JP2023539783A - 酵素的に放出可能な検出部分およびバーコード部分を有するコンジュゲート - Google Patents

酵素的に放出可能な検出部分およびバーコード部分を有するコンジュゲート Download PDF

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Abstract

本発明は、一般式(I):Xn-P-YmBo(I)[式中、Xは、検出部分であり、Pは、スペーサユニットであり、Yは、抗原認識部分であり、Bは、2~300個のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドであり、n、m、oは、1~100の独立した整数であり、PおよびBは、Yに共有結合しており、Xは、Pに共有結合しており、Xは消去可能である]を有する、コンジュゲートを対象にする。さらに、本発明は、このようなコンジュゲートのライブラリおよびコンジュゲートまたはコンジュゲートのライブラリを利用して標的細胞を検出する方法を対象にする。

Description

本発明は、コンジュゲートであって、検出部分と、酵素的に分解可能なスペーサを介して場合により連結され、バーコードとしてオリゴヌクレオチドを備える抗原認識部分とを含むコンジュゲート、および細胞サンプルからの標的部分または標的細胞の検出もしくは特定のためのこのようなコンジュゲートの使用を対象にする。
検出後に細胞から除去することができるコンジュゲートによる細胞検出は、公知のプロセスである。例えば、米国特許第7776562号明細書には、コンジュゲート中の非共有結合を破壊する競合分子を添加することにより、コンジュゲートを細胞から除去する可逆的蛍光標識プロセスが開示されている。
可逆的蛍光標識への種々のアプローチが、欧州特許出願公開第3037821号明細書に開示されている。同文献において、コンジュゲートは、酵素的に分解可能なスペーサを備える。適切な酵素を添加することにより、コンジュゲートが破壊され、コンジュゲートの検出部分および抗原認識部分の両方が、細胞から除去される。
公知のプロセスにより、細胞サンプル中の種々の細胞の検出が可能となる。例えば、異なる抗原認識部分を有するコンジュゲートにより繰り返し染色し、検出し、脱染色することにより、細胞の幾つかの表現型および組織中のそれらの位置を検出しまたは区別することが可能である。
しかしながら、単一の単離された細胞の遺伝情報を分析することは不可能である。
異なる技術分野では、細胞をバーコードとしてのポリヌクレオチドとコンジュゲートさせることにより、単一細胞から得られた遺伝情報を特定することが公知である。これらの方法は、単一細胞を特定するように配列決定することができる異なるポリヌクレオチドのライブラリを合成することを含む。
細胞を単離するための生物学および必要なハードウェアは、例えば、米国特許第9388456号明細書または同第9695468号明細書に開示されている。しかしながら、この技術は、細胞-細胞相互作用を伴う組織または細胞培養の文脈における細胞ではなく、単一の単離された細胞に焦点が当てられている。
したがって、本発明の目的は、単一細胞および組織上または組織内のそれらの位置/局在ならびにそれらの表現型の特定を可能にするコンジュゲートを提供することであった。さらに、特定のための手段は、複数の特定工程を可能にするように消去可能であるものとする。
a)バーコード部分およびb)消去することができる検出部分に結合した抗原結合部分から構成されるコンジュゲートが、単一細胞の特定に適していることが判った。
消去可能な検出部分により、生物標本を、先の各標識の干渉なしに、同じかまたは異なるコンジュゲートに再度供することができる。全てのバーコード部分は、細胞上に残存し、それにより、バインダーにより検出される細胞の表現型と、配列決定により検出される単一細胞の遺伝情報との間の関連付けが、配列決定により可能となる。
したがって、本発明の目的は、一般式(I)
-P-Y(I)
[式中、
Xは、検出部分であり、
Pは、スペーサユニットであり、
Yは、抗原認識部分であり、
Bは、2~300個のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドであり、
n、m、oは、1~100の独立した整数であり、
PおよびBは、Yに共有結合しており、Xは、Pに共有結合しており、Xは消去可能である]
を有する、コンジュゲートである。
好ましい実施形態では、スペーサユニットPは、酵素的に分解可能である。
本発明のさらに別の目的は、細胞上の標的部分を検出するための方法であって、
a)一般式(I)
-P-Y(I)
[式中、
Xは、検出部分であり、
Pは、スペーサユニットであり、
Yは、抗原認識部分であり、
Bは、2~300個のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドであり、
n、m、oは、1~100の独立した整数であり、
PおよびBは、Yに共有結合しており、Xは、Pに共有結合しており、Xは消去可能である]
を有する少なくとも1種のコンジュゲートを提供し、
b)生体標本のサンプルを、少なくとも1種のコンジュゲートと接触させ、それにより、抗原認識部分Yにより認識される標的部分を標識し、
c)コンジュゲートにより標識された標的部分を、検出部分Xにより検出し、
d)コンジュゲートにより標識された細胞を、検出部分Xにより単離し、
e)検出部分Xを消去する、
方法である。
0.25%のPFA(上側)および2%のPFA(下側)で2分間架橋させた後のCD3 FITC染色間の比較を示す図である。倍率20倍。 CD3(PE)、CD4(APC)およびCD8(FITC)に対する抗体-蛍光色素-オリゴで標識し、0.25%のPFA(図2a)または0.5%のPFA(図2b)で架橋させた後、機械的な力により剥離された細胞のフローサイトメトリー分析を示す図である。 CD3(PE)、CD4(APC)およびCD8(FITC)に対する抗体-蛍光色素-オリゴで標識し、1%のPFA(図3a)または2%のPFA(図3b)で架橋させた後、機械的な力により剥離された細胞のフローサイトメトリー分析を示す図である。 CD3(PE)、CD4(APC)およびCD8(FITC)に対する抗体-蛍光色素-オリゴで標識し、0.25%のPFA(図4a)または0.5%のPFA(図4b)で架橋させた後、酵素処理により剥離された細胞のフローサイトメトリー分析を示す図である。 CD3(PE)、CD4(APC)およびCD8(FITC)に対する抗体-蛍光色素-オリゴで標識し、1%のPFA(図5a)または2%のPFA(図5b)で架橋させた後、酵素処理により剥離された細胞のフローサイトメトリー分析を示す図である。 CD3(PE)、CD4(APC)およびCD8(FITC)に対する抗体-蛍光色素-オリゴで標識し、0.25%のPFA(図6a)または0.5%のPFA(図6b)で架橋させた後、酵素処理および機械的な力により剥離された細胞のフローサイトメトリー分析を示す図である。 CD3(PE)、CD4(APC)およびCD8(FITC)に対する抗体-蛍光色素-オリゴで標識し、1%のPFA(図7a)または2%のPFA(図7b)で架橋させた後、酵素処理および機械的な力により剥離された細胞のフローサイトメトリー分析を示す図である。 DAPIならびにa)バーコード部分(オリゴヌクレオチド)およびb)消去することができる検出部分およびc)架橋可能な部分に結合したCD4特異的抗体で標識されたPBMCを示す図である。オリゴヌクレオチドを、Cy5で標識されたアンチセンスオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせた。画像は、DAPIの蛍光シグナルを示す。 DAPIならびにa)バーコード部分(オリゴヌクレオチド)およびb)消去することができる検出部分およびc)架橋可能な部分に結合したCD4特異的抗体で標識されたPBMCを示す図である。オリゴヌクレオチドを、Cy5で標識されたアンチセンスオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせた。画像は、Cy5の蛍光シグナルを示す。 DAPIならびにa)バーコード部分(オリゴヌクレオチド)およびb)消去することができる検出部分およびc)架橋可能な部分に結合したCD4特異的抗体で標識されたPBMCを示す図である。オリゴヌクレオチドを、Cy5で標識されたアンチセンスオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせた。画像は、Cy5(赤色)およびDAPI(緑色)の蛍光シグナルのオーバーレイを示す。
発明を実施するための形態
「共有結合」という用語は、10-9M以下の解離定数を有する結合を指す。「検出部分Xを消去する」という用語は、Xによる蛍光発光の除去を指す。これを、例えば、Xが発色団部分、蛍光部分、リン光部分、発光部分、光吸収部分のうちの1つとしてXであるとする場合、Xが検出される能力を除去することによるか、発光が検出不可能な場合、Xで励起されるようにXの化学的性質を破壊しまたは分解することによるかのいずれかにより達成することができる。
Xの化学的性質のこのような破壊または分解を、例えば、酵素分解、放射線または酸化漂白により達成することができる。漂白に必要な化学物質は、「マルチエピトープリガンド地図作成(Multi Epitope Ligand Cartography)」、「チップベースサイトメトリー」または「Multioymx」技術について上記言及された刊行物から公知である。
「検出部分Xを消去する」更なる方法は、コンジュゲートからXを除去することである。これを、一般式(I)に係るコンジュゲートに酵素的に分解可能なスペーサユニットPを備えさせることにより達成することができる。酵素的に分解可能なスペーサPが、(Xの検出後に)適切な酵素を添加することにより消化される場合、Xは、もはやコンジュゲートに結合せず、例えば、洗浄により除去することができる。
抗原認識部分Yの性質に応じて、この実施形態は、スペーサPを酵素的に分解した後に、抗原認識部分Yが抗原から除去されるかまたはこれを除去することができ、標的細胞を非接触のままにする効果を有することができる。抗原への安定した結合を提供するために幾つかの結合部位を必要とする抗原認識部分Y、例えば、FABは、スペーサPを酵素的に分解すると、抗原から除去される傾向がある。
抗原認識部分Yを抗原から除去することが望まれない場合、これを、抗原認識部分Yおよび/またはオリゴヌクレオチドBが架橋剤ユニットを備える本発明の更なる実施形態により防止することができる。本発明の方法のこのような変形形態では、抗原認識部分Yおよび/またはオリゴヌクレオチドBは、抗原認識部分Yにより認識される細胞(好ましくは、抗原)への共有結合を提供可能であり、架橋剤の細胞(好ましくは、抗原)への共有結合が放射線、化学反応または酵素反応により開始される、架橋剤ユニットを備える。
架橋剤の細胞または抗原への共有結合を、放射線、化学反応または酵素反応により開始することができる。
本発明の方法、すなわち、工程a)~e)を、異なる抗原認識部分Yを有する少なくとも2種のコンジュゲートにより、引き続き繰り返すことができる。代替的には、工程a)~e)を、異なる抗原認識部分Yおよび異なるオリゴヌクレオチドBを有する少なくとも2種のコンジュゲートにより、引き続き繰り返すことができる。
本発明の更なる実施形態では、工程a)~e)を、以下の工程:
f)検出部分Xを有する少なくとも2種のコンジュゲートにより標識された細胞を単離する工程
g)細胞を溶解する工程
h)オリゴBに第2のバーコードを付加する工程
i)細胞の遺伝情報に同じ第2のバーコードを付加する工程(ここで、g)およびh)を、同時に行うことができ、h)およびi)を、別の順序で行うことができる)
に加えて、少なくとも1回繰り返す。
場合により、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、遺伝情報を表す配列およびオリゴBにハイブリダイズさせることにより、工程h)を行うことができ、これにより、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、第2のバーコードに共有結合する。2~100個のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドB’を、第2のバーコードとして使用することができる。
優先的には、オリゴ(dT)含有オリゴヌクレオチドが、前記細胞のmRNAのポリ(A)およびオリゴBに含まれるオリゴ(dA)配列ストレッチとハイブリダイズするのに使用され、それにより、オリゴ(dT)は、第2のバーコードに共有結合する。
標的部分
本発明の方法により検出される標的部分は、任意の生体標本、例えば、組織切片、細胞凝集体、懸濁細胞または接着細胞上にあるものであることができる。細胞は、生きていてもよくまたは死んでいてもよい。好ましくは、標的部分は、生体標本、例えば、無脊椎動物(例えば、線虫(Caenorhabditis elegans)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster))、脊椎動物(例えば、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)、ツメガエル(Xenopus laevis))および哺乳動物(例えば、ハツカネズミ(Mus musculus)、ヒト(Homo sapiens))の動物全体、臓器、組織切片、細胞凝集体または単一細胞上で細胞内または細胞外に発現される抗原である。
バーコード部分
本出願において、異なる配列を有するオリゴヌクレオチドBは、「バーコード」と呼ばれる。それらの固有の配列により、単一の標的を特定することが可能となるためである。バーコード部分Bは、2~300個のヌクレオチド残基、好ましくは、5~70個のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドを含む。ヌクレオチド残基として、天然のシトシン(C)、アデニン(A)、グアニン(G)およびチミン(T)が好ましい。これらの単位をランダムに重合させることにより、異なる配列を有するオリゴヌクレオチドのライブラリを得ることができる。例えば、10個のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドをランダムに産生するライブラリは、410=1048576のメンバーを有するであろう。
オリゴヌクレオチドおよびそのライブラリを生成するための技術は、当業者に周知であり、単離されたオリゴヌクレオチドを増幅して、それをより大量に得るための技術も同様である。米国特許第9388465号明細書には、これらの技術がまとめられている。
したがって、本発明の更なる目的は、異なる配列を有するオリゴヌクレオチドBを備えた、少なくとも10個、好ましくは、少なくとも、100個、好ましくは、少なくとも1000個、好ましくは、少なくとも10000個のコンジュゲートを含む、既に検討されたコンジュゲートのライブラリを提供することである。
検出部分
コンジュゲートの検出部分Xは、検出目的に使用することができる特性または機能を有する任意の部分、例えば、発色団部分、蛍光部分、リン光部分、発光部分、光吸収部分、放射性部分および遷移金属同位体質量タグ部分からなる群から選択されるものであることができる。
適切な蛍光部分は、免疫蛍光技術の技術分野から公知のもの、例えば、フローサイトメトリーまたは蛍光顕微鏡法である。本発明のこれらの実施形態では、コンジュゲートにより標識された標的部分は、検出部分Xを励起させ、得られた発光(フォトルミネセンス)を検出することにより検出される。この実施形態では、検出部分Xは、蛍光部分であることが好ましい。
有用な蛍光部分は、タンパク質ベース、例えば、フィコビリタンパク質、ポリマー、例えば、ポリフルオレン、有機低分子色素、例えば、キサンテン、例えば、フルオレセインもしくはローダミン、シアニン、オキサジン、クマリン、アクリジン、オキサジアゾール、ピレン、ピロメテンまたは金属有機錯体、例えば、Ru、Eu、Pt錯体であることができる。単一分子実体の他に、蛍光タンパク質または有機低分子色素のクラスターおよびナノ粒子、例えば、量子ドット、アップコンバージョンナノ粒子、金ナノ粒子、染色ポリマーナノ粒子も、蛍光部分として使用することができる。
別のグループのフォトルミネセンス検出部分は、励起後の光の時間遅延発光を有するリン光部分である。リン光部分は、金属有機錯体、例えば、Pd、Pt、Tb、Eu錯体またはリン光顔料が組み込まれたナノ粒子、例えば、ランタニドドープSrAlを含む。
本発明の別の実施形態では、コンジュゲートで標識された標的が、照射による事前の励起なしに検出される。この実施形態では、検出部分は、放射性標識であることができる。それらは、非放射性同位体を、それらの放射性同位体、例えば、トリチウム、32P、35Sもしくは14Cと交換することまたは共有結合標識、例えば、チロシンに結合する125I、フルオロデオキシグルコース内の18Fもしくは有機金属錯体、すなわち、99Tc-DTPAを導入することによる、放射性同位体標識の形態であることができる。
別の実施形態では、検出部分は、化学発光を発生可能である、すなわち、ルミノールの存在下での西洋ワサビペルオキシダーゼ標識である。
本発明の別の実施形態では、コンジュゲートにより標識された標的は、放射線放出によってではなく、UV、可視光またはNIR放射の吸収により検出される。適切な光吸収検出部分は、蛍光発光を伴わない光吸収色素、例えば、有機低分子クエンチャ色素、例えば、N-アリールローダミン、アゾ色素およびスチルベンである。
別の実施形態では、光吸収検出部分Xを、パルスレーザ光により照射し、光音響シグナルを生成することができる。
本発明の別の実施形態では、コンジュゲートにより標識された標的は、遷移金属同位体の質量分析検出により検出される。遷移金属同位体質量タグ標識を、共有結合した金属有機錯体またはナノ粒子成分として導入することができる。ランタニドおよび隣接する後期遷移元素の同位体タグは、当技術分野において公知である。
検出部分Xを、検出部分上もしくはスペーサP上のいずれかの活性化基とスペーサP上もしくは検出部分X上のいずれかの官能基との直接反応によりまたはヘテロ二官能性リンカー分子を介して、スペーサPに共有結合させることができる。ヘテロ二官能性リンカー分子は、最初に一方と反応し、次に、他方の結合パートナーと反応する。
例えば、多数のヘテロ二官能性化合物が、実体への連結に利用可能である。例示的な実体は、アジドベンゾイルヒドラジド、N-[4-(p-アジドサリチルアミノ)ブチル]-3’-[2’-ピリジルジチオ]プロピオンアミド)、ビス-スルホスクシンイミジルスベリン酸塩、ジメチルアジプイミド酸塩、ジスクシンイミジル酒石酸塩、N-y-マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジド安息香酸塩、N-スクシンイミジル [4-アジドフェニル]-1,3’-ジチオプロピオン酸塩、N-スクシンイミジル [4-ヨードアセチル]アミノ安息香酸塩、グルタルアルデヒド、スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)ポリエチレングリコール]エステル(NHS-PEG-MAL)およびスクシンイミジル 4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレートを含む。好ましい連結基は、検出部分上に反応性スルフヒドリル基およびスペーサP上に反応性アミノ基を有する3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP)または4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボン酸 N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SMCC)である。
スペーサPへの検出部分Xの準共有結合を、10-9M以下の解離定数を提供する結合系、例えば、ビオチン-アビジン結合相互作用により達成することができる。
スペーサP
一般的には、抗原認識コンジュゲートの技術分野において公知の任意のスペーサP、例えば、LCLCまたはPEGオリゴマーを使用することができる。
好ましい実施形態では、本発明に係るコンジュゲートは、酵素的に分解可能であるスペーサユニットPを含む。酵素的に分解可能なスペーサPは、特定の酵素、特に、ヒドラーゼにより開裂することができる任意の分子であることができる。例えば、多糖類、タンパク質、ペプチド、デプシペプチド、ポリエステル、核酸およびこれらの誘導体が、酵素的に分解可能なスペーサPとして適している。
適切な多糖類は、例えば、デキストラン、プルラン、イヌリン、アミロース、セルロース、ヘミセルロース、例えば、キシランまたはグルコマンナン、ペクチン、キトサンまたはキチンである。これらを、検出部分Xおよび抗原認識部分Yの共有結合または非共有結合のための官能基を提供するために誘導体化することができる。各種のこのような修飾が、当技術分野において公知であり、例えば、イミダゾリルカルバメート基を、多糖類をN,N’-カルボニルジイミダゾールと反応させることにより導入することができる。続けて、アミノ基を、前記イミダゾリルカルバメート基をヘキサンジアミンと反応させることにより導入することができる。また、多糖類を、過ヨウ素酸塩を使用して酸化させて、アルデヒド基を提供することもできまたはN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびジメチルスルホキシドを使用して酸化させて、ケトン基を提供することもできる。続けて、アルデヒドまたはケトン官能基を、好ましくは、還元的アミノ化の条件下で、ジアミンと反応させて、アミノ基を提供することができるかまたはタンパク質性結合部分上のアミノ置換基と直接反応させることができるかのいずれかである。カルボキシメチル基を、多糖類をクロロ酢酸で処理することにより導入することができる。カルボキシ基を、活性化エステル、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルまたはテトラフルオロフェニルエステルを生成する当技術分野において公知の方法で活性化することにより、ジアミンのアミノ基と反応させて、アミノ基を提供することが可能となるかまたはタンパク質性結合部分のアミノ基と直接反応させることが可能となるかのいずれかである。一般的には、アルカリ条件下で、多糖類をハロゲン化合物で処理することにより、アルキル基を有する官能基を導入することが可能である。例えば、アリル基を、臭化アリルを使用することにより導入することができる。さらに、アリル基を、アミノ基を導入するために、チオール含有化合物、例えば、システアミンとのチオール-エン反応に使用することができ、またはジスルフィド結合の還元により遊離されるかもしくは例えば、2-イミノチオランによるチオール化により導入されるチオール基とのタンパク質性結合部分とのチオール-エン反応に直接使用することができる。
酵素的に分解可能なスペーサPとして使用されるタンパク質、ペプチドおよびデプシペプチドを、検出部分Xおよび抗原認識部分Yを付着させるために、アミノ酸の側鎖官能基を介して官能化することができる。修飾に適した側鎖官能基は、例えば、リジンより提供されるアミノ基またはジスルフィド架橋の還元後にシステインにより提供されるチオール基である。
酵素的に分解可能なスペーサPとして使用されるポリエステルおよびポリエステルアミドを、側鎖官能性を提供するコモノマーと共に合成するかまたはその後に官能化するかのいずれかをすることができる。分岐ポリエステルの場合、官能化は、カルボキシル末端基またはヒドロキシル末端基を介することができる。ポリマー鎖の重合後官能化は、例えば、不飽和結合への付加、すなわち、チオレン反応もしくはアジド-アルキン反応によりまたはラジカル反応による官能基の導入によることができる。
酵素的に分解可能なスペーサPとして使用される核酸は、好ましくは、検出部分Xおよび抗原認識部分Yの付着に適した3’末端および5’末端における官能基を伴って合成される。例えば、アミノまたはチオール官能基を提供する核酸合成に適したホスホラミダイト構築ブロックは、当技術分野において公知である。
酵素的に分解可能なスペーサPを、同じかまたは異なる酵素により分解可能な2種以上の異なる酵素的に分解可能なユニットから構成することができる。
抗原認識部分Y
「抗原認識部分Y」という用語は、生体標本上に発現されている標的部分、例えば、細胞内または細胞上の細胞外に発現されている抗原に対する任意の種類の抗体、フラグメント化抗体またはフラグメント化抗体誘導体を指す。この用語は、完全にインタクトな抗体、フラグメント化抗体またはフラグメント化抗体誘導体、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、sdAb、scFv、di-scFv、ナノボディに関する。このようなフラグメント化抗体誘導体を、これらの種類の分子を含有する共有および非共有コンジュゲーションを含む組換え手法により合成することができる。抗原認識部分の更なる例は、TCR分子を標的とするペプチド/MHC複合体、細胞接着受容体分子、共刺激分子の受容体、人工的に操作された結合分子、例えば、細胞表面分子を標的とするペプチドまたはアプタマーである。
本発明の方法に使用されるコンジュゲートは、最大100個、好ましくは、1~20個、好ましくは、2~10個の抗原認識部分Yを含むことができる。
抗原認識部分と標的抗原との相互作用は、高親和性のものまたは低親和性のものであることができる。単一の低親和性抗原認識部分の結合相互作用は、抗原との安定した結合を提供するには低すぎる。低親和性抗原認識部分を、酵素的に分解可能なスペーサPへのコンジュゲーションにより多量体化して、高い結合活性を提供することができる。スペーサPが、酵素的に開裂されまたは分解される場合、低親和性抗原認識部分は単量体化され、これにより、検出部分X、スペーサPおよび抗原認識部分Yの完全な除去がもたらされるであろう。高親和性抗原認識部分により、安定な結合が提供され、これにより、検出部分XおよびスペーサPの除去がもたらされる。
好ましくは、「抗原認識部分Y」という用語は、生体標本(標的細胞)の細胞内に発現される抗原、例えば、IL2、FoxP3、CD154または同細胞外に発現される抗原、例えば、CD3、CD14、CD4、CD8、CD25、CD34、CD56およびCD133に対する抗体を指す。
抗原認識部分Y、特に、抗体を、側鎖アミノ基またはスフヒドリル基を介して、スペーサPに結合させることができる。場合により、抗体のグリコシド側鎖を、過ヨウ素酸により酸化させて、アルデヒド官能基をもたらすことができる。
抗原認識部分Yを、スペーサPに共有結合させまたは非共有結合させることができる。共有または非共有コンジュゲーションのための方法は、当業者に公知であり、検出部分Xのコンジュゲーションについて言及されたものと同じである。
本発明の方法は、複雑な混合物からの特定の細胞タイプの検出および/または単離に特に有用であり、工程a)~e)の2回以上の連続的または並列的な順序を含むことができる。本方法において、コンジュゲートの各種の組み合わせを使用することができる。例えば、コンジュゲートは、2つの異なるエピトープに特異的な抗体、例えば、2つの異なる抗CD34抗体を含むことができる。異なる抗原について、異なる抗体を含む異なるコンジュゲート、例えば、2つの別個のT細胞集団間の分化のための抗CD4および抗CD8、または異なる細胞部分集団、例えば、レギュラトリーT細胞を決定するための抗CD4および抗CD25で対処することができる。
酵素
放出剤としての酵素の選択は、酵素的に分解可能なスペーサPの化学的性質により決定され、1つまたは異なる酵素の混合物であることができる。酵素は、好ましくは、ヒドロラーゼであるが、リアーゼまたはレダクターゼも可能である。例えば、スペーサPが、多糖類である場合、グリコシダーゼ(EC3.2.1)が、放出剤として最も適している。特定のグリコシド構造を認識するグリコシダーゼ、例えば、デキストランのα(1→6)結合で開裂させるデキストラナーゼ(EC3.2.1.11)、プルランのα(1→6)結合(EC3.2.1.142)もしくはα(1→6)およびα(1→4)結合(EC3.2.1.41)のいずれかを開裂させるプルラナーゼ、プルランにおけるα(1→4)結合を開裂させるネオプルラナーゼ(EC3.2.1.135)およびイソプルラナーゼ(EC3.2.1.57)、アミロースにおけるα(1→4)結合を開裂させるα-アミラーゼ(EC3.2.1.1)およびマルトース生成アミラーゼ(EC3.2.1.133)、イヌリンにおけるβ(2→1)フルクトシド結合を開裂させるイヌリナーゼ(EC3.2.1.7)、セルロースのβ(1→4)結合で開裂させるセルラーゼ(EC3.2.1.4)、キシランのβ(1→4)結合で開裂させるキシラナーゼ(EC3.2.1.8)、α(1→4)D-ガラクツロナンメチルエステル結合で除去的に開裂させるペクチナーゼ、例えば、エンドペクチンリアーゼ(EC4.2.2.10)、またはペクチンのα(1→4)D-ガラクトシドウロン結合で開裂させるポリガラクツロナーゼ(EC3.2.1.15)、キトサンのβ(1→4)結合で開裂させるキトサナーゼ(EC3.2.132)およびキチンを開裂させるためのエンド-キチナーゼ(EC3.2.1.14)が好ましい。
タンパク質およびペプチドを、細胞上の標的構造の分解を回避するように配列特異的である必要があるプロテイナーゼにより開裂させることができる。配列特異的プロテアーゼは、例えば、配列ENLYFQ\Sで開裂させるシステインプロテアーゼであるTEVプロテアーゼ(EC3.4.22.44)、配列DDDDKの後ろで開裂させるセリンプロテアーゼであるエンテロペプチダーゼ(EC3.4.21.9)、配列IEGRもしくはIDGRの後ろで開裂させるセリンエンドペプチダーゼである因子Xa(EC3.4.21.6)、または配列LEVLFQ\GPで開裂させるシステインプロテアーゼであるHRV3Cプロテアーゼ(EC3.4.22.28)である。
ペプチド骨格中にエステル結合を含有するペプチドであるデプシペプチドまたはポリエステルを、エステラーゼ、例えば、ブタ肝臓エステラーゼ(EC3.1.1.1)またはブタ膵臓リパーゼ(EC3.1.1.3)により開裂させることができる。核酸を、配列特異的であることができるエンドヌクレアーゼ、例えば、制限酵素(EC3.1.21.3、EC3.1.21.4、EC3.1.21.5)、例えば、EcoRI、HindIIもしくはBamHIまたはより一般的には、例えば、ピリミジンに隣接するホスホジエステル結合を開裂させるDNAse I(EC3.1.21.1)により開裂させることができる。
添加される酵素の量は、所望の時間内にスペーサを実質的に分解するのに十分である必要がある。通常、検出シグナルは、少なくとも約80%、より通常には、少なくとも約95%、好ましくは、少なくとも約99%の低減である。放出条件を、温度、pH、金属補因子の存在、還元剤等の観点から経験的に最適化することができる。分解は、通常、少なくとも約15分、より通常には、少なくとも約10分で完了するであろうし、通常、約30分以内であろう。
細胞検出方法
本発明のコンジュゲートにより標識された標的を検出するための方法および装置は、検出部分Xにより決定される。
本発明の1つの変形形態では、検出部分Xは、蛍光部分である。蛍光色素-コンジュゲートにより標識された標的は、蛍光部分Xを励起させ、得られた蛍光シグナルを分析することにより検出される。励起の波長は、通常、蛍光部分Xの吸収極大に従って選択され、当技術分野において公知のレーザまたはLED源により提供される。複数の異なる検出部分Xが、複数の色/パラメータ検出に使用される場合、吸収スペクトルが重複せず、少なくとも吸収極大が重複しない蛍光部分を選択するように注意を払うべきである。検出部分としての蛍光部分の場合、標的を、例えば、蛍光顕微鏡下で、フローサイトメーター、分光蛍光計または蛍光スキャナーにおいて検出することができる。化学ルミネセンスにより放出される光を、励起を省略した同様の機器により検出することができる。
本発明の別の変形形態では、検出部分は、光吸収部分であり、これは、照射光強度と透過または反射光強度との差により検出される。また、光吸収部分を、音響、例えば、超音波シグナルを生成するためにパルスレーザビームの吸収を使用する光音響撮像によっても検出することができる。
放射性検出部分は、放射性同位体により放出された放射線により検出される。放射性放射線の検出に適した機器は、例えば、シンチレーションカウンターを含む。ベータ放出電子顕微鏡法の場合、検出にも使用することができる。
遷移金属同位体質量タグ部分は、質量サイトメトリー機器に組み込まれる質量分析法、例えば、ICP-MSにより検出される。
方法の使用
本発明の方法を、研究、診断および細胞療法における種々の用途に使用することができる。
本発明の第1の変形形態では、生体標本、例えば、細胞が、計数目的、すなわち、コンジュゲートの抗原認識部分により認識される抗原の特定のセットを有するサンプルからの細胞の量を確立するために検出される。
第2の変形形態では、生体標本の1つ以上の集団が、サンプルから検出され、標的細胞として分離される。この変形形態を、例えば、臨床研究、診断および免疫療法において、標的細胞の精製に使用することができる。この変形形態では、工程a)、b)、c)、d)および場合により、洗浄工程e)のいずれかの後に、1回以上の選別工程を行うことができる。
本発明の別の変形形態では、標的部分、例えば、コンジュゲートの抗原認識部分により認識される生体標本上の抗原の位置が決定される。このような技術は、「マルチエピトープリガンド地図作成」、「チップベースサイトメトリー」または「Multioymx」として公知であり、例えば、欧州特許出願公開第0810428号明細書、同第1181525号明細書、同第1136822号明細書または同第1224472号明細書に記載されている。この技術では、細胞を固定化し、蛍光部分に結合した抗体と接触させる。抗体は、生体標本上(例えば、細胞表面上)の各抗原により認識され、未結合マーカーを除去し、蛍光部分を励起させた後、抗原の位置が、蛍光部分の蛍光発光により検出される。特定の変形形態では、蛍光部分に結合した抗体の代わりに、MALDI撮像またはCyTOFについて検出可能な部分に結合した抗体を使用することができる。当業者であれば、蛍光部分に基づいて、これらの検出部分により作用するように、この技術を修飾する方法を知っている。
標的部分の位置は、蛍光放射の波長に対して十分な分解能および感度を有するデジタル撮像装置により達成される。デジタル撮像装置を、例えば、蛍光顕微鏡を使用して、光学拡大を伴ってまたは伴わずに使用することができる。得られた画像は、例えば、RAW、TIF、JPEGまたはHDF5フォーマットで、適切な記憶装置、例えば、ハードドライブに記憶される。
異なる抗原を検出するために、同じかもしくは異なる蛍光部分または抗原認識部分Yを有する異なる抗体コンジュゲートを提供することができる。異なる波長を有する蛍光発光の並行検出が制限されるため、抗体-蛍光色素-コンジュゲートは、順次、個々にまたは小さいグループ(2~10種)で、他方の後に利用される。
本発明に係る方法のさらに別の変形形態では、サンプルの生体標本、特に、懸濁細胞は、マイクロキャビティ内に捕捉することによりまたは接着により固定化される。
実施例
以下の実施例は、本発明のより詳細な説明を意図しているが、本発明をこれらの実施例に限定するものではない。
実施例1:核酸情報の下流配列決定分析のためのサイクル免疫蛍光分析後の細胞の単離および免疫蛍光分析に使用される抗体のオリゴヌクレオチドバーコード
新鮮に単離された末梢血単核細胞(PBMC)を、24ウェルプレート(ウェル当たりに1E06個のPBMC)上において、100×gでスピンし、4%のPFAで10分間固定した。固定された細胞を、3回洗浄し、a)バーコード部分およびb)消去することができる検出部分に結合した抗原結合部分(抗体-蛍光色素-オリゴコンジュゲート)とc)架橋性部分(第一級アミノ基)とで構成されるコンジュゲートで、10分間染色した。抗原結合部分は、タンパク質CD8、CD3およびCD4に特異的な抗体とした(CD8-FITC-オリゴ、CD3-PE-オリゴ、CD4-APC-オリゴ)。ついで、抗体-蛍光色素-オリゴコンジュゲートを、0.25%のパラホルムアルデヒド(PFA)、0.5%のPFA、1%のPFAまたは2%のPFAのいずれかで2分間、細胞に架橋させた。全てのウェルを、トリプリケートで準備した。
細胞の標識を、顕微鏡法により制御した。図1に、0.25%のPFA(上側)および2%のPFA(下側)で2分間架橋させた後のCD3 FITC染色間の比較の例を示す。
細胞を、以下の3つの方法のうちの1つを使用して、顕微鏡法から剥離した。変形形態1:細胞を擦り取ることによる機械的剥離;変形形態2:エラスターゼとのインキュベーションによる酵素的剥離;変形形態3:エラスターゼと擦り取りとを使用する機械的剥離と酵素的剥離との組み合わせ
剥離後、細胞を回収し、フローサイトメトリーにより分析した。
変形形態1(擦り取り)について、多くのデブリを、ドットプロットにおいて検出することができた。架橋のためのPFAの異なる割合によっては、有意差はもたらされなかった(図2、図3)。
変形形態2(エラスターゼ)について、ごくわずかなデブリのみを検出することができた。再度、4つの架橋レベルの間に差はなかった(図4、図5)。
変形形態3(エラスターゼ+擦り取り)について、中程度の量のデブリが存在した。再度、4つのレベルの固定後の間に差はなかった(図6、図7)。
例として、図3(変形形態2、エラスターゼ)の左側部分(0.25%)におけるドットプロットに、APC(CD4)対FITC(CD8)標識細胞に似た2つの異なる集団を各軸に沿って示す。予想どおり、二重標識細胞を検出することができなかった。CD8-FITC細胞は、集団の11%にゲーティングされ、CD4-APC細胞は、5.22%であり、これは、PBMCを分析する際の予想と相関する。CD8-FITC陽性細胞およびCD4-APC陽性細胞は両方とも、CD3-PEと良好に相関し、非CD8-FITC細胞および非CD4-APC細胞の別個の集団は、同様にCD3-PE軸に沿っている。
これらの結果から、細胞の完全性および標識を失うことなく、顕微鏡スライドから細胞を剥離し、分析することが可能であることが示される。抗体-蛍光色素-オリゴの架橋度は、インタクトな細胞の剥離に影響を及ぼさなかった。酵素による剥離は、細胞の完全性を保持するのに明らかに優れている。
実施例2:抗体-蛍光色素-オリゴヌクレオチドコンジュゲート上でのオリゴヌクレオチド-バーコードの機能性の試験
新鮮に単離された末梢血単核細胞(PBMC)を、24ウェルプレート(ウェル当たりに1E06個のPBMC)上において、100×gでスピンし、4%のPFAで10分間固定した。固定された細胞を、3回洗浄し、DAPI 1:20により、暗所、室温で10分間染色した。細胞を、5回洗浄し、ついで、a)バーコード部分およびb)消去することができる検出部分に結合した抗原結合部分(抗体-蛍光色素-オリゴコンジュゲート)とc)架橋性部分(第一級アミノ基)とで構成されるコンジュゲートで、10分間染色した。抗原結合部分は、タンパク質CD8、CD3およびCD4に特異的な抗体とした。
ついで、コンジュゲートを、0.25%のPFAで2分間、細胞に架橋させた。抗体-蛍光色素-オリゴコンジュゲートを、Cy5で標識されたアンチセンスオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。細胞の標識を、顕微鏡法により制御した(図8-X)。
図8に、DAPIを使用した細胞の核染色を示す(核染色)。図9に、例として、各CY5標識アンチセンスオリゴを有するCD4特異的抗体-オリゴコンジュゲートを使用した細胞の標識を示す(細胞表面染色)。細胞の部分集団が、抗体-オリゴコンジュゲートにより表面上で標識されていることが、明らかに目に見える。したがって、オリゴヌクレオチドの細胞への架橋が、アンチセンスオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを阻害しない、すなわち、バーコードとしてのオリゴヌクレオチドの機能が保持されると結論付けることができる。図10に、抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートによる標識の特異性を裏付ける図8と図9とのオーバーレイを示す。

Claims (15)

  1. 一般式(I)
    -P-Y(I)
    [式中、
    Xは、検出部分であり、
    Pは、スペーサユニットであり、
    Yは、抗原認識部分であり、
    Bは、2~300個のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドであり、
    n、m、oは、1~100の独立した整数であり、
    PおよびBは、Yに共有結合しており、Xは、Pに共有結合しており、Xは消去可能である]
    を有する、コンジュゲート。
  2. 前記スペーサユニットPが、酵素的に分解可能であることを特徴とする、請求項1記載のコンジュゲート。
  3. 前記検出部分Xが、放射線またはスペーサユニットPの酵素分解により消去可能であることを特徴とする、請求項1または2記載のコンジュゲート。
  4. 前記抗原認識部分Yおよび/またはオリゴヌクレオチドBが、架橋剤ユニットを備えることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンジュゲート。
  5. 前記架橋剤の抗原への共有結合が、放射線、化学反応または酵素反応により開始されることを特徴とする、請求項4記載のコンジュゲート。
  6. 前記検出部分が、発色団部分、蛍光部分、リン光部分、発光部分、光吸収部分、放射性部分、遷移金属および同位体質量タグ部分からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のコンジュゲート。
  7. 酵素的に分解可能な前記スペーサPが、多糖類、タンパク質、ペプチド、デプシペプチド、ポリエステル、核酸およびこれらの誘導体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2から6までのいずれか1項記載のコンジュゲート。
  8. 前記抗原認識部分Yが、抗体、フラグメント化抗体、フラグメント化抗体誘導体、TCR分子を標的とするペプチド/MHC複合体、細胞接着受容体分子、共刺激分子の受容体または人工的に操作された結合分子であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のコンジュゲート。
  9. 異なる配列を有するオリゴヌクレオチドBを備えた少なくとも10個のコンジュゲートを含む、請求項1から8までのいずれか1項記載のコンジュゲートのライブラリ。
  10. 細胞上の標的部分を検出するための方法であって、
    a)一般式(I)
    -P-Y(I)
    [式中、
    Xは、検出部分であり、
    Pは、スペーサユニットであり、
    Yは、抗原認識部分であり、
    Bは、2~300個のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチドであり、
    n、m、oは、1~100の独立した整数であり、
    PおよびBは、Yに共有結合しており、Xは、Pに共有結合しており、Xは消去可能である]
    を有する少なくとも1種のコンジュゲートを提供し、
    b)生体標本のサンプルを、前記少なくとも1種のコンジュゲートと接触させ、それにより、前記抗原認識部分Yにより認識される前記標的部分を標識し、
    c)前記コンジュゲートにより標識された前記標的部分を、前記検出部分Xにより検出し、
    d)検出部分Xを消去する、
    方法。
  11. 工程a)~d)を、少なくとも2種のコンジュゲートが、ヌクレオチド残基の異なる配列を有するオリゴヌクレオチドBを備えるという条件で、引き続き繰り返すことを特徴とする、請求項10記載の方法。
  12. 工程a)~d)を、少なくとも2種のコンジュゲートが、異なる抗原認識部分Yを有するという条件で、引き続き繰り返すことを特徴とする、請求項10または11記載の方法。
  13. 工程c)の後、前記検出部分Xを有する前記コンジュゲートにより標識された前記細胞を、工程e)において単離することを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 前記検出部分Xを、放射線によりまたはスペーサユニットPの酵素分解により消去することを特徴とする、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 前記抗原認識部分Yおよび/または前記オリゴヌクレオチドBが、抗原認識部分Yにより認識される前記細胞への共有結合を提供可能な架橋剤ユニットを備え、前記架橋剤の前記細胞への前記共有結合が、放射線、化学反応または酵素反応により開始されることを特徴とする、請求項10から14までのいずれか1項記載の方法。
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