JP2023538752A - ブッシング用チッププレート及びブッシング - Google Patents
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Abstract
本発明は、高温の融液を受容するためのブッシング用のチッププレート及びそれに対応するブッシングに関し、チッププレートは、高いパッキング密度のチップ配列を提供する。
Description
本発明は、高温の融液を受容するためのブッシング用チッププレート及びそれに対応するブッシングに関する。「受容する」という語は、融液のあらゆる種類の調整、保存、処理を含む。特に、ブッシングとそのチッププレートは、ガラス繊維、鉱物繊維、玄武岩繊維などのような繊維の生産に使用することを目的とするものである。
先行技術及び本発明について、織物用ガラス繊維を含むガラス繊維の生産、及びガラス繊維を生産するための装置を参照しながら以下にさらに詳しく説明するが、本発明はそのような用途に限定されない。
ガラス繊維は、100年以上もの間、ブッシングを用いてガラス融液から製造されてきた。一般的な概要は、デュッセルドルフで開催されたグラステック2006博覧会に関連してHVG-ドイツガラス産業連盟(Huttentechnische Vereinigung der Deutschen Glasindustrie)(オッフェンバッハ)より出版された非特許文献1から導き出すことができる。
一般的なブッシングは、箱状の溶融容器(るつぼ)であることを特徴とし、多くの場合、立方体の空間が設けられていると共に、底、いわゆるチッププレート、並びに円周方向壁を備えている。
一般的なチッププレートは、上面と上面に対して距離を置いた下面との間をなす本体、並びに上面と下面の間に該本体を貫通して延びる複数のいわゆるチップ(ノズル及び/又はオリフィスとも呼ばれる)を含み、融液は、そのチップ/ノズル/オリフィスを通って、ほとんどの場合、重力の影響を受けてブッシングから排出され得る。
チッププレートは、高温耐性を要するため、高温の融液(例えば、1700℃まで)に耐える貴金属のような高価な材料が求められる。一般的なチッププレートのノズルの設計及び配列は様々であり、ガラス繊維工場の局地的条件及び目標とする製品によって異なる。チップは、内径が1~4mm、長さが2~8mmであることが多いが、1枚のチッププレートのチップ数は、数千個に及ぶこともある。様々な実施形態において、チップは、チッププレートの下面から、使用時の融液流れ方向にあたるz方向に突出する。
従来から、単位面積あたりにできるだけ多くのチップを配列することで、一定数のチップを搭載したチッププレートの製造に必要とされる貴金属の量、ひいてはそのコストを削減すべく、いくつかの試みがなされてきた。単位面積あたりの(対応する流通開口を有する)チップの数は、先行技術においてチッププレートの「パッキング密度」と呼ばれている。
特許文献1では、高いパッキング密度を実現するため、チップの下端部の形状を実質的に正多角形とするチッププレートを開示している。チッププレートに溶接されたチップに関しては、従来の製造技術では、正多角形を実現することが難しく、その結果、そのようなオリフィスを通過するガラス融液の流れが不規則となり、放熱が困難となる。
「ガラス繊維生産用ブッシングの設計及び製造(Design and Manufacture of Bushings for Glass Fibre Production)」、HVG-ドイツガラス工業連盟(オッフェンバッハ)出版
例えば、そのようなオリフィス(チップ、ノズル)から下方に排出される繊維の速度は、毎分1000メートル前後とすることができ、直径が50μm未満、多くの場合4~35μmの非常に細い、連続したガラス繊維フィラメントが形成できる。
本発明は、既知の欠点をできるだけ克服し、特に、高いパッキング密度(ひいては、チップの数/必要とする貴金属の質量の好ましい関係)、優れた寿命を有し、且つ/又は均一性及び品質の高いガラス繊維の製造を可能とするチッププレートを提供することを目的とする。
本発明は、以下の知見に基づく。
先行技術のチッププレートと比較してより高い(チップの)パッキング密度を達成する際の制限要因の1つとして、ノズル(チップ)の配列、ひいては、チッププレートの上面における流通開口の配列が挙げられる。これは、特に、チップが溶接又は打ち抜き加工によってチッププレートに固定されている場合に当てはまる。使用位置において、この上面は、全面がガラス融液で覆われており、ブッシングが一定体積の該ガラス融液を含むため、静水圧が高い。
通常、チップは、縦一列に配列されている、即ち、共通の仮想直線と交差するそれらの中心長手軸線に並んで配置される。少なくともさらなる複数のチップが、少なくとも1本のさらなる(共通)仮想直線に沿ってさらなる列に配列され、それらの線(列)は、互いに平行に延びて、全体としてチップ群を形成する。第3、第4などの、同様の配列を追加してもよい。チッププレートの下面の隣接する群の間に、いわゆる冷却フィンを配置することができるように、いくつかの群が互いに間隔を空けて配置されてもよい。また、チップは、中間冷却フィンを設けて2列、3列、4列などに配列されてもよい。
チッププレートのチップを通過する融液の流量を高めるために、チッププレートの上面に比較的大きな流通オリフィスを設けてもよい。その反対側(下側、出口)端部に位置する隣接し合うチップから導出される融液粒子(滴)間の接触を避けるためには、その下端部において隣接するチップ間のそれぞれの距離を、(操作位置において)できるだけ大きくする必要がある。チップの融液出口端間の距離が大きいほど、チップ周辺の冷却をさらに向上させることができる。チップの両端部におけるこれらの設計上の特徴を組み合わせることで、生産率と生産信頼性、メルトフロー特性と繊維品質に関して相乗作用をもたらす。また、このような設計により、パッキング密度が高くなり、チップを通過する融液の流量が増加する。
チッププレートの上面において隣接する仮想直線間の最小距離は、隣接するオリフィスが、それぞれの外周の対応する点において互いに接触する配列によって決まり、最大距離は、上面におけるそれぞれのオリフィスの直径より小さくなくてはならない。それに応じて、互いに隣接する異なる仮想線に沿って配列されるオリフィスは、以下でさらに詳細に説明するように、「重なり」を生じるようになる。
製造上の理由から(製造公差や限界に関わらず)、またガラス繊維の求められる品質により、チップの大多数(50%超、多くの場合、70%超、80%超、90%超)は、実質的に同じ寸法であり、特に、それらの流通開口は、同じ設計且つ断面であることが想定される。これは、特に、チッププレートの中央部分に沿って配列されているチップに関して当てはまる。
チップ(オリフィス)の隣接する線同士の距離、特に、チッププレートの上面におけるチップ(オリフィス)の直径、及び隣接するチップ間の距離との間には幾何学的関係がある。例えば、上述した仮想直線の間の距離が上面におけるチップの直径より大きい場合、パッキング密度は、低化するのが特徴である。また、1本の線上の隣接するチップ間の距離を広げたために、隣接する線のチップまで同じ距離を取るには、2本の線の間の距離を、チッププレート面におけるチップの直径より大きくすることが必要になる場合も同様である。
円筒形のパイプ(ここでは、チップの流通開口)を通過する体積流量は、層流のハーゲン・ポアズイユの式にしたがって計算することができる。
式中、
V=体積流量(単位m3/秒)
D=チップ直径(単位m)
Δp=圧力差(単位Pa)
η=動粘度(Pa s)
L=チップ長さ(単位m)とする。
V=体積流量(単位m3/秒)
D=チップ直径(単位m)
Δp=圧力差(単位Pa)
η=動粘度(Pa s)
L=チップ長さ(単位m)とする。
それに応じて、融液の質量流量Psは、以下の式で計算する。
ここで、
g=地球の重力、ρ=融液の濃度(単位kg/m3)及びH=圧力水頭(pressure head)(単位m)である。
g=地球の重力、ρ=融液の濃度(単位kg/m3)及びH=圧力水頭(pressure head)(単位m)である。
パイプ(流通開口)の断面が非円形の場合、次の形状係数QがD4/Lに置き換わる。
ここで、
錐台に関し、式中、d1は大きい方の直径であり、d2は小さい方の直径であり、Lは、この場合もチップの長さであり、これらの単位はすべてm(メートル)である。
温度、環境の乱れなどのような外的影響は、この数式においては考慮されていないが、本発明によるチップの計算に使用してもよい。
本発明に関して、重要な知見は、質量流量に関連してチップの中心長手軸線の距離を設定すること、言い換えれば、質量(融液)流量を一定に保ちながらその距離をできるだけ小さくすることである。
この最も一般的な実施形態において、本発明は、高温の融液を受容するためのブッシング用のチッププレートであって、その操作位置において、座標系の2方向(x,y)に延びる上面と、その上面に対して距離を置いた下面と、それらの間をなす本体とを備え、該チッププレートは、x-y方向で実質的に円形の断面であって、その最大径(dmax)がチッププレートの上面に隣接する流通開口を有する複数のチップをさらに備え、前記複数のチップは、上面から本体を通って延びて下面から突出し、高温の融液が、その内部を通ってチッププレートから座標系の第3の(z)方向に流出することができ、
-第1の複数のチップが、各々の対応する流通開口の中心長手軸線が(共通)仮想第1直線と交差すると共に隣接する中心長手軸線同士が、1.0dmax以上1.3dmax以下の距離(dT1)となるように並べて配列され、
-第2の複数のチップが、各々の対応する流通開口の中心長手軸線が(共通)仮想第2直線と交差すると共に隣接する中心長手軸線同士が、1.0dmax以上1.3dmax以下の距離(dT2)となるように並べて配列され、
-仮想第1直線と仮想第2直線は、0.866dmax以上、1.0dmax未満の距離dLを隔てて互いに平行に延びている、チッププレートに関する。
-第1の複数のチップが、各々の対応する流通開口の中心長手軸線が(共通)仮想第1直線と交差すると共に隣接する中心長手軸線同士が、1.0dmax以上1.3dmax以下の距離(dT1)となるように並べて配列され、
-第2の複数のチップが、各々の対応する流通開口の中心長手軸線が(共通)仮想第2直線と交差すると共に隣接する中心長手軸線同士が、1.0dmax以上1.3dmax以下の距離(dT2)となるように並べて配列され、
-仮想第1直線と仮想第2直線は、0.866dmax以上、1.0dmax未満の距離dLを隔てて互いに平行に延びている、チッププレートに関する。
距離dL=0.866dmaxであり、距離dT1及びdT2=1dmaxである場合、隣接するチップ同士がその外周上の一点において互いに接触する配列となる。
距離dL=dmaxである場合、2本の隣接する仮想線の間の距離が、2本の線の隣接するチップ同士が少なくとも点接触できる距離のうち、最も遠い距離となる。
dLの上限は、1.0未満、0.97未満又は0.95未満に設定してもよい。
本発明では、x-y方向で実質的に円形の断面を特徴とする流通開口を有するチップについて言及しており、これは、真円形の断面も含むが、一実施形態では、わずかに異なる断面形状ではあるものの、実質的に全体的には円形の形状、例えば、同様に機能し得る多角形形状を特徴とする流通開口も含む。以上に鑑み、代表的なチッププレートの以下に示す寸法が重要である。
-長さ200~1500mm
-幅50~400mm
-厚み(チップの突出部分を含まない)1~3mm
-チップ:長さ(チッププレートの本体から突出する部分)2~5mm
-チップ:チッププレートの上面における外径/内径1.5~4.5mm/1.0~4.0mm
-チップ:反対側端部の外径/内径1.5~4.5mm/1.0~4.0mm。
-長さ200~1500mm
-幅50~400mm
-厚み(チップの突出部分を含まない)1~3mm
-チップ:長さ(チッププレートの本体から突出する部分)2~5mm
-チップ:チッププレートの上面における外径/内径1.5~4.5mm/1.0~4.0mm
-チップ:反対側端部の外径/内径1.5~4.5mm/1.0~4.0mm。
本発明が「実質的に円形の断面」と言及する限り、これは、厳密に幾何学的な意味で理解すべきではなく、技術的に理解すべきものである。わずかに非円形の断面の場合、その(1箇所における)「直径」は、いわゆる直径相当値(diameter equivalent)に置き換えられる。
仮想直線に沿ったチップの配列に関し、隣接するチップの中心長手軸線同士の距離は、1.0dmaxよりわずかに小さくても(特に、最小で0.9dmaxまで)よいことが理解できよう。ただし、これにより、チッププレートの上面における隣接するチップの隣接する円形開口同士がある程度交差し、それらチップ(ノズル)のそれぞれの断面に沿った融液の流れ挙動がある程度不規則になることがある。
また、本発明は、高精度な設計を可能にし、チップの形状に関しさらなる柔軟性と自由度をもたらす製造技術、すなわち、積層造形法を提供する。特に、チッププレートは、1つのモノリシック部品として製造してもよく、すなわち、チッププレート本体と一体的に成形したチップ(ノズル)を備えてもよい。これは、溶接や打ち抜き技術でチップを成形する場合に比べ、非常に有利である。
本発明の任意の特徴として、個別に、又は技術的に実現可能な限り、他の特徴と関連して以下が含まれる。
-チップ(そのオリフィス)は、厳密にチッププレートの上面において最大径となってもよいが、わずかに凹んだ設計もまた許容される。
-各仮想直線に沿った、対応する流通開口の中心縦軸長手軸線のうち50%超が、互いに同じ距離(dT1、dT2)であってもよい。言い換えれば、対応するチップ同士が同じ距離であってもよい。この設計は、直線の長さの70%以上、80%以上、又は最大で100%に沿って配置されたチップにおいて実現することができる。
-仮想第1及び第2直線に沿ったすべてのチップのうち、隣接する流通開口の中心長手軸線の50%超が互いに同じ距離であってもよい。この配列により、(2本の隣接する線上の)3つの隣接するチップの中心長手軸線を仮想接続すると、正三角形となる設計とすることができ、これは、本発明による好ましい設計である。このような配列も、直線の長さの70%以上、80%以上、又は最大で100%に沿って配置されたチップによって実現可能である。
-(1本の線に沿った隣り合うチップ間の)距離dT1及び/又は(その隣の線に沿った隣り合うチップ間の)dT2は、1.2dmax未満、1.15dmax未満、又は1.1dmax未満に限定してもよい。dT1及び/又はdT2が小さくなるほど、パッキング密度(packing density)が高くなる。
-仮想第1直線及び仮想第2直線に沿ったすべてのチップの流通開口の中心長手軸線のうち50%超が、1本の直線に沿った2つの隣り合う流通開口と、その隣の直線の1つの流通開口の中心長手軸線とで、二等辺三角形又は正三角形をなすように配列されてもよい。50%という値は、70%以上、80%以上、90%以上、又は最大で100%まで増加させてもよい。
-別の実施形態では、流通開口は、その合計の長さの少なくとも70%にわたって、チッププレートの上面に向けて直径が大きくなる錐台に相当する内側形状を有する。70%という値は、80%以上、90%以上、又は100%まで増加させてもよい。さらなる実施形態は、大きい方の径、又は最大径(dmax)がチッププレートの上面に隣接する錐台に対応する内側形状を有する流通開口に関する。これに相応して、チップは、流通開口の錐台に倣って同様に配向された円錐台形状の外形を有してもよい。これらの円錐台形状設計を選択することにより、(操作位置において)チッププレート本体から下方に突出するチップの部分の周囲において隣接するチップ間に追加の空間が生まれるという利点がある。言い換えれば、(操作位置における)その上端部において、チップ同士は、パッキング密度を最大とすることができるようにできるだけ近接して配列される一方、下端部にかけてのチップの形状は、隣接するチップ間の距離(クリアランス)が最大となるように選択して設計される。この設計により、流れ特性、材料の削減、及び冷却効果の相乗的な組み合わせが可能となる。
-少なくとも50%(又は70%以上若しくは90%以上)の隣接するチップ同士の最小距離は、その下側自由突出端において少なくとも0.23dmax、最大で0.45dmaxでなければならない。上述した1つ又は複数の代表的な寸法から、最小距離は0.8mmでなければならない。異なる実施形態によると、この限界値は0.85、0.90、0.95、1.0、1.05、1.1、1.15、又は1.2に設定してもよい。
-チップを円錐台形状にすることで、さらなる最適化が可能になる。一実施形態によると、チップの最下端、すなわち、チッププレートの上面と反対側の端部は、上側部分とは異なる合金で形成されており、貴金属、ガラス、及び環境の間で異なる接触角を提供する。一般的に、Pt/Rh(90/10)のようなPt/Rh合金がチッププレートとそのチップに適していることが証明されているが、チップの最下端部の合金は、さらに金のような1つ又は複数の合金材料を含んでもよい。別のオプションとして、Rh及び/又はPtを少なくとも部分的にAuに置き換えてもよい。いずれの場合においても、Pt/Rh合金と比較すると、接触角を大きくすることができる。Pt/Au(95/5)及びPt/Rh/Au(90/5/5)の合金は、Pt/Rh(90/10)より接触角Aが大きくなる。接触角が大きくなるほど、1つのチップの出口端に誤って形成された融液滴が隣接するチップの出口端における融液の挙動及び繊維の生産にも影響を与えるリスクが低くなる。言い換えれば、本発明の設計は、繊維製造中の(チッププレートのフラッディング(flooding)を招き得る)障害のリスクを低減し、且つ/又は、製造条件を変更せずに、隣接するチップ間の距離をその下端部において短縮することができる。
-既に上で説明したように、第1及び第2仮想線(L1、L2)に加え、任意で(ほとんどの場合がそうであるように)少なくとも第3、第4等の線に沿ったチップの配列を、通常、複数回繰り返すことで、より多くのチップを備えたより大きいチッププレート(面積)を提供する。言い換えれば、チッププレートは、前述のように、チップを有する2本又はそれ以上の(仮想)線を備えた10を超える、又は20を超える配列を含んでもよく、通常は、その間に冷却フィンを設ける。これらの冷却フィンは、チッププレートの下面において隣接するチップの配列の間に延在する。
-上述のようなチップの具体的な配列は、寸法及び精度の観点から、それに対応した製造技術を必要とする。これは、チッププレート体積の少なくとも50%、より望ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、又は100%が3D印刷技術又は3Dレーザ印刷とも呼ばれる積層造形によって生産される場合に実現することができる。積層造形により、チッププレートの上面において開示されたようなチップ/オリフィスの配列が可能であり、同時に、その反対側端部に向かって特注のチップ形状(錐台、円錐台、円錐台形状)を、その融液出口端において隣接するチップ間に必要距離を設けるように設計することができる。最終的な形状は、その後(段階的に)多数の個々の「印刷工程(printing step)」で構築され、上述の方法でレイアウトを変更することができ、さらには、例えば、レーザ強度を変えることにより、その後の製造シーケンス間でレイアウト(物理的構造)を変更することができる。オリフィスの打ち抜きやチップの溶接を避けることができる。
最後に、本発明は、また、高温の融液を受容するためのブッシングであって、その最も広義の実施形態においては、チッププレートを備え、任意で、前述したような1つ又は複数の特徴を有するブッシングに関する。また、ブッシングは、部分的に、又は全体を積層造形によって製造してもよい。
本発明のさらなる特徴は、従属請求項及び他の出願書類から導き出すことができる。以下、本発明について、非常に概略的に示す添付の図面を参照しながら説明する。
図1a及び図2は、座標系のx-y面を示す。これらの図面において、同一の部品、又は実質的に同等の機能若しくは挙動の部品は、同一の数字によって示されている。
図1aは、チッププレートTPの上面USの一部の上面図であり、距離dLを空けて互いに平行に延びる、2本の仮想直線L1、L2を示す。両方の線L1、L2に沿って、チップTIの流通開口TOの上端が複数個並んで配置されているのがわかる。簡略化のため、チップTIは、各線L1、L2各々に沿って2個のみ示している。チップTIの各々は、上面USにおいて直径dmaxの実質的に円形断面を有する流通開口を提供し、(L1に沿った)1列のチップは、(L2に沿った)隣接する列のチップTIと「重なり合っている」。この実施形態では、dLは、0.866dmaxに相当し、これにより、隣接するチップTI(又は、そのそれぞれの流通開口TO)が、そのそれぞれの外周に沿った1つの共通の点Pにおいて、互いに接触する設計となる。したがって、仮想直線L1において隣接するチップTI間の距離dT1と、仮想直線L2において隣接するチップTIとの間の距離dT2は、dmaxに相当し、3つの隣接する流通開口TOの中心長手軸線Aは、好ましい高いパッキング密度であることを示す正三角形を形成している。
チップTIは、上面USから下方向に延びることによって、(厚みdの)チッププレートTPの本体BOを貫通し、図1bに示すようにチッププレートTPの下面LSから下方に突出している。図1bからは、チップTIの突出部分の壁厚と、チップTIの円錐台形状の外形を見ることができ、これらは、図1aではチップTIの流通開口TO内の内側閉線と点線とで示されている。この設計により、隣接するチップTI間の空間を冷却空気が通過可能となるという好ましい効果が得られる。該チップTIをそれぞれ通る、ガラス融液の流れ方向(z)又はガラス繊維の延伸方向は、矢印Z(チッププレートTPの使用位置における座標系のz方向)によって示される。
図2の実施形態は、チップTIの配列と距離において図1の実施形態とは互いに異なっている。
図2の上側部分において、仮想直線L1の隣接するチップTIの中心長手軸線A間の距離dT1と、同様に、仮想直線L2のチップTIの間の距離dT2は、それぞれ約1.2dmaxに拡げられているが、線L1、L2の間の距離dLは、図1と同じである。これにより、同じ仮想直線L1又はL2に沿ったチップTIの外周間の距離が、異なる線L1、L2において隣接するチップTIと比較して大きくなり、最終的には、2本の線L1、L2からの3つの隣接するチップTIの3本の中心長手軸線Aを接続すると、隣接するチップTI(オリフィス)間に空間S1.1、S1.2、S1.3を有する二等辺三角形をなす(太線で示す)設計となる。対応するパッキング密度は、図1に示すものより低いが、この実施形態でも、高いパッキング密度を実現している。
図2の下側部分では、線L1及びL2に沿って隣接するチップTI間の距離がさらに広くなっており(dT1=1.5dmax、dT2=1.5dmax)、これにより隣接するチップTI間の空間Sが大きくなっている。
図2の上側部分と下側部分の間に冷却フィンCFが示されるが、これは、チッププレートTPの一部ではなく、上述のチップTPの隣接した配列の間に配置されたものである。
すべてのチッププレートTPと関連部品は、Pt/Rh(90/10)合金を用いた積層造形によって製造され、モノリシックなチッププレートTPを提供している。
Claims (10)
- 高温の融液を受容するためのブッシング用のチッププレート(TP)であって、その操作位置において、座標系の2方向(x,y)に延びる上面(US)と、その上面に対して距離(d)を置いた下面(LS)と、それらの間に位置する本体(BO)とを備え、前記チッププレート(TP)は、前記x-y方向に実質的に円形の断面であって、その最大径(dmax)が前記チッププレート(TP)の前記上面(US)に隣接する流通開口(TO)を有する複数のチップ(TI)をさらに備え、前記複数のチップ(TI)は、前記上面(US)から前記本体(BO)を貫通して延びて前記下面(LS)から突出し、前記高温の融液が、その内部を通って前記チッププレート(TP)から前記座標系の第3の(z)方向に流出することが可能であり、
a)第1の複数のチップ(TI)が、各々の対応する流通開口(TO)の中心長手軸線(A)が仮想第1直線(L1)と交差すると共に隣接する中心長手軸線同士が、1.0dmax以上1.3dmax以下の距離(dT1)となるように並べて配列され、
b)第2の複数のチップ(TI)が、各々の対応する流通開口(TO)の中心長手軸線(A)が仮想第2直線(L2)と交差すると共に隣接する中心長手軸線同士が、1.0dmax以上1.3dmax以下の距離(dT2)となるように並べて配列され、
c)前記仮想第1直線(L1)と前記仮想第2直線(L2)は、0.866dmax以上、1.0dmax未満の距離dLを隔てて互いに平行に延びる、チッププレート。 - 前記仮想第1直線(L1)及び前記仮想第2直線(L2)に沿ったすべてのチップ(TI)のうち、隣接する流通開口(TO)の前記中心長手軸線(A)の50%超が互いに同じ距離(dT1、dT2)を隔てる、請求項1に記載のチッププレート。
- dT1、dT2、又はその両方が1.2dmax以下である、請求項1に記載のチッププレート。
- 前記仮想第1直線(L1)及び前記仮想第2直線(L2)に沿ったすべてのチップ(TI)の前記流通開口(TO)の前記中心長手軸線(A)の50%超が、1本の仮想直線(L1、L2)に沿った2つの隣接する流通開口(TO)及びそれに隣接する仮想直線(L2、L1)の1つの流通開口(TO)の前記中心長手軸線(A)が二等辺三角形又は正三角形をなすように配列されている、請求項1に記載のチッププレート。
- 前記流通開口(TO)は、z方向におけるその合計長さの少なくとも70%にわたって前記チッププレート(TP)の前記上面(US)に向けて直径が大きくなる錐台に相当する内側形状を有する、請求項1に記載のチッププレート。
- 前記チップ(TI)は、その突出部分に沿って、円錐台形状の外形を有し、その大きい方の断面領域を前記チッププレート(TP)の前記下面に向けている、請求項1に記載のチッププレート。
- 前記仮想第1直線(L1)及び前記仮想第2直線(L2)に沿ったチップ(TI)の前記配列は、さらなるチップ(TI)が類似の方法で配列される1本又は複数本の仮想直線によって延長されている、請求項1に記載のチッププレート(TP)。
- 隣接するチップ(TI)の少なくとも50%は、その自由突出端において0.8mm~1.1mmの距離を有する、請求項1に記載のチッププレート(TP)。
- その体積の少なくとも50%が積層造形によって生産されている、請求項1に記載のチッププレート。
- 請求項1に記載のチッププレート(TP)を備える、高温の融液を受容するためのブッシング。
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