、Fcドメイン内の、1つ以上のグリコシル化部位が除去される。典型的なグリコシル化残基(例えば、アスパラギン)は、細胞溶解応答を付与しうる。このような残基は、非グリコシル化残基(例えば、アラニン)により、欠失させられうる、又は置換されうる。他の実施形態において、C1q結合性部位など、補体との相互作用に関与する部位は、Fc領域から除去されうる。例えば、ヒトIgG1のEKK配列を欠失させる、又は置換することができる。ある特定の実施形態において、Fc受容体への結合に影響を及ぼす部位、好ましくは、サルベージ受容体結合部位以外の部位が除去されうる。他の実施形態において、Fc領域は、当技術分野において公知のADCC部位を除去するように改変されうる。変異体Fcドメインの具体例は、例えば、WO1997/34631及びWO1996/32478において開示されている。
一実施形態において、Fcのヒンジ領域は、ヒンジ領域内のシステイン残基の数を増大又は低下させる(米国特許第5,677,425号明細書)、例えば、軽鎖及び重鎖のアセンブリーを容易とし、かつ/又は抗体の安定性を増大若しくは減少させるように修飾される。一実施形態において、抗体のFcヒンジ領域は、抗体の生体内半減期を短縮するように突然変異させられる。より具体的に述べると、抗体の、ブドウ球菌プロテインA(SpA)への結合が、天然Fc-ヒンジドメインのSpAへの結合と比べて損なわれるように、Fc-ヒンジ断片の、CH2-CH3ドメイン間界面領域へと、1つ以上のアミノ酸突然変異が導入される(米国特許第6,165,745号明細書)。
さらに他の実施形態において、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を変更するように、少なくとも1つのアミノ酸残基を、異なるアミノ酸残基により置き換えることにより変更される。例えば、抗体が、エフェクターリガンドに対するアフィニティーは変更されているが、親抗体の抗原結合能を保持するように、IgG抗体内において、アミノ酸残基である、234、235、236、237、297、318、320及び322から選択される1つ以上のアミノ酸が、異なるアミノ酸残基により置きかえられうる。アフィニティーが変更されたエフェクターリガンドは、例えば、FcR又は補体のC1成分でありうる(米国特許第5,624,821号明細書及び同第5,648,260号明細書)。別の例において、抗体の、C1qへの結合が変更され、かつ/又はCDCが低減され、若しくは失われるように、IgG抗体内において、アミノ酸残基である、329、331及び322から選択される1つ以上のアミノ酸が、異なるアミノ酸残基により置きかえられうる(米国特許第6,194号明細書)。別の例において、IgG抗体内において、アミノ酸位置である、231及び239内の、1つ以上のアミノ酸残基が変更されて、これにより、補体に結合する抗体能力が変更される(PCT公開第WO1994/29351号)。Fc領域のアミノ酸の番号付けに対する、全ての言及は、KabatによるEUインデックス(Kabatら(1983)、 「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、US Dept.Health and Human Services)に従いなされる。
さらに別の例において、Fc領域は、以下の位置:234、235、236、238、239、240、241、243、244、245、247、248、249、252、254、255、256、258、262、263、264、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、299、301、303、305、307、309、312、313、315、320、322、324、325、326、327、329、330、331、332、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、433、434、435、436、437、438又は439において、1つ以上のアミノ酸を修飾することにより、ADCCを増大させ、かつ/又はFcγRに対するアフィニティーを増大させるように修飾されうる。例示的置換は、236A、239D、239E、268D、267E、268E、268F、324T、332D及び332Eを含む。例示的変異体は、239D/332E、236A/332E、236A/239D/332E、268F/324T、267E/268F、267E/324T及び267E/268F7324Tを含む。FcγRと補体との相互作用を増強するための、他の修飾は、置換である、298A、333A、334A、326A、2471、339D、339Q、280H、290S、298D、298V、243L、292P、300L、396L、3051及び396Lを含むが、これらに限定されない。これらの修飾及び他の修飾については、Strohl、2009、Current Opinion in Biotechnology、20:685~691において記載されている。
FcγRへの結合を増大させるFc修飾は、Fc領域のアミノ酸位置である、238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、279、280、283、285、298、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、312、315、324、327、329、330、335、337、3338、340、360、373、376、379、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438又は439のうちのいずれか1つ以上におけるアミノ酸修飾を含む。
施されうる、他のFc修飾は、FcγR及び/又は補体タンパク質への結合を低減又は除去し、これにより、ADCC、ADCP及びCDCなどのFc媒介エフェクター機能を低減又は除去するためのFc修飾である。例示的修飾は、234、235、236、237、267、269、325及び328位における、置換、挿入及び欠失を含むが、これらに限定されず、この場合、番号付けは、KabatによるEUインデックスに従う。例示的置換は、234G、235G、236R、237K、267R、269R、325L及び328Rを含むが、これらに限定されず、この場合、番号付けは、KabatによるEUインデックスに従う。Fc変異体は、236R/328Rを含みうる。FcγRと補体との相互作用を低減するための、他の修飾は、置換である、297A、234A、235A、237A、318A、228P、236E、268Q、309L、330S、331S、220S、226S、229S、238S、233P及び234Vのほか、突然変異的手段若しくは酵素的手段による、又はタンパク質をグリコシル化しない細菌などの生物における産生による、297位におけるグリコシル化の除去を含む。これらの修飾及び他の修飾については、Strohl、2009、Current Opinion in Biotechnology、20:685~691において総説されている。
任意選択的に、Fc領域は、当業者に公知である、さらなる位置及び/又は代替的位置における、天然に存在しないアミノ酸残基を含みうる(米国特許第5,624,821号明細書;同第6,277,375号明細書;同第6,737,056号明細書;同第6,194,551号明細書;同第7,317,091号明細書;同第8,101,720号明細書;PCT公開第WO2000/42072号;同第WO2001/58957号;同第WO2002/06919号;同第WO2004/016750号;同第WO2004/029207号;同第WO2004/035752号;同第WO2004/074455号;同第WO2004/099249号;同第WO2004/063351号;同第WO2005/070963号;同第WO2005/040217号;同第WO2005/092925号及び同第WO2006/020114号)。
阻害性受容体である、FcγRIIbに対するアフィニティーを増強するFc変異体もまた、使用されうる。このような変異体は、例えば、B細胞及び単球を含む、FcγRIIb細胞と関連する免疫調節活性を伴う、Fc融合タンパク質をもたらしうる。一実施形態において、Fc変異体は、FcγRIIbに対するアフィニティーの、1つ以上の活性化受容体と比べた、選択的増強をもたらす。FcγRIIbへの結合を変更するための修飾は、KabatによるEUインデックスに従い、234、235、236、237、239、266、267、268、325、326、327、328及び332、からなる群から選択される位置における、1つ以上の修飾を含む。FcγRIIbに対するアフィニティーを増強するための例示的置換は、234D、234E、234F、234W、235D、235F、235R、235Y、236D、236N、237D、237N、239D、239E、266M、267D、267E、268D、268E、327D、327E、328F、328W、328Y及び332Eを含むが、これらに限定されない。例示的置換は、235Y、236D、239D、266M、267E、268D、268E、328F、328W及び328Yを含む。FcγRIIbへの結合を増強するための、他のFc変異体は、235Y/267E、236D/267E、239D/268D、239D/267E、267E/268D、267E/268E及び267E/328Fを含む。
Fc領域の、そのリガンドに対するアフィニティー及び結合特性は、平衡法(酵素免疫測定アッセイ、ラジオイムノアッセイ又は反応速度法及び間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動、ゲル電気泳動及びクロマトグラフィーなど、他の方法)を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の、様々なインビトロアッセイ法(生化学ベースのアッセイ又は免疫学ベースのアッセイ)により決定されうる。これらの方法及び他の方法は、検討される成分のうちの1つ以上における標識を利用する場合もあり、かつ/又は発色標識、蛍光標識、発光標識又は同位体標識を含むが、これらに限定されない、様々な検出法を利用する場合もある。結合アフィニティー及び反応速度についての詳細な記載は、抗体-免疫源間相互作用に焦点を当てる、Paul,W.E.編、Fundamental immunology、4版、Lippincott-Raven、Philadelphia(1999)において見出されうる。
ある特定の実施形態において、抗体は、その生体内半減期を延長するように改変される。多様な手法が可能である。例えば、これは、Fc領域の、FcRnに対する結合アフィニティーを増大させることによりなされうる。例えば、米国特許第6,277,375号明細書において記載される通り、以下の残基:252、254、256、433、435及び436のうちの1つ以上が突然変異させられうる。例示的な特異的置換は、以下:T252L、T254S及び/又はT256Fのうちの1つ以上を含む。代替的に、生体内半減期を延長するために、抗体は、米国特許第5,869,046号明細書及び同第6,121,022号明細書において記載される通り、CH1領域内又はCL領域内において、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから採取された、サルベージ受容体結合エピトープを含有するように変更されうる。FcRnへの結合を強化し、かつ/又は薬物動態特性を改善する、他の例示的変異体は、259、308、428及び434位における置換であって、例えば、259I、308F、428L、428M、434S、434H、434F、434Y及び434Mを含む置換を含む。Fcの、FcRnへの結合を増大させる、他の変異体は、250E、250Q、428L、428F、250Q/428L(Hintonら、2004、J.Biol.Chem.、279(8):6213~6216;Hintonら、2006 Journal of Immunology、176:346~356)、256A、272A、286A、305A、307A、307Q、311A、312A、376A、378Q、380A、382A、434A(Shieldsら、Journal of Biological Chemistry、2001、276(9):6591~6604)、252F、252T、252Y、252W、254T、256S、256R、256Q、256E、256D、256T、309P、311S、433R、433S、4331、433P、433Q、434H、434F、434Y、252Y/254T/256E、433K/434F/436H、308T/309P/311S(Dall’Acquaら、Journal of Immunology、2002、169:5171~5180;Dall’Acquaら、2006、Journal of Biological Chemistry、281:23514~23524)を含む。FcRnへの結合をモジュレートするための、他の修飾は、Yeungら、2010、J Immunol、182:7663~7671において記載されている。
ある特定の実施形態において、特定の生物学的特徴を伴う、ハイブリッド体のIgGアイソタイプが使用されうる。例えば、IgG1/IgG3ハイブリッド変異体は、IgG1の、CH2領域内及び/又はCH3領域内の位置を、2つのアイソタイプが異なる位置における、IgG3に由来するアミノ酸により置換することにより構築されうる。したがって、1つ以上の置換、例えば、274Q、276K、300F、339T、356E、358M、384S、392N、397M、4221、435R及び436Fを含む、ハイブリッド変異体IgG抗体が構築されうる。他の実施形態において、本明細書において記載された、IgG1/IgG2ハイブリッド変異体は、IgG2の、CH2領域内及び/又はCH3領域内の位置を、2つのアイソタイプが異なる位置における、IgG1に由来するアミノ酸により置換することにより構築されうる。したがって、1つ以上の置換、例えば、以下のアミノ酸置換:233E、234L、235L、236G(236位におけるグリシンの挿入を指す)及び321Hのうちの1つ以上を含む、ハイブリッド変異体IgG抗体が構築されうる。
さらに、ヒトIgG1上の、FcγRI、FcγRII、FcγRIII及びFcRnに対する結合性部位もマップされ、結合が改良された変異体についても説明されている(Shields,R.L.ら(2001)、J.Biol.Chem.、第276巻、6591~6604参照)。256、290、298、333、334及び339位における特異的な突然変異は、FcγRIIIへの結合を改善することが示された。加えて、FcγRIIIaへの結合及びADCC活性の増強を呈することが示されている(Shieldsら、2001)、以下の組合せ突然変異:T256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224A及びS298A/E333A/K334Aも、FcγRIIIへの結合を改善することが示された。FcγRIIIaへの結合が、強力に増強された、他のIgG1変異体であって、カニクイザルにおいて、FcγRIIIaに対するアフィニティーの、最大の増大、FcγRIIbへの結合の減少及び強力な細胞傷害活性を示した(Lazarら、2006)、突然変異である、S239D/I332E及びS239D/I332E/A330Lを伴う変異体を含む変異体も同定されている。アレムツズマブ(CD52特異的抗体)、トラスツズマブ(HER2/neu特異的抗体)、リツキシマブ(CD20特異的抗体)及びセツキシマブ(EGFR特異的抗体)など、抗体への三重突然変異の導入は、インビトロにおけるADCC活性の、大幅な増強へと変換され、S239D/I332E変異体は、サルにおいて、B細胞を枯渇させる能力の増強を示した(Lazarら、2006)。加えて、B細胞悪性腫瘍及び乳がんのモデルにおいて、ヒトFcγRIIIaを発現するトランスジェニックマウスにおけるFcγRIIIaへの結合の増強と、共時的なADCC活性の増強とを呈した突然変異である、L235V、F243L、R292P、Y300L及びP396Lを含有するIgG1突然変異体も、同定されている(Stavenhagenら、2007;Nordstromら、2011)。使用されうる、他のFc突然変異体は、:S298A/E333A/L334A、S239D/I332E、S239D/I332E/A330L、L235V/F243L/R292P/Y300L/P396L及びM428L/N434Sを含むが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、FcγRへの結合を低減したFcが選び出される。例示的Fc、例えば、FcγRへの結合が低減されたIgG1 Fcは、以下の3つのアミノ酸置換:L234A、L235E及びG237Aを含む。
ある特定の実施形態において、補体への結合を低減したFcが選び出される。例示的Fc、例えば、補体への結合が低減されたIgG1 Fcは、以下の2つアミノ酸置換:A330S及びP331Sを有する。
ある特定の実施形態において、エフェクター機能を本質的に有さないFc、すなわち、FcγRへの結合を低減し、かつ、補体への結合を低減したFcが選び出される。例示的Fc、エフェクターレスであるIgG1 Fcは、以下の5つの突然変異:L234A、L235E、G237A、A330S及びP331Sを含む。
IgG4の定常ドメインを使用する場合、通例、IgG1内のヒンジ配列を模倣する置換である、S228Pを含み、これにより、IgG4分子を安定化させることが好ましい。
核酸、ベクター、及び宿主細胞
本開示はまた、本開示の抗体をコードする核酸配列も提示する。核酸配列は抗原結合断片をコードしうる。一部の実施形態において、核酸は、抗体が作製される方法に基づいて最適化されたコドンである。
一実施形態において、核酸配列は、配列番号1~36のうちの1つ以上を含む。この実施形態についての一側面において、核酸配列は、配列番号1~36のうちの1つ以上との、少なくとも75%の相同性、少なくとも80%の相同性、少なくとも85%の相同性、少なくとも90%の相同性、少なくとも95%の相同性又は95%を超える相同性を有する。
本開示はまた、本開示の抗体をコードする核酸配列を含むベクターも提示する。ある特定の実施形態において、ベクターは、重鎖可変領域をコードする核酸配列及び軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む。本開示の任意の核酸配列(配列番号1~36)は、本明細書において記載されたベクターと組み合わされうる。一部の実施形態において、重鎖可変をコードする核酸配列は、軽鎖可変をコードする核酸配列と、同じベクター上にある。一部の実施形態において、重鎖可変領域をコードする核酸配列は、軽鎖可変領域をコードする核酸配列と、異なるベクター上にある。一部の実施形態において、ベクターは、プラスミドである。一部の実施形態において、ベクターは、λファージなどであるが、これらに限定されない、ファージベクターである。一部の実施形態において、ベクターは、非複製型アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、pSV、pCMV及びレトロウイルスベクターなどであるが、これらに限定されない、ウイルスベクターである。一部の実施形態において、ベクターは、コスミドである。一部の実施形態において、ベクターは、組換え染色体である。一部の実施形態において、前出のベクターの組合せが利用される。異なる核酸配列の発現は、一般に、同時に生じる場合もあり、時間的に隔てられる場合もある。1つ以上の核酸配列の発現は、誘導的でありうる。ベクターは、無傷抗体又は抗原結合断片、特に、本明細書において開示された、抗原結合断片をコードする核酸を含みうる。一部の実施形態において、ベクターは、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)の定常領域などであるが、これらに限定されない、免疫グロブリンの定常領域をコードする核酸配列を含む。例示的実施形態において、免疫グロブリンの定常領域は、IgG1の定常領域を含む。
一実施形態において、本開示は、1212C2、1212F5、1213H7、1212F2、1206D1、1212D5、1207B4、1213F2、1212D4、1206A5、1212D6、1206D12、1207F10、1206G12、1212C8、1212E9、1214E9及び1215D1からなる群から選択される抗体の、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを提示する。ベクターは、哺乳動物細胞に、ベクターがトランスフェクトされ、安定的トランスフェクションの場合、DNAが、相同組換えにより、ゲノムへと組み込まれうるように、又は、代替的に、細胞に、一過性にトランスフェクトされうるように、哺乳動物発現ベクターでありうる。複製基点、マルチクローニング部位及び選択用マーカーが、大半の操作ベクターに一般的である。哺乳動物発現ベクターに一般的なプロモーターは、CMV及びSV40プロモーター並びにEF-1プロモーターなどであるが、これらに限定されない、非ウイルス性プロモーターを含む。ある特定の実施形態において、本開示は、本開示の抗体(例えば、配列番号38~40、42~44、46~48、50~52、54~56、58~60、62~64、66~68、70~72、74~76、78~80、82~84、86~88、90~92、94~96、98~100、102~104、106~108、110~112、114~116、118~120、122~124、126~128、130~132、134~135、138~140、142~144及び146~148のアミノ酸配列をコードする核酸又は配列番号38~40、42~44、46~48、50~52、54~56、58~60、62~64、66~68、70~72、74~76、78~80、82~84、86~88、90~92、94~96、98~100、102~104、106~108、110~112、114~116、118~120、122~124、126~128、130~132、134~135、138~140、142~144及び146~148との、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%若しくは95%を超える相同性を有するアミノ酸)のうちの1つ以上の、1つ以上の重鎖及び/又は軽鎖の、1つ以上のCDRをコードする、1つ以上の核酸配列を含むベクターを提示する。ある特定の実施形態において、本開示は、本開示の抗体(例えば、配列番号37、42、45、49、53、57、61、65、69、73、77、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145及び149~156のアミノ酸配列をコードする核酸又は配列番号37、42、45、49、53、57、61、65、69、73、77、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145及び149~156との、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%若しくは95%を超える相同性を有するアミノ酸)のうちの1つ以上の、1つ以上の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする、1つ以上の核酸配列を含むベクターを提示する。
核酸配列は、保存的置換を含有する抗体を含む、本明細書において記載された抗体変異体をコードしうる。本開示の抗体の可変領域(複数可)の一方又は両方をコードするベクターは、このような抗体を作出するのに要求された配列番号の一方若しくは両方又はこのような配列番号との、最小限の相同性(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は95%を超える相同性)を共有するヌクレオチド配列を含有しうる。例えば、抗体である1212C2の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードするベクターは、配列番号1及び2又はこのような配列番号1及び2との、最小限の相同性(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は95%を超える相同性)を共有するヌクレオチド配列を含みうる。
本開示はまた、本明細書において記載されたベクターにより形質転換された細胞も提示する。当業者は、異なる細胞型は、異なる抗体産物をもたらす場合があり、例えば、グリコシル化パターン、とりわけ、N結合型グリコシル化パターンの、顕著に異なる変動を示すことを介して、おそらく、抗体産物の治療有効性に影響を及ぼしうることを理解する。このような議論は、Liu L、J Pharm Sci.、2015年6月、104(6):1866~84;Rosenlocherら、J Proteomics.、2016年2月16日、134:85~92;Mimuraら、J Immunol Methods.、2016年1月;428:30~6及びCrosetら、Journal of Biotechnology、161(3)、2012年10月31日において見出されうる。
一部の実施形態において、細胞は、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞又は哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、哺乳動物細胞は、DUXB11系統、DG44系統及びCHOK1系統を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0マウス骨髄腫細胞、PER.C6細胞及びHEK293系統を含む、ヒト胎児腎(HEK)細胞のうちの1つである。他のそれほど一般的でない宿主細胞は、植物細胞、例えば、アグロバクテリウム・ツメファキエンス(Agrobacterium tumefaciens)の、腫瘍誘導(Ti)プラスミドに基づく、植物細胞を含む。例えば、転写/翻訳に必要な細胞成分を含有する、E.コリー細胞溶解物に基づく、無細胞発現系もまた存在する。当技術分野において、真核生物無細胞系及び哺乳動物による無細胞系.例えば、コムギ胚芽無細胞発現系もまた公知である。一部の組換え抗体産生系は、組換え抗体を、採取前の宿主細胞の表面上において発現し、他の組換え抗体産生系は、単純に、回収のための培地へと、抗体を放出する。このような変動は、本開示の範囲内にあることが意図される。
本開示はまた、本開示の組換え抗体を作製する方法も提示する。一部の実施形態において、抗体は、抗原結合断片である。本明細書において記載されたベクターを含む宿主細胞は、組換え抗体を作製するように誘導され、宿主細胞は、宿主細胞内において、抗体を、重/軽鎖からアセンブルし、次いで、細胞から外部へと輸送する、又は抗体は、宿主細胞の外部において、セルフアセンブルし、重/軽鎖として移出される場合もある。組換えモノクローナル抗体産生のための細胞培養工程についての概観は、Liら、Mabs.、2010年9~10月、2(5):466~477において見出されうる。一実施形態において、本開示は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的に結合する組換え抗体又はその抗原結合断片を作製する方法であって、配列番号1~36のうちのいずれか1つの、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含むベクターを含む細胞を用意するステップ、ベクター内の、少なくとも1つの核酸配列を発現させて、重鎖、軽鎖又はこれらの組合せのうちの少なくとも1つを創出するステップ並びに形成された抗体又はその抗原結合断片を回収するステップを含む方法を提示する。
抗体の同定及び単離
本開示の抗体は、コンビナトリアルライブラリーを、1つ以上の所望の活性を伴う抗体についてスクリーニングすることにより単離されうる。例えば、当技術分野において、ファージディスプレイライブラリーを作出し、このようなライブラリーを、所望の結合特徴を保有する抗体についてスクリーニングするための、様々な方法が公知である(Hoogenboomら、「Methods in Molecular Biology」、178:1~37(O’Brienら編、Humana Press、Totowa、N.J.、2001);McCaffertyら、Nature、348:552~554;Clacksonら、Nature、352:624~628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.、222:581~597(1992);Marks及びBradbury、「Methods in Molecular Biology」、248:161~175(Lo編、Humana Press、Totowa、N.J.、2003);Sidhuら、J.Mol.Biol.、338(2):299~310(2004);Leeら、J.Mol.Biol.、340(5):1073~1093(2004);Fellouse、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、101(34):12467~12472(2004)並びにLeeら、J.Immunol.Methods、284(1~2):119~132(2004))。
ある特定のファージディスプレイ法において、VH遺伝子及びVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、個別にクローニングされ、ファージライブラリー内において、ランダムに組み換えられ、次いで、これが、抗原結合性ファージについてスクリーニングされうる。ファージは、典型的に、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片として、又はFab断片として提示する。免疫化供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマの構築を要件とせずに、免疫源に対する、高アフィニティー抗体をもたらす。代替的に、免疫化を伴わずに、広範囲にわたる非自己に対する、単一の抗体供給源をもたらすように、ナイーブレパートリー(例えば、ヒトに由来する)がクローニングされうる(Griffithsら、EMBO J、12:725~734(1993))。最後に、ナイーブライブラリーはまた、幹細胞に由来する非再配列V遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域をコードし、インビトロにおいて再配列を達することを介して、合成によっても作製されうる(Hoogenboom及びWinter、J.Mol.Biol.、227:381~388(1992))。ヒト抗体ライブラリーから単離された抗原結合断片を含む抗体は、ヒト抗体であると考えられる。
処置法及び使用
第1の態様において、本開示は、対象におけるSARS-CoV-2感染を処置するための方法であって、対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。好ましい実施形態において、1212C2 mAbと、1213H7 mAbとの組合せが使用される。
第2の態様において、本開示は、対象におけるSARS-CoV-2感染を抑制するための方法であって、対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。
第3の態様において、本開示は、対象におけるSARS-CoV-2感染を防止するための方法であって、対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。
第4の態様において、本開示は、対象におけるSARS-CoV-2感染に関する疾患又は状態を処置、抑制及び/又は防止する方法であって、対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。第4の態様についての、ある特定の実施形態において、疾患又は状態は、ギラン-バレー症候群である。第4の態様についての、ある特定の実施形態において、疾患又は状態は、特に、対象が、25歳未満の年齢である場合に、多系統炎症性症候群である。第4の態様についての、ある特定の実施形態において、疾患又は状態は、肺損傷、肝損傷及び/又は心損傷などであるが、これらに限定されない臓器損傷である。第4の態様についての、ある特定の実施形態において、疾患又は状態は、急性呼吸器逼迫症候群である。第4の態様についての、ある特定の実施形態において、疾患又は状態は、レニン-アンジオテンシン系(アンジオテンシンIIの過剰産生及び/又はアンジオテンシン1~7の産生の低下などであるが、これらに限定されない)の不均衡から生じる炎症の増大である。
第5の態様において、本開示は、対象における、SARS-CoV-2の、細胞への侵入を低減又は防止する方法であって、対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体若しくはその抗原結合断片又は前出のものの組合せを、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。
第6の態様において、本開示は、対象における、SARS-CoV-2の、細胞内ACE2への結合を低減又は防止する方法であって、対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離抗された体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。
第7の態様において、本開示は、対象の体液中、組織内又は細胞内における、SARS-CoV-2のウイルス力価を低減するための方法であって、対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。ある特定の実施形態において、SARS-CoV-2の伝染(例えば、SARS-CoV-2に感染した対象から、未感染である対象への伝染)は、ウイルス力価の低下の結果として低減される。
第8の態様において、本開示は、第1の対象から、第2の対象への、SARS-CoV-2感染の伝染を低減又は防止するための方法であって、第1の対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。第8の態様についての、ある特定の実施形態において、このような低減又は防止は、第1の対象における、SARS-CoV-2の、細胞への侵入を低減することにより、少なくとも部分的に得られる。ある特定の実施形態において、第1の対象への投与は、第1の対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、第1の対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、又は第1の対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されうる前において行われる。
第9の態様において、本開示は、第1の対象から、第2の対象への、SARS-CoV-2感染の伝染を低減又は防止するための方法であって、第2の対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。第9の態様についての、ある特定の実施形態において、第2の対象は、SARS-CoV-2感染に対する危険性がありうる。第9の態様についての、ある特定の実施形態において、このような低減又は防止は、第2の対象における、SARS-CoV-2の、細胞への侵入を防止又は低減することにより、少なくとも部分的に得られる。第9の態様についての、ある特定の実施形態において、このような低減又は防止は、第2の対象における、SARS-CoV-2感染を防止又は抑制することにより、少なくとも部分的に得られる。第9の態様についての、ある特定の実施形態において、SARS-CoV-2感染が、第2の対象において生じる場合、この感染は、さらなる治療用化合物の投与を伴うか、又はこれを伴わずに、第2の対象により、生理学的に(例えば、免疫系により)消失させられうる。第9の態様についての、ある特定の実施形態において、第2の対象への投与は、第2の対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、第2の対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、又は第2の対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されうる前において行われる。
第10の態様において、本開示は、対象におけるSARS-CoV-2を中和する方法であって、対象へと、有効量の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を、単独において、1つ以上の他の抗体と組み合わせて、かつ/又は医薬組成物の一部として投与するステップを含む方法を提示する。
第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、それらが、細胞内ACE2と相互作用しうる前に、SARS-CoV-2ウイルス粒子に結合し、これにより、SARS-CoV-2ウイルス粒子が細胞に進入することを低減又は防止する。第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2ウイルス粒子が、細胞内ACE2に結合することを低減又は防止する。第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の切断を低減する。第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2の、標的細胞への結合を低減する。第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2と標的細胞との細胞融合を低減する。第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、感染性SARS-CoV-2の、感染細胞からの放出を低減する。第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2による、標的細胞の感染を低減する。
第1の態様~第10の態様による方法は、(i)処置、防止、抑制、低減又は阻害を必要とする対象を同定するステップ;並びに(ii)本開示の抗体若しくはその抗原結合断片又は前出のものを含む医薬組成物を施すステップのうちの1つ以上をさらに含みうる。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又は抗体若しくはその抗原結合断片(複数可)は、本明細書において記載された、任意の1つ以上の抗体若しくは抗原結合断片(複数可)又はその薬学的に許容される形態である。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又は抗体若しくはその抗原結合断片(複数可)は、
1.(i)それぞれ、配列番号38~40のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号42~44のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212C2);
2.(i)それぞれ、配列番号46~48のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号50~52のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1215F5);
3.(i)それぞれ、配列番号54~56のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号58~60のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1213H7);
4.(i)それぞれ、配列番号62~64のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号66~68のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212F2);
5.(i)それぞれ、配列番号70~72のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号74~76のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1206D1);
6.(i)それぞれ、配列番号78~80のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号82~84のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212D5);
7.(i)それぞれ、配列番号86~88のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号90~92のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1207B4);
8.(i)それぞれ、配列番号94~96のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号98~100のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1213F2);
9.(i)それぞれ、配列番号102~104のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号106~108のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212D4);
10.(i)それぞれ、配列番号110~112のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号114~116のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1206A5);
11.(i)それぞれ、配列番号118~120のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号122~124のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212D6);
12.(i)それぞれ、配列番号126~128のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号130~132のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1206D12);
13.(i)それぞれ、配列番号134~136のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号138~140のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1207F10);並びに
14.(i)それぞれ、配列番号142~144のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号146~148のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1206G12);
又は前出のもののうちのいずれかの、薬学的に許容される形態
を含む。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、
1.(i)配列番号37のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号41のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212C2);
2.(i)配列番号45のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号49のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1215F5);
3.(i)配列番号53のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号57のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1213H7);
4.(i)配列番号61のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号65のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212F2);
5.(i)配列番号69のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号73のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1206D1);
6.(i)配列番号77のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号81のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212D5);
7.(i)配列番号85のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号89のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1207B4);
8.(i)配列番号93のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号97のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1213F2);
9.(i)配列番号101のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号105のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212D4);
10.(i)配列番号109のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号113のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1206A5);
11.(i)配列番号117のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号121のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212D6);
12.(i)配列番号125のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号129のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1206D12);
13.(i)配列番号133のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号137のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1207F10);
14.(i)配列番号141のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号145のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1206G12);
15.(i)配列番号149のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号150のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1215D1);
16.(i)配列番号151のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号152のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1214E9);
17.(i)配列番号153のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号154のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212E9);並びに
18.(i)配列番号155のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号156のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212C8);
又は前出のもののうちのいずれかの、薬学的に許容される形態
を含む。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、(i)それぞれ、配列番号158、39及び159のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号42、43及び161のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(1212の変異体)又は薬学的に許容される塩、溶媒和物及び/若しくは水和物などであるが、これらに限定されない、前出のもののうちのいずれかの、薬学的に許容される形態を含む。
この実施形態についての一側面において、配列番号158の1位におけるアミノ酸は、Thr(T)又はIle(I)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸は、Thr(T)又はAla(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸は、Leu(L)又はPhe(F)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸は、Asn(N)又はSer(S)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸は、Val(V)又はPhe(F)である。
この実施形態についての一側面において、配列番号158の1位におけるアミノ酸は、Thr(T)又はIle(I)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸は、Ala(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸は、Leu(L)又はPhe(F)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸は、任意のアミノ酸(好ましくは、Ala(A))であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸は、Asn(N)又はSer(S)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸は、Val(V)である。
この実施形態についての一側面において、配列番号158の1位におけるアミノ酸は、Thr(T)であり、配列番号159の1及び9位におけるアミノ酸は、それぞれ、Thr(T)及びLeu(L)であり、配列番号161の1、6及び10位におけるアミノ酸は、それぞれ、任意のアミノ酸、Asn(N)及びPhe(F)である。
この実施形態についての一側面において、配列番号158の1位におけるアミノ酸は、Thr(T)であり、配列番号159の1及び9位におけるアミノ酸は、それぞれ、Ala(A)及びLeu(L)であり、配列番号161の1、6及び10位におけるアミノ酸は、それぞれ、任意のアミノ酸(好ましくは、Ala(A))、Asn(N)及びVal(V)である。
この実施形態についての一側面において、配列番号158の1位におけるアミノ酸は、Ile(I)であり、配列番号159の1及び9位におけるアミノ酸は、それぞれ、Ala(A)及びPhe(F)であり、配列番号161の1、6及び10位におけるアミノ酸は、それぞれ、任意のアミノ酸、Ser(S)及びVal(V)である。
この実施形態についての一側面において、配列番号158の1位におけるアミノ酸は、Ile(I)であり、配列番号159の1及び9位におけるアミノ酸は、それぞれ、Ala(A)及びPhe(F)であり、配列番号161の1、6及び10位におけるアミノ酸は、それぞれ、任意のアミノ酸(好ましくは、Ala(A))、Ser(S)及びVal(V)である。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、(i)配列番号157のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号160のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(1212の変異体)又は薬学的に許容される塩、溶媒和物及び/若しくは水和物などであるが、これらに限定されない、前出のもののうちのいずれかの、薬学的に許容される形態を含む。
この実施形態についての一側面において、配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸は、表2Aから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸は、表2Bから選択される。
この実施形態についての一側面において、配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸は、表2Cから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸は、表2Dから選択される。
この実施形態についての一側面において、配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸は、表2Eから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸は、表2Fから選択される。
この実施形態についての一側面において、配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸は、下記の表2Gから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸は、下記の表2Hから選択される。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、前出のもののうちのいずれかの混合物を含む。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、薬学的に許容される塩として存在する。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の、RBD内のエピトープに結合する。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のRBM内のエピトープに結合する。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS1領域内のエピトープに結合する。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS2領域内のエピトープに結合する。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2の、標的細胞への結合を低減する。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2と標的細胞との細胞融合を低減する。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、感染性SARS-CoV-2の、感染細胞からの放出を低減する。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、SARS-CoV-2による、標的細胞の感染を低減する。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、抗体変異体である。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、親抗体と比べた、1つ以上の置換、欠失及び/又は挿入を含む、抗体変異体である。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、親抗体と比べた、1つ以上の置換を含む、抗体変異体である。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、対象のインビボにおける半減期が、親抗体と比べて長い、対象のインビボにおける免疫原性が、親抗体と比べて小さい、又は前出のものの組合せを有する、抗体変異体である。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、変異体Fc定常領域を含む。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、タンパク質部分又は非タンパク質部分が、Fc定常領域へと連結された、変異体Fc定常領域を含む。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、水溶性ポリマーが、Fc定常領域へと連結された、変異体Fc定常領域を含む。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、ポリエチレングリコールポリマーが、Fc定常領域へと連結された、変異体Fc定常領域を含む。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、ポリオキサゾリンポリマーが、Fc定常領域へと連結された、変異体Fc定常領域を含む。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、変異体Fc定常領域を含み、この場合、変異体Fc定常領域は、対象のインビボにおける半減期が、親抗体と比べて長い、対象のインビボにおける免疫原性が、親抗体と比べて小さい、又は前出のものの組合せをもたらす。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗体である。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、キメラ抗体である。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、クラススイッチ抗体である。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、治療剤へと連結されている。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、検出用標識へと連結されている。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、酵素へと連結されている。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、酵素阻害剤へと連結されている。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、抗原結合断片である。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、Fab断片、F(ab)2断片、Fab’断片、Fd断片、Fv断片、ジスルフィド連結型Fv(sdFv)、dAb断片、単離CDR、ナノボディー又は単一ドメイン抗体、単一の可変ドメインと、2つの定常ドメインとを含有する、V領域の部分、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、scFv、scFv-FC、scFv-CH、scFab及びscFv-ジッパーからなる群から選択される抗原結合断片である。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片、抗体又はその抗原結合断片のアミノ酸配列は、参照配列に対する、少なくとも85%の相同性、参照配列に対する、少なくとも90%の相同性、参照配列に対する、少なくとも95%の相同性、参照配列に対する、少なくとも96%の相同性、参照配列に対する、少なくとも97%の相同性、参照配列に対する、少なくとも98%の相同性又は参照配列に対する、少なくとも99%の相同性を有する。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片、抗体又はその抗原結合断片のアミノ酸配列は、CDRにわたり、参照配列と100%相同であり、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも85%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも85%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも90%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも95%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも96%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも97%の相同性、FRにわたる、参照配列に対する、少なくとも98%の相同性又はFRにわたる、参照配列に対する、少なくとも99%の相同性を有する。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、ウイルスRNAポリメラーゼ活性の阻害剤並びに/又は他のセリンプロテアーゼ阻害剤及び非セリンプロテアーゼ阻害剤など、本明細書において記載された、他の抗ウイルス剤と組み合わされて使用される。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、対象は、SARS-CoV-2及び1つ以上のさらなるウイルスにより感染させられている。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、有効量において投与される。適切な有効量については、本明細書において、より詳細に記載されている。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、投与するステップは、処置コースに従い、抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量を投与すること(単回用量が、有効量を含有しうる場合)を含みうる。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、投与するステップは、処置コースに従い、抗体又はその抗原結合断片を含む、1回より多く用量を投与すること(1回以上の用量が、有効量を含有しうる場合)を含みうる。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、処置コース期間において投与された各回の投与の用量において、同じであることが要求されない。例えば、第1の態様~第10の態様による方法のうちのいずれかにおいて、投与するステップは、処置コース期間において、少なくとも1回、負荷用量、及び少なくとも1回、維持用量を投与することを含みうる。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、投与するステップは、処置コースに従い、抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を投与するステップを含む。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、投与するステップは、処置コースに従い、抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を、静脈内投与により投与することを含む。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、投与するステップは、処置コースに従い、抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を、鼻腔内投与により投与することを含む。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、投与するステップは、処置コースに従い、抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を、肺内投与により投与することを含む。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、対象は、SARS-CoV-2感染を患っている、又はこれを患うことが疑われている。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片を含む医薬組成物及び/又は医薬は、本明細書において記載された方法に従い投与されうる。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、対象は、哺乳動物である。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、対象は、ヒトである。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、投与するステップは、対象が、SARS-CoV-2に感染する前において(すなわち、対象は、感染に対する危険性がある)、対象が、SARS-CoV-2に感染した後である(が、感染が検出されうる前において)、又は対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されえた後において行われる。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、対象は、そのような個体が、それらを、SARS-CoV-2感染の高危険性にさらす措置を講じるように要求されうるので、医療従事者、初期対応者(例えば、警察官又は消防士)又は軍隊の隊員である。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、対象は、SARS-CoV-2感染が記録されている領域を訪れたことがあり、対象は、SARS-CoV-2感染が記録されている領域を訪れたことがある者と接触したことがあり、対象は、SARS-CoV-2感染(検出されていないSARS-CoV-2感染を含む)を有する、又はSARS-CoV-2感染を有することが疑われた者と接触したことがあり、対象は、SARS-CoV-2感染(検出されていないCoV感染を含む)を有する、又はSARS-CoV-2感染を有する危険性がある者の家族構成員又は知人であり、対象は、SARS-CoV-2感染を有する、又はSARS-CoV-2感染を有する危険性がある介助者又は親を有する、乳児又は小児(例えば、18歳未満の対象)である。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、対象は、肺疾患、心疾患、糖尿病、細菌重複感染、敗血症症候群、高血圧、慢性肺疾患(ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患及び肺気腫を含む、)慢性腎疾患、慢性肝疾患、免疫不全、免疫力不全状態、神経障害、神経発達障害又は知的障害を患っている可能性がある。
第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、静脈内投与、筋内投与若しくは皮下投与などにより、非経口投与される、経口投与される、又は気道を介して(例えば、肺内投与又は鼻腔内投与により)投与される。第1の態様~第10の態様についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、静脈内投与される。第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、筋内投与される。第1の態様~第10の態様による方法についての、ある特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合断片は、鼻腔内投与される。
さらなる治療剤
加えて、本明細書において記載された医薬組成物又は方法は、本開示の抗体と組み合わされた、1つ以上のさらなる抗ウイルス剤をさらに含みうる。このような抗ウイルス剤の例は、SARS-CoV-2のRNAポリメラーゼ活性の阻害などにより、SARS-CoV-2の複製を阻害する薬剤並びにセリンプロテアーゼ阻害剤(例えば、TMPRSS2の阻害剤)及びシステインプロテアーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない、プロテアーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない。代表的薬剤は、ガリデシビル、レムディシビル、ヒドロクロロキン、クロロキン、イルベサルタン、トレミフェン、カンフル、エクイリン、メサラジン、メルカプトプリン、ナファモスタット、パラオキセチン、シロリムス、カルベジロール、ダクチノマイシン、メラトニン、キナクリン、エプレレノン、エノクリン、オキシメタロン、ENU2000、アジトロマイシン、ロピノビル/リトナビル、ウミフェノビル、Cytovene、ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、インターフェロン、d4T、ddI、AZT、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル、ファビピラビル、バロキサビル・マルボキシル及びペラミビルを含むが、これらに限定されない。他の薬剤及びそれらの相乗作用的組合せは、Bobrowskiら、bioRxiv(2020年6月、https://doi.org/10.1101/2020.06.29.178889)及びKo、ら、bioRxiv(2020年5月、https://doi.org/10.1101/2020.05.12.090035)において記載されている。
インフルエンザポリメラーゼの阻害に関する化合物について、例えば、米国特許第7,388,002号明細書;同第7,560,434号明細書並びに米国特許出願第12/440,697号明細書(米国特許公開第20100129317号として公開されている)及び同第12/398,866号明細書(米国特許公開第20090227524号として公開されている)において記載されている。
投与量及び投与
本開示の方法に従い、本開示のポリペプチドは、有効量において、対象へと投与される(又は対象の細胞と接触される)。一部の実施形態において、有効量は、対象における、SARS-CoV-2のウイルス力価を減少させ、かつ/又は対象における、SARS-CoV-2ウイルス粒子のウイルス力価の増大を制限若しくは防止する。一部の実施形態において、有効量は、SARS-CoV-2の、対象へのウイルスの侵入を減少させる。一部の実施形態において、有効量は、SARS-CoV-2の、標的細胞への結合を低減する。一部の実施形態において、有効量は、SARS-CoV-2と標的細胞との細胞融合を低減する。一部の実施形態において、有効量は、感染性SARS-CoV-2の、対象の感染細胞からの放出を低減する。一部の実施形態において、有効量は、SARS-CoV-2による、標的細胞の感染を低減する。
ある特定の実施形態において、本開示の抗体の有効量は、約0.01mg/kg~約100mg/kgの範囲である。例えば、約0.05mg/kg~約10mg/kg、約0.05mg/kg~約5mg/kg、約0.05mg/kg~約4mg/kg、約0.05mg/kg~約2mg/kg又は約0.05mg/kg~約1mg/kgの用量である。
ある特定の実施形態において、本開示の抗体の有効量は、i)約1mg/kg~約5mg/kg;ii)約1mg/kg~約4mg/kg;iii)約1mg/kg~約4mg/kg又はiv)約1mg/kg~約4mg/kgの範囲である。
ある特定の実施形態において、本明細書において記載された有効量は、毎日、隔日、3日ごとに、4日ごとに、5日ごとに、6日ごとに、又は7日ごとに投与される。ある特定の実施形態において、本明細書において記載された有効量は、週単位の間隔において(毎週、2週間ごとに、3週間ごとに、4週間ごとに、5週間ごとに、6週間ごとに、7週間ごとに、8週間ごとに、又はこれより長い間隔などにおいて)投与される。ある特定の実施形態において、本明細書において記載された有効量は、月単位の間隔において(毎月、2カ月ごとに、3カ月ごとに、4カ月ごとに、5カ月ごとに、6カ月ごとに、7カ月ごとに、8カ月ごとに、9カ月ごとに、10カ月ごとに、11カ月ごとに、12カ月ごとに、又はこれより長い間隔などにおいて)投与される。
一実施形態において、有効量は、処置コース期間中に、毎日投与される。1日当たりの有効量は、1日当たりの単回用量において投与される場合もあり、1日当たりの複数回用量(1日当たり2~3回の用量など)において投与される場合もある。ある特定の実施形態において、1日当たりの有効量は、1日当たり1回の用量として投与される。ある特定の実施形態において、1日当たりの有効量は、毎日2回の用量(すなわち、b.i.d.)により投与され、この場合、各用量における抗体の量は、同じである必要はない。
一実施形態において、上記において記載された有効量は、処置コース期間中に、隔日、3日ごとに、4日ごとに、5日ごとに、6日ごとに、又は7日ごとに投与される。投与スケジュールにおける有効量は、単回用量において投与される場合もあり、複数回用量(2~3回の用量など)において投与される場合もある。ある特定の実施形態において、投与スケジュールにおける有効量は、投与日における単回用量として投与される。ある特定の実施形態において、投与スケジュールにおける有効量は、投与日における2回の用量により投与され、この場合、各用量における抗体の量は、同じである必要はない。
一実施形態において、上記において記載された有効量は、処置コース期間中に、週単位の間隔において(毎週、2週間ごとに、3週間ごとに、4週間ごとに、5週間ごとに、6週間ごとに、7週間ごとに、8週間ごとに、又はこれより長い間隔などにおいて)投与される。週単位の間隔当たりの有効量は、単回用量において投与される場合もあり、複数回用量において投与される場合もある。ある特定の実施形態において、1週間当たりの有効量は、投与日における単回用量として投与される。ある特定の実施形態において、1週間当たりの有効量は、投与日における2回の用量により投与され、この場合、各用量における抗体の量は、同じである必要はない。
一実施形態において、上記において記載された有効量は、処置コース期間中に、月単位の間隔において(毎月、2カ月ごとに、3カ月ごとに、4カ月ごとに、5カ月ごとに、6カ月ごとに、7カ月ごとに、8カ月ごとに、9カ月ごとに、10カ月ごとに、11カ月ごとに、12カ月ごとに、又はこれより長い間隔などにおいて)投与される。月単位の間隔当たりの有効量は、単回用量において投与される場合もあり、複数回用量において投与される場合もある。ある特定の実施形態において、1カ月当たりの有効量は、投与日における単回用量として投与される。ある特定の実施形態において、1カ月当たりの有効量は、投与日における2回の用量により投与され、この場合、各用量における抗体の量は、同じである必要はない。
本明細書において使用された、「用量」という用語は、所与の時点において投与された本開示の抗体の量を指す。例えば、本開示の抗体のための処置コースが、7日間にわたり、1日2回(1日当たり2回の投与)である場合、1~7日目の各日における各回の投与は、用量(各日2回の用量のため)の投与を含む。
2回以上、用量が所与の日に投与される場合、投与される各用量は、同じ量の、本開示の抗体を含有する場合もあり、投与される用量のうちの1つ以上は、この日に投与される、別の用量と比較して、多量又は少量の、本開示の抗体を含有する場合もある。例えば、本開示の抗体のための処置コースが、毎月の各回の投与において、有効量が、1日2回投与される、毎月の投与を要求する場合、投与される初回用量は、第1の量(すなわち、10mg/kg)を含有する場合があり、投与される2回目の用量は、第2の量(すなわち、5mg/kg)を含有しうる。別の例として述べると、本開示の抗体のための処置コースが、7日間にわたり、1日2回である場合、1日目に投与される初回用量は、第1の量(すなわち、10mg/kg)を含有する場合があり、1日目に投与される2回目の用量は、第2の量(すなわち、5mg/kg)を含有する場合があり、2~4日目の各々において投与される、2回分の用量は、第2の量を含有する場合があり、5~7日目の各々において投与される、2回分の用量は、第3の量(すなわち、2mg/kg)を含有しうる。
さらに、所与の処置コースのために、有効量のための投与スケジュールは、同じであることが要求されない。例えば、処置コースは、有効量が、最初の6カ月間にわたり、毎月送達され(単回用量又は複数回用量として)、次いで、次の12カ月間にわたり、3カ月ごとに送達される(単回用量又は複数回用量として)ことを要求しうる。
なおさらに、所与の処置コースのために、処置コースの期間中に、各回の投与において送達される有効量は、同じであることが要求されない。例えば、処置コースは、有効量が、最初の6カ月間にわたり、毎月送達され(単回用量又は複数回用量として)、次いで、次の6カ月間にわたり、2カ月ごとに送達される(単回用量又は複数回用量として)ことを要求する場合があり、この場合、最初の毎月の投与のための有効量は、10mg/kgであり、残りの毎月の投与及び隔月の投与のための有効量は、2.5mg/kgである。
任意の所与の用量が、単一の単位剤形により送達される場合もあり、1つを超える単位剤形により送達される場合もある。例えば、用量は、IV投与により施与される場合、単回のIV注入(すなわち、20mg/kgの単回IV注入)として施される場合もあり、相次いで投与され、単一用量による投与と考えられる、2回以上のIV注入(すなわち、10mg/kgずつ2回のIV注入)として施される場合もある。用量は、部分用量へと、さらに分割される場合がある。部分用量は、例えば、吸入器からの複数回の吸入、眼への複数の液滴の適用又は経口投与のための複数の錠剤など、多数回の、個別の、緩やかに間隔を空けた投与のための用量の場合もある。
ある特定の実施形態において、処置コースの期間中において、本開示の抗体の用量が1回だけ投与され、さらなる用量は投与されない。したがって、本明細書において記載された方法において、方法は、処置コースの全期間中において、有効量の本開示の抗体の単回用量の投与を含みうる。ある特定の実施形態において、処置コースの期間中に、本開示の抗体の、1回より多く用量が投与される。したがって、方法は、処置コースの期間中に、本開示の抗体の、複数回用量の投与を含みうる。ある特定の実施形態において、処置コースは、2日間~1カ月間、2日間~3週間、2日間~2週間又は2日間~1週間の範囲でありうる。ある特定の実施形態において、処置コースは、1カ月間~6カ月間、1カ月間~12カ月間、1カ月間~24カ月間又は1カ月間~36カ月間の範囲でありうる。ある特定の実施形態において、処置コースは、2日間~6日間、2日間~5日間、2日間~4日間又は2日間~3日間の範囲でありうる。ある特定の実施形態において、用量は、処置コースの期間中に、1日当たり少なくとも1回(すなわち、1~3回にわたり)送達される。ある特定の実施形態において、処置コースは、連続コースである。ある特定の実施形態において、用量は、処置コースの期間中に、毎日投与されない(例えば、用量は、処置コースの期間中に、隔日において、1日当たり少なくとも1回投与されるものとする)。さらに、上記において論じられた通り、各用量における、本開示の抗体の量は、同じである必要はない。前出のもののうちの、ある特定の実施形態において、1回以上の用量、好ましくは、全ての回の用量は、有効量の本開示の抗体を含有する。
ある特定の実施形態において、処置コースは、負荷用量としての、少なくとも1回の用量及び維持用量としての、少なくとも1回の用量の投与を含みうるが、この場合、負荷用量は、維持用量と比較して大きな量の、本開示の抗体(2~10倍などであるが、これらに限定されない)を含有する。この実施形態についての一側面において、初期に、負荷用量が投与された後において、処置コースの残りの期間にわたり、1回以上、維持用量が投与される。例えば、7日間にわたり、b.i.d.である処置コースのために、1日目における初回用量としての、10mg/kgの負荷用量が投与され、続いて、処置コースの残りの期間にわたる、2mg/kgの維持用量が投与されうる。さらなる例として述べると、7日間にわたり、b.i.d.である処置コースのために、1日目における初回用量としての、20mg/kgの負荷用量が投与され、続いて、1日目における2回目の用量及び2~4日目における各用量としての、5mg/kg維持用量、続いて、処置コースの残りの期間にわたる、2m/kgの維持用量が投与されうる。
さらに、負荷用量は、処置コースの期間中に投与された初回用量ではない用量として投与される場合がある。例えば、負荷用量は、1日目における初回用量として及び1日以上のさらなる日(例えば、4日目)における用量として投与されうる。例えば、7日間にわたり、b.i.d.である処置コースのために、1日目における初回用量としての、10mg/kgの負荷用量が投与され、続いて、1日目における2回目の用量及び2~3日目における各用量としての、2mg/kg維持用量、続いて、4日目における初回用量としての、10mg/kgの負荷用量、続いて、処置コースの残りの期間にわたる、2mg/kgの維持用量が投与されうる。1回より多く負荷用量が、処置コースの期間中に投与される場合、負荷用量は、同じ(すなわち、10mg/kg)場合もあり、異なる(すなわち、1回目の負荷用量のための20mg/kg及び他の各負荷用量のための10mg/kg)場合もある。
ある特定の実施形態において、負荷用量は、同じ処置コース期間中に投与された維持用量と比較して、2~15倍の本開示の抗体を含む。ある特定の実施形態において、負荷用量は、同じ処置コース期間中に投与された維持用量と比較して、2~10倍の本開示の抗体を含む。ある特定の実施形態において、負荷用量は、同じ処置コース期間中に投与された維持用量と比較して、2~5倍の本開示の抗体を含む。
上記において論じられた、負荷用量及び維持用量についての、ある特定の実施形態において、負荷用量及び維持用量のうちの1回分以上、好ましくは、負荷用量及び維持用量の全ては、有効量の本開示の抗体を含有する。さらに、上記において論じられた、負荷用量及び維持用量についての、ある特定の実施形態において、1回以上の負荷用量の投与及び/又は維持用量の投与は、1回以上の部分用量の投与及び/又は1つ以上の単位剤形の投与を含みうる。
ある特定の実施形態において、処置コースは、対象が、SARS-CoV-2に感染した後において開始される(すなわち、初回用量が投与される)。ある特定の実施形態において、処置コースは、対象が、SARS-CoV-2に感染した後の、任意の時点において開始される。ある特定の実施形態において、処置コースは、対象が、SARS-CoV-2に感染した後であり、かつ、活動性のSARS-CoV-2感染が検出されうる前である、任意の時点において開始される(すなわち、検査室における診断又は他の方法により)。ある特定の実施形態において、処置コースは、対象が、活動性のSARS-CoV-2感染を有する、任意の時点において開始される(すなわち、検査室における診断又は他の方法により)。ある特定の実施形態において、処置コースは、対象が、SARS-CoV-2に感染した1~5日後において開始される。ある特定の実施形態において、処置コースは、対象が、SARS-CoV-2に感染した5~10日後において開始される。
ある特定の実施形態において、処置コースは、対象が、SARS-CoV-2に感染する前に開始される(すなわち、予防的投与)。例えば、対象が、SARS-CoV-2感染が報告されている地域を訪れようと計画している、又は自身が、SARS-CoV-2へと曝露されうると考える場合、対象は、地域への訪問の前に、又は潜在的曝露の前に、本開示の抗体による処置コースを受けることができる。さらに、対象は、非ヒトベクター供給源に由来するSARS-CoV-2感染へと、最初に曝露された者ではない者でありうる。例えば、SARS-CoV-2へと曝露されている、又はSARS-CoV-2への曝露に対する危険性がある者の(例えば、SARS-CoV-2感染が報告されている地域を訪れることにより)、配偶者又はパートナーもまた、本開示の抗体による処置コースを受けることができる。本開示の抗体の、このような予防的使用は、本開示の抗体を投与される対象を保護するだけでなく、それらと接触する対象(例えば、家族構成員及び同僚)の防御においてもまた、有益である。
前出の実施形態うちのいずれかにおいて、用量は、単独において、本開示の抗体を含む場合もあり、医薬組成物中に、本開示の抗体を含む場合もある。前出の実施形態うちのいずれかにおいて、各用量は、非経口投与により送達される。前出の実施形態うちのいずれかにおいて、各用量は、IV投与により送達される。前出の実施形態うちのいずれかにおいて、各用量は、IM投与により送達される。前出の実施形態うちのいずれかにおいて、各用量は、皮下投与により送達される。前出の実施形態うちのいずれかにおいて、各用量は、肺内経路を介して送達される。前出の実施形態うちのいずれかにおいて、各用量は、肺内投与により送達される。前出の実施形態うちのいずれかにおいて、各用量は、鼻腔内投与により送達される。
前出の実施形態うちのいずれかにおいて、各用量は、薬学的に許容される塩など、薬学的に許容される形態中に、ある量の、本開示の抗体を含有する。
医薬組成物
本開示の抗体は、インビボにおける投与に適する、薬学的に許容される形態における、対象への投与のための医薬組成物へと製剤化されうる。本開示は、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と組み合わされた、本開示の抗体を含む医薬組成物を提示する。薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤は、活性化合物に対して、化学的に不活性であり、使用条件下において非毒性であることが多い。本明細書において利用された、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤は、医薬組成物のための材料として使用され、鎮痛剤、緩衝剤、保湿剤、乳化剤(emulsifying agents)、pH調整剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、乳化剤(emulsifiers)、増量材、流動促進剤、可溶化剤、安定化剤、懸濁剤、等張剤、媒体、増粘剤、抗酸化剤、着色剤、香味改善剤、保存剤及び甘味剤として組み込まれた、多様な有機材料又は無機材料から選択されうる。
一実施形態において、本開示は、本開示の抗体を含む医薬組成物を提示するが、この場合、医薬組成物は、1~6,000mgの抗体を含む。例えば、医薬組成物は、1~2,000mg、1~600mg、1~500mg、1~400mg、1~300mg、1~200mg又は1~100mgの抗体を含有しうる。一実施形態において、本開示の抗原は、医薬組成物中に、少なくとも1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、50mg/mL、100mg/mL、150mg/mL、200mg/mL、300mg/mL、400mg/mL又は500mg/mL(前出の各々における濃度は、750mg/mL未満である)の濃度において存在する。
医薬組成物中の、本開示の抗体の量は、当技術分野において公知の通りに変動しうる。一般に、本開示の抗体の量は、医薬組成物の総重量により、約0.01%~約99%、好ましくは、約0.1%~約70%、約0.5%~50%又は約1%~約30%の範囲である。
薬学的に許容される担体の例は、例えば、水又は生理食塩液、ポリエチレングリコール、炭水化物及びその誘導体、油、脂肪酸又はアルコールなどのポリマーを含みうる。一部の実施形態において、薬学的に許容される担体は、生理食塩水又は水である。一部の実施形態において、薬学的に許容される担体は、生理食塩水である。一部の実施形態において、薬学的に許容される担体は、水又は生理食塩液である。
サーファクタントなどであるが、これらに限定されない、界面活性剤もまた、製剤における使用に適する。界面活性剤の具体例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール若しくはソルビタンのポリオキシエチル化エステル;レシチン若しくはカルボキシメチルセルロースナトリウム;又はメタクリレート及び他のアクリル誘導体などのアクリル誘導体、アルカリ性ステアリン酸、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム若しくはステアリン酸アンモニウムなどのアニオン性界面活性剤;ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸トリエタノールアミン;硫酸アルキル、特に、ラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム若しくはスルホコハク酸ジオクチルナトリウム;又は脂肪酸、特に、ヤシ油に由来する脂肪酸、式:NR’R’’R’’’R’’’’Y[式中、Rラジカルは、任意選択的にヒドロキシル化された、同一の炭化水素ラジカル又は異なる炭化水素ラジカルであり;Yは、ハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン及びスルホン酸アニオンなど、強酸のアニオンである]の、水溶性四級アンモニウム塩(臭化セチルトリメチルアンモニウムは、使用されうるカチオン性界面活性剤のうちの1つである);式:NR’R’’R’’’[式中、Rラジカルは、任意選択的にヒドロキシル化された、同一の炭化水素ラジカル又は異なる炭化水素ラジカルである]の、アミン塩(オクタデシルアミン塩酸塩は、使用されうるカチオン性界面活性剤のうちの1つである)などのカチオン性界面活性剤;任意選択的に、ソルビタンのポリオキシエチル化エステルなどの非イオン性界面活性剤;特に、Polysorbate 80又はポリオキシエチル化アルキルエーテル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチル化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチル化脂肪族アルコール、ポリオキシエチル化脂肪酸又はエチレンオキシドと酸化プロピレンとのコポリマー、ベタインの置換ラウリル化合物などの両親媒性界面活性剤を含む。
対象へと投与された場合、医薬組成物は、好ましくは、滅菌である。本開示の医薬組成物は、医薬技術分野において周知の方法により調製される。例えば、本開示の抗体は、懸濁液又は溶液としての、担体及び/又は賦形剤と合わせられる。任意選択的に、1つ以上のアクセサリー成分(例えば、緩衝剤、香味剤、界面活性剤など)もまた、添加されうる。担体及び/又は賦形剤の選び出しは、抗体の可溶性及び化学的性質、選び出された投与経路及び標準的な薬学的慣行により決定される。一部の実施形態において、医薬組成物は、本開示の抗体及び水を含む。一部の実施形態において、製剤は、本開示の抗体及び生理食塩水を含む。
経口投与のために、本開示の医薬組成物は、カプセル、錠剤、粉末、顆粒として提示される場合もあり、懸濁液又は溶液として提示される場合もある。カプセル製剤は、ゼラチンの場合もあり、軟質ゲルの場合もあり、固体の場合もある。錠剤及びカプセル製剤は、それらの各々が、当技術分野において公知である、1つ以上のアジュバント、結合剤、希釈剤、崩壊剤、賦形剤、増量剤又は滑沢剤をさらに含有しうる。このような物質の例は、ラクトース又はスクロースなどの炭水化物、無水二塩基性リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、マンニトール、キシリトール、セルロース又はこれらの誘導体、微結晶セルロース、ゼラチン、ステアリン酸、二酸化ケイ素、滑石、デンプングリコール酸ナトリウム、アカシアガム、香味剤、保存剤、緩衝剤、崩壊剤及び着色剤を含む。経口投与用医薬組成物は、薬学的に美味の調製物をもたらすように、果糖、アスパルターム又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーン油又はチェリー油などの香味剤;着色剤;並びに保存剤などであるが、これらに限定されない、1つ以上の任意選択の薬剤を含有しうる。
非経口投与のために、本開示の抗体は、対象の血液と等張性である、滅菌水溶液と組み合わされうる。このような製剤は、水溶液をもたらすように、固体の有効成分を、塩化ナトリウム、グリシンなど、生理学的に適合性の物質を含有する水中に溶解させ、生理学的条件と適合性であるpHへと緩衝処理し、次いで、溶液を滅菌溶液とすることにより調製されうる。製剤は、シーリングされたアンプル又はバイアルなど、単位剤形において提示されうる。製剤は、限定せずに述べると、筋膜上投与、関節包内投与、頭蓋内投与、皮内投与、髄腔内(intrathecal)投与、筋内投与、眼窩内投与、腹腔内投与、髄腔内(intraspinal)投与、胸骨内(intrasternal)投与、血管内投与、静脈内投与、吸入投与、鼻腔内投与、実質内投与、皮下投与又は舌下投与を含む、任意の注入方式により送達される場合もあり、対象の体内へのカテーテルにより送達される場合もある。好ましい注入方式は、静脈内投与、筋内投与又は鼻腔内投与である。
非経口投与は、水性ベースの溶液及び非水性ベースの溶液を含む。これらの例は、例えば、水、生理食塩水、水性糖溶液又は糖アルコール溶液、アルコール類(エチルアルコール、イソプロパノール、グリコールなど)、エーテル、油、グリセリド、脂肪酸及び脂肪酸エステルを含む。一部の実施形態において、水は、非経口投与のために使用される。一部の実施形態において、生理食塩水は、非経口投与のために使用される。非経口注射のための油は、動物油、植物油、合成油又は石油ベースの油を含む。溶液のための糖の例は、スクロース、ラクトース、デキストロース、マンノースなどを含む。油の例は、鉱物油、石油、ダイズ油、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油などを含む。脂肪酸及びエステルの例は、オレイン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びこれらのエステルを含む。一部の実施形態において、水は、本開示の抗体が、静脈内投与される場合、賦形剤及び/又は担体である。一部の実施形態において、賦形剤及び/又は担体は、本開示の抗体が、静脈内投与される場合、生理食塩液である。一部の実施形態において、賦形剤及び/又は担体は、本開示の抗体が、静脈内投与される場合、乳酸加リンゲル液である。本開示の抗体が、静脈内投与される場合、水性デキストロース溶液及び水性グリセロール溶液もまた、賦形剤及び/又は担体として利用されうる。
本開示の抗体は、気道(例えば、肺内投与又は経鼻投与)を介して投与される、エアゾール製剤へと製剤化されうる。これらのエアゾール製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン及び窒素など、許容可能な高圧ガス中に封入されうる。このようなエアゾール製剤は、用量計量型吸入器により投与されうる。エアゾール製剤はまた、噴霧器又はアトマイザー内の非高圧化調製物などの非高圧化調製物のための医薬剤としても製剤化されうる。
単独において、又は適切な賦形剤及び/又は担体と組み合わされて、本開示の抗体は、経鼻噴霧又は肺内噴霧としての水溶液中の投与が可能であり、当業者に公知の、様々な方法により、噴霧形態において分注されうる。製剤は、複数回用量用容器により、例えば、米国特許第4,511,069号明細書において開示されている、密封型分注システムにより提示されうる。さらなるエアゾール送達形態は、例えば、医薬用溶媒、例えば、水、エタノール又はこれらの混合物中に溶解又は懸濁された活性薬剤を送達する、圧縮空気式噴霧器、ジェット式噴霧器、超音波式噴霧器及び圧電式噴霧器を含みうる。
本開示の経鼻溶液及び肺内溶液は、典型的に、薬物又は任意選択的に、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)などの界面活性剤及び1つ以上の緩衝液により製剤化されて送達される薬物を含む。本発明の一部の実施形態において、経鼻噴霧溶液は、高圧ガスをさらに含む。経鼻噴霧溶液のpHは、任意選択的に、約pH3.0~6.0の間、好ましくは、4.5±0.5である。これらの組成物中の使用に適する緩衝液は、上記において記載された通りである、又は当技術分野の他の形において公知である。化学的安定性を増強又は維持するように、保存剤、界面活性剤、分散剤又はガスを含む、他の成分も添加されうる。適切な保存剤は、フェノール、メチルパラベン、パラベン、m-クレゾール、チメロサール、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなどを含むが、これらに限定されない。適切な界面活性剤は、オレイン酸、トリオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート、レシチン、ホスファチジルコリン並びに多様な長鎖ジグリセリド及びリン脂質を含むが、これらに限定されない。適切な分散剤は、エチレンジアミン四酢酸などを含むが、これらに限定されない。適切なガスは、窒素、ヘリウム、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、二酸化炭素、空気などを含むが、これらに限定されない。
代替的実施形態内において、経鼻製剤及び肺内製剤は、鼻腔内送達のための、適切な粒子サイズである、又は適切な粒子サイズ範囲内にある、乾燥形態、通例、乾燥凍結形態の活性薬剤を含む、乾燥粉末製剤として投与される。経鼻経路又は肺内経路内の沈着に適切な最小粒子サイズは、約0.5μmの空気動力学的中央粒子径(MMEAD)、主に、約1μmのMMEADであることが多く、より典型的に、約2μmのMMEADであることが多い。経鼻経路内の沈着に適切な最大粒子サイズは、約10μmのMMEAD、主に、約8μmのMMEADであることが多く、より典型的に、約4μmのMMEADであることが多い。これらのサイズ範囲内の鼻腔内吸入用粉末及び肺内吸入用粉末は、例えばジェットミリング、噴霧乾燥、溶媒沈殿、超臨界流体凝縮など、様々な常套的技法により作製されうる。適切なMMEADを有する、これらの乾燥粉末は、粉末を、エアゾール化量へと分散するのに、肺内吸入時又は経鼻吸入時における、患者の呼吸に依拠する、常套的な乾燥粉末吸入器(DPI)を介して、患者へと投与されうる。代替的に、乾燥粉末は、粉末を、エアゾール化量へと分散するのに、外部の動力供給源を使用する、空気支援型デバイス例えば、ピストン式ポンプを介して投与されうる。
経鼻送達又は肺内送達のための組成物を製剤化するために、活性薬剤は、薬学的に許容される、多様な添加剤のほか、活性薬剤(複数可)を分散させるための基剤又は担体と共に組み合わされうる。所望の添加剤は、例えば、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、クエン酸などのpH制御剤を含むが、これらに限定されない。加えて、局所麻酔剤(例えば、ベンジルアルコール)、等張剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール)、吸着阻害剤(例えば、Tween 80)、可溶性増強剤(例えば、シクロデキストリン及びその誘導体)、安定化剤(例えば、血清アルブミン)及び還元剤(例えば、グルタチオン)も組み入れられうる。経鼻送達又は肺内送達のための組成物が、液体である場合、0.9%(w/v)の生理学的生理食塩液の張性を1とした張性に照らして測定された製剤の張性は、典型的に、投与部位の鼻粘膜内において、実質的な、不可逆的組織損傷が誘導されない値へと調整される。一般に、溶液の張性は、約1/3~3、より典型的に、1/2~2の値へと調整され、最もしばしば、3/4~1.7の値へと調整される。
本開示の抗体は、活性薬剤及び任意の所望の添加剤を分散する能力を有する、親水性化合物を含みうる、基剤中又は媒体中に分散されうる。基剤は、ポリカルボン酸又はその塩、カルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸)の、他の単量体(例えば、アクリル酸(メタクリル酸)メチル、アクリル酸など)とのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの親水性ビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体並びにキトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸及びこれらの非毒性金属塩などの天然ポリマーを含むが、これらに限定されない、広範囲にわたる適切な担体から選択されうる。生体分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸-グリコール酸)コポリマー、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸-グリコール酸)コポリマー及びこれらの混合物が、基剤又は担体として選択されることが多い。代替的に、又は、加えて、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステルなどの合成脂肪酸エステルも、担体として利用されうる。親水性ポリマー及び他の担体は、単独において使用される場合もあり、組合せにおいて使用される場合もあり、部分的結晶化、イオン結合、架橋などにより、構造的完全性の増強が、担体へと付与されうる。担体は、鼻粘膜への直接的な適用のための、流体又は粘稠性溶液、ゲル、ペースト、粉末、微粒子及び薄膜を含む、様々な形態においてもたらされうる。この文脈における、選択された担体の使用は、活性薬剤の吸収の促進を結果としてもたらしうる。
一部の実施形態において、本開示の抗体は、錠剤、カプセル、静脈内投与のための注入バッグ又は単回用量バイアルなどの単位剤形である。適切な単位剤形は、有効量(本明細書において記載された有効量の具体例を含む)を含有しうる。有効量は、本開示の抗体の投与が適応である状態の各々のために適切にデザインされた臨床試験時における決定及び/又は変更が可能であり、当然ながら、所望の臨床エンドポイントに応じて変動する。
本開示はまた、対象における、SARS-CoV-2感染などの障害を処置及び防止するための製品も提示する。製品は、任意選択的に、本明細書において記載された、少なくとも1つのさらなる抗ウイルス化合物をさらに含有する、本開示の抗体又は本開示の抗体を含む医薬組成物を含む。製品は、医薬組成物が、処置及び/又は防止することが可能な、多様な障害についての表示と共に、パッケージングされうる。例えば、製品は、ある特定の障害を処置又は防止することが可能な、本開示の抗体の単位用量、及び単位用量が、ある特定の障害、例えば、SARS-CoV-2感染を処置又は防止することが可能であることの表示を含みうる。
検出及び診断
本開示の抗体は、SARS-CoV-2の検出及び診断のために使用されうる。検出は、当技術分野において公知である、任意の手段により、例えば、ELISAを含むイムノアッセイによりなされうる。他のイムノアッセイは、酵素免疫アッセイ(EIA)、ELISPOT(enzyme-linked immunospot)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫蛍光法及びウェスタンブロット解析及び/又は免疫沈殿法を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知である、他のアッセイを含むが、これらに限定されない。
例えば、ELISA(直接ELISA又はサンドウィッチELISA)において、抗原、又は抗原を含む試料の、緩衝液を、マイクロ滴定プレートのウェルへと添加する。次いで、非特異的結合を防止するように、非反応性タンパク質溶液を、ウェルへと添加する。本開示の抗体又はその抗原結合断片を添加する。このような抗体又は抗原結合断片は、典型的に、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ-D-ガラクトシダーゼなどであるが、これらに限定されない、レポーター分子へとコンジュゲートされる。本開示の抗体又はその抗原結合断片が、レポーター分子へとコンジュゲートされない場合、本開示の抗体を認知する二次抗体であって、レポーター分子へとコンジュゲートされた二次抗体を添加することができる。次いで、レポーター分子のための基質を添加して、検出可能なシグナルをもたらす。ELISAは、定性的フォーマットにおいて行われる場合もあり、定量的フォーマットにおいて行われる場合もある。定性的結果は、試料についての、単純な陽性結果又は陰性結果(「あり」又は「なし」)をもたらす。競合的ELISAもまた、使用されうる。このフォーマットにおいて、標識されていない、本開示の抗体又はその抗原結合断片(レポーター分子へとコンジュゲートされている場合もあり、標識されていない場合もある、一次抗体)を、抗原を含有する試料の存在下においてインキュベートし、次いで、この混合物を、同じ抗原(参照抗原)によりコーティングされたマイクロ滴定プレートへと添加する。結合しなかった抗体を除去するように、プレートを洗浄する。一次抗体が、レポーター分子へとコンジュゲートされていない場合、レポーター分子へとコンジュゲートされた二次抗体であって、一次抗体に特異的な二次抗体を添加して、検出可能なシグナルを発生させる。試料中の抗原の量に応じて、参照抗原に結合可能な一次抗体が、抗原より多くなる、又は少なくなる。これは、試料中に存在する抗原が多いほど、少数の参照抗原が検出され、検出可能なシグナルが弱くなることを意味する。標識化抗体ではなく、標識化抗原を使用することができる。このフォーマットにおいて、試料中の抗原が少ないほど、標識化抗原が保持され、検出可能なシグナル結果が強くなる。
RIAにおいて、典型的に、既知数量の抗原は、I-125などであるが、これらに限定されない放射性トレーサーへと連結し、次いで、これを、抗原(SARS-CoV-2スパイクタンパク質など)に結合する、既知量の本開示の抗体と混合する。その後、未知数量の抗原を含有する試料を添加する、標識されていない抗原の濃度が増大するので、抗体と、標識化標準物質との結合が低下するが、これは、放射能を測定することにより、直接測定可能である。
一態様において、本開示は、患者におけるSARS-CoV-2を決定(イムノアッセイによる決定など)するための方法であって、a)患者に由来する身体試料を、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片及び検出用標識と共にインキュベートして、決定可能基を含有する免疫複合体を形成させるステップであって、検出用標識が、抗体若しくはその抗原結合断片上に存在する、又は検出用標識が、SARS-CoV-2又は抗体若しくはその抗原結合断片に対する結合パートナー上に存在するステップ;並びにb)試料中の検出用標識の存在を決定するステップであって、検出用標識の存在が、SARS-CoV-2は、試料中に存在することを指し示すステップを含む方法を提示する。
一実施形態において、このような方法は、免疫複合体を、試料から単離するステップ、及び単離された免疫複合体内又は残余の試料中における、検出用標識の存在を決定するステップをさらに含みうる。
ある特定の実施形態において、身体試料は、血清試料、血液試料、血漿試料、咽頭スワブ試料、鼻咽頭スワブ試料、痰試料、糞便試料、尿試料、唾液試料又は気管支肺胞洗浄液試料である。
本明細書において記載された、任意のアッセイは、診断を目的として使用されうる。したがって、本開示は、本開示の抗体を使用して、対象におけるSARS-CoV-2感染を診断する方法を提示する。このような診断的使用は、SARS-CoV-2感染が存在するのかどうかを決定し、SARS-CoV-2感染からの回復をモニタリングし、SARS-CoV-2感染を処置するための治療処置の有効性について査定することへと方向付けられる場合があり、当技術分野において公知である、他の目的のために方向付けられうる。
キット
本開示はまた、本明細書において記載された方法における使用のためのキットであって、本開示の抗体又はその薬学的に許容される形態並びに以下:(i)少なくとも1つの他の治療剤;(ii)緩衝剤;(iii)本開示の抗体又はその薬学的に許容される形態を、対象へと投与して、対象におけるSARS-CoV-2感染を処置する、又は試料(対象に由来する試料など)中のSARS-CoV-2を検出するための指示書のうちの少なくとも1つを含むキットも提示する。
開示されたキットについての一実施形態において、対象は、ヒトである。開示されたキットについての一実施形態において、抗体は、表1又は表2A~2Hによる抗体、上記において記載された、第1の実施形態~第4の実施形態又は第1の実施形態~第4の実施形態についての具体的側面のうちのいずれかによる抗体である。
本開示は、以下の非限定的実施例により、さらに記載される。
[実施例1]
SARS-CoV-2特異的抗体の同定、精製、シーケンシング及び組換え作製
末梢血試料は、SARS-CoV-2感染の検証時において、又はこの検証後において、単一の個体から得た。末梢血単核細胞(PBMC)は、密度勾配精製により単離した。
SAR-CoV-2スパイク受容体結合ドメイン(RBD)特異的B細胞を得るために、PBMCを、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗IgD-PE抗体、抗CD3抗体及び抗CD14抗体に加えた、カスタムにより作出された、蛍光コンジュゲート組換えRBD四量体タンパク質により、Kobieら、Monoclon Antib Immunodiagn Immunother.、2015年4月1日、34(2):65~72において記載されているのと同様に、4℃において、60分間にわたり染色した。FACSMelody cell sorter(BD Biosciences)を使用して、単一のCD3-CD14-CD19+RBD+細胞を、0.5倍濃度のPBSウェル1つ当たり4μLを、10mMのDTT(Invitrogen)及び8UのRiboLock(ThermoFisher)RNアーゼ阻害剤と共に含有する96ウェルPCRプレート(Bio-Rad、Hercules、Calif.)へと、直接分取した。MICROSEAL F FILM(Bio-Rad)により、プレートをシーリングし、RT-PCRのために使用されるまで、-80℃において瞬時凍結させた。
Kobieらにおいて既に記載されている通りに、cDNAを合成し、IgH、Igλ及びIgκのV遺伝子転写物についてのセミネステッドRT-PCRを実施した。IgG1発現ベクターのクローニング及びヒトHEK293T細胞(ATCC、Manassas、Va.)のトランスフェクションは、Kobieら、Monoclon Antib Immunodiagn Immunother.、2015年4月1日、34(2):65~72及びTillerら、J Immunol Methods.、2008年1月1日、329(1~2):112~124において既に記載されている通りに実施した。PCR産物は、Genewiz Sequenceにおいてシーケンシングされ、同一性が最大である生殖細胞系列V(D)J遺伝子セグメントを同定し、配列特性を決定するように、IgBlast及びIMGT/V-QUESTにより解析した(表3に示される)。MAGNA PROTEIN Gビーズ(Promega、Madison、Wis.)を使用して、IgGを、培養物上清から精製した。
表3は、各抗体のほか、元の抗体アイソタイプについて、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のための、生殖細胞系列V(D)Jを指し示す、本開示のSARS-CoV-2 hmAbについての記載を提示する。
Figure 2023540759000008
[実施例2]
本開示の抗体は、SARS-CoV-2タンパク質に結合する
本開示の抗体が、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に結合したのかどうかを決定するために、結合実験を実施した。ELISAプレートを、以下の組換えSARS-CoV-2ポリペプチド:i)SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)ポリペプチド(配列番号162);ii)SARS-CoV-2 S1ドメインポリペプチド(RBDを含有する)(配列番号163);iii)SARS-CoV-2 S1ドメインポリペプチド及びSARS-CoV-2 S2ドメインポリペプチド(配列番号164);並びにiv)SARS-CoV-2ヌクレオタンパク質(N;陰性対照)(配列番号165)によりコーティングした。CR3022抗体(スパイクタンパク質に特異的に結合する組換えヒト抗SARS-CoVモノクローナル抗体)を、陽性対照として用いる一方、PBSだけと共にインキュベートされた(組換えSARS-CoV-2ポリペプチドを伴わない)ウェルもまた、陰性対照として用いた。組換えSARS-CoV-2ポリペプチドを、1μg/mlの濃度においてコーティングし、プレートを、PBS中に3%のウシ血清アルブミン(BSA)によりブロッキングした。本開示の抗体を、PBS中において希釈し、1及び10μg/mlにおいて調べた。抗体の結合は、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート抗ヒトIgGを使用して検出した。結果を、図1において、1及び10μg/mlの抗体濃度の両方について、OD読取りの曲線下面積として表された値と共に示す。
図1から見られる通り、本開示の抗体は、組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質ポリペプチドに、特異的に結合したが、陰性対照であるSARS-CoV-2 Nポリペプチドへの著明な結合を示さなかった。図1はまた、本開示の抗体が、組換えSARS-CoV-2 RBDポリペプチドに対して、SARS-CoV-2 S1ポリペプチドポリペプチド及びSARS-CoV-2 S1+S2ポリペプチドと比較して、より優先的な結合を示したことも示す。抗体である、1213H7、1206D1、1212D4、1206D12、1207F10及び1206G12が、組換えSARS-CoV-2 RBDポリペプチドに対して、組換えSARS-CoV-2 S1ポリペプチドと比較して、2倍以上の結合を示したことは、全長SARS-CoV-2スパイクタンパク質内において、エピトープの少なくとも一部が、遮蔽されうることを示唆する。これに対し、抗体である、1212C2、1212F2、1212D5、1206A5、1212D6及び1206D12は、組換えSARS-CoV-2 RBDポリペプチドへの結合において、組換えSARS-CoV-2 S1ポリペプチド及び組換えSARS-CoV-2 S1+S2ポリペプチドと比較して、最小の差違を示した。
[実施例3]
本開示の抗体は、SARS-CoV-2感染細胞に結合する
本開示の抗体が、SARS-CoV-2感染細胞に結合したのかどうかを決定するために、結合実験を実施した。Vero E6細胞に、SARS-CoV-2ウイルス(BEI Resources(NR-52281)から得られた、USA-WA1/2020(Gen Bank:受託番号:MN985325.1))を感染させる、又はモック感染させ、感染後異なる時間にわたり、インキュベートした。次いで、細胞を、4%の中性ホルムアルデヒドにより、30分間にわたり固定するのに続き、0.5%のtriton X-100を、15分間にわたり使用して、透過化処理を行った。次いで、細胞を、2.5%のウシ血清アルブミン(BSA)により、37℃において、1時間にわたりブロッキングした。次いで、細胞を、表示の抗体(1μg/ml)と共に、37℃において、1時間にわたりインキュベートするのに続き、FITCコンジュゲート抗ヒトIgG二次Abを伴うインキュベーションを行った。蛍光顕微鏡を使用して、FITC Abの画像を撮影した。
結果を、図2に示す。全ての被験抗体は、SARS-CoV-2感染細胞に結合したが、モック感染細胞への有意な結合は見られなかった。
[実施例4]
本開示の抗体は、SARS-CoV-2抗体により、SARS-CoV-2ウイルスを中和した
PRMNT(plaque reduction microneutralization)アッセイを使用して、本開示の抗体が、SARS-CoV-2ウイルスを中和する能力について解析した。Ab含有試料の系列希釈液を使用するので、PRMNTアッセイは、Abの中和活性を、濃度依存的に測定する。中和抗体が、ウイルス感染を阻害する能力は、ウイルスが、目視可能なプラークを産生する能力の、ウイルスに感染しただけの対照細胞と比較した場合の低減において顕示される。PRMNTアッセイは、PRMNTが、96ウェルプレートを活用することが異なる以外は、プラーク減少中和アッセイと同様である。
抗体が、SARS-CoV-2ウイルスを中和する能力は、2つの異なる手法である、処理前法及び処理後法を使用して決定した。処理前実験において、本開示の抗体を、SARS-CoV-2と共に、37℃において、1時間にわたりプレインキュベートする。これは、抗体が、スパイクタンパク質に結合し、ウイルスの付着を遮断し、その後、ウイルスの侵入過程に干渉することを可能とする。処理後実験において、ウイルスの吸着を、37℃において、1時間にわたり進行させる。これは、ウイルスに、細胞表面受容体(ACE2)に結合することにより、ウイルス侵入を開始する機会を与える。感染細胞と共にインキュベートされた抗体は、後続の細胞へのウイルス侵入ステップを、部分的に遮断することにより、かつ/又は細胞間におけるウイルス後代の蔓延を阻害することにより、活動性のウイルス複製に干渉しうる。処理前実験及び処理後実験のいずれにおいても、ウイルス中和の程度は、交差反応性抗SARS-CoV-1抗体による染色時に視覚化することができ、50%中和力価(NT50)は、S字型用量反応曲線を使用して計算される。抗体のNT50は、感染細胞のうちの50%において、ウイルスの複製を阻害した希釈率である。
処理前PRMNTアッセイが、ある程度まで、抗体活性についての予防的評価として記載されうるのに対し、処理後PRMNTアッセイは、SARS-CoV-2に対する、Abの中和活性についての治療的査定をもたらす。加えて、処理前PRMNTアッセイが、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDをターゲティングする抗体の同定に焦点を当てるのに対し、処理後PRMNTアッセイは、タンパク質分解性切断ステップ(例えば、S1領域)、融合イベント(例えば、S2領域)に関与する、ウイルススパイクタンパク質上の他の領域をターゲティングする抗体又はウイルスの複製周期(例えば、ウイルスのアセンブリー及び/又は発芽)における他のステップに影響を及ぼす抗体の同定を可能とする。一般に、強力なSARS-CoV-2中和抗体が、低NT50力価を示すのに対し、弱い中和抗体は、高NT50値をもたらす。
処理前実験のために、ウェル1つ当たり100PFUのSARS-CoV-2(BEI Resources製のUSA-WA1/2020(NR-52281))を、100μlの感染培地(1%のペニシリン-ストレプトマイシン-L-グルタミン酸を伴うDMEM)中の濃度を減少させる、本開示の抗体(出発濃度を、ウェル1つ当たり25,000ngとする、本開示の抗体についての、2倍希釈液)と混合し、感染培地中、37℃、5%のCOにおいて、1時間にわたりインキュベートした。Vero HL細胞(96ウェルプレートフォーマット、ウェル1つ当たりの細胞4×10個、四連)に、ウイルス-抗体混合物を感染させ、1時間にわたりインキュベートした(ウイルスの吸着)。インキュベーションの1時間後、培地を、感染後培地(2%のFBS及び1%のAvicelを含有するDMEM)により置きかえた。
処理後実験のために、感染培地中のVero HL細胞(96ウェルプレートフォーマット、ウェル1つ当たりの細胞4×10個、四連)に、ウェル1つ当たり100PFUの、SARS-CoV-2(BEI Resources製のUSA-WA1/2020(NR-52281))を感染させた。ウイルスの吸着の1時間後、感染培地を、濃度を減少させる、本開示の抗体(出発濃度を、50,000又は25,000ng/mlとする、本開示の抗体についての、2倍希釈液)を含有する、100μlの感染後培地と交換した。
感染の24時間後、感染細胞(処理前細胞及び処理後細胞の両方)を、10%の中性ホルマリンにより、24時間にわたり固定し、抗NP(ヌクレオタンパク質)モノクローナル1C7C7抗体を使用して、免疫染色した。ELISPOTを使用して、ウイルスの中和について、査定及び定量し、S字型用量反応曲線を使用して、感染性の百分率を計算した。モック感染細胞及び本開示の抗体の非存在下におけるウイルスを、内部対照として使用した。
結果を、下記の表4に示す。結果は、本開示の抗体が、SARS-CoV-2中和抗体であることを示す。被験抗体のうちの9つは、処理前条件及び処理後条件において、同様の活性を提示した(処理前条件及び処理後条件について、NT50値が、互いの2倍以内であった)。被験抗体のうちの8つは、処理前条件及び処理後条件において、異なる活性を提示した(処理前条件及び処理後条件について、NT50値が、互いの2倍を超えた)。
Figure 2023540759000009
抗体である1212C2が、処理前条件及び処理後条件のいずれにおいても、強力な中和活性を呈し、各アッセイにおけるNT50値が、<50ng/mlであったことは注目に値する。抗体である1212C2は、組換えSARS-CoV-2 RBDポリペプチドに対する、強い結合を呈した(図1)。同様に、抗体である1212F5及び1213H7は、処理前条件及び処理後条件のいずれにおいても、強力な中和活性を呈し、各アッセイにおけるNT50値は、<100ng/mlであった。
[実施例5]
SARS-CoV-2抗体の、SARS-CoV-2受容体結合ドメインに対する、高アフィニティー及び顕著に異なる結合プロファイル
hmAbの、SARS-CoV-2スパイクRBDに対するアフィニティーを確認するために、表面プラズモン共鳴(SPR)を実施した。SPR実験は、10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.0075%のP20及び100μg/mLのBSAからなるランニング緩衝剤を使用して、Biacore T200(Cytiva)上、25℃において実施した。アフィニティーを測定するために、ヒトIgG捕捉キット(Cytiva)を使用して、抗体を、CM-5センサーチップ上に捕捉した。全てのSPRアフィニティー実験は、二重参照実験とした(例えば、センサーグラムデータを、対照表面データ及び緩衝剤ブランク注入データから差し引いた)。全ての実験のための対照表面は、捕捉抗体からなった。約100RUの各hmAbを、チップ表面へと捕捉した。RBDを、4つの濃度(80nM、20nM、5nM及び1.25nM)において、90秒間にわたり、NmAb上に注入するのに続き、300秒間にわたる解離相にかけた。各回の注入の後、表面を、3MのMgCl2による30秒間にわたるパルスにより再生するのに続き、新たなhmAbの捕捉を行った。アフィニティー解析のための緩衝剤の流量は、50μL/分であった。Biacore T-200 evaluation software version 1.0を使用して、バルク指数補正を伴わずに、センサーグラムを、1:1モデルへと全体的に当てはめた。速度定数についての標準誤差は、当てはめられたセンサーグラムデータから得た。反復KD誤差は、NmAb-RBD間相互作用のうちの4つ(1212C2、1206D1、1215D1及びCB6/JS016による)について、実験を反復することにより推定した。これらの実験による標準偏差を使用して、11%の平均KD誤差を規定した。
下記の図3及び表5に示される通り、この解析は、71pM~約10nMの範囲の平衡解離定数(KD)を呈する、様々な高アフィニティーhmAbを裏付けた。hmAbのうちのいくつか(1212C2、1215D1、1215D5)は、主に、それらの小さなオフ速度(kd)のために、対照hmAb(REGN10987、REGN10933,20及びCB6/JS01617)の約8倍以上の、RBDに対するアフィニティーを呈した。これらの結果は、hmAbについてのこのパネルが、固有の特徴及び高アフィニティーを伴い、SARS-CoV-2RBDを、特異的に認識することを指し示す。
Figure 2023540759000010
[実施例6]
SARS-CoV-2抗体による、SARS-CoV-2変異株の、広範かつ顕著に異なる中和
SARS-CoV-2は、スパイクタンパク質内の突然変異を含む、実質的な突然変異を経ており、このような突然変異は、抗体が、これらの新興変異体を認識する能力に影響を与えた。VoC(variants of concern)株は、特に、ヒトの健康に対して脅威となりつつあり、SARS-CoV-2パンデミックの複数の波を駆動している。VoCについて、スパイク内の突然変異の規定は、米国疾病予防管理センター及びNextstrainにより報告された、以下の通りである。ベータ:D80A、D215G、del241~243、K417N、E484K、N501Y、D614G、A701Vである。デルタ:T19R、del156~157 R158G、L452R、T478K、D614G、P681R、D950Nである。ガンマ:L18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、D614G、H655Y、T1027I、V1176Fである。イプシロン:S13I、W152C、L452R、D614Gである。
野生型SARS-CoV-2 USA-WA1/2020ウイルスの、VoC(variants of concern)株である、(WHO表示による)ベータ株、ガンマ株、デルタ株及びイプシロン株並びにRBD内に、単一突然変異又は三重突然変異を含有する組換えウイルスに対する、SARS-CoV-2抗体の、インビトロにおける中和活性について調べた。hmAbを、Jun-Gyu Parkら、J Virol Methods.、2021年1月、287:113995において記載されている通りに、SARS-CoV-2(分離株である、USA-WA1/2020;BEI Resources)の中和について調べた。hmAbについての2倍希釈液(出発濃度:5μg/ml)を含有する、ウェル1つ当たり100~200プラーク形成単位(PFU)のSARS-CoV-2を、100μLの培地中に混合し、37℃において、1時間にわたりインキュベートした。Vero E6細胞(96ウェルプレートフォーマット、ウェル1つ当たりの細胞4×10個、四連)に、ウイルスの吸着のために、1時間にわたり、ウイルス-hmAb混合物又はウイルス-血清混合物(対照ウェル)を感染させるのに続き、培地を、2%のFBS、1%のペニシリン-ストレプトマイシン Lグルタミン(PSG)、及び1%のAvicelを含有する感染後培地と交換した。感染の24時間後、感染細胞を、10%の中性ホルマリンにより、24時間にわたり固定し、抗NPモノクローナル1C7C7抗体を使用して免疫染色した。ELISPOTを使用して、ウイルスの中和について、査定及び定量し、S字型用量反応曲線を使用して、感染性の百分率を計算した。各濃度についてのウイルス感染パーセントを計算する式は、[(各処理ウェルによる平均プラーク数-「ウイルスなしの」ウェルによる平均プラーク数)/(「ウイルスだけの」ウェルによる平均プラーク数-「ウイルスなしの」ウェルによる平均プラーク数)]×100として与えられる。NT50を計算するように、GraphPad Prismを使用して、希釈曲線に対する、非線形回帰曲線による当てはめ解析を実施することができる。モック感染細胞及びhmAbの非存在下におけるウイルスを、内部対照として使用した。
SARS-CoV-2抗体は、SARS-CoV-2変異株に対する、固有の中和プロファイルを示す。1212C2は、WA1株、デルタ株、イプシロン株及びrK417株に対するNT50を、<50ng/mlとする、強力な中和を示す。1212C2による中和は、rN501に対して、ある程度減少しており、ベータ株、ガンマ株、rE484K株又はrK417N/E484K/N501Y三重突然変異変異株に対して明らかでない。このパターンは、CB6/JS016、RGN10933及びRGN10987と顕著に異なる。1213H7は、全ての被験ウイルスを中和することが可能であり、これは、CB6/JS016及びRGN10933と対照的である。1213H7は、WA1株及びrK417N/E484K/N501Y三重突然変異変異株に対して、RGN1087と比較して、優れた中和活性を有する。
Figure 2023540759000011
上記の表6は、表示の生SARS-CoV-2 VoC(variants of concern)株による、表示のhmAbの、インビトロにおける中和を示す。
[実施例7]
1212C2の重鎖可変残基を修飾することによる、SARS-CoV-2の中和の改善
SARS-CoV-2抗体である1212C2の活性を改善しようとする取組みにおいて、重鎖の可変領域内のアミノ酸が変更された、一連のmAbを合成した(図4A)。特に、相補性決定領域内のアミノ酸及びこれと近接するアミノ酸を修飾した。これらの1212C2変異体mAbを、中和活性について調べた。変化である、I28T、I34M、H93Y、T96A、S114Yを、1212C2へと導入することにより、1212C2-V1(図4C)を創出する結果として、中和効力の33%の増大をもたらした。Q1E、Q6E、I28T、D31A、I34L、H93Y、T96A、S114Yを導入することにより、1212C2-V2(図4D)を創出する結果として、中和効力の少なくとも44%の増大をもたらした。これらの結果は、SARS-CoV-2に対して、その活性を改善しうる、1212C2(図4A)の改変を指し示す。
[実施例8]
SARS-CoV-2抗体は、ハムスターにおいて、予防活性及び治療活性を有する
SARS-CoV-2抗体である1212C2及び1206D1のインビボ活性を、SARS-CoV-2感染についてのゴールデンシリアハムスターモデルにおいて査定した。予防的活性について調べるために、SARS-CoV-2の鼻腔内(i.n.)における抗原投与の6時間前に、10mg/kgのhmAbを、腹腔内(i.p.)注射により投与した。感染の2日後(dpi)に、全てのPBS対照ハムスター及びアイソタイプ対照ハムスターは、それらの鼻甲介及び肺におけるプラークアッセイにより測定される通り、検出可能な生ウイルスを有した。これに対し、感染の2日後に既に、1212C2を施されたハムスターは、それらの鼻甲介及び肺において、有意味なウイルス量の低減を呈し始めた(図5A)。感染の4日後に、PBS対照群及びアイソタイプ対照群におけるハムスターの全ての鼻甲介及び肺において、ウイルスを検出したが、感染の2日後と比較した、全体的な減少は、ハムスターにおける、SARS-CoV-2感染のウイルス動態と符合した。感染の4日後における対照群と比較して、予防的に処置された1212C2ハムスターは、動物4匹中3匹の鼻甲介及び肺における、ウイルス量の根絶を呈した。1212C2処置動物が、感染の2日後(p=0.0334)及び感染の4日後(p=0.0004)におけるPBS処置群と比較して、有意に少数の肺病態を呈したことは、ウイルス量の低減と符合し、この低減もまた、感染の4日後におけるアイソタイプ対照群と比較して、有意性に到達した(p<0.0001)(図5C)。1212C2が、予防的に施された場合に、感染の4日後に、肺病態の、約80%の低減が見られた。1206D1 hmAbは、PBS対照群及びアイソタイプ対照群と比較して、力価を低下させる傾向を示したが、鼻甲介において、検出可能なウイルスを有さないハムスターのうちの50%及び肺において、検出可能なウイルスを有する、全ての1206D1ハムスターに顕著である、微弱な活性を呈した。これらのインビボ結果は、1212C2と比較した、1206D1の、インビトロにおけるウイルス中和活性の低下と符合する。全体として、1212C2は、ハムスターのうちの63%における殺菌保護に見られた通り、実質的な予防活性を示した。
ハムスターの、SARS-CoV-2による、i.n.感染の6時間後における、25mg/kgの1212C2を伴う処置により、治療活性について調べ、hmAbのアベイラビリティーの限定のために、感染の4日後だけにおいて、ウイルス負荷を査定した。PBS対照群内及びアイソタイプ対照群内の動物4匹中3匹の鼻甲介において、SARS-CoV-2を検出した。1212C2処置ハムスターの鼻甲介において、ウイルスは検出されなかった。全てのPBS対照処置ハムスター及びアイソタイプ対照処置ハムスターの肺においてにおいて、SARS-CoV-2を検出したが、1212C2処置ハムスターにおいて、4匹中1匹だけであった(図5B)。全体として、1212C2は、処置ハムスターのうちの75%において、ウイルスを、検出不能なレベルまで低減する、実質的な治療活性を示した。ハムスターにおけるSARS-CoV-2感染は、密化、うっ血及び無気肺を含む、肉眼的肺病変を結果としてもたらす。治療的にもまた、1212C2処置ハムスター群において、PBS処置群と比較して、有意に少数の肺病態が観察され(p=0.0136)、1212C2群において、肺病態は、対照ハムスターと比較して、約58%低減された(図5D)。重要なことは、肺病変内において観察された、これらの差違が、上気道及び下気道(A+B)において見られた、ウイルス負荷と符合することである。全体として、これらの結果は、予防的に又は治療的に使用された場合に、1212C2が、SARS-CoV-2感染のウイルス負荷及び肺病態を実質的に低減する能力を裏付ける。
[実施例9]
吸入型SARS-CoV-2抗体の送達
治療用mAbは、典型的に、静脈内注入又は筋内注射を介して、全身送達する。このような送達は、典型的に、注入用量のうちの<0.1%である、肺上皮層体液中のCmaxを結果としてもたらし、このため、SARS-CoV-2など、呼吸器感染に対する保護又は処置のために、気道内の最適濃度の達成において、極めて非効率的である。
肺送達投与の効率及びi.p.ボーラス投与として送達された場合のIgG1 hmAbの、吸入型噴霧エアゾールと比較したクリアランスについて査定するために、ハムスターに、抗原投与研究において使用された、非特異的IgGを投与し、投与の30分後及び42時間後における、血清濃度及び気管支肺胞洗浄液(BAL)濃度について解析した。hmAb約25mg/kgの腹腔内投与は、高血清濃度を結果としてもたらしたが、処置の30分後、BAL中において、hmAbは、ほとんど~全く検出できなかった。しかし、42時間後、BAL中において、hmAbが検出できたことは、i.p.注入されたhmAbが、徐々に、血清コンパートメントから、肺に浸透することを示唆する。市販の噴霧器(Aerogen Aeroneb Solo nebulizer)から、動物へと全身送達された、液体エアゾールを使用するhmAbの吸入(IH)投与は、吸入投与による用量のうちの、約1.7%が、BAL中に沈着することを示した。吸入投与による用量のうちの、低百分率の用量が、ハムスターの肺内に沈着したことは、本実施例において使用された噴霧器によりもたらされた、直径約4μmの(レーザー回折により測定された、体積平均径を、4.1μmとする)液滴についての、かつての肺内取込み研究と符合するが、これは、小動物の上気道内における、液体エアゾールによる、高度の慣性衝突の結果である。しかしながら、これらの肺内(BAL中)沈着用量は、いずれの時点においても、やはり、i.p.経路により達成されたBAL濃度より、実質的に高用量であった。吸入経路によりもたらされた、より高い肺内沈着用量は、肺への送達効率が、i.p.経路より高度であることを裏付ける。吸入投与の42時間後、mAbのうちの大半(IH投与<30分後において、IH投与による容量のうちの約85%)が、BALからクリアランスされたが、これは、他の研究において報告された、約8日間の予測肺内半減期より、急速なクリアランス速度であると考えられる。
Figure 2023540759000012
[実施例10]
1212C2の吸入送達は、ハムスターにおけるSARS-CoV-2感染に対して、腹腔内送達と比較して、より有効な治療活性をもたらす
Fc受容体(FcR)の結合及び後続のFc媒介エフェクター機能を低減するように、1212C2のFc(crystallizable fragment)を、LALA突然変異(すなわち、Leu234Alaを、Leu235Alaと併せた、二重突然変異)により改変し、半減期を延長するように、さらに改変した(突然変異である、M252Y/S254T/T256E(YTE)を伴い、1212C2-HLE-LALAと称した)。吸入型1212C2の有効性を決定し、治療用量反応関係について査定するために、ハムスターに、2×10プラーク形成単位(PFU)のSARS-CoV-2を、i.n.において感染させ、吸入(IH)経路又はi.p.経路を使用した12時間後において、1212C2 hmAb又はアイソタイプ対照hmAbの単回用量により処置した。感染後2日目及び4日目に、有効性の尺度として、体重を記録し、肺病変を測定し、ウイルス力価を、鼻甲介及び肺から定量した。感染の2日後に、全ての感染対照ハムスター(PBS対照及びアイソタイプ対照hmAb)の鼻甲介及び肺において、ウイルスを検出した(図6A)。16.3mg/kgの1212C2-HLE-LALAにより、IHを介して処置された任意のハムスターの肺内において、ウイルスは、検出されず、それらの鼻甲介において、ウイルスは、対照と比較して低下した。これに対し、感染の2日後の、25mg/kgの1212C2-HLE-LALAにより、i.p.処置されたハムスターのうちの、50%の肺において、ウイルスは検出され、鼻甲介においても、対照と比較して、それほど低下しなかった。感染の2日後に、ウイルスは、肺送達用量を、3.2mg/kg及び0.6mg/kgとする、1212C2-HLE-LALAにより、IHを介して処置されたハムスターのうちの、それぞれ、25%及び50%の肺だけにおいて検出された。感染の2日後に、16.3及び3.2mg/kgの吸入型1212C2-HLE-LALAは、肺内のウイルス力価の低減において、i.p.投与と比較して優れていた。感染の4日後に、全ての感染対照ハムスター(生理食塩水及びアイソタイプhmAb)の鼻甲介及び肺において、ウイルスを検出し、アイソタイプ対照hmAbによる、ウイルス力価の、微弱な非特異的低減への傾向は、鼻甲介だけに限られた(図6B)。0.6mg/kg吸入型1212C2-HLE-LALA群の全てにおいて、ウイルスが検出されたことを除き、1212C2処置群の鼻甲介におけるウイルス力価の検出は、散発的な検出に過ぎなかった。感染の4日後に、0.6mg/kg IH 1212C2-HLE-LALA群を含む、いずれの1212C2処置ハムスターの肺内においても、ウイルス力価が検出されなかったことは、対照群と比較した、少なくとも2logの低減を表す。対照PBS処置ハムスターは、約10%の最大体重減少を呈したが;1212C2処置動物は、評価可能な体重減少を示さなかった。感染の4日後、特に、対照群において、肺病態は明らかとなったが;全体的に、非感染ハムスターと比べて、24匹中9匹(37.5%)の1212C2処置ハムスターにおいて、肺病態は、12匹中11匹(91.7%)の対照処置感染ハムスターにおいて明らかな肺病態と比較して、明らかとならなかった(図6C)。感染の4日後、3.2mg/kgの吸入型1212C2 hmAbにより処理されたハムスターにおいて、肺病変は、PBS処置ハムスターと比較して、有意に(p=0.0028)低下した。LALA突然変異の付加によりもたらされた、エフェクター機能の除去に関して、1212C2-HLE-LALAにより処置された動物は、非改変1212C2 mAbと同等のウイルス低減を達成すると考えられた。全体として、これらの結果は、SARS-CoV-2感染に対する、1212C2 hmAbの治療活性を確認したことから、わずか0.6mg/kgの単回吸入投与により、肺内ウイルス負荷の消失をもたらした、吸入型1212C2 hmAbによる有効性の増大を示唆した。さらに、SARS-CoV-2感染ハムスターの吸入治療処置は、体重を保存することが示された(図7)。
[実施例11]
SARS-CoV-2抗体は、マウスにおけるSARS-CoV-2を防止する
1212C2 mAbの有効性を、K18ヒトアンジオテンシン転換酵素2(hACE2)トランスジェニックマウスにおいて調べた。K18 hACE2トランスジェニックマウスを、1212C2により予防処置し、次いで、12時間後に、これらに、Nanoルシフェラーゼを発現させる組換えSARS-CoV-2(rSARS-CoV-2/Nluc-2A)を感染させた(10PFU)。マウスについての、非侵襲的な長期的イメージングは、任意の被験時点において、有意なNlucシグナルが検出されなかったので、1212C2処置マウスが、rSARS-CoV-2/Nluc-2Aの繁殖を、劇的に制限することを明らかにした(図8A及び8B)。これらの結果はまた、1212C2処置マウスの鼻甲介、肺及び脳における、肺表面病変(図8C及び8D)、Nluc発現(図8E)及びウイルス力価(図8F)の低減の観察によっても裏付けられた。さらに、1212C2は、マウスを、体重の変化(図8G)及び生存率(図8H)により決定された、rSARS-CoV-2/Nluc-2A感染の臨床症状から保護することが可能であった。
[実施例12]
SARS-CoV-2抗体は、マウスにおける、SARS-CoV-2変異株感染を防止する
また、1212C2 mAb及び1213H7 mAbが、Venus蛍光タンパク質を発現させるrSARS-CoV-2野生型ウイルス及びベータ変異株のRBD突然変異により操作され、mCherry蛍光タンパク質を発現させるrSARS-CoV-2を中和する能力についても、SARS-CoV-2感染についての、K18 hACE2トランスジェニックマウスモデルにおいて、単独において、又は組合せにおいて評価した。マウスを、10PFUの、rSARS-CoV-2 Venus、rSARS-CoV-2 mCherryベータ又はrSARS-CoV-2 Venus及びrSARS-CoV-2 mCherryベータの両方の併用による抗原投与の24時間前に、25mg/kgの1212C2、1213H7又はIgGアイソタイプ対照により、腹腔内(i.p.)処置した。体重(図9A)及び生存率(図9B)について、感染後(pi)12日間にわたり査定した。rSARS-CoV-2 Venus、rSARS-CoV-2 mCherryベータ又はrSARS-CoV-2 Venus及びrSARS-CoV-2 mCherryベータの両方の併用により感染させられた、IgGアイソタイプ対照処置マウスは、感染後4日目から、体重減少を呈し(図9A)、感染後6~8日目の間に、ウイルス感染により死亡した(図9B)。しかし、1212C2又は1213H7により処置された、全てのマウスが、rSARS-CoV-2 Venusによる抗原投与後に生存したことは、インビトロにおける、これらの2つのmAbによる、SARS-CoV-2 WA-1株の有効な中和と符合した。これに対し、rSARS-CoV-2 mCherryベータにより感染させられたマウス(図9A及び図9B)を保護できたのは、1213H7だけであり、1212C2は、これを保護できなかったことは、インビトロにおいて、1212C2が、SARS-CoV-2ベータを中和できないことと符合した。マウスに、rSARS-CoV-2 Venus及びrSARS-CoV-2 mCherryベータの両方を共感染させた場合に、1213H7により処置されたマウスだけが、それらの初期の体重を保持し、感染後に生存した(図9A及び図9B)ことは、個別の感染を使用して得られた結果と同様であった。
1212C2と、12137H7とが、肺、経鼻及び脳におけるウイルス負荷を、同様に制限したことは、SARS-CoV-2野生型又は野生型及びベータのそれぞれに対する、それらの活性と符合した。図10A及び10Bに示された通り、6~8週齢の雌K18 hACE2トランスジェニックマウス(n=3)に、25mg/kgのIgGアイソタイプ対照、mAbである1212C2又はmAbである1213H7を腹腔内注射し、10PFUの、rSARS-CoV-2 Venus(上)、rSARS-CoV-2 mCherry SA(中)又はrSARS-CoV-2 Venus及びrSARS-CoV-2 mCherry SAの両方(ベータ)(下)を感染させた。感染後2及び4日目に、Ami HTイメージングシステムを使用して、Venus及びmCherryによる蛍光発現を決定するように、肺を回収した(図10A)。BF:明視野である。Venus及びmCherryの放射輝度値は、マウス肺内の目的の領域についての平均値に基づき定量した(図10B)。平均値は、各時点のモック感染マウスにおける自己蛍光に照らして正規化し、誘導倍数を計算するのに使用した。モック感染K18 hACE2トランスジェニックマウス及びrSARS-CoV-2感染K18 hACE2トランスジェニックマウスの肺における、肉眼的病理学スコアは、感染罹患肺の面積%に基づき計算した。
6~8週齢の雌K18 hACE2トランスジェニックマウス(n=3)に、25mg/kgのIgGアイソタイプ対照、mAbである1212C2又はmAbである1213H7を腹腔内注射し、10PFUの、rSARS-CoV-2 Venus(WT)(図11A)、rSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)(図11B)又はrSARS-CoV-2 Venus(WT)及びrSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)の両方(図11C)を感染させた。感染後2及び4日目の、肺(上)、鼻甲介(中)及び脳(下)におけるウイルス力価は、Vero E6細胞内のプラークアッセイにより決定した。バーは、肺内ウイルス力価についての、平均値及びSDを指し示す。点線は、検出限界を指し示す。図11Dに示された通り、感染後2及び4日目における、rSARS-CoV-2 Venus(WT)及びrSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)の両方を共感染させられたマウスに由来する肺(上)、鼻甲介(中)及び脳(下)における、rSARS-CoV-2 Venus(WT)及びrSARS-CoV-2 mCherry SA(ベータ)についての定量である。
これらの結果は、1212C2及び1213H7のいずれも、hACE2トランスジェニックマウスにおける、SARS-CoV-2 WT株の感染及び病態を防止することが可能であり、さらに、1213H7がまた、SARS-CoV-2ベータ感染を防止することも可能であることを裏付ける。
[実施例13]
SARS-CoV-2抗体は、顕著に異なる、残基依存的な、SARS-CoV-2受容体結合ドメインへの結合を示す
コンピュータによるmAbエピトープ解析に基づき、結合研究のために、C1エピトープ(K417T、A475V、N501Y、Y505W)、C1D/C2エピトープ(G446V、L452R及びE484K)及びC3エピトープ(T345I、N440Y及びG446V)に局在化する、9つのRBD変異株を作製した。図12に示された構造解析は、ある特定のSARS-CoV-2 RBD変異株への、mAbに結合の喪失が、mAbのクラスを同定するのに使用されうることを確認する。さらに、アッセイは、RBD変異株に対して感受性でなく、このため、潜在的に、治療剤として有用であるmAbを同定するのに使用されうる。これらの問題に取り組むために、未知のmAb及び3つの対照[CB6、RGN10933及びRGN10987]を、SARS-CoV-2 RBD変異株に結合する、それらの能力について調べた。データは、さらなる研究のための、最適mAbの選択幅を狭めるために、RBD変異株への結合の幅が広い、6つの抗体(1212C2、1212D4、1212F2、1212F5、1213H7及び1215D1)を明らかにした。とりわけ、1212C2及びRegeneron 10987は、それぞれ、E484K突然変異及びG446V突然変異への結合の低減を呈する。
[実施例14]
競合エピトープマッピングによる、SARS-CoV-2抗体の分類
競合ベースのエピトープマッピングを実施して、mAbの、異なるクラスへの割当ての決定の一助とした。全体として、mAbの割当てと、エピトープ解析との間に、優れた相関が見られた。C1 mAbである、1212D5、1212F2、1213F2、1212D4及び1212C8は、C2 mAbである、1207B4、1215D1及び1207F10の、同時的結合を許容した。これに対し、C2 mAbである1212C2は、アッセイされた、全てのC1 mAb及びC2 mAbを遮断した(図13A~13C)。これらの観察に取り組むために、異なるC2 NAbへと割り当てられた、NAb-RBD複合体の構造を比較した(図13D)。具体的に述べると、1215D1 mAb、1207B4 mAb及び1207F10 mAbを、C386-2/RBD複合体へと割り当てる一方、1212C2を、C121/RBD複合体へと割り当てた。1212C2(C121-RBDによりモデル化された)が、C1 NAb(P2C-1F11/RBDによりモデル化された)及びC2 NAbと重複するのに対し、1215D1(C386-2/RBDによりモデル化された)は、いくつかのC1 mAb(1214D4、1212C8、1212D5など)及びC1D mAb(1213H7)と同時に結合しうる。
[実施例15]
SARS-CoV-2抗体の結合の、SARS-CoV-2残基への依存性は、ウイルスの免疫回避を介して消失した
感染個体又はインビトロにおける、SARS-CoV-2の、最適未満レベルのmAbへの定常的曝露は、MARM(monoclonal antibody resistant mutant)のSARS-CoV-2の選択を促進しうる。分子法を使用して、MARMを選択し、SARS-CoV-2感染についてのインビトロモデル(Vero E6細胞)を使用して同定した(図14)。1212C2、1213H7又は1215D1の存在下における、SARS-CoV-2の培養は、mAbによる認識の喪失を結果としてもたらす、スパイクタンパク質内の突然変異を発生させる、MARMの作出を結果としてもたらした。
1212C2 MARMは、RBD内のE484K突然変異を有する。1212C2/RBDモデルは、HCDR2 N53及びHCDR3 R103を、RBD E484と相互作用し、1212C2の、RBD E484Kへの結合に立体障害をもたらす残基として同定する。これらの残基及びさらなる残基は、RBD E484において、グルタミン酸及びこれより小型の残基に最適化されたポケットを形成するが、リシン側鎖及びアルギニン側鎖を遮蔽する。
1213H7 MARMは、RBD突然変異である、G476D及びF490Sを有する。1213H7/RBD複合体についての、本発明者らの最新モデルは、1212C2と、1215D1との相互作用より分解能が低い。しかしながら、1213H7は、1215D1エピトープと比べて、RBD先端部の反対側に結合する、C1Dエピトープを有するとして割り当てられている。このモデルは、競合エピトープマッピングと符合する。
F490は、1215D1/RBDモデルの重鎖結合性部位の中心に位置し、これは、1215D1の、F490S MARMに対する感受性についての最初の説明をもたらし、1215D1/RBDモデルの概略的位置を検証する。HCDR3 F111からの寄与である、疎水性パッキング相互作用は、1215D1/RBD間相互作用への重要な寄与因子であることが予測される。突然変異については、下記の表8に記載されている。
Figure 2023540759000013
[実施例16]
ハムスターにおける、IgG mAbの吸入送達
本研究の目標は、送達のIV経路、IN経路及びIH経路に従う、ヒトmAbの、肺組織への送達の効率及び動態を比較及び対比することであった。送達の測定値は、定量的ELISAアッセイを使用して、ヒトIgGについて査定された、BAL力価、肺力価及び血清力価を定量することにより決定した。比較解析は、図15に示され、送達のIV経路、IN経路及びIH経路による投与の、30分、6時間、12時間及び24時間後における査定から24時間にわたる、血清、BAL及び肺におけるIgG力価を指し示す。IV、IN及びIHにおける、薬物使用の濃度は、各経路について異なり、送達効率の差違を反映することに留意されたい。IV送達により、血清力価は、高値であり(30分後における検出限界を上回った)、24時間にわたり、高値を維持した。これは、30分後において、低値であり、24時間にわたり、低レベルを維持した、IV送達後におけるBAL力価と対照的である。mAbを、吸入により送達したところ、BAL力価は、30分後に最高となり、24時間にわたり、同様のレベルにおいて維持された。注目すべきことは、吸入後におけるBAL力価が、被験mAbの濃度を、4mg/kg及び10mg/kgのいずれとした場合にも、同様であったことである。鼻腔内送達もまた、IV送達と比較した、BAL力価の増大を結果としてもたらした。しかし、吸入は、鼻腔内経路と比較して、送達のより有効な経路であると考えられるが、鼻腔内送達により使用されたmAbの用量は、0.04mg/kgであり、吸入のために使用された用量である、4mg/kg及び10mg/kgと比較して、100分の1の用量への用量の低減を反映する。
これらのデータは、各時点における、送達されたヒトmAbの、BAL中及び血清中における、力価及び分布の、送達経路に依存する差違を、明確に裏付ける。差違は、BALと、血清との間において、明確に観察された。予測された通り、BALへと送達されたmAbの、吸入後における力価は、早期の時点から高値であり、24時間にわたり、高レベルにおいて維持された。これに対し、mAbの、IV送達後における、BAL中力価は、低値であり、24時間にわたり、わずかに増大した。肺内の力価は、この組織内に、血液及びBALのいずれもが存在するために、解釈が最も困難であった。これらのデータに基づき、BALへの送達は、最も有効であり、最高力価及びこの最早期の時点は、送達の吸入経路により観察された。
[実施例17]
単独におけるhmAb又は組合せにおけるhmAbについての中和アッセイ
単独及び組合せの両方の、1212C2 mAb、1213H7 mAb及び1215D1 mAbを、WA1 P7(1.7×10pfu/mL)に対する中和抗体アッセイにおいて評価した。ウイルスを含有しない対照ウェルを除き、96ウェルプレートに、ウェル1つ当たり100PFU(MOI:0.05)を接種した。ウイルスを含有するウェルを、1%のAvicel培地中に、100ng、50.0ng、25ng、12.5ng、6.25ng、3.12ng、1.6ng、0.8ng、0.4ng、0.2ng又は0ngの、1つ以上の抗体により、24時間にわたり処理し、処理前及び処理後において、NT50を評価した。1212C2についてのNT50は、処理前及び処理後において、それぞれ、4.5ng及び3.2ngであった。1213H7についてのNT50は、処理前及び処理後において、それぞれ、6.6ng及び4.8ngであった。1215D1についてのNT50は、処理前及び処理後において、それぞれ、22.6ng及び5.9ngであった。
評価されたmAbの組合せは、1212C2(図16A);1213H7(図16B);1215D1(図16C);1212C2+1213H7(図16D);1213H7+1215D1(図16E);1212C2+1215D1(図16F);並びに1212C2+1213H7+1215D1(図16G)を含んだ。

Claims (106)

  1. 1212C2、1212F5、1213H7、1212F2、1206D1、1212D5、1207B4、1213F2、1212D4、1206A5、1212D6、1206D12、1207F10、1206G12、1212C8、1212E9、1214E9、1215D1及び1212の変異体からなる群から選択される、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に特異的に結合する、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  2. (i)それぞれ、配列番号38~40のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号42~44のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212C2)。
  3. (i)それぞれ、配列番号46~48のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号50~52のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1215F5)。
  4. (i)それぞれ、配列番号54~56のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号58~60のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1213H7)。
  5. (i)それぞれ、配列番号62~64のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号66~68のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212F2)。
  6. (i)それぞれ、配列番号70~72のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号74~76のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1206D1)。
  7. (i)それぞれ、配列番号78~80のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号82~84のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212D5)。
  8. (i)それぞれ、配列番号86~88のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号90~92のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1207B4)。
  9. (i)それぞれ、配列番号94~96のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号98~100のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1213F2)。
  10. (i)それぞれ、配列番号102~104のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号106~108のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212D4)。
  11. (i)それぞれ、配列番号110~112のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号114~116のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1206A5)。
  12. (i)それぞれ、配列番号118~120のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号122~124のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212D6)。
  13. (i)それぞれ、配列番号126~128のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号130~132のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1206D12)。
  14. (i)それぞれ、配列番号134~136のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号138~140のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1207F10)。
  15. (i)それぞれ、配列番号142~144のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号146~148のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1206G12)。
  16. (i)それぞれ、配列番号158、39及び159のアミノ酸配列を含むHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域並びに(ii)それぞれ、配列番号42、43及び161のアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212の変異体)。
  17. 配列番号158の1位におけるアミノ酸が、Thr(T)又はIle(I)であり、配列番号159の1位におけるアミノ酸が、Thr(T)又はAla(A)であり、配列番号159の9位におけるアミノ酸が、Leu(L)又はPhe(F)であり、配列番号161の1位におけるアミノ酸が、任意のアミノ酸であり、配列番号161の6位におけるアミノ酸が、Asn(N)又はSer(S)であり、配列番号161の10位におけるアミノ酸が、Val(V)又はPhe(F)である、請求項16に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  18. (i)配列番号37のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号41のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212C2)。
  19. (i)配列番号45のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号49のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1215F5)。
  20. (i)配列番号53のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号57のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1213H7)。
  21. (i)配列番号61のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号65のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212F2)。
  22. (i)配列番号69のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号73のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1206D1)。
  23. (i)配列番号77のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号81のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212D5)。
  24. (i)配列番号85のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号89のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1207B4)。
  25. (i)配列番号93のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号97のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1213F2)。
  26. (i)配列番号101のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号105のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212D4)。
  27. (i)配列番号109のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号113のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1206A5)。
  28. (i)配列番号117のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号121のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212D6)。
  29. (i)配列番号125のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号129のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1206D12)。
  30. (i)配列番号133のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号137のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1207F10)。
  31. (i)配列番号141のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号145のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1206G12)。
  32. (i)配列番号149のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号150のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1215D1)。
  33. (i)配列番号151のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号152のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1214E9)。
  34. (i)配列番号153のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号154のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212E9)。
  35. (i)配列番号155のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号156のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212C8)。
  36. (i)配列番号157のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び(ii)配列番号160のアミノ酸配列又はこれと少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片(1212の変異体)。
  37. 配列番号157の13、23、28、59、65、77、79、94、97、105及び113位におけるアミノ酸が、表2Aから選択され、配列番号160の1、2、3、91、96及び100位におけるアミノ酸が、表2Bから選択される、請求項36に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  38. 抗体変異体である、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  39. 変異体Fc定常領域をさらに含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  40. 変異体Fc定常領域をさらに含み、タンパク質部分又は非タンパク質部分が、Fc定常領域へと連結されている、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  41. 非タンパク質部分が、水溶性ポリマーである、請求項40に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  42. 対象のインビボにおける半減期が、親抗体と比べて長い、対象のインビボにおける免疫原性が、親抗体と比べて小さい、又は前出のものの組合せを有する、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  43. キメラ抗体、クラススイッチ抗体又はモノクローナル抗体である、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  44. 治療剤、酵素、酵素阻害剤又は検出用標識へと連結された、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  45. 抗原結合断片が、Fab断片、F(ab)2断片、Fab’断片、Fd断片、Fv断片、ジスルフィド連結型Fv、dAb断片、単離CDR、ナノボディー、単一ドメイン抗体、単一の可変ドメインと、2つの定常ドメインとを含有する、V領域の部分、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、scFv、scFv-FC、scFv-CH、scFab及びscFv-ジッパーからなる群から選択される、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  46. SARS-CoV-2スパイクタンパク質の、受容体結合ドメイン内のエピトープに結合する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の、受容体結合モチーフ内のエピトープに結合する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS1領域内のエピトープに結合する、又はSARS-CoV-2スパイクタンパク質のS2領域内のエピトープに結合する、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  47. SARS-CoV-2の、標的細胞への結合を低減する、SARS-CoV-2と標的細胞との細胞融合を低減する、感染性SARS-CoV-2の、感染細胞からの放出を低減する、SARS-CoV-2による、標的細胞の感染を低減する、又は前出のものの組合せである、請求項1~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片。
  48. 請求項2~33のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域、軽鎖可変領域又は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の両方をコードする単離された核酸。
  49. 請求項48に記載の核酸を含む発現ベクター。
  50. 請求項49に記載の発現ベクターを含む培養宿主細胞。
  51. 請求項1~37のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体及び薬学的に許容される賦形剤のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物。
  52. 静脈内投与、筋内投与、皮下投与、肺内投与又は鼻腔内投与のために製剤化された、請求項51に記載の医薬組成物。
  53. 対象におけるSARS-CoV-2感染を処置するための方法であって、対象へと、有効量の、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片を投与するステップを含む方法。
  54. 投与するステップが、処置コースに従い、少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を投与するステップを含む、請求項53に記載の方法。
  55. 投与するステップが、対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、対象が、SARS-CoV-2に感染した後であるが、感染が検出されうる前において、又は対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されえた後において行われる、請求項53に記載の方法。
  56. 少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片が、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、肺内投与又は鼻腔内投与により投与される、請求項53に記載の方法。
  57. 対象へと、さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項53~56のいずれか一項に記載の方法。
  58. さらなる治療剤が、SARS-CoV-2RNAポリメラーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤又は前出のものの組合せである、請求項57に記載の方法。
  59. さらなる治療剤が、ガリデシビル、レムディシビル、ヒドロクロロキン、クロロキン、イルベサルタン、トレミフェン、カンフル、エクイリン、メサラジン、メルカプトプリン、ナファモスタット、パラオキセチン、シロリムス、カルベジロール、ダクチノマイシン、メラトニン、キナクリン、エプレレノン、エノクリン、オキシメタロン、ENU2000、アジトロマイシン、ロピノビル/リトナビル、ウミフェノビル、Cytovene、ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、インターフェロン、d4T、ddI、AZT、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル、ファビピラビル、バロキサビル・マルボキシル及びペラミビルからなる群から選択される、請求項57に記載の方法。
  60. 対象における、SARS-CoV-2の、細胞への侵入を低減する方法であって、対象へと、有効量の、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片を投与するステップを含む方法。
  61. 投与するステップが、処置コースに従い、少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を投与するステップを含む、請求項60に記載の方法。
  62. 投与するステップが、対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、対象が、SARS-CoV-2に感染した後であるが、感染が検出されうる前において、又は対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されえた後において行われる、請求項60に記載の方法。
  63. 少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片が、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、肺内投与又は鼻腔内投与により投与される、請求項60に記載の方法。
  64. 対象へと、さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項60~63のいずれか一項に記載の方法。
  65. さらなる治療剤が、SARS-CoV-2RNAポリメラーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤又は前出のものの組合せである、請求項64に記載の方法。
  66. さらなる治療剤が、ガリデシビル、レムディシビル、ヒドロクロロキン、クロロキン、イルベサルタン、トレミフェン、カンフル、エクイリン、メサラジン、メルカプトプリン、ナファモスタット、パラオキセチン、シロリムス、カルベジロール、ダクチノマイシン、メラトニン、キナクリン、エプレレノン、エノクリン、オキシメタロン、ENU2000、アジトロマイシン、ロピノビル/リトナビル、ウミフェノビル、Cytovene、ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、インターフェロン、d4T、ddI、AZT、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル、ファビピラビル、バロキサビル・マルボキシル及びペラミビルからなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
  67. 対象における、SARS-CoV-2の、細胞内ACE2への結合を低減する方法であって、対象へと、有効量の、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片を投与するステップを含む方法。
  68. 投与するステップが、処置コースに従い、少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を投与するステップを含む、請求項67に記載の方法。
  69. 投与するステップが、対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、対象が、SARS-CoV-2に感染した後であるが、感染が検出されうる前において、又は対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されえた後において行われる、請求項67に記載の方法。
  70. 少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片が、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、肺内投与又は鼻腔内投与により投与される、請求項67に記載の方法。
  71. 対象へと、さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項67~70のいずれか一項に記載の方法。
  72. さらなる治療剤が、SARS-CoV-2RNAポリメラーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤又は前出のものの組合せである、請求項71に記載の方法。
  73. さらなる治療剤が、ガリデシビル、レムディシビル、ヒドロクロロキン、クロロキン、イルベサルタン、トレミフェン、カンフル、エクイリン、メサラジン、メルカプトプリン、ナファモスタット、パラオキセチン、シロリムス、カルベジロール、ダクチノマイシン、メラトニン、キナクリン、エプレレノン、エノクリン、オキシメタロン、ENU2000、アジトロマイシン、ロピノビル/リトナビル、ウミフェノビル、Cytovene、ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、インターフェロン、d4T、ddI、AZT、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル、ファビピラビル、バロキサビル・マルボキシル及びペラミビルからなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
  74. 対象の体液中、組織内又は細胞内における、SARS-CoV-2のウイルス力価を低減するための方法であって、対象へと、有効量の、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片を投与するステップを含む方法。
  75. 投与するステップが、処置コースに従い、少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を投与するステップを含む、請求項74に記載の方法。
  76. 投与するステップが、対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、対象が、SARS-CoV-2に感染した後であるが、感染が検出されうる前において、又は対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されえた後において行われる、請求項74に記載の方法。
  77. 少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片が、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、肺内投与又は鼻腔内投与により投与される、請求項74に記載の方法。
  78. 対象へと、さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項74~77のいずれか一項に記載の方法。
  79. さらなる治療剤が、SARS-CoV-2RNAポリメラーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤又は前出のものの組合せである、請求項77に記載の方法。
  80. さらなる治療剤が、ガリデシビル、レムディシビル、ヒドロクロロキン、クロロキン、イルベサルタン、トレミフェン、カンフル、エクイリン、メサラジン、メルカプトプリン、ナファモスタット、パラオキセチン、シロリムス、カルベジロール、ダクチノマイシン、メラトニン、キナクリン、エプレレノン、エノクリン、オキシメタロン、ENU2000、アジトロマイシン、ロピノビル/リトナビル、ウミフェノビル、Cytovene、ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、インターフェロン、d4T、ddI、AZT、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル、ファビピラビル、バロキサビル・マルボキシル及びペラミビルからなる群から選択される、請求項77に記載の方法。
  81. 第1の対象から、第2の対象への、SARS-CoV-2感染の伝染を低減するための方法であって、第1の対象へと、有効量の、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片を投与するステップを含む方法。
  82. 投与するステップが、処置コースに従い、少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を投与するステップを含む、請求項81に記載の方法。
  83. 投与するステップが、対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、対象が、SARS-CoV-2に感染した後であるが、感染が検出されうる前において、又は対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されえた後において行われる、請求項81に記載の方法。
  84. 少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片が、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、肺内投与又は鼻腔内投与により投与される、請求項81に記載の方法。
  85. 対象へと、さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の方法。
  86. さらなる治療剤が、SARS-CoV-2RNAポリメラーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤又は前出のものの組合せである、請求項84に記載の方法。
  87. さらなる治療剤が、ガリデシビル、レムディシビル、ヒドロクロロキン、クロロキン、イルベサルタン、トレミフェン、カンフル、エクイリン、メサラジン、メルカプトプリン、ナファモスタット、パラオキセチン、シロリムス、カルベジロール、ダクチノマイシン、メラトニン、キナクリン、エプレレノン、エノクリン、オキシメタロン、ENU2000、アジトロマイシン、ロピノビル/リトナビル、ウミフェノビル、Cytovene、ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、インターフェロン、d4T、ddI、AZT、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル、ファビピラビル、バロキサビル・マルボキシル及びペラミビルからなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
  88. 第1の対象から、第2の対象への、SARS-CoV-2感染の伝染を低減するための方法であって、第2の対象へと、有効量の、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片を投与するステップを含む方法。
  89. 投与するステップが、処置コースに従い、少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を投与するステップを含む、請求項88に記載の方法。
  90. 投与するステップが、対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、対象が、SARS-CoV-2に感染した後であるが、感染が検出されうる前において、又は対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されえた後において行われる、請求項88に記載の方法。
  91. 少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片が、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、肺内投与又は鼻腔内投与により投与される、請求項88に記載の方法。
  92. 対象へと、さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項88~91のいずれか一項に記載の方法。
  93. さらなる治療剤が、SARS-CoV-2RNAポリメラーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤又は前出のものの組合せである、請求項92に記載の方法。
  94. さらなる治療剤が、ガリデシビル、レムディシビル、ヒドロクロロキン、クロロキン、イルベサルタン、トレミフェン、カンフル、エクイリン、メサラジン、メルカプトプリン、ナファモスタット、パラオキセチン、シロリムス、カルベジロール、ダクチノマイシン、メラトニン、キナクリン、エプレレノン、エノクリン、オキシメタロン、ENU2000、アジトロマイシン、ロピノビル/リトナビル、ウミフェノビル、Cytovene、ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、インターフェロン、d4T、ddI、AZT、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル、ファビピラビル、バロキサビル・マルボキシル及びペラミビルからなる群から選択される、請求項92に記載の方法。
  95. 対象におけるSARS-CoV-2を中和する方法であって、対象へと、有効量の、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片を投与するステップを含む方法。
  96. 投与するステップが、処置コースに従い、少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片を含む単回用量又は複数回用量を投与するステップを含む、請求項95に記載の方法。
  97. 投与するステップが、対象が、SARS-CoV-2に感染する前において、対象が、SARS-CoV-2に感染した後であるが、感染が検出されうる前において、又は対象が、SARS-CoV-2に感染した後において、かつ、感染が検出されえた後において行われる、請求項95に記載の方法。
  98. 少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片が、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、肺内投与又は鼻腔内投与により投与される、請求項95に記載の方法。
  99. 対象へと、さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項95~98のいずれか一項に記載の方法。
  100. さらなる治療剤が、SARS-CoV-2RNAポリメラーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤又は前出のものの組合せである、請求項99に記載の方法。
  101. さらなる治療剤が、ガリデシビル、レムディシビル、ヒドロクロロキン、クロロキン、イルベサルタン、トレミフェン、カンフル、エクイリン、メサラジン、メルカプトプリン、ナファモスタット、パラオキセチン、シロリムス、カルベジロール、ダクチノマイシン、メラトニン、キナクリン、エプレレノン、エノクリン、オキシメタロン、ENU2000、アジトロマイシン、ロピノビル/リトナビル、ウミフェノビル、Cytovene、ガンシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、インターフェロン、d4T、ddI、AZT、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ホスカルネット、ラニナミビル、オセルタミビル、ザナミビル、ファビピラビル、バロキサビル・マルボキシル及びペラミビルからなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
  102. 試料中のSARS-CoV-2の存在を検出するためのキットであって、(i)請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片並びに以下:(i)少なくとも1つの他の治療剤;(ii)緩衝剤及び(iii)抗体を、対象へと投与して、対象におけるSARS-CoV-2感染を処置する、又は試料中のSARS-CoV-2を検出するための指示書のうちの少なくとも1つを含むキット。
  103. 患者におけるSARS-CoV-2を、イムノアッセイにより決定するための方法であって、
    a.患者の身体試料を、請求項2~37のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合断片及び検出用標識と共にインキュベートして、決定可能基を含有する免疫複合体を形成させるステップであって、検出用標識が、抗体若しくはその抗原結合断片上に存在する、或いは検出用標識が、SARS-CoV-2又は少なくとも1つの抗体若しくはその抗原結合断片に対する結合パートナー上に存在するステップ;並びに
    b.試料中の検出用標識の存在を決定するステップであって、検出用標識の存在は、SARS-CoV-2が試料中に存在することを指し示すステップ
    を含む方法。
  104. 免疫複合体を、試料から単離するステップ、及び単離された免疫複合体内又は残余の試料中における、検出用標識の存在を決定するステップをさらに含む、請求項103に記載の方法。
  105. 身体試料が、血清試料、血液試料、血漿試料、咽頭スワブ試料、鼻咽頭スワブ試料、痰試料、糞便試料、尿試料、唾液試料又は気管支肺胞洗浄液試料である、請求項103又は104に記載の方法。
  106. イムノアッセイによる決定は、SARS-CoV-2感染が、対象において存在するのかどうかを決定する、SARS-CoV-2感染からの、対象の回復をモニタリングする、又はSARS-CoV-2感染を処置するための治療処置の有効性について査定するために使用される、請求項103又は104に記載の方法。
JP2023514983A 2020-09-03 2021-09-03 SARS-CoV-2に対するヒトモノクローナル抗体及びその使用 Pending JP2023540759A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063074207P 2020-09-03 2020-09-03
US63/074,207 2020-09-03
PCT/US2021/049112 WO2022051650A1 (en) 2020-09-03 2021-09-03 Human monoclonal antibodies to sars-cov-2 and use thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023540759A true JP2023540759A (ja) 2023-09-26

Family

ID=80491552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023514983A Pending JP2023540759A (ja) 2020-09-03 2021-09-03 SARS-CoV-2に対するヒトモノクローナル抗体及びその使用

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP4208479A1 (ja)
JP (1) JP2023540759A (ja)
CN (1) CN116615450A (ja)
AU (1) AU2021338380A1 (ja)
CA (1) CA3190311A1 (ja)
WO (1) WO2022051650A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115894674B (zh) * 2022-12-20 2023-07-25 厦门润康源生物科技有限公司 一种用于检测冠状病毒的抗体及制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022051650A1 (en) 2022-03-10
AU2021338380A1 (en) 2023-03-09
CA3190311A1 (en) 2022-03-10
EP4208479A1 (en) 2023-07-12
CN116615450A (zh) 2023-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2954629T3 (es) Anticuerpos contra SARS-CoV-2
JP7041708B2 (ja) ウイルス性肺炎治療のためのC5aの阻害剤
US20210040223A1 (en) Antibodies to Canine Interleukin-4 Receptor Alpha
RU2731644C2 (ru) Молекулы, связывающиеся с тимусным стромальным лимфопоэтином (tslp), и способы применения таких молекул
JP2022160520A (ja) 抗sars-cov-2-スパイク糖タンパク質抗体および抗原結合断片
JP4881874B2 (ja) インフルエンザm2タンパク質に対するヒトモノクローナル抗体及びその生産方法及びその使用
ES2895824T3 (es) Proteínas de enlace al antígeno del receptor de oncastatina M
JP2024502046A (ja) Covid-19に対する中和モノクローナル抗体
RU2750454C2 (ru) Антитела против интерферона бета и их применение
JP2023534923A (ja) SARS-CoV-2を標的にする抗原結合分子
JP2023534922A (ja) SARS-CoV-2を標的とする抗原結合分子
KR20230048439A (ko) 항-par-2 항체 및 이의 사용 방법
CA3199594A1 (en) Antibodies against sars-cov-2 and uses thereof
US20240166765A1 (en) Inflammatory disease treatment using anti-tissue factor antibodies
JP2023540759A (ja) SARS-CoV-2に対するヒトモノクローナル抗体及びその使用
WO2012022734A2 (en) Anti-icam-1 antibodies and methods of use
US20230227539A1 (en) Methods and compositions related to neutralizing antibodies against human coronavirus
WO2021119467A1 (en) Compositions and methods for treating and preventing influenza
WO2023035016A1 (en) Human neutralizing antibodies against sars-cov-2 spike s2 domain and uses thereof
WO2024120517A1 (zh) 特异性结合rsv的抗体
WO2024120516A1 (zh) 特异性结合rsv的抗体
WO2023023150A2 (en) Methods and compositions related to neutralizing antibodies against human coronavirus
WO2022074621A1 (en) Covid-19-binding immunoglobulins and methods for their use
CN117062624A (zh) 抗covid-19中和单克隆抗体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230605

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230605